JP2017031246A - 発泡成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリアミド樹脂とセルロース繊維を含有する樹脂組成物からなる発泡成形体であって、大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に有し、耐衝撃性に優れた発泡成形体を提供する。【解決手段】ポリアミド樹脂100質量部に対して、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を0.1〜10質量部含有する樹脂組成物から構成され、平均セル径が10〜300μmであって、最大セル径と平均セル径の差が450μm以下であることを特徴とする発泡成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂を用いた樹脂組成物からなる発泡成形体に関するものである。
ポリアミド樹脂は、耐薬品性、耐熱性、成形加工性などの特性に優れていることから、その成形体は、自動車部品、電子電機部品などに広く利用されている。
また、ポリアミド樹脂に、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレイなどの無機充填剤を配合して強化した樹脂組成物を用いて、多くの成形体が成形されている。しかしながら、これらの強化材は、多量に配合しないと成形体の耐衝撃性や熱的特性が改善しないという問題点や、比重が高いために得られる成形体の質量が大きくなるという問題点があった。
そこで、ポリアミド樹脂の特性を活かしながら、軽量化を図った成形体として、ポリアミド樹脂の発泡成形体が提案されている。
例えば、特許文献1には、ポリアミド樹脂とセルロース繊維とからなる樹脂組成物を熱分解型発泡剤により発泡させた発泡成形体が開示されている。
国際公開2014/171430号パンフレット
しかしながら、特許文献1の発泡成形体は、発泡セルの大きさが大きく、均一性が低かった。
本発明は、かかる従来技術に鑑み、大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に有する耐衝撃性や表面外観に優れた発泡成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂に特定のセルロース繊維を含有させ、射出成形時に超臨界状態のガスを混入することにより、大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に含む耐衝撃性や表面外観に優れた発泡成形体を提供することができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂100質量部に対して、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を0.1〜10質量部含有する樹脂組成物から構成され、平均セル径が10〜250μmであって、最大セル径と平均セル径の差が450μm以下であることを特徴とする発泡成形体。
(2)ひずみ硬化度が1.05〜20である樹脂組成物から構成されることを特徴とする(1)に記載の発泡成形体。
本発明によれば、ポリアミド樹脂とセルロース繊維を含有する樹脂組成物からなる発泡成形体であって、大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に有する耐衝撃性や表面外観に優れた発泡成形体を提供する発泡成形体を提供することができる。
本発明の発泡成形体は、ポリアミド樹脂、平均繊維径が10μm以下であるセルロース繊維及び発泡核剤を含有する樹脂組成物から構成される。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸とから形成されるアミド結合を有する重合体である。
アミノ酸としては、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸が挙げられる。
ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムが挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジグリコール酸が挙げられる。
本発明で用いるポリアミド樹脂の具体例としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミドTMHT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ポリアミド6T/6I)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ポリアミド11T(H))が挙げられ、これらの共重合体や混合物であってもよい。中でも、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、およびこれらの共重合体や混合物がより好ましい。
上記ポリアミド樹脂は、後述する重合法で、あるいはさらに固相重合法を併用して製造される。
