JP2018162363A - ポリアミド複合材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノレベルの充填剤が均一分散し物理的諸物性の向上したポリアミド複合材料を得ること。【解決手段】ラクタム類をアルカリ触媒および開始剤の存在下で重合するに際し、寸法のいずれかが1μm以下である固体充填剤を該ラクタム類において分散配合させた状態で重合することを特徴とするポリアミド複合材料の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ラクタム類のアルカリ重合によるポリアミドの製造方法に関する。特に、ナノレベルの充填剤を分散させたポリアミド複合材料の製造方法に関する。
ポリアミドは、一般に機械特性が良好で、引張り、圧縮、曲げ、衝撃に強く破損しにくいエンジニアリングプラスチックとして知られている。ポリアミドはまた、摩耗性が低く、耐熱性、耐薬品性、耐油性にも優れており、これらの基本特性を生かし、自動車部品、フィルム、ホース、魚網、歯車、軸受け、ファスナー等、様々な用途に適用されている。
ポリアミドをはじめとするプラスチックはそれぞれに固有の特性があるため、所期の用途との関係において欠点となる物性を改良し、あるいは他の特性をも加味するなどして、さらに高性能化・高機能化しようとする試みが常に行われる。例えば、ポリアミドはその吸水性の高さが欠点となる場合がある。また、導電性その他の特性を付与することで、ポリアミド元来の特性を生かしつつその用途を広げることができる。このような特性の改質によりプラスチック製品の付加価値を高める手段の一つとして、充填剤の添加が広く行われる。
プラスチックに充填剤を添加する際に問題となるのがその分散性である。ラクタム類のアルカリ重合によるポリアミドの製造方法として、ガラス繊維等の充填剤を配合したラクタム類を重合するモノマーキャスティング法が知られている(特許文献1)。この方法は、成型温度において粘度の低いラクタム類の金型内での重合中にガラス繊維が沈降するのを抑止するために、無機質ウィスカーを所定量添加したことに特徴がある。特許文献1によると、無機質ウィスカーの併用により、強化材としてのガラス繊維が均一に分散したポリアミド成型品を得ることができる。ここで強化材として分散されたガラス繊維の大きさは、平均繊維長および繊維径がそれぞれ5〜500μmおよび5〜25μmである。
特開平7−149891号公報
一般に、充填剤は小さいほどその性能の発現が高くなり、例えば機械的強度の向上が期待される。一方、充填剤が小さくなるほどその比表面積が大きくなり、凝集し易くなるなど取扱いが困難になることも知られている。特に、ポリマーに対して溶融混練でナノレベルの充填剤を凝集させずに分散させることは、コストのかかる非常に高いせん断力を利用してもなお困難である。
したがって本発明の課題は、ラクタム類のアルカリ重合によるポリアミドの製造方法においてナノレベル(1μm以下)の充填剤を実用可能に分散させることにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ラクタム類をアルカリ触媒および開始剤の存在下で重合する際に、寸法のいずれかがナノレベル(1μm以下)である充填剤を配合させると、該充填剤が均一分散することにより物理的諸物性の向上したポリアミド複合材料が得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)ラクタム類をアルカリ触媒および開始剤の存在下で重合するに際し、寸法のいずれかが1μm以下である固体充填剤を該ラクタム類において分散配合させた状態で重合することを特徴とするポリアミド複合材料の製造方法。
(2)前記固体充填剤がカーボンブラック、カーボンナノチューブおよびセルロースナノファイバーからなる群から選ばれる、上記(1)記載のポリアミド複合材料の製造方法。
(3)得られたポリアミド複合材料を熱プレス機で圧縮成型させ厚さ30μmのフィルムにして透過式顕微鏡で観察した場合に、該フィルムに存在する前記固体充填剤の直径5μm以上の球状の凝集塊が存在しない、上記(1)または(2)記載のポリアミド複合材料の製造方法。
