JP7395128B2 - 二成分現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、及び静電記録法などに用いられる静電荷像を現像するための二成分現像剤に関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用も始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、高安定性、高生産性が要求されるようになってきている。
高画質と高安定性のためには、潜像電荷を安定させることが必要である。潜像電荷を安定させるためには、感光体表面の電気抵抗の低下を引き起し、いわゆる「画像流れ」を発生させる帯電生成物を感光体表面から除去することが必要である。感光体表面の帯電生成物を除去するために、研磨作用を有するトナーの外添剤の検討が行われている。特許文献1では、酸化チタン粒子を添加することが検討されている。
しかしながら、比較的高い誘電率を有する酸化チタン粒子は帯電部材に付着しやすく、酸化チタン粒子が付着した場合、帯電が不均一になり画像不良が生じる場合がある。
この点を改善する技術として、例えば、酸化チタン粒子による帯電部材への付着を抑制するために、特許文献2では、酸化チタン粒子に樹脂微粒子を付着した外添剤が開示されている。
特開2009-98176号公報 特開2018-180432号公報 特許第3810005号公報
しかしながら、高画質に関しては、初期に限らず長期にわたって高画質を維持する必要があり、高安定性が要求される。そして、高安定性のためには二成分現像剤を長寿命化する必要があり、キャリアの高耐久性化を達成することが不可欠である。
キャリアの高耐久性化のためには、従来のキャリアの問題であるワックスのスペントや樹脂被覆層の削れ、樹脂被覆層の剥がれを抑制するため、さまざまな対策がなされてる。例えば、ワックスのスペントを抑制するために、フッ素樹脂コート等が採用されている。しかしながら、フッ素樹脂コートは脆い性質がある。このため、改善する例として、特許文献3では、被覆樹脂中にフッ素、ケイ素、窒素を含有させた被覆層が形成されたキャリアが開示されている。
また、樹脂被覆層の削れを防ぐためには、樹脂被覆層の厚膜化やハードコート樹脂の採用等がなされてきた。しかし、未だ全ての問題に対する十分な対策となっていない。特に、樹脂被覆層の剥がれは、耐久前後におけるキャリア物性(電気抵抗値、帯電付与性等)が大きく変動し、ガサツキや色味変動の画像特性も大きく変動するため、キャリアの長寿命化の大きな妨げとなっている。
特許文献1に開示されている研磨作用のある酸化チタン粒子を外添しているトナーでは、樹脂被覆層の摩耗が促進され更なる対策が必要である。また、特許文献2に開示されている酸化チタン粒子に樹脂微粒子を担持させたトナーでは、キャリアに対する付着力が上がり樹脂被覆層の剥がれが発生しやすくなる場合があり改善が必要であった。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、画像流れや帯電部材の汚染及びキャリアの樹脂被覆層の剥がれを抑制した二成分現像剤を提供することである。
本発明は、トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤であって、
該トナーは、トナー粒子と、該トナー粒子の表面に存在する無機粒子を有し、
該無機粒子は、該無機粒子の表面に樹脂微粒子を担持しており、
該磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び該磁性キャリアコア粒子の表面に存在する樹脂被覆層を有し、
該樹脂被覆層は、窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子を含有しており、
X線光電子分光法による元素分析において、
(i)該磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、該磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)、ケイ素原子の比率をS1(原子%)、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
(ii)該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)、ケイ素原子の比率をS2(原子%)、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
該N1、S1、F1、N2、S2およびF2が、
0.10≦N1≦1.50
0.30≦S1≦5.00
45.00≦F1≦65.00
S1<S2
S1/N1<S2/N2
F1>F2
を満たすことを特徴とする二成分現像剤。
本発明によれば、画像流れや帯電部材の汚染及びキャリアの樹脂被覆層の剥がれを抑制した二成分現像剤を提供することができる。
本発明において、数値範囲を示す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明者らは、高画質と高安定性を目的とした二成分現像剤の検討を行った結果、下記トナーと下記磁性キャリアとを含有する二成分現像剤を用いることで、画像流れ、帯電部材の汚染及びキャリアの樹脂被覆層の剥がれを抑制できることを見出した。
前記トナーは、トナー粒子と前記トナー粒子の表面に存在する無機粒子とを有する。
前記無機粒子は樹脂微粒子を表面に担持している。
前記磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子と前記磁性キャリアコア粒子の表面に形成された樹脂被覆層とを有する。
前記樹脂被覆層が、上述の範囲内のN原子、Si原子、F原子を含有している。
本発明の効果が得られた理由は以下のように考えている。
画像流れが発生する原因としては、上述した通り、感光体表面に付着した帯電生成物により感光体表面の電気抵抗が低下するためである。よって、外添剤粒子として研磨作用のある無機粒子を用いて感光体表面に付着した帯電生成物を剥ぎ取ることにより、感光体表面の電気抵抗の低下が抑制され、画像流れの発生を抑制できるものと考えられる。また、無機粒子が樹脂微粒子を表面に担持しているため、例えば、誘電率の大きい酸化チタン粒子でも誘電緩和されトナー粒子から遊離しプレスローラー等の部材まで到達しても付着を抑制できる。さらに、表面平滑性の高い樹脂微粒子であれば付着がさらに低減される。これにより、帯電部材の汚染に起因する画像不良の発生を抑制できるものと考えられる。
次に、本実施形態に係る二成分現像剤の磁性キャリアの構成について説明する。
<磁性キャリアの構成>
本発明における磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び前記磁性キャリアコア粒子の表面に形成された樹脂被覆層を有する。
前記樹脂被覆層は、窒素原子(N原子)、ケイ素原子(Si原子)、フッ素原子(F原子)を含有しており、
X線光電子分光法による元素分析において、