本発明で用いるセルロース繊維としては、木材、稲、綿、麻、ケナフなどに由来するものが挙げられる。なお、セルロース繊維には、バクテリアセルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロースなど生物由来のものや、再生セルロース、セルロース誘導体なども含まれる。
本発明において、大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に有する発泡成形体とするには、セルロース繊維を凝集させることなく、樹脂中に均一に分散させることが好ましい。そのためにはポリアミド樹脂に対するセルロース繊維の分散性や、ポリアミド樹脂とセルロース繊維の親和性が重要である。また、セルロース繊維が有する水酸基などの性質をできるだけ発揮させるためには、セルロース繊維の表面積を増やすことが重要である。このため、できるだけ微細化されたセルロース繊維を使用することが好ましい。
したがって、本発明に用いる樹脂組成物中に含有されるセルロース繊維は、平均繊維径が10μm以下であることが必要であり、1μm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましく、40〜100nmであることが最も好ましい。樹脂組成物中に含有されるセルロース繊維の平均繊維径が10μmを超える場合、セルロース繊維の表面積を増やすことができず、ポリアミド樹脂に対する分散性や親和性を向上させることが困難となる。このため、得られる発泡成形体は、発泡セルの大きさが均一にならず、また発泡セルが大きくなり、またセルロース繊維が目視で確認されるので、表面外観、耐衝撃性に劣るものとなる。
樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径を10μm以下とするには、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を用いることが好ましい。このようなセルロース繊維としては、セルロース繊維を引き裂くことによってミクロフィブリル化したものが好ましい。ミクロフィブリル化する手段としては、ボールミル、石臼粉砕機、高圧ホモジナイザー、ミキサーなど各種粉砕装置を使用することができる。このようなセルロース繊維として市販されているものとしては、例えば、ダイセルファインケム社製の「セリッシュ」が挙げられる。
また、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維としては、セルロース繊維を使用した繊維製品の製造工程において、屑糸として出されたセルロース繊維の集合体を使用することもできる。繊維製品の製造工程とは紡績時、織布時、不織布製造時、そのほか繊維製品の加工時などが挙げられる。これらのセルロース繊維の集合体は、セルロース繊維がこれらの工程を経た後に屑糸となったものであるため、セルロース繊維が微細化したものとなっている。
また、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維としては、バクテリアが産出するバクテリアセルロースを使用することもでき、例えば、アセトバクター族の酢酸菌を生産菌として産出されたものを使用することができる。植物のセルロースは、セルロースの分子鎖が収束したもので、非常に細いミクロフィブリルが束になって形成されているものであるのに対し、酢酸菌より産出されたセルロースはもともと幅20〜50nmのリボン状であり、植物のセルロースと比較すると極めて細い網目状を形成している。
また、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維としては、N−オキシル化合物の存在下にセルロース繊維を酸化させた後に、水洗、物理的解繊工程を経ることにより得られる、微細化されたセルロース繊維を使用してもよい。N−オキシル化合物としては各種あるが、例えば、Cellulose(1998)5,153−164に記載されているような2,2,6,6−Tetramethylpiperidine−1−oxyl radicalなどが好ましい。N−オキシル化合物は触媒量の範囲で反応水溶液に添加する。この水溶液に共酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムや亜塩素酸ナトリウムを加え、臭化アルカリ金属を加えることにより反応を進行させる。水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性の化合物を添加してpHを10付近に保持し、pHの変化が見られなくなるまで反応を継続する。反応温度は室温で構わない。反応後、系内に残存するN−オキシル化合物を除去することが好ましい。洗浄はろ過、遠心分離など各種方法を採用することができる。その後、上記したような各種粉砕装置を用い、物理的な解繊工程を経ることで微細化されたセルロース繊維を得ることができる。
本発明に用いる樹脂組成物中のセルロース繊維は、平均繊維径と平均繊維長との比であるアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)が10以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、100以上であることがさらに好ましい。アスペクト比が10以上であることにより、得られる発泡成形体の機械的特性が向上しやすくなる。
