JP7422158B2 - 電極用成形体の製造方法 - Google Patents

電極用成形体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7422158B2
JP7422158B2 JP2021540705A JP2021540705A JP7422158B2 JP 7422158 B2 JP7422158 B2 JP 7422158B2 JP 2021540705 A JP2021540705 A JP 2021540705A JP 2021540705 A JP2021540705 A JP 2021540705A JP 7422158 B2 JP7422158 B2 JP 7422158B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode material
support
roll
electrode
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021540705A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021033521A1 (ja
Inventor
昭人 福永
英二郎 岩瀬
浩二 殿原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Publication of JPWO2021033521A1 publication Critical patent/JPWO2021033521A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7422158B2 publication Critical patent/JP7422158B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/04Processes of manufacture in general
    • H01M4/043Processes of manufacture in general involving compressing or compaction
    • H01M4/0435Rolling or calendering
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/13Electrodes for accumulators with non-aqueous electrolyte, e.g. for lithium-accumulators; Processes of manufacture thereof
    • H01M4/139Processes of manufacture
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/052Li-accumulators
    • H01M10/0525Rocking-chair batteries, i.e. batteries with lithium insertion or intercalation in both electrodes; Lithium-ion batteries
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/04Processes of manufacture in general
    • H01M4/0402Methods of deposition of the material
    • H01M4/0404Methods of deposition of the material by coating on electrode collectors
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/04Processes of manufacture in general
    • H01M4/0471Processes of manufacture in general involving thermal treatment, e.g. firing, sintering, backing particulate active material, thermal decomposition, pyrolysis
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本開示は、電極用成形体の製造方法に関する。
リチウムイオン電池等の電池に含まれる電解質としては、通常、電解液が用いられる。近年においては、安全性(例えば、液漏れの防止)の観点から、電解液を固体電解質に置き換えた全固体電池の開発が検討されている。
上記のような電池に適用される電極の製造方法においては、電池容量を大きくするために、活物質を含む電極材料の密度を高めることが求められる。例えば、特開2016-62654号公報には、活物質とバインダとを含む複合粒子を、シート状の集電体に供給する複合粒子供給工程と、上記集電体上に供給された複合粒子をロール圧延して活物質層を形成する圧延工程と、を含み、上記圧延工程は、第1回目のロール圧延を含む第一圧延工程と、上記第一圧延工程の後に行う第二圧延工程とを含む、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法が開示されている。
活物質を含む電極材料を加圧する方法においては、例えば、一対のロールを用いて電極材料を加圧する方法が利用される(例えば、特開2016-62654号公報、及び特許第6211426号公報参照)。
電極の製造方法においては、電極材料の密度を大きくするために、例えば、加熱条件下で支持体上の電極材料を加圧することがある。しかしながら、加熱温度を高くすると、支持体の変形を引き起こす可能性がある。支持体の変形は、支持体上に配置される電極材料の質量分布の不均一化を招く可能性がある。例えば、特開2016-62654号公報、及び特許第6211426号公報に記載された方法によれば、電極材料を高密度に成形できる可能性はあるものの、支持体の変形を抑制することは困難であると考えられる。一方、加熱温度を低くすると、電極材料を高密度に成形できず、さらに、電極材料と支持体との密着性が低下する可能性がある。
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものである。
本開示の一実施形態は、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れる電極用成形体を製造可能な電極用成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、以下の態様を含む。
<1> 電極活物質を含む電極材料を準備する工程と、支持体上に上記電極材料を供給する工程と、上記電極材料に接触する第1のロールと上記支持体に接触する第2のロールとの間に、上記支持体、及び上記電極材料を挟むことによって、上記支持体上の上記電極材料を加圧する工程と、を含み、上記第1のロールの温度T1、及び上記第2のロールの温度T2が、T1>T2の関係を満たす電極用成形体の製造方法。
<2> 上記第1のロールと上記第2のロールとの間に、上記支持体、及び上記電極材料を挟むことによって、上記支持体上の上記電極材料を加圧する工程における圧力P1が、10MPa~1GPaである<1>に記載の電極用成形体の製造方法。
<3> 上記温度T1と上記温度T2の差の絶対値が、10℃以上である<1>又は<2>に記載の電極用成形体の製造方法。
<4> 上記温度T1が、40℃~65℃である<1>~<3>のいずれか1つに記載の電極用成形体の製造方法。
<5> 上記温度T2が、0℃~30℃である<1>~<4>のいずれか1つに記載の電極用成形体の製造方法。
<6> 上記第1のロールと上記第2のロールとの間に、上記支持体、及び上記電極材料を挟むことによって、上記支持体上の上記電極材料を加圧する工程の後に、上記電極材料に接触する第3のロールと上記支持体に接触する第4のロールとの間に、上記支持体、及び上記電極材料を挟むことによって、上記支持体上の上記電極材料を加圧する工程を含む<1>~<5>のいずれか1つに記載の電極用成形体の製造方法。
<7> 上記第3のロールの温度T3、及び上記第4のロールの温度T4が、T3>T4の関係を満たす<6>に記載の電極用成形体の製造方法。
<8> 上記温度T3と上記温度T4の差の絶対値が、30℃以上である<7>に記載の電極用成形体の製造方法。
<9> 上記温度T3が、70℃~130℃である<7>又は<8>に記載の電極用成形体の製造方法。
<10> 上記温度T4が、0℃~30℃である<7>~<9>のいずれか1つに記載の電極用成形体の製造方法。
<11> 上記温度T1、及び上記温度T3が、T1<T3の関係を満たす<7>~<10>のいずれか1つに記載の電極用成形体の製造方法。
<12> 上記第3のロールと上記第4のロールとの間に、上記支持体、及び上記電極材料を挟むことによって、上記支持体上の上記電極材料を加圧する工程における圧力P2が、20MPa~1GPaである<6>~<11>のいずれか1つに記載の電極用成形体の製造方法。
<13> 上記第1のロールと上記第2のロールとの間に、上記支持体、及び上記電極材料を挟むことによって、上記支持体上の上記電極材料を加圧する工程における圧力P1に対する、上記第3のロールと上記第4のロールとの間に、上記支持体、及び上記電極材料を挟むことによって、上記支持体上の上記電極材料を加圧する工程における圧力P2の比が、2以上である<6>~<12>のいずれか1つに記載の電極用成形体の製造方法。
<14> 上記支持体の線膨張係数が、20×10-6/℃~180×10-6/℃である<1>~<13>のいずれか1つに記載の電極用成形体の製造方法。
本開示の一実施形態によれば、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れる電極用成形体を製造可能な電極用成形体の製造方法を提供することができる。
図1は、本開示に係る電極用成形体の製造方法の一例を示す概略図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施形態に何ら制限されず、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。図面における寸法の比率は、必ずしも実際の寸法の比率を表すものではない。
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれか一方を意味する。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、「固形分」とは、1gの試料に対して、窒素雰囲気下、200℃で6時間乾燥処理を行った際に、揮発又は蒸発によって消失しない成分を意味する。
本開示において、序数詞(例えば、「第1」、及び「第2」)は、構成要素を区別するために使用する用語であり、構成要素の数、及び構成要素の優劣を制限するものではない。
<電極用成形体の製造方法>
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、電極活物質を含む電極材料を準備する工程(以下、「準備工程」という場合がある。)と、支持体上に上記電極材料を供給する工程(以下、「供給工程」という場合がある。)と、上記電極材料に接触する第1のロールと上記支持体に接触する第2のロールとの間に、上記支持体、及び上記電極材料を挟むことによって、上記支持体上の上記電極材料を加圧する工程(以下、「第1の加圧工程」という場合がある。)と、を含み、上記第1のロールの温度T1、及び上記第2のロールの温度T2が、T1>T2の関係を満たす。
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、上記工程を含むことで、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れる電極用成形体を製造することができる。本開示に係る電極用成形体の製造方法が上記効果を奏する理由は、以下のように推察される。上記のとおり、加熱条件下で支持体上の電極材料を加圧する方法においては、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性を両立することは困難である。一方、本開示に係る電極用成形体の製造方法は、準備工程と、供給工程と、第1の加圧工程と、を含み、第1のロールの温度T1、及び第2のロールの温度T2がT1>T2の関係を満たすことで、支持体の変形を抑制しつつ、支持体上の電極材料を十分に加圧することができる。よって、本開示に係る電極用成形体の製造方法によれば、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れる電極用成形体を製造することができる。
<<準備工程>>
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、電極活物質を含む電極材料を準備する工程(準備工程)を含む。本開示において、「電極材料を準備する」とは、電極材料を使用可能な状態にすることを意味し、特に断りのない限り、電極材料を調製することを含む。すなわち、準備工程においては、予め調製した電極材料若しくは市販されている電極材料を準備してもよく、又は電極材料を調製してもよい。
[電極材料]
電極材料は、電極活物質を含む。電極材料は、必要に応じて、電極活物質以外の成分を含んでいてもよい。以下、電極材料の成分について説明する。
(電極活物質)
電極活物質は、周期律表における第1族、又は第2族に属する金属元素のイオンを挿入、及び放出することが可能な物質である。電極活物質としては、例えば、正極活物質、及び負極活物質が挙げられる。
-正極活物質-
正極活物質としては、制限されず、正極に用いられる公知の活物質を利用できる。正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入及び放出できる正極活物質であることが好ましい。
正極活物質としては、例えば、遷移金属酸化物、及びリチウムと複合化できる元素(例えば、硫黄)が挙げられる。上記の中でも、正極活物質は、遷移金属酸化物であることが好ましい。
遷移金属酸化物は、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、及びV(バナジウム)からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属元素(以下、「元素Ma」という。)を含む遷移金属酸化物であることが好ましい。
遷移金属酸化物がLi、及び元素Maを含む場合、元素Maに対するLiのモル比(Liの物質量/元素Maの物質量)は、0.3~2.2であることが好ましい。本開示において「元素Maの物質量」とは、元素Maに該当する全ての元素の総物質量をいう。