(4)前記ラクタム類がカプロラクタムまたはラウロラクタムである、上記(1)記載のポリアミド複合材料の製造方法。
(5)前記固体充填剤がカーボンブラックまたはカーボンナノチューブであって、前記重合後のポリアミド複合材料を熱プレス機で厚さ1mmディスク状に圧縮成型させる工程を含み、得られたディスクの表面抵抗が1×1014Ω/□以下である、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のポリアミド複合材料の製造方法。
本発明によると、ナノレベルの充填剤が均一分散し物理的諸物性の向上したポリアミド複合材料が得られる。
実施例2で得られたポリアミド複合材料の断面を示す光学顕微鏡写真である。 比較例3で得られたポリアミド複合材料の断面を示す光学顕微鏡写真である。 実施例7で得られたポリアミド複合材料の断面を示す光学顕微鏡写真である。 比較例9で得られたポリアミド複合材料の断面を示す光学顕微鏡写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。
(ラクタム類)
原料のラクタム類としては、ブチロラクタム、カプロラクタム、ラウロラクタム、エナントラクタム、バレロラクタム、カプリルラクタム、ラウリンラクタム、ウンデカノラクタム、等が挙げられる。なかでもカプロラクタム、ラウロラクタムが好ましい。これらのラクタム類は市販品として入手することができ、また単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(アルカリ触媒)
アルカリ触媒としては、ラクタム類のアルカリ重合法で使用される公知の化合物を用いることができる。その具体例として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、それらの金属の水素化物、酸化物、水酸化物、アルキル化物またはグリニャール化合物、ならびにこれらとラクタム類との反応生成物、等が挙げられる。なかでも、特開平7−62089号公報に記載のアルカリ性金属ラクタメートをアルカリ触媒として使用することが好ましい。アルカリ性金属ラクタメートの具体例としては、カリウムピロリドン、ナトリウムピロリドン、カリウムカプロラクタム、ナトリウムカプロラクタム、ブロムマグネシウムカプロラクタム、クロルマグネシウムカプロラクタム等が挙げられる。アルカリ触媒の使用量は、原料のラクタム類に対して0.05〜10モル%、特に0.2〜5モル%の範囲であることが好ましい。
(開始剤)
開始剤としては、ラクタム類のアルカリ重合法で使用される公知の化合物を用いることができる。その具体例として、N−アシルラクタム、有機イソシアネート、カルボジイミド、ケテン、酸塩化物、酸無水物、尿素誘導体、等が挙げられる。開始剤の使用量は、原料のラクタム類に対して0.03〜10モル%、特に0.1〜5モル%であることが好ましい。なお、重合温度を高めることで開始剤を添加しなくても所期のポリアミド複合材料を製造することは可能である。
(固体充填剤)
本発明においてラクタム類に分散配合される固体充填剤としては、所期の目的に合わせて、寸法のいずれかが1μm以下であるいずれの固体充填剤を用いてもよい。その具体例として、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバー、その他の各種ナノ粒子、ナノフィラーが挙げられる。
ここで固体充填剤について「寸法のいずれかが1μm以下である」とは、立体構造体の三次元のうち最も小さい次元が1μm以下であることをいう。例えば、カーボンブラックのような球状構造体の場合にはその平均粒径が、カーボンナノチューブのような筒状構造体の場合にはその円筒直径が、セルロースナノファイバーのような繊維状構造体の場合にはその繊維径が、それぞれ1μm以下であることを意味する。固体充填剤は寸法が小さいほどその性能の発現が高くなることから実現可能な範囲で小さいことが好ましく、具体的には500nm以下、100nm以下、さらには50nm以下であることが好ましい。
