以下、本開示の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、実施形態に従った画像処理システム1の一例の構成図である。
画像処理システム1は、媒体搬送装置100及び情報処理装置200を備える。媒体搬送装置100は、イメージスキャナ等である。媒体搬送装置100は、原稿及び原稿を挟持するキャリアシートを媒体として搬送し、撮像する。原稿は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。キャリアシートは、例えば、媒体搬送装置100がサポートする最大サイズより大きい原稿を二つ折りにして搬送するために使用される。キャリアシートは、キャリアシートを識別するための所定のマークを有する。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。情報処理装置200は、パーソナルコンピュータ等である。媒体搬送装置100及び情報処理装置200は、相互に通信接続されている。
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、第1操作装置105及び第1表示装置106等を備える。
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
第1操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。
第1表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第2媒体センサ114、超音波センサ115、第1搬送ローラ116、第2搬送ローラ117、第3媒体センサ118、第1撮像装置119a、第2撮像装置119b、第3搬送ローラ120及び第4搬送ローラ121等を有している。給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1~第4搬送ローラ116、117、120、121は、媒体を搬送する搬送部の一例である。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
第1媒体センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の上流側に配置される。第1媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、第1媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、第1媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
第2媒体センサ114は、給送ローラ112及びブレーキローラ113より下流側且つ超音波センサ115より上流側に配置され、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第2媒体センサ114は、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光部材とを含む。導光部材は、U字型のプリズム等の導光管である。発光器は、LED(Light Emitting Diode)等であり、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、導光部材により導かれた光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第2媒体信号を生成して出力する。第2媒体センサ114の位置に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により遮光されるため、第2媒体センサ114の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第2媒体信号の信号値は変化する。なお、導光部材の代わりにミラー等の反射部材が用いられてもよい。また、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、導光部材は省略されてもよい。
超音波センサ115は、給送ローラ112及びブレーキローラ113より下流側且つ第1、第2搬送ローラ116、117より上流側に配置される。超音波センサ115は、超音波発信器115a及び超音波受信器115bを含む。超音波発信器115a及び超音波受信器115bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器115aは、超音波を発信する。一方、超音波受信器115bは、超音波発信器115aにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。超音波信号は、搬送部により搬送される媒体を透過する超音波の透過情報を示す。透過情報は、超音波受信器115bが受信した超音波の大きさを示す。超音波センサ115は、搬送される媒体を透過する超音波の透過情報を検出するための第2センサの一例である。
第3媒体センサ118は、第1、第2搬送ローラ116、117より下流側且つ第1、第2撮像装置119a、119bより上流側に配置され、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第3媒体センサ118は、第2媒体センサ114と同様の構成を有し、受光器が受光した光の強度に応じた電気信号である第3媒体信号を生成して出力する。
第1撮像装置119aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置119aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置119aは、搬送される媒体の表面を撮像した第1ライン画像を順次生成し、出力信号として出力する。即ち、第1ライン画像の垂直方向(副走査方向)の画素数は1であり、水平方向(主走査方向)の画素数は複数である。
同様に、第2撮像装置119bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置119bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置119bは、搬送される媒体の裏面を撮像した第2ライン画像を順次生成し、出力信号として出力する。即ち、第2ライン画像の垂直方向(副走査方向)の画素数は1であり、水平方向(主走査方向)の画素数は複数である。
なお、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。以下では、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを総じて撮像装置119と称する場合がある。撮像装置119は、キャリアシートが有する所定のマークを検出するための第1センサの一例である。また、撮像装置119は、撮像部の一例である。