また、遷移金属酸化物は、リチウム以外の第1族の元素、第2族の元素、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)、Pb(鉛)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)、Si(ケイ素)、P(リン)、及びB(ホウ素)からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属元素(以下、「元素Mb」という。)を含んでいてもよい。元素Mbの含有量(すなわち、元素Mbに該当する全ての元素の総含有量)は、元素Maの物質量に対して、0mol%~30mol%であることが好ましい。
遷移金属酸化物としては、例えば、層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物、リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物、及びリチウム含有遷移金属ケイ酸化合物が挙げられる。
層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物としては、例えば、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi(ニッケル酸リチウム)、LiNi0.85Co0.10Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、及びLiNi0.5Mn0.5(マンガンニッケル酸リチウム)が挙げられる。
スピネル型構造を有する遷移金属酸化物としては、例えば、LiCoMnO、LiFeMn、LiCuMn、LiCrMn、及びLiNiMnが挙げられる。
リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、オリビン型リン酸鉄塩(例えば、LiFePO、及びLiFe(PO)、ピロリン酸鉄塩(例えば、LiFeP)、リン酸コバルト塩(例えば、LiCoPO)、及び単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩(例えば、Li(PO(リン酸バナジウムリチウム))が挙げられる。
リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、フッ化リン酸鉄塩(例えば、LiFePOF)、フッ化リン酸マンガン塩(例えば、LiMnPOF)、及びフッ化リン酸コバルト塩(例えば、LiCoPOF)が挙げられる。
リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、LiFeSiO、LiMnSiO、及びLiCoSiOが挙げられる。
遷移金属酸化物は、層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物であることが好ましく、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi0.85Co0.10Al0. 05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、及びLiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
正極活物質は、市販品であってもよく、又は公知の方法(例えば、焼成法)によって製造された合成品であってもよい。例えば焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、又は有機溶剤を用いて洗浄されてもよい。
正極活物質の組成は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を用いて測定する。
正極活物質の形状は、制限されないが、取扱性の観点から、粒子状であることが好ましい。
正極活物質の体積平均粒子径は、制限されず、例えば、0.1μm~50μmとすることができる。正極活物質の体積平均粒子径は、0.3μm~40μmであることが好ましく、0.5μm~30μmであることがより好ましい。正極活物質の体積平均粒子径が0.3μm以上であることで、電極材料の集合体を容易に形成することができ、また、取り扱いの際に電極材料が飛散することを抑制できる。正極活物質の体積平均粒子径が40μm以下であることで、電極用成形体の厚さを容易に調節することができ、また、成形過程において空隙の発生を抑制することができる。
正極活物質の体積平均粒子径は、以下の方法により測定する。正極活物質と溶剤(例えば、ヘプタン、オクタン、トルエン、又はキシレン)とを混合することによって、0.1質量%の正極活物質を含む分散液を調製する。1kHzの超音波を10分間照射した分散液を測定試料とする。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製のLA-920)を用いて、温度25℃の条件下でデータの取り込みを50回行い、体積平均粒子径を求める。測定用のセルには、石英セルを用いる。上記測定を5つの試料を用いて行い、測定値の平均を正極活物質の体積平均粒子径とする。その他の詳細な条件については、必要に応じて、「JIS Z 8828:2013」を参照する。
正極活物質の粒子径を調整する方法としては、例えば、粉砕機、又は分級機を用いる方法が挙げられる。
電極材料は、1種単独の正極活物質を含んでいてもよく、又は2種以上の正極活物質を含んでいてもよい。
正極活物質の含有量は、電極材料の全固形分質量に対して、10質量%~95質量%であることが好ましく、30質量%~90質量%であることがより好ましく、50質量%~85質量であることがさらに好ましく、60質量%~80質量%であることが特に好ましい。
-負極活物質-
負極活物質としては、制限されず、負極に用いられる公知の活物質を利用できる。負極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入及び放出できる負極活物質であることが好ましい。
負極活物質としては、例えば、炭素質材料、金属酸化物(例えば、酸化スズ)、酸化ケイ素、金属複合酸化物、リチウム単体、リチウム合金(例えば、リチウムアルミニウム合金)、及びリチウムと合金を形成可能な金属(例えば、Sn、Si、及びIn)が挙げられる。上記の中でも、負極活物質は、信頼性の観点から、炭素質材料、又はリチウム複合酸化物であることが好ましい。
炭素質材料は、実質的に炭素からなる材料である。炭素質材料としては、例えば、石油ピッチ、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)、黒鉛(例えば、天然黒鉛、及び人造黒鉛(例えば、気相成長黒鉛))、ハードカーボン、及び合成樹脂(例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、及びフルフリルアルコール樹脂)を焼成してなる炭素質材料が挙げられる。炭素質材料としては、例えば、炭素繊維(例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA(ポリビニルアルコール)系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、及び活性炭素繊維)も挙げられる。黒鉛としては、例えば、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、及び平板状の黒鉛も挙げられる。本開示において、「平板状」とは、互いに反対方向を向く2つの主平面を有する形状を意味する。
金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属複合酸化物であることが好ましい。リチウムを吸蔵及び放出可能な金属複合酸化物は、高電流密度充放電特性の観点から、チタン、及びリチウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むことが好ましい。
金属酸化物、及び金属複合酸化物は、特に非晶質酸化物であることが好ましい。ここで、「非晶質」とは、CuKα線を用いたX線回折法において、2θ値で20°~40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有する物質を意味する。非晶質酸化物は、結晶性の回折線を有してもよい。非晶質酸化物において、2θ値で40°~70°の領域に観察される結晶性の回折線のうち最も強い強度は、2θ値で20°~40°の領域に観察されるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下であることが好ましく、5倍以下であることがより好ましい。非晶質酸化物は、結晶性の回折線を有しないことが特に好ましい。
金属酸化物、及び金属複合酸化物は、カルコゲナイドであることも好ましい。カルコゲナイドは、金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物である。
非晶質酸化物、及びカルコゲナイドからなる化合物群の中でも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドが好ましく、周期律表における第13族~15族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、及びBiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む酸化物、並びにカルコゲナイドがより好ましい。
非晶質酸化物、及びカルコゲナイドの好ましい例としては、Ga、SiO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Pb、Sb、Sb、SbBi、SbSi、Bi、SnSiO、GeS、SnS、SnS、PbS、PbS、Sb、Sb、及びSnSiSが挙げられる。また、上記した化合物は、リチウムとの複合酸化物(例えば、LiSnO)であってもよい。
負極活物質は、チタンをさらに含むことも好ましい。リチウムイオンの吸蔵放出時の体積変動が小さいことから急速充放電特性に優れ、そして、電極の劣化が抑制されることでリチウムイオン二次電池の寿命向上が可能となる観点から、チタンを含む負極活物質は、LiTi12(チタン酸リチウム[LTO])であることが好ましい。
負極活物質は、市販品であってもよく、又は公知の方法(例えば、焼成法)によって製造された合成品であってもよい。例えば焼成法によって得られた負極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、又は有機溶剤を用いて洗浄したされてもよい。
負極活物質は、例えば、CGB20(日本黒鉛工業株式会社)として入手可能である。
負極活物質の組成は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を用いて測定する。
負極活物質の形状は、制限されないが、取り扱い易く、そして、量産の際に均一性を管理しやすいという観点から、粒子状であることが好ましい。
負極活物質の体積平均粒子径は、0.1μm~60μmであることが好ましく、0.3μm~50μmであることがより好ましく、0.5μm~40μmであることが特に好ましい。負極活物質の体積平均粒子径が0.1μm以上であることで、電極材料の集合体を容易に形成することができ、また、取り扱いの際に電極材料が飛散することを抑制できる。負極活物質の体積平均粒子径が60μm以下であることで、電極用成形体の厚さを容易に調節することができ、また、成形過程において空隙の発生を抑制することができる。負極活物質の体積平均粒子径は、上記正極活物質の体積平均粒子径の測定方法に準ずる方法により測定する。
負極活物質の粒子径を調整する方法としては、例えば、粉砕機、又は分級機を用いる方法が挙げられる。上記方法においては、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミル、又は篩が好適に用いられる。負極活物質の粉砕においては、水、又は有機溶剤(例えば、メタノール)を用いる湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒子径に調整する方法は、分級であることが好ましい。分級においては、例えば、篩、又は風力分級機を用いることができる。分級は、乾式であってもよく、又は湿式であってもよい。
負極活物質として、Sn、Si、又はGeを含む非晶質酸化物を用いる場合、上記非晶質酸化物と併用することができる好ましい負極活物質としては、例えば、リチウムイオン又はリチウム金属を吸蔵及び放出できる炭素材料、リチウム、リチウム合金、及びリチウムと合金可能な金属が挙げられる。
電極材料は、1種単独の負極活物質を含んでいてもよく、又は2種以上の負極活物質を含んでいてもよい。
負極活物質の含有量は、電極材料の全固形分質量に対して、10質量%~80質量%であることが好ましく、20質量%~80質量%であることがより好ましく、30質量%~80質量%であることがさらに好ましく、40質量%~75質量%であることが特に好ましい。
正極活物質、及び負極活物質の表面は、表面被覆剤で被覆されていてもよい。表面被覆剤としては、例えば、Ti、Nb、Ta、W、Zr、Si、又はLiを含む金属酸化物が挙げられる。上記金属酸化物としては、例えば、チタン酸スピネル、タンタル系酸化物、ニオブ系酸化物、及びニオブ酸リチウム系化合物が挙げられる。具体的な化合物としては、例えば、LiTi12、LiTaO、LiNbO、LiAlO、LiZrO、LiWO、LiTiO、Li、LiPO、LiMoO、及びLiBOが挙げられる。
(無機固体電解質)
電極材料は、電池性能(例えば、放電容量、及び出力特性)の向上という観点から、無機固体電解質を含むことが好ましい。ここで、「固体電解質」とは、内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質を意味する。
無機固体電解質は、主たるイオン伝導性材料として有機物を含む電解質ではないことから、有機固体電解質(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)に代表される高分子電解質、及びリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)に代表される有機電解質塩)とは明確に区別される。また、無機固体電解質は、定常状態では固体であるため、カチオン若しくはアニオンに解離又は遊離していない。よって、電解液、及びポリマー中でカチオン若しくはアニオンに解離又は遊離している無機電解質塩(例えば、LiPF、LiBF、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、及びLiCl)とも明確に区別される。
無機固体電解質は、周期律表における第1族又は第2族に属する金属元素のイオンの伝導性を有する無機固体電解質であれば制限されず、電子伝導性を有しないことが一般的である。
本開示に係る電極用成形体の製造方法によって得られる電極用成形体がリチウムイオン電池に用いられる場合、無機固体電解質は、リチウムイオンのイオン伝導性を有することが好ましい。