本発明で用いることができるカーボンブラックには、導電性付与を目的に一般に使用されているものが包含され、好ましいものとしては、アセチレンガスを不完全燃焼して得られるアセチレンブラック、原油からファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック、等が挙げられる。なかでもアセチレンブラックおよびケッチェンブラックが好ましい。
カーボンブラックの配合割合は、得られるポリアミド複合材料に対して1〜6質量%が好ましい。カーボンブラックの配合割合が1質量%未満になると所期の導電性が得られず、一方その配合割合が6質量%を超えると、配合させた後溶融時、カーボンブラックにラクタム類が吸収され液状とならないため著しく重合が損なわれるおそれがある点で好ましくない。
本発明で用いることができるカーボンナノチューブとしては、導電性付与を目的に一般に使用されているものが包含され、好ましいものとしては、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブが挙げられる。特に市販の多層カーボンナノチューブの例として、BN−1100(ハイペリオン・キャタリシス・インターナショナル社製)、NC7000(ナノシル社製)、C100(アルケマ社製)、VGCF(登録商標)−X(昭和電工社製)、Flotube9000(シーナノテクノロジー社製)、AMC(登録商標)(宇部興産社製)、等がある。
カーボンナノチューブの配合割合は、得られるポリアミド複合材料に対して、0.1〜10質量%が好ましい。カーボンナノチューブの配合割合が0.1質量%未満になると所期の導電性が得られず、一方その配合割合が10質量%を超えると、配合させた後溶融時、カーボンナノチューブにラクタム類が吸収され液状とならないため著しく重合が損なわれるおそれがある点で好ましくない。
本発明で用いることができるセルロースナノファイバーとしては、パルプを含む材料の繊維をナノサイズレベルまで解きほぐしたもの(解繊したもの)やセルロースナノファイバーから構成されるパルプが挙げられる。パルプを含む材料の繊維をナノサイズレベルまで解きほぐしたもの(解繊したもの)はそのまま固体充填剤として使用することができる。また、セルロースナノファイバーから構成されるパルプを使用する場合、ラクタム類のアニオン重合時にナノレベルまで解きほぐして(解繊して)使用することができる。その原材料として用いられるセルロースファイバーとしては、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビート、農産物残廃物、布等の天然植物原料から得られるパルプ、レーヨン、セロファン等の再生セルロース繊維、等が挙げられる。またパルプとしては、植物原料を化学的もしくは機械的に、または両者を併用してパルプ化することで得られるケミカルパルプ(クラフトパルプ(KP)、亜硫酸パルプ(SP))、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグランドパルプ(CGP)、ケミメカニカルパルプ(CMP)、砕木パルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、及びこれらのパルプを主成分とする脱墨古紙パルプ、段ボール古紙パルプ、雑誌古紙パルプが好ましいものとして挙げられる。これらの原材料について、必要に応じて脱リグニンまたは漂白を行い、当該パルプ中のリグニン量を調整してもよい。また必要に応じて、これらの原材料に置換基を付与したり、分子内脱水処理および窒素中高温下での炭化処理を施してもよい。
パルプの解繊方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、セルロースファイバー含有材料の水懸濁液又はスラリーをリファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸又は多軸混練機、ビーズミル等により機械的に摩砕または叩解することで解繊する方法が使用できる。これらの解繊方法は、必要に応じて組み合わせてもよい。具体的な解繊方法としては、例えば特開2008−297364号公報に記載された方法を用いることができる。
