以下、本発明の実施形態に係るデータ作成装置及び部品実装システムについて図面に基づいて説明する。
[部品実装システムの全体構成について]
図1のブロック図を参照して、部品実装システム1の全体構成を説明する。部品実装システム1は、部品が搭載された基板を生産するためのシステムである。部品実装システム1は、実装機2と、処理機3と、システム管理装置4と、データ作成装置5とを備えている。部品実装システム1においては、システム管理装置4が、実装機2及び処理機3とデータ通信可能に接続されるとともに、データ作成装置5とデータ通信可能に接続されている。また、部品実装システム1では、複数の実装機2と、処理機3とが並設されている。
システム管理装置4は、実装機2及び処理機3に制御データCDを送信することにより、実装機2及び処理機3の動作を管理する。実装機2及び処理機3は、制御データCDを受信すると、当該制御データCDに基づいて、所定の動作を実行する。また、システム管理装置4は、データ作成装置5に管理データMDを送信する。詳細については後述するが、データ作成装置5は、管理データMDを受信すると、当該管理データMDに基づいて推奨配置データRDを作成し、その作成した推奨配置データRDをシステム管理装置4に送信する。システム管理装置4は、推奨配置データRDを受信すると、当該推奨配置データRDの内容を反映させた制御データCDに更新する。
処理機3は、基板に半田ペーストのパターンを印刷する処理を施すパターン形成装置である。処理機3は、システム管理装置4から送信された制御データCDに基づいて、基板に半田ペーストのパターンを印刷する。処理機3により半田ペーストのパターンが印刷された基板は、実装機2に搬送される。なお、処理機3は、実装機2が備える後記の基板支持装置28と同様に構成された基板支持装置を具備するように構成されていてもよい。
実装機2は、半田ペーストのパターンが印刷された基板に部品を搭載する装置である。実装機2は、システム管理装置4から送信された制御データCDに基づいて、基板に部品を搭載する搭載動作を含む各種の動作を実行する。この実装機2について、図2~図4を参照して説明する。なお、以下では、方向関係については水平面上において互いに直交するXY直交座標を用いて説明する。
図2に示されるように、実装機2は、本体フレーム21と、一対のコンベアレール23と、部品供給ユニット24と、ヘッドユニット25と、基板支持装置28と、を備えている。
本体フレーム21は、実装機2を構成する各部が配置される構造体であり、X軸方向及びY軸方向の両方向と直交する方向(鉛直方向)から見た平面視で略矩形状に形成されている。一対のコンベアレール23は、X軸方向に延び、本体フレーム21に配置される。一対のコンベアレール23は、基板PPをX軸方向に搬送する。一対のコンベアレール23上を搬送される基板PPは、所定の作業位置(基板PP上に部品が搭載される部品搭載位置)に、基板支持装置28によって位置決めされるようになっている。
基板支持装置28は、図4に示されるように、プッシュアッププレート281と、プッシュアップピン282と、昇降装置283とを含む。昇降装置283は、主に、エアシリンダなどにより上端が鉛直方向に昇降する支柱2831と、支柱2831の上端に略水平に固定された板状の固定台2832とを有し、本体フレーム21の所定の位置に設置されている。
プッシュアッププレート281は、前記固定台2832に固定された平板状のプレートである。すなわち、プッシュアッププレート281は、固定台2832を介して本体フレーム21に配置されている。プッシュアッププレート281の上面には、プッシュアップピン282が立設状態で配置される。プッシュアッププレート281の上面は、平坦面であってもよいし、複数の凹部が形成されていてもよい。平坦面である場合には、プッシュアッププレート281の上面に直接的にプッシュアップピン282が立設状態で配置される。一方、複数の凹部が形成されている場合には、当該凹部に嵌め込まれた状態でプッシュアップピン282が配置される。
プッシュアップピン282は、プッシュアッププレート281の上面に立設状態で配置されるピン状の部材である。プッシュアップピン282は、プッシュアッププレート281の上面に配置された状態において、先端部によって下方側から基板PPを支持する。
また、図2に示されるように、本体フレーム21には、ピンステーション29が配置されている。ピンステーション29は、基板PPの支持に用いられていないプッシュアップピン282が、先端部とは反対の基端部を下にした立ち姿勢で格納される部分である。
部品供給ユニット24は、本体フレーム21におけるY軸方向の両側のそれぞれの領域部分に、一対のコンベアレール23を挟んで配置される。部品供給ユニット24は、本体フレーム21において、フィーダー24Fが複数並設された状態で装着される領域である。部品供給ユニット24は、後述のヘッドユニット25に備えられる搭載ヘッド251による保持対象の部品毎に、各フィーダー24Fのセット位置が区画されている。フィーダー24Fは、部品供給ユニット24に着脱自在に装着される。フィーダー24Fは、複数の部品を保持し、その保持した部品をフィーダー内に設定された所定の部品供給位置に供給できるものであれば特に限定されず、例えばテープフィーダーである。テープフィーダーは、部品を所定間隔おきに収納した部品収納テープが巻回されたリールを備え、そのリールから部品収納テープを送出することにより、部品を供給するように構成されたフィーダーである。
ヘッドユニット25は、移動フレーム27に保持されている。本体フレーム21上には、Y軸方向に延びる固定レール261と、Y軸サーボモータ263により回転駆動されるボールねじ軸262とが配設されている。移動フレーム27は固定レール261上に配置され、この移動フレーム27に設けられたナット部分271がボールねじ軸262に螺合している。また、移動フレーム27には、X軸方向に延びるガイド部材272と、X軸サーボモータ274により駆動されるボールねじ軸273とが配設されている。このガイド部材272にヘッドユニット25が移動可能に保持され、このヘッドユニット25に設けられたナット部分がボールねじ軸273に螺合している。そして、Y軸サーボモータ263の作動により移動フレーム27がY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ274の作動によりヘッドユニット25が移動フレーム27に対してX軸方向に移動するようになっている。すなわち、ヘッドユニット25は、移動フレーム27の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム27に沿ってX軸方向に移動可能である。
ヘッドユニット25は、部品供給ユニット24とプッシュアップピン282に支持された基板PPとの間で移動可能であるとともに、プッシュアッププレート281とピンステーション29との間で移動可能である。ヘッドユニット25は、部品供給ユニット24と基板PPとの間で移動することにより、部品を基板PPに搭載する部品搭載動作を実行する。一の品種の基板PPに対する部品搭載動作が終了し、基板PPの品種が切り替えられるときには、ヘッドユニット25は、プッシュアッププレート281とピンステーション29との間で移動することにより、プッシュアッププレート281上に配置されていたプッシュアップピン282をピンステーション29に搬送するピン搬送動作を実行する。すなわち、ヘッドユニット25は、部品搭載動作とピン搬送動作との2つの動作を実行する。なお、部品搭載動作用のヘッドユニットと、ピン搬送動作用のヘッドユニットとを個別に設けるようにしてもよい。
