JP7432436B2 - 繊維処理剤 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維処理剤に関する。
衣料などの繊維製物品が着用や洗濯の繰り返しによって、新品時の外観の美しさや風合いを失うことは避けられないと言われている。特にファッション性に優れたニット衣料は、単繊維を甘く撚った糸で構成されていることから、着用や洗濯によって糸を構成する単繊維の位置ずれが発生するため外観変化や風合いの劣化が発生しやすい。すなわち、着用者にとって重要とされる衣料の外観美が失われてしまう。このように、衣料が中古化することによりくたびれた外観や風合い変化が生じる。
特許文献1には、加熱式乾燥機を用いる洗濯において、衣料に快適な風合い(柔軟感)を与えながら、乾燥機特有のシワを低減し、形態保持効果や防縮効果に優れた繊維製品処理剤組成物を提供することを目的として、(A)ゲル化温度が30~120℃の範囲にある水溶性及び/又は水分散性の非イオン性多糖、(B)シリコーン化合物及び(C)カチオン性界面活性剤を含有する繊維製品処理剤組成物が開示されている。
特許文献2には、衣料本来の形状と風合いを回復させる処理剤を提供することを目的として、(A)重量平均分子量5000~500000の水溶性加工澱粉及びその誘導体並びに重量平均分子量10000~500000の水溶性セルロース誘導体からなる群から選ばれる水溶性高分子化合物0.1~20重量%、(B)シリコーン化合物0.5~5重量%及び(C)非イオン性界面活性剤0.1~5重量%を含有する繊維製品処理剤組成物が開示されている。
特許文献3には、クリーニングにおける衣類の型崩れを防止し、光沢を保ち、柔軟性を維持あるいは回復する衣類の形状保持方法を提供すること、また、衣類の劣化を抑え防汚効果を有する形状保持方法及び形状保持剤の提供を目的として、少なくとも一種の熱可塑性樹脂、及び少なくとも一種の非水溶剤を含有した形状保持剤を繊維製品、紙製品、皮革製品等に付着させた後、40℃から230℃、好ましくは40℃から210℃、更に好ましくは80℃から200℃の範囲の熱を加えることを特徴とする形状保持方法が開示されている。
特開2008-297675号公報 特開2000-129577号公報 特開2008-95250号公報
衣料などの繊維製物品の着用や洗濯の繰り返しによって生じた繊維の型崩れを、風合いを損なうことなく回復できる簡便な処理方法が求められている。古くから衣料の形を整えるために、澱粉などのいわゆる洗濯糊が用いられてきたが、衣料の形は整うものの、繊維の風合いを大きく損なっていた。
本発明は、繊維の風合いを損なうことなく、繊維の型崩れを回復できる繊維処理剤に関する。
本発明者らは、水で膨潤するハイドロゲルであり、水による膨潤時の粒径が5μm以上350μm以下であり、かつ、膨潤度が1.00超1.5以下であるゲル(成分A)を繊維処理剤として用いることで、繊維の風合いを損なうことなく、型崩れを回復できることを見出した。
本発明は、以下の〔1〕~〔3〕に関する。
〔1〕 水で膨潤するハイドロゲルであり、水による膨潤時の粒径が5μm以上350μm以下であり、かつ、膨潤度が1.00超1.5以下であるゲル(成分A)からなる、繊維処理剤。
〔2〕 〔1〕に記載の繊維処理剤を含有する、繊維製物品用仕上げ剤組成物。
〔3〕 〔1〕に記載の繊維処理剤、又は〔2〕に記載の繊維製物品用仕上げ剤組成物を用いる、繊維製物品の型崩れ回復方法。
本発明の繊維処理剤は、繊維の風合いを損なうことなく、繊維の型崩れを回復できる繊維処理剤が提供される。
[繊維処理剤]
本発明の繊維処理剤は、水で膨潤するハイドロゲルであり、水による膨潤時の粒径が5μm以上350μm以下であり、かつ、膨潤度が1.00超1.5以下であるゲル(成分A)からなる。
本発明の繊維処理剤は、繊維製物品の繊維の風合いを損なうことなく、型崩れ回復性が高く、繊維製物品用仕上げ剤をはじめとする各種用途に適用することができる。例えば、繰り返し洗濯をして使用するシャツ、セーター、スカート、下着、カーテン、テーブル掛け、タオル、各種カバー類等の衣料などの繊維製物品に用いる洗浄剤や柔軟剤等の仕上げ剤などへの使用が挙げられる。中でも、本発明の繊維処理剤は、繊維物品用仕上げ剤に用いることで繊維の風合いを損なうことなく、型崩れ回復性が良好である。
なお、本発明において、「型崩れ」とは、衣料をハンガーにかけたり着用したりしたときに、布表面にハリ感がなく、表面が波打ってヨレやくたびれ感が生じた状態をいう。ヨレやくたびれ感は、例えば、新品の衣料と比べて身ごろ、袖口、首周りの形状が伸びたり縮んだりして当初とは異なる長さや形へと変化していることで生じると考えられる。従って、毛玉やシワの発生は、本発明においては、型崩れには該当しない。
また本発明において、「風合い」とは、人が素肌で感じる感触的心地よさのことを指し、柔軟性だけでなく滑り、かさ高さ、弾力性、はり、こし、ぬめり等、他の多種多様の因子が混ざったものであり、心地良さのベクトルにおいて一定の方向性を示すものである。
繊維処理剤が用いられる剤型には特に制限はなく、例えば液体状、泡状、ペースト状、クリーム状、固形状等、任意の剤型とすることが可能である。
本発明の繊維処理剤の作用メカニズムの詳細は定かではないが、一部は以下のように考えられる。
ゲルとは「あらゆる液体に不溶な三次元構造をもつ高分子物質及びその膨潤体」である。水を内部に含み膨潤するハイドロゲルのうち、膨潤時の粒径が特定の範囲であるハイドロゲルは、繊維製物品と接すると高分子であるために繊維内部には入らず、繊維表面に効率よく付着する。繊維表面に付着することで繊維間をつなぐバインダーとして働き、型崩れによりほぐれた繊維を元の状態に戻すと推定される。また、粒径が特定の範囲であるため、付着したゲルによる外観の悪化や、感触の劣化も抑制される。更に、水に溶解しないことから、すすぎなどによって繊維表面から剥がれることなく保持され、特定の膨潤度を有するハイドロゲルは、澱粉等の糊剤とは異なり、乾燥後も硬化することなく柔軟性を保持するため、繊維の風合いを損なわないと推定される。
なお、本発明の作用メカニズムは上記のものに限定されるものではない。
