以下、バックアップ部材設定装置が適用された部品実装機10について説明する。
部品実装機10は、図1に示すように、いわゆるダブルトラックコンベヤ方式の部品実装機であり、基台11を有している。部品実装機10は、基板搬送装置20、バックアップ装置30、部品供給装置40、部品移載装置50、および制御装置60を備えている。複数の部品実装機10は、並設されて部品実装ラインを構成する。部品実装機10は、図1に示すように、ホストコンピュータ70(バックアップ部材設定装置である。)に接続されている。ホストコンピュータ70は、各部品実装機10の運転を統括して制御するとともに各部品実装機10を統括して管理する。
基板搬送装置20は、基板Sを所定方向であるX軸方向(図1参照)に沿って搬送する。バックアップ装置30は、搬送された基板Sを基板搬送装置20と協働して位置決め固定する。部品供給装置40は、基板搬送装置20の一側(または両側)に設けられて基板Sに装着する部品(例えば電子部品)を供給する。部品移載装置50は、これら装置20,30,40の上方に配設されて部品供給装置40により供給された部品を吸着ノズル55により吸着保持するとともに、吸着保持した部品を基板搬送装置20上に位置決め支持された基板Sに自動的に装着する。
基板搬送装置20は、いわゆるダブルトラックコンベヤ方式であり、基台11上に互いに並列に組み付けられた第1および第2コンベヤ21,22を備えている。
第1コンベヤ21は、図1に示すように、一対のガイドレールである第1および第2ガイドレール21a,21bを備えている。第1および第2ガイドレール21a,21bは、基板Sを搬送する方向(搬送方向)である第1方向(X軸方向)に沿って延設されるとともに、第1方向と直交する第2方向(Y軸方向)に沿って互いに相対的に移動可能である。
第1および第2ガイドレール21a,21bは、互いに平行に対向して配置されており、基板Sを搬送方向に案内する。図2に示すように、第1および第2ガイドレール21a,21bの各上端には、それぞれ内側に向けて凸設された係止部21a1,21b1が長手方向(搬送方向)に渡って設けられている。第1コンベヤ21には、第1および第2ガイドレール21a,21bの直下に互いに平行に設けられた第1および第2コンベヤベルト21c,21dが並設されている。第1および第2コンベヤベルト21c,21dは、基板Sを支持して搬送方向に搬送する。
第1コンベヤ21の第1ガイドレール21aおよび第1コンベヤベルト21cは、主として図2に示すように、X軸方向に沿って延在する細長い第1取付フレーム21eに取り付けられている。第1取付フレーム21eの両端は、一対の固定支持フレーム21fを介して基台11に固定されている。また、第1コンベヤ21の第2ガイドレール21bおよび第2コンベヤベルト21dは、X軸方向に沿って延在する細長い第2取付フレーム21gに取り付けられている。第2取付フレーム21gの両端は、一対の移動支持フレーム21hを介して、基台11に固定された一対のレール12上を移動可能な一対のスライダ21kにそれぞれ固定されている。レール12は、X軸方向に沿って延在する。
これにより、第2ガイドレール21bは、直下の第2コンベヤベルト21dとともにY軸方向に沿って移動して位置決め固定される。よって、第1コンベヤ21は搬送する基板Sの基板幅(Y軸方向の基板幅)に対応してコンベヤ幅(Y軸方向の幅)を変更できる。なお、第1および第2取付フレーム21e,21gは、第1および第2コンベヤベルト21c,21dの各下面にそれぞれ当接して支持する第1および第2支持板21i,21jが取り付けられている。
第2コンベヤ22は、図1に示すように、第1コンベヤ21と同様に、一対のガイドレールである第1および第2ガイドレール22a,22bを備えている。第1および第2ガイドレール22a,22bは、基板Sを搬送する方向(搬送方向)である第1方向(X軸方向)に沿って延設されるとともに、第1方向と直交する第2方向(Y軸方向)に沿って互いに相対的に移動可能である。第1および第2ガイドレール22a,22bは、第1コンベヤ21の第2ガイドレール21bと同様に、Y軸方向に沿って移動可能である。このように、第1および第2ガイドレール22a,22bは、直下の第1および第2コンベヤベルト(図示省略)とともにY軸方向に沿って移動して位置決め固定される。よって、第2コンベヤ22は搬送する基板Sの基板幅(Y軸方向の基板幅)に対応してコンベヤ幅(Y軸方向の幅)を変更できる。
基台11には、図1,2に示すように、基板搬送装置20によって所定の実装位置まで搬送された基板Sを押し上げてクランプ(位置決め支持)するバックアップ装置30が備えられている。バックアップ装置30は、一対のガイドレール21a,21bによって搬送されている基板Sへ部品を装着する際に前記部品が装着される部品装着面Sbの反対側の支持面Saから基板Sを支持する。バックアップ装置30は、基板Sを支持する基板支持ユニット31と、基板支持ユニット31を昇降させる昇降装置32とを備えている。
