JP7358234B2 - 二成分現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式に用いられる二成分現像剤に関する。
複写機およびプリンターが広く普及するに従い、トナーに要求される性能もより高度になっている。近年では、プリントオンデマンド(POD)と呼ばれる、製版工程を経ずに直接印刷するデジタル印刷技術が注目されている。このプリントオンデマンド(POD)は、小ロット印刷、1枚毎に内容を変えた印刷(バリアブル印刷)、分散印刷にも対応していけることから、従来のオフセット印刷に対してアドバンテージがある。トナーを用いた画像形成方法のPOD市場への適用を考えた場合、長期間にわたり高速でかつ、多量に出力する場合であっても高品質な画質のプリント成果物を安定的に得るために、帯電性や転写性、現像剤の流動性の変化が少ないトナーが強く求められている。
トナーの帯電性や転写性を安定化するために、種々の外添剤の検討が行われている。特許文献1及び2にはハイドロタルサイト類化合物を含有する外添剤を外添することで、トナーの長期安定性を向上させることが開示されている。
一方で、トナー由来成分のキャリアへの移行により、帯電能が低下することは知られている。このようなキャリアへの移行を抑制する目的で、キャリアに対して表面自由エネルギーが低いフッ素樹脂によってコートを行うことも知られている。ただしフッ素樹脂のコートは脆い性質があり、長期間の使用によりフッ素樹脂のコート層の剥がれなどが発生し、長期安定性に問題を引き起こす場合がある。それを改善する例として、特許文献3では、被覆樹脂中にフッ素元素、ケイ素元素、窒素元素を含有させた被覆層形成がなされたキャリアが開示されている。
特開2019-45578号公報 特開2019-66781号公報 特許第3810005号公報
出力環境が安定していれば、特許文献2および特許文献3に開示される技術により、高品質な画質のプリント成果物を安定的に形成できる。しかしながら、出力環境が変わった際にも、高品質な画質のプリント成果物を安定的に形成すること(環境安定性)に関しては、いまだ改善の余地が残されている。
本発明は、上記課題を解決するものであり、高品質なプリント成果物の環境安定性と耐久安定性とを両立する二成分現像剤を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、本発明の構成を用いることにより、高品質なプリント成果物の環境安定性と耐久安定性とを両立する二成分現像剤を提供することが可能となった。本発明は以下のとおりである。
本発明は、トナーと、磁性キャリアを含有する二成分現像剤であって、
前記トナーは、トナー粒子と、前記トナー粒子の表面に存在するハイドロタルサイト粒子とを有し、
前記ハイドロタルサイト粒子の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以下であり、
前記ハイドロタルサイト粒子の含有量は、前記トナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上3.0質量部以下であり、
前記磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び前記磁性キャリアコア粒子の表面に存在する樹脂被覆層を有し、
前記樹脂被覆層は、窒素元素、ケイ素元素、フッ素元素を含有しており、
X線光電分光法による元素分析において、
(i)前記磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、前記磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)、ケイ素原子の比率をS1(原子%)、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
(ii)前記磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、前記磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)、ケイ素原子の比率をS2(原子%)、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
前記N1、S1、F1、N2、S2およびF2が、
0.10≦N1≦1.50
0.30≦S1≦5.00
45.00≦F1≦65.00
S1<S2
S1/N1<S2/N2
F1>F2
を満たす二成分現像剤に関する。
本発明により、高品質なプリント成果物の環境安定性と耐久安定性とを両立するトナーおよび二成分現像剤を提供することができる。
本発明において、数値範囲を示す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明者らは、環境安定性と耐久安定性の更なる向上を目的として、鋭意検討をした結果、下記トナーと下記磁性キャリアとを含有する二成分現像剤を用いることで、従来にない優れた環境安定性と耐久安定性とを両立できることを見出した。
前記トナーは、
トナー粒子と、前記トナー粒子の表面に存在するハイドロタルサイト粒子とを有する。
前記ハイドロタルサイト粒子の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以下であり、
前記ハイドロタルサイト粒子の含有量は、前記トナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上3.0質量部以下であることを特徴とする。
前記磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び前記磁性キャリアコア粒子の表面に存在する樹脂被覆層を有する。
前記樹脂被覆層は、窒素元素、ケイ素元素、フッ素元素を含有しており、
X線光電分光法による元素分析において、
(i)前記磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
前記磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)、ケイ素原子の比率をS1(原子%)、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
(ii)前記磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