<ハイドロゲル>
本発明の繊維処理剤は、水で膨潤するハイドロゲルである。そして、水による膨潤時の粒径が5μm以上350μm以下、かつ、膨潤度が1.00超1.5以下であるゲル(成分A)である。
成分Aは、水による膨潤時の粒径が5μm以上350μm以下であり、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、膨潤時の粒径が5μm以上であり、好ましくは7μm以上、より好ましくは10μm以上であり、そして、繊維の風合い及び外観を維持する観点から、350μm以下であり、好ましくは330μm以下、より好ましくは310μm以下である。
水による膨潤時の成分Aの粒径は、実施例に記載の方法により測定され、繊維処理剤0.5gを500mLのイオン交換水に25℃において6時間、撹拌しながら膨潤させたときの粒径であり、膨潤直後の粒子画像から粒径を求めることができる。
成分Aは、水による膨潤時の膨潤度が1.00超1.5以下であり、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、1.00超であり、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.03以上であり、そして、繊維の風合い及び外観を維持する観点から、1.5以下であり、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.3以下である。
水による膨潤時の成分Aの膨潤度は、実施例に記載の方法により測定され、上述した膨潤時の成分Aの粒径を、乾燥時の成分Aの粒径で除したものである。乾燥時の粒径は、膨潤した成分Aを1時間25℃に静置して乾燥した後に、膨潤した成分Aと同様に粒子画像から求めることができる。
成分Aとしては、具体的には、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の吸水ポリマーとして知られる高分子化合物、多糖誘導体が挙げられ、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、好ましくはポリアクリル酸系重合体、ポリアルキレンオキシド系重合体、セルロース誘導体、より好ましくは(メタ)アクリル酸/アクリルアミド系共重合体、ポリアルキレンオキシド系重合体、セルロース誘導体、更に好ましくはセルロース誘導体である。
吸水性ポリマーとして知られる高分子化合物は、親水性であり、かつ、ラジカル重合性基を有する低分子化合物を原料として用いて、得ることができる。原料低分子化合物の種類及び重合比等を適宜調整することによって、所望のハイドロゲルを得ることができる。より具体的には、親水性のモノマー及び疎水性モノマーの割合、架橋密度(架橋剤の添加量)などにより、膨潤度を調整することができる。
親水性であり、かつ、ラジカル重合性基を有する低分子化合物としては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルアセトアミド、及びN-ビニル-N-メチルアセトアミド等が例示される。
ポリアルキレンオキシド系重合体としては、例えば、住友精化株式会社製のアクアコーク(ノニオン型のポリアルキレンオキシド系吸水性樹脂)が例示される。
〔セルロース誘導体〕
成分Aは、セルロース誘導体であることが好ましい。セルロース誘導体としては、アンヒドログルコース(以下「AGU」ともいう)由来の主鎖を有するセルロースを基本骨格に有し、セルロース分子中のヒドロキシ基にエーテル結合あるいはエステル結合で異なる置換基を導入したものが挙げられる。
これらの中でも、成分Aが、ヒドロキシプロピルセルロース、又は式(II)で表される修飾基が導入されたヒドロキシプロピルセルロース(以下、ヒドロキシプロピルセルロース及び式(II)で表される修飾基が導入されたヒドロキシプロピルセルロースを総称して、「ヒドロキシプロピルセルロース誘導体」ともいう)であり、アンヒドログルコースの平均重合度が20以上5000以下であり、プロピレンオキシ基のモル置換度が1.5以上3.0以下であり、かつ、式(II)で表される基のモル置換度が0以上0.2以下であることが好ましい。

式中、Xはアニオンを示し、*は結合部位を示す。
前記ヒドロキシプロピルセルロース誘導体のアンヒドログルコースの平均重合度は、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、20以上であり、好ましくは100以上、より好ましくは500以上である。また、上記と同様の観点及び製造の容易さの観点から、平均重合度は、5000以下であり、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下である。これらの観点を総合すると、平均重合度は、20以上5000以下であり、100以上3000以下が好ましく、500以上2000以下がより好ましい。
なお、本発明において平均重合度とは、銅-アンモニア法により測定される粘度平均重合度をいい、以下の方法により算出される。
(i)測定用溶液の調製
メスフラスコ(100mL)に塩化第一銅0.5g、25%アンモニア水20~30mLを加え、完全に溶解した後に、水酸化第二銅1.0g、及び25%アンモニア水を加えて標線の一寸手前までの量とする。これを30~40分間撹拌して、完全に溶解する。その後、精秤したセルロースを加え、標線まで上記アンモニア水を満たす。空気の入らないように密封し、12時間、マグネチックスターラーで撹拌して溶解し、測定用溶液を調製する。添加するセルロース量を20~500mgの範囲で変えて、異なる濃度の測定用溶液を調製する。
(ii)粘度平均重合度の測定
上記(i)で得られた測定用溶液(銅アンモニア溶液)をウベローデ粘度計に入れ、恒温槽(20±0.1℃)中で1時間静置した後、液の流下速度を測定する。種々のセルロース濃度(g/dL)の銅アンモニア溶液の流下時間(t(秒))とセルロース無添加の銅アンモニア水溶液の流下時間(t(秒))から、それぞれの濃度における還元粘度(ηsp/c)を下記式(1)により求める。