ヘッドユニット25は、図3に示されるように、複数の搭載ヘッド251を備えている。搭載ヘッド251は、ヘッドユニット25のフレームに対して鉛直方向に昇降可能であるとともに、鉛直方向に延びるヘッド軸回りの回転が可能とされている。搭載ヘッド251は、前記部品搭載動作の実行時において、部品供給ユニット24から部品を取り出すとともに、その取り出した部品を基板PP上に搭載(実装)する。一方、前記ピン搬送動作の実行時においては、各搭載ヘッド251は、プッシュアッププレート281からプッシュアップピン282を取り出すとともに、その取り出したプッシュアップピン282をピンステーション29に格納する。搭載ヘッド251には、その先端(下端)に吸着ノズル2511が装着されている。吸着ノズル2511としては、部品の吸着保持が可能な部品保持用のノズルと、プッシュアップピン282の吸着保持が可能なピン保持用のノズルとが存在する。吸着ノズル2511は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル2511に負圧が供給されることで当該吸着ノズル2511による部品又はプッシュアップピン282の吸着保持(取り出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品又はプッシュアップピン282の吸着保持が解除される。
実装機2は、図2に示されるように、第1撮像部31と、第2撮像部32と、第3撮像部33とを更に備えている。
第1撮像部31は、本体フレーム21上において部品供給ユニット24と一対のコンベアレール23との間に設置され、例えばCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やCCD(Charged-coupled device)等の撮像素子を備えた撮像カメラである。第1撮像部31は、部品供給ユニット24からプッシュアップピン282により支持された基板PPへ向かってヘッドユニット25が移動している間において、搭載ヘッド251の吸着ノズル2511によって吸着保持された部品を、下方側から撮像して第1部品認識画像を取得する。第1撮像部31により取得された第1部品認識画像は、吸着ノズル2511からの部品の落下の判定に用いられる。
第2撮像部32は、ヘッドユニット25に配置され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。第2撮像部32は、プッシュアップピン282により支持された基板PPの上面に付設されている各種マークを認識するために、当該マークを上方側から撮像する。第2撮像部32による基板PP上のマークの認識によって、基板PPの原点座標に対する位置ずれ量が検知される。
第3撮像部33は、ヘッドユニット25に配置され、例えばCMOSやCCD等の撮像素子を備えた撮像カメラである。第3撮像部33は、ヘッドユニット25による基板PPに対する部品の搭載直前において、吸着ノズル2511に吸着保持された部品を、側方から撮像して第2部品認識画像を取得する。第3撮像部33により取得された第2部品認識画像は、吸着ノズル2511からの部品の落下の判定に用いられる。
[データ作成装置について]
基板支持装置28におけるプッシュアッププレート281上でのプッシュアップピン282の配置位置は、基板PPの品種ごとに設定される。このため、実装機2において部品の搭載対象の基板PPの品種が切り替えられるときには、プッシュアップピン282の配置変更が行われる。プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の配置変更は、ヘッドユニット25の搭載ヘッド251によって行われる。
データ作成装置5は、システム管理装置4とデータ通信可能に接続され、例えばマイクロコンピュータから構成されている。データ作成装置5は、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の推奨配置位置を示す推奨配置データRDを作成する装置である。データ作成装置5により作成された推奨配置データRDは、システム管理装置4に送信される。システム管理装置4は、推奨配置データRDを受信すると、当該推奨配置データRDの内容を反映させた制御データCDに更新する。推奨配置データRDが反映された制御データCDは、実装機2に送信される。実装機2においては、基板PPの品種の切り替え時に、推奨配置データRDが反映された制御データCDに基づいて、搭載ヘッド251がプッシュアップピン282の配置変更を行う。つまり、搭載ヘッド251は、推奨配置データRDに基づいて、プッシュアップピン282の配置変更を行う。
図1に示されるように、データ作成装置5は、データ取得部51と、記憶部52と、データ作成部53とを備えている。
データ取得部51は、システム管理装置4から送信される管理データMDを取得する。このデータ取得部51が取得する管理データMDについて、図5を参照して説明する。管理データMDは、部品実装システム1における基板PPの生産を管理するためのデータである。管理データMDには、所定期間(例えば1日)において生産が予定されている基板PPのデータセットDSが登録されている。データセットDSは複数のデータグループDGを含み、各データグループDGには複数の基板品種PPTが登録されている。図5の例では、データセット「DS1」はデータグループ「1」とデータグループ「2」とを含んで構成されている。そして、データグループ「1」には基板品種「A」,「B」,「C」で示される3品種の基板PPが登録され、データグループ「2」には基板品種「D」,「E」,「F」で示される3品種の基板PPが登録されている。
また、管理データMDには、生産順序POと、システム稼働時間OTと、システム準備時間STと、トータル生産時間TTとが登録されている。
生産順序POは、複数のデータグループDGに属する基板品種PPTの各基板PPの生産順序を示すデータである。図5の例では、データグループDGが「1」,「2」の順序であることに対応して、基板品種「A」,「B」,「C」,「D」,「E」,「F」の順序で基板PPの生産が進められる。
システム稼働時間OTは、生産順序POで示される順序で基板PPが生産されるときにおける実装機2及び処理機3の実稼働時間を、データグループDGごとに示すデータである。図5の例では、データグループ「1」に属する基板品種「A」,「B」,「C」の各基板PPを生産するときの実装機2及び処理機3の実稼働時間が、「TO1」であることが示されている。同様に、データグループ「2」に属する基板品種「D」,「E」,「F」の各基板PPを生産するときの実装機2及び処理機3の実稼働時間が、「TO2」であることが示されている。