前記磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)、ケイ素原子の比率をS2(原子%)、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
前記N1、S1、F1、N2、S2およびF2が、下記の条件を満たすことを特徴とする。
0.10≦N1≦1.50
0.30≦S1≦5.00
45.00≦F1≦65.00
S1<S2
S1/N1<S2/N2
F1>F2
本発明の効果が得られた理由は以下のように考えている。
ハイドロタルサイト粒子は、Mg/Al水酸化物八面体層からなる層状の化合物である。その層の間にスペースがあり、水分子やCO 2-などの陰イオンを取り込みやすい構造となっている。そのため、ハイドロタルサイト粒子を高湿環境下に十分に静置した場合、水分子と強く相互作用し高い水吸着性を引き起こすことで、トナーの帯電量が低下しやすい。特に、耐久安定性を向上させるために、体積抵抗を下げた処理を施した粒子においては、帯電能の変化が起こりやすい。
しかし本発明において、上記トナーと組み合わせて用いるキャリアは、トナーとキャリアとが接触して摩擦帯電する際に、ハイドロタルサイト粒子に吸着している水分子をキャリアが引き付ける構成となっている。また、キャリア表面に引き付けられた水分子は、キャリア内部に逃げやすい構成をしているため、キャリアの帯電性能を低下させることはない。そのため、高湿環境においても、トナー及びキャリアの帯電性能を維持することが可能となる。
具体的なキャリアの機能としては、キャリアの表面に一定比率の窒素原子が含有されることにより、トナーとキャリアとが接触するときに、窒素原子が積極的に水分子を引き付ける。その結果、トナー表面の水分子の吸着量が低下することで、高湿環境においても、トナーの帯電量が維持され環境安定性が向上する。
また、キャリアの表面から深さ40nmの位置の原子分析の比率が本発明の比率であることにより、キャリア表面からキャリア内部に水分子を逃がすことが可能となり、キャリアの帯電性能を維持することが可能となる。そのため、優れた耐久安定性を有する低抵抗ハイドロタルサイト粒子含有トナーにおいても高湿環境での帯電性能を維持することが可能となる。
さらに好ましい構成として、キャリア粒子上に形成された被覆層が、50nm以上3000nm以下であることで、より効果的にキャリアの帯電性能を維持できる。
さらに好ましい構成として、キャリア表面からキャリアコアへの深さ方向に対するケイ素原子の比率が、S2/S1≧2の範囲にあることにより、より効果的にトナーから引き付けた水分子をキャリア内部に留めることが可能となる。
さらに、キャリア表面からキャリアコアへの深さ方向に対する窒素原子の比率が、0.7≦N1/N2≦1.3の範囲にあることが好ましい。キャリアの帯電性能を損なうことなく、トナーとキャリアの接触時に、より効果的にトナーから水分子を引き付けることが可能となるからである。
さらに好ましい構成として、樹脂被覆層の組成として、フッ素原子はフッ素系樹脂、ケイ素原子はシリコーン系樹脂、窒素原子は窒素系樹脂に由来することにより、良好な環境安定性を得ることが可能となる。
上述の理由により、優れた環境安定性と耐久安定性とを両立する現像剤を得るに至った。
以下に、本発明において好ましい二成分現像剤を詳述する。
本発明で使用できるハイドロタルサイト粒子は、下記一般式(A)で表すことができ、正極性に帯電した基本層(一般式(A)中の[M2+ (1-x)3+x(OH)])とネガ性に帯電した中間層(一般式(A)中の[An- (x/n)・mHO])とを有する層状の無機化合物である。
[M2+ (1-x)3+x(OH)][An- (x/n)・mHO] 一般式(A)
一般式(A)中、
2+は、Mg2+,Zn2+などの2価金属イオンを表し、
3+は、Al3+,Fe3+などの3価金属イオンを表し、
n-は、CO 2-,Cl,NO3-などのn価アニオンを表し、
m≧0である。
一般式(A)に含まれる化合物の例としては、
[Mg2+ 0.750Al3+ 0.250(OH)][CO 2- 0.125・0.500HO]が挙げられる。
ハイドロタルサイト粒子は、優れた環境安定性及び耐久安定性を得ることができるという観点から、2価の金属イオンM2+としてはMg2+、3価の金属イオンM3+としてはAl3+、n価アニオンとしてはClが好ましい。上述の組成にすることで、水の吸脱着および放電生成物の吸着、感光ドラムの研磨効果を効果的に発現できる。
ハイドロタルサイト粒子の体積抵抗は、環境安定性および耐久安定性の観点から、1.0×10Ω・cm以上、1.0×10Ω・cmであることが好ましい。上述の体積抵抗の範囲にすることで、ハイドロタルサイト粒子と感光ドラム表面との静電付着力を低減できることで、感光ドラム表面にハイドロタルサイト粒子が連れまわることを抑制できるため、環境安定性および耐久安定性の観点で好ましい。上述の体積抵抗のハイドロタルサイト粒子を得るために、ハイドロタルサイト粒子は、ハイドロタルサイト基体と、ハイドロタルサイト基体の表面に存在する導電層とを有することが好ましい。導電層の組成は、特に限定されないが、酸化インジウムスズ層が、環境安定性および耐久安定性の観点で好ましい。
ハイドロタルサイト粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.5~3.00質量部であることが好ましい。上記範囲内であれば上述した本発明の効果が得られやすい。より好ましくは0.7~1.5質量部である。
本発明のトナーは、ハイドロタルサイト粒子の他に公知の無機微粒子を含有することができる。例えば、無機微粒子として、以下のものが挙げられる。
金属酸化物である、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化錫、酸化亜鉛、などからなる無機微粒子が挙げられる。また、無定形炭素(カーボンブラックなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(チタン酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)からなる無機微粒子が挙げられる。また、前記無機微粒子は、上記のような金属酸化物を単独で使用してもよいし、複数で使用してもよい。さらに、複数の金属酸化物を複合化したものであっても良い。
本発明における磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び前記磁性キャリアコア粒子上に形成された樹脂被覆層を有しており、