ηsp/c={(t-t)/t}/c (1)
c:セルロース濃度(g/dL)
更に、還元粘度をc=0に外挿して固有粘度[η](dL/g)を求め、下記式(2)により粘度平均重合度(DP)を求める。
DP=2000×[η] (2)
なお、ヒドロキシプロピルセルロース誘導体は、プロピレンオキシ基と、任意に式(II)で表される修飾基とが導入されている。従って、ヒドロキシプロピルセルロース誘導体は、下記式(I)で表すことができる。
式中、R、R及びRは、それぞれ独立に上記式(II)で表される修飾基、下記式(III)で表される基、及び水素原子から選ばれるいずれか1つ、又は下記式(III)で表される基の水酸基から水素原子を除いた基に、上記式(II)で表される基が結合した基であり、nはアンヒドログルコースの平均重合度を示し、20以上5000以下であり、上記式(II)で表される修飾基のモル置換度が0以上0.2以下であり、プロピレンオキシ基のモル置換度が1.5以上3.0以下である。

式(III)中、mは1以上の整数を示し、*は結合位置を示す。
式(I)において、R、R及びRは、それぞれ独立に式(II)で表される修飾基、式(III)で表される基、及び水素原子から選ばれるいずれか1つ、又は上記式(III)で表される基の水酸基から水素原子を除いた基に、上記式(II)で表される基が結合した基であり、R、R及びRは、同一でも、異なっていてもよい。また、n個のR、n個のR、n個のRは、それぞれ同一であっても、異なってもよい。
また、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、式(I)における平均重合度nは、好ましくは20以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは500以上である。また、上記と同様の観点及び製造の容易さの観点から、平均重合度nは、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下、更に好ましくは2000以下である。これらの観点を総合すると、平均重合度nは、好ましくは20以上5000以下、より好ましくは100以上3000以下、更に好ましくは500以上2000以下である。
式(III)中、mは、好ましくは1以上であり、その上限は特に限定されないが、プロピレンオキシ基のモル置換度を1.5以上3.0以下にする観点から、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。
(プロピレンオキシ基)
ヒドロキシプロピルセルロース誘導体において、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、プロピレンオキシ基のモル置換度は、1.5以上であり、好ましくは1.7以上、より好ましくは2.0以上であり、そして、3.0以下であり、好ましくは2.8以下、より好ましくは2.5以下である。これらの観点を総合すると、プロピレンオキシ基のモル置換度は、1.5以上3.0以下であり、好ましくは1.7以上2.8以下、より好ましくは2.0以上2.5以下である。
本発明においてプロピレンオキシ基のモル置換度とは、ヒドロキシプロピルセルロース誘導体のセルロース主鎖を構成するAGU1モルあたりに存在するプロピレンオキシ基及びヒドロキシプロピル基の平均モル数をいう。プロピレンオキシ基のモル置換度は、後述の方法により測定される。なお、プロピレンオキシ基のモル置換度は、プロピレンオキシ基の導入量を意味し、2価の基であるプロピレンオキシ基のモル置換度と、1価の基であるヒドロキシプロピル基の合計のモル置換度を意味する。
(式(II)で表される修飾基)
式(II)において、Xは、アンモニウム基の対イオンであるアニオン性基を示す。Xはアニオン性基であれば特に限定されない。その具体例としてはアルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、アルキル炭酸イオン、及びハロゲン化物イオン等が挙げられる。これらの中では、製造の容易さの観点から、好ましくはハロゲン化物イオンである。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンが挙げられるが、セルロース誘導体の水膨潤性及び化学的安定性の観点から、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、より好ましくは塩化物イオンである。
ヒドロキシプロピルセルロース誘導体において、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、式(II)で表される修飾基のモル置換度は、好ましくは0以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.1以上である。同様の観点から、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.19以下、更に好ましくは0.18以下である。これらの観点を総合すると、式(II)で表される修飾基のモル置換度は、好ましくは0以上0.2以下、より好ましくは0.01以上0.19以下、更に好ましくは0.1以上0.18以下である。
本発明において、式(II)で表される修飾基のモル置換度とは、セルロース主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1モルあたりに存在する式(II)で表される修飾基の平均モル数をいう。式(II)で表される修飾基のモル置換度は、後述の方法により測定される。
製造の容易さの観点から、式(II)で表される修飾基のモル置換度とプロピレンオキシ基のモル置換度の和は、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.7以上、更に好ましくは2.0以上であり、そして、好ましくは3.2以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.7以下である。これらの観点を総合すると、式(II)で表される修飾基のモル置換度とプロピレンオキシ基のモル置換度の和は、好ましくは1.5以上3.2以下、より好ましくは1.7以上3.0以下、更に好ましくは2.0以上2.7以下である。
