以下、図面を参照して、本開示に従うフォーマーディスペンサー及びフォーマーディスペンサー付き容器を詳細に説明する。
まず、本開示の第1実施形態に係るフォーマーディスペンサー100及びフォーマーディスペンサー付き容器110について、図1から図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るフォーマーディスペンサー100を示す。フォーマーディスペンサー100は、圧縮された液体及び空気を混合し発泡させる発泡部材15と、空気を蓄積して発泡部材15に供給するエアシリンダ3aと、エアシリンダ3aの内面を摺動するエアピストン9と、エアシリンダ3aの径方向内側において前後方向に相対移動可能に設けられ、液体を蓄積して発泡部材15に供給する液体シリンダ3bと、液体シリンダ3bを後方に付勢する弾性部材8,22(付勢手段)及び伸縮部3b10と、牽曳によって液体シリンダ3bをエアシリンダ3aに対して前方に押し出すトリガー部17と、液体と空気との混合物を外部に噴出させるノズル1とを備えている。本実施形態では、エアシリンダ3a、エアピストン9、液体シリンダ3b等により、液体及び空気を圧送可能なポンプが構成されている。ポンプは、図1及び図2に示すように、空気を蓄積して発泡部材15に供給するエアシリンダ3aと、エアシリンダ3aの内面を摺動するエアピストン9とを有するエアポンプ部APと、エアシリンダ3aの径方向内側において前後方向に相対移動可能に設けられ、液体を蓄積して発泡部材15に供給する液体シリンダ3bを有する液体ポンプ部LPとを備えている。
なお、本実施形態において、フォーマーディスペンサー100の上方向とは、図1における上方向であり、下方向とは、図1における下方向である。また、前方向とは図1において液体シリンダ3bからノズル1に向かう方向(図1における左方向)であり、後方向とはノズル1から液体シリンダ3bに向かう方向(図1における右方向)を指すものとする。また、左右方向は、図1の紙面に垂直な方向である。また、径方向内側とは、中心軸線O(図1参照)を通り当該中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oに近づく方向を意味し、径方向外側とは、当該直線に沿って中心軸線Oから遠ざかる方向を意味するものとする。
図2に示すように、エアシリンダ3aは、液体シリンダ3bの径方向外側に設けられており、内部にエア圧縮空間Sairを備えている。エアシリンダ3aの前部にはノズル1が装着されている。また、ノズル1の後部にはノズル筒1cが嵌着されており、ノズル筒1cには、ジェットリング14、発泡部材15、嵌合筒部11c及び逆止弁12が装着されている。エアシリンダ3aの後部にはポンプカバー3dが装着されており、ポンプカバー3dの径方向中央部には、吸気開口3d5が設けられている。
エアシリンダ3aは、本実施形態では合成樹脂製の部材であり、図2に示すように、略円筒形状を有する胴部3a1と、胴部3a1の前端部から前方に向けて縮径する縮径部3a2とを備えている。胴部3a1の後端部は、ポンプカバー3dに嵌合し固定されている。
エアシリンダ3aの胴部3a1の内面には、エアピストン9が摺動可能に設けられている。エアピストン9は、エアシリンダ3aの胴部3a1の内面に対して摺動する環状シール部9aと、環状シール部9aから径方向内側に延びる環状壁9cと、第2筒壁部3b8から延びる環状突壁3b3と連結する連結部9gとを備えている。連結部において、エアピストン9と環状突壁3b3との間には、外部からエアシリンダ3aに空気を供給する吸気孔3b11が形成されている。エアピストン9は、第2筒壁部3b8と一体に形成されている。これによって、エアピストン9は、液体シリンダ3bが嵌合固定される第2筒壁部3b8と一体になって中心軸線O方向(前後方向)に移動する。
図2に示すように、環状突壁3b3の外周面には、吸気弁9fが配置されている。吸気弁9fは、上述の吸気孔3b11を通じた空気の流入を制御する。吸気弁9fは、環状突壁3b3の外周面に嵌合する弁体筒壁9f2と、弁体筒壁9f2の外周面から径方向外側に延びる薄肉円環状の弁体9f1とを備えている。弁体9f1は、その外周端部がエアピストン9に接触することで吸気孔3b11を閉塞している。
液体シリンダ3bは、本実施形態では合成樹脂製の部材であり、液体圧縮空間SLを区画形成する円筒状の筒壁部3b1と、筒壁部3b1から径方向外側に突出するフランジ部3b9を備えている。また、筒壁部3b1の前端部には、中心軸線O方向(前後方向)に伸縮自在な伸縮部3b10が一体形成されている。本実施形態において伸縮部3b10は、蛇腹状の部位であり、液体シリンダ3bの筒壁部3b1を後方に付勢するとともに、前後方向の伸縮によって液体シリンダ3bの液体圧縮空間SLの体積を変化させる。この構成によって、液体シリンダ3b内の液体を圧縮することができる。すなわち、液体シリンダ3bの筒壁部3b1を前方(図2の左方)に移動させて伸縮部3b10を屈曲させることによって液体圧縮空間SLの体積を小さくして、液体圧縮空間SL内の液体を圧縮する。
伸縮部3b10の前端部には、嵌合筒部11cが一体形成されており、嵌合筒部11cがノズル筒1cの内面に嵌合することによって、伸縮部3b10の一端はエアシリンダ3aに対して固定されている。なお、嵌合筒部11cの内面には、上述の逆止弁12が嵌合固定されている。
液体シリンダ3bにおけるフランジ部3b9が、後述する連結部材30の前壁33と容器本体40の口部41上端部との間で挟持されることによって、液体シリンダ3bの筒壁部3b1は、容器本体40に接続され固定されている。
図2に示すように、第2筒壁部3b8の内面に液体シリンダ3bの筒壁部3b1が嵌合し、第2筒壁部3b8の後端部が連結部材30の前壁33の前面に当接することによって、第2筒壁部3b8は、液体シリンダ3bの筒壁部3b1に対して位置決めされ固定されている。
伸縮部3b10の前端部には、逆止弁12の逆止弁弁体12aが着座する弁座11bが設けられている。弁座11bは、伸縮部3b10の前端部をノズル筒1cを介してエアシリンダ3aに固定する嵌合筒部11cに一体形成されている。