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が図2の矢印A2の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、媒体搬送時、矢印A3の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ116と第2搬送ローラ117の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置119aと第2撮像装置119bの間に送り込まれる。撮像装置119により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ120及び第4搬送ローラ121がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
図3は、媒体搬送装置100及び情報処理装置200の概略構成を示すブロック図である。
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、モータ131、第1インタフェース装置132、第1記憶装置140及び第1処理回路150等をさらに有する。第1操作装置105、第1表示装置106、第1媒体センサ111、第2媒体センサ114、超音波センサ115、第3媒体センサ118、撮像装置119、モータ131、第1インタフェース装置132、第1記憶装置140及び第1処理回路150は、バスを介して相互に接続される。
モータ131は、1つ又は複数のモータを含む。モータ131は、第1処理回路150からの制御信号によって給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1~第4搬送ローラ116、117、120、121を回転させて媒体を搬送させる。
第1インタフェース装置132は、出力部の一例である。第1インタフェース装置132は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、情報処理装置200と電気的に接続して各種の情報を送受信する。なお、第1インタフェース装置132の代わりに、所定の通信プロトコルに従って、所定の通信ネットワークを介して情報処理装置200と信号の送受信を行うための通信インタフェース回路を有する通信装置が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、無線LAN(Local Area Network)等である。
第1記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第1記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
第1処理回路150は、予め第1記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第1処理回路150は、例えばCPU(Central Processing Unit)等である。第1処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
第1処理回路150は、第1操作装置105、第1表示装置106、第1媒体センサ111、第2媒体センサ114、超音波センサ115、第3媒体センサ118、撮像装置119、モータ131、第1インタフェース装置132及び第1記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。第1処理回路150は、第3媒体センサ118からの第3媒体信号に従って、モータ131の駆動制御、撮像装置119の撮像制御等を行い、画像を取得し、第1インタフェース装置132を介して情報処理装置200に送信する。第1処理回路150は、撮像装置119から取得した画像及び超音波センサ115から取得した超音波信号に基づいて、媒体がキャリアシートであるか否かを判定し、判定結果に関する情報を、第1インタフェース装置132を介して情報処理装置200に送信する。
情報処理装置200は、第2操作装置201、第2表示装置202、第2インタフェース装置203、第2記憶装置210及び第2処理回路220等を有する。
第2操作装置201は、タッチパネル式の入力装置、キーボード、マウス等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。
第2表示装置202は、液晶、有機EL等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
第2インタフェース装置203は、第1インタフェース装置132と同様のインタフェース回路を有し、媒体搬送装置100と電気的に接続して各種の情報を送受信する。なお、第2インタフェース装置203の代わりに、所定の通信プロトコルに従って、所定の通信ネットワークを介して媒体搬送装置100と信号の送受信を行うための通信インタフェース回路を有する通信装置が用いられてもよい
第2記憶装置210は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第2記憶装置210には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶装置210にインストールされてもよい。
第2処理回路220は、予め第2記憶装置210に記憶されているプログラムに基づいて動作する。第2処理回路220は、例えばCPU等である。第2処理回路220として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
第2処理回路220は、第2操作装置201、第2表示装置202、第2インタフェース装置203及び第2記憶装置210等と接続され、これらの各部を制御する。第2処理回路220は、第2インタフェース装置203を介して媒体搬送装置100から画像を受信して第2表示装置202に表示する。
図4は、第1記憶装置140及び第1処理回路150の概略構成を示す図である。
図4に示すように、第1記憶装置140には、制御プログラム141、マーク判定プログラム142、重なり判定プログラム143、サイズ判定プログラム144、キャリアシート判定プログラム145及び出力制御プログラム146等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第1処理回路150は、第1記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第1処理回路150は、制御部151、マーク判定部152、重なり判定部153、サイズ判定部154、キャリアシート判定部155及び出力制御部156として機能する。
図5は、第2記憶装置210及び第2処理回路220の概略構成を示す図である。
