JP2021107853A - 二成分現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境トリボ安定性及び耐久画像安定性に優れた二成分現像剤。【解決手段】トナー及び磁性キャリアを含有する二成分現像剤あって、該トナーは、トナーコア及び該トナーコアの表面に形成されたシェル層を有するトナー粒子を有し、該トナーコアは結着樹脂を含有し、該シェル層は結着樹脂と特定の構造で結合した熱硬化性樹脂を含み、該磁性キャリアは表面に樹脂被覆層を有し、該磁性キャリアの表面分析において、該磁性キャリアの表面における窒素原子の比率N1、ケイ素原子の比率S1及びフッ素原子の比率F1、並びに該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率N2、ケイ素原子の比率S2及びフッ素原子の比率F2が下記式を満たす二成分現像剤。0.10≦N1≦1.500.30≦S1≦5.0045.00≦F1≦65.00S1<S2S1/N1<S2/N2F1>F2【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真法、及び静電記録法などに用いられる静電荷像を現像するための二成分現像剤に関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従い、様々な使用環境においても長期間にわたって安定した高品位な画像を出力することが要求されている。そのため、画像品位に影響するトナーの帯電性能は、温度や湿度に影響されにくく、帯電量の変化が小さいことが必要とされている。また、省エネルギー化についても近年強く要求されており、定着工程での消費電力を低下させるために、トナーをより低い温度で定着させる技術が検討されている。
トナーに含有される結着樹脂としては、軟化温度の低いポリエステルが使用されることが多い。ところが、軟化温度が低いために、画像連続印刷時などで現像器内の温度が昇温することによりトナー同士が固着気味となり、凝集塊を形成してしまう。そして、形成された凝集塊が現像スリーブ上に移動した場合、現像時にトナー凝集塊が崩れて画像上に小さな斑点(以下、現像シミともいう)が発生する問題がある。
そこで、軟化温度の低いポリエステルを用いた定着性能に優れるコアを、耐熱性能に優れるシェルで覆ったコア−シェル構造のトナー粒子を含むトナーが検討されている。シェル層に含有される樹脂のガラス転移点は、例えば、トナーコアに含有される結着樹脂のガラス転移点よりも高い。トナーの低温定着性を維持しつつ、トナーの耐熱保存性を向上させることで、耐久使用時の画像の安定性を向上させることが検討されている。
上記のコア−シェル構造を有するトナーとして、例えば、トナーコアの表面に熱硬化性樹脂を含むシェル層を有し、熱硬化性樹脂がオキサゾリン基、カルボジイミド基、イソシアネート基からなる群から選択される1種以上の官能基を含む親水性の樹脂であるトナーが開示されている(特許文献1)。
一方で、トナー由来成分のキャリアへの移行により、帯電能が低下することは広く知られており、キャリアの表面自由エネルギーを低下させるため、キャリア被覆層にフッ素樹脂コートを使用することは広く知られている。ただし、フッ素樹脂コートは脆い性質があり、長期間の使用によりフッ素樹脂コート層の剥がれなどが発生し、長期安定性に問題を引き起こす場合がある。
それを改善する例として、特許文献2では、被覆樹脂中にフッ素、ケイ素、窒素元素を含有させた被覆層が形成されたキャリアが開示されている。
国際公開第2016/121438号 特開2003−280286号公報
上記特許文献に記載の技術により、高画質なプリント成果物を安定的に形成できる。しかしながら、例えば出力環境が変わったとき(高湿環境など)にも、高画質のプリント成果物を安定期に形成すること(環境トリボ安定性)に関しては、いまだ改善の余地が残されていることがわかった。
本開示は、環境トリボ安定性及び現像シミの抑制(耐久画像安定性)を両立する二成分現像剤を提供する。
トナー及び磁性キャリアを含有する二成分現像剤あって、
該トナーは、トナーコア及び該トナーコアの表面に形成されたシェル層を有するトナー粒子を有し、
該トナーコアは、結着樹脂を含有し、
該シェル層は熱硬化性樹脂を含み、
該熱硬化性樹脂は、
(i)該トナーコアに含有される該結着樹脂と結合を有し、
(ii)下記式(1)、(2)及び(3)からなる群から選択される少なくとも一の構造を有し、
該磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び該磁性キャリアコア粒子の表面に形成された樹脂被覆層を有し、
該樹脂被覆層は、窒素元素、ケイ素元素及びフッ素元素を含有しており、
X線光電子分光法による該磁性キャリアの表面分析において、
(i)該磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
該磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)とし、ケイ素原子の比率をS1(原子%)とし、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
(ii)該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)とし、ケイ素原子の比率をS2(原子%)とし、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
該N1、S1、F1、N2、S2及びF2が、下記式を満たす二成分現像剤。
0.10≦N1≦1.50
0.30≦S1≦5.00
45.00≦F1≦65.00
S1<S2
S1/N1<S2/N2
F1>F2
下記式(1)、(2)及び(3)中、R,R,R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。*は結着樹脂と接続する。
Figure 2021107853
本開示によれば、環境トリボ安定性及び現像シミの抑制を両立した二成分現像剤を提供することができる。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX〜YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。
結晶性樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)測定において明確な吸熱ピークを示す樹脂を指す。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、上記二成分現像剤を用いることにより、従来にない優れた環境トリボ安定性及び耐久画像安定性が得られる事を見出した。
その理由について、以下のように考えている。
コア−シェルトナーにおいて、シェル層が、オキサゾリン基、カルボジイミド基、イソシアネート基などの官能基を有する熱硬化性樹脂を含むシェル層は、高湿環境で水分子と相互作用しやすい。そのため、高い水分子吸収性を引き起こすことにより、トナーの帯電量が低下しやすい。しかし、このようなトナーと組み合わせるキャリアによっては、高湿環境においても、トナー及びキャリアの帯電性能を維持することが可能となる。
具体的なキャリアの構成及び性能について以下に記載する。
キャリアの表面は、樹脂被覆層を有する。帯電付与性を向上させるために、樹脂被覆層は、強いネガ性を付与できるフッ素原子を含有する。また、キャリア表面の摩耗防止のため、樹脂被覆層は、耐久性に優れるケイ素原子を含有する。また、トナー表面に吸着した水分子を、トナーとキャリアとの接触時にキャリア表面に効果的に引き付けられるように、樹脂被覆層は、一定量の窒素原子を含有する。