逆止弁12は、図2に示すように、筒体12cの径方向内側に、アーム部12bを介して逆止弁弁体12aが一体に設けられた構成を備えており、アーム部12bが周方向3箇所に等間隔で配置された三点弁の構成を有している。逆止弁12は、その筒体12cが嵌合筒部11cの内面に嵌合することによって固定されている。後述するように、トリガー部17の牽曳によって液体が液体流路内をノズル1に向けて圧送されると、逆止弁弁体12aが弁座11bから離間して液体の通過を許容する。他方、トリガー部17の牽曳を解除すると、第2筒壁部3b8及び液体シリンダ3bが弾性部材8及び伸縮部3b10の復元によって後方に移動することで液体圧縮空間SL内が負圧となり、逆止弁弁体12aが再び弁座11bに着座する。この構成によって、逆止弁12は、ノズル1から容器本体40に向かう方向の空気や液体の流れを抑制する。すなわち、液体圧縮空間SL内が負圧に転じた際に空気やノズル1内に残存する内容物が液体圧縮空間SL内に侵入することを効果的に抑制して、容器本体40からの液体を液体圧縮空間SL内に充填することができる。
ノズル筒1cの内側における逆止弁12の前方には、図2に示すように、ジェットリング14が嵌合固定されている。ジェットリング14は、発泡部材15を収容する前部筒体14aと、ノズル1に向かって混合物流路RMを拡径する拡径部14bとを備えている。また、拡径部14bの外面には、エアシリンダ3a内で圧縮された空気を逆止弁12の前方へと導く凹所14cが形成されている。
発泡部材15は、ジェットリング14の前部筒体14aに収容されており、メッシュフィルタ15aを有する。メッシュフィルタ15aは、内容物を通過させることができる細かい孔が形成された部材であって、例えば樹脂網などが挙げられる。メッシュフィルタ15aは、合成樹脂製のリング部材15bの一端に固定されている。本実施形態では、図2に示すように、2つのリング部材15bを中心軸線O方向に並べて配置し、2つのメッシュフィルタ15a間の距離が大きくなるように、メッシュフィルタ15aが2つ並べたリング部材15bの中心軸線O方向両端部に配置されるようにしている。このように液体と空気の混合物が、距離が離れたメッシュフィルタ15aを2回通ることによって、更にきめ細かな泡状の液体を生成することができる。
ノズル筒1cの前端部には、ノズル1が装着されている。本実施形態において、ノズル1は、縦長形状の噴出孔1aを備えており、発泡部材15によって発泡化された液体と空気の混合物を噴出孔1a経由で外部に噴出させる。ノズル1は、図2に示すように、その側面をエアシリンダ3aの前壁3a3に設けられた固定開口3a4に嵌合させることによってエアシリンダ3aに固定されている。
エアシリンダ3aは、図1に示すように、フォーマーディスペンサー100の筐体18に固定されている。フォーマーディスペンサー100は、利用者がフォーマーディスペンサー100を把持するための把持部16と、利用者が牽曳することによってポンプを作動させるためのトリガー部17を更に備えている。
本実施形態では、筐体18はエアシリンダ3aを後方且つ下方から支持しており、図2に示すように、トリガー部17から左右方向(図1における紙面に垂直方向)に突出する回転軸17bを受け入れる回動穴18aを備えている。この構成によって、トリガー部17は、図1の回転軸線R周りに回動可能とされている。また、筐体18の下方には、利用者がトリガー部17を中指等で牽曳する際に親指と手のひらで把持するための把持部16が設けられている(図1参照)。
トリガー部17の上端部には、連結部材30の外周壁31から左右方向に突出する押圧軸31bが嵌合する押圧用長穴17eが形成された押圧部17dが設けられている。利用者が、トリガー部17の牽曳部17aを牽曳すると、トリガー部17全体が回転軸線R周りに図1の反時計回りに回動し、押圧部17dが連結部材30の押圧軸31bを前方に押圧する。これによって、後述のように、連結部材30に固定された液体シリンダ3bがエアシリンダ3aに対して前方に相対移動する。これによって、伸縮部3b10が縮んで液体圧縮空間SLの体積を収縮させるため、液体圧縮空間SLの液体を圧縮して液体ポンプ部LPを作動させる。また、液体シリンダ3b及び第2筒壁部3b8の前方への移動によって、エアピストン9も前方に移動してエア圧縮空間Sair内の空気を圧縮してエアポンプ部APを作動させる。このようにして液体と空気の混合物を発泡部材15に圧送して噴出孔1aから外部に噴出させることができる。
本実施形態では、液体シリンダ3bの筒壁部3b1と、内容物である液体を収容する容器本体40とは、図2に示すように、連結部材30によって接続されている。
連結部材30は、容器本体40の口部41を径方向外側から囲む外周壁31と、外周壁31の前端部に連なる前壁33とを備えている。前壁33の中央部には、液体シリンダ3bの筒壁部3b1などを通すための前壁開口33aが設けられている。また、外周壁31の内面には、口部41の外周面に形成された雄ねじ部41aにねじ係合可能な雌ねじ部31aが設けられている。連結部材30の前壁33と容器本体40の口部41上端部との間で液体シリンダ3bのフランジ部3b9を挟持することによって、図2に示すように、容器本体40は、液体シリンダ3bの後端部に装着されている。
本実施形態において、容器本体40は積層剥離容器である。容器本体40は、積層剥離容器の外殻を構成する合成樹脂製の外層体を有している。外層体は、筒状の口部41と、口部41に肩部43を介して連なる胴部45と、胴部45に連なる底部47とを備えたボトル形状を有している。胴部45は所定の剛性を有するように、後述する内層体よりも肉厚が厚く構成されている。
外層体の内側には内層体が設けられている。内層体は、合成樹脂材料により外層体よりも薄肉の袋状に形成されており、外層体の内面に剥離可能に積層されて外層体の形状に対応した形状を成している。内層体の開口部は、外層体の口部41の開口端に連ねられており、内層体の内部はこの開口部に連なる収容空間Sとなっている。内層体の内部すなわち収容空間Sには、例えば、醤油等の食品調味料などの液体状の内容物を収容することができる。内層体は減容変形自在となっており、内容物の注出に伴って外周壁31の後端部と口部41の隙間からの外気を口部41に設けた外気導入孔41cを通じて取り入れつつ外層体の内面から剥離して収容空間Sの容積を減少させるように減容変形することができる。