本発明の発泡成形体を構成する樹脂組成物中のセルロース繊維の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが必要であり、0.5〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることがさらに好ましい。セルロース繊維の含有量がポリアミド樹脂100質量部に対して0.1質量部未満である場合は、発泡成形において発泡しがたくなるため、大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に有する発泡成形体を得ることができず、表面外観に劣り、また設定発泡倍率よりも低いものとなる。一方、セルロース繊維の含有量がポリアミド樹脂100質量部に対して10質量部を超える場合は、セルロース繊維(A)を樹脂組成物中に含有させることが困難となったり、得られる発泡成形体は、発泡セルの大きさが均一にならず、また発泡セルの大きさが大きくなるので、表面外観や耐衝撃性に劣るものとなる。
本発明に用いる樹脂組成物を、後述するような製造法で得ることにより、セルロース繊維の含有量が少量であっても、それがポリアミド樹脂中に均一に分散された樹脂組成物となるので、発泡成形において、十分に発泡し、かつ大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に有する発泡成形体を得ることが可能となる。さらには、得られた発泡成形体の耐衝撃性を高いものとすることが可能となる。
セルロース繊維は水との親和性が非常に高く、平均繊維径が小さいほど水に対して良好な分散状態を保つことができる。また、水を失うと水素結合により強固にセルロース繊維同士が凝集し、一旦凝集すると凝集前と同様の分散状態をとることが困難となる。特にセルロース繊維の平均繊維径が小さくなるほどこの傾向が顕著となる。したがって、セルロース繊維は水を含んだ状態でポリアミド樹脂と複合化することが好ましい。そこで、本発明においては、ポリアミド樹脂の重合時に、水を含んだ状態のセルロース繊維の存在下に、ポリアミド樹脂を構成するモノマーの重合反応をおこなうことにより、セルロース繊維を含有するポリアミド樹脂組成物を得る方法を採ることが好ましい。このような製造法により、ポリアミド樹脂中にセルロース繊維を凝集させずに均一に分散させることが可能となる。
本発明においては、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維の水分散液とを混合し、重合反応をおこなうことによりセルロース繊維を含有するポリアミド樹脂組成物(以下、樹脂組成物Aという)を製造することができる。なお、重合反応時に、後述する樹脂組成物中に添加することができる添加剤を加えた場合は、樹脂組成物Aは該添加剤も含むものをいう。
セルロース繊維の水分散液は、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を水に分散させたものであり、水分散液中のセルロース繊維の含有量は0.01〜50質量%とすることが好ましい。セルロース繊維の水分散液は、精製水とセルロース繊維とをミキサーなどで攪拌することにより得ることができる。そして、セルロース繊維の水分散液と、ポリアミド樹脂を構成するモノマーとを混合し、ミキサーなどで攪拌することにより均一な分散液とする。その後、分散液を加熱し、150〜270℃まで昇温させて攪拌することにより重合反応させる。このとき、分散液を加熱する際に徐々に水蒸気を排出することにより、セルロース繊維の水分散液中の水分を排出することができる。なお、上記ポリアミド重合時においては、必要に応じてリン酸や亜リン酸などの触媒を添加してもよい。また、発泡核剤を上記ポリアミド重合時において添加してもよい。そして、重合反応終了後は、得られた樹脂組成物を払い出した後、切断してペレットとすることが好ましい。
セルロース繊維としてバクテリアセルロースを用いる場合においては、セルロース繊維の水分散液として、バクテリアセルロースを精製水に浸して溶媒置換したものを使用してもよい。バクテリアセルロースの溶媒置換したものを用いる際には、溶媒置換後、所定の濃度に調整した後、ポリアミド樹脂を構成するモノマーと混合し、上記と同様に重合反応を進行させることが好ましい。
上記方法においては、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を用い、かつセルロース繊維を水分散液のまま重合反応に供することで、分散性が良好な状態で重合反応に供されることとなる。さらに、重合反応に供されたセルロース繊維は、重合反応中のモノマーや水との相互作用により、また上記のような温度条件で攪拌することにより、分散性が向上し、繊維同士が凝集することがなく、平均繊維径が小さいセルロース繊維が良好に分散した樹脂組成物Aを得ることが可能となる。なお、上記方法によれば、重合反応前に添加したセルロース繊維の平均繊維径よりも、重合反応終了後に混合物中に含有されているセルロース繊維のほうが、平均繊維径や繊維長が小さいものとなることがある。