X線光電子分光法による磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、磁性キャリアの表面におけるフッ素原子の比率F1(原子%)が、45.00≦F1≦65.00である。
F1が当該範囲にあることにより、適切なキャリア帯電能を維持できる。F1が45.00未満ではキャリアの帯電性能が不足し、65.00を超えるとトナーを過剰に帯電させてしまうため、上記範囲が適切である。
好ましくは、47.00≦F1≦60.00である。
また、磁性キャリアの表面におけるケイ素原子の比率S1(原子%)が0.30≦S1≦5.00である。S1が当該範囲にあることにより、磁性キャリア表面の摩耗を効果的に防止できる。0.30未満では摩耗防止効果が不足し、5.00を超えると磁性キャリアの帯電性能が損なわれる。
好ましくは、0.40≦S1≦1.70である。
また、磁性キャリアの表面における窒素原子の比率N1(原子%)が0.10≦N1≦1.50である。N1が当該範囲にあることにより、磁性キャリアとトアーの接触時に、磁性キャリアがトナーから水分子を効果的に引き付けることができる。0.10未満では水分子を引き付ける効果が不足し、1.50を超えるとキャリアの帯電性能を損なう。
好ましくは、0.25≦N1≦1.20である。
さらに、磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)とし、ケイ素原子の比率をS2(原子%)とし、フッ素原子の比率をF2(原子%)とする。
このとき、
S1<S2、
S1/N1<S2/N2、
F1>F2
であることが必要である。
S1<S2の関係になることで、トナー表面から逃がした水分子を樹脂被覆層内部に留めやすくなり、より効果的に磁性キャリア表面の帯電付与性能を維持することが可能となる。
また、S1/N1<S2/N2の関係になることで、トナー表面に吸着した水分子を樹脂被覆層内部にまで逃がすことが可能となり、効果的にトナー表面から逃がした水分子を樹脂被覆層内部に留めやすくなる。
そのため、F1>F2となることが、高湿環境でのトナー及び磁性キャリアの帯電性能を維持するためには必要である。
その結果、耐熱保存性に優れたコア−シェルトナーにおいても、高湿環境での帯電トリボ安定性に優れた二成分現像剤を提供できる。
磁性キャリアコア粒子としては、通常のフェライト、マグネタイト等の磁性キャリアコア粒子を使用することができる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型の磁性キャリアコア粒子も用いることができる。
磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び磁性キャリアコア粒子の表面を被覆(コート)する樹脂被覆層を有する。樹脂被覆層に用いられる樹脂としては、好ましくはフッ素元素を含有する樹脂、ケイ素元素を含有する樹脂、窒素元素を含有する化合物である。樹脂被覆層は、必ずしも磁性キャリアコア粒子の全面を被覆する必要はなく、磁性キャリアコア粒子が一部露出している部分があってもよい。
樹脂被覆層は、フッ素元素を含有する樹脂(フッ素系樹脂)を含有することが好ましい

樹脂被覆層に用いることができるフッ素元素を含有する樹脂(フッ素系樹脂)としては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロエチレン(より具体的には、ポリクロロトリフルオロエチレン等)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビニリデンジフルオライド(PVDF)からなる群より選択される少なくとも一が好ましい。
FEP、PVDF及びPFAからなる群より選択される少なくとも一がより好ましく、FEP及びPVDFからなる群より選択される少なくとも一がさらに好ましい。
フッ素元素を含有する樹脂は、フッ素元素の比率が45.00≦F1≦65.00となるように調整して添加する。添加量は特に限定されないが、磁性キャリアコア粒子100質量部に対して0.40質量部以上5.20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.55質量部以上4.90質量部以下である。
樹脂被覆層のケイ素元素を含有する樹脂としては、シリコーン樹脂などが挙げられる。すなわち、樹脂被覆層は、シリコーン樹脂を含有することが好ましい。シリコーン樹脂は、メチルシリコーン樹脂及びメチルフェニルシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも一が好ましい。より好ましいのはメチルシリコーン樹脂である。
シリコーン樹脂は、主鎖としてシロキサン結合「Si−O−Si」を有し、側鎖として有機基を有する。メチルシリコーン樹脂は、側鎖の有機基としてメチル基のみを有する。メチルフェニルシリコーン樹脂は、側鎖の有機基としてメチル基及びフェニル基を有する。シリコーン樹脂が優れた耐久性を有するためには、シリコーン樹脂の主鎖(シロキサン結合:Si−O−Si)同士が3次元的につながっていることが好ましい。
ケイ素元素を含有する樹脂はケイ素原子の比率が0.30≦S1≦5.00となるように添加する。添加量は特に限定されないが、磁性キャリアコア粒子100質量部に対して0.15質量部以上1.60質量部以下であることが好ましい。
樹脂被覆層の窒素元素を含有する化合物としては、含窒素樹脂及び含窒素化合物からなる群より選択される少なくとも一が挙げられる。樹脂被覆層は、含窒素化合物を含有することが好ましい。また、樹脂被覆層は、含窒素樹脂を含有することが好ましい。
含窒素樹脂としては、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、スルホンアミド系樹脂、グリオキザール系樹脂、グアナミン系樹脂、又はアニリン系樹脂が挙げられる。また、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、含フッ素系ポリアミドイミド樹脂なども好ましく使用できる。より好ましくはメラミン樹脂である。
含窒素化合物としては、アミノシランカップリング剤などが好ましく使用できる。
アミノシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、(フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルメチルジエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
窒素元素を含有する化合物は、窒素原子の比率が0.10≦N1≦1.50となるように添加する。添加量は特に限定されないが、磁性キャリアコア粒子100質量部に対して0.03質量部以上0.14質量部以下であることが好ましい。
磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置に向けてケイ素元素の比率が多くなり、フッ素元素の比率は少なくなるような構成の達成手段としては、例えば以下の方法が挙げられる。
まず、第一被覆層としてシリコーン樹脂などのケイ素元素を含有する樹脂を熱硬化させない状態で被覆する。その際にアミノシランカップリング剤などの窒素元素を含有する化合物を、ケイ素元素を含有する樹脂に添加してもよい。
次に、第二被覆層としてフッ素元素を含有する樹脂を被覆後、加熱して樹脂を硬化させる。その際に含窒素樹脂や含窒素化合物などの窒素元素を含有する化合物を、フッ素元素を含有する樹脂に添加してもよい。
磁性キャリア表面の元素比率や、表面から深さ40nmの位置における元素比率は、使用する樹脂の種類や添加量により調整可能である。