システム稼働時間OTは、各データグループDGに属する基板品種PPTが変更されると、その変更に応じて異なる値を示す。例えば、データグループ「1」に属する基板品種が「A」,「B」,「C」である場合と、「A」,「B」である場合とでは、データグループ「1」に対応したシステム稼働時間OTは異なる値を示す。同様に、データグループ「2」に属する基板品種が「D」,「E」,「F」である場合と、「C」,「D」,「E」,「F」である場合とでは、データグループ「2」に対応したシステム稼働時間OTは異なる値を示す。
システム準備時間STは、基板品種PPTの切り替えに応じて生じ得る部品実装システム1の全体における準備処理に要する準備時間を、基板品種PPTごとに示すデータである。システム準備時間STは、実装機準備時間MTと処理機準備時間PTとを含む。処理機準備時間PTは、処理機3の準備処理に要する準備時間である。処理機3の準備処理としては、例えば、基板PPに半田ペーストのパターンを印刷するときに用いるスクリーンマスクを準備する処理などが含まれる。実装機準備時間MTは、実装機2の準備処理に要する準備時間である。実装機2の準備処理としては、例えば、プッシュアップピン282の配置変更の処理、部品供給ユニット24に装着されるフィーダー24Fの交換処理、搭載ヘッド251に装着される吸着ノズル2511の交換処理などが含まれる。
システム準備時間STは、実装機準備時間MT及び処理機準備時間PTの中の最長値によって特定される。例えば、実装機準備時間MT及び処理機準備時間PTの中で、処理機3におけるスクリーンマスクの準備処理に要する時間が最長値を示す場合には、その時間がシステム準備時間STとなる。同様に、実装機準備時間MT及び処理機準備時間PTの中で、実装機2におけるフィーダー24Fの交換処理に要する時間が最長値を示す場合には、その時間がシステム準備時間STとなる。
システム準備時間STは、各データグループDGに属する基板品種PPTが変更されると、その変更に応じて異なる値を示す。例えば、データグループ「1」に属する基板品種が「A」,「B」,「C」である場合と、「A」,「B」である場合とでは、基板品種PPTごとのシステム準備時間STは異なる値を示す。同様に、データグループ「2」に属する基板品種が「D」,「E」,「F」である場合と、「C」,「D」,「E」,「F」である場合とでは、基板品種PPTごとのシステム準備時間STは異なる値を示す。
トータル生産時間TTは、データセットDSに含まれる複数のデータグループDGに属する基板品種PPTの全ての基板PPの生産に要する合計時間を示すデータである。トータル生産時間TTは、データグループDGごとのシステム稼働時間OTとシステム準備時間STとの加算値を、データセットDS内において合計したものとなる。
既述の通り、システム稼働時間OT及びシステム準備時間STは、各データグループDGに属する基板品種PPTが変更されると、その変更に応じて異なる値を示す。このため、システム稼働時間OTとシステム準備時間STとに基づくトータル生産時間TTについても、各データグループDGに属する基板品種PPTが変更されると、その変更に応じて異なる値を示すことになる。このことに鑑みて、トータル生産時間TTが最短となるように、データセットDSを構成する各データグループDGに属する基板品種PPTが決定される。
次に、データ作成装置5に備えられる記憶部52とデータ作成部53とについて、図1に加えて図6~図8を参照して説明する。なお、図6~図8を参照した以下の説明では、プッシュアッププレート281上の位置を、XY座標を用いて示すことがある。具体的には、プッシュアッププレート281の上面をX軸方向に9つの領域、Y軸方向に6つの領域に区分し、当該プッシュアッププレート281上の位置を合計54のXY座標位置で示す。例えば、プッシュアッププレート281の平面視において、左下角部の位置を座標(1,1)と表現し、右下角部の位置を座標(9,1)と表現し、左上角部の位置を座標(1,6)と表現し、右上角部の位置を座標(9,6)と表現する。
記憶部52は、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の基準配置を示す基準配置データSDを、基板品種PPTごとに記憶する。基準配置データSDは、基板品種PPTごとに固有のデータである。図6~図8に示されるように、基準配置データSDは、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の基準配置として、必要位置SD1と、禁止位置SD2と、選択可能位置SD3との区画を示すデータである。
必要位置SD1は、プッシュアッププレート281上において、基板PPの支持のためにプッシュアップピン282の配置が必要な位置である。図6~図8では、必要位置SD1は、「黒色の円」で示される。必要位置SD1は、基板品種PPTごとに異なっている。禁止位置SD2は、プッシュアッププレート281上において、プッシュアップピン282の配置を禁止する位置である。図6~図8では、禁止位置SD2は、「×が付された円」で示される。禁止位置SD2は、基板品種PPTごとに異なっている。選択可能位置SD3は、プッシュアッププレート281上において、プッシュアップピン282の配置の要否について適宜選択可能な位置である。図6~図8では、選択可能位置SD3は、「斜線が付された円」で示される。選択可能位置SD3は、基板品種PPTごとに異なっている。
基板品種PPTごとの基準配置データSDは、データ作成部53が推奨配置データRDを作成する際に参照される。
データ作成部53は、複数の基準配置データSDに基づいて、当該複数の基準配置データSDに対応した基板品種PPTごとに推奨配置データRDを作成する。図6では、データ作成部53は、基板品種「A」,「B」,「C」の3品種に対応した3つの基準配置データSDに基づいて、基板品種「A」,「B」,「C」のそれぞれに対応した推奨配置データRDを作成する。また、図7,8では、データ作成部53は、基板品種「D」,「E」,「F」の3品種に対応した3つの基準配置データSDに基づいて、基板品種「D」,「E」,「F」のそれぞれに対応した推奨配置データRDを作成する。
推奨配置データRDは、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の推奨配置位置RD1を示すデータである。図6~図8では、推奨配置位置RD1は、「二重円」で示される。データ作成部53は、基板品種PPTの切り替えに応じたプッシュアップピン282の配置変更の効率性に影響を及ぼす影響因子の値を算出し、当該影響因子の値が推奨値となるように、推奨配置データRDを作成する。
データ作成部53は、1つの基準配置データSDに対応した1回の基板品種PPTの切り替え時におけるプッシュアップピン282の配置変更を考慮して、推奨配置データRDを作成するものではない。データ作成部53は、複数の基準配置データSDに対応した複数回の基板品種PPTの切り替え時におけるプッシュアップピン282の配置変更を考慮して、推奨配置データRDを作成するのである。このような、複数の基準配置データSDに対応した基板品種PPTごとの推奨配置データRDによって、基板品種PPTの切り替え時におけるプッシュアップピン282の配置変更を効率よく行うことが可能となる。
