JP2023014754A - エアゾール型吐出容器 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、エアゾール型吐出容器に関する。
従来、ノズルが設けられたノズルヘッドと、該ノズルヘッドを押し下げることによって容器体に収容された液体をノズルの先端部から吐出させるポンプ機構とを備えた液体吐出装置が知られている(特許文献1)。特許文献1の液体吐出装置は、ノズルヘッドの上面部にバックサクション機構が設けられており、押し下げられたノズルヘッドが元の位置へと戻る際に、該バックサクション機構によってノズル内に溜まった液体を吸引するよう構成されている。
しかしながら、特許文献1の液体吐出装置は、吐出量を確保するためにノズルヘッドのストローク量を大きくする必要があるため、ノズルヘッドが元の位置へ戻り、ポンプ室と容器との連通路に配された吸込み弁が閉じる前に、バックサクション機構の機能が発現し、バックサクション機構の液収容室が液体で満たされてしまうおそれがある。その結果、特許文献1の液体吐出装置では、バックサクション機構によってノズル内に溜まった液体を吸引することができず、使用後にノズルの先端部から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローを防止することができないおそれがある。
本発明は、アフタードローをほぼ確実に防止することが可能なエアゾール型吐出容器に関する。
本発明は、内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器と、使用者の押圧操作により前記エアゾール容器に対して接近し、前記エアゾール容器から液体を放出させることが可能に構成されたノズルヘッド部とを備え、前記ノズルヘッド部は、使用者の押圧操作を受け付ける押圧部と、前記エアゾール容器から放出された液体を流動させる内部流路と、該内部流路内を流動する液体を吐出させる吐出口とを備え、前記押圧部は、使用者の押圧操作により変形し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能な弾性部を有するバックサクション機構を備えるエアゾール型吐出容器に関する。
本発明に係るエアゾール型吐出容器は、アフタードローをほぼ確実に防止することが可能である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[本実施形態に係るエアゾール型吐出容器の全体構成]
まず、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1について、図1~図5を用いて説明する。本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は、図1及び図2に示すように、内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器10と、使用者の押圧操作によりエアゾール容器10から液体を放出させることが可能に構成されたアクチュエータ20と、エアゾール容器10とアクチュエータ20とを連結させる連結部材30とを備えている。
まず、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1について、図1~図5を用いて説明する。本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は、図1及び図2に示すように、内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器10と、使用者の押圧操作によりエアゾール容器10から液体を放出させることが可能に構成されたアクチュエータ20と、エアゾール容器10とアクチュエータ20とを連結させる連結部材30とを備えている。
なお、本明細書では、アクチュエータ20からの液体の吐出方向を「前方」とし、その反対方向を「後方」として説明する。また、エアゾール容器10からアクチュエータ20に向かう方向を「上方」とし、その反対方向を「下方」として説明する。ただし、ここでいう上下方向は、説明の便宜上定めた方向に過ぎず、実際の使用状況における上下方向とは限らない。
[エアゾール容器]
エアゾール容器10は、図3に示すように、液体を収容する容器本体100と、容器本体100の開口部に配されたエアゾールバルブ110とを備えている。
エアゾール容器10は、図3に示すように、液体を収容する容器本体100と、容器本体100の開口部に配されたエアゾールバルブ110とを備えている。
[エアゾール容器:容器本体]
容器本体100は、有底筒状の外郭部102と、外郭部102内に設けられた有底筒状の内袋104と、外郭部102及び内袋104の開口を塞ぐマウンテンカップ106とを備えている。なお、本明細書において、「有底筒状」とは、一端に底部を有し、他端に開口を有する筒状をいう。また、本明細書において、「筒状」には、その横断面が円形の形状(円筒状)に限られず、横断面が角形の形状(角筒状)も含まれる。
容器本体100は、有底筒状の外郭部102と、外郭部102内に設けられた有底筒状の内袋104と、外郭部102及び内袋104の開口を塞ぐマウンテンカップ106とを備えている。なお、本明細書において、「有底筒状」とは、一端に底部を有し、他端に開口を有する筒状をいう。また、本明細書において、「筒状」には、その横断面が円形の形状(円筒状)に限られず、横断面が角形の形状(角筒状)も含まれる。
内袋104には、吐出対象となる液体が収容されている。また、外郭部102と内袋104との間には、内袋104に対してガス圧を付与可能な噴射剤が充填されている。このような噴射剤としては、圧縮ガスが例示されるが、これに限定されるものではない。
外郭部102は、例えば、アルミニウム板等の金属材から形成された缶部材であり、噴射剤のガス圧によって変形しない剛性を有している。内袋104は、液体が透過不能な液不透過性を有し、かつ、噴射剤のガス圧によって変形可能な可撓性を有している。内袋104の材質としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-ビニルアルコール樹脂(EVOH)等が例示されるが、これに限定されるものではない。また、内袋104は、単層で構成されていても良く、複数の層で構成されていても良い。内袋104が複数の層で構成される場合には、酸素の透過を防止可能なバリア層を中間層として備えていても良く、該バリア層は、エチレン-ビニルアルコール樹脂(EVOH)等で形成されても良い。
なお、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-ビニルアルコール樹脂(EVOH)等は、噴射剤(圧縮ガス)が透過可能な材質であるため、内袋104内の液体に噴射剤が溶け込み、この溶け込んだ噴射剤が吐出後にノズル部222内に残った液体内で膨張し、ノズル部222の吐出口223から液だれ(アフタードロー)が発生しやすくなるが、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は後述するバックサクション機構240を備えるため、このようなアフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。