(i)前記磁性キャリアの表面分析で検出されるN原子、Si原子、F原子、炭素原子(C原子)及び酸素原子(O原子)の総和に対するN原子、Si原子、F原子の割合をそれぞれN1(原子%)、S1(原子%)、F1(原子%)とし、
(ii)前記磁性キャリア表面から深さ40nmの位置で検出されるN原子、Si原子、F原子、C原子及びO原子の総和に対するN原子、Si原子、F原子の割合をそれぞれN2(原子%)、S2(原子%)、F2(原子%)としたとき、
前記N1、S1、F1、N2、S2及びF2が、下記の条件を満たすことを特徴とする。
0.10≦N1≦1.50
0.30≦S1≦5.00
45.00≦F1≦65.00
S1<S2
S1/N1<S2/N2
F1>F2
上記範囲内の磁性キャリアを用いることで、トナーとの帯電性が良好となり、キャリアの樹脂被覆層の剥がれが抑制される。
本発明の磁性キャリアにより上述の効果が得られた理由を以下のように考えている。
キャリアの樹脂被覆層の剥がれの原因は、上述の通り、無機粒子に樹脂微粒子を担持させたトナーでは、キャリアに対する付着力が上がることで樹脂被覆層の剥がれが起きやすくなるためである。特に、キャリアの樹脂被覆層の界面、例えば、樹脂成分の異なる層を積層した場合の界面で樹脂被覆層の剥がれが起きやすい。よって、樹脂被覆層の界面間の密着性を向上させることが必要である。また、樹脂微粒子によるキャリアへの付着力を下げることが有効である。
本発明におけるキャリアの樹脂被覆層は、磁性キャリアの表面とキャリア表面から深さ40nmの位置で検出されるN原子、Si原子、F原子の割合が異なることを特徴とする。Si原子、F原子の割合が上記範囲内であることで、キャリアの樹脂被覆層の表面自由エネルギーが低く制御され、樹脂微粒子のキャリアへの付着力が低減されると考えられる。Si原子は、樹脂微粒子の付着抑制以外に、樹脂被覆層内のネットワークに影響し、樹脂被覆層の摩耗・剥がれを低減させるためには0.3原子%以上が好ましく、Si原子の帯電性が低いため、帯電付与性と帯電維持性から上記の5.0原子%以下が好ましい。F原子は、樹脂微粒子の付着抑制以外に、帯電付与性および帯電維持性は向上させため45.0原子%以上が好ましく、樹脂被覆層の摩耗・剥がれのバランスからは65.0原子%以下が好ましい。
また、N原子が0.1原子%以上であることで、Si原子と同様に樹脂被覆層内のネットワークが強化されるため靭性が上がり樹脂被覆層の剥がれを抑制される。しかし、帯電性と吸湿性の観点から1.5原子%以下が好ましい。磁性キャリアの表面とキャリア表面から深さ40nmの位置で検出されるN原子、Si原子、F原子の割合が異なり、上記範囲内の関係性により、界面での密着性が上がるため樹脂被覆層の剥がれが抑制されると考えられる。これは、S1<S2かつS1/N1<S2/N2であることで、キャリア表面に対してキャリア芯材中心に向かって樹脂被覆層内ネットワークが強固になることを意味している。このため、キャリア表面全体に応力がかかった際に界面等から剥がれにくくなると考えられる。また、F1>F2およびS1<S2の関係により、キャリア表面での電荷保持性の維持と残留電荷による帯電低下が抑制されると考えられる。さらに、電荷保持性の維持と樹脂被覆層の密着性はS2/S1≧2がより好ましい。
また、キャリア表面とキャリア表面から深さ40nmの位置のN原子の原子%の差が小さいほど、界面での剥がれが抑制されるため、0.7≦N1/N2≦1.3の範囲がより好ましい。
樹脂被覆層の平均層厚は、電荷漏洩と過剰帯電とを抑制し、優れた耐久性と耐剥がれ性とを得るために、50nm以上3000nm以下が好ましい。平均層厚の測定方法としては、透過型電子顕微鏡を用いてキャリア断面を観察し、キャリア表面を覆う樹脂被覆層の層厚を測定し、その層厚の平均値を平均層厚とすることができる。
樹脂被覆層は、フッ素系樹脂を含有することが好ましい。フッ素系樹脂は表面自由エネルギーを低くするため、樹脂微粒子またはワックス等の付着を低減し、キャリア表面の汚染を抑制する。
また、樹脂被覆層は、シリコーン系樹脂を含有することが好ましい。シリコーン系樹脂は表面自由エネルギーを低くするとともに、樹脂被覆層に弾性を付与でき、耐摩耗性を向上させる。
さらに、樹脂被覆層は、窒素系樹脂を含有することが好ましい。窒素系樹脂は機械的耐久性、電荷制御に寄与するため、キャリアの帯電付与と被覆層の耐摩耗・耐衝撃性が向上する。
<磁性キャリアのX線光電子分光法による元素分析方法>
磁性キャリアの元素分析は、X線光電子分光分析(XPS)を用いて、以下のように測定する。測定サンプルとしては、XPS専用プラテン上に加工されたφ2mm・深さ2mmのサンプルセット孔に、磁性キャリアをセットする。そして、下記XPS装置により、X線照射箇所およびGCIB照射によるスパッタリング箇所を、上記サンプルセット孔部に設定する。
使用装置:アルバック・ファイ社製 PHI5000VersaProbeII
照射線:Al-Kα線
ビーム径:100μ
出力:25W15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
Stepsize:0.125eV
XPSピーク:F1s、Si2p、N1s、C1s、O1s
測定範囲:300μm×200μm
以上の条件よりN1、S1、F1(原子%)の測定を行った。
更に、以下のスパッタ条件により、磁性キャリア表面から深さ40nmの位置までスパッタを行い、上記測定条件により測定した値をN2、S2、F2(原子%)とした。
GUNタイプ:GCIB
SputterSetting:20kV
なお、深さ40nmの位置に関しては、事前にスパッタレート(時間に対する深さのレート)を測定し、40nmに相当するスパッタ時間を算出し、該当する時間スパッタすることで、深さ40nmの位置とした。
本発明の磁性キャリアを好ましく製造する方法としては、磁性キャリアコア粒子を浮遊流動させながら被覆樹脂溶液をスプレーし、磁性キャリアコア粒子の表面に樹脂被覆層を形成させる方法及びスプレードライ法が挙げられる。かかる流動床被覆装置を使用する場合には、特に流動層の形成状態及び被覆樹脂を溶解した樹脂溶液の噴霧形式が重要である。前述した流動層の形成状態としては、磁性キャリアコア粒子の凝集が起こらず、且つ、効率良く被覆層を形成するため流動層内に回転式底板ディスクと撹拌羽根を設け、旋回流を形成させながら被覆を行う方式を挙げることができる。
具体的にはかかる手法としては、
(1)流動層を円筒の管体内を上昇する気体流によって形成し、
(2)更に、被覆樹脂溶液を流動層の移動方向に対して垂直方向から供給し、
(3)且つ樹脂溶液の噴霧圧が1.5kg/cm以上でスプレー塗布されることを特徴とする磁性キャリア製造方法を挙げることができる。
<トナー粒子の構成>
以下、本実施形態に係る二成分現像剤のトナーに含まれるトナー粒子の構成について説明する。
トナー粒子は、トナー粒子と、トナー粒子の表面に付着した外添剤粒子とを備える。外添剤粒子は、無機粒子と、無機粒子の表面に担持された樹脂微粒子とを備える。樹脂微粒子は、無機粒子と部材との間で摺動材として機能させる場合は、無機粒子と強固に結合せずに、衝撃力による担持、ファンデルワールス力や樹脂微粒子の付着力によって無機粒子に担持されていることが好ましい。