樹脂被覆層には、上記のフッ素元素を含有する樹脂、ケイ素元素を含有する樹脂、及び窒素元素を含有する化合物以外に、以下に示すものを併用してもよい。
スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂などが挙げられる。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂などが挙げられる。
磁性キャリアコア粒子の表面に形成された樹脂被覆層の平均層厚は、50nm以上3000nm以下であることが好ましく、200nm以上2600nm以下であることがより好ましく、550nm以上2600nm以下であることがさらに好ましい。
樹脂被覆層の平均層厚が上記範囲であることにより、通常環境での帯電付与性能及び、高湿環境でのキャリアの帯電性能を維持することが可能となる。
樹脂被覆層の平均層厚は、磁性キャリアコア粒子に対する樹脂成分の添加量を変更することで調整可能である。例えば被覆樹脂成分量を増やすことで樹脂被覆層の平均層厚は厚くなる。
<樹脂被覆層の平均層厚の測定>
樹脂被覆層の平均層厚は、磁性キャリアの断面を透過電子顕微鏡(TEM)(各50,000倍)で観察し、計測する。
具体的には、アルゴンイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名E−3500)を用い、磁性キャリアをイオンミリングし、透過電子顕微鏡(TEM)(各50,000倍)にて磁性キャリア断面の樹脂被覆層の厚みを1粒子につき任意に5点測定する。
磁性キャリア10粒子に対して上記と同様の測定を行い、得られた樹脂被覆層の厚みの測定値50点の算術平均値を平均層厚とする。イオンミリング測定条件は下記の通りである。
ビーム径 :400μm(半値幅)
イオンガン加速電圧 :5kV
イオンガン放電電圧 :4kV
イオンガン放電電流 :463μA
イオンガン照射電流量 :90μA/cm/1min
また、S1及びS2が、S2/S1≧2.00を満たすことが好ましい。上記範囲にあることにより、トナーから引き付けた水分子をより効果的にキャリア内部に留めることが可能となる。
S2/S1は、より好ましくは2.10〜9.00であり、さらに好ましくは2.20
〜8.60である。
S2は、好ましくは0.50〜12.00であり、より好ましくは1.00〜5.00である。
N1及びN2が、0.70≦N1/N2≦1.30を満たすことが好ましい。上記範囲にあることにより、キャリアの帯電性能を損なうことなく、トナーと磁性キャリアの接触時に、磁性キャリアがより効果的にトナーから水分子を引き付けることが可能となる。
N1/N2は、より好ましくは0.80〜1.25である。
N2は、好ましくは0.10〜1.50であり、より好ましくは0.25〜1.20である。
S2/N2とS1/N1の差(S2/N2−S1/N1)は、好ましくは0.05〜15.00であり、より好ましくは2.00〜11.00である。
また、F1とF2の差(F1−F2)は、好ましくは0.50〜3.00であり、より好ましくは0.70〜2.50である。
F2は、好ましくは43.00〜63.00であり、より好ましくは45.00〜60.00である。
以下に、二成分現像剤の好ましい態様について記載する。
[トナーコア]
[結着樹脂]
トナーは、トナーコア及びトナーコアの表面に形成されたシェル層を有するトナー粒子を有する。
トナーコアは結着樹脂を含有する。結着樹脂としては、特に制限されず公知のものを用いることができる。結着樹脂は、シェルとの結合性の観点からポリエステル樹脂を含有することが好ましい。結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましく、非晶性ポリエステル樹脂であることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、下記式(1)で表されるビスフェノール誘導体が挙げられる。
水素化ビスフェノールA、下記式(1)で表されるビスフェノール誘導体などの、ビスフェノール類が好ましい。
Figure 2021107853
[式中、Rはエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつx+yの平均値は1〜10である。]
さらに、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルのような多価アルコールが挙げられる。
一方、酸成分としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。さらには、炭素数6〜18のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。
また、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。これらの多価カルボンにより、シェル層との結合を形成しやすくなる。好ましくは、トリメリット酸及びその無水物である。
ポリエステル樹脂は、好ましくはアルコール成分に由来するモノマーユニット及び酸成分に由来するモノマーユニットを有する。アルコール成分に由来する全モノマーユニット中、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物に由来するモノマーユニットの含有割合が30mol%以上であることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂は、アルコール成分と炭素数4以上18以下(より好ましくは6以上12以下)の脂肪族ジカルボン酸を含有したカルボン酸成分との縮重合体であることが好ましい。また、ビスフェノールAに対するエチレンオキサイドの平均付加モル数が1.6モル以上3.0モル以下であることが好ましく、1.6モル以上2.6モル以下であることがより好ましい。
炭素数4以上18以下の脂肪族ジカルボン酸のカルボン酸成分に対するモル比率としては6mol%以上40mol%以下であることがより好ましい。
炭素数4以上18以下の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、テトラデカン二酸やオクタデカン二酸などのアルキルジカルボン酸やその無水物、低級アルキルエステルなどが挙げられる。また、それらの主鎖の一部がメチル基やエチル基、オクチル基などのアルキル基、又はアルキレン基で分岐した構造を持つ化合物が挙げられる。また、テトラヒドロフタル酸などの脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
ポリエステル樹脂は、通常用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;及びこれらの金属含有化合物など、いずれの触媒を用いても製造することができる。
低温定着性及び結着樹脂とシェル層との結合を形成する観点から、結着樹脂の酸価は、1mgKOH/g以上30mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下がより好ましい。
また、結着樹脂とシェル層との結合を形成する観点から、結着樹脂の水酸基価は、0.5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下が好ましく、1mgKOH/g以上15mgKOH/g以下がより好ましい。
また、非晶性ポリエステル樹脂は、低軟化点の非晶性ポリエステルAと高軟化点の非晶性ポリエステルBを含有することが、低温定着性と分離性を両立させる点で好ましい。
低軟化点の非晶性ポリエステルAと高軟化点の非晶性ポリエステルBの含有比率(A/B)は質量基準で60/40〜90/10であることが、低温定着性と分離性の観点から好ましい。