マウンテンカップ106は、外郭部102及び内袋104の開口を塞ぐことにより、内袋104内に液体を収容するための閉空間を形成すると共に、外郭部102と内袋104との間に噴射剤を充填するための閉空間を形成するよう構成されている。また、マウンテンカップ106は、内袋104の内部に連通する開口部を有しており、該開口部を塞ぐように、エアゾールバルブ110が配置されている。
なお、本実施形態では、容器本体100が外郭部102及び内袋104からなり、これらの間に充填された噴射剤(圧縮ガス)により内袋104を圧縮させ、該内袋104内の液体を放出させる構成を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、エアゾール容器は、吐出対象となる液体(原液)と、該液体にガス圧を付与可能な噴射剤とが一緒に収容される構成としても良く、この場合において、噴射剤としては、ブタン、ポロパン等の液化ガス等を用いても良い。また、液体(原液)及び液化ガスを内袋104内に収容しても良いし、内袋104を設けずに外郭部102内に収容しても良い。内袋104に収容する場合には、内袋104にアルミ層(AL層)等の中間層を設けても良い。このように、噴射剤として液化ガスを用いる場合においても、ノズル部222内に残った液体内で噴射剤が膨張し、ノズル部222の吐出口223から液だれ(アフタードロー)が発生しやすくなるが、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は後述するバックサクション機構240を備えるため、このようなアフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。
[エアゾール容器:エアゾールバルブ]
エアゾールバルブ110は、図4に示すように、ハウジング111と、ハウジング111内に挿入されたステム部112と、ハウジング111の底部とステム部112の底部との間に設けられ、ステム部112を容器本体100から離間する方向(外部方向)に付勢するステム付勢部113とを備えている。
エアゾールバルブ110は、図4に示すように、ハウジング111と、ハウジング111内に挿入されたステム部112と、ハウジング111の底部とステム部112の底部との間に設けられ、ステム部112を容器本体100から離間する方向(外部方向)に付勢するステム付勢部113とを備えている。
ステム部112は、液体を流動させることが可能な流路を有する筒状に形成されており、その外壁部に、ステム部112内の流路とハウジング111の内部とを連通させるステム孔112aが形成されている。ハウジング111は、有底筒状に形成されており、該ハウジング11の内部と内袋104の内部とを連通させる連通孔111aが底部に形成されている。また、ハウジング111には、ステム部112がステム付勢部113によって付勢された状態(非使用状態)において、ステム孔112aを気密に封止するガスケット114が設けられている。
ステム付勢部113は、アクチュエータ20に対する使用者の押圧操作に伴いステム部112が容器本体100に押し込まれる際に圧縮し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能に構成されている。ステム付勢部113としては、例えばコイルスプリング等が例示されるが、これに限定されるものではない
ステム付勢部113は、アクチュエータ20の後述する弾性部241よりも早く復元するよう構成されている。具体的には、ステム付勢部113は、アクチュエータ20の弾性部241よりも100倍以上1000倍以下程度大きい弾性率を有することが好ましく、弾性部241の弾性率の500倍程度の弾性率を有することがより好ましい。また、ステム付勢部113のストローク長さは、アクチュエータ20の弾性部241のストローク長さよりも短いことが好ましい。このように、ステム付勢部113の弾性率がアクチュエータ20の弾性部241の弾性率よりも大きいことにより、アクチュエータ20の弾性部241よりも早くステム付勢部113を復元させることが可能となるため、ステム付勢部113の復元によってエアゾール容器10から内部流路230内への液体の放出が停止された後に、弾性部241の復元によって吐出口223近傍の液体を内部流路230内に引き込むことが可能となり、その結果、使用後にノズル部222の吐出口223から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。
ステム部112は、容器本体100に対して押し込まれた際に、内袋104内の液体を放出するよう構成されている。具体的には、ステム部112は、アクチュエータ20によってステム付勢部113の付勢力に抗して容器本体100に対して押し込まれた使用状態において、ステム孔112aがハウジング111の内部に開放され、ステム部112内の流路がハウジング111の内部を介して内袋104の内部と連通するよう構成されている。
本実施形態に係るエアゾール容器10は、このようにステム部112内の流路が内袋104の内部と連通することにより、内袋104の内部圧力が外郭部102と内袋104との間に充填された噴射剤(圧縮ガス)の圧力よりも小さくなり、該圧力差によって内袋104が圧縮されることで、内袋104内の液体がハウジング111の内部及びステム部112の流路を介してアクチュエータ20内に放出されるよう構成されている。
[連結部材]
連結部材30は、エアゾール容器10とアクチュエータ20を連結する部材であり、図2及び図4に示すように、筒状に形成されている。具体的には、連結部材30は、図4に示すように、マウンテンカップ106の環状突出部106aに嵌合可能な環状溝310を下端部に有しており、該環状溝310をマウンテンカップ106の環状突出部106aに嵌合させることにより、エアゾール容器10に装着可能に構成されている。また、連結部材30は、アクチュエータ20の後述する螺合部213に螺合可能な螺合部320を外周面に有しており、該螺合部320をアクチュエータ20の螺合部213に螺合させることにより、アクチュエータ20を着脱可能に構成されている。
連結部材30は、エアゾール容器10とアクチュエータ20を連結する部材であり、図2及び図4に示すように、筒状に形成されている。具体的には、連結部材30は、図4に示すように、マウンテンカップ106の環状突出部106aに嵌合可能な環状溝310を下端部に有しており、該環状溝310をマウンテンカップ106の環状突出部106aに嵌合させることにより、エアゾール容器10に装着可能に構成されている。また、連結部材30は、アクチュエータ20の後述する螺合部213に螺合可能な螺合部320を外周面に有しており、該螺合部320をアクチュエータ20の螺合部213に螺合させることにより、アクチュエータ20を着脱可能に構成されている。