画像流れの発生を更に抑制するためには、無機粒子の個数平均粒子径は、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることが更に好ましい。また、感光体表面の過剰な研磨を抑制するためには、無機粒子の個数平均粒子径は5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることが更に好ましい。
無機粒子としては研磨作用を有する導電性の無機粒子、例えば、酸化チタン粒子、チタン酸ストロンチウム粒子が挙げられる。
(酸化チタン粒子)
酸化チタン粒子の形状は、特に限定されず、球状や直方体等であってもよい。酸化チタン粒子は、表面処理されていてもよい。表面処理された酸化チタン粒子は、酸化チタン粒子の表面の少なくとも一部を導電層で被覆することにより、トナーの帯電性を適切な範囲に調整できる。導電性酸化チタン粒子は、表面平滑性が低くなる傾向があるため、プレスローラー等の部材に付着しやすい。よって、外添剤粒子として導電性酸化チタン粒子を用いると、部材汚染に起因する画像不良が発生しやすくなる傾向がある。しかし、本実施形態では、酸化チタン粒子を用いても、樹脂微粒子を担持することで部材汚染に起因する画像不良の発生を抑制できる。
酸化チタン粒子の表面の一部を導電層で被覆する方法としては、例えば、酸化チタン粒子を水に分散させた懸濁液に、下記の溶液と、水酸化ナトリウム水溶液とを、加熱して添加する方法がある。
・塩化スズ五水和物(SnCl・5HO)と塩化アンチモン(SbCl)とを塩酸水溶液に溶解させた溶液
これにより、酸化スズ及び酸化アンチモンの各々の水和物から構成される導電層が、酸化チタン粒子の表面に形成される。なお、酸化チタン粒子は、市販の酸化チタン粒子を用いてもよい。また、導電性酸化チタン粒子も、市販品を用いてもよい。
(チタン酸ストロンチウム粒子)
チタン酸ストロンチウム粒子の形状は、立方形状または直方体状に作製可能であれば特に限定されない。チタン酸金属粒子の形状を制御する方法として、乾式で機械的処理を施す方法を用いてもよい。
また、チタン酸ストロンチウム粒子は、表面処理されていてもよい。表面処理は、上記の酸化チタン粒子と同様に、表面の少なくとも一部を導電層で被覆することにより、トナーの帯電性を適切な範囲に調整できる。
チタン酸ストロンチウム粒子は、例えば、常圧加熱反応法により製造することができる。酸化チタン源としてチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用い、チタン以外の金属源としては水溶性酸性金属化合物を用いることができる。そして、原料の混合液にアルカリ水溶液を添加しながら反応させ、酸処理する方法で製造することができる。
(樹脂微粒子)
樹脂微粒子の形状は、特に限定されず、球状であっても異形状であってもよいが、部材汚染に起因する画像不良の発生を更に抑制するためには、球状であることが好ましい。樹脂微粒子の円形度は、例えば、樹脂微粒子を構成する樹脂の合成時の架橋剤の添加量を調整することによって制御可能である。
無機粒子の表面において樹脂微粒子で被覆された領域の面積割合(以下、被覆面積割合とも記載する。)は、部材汚染に起因する画像不良の発生を抑制するためには、1%以上が好ましい。また、画像流れの発生を更に抑制するためには、被覆面積割合は50%以下が好ましい。
樹脂微粒子の個数平均粒子径は、部材汚染に起因する画像不良の発生を更に抑制するためには、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。また、画像流れの発生を更に抑制するためには、個数平均粒子径は1000nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
樹脂微粒子を構成する樹脂としては、無機粒子の表面に担持可能な樹脂である限り特に限定されないが、ラジカル重合体が好ましい。
ラジカル重合体を形成するためのモノマー(以下、ラジカル重合性モノマーと記載することがある。)としては、例えば、以下のものが挙げられる。スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;ビニ__ルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン系モノマー;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリロニトリル。これらのうち、部材汚染に起因する画像不良の発生を更に抑制するためには、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが好ましく、スチレン系モノマーがより好ましく、スチレンが更に好ましい。ラジカル重合体としては、これらのラジカル重合性モノマーの一種を重合させた単独重合体を使用してもよく、これらのラジカル重合性モノマーの二種以上を共重合させた共重合体を使用してもよい。
樹脂微粒子の合成方法は、特に限定されず、例えば公知の重合方法により合成することができる。重合方法としては、例えば、懸濁重合、乳化重合及び溶液重合が挙げられる。ラジカル重合体を含む樹脂微粒子の合成方法としては、例えば、重合開始剤の存在下、ラジカル重合性モノマーをラジカル重合させる方法が挙げられる。樹脂微粒子として市販の樹脂微粒子を使用してもよい。
(トナー粒子)
トナー粒子は公知の結着樹脂を用いることができる。例えば、結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。
スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。好ましく用いられる樹脂として、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリエステル樹脂とスチレン系共重合樹脂が混合又は両者が一部反応したハイブリッド樹脂が挙げられる。さらに好ましくは、結着樹脂として、ポリエステル樹脂を含む態様である。
本発明におけるトナー粒子は、結晶性ポリエステルを含有することが好ましい。結晶性ポリエステルを含有することで、転写時の放電の影響をより効果的に緩和することができ、エンボス転写性が良好となる。上記特性を効果的に得る上で、結晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下含有することが好ましい。
結晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるアルコール成分としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-イコサンジオールなどの脂肪族ジオール。
脂肪族ジオールの含有量は、結晶性ポリエステルの結晶性をより高める観点から、アルコール成分中に80モル%以上100モル%以下含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためのアルコール成分としては、上記の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分を含有していても良い。例えば、以下のものが挙げられる。2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物を含むビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール。