無機固体電解質としては、例えば、硫化物系無機固体電解質、及び酸化物系無機固体電解質が挙げられる。上記の中でも、無機固体電解質は、活物質と無機固体電解質との間に良好な界面を形成できるという観点から、硫化物系無機固体電解質であることが好ましい。
-硫化物系無機固体電解質-
硫化物系無機固体電解質は、硫黄原子(S)を含み、周期律表における第1族又は第2族に属する金属元素のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有することが好ましい。
硫化物系無機固体電解質は、少なくともLi、S、及びPを含有し、リチウムイオン伝導性を有することがより好ましい。硫化物系無機固体電解質は、必要に応じて、Li、S、及びP以外の元素を含んでいてもよい。
硫化物系無機固体電解質としては、例えば、下記式(A)で示される組成を有する無機固体電解質が挙げられる。
a1b1c1d1e1 :式(A)
式(A)中、Lは、Li、Na、及びKからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表し、Liであることが好ましい。
式(A)中、Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al、及びGeからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表し、B、Sn、Si、Al、又はGeであることが好ましく、Sn、Al、又はGeであることがより好ましい。
式(A)中、Aは、I、Br、Cl、及びFからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表し、I、又はBrであることが好ましく、Iであることがより好ましい。
式(A)中、a1は、1~12を表し、1~9であることが好ましく、1.5~4であることがより好ましい。
式(A)中、b1は、0~1を表し、0~0.5であることがより好ましい。
式(A)中、c1は、1を表す。
式(A)中、d1は、2~12を表し、3~7であることが好ましく、3.25~4.5であることがより好ましい。
式(A)中、e1は、0~5を表し、0~3であることが好ましく、0~1であることがより好ましい。
式(A)中、b1、及びe1が0であることが好ましく、b1、及びe1が0であり、かつ、a1、c1、及びd1の比(すなわち、a1:c1:d1)が、1~9:1:3~7であることがより好ましく、b1、及びe1が0であり、かつ、a1、c1、及びd1の比(すなわち、a1:c1:d1)が、1.5~4:1:3.25~4.5であることが特に好ましい。
各元素の組成比は、例えば、硫化物系無機固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
硫化物系無機固体電解質は、非結晶(ガラス)であってもよく、結晶化(ガラスセラミックス化)していてもよく、又は一部のみが結晶化していてもよい。上記のような硫化物系無機固体電解質としては、例えば、Li、P、及びSを含有するLi-P-S系ガラス、並びにLi、P、及びSを含有するLi-P-S系ガラスセラミックスが挙げられる。上記の中でも、硫化物系無機固体電解質は、Li-P-S系ガラスであることが好ましい。
硫化物系無機固体電解質のリチウムイオン伝導度は、1×10-4S/cm以上であることが好ましく、1×10-3S/cm以上であることがより好ましい。硫化物系無機固体電解質のリチウムイオン伝導度の上限は、制限されない。硫化物系無機固体電解質のリチウムイオン伝導度は、例えば、1×10-1S/cm以下であることが実際的である。
硫化物系無機固体電解質は、例えば、(1)硫化リチウム(LiS)と硫化リン(例えば、五硫化二燐(P))との反応、(2)硫化リチウムと単体燐及び単体硫黄の少なくとも一方との反応、又は(3)硫化リチウムと硫化リン(例えば、五硫化二燐(P))と単体燐及び単体硫黄の少なくとも一方との反応により製造できる。
Li-P-S系ガラス、及びLi-P-S系ガラスセラミックスの製造における、LiSとPとのモル比(LiS:P)は、65:35~85:15であることが好ましく、68:32~77:23であることがより好ましい。LiSとPとのモル比を上記範囲にすることにより、リチウムイオン伝導度をより高めることができる。
硫化物系無機固体電解質としては、例えば、LiSと、第13族~第15族の元素の硫化物とを含む原料組成物を用いてなる化合物が挙げられる。原料組成物としては、例えば、LiS-P、LiS-LiI-P、LiS-LiI-LiO-P、LiS-LiBr-P、LiS-LiO-P、LiS-LiPO-P、LiS-P-P、LiS-P-SiS、LiS-P-SnS、LiS-P-Al、LiS-GeS、LiS-GeS-ZnS、LiS-Ga、LiS-GeS-Ga、LiS-GeS-P、LiS-GeS-Sb、LiS-GeS-Al、LiS-SiS、LiS-Al、LiS-SiS-Al、LiS-SiS-P、LiS-SiS-P-LiI、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiSiO、LiS-SiS-LiPO、及びLi10GeP12が挙げられる。上記の中でも、原料組成物は、高いリチウムイオン伝導度の観点から、LiS-P、LiS-GeS-Ga、LiS-SiS-P、LiS-SiS-LiSiO、LiS-SiS-LiPO、LiS-LiI-LiO-P、LiS-LiO-P、LiS-LiPO-P、LiS-GeS-P、又はLi10GeP12であることが好ましく、LiS-P、Li10GeP12、又はLiS-P-SiSであることがより好ましい。
上記した原料組成物を用いて硫化物系無機固体電解質を製造する方法としては、例えば、非晶質化法が挙げられる。非晶質化法としては、例えば、メカニカルミリング法、及び溶融急冷法が挙げられる。上記の中でも、常温での処理が可能となり、また、製造工程の簡略化を図ることができる観点から、メカニカルミリング法が好ましい。
-酸化物系無機固体電解質-
酸化物系無機固体電解質は、酸素原子(O)を含み、周期律表における第1族又は第2族に属する金属元素のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有することが好ましい。
酸化物系無機固体電解質のイオン伝導度は、1×10-6S/cm以上であることが好ましく、5×10-6S/cm以上であることがより好ましく、1×10-5S/cm以上であることが特に好ましい。酸化物系無機固体電解質のイオン伝導度の上限は、制限されない。酸化物系無機固体電解質のイオン伝導度は、例えば、1×10-1S/cm以下であることが実際的である。
酸化物系無機固体電解質としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。ただし、酸化物系無機固体電解質は、以下の化合物に制限されない。
(1)LixaLayaTiO(以下、「LLT」という。xaは0.3≦xa≦0.7を満たし、yaは0.3≦ya≦0.7を満たす。)
(2)LixbLaybZrzbbb mbnb(MbbはAl、Mg、Ca、Sr、V、Nb、Ta、Ti、Ge、In、及びSnからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。xbは5≦xb≦10を満たし、ybは1≦yb≦4を満たし、zbは1≦zb≦4を満たし、mbは0≦mb≦2を満たし、nbは5≦nb≦20を満たす。)
(3)Lixcyccc zcnc(MccはC、S、Al、Si、Ga、Ge、In、及びSnからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。xcは0≦xc≦5を満たし、ycは0≦yc≦1を満たし、zcは0≦zc≦1を満たし、ncは0≦nc≦6を満たす。)
(4)Lixd(Al,Ga)yd(Ti,Ge)zdSiadmdnd(xdは1≦xd≦3を満たし、ydは0≦yd≦1を満たし、zdは0≦zd≦2を満たし、adは0≦ad≦1を満たし、mdは1≦md≦7を満たし、ndは3≦nd≦13を満たす。)
(5)Li(3-2xe)ee xeeeO(xeは0≦xe≦0.1を満たし、Meeは2価の金属原子を表し、Deeはハロゲン原子又は2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。)
(6)LixfSiyfzf(xfは1≦xf≦5を満たし、yfは0<yf≦3を満たし、zfは1≦zf≦10を満たす。)
(7)Lixgygzg(xgは1≦xg≦3を満たし、ygは0<yg≦2を満たし、zgは1≦zg≦10を満たす。)
(8)LiBO
(9)LiBO-LiSO
(10)LiO-B-P
(11)LiO-SiO
(12)LiBaLaTa12
(13)LiPO(4-3/2w)(wはw<1を満たす。)
(14)LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO
(15)ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO
(16)NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi12
(17)Li1+xh+yh(Al,Ga)xh(Ti,Ge)2-xhSiyh -yh12(xhは0≦xh≦1を満たし、yhは0≦yh≦1を満たす。)
(18)ガーネット型結晶構造を有するLiLaZr12(以下、「LLZ」という。)
酸化物系無機固体電解質としては、Li、P、及びOを含むリン化合物も好ましい。Li、P、及びOを含むリン化合物としては、例えば、リン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、及びLiPOD1(D1は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、及びAuからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。)が挙げられる。
酸化物系無機固体電解質としては、LiAON(Aは、Si、B、Ge、Al、C、及びGaからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。)も好ましい。
上記の中でも、酸化物系無機固体電解質は、LLT、LixbLaybZrzbbb mbnb(Mbb、xb、yb、zb、mb、及びnbは、上記のとおりである。)、LLZ、LiBO、LiBO-LiSO、又はLixd(Al,Ga)yd(Ti,Ge)zdSiadmdnd(xd、yd、zd、ad、md、及びndは、上記のとおりである。)であることが好ましく、LLT、LLZ、LAGP(Li1. Al0.5Ge1.5(PO)、又はLATP([Li1.4TiSi0.42.612]-AlPO)であることがより好ましく、LLZであることが特に好ましい。
無機固体電解質は、粒子状であることが好ましい。
無機固体電解質の体積平均粒子径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。無機固体電解質の体積平均粒子径は、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。
無機固体電解質の体積平均粒子径は、以下の方法により測定する。無機固体電解質と水(水に不安定な物質の体積平均粒子径を測定する場合はヘプタン)とを混合することによって、1質量%の無機固体電解質を含む分散液を調製する。1kHzの超音波を10分間照射した分散液を測定試料とする。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製のLA-920)を用いて、温度25℃の条件下でデータの取り込みを50回行い、体積平均粒子径を求める。測定用のセルには、石英セルを用いる。上記測定を5つの試料を用いて行い、測定値の平均を無機固体電解質の体積平均粒子径とする。その他の詳細な条件については、必要に応じて、「JIS Z 8828:2013」を参照する。
電極材料は、1種単独の無機固体電解質を含んでいてもよく、又は2種以上の無機固体電解質を含んでいてもよい。
電極材料が無機固体電解質を含む場合、無機固体電解質の含有量は、界面抵抗の低減、及び電池特性維持効果(例えばサイクル特性の向上)の観点から、電極材料の全固形分質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。同様の観点から、無機固体電解質の含有量は、電極材料の全固形分質量に対して、90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
(バインダー)
電極材料は、電極材料同士の密着性の向上という観点から、バインダーを含むことが好ましい。バインダーとしては、有機ポリマーであれば制限されず、電池材料の正極又は負極において結着剤として用いられる公知のバインダーを利用できる。バインダーとしては、例えば、含フッ素樹脂、炭化水素系熱可塑性樹脂、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。
含フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニレンジフルオリド(PVdF)、及びポリビニレンジフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合物(PVdF-HFP)が挙げられる。
炭化水素系熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素添加スチレンブタジエンゴム(HSBR)、ブチレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエン、及びポリイソプレンが挙げられる。
アクリル樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸イソプロピル、ポリ(メタ)アクリル酸イソブチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸ヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸オクチル、ポリ(メタ)アクリル酸ドデシル、ポリ(メタ)アクリル酸ステアリル、ポリ(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル、ポリ(メタ)アクリル酸グリシジル、ポリ(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、及び上記樹脂を形成するモノマーの共重合体が挙げられる。
バインダーとしては、例えば、ビニル系モノマーの共重合体も挙げられる。ビニル系モノマーの共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル-アクリロニトリル共重合体、及び(メタ)アクリル酸ブチル-アクリロニトリル-スチレン共重合体が挙げられる。