前記樹脂被覆層は、窒素元素、ケイ素元素、フッ素元素を含有しており、
X線光電分光法による元素分析において、
(i)前記磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
前記磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)、ケイ素原子の比率をS1(原子%)、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
(ii)前記磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
前記磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)、ケイ素原子の比率をS2(原子%)、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
前記N1、S1、F1、N2、S2およびF2が、
0.10≦N1≦1.50
0.30≦S1≦5.00
45.00≦F1≦65.00
S1<S2
S1/N1<S2/N2
F1>F2
の関係を満たす磁性キャリアが必須である。
上記範囲内の磁性キャリアを用いることで、上述した水分子のトナーとの受け渡しの効果が効果的に発現しトナーとの帯電性がより良好となり、環境安定性及び耐久安定性が良好となる。
本発明の磁性キャリアを好ましく製造する方法としては、磁性キャリアコア粒子を浮遊流動させながら被覆樹脂溶液をスプレーし、磁性キャリアコア粒子表面に樹脂被覆層を形成させる方法及びスプレードライ法が挙げられる。かかる流動床被覆装置を使用する場合には、特に流動層の形成状態及び被覆樹脂を溶解した樹脂溶液の噴霧形式が重要である。前述した流動層の形成状態としては、磁性キャリアコア粒子の凝集が起こらず、かつ、効率良く被覆層を形成するため流動層内に回転式底板ディスクと撹拌羽根を設け、旋回流を形成させながら被覆を行う方式を挙げることができる。
具体的にはかかる手法としては、
(1)流動層を円筒の管体内を上昇する気体流によって形成し、
(2)更に、被覆樹脂溶液を流動層の移動方向に対して垂直方向から供給し、
(3)かつ樹脂溶液の噴霧圧が1.5kg/cm以上でスプレー塗布される
ことを特徴とする磁性キャリア製造方法を挙げることができる。
本発明のトナーに使用される結着樹脂について説明する。
本発明にトナーは公知の結着樹脂を含有できる。例えば、結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。
スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂。好ましく用いられる樹脂として、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリエステル樹脂とスチレン系共重合樹脂が混合又は両者が一部反応したハイブリッド樹脂が挙げられる。さらに好ましくは、結着樹脂として、ポリエステル樹脂を含む態様である。
着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが用いられ、また、マグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
シアン色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66等、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166、169、177、184,185,202,206,207,209,220、221、238、254等、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35が挙げられる。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52、58、63、81,82,83,84,100,109,111、121、122等、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27等、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28等の塩基性染料等が挙げられる。これらのものを単独又は2以上のものを併用して用いる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
トナーに離型性を与えるために、離型剤(ワックス)を用いてもよい。本発明に用いられるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化型ワックス;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものなど。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系共重合モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物など。
本発明において特に好ましく用いられるワックスは、脂肪族炭化水素系ワックスである。例えば、以下のものが挙げられる。アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒で重合した低分子量の炭化水素。石炭又は天然ガスから合成されるフィッシャートロプシュワックス。高分子量のオレフィンポリマーを熱分解して得られるオレフィンポリマー。一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックス。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
ワックスを添加するタイミングは、トナー製造時に添加してもよいし、結着樹脂の製造時に添加してもよい。また、これらワックスは、一種類を単独で使用してもよいし二種類以上を併用して使用してもよい。ワックスは、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下添加することが好ましい。