基板支持ユニット31は、バックアッププレート31aと、複数のバックアップピン31bとを備えている。バックアッププレート31aは、基板Sの支持面Saに対して対向しながら相対的に往復動可能である。バックアッププレート31aは、例えば方形板状に形成されている。バックアップピン31bは、基板Sの支持面Saに対向するバックアッププレート31aの対向面31a1に脱着可能でありかつ基板Sの支持面Saを支持する複数のバックアップ部材である。例えば、バックアップピン31bの下部(基部)には、磁石が設けられ、バックアップピン31bは、磁力によって対向面31a1に脱着可能である。
バックアップピン31bは、先端部が比較的硬い部材(例えば金属部材)で構成されているハードタイプのバックアップピン(図2に示す)や、先端部が比較的軟らかい部材(例えばゴム部材)で構成されているソフトタイプのバックアップピン(図示しない)から構成される。
バックアップピン31bは、図2に示すように、第1部材(以下、ハードピンと称する場合もある。)31b1と第2部材(以下、ソフトピンと称する場合もある。)31b2とから構成されている。すなわち、バックアップピン31bは、第1部材31b1と第2部材31b2の2種類から構成されている。
第1部材31b1は、所定の力が軸方向に沿って加えられたときに、前記軸方向に沿って変形されていない状態にて基板Sを支持する。第1部材31b1は、先端部31b1aが比較的硬い部材(例えば金属部材)で構成されているハードタイプのバックアップピンである。先端部31b1aが基板Sに接触し支持する。なお、先端部31b1aは、後述する部品移載装置50の保持ノズル(図示省略)の保持部(係合部)に保持される被保持部(被係合部)が設けられている。
第2部材31b2は、前記所定の力が前記軸方向に沿って加えられたときに、前記軸方向に沿って収縮された状態にて基板Sを支持する。第2部材31b2は、先端部31b2aが比較的軟らかい部材(例えばゴム部材)で構成されているソフトタイプのバックアップピンである。先端部31b2aが基板Sに接触し支持する。なお、第2部材31b2は、先端部31b2bをさらに備えている。先端部31b2bは、先端部31b1aと同様に、後述する部品移載装置50の保持ノズル(図示省略)の保持部(係合部)に保持される被保持部(被係合部)が設けられている。
なお、第2部材31b2は、先端部を第1部材31b1の先端部31b1aと同様に構成するとともに、先端部と基端部との間の部位に軸方向に変形可能な部材を設けるようにしてもよい。
なお、基板支持ユニット31は、上面に多数の穴が形成された方形状のバックアッププレートと、前記穴に挿脱可能に立設されて基板Sを支持するバックアップピン(バックアップ部材)とから構成されるようにしてもよい。
昇降装置32は、例えばエアシリンダにて構成されており、バックアッププレート31aの4隅が離脱可能に組み付けられるロッド32aと、ロッド32aを進退させるシリンダ本体32bとからなる。
このように構成されたバックアップ装置30は、部品の非実装時には、基板支持ユニット31を下降位置(図2にて2点鎖線にて示す)に保持する。一方、部品の実装時には、すなわち基板搬送装置20によって基板Sが所定の実装位置まで搬送されて停止されたときには(図1にて実線にて示す。図2にて2点鎖線にて示す)、バックアップ装置30は、昇降装置32によって基板支持ユニット31を上昇させ、基板Sを下から押し上げて上昇位置(図2にて実線にて示す)に保持する。そして、部品の実装が完了すると、バックアップ装置30は、昇降装置32によって基板支持ユニット31を下降位置まで下降させる。
部品実装機10には、図1に示すように、基板搬送装置20の一側(または両側)に部品供給装置40が配置されている。部品供給装置40は、着脱可能な多数の部品供給カセット41を並設してなるものである。部品供給カセット41は、本体41aと、本体41aの後部に設けた供給リール41bと、本体41aの先端部に設けた部品取出部41cを備えている。供給リール41bには、部品が所定ピッチで封入され細長いテープ(図示省略)が巻回保持されている。部品供給カセット41は、前記テープを所定ピッチで引き出し、部品を部品取出部41cに順次送り込む。なお部品供給装置40は、カセット式のものだけでなくトレイ上に部品が並べられているトレイ式のものもある。
部品実装機10には、図1に示すように、基板搬送装置20の上方(紙面手前方向)に部品移載装置50が設けられている。部品移載装置50は、例えばXYロボットタイプのものである。部品移載装置50は、Y軸方向に沿って延在する第1フレーム51、X軸方向に沿って延在する第2フレーム52、支持ベース53、装着ヘッド54、円筒状の吸着ノズル55、および撮像装置56を備えている。