上記方法においては、セルロース繊維を乾燥させる工程が不要となり、微細なセルロース繊維の飛散が生じる工程を経ずに製造が可能であるため、操業性よく樹脂組成物Aを得ることが可能となる。またモノマーとセルロースを均一に分散させる目的として水を有機溶媒に置換する必要がないため、ハンドリングに優れるとともに製造工程中において化学物質の排出を抑制することが可能となる。
本発明に用いる樹脂組成物Aの相対粘度は、1.5〜5.0であることが好ましく、1.7〜4.0であることがより好ましい。相対粘度が1.5未満では、均一な発泡セルが生成しにくく、発泡成形性が低下し、また、機械的特性も低下する場合がある。一方、相対粘度が5.0を超えると、樹脂組成物Aの流動性が低下するため、発泡成形性が低下する場合がある。
本発明に用いる樹脂組成物Aは、その融点より2℃高い温度での伸張粘度測定で得られる時間−伸張粘度の対数プロットにおいて、屈曲点があらわれる直前の伸張粘度を直線で近似し、伸張粘度の最大値a2の時間に対する近似直線上の伸張粘度の値をa1とし、a1とa2の比(a2/a1、以下、ひずみ硬化度という)が、1.05〜20であることが好ましく、1.2〜10であることがより好ましい。ひずみ硬化度が上記範囲内であると、核剤を添加しなくとも発泡に適した粘性を有するものとなり、発泡セルの大きさが均一かつ細かい発泡セルが多数形成されるため、表面外観、耐衝撃性に優れたものとなる。ひずみ硬化度が1.05未満であると、押出発泡成形時に破泡を起こしたり、成形体に偏肉を生じやすい場合がある。またひずみ硬化度が20を超えると、成形時にゲルが発生しやすく流動性も大きく低下する場合がある。
中でも好ましい範囲である、1.2〜10のひずみ硬化度を有する樹脂組成物Aは、樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径を、上記した最も好ましい範囲である40〜100nmとなるようにし、かつセルロース繊維の含有量を、上記した最も好ましい範囲である0.5〜5質量部とすることで製造することができる。なお、樹脂組成物A中のセルロース繊維の平均繊維径が、最も好ましい範囲である40〜100nmの範囲を超えても、樹脂組成物Aのひずみ硬化度が、1.05〜20の範囲となる場合もあるが、セルロース繊維の平均繊維径が100nmを超えると、得られる発泡成形体はセル径の大きい発泡セルが生じ、均一性にやや劣るものとなりやすい。
本発明に用いる樹脂組成物Aは、ひずみ硬化度が1.05〜20未満であれば発泡剤や発泡核剤を必要としないが、必要に応じて樹脂組成物Aに加えて、発泡剤や発泡核剤を含有させてもよい。
発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4′−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホニルヒドラジド、4−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4′−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニル)セミカルバジド、4−トルエンスルホニルセミカルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、5−フェニルテトラゾール、トリヒドラジノトリアジン、4−トルエンスルフォニルアザイド、4,4′−ジフェニルジスルフォニルアザイドが挙げられる。
発泡核剤としては、例えば、酸化チタン、タルク、カオリン、クレイ、珪酸カルシウム、シリカ、クエン酸ソーダ、炭酸カルシウム、珪藻土、焼成パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ガラス、石灰石、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸第二鉄、ポリテトラフルオロエチレン粉末が挙げられる。
本発明においては、用いる樹脂組成物が、平均繊維径が小さいセルロース繊維を含み、伸張粘度の比が特定の範囲を示すため、この樹脂組成物を発泡させることにより、大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に含む発泡成形体が得られる。このような発泡成形体の形成は、ポリアミド樹脂中に微細なセルロース繊維が適量含有することによって、ポリアミド樹脂が架橋されたような構造となり、セルロースを含有するポリアミド樹脂組成物の伸張粘度が高くなることによるものとみられる。
本発明の発泡成形体は、コア層とスキン層とから構成され、コア層が発泡セルを有するものであることが好ましい。中でもコアバック射出成形法により成形した、コア層とスキン層を有する発泡成形体であることが好ましい。上記コアバック射出成形法は、スキン層の形成の際に、樹脂組成物の結晶化をある程度促進させた後、コア部を後退させる成形方法である。結晶化速度の速い樹脂組成物をこの方法で成形すると、スキン層を結晶化させると同時にコア層部分の樹脂組成物も結晶化してしまい、コア部を後退させても発泡せず、発泡成形体を得ることができない場合がある。しかしながら、本発明の発泡成形体を構成する樹脂組成物は、含有するセルロース繊維の平均繊維径が小さく、ポリアミド樹脂の結晶化速度が高められておらず、適度な結晶性を有するものであるため、コアバック射出成形することにより、コア層とスキン層を有する発泡成形体を得ることができる。
