JP7411446B2 - 流体輸送配管用シール部材に用いられるためのゴム製部材 - Google Patents

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Description

本発明は、流体輸送配管用シール部材に用いられるためのゴム製部材に関する。より詳しくは、本発明は、ダイヤフラムバルブ、バタフライバルブ、ゲートバルブ、給水栓等のバルブ、フランジ等の配管部材に用いる流体輸送配管用シール部材に用いられるためのゴム製部材に関する。
化学工場、上下水道、農業・水産、半導体製造分野、食品分野などの各種産業の流体輸送配管には、種々のゴム製部材が使用されている。たとえば、ダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材またはダイヤフラム、バタフライバルブのシートまたはシートのクッション材、ゲートバルブ弁体のシート、給水栓弁体のシート、パッキン、フッ素樹脂被覆パッキンの基材、ガスケット、フッ素樹脂被覆ガスケットの基材、O-リング、フッ素樹脂被覆のO-リングの基材等は、ゴム製のものが多く使用されており、それらのゴム製部材は、圧縮したときの反発弾性力を利用して、流体の閉塞、シール等に用いられている。しかし、それらのゴム製部材を長期間使用していると、反発弾性力が徐々に弱まり、流体の閉塞、シール等が不充分になる場合がある。
たとえば、流体輸送配管では、流路を開閉するためにダイヤフラムバルブなどのバルブが用いられている。一般的に、配管部材の間や、配管部材の部品の間にゴム製のシール部材を配置することによって、漏れを防いでいる。たとえば、バルブはバルブ本体とボンネットとの間にバルブ内の流体がバルブ外に漏れるのを防いでいる。ダイヤフラムバルブでは、ダイヤフラムの外周縁部がシール部材としてバルブ本体とボンネットとで挟持され、その反発弾性力によって、バルブ本体とボンネットとの間が水密状態に保持される。さらに、バタフライバルブではバルブ本体とパイプに接続されたフランジや弁体の間に、ゲートバルブや給水栓はバルブ本体とボンネット、バルブ本体と弁体、バルブ本体のフランジ部とパイプに接続されたフランジの間にゴム製のシール部材を配置し、水密状態に保持される。
これらバルブなどの配管部材は、設置環境の温度や内部を流れる流体の温度の影響を受けたり、長期間にわたって使用されたりすると、シール部材に圧縮永久歪が生じ、シール部材の反発弾性力が低下する。したがって、ダイヤフラムバルブではバルブ本体とボンネットとの間の水密状態を保持するために、バルブを配管ラインに設置した後、バルブ本体とボンネットとを締結しているボルト・ナット等の締結部材を定期的に増し締めし、シール部材の反発弾性力を保持することが一般的である。さらに、バルブ本体とボンネットやフランジに使用されるフッ素樹脂被覆のガスケットなどもシール部材に圧縮永久歪が生じ、シール部材の反発弾性力が低下し、増し締めが必要になる。ゲートバルブ、給水栓等のバルブも規定トルクで弁体をバルブ本体に長期間締め付けていると、シール部材に圧縮永久歪が生じ、シール部材の反発弾性力が低下し、追加でハンドルを操作して締め付ける必要が生じる。
しかしながら、工場や設備などでは数多くのバルブが設置されることが多く、定期的に増し締めすることは多大な労力を必要とする。特に、バルブの数が多くなったり、口径が大きくなったりすると、ボルト・ナットの数が多くなるので、より多くの労力が必要となる。また、バルブが狭隘な空間や高所などの作業困難な場所に設置されていることも多く、それらバルブを増し締めすることは困難である。したがって、増し締めの回数を少なくすることができるメンテナンス性に優れたバルブが求められている。
特許文献1は、ダイヤフラムの過剰な変形による圧縮永久歪を低減することによって反発弾性力の低減を防止し、増し締めすることなくバルブ本体とボンネットとの間を長期間にわたり水密状態に保持することができるバルブとして、ダイヤフラムの外周縁部に、ダイヤフラムの直径方向外方への変形を防止する織布による埋設補強を行なったバルブを開示している。特許文献1に係るバルブでは、ダイヤフラムの直径方向の変形を防止することによって、初期耐水圧性が向上すると共に長期的な止水性が向上するとされている。
特開2005-133767号公報
しかしながら、特許文献1に係るバルブでは、バルブ本体とボンネットとの間を止水するために、シール部材であるダイヤフラムの外周縁を挟持するバルブ本体とボンネットとをボルト・ナットで締め付けている。すなわち、ダイヤフラムに織布による埋設補強を行うことによって、ダイヤフラムの直径方向の変形は低減することはできるが、バルブ本体とボンネットとの間を止水するために必要な圧縮力に起因する圧縮永久歪は低減することができない。したがって、反発弾性力を保持し、バルブ本体とボンネットとの間を長期間にわたり水密状態に保持するためには、増し締めをする必要がある。
さらに、有機過酸化物で加硫させることで高温時の圧縮永久歪を低減することは知られているが、硫黄で加硫させた場合と比べると引張伸び率が低いため、バルブを開閉させる開閉耐久性が低下する。