セルロースナノファイバーの比表面積としては、70〜300m/g程度が好ましく、70〜250m/g程度がより好ましく、70〜200m/g程度が更に好ましい。得られるポリアミド複合材料の強度向上を目的とする場合には、セルロースナノファイバーの比表面積は高いほど好ましい。セルロースナノファイバーの繊維径は、平均値が通常4〜500nm程度、好ましくは4〜300nm程度、特に好ましくは4〜100nm程度である。なお、セルロースナノファイバーの繊維径の平均値(平均繊維径)は、電子顕微鏡の視野内の変性セルロースナノファイバーの少なくとも50本以上について測定した時の平均値である。セルロースナノファイバーの調製については、例えば、特開2010−216021号公報を参照されたい。
セルロースナノファイバーの配合割合は、得られるポリアミド複合材料に対して、0.01〜50質量%が好ましく、さらに0.05〜30質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。セルロースナノファイバーの配合割合が0.01質量%未満になると所期の性能向上が得られず、一方その配合割合が50質量%を超えると、ポリアミド複合材料の溶融粘度が高くなり流動性が低下することから成型加工性が損なわれるおそれがある点で好ましくない。
(水分量)
アルカリ触媒は水分により容易に分解するため、本発明で使用するラクタム類、アルカリ触媒、開始剤および固体充填剤は乾燥したものを用いることが好ましい。すなわち、水分量は配合時点で実現可能なレベルにまで低減されていることが好ましく、具体的には1000ppm以下、さらには500ppm以下であることがより好ましい。
(重合方法)
本発明によりラクタム類を重合する手順としては、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気中で、ラクタム類に所定量のアルカリ触媒、開始剤および固体充填剤を配合し、均一に混合しながら当該ラクタム類の融点以上に加熱することで重合を開始させることができる。また、ラクタム類およびアルカリ触媒からなる溶融成分Aと、ラクタム類および開始剤からなる溶融成分Bと、ラクタム類および固体充填剤からなる溶融成分Cとを別々に調製してから、これら成分A〜Cを混合することで重合を開始させてもよい。重合温度は、使用する原材料や目的のポリアミド複合材料の物性にもよるが、概ね100℃〜300℃の範囲内にあればよい。また重合時間も同様に、概ね1分〜2時間の範囲内にあればよい。重合で得られた塊状ポリアミド複合材料を適当な大きさに切断してペレット状にし、熱水で洗浄することにより残存モノマー/オリゴマーを除去することができる。
(ラクタム類、アルカリ触媒、開始剤および固体充填剤の混合方法)
本発明により、ラクタム類、アルカリ触媒、開始剤および固体充填剤を混合する方法としては、特に限定されないが、ミキサー、ブレンダー、単軸スクリュー混練機、二軸スクリュー混練機、ニーダー、ブラベンダー、ラボプラストミル、ラインミキサー、スタティックミキサーなどの混合又は攪拌できる装置で混合する方法が挙げられる。
さらに本発明の方法においては、実質的に重合反応を阻害しない範囲で、可塑剤、充填剤、繊維、発泡剤、染料、顔料、酸化防止剤、安定剤その他の添加剤を共存させてもよい。可塑剤の例としてN−アルキルピロリドン、ジアルキルイミダゾリン、等が、充填剤の例として炭酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、黒鉛、石膏、長石、雲母、アスベスト、カーボンブラック、二硫化モリブデン、等が、繊維の例としてガラス繊維、炭素繊維、繊維状マグネシウム化合物、チタン酸カリウム繊維、鉱物繊維、グラファイト繊維、ボロン繊維、スチール繊維、等が、発泡剤の例としてベンゼン、トルエン、キシレン、等がそれぞれ挙げられる。
本発明の方法により得られたポリアミド複合材料は、配合された固体充填剤が実質的に均一分散されている。ここで「実質的に均一分散されている」とは、ポリアミド複合材料のペレットをアルミ箔で挟み、熱プレスでの圧縮成型により厚さ30μm程度のフィルムにして透過式顕微鏡で観察した場合に、該フィルムに存在する固体充填剤の直径5μm以上の球状の凝集塊が存在しないことを意味する。一般に充填剤は小さいほどその性能の発現が高くなるため、凝集体を減らすことで、所期の性能を発現させるための固体充填剤の配合量を削減することができ、有利である。
