JP7425509B2 - 摺動部材 - Google Patents

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Description

本発明はセルロース繊維を含有するポリアミド樹脂を用いた摺動部材に関する。
ギア、ベアリング、カムの軸受け等の摺動部材には、従来、金属材料が利用されてきたが、近年、軽量化の観点より樹脂材料の利用が進んでいる。樹脂材料を摺動部材として用いる場合、二硫化モリブデン、グラファイト、およびフッ素樹脂等の固形潤滑剤や、潤滑オイル、シリコーンオイル等の液体潤滑剤を摺動改善材として配合することが一般的である。また、より高い機械特性(特に曲げ特性)が求められる用途では、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状無機強化材が併用される場合がある。しかしながら、その場合、機械特性(特に曲げ特性)は向上するものの、摺動面から脱落した繊維状無機強化材が研磨材として働き、相手材の摩耗をかえって進行させてしまうという問題があった。
繊維状無機強化材を配合しない樹脂組成物からなる摺動部材としては、特許文献1に、セルロース由来の水酸基が疎水性の置換基で変性された疎水変性セルロース繊維を、熱可塑性樹脂に配合した樹脂組成物からなる摺動性樹脂組成物が開示されている。
特開2017-171698号公報
しかしながら、特許文献1の樹脂組成物は、マトリクス樹脂にセルロース繊維を溶融混練で配合するため、セルロース繊維を十分に分散させることができず、セルロース繊維による補強効果を十分に発揮することができていなかった。例えば、従来の樹脂組成物から製造された摺動部材は、機械特性(特に曲げ特性)も、摺動性も、十分ではなかった。
本発明は、前記の問題点を解決しようとするものであり、従来のポリアミド系摺動部材に比べて、機械特性(特に曲げ特性)のみならず、摺動性にも優れた摺動部材を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂の重合時に特定のセルロース繊維を配合した樹脂組成物を用いることにより上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1) ポリアミド樹脂100質量部に対して、平均繊維径が10μm以下であって、未変性のセルロース繊維またはセルロース由来の水酸基の一部が親水性の置換基で変性されたセルロース繊維を0.1~50質量部含有することを特徴とする摺動部材。
(2) さらに、ポリアミド樹脂100質量部に対して、セルロース繊維以外の他の強度改善材を0.1~50質量部含有することを特徴とする(1)に記載の摺動部材。
(3) 前記強度改善材は、繊維状強化材および粒子状強化材からなる群から選択される1種以上の強化材である、(2)に記載の摺動部材。
(4) さらに、ポリアミド樹脂100質量部に対して、セルロース繊維以外の他の摺動改善材を0.1~50質量部含有することを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の摺動部材。
(5) 前記摺動改善材は、フッ素樹脂、シリコーンオイル、リン酸塩、鉱物油、モンタン酸塩、および二硫化モリブデンからなる群から選択される1種以上の材料である、(4)に記載の摺動部材。
(6) さらに、ポリアミド樹脂100質量部に対して、耐衝撃改善材を0.1~50質量部含有することを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載の摺動部材。
(7) 前記耐衝撃改善材は、ポリオレフィン系重合体、エラストマー、合成ゴム、および天然ゴムからなる群から選択される1種以上の材料である、(6)に記載の摺動部材。
(8) 前記ポリアミド樹脂が2種以上のポリアミド樹脂であることを特徴とする(1)~(7)のいずれかに記載の摺動部材。
(9) 前記セルロース繊維を含有しないこと以外は同一の組成である摺動部材の比摩耗量と対比して、比摩耗量が90%以下であることを特徴とする(1)~(8)のいずれかに記載の摺動部材。
(10) 前記セルロース繊維の含有量が4~30質量部であり、
前記セルロース繊維の平均繊維径が20~100nmであり、
前記ポリアミド樹脂がポリアミド6を含む、(1)~(9)のいずれかに記載の摺動部材。
(11) ポリアミド樹脂の重合時にセルロース繊維を添加することを特徴とする摺動部材の製造方法。
(12) 前記摺動部材が(1)~(10)のいずれかに記載の摺動部材である、(11)に記載の摺動部材の製造方法。
本発明によれば、従来のポリアミド系摺動部材に比べて、機械特性(特に曲げ特性)のみならず摺動性にも優れた摺動部材を提供することができる。
本発明の摺動部材は、ポリアミド樹脂に対して、平均繊維径が10μm以下であるセルロース繊維を含有する。
本発明に用いるポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムまたはジアミンとジカルボン酸とから形成されるアミド結合を有する重合体のことである。
アミノ酸としては、例えば、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸が挙げられる。
ラクタムとしては、例えば、ε-カプロラクタム、ω-ラウロラクタムが挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジンが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジグリコール酸が挙げられる。
本発明で用いるポリアミド樹脂の具体例としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミドTMHT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ポリアミド6T/6I)、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ポリアミド11T(H))が挙げられ、これらの共重合体や混合物であってもよい。中でも、曲げ特性および摺動性のさらなる向上の観点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、およびこれらの共重合体や混合物が好ましい。同観点から、ポリアミド樹脂はポリアミド6を含むことがより好ましく、すなわちポリアミド樹脂はポリアミド6またはポリアミド6を含む混合物であることがより好ましい。摺動性のさらなる向上の観点から、ポリアミド樹脂はポリアミド66またはポリアミド66を含む混合物がより好ましい。
本明細書中、曲げ特性は、曲げ強度および曲げ弾性率が十分に高い特性をいう。
摺動性は、部材を、他の部材と接触させて(特に他の部材上で滑らせて)動かしても、すり減り難い特性をいい、耐摩耗性とも称され得る特性である。
上記ポリアミド樹脂は、後述する重合法で、または、さらに固相重合法を併用して製造される。ポリアミド樹脂の分子量は特に限定されず、例えば、後述のように樹脂組成物が特定の相対粘度を有するような分子量であってよい。
本発明に用いるセルロース繊維としては、例えば、木材、稲、綿、麻、ケナフ等の植物に由来するものの他にバクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース等の生物由来のものも含まれる。また、再生セルロース、セルロース誘導体も含まれる。植物由来のセルロース繊維の市販品として、例えば、ダイセルファインケム社製の「セリッシュ」が挙げられる。
本発明において、セルロース繊維は、強化材としてのみならず、摺動改善材としても働く。機械特性(特に曲げ特性)のみならず摺動性にも優れた摺動部材とするには、セルロース繊維を凝集させることなく、摺動部材中に均一に分散させることが好ましい。そのためには、セルロース繊維とポリアミド樹脂を構成するモノマーとを、ポリアミド樹脂の重合時に均一に混合させなければならない。したがって、用いるセルロース繊維は、ポリアミド樹脂を構成するモノマーとの親和性が高い未変性のセルロース繊維や、セルロース由来の水酸基の一部が親水性の置換基で変性されたセルロース繊維であることが必要である。親水性の置換基としては、例えば、カルボキシル基、カルボキシメチル基、リン酸エステル基等が挙げられる。機械特性(特に曲げ特性)および摺動性のさらなる向上の観点から、未変性のセルロース繊維が好ましい。用いるセルロース繊維が、ポリアミド樹脂を構成するモノマーとの親和性が不良である、セルロース由来の水酸基が疎水性の置換基で変性されたセルロース繊維の場合、当該摺動部材の摩耗量は、セルロース繊維を含有しないこと以外は同一の組成である摺動部材の摩耗量に対して、90%を超えるものとなり、従来品よりも摺動性が向上したとはいえないので好ましくない。