バインダーの重量平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、50,000以上であることが特に好ましい。バインダーの重量平均分子量は、1,000,000以下であることが好ましく、200,000以下であることがより好ましく、100,000以下であることが特に好ましい。
バインダーにおける水分濃度は、質量基準で、100ppm以下であることが好ましい。
バインダーにおける金属濃度は、質量基準で、100ppm以下であることが好ましい。
電極材料は、1種単独のバインダーを含んでいてもよく、又は2種以上のバインダーを含んでいてもよい。
電極材料がバインダーを含む場合、バインダーの含有量は、界面抵抗の低減性、及びその維持性の観点から、電極材料の全固形分質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。バインダーの含有量は、電池性能の観点から、電極材料の全固形分質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
電極材料が、電極活物質、無機固体電解質、及びバインダーを含む場合、バインダーの質量に対する活物質及び無機固体電解質の合計質量の比([活物質の質量+無機固体電解質の質量]/[バインダーの質量])は、1,000~1であることが好ましく、500~2であることがより好ましく、100~10であることが特に好ましい。
(導電助剤)
電極材料は、活物質の電子伝導性の向上という観点から、導電助剤を含むことが好ましい。導電助剤としては、制限されず、公知の導電助剤を利用できる。特に、電極材料が正極活物質を含む場合、電極材料は、導電助剤を含むことが好ましい。
導電助剤としては、例えば、黒鉛(例えば、天然黒鉛、及び人造黒鉛)、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びファーネスブラック)、無定形炭素(例えば、ニードルコークス)、炭素繊維(例えば、気相成長炭素繊維、及びカーボンナノチューブ)、他の炭素質材料(例えば、グラフェン、及びフラーレン)、金属粉(例えば、銅粉、及びニッケル粉)、金属繊維(例えば、銅繊維、及びニッケル繊維)、及び導電性高分子(例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、及びポリフェニレン誘導体)が挙げられる。
上記の中でも、導電助剤は、炭素繊維、及び金属繊維からなる群より選択される少なくとも1種の導電助剤であることが好ましい。
導電助剤の形状としては、例えば、繊維状、針状、筒状、ダンベル状、円盤状、及び楕円球状が挙げられる。上記の中でも、導電助剤の形状は、活物質の電子伝導性の向上という観点から、繊維状であることが好ましい。
導電助剤のアスペクト比は、1.5以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。導電助剤のアスペクト比が1.5以上であることで、電極活物質の電子伝導性を向上させることができるため、電池の出力特性を向上させることができる。
導電助剤のアスペクト比は、10,000以下であることが好ましく、5,000以下であることがより好ましく、1,000以下であることが特に好ましい。さらに、導電助剤のアスペクト比は、500以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、100以下であることが特に好ましい。導電助剤のアスペクト比が10,000以下であることで、導電助剤の分散性を向上させることができ、導電助剤が電極用成形体を突き抜けることによる短絡を効率的に防止できる。
導電助剤のアスペクト比は、以下の方法により測定する。走査型電子顕微鏡(SEM)(例えば、PHILIPS社製XL30)を用いて1000倍~3000倍の観察倍率で撮影した任意の3視野のSEM像を、BMP(ビットマップ)ファイルに変換する。画像解析ソフト(例えば、旭エンジニアリング株式会社製のIP-1000PCの統合アプリケーションである「A像くん」)を用いて50個の導電助剤の画像を取り込む。各導電助剤が重なることなく観察される状態で、各導電助剤の長さの最大値と最小値とを読み取る。「導電助剤の長さの最大値」とは、導電助剤の外周のある点から他の点までの線分のうち、長さが最大となる線分の長さ(すなわち長軸長)を意味する。「導電助剤の長さの最小値」とは、導電助剤の外周のある点から他の点までの線分であって、上記最大値を示す線分と直交する線分のうち、長さが最小となる線分の長さ(すなわち短軸長)を意味する。50個の各導電助剤の長さの最大値(長軸長)のうち、上位5点及び下位5点を除く40点の平均値(A)を求める。次に、50個の各導電助剤の長さの最小値(短軸長)のうち、上位5点及び下位5点を除く40点の平均値(B)を求める。平均値(A)を平均値(B)で除することによって、導電助剤のアスペクト比を算出する。
導電助剤の短軸長は、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。
導電助剤の短軸長は、1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることが特に好ましい。
導電助剤の短軸長は、導電助剤のアスペクト比の測定方法において算出される50個の各導電助剤の長さの最小値である。
導電助剤の短軸長の平均値は、8μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、3μm以下であることが特に好ましい。
導電助剤の短軸長の平均値は、1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましく、3nm以上であることが特に好ましい。
導電助剤の短軸長の平均値は、導電助剤のアスペクト比の測定方法において算出される50個の各導電助剤の長さの最小値(短軸長)のうち、上位1割(すなわち上位5点)及び下位1割(すなわち下位5点)を除いた各導電助剤の短軸長の平均値である。
電極材料は、1種単独の導電助剤を含んでいてもよく、又は2種以上の導電助剤を含んでいてもよい。
電極材料が導電助剤を含む場合、導電助剤の含有量は、活物質の電子伝導性の向上という観点から、電極材料の全固形分質量に対して、0質量%を超え10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%~8質量%であることがより好ましく、1質量%~7質量%であることが特に好ましい。
(リチウム塩)
電極材料は、電池性能の向上の観点から、リチウム塩を含むことが好ましい。リチウム塩としては、制限されず、公知のリチウム塩を利用できる。
リチウム塩としては、特開2015-088486号公報の段落0082~段落0085に記載のリチウム塩が好ましい。
電極材料は、1種単独のリチウム塩を含んでいてもよく、又は2種以上のリチウム塩を含んでいてもよい。
電極材料がリチウム塩を含む場合、リチウム塩の含有量は、電極材料の全固形分質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましい。
(分散剤)
電極材料は、分散剤を含むことが好ましい。電極材料が分散剤を含むことで、電極活物質、及び無機固体電解質のいずれか一方の濃度が高い場合における凝集を抑制できる。
分散剤としては、制限されず、公知の分散剤を利用できる。分散剤としては、分子量が200以上3,000未満の低分子又はオリゴマーからなり、下記官能基群(I)で示される官能基と、炭素数が8以上のアルキル基又は炭素数が10以上のアリール基と、を同一分子内に有する化合物が好ましい。
官能基群(I)は、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、アルコキシシリル基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、シアノ基、スルファニル基、及びヒドロキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基であり、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、アルコキシシリル基、シアノ基、スルファニル基、及びヒドロキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基であることが好ましく、カルボキシ基、スルホン酸基、シアノ基、アミノ基、及びヒドロキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基であることがより好ましい。
電極材料は、1種単独の分散剤を含んでいてもよく、又は2種以上の分散剤を含んでいてもよい。
電極材料が分散剤を含む場合、分散剤の含有量は、凝集防止と電池性能との両立の観点から、電極材料の全固形分質量に対して、0.2質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。
(液体成分)
電極材料は、液体成分を含んでいてもよい。液体成分としては、例えば、電解液が挙げられる。
電解液としては、制限されず、公知の電解液を利用できる。電解液としては、例えば、電解質と、溶剤と、を含む電解液が挙げられる。具体的な電解液としては、例えば、電解質としてリチウム塩化合物と、溶剤としてカーボネート化合物と、を含む電解液が挙げられる。
リチウム塩化合物としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウムが挙げられる。電解液は、1種単独のリチウム塩化合物を含んでいてもよく、又は2種以上のリチウム塩化合物を含んでいてもよい。
カーボネート化合物としては、例えば、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、及び炭酸プロピレンが挙げられる。電解液は、1種単独のカーボネート化合物を含んでいてもよく、又は2種以上のカーボネート化合物を含んでいてもよい。
電解液に含まれる電解質としては、例えば、上記「無機固体電解質」の項において説明した材料も挙げられる。
電解液の成分として、例えば、イオン液体を用いてもよい。イオン液体は、電解質として用いても溶剤として用いてもよい。
電極材料における電解液の含有量は、電極材料の全質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。電極材料における電解液の含有量が30質量%以下であることで、電極材料を成形した際に電解液が滲み出ることを抑制することができる。
電極材料における電解液の含有量は、電池性能の向上の観点から、電極材料の全質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。
電極材料は、液体成分として、電解液の成分として含まれる溶剤以外の溶剤(以下、単に「溶剤」ともいう。)を含んでいてもよい。溶剤としては、例えば、アルコール化合物溶剤、エーテル化合物溶剤、アミド化合物溶剤、アミノ化合物溶剤、ケトン化合物溶剤、芳香族化合物溶剤、脂肪族化合物溶剤、及びニトリル化合物溶剤が挙げられる。
アルコール化合物溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1-プロピルアルコール、2-プロピルアルコール、2-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、及び1,4-ブタンジオールが挙げられる。
エーテル化合物溶剤としては、例えば、アルキレングリコールアルキルエーテル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサンが挙げられる。
アミド化合物溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、1-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、2-ピロリジノン、ε-カプロラクタム、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロパンアミド、及びヘキサメチルホスホリックトリアミドが挙げられる。
アミノ化合物溶剤としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及びトリブチルアミンが挙げられる。
ケトン化合物溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサノンが挙げられる。
芳香族化合物溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどが挙げられる。
脂肪族化合物溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、及びデカンが挙げられる。
ニトリル化合物溶剤としては、例えば、アセトニトリル、プロピロニトリル、及びイソブチロニトリルが挙げられる。
溶剤は、ニトリル化合物溶剤、芳香族化合物溶剤、及び脂肪族化合物溶剤からなる群より選択される少なくとも1種の溶剤であることが好ましく、イソブチロニトリル、トルエン、及びヘプタンからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤であることがより好ましく、トルエン、及びヘプタンからなる群より選択される少なくとも1種の溶剤であることが特に好ましい。
溶剤の沸点は、常圧(すなわち1気圧)において、50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。溶剤の沸点は、常圧(すなわち1気圧)において、250℃以下であることが好ましく、220℃以下であることがより好ましい。
電極材料は、1種単独の溶剤を含んでいてもよく、又は2種以上の溶剤を含んでいてもよい。
電極材料における溶剤(電解液の成分として含まれる溶剤を含む。以下、本段落において同じ。)の含有量は、電極材料の全質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。電極材料における溶剤の含有量が30質量%以下であることで、電池性能の劣化を抑制することができ、また、電極材料を成形した際に溶剤が滲み出ることを抑制することができる。電極材料における溶剤の含有量の下限は、制限されない。電極材料における溶剤の含有量は、0質量%以上の範囲で決定すればよい。電極材料における溶剤の含有量は、0質量であってもよく、又は0質量%を超えてもよい。
電極材料における液体成分の含有量は、電極材料の全質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。電極材料における液体成分の含有量が30質量%以下であることで、電極材料を成形した際に液体成分が滲み出ることを抑制することができる。また、液体成分が溶剤を含む場合には、電池性能の劣化を抑制することができる。電極材料における液体成分の含有量の下限は、制限されない。電極材料における液体成分の含有量は、0質量%以上の範囲で決定すればよい。電極材料における液体成分の含有量は、0質量であってもよく、又は0質量%を超えてもよい。