本発明の目的は、たとえばダイヤフラムバルブの場合には増し締め頻度を少なくすることができ、さらに、開閉耐久性が向上するように、ダイヤフラムバルブのクッション材またはダイヤフラム、さらに、バタフライバルブのシートまたはシートのクッション材、ゲートバルブ弁体のシート、給水栓弁体のシートパッキン、フッ素樹脂被覆パッキンの基材、ガスケット、フッ素樹脂被覆ガスケットの基材、O-リング、フッ素樹脂被覆のO-リングの基材等の流体輸送配管用シール部材に用いられるためのゴム製部材において、設置環境の温度や内部を流れる流体の温度の影響で生じるゴム反発弾性力低下を抑制し、引張伸び率を確保することにより、長期間にわたり流体の閉塞、シール等の機能を保持することができる流体輸送配管用シール部材に用いられるためのゴム製部材を提供することである。
本発明者は、有機過酸化物および硫黄で加硫したゴムであって、圧縮永久歪みが-15℃で25%以下かつ0℃~90℃の温度範囲で15%以下であるゴムを用いることで上記課題を解決することができることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、流体輸送配管用シール部材に用いられるためのゴム製部材であって、前記ゴム製部材が加硫剤として有機過酸化物および硫黄を含むゴム組成物の加硫物からなり、前記加硫物の圧縮永久歪みが-15℃で25%以下かつ0℃~90℃の温度範囲で15%以下であることを特徴とするゴム製部材である。
本発明は、次の実施態様を含む。
[1]流体輸送配管用シール部材に用いられるためのゴム製部材であって、前記ゴム製部材が加硫剤として有機過酸化物および硫黄を含むゴム組成物の加硫物からなり、前記加硫物の圧縮永久歪みが-15℃で25%以下かつ0℃~90℃の温度範囲で15%以下であることを特徴とするゴム製部材。
[2]前記加硫物の引張伸びが400%以上であることを特徴とする[1]に記載のゴム製部材。
[3]前記加硫物の引張強度が15MPa以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載のゴム製部材。
[4]ゴム組成物がゴム成分を含み、ゴム成分がエチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンおよびアクリロニトリルブタジエンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載のゴム製部材。
[5]前記ゴム組成物がエチレンプロピレンジエンゴムを含み、前記エチレンプロピレンジエンゴムがエチレン微結晶成分を含まないランダム共重合体であることを特徴とする[1]~[4]のいずれかに記載のゴム製部材。
[6]前記加硫物の圧縮永久歪みが-15℃~90℃の温度範囲で15%以下であることを特徴とする[1]~[5]のいずれかに記載のゴム製部材。
[7]ゴム組成物が、さらに、カーボンブラック、軟化剤、加工助剤および加硫促進剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする[1]~[6]のいずれかに記載のゴム製部材。
[8]ゴム組成物が、100質量部のゴム成分、60~80質量部のカーボンブラック、15~25質量部の軟化剤、5~10質量部の加工助剤、2~4質量部の加硫促進剤および5~15質量部の加硫剤を含むことを特徴とする[1]~[7]のいずれかに記載のゴム製部材。
[9]ゴム組成物が、ゴム成分100質量部を基準として、4.9~10質量部の有機過酸化物および0.1~5質量部の硫黄を含むことを特徴とする[1]~[8]のいずれかに記載のゴム製部材。
[10]ゴム製部材が、ダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材もしくはダイヤフラム、バタフライバルブのシートもしくはシートのクッション材、ゲートバルブ弁体のシート、給水栓弁体のシート、パッキン、フッ素樹脂被覆パッキンの基材、ガスケット、フッ素樹脂被覆ガスケットの基材、O-リング、またはフッ素樹脂被覆のO-リングの基材であることを特徴とする[1]~[9]のいずれかに記載のゴム製部材。
[11]ゴム製部材がダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材またはダイヤフラムであることを特徴とする[10]に記載のゴム製部材。
[12][11]に記載のゴム製部材を含むダイヤフラムバルブ。
本発明の流体輸送配管用シール部材に用いられるためのゴム製部材は、有機過酸化物および硫黄で加硫したゴムであって、圧縮永久歪みが-15℃で25%以下かつ0℃~90℃の温度範囲で15%以下であるゴムからなるので、設置環境の温度や内部を流れる流体の温度の影響で生じるゴム反発弾性力の低下が小さく、長期間にわたり流体の閉塞、シール等の機能を保持することができる。
図1は、本発明のゴム製部材を含むダイヤフラムバルブの一実施形態の縦断面図である。 図2は、本発明のゴム製部材を含むダイヤフラムバルブの別の実施形態の縦断面図である。 図3は、本発明のゴム製部材を含むバタフライバルブの2つの実施形態の縦断面図である。 図4は、本発明のゴム製部材を含むゲートバルブの一実施形態の縦断面図である。 図5は、本発明のゴム製部材を含む給水栓の一実施形態の縦断面図である。 図6は、本発明のゴム製部材を含むガスケットの2つの実施形態の縦断面図である。 図7は、本発明のゴム製部材を含むO-リングの2つの実施形態の縦断面図である。 図8は、80℃通水後の限界外部シール圧(縦軸)と通水時間(横軸・対数)の関係を表わすグラフである。