本発明のトナーは、荷電制御剤として、既知の荷電制御剤を用いることができる。既知の荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。アゾ系鉄化合物、アゾ系クロム化合物、アゾ系マンガン化合物、アゾ系コバルト化合物、アゾ系ジルコニウム化合物、カルボン酸誘導体のクロム化合物、カルボン酸誘導体の亜鉛化合物、カルボン酸誘導体のアルミ化合物、カルボン酸誘導体のジルコニウム化合物。前記カルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。また、荷電制御樹脂も用いることもできる。必要に応じて一種類又は二種類以上の荷電制御剤を併用してもかまわない。荷電制御剤は結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下添加することが好ましい。
本発明におけるトナー粒子を製造する方法としては、平均円形度を0.930以上0.990以下に調整することができる製造方法であれば、特に限定されず、公知の方法によって製造することができる。例えば、粉砕法、乳化凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法などが挙げられる。
粉砕法により製造されるトナー粒子は、例えば下記のようにして製造される。変性ポリエステル、結晶性ポリエステル、着色剤及び必要に応じてその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分に混合する。混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する。その際、ワックス、磁性酸化鉄粒子及び含金属化合物を添加することもできる。溶融混練物を冷却固化した後、粉砕及び分級を行い、トナー粒子を得る。この際、微粉砕時の排気温度を調整することで、トナー粒子の平均円形度を制御することができる。さらに必要に応じて、トナー粒子と外添剤をヘンシェルミキサーのような混合機により混合し、トナーを得ることができる。
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
また、必要に応じて、粉砕後に、下記の装置を用いて、トナー粒子の表面処理を行い、トナー粒子の平均円形度を制御することもできる。
ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、イノマイザ(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、メカノミル(岡田精工社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)。
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボエ業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い。
本発明のトナーは、キャリアと混合して二成分現像剤として使用する。キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材とからなる。被覆材に用いられる樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン-アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は複数を併用して用いることができる。
以下に本発明にかかわる原材料およびトナーの物性の測定方法に関して記載する。
(トナーの粒度分布の測定)
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として下記「コンタミノンN」をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
コンタミノンN:非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散した前記(5)電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
(平均円形度の測定方法)
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス(株)製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下のとおりである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として前記「コンタミノンN」をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS-150」((株)ヴェルヴォクリーア製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス(株)製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3,000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス(株)による校正作業が行われた、シスメックス(株)が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けたときと同じ測定及び解析条件で測定を行った。
(結着樹脂及びトナーのガラス転移温度(Tg)の測定)
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、樹脂又はトナー約3mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いて、以下の条件で測定する。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
測定範囲30℃~180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30~100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前のベースラインを延長した直線と比熱変化が出た後のベースラインを延長した直線とから縦軸方向に等距離にある直線と示差熱曲線との交点の温度(いわゆる、中間点ガラス転移温度)を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
(結着樹脂及びトナーの軟化点(Tm)の測定)
なお、軟化点は、以下のようにして測定される。樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax-Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度Tmである。