さらに、本発明において、セルロース繊維の平均繊維径はできる限り小さい方が望ましい。セルロース繊維の平均繊維径が小さいほど、マトリクス樹脂中にセルロース繊維が強固にネットワーク構造を形成し、機械特性(特に曲げ特性)が向上する。また、摺動部材として用いる場合、マトリクス樹脂の摩耗に伴いセルロース繊維が摺動界面に露出し、相手材に対する正味の接触面積が低減するため、セルロース繊維の平均繊維径が小さいほど摺動性も向上する。
摺動部材中に含有されるセルロース繊維は、平均繊維径が10μm以下であることが必要であり、機械特性(特に曲げ特性)および摺動性のさらなる向上の観点から、中でも平均繊維径は500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることがさらに好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。平均繊維径が10μmを超えるセルロース繊維では、上述した理由により、摺動部材の機械特性(特に曲げ特性)や摺動性が大きく損なわれてしまう。平均繊維径の下限は特に限定するものではないが、セルロース繊維の生産性を考慮すると3nm以上(特に20nm以上)とすることが好ましい。
摺動部材中のセルロース繊維の平均繊維径を10μm以下とするためには、ポリアミド樹脂に配合するセルロース繊維として、平均繊維径が10μm以下のものを用いることが好ましい。このような平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維としては、セルロース繊維を引き裂くことによってミクロフィブリル化したものが好ましい。ミクロフィブリル化する手段としては、ボールミル、石臼粉砕機、高圧ホモジナイザー、高圧粉砕装置、ミキサー等の各種粉砕装置を用いることができる。セルロース繊維としては、市販されているものとして、例えば、ダイセルファインケム社製の「セリッシュ」を用いることができる。
平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維として、セルロース繊維を用いた繊維製品の製造工程において、屑糸として出されたセルロース繊維の集合体を用いることもできる。繊維製品の製造工程とは紡績時、織布時、不織布製造時、その他、繊維製品の加工時等が挙げられる。これらのセルロース繊維の集合体は、セルロース繊維がこれらの工程を経た後に屑糸となったものであるため、セルロース繊維が微細化したものとなっている。
また、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維として、バクテリアが産出するバクテリアセルロース繊維を用いることもでき、例えば、アセトバクター族の酢酸菌を生産菌として産出されたものを用いることができる。植物のセルロース繊維は、セルロースの分子鎖が収束したもので、非常に細いミクロフィブリルが束になって形成されているものであるのに対し、酢酸菌より産出されたセルロース繊維はもともと幅20~50nmのリボン状であり、植物のセルロース繊維と比較すると極めて細い網目状を形成している。
さらに、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維として、例えば、N-オキシル化合物の存在下にセルロース繊維を酸化させた後に、水洗、物理的解繊工程を経ることにより得られる、微細化されたセルロース繊維を用いてもよい。N-オキシル化合物としては各種あるが、例えば、Cellulose(1998)5,153-164に記載されているような2,2,6,6-Tetramethylpiperidine-1-oxyl radical(以下、「TEMPO」と略称する。)等が好ましい。このような化合物を触媒量の範囲で反応水溶液に添加する。この水溶液に共酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸ナトリウムを加え、臭化アルカリ金属を加えることにより反応を進行させる。水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性の化合物を添加してpHを10付近に保持し、pHの変化が見られなくなるまで反応を継続する。反応温度は室温で構わない。反応後、系内に残存するN-オキシル化合物を除去することが好ましい。洗浄は濾過、遠心分離等、各種方法を採用することができる。その後、上記したような各種粉砕装置を用い、物理的な解繊工程を経ることで微細化されたセルロース繊維を得ることができる。なお、上記方法により得られたセルロース繊維は、セルロース由来の水酸基の一部がカルボキシル基で変性されたセルロース繊維となる。ここで、「変性」とは「置換」を包含する。
摺動部材中のセルロース繊維は、平均繊維径と平均繊維長との比であるアスペクト比((平均繊維長)/(平均繊維径))が10以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、100以上であることがさらに好ましい。アスペクト比が10以上であることにより、得られる樹脂組成物の機械特性(特に曲げ特性)および摺動性が向上しやすくなる。
摺動部材を構成するセルロース繊維の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.1~50質量部であることが必要であり、機械特性(特に曲げ特性)および摺動性のさらなる向上の観点から、0.1~30質量部であることが好ましく、4~30質量部であることがより好ましく、8~25質量部であることがさらに好ましく、10~20質量部であることが最も好ましい。セルロース繊維の含有量がポリアミド樹脂100質量部に対して0.1質量部未満である場合は、十分な機械特性(特に曲げ特性)および摺動性を得ることができない。一方、セルロース繊維の含有量がポリアミド樹脂100質量部に対して50質量部を超える場合は、セルロース繊維を樹脂組成物中に含有させることが困難となり、また溶融樹脂の流動性が悪化するため樹脂組成物の成形性が低下する場合がある。「ポリアミド樹脂100質量部」とは、後述のように2種以上のポリアミド樹脂が含有される場合、「2種以上のポリアミド樹脂の合計量100質量部」のことである。
本発明においては、摺動部材およびこれの製造に用いる樹脂組成物において、さらにセルロース繊維以外の他の強度改善材(以下、単に「他の強度改善材」ということがある)を含有してもよい。前記強度改善材としては、繊維状強化材や粒子状強化材が挙げられる。
繊維状強化材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、アスベスト繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ケナフ繊維、竹繊維、麻繊維、バガス繊維、高強度ポリエチレン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、玄武岩繊維が挙げられる。中でも、機械特性(特に曲げ特性)の向上効果がより高く、ポリアミド樹脂との溶融混練時の加熱温度に耐え得る耐熱性を有し、入手しやすいことから、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維が好ましい。金属繊維としては、例えば、チタン酸カリウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維が挙げられる。
ガラス繊維、炭素繊維を用いる場合、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルシラン系、アクリルシラン系、エポキシシラン系、アミノシラン系が挙げられる。中でも、ポリアミド樹脂との密着効果が高いことから、アミノシラン系カップリング剤が好ましい。