上記の他、電極材料としては、例えば、以下の材料を用いることもできる。
(1)特開2017-104784号公報の段落0029~段落0037に記載の造粒体。
(2)特開2016-059870号公報の段落0054に記載の正極合剤塗料。
(3)特開2016-027573号公報の段落0017~段落0070に記載の複合粒子。
(4)特許第6402200号公報の段落0020~段落0033に記載の複合粒子。
(5)特開2019-046765号公報の段落0040~段落0065に記載の電極組成物。
(6)特開2017-054703号公報の段落0080~段落0114に記載の材料(例えば、活物質、正極スラリー、及び負極スラリー)。
(7)特開2014-198293号公報に記載の粉体。
(8)特開2016-062654号公報の段落0024~段落0025、段落0028、及び段落0030~段落0032に記載の活物質、バインダー、及び複合粒子。
(形状)
電極材料の形状は、制限されない。電極材料は、電池性能の観点から、粒子状の電極材料(すなわち、粉体)であることが好ましい。
(電極材料の調製方法)
電極材料は、例えば、電極活物質と、必要に応じて、電極活物質以外の上記成分と、を混合することによって調製できる。混合方法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、プラネタリミキサー、ブレードミキサー、ロールミル、ニーダー、又はディスクミルを用いる方法が挙げられる。
<<供給工程>>
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、支持体上に電極材料を供給する工程(供給工程)を含む。
[支持体]
支持体としては、制限されず、公知の支持体を利用できる。
支持体の線膨張係数は、20×10-6/℃以上であることが好ましく、30×10 /℃以上であることがより好ましく、50×10-6/℃以上であることが特に好ましい。支持体の線膨張係数が20×10-6/℃以上であることで、電極材料と支持体との密着性をより向上させることができる。支持体の線膨張係数は、180×10-6/℃以下であることが好ましく、150×10-6/℃以下であることがより好ましく、120×10-6/℃以下であることが特に好ましい。支持体の線膨張係数が180×10-6/℃以下であることで、加熱による支持体の変形を抑制することができる。
線膨張係数は、熱機械分析(TMA)によって測定する。測定装置としては、熱機械分析装置(例えば、TMA8310L、株式会社リガク製)を用いる。具体的な測定条件を以下に示す。ただし、下記の寸法を有する試料を準備できない場合、又は下記の試料寸法が熱機械分析装置の許容範囲を超える場合には、測定可能な試料寸法の範囲内で、下記の寸法に可能な限り近い寸法を有する試料を準備する。
(1)測定モード:引張
(2)昇温速度:5℃/分
(3)温度範囲:20℃~200℃
(4)荷重:98mN(一定荷重)
(5)雰囲気:窒素
(6)試料寸法:長さ5mm×幅25mm×厚さ1mm
支持体の材料としては、例えば、金属、及び樹脂が挙げられる。
金属としては、例えば、アルミニウム、及びステンレス鋼が挙げられる。金属を含む支持体としては、金属箔が好ましい。
樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンナフタレートが挙げられる。樹脂を含む支持体としては、樹脂フィルムが好ましい。
支持体は、紙であってもよい。紙としては、例えば、離型紙が挙げられる。
支持体は、集電体であってもよい。集電体としては、制限されず、公知の集電体を利用できる。支持体が集電体であることで、電極材料を集電体上に容易に配置することができ、さらに、生産性を向上させることもできる。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、及びチタンが挙げられる。正極集電体は、アルミニウム、又はアルミニウム合金であることが好ましい。正極集電体は、表面にカーボン、ニッケル、チタン、若しくは銀を含む被覆層を有する、アルミニウム、又はステンレス鋼であることも好ましい。
負極集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、及びチタンが挙げられる。負極集電体は、アルミニウム、銅、銅合金、又はステンレス鋼であることが好ましく、銅、又は銅合金であることがより好ましい。負極集電体は、表面にカーボン、ニッケル、チタン、若しくは銀を含む被覆層を有する、アルミニウム、銅、銅合金、又はステンレス鋼であることも好ましい。
集電体としては、アルミニウム箔、又は銅箔であることが好ましい。アルミニウム箔は、通常、正極における集電体として利用される。銅箔は、通常、負極における集電体として利用される。
支持体は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、シリコーンコーティング、及びフッ素コーティングが挙げられる。
支持体の形状は、制限されない。支持体の形状は、平板状であることが好ましい。
支持体の厚さは、制限されない。支持体の平均厚さは、大面積化の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることが特に好ましい。支持体の平均厚さは、柔軟性、及び軽量性の観点から、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが特に好ましい。支持体の平均厚さは、断面観察によって測定される3か所の厚さの算術平均とする。断面観察においては、公知の顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡)を用いることができる。
[供給方法]
電極材料を供給する方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。電極材料を供給する方法としては、例えば、供給装置を用いる方法が挙げられる。
供給装置としては、例えば、スクリューフィーダー、ディスクフィーダー、ロータリーフィーダー、及びベルトフィーダーが挙げられる。供給装置の内部は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、シリコーンコーティング、及びフッ素コーティングが挙げられる。
電極材料を供給する方法としては、吐出口から電極材料を吐出することによって、支持体上に電極材料を供給する方法も挙げられる。吐出口から電極材料を吐出する方法においては、吐出口を有する供給装置を用いてもよい。吐出口を有する供給装置を用いる場合、供給装置の吐出口から電極材料を吐出することができる。吐出口は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、シリコーンコーティング、及びフッ素コーティングが挙げられる。
吐出口は、電極材料の飛散による汚染を防止する観点から、電極材料の供給を制御する開閉機構を有することが好ましい。ここで、「開閉機構」とは、電極材料の流路を開閉できる可動機構を意味する。開閉機構に用いられる弁体としては、例えば、板状の弁体、及び球状の弁体が挙げられる。
供給装置を用いて電極材料を供給する場合、開閉機構は、供給装置から吐出口までの電極材料の流路に配置されることも好ましい。
供給工程において、吐出口と支持体とを相対的に移動させながら、支持体上に電極材料を供給することが好ましい。上記方法によって電極材料を供給することで、電極材料の分散性を向上させることができるため、質量分布の均一性に優れる電極用成形体を得ることができる。
本開示において、「吐出口と支持体とを相対的に移動させる」とは、支持体に対して吐出口を移動させること、吐出口に対して支持体を移動させること、及び吐出口と支持体とをそれぞれ移動させることを含む。吐出口と支持体とをそれぞれ移動させる場合、例えば、同一の方向軸に沿って互いに離間する方向に、吐出口と支持体とをそれぞれ移動させてもよい。また、吐出口と支持体とをそれぞれ移動させる場合、吐出口と支持体とを互いに直交する方向に移動させてもよい。例えば、支持体の幅方向(例えば、TD:Transverse Direction)に吐出口を移動させること、及び支持体の幅方向に直交する方向(例えば、MD:Machine Direction)に支持体を移動させることを組み合わせてもよい。
供給工程においては、生産性の向上の観点から吐出口に対して支持体を移動させることが好ましい。
支持体の搬送手段としては、制限されず、公知の搬送手段を利用できる。支持体の搬送手段としては、例えば、ベルトコンベア、リニアモーションガイド、及びクロスローラーテーブルが挙げられる。
電極材料の供給量は、安定性の観点から、0.01kg/分~100kg/分であることが好ましく、0.1kg/分~10kg/分であることがより好ましく、0.5kg/分~5kg/分であることが特に好ましい。
支持体への電極材料の供給量は、電池性能の観点から、10mg/cm~1,000mg/cmであることが好ましく、30mg/cm~700mg/cmであることがより好ましく、50mg/cm~500mg/cmであることが特に好ましい。
<<第1の加圧工程>>
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、電極材料に接触する第1のロールと支持体に接触する第2のロールとの間に、支持体、及び電極材料を挟むことによって、支持体上の電極材料を加圧する工程(第1の加圧工程)を含む。
本開示において、「電極材料に接触する」とは、電極材料に直接的に接触することに限られず、電極材料の支持体が配置された面とは反対側の面に他の部材(例えば、後述する第2の支持体)が配置されている場合には、上記他の部材を介して電極材料に間接的に接触することを含む。
本開示において、「支持体に接触する」とは、支持体に直接的に接触することに限られず、支持体の電極材料が配置された面とは反対側の面に他の部材が配置されている場合には、上記他の部材を介して間接的に支持体に接触することを含む。
[第1のロール]
第1の加圧工程において用いられる第1のロールは、電極材料に接触して電極材料を加圧する。第1の加圧工程において、第1のロールは、電極材料に直接的に接触することが好ましい。
第1のロールは、支持体上の電極材料を加圧する際に電極材料に接触する位置に設けられていればよい。第1のロールは、電極材料を加圧する機能を有する限り、移動可能であってもよい。
第1のロールの材料としては、例えば、ステンレス鋼、及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が挙げられる。第1のロールは、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、シリコーンコーティング、及びフッ素コーティングが挙げられる。
第1のロールの直径は、制限されない。第1のロールの直径は、例えば、φ50mm~φ800mmの範囲で決定すればよい。
[第2のロール]
第1の加圧工程において用いられる第2のロールは、支持体に接触して電極材料を加圧する。第1の加圧工程において、第2のロールは、支持体に直接的に接触することが好ましい。
第2のロールは、支持体上の電極材料を加圧する際に支持体に接触する位置に設けられていればよい。第2のロールは、電極材料を加圧する機能を有する限り、移動可能であってもよい。第2のロールは、通常、第1のロールの主面に対向して配置される。第1のロール、及び第2のロールは、一対のプレスロールを構成することが好ましい。
第2のロールの材料としては、例えば、ステンレス鋼、及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が挙げられる。第2のロールの材料は、第1のロールの材料と同じであっても異なっていてもよい。第2のロールは、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、シリコーンコーティング、及びフッ素コーティングが挙げられる。第2のロールに施される表面処理は、第1のロールに施される表面処理と同じであっても異なっていてもよい。
第2のロールの直径は、制限されない。第2のロールの直径は、例えば、φ50mm~φ800mmの範囲で決定すればよい。第2のロールの直径は、第1のロールの直径と同じであっても異なっていてもよい。
[温度]
第1の加圧工程において、第1のロールの温度T1(以下、単に「温度T1」という場合がある。)、及び第2のロールの温度T2(以下、単に「温度T2」という場合がある。)は、T1>T2の関係を満たす。第1のロールの温度T1、及び第2のロールの温度T2がT1>T2の関係を満たすことで、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れる電極用成形体を製造することができる。
本開示において、「ロールの温度」とは、温度調節手段によって調節されるロールの設定温度を意味する。ただし、温度調節手段によってロールの温度を調節しない場合、「ロールの温度」とは、ロールの表面温度を意味する。
支持体の変形を抑制するという観点から、温度T1と温度T2との差は大きいほどよい。温度T1と温度T2の差の絶対値は、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることがさらに好ましく、40℃以上であることが特に好ましい。温度T1と温度T2の差の絶対値の上限は、制限されない。温度T1と温度T2の差の絶対値は、例えば、220℃以下の範囲で決定すればよい。
温度T1は、30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが特に好ましい。温度T1が30℃以上であることで、電極材料と支持体との密着性をより向上させることができ、また、電極材料の成形性を向上させることもできる。温度T1は、70℃以下であることが好ましく、65℃以下であることがより好ましく、60℃以下であることが特に好ましい。温度T1が70℃以下であることで、質量分布の均一性に優れる電極用成形体を製造することができる。
温度T2は、30℃以下であることが好ましく、25℃以下であることがより好ましく、20℃以下であることが特に好ましい。温度T2が30℃以下であることで、支持体の変形を抑制することができるため、質量分布の均一性に優れる電極用成形体を製造することができる。温度T2の下限は、制限されない。温度T2は、例えば、0℃以上(好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上)の範囲で決定すればよい。
[圧力]