連結部材30は、図4に示すように、エアゾール容器10とアクチュエータ20とを連結させた状態において、エアゾール容器10のステム部112とアクチュエータ20の後述するステム連結部226とが挿通可能な貫通孔330を有している。また、連結部材30は、同状態において、環状溝310とマウンテンカップ106の環状突出部106aとの連結部分を覆うスカート部340を有している。なお、環状溝310、螺合部320及びスカート部340は、周方向の全域に亘って形成されても良いし、周方向に沿って断続的に形成されても良いし、周方向の一部のみに形成されても良い。また、連結部材30は、金属製であっても良いし、合成樹脂製であっても良い。
[アクチュエータ]
アクチュエータ20は、連結部材30を介してエアゾール容器10の上部に装着され、エアゾール容器10に対して接近する方向(下方)に押圧操作される縦型手動式のディスペンサである。具体的には、アクチュエータ20は、連結部材30に対して装着される基台210と、使用者の押圧操作によりエアゾール容器10に対して接近し、エアゾール容器10から液体を放出させることが可能に構成されたノズルヘッド部220とを備えている。
アクチュエータ20は、連結部材30を介してエアゾール容器10の上部に装着され、エアゾール容器10に対して接近する方向(下方)に押圧操作される縦型手動式のディスペンサである。具体的には、アクチュエータ20は、連結部材30に対して装着される基台210と、使用者の押圧操作によりエアゾール容器10に対して接近し、エアゾール容器10から液体を放出させることが可能に構成されたノズルヘッド部220とを備えている。
[アクチュエータ:基台]
基台210は、図2及び図4に示すように、連結部材30に装着可能な下部筒部211と、ノズルヘッド部220に連結される上部筒部215とを備えている。下部筒部211は、連結部材30の螺合部320に螺合可能な螺合部213を有する内壁部212と、該内壁部212の径方向外側に配された外壁部214とを含む二重壁構造を有している。外壁部214は、連結部材30と内壁部212との連結部分を覆うよう構成されている。
基台210は、図2及び図4に示すように、連結部材30に装着可能な下部筒部211と、ノズルヘッド部220に連結される上部筒部215とを備えている。下部筒部211は、連結部材30の螺合部320に螺合可能な螺合部213を有する内壁部212と、該内壁部212の径方向外側に配された外壁部214とを含む二重壁構造を有している。外壁部214は、連結部材30と内壁部212との連結部分を覆うよう構成されている。
上部筒部215は、ノズルヘッド部220の後述する連結壁224内に挿入可能な外径と、ノズルヘッド部220の後述するステム連結部226が貫通可能な内径とを有する筒状に形成されており、ノズルヘッド部220の上下動をガイド可能に構成されている。上部筒部215の上端部には、径方向外側に向けて突出する連結突起216が形成されている。連結突起216は、ノズルヘッド部220の連結壁224の後述する連結突起225に係止することにより、基台210に対するノズルヘッド部220の相対移動を許容しつつ、基台210からのノズルヘッド部220の抜け出しを規制するよう構成されている。また、上部筒部215は、その内壁に、径方向内側に向けて突出する位置決め部217を有している。位置決め部217は、上部筒部215の内壁の周方向に亘って所定の間隔をおいて複数設けられており、上部筒部215内に挿入されたノズルヘッド部220のステム連結部226を、ステム部112と整合する位置(具体的には、ステム部112の中心軸上)に位置決めするよう構成されている。
[アクチュエータ:ノズルヘッド部]
ノズルヘッド部220は、図2及び図4に示すように、使用者の押圧操作を受け付ける押圧部221と、液体を吐出させる吐出口223を有するノズル部222と、基台210の上部筒部215に連結可能な連結壁224と、エアゾール容器10のステム部112に連結可能なステム連結部226と備えている。
ノズルヘッド部220は、図2及び図4に示すように、使用者の押圧操作を受け付ける押圧部221と、液体を吐出させる吐出口223を有するノズル部222と、基台210の上部筒部215に連結可能な連結壁224と、エアゾール容器10のステム部112に連結可能なステム連結部226と備えている。
これら押圧部221、ノズル部222、連結壁224及びステム連結部226は、使用者の押圧操作により、一体として下方(エアゾール容器10に対して接近する方向)へ移動し、また、該押圧操作の解除に伴うステム付勢部113の復元により、一体として上方(エアゾール容器10から離間する方向)へ移動するよう構成されている。なお、これら押圧部221、ノズル部222、連結壁224及びステム連結部226は、一体成形により形成されても良いし、別部材を組み合わせることで形成されても良い。
押圧部221は、ノズル部222と共にノズルヘッド部220の上面部を構成する部位であり、使用者がノズルヘッド部220をエアゾール容器10に向けて押し込むために手指(例えば、人差し指)で力を加える領域である。押圧部221には、液体の吐出後にノズル部222の吐出口223から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローを防止するためのバックサクション機構240が設けられている。具体的には、押圧部221には、バックサクション機構240の後述する液吸引室243を形成するためのキャビティ凹部221aが形成されており、該キャビティ凹部221aを覆うように後述する弾性部241が配されることにより、弾性部241が押圧部221の上面を形成するよう構成されている。なお、バックサクション機構240については、後述する。
ノズル部222は、押圧部221から径方向外側に向けて延びており、その先端部に液体を吐出させる吐出口223を有している。ノズル部222は、アクチュエータ20がエアゾール容器10に装着された状態において、吐出口223がエアゾール容器10の外周面よりも径方向外側に位置する長さを有することが好ましい。このような構成によれば、吐出口223により吐出された液体を手のひらで受ける際にエアゾール容器10が干渉しにくく、また、万が一アフタードローが生じた場合であっても、エアゾール容器10に対する液体の付着を抑制することができるという利点がある。
連結壁224は、押圧部221の下面側から下方(エアゾール容器10側)に向けて直線的に延びる筒状に形成されており、基台210の上部筒部215の外径よりも大きい内径を有している。連結壁224の下端部には、径方向内側に向けて突出する連結突起225が形成されており、該連結突起225が基台210の上部筒部215の連結突起216と協働することにより、基台210からのノズルヘッド部220の抜け出しを規制するよう構成されている。
ステム連結部226は、押圧部221の下面側から下方(エアゾール容器10側)に向けて直線的に延びる筒状に形成されており、基台210の上部筒部215内を貫通可能な径を有している。ステム連結部226の下端部には、ステム部112の上端部に嵌合可能な篏合凹部226aが形成されている。ステム連結部226は、アクチュエータ20がエアゾール容器10に装着された状態において、ノズルヘッド部220がエアゾール容器10に向けて押し込まれた際に、エアゾール容器10のステム部112をハウジング111内に押し込み、ステム部112を開放させること、すなわち、エアゾール容器10内の液体をステム部112から放出させることが可能に構成されている。また、ステム連結部226は、押圧部221の直上に位置しており、使用者の押圧操作により加えられた外力を効率良くステム部112に伝達可能に構成されている。