第1フレーム51は、X軸方向に沿って移動可能に基台11に設けられている。第2フレーム52は、Y軸方向に沿って移動可能に第1フレーム51に設けられている。支持ベース53は、第2フレーム52に着脱可能に設けられている。装着ヘッド54は、X軸方向とY軸方向とに直交するZ軸方向に沿って昇降可能に支持ベース53に設けられている。吸着ノズル55は、装着ヘッド54から下方に突出して設けられている。吸着ノズル55の下端は、部品を吸着保持したり、吸着保持した部品を解放したりする。撮像装置56は、基板Sやバックアップピン31bを上方から撮像するものであり、撮像した画像データは、制御装置60に出力されている。
なお、部品移載装置50は、吸着ノズル55を、バックアップピン31bを保持する保持ノズル(図示省略)に交換可能である。保持ノズルは、バックアップピン31bを保持する保持部(係合部)を有しており、保持部がバックアップピン31bを着脱可能に保持する。
また、基台11には、撮像装置13が設けられている。撮像装置13は、吸着ノズル55に吸着された部品の状態をモニターしており、撮像装置13がモニターした部品の状態を示す画像データは、制御装置60に出力されている。
制御装置60はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、所定のプログラムを実行して基板への電子部品の実装を制御するとともに、当該部品実装機10のバックアップ装置30のバックアップピン座標データおよび植立シーケンスデータを作成する。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
制御装置60には、入力装置61、通信装置62、記憶装置63、基板搬送装置20、バックアップ装置30、部品供給装置40、部品移載装置50および出力装置64が接続されている。入力装置61は、作業者が操作して基板の実装に必要な指令、データなどを入力するものである。通信装置62は、他の機器と互いに通信するためのものであり、LAN15を介してホストコンピュータ70に接続されている。記憶装置63は、装置全体を制御するシステムプログラム、システムプログラム上で装置の各要素をそれぞれ個別に制御する制御プログラム、ホストコンピュータ70から送信された当該部品実装機用のセパレートされた生産プログラムおよびバックアップピン座標データ(全情報)、作成されたバックアップピンの座標データおよび植立シーケンスデータ(いずれのデータも当該部品実装機専用の情報)を記憶するものである。出力装置64は、部品実装機10の状態情報、警告、作成されたバックアップピンの座標データおよび植立シーケンスデータなどを表示するものである。
ホストコンピュータ70は、図4に示すように、制御装置71を備えていて、制御装置71に接続された通信装置73はLAN15を介して部品実装機10および基板設計用CADシステム(図示省略)に接続されている。制御装置71はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、図7に示したフローチャートに対応したプログラムを実行して、バックアップ装置30のバックアップピン31bの支持位置・種類(ピン種)を選定する。すなわち、ホストコンピュータ70はバックアップ部材設定装置としての機能を有する。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
制御装置71には、入力装置72、表示装置(出力装置)74、書き換え可能な記憶装置75が接続されている。入力装置72は、作業者が操作して必要な情報、データなどを入力するものである。表示装置74は、制御に関する種々の状態を表示するものである。なお、表示装置74に代えて(または表示装置74とともに)他の出力部(印刷部)を設けるようにしてもよい。
記憶装置75は、基板設計用CADシステムから取得した基板のCADデータ、CADデータに基づいて作成された生産プログラム、バックアップピン座標データ、バックアップピンの植立シーケンスデータ、およびホストコンピュータ70が統括管理する各部品実装ラインのライン構成データ、基板情報(後述する)などを記憶するものである。基板のCADデータは、実装される部品のID、部品種、実装位置(XY座標)を含む。
制御装置71は、取得部71a、基本支持位置算出部71bおよび選定部71cを備えている。取得部71aは、入力装置72または/および記憶装置75から、部品の情報である部品情報および/または基板Sの情報である基板情報を取得する。
具体的には、部品情報は、部品種、部品の高さ、支持面部品実装位置を含んでいる。部品種は、部品の種類である。部品種は、例えば、基板Sに対して圧入する部品(例えば、コネクタ)の種類である圧入部品種、高精度の位置決めが必要とされる特定の部品(例えば、QFP,SOP,BGA,CSPなどの端子のピッチが狭い部品)の種類である特定部品種がある。支持面部品実装位置は、基板Sの支持面Saに実装された部品の位置である。支持面部品実装位置は、部品の輪郭に相当する範囲を示している。支持面部品実装位置は、例えばXY座標で示されている。