実施例1
窒素ボックス中で、カプロラクタム(和光純薬工業製試薬)を4.75g(44mmol)、カプロラクタムで10%に希釈したN-ナトリウムカプロラクタム(アルカリ触媒:特開平7−62089号公報参照による合成品)を0.30g(0.22mmol)、N-アセチルカプロラクタム(開始剤:Alfa Aesar製試薬)を0.048g(0.31mmol)、およびケッチェンブラックEC300J(固体充填剤:ライオン製:平均粒径40nm)を0.25g(4.7質量%)秤取り、メノウ乳鉢で混合した。
窒素で置換した試験菅に上記混合物と回転子を入れシリコン栓で封止後、250℃に過熱したシリコンオイル中に試験管を浸漬し、混合物を溶融させた。溶融後約3分で回転子が停止しカプロラクタムの重合が始まった。そのまま20分静置させ重合した内容物を取り出した後、ニッパーで約3mm角のペレット状に切断し、次いでヘキサフルオロ-2−プロパノール(HFIP)に溶解し高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で残存モノマー/オリゴマーを定量したところ、カプロラクタムが17.59質量%、ダイマーが0.92質量%、トリマーからペプタマーまでの合計が2.85質量%であった。この切断した別のペレットを熱水約100gで2時間×3回洗浄を行い、真空乾燥機(100℃-1torr)で24時間水分を除去後、再度同様にHPLCでモノマー/オリゴマーを定量したところカプロラクタムが0.11質量%、ダイマーが0.10質量%、トリマーからペプタマーまでの合計が1.29質量%であった(表1)。
〔導電性測定〕
上記のように洗浄、乾燥したペレットをアルミ箔に挟み込み、これをφ22×厚さ1mmの金型に入れ、280℃に加熱した小型熱プレス機(アズワン製)10MPaで3分間圧縮成型を行った。成型後ただちに冷却プレス機で冷却を行いφ22×1mmtの成型体を得た。その成型体を三菱化学製ロレスタ―GP(印加電圧90V)で表面抵抗を測定したところ3.2×10Ω/□であった(表2)。
実施例2〜5
ケッチェンブラックEC300Jの配合量を表1に示す量に変更したことを除き、実施例1と同様に重合および導電性測定を行った。得られたポリアミド複合材料の水洗前後のモノマー/オリゴマー量及び成型体の表面抵抗率の測定結果を表1および表2に示す。
比較例1〜2
ケッチェンブラックEC300Jの配合量を0.35g(6.5質量%)および0.50g(8.93質量%)に変更したことを除き、実施例1と同様に重合を行ったが、実質的に重合は起こらず、反応内容物には原材料のカプロラクタムが78.0質量%および97.86質量%残留したままであった。
比較例3
ナイロン(登録商標)6(宇部興産製1011)凍結粉砕品5.0gとケッチェンブラックEC300J0.10gをメノウ乳鉢で混合後、その混合物2.5gをラボプラストミル(東洋精機製作所製、型番:4C150)のセグメントミキサーKF6に充填し、ディスク回転数150rpmで250℃-10分混練を行った。混練物を取り出した後、実施例1と同様に成型し、導電性を測定した。三菱化学製ハイレスタ(印加電圧500V)で表面抵抗を測定したところOVER(>1014 [Ω/□])であった。
比較例4〜7
ケッチェンブラックEC300Jの配合量を表1に示す量に変更したことを除き、比較例3と同様に混練を行い、そして実施例1と同様に成型し、導電性を測定した。表2に示す表面抵抗率測定結果のとおり、いずれも三菱化学製ハイレスタ(印加電圧500V)で測定した表面抵抗がOVER(>1014 [Ω/□])であった。
実施例6〜7
ケッチェンブラックEC300Jを宇部興産製カーボンナノチューブAMC(登録商標)(平均繊維径10nm)に変更し、配合量を0.5質量%及び1質量%に変更したことを除き、実施例1と同様に重合および導電性測定を行った。得られたポリアミド複合材料の水洗前後のモノマー/オリゴマー量及び成型体の表面抵抗率の測定結果を表1および表2に示す。
比較例8〜9
ケッチェンブラックEC300Jを宇部興産製カーボンナノチューブAMC(登録商標)(平均繊維径10nm)に変更し、配合量を0.5質量%及び1質量%に変更したことを除き、比較例3と同様に混練を行い、そして実施例1と同様に成型し、導電性を測定した。成型体の表面抵抗率の測定結果を表2に示す。