ステム連結部226、押圧部221及びノズル部222には、図4に示すように、エアゾール容器10から放出された液体を流動させる内部流路230が、ステム連結部226の下端(ステム部112との接続部)から吐出口223に亘って形成されている。
[アクチュエータ:内部流路]
内部流路230は、エアゾール容器10の放出口(ステム連結部226の下端)からバックサクション機構240(押圧部221)に至る容器側流路部231と、バックサクション機構240(押圧部221)から吐出口223に至る吐出側流路部233とを備えている。
内部流路230は、エアゾール容器10の放出口(ステム連結部226の下端)からバックサクション機構240(押圧部221)に至る容器側流路部231と、バックサクション機構240(押圧部221)から吐出口223に至る吐出側流路部233とを備えている。
容器側流路部231は、ノズルヘッド部220の移動方向(上下方向)に沿って鉛直に延びる中空部であり、その上端部(ステム部112に接続される側の端部とは反対の端部)が、バックサクション機構240の後述する液吸引室243の吸引口244に連通している。吐出側流路部233は、容器側流路部231の上端部から径方向外側に向けて水平に延びる中空部であり、その先端に吐出口223が形成されている。すなわち、内部流路230は、一端にステム部112との接続口が形成され、他端に吐出口223が形成された略逆L字状に形成されており、その屈曲部分において液吸引室243の吸引口244に連通している。
容器側流路部231の容積は、ポンプ機構内蔵型のディスペンサにおけるポンプ室及び容器側流路部の容積よりも小さくなるよう設定されることが好ましい。このような観点から、容器側流路部231の容積は、例えば、100mm3以上であることが好ましく、150mm3以上であることがより好ましく、200mm3以上であることが更に好ましく、また、500mm3以下であることが好ましく、300mm3以下であることがより好ましく、250mm3以下であることが更に好ましい。容器側流路部231の容積を上記数値範囲内に設定することにより、バックサクション機構240により液体が吸引される際に、容器側流路部231内の液体よりも優先して吐出側流路部233内の液体を吸引することが可能となり、バックサクション機能を向上させ、アフタードローをより確実に防止することができるという利点を有する。
このような容積を実現するために、容器側流路部231は、その延在方向の長さが、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましく、20mm以上であることが更に好ましく、また、50mm以下であることが好ましく、40mm以下であることがより好ましく、30mm以下であることが更に好ましい。また、容器側流路部231は、その平均断面積が、5mm2以上であることが好ましく、8mm2以上であることがより好ましく、また、20mm2以下であることが好ましく、15mm2以下であることがより好ましく、10mm2以下であることが更に好ましい。ここで、「平均断面積」とは、ステム連結部226の下端からバックサクション機構240の吸引口244に至るまでの領域における断面積の平均値をいう。
吐出側流路部233は、図5に示すように、容器側流路部231との連通部における流路断面積A2が、該連通部における容器側流路部231の流路断面積A1よりも小さくなるよう構成されることが好ましい。また、該連通部における吐出側流路部233の流路断面積A2は、バックサクション機構240の吸引口244の開口面積A3よりも小さくなるよう構成されることが好ましい。すなわち、内部流路230は、以下の式1及び式2の少なくとも1つを満たす構造を有することが好ましい。
式1:「連通部における吐出側流路部233の流路断面積A2」<「連通部における容器側流路部231の流路断面積A1」
式2:「連通部における吐出側流路部233の流路断面積A2」<「バックサクション機構240の吸引口244の開口面積A3」
式1:「連通部における吐出側流路部233の流路断面積A2」<「連通部における容器側流路部231の流路断面積A1」
式2:「連通部における吐出側流路部233の流路断面積A2」<「バックサクション機構240の吸引口244の開口面積A3」
内部流路230は、上記式1を満たす構造を有することにより、バックサクション機構240により液体が吸引される際に、容器側流路部231を流動する液体の流速よりも吐出側流路部233を流動する液体の流速を速くすることが可能となる。そしてその結果、容器側流路部231内の液体よりも優先して吐出側流路部233内の液体をバックサクション機構240の液吸引室243に吸引することができるため、上記式1を満たさない場合と比較して、バックサクション機能を向上させ、アフタードローをより確実に防止することが可能となる。
また、内部流路230は、上記式2を満たす構造を有することにより、バックサクション機構240により液体が吸引される際に、バックサクション機構240の吸引口244近傍における液体の流速を高めることが可能となるため、上記式2を満たさない場合と比較して、バックサクション時に液体にかかる吸引力を大きくし、液体を効果的に液吸引室243内に誘導することが可能となる。また、上記式2を満たす構造を有することにより、バックサクション機構240の液吸引室243内に流入する液体の流速よりも、吐出側流路部233を流動する液体の流速を速くすることが可能となるため、上記式2を満たさない場合と比較して、吐出側流路部233内における単位時間あたりの液体の後退距離(引き込み距離)を大きくすることが可能となる。そして、これらにより、上記式1を満たす場合と同様に、バックサクション機能を向上させ、アフタードローをより確実に防止することが可能となる。特に、上記式1と上記式2との双方を満たす構造を有する場合には、バックサクション機能を最大限に発揮させることができ、アフタードローの防止効果がより顕著なものとなる。
具体的には、連通部における吐出側流路部233の流路断面積A2は、連通部における容器側流路部231の流路断面積A1の50%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、25%以下であることが更に好ましい。また、連通部における吐出側流路部233の流路断面積A2は、バックサクション機構240の吸引口244の開口面積A3の50%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、25%以下であることが更に好ましい。
ここで、「連通部」とは、容器側流路部231と吐出側流路部233とが連通する部分をいい、本実施形態では、容器側流路部231から吐出側流路部233に至る内部流路230の屈曲部分をいう。また、「連通部における吐出側流路部の流路断面積」とは、該連通部における吐出側流路部の鉛直断面の断面積、すなわち、吐出側流路部233の容器側流路部231側の端部における開口面積をいい、「連通部における容器側流路部の流路断面積」とは、該連通部における容器側流路部231の水平断面の断面積をいう。