一方、結晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるカルボン酸成分としては、例えば、以下のものが挙げられる。シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸など。さらにこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中に80モル%以上100モル%以下含有されることが好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためのカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分を含有していても良い。例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、3価以上の芳香族多価カルボン酸化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。芳香族ジカルボン酸化合物には、芳香族ジカルボン酸誘導体も含まれる。芳香族ジカルボン酸化合物の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、並びにそれらのアルキル(炭素数1以上3以下)エステルが好ましく挙げられる。該アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸化合物としては、以下のものが挙げられる。1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1以上3以下)エステル等の誘導体。
結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下であることが好ましい。
本発明のトナーの着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
トナーに離型性を与えるために、離型剤(ワックス)を用いてもよい。本発明に用いられるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化型ワックス;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものなど。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系共重合モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物など。
特に好ましく用いられるワックスは、脂肪族炭化水素系ワックスである。例えば、以下のものが挙げられる。アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒で重合した低分子量の炭化水素。石炭又は天然ガスから合成されるフィッシャートロプシュワックス;高分子量のオレフィンポリマーを熱分解して得られるオレフィンポリマー。一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス。さらにプレス発汗法、溶剤法、減圧蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
これらワックスは、一種類を単独で使用してもよいし二種類以上を併用して使用してもよい。ワックスは、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
トナーは、荷電制御剤として、既知の荷電制御剤を用いることができる。既知の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。アゾ系鉄化合物、アゾ系クロム化合物、アゾ系マンガン化合物、アゾ系コバルト化合物、アゾ系ジルコニウム化合物、カルボン酸誘導体のクロム化合物、カルボン酸誘導体の亜鉛化合物、カルボン酸誘導体のアルミ化合物、カルボン酸誘導体のジルコニウム化合物。前記カルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。正帯電性の荷電制御剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2-オキサジン、1,3-オキサジン、1,4-オキサジン、1,2-チアジン、1,3-チアジン、1,4-チアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-オキサジアジン、1,3,4-オキサジアジン、1,2,6-オキサジアジン、1,3,4-チアジアジン、1,3,5-チアジアジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、1,2,4,6-オキサトリアジン、1,3,4,5-オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ-ンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等の直接染料;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等の酸性染料;ナフテン酸の金属塩類;高級有機カルボン酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩等の4級アンモニウム塩。さらに荷電制御樹脂も用いることもできる。必要に応じて一種類又は二種類以上の荷電制御剤を併用してもかまわない。荷電制御剤は結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下添加することが好ましい。
(外添剤粒子)
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、及び耐久性を向上させるために、樹脂微粒子を表面に担持した無機粒子以外に、シリカ微粉体をトナー粒子に外添することが好ましい。シリカ微粉体は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m/g以上500m/g以下であることが好ましく、50m/g以上400m/g以下であることがさらに好ましい。また、トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粉体を0.01質量部以上8.00質量部以下用いることが好ましく、0.10質量部以上5.00質量部以下用いることがより好ましい。
シリカ微粉体のBET比表面積は、例えば下記の装置を用いてシリカ微粉体の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)
シリカ微粉体は、必要に応じ、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で下記のような処理剤で、あるいは種々の処理剤を併用して処理されていることも好ましい。