[プロピレンオキシ基及び式(II)で表される修飾基のモル置換度の算出]
ヒドロキシプロピルセルロース誘導体におけるプロピレンオキシ基及び式(II)で表される修飾基のモル置換度は、以下の方法により測定される。
ヒドロキシプロピルセルロース誘導体を透析膜(「スペクトラポア6透析膜(分画分子量=1,000)」、REPLIGEN社製)により精製後、水溶液を凍結乾燥して精製する。得られた精製物の窒素含有量(質量%)をケルダール法によって測定し、ヒドロキシプロピルセルロース誘導体中に含まれる式(II)で表される修飾基の数と得られた窒素原子の数を同数であると近似して、下記式(3)から、ヒドロキシプロピルセルロース誘導体の単位質量中に含まれる式(II)で表される修飾基の量(a(モル/g))を求める。
a(モル/g)=元素分析から求められる窒素含有量(質量%)÷(14.01×100) (3)
日本薬局方記載の「ヒドロキシプロピルセルロースの分析法」に従って、ヒドロキシプロポキシ基含有量(質量%)を測定する。下記式(4)から、ヒドロキシプロポキシ基含有量〔式量(OCOH=75.09)〕(bモル/g)を求める。
b(モル/g)=ガスクロマトグラフィー分析から求められるヒドロキシプロポキシ基含有量(%)÷(75.09×100) (4)
得られたa及びbと下記計算式(5)、(6)から式(II)で表される修飾基のモル置換度(k)及びプロピレンオキシ基のモル置換度(m)を算出する。
a=k÷(162+k×K+m×58) (5)
b=m÷(162+k×K+m×58) (6)
〔式中、k及びKは、それぞれ、式(II)で表される修飾基のモル置換度及び式量を示し、mはプロピレンオキシ基のモル置換度を示す。〕
〔ヒドロキシプロピルセルロース誘導体の製造方法〕
上述したヒドロキシプロピルセルロース誘導体は、セルロースに、ヒドロキシプロピル化剤と、必要により、式(II)で表される修飾基を導入するための修飾剤を反応させることにより得られる。なお、ヒドロキシプロピル化剤と修飾剤との反応順序は特に限定されず、セルロースに対して、ヒドロキシプロピル化剤と修飾剤とを同時に反応させてもよく、セルロースに修飾剤を反応させた後、ヒドロキシプロピル化剤を反応させてもよく、これとは逆に、セルロースにヒドロキシプロピル化剤を反応させた後、修飾剤を反応させてもよい。これらの中でも、反応性の観点から、セルロースとヒドロキシプロピル化剤とを反応させた後、修飾剤を反応させることが好ましい。
また、ヒドロキシプロピル化剤及び修飾剤との反応は、塩基性化合物の存在下に行うことが好ましい。
ヒドロキシプロピルセルロース誘導体の製造方法としては、例えば、特開2009-143997号公報等を参照することができる。
[繊維製物品用仕上げ剤組成物]
本発明の繊維製物品用仕上げ剤組成物は、前記繊維処理剤を含有する。すなわち、前記成分Aを含有する。
成分Aの含有量は、輸送及び保管効率の観点、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、0.01質量%以上90質量%以下含有することが好ましい。同様の観点から、繊維製物品用仕上げ剤組成物中の繊維処理剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上である。そして、取り扱い性及び他の成分を含有させる観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、より更に好ましくは30質量以下、より更に好ましくは10質量%以下である。
また、繊維処理剤を濃縮品である製品(例えば柔軟剤)とする場合には、輸送及び保管効率の観点、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性の観点から、濃縮品中の成分Aの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、取扱い性及び他の成分を含有させる観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
本発明の繊維製物品用仕上げ剤組成物は、成分A以外の一般に洗濯洗剤、浴処理用糊剤や柔軟剤組成物に含有することが知られている成分を含有することができる。例えばpH調整剤としての酸剤やアルカリ剤、香料成分、殺菌や消臭剤として知られている化合物、プロキセル名で市販されている抗菌・抗カビ剤、サニゾール名で市販されている第四級アンモニウム塩化合物等の殺菌剤、顔料染料等の着色剤、キサンタンガムのような増粘化剤、ハイドロカーボン、脂肪酸アルコールエステル、脂肪族アルコール等の油剤、ブチルカルビトールや2-エチルヘキシルグリセリルエーテル等の有機溶媒、界面活性剤などを、本効果を損なわない程度に含有することができる。
本発明の繊維製物品用仕上げ剤組成物は好ましくは分散媒として水を含有する。水としては、次亜塩素酸で殺菌された水を用いることができ、脱イオンしたものを用いることが好ましい。本発明の繊維製物品用仕上げ剤組成物は、水を、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは99.99質量%以下、より好ましくは99.9質量%以下、更に好ましくは99.5質量%以下含有する。
本発明の繊維製物品用仕上げ剤組成物のpHは、JIS K 3362;2008の項目8.3に従って25℃で測定した場合に、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、そして、好ましくは8以下、より好ましくは7以下である。
pHを調整するために酸剤やアルカリ剤を用いてもよく、酸剤としてはクエン酸、フマル酸等の有機酸、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸を挙げることができ、アルカリ剤としてはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩の他にモノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機性のアルカリ剤としてアミン化合物を用いることもできる。