また、吐出側流路部233は、図5に示すように、連通部側の流路断面積が、吐出口223側の流路断面積以下であることが好ましく、より好適には、吐出口223側の流路断面積よりも、連通部側の流路断面積の方が小さいことが好ましい。具体的には、吐出側流路部233は、容器側流路部231との連通部における流路断面積A2が、吐出口223における流路断面積A4の100%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、80%以下であることが更に好ましい。ここで、「吐出口における流路断面積A4」とは、吐出口223が鉛直方向と一致する開口である場合には、該吐出口223の開口面積をいい、図5に示すように吐出口223が鉛直方向に対して傾いた開口である場合には、吐出口223に最も近い部分において鉛直断面の断面積をいう。
このような関係を実現するために、吐出側流路部233は、吐出口223から容器側流路部231との連通部に向かって徐々に縮小する形状を有することが好ましい。ただし、これに限定されず、吐出側流路部233は、吐出口223から容器側流路部231との連通部に向かって段階的に縮小する形状であっても良いし、吐出口223から容器側流路部231との連通部に至る領域の一部において断面積が均一の部位が存在していても良い。
さらに、吐出側流路部233は、図5に示すように、吐出口223が容器側流路部231との連通部よりも上方に位置する上向き形状を有することが好ましい。このような形状を有することにより、吐出側流路部233内の液体を自重により連通部側に流動させることが可能となるため、より一層アフタードローを防止することができる。
[バックサクション機構]
バックサクション機構240は、ノズルヘッド部220に設けられ、使用者の押圧操作が解除された際に、内部流路230内の液体を吸引して貯留するよう構成されている。具体的には、バックサクション機構240は、図4及び図5に示すように、使用者の押圧操作により変形し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能な弾性部241と、内部流路230内の液体を吸引して貯留することが可能な液吸引室243とを備えている。
バックサクション機構240は、ノズルヘッド部220に設けられ、使用者の押圧操作が解除された際に、内部流路230内の液体を吸引して貯留するよう構成されている。具体的には、バックサクション機構240は、図4及び図5に示すように、使用者の押圧操作により変形し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能な弾性部241と、内部流路230内の液体を吸引して貯留することが可能な液吸引室243とを備えている。
弾性部241は、弾性変形可能な板状部材からなり、図4及び図5に示すように、ノズルヘッド部220の押圧部221に形成されたキャビティ凹部221aを覆い、押圧部221の上面の一部を形作るよう構成されている。弾性部241は、平面視において、図1及び図2に示すように、押圧部221側(後端側)が円形で、ノズル部222側(先端側)に向けて先細りとなる略水滴形状を有しており、その周縁部がキャビティ凹部221aの上端縁部に接着等により取り付けられている。
また、弾性部241は、前後方向に沿う鉛直断面視において、図4及び図5に示すように、上方に向けて凸となる緩やかな曲面状を有している。弾性部241は、アクチュエータ20がエアゾール容器10に装着された状態において、ステム部112の直上に位置するよう配置されている。具体的には、弾性部241の図心位置は、ステム部112の中心軸上に位置することが好ましい。すなわち、弾性部241は、使用者の押圧操作により下方に向けて凹となる形状に弾性変形した際に、その最下部(エアゾール容器10側に最も接近する部分)がステム部112の中心軸上に位置することが好ましい。このように、弾性部241がステム部112の直上に位置するよう配置されることにより、直上に配置されない場合と比較して、バックサクション機構240による吸引効果を高めることが可能となり、特に、弾性部241の弾性変形した際の最下部(図心位置)がステム部112の中心軸上に位置する場合には、バックサクション機構240による吸引効果を最大限発揮させることが可能となる。
弾性部241は、使用者の押圧操作に伴う弾性変形及びその解除に伴う復元(弾性復帰)により、液吸引室243の容積を変動させるよう構成されている。具体的には、弾性部241は、使用者の押圧操作によって液吸引室243に向けて弾性変形することにより、液吸引室243の内部容積を減少させ、液吸引室243内の液体(初期使用時には気体)を内部流路230内に排出させるよう構成されている。また、弾性部241は、該押圧操作の解除によって元の形状に復元することにより、液吸引室243の内部容積を拡張させて該液吸引室243内に負圧を発生させ、液吸引室243内に内部流路230内の液体を吸引させるよう構成されている。
弾性部241は、使用者の押圧操作が解除された際に、ステム付勢部113の復元完了よりも後に復元が完了するよう構成されている。具体的には、弾性部241は、ステム付勢部113よりも弾性率が小さいことが好ましい。具体的には、弾性部241は、ステム付勢部113の弾性率の0.001倍(0.1%)以上0.01倍(1%)以下の弾性率を有することが好ましく、ステム付勢部113の弾性率の0.05倍(5%)程度の弾性率の有することがより好ましい。また、弾性部241は、ステム付勢部113よりも復元時のストローク長さが長いことが好ましい。このような構成を有することにより、ステム付勢部113の復元が完了した後に弾性部241を復元させることが可能となるため、ステム付勢部113の復元によってエアゾール容器10から内部流路230内への液体の放出が停止された後に、弾性部241の復元によって吐出口223近傍の液体を内部流路230内に引き込むことが可能となり、その結果、使用後にノズル部222の吐出口223から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。
弾性部241は、例えば、ゴム、エラストマー、ポリオレフィン又はシリコン樹脂等の弾性変形可能な合成樹脂等から形成されている。ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE,LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EMMA)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-ビニルアルコール樹脂(EVOH)等を好適に用いることが可能であるが、これらに限定されるものではない。
弾性部241には、使用者による押圧領域への押圧を誘導する誘導部242が形成されている。誘導部242は、図示の例では三本の線状の凸部であるが、これに限定されず、凹部、凸部、表示部(例えば、文字、記号または模様を表示する部分)、パターン形成部、エンボス部及び粗面部から選ばれる1つ、または2以上の組み合わせであっても良い。また、誘導部242は、弾性部241の表面に他の部材を取り付けることで構成されても良い。誘導部242は、使用者が押圧部221を押圧する際の手指の滑りを抑制する滑り止めとしても機能可能であることが好ましい。