基板情報は、基板Sの所定場所の基板Sの撓み量、スルーホール情報、基板Sのサイズ(縦・横長さ、厚み。以下、基板サイズと称する場合もある。)を含んでいる。基板Sの所定場所の基板Sの撓み量は、バックアップピン31bの基板Sの所定の支持位置を所定の力にて押圧したときの基板Sの撓み量である。所定の力は、例えば、部品移載装置50による部品を基板Sに搭載する際に必要な押圧力である。基板Sの撓み量は、実験により取得してもよく、シミュレーションによって取得するようにしてもよい。スルーホール情報は、スルーホールSsの位置座標や孔径である。
基本支持位置算出部71bは、取得部71aから入力した基板情報、特に基板サイズから、基板Sを支持する支持位置の基本位置(初期位置)である基本支持位置を算出する。例えば、基本支持位置算出部71bは、基板Sの中央を原点にして所定間隔にマトリックス状に設定した複数の点(XY座標)を、原点を含め基本支持位置として算出する。具体的には、図5に示すように、基本支持位置は位置P1−P9である。なお、図6は、基本支持位置P1−P9、変更支持位置P2a,P4a,P6a,P9a、支持面Sa側の部品Xaa,Xab,Xac,Xad、および部品装着面Sb側の部品Xbaを示している。
選定部71cは、バックアップピン31bによって支持される基板Sの所定の支持位置に関連する、部品情報および/または基板情報に基づいて、基板Sの所定の支持位置をそれぞれ支持するバックアップピン31bを、第1部材31b1と第2部材31b2のなかから選定する。
具体的には、選定部71cは、基本支持位置算出部71bから基本支持位置を入力し、基本支持位置P1−P9毎に、基本支持位置P1−P9をそれぞれ支持するバックアップピン31bを、第1部材31b1と第2部材31b2のなかから選定する。
より詳細には、選定部71cは、最初に当該基本支持位置のバックアップピン31bを第2部材31b2に選定する。すなわち、最初に全ての基本支持位置P1−P9のバックアップピン31bは、第2部材31b2に選定される。その後、選定部71cは、下記の条件に応じて、当該基本支持位置のバックアップピン31bを第1部材31b1に変更したり、第2部材31b2に維持したりする。
選定部71cは、基本支持位置が圧入範囲A1内である場合すなわち基本支持位置に関連する部品種が圧入部品種である場合には、当該基本支持位置のバックアップピン31bを第1部材31b1に選定する。圧入範囲A1は、圧入部品種である部品Xbaの輪郭範囲より所定距離だけ広い範囲に設定されている。例えば、基本支持位置P7−P9は圧入範囲A1内であるため、バックアップピン31bは第1部材31b1に選定(変更)される。なお、基本支持位置P9は、部品Xaaの支持面部品実装位置と重なるため、その位置ではバックアップピン31bの先端が部品Xaaに干渉するため、支持面部品未実装位置である変更支持位置P9aに変更するのが好ましい。これによれば、圧入部品種である部品Xbaを基板Sに圧入する際に、基板S(製品基板)の撓み・反りを防ぐことができる。
また、選定部71cは、基本支持位置における前記撓み量が判定撓み量より大きい場合には、当該基本支持位置のバックアップピン31bを第1部材31b1に選定する。例えば、基本支持位置P1,P4,P7における前記撓み量が判定撓み量より大きい。基本支持位置P2,P3,P5,P6,P8,P9における前記撓み量が判定撓み量より小さい。よって、基本支持位置P1,P4,P7のバックアップピン31bが第1部材31b1に選定(変更)される。なお、基本支持位置P4は、部品Xadの支持面部品実装位置と重なるため、その位置ではバックアップピン31bの先端が部品Xadに干渉するため、支持面部品未実装位置である変更支持位置P4aに変更するのが好ましい。基本支持位置P2,P3,P5,P6,P8,P9のバックアップピン31bは第2部材31b2でもよい。これによれば、基板S(製品基板)の自重による撓み・反りを防ぐことができる。
選定部71cは、バックアップピン31bの基板Sの所定の支持位置である基本支持位置が支持面部品実装位置と重ならない場合には、当該基本支持位置のバックアップピン31bを第1部材31b1に選定する。例えば、基本支持位置P5は支持面部品実装位置と重ならないため、バックアップピン31bは第1部材31b1に選定(変更)される。これによれば、支持面Saの先付け部品がない場所を第1部材31b1によって支持することができる。よって、部品を基板Sに実装する際に、基板S(製品基板)の撓み・反りを防ぐことができる。