図5に示すように、第2記憶装置210には、表示制御プログラム211及び画像処理プログラム212等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第2処理回路220は、第2記憶装置210に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第2処理回路220は、表示制御部221及び画像処理部222として機能する。
図6及び図7は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図6及び図7に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図6及び図7に示す動作のフローは、定期的に実行される。
最初に、制御部151は、利用者により第1操作装置105又は情報処理装置200を用いて媒体の読取指示が入力され、媒体の読取を指示する操作信号を第1操作装置105又は第1インタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、処理をステップS101へ戻し、第1操作装置105又は第1インタフェース装置132から新たに操作信号を受信するまで待機する。
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、モータ131を駆動し、給送ローラ112、ブレーキローラ113及び第1~第4搬送ローラ116、117、120、121を回転させ、媒体を搬送させる(ステップS103)。
次に、制御部151は、媒体の先端が第3媒体センサ118の位置を通過するまで待機する(ステップS104)。制御部151は、第3媒体センサ118から定期的に第3媒体信号を取得し、第3媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第3媒体センサ118の位置を通過したと判定する。なお、ステップS104の処理が省略され、制御部151は、媒体の先端が第3媒体センサ118の位置を通過するまで待機することなく、ステップS105以降の処理を実行してもよい。
次に、制御部151は、撮像装置119から第1ライン画像及び第2ライン画像を取得し、第1記憶装置140に記憶する(ステップS105)。制御部151は、事前に設定された解像度に応じたタイミングに従って、第1ライン画像及び第2ライン画像を定期的に取得する。
次に、制御部151は、超音波センサ115から超音波信号を取得し、超音波信号に示される透過情報を第1記憶装置140に記憶する(ステップS106)。
次に、制御部151は、媒体全体が撮像されたか否かを判定する(ステップS107)。制御部151は、例えば、第3媒体センサ118から受信する第3媒体信号に基づいて媒体の後端が第3媒体センサ118の位置を通過したか否かを判定する。制御部151は、第3媒体センサ118から定期的に第3媒体信号を取得し、第3媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第3媒体センサ118の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第3媒体センサ118の位置を通過してから所定時間が経過した時に媒体の後端が撮像装置119の撮像位置を通過し、媒体全体が撮像されたと判定する。なお、制御部151は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過した時に、搬送された媒体の全体が撮像されたと判定してもよい。まだ搬送された媒体の全体が撮像されていない場合、制御部151は、ステップS105へ処理を戻し、ステップS105~S107の処理を繰り返す。
一方、搬送された媒体の全体が撮像された場合、制御部151は、撮像装置119から取得した各第1ライン画像を結合して第1入力画像を生成し、撮像装置119から取得した各第2ライン画像を結合して第2入力画像を生成する。制御部151は、生成した入力画像を、第1インタフェース装置132を介して情報処理装置200に送信することにより出力する(ステップS108)。
次に、マーク判定部152は、撮像装置119から出力された第1ライン画像又は第2ライン画像に基づいて、搬送される媒体が、キャリアシートが有する所定のマークを有するか否かを判定する(ステップS109)。
図8は、キャリアシート300の一例を示す模式図である。
図8に示すように、キャリアシート300は、ポリプロピレン等の二枚の透明部材を、原稿Dを挟持可能に結合することにより形成されている。キャリアシート300は、マーク表示部301及び挟持部302を含む。マーク表示部301上には、外枠303及び所定のマーク304が印刷されている。図8に示す例では、所定のマーク304は、黒色の外枠303内の白色領域において、キャリアシート300が搬送される搬送方向A1と直交する幅方向A8に沿って間隔を空けて並べられた所定数の黒色の矩形を含む。挟持部302は、挟持された原稿Dが透けて見えるように、透明に形成されている。
マーク判定部152は、所定のタイミングで撮像装置119から出力された各第1ライン画像又は各第2ライン画像内で階調値が二値化閾値以上である画素を無効画素とし、階調値が二値化閾値未満である画素を有効画素とした複数の二値画像を生成する。所定のタイミングは、キャリアシートが搬送された場合に、キャリアシートのマーク表示部が撮像装置119により撮像されるタイミングに設定される。階調値は、例えば輝度値又は色値等である。二値化閾値は、例えば階調範囲の最大値と最小値の平均値に設定される。
マーク判定部152は、生成した各二値画像内で、主走査方向に相互に隣接する無効画素の連続数が第1所定数以上である無効画素群と、主走査方向に相互に隣接する有効画素の連続数が第1所定数以上である有効画素群とを検出する。第1所定数は、キャリアシートが有する所定のマークに含まれる白色領域及び黒色領域の主走査方向の長さに相当する画素数からマージンを減算した値に設定される。マーク判定部152は、検出した無効画素群の数と有効画素群の数の合計が第2所定数以上である二値画像を特定し、主走査方向において、特定した二値画像が連続する最大連続数を算出する。第2所定数は、主走査方向に延伸し且つ所定のマークを通過するライン上の白色領域の数と黒色領域の数の合計からマージンを減算した値に設定される。マーク判定部152は、算出した最大連続数が第3所定数以上である場合、媒体が所定のマークを有すると判定し、算出した最大連続数が第3所定数未満である場合、媒体が所定のマークを有さないと判定する。第3所定数は、所定のマークに含まれる黒色領域の副走査方向の長さに相当する画素数からマージンを減算した値に設定される。
マーク判定部152は、画像内の白色領域及び黒色領域の数を利用することにより、媒体が所定のマークを有するか否かを簡易に判定でき、媒体読取処理の処理負荷を軽減できる。