実施例8
窒素ボックス中で、カプロラクタム(和光純薬工業製試薬)を4.75g(44mmol)、カプロラクタムで10%に希釈したN-ナトリウムカプロラクタム(アルカリ触媒:特開平7−62089号公報参照による合成品)を0.30g(0.22mmol)、N-アセチルカプロラクタム(開始剤:Alfa Aesar製試薬)を0.048g(0.31mmol)、乾燥後に粉砕したセルロースナノファイバー(セリッシュKY100S、ダイセルファインケム製:繊維径100nm)を0.05g(0.97質量%)秤取り、メノウ乳鉢で混合した。
窒素で置換した試験菅に上記混合物と回転子を入れシリコン栓で封止後、140℃に加熱したシリコンオイル中に試験管を浸漬し、混合物を溶融させた。溶融後約10分で回転子が停止しカプロラクタムの重合が始まった。そのまま20分静置させて重合物を得た。重合物の一部についてHPLCで残存モノマー/オリゴマーを定量したところ、カプロラクタムが13.16質量%、ダイマーが0.52質量%、トリマーからペプタマーまでの合計が1.25質量%であった。
〔分散性測定〕
固体充填剤としてケッチェンブラックを配合した代表例として実施例2と比較例3について、またカーボンナノチューブを配合した代表例として実施例7と比較例9について、それぞれの導電性測定サンプルの光学顕微鏡写真により固体充填剤の分散性を目視にて評価した。
図1と図2を比較すると、ポリマーに対して1質量%のケッチェンブラックを溶融混練した比較例3ではケッチェンブラックの大きな凝集体が散見されるのに対し(図2)、本発明により重合モノマーに対して1質量%のケッチェンブラックを配合した実施例2では明らかに凝集体が減少していることがわかる。
図3と図4を比較すると、ポリマーに対して1質量%のカーボンナノチューブを溶融混練した比較例9ではカーボンナノチューブの大きな凝集体が存在するのに対し(図2)、本発明により重合モノマーに対して1質量%のカーボンナノチューブを配合した実施例7では大きな凝集体は存在しないことがわかる。
一般に、ナノレベルの固体充填剤はマトリックス中に凝集体で存在する傾向が強くなる。そのような固体充填剤をポリマーに配合して分散させた場合、高いせん断力を利用しても1次粒子として十分に分散させることは困難である。一方、重合前の原料(モノマー)に固体充填剤を混合することで、固体充填剤の凝集体の内部に低粘度のモノマー溶融物が浸透し得るため、その後の重合において凝集体が解れやすくなり、高いせん断力をかけなくても固体充填剤の分散性が向上するものと考えられる。
また、固体充填剤の凝集体が減少することにより、より少ない配合量で所期の効果を得ることができる。

Claims (5)

  1. ラクタム類をアルカリ触媒および開始剤の存在下で重合するに際し、寸法のいずれかが1μm以下である固体充填剤を該ラクタム類において分散配合させた状態で重合することを特徴とするポリアミド複合材料の製造方法。
  2. 前記固体充填剤がカーボンブラック、カーボンナノチューブおよびセルロースナノファイバーからなる群から選ばれる、請求項1に記載のポリアミド複合材料の製造方法。
  3. 得られたポリアミド複合材料を熱プレス機で圧縮成型させ厚さ30μmのフィルムにして透過式顕微鏡で観察した場合に、該フィルムに存在する前記固体充填剤の直径5μm以上の球状の凝集塊が存在しない、請求項1または2に記載のポリアミド複合材料の製造方法。
  4. 前記ラクタム類がカプロラクタムまたはラウロラクタムである、請求項1に記載のポリアミド複合材料の製造方法。
  5. 前記固体充填剤がカーボンブラックまたはカーボンナノチューブであって、前記重合後のポリアミド複合材料を熱プレス機で厚さ1mmディスク状に圧縮成型させる工程を含み、得られたディスクの表面抵抗が1×1014Ω/□以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド複合材料の製造方法。
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