未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物。
また、樹脂粒子を担持させた無機粒子を含めた外添剤粒子の総含有量は、トナー粒子100質量部に対して、適切な流動性を得るために0.5質量部以上、画像流れを抑制するために10.0質量部以下であることが好ましい。
また、樹脂粒子を担持させた無機粒子の含有量は、画像流れ及び画像不良の抑制のために外添剤粒子の総含有量に対して20質量%以上が好ましい。
<トナー粒子を製造方法>
本発明におけるトナー粒子を製造する方法としては、特に限定されず、公知の方法によって製造することができる。例えば、粉砕法、乳化凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法などが挙げられる。
粉砕法により製造されるトナー粒子は、例えば下記のようにして製造される。
結着樹脂、着色剤及び必要に応じてその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分に混合する。
混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する。その際、ワックス、磁性酸化鉄粒子及び含金属化合物を添加することもできる。
溶融混練物を冷却固化した後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。この際、微粉砕時の排気温度を調整することで、トナー粒子の平均円形度を制御することができる。さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
冷却固化された溶融混練物を粉砕するために用いられる粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
また、必要に応じて、粉砕後に、下記の装置を用いて、トナー粒子の表面処理を行い、トナー粒子の平均円形度を制御することもできる。ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、イノマイザ(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、メカノミル(岡田精工社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)。
分級するために用いられる分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
次に本発明に関わるトナー粒子の粒度分布の測定方法に関して記載する。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として下記の「コンタミノンN」をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
コンタミノンN:非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以上、本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下、実施例に基づいて具体的に本発明について説明する。しかしながら、本発明は何らこれに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り部及び%は、質量基準である。
<磁性キャリアコア粒子の製造例>
・Fe 62.7部
・MnCO 29.5部
・Mg(OH) 6.8部
・SrCO 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。
その後、ステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕及び混合した。得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。
このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
該仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、ジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。さらに、得られたスラリーを、湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
該フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して、分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム1.0部、及び、バインダーとしてのポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子の粒度を調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積基準の50%粒径(D50)が37.0μmの磁性キャリアコア粒子を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
熱硬化型シリコーン樹脂溶液(メチルシリコーン樹脂)を、磁性キャリアコア粒子100部に対して被覆樹脂量が0.20部になるように塗布した。流動床内に回転式底板ディスクと撹拌羽とを設けて旋回流を形成させながら被覆を行う被覆装置を使用して磁性キャリアコア粒子1に塗布した。尚、上述の樹脂溶液は、流動床の装置内での移動方向に対して垂直な方向から噴霧した。
次いで、熱硬化型フッ素樹脂溶液(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体:FEP)と熱硬化型メラミン樹脂溶液とを固形分比で20部:1部となるように十分な撹拌を行って混合し、キャリア被覆溶液を作製した。この被覆溶液を流動床内に回転式底板ディスクと撹拌羽を設けて旋回流を形成させながら被覆を行う被覆装置を使用して、磁性キャリアコア粒子100部に対して、フッ素樹脂とメラミン樹脂の合計が2部となるように磁性キャリアコア粒子に塗布した。その後、得られたキャリアを流動床中で温度280℃で1時間乾燥して溶剤を除去後、磁性キャリア1を得た。
得られたキャリアに対して、X線光電子分光法による元素分析を行ったところ、N1が0.42、S1が0.71、F1が57.65、N2が0.41、S2が1.6、F2が56.7であった。また樹脂被覆層の平均層厚は透過型電子顕微鏡を用いてキャリア断面を観察して測定し、算出した。
<磁性キャリア2~14の製造例>
磁性キャリア1の熱硬化型の樹脂溶液の種類と塗布量を変更した以外は、磁性キャリア1の製造例と同様にして、磁性キャリア2~14を得た。表1に熱硬化型の樹脂の種類と塗布量を示した。表2に、元素分析結果、平均層厚を示した。
Figure 0007395128000001
表1中、量は磁性キャリアコア粒子100部に対する部数である。また、樹脂は以下のものを用いた。
メチルシリコーン:KR-242A(信越化学社製)
メチルフェニルシリコーン:KR-300(信越化学社製)