このようなコア層とスキン層を有する本発明の発泡成形体は、スキン層に、スワールマークやシルバーストリークスやヒケなどが生じることのない、表面外観及び表面平滑性に優れるものとなる。そして、スキン層を有することで、耐衝撃性にも優れた発泡成形体とすることができる。
本発明の発泡成形体におけるコア層とスキン層の厚みの比(コア層/スキン層)は、1/5〜5/1であることが好ましい。この範囲よりスキン層の厚みが大きい場合は、発泡セルの数が少なくなり、見掛け全体密度が大きくなり、1.1g/cmを超えるものとなりやすい。一方、この範囲よりスキン層の厚みが小さくなる場合は、上記したような優れた表面外観や表面平滑性を得ることが困難となりやすく、また、耐衝撃性が劣るものとなりやすい。
本発明の発泡成形体が有する発泡セルは、その平均セル径が10〜250μmであることが必要で、10〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましい。平均セル径が250μmを超えると、発泡成形体の耐衝撃性などの機械的特性が低くなる場合があり、表面外観が不良となる場合がある。一方、平均セル径を10μm未満とすることは現実的に達成することが困難である。
本発明の発泡成形体が有する発泡セルの最大セル径は500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。最大セル径が500μmを超えると、発泡成形体の耐衝撃性などの機械的特性が低くなる場合がある。
本発明の発泡成形体が有する発泡セルの最大セル径と平均セル径の差は450μm以下であることが必要で、290μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。発泡セルの最大セル径と平均セル径の差を450μm以下とすることにより、耐衝撃性が格段に向上し、さらに、表面外観を各段に良好なものとすることができる。特に、黒色色素を用いた場合のL値が顕著に向上する。なお、最大セル径と平均セル径の差が450μmを超えると、均一性に乏しいものとなるため、発泡成形体の耐衝撃性などの機械的特性が低くなる場合があり、表面外観が不良となる場合があるので好ましくない。
本発明の発泡成形体は、JIS K 7222に準じて測定し、算出した見掛け全体密度が1.1g/cm以下であることが好ましく、0.9g/cm以下であることがより好ましく、0.7g/cm以下であることがさらに好ましい。発泡成形体は、見掛け全体密度が、1.1g/cmを超えると、軽量化効果が不十分となる。なお、見掛け全体密度が0.2g/cm未満であると、発泡セルの量が多くなりすぎ、耐衝撃性が低いものとなりやすい。
本発明の発泡成形体は、上記した樹脂組成物を成形機中で溶融させ、ここに超臨界状態のガスを混入させ、射出成形することにより発泡成形体を得ることができる。ガスとしては、超臨界状態にすることができれば特に限定されないが、例えば、窒素や二酸化炭素を挙げられる。超臨界状態のガスの混入速度は、得ようとする発泡成形体の発泡実倍率や樹脂組成物Aの伸張粘度に応じて適宜調整すればよい。
発泡成形体の表面外観を向上させるためには、発泡セルが存在するコア層を、発泡セルが存在しないスキン層で包括した構成とすることが好ましい。このような発泡成形体は、例えば、射出成形機において、溶融した発泡性の樹脂組成物を金型キャビティに射出し、溶融樹脂が流動末端付近に到達した時点で0.2〜1.0秒間、20〜100MPaの保圧をかけ、次いで金型キャビティに隣接した金型コア部を10〜100mm/秒の速度で、中型キャビティの厚みが拡張する方向へ後退させる射出コアバック式の射出成形方法で得ることができる。
なお、例えば研磨材により金型表面を研磨して鏡面加工仕上げをした金型を用いて、コアバック射出成形法でコア層とスキン層を形成することにより、表面を鏡面加工したものとすることができる。このような鏡面加工した発泡成形体は、黒色に着色されていることが好ましく、中でも黒色色素を含有する樹脂組成物を用いて成形されることが好ましい。
本発明でいう黒色色素としては、黒色顔料や黒色染料などが挙げられ、具体的には、カーボンブラックやニグロシン、チタンと鉄の複合酸化物、アニリンブラックなどが挙げられる。黒色色素は、2種類以上のものを混合して用いてもよい。本発明の発泡成形体における黒色色素の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.1〜5.0質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましい。
また、シボ加工仕上げをした金型を用いて、コアバック射出成形法でコア層とスキン層を形成することにより、表面をシボ加工したものとすることもできる。
本発明の発泡成形体には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、強化材、層状珪酸塩、他の重合体、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、離型安定剤などの添加剤が含有されていてもよい。