セルロース繊維以外の他の強度改善材(特に繊維状強化材)の繊維長は、機械特性(特に曲げ特性)および摺動性のさらなる向上ならびに成形性の向上の観点から、0.1~7mmであることが好ましく、0.5~6mmであることがより好ましい。また、前記強度改善材の繊維径は、機械特性(特に曲げ特性)および摺動性のさらなる向上、ならびに溶融混練時の破損の防止の観点から、3~20μmであることが好ましく、5~13μmであることがより好ましい。前記強度改善材の断面形状は、円形断面、長方形、楕円、その他の異形断面いずれであってもよいが、中でも、円形断面が好ましい。
繊維状強化材の繊維長は、以下の方法で測定された平均繊維長を用いている。繊維の長さを光学顕微鏡によって観察し、繊維の長さを測定する。そして、この測定を繊維100本について行い、その平均値を繊維強化材の平均繊維長とする。
繊維状強化材の繊維径は、断面形状における最大長の平均値であり、以下の方法で測定された平均繊維径を用いている。繊維の長さ方向に直交する断面を光学顕微鏡によって観察し、繊維の直径を測定する。そして、この測定を繊維100本について行い、その平均値を繊維強化材の平均繊維径とする。
粒子状強化材としては、例えば、タルク、マイカ、層状珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、ケイ酸カルシウム、黒鉛、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイトが挙げられる。中でも、機械特性(特に曲げ特性)および摺動性のさらなる向上、ならびに耐熱性の向上の観点から、タルク、マイカ、層状珪酸塩が好ましい。
粒状強化材の粒子径は、機械特性(特に曲げ特性)および摺動性のさらなる向上の観点から、0.1~100μmであることが好ましく、0.5~80μmであることがより好ましい。
粒状強化材の粒子径は、以下の方法で測定された平均粒子径を用いている。島津製作所製粉体比表面積測定装置SS-100型(恒圧式空気透過法)を用いて粒子1gあたりの比表面積値を求め、JIS M-8511に準じた空気透過法による比表面積の測定結果から、下記式により粒状強化材の平均粒子径を計算する。
平均粒子径=6×10,000/(比重×比重面積)
本発明の摺動部材は、上記した他の強度改善材を含有することにより、耐衝撃性が向上するという効果も得られる。
本明細書中、耐衝撃性とは、シャルピー衝撃値によって評価される特性であって、摺動部材の靭性に関する特性である。耐衝撃性は、本発明の摺動部材が必ずしも有さなければならない特性というわけではなく、有することが好ましい特性である。
他の強度改善材は、機械特性(特に曲げ特性)、摺動性および耐衝撃性のさらなる向上の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカからなる群から選択される1種以上の強度改善材を含むことが好ましい。
摺動部材およびこれの製造に用いる樹脂組成物において、さらにセルロース繊維以外の他の強度改善材を用いる場合、その含有量は、機械特性(特に曲げ特性)、摺動性および耐衝撃性のさらなる向上の観点から、ポリアミド樹脂100質量部に対して0.1~50質量部とすることが好ましく、5~30質量部とすることがより好ましい。セルロース繊維以外の他の強度改善材は2種以上含有されてもよく、その場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
本発明においては、摺動部材およびこれの製造に用いる樹脂組成物において、さらにセルロース繊維以外の他の摺動改善材(以下、単に「他の摺動改善材」ということがある)を含有してもよい。セルロース繊維以外の他の摺動改善材としては、フッ素樹脂、シリコーンオイル、リン酸塩、鉱物油、モンタン酸塩、二硫化モリブデンが挙げられる。
フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン・ポリヘキサフルオロプロピレン共重合体が挙げられる。フッ素樹脂の分子量は特に限定されず、例えば、ASTM D3307-01に準拠して測定したフッ素樹脂のMFR(372℃、5.0kg荷重下)が0.1~100g/10分であることが好ましく、5~50g/10分であることがより好ましく、10~50g/10分であることが更に好ましい。
シリコーンオイルとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、アルコール変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシ変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。シリコーンオイルの分子量は特に限定されず、例えば、ASTM D445-46Tによるウベローデ粘度計により測定したシリコーンオイルの動粘度(25℃)が0.1~1,000,000mm/sであることが好ましく、0.5~100,000mm/sであることがより好ましい。
リン酸塩としては、例えば、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸バリウム、リン酸リチウム、メタリン酸カルシウム、ピロリン酸亜鉛が挙げられる。
鉱物油としては、例えば、スピンドル油、タービン油、マシン油、ダイナモ油が挙げられる。
モンタン酸塩としては、例えば、モンタン酸カルシウムが挙げられる。
本発明の摺動部材は、上記した他の摺動改善材を含有することにより、耐衝撃性が向上するという効果も得られる。
他の摺動改善材は、機械特性(特に曲げ特性)、摺動性および耐衝撃性のさらなる向上の観点から、フッ素樹脂(特にポリテトラフルオロエチレン)を含むことが好ましい。
摺動部材およびこれの製造に用いる樹脂組成物において、さらにセルロース繊維以外の他の摺動改善材を用いる場合、その含有量は、機械特性(特に曲げ特性、摺動性および耐衝撃性のさらなる向上の観点から、ポリアミド樹脂100質量部に対して0.1~50質量部とすることが好ましく、5~30質量部とすることがより好ましい。セルロース繊維以外の他の摺動改善材は2種以上含有されてもよく、その場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
摺動部材には、機械特性(特に曲げ特性)や摺動性のほかに耐衝撃性が求められることがある。しかしながら、ポリアミド樹脂にセルロース繊維を配合した樹脂組成物を用いた場合、耐衝撃性が低下する場合がある。摺動部材およびこれの製造に用いる樹脂組成物において、さらに耐衝撃改善材を含有してもよい。耐衝撃改善材としては、例えば、ポリオレフィン系重合体、エラストマー、合成ゴム、および天然ゴムが挙げられる。
ポリオレフィン系重合体は、少なくともオレフィンをモノマー成分として含有する重合体である。ポリオレフィン系重合体は酸変性されていてもよい。ポリオレフィン系重合体は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキル、ジエン等の他のモノマーをモノマー成分として含有してもよい。オレフィンは、1分子中に1つの二重結合を有する不飽和炭化水素であり、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセンおよびこれらの組み合わせ等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2-クロロエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等が挙げられる。ジエンとして、例えば、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペンル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等が挙げられる。酸変性する官能基としては、例えば、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸金属塩基、カルボン酸イミド基、カルボン酸アミド基、エポキシ基が挙げられ、中でも、カルボン酸無水物基が好ましく、無水マレイン酸基がより好ましい。