低軟化点の非晶性ポリエステルAの軟化点は70℃以上100℃以下であることが、トナーの保存性と低温定着性の両立の観点から好ましい。
高軟化点の非晶性ポリエステルBの軟化点は110℃以上180℃以下であることが、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
結着樹脂中の非晶性ポリエステル樹脂の含有量は、好ましくは50質量%〜100質量%であり、より好ましくは80質量%〜100質量%である。
[他の結着樹脂]
結着樹脂としては、顔料分散性を向上させたり、トナーの帯電安定性、耐ブロッキング性を改善したりする目的で、下記の重合体を用いることも可能である。
ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
[ワックス]
トナーに離型性を与えるために、トナーコアに離型剤(ワックス)を用いてもよい。ワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、オレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化型ワックス;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、以下のものが挙げられる。
パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールとを反応させてなる部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
好ましくは、脂肪族炭化水素系ワックスである。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒で重合した低分子量の炭化水素;石炭又は天然ガスから合成されるフィッシャートロプシュワックス;高分子量のオレフィンポリマーを熱分解して得られるオレフィンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成
ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から得られる合成炭化水素ワックス、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。
さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。
ワックスを添加するタイミングは、トナー製造時に添加してもよいし、結着樹脂の製造時に添加してもよい。また、これらワックスは、一種類を単独で使用してもよいし二種類以上を併用して使用してもよい。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましい。
[ワックス分散剤]
ワックスの結着樹脂への分散性を向上させるために、ワックス成分に近い極性部位と樹脂極性に近い部位を併せ持つ樹脂をワックス分散剤として添加してもよい。具体的には、炭化水素化合物でグラフト変性されたスチレンアクリル系樹脂が好ましい。
ワックス分散剤はその樹脂部分に、環式炭化水素基又は芳香環を導入すると、トナーの帯電維持性が向上する。
[着色剤]
トナーコアは着色剤を含有してもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料。
シアン着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、1
20、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましい。
[荷電制御剤]
トナーコアには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。
既知の荷電制御剤としては、アゾ系鉄化合物、アゾ系クロム化合物、アゾ系マンガン化合物、アゾ系コバルト化合物、アゾ系ジルコニウム化合物、カルボン酸誘導体のクロム化合物、カルボン酸誘導体の亜鉛化合物、カルボン酸誘導体のアルミ化合物、カルボン酸誘導体のジルコニウム化合物が挙げられる。前記カルボン酸誘導体は、芳香族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。また、荷電制御樹脂も用いることもできる。必要に応じて一種類又は二種類以上の荷電制御剤を併用してもかまわない。
荷電制御剤は結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下添加することが好ましい。
[結晶性ポリエステル]
トナーコアは、必要に応じて結晶性ポリエステルを含有していてもよい。
結晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下が好ましい。
結晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−イコサンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
脂肪族ジオールの含有量は、結晶性ポリエステルの結晶性をより高める観点から、アルコール成分中に80モル%以上100モル%以下が好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためのアルコール成分としては、上記の脂肪族ジオール以外の多価アルコール成分を含有していてもよい。
例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物を含むビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。
一方、上記結晶性ポリエステルの原料モノマーに用いられるカルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられ、さらにこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中に80モル%以上100モル%以下が好ましい。
結晶性ポリエステルを得るためのカルボン酸成分としては、上記脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分を含有していてもよい。例えば、芳香族ジカルボン酸化合物、
3価以上の芳香族多価カルボン酸化合物等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。芳香族ジカルボン酸化合物には、芳香族ジカルボン酸誘導体も含まれる。
芳香族ジカルボン酸化合物の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの酸の無水物、並びにそれらのアルキル(炭素数1以上3以下)エステルが好ましく挙げられる。該アルキルエステル中のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1以上3以下)エステル等の誘導体が挙げられる。
結晶性ポリエステルの原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とのモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、0.80以上1.20以下であることが好ましい。
[シェル層]
トナーにおいて、シェル層はトナーコアの表面に形成されている。シェル層はトナーコアを被覆する。シェル層は、トナーコアを完全に覆っていてもよいし、一部のトナーコアがシェル層から露出していてもよい。