第1の加圧工程における圧力P1は、5MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましい。圧力P1は、1GPa以下であることが好ましく、500MPa以下であることがより好ましく、300MPa以下であることが特に好ましい。圧力P1が上記範囲であることで、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れる電極用成形体を製造することができる。圧力P1の測定方法を以下に説明する。まず、第1のロールと第2のロールとの間に圧力測定フィルム(例えば、プレスケール、富士フイルム株式会社製)を挟み、第1のロールと第2のロールとの間に1mの圧力測定フィルムを通過させながら、第1の加圧工程の条件(例えば、圧力設定、温度設定、及び速度設定)と同じ条件で圧力測定フィルムを加圧する。次に、圧力測定フィルムのうち安定した条件で加圧された部分から、圧力測定フィルムの長さ方向(すなわち、圧力測定フィルムの搬送方向)に30cmの長さを有する四角形の試験片を採取する。言い換えると、条件の変動(例えば、ロールの回転速度の上昇又は低下)によって不安定な測定が行われた部分を除いた圧力測定フィルムから、試験片を採取する。試験片の幅は、少なくとも30cmである。次に、試験片の長さ方向(すなわち、圧力測定フィルムの搬送方向)に平行であり、かつ、試験片を5等分する5本の直線と、試験片の幅方向(すなわち、圧力測定フィルムの搬送方向に直交する方向)に平行であって、試験片を5等分する5本の直線とが交わる合計25か所の交点における圧力をそれぞれ計測する。例えば、富士フイルム株式会社製のプレスケールによれば、圧力の大きさに応じて得られる発色濃度に基づいて圧力を計測することができる。合計25点の測定値の算術平均を、圧力P1とする。
<<第2の加圧工程>>
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、第1の加圧工程の後に、電極材料に接触する第3のロールと支持体に接触する第4のロールとの間に、支持体、及び電極材料を挟むことによって、支持体上の電極材料を加圧する工程(以下、「第2の加圧工程」という場合がある。)を含むことが好ましい。本開示に係る電極用成形体の製造方法が第2の加圧工程を含むことで、質量分布の均一性に優れる電極用成形体を製造することができる。
[第3のロール]
第3のロールは、電極材料に接触して電極材料を加圧する。第2の加圧工程において、第3のロールは、電極材料に直接的に接触することが好ましい。
第3のロールは、支持体上の電極材料を加圧する際に電極材料に接触する位置に設けられていればよい。第3のロールは、電極材料を加圧する機能を有する限り、移動可能であってもよい。
第3のロールの材料としては、例えば、上記「第1のロール」の項において説明した材料が挙げられる。第3のロールは、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、シリコーンコーティング、及びフッ素コーティングが挙げられる。
第3のロールの直径としては、例えば、上記「第1のロール」の項において説明した直径が挙げられる。第3のロールの直径は、加圧する際にロールが撓むことで圧力の均一性が損なわれるという圧力の不均一化を抑制する観点から、第1のロールの直径よりも大きいことが好ましい。
[第4のロール]
第4のロールは、支持体に接触して電極材料を加圧する。第2の加圧工程において、第4のロールは、支持体に直接的に接触することが好ましい。
第4のロールは、支持体上の電極材料を加圧する際に支持体に接触する位置に設けられていればよい。第4のロールは、電極材料を加圧する機能を有する限り、移動可能であってもよい。第4のロールは、通常、第3のロールの主面に対向して配置される。第3のロール、及び第4のロールは、一対のプレスロールを構成することが好ましい。
第4のロールの材料としては、例えば、上記「第2のロール」の項において説明した材料が挙げられる。第4のロールの材料は、第3のロールの材料と同じであっても異なっていてもよい。第4のロールは、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、シリコーンコーティング、及びフッ素コーティングが挙げられる。第4のロールに施される表面処理は、第3のロールに施される表面処理と同じであっても異なっていてもよい。
第4のロールの直径としては、例えば、上記「第2のロール」の項において説明した直径が挙げられる。第4のロールの直径は、第3のロールの直径と同じであっても異なっていてもよい。第4のロールの直径は、加圧する際にロールが撓むことで圧力の均一性が損なわれるという圧力の不均一化を抑制する観点から、第2のロールの直径よりも大きいことが好ましい。
[温度]
第3のロールの温度T3(以下、単に「温度T3」という場合がある。)、及び第4のロールの温度T4(以下、単に「温度T4」という場合がある。)は、T3>T4の関係を満たすことが好ましい。第3のロールの温度T3、及び第4のロールの温度T4がT3>T4の関係を満たすことで、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れる電極用成形体を製造することができる。
支持体の変形を抑制するという観点から、温度T3と温度T4との差は大きいほどよい。温度T3と温度T4の差の絶対値は、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましく、80℃以上であることが特に好ましい。温度T3と温度T4の差の絶対値の上限は、制限されない。温度T3と温度T4の差の絶対値は、例えば、220℃以下の範囲で決定すればよい。
温度T3は、70℃以上であることが好ましく、85℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることが特に好ましい。温度T3が70℃以上であることで、電極材料と支持体との密着性をより向上させることができ、また、電極材料の成形性を向上させることもできる。温度T3は、130℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましい。温度T1が130℃以下であることで、質量分布の均一性に優れる電極用成形体を製造することができる。
温度T4は、30℃以下であることが好ましく、25℃以下であることがより好ましく、20℃以下であることが特に好ましい。温度T4が30℃以下であることで、支持体の変形を抑制することができるため、質量分布の均一性に優れる電極用成形体を製造することができる。温度T4の下限は、制限されない。温度T4は、例えば、0℃以上(好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上)の範囲で決定すればよい。
本開示に係る電極用成形体の製造方法が第2の加圧工程を含む場合、温度T1、及び温度T3は、T1<T3の関係を満たすことが好ましい。温度T1、及び温度T3がT1<T3の関係を満たすことで、質量分布の均一性に優れる電極用成形体を製造することができる。温度T1、及び温度T3がT1<T3の関係を満たす場合、温度T1と温度T3の差の絶対値は、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、30℃以上であることがさらに好ましく、40℃以上であることが特に好ましい。温度T1と温度T3の差の絶対値の上限は、制限されない。温度T1と温度T3の差の絶対値は、例えば、200℃以下の範囲で決定すればよい。
本開示に係る電極用成形体の製造方法が第2の加圧工程を含む場合、温度T2、及び温度T4は、同じであっても異なっていてもよい。
[圧力]
第2の加圧工程における圧力P2は、20MPa以上であることが好ましく、50MPa以上であることがより好ましく、100MPa以上であることが特に好ましい。第2の加圧工程における圧力P2は、1GPa以下であることが好ましく、500MPa以下であることがより好ましく、300MPa以下であることが特に好ましい。第2の加圧工程における圧力P2が上記範囲であることで、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れる電極用成形体を製造することができる。圧力P2は、公知の圧力測定フィルム(例えば、プレスケール、富士フイルム株式会社製)によって測定する。具体的には、上記した圧力P1の測定方法に準ずる方法によって、圧力P2を測定する。
本開示に係る電極用成形体の製造方法が第2の加圧工程を含む場合、第2の加圧工程における圧力P2は、第1の加圧工程における圧力P1よりも大きいことが好ましい。すなわち、圧力P1、及び圧力P2は、P1<P2の関係を満たすことが好ましい。圧力P1、及び圧力P2がP1<P2の関係を満たすことで、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れる電極用成形体を製造することができる。同様の観点から、圧力P1に対する、圧力P2の比(すなわちP2/P1)は、2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であることが特に好ましい。P2/P1の上限は、制限されない。P2/P1は、例えば、25以下の範囲で決定すればよい。
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、複数の第2の加圧工程を含んでいてもよい。本開示に係る電極用成形体の製造方法が複数の第2の加圧工程を含む場合、例えば、第1の加圧工程の後、複数の第2の加圧工程を順次実施すればよい。
本開示に係る電極用成形体の製造方法が複数の第2の加圧工程を含む場合、n番目の第2の加圧工程における第3のロールの温度T3、及びn+1番目の第2の加圧工程における第3のロールの温度Tn+13は、T3<Tn+13の関係を満たすことが好ましい。nは、1以上の整数を表す。温度T3、及び温度Tn+13がT3<Tn+13の関係を満たすことで、質量分布の均一性に優れる電極用成形体を製造することができる。
本開示に係る電極用成形体の製造方法が複数の第2の加圧工程を含む場合、n+1番目の第2の加圧工程における圧力Pn+12は、n番目の第2の加圧工程における圧力P2よりも大きいことが好ましい。すなわち、圧力P2、及び圧力Pn+12は、P2<Pn+12の関係を満たすことが好ましい。nは、1以上の整数を表す。圧力Pn+12が圧力P2よりも大きいことで、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れる電極用成形体を製造することができる。
<<他の工程>>
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、上記工程以外の工程(以下、「他の工程」という。)を含んでいてもよい。以下、他の工程について説明する。
[第3の加圧工程]
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、第1の加圧工程、及び第2の加圧工程以外に、支持体上の電極材料を加圧する工程(以下、「第3の加圧工程」という場合がある。)を含んでいてもよい。
第3の加圧工程を実施する時期は、制限されない。第3の加圧工程は、供給工程と第1の加圧工程との間に実施されてもよい。第3の加圧工程は、第1の加圧工程と第2の加圧工程との間に実施されてもよい。第3の加圧工程は、第2の加圧工程の後に実施されてもよい。
電極材料を加圧する方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。電極材料を加圧する方法としては、例えば、加圧部材を用いる方法が挙げられる。例えば、加圧部材と電極材料とを接触させることによって、支持体上の電極材料を加圧することができる。
加圧部材としては、例えば、ロール、ベルト、及びプレスが挙げられる。加圧部材は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、シリコーンコーティング、及びフッ素コーティングが挙げられる。
加圧部材は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。第3の加圧工程においては、例えば、1対のロールを用いてもよく、ロールとベルトとを組み合わせて用いてもよく、又は2つのベルトを用いてもよい。例えば、1対のロールを用いて電極材料を加圧する場合、ロールとロールとの間に、支持体、及び電極材料を挟むことによって、電極材料を加圧することができる。
加圧部材の温度は、例えば、温度調節手段によって調節してもよい。第3の加圧工程が供給工程と第1の加圧工程との間に実施される場合、電極材料に接触する加圧部材の温度は、第1の加圧工程において用いられる第1のロールの温度T1未満であることが好ましい。第3の加圧工程が第1の加圧工程と第2の加圧工程との間に実施される場合、電極材料に接触する加圧部材の温度は、第1の加圧工程において用いられる第1のロールの温度T1以上であり、かつ、第2の加圧工程において用いられる第3のロールの温度T3未満であることが好ましい。第3の加圧工程が第2の加圧工程の後に実施される場合、電極材料に接触する加圧部材の温度は、第2の加圧工程において用いられる第3のロールの温度T3以上であることが好ましい。電極材料に接触する加圧部材の温度は、例えば、0℃~100℃の範囲で決定すればよい。
第3の加圧工程においては、電極材料に接触する加圧部材に加えて、支持体に接触する加圧部材を用いてもよい。支持体に接触する加圧部材の温度は、電極材料に接触する加圧部材の温度よりも低いことが好ましい。支持体に接触する加圧部材の温度は、例えば、0℃~30℃の範囲で決定すればよい。
第3の加圧工程における圧力は、制限されない。圧力は、例えば、5MPa~1GPaの範囲で決定すればよい。
[均し工程]
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、供給工程と第1の加圧工程との間に、支持体上の電極材料を均す工程(以下、「均し工程」という場合がある。)を含んでいてもよい。本開示に係る電極用成形体の製造方法が均し工程を含むことで、質量分布の均一性に優れる電極用成形体を製造することができる。本開示において、「電極材料を均す」とは、電極材料表面の凹凸を少なくすることを意味し、電極材料表面を平らにすることに限られない。
支持体上の電極材料を均す方法としては、制限されず、公知の方法を利用できる。電極材料を均す方法としては、例えば、均し部材を用いる方法が挙げられる。例えば、均し部材を電極材料に接触させることによって、電極材料を均すことができる。
均し部材としては、例えば、ロール、プレス、スクレーパー、及び板状の部材(例えば、スキージ)が挙げられる。上記の中でも、均し部材は、連続性の観点から、ロールであることが好ましい。均し部材は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、シリコーンコーティング、及びフッ素コーティングが挙げられる。
均し部材の温度は、第1の加圧工程において用いられる第1のロールの温度T1よりも低いことが好ましい。具体的に、均し部材の温度は、60℃未満であることが好ましく、30℃以下であることが好ましく、25℃以下であることがより好ましい。均し部材の温度の下限は、制限されない。均し部材の温度は、例えば、5℃以上、10℃以上、又は15℃以上であってもよい。均し部材が温度調節手段を有する場合、均し部材の温度は、温度調節手段によって調節される均し部材の設定温度を指す。均し部材が温度調節手段を有しない場合、均し部材の温度は、均し部材の表面温度を指す。