測定試料は、約1.3gのサンプルを、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT-100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT-500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<磁性キャリアのX線光電子分光法による元素分析方法>
磁性キャリアの元素分析は、X線光電子分光分析(XPS)を用いて、以下のように測定する。測定サンプルとしては、XPS専用プラテン上に加工されたφ2mm・深さ2mmのサンプルセット孔に、磁性キャリアをセットする。そして、下記XPS装置により、X線照射箇所およびGCIB(ガスクラスターイオンビーム)照射によるスパッタリング箇所を、上記サンプルセット孔部に設定する。
使用装置:アルバック・ファイ社製 PHI5000VersaProbeII
照射線:Al-Kα線
ビーム径:100μ
出力:25W15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
Stepsize:0.125eV
XPSピーク:F1s、Si2p、N1s、C1s、O1s
測定範囲:300μm×200μm
以上の条件よりN1、S1、F1(原子%)の測定を行った。
更に、以下のスパッタ条件により、磁性キャリア表面から深さ40nmの位置までスパッタを行い、上記測定条件により測定した値をN2、S2、F2(原子%)とした。
GUNタイプ:GCIB(ガスクラスターイオンビーム)
SputterSetting:20kV
なお、深さ40nmの位置に関しては、事前にスパッタレート(時間に対する深さのレート)を測定し、40nmに相当するスパッタ時間を算出し、算出された時間スパッタすることで、深さ40nmの位置までスパッタしたものとした。
(ハイドロタルサイト粒子の体積抵抗の測定方法)
粉体抵抗測定システム(粉体抵抗測定ユニットMCP-PD51、高抵抗率計MCPHT450:三菱化学アナリテック社製)を使用して下記の条件で測定した。
サンプル:2.0g
加重:20kN
測定時間:10秒
印加電圧の範囲:10V~1000V
外添剤の体積抵抗は、印加電圧が100Vの時の値とした。
(ハイドロタルサイト粒子の粒径の測定方法)
トナー表面に存在するハイドロタルサイト粒子の存在個所は、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)(SEM-EDX)による観察、及び元素分析によって特定することができる。例えば、2万倍の倍率下で観察と元素マッピングとを連続した視野で行い、観察される粒子に対してMgとAlの両元素をマッピングしたとき、これをハイドロタルサイト類化合物の微粒子と判断した。ハイドロタルサイト粒子を判断した粒子に対して、下記のように粒径を算出した。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分に乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800観察条件設定
超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800(以下、単にS-4800とも記載する。)の筺体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S-4800の「PCSTEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20μA~40μAであることを確認する。試料ホルダをS-4800筺体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]及び[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)S-4800による観察
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を100000(100k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作をさらに2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、トナー表面の少なくとも300個のハイドロタルサイト粒子について粒径を測定して、一次粒子の個数平均粒径(D1)を求める。凝集粒子として存在するものは、粒径の測定対象にしない。また、粒子の最大径を粒径として扱い、最大径を算術平均することによって、一次粒子の個数平均粒径(D1)とする。
(樹脂被覆層の膜厚の測定)
樹脂被覆層の膜厚は、磁性キャリアの断面を透過電子顕微鏡(TEM)(各50,000倍)で観察し、樹脂被覆層の厚みを計測した。
具体的には、アルゴンイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名E-3500)を用い、磁性キャリアをイオンミリングし、透過電子顕微鏡(TEM)(各50,000倍)にて磁性キャリア断面の樹脂被覆層の厚みを任意に10点測定した。
磁性キャリア100点に対して上記と同様の測定を行い、得られた樹脂被覆層の厚みの測定値1000点の中から最小値及び最大値を選出し、最小膜厚(μm)及び最大膜厚(μm)とした。イオンミリング測定条件は下記の通りである。
ビーム径 :400μm(半値幅)
イオンガン加速電圧 :5kV
イオンガン放電電圧 :4kV
イオンガン放電電流 :463μA
イオンガン照射電流量 :90μA/cm/1min
以上、本発明の基本的な構成と特色について述べたが、以下、実施例に基づいて具体的に本願発明について説明する。しかしながら、本発明は何らこれに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り部及び%は、質量基準である。
<磁性キャリアコア粒子の製造例>
・Fe 62.7部
・MnCO 29.5部
・Mg(OH) 6.8部
・SrCO 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。
その後、ステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕及び混合した。得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。
このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
該仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、ジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。さらに、得られたスラリーを、湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
該フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して、分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム1.0部、及び、バインダーとしてのポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子の粒度を調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積基準の50%粒径(D50)が37.0μmの磁性キャリアコア粒子を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
第1被覆工程として、表1に示す熱硬化型シリコーン樹脂溶液(メチルシリコーン樹脂)を、被覆樹脂量が磁性キャリアコア粒子100部に対して0.20部になるように磁性キャリアコア粒子1に塗布した。流動床内に回転式底板ディスクと撹拌羽とを設けて旋回流を形成させながら被覆を行う被覆装置を使用して磁性キャリアコア粒子1に塗布した。なお、上述の樹脂溶液は、流動床の装置内での移動方向に対して垂直な方向から噴霧した。
次いで、第2被覆工程として、表1に示す下記の樹脂溶液を十分な撹拌を行って混合し、キャリア被覆溶液を作製した。
フッ素樹脂(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)溶液)(固形分として磁性キャリアコア粒子100部に対して1.91部)
熱硬化型メラミン樹脂溶液(メラミンが固形分として磁性キャリアコア粒子100部に対して0.09部)
このキャリア被覆溶液を、流動床内に回転式底板ディスクと撹拌羽とを設けて旋回流を形成させながら被覆を行う被覆装置を使用して磁性キャリアコア粒子に塗布した。その後、得られたキャリアを流動床中で、温度280℃で1時間乾燥して溶剤を除去後、磁性キャリア1を得た。
得られたキャリアに対して、X線光電子分光法による元素分析を行ったところ、N1が0.42、S1が0.71、F1が57.64、N2が0.41、S2が1.60、F2が56.70であった。また磁性キャリアの樹脂被覆層の平均層厚は700nmであった。分析結果を表1に示す。
<磁性キャリア2~17の製造例>
第1被覆工程として表1に示す樹脂または化合物を、磁性キャリアコア粒子100部に対して固形分が表1に示す部数となるよう混合し、それ以外は磁性キャリア1と同様に流動床による被覆装置を用いて被覆した。
次に第2被覆工程として表1に示す樹脂または化合物を、磁性キャリアコア粒子100部に対して固形分が表1に示す部数となるよう混合し、それ以外は磁性キャリア1と同様に塗布した。
その後、磁性キャリア1と同様に流動床中で加熱、乾燥させ、磁性キャリア2~17を得た。分析結果を表1に示す。
Figure 0007358234000001
表中、量は磁性キャリアコア粒子100部に対する部数である。また、樹脂は以下のものを用いた。
メチルシリコーン:KR-242A(信越化学社製)
メチルフェニルシリコーン:KR-300(信越化学社製)
FEP:テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共同合体(固形分)を20質量%含有した溶液
メラミン樹脂:メラミン/ホルムアルデヒド/メタノール/水=5/4/1/5質量部含むpH8.5に調整した溶液
PVDF:ポリフッ化ビニリデン(固形分)を20質量%含有した溶液
<ハイドロタルサイト粒子G-1の製造例>
203.3gの塩化マグネシウム6水和物と、96.6gの塩化アルミニウム6水和物とを1Lの脱イオン水に溶解し、この溶液を25℃に保ちながら、水酸化ナトリウム60gを1Lの脱イオン水に溶解した液でpH10.5に調整した。そして、98℃で24時間熟成した。冷却後、沈殿物を脱イオン水でろ液の電導度が100μS/cm以下になるまで洗浄し、5質量%の濃度のスラリーとした。このスラリーを攪拌しながら、スプレードライヤー(DL-41、ヤマト科学(株)製)にて乾燥温度180℃、噴霧圧0.16MPa、噴霧速度約150mL/minで噴霧乾燥させた。
得られた微粒子を、トルエン:キシレン=1:1の混合溶媒に分散させ、オクチル酸インジウムとp-トルイル酸スズとを表2に示す量添加し、180℃で60分間反応させて、ハイドロタルサイト粒子G-1を得た。
得られたハイドロタルサイト粒子G-1は、熱重量分析と蛍光X線分析とCHN元素分析の結果から、組成は以下のように決定された。表2にハイドロタルサイ微粒子の物性を示す。
Mg2+ 0.692Al3+ 0.308(OH)・CO 2- 0.154・0.538H
<ハイドロタルサイト粒子G-2の製造例>
塩化マグネシウム6水和物を、246.5gの硫酸マグネシウム7水和物に変更し、
塩化アルミニウム6水和物を、126.1gの硫酸アルミニウム16水和物に変更し、
さらに、水酸化ナトリウム60gに加えて、炭酸ナトリウム53gを溶解した液でpHの調整を行う以外は、製造例G-1と同様にしてハイドロタルサイト微粒子を得た。
得られた微粒子に対して分級処理をしたあと、製造例G-1と同様に表面処理を行い、ハイドロタルサイト類化合物の微粒子G-2を得た。
熱重量分析と蛍光X線分析とCHN元素分析の結果から、組成は以下のように決定された。表2にハイドロタルサイト微粒子の物性を示す。
Mg2+ 0.692Al3+ 0.308(OH)・CO 2- 0.150・0.555H
<ハイドロタルサイト粒子G-3の製造例>
水酸化ナトリウム60gに加えて、炭酸ナトリウム53gを溶解した液でpHの調整を行い、
スプレードライヤーの噴霧条件を噴霧圧0.12MPa、噴霧速度約110mL/minに変更する以外は、製造例G-2と同様にして、ハイドロタルサイト類化合物の微粒子G-3を得た。
熱重量分析と蛍光X線分析とCHN元素分析の結果から、組成は以下のように決定された。表2にハイドロタルサイト類化合物の微粒子の物性を示す。
Mg2+ 0.692Al3+ 0.308(OH)・CO 2- 0.155・0.544H