FEP:テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(固形分)を20質量%含有した溶液
メラミン樹脂:メラミン/ホルムアルデヒド/メタノール/水=5/4/1/5質量部含むpH8.5に調整した溶液
PVDF:ポリフッ化ビニリデン(固形分)を20質量%含有した溶液
APTES:3-アミノプロピルトリエトキシシラン
Figure 0007395128000002
<樹脂微粒子1の作製>
下記の材料をN,N-ジメチルホルムアミド45.0部に溶解させ、窒素バブリングをしながら1時間撹拌した後、110℃まで加熱して混合溶液を作製した。
・スチレン 60部
・アクリル酸n-ブチル 5部
・メタクリル酸 3部
この混合溶液に、重合開始剤としてtert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート3部とトルエン40部の混合溶液を滴下した。得られた混合液を110℃にて4時間保持した。その後、得られた反応物を冷却しメタノール1000.0部に滴下し、析出物を得た。得られた析出物をテトラヒドロフラン110.0部に溶解後、メタノール1500.0部に滴下し、白色析出物を析出させた。得られた白色析出物をろ過し、減圧下90℃にて乾燥させることで、樹脂1を得た。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、メチルエチルケトン200.0部を入れ、樹脂1を100.0部加えて溶解した。次いで、1.0モル/L水酸化カリウム水溶液28.5部をゆっくり加え、10分間撹拌を行った後、イオン交換水700.0部をゆっくり滴下し、乳化させた。
加熱乾燥した四口フラスコに、上記乳化液を仕込んだ。乳化液を400rpmで撹拌しながら30分間窒素をバブリングした後、75℃にて6時間攪拌を行った。その後、乳化液を撹拌させた状態で空冷し、反応を停止させ、粗粒子状の樹脂の分散体を得た。
前記分散体中の微粒子状の樹脂とトルエンを16500rpmで2.5時間遠心分離機により分離した。上澄みを除去することで、濃縮された樹脂微粒子の分散体を得た。
その後、撹拌装置のついたビーカーに、濃縮された樹脂微粒子の分散体を、高出力超音波ホモジナイザー(VCX-750)を用いて、アセトンに分散させることで、固形分濃度10.0質量%の樹脂微粒子分散液1を調製した。樹脂微粒子分散液1中の樹脂微粒子の個数平均粒子径は75nmであった。
<樹脂微粒子2~5の作製>
樹脂1の量と滴下速度を変化させた以外は、樹脂微粒子1の製造例と同様にして、樹脂微粒子の個数平均粒径の異なる樹脂微粒子2~5を得た。
<樹脂微粒子担持酸化チタン粒子の作製>
粉砕用ブレンダーに、固数平均粒子径0.7μmの導電性酸化チタン粒子を90g、上記樹脂微粒子1を3g投入して、回転速度15,000rpmの条件で20分間攪拌した。そして、樹脂微粒子1が導電性酸化チタン粒子の表面に担持された樹脂微粒子担持無機粒子1を得た。導電性酸化チタン粒子に対する樹脂微粒子の被覆面積割合は25%であった。
<樹脂微粒子担持無機粒子2~14の製造例>
無機粒子の種類及び個数平均粒子径並びに樹脂微粒子の個数平均粒子径を変更し、樹脂微粒子の投入量により被覆面積割合を変化させた以外は、樹脂微粒子担持無機粒子1の製造例と同様にして、樹脂微粒子担持無機粒子2~14を得た。表3に無機粒子種、無機粒子の個数平均粒子径、樹脂微粒子の個数平均粒子径、被覆面積割合を示した。
Figure 0007395128000003
<結着樹脂1の製造例>
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2モル付加物): 50.0モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2モル付加物): 50.0モル部
・テレフタル酸: 90.0モル部
・無水トリメリット酸: 10.0モル部
上記ポリエステルユニットを構成するモノマー100質量部をチタンテトラブトキシド500ppmと共に5リットルオートクレーブに混合した。
そこに、還流冷却器、水分分離装置、Nガス導入管、温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にNガスを導入しながら230℃で縮重合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整し、反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂1を得た。結着樹脂1のTm(軟化点)は130℃、Tg(ガラス転移温度)は57℃であった。
<結晶性ポリエステル1の製造例>
・1,10-デカンジカルボン酸 50モル部
・エチレングリコール 50モル部
上記モノマー及びモノマー総量に対して、0.2%のジブチル錫オキシドを、窒素導入管、脱水管、攪拌装置及び熱電対を装備した10Lの四つ口フラスコに入れ、180℃で4時間反応させた。その後、10℃/1時間で210℃まで昇温、210℃で8時間保持した後、8.3kPaにて1時間反応させることにより、結晶性ポリエステル1を得た。
<トナー粒子1の製造例>
・結着樹脂1 100部
・結晶性ポリエステル1 5部
・ベヘン酸ベヘニル(融点72℃) 5部
・C.I.ピグメントブルー 15:3 4部
上記材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、二軸混練押し出し機によって、160℃で溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで微粉砕した。
得られた微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.0μmの粒子を得た。その後、得られた粉体100部に対して、下記の樹脂微粒子担持無機粒子1及びシリカ微粒子を外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。
・前記樹脂微粒子担持無機粒子1 1.0部
・前記疎水化処理したシリカ微粒子(アミノシランカップリング剤による表面処理、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m/g) 4.0部
<トナー粒子2~19の製造例>
樹脂微粒子担持無機粒子の種類と外添量を変更した以外、トナー粒子1の製造例と同様にして、トナー粒子2~19を得た。表4に、樹脂微粒子担持無機粒子の種類、外添剤の総外添部数、樹脂微粒子担持無機粒子の総外添量に対する質量%を示した。
<トナー粒子20の製造例>
トナー粒子20は樹脂微粒子を担持させない酸化チタン粒子を用いた以外、トナー粒子1の製造例と同様にして、トナー粒子20を得た。
Figure 0007395128000004
<実施例1>
(二成分現像剤1の製造例)
実施例1で用いた二成分現像剤1を以下のような方法で製造した。
トナー粒子1と磁性キャリア1とを、磁性キャリア90部に対して、トナー粒子が10部になるように、V型混合機(V-10型:株式会社徳寿製作所)を用いて、0.5s-1、回転時間5minの条件で混合して二成分現像剤1を調製した。得られた現像剤1を用いて以下の評価を行った。評価結果を表6に示す。