ここで、内層体が外層体の内面に「剥離可能に積層されている」とは、外層体の内面に接着、擬似接着ないし溶着された状態で積層されている内層体が、当該外層体に対して剥がれることができることだけでなく、外層体の内面に単に密着状態で積層された内層体が、当該外層体に対して離れることを含む。
なお、本実施形態では、外層体と内層体との間において外層体と内層体とを互いに接着する接着帯が、胴部45に設けられている。接着帯は、口部41から底部47にまで延びる細長い縦帯状となっている。接着帯は、外気導入孔41cの周方向位置を避けていれば、1本であってもよいし、2本以上であってもよく、例えば、パーティングラインを挟んで2本設けることができる。また、接着帯は、容器本体40の周方向の一方側のみでもよいし、本例のように対向する位置で周方向の2方向に設けられていてもよい。なお、接着帯は必須の構成ではない。
容器本体40は、相溶性の低い外層体用の合成樹脂材料と、内層体用の合成樹脂材料とを共押出して積層パリソンを形成し、この積層パリソンを、金型を用いてブロー成形することにより、外層体の内面に内層体が剥離可能に積層された積層構造に形成されている。なお、容器本体40は、予め射出成形等によって形成された積層構造のプリフォームを二軸延伸ブロー成形して形成されたものとすることもできる。
本実施形態では、内層体の材料には所定のガスバリア性を有するエチレン―ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)又はナイロンを用いている。また、外層体の材料には、低密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を用いており、特にHDPEを用いた場合には高い剛性を付与することができる。しかし、この態様に限定されず、例えば二軸延伸ブロー成形を行うことによって容器本体40を形成する場合には、内層体の材料にはポリプロピレン(PP)を用い、外層体の材料にはポリエチレンテレフタレート(PET)を用いてもよい。
なお、容器本体40の構成は、積層剥離容器には限定されない。例えば、容器本体40は、チューブ容器やパウチ容器など、内容物の使用に伴って減容変形し易い他の形態の容器であってもよい。
このようにフォーマーディスペンサー100と容器本体40とを連結部材30で接続することによって、図1に示すフォーマーディスペンサー付き容器110を構成することができる。この構成によって、利用者が把持部16を把持してフォーマーディスペンサー付き容器110の姿勢を変えることができるので、内容物の噴出方向を比較的自由に変えることができる。従って、利用者が内容物を利用したい場所に容易に噴出させることができる。
本実施形態では、図1に示すように、トリガー部17に沿って上方に延びると共に、回転軸線Rの直下で略円弧形状を描きながら下向きに折り返すとともに把持部16の上部に係止された弾性部材22(樹脂ばね)を備えている。トリガー部17は、エアシリンダ3aに固定された筐体18周りに揺動可能とされており、樹脂ばねである弾性部材22によってトリガー部17は前方に付勢されている。金属製の圧縮ばねを用いる代わりに樹脂ばねを弾性部材22として用いることによって、フォーマーディスペンサー100を分別し易くすることができる。また、液体が弾性部材22に触れることが無いため、液体内容物を衛生的に取り扱うことができる。
本実施形態では、付勢手段として採用された弾性部材22及び8は、いずれも液体内容物に晒されない位置に配置されている。より具体的には、弾性部材22は、トリガー部17の内部に配置されており、弾性部材8は液体シリンダ3bを発泡部材15と連通させる液体流路の径方向外側に配置されている。このような構成によって、金属製の圧縮ばね等が用いられることもある付勢手段が液体内容物に触れることがないので、液体内容物を衛生的に使用することができる。
本実施形態において、エアポンプ部APは、空気を蓄積して発泡部材15に供給するエアシリンダ3aと、エアシリンダ3aの内面を摺動するエアピストン9と、弾性部材8と、エアシリンダ3aに対して弾性部材8により後方に付勢された第2筒壁部3b8とを有している。また、エアポンプ部APには、筐体18、把持部16及びトリガー部17があわせて装着されている(図4参照)。上述の通り、エアポンプ部AP及びこれらに装着される部材は、液体に晒されない部材である。
また、本実施形態において、液体ポンプ部LPは、エアシリンダ3aの径方向内側において前後方向に相対移動可能に設けられ、液体を蓄積して発泡部材15に供給する液体シリンダ3bと、伸縮自在な伸縮部3b10とを有している。また、液体ポンプ部LPには、容器本体40、連結部材30、逆止弁12、ジェットリング14、発泡部材15、ノズル1、ノズル筒1c等もあわせて装着されている(図4参照)。上述の通り、液体ポンプ部LP及びこれらに装着される部材には、液体に晒される部材が含まれている。
そして、本実施形態において、液体ポンプ部LPは、ノズル1をエアシリンダ3aに対して挿抜することによって、エアポンプ部APに対して着脱自在に装着されている。この構成によって、利用者は、液体内容物を使い切った後、ノズル1をエアシリンダ3aから抜き去ることによって液体ポンプ部LPをエアポンプ部APから容易に離脱させることができる。そして、液体が収容されている容器本体40を装着した新たな液体ポンプ部LPをエアポンプ部APに装着して(図4参照)再度使用を開始することができる。
以上の構成を有するフォーマーディスペンサー100及びフォーマーディスペンサー付き容器110を用いて内容物を利用する際のフォーマーディスペンサー100の動作について説明する。
まず、利用者は、図1に示すフォーマーディスペンサー100の把持部16を親指と手のひらで把持し、牽曳部17aを中指等で後方に牽曳する。これによって、トリガー部17は、図1に示す位置から図3に示す位置まで下端部が後方に移動し、回転軸線R周りに図の反時計回りに回動する。
トリガー部17の回動によって、図2に示すトリガー部17の上端の押圧部17dは、図3に示す位置まで前方に移動し、連結部材30から左右方向に突出する押圧軸31bを前方に押圧する。この操作によって、連結部材30に固定された液体シリンダ3bの筒壁部3b1、及び連結部材30の前壁33に当接する第2筒壁部3b8は、弾性部材8の弾性力に抗して筐体18及びエアシリンダ3aに対して前方に相対移動する(図3参照)。