強化剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレイ、マイカ、ワラストナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが挙げられる。
層状珪酸塩としては、例えば、膨潤性雲母、非膨潤性雲母、合成スメクタイトが挙げられる。
他の重合体としては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレンなどのエラストマー、およびこれらの無水マレイン酸などによる酸変性物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−フェニルマレイミド共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
なお、黒色色素や添加剤は、樹脂組成物Aの重合時に添加したり、射出成形時に混合することにより含有させることができる。
本発明の発泡成形体は、大きさが均一でかつ細かい発泡セルを多量に含む発泡成形体であるため、耐衝撃性や表面外観に優れている。そのため、電気・電子機器分野や、自動車分野、あるいは機械分野などの用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.原料
本発明の実施例と比較例で用いた原料は以下のとおりである。
(1)セルロース繊維
(1.1)セリッシュKY100G
ダイセルファインケム社製、平均繊維径が125nmのセルロース繊維が10質量%含有されたもの
(1.2)セリッシュKY100S
ダイセルファインケム社製、平均繊維径が180nmのセルロース繊維が25質量%含有されたもの
(1.3)バクテリアセルロース
0.5質量%グルコース、0.5質量%ポリペプトン、0.5質量%酵母エキス、0.1質量%硫酸マグネシウム7水和物からなる組成の培地50mlを、200ml容三角フラスコに分注し、オートクレーブで120℃、20分間蒸気滅菌した。これに試験管斜面寒天培地で生育させたGluconacetobacter xylinus (NBRC 16670)を1白金耳接種し、30℃で7日間静置培養した。7日後、培養液の上層に白色のゲル膜状のバクテリアセルロースを得た。
(2)発泡剤
・アゾジカルボンアミド
永和化成工業社製 ビニホールAC♯3
(3)発泡核剤
・タルク
日本タルク社製 MICRO ACE K−1、平均粒径7.4μm
2.測定法および評価法
本発明の実施例と比較例で用いた測定法および評価法は以下のとおりである。
(1)セルロース繊維の平均繊維径
(1.1)重合反応前のセルロース繊維の平均繊維径
必要に応じて凍結乾燥したセルロース繊維を、電界放射型走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−4000)を用いて観察した。電子顕微鏡(SEM)画像からセルロース繊維(単繊維)の長手方向に対する垂直方向の長さを測定した。このとき、垂直方向の長さのうち最大のものを繊維径とした。同様にして10本のセルロース繊維(単繊維)の繊維径を測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維径とした。
(1.2)発泡成形体を構成する樹脂組成物中のセルロース繊維の平均繊維径
得られた鏡面加工発泡成形体から、凍結ウルトラミクロトームを用いて厚さ100nmの切片を採取し、OsO(四酸化オスミウム)で切片染色を実施後、透過型電子顕微鏡(日本電子社製JEM−1230)を用いて観察をおこなった。電子顕微鏡画像からセルロース繊維(単繊維)の長手方向に対する垂直方向の長さを測定した。このとき、垂直方向の長さのうち最大のものを繊維径とした。同様にして10本のセルロース繊維(単繊維)の繊維径を測定し、10本の平均値を算出したものを平均繊維径とした。
なお、セルロース繊維の繊維径が大きいものについては、ミクロトームにて10μmの切片を切り出したものか、発泡成形体をそのままの状態で、実体顕微鏡(OLYMPUS SZ−40)を用いて観察をおこない、得られた画像から上記と同様にして繊維径を測定し、平均繊維径を求めた。
(2)樹脂組成物中のセルロース繊維の含有量
エスアイアイ・ナノテクノロジー社製のTG/DTA 7200装置を用いて下記条件で測定した。
十分に乾燥されたセルロースと樹脂をそれぞれ既知濃度となるように専用パンの中で量り取り、290℃から320℃までの重量減少を樹脂中のセルロース量として検量線を作成し、この検量線を用いて、得られた鏡面加工発泡成形体中のセルロース繊維含有量を算出した。このとき、鏡面加工発泡成形体は凍結粉砕して用い、試料量10mgを精密天秤で量り取り、窒素雰囲気中での昇温測定をおこなった。昇温条件は、30℃から285℃まで5℃/minで昇温し、285℃から320℃まで0.63℃/minで昇温し、再び320℃から350℃まで5℃/min昇温し、最後に350℃から550℃まで10℃/minで昇温させた。
(3)セルロース繊維を含有するポリアミド樹脂組成物(樹脂組成物A)の相対粘度
得られた樹脂組成物Aのペレット(95℃の熱水で処理し、精練をおこない、乾燥させたもの)を用い、96%硫酸で、温度25℃、濃度1g/100mlの条件において、相対粘度を測定した。