シェル層は、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂は、トナーコアにおける結着樹脂と結合を有する。また、シェル層における熱硬化性樹脂は、下記式(1)、(2)及び(3)からなる群から選択される少なくとも一の構造を有する。すなわち、シェル層にはこのような構造を形成しうる官能基を持つ熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。熱硬化性樹脂をシェルに含有させることにより、シェルの強度及び硬度を向上させることができる。
Figure 2021107853
式中、R,R,R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)を示す(R,R,及びRは、さらに好ましくは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を示す)。*は結着樹脂と接続する。
上記式の構造を形成する官能基を含有する樹脂(熱硬化性樹脂前駆体)としては、ポリオキサゾリン樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリイソシアネート樹脂、及びこれら各樹脂の誘導体からなる群より選択される少なくとも一の樹脂が好ましい。
より好ましくは、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−(ペンタ−4−イニル)−2−オキサゾリン、アクリル酸2−イソシアナトエチル、メタクリル酸2−イソシアナトエチル、1−アリルウレア、及びこれら各モノマーの誘導体からなる群より選択される少なくとも一の化合物を含む単量体の重合体である。
熱硬化性樹脂前駆体には、市販の材料を用いることもできる。例えば、株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS−700」、日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライト(登録商標)V−02」、第一工業製製薬株式会社製「エラストロン(登録商標)H−38」などを用いることができる。
オキサゾリン基、カルボジイミド基、及びイソシアネート基はそれぞれ、トナーコアに含有される結着樹脂に含有されるカルボキシ基又は水酸基と共有結合をし、架橋構造を形成する。
オキサゾリン基は、カルボキシ基と反応してアミドエステル結合を形成する。また、カルボジイミド基は、カルボキシ基と反応してN−アシルウレア結合を形成する。また、イソシアネート基は、水酸基と反応してウレタン結合を形成する。その結果、強固なコア−シェル構造を形成することができるため、熱によるトナーの変形を抑制することが可能となり、高い耐熱保存性を実現することができる。
シェル層は、さらに熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性の樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーで架橋されていてもよい。熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂のモノマーが形成する三次元の架橋構造によりシェル層に適度な柔軟性を付与できる。そのため高温高湿下でのトナーの保管や輸送時にシェルが破壊されることを防止することができる。また、トナーの定着時などにかかる圧力では、シェル層を容易に破壊することが可能である。
シェル層は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含み、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の少なくとも一部が架橋されていてもよい。
熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂の官能基(オキサゾリン基、カルボジイミド基又はイソシアネート基)と反応しやすい官能基(水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、又はグリシジル基など)を有することが好ましい。アミノ基は、カルバモイル基(−CONH)として熱可塑性樹脂中に含まれてもよい。
熱可塑性樹脂の具体例としては、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系共重合体、シリコーン−アクリル酸系グラフト共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、又はエチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系共重合体、又はシリコーン−アクリル酸系グラフト共重合体が好ましく、スチレン−アクリル酸系共重合体又はアクリル酸系樹脂がより好ましい。
シェル層に可塑性樹脂を含ませるために用いることができるアクリル酸系モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、又は(メタ)アクリル酸n−ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルのような(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸のエチレンオキシド付加物;(メタ)アクリル酸エステルのエチレンオキシド付加物のアルキルエーテル(例えば、メチルエーテル、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、又はn−ブチルエーテル)が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、より好ましくはスチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重
合体である。
シェル層は、必要に応じて機械的に強度が弱い破壊箇所を有していてもよい。破損箇所の形成方法は、例えばシェル層がトナーコアを覆っていない個所を設けることや、トナーコアに外添剤などの無機微粒子を外添することにより、シェルに歪みを持たせることなどの方法がある。シェル層に破壊箇所を設けることで、シェル層が容易に破壊されるようになる。その結果、低い温度でトナーを定着させることが可能になる。破壊箇所の数は任意である。
耐熱保存性及び低温定着性の観点から、熱硬化性樹脂の量は、トナーコア100質量部に対して、0.1質量部〜5.0質量部が好ましく、0.1質量部〜1.0質量部がより好ましい。
熱可塑性樹脂の量は、トナーコア100質量部に対して、0.01質量部〜3質量部であることが好ましく、0.05質量部〜0.5質量部がより好ましい。
シェル層の含有量は、トナーコア100質量部に対し、好ましくは0.1質量部〜8.0質量部であり、より好ましくは0.1質量部〜1.5質量部である。
シェル層中の熱硬化性樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%〜90質量%であり、より好ましくは60質量%〜80質量%である。
シェル層中の熱可塑性樹脂の含有割合は、好ましくは10質量%〜50質量%であり、より好ましくは20質量%〜40質量%である。
[外添剤]
必要に応じて流動性向上や摩擦帯電量調整のために、トナー粒子に外添剤が添加されていてもよい。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウムの如き無機微粒子が好ましい。該無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物などの疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。