本発明は、流体輸送配管用シール部材に用いられるためのゴム製部材であって、前記ゴム製部材が加硫剤として有機過酸化物および硫黄を含むゴム組成物の加硫物からなり、前記加硫物の圧縮永久歪みが-15℃で25%以下かつ0℃~90℃の温度範囲で15%以下であることを特徴とする。
本発明のゴム製部材は、化学工場、上下水道、農業・水産、半導体製造分野、食品分野などの各種産業の流体輸送配管用シール部材に用いられる。
流体としては、特に限定されないが、低温、常温または高温の水、水溶液、その他の液体が挙げられる。
ゴム製部材としては、特に限定されないが、ダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材またはダイヤフラム、バタフライバルブのシートまたはシートのクッション材、ゲートバルブ弁体のシート、給水栓弁体のシート、パッキン、フッ素樹脂被覆パッキンの基材、ガスケット、フッ素樹脂被覆ガスケットの基材、O-リング、フッ素樹脂被覆のO-リングの基材などが挙げられる。
図1はダイヤフラムバルブの一実施形態の縦断面図である。ダイヤフラムバルブのダイヤフラム5は接触層5aとクッション材5bの2層からなる。この形態では、クッション材5bが本発明のゴム製部材に相当する。
図2はダイヤフラムバルブの別の実施形態の縦断面図である。この形態では、ダイヤフラム5′が本発明のゴム製部材に相当する。
図3はバタフライバルブの2つの実施形態の縦断面図である。図3(a)の形態では、バタフライバルブのシート51は接触層51aとクッション材51bとからなり、この形態では、クッション材51bが本発明のゴム製部材に相当する。図3(b)の形態では、バタフライバルブのシート51′が本発明のゴム製部材に相当する。
図4はゲートバルブの一実施形態の縦断面図である。この形態では、ゲートバルブ弁体のシート52′が本発明のゴム製部材に相当する。
図5は給水栓の一実施形態の縦断面図である。この形態では、給水栓弁体のシート53′が本発明のゴム製部材に相当する。
図6はガスケットの2つの実施形態の縦断面図である。図6(a)の形態では、ガスケット54′が本発明のゴム製部材に相当する。図6(b)はフッ素樹脂被覆ガスケットの縦断面図であり、図6(c)は図6(b)の拡大図であり、フッ素樹脂被覆ガスケット54は基材54bとフッ素樹脂被覆54aとからなり、この形態では、基材54bが本発明のゴム製部材に相当する。なお、フッ素樹脂被覆のフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロエチレン-プロペンコポリマー(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン-クロロトリフロオロエチレンコポリマー(ECTFE)等が挙げられる。
図7はO-リングの2つの実施形態の縦断面図であり、図7(a)の形態では、O-リング55′が本発明のゴム製部材に相当する。図7(b)はフッ素樹脂被覆のO-リングの縦断面図であり、フッ素樹脂被覆のO-リング55は基材55bとフッ素樹脂被覆55aとからなり、この形態では、基材55bが本発明のゴム製部材に相当する。
本発明のゴム製部材は、ゴム組成物の加硫物からなる。ゴム組成物の加硫物とは、ゴム組成物を加硫して得られた物をいう。加硫とは、生ゴムに加硫剤を混ぜて、ゴム分子間に橋かけ構造を生じさせる処理をいう。加硫は架橋ともいう。加硫は、加硫剤を含むゴム組成物を加熱することにより、実施することができる。すなわち、加硫剤を含むゴム組成物を、必要に応じて予備成形し、必要に応じて金型の中で、加熱することにより、目的の形状を有するゴム製部材を作製することができる。
本発明のゴム製部材は、ゴム組成物の加硫物の圧縮永久歪みが-15℃で25%以下かつ0℃~90℃の温度範囲で15%以下であることを特徴とする。低温(-15℃)から高温(90℃)までの広い温度域においてゴム組成物の加硫物の圧縮永久歪みが小さいことにより、本発明のゴム製部材は、設置環境の温度や内部を流れる流体の温度の影響で生じるゴム反発弾性力の低下が小さく、長期間にわたり流体の閉塞、シール等の機能を保持することができる。前記圧縮永久歪みは、好ましくは、-15℃~90℃の温度範囲で15%以下である。
ゴム組成物の加硫物は、好ましくは、400%以上の引張伸びを有する。引張伸びが400%以上であることにより、ゴム製部材の耐久性が向上する。特にゴム製部材がダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材またはダイヤフラムである場合は、開閉耐久性が向上する。
ゴム組成物の加硫物は、好ましくは、15MPa以上の引張強度を有する。引張強度が15MPa以上であることにより、ゴム製部材の耐久性が向上する。特にゴム製部材がダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材またはダイヤフラムである場合は、開閉耐久性が向上する。
ゴム組成物は、ゴム成分を含む。