図6に示されるように、データ作成部53は、複数の基準配置データSDに対応した複数の基板品種PPTで共通の推奨配置データRDを作成する共通配置処理を実行する。この場合、複数の基板品種PPTにおいて、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の推奨配置位置RD1が共通している。このような、複数の基板品種PPTで共通の推奨配置データRDによって、一の基板品種(例えば基板品種「A」)の切り替え後に、他の基板品種(例えば基板品種「B」,「C」)に切り替える時には、プッシュアップピン282の配置変更を省略できる。このため、基板品種PPTの切り替え時におけるプッシュアップピン282の配置変更の効率を高めることができる。
複数の基準配置データSDで示されるプッシュアップピン282の各基準配置の位置関係によっては、複数の基板品種PPTで共通の推奨配置データRDを作成できない場合が生じ得る。この場合、図7,8に示されるように、データ作成部53は、複数の基準配置データSDに対応した複数の基板品種PPTで別個の推奨配置データRDを作成する別個配置処理を実行する。この場合、複数の基板品種PPTにおいて、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の推奨配置位置RD1がそれぞれ異なっている。複数の基板品種PPTで別個の推奨配置データRDは、それぞれ、プッシュアップピン282の配置変更の効率性に影響を及ぼす影響因子の値が推奨値となるように、プッシュアップピン282の配置位置が調整されたものである。このため、基板品種PPTの切り替えごとにプッシュアップピン282の配置変更が必要ではあるものの、その配置変更を効率よく行うことができる。
データ作成部53は、別個配置処理において、影響因子としてピン移動本数を算出し、当該ピン移動本数が推奨値(例えば最少ピン移動本数)となるように推奨配置データRDを作成するように構成される。ピン移動本数とは、基板品種PPTの切り替えに応じたプッシュアップピン282の配置変更の際における、移動させるプッシュアップピン282のトータルの本数を示す。ピン移動本数は、プッシュアップピン282の配置変更の効率性に影響を及ぼす影響因子となる。つまり、配置変更の際に移動させるプッシュアップピン282の本数が少なくなるに従って、配置変更の効率は高まる。このような、配置変更の効率性の影響因子であるピン移動本数が推奨値となるように推奨配置データRDが作成されるので、この推奨配置データRDによって、基板品種PPTの切り替え時におけるプッシュアップピン282の配置変更を効率よく行うことが可能となる。
また、データ作成部53は、別個配置処理において、影響因子としてピン配置変更時間を算出し、当該ピン配置変更時間が推奨値(例えば最短ピン配置変更時間)となるように推奨配置データRDを作成するように構成されてもよい。ピン配置変更時間とは、基板品種PPTの切り替えに応じたプッシュアップピン282の配置変更の際における、プッシュアップピン282の移動のトータルの時間を示す。ピン配置変更時間は、プッシュアップピン282の配置変更の効率性に影響を及ぼす影響因子となる。つまり、配置変更の際におけるプッシュアップピン282の移動のトータルの時間を示すピン配置変更時間が短くなるに従って、配置変更の効率は高まる。このような、配置変更の効率性の影響因子であるピン配置変更時間が推奨値となるように推奨配置データRDが作成されるので、この推奨配置データRDによって、基板品種PPTの切り替え時におけるプッシュアップピン282の配置変更を効率よく行うことが可能となる。
また、データ作成部53は、別個配置処理において、影響因子としてピン移動距離を算出し、当該ピン移動距離が推奨値(例えば最短ピン移動距離)となるように推奨配置データRDを作成するように構成されてもよい。ピン移動距離とは、基板品種PPTの切り替えに応じたプッシュアップピン282の配置変更の際における、プッシュアップピン282の移動のトータルの距離を示す。ピン移動距離は、プッシュアップピン282の配置変更の効率性に影響を及ぼす影響因子となる。つまり、配置変更の際のプッシュアップピン282の移動距離が短くなるに従って、配置変更の効率は高まる。このような、配置変更の効率性の影響因子であるピン移動距離が推奨値となるように推奨配置データRDが作成されるので、この推奨配置データRDによって、基板品種PPTの切り替え時におけるプッシュアップピン282の配置変更を効率よく行うことが可能となる。
更に、データ作成部53は、図7に示されるように、ピンステーション29からプッシュアッププレート281へのプッシュアップピン282の移動を想定して影響因子の値を算出するように構成されてもよい。そして、データ作成部53は、その算出した影響因子の値が推奨値となるように推奨配置データRDを作成する。このような推奨配置データRDによって、ピンステーション29の存在を考慮した上で、基板品種PPTの切り替え時におけるプッシュアップピン282の配置変更を効率よく行うことが可能となる。
図7の例では、基板品種「D」に対応した推奨配置データRDにおいては、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の推奨配置位置RD1として、座標(2,2)、座標(3,2)、座標(4,2)、座標(5,2)、座標(6,2)、座標(7,2)、座標(8,2)、座標(2,5)、座標(3,5)、座標(4,5)、座標(5,5)、座標(6,5)、座標(7,5)、座標(8,5)がそれぞれ設定されている。これらの推奨配置位置RD1には、基板品種「D」に対応した基準配置データSDにおける必要位置SD1が含まれており、禁止位置SD2は含まれていない。
基板品種「E」に対応した推奨配置データRDにおいては、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の推奨配置位置RD1として、座標(2,1)、座標(8,1)、座標(2,2)、座標(5,2)、座標(8,2)、座標(2,3)、座標(5,3)、座標(8,3)、座標(2,4)、座標(5,4)、座標(8,4)、座標(2,5)、座標(5,5)、座標(8,5)、座標(2,6)、座標(8,6)がそれぞれ設定されている。これらの推奨配置位置RD1には、基板品種「E」に対応した基準配置データSDにおける必要位置SD1が含まれている。
基板品種「F」に対応した推奨配置データRDにおいては、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の推奨配置位置RD1として、座標(2,2)、座標(3,2)、座標(5,2)、座標(7,2)、座標(8,2)、座標(2,3)、座標(5,3)、座標(8,3)、座標(2,4)、座標(5,4)、座標(8,4)、座標(2,5)、座標(3,5)、座標(5,5)、座標(7,5)、座標(8,5)がそれぞれ設定されている。これらの推奨配置位置RD1には、基板品種「F」に対応した基準配置データSDにおける必要位置SD1が含まれており、禁止位置SD2は含まれていない。