[繊維製物品用仕上げ剤組成物の製造方法]
本発明の繊維製物品用仕上げ剤組成物は、その製造方法に制限はなく、各成分を混合する一般的な組成物の製造方法を用いることができ、成分A及び水を含有する液状組成物を調製する工程を有する製造方法により製造することが好ましい。
本発明の繊維製物品用仕上げ剤組成物の製造方法は、本発明の繊維製物品用仕上げ剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明の繊維製物品用仕上げ剤組成物の製造方法では、各成分は、前述の繊維製物品用仕上げ剤組成物の好適な含有量となるように用いることが好ましい。
<繊維製物品の型崩れ回復方法>
本発明の繊維製物品の型崩れ回復方法は、前記繊維処理剤又は前記繊維製物品用仕上げ剤組成物を用いる、繊維製物品の型崩れ回復方法である。繊維製物品への処理方法は特に制限はなく、一般的な処理方法を用いることができる。
繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、繊維製物品を下記工程1、工程2の順番で処理を行い、下記工程1及び工程2の少なくともいずれかで、前記繊維処理剤又は前記繊維製物品用仕上げ剤組成物の存在下で、処理を行うことが好ましく、工程2で前記繊維処理剤又は前記繊維製物品用仕上げ剤組成物の存在下で処理を行うことがより好ましい。
工程1:洗剤による洗浄
工程2:水によるすすぎ
本発明の繊維製物品の型崩れ回復方法は、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、前記繊維処理剤又は前記繊維製物品用仕上げ剤組成物を水及び/又は水系溶媒と混合した処理液を用いることが好ましく、水と混合した処理液を用いることがより好ましい。そして、同様の観点から、前記処理液を用い、浸漬及び噴霧のいずれかの方法で繊維製物品に処理することが好ましい。
本発明の繊維製物品の型崩れ回復方法において、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性向上の観点から、処理液中の本発明の繊維処理剤の濃度は、好ましくは10mg/kg以上300mg/kg以下である。同様の観点から、処理液中の本発明の繊維処理剤の濃度は、好ましくは10mg/kg以上、より好ましくは15mg/kg以上、更に好ましくは20mg/kg以上、より更に好ましくは25mg/kg以上であり、そして、排水の環境負荷低減の観点から、好ましくは300mg/kg以下、より好ましくは200mg/kg以下、更に好ましくは100mg/kg以下、より更に好ましくは70mg/kg以下である。
繊維製物品の質量(kg)と処理液の容量(リットル)の比で表される浴比の値、すなわち、処理液の容量(リットル)/繊維製物品の質量(kg)は、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性の向上の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上であり、そして、好ましくは90以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは20以下である。
工程1及び工程2は、例えば、たらい、桶、バケツ、洗濯機の洗濯槽などの適当な用具や設備を用いて行えばよい。これらの中でも、好ましくは洗濯機の洗濯槽、より好ましくは回転式の洗濯機の洗濯槽である。回転式の洗濯機としては、ドラム洗濯機、パルセータ洗濯機、アジテータ洗濯機が例示され、それぞれ、家庭用としても市販されている。1回の洗濯(洗浄及び濯ぎ)に使用する水の量がより低減できる点で、近年、ドラム洗濯機が急速に普及している。
工程1及び工程2における処理時の温度は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上、より更に好ましくは18℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下である。
また、繊維処理剤又は繊維製物品用仕上げ剤組成物による繊維製物品の処理時間、すなわち、繊維製物品と処理液との接触時間は、繊維の風合いの維持及び型崩れ回復性の向上の観点及び処理時間短縮の観点から、好ましくは10秒間以上、より好ましくは30秒間以上、更に好ましくは1分間以上、より更に好ましくは3分間以上であり、そして、好ましくは30分間以下、より好ましくは20分間以下、更に好ましくは10分間以下である。
(対象となる繊維製物品)
本発明の繊維処理剤は、型崩れした繊維製物品に効果を発揮する。繊維製物品としては、例えば、コート、セーター、シャツ、ズボン、ドレス、ブラウス、スカート、事務服、作業服、上衣、下着、寝衣、羽織、着物、靴下、手袋、帯、足袋、帽子、ハンカチ、マフラー、スカーフ、ショール、風呂敷、エプロン、かっぽう着、ネクタイ、膝掛け、上掛け、布団カバー、敷布、カーテン、テーブル掛け、タオル、手拭い、枕カバーなどが挙げられる。そして、型崩れした繊維製物品に用いることで、型崩れを回復する好ましい効果が得られる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
製造例1(繊維処理剤1及び5の製造)
下記に示す製造方法によって繊維処理剤1及び5を製造した。
(1)粉末化工程
下記(1-1)から(1-4)の処理を連続的に実施した。
(1-1)裁断処理
セルロース含有原料として、シート状木材パルプ(「Biofloc HV+」、Tembec社製、平均重合度1550、水分量:8.5質量%)を裁断機を用いて約3mm×1.5mm×1mmのチップ状に裁断した。
(1-2)乾燥処理