なお、マーク判定部152は、他の方法により、媒体が所定のマークを有するか否かを判定してもよい。例えば、媒体搬送装置100は、キャリアシートが撮像された画像から、所定のマークが含まれる領域を切り出した正解画像を第1記憶装置140に記憶しておく。マーク判定部152は、新たに生成された第1入力画像又は第2入力画像から、画像内にキャリアシートが含まれる場合に所定のマークが含まれる領域を切り出した切り出し画像を生成する。マーク判定部152は、切り出し画像と正解画像との類似の度合いを算出する。類似の度合いは、例えば正規化相互相関値である。マーク判定部152は、類似の度合いが類似閾値以上である場合、媒体が所定のマークを有すると判定し、類似の度合いが類似閾値未満である場合、媒体が所定のマークを有さないと判定する。
マーク判定部152は、パターンマッチング技術を利用することにより、媒体が所定のマークを有するか否かを高精度に判定することができる。
また、キャリアシートが有する所定のマークは、上記した例に限定されない。例えば、所定のマークとして、マーク表示部301内の全領域が黒塗りされた画像が使用されてもよい。その場合、マーク判定部152は、二値画像内の全領域が有効画素である場合、又は、切り出し画像内の全領域が黒色画素である場合、媒体が所定のマークを有すると判定する。
マーク判定部152により媒体が所定のマークを有すると判定された場合、重なり判定部153は、媒体の重なりが発生したか否かを判定する(ステップS110)。重なり判定部153は、超音波センサ115から取得した透過情報に基づいて、即ち超音波センサ115からの出力信号に基づいて、媒体の重なりが発生したか否かを判定する。重なり判定部153は、第1記憶装置140に記憶された各透過情報を読み出し、何れかの透過情報が重なり閾値未満である場合に、媒体の重なりが発生したと判定し、全ての透過情報が重なり閾値以上である場合に、媒体の重なりが発生していないと判定する。重なり閾値は、例えば一枚のPPC(Plain Paper Copier)用紙が搬送された場合に検出される透過情報と、二枚のPPC用紙が搬送された場合に検出される透過情報との間の値に設定される。なお、重なり判定部153は、各透過情報の統計値(平均値又は中央値等)を算出し、統計値が重なり閾値未満である場合に、媒体の重なりが発生したと判定し、統計値が重なり閾値以上である場合に、媒体の重なりが発生していないと判定してもよい。
図9は、透過情報(超音波の大きさ)の特性を示すグラフ900である。
グラフ900の横軸は時間を示し、縦軸は透過情報を示す。グラフ900において、実線901は原稿D1と原稿D2が重なって搬送された時の透過情報の特性を示す。グラフ900に示すように、原稿D1と原稿D2が重なって搬送された区間Tでは、超音波センサ115により発信された超音波が原稿D1と原稿D2の間の空気層で減衰するため、透過情報が低下する。同様に、キャリアシートが搬送される場合も、超音波センサ115により発信された超音波は、キャリアシート内の空気層で減衰するため、透過情報が低下する。したがって、重なり判定部153は、透過情報が重なり閾値未満であるか否かを判定することによって、媒体の重なりが発生しているか否かを判定することができ、キャリアシートが搬送されている可能性があるか否かを判定することができる。
重なり判定部153により媒体の重なりが発生していないと判定された場合、キャリアシート判定部155は、媒体の重送が発生しておらず、且つ、搬送される媒体はキャリアシートでなく一枚の用紙であると判定する(ステップS111)。そして、キャリアシート判定部155は、ステップS124へ処理を移行する。この場合、キャリアシート判定部155は、媒体に所定のマークと類似したパターンが含まれているため、マーク判定部152により媒体が所定のマークを有すると判定されたとみなす。
一方、重なり判定部153により媒体の重なりが発生したと判定された場合、サイズ判定部154は、搬送される媒体の媒体搬送方向A1におけるサイズが所定範囲内であるか否かを判定する(ステップS112)。所定範囲は、キャリアシートの媒体搬送方向A1におけるサイズからマージンを減算した値から、そのサイズにマージンを加算した値までの範囲に設定される。サイズ判定部154は、ステップS104及びS107の処理と同様にして、媒体の先端及び後端が第3媒体センサ118の位置を通過したことを検出する。サイズ判定部154は、媒体の先端が第3媒体センサ118の位置を通過してから、媒体の後端が第3媒体センサ118の位置を通過するまでの、モータ131による媒体の搬送距離を、搬送される媒体の媒体搬送方向A1におけるサイズとして算出する。
給送ローラ112及びブレーキローラ113によって先端が良好に分離された後、搬送された媒体とその媒体に接触する媒体との間の摩擦力が給送ローラ112及びブレーキローラ113による分離力より大きくなり、重送が発生する可能性がある。その場合、図9に示すように、搬送された原稿D1の先端側では重なりが発生せず、原稿D1の後端側で原稿D1に接触する原稿D2が重なって搬送される可能性がある。この場合、搬送される媒体の媒体搬送方向A1における見かけ上のサイズは、キャリアシートの媒体搬送方向A1におけるサイズより大きくなる。したがって、サイズ判定部154は、搬送される媒体の媒体搬送方向A1におけるサイズがキャリアシートのサイズより大きいか否かを判定することによって、媒体の重送が発生しているかキャリアシートが搬送されているかを判別することができる。
さらに、サイズ判定部154は、搬送される媒体の媒体搬送方向A1におけるサイズがキャリアシートのサイズより小さいか否かを判定することによって、小さいサイズの媒体の重送が発生しているかキャリアシートが搬送されているかを判別することができる。なお、サイズ判定部154は、媒体のサイズが所定範囲内であるか否かを判定するのでなく、媒体のサイズが所定範囲の上限値以下であるか否かのみ、又は、媒体のサイズが所定範囲の下限値以上であるか否かのみを判定してもよい。
また、サイズ判定部154は、第3媒体センサ118からの第3媒体検出信号でなく、超音波センサ115からの超音波信号に示される透過情報に基づいて、媒体のサイズを検出してもよい。その場合、サイズ判定部154は、透過情報が所定閾値未満であった期間におけるモータ131による媒体の搬送距離を、搬送される媒体の媒体搬送方向A1におけるサイズとして算出する。所定閾値は、例えば媒体が搬送されていない場合に検出される透過情報と、一枚のPPC用紙が搬送された場合に検出される透過情報との間の値に設定される。
サイズ判定部154により、搬送される媒体の媒体搬送方向A1におけるサイズが所定範囲外であると判定された場合、キャリアシート判定部155は、媒体の重送が発生したと判定する(ステップS113)。この場合、キャリアシート判定部155は、重送により搬送された媒体に所定のマークと類似したパターンが含まれているため、マーク判定部152により媒体が所定のマークを有すると判定されたとみなす。