ポリオレフィン系重合体の具体例としては、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-オクテン共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、アイオノマー重合体、酸変性エチレン-プロピレン共重合体、酸変性エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、酸変性エチレン-ブテン共重合体、酸変性エチレン-オクテン共重合体、酸変性エチレン-アクリル酸エチル共重合体、酸変性エチレン-アクリル酸メチル共重合体、酸変性エチレン-メタクリル酸メチル共重合体)が挙げられる。
アイオノマー重合体とは、オレフィンとα,β-不飽和カルボン酸との共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部が金属イオンの中和によりイオン化されたものである。アイオノマー重合体を構成するオレフィンとしては、上記したポリオレフィン系重合体を構成し得るオレフィンと同様の化合物が挙げられる。アイオノマー重合体を構成するα,β-不飽和カルボン酸としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等が挙げられる。アイオノマー重合体を構成する金属イオンとして、例えば、アルカリ金属イオン(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属イオン(例えば、Mg2+、Ca2+)、Zn2+が挙げられる。
ポリオレフィン系重合体が酸変性されている場合、酸変性する官能基としては、例えば、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸金属塩基、カルボン酸イミド基、カルボン酸アミド基、エポキシ基が挙げられ、中でも、カルボン酸無水物基が好ましく、無水マレイン酸基がより好ましい。酸変性は、上記のような酸変性する官能基を有する酸変性モノマー成分を共重合させることにより達成することができる。酸変性されたポリオレフィン系重合体を構成する酸変性モノマー成分の含有量は、特に限定されず、例えば、JIS K0070に準拠して測定した酸変性ポリオレフィン系重合体の酸価が0.1~200mgKOH/gであることが好ましく、1~100mgKOH/gであることがより好ましい。なお、酸価とは、酸変性ポリオレフィン系重合体1gを中和するのに必要なKOHのmg数として定義される。
ポリオレフィン系重合体の分子量は特に限定されず、例えば、ASTM D3307-01に準拠して測定したポリオレフィン系重合体のMFR(190℃、2.16kg荷重下)が0.01~30g/10分、であることが好ましく、0.1~10g/10分であることがより好ましい。ポリオレフィン系重合体はフッ素原子を含有しない
エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが挙げられる。エラストマーの分子量は特に限定されず、例えば、重量平均分子量が10,000~500,000であることが好ましく、35,000~500,000であることがより好ましく、35,000~300,000であることが特に好ましい。なお、重量平均分子量はGPC法(標準ポリスチレン換算)により測定される。
合成ゴムとしては、例えば、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム 、ポリエーテルゴム、エピクロルヒドリンゴムが挙げられる。合成ゴムの分子量は特に限定されず、例えば、重量平均分子量が10,000~900,000であることが好ましく、20,000~500,000であることがより好ましく、50,000~200,000であることがより好ましい。なお、重量平均分子量はGPC法(標準ポリスチレン換算)により測定される。
天然ゴムとしては、例えば、天然ゴムラテックス、技術的格付けゴム(TSR)、スモークドシート(RSS)、ガタパーチャ、杜仲由来天然ゴム、グアユール由来天然ゴム、ロシアンタンポポ由来天然ゴムなどが挙げられ、さらにこれら天然ゴムを変性した、エポキシ化天然ゴム、メタクリル酸変性天然ゴム、スチレン変性天然ゴムなどの変性天然ゴムなども、本発明の天然ゴムに含まれる。天然ゴムの分子量は特に限定されず、例えば、重量平均分子量が10,000~700,000であることが好ましく、50,000~500,000であることがより好ましい。なお、重量平均分子量はGPC法(標準ポリスチレン換算)により測定される。
耐衝撃改善材は、機械特性(特に曲げ特性)、摺動性および耐衝撃性のさらなる向上の観点から、ポリオレフィン系重合体(特に酸変性ポリオレフィン系重合体および/またはアイオノマー)を含むことが好ましい。
摺動部材およびこれの製造に用いる樹脂組成物において、さらに耐衝撃改善材を用いる場合、その含有量は、機械特性(特に曲げ特性)、摺動性および耐衝撃性のさらなる向上の観点から、ポリアミド樹脂100質量部に対して0.1~50質量部とすることが好ましく、5~20質量部とすることがより好ましい。耐衝撃改善材は2種以上含有されてもよく、その場合、それらの合計量が上記範囲内であればよい。
本発明の摺動部材は、機械特性(特に曲げ特性)、摺動性および耐衝撃性のさらなる向上の観点から、上記した添加剤(すなわち、他の強度改善材、他の摺動改善材および耐衝撃改善材)のうち、少なくとも耐衝撃改善材を含有するか、または他の強度改善材と他の摺動改善材とを組み合わせて含有することが好ましい。少なくとも耐衝撃改善材を含有する態様には、上記した添加剤のうち耐衝撃改善材を単独で含有する態様、および耐衝撃改善材と他の強度改善材および/または他の摺動改善材とを組み合わせて含有する態様が包含される。
摺動部材には低吸水性(例えば耐吸水性)が求められることがある。しかしながら、マトリクス樹脂がポリアミド6樹脂である樹脂組成物を用いた場合、吸水率が高いという問題がある。本発明の摺動部材に低吸水性が求められる場合、摺動部材およびこれの製造に用いる樹脂組成物において、さらにポリアミド6樹脂よりも低吸水性のポリアミド樹脂を含有してもよい。ポリアミド6樹脂よりも低吸水性のポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6T、ポリアミド10Tおよびこれらの共重合体や混合物が挙げられる。
本発明の摺動部材は、2種類以上のポリアミド樹脂を含有することにより、耐衝撃性が向上するという効果も得られる。2種類以上のポリアミド樹脂とは、モノマー組成が異なる2種類以上のポリアミド樹脂という意味である。本発明の摺動部材は、機械特性(特に曲げ特性)、摺動性および耐衝撃性のさらなる向上の観点から、ポリアミド6と、ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体およびポリアミド6/66/12共重合体からなる群から選択される1種以上のポリアミドとを含む2種類以上のポリアミド樹脂を含有することが好ましい。例えば、ポリアミド6/66共重合体はポリアミド6の構成モノマーとポリアミド66の構成モノマーとの共重合体という意味である。
摺動部材およびこれの製造に用いる樹脂組成物において、さらにポリアミド樹脂を用いる場合、その含有量は、重合時に用いるポリアミド樹脂100質量部に対して0.1~50質量部とすることが好ましく、5~20質量部とすることがより好ましい。摺動部材が、特に、ポリアミド6と、ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体およびポリアミド6/66/12共重合体からなる群から選択される1種以上の他のポリアミドとを組み合わせて含む場合、ポリアミド6/他のポリアミドの比率は、機械特性(特に曲げ特性)、摺動性および耐衝撃性のさらなる向上の観点から、質量比で、95/5~60/40、特に90/10~80/20であることが好ましい。
[摺動部材の製造方法]