液吸引室243は、図4及び図5に示すように、ノズルヘッド部220のキャビティ凹部221aが弾性部241によって被覆されることによって形成された閉空間であり、内部流路230に連通する吸引口244を有している。
液吸引室243は、ノズル部222の吐出口223からアフタードローが生じない程度に内部流路230内の液体を吸引可能な容積を有している。例えば、液吸引室243の容積は、内部流路230の容積を190mm3程度に設定した場合、270mm3程度に設定することが可能である。また、バックサクション機能の設計体積は、0.1mL(100mm3)程度に設定することが可能である。ここで、バックサクション機能の設計体積とは、使用者の押圧操作に伴う弾性部241の弾性変形により減縮される液吸引室243の容積減少量(=押圧操作の解除に伴う弾性部241の復元により拡張される液吸引室243の容積拡張量)を意味する。
吸引口244は、液吸引室243に収容された液体が表面張力等により内部流路230に漏れ出ない程度の開口面積A3を有している。具体的には、吸引口244の開口面積A3は、10mm2以下であることが好ましい。
吸引口244は、吐出側流路部233側の液体を効率良く液吸引室243内に吸引させ、アフタードローを効果的に防止する観点から、吐出側流路部233に直接連通されるか、又は、容器側流路部231と吐出側流路部233との連通部近傍に形成されることが好ましい。図示の例では、吸引口244は、容器側流路部231から吐出側流路部233に至る内部流路230の屈曲部分において、容器側流路部231の中心軸と同軸となるよう形成されている。ただし、吸引口244は、これに限定されず、内部流路230内の液体を液吸引室243内に吸引させ、アフタードローを防止可能であれば、任意の場所に形成することが可能である。なお、ここでいう「連通部近傍」とは、吐出側流路部233の連通部側の端部から5mm以下の範囲をいい、より好適には、吐出側流路部233の連通部側の端部から3mm以下の範囲をいう。
[液体(内容液)]
本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1に収容される液体(内容液)としては、例えば、シャンプー液、リンス液、コンディショナー液、化粧液、薬剤、ボディソープ液、衣類用や食器用の液体洗剤、衣類用の柔軟剤、漂白剤等の液体が例示されるが、これらに限定されるものではない。本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1に収容される液体は、例えば30℃において、粘度が500~5万mPa・s(B型粘度計で測定)であることが好ましい。
本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1に収容される液体(内容液)としては、例えば、シャンプー液、リンス液、コンディショナー液、化粧液、薬剤、ボディソープ液、衣類用や食器用の液体洗剤、衣類用の柔軟剤、漂白剤等の液体が例示されるが、これらに限定されるものではない。本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1に収容される液体は、例えば30℃において、粘度が500~5万mPa・s(B型粘度計で測定)であることが好ましい。
[本実施形態に係るエアゾール型吐出容器の動作]
次に、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1の動作について、図6~図9を用いて説明する。本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1を用いて液体を吐出させる場合には、まず、使用者は、エアゾール型吐出容器1を後方側から手指(例えば親指、中指、薬指及び小指)により把持し、手指の一部(例えば人差し指)を弾性部241上に配置する。この際、弾性部241には誘導部242が設けられているため、使用者の手指が弾性部241上に適切に誘導される。
次に、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1の動作について、図6~図9を用いて説明する。本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1を用いて液体を吐出させる場合には、まず、使用者は、エアゾール型吐出容器1を後方側から手指(例えば親指、中指、薬指及び小指)により把持し、手指の一部(例えば人差し指)を弾性部241上に配置する。この際、弾性部241には誘導部242が設けられているため、使用者の手指が弾性部241上に適切に誘導される。
その後、弾性部241上に使用者の手指が配置された状態において、使用者が手指を押し下げることにより、まず弾性部241が弾性変形し(第1押圧挙動)、弾性部241が変形しきった後にノズルヘッド部220がエアゾール容器10に向けて押し下げられる(第2押圧挙動)。
具体的には、まず、図6に示すように、使用者が手指を押し下げる押圧操作により、弾性部241が弾性変形し、液吸引室243の内部容積が減少した状態となる。また、この状態から使用者が更に手指を押し下げ、ステム連結部226及びステム部112を介してステム付勢部113に付勢力を超える圧力が付与されることにより、図7に示すように、ステム付勢部113が圧縮し、ノズルヘッド部220がエアゾール容器10に向けて押し下げられる。
そして、ノズルヘッド部220がエアゾール容器10に向けて押し下げられることにより、ステム部112のステム孔112aがハウジング111の内部に開放され、ステム部112内の流路がハウジング111の内部を介して内袋104の内部と連通する。これにより、内袋104の内部圧力が外郭部102と内袋104との間に充填された噴射剤(圧縮ガス)の圧力よりも小さくなり、該圧力差によって内袋104が圧縮されることで、内袋104内の液体がハウジング111の内部及びステム部112の流路を介してノズルヘッド部220の内部流路230内に放出され、該内部流路230を介して吐出口223から連続的に吐出される。
そして、使用者が所望する量の液体が吐出された後、使用者がノズルヘッド部220の押圧操作を解除することにより、ノズルヘッド部220がエアゾール容器10から離間して液体の吐出が停止され(第1押圧解除挙動)、その後、弾性部241が復元する(第2押圧解除挙動)。
具体的には、使用者からの押圧力がステム付勢部113の付勢力を下回ることにより、図8に示すように、ステム付勢部113の復元力及び内袋104内の液体の圧力によってステム付勢部113が即座に復元し、ステム部112のステム孔112aがガスケット114によって密封され、エアゾール容器10から内部流路230内への液体の放出が停止される。この際、ステム付勢部113の復元ストロークが極めて短いため、使用者が押圧力を弱めたタイミングと液体の放出が停止されるタイミングは、ほぼ同時である。また、通常、この状態においては、弾性部241に対する押圧力の付与は依然として継続されており、液吸引室243の容積は減少したままである。