前記の裁断処理(1-1)したパルプを、2軸横型撹拌乾燥機(「パドルドライヤー、NPD-3W(1/2)」、株式会社奈良機械製作所製)を用いて、連続処理にてパルプを乾燥した。乾燥機の加熱媒体は150℃のスチームを用い、パルプの供給速度は45kg/時間、大気圧下で処理した。乾燥後の水分量は1.0質量%であった。
(1-3)セルロース粗粉砕処理
前記(1-2)の乾燥処理により得られた乾燥パルプを、連続式振動ミル(「連続式バイブロミル、YAMT-200」、ユーラステクノ株式会社製)を用いて粗粉砕した。第1及び第2粉砕室には、直径30mm、長さ1300mmのステンレス製の丸棒状の粉砕媒体(ロッド)を80本ずつ収容した。連続式振動ミルを振動数16.7Hz、振幅13.4mmの条件下、乾燥パルプを17.5kg/時間で供給した。
(1-4)セルロース小粒径化処理
前記(1-3)の粗粉砕処理により得られた粗粉砕セルロースを、高速回転式微粉砕機(「アトマイザーAIIW-5型」、株式会社ダルトン製)を用いて小粒径化した。目開き1.0mmのスクリーンを装着し、温度55℃でローター周速度を4400回転/分で駆動すると共に、原料供給部から粗粉砕セルロースを粗粉砕処理(1-3)と同じ供給速度で供給し、排出口から粉末状セルロースを回収した。小粒径化処理後の粉末状セルロースの体積中位粒径(D50)は、69.3μm、水分量は2.4質量%であった。
(2)活性化工程
(1)粉末化工程で得られた粉末状セルロースを、主翼とチョッパー翼を撹拌機として付属したジャケット付き反応槽に、水分を除いた質量部として100質量部を投入した。槽内気相部を窒素で置換した後、主翼周速2.5m/秒、チョッパー翼8.1m/秒の撹拌下にて、水酸化ナトリウム24.5質量部(粉末状セルロースのAGU1モルに対し1.0モル当量)と水とを混合して得られた水酸化ナトリウム水溶液を噴霧投入した。水酸化ナトリウム水溶液の調製に用いた水の量は、当該水の量と、粉末状セルロースが含有する水分との合計量が、反応系内の水分量として49.8質量部となるよう調整した。更にジャケット温水にて内温を50℃に調節し、2時間混合を継続した。
(3)ヒドロキシプロピル化工程
次に内温を50℃に保つよう調節し、主翼周速0.5m/秒、チョッパー翼1.3m/秒の撹拌下にて、プロピレンオキシド(PO)142.9質量部(粉末状セルロースのAGU1モルに対し4.0モル)を、内圧0.07~0.10MPa(ゲージ圧)に保つように、8分割で約2時間かけて投入した。全てのプロピレンオキシドを投入した後、十分に内圧が安定するまで撹拌及び温度調節を約30分間継続し、ヒドロキシプロピルセルロースを得た。ヒドロキシプロピルセルロースのプロピレンオキシ基のモル置換度は2.34であった。
(4)ゲル分離工程
前記(3)ヒドロキシプロピル化工程で得たヒドロキシプロピルセルロース(固形分1質量%水分散液に調整)を下記条件で遠心分離し、ゲル成分と液体成分とを分離した。ゲル成分を凍結乾燥し、繊維処理剤1を得た。また、液体成分を透析膜(「スペクトラポア6透析膜(分画分子量=1,000)」、REPLIGEN社製)を用いて精製し、凍結乾燥し、繊維処理剤5を得た。
製造例2(繊維処理剤2及び6の製造)
製造例1の(3)ヒドロキシプロピル化工程と(4)ゲル分離工程の間に下記(5)カチオン化工程を追加したこと以外は、製造例1と同様の方法で繊維処理剤2(ゲル成分)及び繊維処理剤6(液体成分)を製造した。
(5)カチオン化工程
主翼周速2.9m/秒、チョッパー翼5.8m/秒の撹拌下にて、前記(3)ヒドロキシプロピル化工程で得られた処理物にカチオン化剤である3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(HAC)の65質量%水溶液(「CTA-65」、四日市合成株式会社製、含水量30質量%、純度90質量%以上)112.0質量部(粉末状セルロースのAGU1モルに対しHACとして0.68モル)を噴霧投入し、内温を50℃±5℃に調節しつつ、2時間撹拌を継続した。その後、内温40℃まで冷却し、ヒドロキシプロピルセルロース誘導体であるカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースを得た。反応槽単位体積あたりの全仕込み量は174kg/mとした。
カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースのプロピレンオキシ基のモル置換度は2.34、式(II)で表される修飾基のモル置換度は0.17であった。
繊維処理剤3:ジメチルアミノエチルメタクリレート・ジエチル硫酸塩(MOEDES)、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGMA)の共重合体(モノマーのモル比で、MOEDES/DMAA/PEGMA=30/70/0.04)
(繊維処理剤3の製造方法)
5Lステンレス製反応槽に、モノマーとして、ジメチルアミノエチルメタクリレート・ジエチル硫酸塩(MOEDES)128.2g、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)85.7g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(EO14モル付加物)0.37g、開始剤として2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩0.4g、水290g、シクロヘキサン1800g、分散剤としてシュガーエステル2gを入れ、ラインミキサーで予備乳化した後、気相を不活性ガス(窒素)置換し、70℃に昇温して、3時間、重合反応を行った。反応終了後、85℃に昇温し286gの水を留去した。
次いで、流動層乾燥機を用い、温度を100℃に設定し、減圧下(40kPa)で反応物からシクロヘキサンを留去した。シクロヘキサンの留去が目視で確認できなくなった時点で、水15g(ポリマーの質量に対し7質量%)を添加した。その後に流動層乾燥機の温度を80℃に設定し、減圧下(40kPa)で、約6時間シクロヘキサンの除去を行い、繊維処理剤3を得た。
繊維処理剤4:「アクアコーク TWB-P」(ノニオン型のポリアルキレンオキシド系吸水性樹脂、住友精化株式会社製)