本発明の摺動部材は、ポリアミド樹脂の重合時にセルロース繊維を添加して樹脂組成物を得た後、得られた樹脂組成物を用いて成形することにより製造することができる。詳しくは、まず、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し重合反応をおこなうことにより、セルロース繊維を含有する樹脂組成物を製造する。樹脂組成物は、いわゆるペレットの形態を有していてもよい。なお、重合反応時に、後述する樹脂組成物中に添加することができる添加剤を加えた場合は、樹脂組成物は該添加剤も含むものをいう。ポリアミドの重合時とは、ポリアミド樹脂を構成するモノマーを用いた重合時だけでなく、ポリアミドを構成し得るプレポリマーを用いた重合時も包含する。
本発明の摺動部材が、セルロース繊維以外の他の強度改善材、セルロース繊維以外の他の摺動改善材、および耐衝撃改善材等の添加剤を含有する場合には、これらの添加剤は、それぞれ独立して、ポリアミド樹脂の重合時に配合してもよいし、または重合後の樹脂組成物に対して溶融混練時等に配合してもよい。耐衝撃性のさらなる向上の観点から、これらの添加剤は、重合後の樹脂組成物に対して溶融混練時等に配合することが好ましい。溶融混練時の配合は、押出機の主ホッパーへの供給により達成されてもよいし、または押出機のサイドフィーダーへの供給により達成されてもよい。耐衝撃性のさらなる向上の観点から、強度改善材はサイドフィーダーに供給し、摺動改善材および耐衝撃改善材は主ホッパーに供給することが好ましい。本発明の摺動部材が2種類以上のポリアミド樹脂を含有する場合、1種類のポリアミド樹脂の重合時にセルロース繊維を添加して樹脂組成物を得ればよく、残りのポリアミド樹脂は通常、当該樹脂組成物に対して溶融混練時等に配合される。
セルロース繊維は水との親和性が非常に高く、平均繊維径が小さいほど水に対して良好な分散状態を保つことができる。また、水を失うと水素結合により強固にセルロース繊維同士が凝集し、一旦凝集すると凝集前と同様の分散状態をとることが困難となる。特にセルロース繊維の平均繊維径が小さくなるほどこの傾向は顕著となる。したがって、セルロース繊維は水を含んだ状態でポリアミド樹脂に配合することが好ましい。そこで、本発明においては、水を含んだ状態のセルロース繊維の存在下に、ポリアミド樹脂を構成するモノマーの重合反応をおこなうことにより、セルロース繊維を含有する樹脂組成物を得る方法を採ることが好ましい。このような製造法により、ポリアミド樹脂中にセルロース繊維を凝集させずに均一に分散させることが可能となる。
セルロース繊維の水分散液は、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を水に分散させたものであり、水分散液中におけるセルロース繊維の含有量は0.01~50質量部とすることが好ましい。セルロース繊維の水分散液は、精製水とセルロース繊維とをミキサー等で撹拌することにより得ることができる。そして、セルロース繊維の水分散液とポリアミド樹脂を構成するモノマーとを混合しミキサー等で撹拌することにより、均一な分散液とする。その後、分散液を加熱し、150~270℃まで昇温させて撹拌することにより重合反応させる。このとき、分散液を加熱する際に徐々に水蒸気を排出することにより、セルロース繊維の水分散液中の水分を排出することができる。なお、上記ポリアミド樹脂の重合時においては、必要に応じてリン酸や亜リン酸等の触媒を添加してもよい。そして、重合反応終了後は、得られた樹脂組成物を払い出した後、切断してペレットとすることが好ましい。
セルロース繊維としてバクテリアセルロースを用いる場合においては、セルロース繊維の水分散液として、バクテリアセルロースを精製水に浸して溶媒置換したものを用いてもよい。バクテリアセルロースの溶媒置換したものを用いる際には、溶媒置換後、所定の濃度に調整したものを、ポリアミド樹脂を構成するモノマーに混合し、上記と同様に重合反応を進行させることが好ましい。
上記方法においては、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を水分散液のまま重合反応に供することになるため、セルロース繊維を分散性が良好な状態で重合反応に供することができる。さらに、重合反応に供されたセルロース繊維は、重合反応中のモノマーや水との相互作用により、また上記のような温度条件で撹拌することにより、分散性が向上し、繊維同士が凝集することがなく、平均繊維径が小さいセルロース繊維が良好に分散した樹脂組成物を得ることが可能となる。なお、上記方法によれば、重合反応前に添加したセルロース繊維よりも、重合反応終了後に樹脂組成物中に含有されているセルロース繊維の方が、平均繊維径が小さくなることがある。
さらに上記方法においては、セルロース繊維を乾燥させる工程が不要となり、微細なセルロース繊維の飛散が生じる工程を経ずに製造が可能であるため、操業性よく樹脂組成物を得ることが可能となる。またモノマーとセルロース繊維を均一に分散させる目的として水を有機溶媒に置換する必要がないため、ハンドリングに優れるとともに製造工程中において化学物質の排出を抑制することが可能となる。
本発明に用いる樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、上記した添加剤以外の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤は、ポリアミド樹脂の重合時に配合してもよいし、重合後のポリアミド樹脂に対して溶融混練時等に配合してもよい。他の添加剤としては、例えば、ポリアミド樹脂とは異なる他の重合体、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃剤、難燃剤、相溶化剤、結晶核剤が挙げられる。
本発明に用いる樹脂組成物の相対粘度は、摺動部材の機械特性(特に曲げ特性)のさらなる向上および樹脂組成物の流動性および成形性の向上の観点から、溶媒として96%硫酸を用いて、温度25℃、濃度1g/100mLで測定した場合において、1.5~5.0であることが好ましく、1.7~4.0であることがより好ましい。
本発明の摺動部材は、樹脂組成物を公知の成形方法により成形することで得ることができる。公知の成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法が挙げられる。中でも、射出成形法を好ましく用いることができる。射出成形機としては、特に限定されないが、例えば、スクリューインライン式射出成形機、プランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融された樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。射出成形時の樹脂温度は、得られる樹脂組成物の融点以上とすることが好ましく、(融点+100℃)未満とすることが好ましい。なお、樹脂組成物の加熱溶融時には、用いる樹脂組成物は十分に乾燥されたものを用いることが好ましい。含有する水分量が多いと、射出成形機のシリンダー内で樹脂が発泡し、最適な成形体を得ることが困難となることがある。射出成形に用いる樹脂組成物の水分率は、0.3質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましい。
本発明の摺動部材は、機械特性(特に曲げ特性)のみならず摺動性にも優れていることから、電気用品、事務機・動力機器の軸受け、各種ギア、カム、ベアリング、メカニカルシールの端面材、バルブの弁座、Vリング、ロッドパッキン、ピストンリング、圧縮機の回転軸・回転スリーブ、ピストン、インペラー、ベーン、ローター等として用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、摺動部材の評価は以下の方法によりおこなった。
A.評価方法
(1)摺動部材中のセルロース繊維の平均繊維径
凍結ウルトラミクロトームを用いて射出成形片から厚さ100nmの切片を採取し、切片染色を実施後、透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM-1230)を用いて観察をおこなった。電子顕微鏡画像からセルロース繊維(単繊維)の長手方向に対する垂直方向の長さを測定した。このとき、垂直方向の長さのうち最大のものを繊維径とした。同様にして、任意の10本のセルロース繊維(単繊維)の繊維径を測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維径とした。