次に、出力制御部156は、媒体の重送が発生したことを示す重送通知信号を、第1インタフェース装置132を介して情報処理装置200に送信することにより出力する(ステップS114)。
次に、制御部151は、第1インタフェース装置132を介して情報処理装置200から媒体の読み取りの再開を指示する再開指示信号を受信するまで待機する(ステップS115)。即ち、制御部151は、媒体の重送が発生した場合、利用者により媒体の読み取りの再開が指示されるまで待機する。利用者は、重送された媒体(又は読み取られなかった二枚目以降の媒体)を載置台103に再セットし、情報処理装置200を用いて媒体の読み取りの再開を指示する。再開指示信号を受信した場合、制御部151は、ステップS124へ処理を移行する。
一方、サイズ判定部154により、搬送される媒体の媒体搬送方向A1におけるサイズが所定範囲内であると判定された場合、キャリアシート判定部155は、搬送される媒体がキャリアシートであると判定する(ステップS116)。
このように、キャリアシート判定部155は、マーク判定部152により媒体が所定のマークを有すると判定され、且つ、重なり判定部153により媒体の重なりが発生したと判定された場合に、搬送される媒体がキャリアシートであると判定する。これにより、キャリアシート判定部155は、搬送される媒体に所定のマークと類似したパターンが含まれている場合に、媒体がキャリアシートであると誤って判定することを抑制できる。
特に、キャリアシート判定部155は、サイズ判定部154により媒体の媒体搬送方向A1におけるサイズが所定範囲内であると判定された場合に限り、媒体がキャリアシートであると判定する。これにより、キャリアシート判定部155は、搬送される媒体に所定のマークと類似したパターンが含まれている場合に、媒体がキャリアシートであると誤って判定することをより抑制できる。
なお、ステップS112の処理が省略され、キャリアシート判定部155は、媒体が所定のマークを有し且つ媒体の重なりが発生した場合、媒体のサイズにかかわらず、搬送される媒体がキャリアシートであると判定してもよい。また、ステップS110の処理が省略され、キャリアシート判定部155は、媒体が所定のマークを有し且つ媒体のサイズ所定範囲内である場合、媒体の重なりが発生したか否かにかかわらず、搬送される媒体がキャリアシートであると判定してもよい。
次に、出力制御部156は、搬送される媒体がキャリアシートであることを示すキャリアシート通知信号を、第1インタフェース装置132を介して情報処理装置200に送信することにより出力する(ステップS117)。キャリアシート通知信号は、キャリアシート判定部155によるキャリアシートの判定結果に関する情報の一例である。
次に、制御部151は、第1インタフェース装置132を介して情報処理装置200から再開指示信号を受信するまで待機する(ステップS118)。即ち、制御部151は、キャリアシートが搬送された場合、利用者により媒体の読み取りの再開が指示されるまで待機する。利用者は、搬送された媒体がキャリアシートであることを確認してから、情報処理装置200を用いて媒体の読み取りの再開を指示する。再開指示信号を受信した場合、制御部151は、ステップS124へ処理を移行する。
一方、ステップS109において、マーク判定部152により媒体が所定のマークを有さないと判定された場合、重なり判定部153は、媒体の重なりが発生したか否かを判定する(ステップS119)。重なり判定部153は、ステップS110の処理と同様にして、媒体の重なりが発生したか否かを判定する。
重なり判定部153により媒体の重なりが発生していないと判定された場合、キャリアシート判定部155は、媒体の重送が発生しておらず、且つ、搬送される媒体はキャリアシートでなく一枚の用紙であると判定する(ステップS120)。そして、キャリアシート判定部155は、ステップS124へ処理を移行する。
一方、重なり判定部153により媒体の重なりが発生したと判定された場合、キャリアシート判定部155は、媒体の重送が発生したと判定する(ステップS121)。
次に、出力制御部156は、ステップS114の処理と同様に、重送通知信号を、第1インタフェース装置132を介して情報処理装置200に送信することにより出力する(ステップS122)。
次に、制御部151は、ステップS115の処理と同様に、第1インタフェース装置132を介して情報処理装置200から再開指示信号を受信するまで待機する(ステップS123)。再開指示信号を受信した場合、制御部151は、ステップS124へ処理を移行する。
なお、ステップS119、S121~S123の処理が省略され、キャリアシート判定部155は、媒体が所定のマークを有さない場合、一枚の用紙が搬送されたと判定してもよい。
次に、制御部151は、第1媒体センサ111から受信する第1媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS124)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104~S124の処理を繰り返す。
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、モータ131を停止し、給送ローラ112、ブレーキローラ113及び第1~第4搬送ローラ116、117、120、121を停止させ(ステップS125)、一連のステップを終了する。
図10は、情報処理装置200の表示処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図10に示したフローチャートを参照しつつ、情報処理装置200の表示処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第2記憶装置210に記憶されているプログラムに基づき主に第2処理回路220により情報処理装置200の各要素と協働して実行される。
最初に、表示制御部221は、第2インタフェース装置203を介して媒体搬送装置100から第1入力画像及び第2入力画像を受信したか否かを判定する(ステップS201)。第1入力画像及び第2入力画像を受信していない場合、表示制御部221は、ステップS203へ処理を移行する。なお、第1入力画像及び第2入力画像をまだ一度も受信していない場合、表示制御部221は、第1入力画像及び第2入力画像を受信するまで待機する。
一方、第1入力画像及び第2入力画像を受信した場合、表示制御部221は、受信した第1入力画像及び第2入力画像を第2表示装置202に表示する(ステップS202)。
次に、表示制御部221は、第2インタフェース装置203を介して媒体搬送装置100からキャリアシート通知信号を受信したか否かを判定する(ステップS203)。キャリアシート通知信号を受信していない場合、表示制御部221は、ステップS211へ処理を移行する。
一方、キャリアシート通知信号を受信した場合、表示制御部221は、第1入力画像又は第2入力画像に基づいて、搬送された媒体が所定のマーク及びキャリアシートのマーク表示部の外枠を有するか否かを判定する(ステップS204)。