<ハイドロタルサイト粒子G-4の製造例>
表面処理剤の量を表2に示すように変更する以外は、製造例G-1と同様にして、ハイドロタルサイト粒子G-4を得た。
熱重量分析と蛍光X線分析とCHN元素分析の結果から、組成は以下のように決定された。表2にハイドロタルサイ微粒子の物性を示す。
Mg2+ 0.692Al3+ 0.308(OH)・CO 2- 0.154・0.538H
<ハイドロタルサイト粒子G-5の製造例>
表2に示すように表面処理を、マグネトロンスパッタリング法により、アルミニウムを微量コーティングする以外は、製造例G-1と同様にして、ハイドロタルサイト粒子G-5を得た。
熱重量分析と蛍光X線分析とCHN元素分析の結果から、組成は以下のように決定された。表2にハイドロタルサイ微粒子の物性を示す。
Mg2+ 0.692Al3+ 0.308(OH)・CO 2- 0.154・0.538H
<ハイドロタルサイト粒子G-6の製造例>
表面処理剤の量を表2に示すように変更する以外は、製造例G-1と同様にして、ハイドロタルサイト粒子G-6を得た。
熱重量分析と蛍光X線分析とCHN元素分析の結果から、組成は以下のように決定された。表2にハイドロタルサイ微粒子の物性を示す。
Mg2+ 0.692Al3+ 0.308(OH)・CO 2- 0.154・0.538H
Figure 0007358234000002
<結着樹脂1の製造例>
・ビスフェノールAエチレンオキサイド(2.2モル付加物): 50.0モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド(2.2モル付加物): 50.0モル部
・テレフタル酸: 90.0モル部
・無水トリメリット酸: 10.0モル部
上記ポリエステルユニットを構成するモノマー100部をチタンテトラブトキシド500ppm(モノマーに対する質量割合)と共に5リットルオートクレーブに混合した。
そこに、還流冷却器、水分分離装置、Nガス導入管、温度計及び攪拌装置を付し、オートクレーブ内にNガスを導入しながら230℃で縮重合反応を行った。所望の軟化点になるように反応時間を調整し、反応終了後、容器から取り出し、冷却、粉砕して結着樹脂1を得た。結着樹脂1のTmは130℃、Tgは57℃であった。
<トナー1の製造例>
・結着樹脂1 100部
・ベヘン酸ベヘニル(融点72℃) 5部
・C.I.ピグメントブルー 15:3 4部
上記材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、二軸混練押し出し機によって、160℃で溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミルで微粉砕した。
得られた微粉砕物を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.0μmの粒子を得た。その後、得られた粉体100部に対して、疎水化処理した下記のシリカ微粒子1.0部とハイドロタルサイト粒子G-1 1.0部とを外添混合し、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。
シリカ微粒子:アミノシランカップリング剤によって表面処理をした。BET法で測定した窒素吸着による比表面積が140m/gであった。
得られたトナーの物性は表3に示した。
<トナー2~11の製造例>
ハイドロタルサイト粒子の種類・量を表3に示すように変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2~11を得た。得られたトナーの物性は、表3に示した。
<実施例1>
(二成分現像剤1の製造例)
トナー1と磁性キャリア1とを、磁性キャリア90部に対して、トナー1が10部になるように、V型混合機(V-10型:(株)徳寿製作所)を用いて、0.5s-1、回転時間5minの条件で混合して二成分現像剤1を調製した。得られた現像剤1を用いて以下の評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 0007358234000003
画像形成装置として、imagePRESS C800(キヤノン(株)製)改造機を用い、シアン色の位置の現像器に二成分系現像剤1を入れた。改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、レーザーパワー、及び、帯電器の総放電電流量を自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力し、FFh画像のトナーの載り量が所望になるようにVDC、VD、及びレーザーパワーを調整して、後述の評価を行った。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
以下の評価方法に基づいて評価し、その結果を表4に示す。
[高温高湿下での画像流れ性]
紙:CS-680(68.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)
評価画像:上記A4用紙に1ドット2スペース横罫線の画像を配置
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm(FFh画像)
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/相対湿度80%(以下H/H環境))
プロセススピード:357mm/s
帯電器の総放電電流量を100μAに設定し、装置内のカセットヒーター(ドラムヒーター)をOFFにした。その後、評価機の安定化及び耐久評価として、画像比率0.1%の帯チャートを用いて、A4用紙に5,000枚出力を行った。その後、上記評価画像を1枚出力した。引き続き、H/H環境において評価機を2週間静置させた後、評価機を起動後すぐに、上記評価画像を1枚出力した。そして、静置前後の罫線の太さを比較した。そして、下記式を用いて、罫線幅細り率を算出した。得られた罫線幅細り率を下記の評価基準に従って評価した。なお、画像の罫線の太さは、1枚の画像における複数の罫線の太さの平均値とする。
罫線幅細り率={(静置前の画像の罫線の太さ-静置後の画像の罫線の太さ)/静置前の画像の罫線の太さ}×100
(評価基準)
A:罫線幅細り率5.0%未満 (非常に優れている)
B:罫線幅細り率5.0%以上、10.0%未満 (優れている)
C:罫線幅細り率10.0%以上、15.0%未満(従来技術レベル)