外添剤は、比表面積が10m/g以上50m/g以下であることが、外添剤の埋め込み抑制の観点で好ましい。
また、外添剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下使用されることが好ましい。
トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーなどの公知の混合機を用いることができるが、混合できればよく、特に装置は限定されるものではない。
[磁性キャリアのX線光電子分光法による元素分析方法]
磁性キャリアの元素分析は、X線光電子分光分析(XPS)を用いて、以下のように測定する。測定サンプルとしては、XPS専用プラテン上に加工された直径2mm・深さ2mmのサンプルセット孔に、磁性キャリアをセットする。そして、下記XPS装置により、X線照射箇所及びGCIB照射によるスパッタリング箇所を、上記サンプルセット孔部に設定する。
使用装置:アルバック・ファイ社製 PHI5000VersaProbeII
照射線:Al−Kα線
ビーム径:100μm
出力:25W15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
Stepsize:0.125eV
XPSピーク:F1s、Si2p、N1s、C1s、O1s
測定範囲:300μm×200μm
以上の条件よりN1、S1、F1(原子%)の測定を行う。
さらに、以下のスパッタ条件により、磁性キャリア表面から深さ40nmの位置までスパッタを行い、上記測定条件により測定した値をN2、S2、F2(原子%)とした。
GUNタイプ:GCIB
SputterSetting:20kV
なお、深さ40nmの位置に関しては、事前にスパッタレート(時間に対する深さのレート)を測定し、40nmに相当するスパッタ時間を算出し、該当する時間スパッタすることで、深さ40nmの位置を露出させる。
磁性キャリアの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を採用しうる。例えば、磁性キャリアコア粒子を浮遊流動させながら被覆樹脂溶液をスプレーし、磁性キャリアコア粒子表面に樹脂被覆層を形成させる方法及びスプレードライ法が挙げられる。
流動床被覆装置を使用する場合には、特に流動層の形成状態及び被覆樹脂を溶解した樹脂溶液の噴霧形式が重要である。流動層の形成状態としては、磁性キャリアコア粒子の凝集が起こらず、且つ、効率良く被覆層を形成するため流動層内に回転式底板ディスクと撹拌羽根を設け、旋回流を形成させながら被覆を行う方式を挙げることができる。
具体的には、(1)流動層を円筒の管体内を上昇する気体流によって形成し、(2)さらに、被覆樹脂溶液を流動層の移動方向に対して垂直方向から供給し、(3)かつ被覆樹脂溶液の噴霧圧が1.5kg/cm以上でスプレー塗布される磁性キャリアの製造方法が好ましい。
[トナーの製造方法]
トナーの製造方法は、特に限定されることなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、粉砕法、乳化凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法などが挙げられる。また、トナーの製造方法は、好ましくはトナーコアを製造する工程、及びトナーコアを被覆するシェル層を形成する工程を含む。
[トナーコアの製造方法]
トナーコアの製造工程については、粉砕法を用いたトナーの製造方法を例に挙げて説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂及び必要に応じてワックス、着色剤、荷電制御剤等の他の成分を、所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に材料を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。
例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる混練物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、混練物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕した後、さらに、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級
方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級し、トナーコアを得る。
[シェル層の形成工程]
シェル層形成工程について以下に説明する。シェル層の形成工程では、公知の方法により生成されたトナーコアの表面にシェル層を形成する。これにより、シェル層がトナーコアを被覆したトナー粒子を製造することができる。
好ましくは熱硬化性樹脂前駆体(モノマー又はプレポリマー)及び熱可塑性樹脂を用いることで、シェル層は形成される。
熱硬化性樹脂前駆体の構成としては、トナーコアを被覆した際に前記式(1)、(2)及び(3)からなる群から選択される少なくとも一の構造を形成するような官能基を持つ材料が好ましい。
例としては、オキサゾリン基、カルボジイミド基、及びイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも一の官能基を含む化合物である。前述した熱硬化性樹脂前駆体を用いることができる。
シェル層の形成は、水のような媒体中で行われることが好ましい。熱硬化性樹脂前駆体は、水のような媒体に対する溶解性が良好である。また、トナーコアに含まれるワックスなどの離型剤成分が溶出するのを抑制できる。
シェル層の形成方法として、具体的には、水性媒体にトナーコア、及び熱硬化性樹脂前駆体、並びに必要に応じて熱可塑性樹脂を添加する。なお、熱可塑性樹脂の代わりに、熱可塑性樹脂前駆体(プレポリマー)を用いてもよい。また、熱硬化性樹脂前駆体の代わりに熱硬化性樹脂を用いてもよい。25℃のような常温雰囲気下では、熱可塑性樹脂は水性媒体に溶けないが、熱硬化性樹脂は水性媒体に溶けやすい。
シェル層形成工程において、水系媒体中で、トナーコア及びシェル層を形成するための材料を混合し分散させることでシェル層を形成させることができる。分散液中にトナーコアを効果的に分散させる方法としては、分散液を強力に攪拌できる装置を用いて、機械的に分散させる方法と、分散剤を含有する水性媒体中で分散させる方法とが挙げられる。上記の方法を用いた場合は、水性媒体中にトナーコアが均一に分散されるため、均一な膜厚のシェル層を形成しやすいため、有効な手段である。
分散液を強力に攪拌できる装置として、例えば、ハイビスミックス(プライミクス株式会社)が挙げられる。
トナーコアを水性媒体中に分散させる際、分散剤を用いてもよい。分散剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリパラビニルフェノール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、イソプレンスルホン酸、ポリエーテル、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアスパラギン酸ナトリウム、デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、及びリグニンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散剤の使用量は、トナーコアの100質量部に対して75質量部以下であることが好ましい。分散剤の使用量が上記範囲である場合は、排水中の全有機炭素量を低減させることができる。また、トナーコアの表面への分散剤の付着を抑制できるため、トナーコアからシェル層がはがれにくくなる。