繊維処理剤7:「KCフロック W-400G」(機能性セルロース、日本製紙株式会社製)
繊維処理剤8:「キーピング 洗たく機用のり剤」(繊維製物品用仕上げ剤組成物、花王株式会社製、賦形剤として酢酸ビニル系ポリマー含有)
<平均重合度の測定>
粉末状セルロースの平均重合度、及び繊維処理剤7の平均重合度を以下の方法により測定した。なお、誘導体化後の精製品についても、同様の方法で測定できることが確認された。また、誘導体化の処理により、平均重合度の低下は殆んど認められなかった。
(i)測定用溶液の調製
メスフラスコ(100mL)に塩化第一銅0.5g、25%アンモニア水20~30mLを加え、完全に溶解した後に、水酸化第二銅1.0g、及び25%アンモニア水を加えて標線の一寸手前までの量とした。これを30~40分間撹拌して、完全に溶解した。その後、精秤したセルロースを加え、標線まで上記アンモニア水を満たした。空気の入らないように密封し、12時間、マグネチックスターラーで撹拌して溶解し、測定用溶液を調製した。添加するセルロース量を20~500mgの範囲で変えて、異なる濃度の測定用溶液を調製した。
(ii)粘度平均重合度の測定
上記(i)で得られた測定用溶液(銅アンモニア溶液)をウベローデ粘度計に入れ、恒温槽(20±0.1℃)中で1時間静置した後、液の流下速度を測定した。種々のセルロース濃度(g/dL)の銅アンモニア溶液の流下時間(t(秒))とセルロース無添加の銅アンモニア水溶液の流下時間(t(秒))から、それぞれの濃度における還元粘度(ηsp/c)を下記式(1)により求めた。
ηsp/c={(t-t)/t}/c (1)
c:セルロース濃度(g/dL)
更に、還元粘度をc=0に外挿して固有粘度[η](dL/g)を求め、下記式(2)により粘度平均重合度(DP)を求めた。
DP=2000×[η] (2)
その結果、製造例1で使用した粉末状セルロースの平均重合度は、849であり、また、繊維処理剤7の平均重合度は195であった。
<プロピレンオキシ基及び式(II)で表されるカチオン性基のモル置換度の測定>
ヒドロキシプロピルセルロース誘導体におけるプロピレンオキシ基及び式(II)で表される修飾基のモル置換度は、以下の方法により測定した。
ヒドロキシプロピルセルロース誘導体を透析膜(「スペクトラポア6透析膜(分画分子量=1,000)」、REPLIGEN社製)により精製後、水溶液を凍結乾燥して精製した。得られた精製物の窒素含有量(質量%)をケルダール法によって測定し、ヒドロキシプロピルセルロース誘導体中に含まれる式(II)で表される修飾基の数と得られた窒素原子の数を同数であると近似して、下記式(3)から、ヒドロキシプロピルセルロース誘導体の単位質量中に含まれる式(II)で表される修飾基の量(a(モル/g))を求めた。
a(モル/g)=元素分析から求められる窒素含有量(質量%)÷(14.01×100) (3)
日本薬局方記載の「ヒドロキシプロピルセルロースの分析法」に従って、ヒドロキシプロポキシ基含有量(質量%)を測定した。下記式(4)から、ヒドロキシプロポキシ基含有量〔式量(OCOH=75.09)〕(bモル/g)を求めた。
b(モル/g)=ガスクロマトグラフィー分析から求められるヒドロキシプロポキシ基含有量(%)÷(75.09×100) (4)
得られたa及びbと下記計算式(5)、(6)から式(II)で表される修飾基のモル置換度(k)及びプロピレンオキシ基のモル置換度(m)を算出した。
a=k÷(162+k×K+m×58) (5)
b=m÷(162+k×K+m×58) (6)
〔式中、k及びKは、それぞれ、式(II)で表される修飾基のモル置換度及び式量を示し、mはプロピレンオキシ基のモル置換度を示す。〕
<粒径測定方法>
500mLビーカーに各繊維処理剤0.5g、イオン交換水500mLを加え、マグネットスターラーと回転子(PTFE性樹脂、長さ50mm、直径8mm、アズワン株式会社製)を使用して、25℃で6時間撹拌した(回転速度300回転/分)。その後、繊維処理剤を取り出し、スライドガラス上に配し、直後の画像をデジタルマイクロスコープ(「VHX-5000」、株式会社キーエンス製)を用いて撮影した。得られた画像から膨潤時の粒径を求めた。また、乾燥時の粒径は、上記サンプルを25℃に1時間静置して乾燥した後に撮影し、同様に求めた。得られた粒径から、下記式を用いて膨潤度を求めた。なお、繊維処理剤8は繊維製物品用仕上げ剤組成物「キーピング 洗たく機用のり剤」(花王株式会社製)を乾燥(溶媒除去)後に、上記の測定を行ったが、フィルム状態のままであり、水により膨潤するハイドロゲルではなかった。
膨潤度(μm/μm)=膨潤時の粒径(μm)÷乾燥時の粒径(μm)
<繊維処理評価方法>
(試験布の調製)
T/C天竺(ニット)布(綿50質量%、ポリエステル50質量%、MVSカラーTOP天竺、サックスモク、双日ファッション株式会社製)2kgを市販の液体洗剤(花王株式会社製のアタックバイオジェル(登録商標)、2019年製)を用いて全自動洗濯機(「NW-7FT」、日立アプライアンス株式会社製)で5回繰り返し洗濯した(洗剤濃度0.083質量%、水道水(20℃)40L使用、標準コース(洗濯9分-すすぎ2回-脱水6分)、浴比20)。
洗濯したT/C天竺(ニット)布を25℃/40%RHの環境下で12時間乾燥させて6×6cm角に裁断した試験布(X1)及び、10×20cm角に裁断した試験布(X2)を得た。
(繊維製物品用仕上げ剤組成物の調製)
300mLプラスチックカップに各繊維処理剤1gと水道水99gを加え、マグネットスターラーと回転子(クロスヘッド回転子ダブル、型番001.1140、高さ14mm、直径40mm、アズワン株式会社製)を使用して一晩撹拌し、各繊維製物品用仕上げ剤組成物を得た。繊維処理剤8は繊維製物品用仕上げ剤組成物「キーピング 洗たく機用のり剤」(花王株式会社製)をそのまま使用した。
(繊維処理方法)