表示制御部221は、図7のステップS109の処理と同様にして、媒体が所定のマークを有するか否かを判定する。但し、表示制御部221は、所定のタイミングで撮像装置119から出力された各第1ライン画像又は各第2ライン画像でなく、各第1ライン画像又は各第2ライン画像に対応する第1入力画像又は第2入力画像内の各ラインに対して判定を行う。
さらに、表示制御部221は、第1入力画像又は第2入力画像内で階調値が二値化閾値以上である画素を無効画素とし、階調値が二値化閾値未満である画素を有効画素とした二値画像を生成する。表示制御部221は、二値画像内でキャリアシートのマーク表示部に対応する領域の外縁に位置する各画素が有効画素であるか無効画素であるかを判定する。表示制御部221は、その外縁に位置する全ての画素が有効画素である場合、媒体がマーク表示部の外枠を有すると判定し、その外縁に位置する何れかの画素が無効画素である場合、媒体がマーク表示部の外枠を有さないと判定する。
媒体が所定のマークを有さない場合、又は、媒体がマーク表示部の外枠を有さない場合、表示制御部221は、媒体がキャリアシートでなく、媒体の重送が発生していると判定し(ステップS205)、ステップS212へ処理を移行する。
一方、媒体が所定のマーク及びマーク表示部の外枠の両方を有する場合、表示制御部221は、媒体がキャリアシートであると判定する(ステップS206)。このように、情報処理装置200は、媒体搬送装置100より詳細に画像を解析して、媒体がキャリアシートであるか否かを判定する。一般に、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置200のプロセッサは、組込装置である媒体搬送装置100のプロセッサより高性能であり、情報処理装置200は、短時間に画像を解析することができる。画像処理システム1は、媒体搬送装置100により一次解析した後に、情報処理装置200により詳細に解析することにより、媒体がキャリアシートであるか否かを高精度に且つ効率良く判定することができる。
次に、画像処理部222は、第1入力画像と第2入力画像を結合することにより、処理画像を生成する(ステップS207)、第1入力画像と第2入力画像を結合する処理は、所定の画像処理の一例である。即ち、画像処理部222は、キャリアシート判定部155により、搬送される媒体がキャリアシートであると判定された場合、撮像装置119により撮像された画像に所定の画像処理を実行して処理画像を生成する。これにより、利用者は、媒体搬送装置100がサポートする最大サイズより大きい原稿を二つ折りにしてキャリアシートに挟んで搬送することで、その原稿を撮像した一つの画像を容易に取得できる。なお、画像処理部222は、所定の画像処理として、第1入力画像と第2入力画像を結合する代わりに、第1入力画像及び/又は第2入力画像に、所定の平滑化フィルタ又はエッジ強調フィルタ等を適用して処理画像を生成してもよい。
次に、表示制御部221は、キャリアシートが搬送された旨、及び、処理画像を第2表示装置202に表示する(ステップS208)。
次に、表示制御部221は、利用者により第2操作装置201を用いて媒体の読取再開の指示が入力されて、媒体の読取再開を指示する操作信号を第2操作装置201から受信するまで待機する(ステップS209)。
媒体の読取再開を指示する操作信号を受信した場合、表示制御部221は、再開指示信号を、第2インタフェース装置203を介して媒体搬送装置100に送信する(ステップS210)。これにより、図7のステップS118において、制御部151は、情報処理装置200から再開指示信号を受信する。
次に、表示制御部221は、第2インタフェース装置203を介して媒体搬送装置100から重送通知信号を受信したか否かを判定する(ステップS211)。重送通知信号を受信していない場合、表示制御部221は、ステップS201へ処理を移行する。
一方、重送通知信号を受信した場合、表示制御部221は、重送が発生した旨を第2表示装置202に表示する(ステップS212)。
次に、表示制御部221は、利用者により第2操作装置201を用いて媒体の読取再開の指示が入力されて、媒体の読取再開を指示する操作信号を第2操作装置201から受信するまで待機する(ステップS213)。
媒体の読取再開を指示する操作信号を受信した場合、表示制御部221は、再開指示信号を、第2インタフェース装置203を介して媒体搬送装置100に送信し(ステップS214)、ステップS201へ処理を移行する。これにより、図7のステップS118、S115又はS123において、制御部151は、情報処理装置200から再開指示信号を受信する。
なお、画像処理システム1は、搬送される媒体を保護するためにキャリアシートを使用し、表示処理において、表示制御部221は、入力画像の表示、キャリアシートが搬送された旨の表示、及び、重送が発生した旨の表示のみを実行してもよい。その場合、図7のステップS118、S115又はS123において、制御部151は、待機することなくステップS124へ処理を進めてもよい。
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、媒体が所定のマークを有するか否かと、媒体の重なりが発生しているか否かと、に基づいて、媒体がキャリアシートであるか否かを判定する。これにより、媒体搬送装置100は、搬送される媒体がキャリアシートであるか否かを高精度に判定することが可能となった。
特に、媒体搬送装置100は、キャリアシートが有する所定のマークと類似するパターンが印刷された原稿が搬送された場合に、キャリアシートが搬送されたことを利用者に誤って通知して確認を促すことを抑制することが可能となった。これにより、媒体搬送装置100は、媒体読取処理にかかるトータル処理時間を低減させることが可能となった。また、画像処理システム1は、キャリアシートが有する所定のマークと類似するパターンが印刷された原稿が搬送された場合に、表面を撮像した画像と裏面を撮像した画像とを誤って結合することを抑制することが可能となった。
また、従来の媒体搬送装置では、媒体が有するパターンが所定のマークと類似していなくても、所定のマークに関する判定基準を満たす場合には、キャリアシートが搬送されたと判定される場合があった。媒体搬送装置100は、所定のマークとは別の判定方法を用いることにより、所定のマークを誤って検出しても、媒体がキャリアシートであるか否かを最終的に正しく判定することが可能となった。そのため、媒体搬送装置100は、所定のマークについての判定を簡易に行うことが可能となり、媒体読取処理の処理負荷を軽減させることが可能となった。
また、媒体搬送装置100は、媒体の重送を検出するために必要な超音波センサ115、及び、媒体の搬送を制御するために必要な第3媒体センサ118を用いて、媒体がキャリアシートであるか否かを判定する。したがって、媒体搬送装置100は、装置コスト及び装置サイズを増大させることなく、媒体がキャリアシートであるか否かを高精度に判定することが可能となった。