ゴム成分としては、ゴム組成物の加硫物の圧縮永久歪みが-15℃で25%以下、かつ0℃~90℃の温度範囲で15%以下である限り限定されないが、好ましくは、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)およびアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)からなる群から選ばれる少なくとも1種である。なかでも好ましいゴム成分は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)であり、さらに好ましくは耐寒性EPDMである。耐寒性EPDMは、住友化学株式会社の「エスプレン」(登録商標)5361、5365、502、532、552、553や三井化学株式会社の「三井EPT」(商標)3090EM、4045M、8030M、9090M、8120E、JSR株式会社の「JSR EP」EP103AF、EP107Fを挙げることができる。最も好ましいのは、エチレン微結晶成分を含まないランダム共重合体である「エスプレン」(登録商標)5361、5365である。この時、ゴム組成物の加硫物の圧縮永久歪みが-15℃~90℃の温度範囲で15%以下とすることができる。なお、エチレン微結晶成分とは、ポリマー鎖中のエチレン単位が連続して結合したエチレン連鎖であって、示差走査熱量測定(DSC)で吸熱ピークを示すものをいう。
ゴム組成物に含まれるゴム成分は1種でもよいし、2種以上のゴム成分を併用してもよい。
ゴム組成物は加硫剤を含む。加硫剤として、有機過酸化物と硫黄を併用する。
有機過酸化物としては、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,1-ビス-t-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス-t-ブチルペルオキシバレレート、ジ(t-ブチルペルオキシ)-m-ジイソプロピルベンゼンなどが挙げられる。耐熱性が高い有機過酸化物による架橋方式をとることで、加硫後のゴムの高温域(たとえば約90℃)における圧縮永久歪みを低下させることができる。
硫黄としては、一般的にゴム組成物に配合される硫黄を使用することができる。硫黄としては、粉末硫黄、硫黄華、脱酸硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、高分散性硫黄、不溶性硫黄などが挙げられる。硫黄を併用することにより、有機過酸化物架橋の耐久性不足を補い、引張伸びおよび引張強度を向上させることができる。
ゴム組成物は、有機過酸化物および硫黄以外の加硫剤を、本発明の効果を損わない範囲で、含んでもよい。
ゴム組成物中の加硫剤の含有量は、ゴム成分100質量部を基準として、好ましくは5~15質量部である。
ゴム組成物中の有機過酸化物の含有量は、ゴム成分100質量部を基準として、好ましくは4.9~10質量部である。有機過酸化物の含有量が少なすぎると、加硫後のゴムの高温域における圧縮永久歪みを充分に低下させることができない。
ゴム組成物中の硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部を基準として、好ましくは0.1~5質量部である。硫黄の含有量が少なすぎると、加硫後のゴムの引張伸びおよび引張強度が不充分となる。
ゴム組成物は、好ましくは、さらに、カーボンブラック、軟化剤、加工助剤および加硫促進剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
カーボンブラックとしては、一般的にゴム組成物に配合されるカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックの具体例としては、SAF、ISAF、IISAF、HAF、XCF、FF、MAF、FEF、HMF、GPF、SRF、FT、MT、ACET、EPC、MPCなどが挙げられる。カーボンブラックを配合することにより、成形物の物理的強度を向上させることができる。
ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部を基準として、好ましくは60~80質量部である。カーボンブラックは1組でもよいし、2組以上併用してもよい。
軟化剤としては、一般的にゴム組成物に配合される軟化剤を使用することができる。軟化剤には、鉱物油系軟化剤、植物油系軟化剤、合成軟化剤がある。鉱物油系軟化剤には、石油系軟化剤およびコールタール系軟化剤があるが、石油系軟化剤としては、プロセス油、エクステンダー油、アスファルト系軟化剤、パラフィン類、流動パラフィン、ワセリン、石油樹脂などが挙げられ、コールタール系軟化剤としては、コールタール、クロマン・インデン樹脂などが挙げられる。植物油系軟化剤としては、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪油、ロウ類、パインオイル、ジペンテン、パインタール、ロジン、トールオイル、ファクチスなどが挙げられる。合成軟化剤には、合成樹脂軟化剤、液状ゴムおよび合成可塑剤があるが、合成樹脂軟化剤としては、フェノール・アルデヒド樹脂、スチレン樹脂、アタクチックポリプロピレンなどが挙げられ、液状ゴムとしては、液状ポリブテン、液状BR、液状IR、液状NBRなどが挙げられ、合成可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェートなどの低分子可塑剤、アジピン酸系ポリエステルなどの高分子可塑剤、塩素化パラフィン、他官能基アクリルエステルなどの反応性可塑剤などが挙げられる。軟化剤は、ゴムに可塑性を与えて、カーボンブラックや加硫剤等の配合剤の混入・分散を助け、さらに押し出しなどの成形作業を容易にし、かつ未加硫ゴムの粘着性を増して成形をしやすくする。