液体シリンダ3bの前方への移動によって、筒壁部3b1の前端部に連結された伸縮部3b10は、図3に示すように前後方向に縮むため液体圧縮空間SLの体積が収縮し、液体圧縮空間SL内に充填されている液体は圧縮される。
液体圧縮空間SL内の液圧上昇によって前方に圧送された液体は、逆止弁弁体12aを弁座11bから離間させて逆止弁12を開放し、逆止弁12とジェットリング14の間に設けられた混合空間SM内に供給される。
一方、液体シリンダ3b及び第2筒壁部3b8の前方への移動によって、第2筒壁部3b8から径方向外側に突出するフランジ部3b2及びこれと一体形成されたエアピストン9も前方に移動する。これによって、エアピストン9の前方のエア圧縮空間Sair内の空気が圧縮され、ノズル筒1cの内面に設けたエア通過リブ3c1の間の空気流路Rair及びジェットリング14の外面に設けた凹所14cを通って、逆止弁12とジェットリング14の間に設けられた混合空間SM内に供給される。
本実施形態では、混合空間SM内に供給された液体及び空気は、混合された後、絞り開口14dを通過し、絞り開口14dの約4倍の断面積を有するメッシュフィルタ15aを通過することで良好に発泡化される。発泡化された液体と空気の混合物は、ノズル1の噴出孔1aを通って外部に噴出される。
内容物の噴出を終了すると、利用者は、牽曳部17aの牽曳を停止する。これによって、液体シリンダ3b及び第2筒壁部3b8には、もはや前方に押圧する力が作用しないため、弾性部材8が元の長さまで復元する過程で、液体シリンダ3b及び第2筒壁部3b8は、弾性部材8及び伸縮部3b10により後方に押圧される。
液体シリンダ3bの後方への移動によって伸縮部3b10は前後方向に延伸し、液体圧縮空間SLの体積が膨張するために液体圧縮空間SL内は負圧となり、容器本体40の収容空間S内の液体が液体圧縮空間SL内に充填される。
一方、第2筒壁部3b8の後方への移動によって、第2筒壁部3b8と一体形成されたエアピストン9も後方に移動するため、エア圧縮空間Sair内は負圧となる。
エア圧縮空間Sair内が負圧になることによって、吸気弁9fの弁体9f1がエアピストン9から離間し、吸気孔3b11が開放されるため、外気がエア圧縮空間Sair内に充填される。
以上述べたように、本実施形態は、圧縮された液体及び空気を混合し発泡させる発泡部材15と、空気を蓄積して発泡部材15に供給するエアシリンダ3aと、エアシリンダ3aの内面を摺動するエアピストン9とを有するエアポンプ部APと、エアシリンダ3aの径方向内側において前後方向に相対移動可能に設けられ、液体を蓄積して発泡部材15に供給する液体シリンダ3bを有する液体ポンプ部LPと、液体シリンダ3bを後方に付勢する付勢手段と、牽曳によって液体シリンダ3bをエアシリンダ3aに対して前方に押し出すトリガー部17と、液体と空気との混合物を外部に噴出させるノズル1とを備えたフォーマーディスペンサー100であって、液体ポンプ部LPは、エアポンプ部APに対して着脱自在に装着されており、エアピストン9は、液体シリンダ3bの移動に連動して前後方向に移動し、液体シリンダ3bが発泡部材15に向けて前方に移動することで液体シリンダ3b内に供給された液体は圧縮されて発泡部材15に供給され、エアピストン9がエアシリンダ3aに対して前方に移動することでエアシリンダ3a内の空気が圧縮されて発泡部材15に供給されるように構成した。このような構成の採用によって、利用者は、液体内容物を使い切った後、ノズル1をエアシリンダ3aから抜き去ることによって液体ポンプ部LPをエアポンプ部APから容易に離脱させることができる。そして、液体が収容されている容器本体40を装着した新たな液体ポンプ部LPをエアポンプ部APに装着して再度使用を開始することができる。すなわち、液体に晒される液体ポンプ部LPのみを新たなものと容易に交換し、液体に晒されることがないエアポンプ部APについては同じものを継続して使用し続けることができる。従って、エアポンプ部APに用いられる部材を長期間にわたって有効利用するとともに、液体に晒される液体ポンプ部LPのみを定期的に交換して、液体を衛生的に使用することができる。
また、本実施形態では、付勢手段は、液体に晒されない位置に配置されるように構成した。このような構成の採用によって、金属製のばね等が用いられることもある付勢手段が液体内容物に触れることがないので、液体内容物を衛生的に使用することができる。
また、本実施形態では、液体シリンダ3bは、前後方向に伸縮自在な伸縮部3b10によって液体の圧縮を行うように構成した。このような構成の採用によって、液体ポンプ部LPの部品点数を抑制することができる。
また、本実施形態では、トリガー部17は、エアシリンダ3aに固定された筐体18周りに揺動可能とされており、付勢手段は、トリガー部17を前方に付勢する樹脂製の弾性部材22を含むように構成した。このような構成の採用によって、フォーマーディスペンサー100を分別し易くすることができる。
また、本実施形態では、付勢手段は、液体シリンダ3bを発泡部材15と連通させる液体流路の径方向外側において、液体シリンダ3bをエアシリンダ3aに対して後方に付勢する弾性部材8を含むように構成した。このような構成の採用によって、液体が弾性部材8によって汚染されることが無く清潔な状態に維持し易くすることができる。
また、本実施形態に係るフォーマーディスペンサー付き容器110は、上記いずれかに記載のフォーマーディスペンサー100と、液体を収容する容器本体40と、液体シリンダ3bの後端部と容器本体40の口部41とを接続する連結部材30とを備えるように構成した。このような構成の採用によって、様々な口部形状を有する容器本体40を連結部材30のみを変えることにより装着可能にしつつ、噴出孔1aを比較的自由に方向づけして液体を噴出させることができる。
次に、本開示の第2実施形態に係るフォーマーディスペンサー200及びフォーマーディスペンサー付き容器210について、図5から図7を用いて説明する。