均し工程において、電極材料と均し部材とを相対的に移動させてもよい。例えば、電極材料と均し部材とを相対的に移動させながら、支持体上の電極材料を均すことができる。本開示において、「電極材料と均し部材とを相対的に移動させる」とは、電極材料に対して均し部材を移動させること、均し部材に対して電極材料を移動させること、及び電極材料と均し部材とをそれぞれ移動させることを含む。電極材料と均し部材とをそれぞれ移動させる場合、同一の方向軸に沿って互いに離間する方向に、電極材料と均し部材とをそれぞれ移動させることが好ましい。
[被覆工程]
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、電極材料の支持体(上記「支持体」の項で説明した支持体をいう。)が配置される面とは反対側の面に他の支持体(以下、この項において「第2の支持体」という。)を配置する工程(以下、「被覆工程」という場合がある。)を含んでいてもよい。本開示に係る電極用成形体の製造方法が被覆工程を含む場合、上記「支持体」の項で説明した支持体を「第1の支持体」という。
被覆工程を実施する時期は、制限されない。例えば、被覆工程は、供給工程と同時又は供給工程後に実施されてもよい。被覆工程は、供給工程と第1の加圧工程との間に実施されてもよい。被覆工程は、第1の加圧工程と同時に実施されてもよい。また、例えば、本開示に係る電極用成形体の製造方法が第2の加圧工程を含む場合、被覆工程は、第1の加圧工程と第2の加圧工程との間に実施されてもよい。被覆工程は、第2の加圧工程と同時又は第2の加圧工程の後に実施されてもよい。
第2の支持体としては、例えば、上記「支持体」の項において説明した支持体が挙げられる。第1の支持体が集電体以外の部材である場合、第2の支持体は、集電体であることが好ましい。
第2の支持体の形状は、制限されない。第2の支持体の形状は、平板状であることが好ましい。
第2の支持体の厚さは、制限されない。第2の支持体の平均厚さは、自己支持性、搬送性、及び貫通耐性の観点から、1μm~500μmであることが好ましく、3μm~300μmであることがより好ましく、5μm~200μmであることが特に好ましい。第2の支持体の平均厚さは、断面観察によって測定される3か所の厚さの算術平均とする。断面観察においては、公知の顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡)を用いることができる。
[転写工程]
本開示に係る電極用成形体の製造方法は、加圧工程後に、電極材料を他の支持体(以下、この項において「第2の支持体」という場合がある。)上に転写する工程(以下、「転写工程」という場合がある。)を含んでいてもよい。本開示において、「電極材料を他の支持体上に転写する」とは、電極材料を他の支持体上に配置することを意味する。本開示に係る電極用成形体の製造方法が転写工程を含む場合、上記「支持体」の項で説明した支持体を「第1の支持体」という。
転写工程においては、例えば、第1の支持体、及び電極材料の位置関係を上下に反転させながら、電極材料と第2の支持体とを接触させることで、電極材料を第2の支持体上に転写することができる。本開示に係る電極用成形体の製造方法が被覆工程を含む場合、例えば、第1の支持体、電極材料、及び第2の支持体の位置関係を上下に反転させることによって、電極材料を第2の支持体上に転写することができる。
転写工程において用いられる他の支持体(第2の支持体)は、上記「被覆工程」の項において説明した第2の支持体と同義であり、好ましい態様も同様である。
次に、本開示に係る電極用成形体の製造方法ついて図面を参照して説明する。図1は、本開示に係る電極用成形体の製造方法の一例を示す概略図である。
図1において、支持体20の上方に吐出口30が配置されている。吐出口30は、供給装置(不図示)に連結しており、電極材料10を吐出することができる。
図1において、搬送方向(矢印方向)に沿って、均しロール80、第1のロール40と第2のロール50とを含む一対のプレスロール、及び第3のロール60と第4のロール70とを含む一対のプレスロールが配置されている。
第1のロール40は、搬送方向(矢印方向)において、均しロール80と第3のロール60との間に、電極材料10に接触して電極材料10を押圧することができる位置に設けられている。
第2のロール50は、搬送方向(矢印方向)において、第1のロール40に対向して配置され、支持体20に接触して支持体20を押圧することができる。
第3のロール60は、搬送方向(矢印方向)において、第1のロール40よりも搬送方向(矢印方向)の下流側に、電極材料10に接触して電極材料10を押圧することができる位置に設けられている。
第4のロール70は、搬送方向(矢印方向)において、第3のロール60に対向して配置され、支持体20に接触して支持体20を押圧することができる。
均し部材の一例である均しロール80は、搬送方向(矢印方向)において、吐出口30と第1のロール40との間に、電極材料10に接触して電極材料10を均すことができる位置に設けられている。
例えば図1に示すように、供給工程においては、吐出口30から電極材料10を吐出することで、支持体20の上に電極材料10を供給する。支持体20の上に供給された電極材料10は、支持体20と共に搬送方向(矢印方向)に搬送される。
例えば図1に示すように、均し工程においては、支持体20、及び電極材料10を搬送方向(矢印方向)に搬送しながら、電極材料10と均しロール80とを接触させることによって、電極材料10を均す。
例えば図1に示すように、第1の加圧工程においては、支持体20、及び電極材料10を搬送方向(矢印方向)に搬送しながら、第1のロール40と第2のロール50との間に、支持体20、及び電極材料10を挟むことによって、支持体20上の電極材料10を加圧する。第1の加圧工程において、第1のロール40の温度T1、及び第2のロール50の温度T2は、T1>T2の関係を満たす。
例えば図1に示すように、第2の加圧工程においては、支持体20、及び電極材料10を搬送方向(矢印方向)に搬送しながら、第3のロール60と第4のロール70との間に、支持体20、及び電極材料10を挟むことによって、支持体20上の電極材料10を加圧する。第2の加圧工程において、第3のロール60の温度T3、及び前記第4のロール70の温度T4は、T3>T4の関係を満たす。
<<電極用成形体>>
本開示に係る電極用成形体の製造方法によって得られる電極用成形体は、電極材料の成形物である。本開示に係る電極用成形体の製造方法によって得られる電極用成形体は、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れるため、種々の電極として用いることができる。電極用成形体は、全固体二次電池の電極用成形体であることが好ましい。
電極用成形体の形状は、制限されず、例えば、用途に応じて決定すればよい。電極用成形体の形状は、平板状であることが好ましい。
電極用成形体の平均厚さは、電池性能(例えば、放電容量、及び出力特性)の向上の観点から、0.01m~2mmであることが好ましく、0.05mm~1.5mmであることがより好ましく、0.1mm~1mmであることが特に好ましい。電極用成形体の平均厚さは、断面観察によって測定される3か所の厚さの算術平均とする。断面観察においては、公知の顕微鏡(例えば、走査型電子顕微鏡)を用いることができる。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに制限されるものではない。
<実施例1>
[硫化物系無機固体電解質(Li-P-S系ガラス)の調製]
硫化物系無機固体電解質は、「T.Ohtomo,A.Hayashi,M.Tatsumisago,Y.Tsuchida,S.Hama,K.Kawamoto,Journal of Power Sources,233,(2013),pp231-235、及びA.Hayashi,S.Hama,H.Morimoto,M.Tatsumisago,T.Minami,Chem.Lett.,(2001),pp872-873」を参考にして調製した。
具体的には、アルゴン雰囲気下(露点:-70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(LiS、Aldrich社製、純度:>99.98%)2.42g、五硫化二リン(P、Aldrich社製、純度:>99%)3.9gをそれぞれ秤量した後、上記硫化リチウム、及び上記五硫化二リンを、メノウ製乳鉢を用いて、5分間混合した。なお、LiSとPとのモル比(LiS:P)は、75:25とした。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66個投入し、次いで、上記硫化リチウムと上記五硫化二リンとの混合物の全量を投入した後、アルゴン雰囲気下で容器を完全に密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP-7(商品名)に容器を取り付け、温度25℃、回転数510rpm(revolutions
per minute)で20時間メカニカルミリングを行うことによって、黄色粉体の硫化物系固体電解質(Li-P-S系ガラス)6.2gを得た。以上の工程を50回繰り返し、300gの硫化物系固体電解質を得た。
[正極用電極材料(P-1)の調製]
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、次いで、調製した上記Li-P-S系ガラス3.0gを投入した。フリッチュ社製遊星ボールミルP-7に容器を取り付け、温度25℃、回転数300rpmで2時間混合した。次に、活物質としてLCO(LiCoO、日本化学工業株式会社製)6.8g、及び導電助剤として株式会社デンカ製のLi-100(0.2g)を容器に投入し、次いで、遊星ボールミルP-7に容器を取り付け、温度25℃、回転数100rpmで10分間混合を行うことによって、粒子状の正極用電極材料(P-1)を得た。以上の工程を50回繰り返し、必要量の正極用電極材料(P-1)を得た。
[粉体シートの作製]
正極用電極材料(P-1)を、並列に4か所配置したスクリューフィーダーにそれぞれ投入した。正極用電極材料(P-1)を、各スクリューフィーダーから支持体(20μmのアルミニウム箔、線膨張係数:23×10-6/℃)にかけて、ホッパーを通じて、支持体の上に供給した。ホッパーは、電極材料の入り口を4か所及び出口を1か所有する。ホッパーの1つの吐出口から、幅方向に20mmの電極材料を供給した。次に、均しロールを用いて、支持体の上に供給された電極材料(幅方向に20mm×4本)を均した。第1の加圧工程として、1対のプレスロール(電極材料側のロール温度:60℃、支持体側のロール温度:20℃)を用いて10MPaの圧力で支持体上の電極材料を加圧した。以上の手順によって、長手方向の長さが10cm以上であり、電極材料の目付量(目標値)が100mg/cmである粉体シートを得た。
<実施例2>
第1の加圧工程における圧力を100MPaにしたこと以外は、実施例1と同様の手順によって、粉体シートを作製した。
<実施例3>
第1の加圧工程における圧力を200MPaにしたこと以外は、実施例1と同様の手順によって、粉体シートを作製した。
<実施例4>
第1の加圧工程の後、第2の加圧工程として、1対のプレスロール(電極材料側のロール温度:100℃、支持体側のロール温度:20℃)によって100MPaの圧力で支持体上の電極材料を加圧したこと以外は、実施例1と同様の手順によって、粉体シートを作製した。
<実施例5>
第1の加圧工程の後、第2の加圧工程として、1対のプレスロール(電極材料側のロール温度:100℃、支持体側のロール温度:20℃)によって200MPaの圧力で支持体上の電極材料を加圧したこと以外は、実施例1と同様の手順によって、粉体シートを作製した。
<実施例6>
支持体として、市販のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(T60ルミラー、東レ株式会社製、厚さ:100μm、線膨張係数:120×10-6/℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順によって、粉体シートを作製した。
<実施例7>
支持体として、市販の離型紙(SP-8Eアイボリー、株式会社日本ラベル製、厚さ:100μm、線膨張係数:160×10-6/℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順によって、粉体シートを作製した。
<実施例8>
支持体として、市販のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(T60ルミラー、東レ株式会社製、厚さ:100μm、線膨張係数:120×10-6/℃)を用いたこと以外は、実施例4と同様の手順によって、粉体シートを作製した。
<実施例9>
支持体として、市販の離型紙(SP-8Eアイボリー、株式会社日本ラベル製、厚さ:100μm、線膨張係数:160×10-6/℃)を用いたこと以外は、実施例4と同様の手順によって、粉体シートを作製した。
<実施例10>
第1の加圧工程において、電極材料側のロール温度を70℃にしたこと、並びに第2の加圧工程において、電極材料側のロール温度、及び支持体側のロール温度をそれぞれ25℃にしたこと以外は、実施例4と同様の手順によって、粉体シートを作製した。
<比較例1>
第1の加圧工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の手順によって、粉体シートを作製した。
<比較例2>
第1の加圧工程において、支持体側のロール温度を60℃にしたこと以外は、実施例1と同様の手順によって、粉体シートを作製した。
<質量分布の評価>
粉体シートの80か所([幅方向に8か所]×[長さ方向に10か所])から、それぞれ、1cmの大きさの試験片を切り取った。試験片の切り取りには、1つの枠あたりの枠内面積を1cmに調節した枠状のトムソン刃を用いた。粉体シートの合計80か所から切り取った各試験片の質量を測定し、次いで、各試験片の質量からσ(標準偏差)を求めた。得られたσに基づいて、以下の基準に従って質量分布を評価した。以下の基準のうち、A、B、及びCを合格とした。
(基準)
A:0%≦σ<1%
B:1%≦σ<2%
C:2%≦σ<3%
D:3%≦σ<10%
E:10%≦σ
<密着性の評価>
粉体シートの電極材料の表面を地面に向け、支持体から電極材料が脱落するまでの時間(t)に基づいて、以下の基準に従って密着性を評価した。以下の基準のうち、A、B、及びCを合格とした。
(基準)
A:60秒<t
B:30秒<t≦60秒
C:15秒<t≦30秒
D:10秒<t≦15秒
E:t≦10秒
表1において、「電極材料側のロール温度」とは、電極材料に接触するロールの設定温度を意味する。「支持体側のロール温度」とは、支持体に接触するロールの設定温度を意味する。