ゴム組成物中の軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部を基準として、好ましくは15~25質量部である。軟化剤は1組でもよいし、2組以上併用してもよい。
加工助剤とは、ゴムの加工時、すなわち、素練り、混練、カレンダー、インジェクション成形、さらには加硫時の金型流れなどを改善することを目的として少量添加される副資材をいう。加工助剤としては、一般的にゴム組成物に配合される加工助剤を使用することができる。加工助剤としては、素練促進剤、滑剤、分散剤、可塑化剤、スコーチ防止剤、粘着防止剤、均質化剤、離型剤などが挙げられる。素練促進剤としては、ビス(o-ベンズアミドフェニル)ジスルフィド、2-ベンズアミドチオフェノール亜鉛などが挙げられる。
ゴム組成物中の加工助剤の含有量は、ゴム成分100質量部を基準として、好ましくは5~10質量部である。加工助剤は1組でもよいし、2組以上併用してもよい。
加硫促進剤とは、原料ゴムの加硫に際して、加硫剤と作用して加硫速度を増大させ、加硫時間の短縮、加硫温度の低下、加硫剤の減量、加硫物の物性の向上を目的として添加する薬剤をいう。加硫促進剤としては、一般的にゴム組成物に配合される加硫促進剤を使用することができる。加硫促進剤には、アルデヒド・アンモニア-アミン系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、キサントゲン酸塩系加硫促進剤などがある。より具体的に、チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィドなどが挙げられる。ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N-ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどが挙げられる。
ゴム組成物中の加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部を基準として、好ましくは2~4質量部である。加硫促進剤は1組でもよいし、2組以上併用してもよい。
ゴム組成物は、さらに、加硫剤、カーボンブラック、軟化剤、加工助剤および加硫促進剤以外の配合薬品を、本発明の効果を損わない範囲で、含んでもよい。加硫剤、カーボンブラック、軟化剤、加工助剤および加硫促進剤以外の配合薬品としては、加硫促進助剤、老化防止剤、粘着付与剤、カーボンブラック以外の補強材または充填剤、着色剤、仕上剤などが挙げられる。
本発明のゴム製部材は、好ましくはダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材またはダイヤフラムである。すなわち、本発明は、また、前記ゴム組成物の加硫物からなるダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材またはダイヤフラムである。
以下、本発明のダイヤフラムバルブについて図面を参照して説明するが、本発明は図面に示されたものに限定されない。
図1は、本発明のダイヤフラムバルブの一実施形態の縦断面図である。ダイヤフラムバルブは、バルブ本体1と、ボンネット2と、ダイヤフラム5と、コンプレッサ6と、ステム7と、ハンドル8とを備える。
バルブ本体1は、たとえばポリ塩化ビニル(PVC)から作製されている。バルブ本体1の内部には、第一流路11と第二流路12とを有し、第一流路11および第二流路12の中間には仕切壁13とが設けられている。仕切壁13の頂部には、ダイヤフラム5が圧接および離間する弁座14が設けられている。バルブ本体1の頂面には、第一流路11および第二流路12に連通する開口部15が設けられ、開口部15の周縁部にダイヤフラム5の外周縁が当接する。また、バルブ本体1には締結部材であるステンレススチール製のボルトおよびナット(図示せず)が挿入される貫通孔(図示せず)が形成されている。
ダイヤフラム5は、ダイヤフラムバルブを流れる流体に接触する接触層5aと、流体に接触せず接触層5aを付勢するクッション材5bとを有している。ダイヤフラム5の外周縁はバルブ本体1とボンネット2との間に挟持され、バルブ本体1とボンネット2との間を水密状態に保持している。図1のダイヤフラムバルブにおいては、クッション材5bが前記ゴム組成物の加硫物からなり、本発明のダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材に該当する。
接触層5aはフッ素樹脂製で、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のシートである。接触層5aの流体接触面側には、バルブ本体1の仕切壁13の弁座14に圧接および離間される線状突条部21と、バルブ本体1の開口部15周縁部に圧接される環状突条部22とが形成されている。接触層5aの環状突条部22の外周縁には、ボルトおよびナット(図示せず)が挿入される貫通孔が形成されている。ダイヤフラム5の流体非接触面側の中央には、ダイヤフラム5をコンプレッサ6に係合するための埋め込み金具が埋設されている。クッション材5bは前記ゴム組成物の加硫物のシートであり、接触層5aよりも厚く形成されている。クッション材5bの外周縁には、ボルトおよびナット(図示せず)が挿入される貫通孔が形成されている。