図5は、本実施形態に係るフォーマーディスペンサー200を示す。フォーマーディスペンサー200は、圧縮された液体及び空気を混合し発泡させる発泡部材15と、空気を蓄積して発泡部材15に供給するエアシリンダ3aと、エアシリンダ3aの内面を摺動するエアピストン9と、エアシリンダ3aの径方向内側において前後方向に相対移動可能に設けられ、液体を蓄積して発泡部材15に供給する液体シリンダ3bと、液体シリンダ3bを後方に付勢する弾性部材8a,8b(付勢手段)と、液体シリンダ3bの内面を摺動する液体ピストン6と、牽曳によって液体シリンダ3bをエアシリンダ3aに対して前方に押し出すトリガー部17と、液体と空気との混合物を外部に噴出させるノズル1とを備えている。本実施形態では、エアシリンダ3a、エアピストン9、液体シリンダ3b及び液体ピストン6等により、液体及び空気を圧送可能なポンプが構成されている。ポンプは、図5及び図6に示すように、空気を蓄積して発泡部材15に供給するエアシリンダ3aと、エアシリンダ3aの内面を摺動するエアピストン9とを有するエアポンプ部APと、エアシリンダ3aの径方向内側において前後方向に相対移動可能に設けられ、液体を蓄積して発泡部材15に供給する液体シリンダ3bを有する液体ポンプ部LPとを備えている。
なお、本実施形態において、フォーマーディスペンサー200の上方向とは、図5における上方向であり、下方向とは、図5における下方向である。また、前方向とは図5において液体シリンダ3bからノズル1に向かう方向(図5における左方向)であり、後方向とはノズル1から液体シリンダ3bに向かう方向(図5における右方向)を指すものとする。また、左右方向は、図5の紙面に垂直な方向である。また、径方向内側とは、中心軸線O(図5参照)を通り当該中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oに近づく方向を意味し、径方向外側とは、当該直線に沿って中心軸線Oから遠ざかる方向を意味するものとする。
エアシリンダ3aは、液体シリンダ3bの径方向外側に設けられており、内部にエア圧縮空間Sairを備えている。エアシリンダ3aの前方には、ノズル筒1cを介してノズル1、ジェットリング14、発泡部材15及び逆止弁12を装着する装着筒部3cが一体形成されている。また、エアシリンダ3aの後部にはポンプカバー3dが装着されており、ポンプカバー3dの装着によって、エアシリンダ3aは、ポンプカバー3dと第2筒壁部3b8との間に形成される吸気孔(図示せず)を除いて外部から閉塞されている。
エアシリンダ3aは、本実施形態では合成樹脂製の部材であり、図6に示すように、略円筒形状を有する胴部3a1と、前方に向けて縮径するとともに、胴部3a1の前端部と装着筒部3cとを接続する縮径部3a2とを備えている。胴部3a1の後部には、ポンプカバー3dの爪部3d1が嵌合する係合孔3a5が設けられている。本実施形態において、爪部3d1及び係合孔3a5は、周方向の2か所に等間隔で設けられているが、この態様には限定されず、爪部3d1及び係合孔3a5は1つ以上の任意の数とすることができ、周方向の間隔についても任意に設定することができる。
エアシリンダ3aの胴部3a1の内面には、エアピストン9が摺動可能に設けられている。エアピストン9は、エアシリンダ3aの胴部3a1の内面に対して摺動する環状シール部9aと、環状シール部9aから径方向内側に延びる環状壁9cと、環状壁9cを介して環状シール部9aと一体に設けられた筒体部9bとを備えている。筒体部9bの内周面には、周方向に間欠的に設けられ、空気が間を通過可能な通気リブ9eが設けられている。後述のように、筒体部9bの後端部が、後述する第2筒壁部3b8の前部から径方向外側に突出するフランジ部3b2において前面から前方に突出する環状突壁3b3の径方向内側の環状溝3b4に当接することによって、空気弁が閉塞される。
筒体部9bの径方向内側には、スペーサ筒3fが配置されている。スペーサ筒3fは、第2筒壁部3b8の外面を内側に嵌合させる筒状部材であり、前端部から径方向外側に突出し周方向に間欠的に設けられたストッパリブ3f1を備えている。上述の筒体部9bの前端部がストッパリブ3f1の後面に当接することによって、エアピストン9は、前方への移動を制限されている。この構成によって、エアピストン9の筒体部9bは、ストッパリブ3f1と環状溝3b4の間を中心軸線Oに沿って第2筒壁部3b8に対して僅かに移動可能である。エアピストン9は、中心軸線Oに沿う第2筒壁部3b8の移動に連動して前後方向に移動可能である。
ポンプカバー3dは、図6に示すように、エアシリンダ3aの胴部3a1の内面に嵌合し、外面に胴部3a1の係合孔3a5に係合する爪部3d1を備える外筒部3d2と、外筒部3d2の後端部に連なりエアシリンダ3aの後部を閉塞するカバー壁3d3と、カバー壁3d3の内周端から第2筒壁部3b8に沿って前方に延びる内筒部3d4とを備えている。上述のように、ポンプカバー3dの内筒部3d4と第2筒壁部3b8との間には、エア圧縮空間Sair内に空気を供給する吸気孔(図示しない)が形成されている。
このように、本実施形態では、エアシリンダ3aの後部に設けた吸気孔から空気を導入する構成としたので、第1実施形態のように吸気弁9fを設ける必要がなく、成形時や保管時の温度変化などにより吸気弁に変形等が生じることがなく安定した吸気をおこなうことができる。
本実施形態では、エアピストン9の筒体部9bの後端部が、フランジ部3b2において前面から前方に突出する環状突壁3b3の径方向内側の環状溝3b4に当接することによって、吸気孔が閉塞されるように構成されている。
液体シリンダ3bは、本実施形態では合成樹脂製の部材であり、液体圧縮空間SLを区画形成する円筒状の筒壁部3b1と、筒壁部3b1の前部から径方向外側に突出するフランジ部3b9と、筒壁部3b1の後部において液体弁7aが着座する弁座3b5と、弁座3b5の後方に連なりパイプ4が嵌合するパイプ装着筒3b6とを備えている。
液体シリンダ3bにおける筒壁部3b1の前端部には、径方向外側に延びるフランジ部3b9が設けられている。フランジ部3b9が、第2ばね受け部材6eの前端部及びパッキンPとともに連結部材30の前壁33と容器本体40の口部41上端部との間で挟持されることによって、筒壁部3b1は容器本体40に装着されている。
一方、第2筒壁部3b8は、前部から径方向外側に延びるフランジ部3b2及び前端部から径方向外側に延びるストッパリブ3f1を備えている。第2筒壁部3b8は、筒壁部3b1とは別体で設けられており、エアシリンダ3aに装着された弾性部材8aがストッパリブ3f1を後方に向けて付勢することによって第2筒壁部3b8の後端部は連結部材30の前壁33の前面に当接した状態を維持することができる。