なお、セルロース繊維の繊維径が大きいものについては、ミクロトームにて厚さ10μmの切片を切り出したものか、摺動部材をそのままの状態で、実体顕微鏡(OLYMPUS社製 SZ-40)を用いて観察をおこない、得られた画像から上記と同様にして繊維径を測定し、平均繊維径を求めた。
(2)相対粘度
樹脂組成物を、96%硫酸に、セルロースを除去後のポリアミドの濃度が1g/dLになるように溶解し、ウベローデ型粘度計を用いて、25℃で測定した。
(3)曲げ特性(曲げ強度および曲げ弾性率)
十分に乾燥した樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業社製 NEX110-12E)を用いて射出成形し、ISO規格3167に記載の多目的試験片A型を得た。
得られた多目的試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を、ISO178準拠の3点支持曲げ法(支点間距離:64mm、試験速度:2mm/分、試験雰囲気:23℃、50%RH、絶乾状態)にて測定した。
実用的には、セルロース繊維を含有しなかったこと以外は同一の組成である試験片に対して、曲げ強度および曲げ弾性率ともに110%以上(△)であることが必要で、120%以上(○)であることが好ましく、150%以上(◎)であることがより好ましい。
(4)摺動性(比摩耗量)
十分に乾燥した樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業社製 NEX110-12E)を用いて射出成形し、外径25.6mm、内径20mm、厚み15mmの円筒形の成形片を得た。
得られた成形片を用いて、JIS K7218 A法に従って、鈴木式摩擦摩耗試験機(東洋ボールドウィン社製EFM-III-E型)を用いて試験をおこない(相手材:S45C鋼、荷重:20N、摩擦距離:3km)、試験前後の質量の差から比摩耗量を求めた。
実用的には、セルロース繊維を含有しなかったこと以外は同一の組成である成形片に対して、比摩耗量が90%以下(△)であることが必要で、65%以下(○)であることが好ましく、20%以下(◎)であることがより好ましい。
(5)曲げ特性と摺動性との総合評価
曲げ特性および摺動性の全ての評価結果について、総合的に評価した。
◎:曲げ特性および摺動性の全ての評価結果が◎であった。
○:曲げ特性および摺動性の全ての評価結果のうち最低の評価結果が○であった。
△:曲げ特性および摺動性の全ての評価結果のうち最低の評価結果が△であった。
×:曲げ特性および摺動性の全ての評価結果のうち最低の評価結果が×であった。
(6)シャルピー衝撃値(耐衝撃性)
(3)で作製した多目的試験片A型に1カ所ノッチ加工をおこなった。得られたノッチ加工した試験片について、JIS K 7111-1に従って、衝撃強度を測定した。
本発明において、耐衝撃性は、本発明の摺動部材が必ずしも有さなければならない特性というわけではなく、有することが好ましい特性である。
実施例2の組成の試験片(2.3kJ/m)に対して、衝撃強度が110%以上(○)であることが好ましく、140%以上(◎)であることがより好ましく、230%以上(◎◎)であることがさらに好ましい。
B.原料
(1)ポリアミド樹脂モノマー成分
・ε-カプロラクタム:宇部興産社製
(2)セルロース繊維
・KY100G:ダイセルファインケム社製 セリッシュKY100G、平均繊維径が125nmの未変性のセルロース繊維が10質量%含有されたもの。
・KY100S:ダイセルファインケム社製 セリッシュKY100S、平均繊維径が140nmの未変性のセルロース繊維が25質量%含有されたもの。
・バクテリアセルロース繊維(未変性のセルロース繊維):
0.5質量%グルコース、0.5質量%ポリペプトン、0.5質量%酵母エキス、0.1質量%硫酸マグネシウム7水和物からなる組成の培地50mLを、200mL容三角フラスコに分注し、オートクレーブで120℃、20分間蒸気滅菌した。これに試験管斜面寒天培地で生育させたGluconacetobacter xylinus(NBRC 16670)を1白金耳接種し、30℃で7日間静置培養した。7日後、培養液の上層に白色のゲル膜状のバクテリアセルロース繊維が生成した。
得られたバクテリアセルロース繊維をミキサーで破砕後、水で浸漬、洗浄を繰り返すことにより、水置換をおこない、平均繊維径が60nmのバクテリアセルロース繊維が4.1質量%含有された水分散液を調製した。
・屑糸(未変性のセルロース繊維):
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで撹拌し、平均繊維径が3240nmの未変性のセルロース繊維が6質量%含有された水分散液を調製した。
・TEMPO触媒酸化セルロース繊維(セルロース由来の水酸基の一部が親水性の置換基で変性されたセルロース繊維):
漂白後の針葉樹由来の未叩解クラフトパルプ(白色度85%)500g(絶乾)を、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル)780mgおよび臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mLに添加し、パルプが均一に分散するまで撹拌した。そこに次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように加えることで酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するため、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターにより濾過してパルプを分離し、十分に水洗することで酸化されたパルプを得た。上記の工程で得られた酸化パルプを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3回処理して、平均繊維径が10nmのTEMPO触媒酸化セルロース繊維が1.0質量%含有された水分散液を調製した。
なお、TEMPO触媒酸化セルロース繊維をH-NMR、13C-NMR、FT-IR、中和滴定で分析したところ、セルロース由来の水酸基の一部がカルボキシル基で置換されていることが確認できた。
・エーテル変性セルロース繊維(セルロース由来の水酸基の一部が疎水性の置換基で変性されたセルロース繊維):
針葉樹漂白クラフトパルプ(王子製紙社製、固形分25%)600gに水19.94kg添加し、固形分濃度が0.75質量%の水懸濁液を調製した。得られたスラリーの機械的解繊処理をビーズミル(アイメックス社製 NVM-2)を用いておこない、セルロース繊維を得た(ジルコニアビーズ直径1mm、ビーズ充填量70%、回転数2000rpm、処理回数2回)。遠心分離管一本あたりに、得られたセルロース繊維水分散液100gを入れ、遠心分離(7000rpm、20分)をおこない、上澄み液を除去し、沈殿物を取り出した。遠心分離管一本あたりに、アセトン100gを加えて、よく撹拌し、アセトン中に分散させ、遠心分離をおこない、上澄み液を除去し、沈殿物を取り出した。上記の操作をさらに二回繰り返し、固形分5質量%のセルロース繊維アセトンスラリーを得た。
撹拌羽根を備えた四つ口1Lフラスコに、得られたセルロース繊維アセトンスラリーをセルロース繊維の固形分が5gになるように投入した。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を500mL、トルエンを250mL加え、撹拌しながらセルロース繊維をNMP/トルエン中に分散させた。冷却器を取り付け、窒素雰囲気下、分散液を150℃に加熱し、分散液中に含まれるアセトン、水分をトルエンとともに留去した。その後分散液を40℃まで冷却し、ピリジン15mL、ヘキサメチルジシラザン(シリルエーテル化剤)25gを添加して窒素雰囲気下90分反応させ、エーテル変性セルロース繊維のNMP分散液を調製した。
得られたエーテル変性セルロース繊維のNMP分散液を遠心分離機によりセルロース繊維を沈殿させ水置換した。これを3回繰り返し、水で調製し、平均繊維径が100nmのエーテル変性セルロース繊維が1.0質量%含有された水分散液を調製した。