選定部71cは、バックアップピン31bの基板Sの所定の支持位置である基本支持位置が支持面部品実装位置と重なり、かつ、部品の高さが判定高さより小さい場合には、当該基本支持位置のバックアップピン31bを第2部材31b2に選定する。例えば、基本支持位置P3は部品Xabの支持面部品実装位置と重なり、かつ、部品Xabの高さが判定高さより小さいため、バックアップピン31bは第2部材31b2に選定(維持)される。これによれば、当該基本支持位置が支持面Saの先付け部品がある場所を第2部材31b2によって支持することができる。よって、部品を基板Sに実装する際に、基板S(製品基板)の撓み・反りを防ぐことができる。
選定部71cは、バックアップピン31bの基板Sの所定の支持位置である基本支持位置が支持面部品実装位置と重なり、かつ、部品の高さが判定高さより大きい場合には、当該基本支持位置のバックアップピン31bの使用を禁止することを選定する。例えば、基本支持位置P2は部品Xacの支持面部品実装位置と重なり、かつ、部品Xacの高さが判定高さより大きいため、基本支持位置P2のバックアップピン31bの使用を禁止することが選定される。なお、基本支持位置P2は、バックアップピン31bの使用が禁止されているため、支持面部品未実装位置(支持面部品実装位置(部品高さが判定高さより小さい))である変更支持位置P2aに変更するのが好ましい。このとき、バックアップピン31bは第1部材31b1でも第2部材31b2でもよい。これによれば、当該基本支持位置が支持面Saの先付け部品がある場所を第2部材31b2によって支持することができる場合であっても、部品の高さが判定高さより大きい場合、バックアップピン31bの使用が禁止される。よって、バックアップピン31bの先端を均等に基板Sに接触させることができる。よって、部品を基板Sに実装する際に、基板S(製品基板)の撓み・反りを防ぐことができる。
また、選定部71cは、バックアップピン31bの基板Sの所定の支持位置である基本支持位置がスルーホール位置と重なる場合には、当該基本支持位置のバックアップピン31bの使用を禁止することを選定するのが好ましい。例えば、基本支持位置P6は、スルーホールSsの位置と重なる。このとき、バックアップピン31bの基板Sの所定の支持位置は、スルーホール位置(当該基本支持位置)から所定距離だけ離れた位置である変更支持位置P6aに設けるのが好ましい。このとき。変更支持位置P6aが支持面部品実装位置内であれば、バックアップピン31bは第2部材31b2に選定(変更)される。変更支持位置P6aが支持面部品未実装位置内であれば、バックアップピン31bは第1部材31b1に選定(変更)される。これによれば、バックアップピン31bの支持位置は、スルーホール位置と重ならない位置に設定することができる。
また、選定部71cは、バックアップピン31bの基板Sの所定の支持位置である基本支持位置が部品装着面Sb側の特定部品種の位置と重なる場合には、当該基本支持位置のバックアップピン31bを第1部材31b1に選定するのが好ましい。これによれば、特定部品が実装時の衝撃により位置ずれしないように、その特定部品を支持することができる。
選定部71cは、最初に設定されたバックアップピン31bの基本支持位置を移動させて新たな支持位置(変更支持位置)を設定するとともにバックアップピン31bのピン種を設定するようにしてもよい。例えば、基本支持位置が圧入範囲A1内であり、かつ、支持面部品実装位置内である場合、基本支持位置から所定範囲内であり、圧入範囲A1内であり、かつ、支持面部品未実装位置である新しい位置を変更支持位置として設定すればよい。このとき、バックアップピン31bは第1部材31b1に選定される。なお、支持面部品未実装位置は、支持面Saのうち部品が実装されていない位置である。
また、基本支持位置の撓み量が判定撓み量より大きく、かつ、支持面部品実装位置内である場合、基本支持位置から所定範囲内であり、かつ、支持面部品未実装位置である新しい位置を変更支持位置として設定すればよい。このとき、バックアップピン31bは第1部材31b1に選定される。
このように、制御装置71は、自動的に、バックアップピン31bの支持位置・ピン種・ピン配置禁止を確実に選定することができる。
さらに、上述したバックアップ部材設定装置であるホストコンピュータ70の制御装置71の作動について図7に示すフローチャートに沿って説明する。
制御装置71は、ステップS102において、上述した取得部71aの処理により、入力装置72または/および記憶装置75から、部品の情報である部品情報および/または基板Sの情報である基板情報を取得する。制御装置71は、ステップS104において、上述した基本支持位置算出部71bの処理により、取得した基板情報、特に基板サイズから、基板Sを支持する支持位置の基本位置(初期位置)である基本支持位置を算出する。