液体ピストン6は、外周側に環状ピストン部6aを備えており、筒壁部3b1の内面を摺動可能であるとともに液体シリンダ3b内に形成された液体圧縮空間SLを外部に対して液密にシールする役割を有している。
第2筒壁部3b8の径方向内側には、液体ピストン6により圧縮された液体を発泡部材15に導く液体流路RLを形成する液体流路部材11が設けられている。液体流路部材11は、図6に示すように、後端部がピストンガイド6cの筒体部6c1の内面に嵌合するとともに、前端部が装着筒部3cに装着されたノズル筒1cの内面に嵌合し固定されている。筒体部6c1の前端部が流路筒壁11aの外周面に形成された突き当てリブ11a1の後端部に当接することによって、筒体部6c1は流路筒壁11aに対して中心軸線O方向に位置決めされている。
また、筒体部6c1の後部内面には、更にピストンストッパ7の筒壁7dが嵌合し装着されている。この構成によって、液体流路部材11、ピストンガイド6c及びピストンストッパ7は、ノズル筒1c及び装着筒部3cを介してエアシリンダ3aに固定されている。
ピストンガイド6cは、筒体部6c1と、筒体部6c1の後端部から後方に向けて拡径するガイド部6c2とを備えた中空筒状部材である。液体ピストン6は、環状ピストン部6aが液体シリンダ3bの筒壁部3b1の内面を摺動するとともに内筒部6bがガイド部6c2の内面を摺動することで液体圧縮空間SLを外部に対して液密にシールしている。
ピストンストッパ7は、筒体部6c1の内側に嵌合する筒壁7dと、筒壁7dの後部から径方向外側に向かって後方に延びるストッパアーム7bとを備えている。図7に示す内容物の吐出時において、液体ピストン6の内筒部6bの後端部がストッパアーム7bの前面から離間することによって、液体圧縮空間SL内の液体は、内筒部6bとストッパアーム7bとの隙間から液体通過孔7cを通って液体流路RL内を発泡部材15に向けて圧送される。また、吐出終了後にピストンストッパ7のストッパアーム7bが液体ピストン6の内筒部6bに接触することで、ピストンストッパ7の筒壁7dに形成された液体通過孔7cを閉塞することできる。これにより、液体シリンダ3b内には、液体ピストン6で加圧された内容物が液体通過孔7cの開放によって前方に送り出される液体圧縮空間SLが形成される。
液体流路部材11の流路筒壁11aの前端部には、逆止弁12の逆止弁弁体12aが着座する弁座11bが設けられている。また、流路筒壁11aの前端部は、ノズル筒1cの内面に嵌合し固定されている。この構成によって、液体流路部材11等は、ノズル筒1c及び装着筒部3cを介してエアシリンダ3aに固定されている。
筒壁部3b1の後端部には、液体シリンダ3bの弁座3b5に当接してパイプ4からの液体の流れを制御する液体弁7aが設けられている。
ピストンガイド6cにおける筒体部6c1の前端外周面には、図6に示すように第1ばね受け部材6dが装着されている。そして、この第1ばね受け部材6dと、筒壁部3b1に装着された第2ばね受け部材6eとの間には、流路筒壁11aに対して液体シリンダ3bを後方に付勢する弾性部材8bが装着されている。本実施形態では、弾性部材8bは、金属製又は合成樹脂製の圧縮コイルばねで構成されている。
逆止弁12は、図6に示すように、筒体12cの径方向内側に、アーム部12bを介して逆止弁弁体12aが一体に設けられた構成を備えており、アーム部12bが周方向3箇所に等間隔で配置された三点弁の構成を有している。逆止弁12は、その筒体12cが液体流路部材11の前端部に嵌合することによって固定されている。後述するように、トリガー部17の牽曳によって液体が液体流路RL内をノズル1に向けて圧送されると、逆止弁弁体12aが弁座11bから離間して液体の通過を許容する。他方、トリガー部17の牽曳を解除すると、第2筒壁部3b8及び液体シリンダ3bが弾性部材8a、8bの復元によって後方に移動することで液体流路RL内が負圧となり、逆止弁弁体12aが再び弁座11bに着座する。この構成によって、逆止弁12は、ノズル1から液体ピストン6に向かう方向の空気や液体の流れを抑制する。すなわち、液体圧縮空間SL内が負圧に転じた際に空気やノズル1内に残存する内容物が液体流路RL内に侵入することを効果的に抑制して、容器本体40からの液体を液体圧縮空間SL内に充填することができる。
ノズル筒1cの内側における逆止弁12の前方には、図6に示すように、ジェットリング14が嵌合固定されている。ジェットリング14は、発泡部材15を収容する前部筒体14aと、ノズル1に向かって混合物流路RMを拡径する拡径部14bとを備えている。また、拡径部14bの外面には、エアシリンダ3a内で圧縮された空気を逆止弁12の前方へと導く凹所14cが形成されている。
発泡部材15は、ジェットリング14の前部筒体14aに収容されており、メッシュフィルタ15aを有する。メッシュフィルタ15aは、内容物を通過させることができる細かい孔が形成された部材であって、例えば樹脂網などが挙げられる。メッシュフィルタ15aは、合成樹脂製のリング部材15bの一端に固定されている。本実施形態では、図6に示すように、2つのリング部材15bを中心軸線O方向に並べて配置し、2つのメッシュフィルタ15a間の距離が大きくなるように、メッシュフィルタ15aが2つ並べたリング部材15bの中心軸線O方向両端部に配置されるようにしている。このように液体と空気の混合物が、距離が離れたメッシュフィルタ15aを2回通ることによって、更にきめ細かな泡状の液体を生成することができる。
ノズル筒1cの前端部には、ノズル1が装着されている。本実施形態において、ノズル1は、縦長形状の噴出孔1aを備えており、発泡部材15によって発泡化された液体と空気の混合物を噴出孔1a経由で外部に噴出させる。ノズル1は、図6に示すように、その後端部をノズル筒1cの内面に嵌合させることにより固定されている。
エアシリンダ3aは、図5に示すように、フォーマーディスペンサー200の筐体18に固定されている。フォーマーディスペンサー200は、利用者がフォーマーディスペンサー200を把持するための把持部16と、利用者が牽曳することによってポンプを作動させるためのトリガー部17を更に備えている。