また、媒体搬送装置100は、搬送される媒体を撮像した画像に基づいて、媒体が所定のマークを有するか否かを判定する。これにより、媒体搬送装置100は、媒体が所定のマークを有するか否かを高精度に判定することが可能となった。
図11は、他の実施形態に係る媒体搬送装置400内部の搬送経路を説明するための図である。
図11に示すように、媒体搬送装置400は、媒体搬送装置100が有する各部を有する。但し、媒体搬送装置400は、超音波センサ115の代わりに、厚さセンサ415を有する。
厚さセンサ415は、上側筐体102に、給送ローラ112及びブレーキローラ113より下流側且つ第1、第2搬送ローラ116、117より上流側に配置される。厚さセンサ415は、搬送される媒体の上面に接するローラ等の接触部材と、光学式のロータリエンコーダとを含む。接触部材は、搬送される媒体の厚さに応じて上方に移動可能に設けられる。ロータリエンコーダは、多数のスリットが形成され且つ接触部材の移動に従って回転するように設けられた円板と、その円板を挟んで対向するように設けられた発光器及び受光器とを有する。厚さセンサ415は、発光器と受光器の間にスリットが存在する状態と、スリットが存在せずに円板により遮られている状態との変化回数に応じた電気信号を厚さ信号として生成する。即ち、厚さ信号は、搬送部により搬送される媒体の厚さ情報を示す。厚さセンサ415は、搬送される媒体の厚さ情報を検出するための第2センサの一例である。
媒体搬送装置400は、媒体搬送装置100と同様に、図6及び図7に示した媒体読取処理を実行する。但し、図6のステップS106において、制御部151は、厚さセンサ415から厚さ信号を取得し、厚さ信号に示される厚さ情報を第1記憶装置140に記憶する。図7のステップS110及びS119において、重なり判定部153は、厚さセンサ415から取得した厚さ情報に基づいて、即ち厚さセンサ415からの出力信号に基づいて、媒体の重なりが発生したか否かを判定する。重なり判定部153は、第1記憶装置140に記憶された各厚さ情報を読み出し、何れかの厚さ情報が重なり閾値より大きい場合に、媒体の重なりが発生したと判定し、全ての厚さ情報が重なり閾値以下である場合に、媒体の重なりが発生していないと判定する。重なり閾値は、例えば一枚のPPC用紙が搬送された場合に検出される厚さ情報と、二枚のPPC用紙が搬送された場合に検出される厚さ情報との間の値に設定される。
以上詳述したように、媒体搬送装置400は、厚さ情報に基づいて媒体の重なりが発生しているか否かを判定する場合も、搬送される媒体がキャリアシートであるか否かを高精度に判定することが可能となった。
図12は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置500内部の搬送経路を説明するための図である。
図12に示すように、媒体搬送装置500は、媒体搬送装置100が有する各部を有する。但し、媒体搬送装置500は、光センサ521をさらに有する。
光センサ521は、給送ローラ112及びブレーキローラ113より下流側且つ第1、第2搬送ローラ116、117より上流側に配置される。光センサ521は、発光器521a及び受光器521bを含む。発光器521a及び受光器521bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。発光器521aは、LED等であり、受光器521bに向けて光を照射する。一方、受光器521bは、発光器521aにより照射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である光信号を生成し、出力信号として出力する。光センサ521の位置に媒体が存在する場合、発光器521aにより照射された光はその媒体により遮光されるため、光センサ521の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで光信号の信号値は変化する。
図13は、媒体搬送装置500で使用されるキャリアシート600の一例を示す模式図である。
図13に示すように、キャリアシート600は、媒体搬送装置100で使用されるキャリアシート300と同様の形状を有する。但し、キャリアシート600のマーク表示部601は黒色を有し、マーク表示部601には、複数の開口604が形成されている。各開口604は、媒体搬送方向A1と直交する幅方向A8において、光センサ521と対向する位置に形成されている。キャリアシート600に形成された開口604は、所定のマークの一例である。光センサ521とマーク表示部601の黒色部分が対向する場合、発光器521aにより照射された光は黒色部分により遮光される。一方、光センサ521と開口604が対向する場合、発光器521aにより照射された光は開口604を通過して受光器521bで受光される。したがって、キャリアシート600のマーク表示部601が光センサ521の位置を通過する際に、光信号の信号値は、開口604の数だけ、媒体が存在することを示す値から、媒体が存在しないことを示す値に変化する。
媒体搬送装置500は、媒体搬送装置100と同様に、図6及び図7に示した媒体読取処理を実行する。但し、図7のステップS104の直前に、マーク判定部152は、媒体の先端が第2媒体センサ114の位置を通過するまで待機する。マーク判定部152は、第2媒体センサ114から定期的に第2媒体信号を取得し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2媒体センサ114の位置を通過したと判定する。
媒体の先端が第2媒体センサ114の位置を通過した場合、マーク判定部152は、光センサ521から出力された光信号に基づいて、搬送される媒体が、キャリアシートが有する所定のマークを有するか否かを判定する。マーク判定部152は、光センサ521から定期的に光信号を取得し、光信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化した回数が開口604の数と同一である場合、媒体が所定のマークを有すると判定する。一方、マーク判定部152は、光信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化した回数が開口604の数と同一でない場合、媒体が所定のマークを有さないと判定する。ステップS109において、マーク判定部152は、媒体の先端が第2媒体センサ114の位置を通過した時に実行した判定の結果を用いて、媒体が所定のマークを有するか否かを判定する。
また、図10のステップS204において、表示制御部221は、搬送された媒体が所定のマークを有するか否かを判定せずに、媒体がマーク表示部の外枠を有するか否かのみを判定する。
以上詳述したように、媒体搬送装置500は、光信号に基づいて媒体が所定のマークを有するか否かを判定する場合も、搬送される媒体がキャリアシートであるか否かを高精度に判定することが可能となった。