図1の実施形態では、ダイヤフラム5は別体からなる接触層5aとクッション材5bとが積層されているが、シール部材3に相当するダイヤフラム5の外周縁の基部がゴム製であればよく、特に限定されない。たとえば、ダイヤフラム5が前記ゴム組成物の加硫物からなる単層のものでもよく、補強繊維で補強されたものでもよく、接触層5aとクッション材5bとが一体化されたものなどでもよい。ダイヤフラム5が前記ゴム組成物の加硫物からなる単層のものである場合は、そのダイヤフラム5は本発明のダイヤフラムに該当する。また、図1の実施形態では、クッション材5bの外周縁は平坦に形成されているが、接触層5aの環状突条部22に対応する位置に環状突条部を設けてもよい。このようにすることによって、環状突条部22をバルブ本体1の開口部15周縁部に効果的に圧接することができ、バルブ本体1とボンネット2との間を効果的に止水することができる。
コンプレッサ6はたとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)から作製されており、コンプレッサ6の上部はステム7の下端部に当接している。ボンネット2はたとえばポリ塩化ビニル(PVC)から作製されており、上部中央には貫通孔が設けられ、貫通孔には、銅合金製であり、かつ、内部に雌ネジ部が設けられたスリーブ9が支承されている。ボンネット2にはボルトおよびナット(図示せず)が挿入される貫通孔が形成され、ボンネット2はバルブ本体1の上部に固定されている。ステム7は銅合金から作製されており、外部に雄ネジ部が設けられ、スリーブ9の雌ネジ部と螺合している。ハンドル8はたとえばポリプロピレン(PP)から作製されており、スリーブ9の上部外周部に嵌合され、ボンネット2の上端部に配置されている。
以下、実施例に基いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
耐寒性エチレンプロピレンジエンゴム(高ランダム性グレード)100質量部、カーボンブラック70質量部、軟化剤20質量部、加工助剤7.5質量部、加硫促進剤3質量部、有機過酸化物7質量部および硫黄2質量部を、バンバリーミキサーで混練し、ゴム組成物を調製した。
調製したゴム組成物を、ダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材の形状に成形した後、加熱加硫して、ダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材を作製した。
作製したクッション材を用いて、図1に示すダイヤフラムバルブ(ボディ:PVDF、ボンネット:PVDF、ダイヤフラムの接触層:PTFE、呼び径(配管内径)50mm、フランジ式)を作製した。
ゴム組成物の加硫物について、圧縮永久歪み、引張伸びおよび引張強度を測定した。また、作製したダイヤフラムバルブについて、80℃通水後の限界外部シール圧、0℃環境下の限界外部シール圧、開閉耐久性および塩酸・硝酸に対する耐薬品性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の耐寒性エチレンプロピレンジエンゴムを別のグレードに変更した以外は実施例1と同様に実施し、ゴム組成物を調製し、クッション材を作製し、ダイヤフラムバルブを作製し、圧縮永久歪み、引張伸び、引張強度、限界外部シール圧、開閉耐久性および耐薬品性を測定した。測定結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1の耐寒性エチレンプロピレンジエンゴムを実施例2とは別の耐寒グレードに変更した点以外は実施例1と同様に実施し、ゴム組成物を調製し、クッション材を作製し、ダイヤフラムバルブを作製し、圧縮永久歪み、引張伸び、引張強度および限界外部シール圧を測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例1]
汎用エチレンプロピレンジエンゴム100質量部、カーボンブラック30質量部、白色充填剤90質量部、軟化剤45質量部、加工助剤6質量部、加硫促進剤4質量部、硫黄2.5質量部を、バンバリーミキサーで混練し、ゴム組成物を調製した。
調製したゴム組成物を用いて、実施例1と同様に、ダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材を作製し、さらにダイヤフラムバルブを作製し、圧縮永久歪み、引張伸び、引張強度、限界外部シール圧、開閉耐久性および耐薬品性を測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例2]
硫黄を配合しなかった点以外は、実施例1と同様に実施し、ゴム組成物を調製し、クッション材を作製し、ダイヤフラムバルブを作製し、圧縮永久歪み、引張伸び、引張強度、限界外部シール圧および開閉耐久性を測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例3]
カーボンブラック配合量を50質量部とした点以外は、実施例3と同様に実施し、ゴム組成物を調製し、クッション材を作製し、ダイヤフラムバルブを作製し、圧縮永久歪み、引張伸び、引張強度、限界外部シール圧および開閉耐久性を測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例4]