<実施例2~25、比較例1~8>
実施例2~25、比較例1~8に用いた二成分現像剤は、トナー粒子と磁性キャリアを変更した以外、二成分現像剤1の製造例と同様にして得た。表5に、各実施例と比較例で用いたトナー粒子と磁性キャリアを示した。実施例2~25、比較例1~8の二成分現像剤は現像剤1と同様に評価を行った。評価結果を表6に示す。
Figure 0007395128000005
<評価>
<高温高湿環境下における帯電維持性>
各現像剤30gを量り採り、常温低湿(温度23℃/相対湿度5%)の環境下で1昼夜静置し、その後それぞれを50ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせた。その後、吸引式の帯電量測定装置で測定した。得られた帯電量を帯電量L(μC/g)とした。
また、各現像剤30gを量り採り、高温高湿(温度30℃/相対湿度80%)の環境下で1昼夜静置し、その後それぞれを50ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせ、帯電量Lと同様の方法で測定した帯電量を帯電量H(μC/g)とした。
得られた帯電量L(μC/g)と帯電量H(μC/g)とから下記式を用いて高温高湿環境下における帯電維持率(%)を計算した。
帯電維持率(%)=100×帯電量H(μC/g)/帯電量L(μC/g)
そして、以下の基準で帯電維持性の評価を行った。また、ランクC以上で、本発明の効果があったと判断した。
A:帯電維持率(%)が90%以上
B:帯電維持率(%)が85%以上90%未満
C:帯電維持率(%)が80%以上85%未満
D:帯電維持率(%)が75%以上80%未満
E:帯電維持率(%)が70%以上75%未満
F:帯電維持率(%)が60%以上70%未満
G:帯電維持率(%)が60%未満
<感光体の摩耗量 感光体削れ>
トナー粒子の外添剤による感光体の摩耗量を以下の方法で評価した。
画像形成装置として、imagePRESS C800(キヤノン(株)製)改造機を用い、シアン色位置の現像器に二成分系現像剤1を入れた。改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体(感光体)の帯電電圧VD、レーザーパワー、及び、帯電器の総放電電流量を自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力し、FFh画像のトナーの載り量が所望の量になるようにVDC、VD、及びレーザーパワーを調整して、後述の評価を行った。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
そして、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下にて、プロセススピードを357mm/s、帯電器の総放電電流量を100μAに設定した。その後、感光体の摩耗量を評価するために、画像比率40%の帯チャートを用いて、A4用紙に20000枚出力を行った。
20000枚出力試験前後における感光体の有機層の膜厚を渦電流式膜厚計(Fischerscope、ヘルムート・フィッシャー社製)にて測定した。円筒状の電子写真感光体の母線方向に均等に6点測定し、6点の平均値を有機層の総膜厚として採用した。下記式を用いて「試験前後の総膜厚の差」の、試験前の総膜厚に対する割合を算出した。そして、以下の基準で感光体の摩耗量の評価を行った。また、ランクC以上で、実使用上問題ないと判断した。
摩耗量(%)={(試験前の総膜厚-試験後の総膜厚)/試験前の総膜厚}×100
A:摩耗量(%)が2%未満
B:摩耗量(%)が2%以上5%未満
C:摩耗量(%)が5%以上8%未満
D:摩耗量(%)が8%以上
<耐久時の帯電量>
キャリア汚染について、以下の耐久時の帯電量変化で評価した。
温度30℃、相対湿度80%の高温高湿環境下にて、プロセススピードを357mm/s、帯電器の総放電電流量を100μAに設定した。CS-680(68.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)のA4用紙に1ドット2スペース横罫線の画像で紙上のトナーの載り量が0.35mg/cm(FFh画像)となるように現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体(感光体)の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整した。
上記改造により画像比率40%の帯チャートを用いて、A4用紙に20000枚出力を行った。
出力前には、トナーの載り量が0.35g/cmとなる画像を出力し、感光体上にトナーが載った時点で装置を停止した。そして、装置から感光体を取り出し、感光体上のトナーの単位質量あたりの帯電量Q/M(μC/g)を測定して初期値とした。
そして20000枚出力後に、同様にして、感光体上のトナーの単位質量あたりの帯電量Q/Mを測定した。
そして、初期値のQ/Mを100%としたときの、20000枚出力後の感光体上のトナーのQ/Mの維持率を算出し、以下の基準で判断した。また、ランクC以上で、本発明の効果があったと判断した。
A:維持率が90%以上である。
B:維持率が85%以上、90%未満である。
C:維持率が80%以上、85%未満である。
D:維持率が75%以上、80%未満である。
E:維持率が70%以上、75%未満である。
F:維持率が60%以上、70%未満である。
G:維持率が60%未満である。
<高温高湿環境下での画像流れ性>
画像流れ性を以下の方法で評価した。
温度30℃、相対湿度80%の高温高湿環境(H/H環境)下にて、プロセススピードを357mm/s、帯電器の総放電電流量を100μAに設定した。CS-680(68.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)のA4用紙に1ドット2スペース横罫線の画像で紙上のトナーの載り量0.35mg/cm(FFh画像)に現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整した。
その後、評価機の安定化及び耐久評価として、画像比率0.1%の帯チャートを用いて、A4用紙に20000枚出力を行った。その後、上記評価画像を1枚出力した。引き続き、H/H環境下において評価機を2週間静置させた後、評価機を起動後すぐに、上記評価画像を1枚出力した。そして、静置前後の罫線の太さを比較した。そして、下記式を用いて、罫線幅細り率を算出した。得られた罫線幅細り率を下記の評価基準に従って評価した。なお、画像の罫線の太さは、1枚の画像における複数の罫線の太さの平均値とする。
罫線幅細り率={(静置前の画像の罫線の太さ-静置後の画像の罫線の太さ)/静置前の画像の罫線の太さ}×100
以下の評価基準で画像流れ性を評価した。また、ランクC以上で、本発明の効果があったと判断した。
A:罫線幅細り率5.0%未満
B:罫線幅細り率5.0%以上、8.0%未満
C:罫線幅細り率8.0%以上、12.0%未満
D:罫線幅細り率12.0%以上、15.0%未満
E:罫線幅細り率15.0%以上、20.0%未満