図7の例において、基板品種「D」から基板品種「E」へ品種が切り替わるときには、推奨配置データRDに基づくプッシュアップピン282の配置変更として、10本のプッシュアップピン282の移動が行われる。具体的には、ピンステーション29からプッシュアッププレート281上の座標(2,6)及び座標(8,6)の推奨配置位置RD1にプッシュアップピン282が移動される。次に、基板品種「D」に対応した推奨配置データRDに基づいてプッシュアッププレート281上の推奨配置位置RD1に配置されているプッシュアップピン282のうち、座標(3,5)のプッシュアップピン282が座標(2,4)に移動される。同様に、座標(4,5)のプッシュアップピン282が座標(5,4)に移動され、座標(7,5)のプッシュアップピン282が座標(8,4)に移動され、座標(4,2)のプッシュアップピン282が座標(2,3)に移動され、座標(6,2)のプッシュアップピン282が座標(5,3)に移動され、座標(6,5)のプッシュアップピン282が座標(8,3)に移動され、座標(3,2)のプッシュアップピン282が座標(2,1)に移動され、座標(7,2)のプッシュアップピン282が座標(8,1)に移動される。
また、基板品種「E」から基板品種「F」へ品種が切り替わるときには、推奨配置データRDに基づくプッシュアップピン282の配置変更として、4本のプッシュアップピン282の移動が行われる。具体的には、基板品種「E」に対応した推奨配置データRDに基づいてプッシュアッププレート281上の推奨配置位置RD1に配置されているプッシュアップピン282のうち、座標(2,6)のプッシュアップピン282が座標(3,5)に移動される。同様に、座標(8,6)のプッシュアップピン282が座標(7,5)に移動され、座標(2,1)のプッシュアップピン282が座標(3,2)に移動され、座標(8,1)のプッシュアップピン282が座標(7,2)に移動される。
また、図8に示されるように、データ作成部53は、別個配置処理において、複数の基準配置データSDに対応した複数品種の基板PPをそれぞれ支持するのに必要な全てのプッシュアップピン282を、プッシュアッププレート281上に、基板品種PPTごとに配置変更を伴って配置する全ピン配置を想定して影響因子の値を算出するように構成されてもよい。そして、データ作成部53は、その算出した影響因子の値が推奨値となるように推奨配置データRDを作成する。全ピン配置では、複数品種の基板PPをそれぞれ支持するのに必要な全てのプッシュアップピン282がプッシュアッププレート281上に配置される。この場合、プッシュアップピン282の配置変更の際には、プッシュアッププレート81上でプッシュアップピン282を移動させるだけでよい。これにより、配置変更の際のプッシュアップピン282の移動距離を短くすることが可能となるため、プッシュアップピン282の配置変更の効率を高めることができる。
データ作成部53は、全ピン配置を想定した場合において、複数の基準配置データSDの中の一の基準配置データSDに対応した一の基板PPの推奨配置データRDを作成する際には、次のように別個配置処理を行う。すなわち、データ作成部53は、一の基板PPを支持するプッシュアップピン282の配置位置として一の基準配置データSDにおける必要位置SD1を選定する。これにより、必要位置SD1に配置されるプッシュアップピン282によって一の基板PPを適切に支持することができる。更に、データ作成部53は、一の基板PP以外の他の基板PPを支持するプッシュアップピン282の仮の配置位置として一の基準配置データSDにおける選択可能位置SD3を選定する。つまり、一の基板PPを支持する際において、他の基板PP用のプッシュアップピン282は、禁止位置SD2に仮配置されるのではなく、選択可能位置SD3に仮配置される。これにより、一の基板PPの適切な支持を維持しつつ、他の基板PP用のプッシュアップピン282をプッシュアッププレート281上に仮配置することができる。
また、データ作成部53は、全ピン配置を想定した場合において、一の基板PPの推奨配置データRDを作成する際に、プッシュアッププレート281の上方に配設される一対のコンベアレール23の存在を考慮する。具体的には、データ作成部53は、他の基板PPを支持するプッシュアップピン282の仮の配置位置として、一の基準配置データSDにおける選択可能位置SD3の中で、プッシュアッププレート281上での一対のコンベアレール23の内側の領域に位置したものを選定する。これにより、一の基板PPから他の基板PPへの品種の切り替えに応じたプッシュアップピン282の配置変更の際においてプッシュアップピン282を移動させるときに、一対のコンベアレール23との干渉を回避しつつ移動させる必要はない。このため、プッシュアップピン282の配置変更の効率を高めることができる。
また、データ作成部53は、基板PPの品種の切り替え順序(管理データMDに登録される生産順序POに相当)に従って推奨配置データRDを基板品種PPTごとに順次作成するように構成される。そして、データ作成部53は、切り替え順序を変更することにより、影響因子の値が、基板品種PPTの切り替えに応じたプッシュアップピン282の配置変更の効率を向上させる方向に向かう場合には、当該切り替え順序の変更に応じて推奨配置データRDの作成順序を変更する。図8の例では、管理データMDに登録される生産順序POに従えば、基板品種PPTの切り替え順序が基板品種「D」,「E」,「F」の順であるところ、その切り替え順序が基板品種「D」,「F」,「E」の順に変更されている。この場合、データ作成部53は、推奨配置データRDの作成順序を、基板品種「D」,「F」,「E」に対応した順序に変更する。
このように、データ作成部53は、基板品種PPTの切り替え順序を変更することによりプッシュアップピン282の配置変更の効率を高めることが可能な場合には、切り替え順序の変更に応じて推奨配置データRDの作成順序を変更する。これにより、基板品種PPTの切り替え順序を変更した上で、その品種切り替えに応じたプッシュアップピン282の配置変更の効率を高めることができる。
図8の例では、基板品種「D」に対応した推奨配置データRDにおいては、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の推奨配置位置RD1として、座標(2,2)、座標(3,2)、座標(4,2)、座標(5,2)、座標(7,2)、座標(8,2)、座標(2,5)、座標(3,5)、座標(4,5)、座標(5,5)、座標(7,5)、座標(8,5)がそれぞれ設定されている。これらの推奨配置位置RD1には、基板品種「D」に対応した基準配置データSDにおける必要位置SD1が含まれており、禁止位置SD2は含まれていない。
基板品種「F」に対応した推奨配置データRDにおいては、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の推奨配置位置RD1として、座標(2,2)、座標(5,2)、座標(8,2)、座標(2,3)、座標(5,3)、座標(8,3)、座標(2,4)、座標(5,4)、座標(8,4)、座標(2,5)、座標(5,5)、座標(8,5)がそれぞれ設定されている。これらの推奨配置位置RD1には、基板品種「F」に対応した基準配置データSDにおける必要位置SD1が含まれており、禁止位置SD2は含まれていない。