そして、エアゾール容器10からの液体の放出が停止された後に、弾性部241に対する使用者からの押圧力が除去されることにより、図9に示すように、弾性部241が復元され、液吸引室243の容積が拡張される。すなわち、上記第1押圧解除挙動後に、上記第2押圧解除挙動が発現される。これにより、液吸引室243内に負圧が発生し、液吸引室243内に内部流路230内の液体が吸引される。この際、容器側流路部231は、ステム部112側の端部が閉塞されているのに対し、吐出側流路部233は、吐出口223が開放されているため、容器側流路部231よりも優先して吐出側流路部233内の液体が液吸引室243内に引き込まれる。そしてその結果、吐出口223の近傍における液溜まりが無くなる又は減少するため、使用後にノズル部222の吐出口223から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローが抑制される。
[本実施形態に係るエアゾール型吐出容器の利点]
以上説明したとおり、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は、内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器10と、使用者の押圧操作によりエアゾール容器10に対して接近し、エアゾール容器10から液体を放出させることが可能に構成されたノズルヘッド部220とを備え、ノズルヘッド部220は、使用者の押圧操作を受け付ける押圧部221と、エアゾール容器10から放出された液体を流動させる内部流路230と、該内部流路230内を流動する液体を吐出させる吐出口223とを備え、押圧部221は、使用者の押圧操作により変形し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能な弾性部241を有するバックサクション機構240を備えている。
以上説明したとおり、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は、内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器10と、使用者の押圧操作によりエアゾール容器10に対して接近し、エアゾール容器10から液体を放出させることが可能に構成されたノズルヘッド部220とを備え、ノズルヘッド部220は、使用者の押圧操作を受け付ける押圧部221と、エアゾール容器10から放出された液体を流動させる内部流路230と、該内部流路230内を流動する液体を吐出させる吐出口223とを備え、押圧部221は、使用者の押圧操作により変形し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能な弾性部241を有するバックサクション機構240を備えている。
このような構成を備えるエアゾール型吐出容器1によれば、エアゾール容器10から内部流路230内への液体の放出が停止された後に、弾性部241の復元によって吐出口223近傍の液体を内部流路230内に引き込むことが可能となるため、使用後にノズル部222の吐出口223から液体が垂れ落ちる、所謂アフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。また、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1によれば、吐出口223近傍の液体を内部流路230内に引き込むことにより、吐出口223近傍における液体の固化を抑制し、吐出口223の詰まり等を防止することができる。
また、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1によれば、使用者の所望の液量に達するまで連続的に液体を吐出させることができ、ポンプ式容器のように何度も押圧操作(指圧操作)を繰り返す必要が無いため、連続吐出時の操作性に優れるという利点がある。
特に、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1のように、圧縮ガス等の噴射剤を用いるエアゾール容器の場合には、内袋104を介して液体に溶け込んだ噴射剤がノズル部222内で膨張し、吐出口223から液だれ(アフタードロー)が発生しやすくなるという、従来のポンプ式容器には無い新たな課題が生じるおそれがあるが、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1によれば、このようなアフタードローをほぼ確実に防止することが可能となる。なお、このような利点は、噴射剤として液化ガスを用いる場合においても、同様である。
また、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は、弾性部241がステム付勢部113の復元完了よりも後に復元が完了するよう構成されていることにより、より確実に、弾性部241の復元によって吐出口223近傍の液体を内部流路230内に引き込むことが可能となる。
さらに、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は、バックサクション機構240が液吸引室243を備え、弾性部241が復元時に液吸引室243内に負圧を発生させ、該液吸引室243内に内部流路230内の液体を吸引させるよう構成されている。このような構成を備えるエアゾール型吐出容器1によれば、内部流路230とは別に液吸引室243を設けることにより、液吸引室243を設けずに内部流路230に直接弾性部241を設ける場合と比較して、内部流路230の流路面積を減少させることなく、すなわち、液体の吐出性能に影響を与えることなく、バックサクション機能を発揮させることが可能となる。
また、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は、内部流路230が容器側流路部231と吐出側流路部233とを備え、これら容器側流路部231と吐出側流路部233との連通部において、吐出側流路部233の流路断面積A2が容器側流路部231の流路断面積A1よりも小さいという構成を有している。このような構成を備えるエアゾール型吐出容器1によれば、バックサクション機構240により液体が吸引される際に、容器側流路部231を流動する液体の流速よりも吐出側流路部233を流動する液体の流速を速くし、容器側流路部231内の液体よりも優先して吐出側流路部233内の液体を吸引することが可能となるため、バックサクション機能を向上させ、アフタードローをより確実に防止することが可能となる。
さらに、本実施形態に係るエアゾール型吐出容器1は、吐出側流路部233が、吐出口223側の流路断面積A4よりも連通部側の流路断面積A2の方が小さい構成を備えている。このような構成を備えるエアゾール型吐出容器1によれば、バックサクション時に液体にかかる吸引力を大きくすることが可能となるため、バックサクション機能をより一層向上させ、アフタードローをより確実に防止することが可能となる。
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態を例示して説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