F:罫線幅細り率20.0%以上
<ガサツキ性 樹脂被覆層の剥がれ>
樹脂被覆層の剥がれを以下のようにガサツキ性で評価した。
上記の画像比率0.1%の帯チャートを用いて、A4用紙に20000枚出力を行った後に、ハーフトーン画像(30h)をA4で1枚印刷した。画像はデジタルマイクロスコープVHX-500(レンズワイドレンジズームレンズVH-Z100 (株)キーエンス製)を用い、ドット1000個の面積を測定した。
ドット面積の個数平均(S)とドット面積の標準偏差(σ)を算出し、ドット再現性指数を下記式により算出した。そして、ハーフトーン画像のガサツキをドット再現性指数(I)とし、初期との差を比較した。
ドット再現性指数(I)=σ/S×100
ガサツキの評価基準としては、シアン単色で、以下の基準により評価した。また、ランクC以上で、本発明の効果があったと判断した。
A:初期との差が3.0未満
B:初期との差が3.0以上5.0未満
C:初期との差が5.0以上8.0未満
D:初期との差が8.0以上10.0未満
E:初期との差が10.0以上
<画像濃度ムラ>
部材汚染による画像不良を以下のように画像濃度ムラで評価した。
画像濃度ムラの評価は、まず高温高湿環境(温度30℃/相対湿度80%)環境下において、初期の反射濃度が1.4になるように現像バイアスを設定し、画像比率0.1%の帯チャートを用いて、A4用紙に20000枚出力を行った。出力後、20mm四方のベタ黒パッチが現像域内に5箇所配置されたオリジナル画像を出力し、その5点の画像濃度の最大値と最小値との差を求めた。
画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。以下の基準で画像濃度ムラの評価を行った。また、ランクC以上で、本発明の効果があったと判断した。
A:濃度差0.03未満
B:濃度差0.03以上、0.06未満
C:濃度差0.06以上、0.09未満
D:濃度差0.09以上、0.12未満
E:濃度差0.12以上、0.15未満
F:濃度差0.15以上
<現像スジ>
現像剤の流動性を以下のように現像スジで評価した。
上記画像濃度ムラの評価で20000枚出力を行った後、トナーの載り量が0.2mg/cmであるハーフトーン画像を作成し、画像上及び現像ローラを目視で評価した。以下の基準で評価した。また、ランクC以上で、実使用上問題ないと判断した。
A:現像ローラの上にも、ハーフトーン画像の上にも、縦スジは見られない。
B:現像ローラに周方向の細かいスジが1~3本あるものの、ハーフトーン画像の上には、縦スジは見られない。
C:現像ローラに周方向の細かいスジが数本あり、ハーフトーン画像の上にも細かいスジが数本見られる。しかし、画像処理で消せる。
D:現像ローラの上及びハーフトーン画像の上に多数本のスジが見られ、画像処理によっても消せない。
また、各ランクに対し点数を対応させ、例えば、Aランクを10点、Bランクを9点、Cランクを8点のようにし、Jランクの場合を1点として、各評価のランクを換算した点数の合計点(総合評価)を表6に示した。
Figure 0007395128000006

Claims (11)

  1. トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤であって、
    該トナーは、トナー粒子と、該トナー粒子の表面に存在する無機粒子を有し、
    該無機粒子は、該無機粒子の表面に樹脂微粒子を担持しており、
    該磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び該磁性キャリアコア粒子の表面に存在する樹脂被覆層を有し、
    該樹脂被覆層は、窒素原子、ケイ素原子、及びフッ素原子を含有しており、
    X線光電子分光法による元素分析において、
    (i)該磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、該磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)、ケイ素原子の比率をS1(原子%)、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
    (ii)該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)、ケイ素原子の比率をS2(原子%)、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
    該N1、S1、F1、N2、S2およびF2が、
    0.10≦N1≦1.50
    0.30≦S1≦5.00
    45.00≦F1≦65.00
    S1<S2
    S1/N1<S2/N2
    F1>F2
    を満たすことを特徴とする二成分現像剤。
  2. 前記樹脂被覆層の平均層厚が、50nm以上3000nm以下である請求項1に記載の二成分現像剤。
  3. 前記S1と前記S2との関係が、
    S2/S1≧2
    である請求項1又は2に記載の二成分現像剤。
  4. 前記N1と前記N2との関係が、
    0.7≦N1/N2≦1.3
    である請求項1~3のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  5. 前記樹脂被覆層は、フッ素系樹脂を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  6. 前記樹脂被覆層は、シリコーン系樹脂を含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  7. 前記樹脂被覆層は、窒素系樹脂を含有する請求項1~6のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  8. 該無機粒子の表面において、該樹脂微粒子で被覆された領域の面積割合は、1%以上、50%以下である請求項1~7のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  9. 該無機粒子の個数平均粒子径は、0.2μm以上、1μm以下であり、該樹脂微粒子の個数平均粒子径は、50nm以上、100nm以下である請求項1~8のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  10. 該トナーは、該樹脂微粒子を付着させた該無機粒子を含む外添剤粒子の総含有量は、該トナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上、10.0質量部以下であり、該樹脂微粒子を担持させた該無機粒子の含有量は、該外添剤粒子の総含有量に対して20質量%以上である請求項1~9のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  11. 該無機粒子が酸化チタン粒子またはチタン酸ストロンチウム粒子である請求項1~10のいずれか一項に記載の二成分現像剤。

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