制御装置71は、ステップS106−124において、バックアップピン31bによって支持される基板Sの所定の支持位置に関連する、部品情報および/または基板情報に基づいて、基板Sの所定の支持位置をそれぞれ支持するバックアップピン31bを、第1部材31b1と第2部材31b2のなかから選定する。
制御装置71は、ステップS106において、当該基本支持位置のバックアップピン31bを第2部材31b2(ソフトピン、ソフトタイプ)に選定する。
制御装置71は、基本支持位置が支持面部品実装位置内でなく、かつ圧入範囲A1内である場合、ステップS108,110にて「NO」,「YES」と判定し、当該基本支持位置のバックアップピン31bを第1部材31b1(ハードピン、ハードタイプ)に選定(設定)する(ステップS112)。
制御装置71は、基本支持位置が支持面部品実装位置内でなく、圧入範囲A1内でなく、かつ基本支持位置の撓み量が判定撓み量より大きい場合、ステップS108,110,114にて「NO」,「NO」,「YES」と判定し、当該基本支持位置のバックアップピン31bを第1部材31b1(ハードピン、ハードタイプ)に選定(設定)する(ステップS112)。
制御装置71は、基本支持位置が支持面部品実装位置内でなく、圧入範囲A1内でなく、かつ、基本支持位置の撓み量が判定撓み量以下である場合、ステップS108,110,114にて「NO」,「NO」,「NO」と判定し、当該基本支持位置のバックアップピン31bを第2部材31b2(ソフトピン、ソフトタイプ)に選定(維持)する。
制御装置71は、基本支持位置が支持面部品実装位置内であり、かつ圧入範囲A1内である場合、ステップS108,116にて「YES」,「YES」と判定し、支持位置を当該基本支持位置から変更支持位置に変更するとともにバックアップピン31bを第1部材31b1(ハードピン、ハードタイプ)に選定(設定)する(ステップS124)。
制御装置71は、基本支持位置が支持面部品実装位置内であり、圧入範囲A1内でなく、かつ基本支持位置の撓み量が判定撓み量より大きい場合、ステップS108,116,118にて「YES」,「NO」,「YES」と判定し、支持位置を当該基本支持位置から変更支持位置に変更するとともにバックアップピン31bを第1部材31b1に選定(設定)する(ステップS124)。
制御装置71は、基本支持位置が支持面部品実装位置内であり、圧入範囲A1内でなく、基本支持位置の撓み量が判定撓み量以下であり、かつ、部品高さが判定高さより小さい(低い)場合、ステップS108,116,118,120にて「YES」,「NO」,「NO」,「YES」と判定し、当該基本支持位置のバックアップピン31bを第2部材31b2(ソフトピン、ソフトタイプ)に選定(維持)する。
制御装置71は、基本支持位置が支持面部品実装位置内であり、圧入範囲A1内でなく、基本支持位置の撓み量が判定撓み量以下であり、かつ、部品高さが判定高さより大きい(高い)場合、ステップS108,116,118,120にて「YES」,「NO」,「NO」,「NO」と判定し、当該基本支持位置のバックアップピン31bの配置を禁止する(ステップS122)。
そして、制御装置71は、ステップS126において、上述のように選定されたバックアップピン31bの支持位置・ピン種を決定し、表示装置74に表示したり、部品実装機10毎のバックアップピンデータを部品実装機10に送信したりする。
上記のバックアップ部材設定装置(ホストコンピュータ70)によれば、選定部71cは、バックアップピン31bによって支持される基板Sの所定の支持位置に関連する、部品情報および/または基板情報に基づいて、基板Sの所定の支持位置をそれぞれ支持するバックアップピン31bを、第1部材31b1および第2部材31b2のなかから選定する。このように、バックアップピン31bの支持位置が、バックアップピン31bの種類毎に自動的に設定することができる。よって、バックアップ部材設定装置(制御装置71)は、バックアップ装置30が複数種類のバックアップピン31bを備えていても、バックアップピン31bの支持位置を、バックアップピン31bの種類毎に適切に行うことができる。
また、使用するバックアップピン31bを正しく選定することができ、部品を装着する際にバックアップピン31bにより適切に基板Sを支持することができるため、不良基板の低減を図ることができる。
次に、ホストコンピュータ70(バックアップ部材設定装置)の変形例について図8を参照して説明する。
制御装置71は、取得部71d1、算出部71d2、表示制御部71d3、設定部71d4、および判定部71eを備えている。取得部71d1、算出部71d2、表示制御部71d3、および設定部71d4から選定部71dが構成されている。制御装置71には、入力装置72、通信装置73、表示装置(出力装置)74、および記憶装置75が接続されている。
選定部71dは、使用するバックアップピン31bについて第1部材31b1または第2部材31b2のいずれかを作業者の入力によって選定する。選定部71dは、算出部71d2、表示制御部71d3、および設定部71d4を含んでいる。