(4)伸張粘度
伸張粘度測定装置(レオメトリック社製)を用い、10mm×20mm×1mmの試験片を作製し、その両端を金属ベルトクランプにより支持した後、融点よりも2℃高い温度(PA6の場合227℃)で、歪み速度0.1、0.5、1sec−1でベルトを回転させて測定サンプルに伸長変形を加え、変形中にピンチローラにかかるトルクを検出することにより求めた。
(5)ひずみ硬化度(a2/a1)
伸長時間と伸張粘度の両対数プロットにおいて、屈曲点があらわれる直前の伸張粘度を直線で近似し、伸張粘度の最大値a2の時間に対する近似直線上の伸張粘度の値をa1とし、a1とa2の比(a2/a1)を算出した。
(5)発泡セルの最大セル径(a)、平均セル径(b)
得られた鏡面加工発泡成形体が有する発泡セルのセル径を次の方法により測定し、算出した。
鏡面加工発泡成形体のスキン層面を、その対角線に沿って、厚さ方向に切断し、切断面(以下、測定面という)を拡大鏡もしくは顕微鏡にて観察した。そして、測定面に現れた発泡セルについて、発泡セルの外周上に存在する2点を結ぶ線分のうち、最大長さの線分を求め、その長さをPとし、また、その線分の中点を通り、線分に垂直な方向におけるセル長さを求め、その長さをQとし、(P+Q)/2をセル径とした。
測定面に現れた発泡セルのうち、最大とみられる発泡セルについて、セル径を測定し、これを最大セル径とした。
さらに、測定面を、厚さ方向に平行な5本の線分で6等分し、それぞれの線分の中点付近に存在する発泡セル10個について、セル径を測定し、合計50個のセル径の平均値を算出し、平均セル径(b)とした。
(8)発泡実倍率
コアバックさせて得られた鏡面加工発泡成形体の密度(ρ)と、コアバックさせずに得られた鏡面加工発泡の成形体の密度(ρ)の比(ρ/ρ)として算出した。
(9)鏡面加工部の外観評価
得られた鏡面加工発泡成形体の鏡面加工部表面を、下記の方法により測定して、評価した。
鏡面加工部表面の任意の3点のL値を、日本電色社製の色差計SE−6000で測定し、L値の平均値で、鏡面加工部の外観を評価した。
黒色色素混合物を用いた場合、シルバーストリークスやスワールマークがあれば、発泡成形体が白っぽくなり、L値が大きくなる。この場合、L値は12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
(11)シャルピー衝撃試験
得られた鏡面加工発泡成形体を切削加工した試験片を用い、JIS K 7111−1に準じノッチなしでシャルピー衝撃試験をおこない、発泡成形体の耐衝撃性を評価した。なお、破壊する方の面は、切削加工で切り出していないスキン層(鏡面加工部)を有する面とした。
実施例1
セルロース繊維の水分散液として、セリッシュKY100Gを使用し、これに精製水を加えてミキサーで攪拌し、セルロース繊維の含有量が3質量%の水分散液を調製した。
このセルロース繊維の水分散液70質量部と、ε−カプロラクタム100質量部とを、均一な分散液となるまでさらにミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合分散液を攪拌しながら240℃に加熱し、徐々に水蒸気を放出しつつ、0MPaから0.7MPaの圧力まで昇圧した。そののち大気圧まで放圧し、240℃で1時間重合反応をおこない、ポリアミド樹脂とセルロース繊維とを含有する樹脂組成物Aを得た。樹脂組成物Aを重合が終了した時点で払い出し、切断して、ペレットとし、95℃の熱水で精練をおこない、乾燥させた。
乾燥した樹脂組成物Aのペレットと、ポリアミド樹脂100質量部に対する量が0.3質量部であるカーボンブラックおよび0.4質量部であるニグロシンからなる黒色色素混合物とをドライブレンドして混合物を得た。
得られた混合物を、シャットオフノズルを搭載した射出成形機(JSW社製J35ELIII−F)に投入し、シリンダー途中から超臨界状態の窒素を混入させながら、コアバック射出成形をおこない、コア層とスキン層とから構成された鏡面加工発泡成形体を得た。シリンダー温度は250℃とした。また、金型は鏡面加工仕上げしたものを用いて、金型温度は60℃、試験片の流動末端までの充填時間は1.5秒、保圧条件は40MPa×1.0秒間とした。また、コアバック成形は、保圧した直後に、4.2mm/秒で設定発泡倍率2.5倍になるように射出成形機のダイプレートを後退させておこなった。
実施例2
セルロース繊維としてバクテリアセルロースを使用した。バクテリアセルロースをミキサーで破砕後、水で浸漬、洗浄を繰り返すことにより、水置換をおこなった。水置換後のバクテリアセルロースの水分散液(平均繊維径が60nmのバクテリアセルロースが6.5質量%含有されたもの)35質量部と、ε−カプロラクタム194質量部と、アミノカプロン酸40質量部と、精製水90質量部とを、均一な分散液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応をおこない、ポリアミド樹脂とセルロース繊維とを含有する樹脂組成物Aを得た。樹脂組成物Aを重合が終了した時点で払い出し、切断して、ペレットとし、95℃の熱水で精練をおこない、乾燥させた。