図14は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における第1記憶装置740及び第1処理回路750の概略構成を示す図である。
図14に示すように、第1記憶装置740には、第1記憶装置140が記憶していた各プログラムに加えて、画像処理プログラム747が記憶される。第1処理回路750は、第1処理回路150により実行される各部に加えて、画像処理部757として機能する。画像処理プログラム747は、情報処理装置200の第2記憶装置210に記憶された画像処理プログラム212と同様のプログラムであり、画像処理部757は、情報処理装置200の画像処理部222と同様の機能を有する。
本実施形態に係る媒体搬送装置は、媒体搬送装置100と同様に、図6及び図7に示した媒体読取処理を実行する。但し、図7のステップS116において、画像処理部757は、第1入力画像と第2入力画像を結合することにより、処理画像を生成する。即ち、画像処理部757は、キャリアシート判定部155により、搬送される媒体がキャリアシートであると判定された場合、撮像装置119により撮像された画像に所定の画像処理を実行して処理画像を生成する。この場合、ステップS117において、出力制御部156は、キャリアシート通知信号とともに処理画像を、第1インタフェース装置132を介して情報処理装置200に送信することにより出力する。処理画像は、キャリアシート判定部155によるキャリアシートの判定結果に関する情報の一例である。一方、図10のステップS207の処理は省略され、表示制御部221は、ステップS203において、キャリアシート通知信号とともに処理画像を受信し、ステップS208において、受信した処理画像を第2表示装置202に表示する。
この場合も、利用者は、媒体搬送装置がサポートする最大サイズより大きい原稿を二つ折りにしてキャリアシートに挟んで搬送することで、その原稿を撮像した一つの画像を容易に取得できる。
以上詳述したように、媒体搬送装置は、媒体搬送装置が処理画像を生成する場合も、搬送される媒体がキャリアシートであるか否かを高精度に判定することが可能となった。
図15は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における第1処理回路850の概略構成を示す図である。第1処理回路850は、媒体搬送装置100の第1処理回路150の代わりに使用され、第1処理回路150の代わりに、媒体読取処理等を実行する。第1処理回路850は、制御回路851、マーク判定回路852、重なり判定回路853、サイズ判定回路854、キャリアシート判定回路855、出力制御回路856及び画像処理回路857等を有する。これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
制御回路851は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路851は、第1操作装置105から操作信号を、第1媒体センサ111から第1媒体信号を、第2媒体センサ114から第2媒体信号を、第3媒体センサ118から第3媒体信号を受信する。制御回路851は、受信した各信号に基づいてモータ131を制御し、撮像装置119から各ライン画像を取得して第1記憶装置140に記憶するとともに、各入力画像を生成して第1記憶装置140に記憶する。
マーク判定回路852は、マーク判定部の一例であり、マーク判定部152と同様の機能を有する。マーク判定回路852は、第1記憶装置140から各ライン画像を読み出し又は光センサ521から光信号を受信し、読み出した画像又は受信した信号に基づいて、媒体が所定のマークを有するか否かを判定し、判定結果を第1記憶装置140に記憶する。
重なり判定回路853は、重なり判定部の一例であり、重なり判定部153と同様の機能を有する。重なり判定回路853は、超音波センサ115から超音波信号を、又は、厚さセンサ415から厚さ信号を受信し、受信した信号に基づいて、媒体の重なりが発生したか否かを判定し、判定結果を第1記憶装置140に記憶する。
サイズ判定回路854は、サイズ判定部の一例であり、サイズ判定部154と同様の機能を有する。サイズ判定回路854は、第3媒体センサ118から第3媒体信号を受信し、受信した信号に基づいて、媒体の媒体搬送方向A1におけるサイズが所定範囲内であるか否かを判定し、判定結果を第1記憶装置140に記憶する。
キャリアシート判定回路855は、キャリアシート判定部の一例であり、キャリアシート判定部155と同様の機能を有する。キャリアシート判定回路855は、第1記憶装置140からマーク判定回路852、重なり判定回路853及びサイズ判定回路854による判定結果を読み出す。キャリアシート判定回路855は、各判定結果に基づいて、媒体がキャリアシートであるか否かを判定し、判定結果を第1記憶装置140に記憶する。
出力制御回路856は、出力制御部の一例であり、出力制御部156と同様の機能を有する。出力制御回路856は、第1記憶装置140から各入力画像、処理画像及びキャリアシート判定回路855による判定結果を読み出し、各入力画像、処理画像及び判定結果に関する情報を第1インタフェース装置132に出力する。
画像処理回路857は、画像処理部の一例であり、画像処理部757と同様の機能を有する。画像処理回路857は、第1記憶装置140から第1入力画像及び第2入力画像を読み出して処理画像を生成し、第1記憶装置140に記憶する。
以上詳述したように、媒体搬送装置は、第1処理回路850を用いる場合も、搬送される媒体がキャリアシートであるか否かを高精度に判定することが可能となった。
図16は、他の実施形態に係る情報処理装置における第2処理回路920の概略構成を示す図である。第2処理回路920は、情報処理装置200の第2処理回路220の代わりに使用され、第2処理回路220の代わりに、表示処理等を実行する。第2処理回路920は、表示制御回路921及び画像処理回路922等を有する。これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
表示制御回路921は、表示制御部の一例であり、表示制御部221と同様の機能を有する。表示制御回路921は、第2インタフェース装置203から第1入力画像及び第2入力画像を受信し、第2記憶装置210に記憶するとともに、第2表示装置202に表示する。表示制御回路921は、第2操作装置201から操作信号を受信し、受信した信号に基づいて、再開指示信号を第2インタフェース装置203に出力する。
画像処理回路922は、画像処理部の一例であり、画像処理部222と同様の機能を有する。画像処理回路922は、第2記憶装置210から第1入力画像及び第2入力画像を読み出して処理画像を生成し、第2記憶装置210に記憶する。
以上詳述したように、情報処理装置が第2処理回路920を用いる場合も、画像処理システムは、搬送される媒体がキャリアシートであるか否かを高精度に判定することが可能となった。