シェル層形成工程において、トナーコアを含む水性分散液のpHは4程度に調整されることが好ましい。例えば、pH3〜5が好ましい。分散液のpHを4程度の酸性側に調整することにより、シェル層の形成に用いられる材料の重縮合反応を促進させることができ
る。トナーコアを含む水性分散液のpHの調整は、トナーコアを含む分散液にシェル層を形成するための材料を添加する前に行われることが望ましい。
トナーコアを含む水性分散液のpHを調整した後に、トナーコアを含む水性分散液に、シェル層を形成させるための材料を溶解させる。そして、水性分散液中でシェル層を形成させるための材料間の反応を進行させることで、トナーコアを被覆するシェル層を形成させる。
シェル層形成工程の際には、トナーコアの表面にシェル層を形成する時の反応温度が55℃以上100℃以下であることが好ましい。温度がこの範囲内にある場合に、シェル層の形成を良好に進行させることができる。
結着樹脂がポリエステル樹脂など水酸基又はカルボキシ基を有する樹脂を含む場合は、この範囲の温度でシェル層を形成することにより、トナーコアの表面に露出する水酸基又はカルボキシ基と、熱硬化性樹脂に含まれるオキサゾリン基、カルボジイミド基、又はイソシアネート基とを効果的に反応させることができる。
その結果、トナーコアを構成する結着樹脂とシェル層に含まれる熱硬化性樹脂との間に共有結合が形成され、トナーコアとシェル層とを強固に付着させることができる。
シェル層を形成した後、シェル層で被覆されたトナーコアを含む水性分散液を常温まで冷却することで、トナー粒子の分散液を得る。その後、必要に応じて、洗浄工程、乾燥工程を経ることで、トナー粒子の分散液からトナー粒子を得る。
洗浄工程においては、水を用いてトナー粒子を洗浄する。洗浄方法として、例えば、固液分離により、トナー粒子を含む水性分散液から、トナー粒子を含むウェットケーキとしてトナー粒子を回収し、得られるウェットケーキを水で洗浄する方法が挙げられる。又は、トナー粒子を含む分散液中のトナー粒子を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー粒子を水に再分散させる方法が挙げられる。
洗浄工程により、トナー中の分散剤を取り除くために、分散剤に含まれる有機成分を取り除くことができる。
乾燥工程においては、例えばスプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥器、又は減圧乾燥機などの乾燥装置を用いることにより、回収後又は洗浄後のトナー粒子を乾燥させる。スプレードライヤーを用いることで、乾燥中のトナー粒子の凝集を抑制することができる。
得られたトナー粒子はそのままトナーとして用いてもよい。必要に応じ選択された無機微粉体や樹脂粒子などの外部添加剤をトナー粒子に加えて混合(外添)することによりトナーを得てもよい。外部添加剤により、例えば流動性付与、帯電安定性の向上が可能になる。
混合装置としては、攪拌部材を有する回転体と、攪拌部材と間隙を有して設けられた本体ケーシングとを有する混合装置によって行われる。
このような混合装置の一例としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等が挙げられる。特に、均一に混合しシリカ凝集体をほぐすためには、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)が好ましく用いられる。
混合の装置条件としては、処理量、撹拌軸回転数、撹拌時間、撹拌羽根形状、槽内温度などが挙げられるが、所望のトナー性能を達成するために、熱処理トナー粒子の諸物性や添加剤の種類などを鑑みて適宜選定するものであり、とくに限定されるものではない。
さらには、例えば添加剤の粗大凝集物が、得られたトナー中に遊離して存在する場合などには、必要に応じて篩分機などを用いてもよい。
次に、各種物性の測定法について以下に説明する。
[樹脂などのピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定方法]
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料(樹脂)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度 :40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
[樹脂の軟化点の測定方法]
軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。
本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本開示においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。
なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、ピストンの降下量がXとSminの和となるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf/cm(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
[トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法]
トナー粒子(又はトナーコア)の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター
Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として下記の希釈液を約0.3mL加える。
・希釈液:「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力が120Wである下記の超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
・超音波分散器:「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が15℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下の処方において、部は特に断りのない限り質量基準である。
[トナーコアの結着樹脂の製造例]
[結着樹脂1の製造例]
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
71.3部(0.155モル)
・テレフタル酸 24.1部(0.145モル)
・チタンテトラブトキシド 0.6部
上記の材料をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。(第1反応工程)
その後、無水トリメリット酸5.8部(0.030モル)を添加し、180℃で10時間反応させ(第2反応工程)、結着樹脂1を得た。
この結着樹脂1の酸価は15mgKOH/gであり、水酸基価は7mgKOH/gであった。また、GPCによる分子量は、重量平均分子量(Mw)200000、数平均分子量(Mn)5000、ピーク分子量(Mp)10000であった。軟化点は130℃であった。
[トナー1の製造例]
[トナーコアの製造例]
・結着樹脂1 100.0部
・ベヘン酸ベヘニル(融点72℃) 4.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.0部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