本実施形態では、筐体18はエアシリンダ3aを後方且つ下方から支持しており、図6に示すように、トリガー部17から左右方向(図5における紙面に垂直方向)に突出する回転軸17bを受け入れる回動穴18aを備えている。この構成によって、トリガー部17は、図5の回転軸線R周りに回動可能とされている。また、筐体18の下方には、利用者がトリガー部17を中指等で牽曳する際に親指と手のひらで把持するための把持部16が設けられている(図5参照)。
トリガー部17の上端部には、後述する連結部材30の外周壁31から左右方向に突出する押圧軸31bが嵌合する押圧用長穴17eが形成された押圧部17dが設けられている。利用者が、トリガー部17の牽曳部17aを牽曳すると、トリガー部17全体が回転軸線R周りに図5の反時計回りに回動し、押圧部17dが連結部材30の押圧軸31bを前方に押圧する。これによって、後述のように、液体シリンダ3bがエアシリンダ3aに対して前方に相対移動し、ポンプを作動させて、液体と空気の混合物を発泡させて噴出孔1aから外部に噴出させることができる。
本実施形態では、液体シリンダ3bの筒壁部3b1と、内容物である液体を収容する容器本体40とは、図6に示すように、連結部材30によって接続されている。
連結部材30は、容器本体40の口部41を径方向外側から囲む外周壁31と、外周壁31の前端部に連なる前壁33とを備えている。前壁33の中央部には、ピストンガイド6cやピストンストッパ7等を通すための前壁開口33aが設けられている。また、外周壁31の内面には、口部41の外周面に形成された雄ねじ部41aにねじ係合可能な雌ねじ部31aが設けられている。連結部材30の前壁33と容器本体40の口部41上端部との間で液体シリンダ3bのフランジ部3b9、パッキンP及び第2ばね受け部材6eを挟持することによって、図6に示すように、容器本体40は、液体シリンダ3bの後端部に取り付けられたパイプ4が容器本体40の収容空間S内に保持された状態で装着されている。
本実施形態において、容器本体40は積層剥離容器である。容器本体40は、積層剥離容器の外殻を構成する合成樹脂製の外層体を有している。外層体は、筒状の口部41と、口部41に肩部43を介して連なる胴部45と、胴部45に連なる底部47とを備えたボトル形状を有している。胴部45は所定の剛性を有するように、後述する内層体よりも肉厚が厚く構成されている。
外層体の内側には内層体が設けられている。内層体は、合成樹脂材料により外層体よりも薄肉の袋状に形成されており、外層体の内面に剥離可能に積層されて外層体の形状に対応した形状を成している。内層体の開口部は、外層体の口部41の開口端に連ねられており、内層体の内部はこの開口部に連なる収容空間Sとなっている。内層体の内部すなわち収容空間Sには、例えば、醤油等の食品調味料などの液体状の内容物を収容することができる。内層体は減容変形自在となっており、内容物の注出に伴って口部41に設けた外気導入孔41cから外気を取り入れつつ外層体の内面から剥離して収容空間Sの容積を減少させるように減容変形することができる。
なお、容器本体40の構成は、積層剥離容器には限定されない。例えば、容器本体40は、チューブ容器やパウチ容器など、内容物の使用に伴って減容変形し易い他の形態の容器であってもよい。
このようにフォーマーディスペンサー200と容器本体40とを連結部材30で接続することによって、図5に示すフォーマーディスペンサー付き容器210を構成することができる。この構成によって、利用者が把持部16を把持してフォーマーディスペンサー付き容器210の姿勢を変えることができるので、内容物の噴出方向を比較的自由に変えることができる。従って、利用者が内容物を利用したい場所に容易に噴出させることができる。
本実施形態では、図5に示すように、トリガー部17に沿って上方に延びると共に、回転軸線Rの直下で略円弧形状を描きながら下向きに折り返すとともに把持部16の上部に係止された弾性部材22(樹脂ばね)を備えている。トリガー部17は、エアシリンダ3aに固定された筐体18周りに揺動可能とされており、樹脂ばねである弾性部材22によってトリガー部17は前方に付勢されている。金属製の圧縮ばねを用いる代わりに樹脂ばねを弾性部材22として用いることによって、フォーマーディスペンサー200を分別し易くすることができる。また、液体が弾性部材22に触れることが無いため、液体内容物を衛生的に取り扱うことができる。
本実施形態では、付勢手段として採用された弾性部材22、8a及び8bは、いずれも液体内容物に晒されない位置に配置されている。より具体的には、弾性部材22は、トリガー部17の内部に配置されており、弾性部材8a,8bは液体シリンダ3bを発泡部材15と連通させる液体流路RLの径方向外側に配置されている。このような構成によって、金属製の圧縮ばね等が用いられることもある付勢手段が液体内容物に触れることがないので、液体内容物を衛生的に使用することができる。
本実施形態において、エアポンプ部APは、空気を蓄積して発泡部材15に供給するエアシリンダ3aと、エアシリンダ3aの内面を摺動するエアピストン9と、弾性部材8aと、エアシリンダ3aに対して弾性部材8aにより後方に付勢された第2筒壁部3b8とを有している。また、エアポンプ部APには、筐体18、把持部16及びトリガー部17があわせて装着されている。上述の通り、エアポンプ部AP及びこれらに装着される部材は、液体に晒されない部材である。
また、本実施形態において、液体ポンプ部LPは、エアシリンダ3aの径方向内側において前後方向に相対移動可能に設けられ、液体を蓄積して発泡部材15に供給する液体シリンダ3bを有している。また、液体ポンプ部LPには、容器本体40、連結部材30、液体ピストン6、ピストンガイド6c、ピストンストッパ7、液体流路部材11、第1ばね受け部材6d、第2ばね受け部材6e、逆止弁12、ジェットリング14、発泡部材15、ノズル1、ノズル筒1c等もあわせて装着されている。上述の通り、液体ポンプ部LP及びこれらに装着される部材には、液体に晒される部材が含まれている。
そして、本実施形態において、液体ポンプ部LPは、ノズル筒1cを装着筒部3cに対して挿抜することによって、エアポンプ部APに対して着脱自在に装着されている。この構成によって、利用者は、液体内容物を使い切った後、ノズル筒1cを装着筒部3cから抜き去ることによって液体ポンプ部LPをエアポンプ部APから容易に離脱させることができる。そして、液体が収容されている容器本体40を装着した新たな液体ポンプ部LPをエアポンプ部APに装着して再度使用を開始することができる。