硫黄を配合しなかった点以外は、実施例3と同様に実施し、ゴム組成物を調製し、クッション材を作製し、ダイヤフラムバルブを作製し、圧縮永久歪み、引張伸び、引張強度、限界外部シール圧および開閉耐久性を測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例5]
有機過酸化物を配合しなかった点以外は、実施例1と同様に実施し、ゴム組成物を調製し、クッション材を作製し、ダイヤフラムバルブを作製し、圧縮永久歪み、引張伸び、引張強度、限界外部シール圧および開閉耐久性を測定した。測定結果を表1に示す。
圧縮永久歪み、引張伸び、引張強度、限界外部シール圧、開閉耐久性および耐薬品性の測定方法は以下のとおりである。
[圧縮永久歪みの測定]
ゴム組成物を試験片用金型で加熱して得られた直径29mm、高さ12.5mmの円柱状の試験片を用い、JIS K6262に準拠して、測定治具にて試験片を25%圧縮し、-15℃、23℃、40℃、60℃、80℃または90℃の測定温度環境下に24時間置いた後、圧縮解放し、試験片の高さH(mm)を測定し、次式により圧縮永久歪み(%)を算出した。
圧縮永久歪み(%)=(12.5-H)/(12.5-9.375)×100
圧縮永久歪みは-15℃で25%以下かつ0℃~90℃の温度範囲で15%以下であれば合格である。
[引張伸びの測定]
ゴム組成物を厚さ2mmのゴムシート製作用金型で加熱して得られたゴムシートから、打抜き刃型によってJIS K6251ダンベル状3号形に打ち抜いた試験片を用い、試験規格JIS K6251に準拠して、引張伸びを測定した。
引張伸びは400%以上であれば合格である。
[引張強度の測定]
ゴム組成物を厚さ2mmのゴムシート製作用金型で加熱して得られたゴムシートから、打抜き刃型によってJIS K6251ダンベル状3号形に打ち抜いた試験片を用い、試験規格JIS K6251に準拠して、引張強度を測定した。
引張強度は15MPa以上であれば合格である。
[80℃通水後の限界外部シール圧の測定]
ダイヤフラムバルブを全開状態で、80℃の熱水を通水(入口圧0.5MPa、流量0.12m/h)させ、所定時間経過後、通水を停止し、バルブを常温まで冷ました。冷ましたバルブの両端フランジに金属フランジを取り付け、片方よりポンプにより水圧をかけ、徐々に水圧を上昇させて、ボディとボンネットの間より漏れが発生した圧力を、80℃通水後の限界外部シール圧とした。1344時間試験後の限界外部シール圧が2.0MPa以上であれば合格である。
[0℃環境下の限界外部シール圧の測定]
ダイヤフラムバルブを、80℃オーブン環境下に1週間置いて、その後、0℃環境下6時間置いた直後に、バルブの両端フランジに金属フランジを取り付け、片方よりポンプにより常温の水で水圧をかけ、徐々に水圧を上昇させて、ボディとボンネットの間より漏れが発生した圧力を、0℃環境下の限界外部シール圧とした。この評価は、高温連続運転後、冬期定期修理後の運転再開時を想定したものであり、高温連続運転でゴムが劣化し、さらに低温によるゴムの収縮・硬化による反発力の低下に伴うシール圧の低下を確認するものである。試験後の限界外部シール圧が1.0MPa以上であれば合格である。
[開閉耐久性の評価]
エア式自動ダイヤフラムバルブ(逆作動)に、実施例および比較例で作製したダイヤフラムのクッション材を搭載させ、常温環境下で3秒サイクルでの開閉試験を行い、ダイヤフラムのクッション材に破れが発生した開閉回数を測定した。25万回以上クッション材に破れが発生しなかったら合格である。
[塩酸・硝酸に対する耐薬品性の評価]
ゴム組成物を厚さ2mmのゴムシート製作用金型で加熱して得られたゴムシートから、20~30mm角の小片を切り出し、質量測定を行う。常温環境下で塩酸および硝酸100ml中にゴムシート小片を30日間浸漬し、薬品より取り出した後に質量測定を行うことで浸漬前後での質量変化率を算出した。質量変化率が20%以内であれば◎とし合格であり、20%を超える場合は×とし不合格である。
Figure 0007411446000001
圧縮永久歪みの測定結果を見ると、比較例のゴム組成物の加硫物は、低温領域および高温領域、またはそのいずれかにおいて圧縮永久歪みが大きくなる。つまり、低温領域および高温領域において、ゴムの反発力が低下し、バルブとして必要なシール力が低下する。一方で、実施例1のゴム組成物の加硫物は、低温領域および高温領域での圧縮永久歪みが大幅に改善され、幅広い温度領域で良好なゴム反発力を保持している。
80℃通水後の限界外部シール圧(縦軸)と通水時間(横軸・対数)の関係を表わすグラフを図8に示す。いずれのダイヤフラムバルブも通水時間が長くなるほど限界外部シール圧が低下している。つまり、高温によるゴム劣化の影響で反発力が低下し、シール面圧の低下を招いている。しかし、その低下割合は、実施例1のダイヤフラムバルブの方がなだらかであり、ダイヤフラムバルブの仕様圧力である1MPaに到達する時間は長く、通常の使用では10年以上は漏れが発生しないと推定される。
0℃環境下の限界外部シール圧の測定結果を見ると、比較例1のダイヤフラムバルブは高温劣化に加え、低温によるゴムの収縮・硬化による面圧低下のため、シール値が大幅に低下している。一方で、実施例のダイヤフラムバルブは、面圧低下も小さく、良好なシール性を保持している。