D:罫線幅細り率15.0%以上、20.0%未満(従来技術より劣る)
続いて、同様の条件でA4用紙に100,000枚出力を行った。その後、上記評価画像を1枚出力した。その後、H/H環境において評価機を2週間静置した後、評価機を起動後すぐに、上記評価画像を1枚出力した。そして、前記と同様に静置前後の罫線幅細り率を算出した。
(評価基準)
A:罫線幅細り率5.0%未満 (非常に優れている)
B:罫線幅細り率5.0%以上、10.0%未満 (優れている)
C:罫線幅細り率10.0%以上、15.0%未満(従来技術レベル)
D:罫線幅細り率15.0%以上、20.0%未満(従来技術より劣る)
[高温高湿下での帯電維持性]
紙:CS-680(68.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm(FFh画像)
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/相対湿度80%(以下H/H環境))
プロセススピード:357mm/s
評価機の安定化として、画像比率0.1%の帯チャートを用いて、A4用紙に10枚出力を行った。その後、静電潜像担持体上に上記評価画像を形成し、中間転写体に転写される前に、静電潜像担持体の回転を止め、静電潜像担持体上のトナーを、金属円筒管と円筒フィルターとにより吸引捕集した。その際、金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q及び捕集されたトナー質量Mを測定し、それより単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を計算し、初期の静電潜像担持体上Q/M(mC/kg)を測定した。
引き続き、H/H環境において評価機内に現像器を入れた状態で2週間静置させた後、評価機を起動後すぐに、静置前と同様の操作の方法で、静置後の静電潜像担持体上Q/M(mC/kg)を測定した。
そして、下記式を用いて、耐久後の静電潜像担持体上Q/Mの維持率を算出した。得られた耐久後の静電潜像担持体上Q/Mの維持率を下記の評価基準に従って評価した。
耐久後の静電潜像担持体上Q/Mの維持率={(耐久後の静電潜像担持体上Q/M)/(初期の静電潜像担持体上Q/M)}×100
(評価基準)
A:静電潜像担持体上Q/Mの維持率が90%以上(非常に優れている)
B:静電潜像担持体上Q/Mの維持率が85%以上、90%未満(優れている)
C:静電潜像担持体上Q/Mの維持率が80%以上、85%未満(従来技術レベル)
D:静電潜像担持体上Q/Mの維持率が75%以上、80%未満(従来技術レベルより劣る)
以上の各評価項目において、現像剤1は全てA判定であった。
<実施例2~10、比較例1~9>
(現像剤2~19の製造例)
表3のように変更した以外は、現像剤1の製造例と同様にして、現像剤2~19を得た。評価結果を表4に示す。
Figure 0007358234000004

Claims (9)

  1. トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤であって、
    前記トナーは、トナー粒子と、前記トナー粒子の表面に存在するハイドロタルサイト粒子とを有し、
    前記ハイドロタルサイト粒子の体積抵抗率は、1.0×10Ω・cm以下であり、
    前記ハイドロタルサイト粒子の含有量は、前記トナー粒子100質量部に対して0.5質量部以上3.0質量部以下であり、
    前記磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び前記磁性キャリアコア粒子の表面に存在する樹脂被覆層を有し、
    前記樹脂被覆層は、窒素元素、ケイ素元素、フッ素元素を含有しており、
    X線光電分光法による元素分析において、
    (i)前記磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、前記磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)、ケイ素原子の比率をS1(原子%)、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
    (ii)前記磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、前記磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)、ケイ素原子の比率をS2(原子%)、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
    該N1、S1、F1、N2、S2およびF2が、
    0.10≦N1≦1.50
    0.30≦S1≦5.00
    45.00≦F1≦65.00
    S1<S2
    S1/N1<S2/N2
    F1>F2
    を満たすことを特徴とする二成分現像剤。
  2. 前記磁性キャリアコア粒子上に形成された樹脂被覆層の平均層厚が、50nm以上3000nm以下である請求項1に記載の二成分現像剤。
  3. 前記S1およびS2が、
    S2/S1≧2
    を満たす請求項1又は2に記載の二成分現像剤。
  4. 前記N1およびN2が、
    0.7≦N1/N2≦1.3
    を満たす請求項1~3のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  5. 前記樹脂被覆層は、フッ素系樹脂を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  6. 前記樹脂被覆層は、シリコーン系樹脂を含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  7. 前記樹脂被覆層は、窒素系樹脂を含有する請求項1~6のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  8. 前記ハイドロタルサイト粒子は、ハイドロタルサイト基体と、前記ハイドロタルサイト基体の表面に存在する導電層とを備える請求項1~7のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  9. 前記導電層は、酸化インジウムスズ層を含有する請求項8に記載の二成分現像剤。

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