以上の構成を有するフォーマーディスペンサー200及びフォーマーディスペンサー付き容器210を用いて内容物を利用する際のフォーマーディスペンサー200の動作について説明する。
まず、利用者は、図5に示すフォーマーディスペンサー200の把持部16を親指と手のひらで把持し、牽曳部17aを中指等で後方に牽曳する。これによって、トリガー部17は、図5に示す位置から図7に示す位置まで下端部が後方に移動し、回転軸線R周りに図の反時計回りに回動する。
トリガー部17の回動によって、図6に示すトリガー部17の上端の押圧部17dは、図7に示す位置まで前方に移動し、連結部材30から左右方向に突出する押圧軸31bを前方に押圧する。この操作によって、連結部材30に固定された液体シリンダ3bの筒壁部3b1、及び連結部材30の前壁33に当接する第2筒壁部3b8は、弾性部材8a,8bの弾性力に抗して筐体18及びエアシリンダ3aに対して前方に相対移動する(図7参照)。
液体シリンダ3bの前方への移動によって、エアシリンダ3aにノズル筒1cを介して固定されているピストンガイド6c及びピストンストッパ7は、液体シリンダ3bの内部に入り込み、液体シリンダ3b内の液体は液体圧縮空間SL内で圧縮される。これによって液体圧縮空間SL内の液圧が上昇し、液体弁7aが液体シリンダ3bの弁座3b5に当接してパイプ4との間の流路は閉塞される。
また、ピストンストッパ7が液体シリンダ3bの内部に入り込むことによって液体ピストン6の内筒部6bがストッパアーム7bから離間するため、液体シリンダ3bの内の圧縮された液体は、内筒部6bとストッパアーム7bの間の隙間から液体通過孔7cを通って液体流路RL内を前方に圧送される。
液体圧縮空間SL内の液圧上昇によって前方に圧送された液体は、逆止弁弁体12aを弁座11bから離間させて逆止弁12を開放し、逆止弁12とジェットリング14の間に設けられた混合空間SM内に供給される。
一方、液体シリンダ3b及び第2筒壁部3b8の前方への移動によって、第2筒壁部3b8から径方向外側に突出するフランジ部3b2も前方に移動して、エアシリンダ3aとの静止摩擦力によって静止していたエアピストン9の筒体部9bの後端部に当接する。これによって、エアシリンダ3a内におけるエアピストン9の前方のエア圧縮空間Sairは、ポンプカバー3dと第2筒壁部3b8との間に形成された吸気孔との連通が妨げられる。その後、更に第2筒壁部3b8が前方に移動すると、エアピストン9の筒体部9bがフランジ部3b2によって前方に押圧されるため、エアピストン9は、第2筒壁部3b8とともにエアシリンダ3a内を前方に移動する。これによって、エアシリンダ3aのエア圧縮空間Sair内の空気が圧縮され、ノズル筒1cの内面に設けたエア通過リブ3c1の間の空気流路Rair及びジェットリング14の外面に設けた凹所14cを通って、逆止弁12とジェットリング14の間に設けられた混合空間SM内に供給される。
本実施形態では、混合空間SM内に供給された液体及び空気は、混合された後、絞り開口14dを通過し、絞り開口14dの約4倍の断面積を有するメッシュフィルタ15aを通過することで良好に発泡化される。発泡化された液体と空気の混合物は、ノズル1の噴出孔1aを通って外部に噴出される。
内容物の噴出を終了すると、利用者は、牽曳部17aの牽曳を停止する。これによって、液体シリンダ3b及び第2筒壁部3b8には、もはや前方に押圧する力が作用しないため、弾性部材8a,8bが元の長さまで復元する過程で、液体シリンダ3b及び第2筒壁部3b8は、弾性部材8a,8bにより後方に押圧される。
液体シリンダ3bの後方への移動によって、液体圧縮空間SL内は負圧となり、図6に示すように液体弁7aが再度弁座3b5から離間して開放される。これによって、容器本体40の収容空間S内の液体がパイプ4を経由し、液体弁7aを通過して液体圧縮空間SL内に充填される。
一方、第2筒壁部3b8の後方への移動によって、第2筒壁部3b8の外周面に嵌合するスペーサ筒3fの前端から径方向外側に突出するストッパリブ3f1がエアピストン9の筒体部9bの前端部に当接する。そして、更に第2筒壁部3b8が後方に移動すると、エアピストン9は第2筒壁部3b8とともに後方に移動するため、エア圧縮空間Sair内は負圧となる。
ストッパリブ3f1と筒体部9bの前端部との当接によって、筒体部9bの後端部がフランジ部3b2から離間するため、吸気孔から流入した空気は、筒体部9bの後端部とフランジ部3b2との隙間を通り、更に通気リブ9e及びストッパリブ3f1の間の隙間を通ってエア圧縮空間Sair内に充填される。
以上述べたように、本実施形態では、付勢手段は、液体シリンダ3bを発泡部材15と連通させる液体流路RLを区画形成する流路筒壁11aに対して液体シリンダ3bを後方に付勢する弾性部材8bを含むように構成した。このような構成の採用によって、トリガー部17による牽曳の解除によって、液体ポンプ部LPにおける液体圧縮空間SL内に速やかに負圧を発生させて、容器本体40内の液体を充填させることができる。
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
例えば、第1及び第2実施形態では、図4に示すように、液体ポンプ部LPに容器本体40、ノズル1、発泡部材15、ジェットリング14、逆止弁12及び連結部材30を装着した状態で新たな液体ポンプ部LPと交換するように構成しているが、この態様には限定されない。交換する部材は、液体に直接晒されている部材のみで足りるため、例えば、連結部材30を再利用するような構成としてもよい。
また、本実施形態では、連結部材30を容器本体40の口部41にねじ係合により装着することで容器本体40をフォーマーディスペンサー100,200に装着するように構成したが、この態様には限定されない。連結部材30を容器本体40の口部41に例えば打栓係合により装着するようにしてもよいし、連結部材30を用いずに、容器本体40の口部41を例えば嵌合等の手段によりフォーマーディスペンサー100,200の液体シリンダ3bに直接装着するように構成してもよい。
また、本実施形態では、容器本体40の口部41に外気導入孔41cを設けるように構成したが、この態様には限定されない。外気導入孔41cは例えば、容器本体40の底部47に設けるように構成してもよい。