開閉耐久性の評価結果を見ると、実施例1のダイヤフラムのクッション材は、比較例のダイヤフラムクッション材に比べ、開閉耐久性に優れている。実施例のダイヤフラムのクッション材は25万回以上開閉させても破れはなかった。比較例のダイヤフラムのクッション材は、引張強度や引張伸びが合格値よりも小さいため、25万回以下で破れが発生した。
長期にわたり良好な圧縮永久ひずみを維持するためにはゴム充填量が多いことが必要とされる。比較例1は白色充填剤などゴム成分以外の充填剤割合が比較的高い。それに対し、実施例1~3の配合は、充填剤の割合を少なくしつつ強度を保つために、白色充填剤を除外し、カーボンブラック量を調整し、その結果としてゴム成分の充填割合が多くなっているので、長期にわたり良好な圧縮永久ひずみを維持し得る配合である。加えて、白色充填剤を除いたことにより、塩酸および硝酸に対する耐薬品性も向上している。
本発明のゴム製部材は、化学工場、上下水道、農業・水産、半導体製造分野、食品分野などの各種産業の流体輸送配管において、たとえば、ダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材またはダイヤフラム、バタフライバルブのシートまたはシートのクッション材、ゲートバルブ弁体のシート、給水栓弁体のシート、パッキン、フッ素樹脂被覆パッキンの基材、ガスケット、フッ素樹脂被覆ガスケットの基材、O-リング、フッ素樹脂被覆のO-リングの基材等として、好適に利用することができる。
1 バルブ本体
2 ボンネット
3 シール部材
5、5′ ダイヤフラム
5a 接触層
5b クッション材
6 コンプレッサ
7 ステム
8 ハンドル
9 スリーブ
11 第一流路
12 第二流路
13 仕切壁
14 弁座
15 開口部
21 線状突条部
22 環状突条部
51、51′ バタフライバルブのシート
51b バタフライバルブのシートのクッション材
52′ ゲートバルブ弁体のシート
53′ 給水栓弁体のシート
54、54′ ガスケット
54a フッ素樹脂被覆
54b フッ素樹脂被覆ガスケットの基材
55、55′ O-リング
55a フッ素樹脂被覆
55b フッ素樹脂被覆のO-リングの基材

Claims (10)

  1. 流体輸送配管用シール部材に用いられるためのゴム製部材であって、前記ゴム製部材が加硫剤として有機過酸化物および硫黄を含むゴム組成物の加硫物からなり、前記ゴム組成物がエチレンプロピレンジエンゴムを含み、前記エチレンプロピレンジエンゴムがエチレン微結晶成分を含まないランダム共重合体であり、前記ゴム組成物がさらにカーボンブラックを含み、前記ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量がゴム成分100質量部を基準として60~80質量部であり、前記加硫物の圧縮永久歪みが-15℃で25%以下かつ0℃~90℃の温度範囲で15%以下であることを特徴とするゴム製部材。
  2. 前記加硫物の引張伸びが400%以上であることを特徴とする請求項1に記載のゴム製部材。
  3. 前記加硫物の引張強度が15MPa以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム製部材。
  4. 前記加硫物の圧縮永久歪みが-15℃~90℃の温度範囲で15%以下であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のゴム製部材。
  5. ゴム組成物が、さらに、軟化剤、加工助剤および加硫促進剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のゴム製部材。
  6. ゴム組成物が、100質量部のゴム成分、60~80質量部のカーボンブラック、15~25質量部の軟化剤、5~10質量部の加工助剤、2~4質量部の加硫促進剤および5~15質量部の加硫剤を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のゴム製部材。
  7. ゴム組成物が、ゴム成分100質量部を基準として、4.9~10質量部の有機過酸化物および0.1~5質量部の硫黄を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のゴム製部材。
  8. ゴム製部材が、ダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材もしくはダイヤフラム、バタフライバルブのシートもしくはシートのクッション材、ゲートバルブ弁体のシート、給水栓弁体のシート、パッキン、フッ素樹脂被覆パッキンの基材、ガスケット、フッ素樹脂被覆ガスケットの基材、O-リング、またはフッ素樹脂被覆のO-リングの基材であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のゴム製部材。
  9. ゴム製部材がダイヤフラムバルブのダイヤフラムのクッション材またはダイヤフラムであることを特徴とする請求項に記載のゴム製部材。
  10. 請求項に記載のゴム製部材を含むダイヤフラムバルブ。
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