JP7406985B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
この種の筆記具においては、口先部の先端開口の内径は、筆記部先端の外径寸法よりも僅かに大径となるように成形される。
この場合、筆記部先端の外径寸法に対して、前記先端開口の内径寸法が大きすぎると、両者間のクリアランス(隙間)によって、筆記中にガタつきを感じて筆記の感触を悪くする。
しかしながら、現実においては量産における加工精度(成形ばらつきなど)を確保することが困難な場合があり、これにより、筆記部の繰り出しに不具合を発生させる問題も発生する。これを避けるためには、筆記部の外径寸法と前記先端開口の内径寸法との間には、ある程度のクリアランスを設けた設計をせざるを得ない。
特許文献1には、軸筒前端部に形成した口先部の開口に、軸方向に複数の切り込み溝を備えた樹脂性の筒体を、後付けで嵌め込んだ筆記具の構成が開示されている。
この構成によると、前記切り込み溝により分離された筒体の各片が弾性体となり、口先部の開口と筆記部との間において生ずるガタつき感を抑制することができると記載されている。
これによると、部品点数が少なく組み立て工数を低減できる筆記具が提供可能であると記載されている。
この筆記具によると、円筒状部材の撓みが作用して、筆記部と口先部の先端開口との間の隙間によるガタつきを、いずれの方向においても均等に抑制することができると記載されている。
このために、部品管理や製造時の組み立て工数が増加するため、製造コストの高騰は免れず、さらに樹脂性の筒体や繊維束体を有する円筒状部材が、口先部から脱落するなどの製品不良の発生度合いも増加するなどの問題も抱えることになる。
さらに、口先部の前記先端開口は、軸方向に所定の長さを有し、かつ軸方向に沿った内径が同一寸法となる円形の内周面により構成されていることが望ましい。
これにより、先端開口内における筆記部のガタつきを効果的に抑えることができ、筆記の感触を向上させた筆記具を提供することができる。
これにより、先端開口からの筆記部の出没動作が円滑になされる筆記具を提供することに寄与できる。
なお、以下に示す各図においては、同一部分を同一符号で示しているが、一部の図面においては紙面の都合で代表的な部分に符号を付けて、その詳細な構成については、単品ごとの図面に付けた符号を引用して説明する場合もある。
前軸1Aの前端部には、先端内周面に雌ねじが、後端外周面に雄ねじが施された円筒状の前部連結体2が取り付けられており、この前部連結体2を介して、先端部側に例えば金属製の口先部(口金)3が取り付けられると共に、口先部3と前軸1Aとの間に、前部連結体2の前半部を覆うようにして、加飾筒体4が取り付けられている。
また口先部3の後半部は肉薄状の円筒部3bを構成し、その外周面には雄ねじ3cが形成されている。この雄ねじ3cが前記した前部連結体2の先端内周面に形成された雌ねじに螺合することで、口先部3は前軸1Aに取り付けられている。
そして、先端開口3aの後端部において内径が段状に拡大し、この段状の拡大部分が後述するスプリング7の前端部を受けるスプリング受け部3dを構成している。
さらにこの口先部3は、口先部3の中心部を通る口先部軸線、すなわち軸筒の中心軸線L1に対して、先端開口3aの傾斜軸線L2は、0.5~5゜の範囲で交差した状態に形成されていることが望ましい。
なお、口先部3の前記した構成による作用効果については、後で説明する。
そして、インク収容管5Aの先端部分が、前記先端筆記部5aとほぼ同一の外径寸法となるように細く成形されて細径部5bを構成しており、前記細径部5bから径を太くする拡径部を介して大径のインク収容管5Aに連続するように一体成形されている。
そして、後軸1Bの長手方向のほぼ中央部付近には、軸方向に沿って長孔1cが形成されており、この長孔1c沿って後述する操作筒9に取り付けられた操作つまみ13が、軸方向に移動可能となるように挿通される。
さらに、前記した円環状の係止部1dの軸方向の手前には、後端部に向かって内径を若干小さくした段状の当接部1gが形成されている。
なお、後軸1B内に形成された前記係止部1d、テーパ面1e、軸孔1f、当接部1gの作用については後で説明する。
なお、前記ガイド部9aの側面、すなわち操作筒9の後端部側面には、取り付け孔9cが形成されており、これには後述する操作つまみ13が取り付けられる。
これにより、スライド駒10を介して操作筒9およびロッド12にも、前記スプリング7により、後退する方向に付勢力が与えられている。
そして、前記スライド駒10の空間部10aを塞ぐようにして、蓋体11がスライド駒10に装着されることで、ロッド12はその脚部が揺動可能となるように、前記スライド駒10に取り付けられている。
一方、ロッド12は図8にその単品構成を示したとおり、直線状の金属素材により構成され、一方の端部に径の大きな頭部12aが備えられ、頭部12aの他端部側には、先端部がほぼ半球面に成形された脚部12bが形成されている。