以上、本発明の好適な実施形態を例示して説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、エアゾール容器10へのアクチュエータ20の装着を簡易に実現するために連結部材30が設けられるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、マウンテンカップ106の環状突出部106aに嵌合可能な環状溝をアクチュエータ20の基台210に形成することにより、連結部材30を介在させることなく、エアゾール容器10にアクチュエータ20が直接装着される構成としても良い。
また、上述した実施形態では、バックサクション機構240が液吸引室243を備えるものとして説明したが、これに限定されず、液吸引室243を設けずに内部流路230に直接弾性部241を設ける構成としても良い。
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 :エアゾール型吐出容器
10 :エアゾール容器
11 :ハウジング
20 :アクチュエータ
30 :連結部材
100 :容器本体
102 :外郭部
104 :内袋
106 :マウンテンカップ
106a :環状突出部
110 :エアゾールバルブ
111 :ハウジング
111a :連通孔
112 :ステム部
112a :ステム孔
113 :ステム付勢部
114 :ガスケット
210 :基台
211 :下部筒部
212 :内壁部
213 :螺合部
214 :外壁部
215 :上部筒部
216 :連結突起
217 :位置決め部
220 :ノズルヘッド部
221 :押圧部
221a :キャビティ凹部
222 :ノズル部
223 :吐出口
224 :連結壁
225 :連結突起
226 :ステム連結部
226a :篏合凹部
230 :内部流路
231 :容器側流路部
233 :吐出側流路部
240 :バックサクション機構
241 :弾性部
242 :誘導部
243 :液吸引室
244 :吸引口
310 :環状溝
320 :螺合部
330 :貫通孔
340 :スカート部
10 :エアゾール容器
11 :ハウジング
20 :アクチュエータ
30 :連結部材
100 :容器本体
102 :外郭部
104 :内袋
106 :マウンテンカップ
106a :環状突出部
110 :エアゾールバルブ
111 :ハウジング
111a :連通孔
112 :ステム部
112a :ステム孔
113 :ステム付勢部
114 :ガスケット
210 :基台
211 :下部筒部
212 :内壁部
213 :螺合部
214 :外壁部
215 :上部筒部
216 :連結突起
217 :位置決め部
220 :ノズルヘッド部
221 :押圧部
221a :キャビティ凹部
222 :ノズル部
223 :吐出口
224 :連結壁
225 :連結突起
226 :ステム連結部
226a :篏合凹部
230 :内部流路
231 :容器側流路部
233 :吐出側流路部
240 :バックサクション機構
241 :弾性部
242 :誘導部
243 :液吸引室
244 :吸引口
310 :環状溝
320 :螺合部
330 :貫通孔
340 :スカート部
Claims (8)
- 内部に収容された液体をガス圧によって放出可能なエアゾール容器と、
使用者の押圧操作により前記エアゾール容器に対して接近し、前記エアゾール容器から液体を放出させることが可能に構成されたノズルヘッド部と
を備え、
前記ノズルヘッド部は、使用者の押圧操作を受け付ける押圧部と、前記エアゾール容器から放出された液体を流動させる内部流路と、該内部流路内を流動する液体を吐出させる吐出口とを備え、
前記押圧部は、使用者の押圧操作により変形し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能な弾性部を有するバックサクション機構を備える
エアゾール型吐出容器。 - 前記エアゾール容器は、液体を収容する容器本体と、前記容器本体に対して押し込まれた際に液体を放出するステム部と、前記ステム部を前記容器本体から離間する方向に付勢するステム付勢部とを備え、
前記ステム付勢部は、使用者の押圧操作に伴い前記ステム部が前記容器本体に押し込まれる際に圧縮し、かつ、該押圧操作の解除により復元可能に構成されており、
前記弾性部は、前記ステム付勢部の復元完了よりも後に復元が完了するよう構成されている
請求項1に記載のエアゾール型吐出容器。 - 前記バックサクション機構は、前記ノズルヘッド部の前記内部流路に連通する液吸引室を更に備え、
前記弾性部は、復元時に前記液吸引室内に負圧を発生させ、該液吸引室内に前記内部流路内の液体を吸引させるよう構成されている
請求項1又は2に記載のエアゾール型吐出容器。 - 前記ノズルヘッド部の前記内部流路は、前記エアゾール容器の放出口から前記バックサクション機構に至る容器側流路部と、前記バックサクション機構から前記吐出口に至る吐出側流路部とを備え、
前記吐出側流路部は、前記容器側流路部との連通部における流路断面積が、該連通部における前記容器側流路部の流路断面積よりも小さい
請求項1~3のいずれか1項に記載のエアゾール型吐出容器。 - 前記吐出側流路部は、前記吐出口側の流路断面積よりも前記連通部側の流路断面積の方が小さい
請求項4に記載のエアゾール型吐出容器。 - 前記エアゾール容器は、外郭部と、前記外郭部内に設けられた内袋とを備え、
前記内袋内に液体が収容され、前記外郭部と前記内袋との間にガス圧を付与可能な噴射剤が充填されている
請求項1~5のいずれか1項に記載のエアゾール型吐出容器。 - 前記内袋は、噴射剤が透過可能な材質により形成されている
請求項6に記載のエアゾール型吐出容器。 - 前記エアゾール容器は、液体と、該液体にガス圧を付与可能な噴射剤とが収容されている
請求項1~5のいずれか1項に記載のエアゾール型吐出容器。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2021118899A JP2023014754A (ja) | 2021-07-19 | 2021-07-19 | エアゾール型吐出容器 |
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JP2021118899A JP2023014754A (ja) | 2021-07-19 | 2021-07-19 | エアゾール型吐出容器 |
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JP (1) | JP2023014754A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20220371814A1 (en) * | 2019-10-31 | 2022-11-24 | Colgate-Palmolive Company | Container |
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- 2021-07-19 JP JP2021118899A patent/JP2023014754A/ja active Pending
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