取得部71d1は、上述した取得部71aの処理により、入力装置72または/および記憶装置75から、部品情報および/または基板情報を取得する。
算出部71d2は、取得部71d1から入力した部品情報および/または基板情報に基づいて、第1部材31b1によって支持される基板Sの支持位置の範囲である第1範囲Aa(以下、ハードピン支持範囲と称する場合がある。)、および、第2部材31b2によって支持される基板Sの支持位置の範囲である第2範囲Ab(以下、ソフトピン支持範囲と称する場合がある。)を算出する。
第1範囲Aaは、図9に示すように、圧入範囲Aa1、撓み抑制範囲Aa2、支持面部品未実装位置Aa3から構成されている。圧入範囲Aa1は、上述した圧入範囲A1と同様に定義されている。撓み抑制範囲Aa2は、基板Sの任意の場所を所定の力にて押圧したときの基板Sの撓み量(上述した)が上述した判定撓み量より大きい範囲である。支持面部品未実装位置Aa3は、支持面Saのうち部品が実装されていない位置(範囲)である。
第2範囲Abは、図9に示すように、支持面部品実装位置Ab1から構成されている。支持面部品実装位置Ab1は、支持面Saのうち部品が実装されている位置(範囲)である。
なお、図9には、ピン禁止範囲Acも示されている。ピン禁止範囲Acは、部品高さが判定高さより高い部品の位置(その位置に対応する範囲)Ac1、およびスルーホール位置(その位置に対応する範囲)Ac2を含んでいる。
表示制御部71d3は、算出部71d2にて算出された第1範囲Aaおよび第2範囲Abを含めて基板Sを表示装置74に表示する(図9参照)。表示制御部71d3は、ピン禁止範囲Acも併せて表示することができる。
設定部71d4は、表示制御部71d3にて表示装置74に表示された基板S上に第1部材31b1および第2部材31b2の配置位置を、作業者が指定して設定する。すなわち、作業者は、表示されている第1範囲Aa、第2範囲Abおよびピン禁止範囲Acを参考にして、第1部材31b1および第2部材31b2の配置位置を指定して設定(選定)する。
設定部71d4は、作業者の入力によって選定されたバックアップピン31bの情報である選定ピン情報を記憶装置75に記憶することができる。選定ピン情報は、選定されたバックアップピン31bの支持位置である選定支持位置(XY座標)、および選定されたピン種である選定ピン種である。
判定部71eは、作業者の入力によって選定されたバックアップピン31bによって支持される基板の支持位置に関連する、部品情報および/または基板情報に基づいて、基板Sの支持位置をそれぞれ支持するバックアップピン31bが、第1部材31b1および第2部材31b2のなかから正しく選定をされたか否かを判定する。判定部71eは、選定部71dによって選定をされたバックアップピン31bが、部品情報および/または基板情報に基づいて、第1部材31b1および第2部材31b2のなかから正しく設定されたか否かを判定する。
判定部71eは、選定ピン情報(選定支持位置、選定ピン種)を取得し、部品情報および/または基板情報に基づいて、選定支持位置に対応したピン種と選定ピン種が一致する場合、上記選定が正しい旨の判定を行う。一方、判定部71eは、選定支持位置に対応したピン種と選定ピン種が一致しない場合、上記選定が間違っている旨の判定を行う。
さらに、上述したバックアップ部材設定装置であるホストコンピュータ70の制御装置71の作動について図10,11に示すフローチャートに沿って説明する。
制御装置71は、ステップS202において、上述した取得部71d1の処理により、入力装置72または/および記憶装置75から、部品情報および/または基板情報を取得する。
制御装置71は、ステップS204−208において、上述した算出部71d2の処理により、第1範囲Aaを算出する。制御装置71は、ステップS210において、上述した算出部71d2の処理により、第2範囲Abを算出する。さらに、制御装置71は、ステップS212において、ピン禁止範囲Acを、部品高さが判定高さより高い部品の位置(その位置に対応する範囲)Ac1、およびスルーホール位置(その位置に対応する範囲)Ac2から算出する。
制御装置71は、ステップS214において、上述した表示制御部71d3の処理により、第1範囲Aa、第2範囲Abおよびピン禁止範囲Acを表示装置74に表示する。制御装置71は、ステップS216において、上述した設定部71d4の処理により、表示制御部71d3にて表示装置74に表示された基板S上に、作業者が指定した第1部材31b1および第2部材31b2の配置位置を、支持位置として設定する。制御装置71は、ステップS216において、作業者の入力によって選定されたバックアップピン31bの情報である選定ピン情報を記憶装置75に記憶する。