これにより、蓋体11の円筒部11aが、スライド駒10における空間部10aの内周面に嵌合する。そして、蓋体11の鍔部11bは、スライド駒10に形成された円環状の凹み部10bに位置して取り付けられる。
そして、図2に示すように後軸1B内に収容された操作筒9の取り付け孔9cに、図9に示した操作つまみ13の取り付けピン12aが、後軸1Bの長孔1cを介して取り付けられる。これにより、操作筒9は操作つまみ13の軸方向の移動操作にしたがって、後軸1B内を軸方向に移動することができる。
すでに説明したとおり、図2(A)は筆記部5aの繰出し状態を示し、図2(B)は筆記部5aの繰出し解除状態を示している。
筆記リフィール5の後退により、筆記部5aは口先部3内に収容された状態になされ、操作筒9の後端に取り付けられた操作つまみ13は、同様に後退した状態に位置する。
したがって、筆記リフィール5における前記スプリング7の付勢力による後退は阻止される。これにより、図2(B)に示した筆記部5aは繰出し状態を保持し、ポールペン筆記具は筆記が可能な状態となる。
そして、操作つまみ13および操作筒9が、1~3mm程度後退したところで、操作筒9の後端部に形成されたガイド部9aに形成されたロッド12を囲む開口9bの一部が、前記ロッド12に接する。このために、ロッド12の脚部12bに形成された半球状の先端部が、後軸1B内に形成された漏斗状のテーパ面1eに入り込み、ロッド12の先端部による前記係止部1dへの係止が解除される。
そして、操作筒9の後端部は、後軸1B内に形成されて後端部に向かって内径を小さくした段状の当接部1gに当接して、後退位置が規制され、図2(B)に示す筆記部5aの繰出し解除状態に復帰する。
この構成によると、口先部3の先端開口3a内を筆記リフィール5の筆記部5aが出没する際に、円柱状の外周面を有する先端筆記部5aは、開口3aの前側接触部3eと後側接触部3fに軽く接した状態で軸方向に移動することができる。
因みに図3(C)に示した例においては、軸筒の中心軸線L1に対する先端開口3aの傾斜軸線L2の交差角度は、1゜に設定されており、先端開口3aの軸方向の長さ寸法aは、3.5mmであり、先端開口3aの内径寸法dは、中心軸線に対して垂直方向に2.55mmに設定されている。また、中心軸線L1と傾斜軸線L2との交差角度をθとすると、筆記部5aの外径寸法は、d-a×tanθ(2.49mm)以上である。
また、筆記部5aが口先部3の先端開口3aから出没する際において、筆記部5aは先端開口3a内の前後二点で接した状態で支持されることになるので、先端開口3aに対する筆記部5aの摺動抵抗を低くすることが可能となる。これにより、先端開口3aからの筆記部5aの出没動作が円滑になされる筆記具を提供することができる。
ゆえに口先部3の軸線に対して垂直方向の投影寸法と筆記部5aの外径寸法とが中間ばめより圧入とした嵌め合いの関係にすることによって、筆記時における筆記部5aを大きく傾斜させることなく、従来の筆記具よりガタつきを効果的に抑えることができる。
例えば、冒頭において説明した特許文献3には、口先部の先端開口内に、筆記芯を回転させつつ軸方向に前後移動するスライダーを配置したシャープペンシルが開示されており、この発明はこの様な筆記具に採用しても、前記と同様の作用効果を期待することができる。
1A 前軸
1B 後軸
3 口先部(口金)
3a 先端開口
3b 円筒部
3d スプリング受け部
3e 前側接触部
3f 後側接触部
5 筆記リフィール
5A インク収容管
5B 栓体
5a 筆記部(ボールペンチップ)
5b 細径部
7 スプリング
9 操作筒
10 スライド駒
11 蓋体
12 ロッド
13 操作つまみ
a 先端開口の長さ寸法
d 先端開口の内径寸法
L1 軸筒の中心軸線(口先部軸線)
L2 先端開口の傾斜軸線
θ L1とL2との交差角度
Claims (2)
- 先端に筆記部を備えた筆記リフィールが軸筒の内部に収容され、前記軸筒の先端に形成された口先部もしくは軸筒に取り付けられた口先部の先端開口内において、前記筆記部が支持される筆記具であって、
前記口先部の外形は、前記軸筒の中心軸線L1に対し対称形状に形成され、前記口先部の先端開口の傾斜軸線L2が、前記軸筒の中心軸線L1に対して、0.5~5゜の範囲の交差角度をもって傾斜して形成されていると共に、筆記リフィールに備えられた前記筆記部が、口先部の先端開口から傾斜軸線L2に沿って、出没可能に構成されていることを特徴とする筆記具。 - 前記筆記リフィールの筆記部は、軸筒側面に配置された操作つまみの操作により、前記口先部から出没可能に構成され、前記操作つまみに取り付けられたロッドの揺動可能な脚部が、前記軸筒の後端部に連通した軸孔に入ることで、前記筆記リフィールは後退可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
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