基板品種「E」に対応した推奨配置データRDにおいては、プッシュアッププレート281上におけるプッシュアップピン282の推奨配置位置RD1として、座標(2,1)、座標(8,1)、座標(5,2)、座標(2,3)、座標(5,3)、座標(8,3)、座標(2,4)、座標(5,4)、座標(8,4)、座標(5,5)、座標(2,6)、座標(8,6)がそれぞれ設定されている。これらの推奨配置位置RD1には、基板品種「E」に対応した基準配置データSDにおける必要位置SD1が含まれている。
図8の例において、基板品種「D」から基板品種「F」へ品種が切り替わるときには、推奨配置データRDに基づくプッシュアップピン282の配置変更として、6本のプッシュアップピン282の移動が行われる。具体的には、基板品種「D」に対応した推奨配置データRDに基づいてプッシュアッププレート281上の推奨配置位置RD1に配置されているプッシュアップピン282のうち、座標(3,5)のプッシュアップピン282が座標(2,4)に移動される。同様に、座標(4,5)のプッシュアップピン282が座標(5,4)に移動され、座標(7,5)のプッシュアップピン282が座標(8,4)に移動され、座標(3,2)のプッシュアップピン282が座標(2,3)に移動され、座標(4,2)のプッシュアップピン282が座標(5,3)に移動され、座標(7,2)のプッシュアップピン282が座標(8,3)に移動される。
また、基板品種「F」から基板品種「E」へ品種が切り替わるときには、推奨配置データRDに基づくプッシュアップピン282の配置変更として、4本のプッシュアップピン282の移動が行われる。具体的には、基板品種「F」に対応した推奨配置データRDに基づいてプッシュアッププレート281上の推奨配置位置RD1に配置されているプッシュアップピン282のうち、座標(2,5)のプッシュアップピン282が座標(2,6)に移動される。同様に、座標(8,5)のプッシュアップピン282が座標(8,6)に移動され、座標(2,2)のプッシュアップピン282が座標(2,1)に移動され、座標(8,2)のプッシュアップピン282が座標(8,1)に移動される。
次に、図9のフローチャートを参照して、データ作成部53が推奨配置データRDを作成するときの処理フローを説明する。
まず、データ作成部53は、データ取得部51により取得された管理データMDに基づいて、データセットDS内の全ての基板品種PPTを対象に共通配置処理を試行する(ステップS1)。データ作成部53は、この共通配置処理によって共通の推奨配置データRDを作成可能であるかを判断する(ステップS2)。共通の推奨配置データRDの作成が可能である場合(ステップS2でYESの場合)、データ作成部53は、データ作成処理を終了する。この場合、データセットDS内の全ての基板品種PPTで共通の推奨配置データRDに基づいて、プッシュアップピン282の配置変更が搭載ヘッド251によって行われることになる。
一方、データセットDS内の全ての基板品種PPTで共通の推奨配置データRDの作成が不可能である場合(ステップS2でNOの場合)、データ作成部53は、ステップS3に処理を移行する。ステップS3では、データ作成部53は、データグループDG内の基板品種PPTを対象に共通配置処理を試行する。データ作成部53は、この共通配置処理によって共通の推奨配置データRDを作成可能であるかを判断する(ステップS4)。共通の推奨配置データRDの作成が可能である場合(ステップS4でYESの場合)、データ作成部53は、データグループDGの順序変更時における共通の推奨配置データRDの作成数を算出し(ステップS6)、その後、ステップS7に処理を移行する。
一方、データグループDG内の基板品種PPTで共通の推奨配置データRDの作成が不可能である場合(ステップS4でNOの場合)、データ作成部53は、データグループDG内での生産順序POの変更時における共通の推奨配置データRDの作成数を算出し(ステップS5)、その後、ステップS7に処理を移行する。
ステップS7では、データ作成部53は、共通配置処理の対象外の基板品種PPTを対象に別個配置処理を試行する。データ作成部53は、この別個配置処理の対象の基板品種PPTで別個の推奨配置データRDを作成する。その後、データ作成部53は、別個配置処理が完了したか否かを判断し(ステップS8)、別個配置処理が完了した場合に推奨配置データRDの作成処理を終了する。
次に、データ取得部51により取得された管理データMDに登録されるシステム準備時間STを考慮して推奨配置データRDを作成するときにデータ作成部53の動作について、図10を参照して説明する。図10では、部品実装システム1を構成する処理機3及び実装機2によって、同一のデータグループDGに属する基板品種PPTが「A」,「B」,「C」の各基板PPを順次生産する場面が例示されている。
データ作成部53は、データ取得部51により管理データMDが取得されると、当該管理データMDに登録されるシステム準備時間STが最短となるように影響因子の推奨値を設定することにより、推奨配置データRDを作成する。これにより、基板品種PPTの切り替えに応じたプッシュアップピン282の配置変更の効率を高めることで、システム準備時間STにて表される部品実装システム1の全体の準備処理の効率化を図ることができる。なお、この場合の影響因子の値としては、既述の「ピン移動本数」、「ピン配置変更時間」及び「ピン移動距離」のいずれかが用いられる。
具体的には、図10に示されるように、管理データMDに登録される初期設定状態のシステム準備時間STにおいて、基板品種PPTごとの処理機準備時間PTの平均値が実装機準備時間MTの平均値よりも長い時間である場合、データ作成部53は次のように動作する。すなわち、データ作成部53は、プッシュアップピン282の配置変更に要するピン配置変更時間を影響因子の値とし、当該ピン配置変更時間の推奨値を処理機準備時間PTに近い値に設定することにより、推奨配置データRDを作成する。
より詳しく説明すると、データ作成部53は、基板品種PPTごとの各実装機準備時間MTにおける最長値を抽出する。図10の例では、基板品種「C」の実装機準備時間MTが最長値を示している。そして、データ作成部53は、最長値に対応した基板品種PPTの切り替えに応じたプッシュアップピン282の配置変更の際におけるピン配置変更時間の推奨値を処理機準備時間PTに近い値に設定することにより、推奨配置データRDを作成する。
基板品種PPTごとの処理機準備時間PTの平均値が実装機準備時間MTの平均値よりも長い時間である場合、基板品種PPTの切り替え時における部品実装システム1全体のシステム準備時間STは、処理機準備時間PTによって決まる。つまり、実装機準備時間MTに含まれるピン配置変更時間が極端に短い時間に設定されたとしても、部品実装システム1全体の準備処理の効率化に寄与しない。換言すると、ピン配置変更時間は、処理機準備時間PTに近い値に設定されていれば十分である。このようなピン配置変更時間の設定によって部品実装システム1全体の準備処理の効率を低下させることにはならない。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