なお、エーテル変性セルロース繊維をH-NMR、13C-NMR、FT-IRで分析したところ、セルロース由来の水酸基の一部が疎水性のシリルエーテル基で置換されていることが確認できた。
(3)セルロース繊維以外の他の強度改善材
・GF:ガラス繊維、日本電気硝子社製 ECS03T-262H、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm
・CF:炭素繊維、東邦テナックス社製 HTA-C6-NR、平均繊維径7μm、平均繊維長6mm
・Tc:タルク、竹原化学工業社製 ハイミクロンタルクHE5、平均粒子径1.6μm
・Mc:マイカ、レプコ社製 S-200HG、平均粒子径55μm
(4)セルロース繊維以外の他の摺動改善材
・PTFE:ポリテトラフルオロエチレン、ダイキン工業社製 ルブロンL-5、粒子径5μm
(5)耐衝撃改善材
・ポリオレフィン系重合体(酸変性ポリオレフィン系重合体):三井化学社製 タフマーMH-5020、無水マレイン酸変性エチレン-ブテン共重合体
・ポリオレフィン系重合体(アイオノマー重合体):三井・デュポンポリケミカル社製 ハイミラン1706
(6)重合を行ったポリアミド樹脂とは異なる他のポリアミド樹脂(すなわち、混練時に添加されたポリアミド樹脂)
・PA66:ポリアミド66、ASCEND社製 VYDYNE 50BWFS
・PA12:ポリアミド12、宇部興産社製 3024U
・PA6/66:ポリアミド6/66共重合体、宇部興産社製 5023
・PA6/12:ポリアミド6/12共重合体、宇部興産社製 7034
・PA6/66/12:ポリアミド6/66/12共重合体、宇部興産社製 6434
実施例1
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100Gを用いて、これに精製水を加えてミキサーで撹拌し、セルロース繊維の含有量が3質量%の水分散液を調製した。
このセルロース繊維の水分散液100質量部と、ε-カプロラクタム100質量部とを、均一な分散液となるまでさらにミキサーで撹拌、混合した。続いて、この混合分散液を重合装置に投入後、撹拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0MPaから0.5MPaの圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応をおこなった。重合が終了した時点で樹脂組成物をストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを95℃の熱水で精練した後、乾燥して、乾燥した樹脂組成物のペレットを得た。
実施例2~4
セルロース繊維の含有量が表1に示す値になるように、セリッシュKY100Gの配合量を変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこない、乾燥した樹脂組成物のペレットを得た。
実施例5~8、比較例20
表1のように、セルロース繊維の分散液を変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこない、乾燥した樹脂組成物のペレットを得た。
実施例9
実施例1で得られたセルロース繊維の含有量が3質量%の水分散液100質量部と、ポリアミド66塩(プレポリマー)100質量部とを、均一な溶液となるまでミキサーで撹拌、混合した。続いて、この混合溶液を230℃で撹拌しながら、内圧が1.5MPaになるまで加熱した。その圧力に到達後、徐々に水蒸気を放出しつつ、加熱を続けてその圧力を保持した。280℃に達した時点で、常圧まで放圧し、さらに1時間重合をおこなった。重合が終了した時点で樹脂組成物をストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを95℃の熱水で精練した後、乾燥して、乾燥した樹脂組成物のペレットを得た。
実施例10~13
二軸押出機(東芝機械社製TEM26SS、スクリュー径26mm)の主ホッパーに実施例2で得られた樹脂105質量部を供給し、途中、サイドフィーダーより表1に記載の強度改善材18質量部を供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
実施例14
実施例2で得られた樹脂105質量部およびPTFE 13質量部をドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
実施例15、16
実施例2で得られた樹脂105質量部および表1に記載の耐衝撃改善材を表1に記載の配合量でドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
実施例17、18
実施例2で得られた樹脂105質量部および表1に記載の耐衝撃改善材を表1に記載の配合量でドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給し、途中、サイドフィーダーより表1に記載の強度改善材18質量部を供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
実施例19
実施例2で得られた樹脂105質量部およびPTFE 13質量部をドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。途中、サイドフィーダーよりガラス繊維18質量部を供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
実施例20
実施例2で得られた樹脂105質量部、PTFE 13質量部、およびタフマー8質量部をドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
実施例21~25
実施例2で得られた樹脂89.25質量部および、表1に記載のポリアミド樹脂15質量部をドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
比較例1
ε-カプロラクタムを重合装置に投入後、撹拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0MPaから0.5MPaの圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応をおこなった。重合が終了した時点で樹脂をストランド状に払い出し、切断して、ポリアミド6樹脂(PA6樹脂)のペレットを得た。
得られたペレットを95℃の熱水で精練した後、乾燥して、乾燥したPA6樹脂のペレットを得た。
比較例2
ポリアミド66塩を230℃で撹拌しながら、内圧が1.5MPaになるまで加熱した。その圧力に到達後、徐々に水蒸気を放出しつつ、加熱を続けてその圧力を保持した。280℃に達した時点で、常圧まで放圧し、さらに1時間重合をおこなった。重合が終了した時点で樹脂をストランド状に払い出し、切断して、ポリアミド66樹脂のペレットを得た。
得られたペレットを95℃の熱水で精練した後、乾燥して、乾燥したポリアミド66樹脂のペレットを得た。
比較例3~6
比較例1で得られた乾燥したPA6樹脂100質量部を二軸押出機の主ホッパーに供給し、途中、サイドフィーダーより表1に記載の強度改善材18質量部を供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
比較例7
比較例1で得られた乾燥したPA6樹脂100質量部およびPTFE 13質量部をドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
比較例8、9
比較例1で得られた乾燥したPA6樹脂100質量部および表1に記載の耐衝撃改善材を表1に記載の配合量でドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
比較例10、11
比較例1で得られた乾燥したPA6樹脂100質量部および表1に記載の耐衝撃改善材を表1に記載の配合量でドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。途中、サイドフィーダーより表1に記載の強度改善材18質量部を供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