表1より、実施例1~10は、比較例1~2に比べて、質量分布の均一性、及び電極材料と支持体との密着性に優れることがわかった。
2019年8月19日に出願された日本国特許出願2019-149871号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

Claims (12)

  1. 電極活物質を含む電極材料を準備する工程と、
    支持体上に前記電極材料を供給する工程と、
    前記電極材料に接触する第1のロールと前記支持体に接触する第2のロールとの間に、前記支持体、及び前記電極材料を挟むことによって、前記支持体上の前記電極材料を加圧する第1の加圧工程と、を含み、
    前記第1のロールの温度T1、及び前記第2のロールの温度T2が、T1>T2の関係を満たし、
    前記支持体上に前記電極材料を供給する工程と前記第1の加圧工程との間に、支持体上の電極材料を均す工程を含
    前記第1のロールと前記第2のロールとの間に、前記支持体、及び前記電極材料を挟むことによって、前記支持体上の前記電極材料を加圧する第1の加圧工程の後に、前記電極材料に接触する第3のロールと前記支持体に接触する第4のロールとの間に、前記支持体、及び前記電極材料を挟むことによって、前記支持体上の前記電極材料を加圧する第2の
    加圧工程を含み、
    前記第3のロールと前記第4のロールとの間に、前記支持体、及び前記電極材料を挟むことによって、前記支持体上の前記電極材料を加圧する第2の加圧工程における圧力P2は、前記第1のロールと前記第2のロールとの間に、前記支持体、及び前記電極材料を挟むことによって、前記支持体上の前記電極材料を加圧する第1の加圧工程における圧力P1よりも大きい、
    電極用成形体の製造方法。
  2. 前記第1のロールと前記第2のロールとの間に、前記支持体、及び前記電極材料を挟むことによって、前記支持体上の前記電極材料を加圧する第1の加圧工程における圧力P1が、10MPa~200MPaである請求項1に記載の電極用成形体の製造方法。
  3. 前記温度T1と前記温度T2の差の絶対値が、10℃以上である請求項1又は請求項2に記載の電極用成形体の製造方法。
  4. 前記温度T1が、40℃~65℃である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電極用成形体の製造方法。
  5. 前記温度T2が、0℃~30℃である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電極用成形体の製造方法。
  6. 前記第3のロールの温度T3、及び前記第4のロールの温度T4が、T3>T4の関係を満たす請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の電極用成形体の製造方法。
  7. 前記温度T3と前記温度T4の差の絶対値が、30℃以上である請求項に記載の電極用成形体の製造方法。
  8. 前記温度T3が、70℃~130℃である請求項又は請求項に記載の電極用成形体の製造方法。
  9. 前記温度T4が、0℃~30℃である請求項~請求項のいずれか1項に記載の電極用成形体の製造方法。
  10. 前記温度T1、及び前記温度T3が、T1<T3の関係を満たす請求項~請求項のいずれか1項に記載の電極用成形体の製造方法。
  11. 前記第3のロールと前記第4のロールとの間に、前記支持体、及び前記電極材料を挟むことによって、前記支持体上の前記電極材料を加圧する第2の加圧工程における圧力P2が、20MPa~1GPaである請求項~請求項10のいずれか1項に記載の電極用成形体の製造方法。
  12. 前記第1のロールと前記第2のロールとの間に、前記支持体、及び前記電極材料を挟むことによって、前記支持体上の前記電極材料を加圧する第1の加圧工程における圧力P1に対する、前記第3のロールと前記第4のロールとの間に、前記支持体、及び前記電極材料を挟むことによって、前記支持体上の前記電極材料を加圧する第2の加圧工程における圧力P2の比が、2以上である請求項~請求項11のいずれか1項に記載の電極用成形体の製造方法。
JP2021540705A 2019-08-19 2020-07-31 電極用成形体の製造方法 Active JP7422158B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019149871 2019-08-19
JP2019149871 2019-08-19
PCT/JP2020/029538 WO2021033521A1 (ja) 2019-08-19 2020-07-31 電極用成形体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2021033521A1 JPWO2021033521A1 (ja) 2021-02-25
JP7422158B2 true JP7422158B2 (ja) 2024-01-25

Family

ID=74661131

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021540705A Active JP7422158B2 (ja) 2019-08-19 2020-07-31 電極用成形体の製造方法

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20220173371A1 (ja)
JP (1) JP7422158B2 (ja)
CN (1) CN114365304A (ja)
WO (1) WO2021033521A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7202347B2 (ja) * 2020-12-14 2023-01-11 プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 電極シートの製造方法
JP7324245B2 (ja) * 2021-05-25 2023-08-09 プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 電極シートの製造方法
KR20230163118A (ko) * 2022-05-23 2023-11-30 에스케이온 주식회사 이차전지용 건식 전극 시트 제조방법 및 제조장치, 이차전지용 건식 전극 시트, 이차전지용 전극 및 이차전지

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007227666A (ja) 2006-02-23 2007-09-06 Nippon Zeon Co Ltd 電気化学素子の製造方法
JP2014102992A (ja) 2012-11-20 2014-06-05 Toyota Industries Corp 電極の製造方法および電極の製造装置
JP2016046226A (ja) 2014-08-27 2016-04-04 日本ゼオン株式会社 電気化学素子電極用複合粒子、電気化学素子電極、電気化学素子、電気化学素子電極用複合粒子の製造方法及び電気化学素子電極の製造方法
JP2016062654A (ja) 2014-09-12 2016-04-25 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用電極の製造方法
JP2016119207A (ja) 2014-12-19 2016-06-30 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用電極の製造装置
JP2017199671A (ja) 2017-04-25 2017-11-02 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用電極の製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101767636B1 (ko) * 2015-01-13 2017-08-11 주식회사 엘지화학 전극 시이트용 압연 롤
JP6565443B2 (ja) * 2015-02-27 2019-08-28 株式会社豊田自動織機 セパレータ付き電極の製造装置、及び、セパレータ付き電極の製造方法
JP6728618B2 (ja) * 2015-10-07 2020-07-22 セイコーエプソン株式会社 電池用電極の製造方法
CN107546369B (zh) * 2016-06-29 2020-12-04 丰田自动车株式会社 电极的制造方法和电极的制造装置
WO2018047946A1 (ja) * 2016-09-12 2018-03-15 富士フイルム株式会社 電極層材、全固体二次電池電極用シートおよび全固体二次電池ならびに全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
KR20190055726A (ko) * 2017-11-15 2019-05-23 주식회사 엘지화학 이차전지용 압연장치 및 압연방법
US20200313229A1 (en) * 2017-11-21 2020-10-01 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Electrode body for all-solid-state battery and production method thereof

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007227666A (ja) 2006-02-23 2007-09-06 Nippon Zeon Co Ltd 電気化学素子の製造方法
JP2014102992A (ja) 2012-11-20 2014-06-05 Toyota Industries Corp 電極の製造方法および電極の製造装置
JP2016046226A (ja) 2014-08-27 2016-04-04 日本ゼオン株式会社 電気化学素子電極用複合粒子、電気化学素子電極、電気化学素子、電気化学素子電極用複合粒子の製造方法及び電気化学素子電極の製造方法
JP2016062654A (ja) 2014-09-12 2016-04-25 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用電極の製造方法
JP2016119207A (ja) 2014-12-19 2016-06-30 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用電極の製造装置
JP2017199671A (ja) 2017-04-25 2017-11-02 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用電極の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN114365304A (zh) 2022-04-15
US20220173371A1 (en) 2022-06-02
JPWO2021033521A1 (ja) 2021-02-25
WO2021033521A1 (ja) 2021-02-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108475817B (zh) 固体电解质组合物及全固态二次电池的制造方法
JP7422158B2 (ja) 電極用成形体の製造方法
KR20200078479A (ko) 전고체 이차 전지 및 그 충전 방법
US11909034B2 (en) All-solid state secondary battery and method of manufacturing the same
KR102532604B1 (ko) 전고체 이차전지, 적층 전고체 이차전지 및 전고체 이차전지의 제조방법
CN111201660B (zh) 固体电解质组合物、全固态二次电池及其制造方法
US20220158161A1 (en) Method of manufacturing formed body for electrode
JP7064613B2 (ja) 全固体二次電池用積層部材の製造方法及び全固体二次電池の製造方法
US11605805B2 (en) Method of manufacturing formed body for electrode
US20150249265A1 (en) All solid-state battery and method for producing same
US20150228966A1 (en) Positive electrode material, secondary battery, and methods respectively for producing positive electrode material and secondary battery
JP2023144101A (ja) 電極用成形体の製造方法
CN110521037B (zh) 钠离子二次电池用正极活性物质
US20220123280A1 (en) Method of manufacturing formed body for electrode
US20230335708A1 (en) Solid electrolyte film for sulfide-based all-solid-state battery batteries
EP3671931A1 (en) Solid electrolyte layer and all-solid-state battery
JP7448657B2 (ja) 全固体二次電池用シート及び全固体二次電池の製造方法、並びに、全固体二次電池用シート及び全固体二次電池
JP7344964B2 (ja) 電極用成形体の製造方法
WO2024024785A1 (ja) シート状電極用成形体の製造方法
US20220311047A1 (en) All-solid secondary battery
US20230238510A1 (en) Solid secondary battery, solid secondary battery module comprising solid secondary battery, and charging method thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230718

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230919

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7422158

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150