乾燥した樹脂組成物Aのペレットを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって樹脂組成物の混合物を得、得られた混合物を用いてコアバック射出成形をおこない、発泡成形体を得た。
実施例3
不織布の製造工程において屑糸として出されたセルロース繊維の集合体に、精製水を加えてミキサーで攪拌し、平均繊維径が120nmのセルロース繊維が3質量%含有された水分散液を調製した。
このセルロース繊維の水分散液170質量部と、ε−カプロラクタム216質量部と、アミノカプロン酸44質量部とを、均一な分散液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、この混合分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応をおこない、ポリアミド樹脂とセルロース繊維とを含有する樹脂組成物Aを得た。樹脂組成物Aを重合が終了した時点で払い出し、切断して、ペレットとし、95℃の熱水で精練をおこない、乾燥させた。
乾燥した樹脂組成物Aのペレットを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって樹脂組成物の混合物を得、得られた混合物を用いてコアバック射出成形をおこない、発泡成形体を得た。
実施例4
セルロース繊維の水分散液の量を70質量部から17質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、重合反応をおこない、樹脂組成物Aのペレットを得て、95℃の熱水で精練をおこない、乾燥させた。
乾燥した樹脂組成物Aのペレットを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって樹脂組成物の混合物を得、得られた混合物を用いてコアバック射出成形をおこない、発泡成形体を得た。
実施例5
セリッシュKY100Sを使用し、セルロース繊維の水分散液として、セルロース繊維の含有量を3質量%から5質量%に変更したものを100質量部使用した以外は、実施例1と同様にして、重合反応をおこない、樹脂組成物Aを得て、95℃の熱水で精練をおこない、乾燥させた。
乾燥した樹脂組成物Aのペレットを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって樹脂組成物の混合物を得、得られた混合物を用いてコアバック射出成形をおこない、発泡成形体を得た。
比較例1
実施例1で得られた乾燥した樹脂組成物Aのペレットと、ポリアミド樹脂100質量部に対する量が2質量部であるアゾジカルボンアミドと、2質量部であるタルクと、0.3質量部であるカーボンブラックおよび0.4質量部であるニグロシンからなる黒色色素混合物とをドライブレンドして樹脂組成物の混合物を製造した。
得られた樹脂組成物の混合物を用いてコアバック射出成形をおこなった。すなわち、シャットオフノズルを搭載した射出成形機(FANUC社製S−2000i)に樹脂組成物を投入し、シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件で、鏡面加工仕上げをした金型に、射出成形した。射出成形において、0.2秒で試験片の流動末端まで充填し、次いで75MPaで0.5秒間の保圧工程を経て、その直後に60mm/秒で射出成形機のダイプレートを設定発泡倍率2.5倍になるように後退させ、コア層とスキン層とから構成された鏡面加工発泡成形体を得た。
比較例2
セルロース繊維の水分散液を加えなかった以外は実施例1と同様にして、重合反応をおこない、樹脂組成物Aを得て、95℃の熱水で精練をおこない、乾燥させた。
乾燥した樹脂組成物Aのペレットを用いて、実施例1と同様の操作をおこなって樹脂組成物の混合物を得、得られた混合物を用いてコアバック射出成形をおこない、発泡成形体を得た。
実施例1〜6の発泡成形体は、上記のように、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維が分散した樹脂組成物を、超臨界状態のガスを混入しながら射出成形をおこなって製造したため、発泡セルの平均セル径が10〜300μmとなり、最大セル径と平均セル径の差が450μm以下であった。
また、黒色色素混合物を混合した実施例1〜5の鏡面加工部のL値は2前後と低かった。
比較例1の発泡成形体は、化学発泡による射出発泡体であったため、発泡セルの平均セル径が大きく、最大セル径と平均セル径の差も大きかった。
比較例2の発泡成形体は、セルロース繊維を用いなかったため、ひずみ硬化指数が1.0であった。そのため、発泡はできたが均一性に劣り、最大セル径と平均セル径の差が大きかった。

Claims (2)

  1. ポリアミド樹脂100質量部に対して、平均繊維径が10μm以下のセルロース繊維を0.1〜10質量部含有する樹脂組成物から構成され、平均セル径が10〜250μmであって、最大セル径と平均セル径の差が450μm以下であることを特徴とする発泡成形体。
  2. ひずみ硬化度が1.05〜20である樹脂組成物から構成されることを特徴とする請求項1に記載の発泡成形体。
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