500mLプラスチックカップに各繊維製物品用仕上げ剤組成物を所定量(実施例1及び2は0.8g、他は1.5g)加え、水道水(炭酸塩アルカリ度:37mg/L CaCO)で希釈して合計300gとし、マグネットスターラーと回転子(クロスヘッド回転子ダブル、型番001.1140、高さ14mm、直径40mm、アズワン株式会社製)を使用して1分間撹拌した(回転速度400回転/分)。撹拌後、この溶液に試験布(X1)を6枚及び、試験布(X2)を2枚入れ、5分間撹拌した(回転速度400回転/分)。その後、二層式洗濯機(「VH-52G(H)」、東芝ライフスタイル株式会社製)を用い、試験布(X1)及び(X2)を脱水槽に入れて1.5分間脱水し、布の形を元のように手で整えて25℃/40%RHの環境下で12時間乾燥させた。乾燥後、処理した試験布(X1)を試験布(X3)、処理した試験布(X2)を試験布(X4)とした。
(型崩れ回復性の評価)
各繊維製物品用仕上げ剤組成物で処理した各試験布(X3)の型崩れ回復性を以下の基準サンプル1、2と比較し、下記判定基準にて得点をつけて平均点を求めることにより評価した。なお、評価はT/C天竺布や衣類の外観状態の変化を判断するのによく訓練された専門評価者5名により評価判定した。基準サンプル1は、未処理の前記T/C天竺布を、前記の全自動洗濯機を使用して、前記のように洗剤で5回洗濯した後に、更に洗剤なしで前記と同様の方法で2回洗濯を繰り返すことによって劣化した状態になった試験布(X5)である。
型崩れ回復性評価は、数値が高いほど優れており、具体的には2.0以上が好ましい。
〔基準サンプル〕
基準サンプル1:未処理で型崩れしている試験布(X5)
基準サンプル2:比較例5の試験布(X3)
基準サンプルは、基準サンプル1の方が基準サンプル2と比較して明らかに型崩れの程度が強かった。
〔判定基準〕
0 :基準サンプル1の試験布と同等の外観で、強い型崩れがあり、型崩れ回復性がない。
1.0:基準サンプル1と2の試験布の間の外観だが、どちらかというと基準サンプル1の外観に近く、型崩れ回復性は劣る。
2.0:基準サンプル1と2の試験布の間の外観だが、どちらかというと基準サンプル2の外観に近く、型崩れ回復性がある。
3.0:基準サンプル2の試験布と同等の外観で、明らかに型崩れ回復性がある。
(風合いの評価法)
各繊維製物品用仕上げ剤組成物で処理した各試験布(X4)の風合いを以下の基準サンプル1、2と比較し、下記判定基準にて得点をつけて平均点を求めることにより評価した。なお、評価はT/C天竺布や衣類の風合いの変化を判断するのによく訓練された専門評価者5名により評価判定した。風合い評価は数値が高いほど優れており、具体的には1.5以上が好ましい。
〔基準サンプル〕
基準サンプル1:比較例5の試験布(X4)
基準サンプル2:未処理の前記T/C天竺布
基準サンプルは、基準サンプル1の方が基準サンプル2と比較して明らかに風合いの程度が悪かった。
〔判定基準〕
0 :基準サンプル1の試験布と同等の風合いで、ごわつく。
1.0:基準サンプル1と2の試験布の間の風合いで、どちらかというと基準サンプル1の風会いに近く、ややごわつく。
2.0:基準サンプル1と2の試験布の間の風合いで、どちらかというと基準サンプル2の風会いに近く、ごわつきはあまりない。
3.0:基準サンプル2の試験布と同等の風合いで、明らかにごわつきがない。
膨潤時の粒径及び膨潤度が本発明の要件を満たすハイドロゲルからなる繊維処理剤1~4を使用した実施例1~4では、繊維処理剤により繊維製物品を処理することにより、未処理の比較例1に比べて、風合いを維持しつつ、優れた型崩れ回復性が得られた。
一方、水溶性の繊維処理剤5及び6を使用した比較例2及び3では、風合いは維持されたものの、型崩れ回復性の観点では、十分な向上効果が得られなかった。
また、水に対する膨潤性を有しない繊維処理剤7を使用した比較例7では、風合いは維持され、未処理の比較例1に比べれば型崩れ回復性の向上は見られたが、その効果は十分ではなかった。
市販ののり剤である繊維処理剤8を使用した比較例5では、優れた型崩れ回復性はあるが、風合いが損なわれた。
本発明の繊維処理剤を含有する繊維製物品用仕上げ剤組成物により繊維製物品を処理することにより、風合いを維持しつつ、優れた型崩れ回復性が認められた。本発明の繊維処理剤及びこれを含有する繊維製物品仕上げ剤組成物は、洗濯洗剤、繊維製品用柔軟剤等への応用が期待される。

Claims (8)

  1. 水で膨潤するハイドロゲルであり、
    水による膨潤時の粒径が5μm以上350μm以下であり、かつ、膨潤度が1.00超1.5以下であるゲル(成分A)からなる、繊維処理剤。
  2. 成分Aが、セルロース誘導体である、請求項1に記載の繊維処理剤。
  3. 成分Aが、ヒドロキシプロピルセルロース、又は式(II)で表される修飾基が導入されたヒドロキシプロピルセルロースであり、
    アンヒドログルコースの平均重合度が20以上5000以下であり、
    プロピレンオキシ基のモル置換度が1.5以上3.0以下であり、かつ
    式(II)で表される修飾基のモル置換度が0以上0.2以下である、請求項1又は2に記載の繊維処理剤。

    式中、Xはアニオンを示し、*は結合部位を示す。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の繊維処理剤を含有する、繊維製物品用仕上げ剤組成物。
  5. 成分Aを0.01質量%以上90質量%以下含有する、請求項4に記載の繊維製物品用仕上げ剤組成物。
  6. 請求項1~3のいずれかに記載の繊維処理剤、又は請求項4若しくは5に記載の繊維製物品用仕上げ剤組成物を用いる、繊維製物品の型崩れ回復方法。
  7. 繊維製物品を下記工程1、工程2の順番で処理を行い、
    下記工程1及び工程2の少なくともいずれかを、請求項1~3のいずれかに記載の繊維処理剤、又は請求項4若しくは5に記載の繊維製物品用仕上げ剤組成物の存在下に行う、繊維製物品の型崩れ回復方法。
    工程1:洗剤による洗浄
    工程2:水によるすすぎ
  8. 処理時の処理液中の成分Aからなる繊維処理剤の濃度が10mg/kg以上300mg/kg以下である、請求項6又は7に記載の繊維製物品の型崩れ回復方法。
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