本発明の一の局面に係るデータ作成装置は、部品が搭載された基板を生産する部品実装システムに備えられる基板支持装置におけるプッシュアッププレート上でのプッシュアップピンの配置位置に関するデータを作成する装置である。このデータ作成装置は、前記プッシュアッププレート上における前記プッシュアップピンの基準配置を示す、前記基板の品種ごとに固有の基準配置データを記憶する記憶部と、複数の前記基準配置データに基づいて、前記基板の品種の切り替えに応じた前記プッシュアップピンの配置変更の効率性に影響を及ぼす影響因子の値を算出し、当該影響因子の値が推奨値となるように、前記プッシュアッププレート上における前記プッシュアップピンの推奨配置位置を示す推奨配置データを、複数の前記基準配置データに対応した前記基板の品種ごとに作成するデータ作成部と、を備える。
このデータ作成装置によれば、データ作成部は、基板の品種ごとに固有の複数の基準配置データに基づいて、プッシュアッププレート上におけるプッシュアップピンの推奨配置位置を示す推奨配置データを作成する。つまり、データ作成部は、1つの基準配置データに対応した1回の基板品種の切り替え時におけるプッシュアップピンの配置変更を考慮して、推奨配置データを作成するものではない。データ作成部は、複数の基準配置データに対応した複数回の基板品種の切り替え時におけるプッシュアップピンの配置変更を考慮して、推奨配置データを作成するのである。このような、複数の基準配置データに対応した基板の品種ごとの推奨配置データによって、基板品種の切り替え時におけるプッシュアップピンの配置変更を効率よく行うことが可能となる。
上記のデータ作成装置において、前記データ作成部は、複数の前記基準配置データに対応した前記基板の複数品種で共通の前記推奨配置データを作成する共通配置処理を実行する。
この態様では、データ作成部による共通配置処理によって、基板の複数品種で共通の推奨配置データが作成される。このような、基板の複数品種で共通の推奨配置データによって、一の基板品種の切り替え後に他の基板品種に切り替える時には、プッシュアップピンの配置変更を省略できる。このため、基板品種の切り替え時におけるプッシュアップピンの配置変更の効率を高めることができる。
上記のデータ作成装置において、前記データ作成部は、複数の前記基準配置データに対応した前記基板の複数品種で別個の前記推奨配置データを作成する別個配置処理を実行する。
複数の基準配置データで示されるプッシュアップピンの各基準配置の位置関係によっては、基板の複数品種で共通の推奨配置データを作成できない場合が生じ得る。この場合、データ作成部による別個配置処理によって、基板の複数品種で別個の推奨配置データが作成される。基板の複数品種で別個の推奨配置データは、それぞれ、プッシュアップピンの配置変更の効率性に影響を及ぼす影響因子の値が推奨値となるように、プッシュアップピンの配置位置が調整されたものである。このため、基板品種の切り替えごとにプッシュアップピンの配置変更が必要ではあるものの、その配置変更を効率よく行うことができる。
上記のデータ作成装置において、前記データ作成部は、前記別個配置処理において、前記基板の品種の切り替えに応じた前記プッシュアップピンの配置変更の際における、移動させる前記プッシュアップピンのトータルの本数を示すピン移動本数を前記影響因子の値として算出し、当該ピン移動本数が前記推奨値となるように前記推奨配置データを作成する。
この態様では、データ作成部は、プッシュアップピンの配置変更の際のピン移動本数が推奨値となるように推奨配置データを作成する。ピン移動本数は、プッシュアップピンの配置変更の効率性に影響を及ぼす影響因子となる。つまり、配置変更の際に移動させるプッシュアップピンの本数が少なくなるに従って、配置変更の効率は高まる。このような、配置変更の効率性の影響因子であるピン移動本数が推奨値となるように推奨配置データが作成されるので、この推奨配置データによって、基板品種の切り替え時におけるプッシュアップピンの配置変更を効率よく行うことが可能となる。
上記のデータ作成装置において、前記データ作成部は、前記別個配置処理において、前記基板の品種の切り替えに応じた前記プッシュアップピンの配置変更の際における、前記プッシュアップピンの移動のトータルの時間を示すピン配置変更時間を前記影響因子の値として算出し、当該ピン配置変更時間が前記推奨値となるように前記推奨配置データを作成する。
この態様では、データ作成部は、プッシュアップピンの配置変更の際のピン配置変更時間が推奨値となるように推奨配置データを作成する。ピン配置変更時間は、プッシュアップピンの配置変更の効率性に影響を及ぼす影響因子となる。つまり、プッシュアップピンの配置変更の際におけるプッシュアップピンの移動のトータルの時間を示すピン配置変更時間が短くなるに従って、配置変更の効率は高まる。このような、配置変更の効率性の影響因子であるピン配置変更時間が推奨値となるように推奨配置データが作成されるので、この推奨配置データによって、基板品種の切り替え時におけるプッシュアップピンの配置変更を効率よく行うことが可能となる。
上記のデータ作成装置において、前記データ作成部は、前記別個配置処理において、前記基板の品種の切り替えに応じた前記プッシュアップピンの配置変更の際における、前記プッシュアップピンの移動のトータルの距離を示すピン移動距離を前記影響因子の値として算出し、当該ピン移動距離が前記推奨値となるように前記推奨配置データを作成する。
この態様では、データ作成部は、プッシュアップピンの配置変更の際のピン移動距離が推奨値となるように推奨配置データを作成する。ピン移動距離は、プッシュアップピンの配置変更の効率性に影響を及ぼす影響因子となる。つまり、配置変更の際のプッシュアップピンの移動距離が短くなるに従って、配置変更の効率は高まる。このような、配置変更の効率性の影響因子であるピン移動距離が推奨値となるように推奨配置データが作成されるので、この推奨配置データによって、基板品種の切り替え時におけるプッシュアップピンの配置変更を効率よく行うことが可能となる。
上記のデータ作成装置において、前記データ作成部は、前記別個配置処理において、前記プッシュアップピンを格納するピンステーションから前記プッシュアッププレートへの前記プッシュアップピンの移動を想定して前記影響因子の値を算出し、当該影響因子の値が前記推奨値となるように前記推奨配置データを作成する。
この態様では、データ作成部は、ピンステーションからプッシュアッププレートへのプッシュアップピンの移動を想定して推奨配置データを作成する。このような推奨配置データによって、ピンステーションの存在を考慮した上で、基板品種の切り替え時におけるプッシュアップピンの配置変更を効率よく行うことが可能となる。
上記のデータ作成装置において、前記データ作成部は、前記別個配置処理において、複数の前記基準配置データに対応した複数品種の前記基板をそれぞれ支持するのに必要な全ての前記プッシュアップピンを、前記プッシュアッププレート上に、前記基板の品種ごとに配置変更を伴って配置する全ピン配置を想定して前記影響因子の値を算出し、当該影響因子の値が前記推奨値となるように前記推奨配置データを作成する。
この態様では、データ作成部は、複数品種の基板をそれぞれ支持するのに必要な全てのプッシュアップピンをプッシュアッププレート上に配置する全ピン配置を想定して推奨配置データを作成する。全ピン配置では、複数品種の基板をそれぞれ支持するのに必要な全てのプッシュアップピンがプッシュアッププレート上に配置される。この場合、プッシュアップピンの配置変更の際には、プッシュアッププレート上でプッシュアップピンを移動させるだけでよい。これにより、配置変更の際のプッシュアップピンの移動距離を短くすることが可能となるため、プッシュアップピンの配置変更の効率を高めることができる。