このように、制御装置71は、作業者の入力により、バックアップピン31bの支持位置・ピン種・ピン配置禁止を選定(手動選定)することができる。
さらに、制御装置71は、ステップS250において、上述のように選定した選定ピン情報を記憶装置75から取得する。
そして、制御装置71は、ステップS252−268において、上述した判定部71eにより、作業者の入力によって選定されたバックアップピン31bによって支持される基板の支持位置に関連する、部品情報および/または基板情報に基づいて、基板Sの支持位置をそれぞれ支持するバックアップピン31bが、第1部材31b1および第2部材31b2のなかから正しく選定をされたか否かを判定する。
より詳細には、選定支持位置が圧入範囲Aa1内であり、かつ、選定ピン種がハードタイプである場合、制御装置71は、ステップS252,254にて「YES」,「YES」と判定し、選定支持位置に対する選定ピン種が正しい旨の判定・表示をする(ステップS256)。一方、選定支持位置が圧入範囲Aa1内であり、かつ、選定ピン種がソフトタイプである場合、制御装置71は、ステップS252,254にて「YES」,「NO」と判定し、選定支持位置に対する選定ピン種が間違っている旨の判定・表示をする(ステップS258)。
選定支持位置の撓み量が判定撓み量より大きく、かつ、選定ピン種がハードタイプである場合、制御装置71は、ステップS260,254にて「YES」,「YES」と判定し、選定支持位置に対する選定ピン種が正しい旨の判定・表示をする(ステップS256)。一方、選定支持位置の撓み量が判定撓み量より大きく、かつ、選定ピン種がソフトタイプである場合、制御装置71は、ステップS252,254にて「YES」,「NO」と判定し、選定支持位置に対する選定ピン種が間違っている旨の判定・表示をする(ステップS258)。
選定支持位置が支持面部品実装位置内でなく、かつ、選定ピン種がハードタイプである場合、制御装置71は、ステップS262,254にて「NO」,「YES」と判定し、選定支持位置に対する選定ピン種が正しい旨の判定・表示をする(ステップS256)。一方、選定支持位置が支持面部品実装位置内でなく、かつ、選定ピン種がソフトタイプである場合、制御装置71は、ステップS262,254にて「NO」,「NO」と判定し、選定支持位置に対する選定ピン種が間違っている旨の判定・表示をする(ステップS258)。
選定支持位置が支持面部品実装位置内であり、かつ、選定支持位置にある部品の高さが判定高さより小さい場合であって、選定ピン種がソフトタイプである場合、制御装置71は、ステップS262,264,266にて「YES」,「YES」,「YES」と判定し、選定支持位置に対する選定ピン種が正しい旨の判定・表示をする(ステップS256)。一方、選定支持位置が支持面部品実装位置内であり、かつ、選定支持位置にある部品の高さが判定高さより小さい場合であって、選定ピン種がハードタイプである場合、制御装置71は、ステップS262,264,266にて「YES」,「YES」,「NO」と判定し、選定支持位置に対する選定ピン種が間違っている旨の判定・表示をする(ステップS258)。
選定支持位置が支持面部品実装位置内であり、かつ、選定支持位置にある部品の高さが判定高さより大きい場合、制御装置71は、ステップS262,264にて「YES」,「NO」と判定し、選定支持位置はピン禁止範囲である旨の判定・表示をする(ステップS268)。
また、上記のバックアップ部材設定装置(ホストコンピュータ70)によれば、選定部71dは、使用するバックアップピン31bについて第1部材31b1または第2部材31b2のいずれかを作業者の入力によって選定する。さらに、判定部71eは、作業者の入力によって選定されたバックアップピン31bによって支持される基板Sの支持位置に関連する、部品情報および/または基板情報に基づいて、基板Sの支持位置をそれぞれ支持するバックアップピン31bが、第1部材31b1および第2部材31b2のなかから正しく選定されたか否かを判定する。このように、バックアップ部材設定装置は、バックアップピン31bの支持位置が、バックアップピン31bの種類毎に作業者によって手動で設定した場合であっても、判定部71eによる判定結果に基づいて、作業者はバックアップ部材を正しく選定(再選定)することができる。よって、バックアップ部材設定装置は、バックアップ装置30が複数種類のバックアップピン31bを備えていても、バックアップピン31bの支持位置を、バックアップピン31bの種類毎に適切に行うことができる。
また、使用するバックアップピン31bを正しく選定することができ、部品を装着する際にバックアップピン31bにより適切に基板Sを支持することができるため、不良基板の低減を図ることができる。
なお、上述したバックアップ部材設定装置は、ホストコンピュータ70であったが、部品実装機10の制御装置60がバックアップ部材設定装置であってもよい。