比較例12
比較例1で得られた乾燥したPA6樹脂100質量部およびPTFE 13質量部をドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。途中、サイドフィーダーよりガラス繊維18質量部を供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
比較例13
比較例1で得られた乾燥したPA6樹脂100質量部、PTFE 13質量部、およびタフマー8質量部をドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
比較例14~18
比較例2で得られた樹脂85質量部および、表1に記載のポリアミド樹脂15質量部をドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
比較例19
セリッシュKY100Gの水分散液を、棚式凍結乾燥機として東京理化器械製FD550を使用して-45℃にて凍結乾燥し、粉砕機を用いて粉末状にした。
得られたセルロース繊維の粉末3質量部と比較例1で得られた乾燥したPA6樹脂100質量部をドライブレンドし、二軸押出機の主ホッパーに供給した。260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得た。
比較例21~24
セルロース繊維の水分散液を以下の種類に変更したこと以外、比較例19と同様の方法により、樹脂組成物のペレットを得た。
・比較例21:セリッシュKY100S
・比較例22:バクテリアセルロース繊維
・比較例23:屑糸
・比較例24:TEMPO触媒酸化セルロース繊維
比較例25
得られた樹脂組成物ペレットを二軸押出機の主ホッパーに供給して260℃で十分に溶融混練し、ストランド状に払い出し、切断して、樹脂組成物のペレットを得る作業を10回繰り返したこと以外、比較例19と同様の方法により、樹脂組成物のペレットを得た。
表1~表3に、用いる樹脂組成物の樹脂組成および摺動部材の評価結果を示す。
実施例1~8および9は、ポリアミド樹脂に、セルロース繊維を重合時に配合した樹脂組成物を用いたため、摺動部材中のセルロース繊維の平均繊維径は所定の範囲内となった。このため、実施例1~8および9では、それぞれ、比較例1および2と対比して、曲げ強度比および曲げ弾性率比が110%以上と高く、比摩耗量比が90%以下と低かった。
また、実施例10~25においても、ポリアミド樹脂に、セルロース繊維を重合時に配合した樹脂組成物を用いたため、摺動部材中のセルロース繊維の平均繊維径は所定の範囲内となった。このため、実施例10~25では、それぞれ、比較例3~18と対比して、曲げ強度比および曲げ弾性率比が110%以上と高く、比摩耗量比が90%以下と低かった。このとき、実施例10~25では、セルロース繊維とともに、強度改善材、摺動改善材、耐衝撃改善材および/または重合に用いたものとは異なる他のポリアミド樹脂を配合したため、実施例2と対比して、シャルピー衝撃強度比が改善されていた。
比較例19、21~24および25は、ポリアミド樹脂に、セルロース繊維を溶融混練により配合した樹脂組成物を用いたため、摺動部材中のセルロース繊維の平均繊維径が大きくなり、比較例1と対比して、曲げ強度比が110%未満と低く、比摩耗量比も90%超と高かった。
比較例20は、ポリアミド樹脂に、エーテル変性セルロース繊維を配合した樹脂組成物を用いたため、摺動部材中のセルロース繊維の平均繊維径が大きくなり、比較例1と対比して、曲げ強度比が107%と低く、比摩耗量比も105%と高かった。
Figure 0007425509000001

Figure 0007425509000002
本発明の摺動部材は、従来、金属材料が利用されてきた部材(例えば、ギア、ベアリング、カムの軸受け等)として有用である。

Claims (12)

  1. ポリアミド樹脂100質量部に対して、平均繊維径が500nm以下であって、未変性のセルロース繊維またはセルロース由来の水酸基の一部が親水性の置換基で変性されたセルロース繊維を0.1~50質量部含有し、
    さらに、ポリアミド樹脂100質量部に対して、耐衝撃改善材を0.1~50質量部含有する樹脂組成物であって、
    前記耐衝撃改善材は、ポリオレフィン系重合体からなる群から選択される1種以上の材料であり、
    前記ポリオレフィン系重合体は、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-オクテン共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、アイオノマー重合体、酸変性エチレン-プロピレン共重合体、酸変性エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、酸変性エチレン-ブテン共重合体、酸変性エチレン-オクテン共重合体、酸変性エチレン-アクリル酸エチル共重合体、酸変性エチレン-アクリル酸メチル共重合体、および酸変性エチレン-メタクリル酸メチル共重合体から選択され
    前記アイオノマー重合体は、オレフィンとα,β-不飽和カルボン酸との共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部が金属イオンの中和によりイオン化されたものである、樹脂組成物。
  2. さらに、ポリアミド樹脂100質量部に対して、セルロース繊維以外の他の強度改善材を0.1~50質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記強度改善材は、繊維状強化材および粒子状強化材からなる群から選択される1種以上の強化材である、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. さらに、ポリアミド樹脂100質量部に対して、セルロース繊維以外の他の摺動改善材を0.1~50質量部含有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記摺動改善材は、フッ素樹脂、シリコーンオイル、リン酸塩、鉱物油、モンタン酸塩、および二硫化モリブデンからなる群から選択される1種以上の材料である、請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ポリアミド樹脂が2種以上のポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記樹脂組成物を含む摺動部材の比摩耗量が、前記セルロース繊維を含有しないこと以外は同一の組成である樹脂組成物を含む摺動部材の比摩耗量と対比して、90%以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記セルロース繊維の含有量が4~30質量部であり、
    前記セルロース繊維の平均繊維径が20~100nmであり、
    前記ポリアミド樹脂がポリアミド6を含む、請求項1~7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 前記樹脂組成物は摺動部材を製造するための樹脂組成物である、請求項1~8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. ポリアミド樹脂の重合時にセルロース繊維を添加することを特徴とする樹脂組成物の製造方法であって、
    前記樹脂組成物は請求項1~9のいずれかに記載の樹脂組成物である、樹脂組成物の製造方法。
  11. 請求項1~9のいずれかに記載の樹脂組成物を含む摺動部材。
  12. ポリアミド樹脂の重合時にセルロース繊維を添加することを特徴とする摺動部材の製造方法であって、
    前記摺動部材は請求項1~9のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、摺動部材の製造方法。
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