上記のデータ作成装置において、前記基準配置データは、前記プッシュアッププレート上における前記プッシュアップピンの前記基板の品種ごとの基準配置として、前記プッシュアップピンの配置が必要な必要位置と、前記プッシュアップピンの配置を禁止する禁止位置と、前記プッシュアップピンの配置の要否について適宜選択可能な選択可能位置との区画を示すデータである。そして、前記データ作成部は、前記全ピン配置を想定した場合において、複数の前記基準配置データの中の一の基準配置データに対応した一の基板の前記推奨配置データを作成する際には、前記一の基板を支持する前記プッシュアップピンの配置位置として前記一の基準配置データにおける前記必要位置を選定するとともに、前記一の基板以外の他の基板を支持する前記プッシュアップピンの仮の配置位置として前記一の基準配置データにおける前記選択可能位置を選定する。
この態様では、データ作成部は、全ピン配置を想定した場合において、一の基板の推奨配置データを作成する際には、一の基板を支持するプッシュアップピンの配置位置として一の基準配置データにおける必要位置を選定する。これにより、必要位置に配置されるプッシュアップピンによって一の基板を適切に支持することができる。また、データ作成部は、一の基板の推奨配置データを作成する際に、一の基板以外の他の基板を支持するプッシュアップピンの仮の配置位置として一の基準配置データにおける選択可能位置を選定する。つまり、一の基板を支持する際において、他の基板用のプッシュアップピンは、禁止位置に仮配置されるのではなく、選択可能位置に仮配置される。これにより、一の基板の適切な支持を維持しつつ、他の基板用のプッシュアップピンをプッシュアッププレート上に仮配置することができる。
上記のデータ作成装置において、前記データ作成部は、前記全ピン配置を想定した場合において、前記一の基板の前記推奨配置データを作成する際に、前記プッシュアッププレートの上方に配設される前記基板の搬送用の一対のコンベアレールの存在を考慮し、前記他の基板を支持する前記プッシュアップピンの仮の配置位置として、前記一の基準配置データにおける前記選択可能位置の中で、前記プッシュアッププレート上での前記一対のコンベアレールの内側の領域に位置したものを選定する。
この態様では、データ作成部は、全ピン配置を想定した場合において、一の基板の推奨配置データを作成する際に、他の基板用のプッシュアップピンの仮の配置位置として、選択可能位置の中で一対のコンベアレールの内側の領域に位置したものを選定する。これにより、一の基板から他の基板への品種の切り替えに応じたプッシュアップピンの配置変更の際においてプッシュアップピンを移動させるときに、一対のコンベアレールとの干渉を回避しつつ移動させる必要はない。このため、プッシュアップピンの配置変更の効率を高めることができる。
上記のデータ作成装置において、前記データ作成部は、前記基板の品種の切り替え順序に従って前記推奨配置データを前記基板の品種ごとに順次作成するように構成される。そして、前記データ作成部は、前記切り替え順序を変更することにより、前記影響因子の値が、前記基板の品種の切り替えに応じた前記プッシュアップピンの配置変更の効率を向上させる方向に向かう場合には、当該切り替え順序の変更に応じて前記推奨配置データの作成順序を変更する。
この態様では、データ作成部は、基板の品種の切り替え順序を変更することによりプッシュアップピンの配置変更の効率を高めることが可能な場合には、切り替え順序の変更に応じて推奨配置データの作成順序を変更する。これにより、基板の品種の切り替え順序を変更した上で、その品種切り替えに応じたプッシュアップピンの配置変更の効率を高めることができる。
上記のデータ作成装置において、前記部品実装システムは、前記基板に処理を施す処理機と前記基板に部品を搭載する実装機とを有し、前記実装機に前記基板支持装置が備えられるように構成されるものである。そして、上記のデータ作成装置は、前記基板の品種の切り替えに応じて生じ得る前記部品実装システム全体における準備処理に要するシステム準備時間に関するデータを、前記基板の品種ごとに取得するデータ取得部を、更に備える。そして、前記データ作成部は、前記システム準備時間が最短となるように前記影響因子の前記推奨値を設定することにより、前記推奨配置データを作成する。
この態様では、データ作成部は、基板の品種の切り替えに応じた部品実装システム全体における準備処理に要するシステム準備時間が最短となるように、推奨配置データを作成する。これにより、基板品種の切り替えに応じたプッシュアップピンの配置変更の効率を高めることで、部品実装システム全体の準備処理の効率化を図ることができる。
上記のデータ作成装置において、前記システム準備時間は、前記処理機の準備処理に要する処理機準備時間と、前記プッシュアップピンの配置変更を含む前記実装機全体の準備処理に要する実装機準備時間と、を含むものである。そして、前記データ作成部は、前記基板の品種ごとの前記処理機準備時間の平均値が前記実装機準備時間の平均値よりも長い時間である場合、前記プッシュアップピンの配置変更に要するピン配置変更時間を前記影響因子の値とし、当該ピン配置変更時間の前記推奨値を前記処理機準備時間に近い値に設定することにより、前記推奨配置データを作成する。
また、上記のデータ作成装置において、前記データ作成部は、前記基板の品種ごとの各前記実装機準備時間における最長値を抽出し、当該最長値に対応した前記基板の品種の切り替えに応じた前記プッシュアップピンの配置変更の際における前記ピン配置変更時間の前記推奨値を前記処理機準備時間に近い値に設定することにより、前記推奨配置データを作成する。
この態様では、データ作成部は、基板の品種ごとの処理機準備時間の平均値が実装機準備時間の平均値よりも長い時間である場合、ピン配置変更時間の推奨値を処理機準備時間に近い値に設定することにより、推奨配置データを作成する。基板の品種ごとの処理機準備時間の平均値が実装機準備時間の平均値よりも長い時間である場合、基板品種切り替え時における部品実装システム全体のシステム準備時間は、処理機準備時間によって決まる。つまり、実装機準備時間に含まれるピン配置変更時間が極端に短い時間に設定されたとしても、部品実装システム全体の準備処理の効率化に寄与しない。換言すると、ピン配置変更時間は、処理機準備時間に近い値に設定されていれば十分である。このようなピン配置変更時間の設定によって部品実装システム全体の準備処理の効率を低下させることにはならない。
本発明の他の局面に係る部品実装システムは、基板を支持するプッシュアップピンが配置されるプッシュアッププレートを有する基板支持装置と、前記プッシュアッププレート上における前記プッシュアップピンの配置位置に関するデータを作成する、上記のデータ作成装置と、を備える。
以上説明した通り、本発明によれば、基板品種の切り替え時におけるプッシュアップピンの配置変更を効率よく行うことが可能なデータ作成装置、及びそれを備えた部品実装システムを提供することができる。