上記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5分で混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、(株)池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、フロイント・ターボ(株)製)にて微粉砕した。
さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナーコアを得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン(株)製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s−1で分級を行った。得られたトナーコアは、重量平均粒径(D4)が5.9μmであった。
[シェル層]
[熱可塑性樹脂微粒子の作製]
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを準備し、フラスコをウォーターバスにセットした。続けて、イオン交換水900mL及びアニオン界面活性剤(花王株式会社製「ラテムルWX」、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩)80mLを入れた後、ウォーターバスでフラスコ内の温度を80℃に昇温させた。
そして、スチレン17.5mL及びアクリル酸ブチル3.1mLの混合液、それとは別に過硫酸カリウム0.52gをイオン交換水40mLに溶かした溶液を各々5時間かけて
フラスコ内に滴下した。さらに、フラスコ内容物を80℃で2時間保持したままで、フラスコ内に添加した重合性モノマーの重合を行った。その結果、熱可塑性樹脂微粒子の懸濁液(固形分濃度2質量%)を得た。
[シェルの形成工程]
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコを準備し、フラスコをウォーターバスにセットした。続けて、フラスコ内にイオン交換水300mLを入れて、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃に保った。続けて、フラスコ内に希塩酸を加えて、フラスコ内容物のpHを4に調整した。
続けて、フラスコ内にオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS−700」、固形分濃度:25質量%)3.2gと、熱可塑性樹脂微粒子の懸濁液15.5mLとを添加した。シェル層の原料(特に、オキサゾリン基含有高分子)を水性媒体に溶解させ、シェル層の原料の水溶液を得た。
続けて、フラスコ内に、トナーコアを300g添加し、フラスコ内容物を十分攪拌した。続けて、フラスコ内にイオン交換水300mLを追加し、フラスコ内容物を攪拌しながら1℃/分の速度でフラスコ内の温度を70℃まで上げた。続けて、温度70℃でフラスコ内容物を2時間攪拌した。その結果、液中でトナーコアの表面にシェル層が形成され、トナー粒子の分散液が得られた。
続けて、水酸化ナトリウムを用いてトナー粒子の分散液のpHを7に調整(中和)し、トナー粒子の分散液を常温(約25℃)まで冷却した。
上記のようにして得られたトナー粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)した。その結果、ウェットケーキ状のトナー粒子が得られた。その後、得られたウェットケーキ状のトナー粒子をイオン交換水に再分散させた。さらに、分散とろ過とを5回繰り返して、トナー粒子を洗浄した。
続けて、洗浄されたウェットケーキ状のトナー粒子を真空棚段乾燥機に入れて、真空度1kPaかつ温度40℃の条件で、24時間乾燥した。その結果、乾燥したトナー粒子(粉体)が得られた。
[外添工程]
得られたトナー粒子100部に、トリメチルシリル基とアミノ基とで表面修飾した乾式シリカ粒子0.8部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)で回転数30s−1、回転時間10min混合して、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。
[トナー2の製造例]
シェル層の形成におけるシェル原料として、オキサゾリン基含有高分子水溶液3.2gの代わりに、カルボジイミド基含有高分子水溶液(日清紡ケミカル株式会社製、「カルボジライト(登録商標)V−02」、固形分濃度:40質量%)2.1gに変更する以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー2を得た。
[トナー3の製造例]
シェル層の形成におけるシェル原料として、オキサゾリン基含有高分子水溶液3.2gの代わりに、イソシアネート基含有高分子水溶液(第一工業製製薬株式会社製、「エラストロン(登録商標)H−38」、固形分濃度:20質量%)3.8gに変更する以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー3を得た。
[トナー4の製造例]
シェル層の形成におけるシェル原料として、オキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS−700」、固形分濃度:25質量%)3.2gのみを添加する以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー4を得た。
[トナー5の製造例]
シェル層の形成におけるシェル原料として、オキサゾリン基含有高分子水溶液3.2gの代わりに、フェノール樹脂水溶液(DIC株式会社製「PE−602」、固形分濃度:40質量%)2.2gに変更する以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー5を得た。
Figure 2021107853
[磁性キャリアの製造例]
[磁性キャリアコア粒子の製造例]
・Fe 62.7部
・MnCO 29.5部
・Mg(OH) 6.8部
・SrCO 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。
その後、ステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕及び混合した。得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。
このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
該仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、ジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。さらに、得られたスラリーを、湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
該フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して、分散剤としてのポリカルボン酸アンモニウム1.0部、及び、バインダーとしてのポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子の粒度を調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)が37.0μmの磁性キャリアコア粒子を得た。
[磁性キャリア1の製造例]
熱硬化型シリコーン樹脂溶液(メチルシリコーン樹脂)を、被覆樹脂量が磁性キャリアコア粒子100部に対して0.20部になるよう、流動床内に回転式底板ディスクと撹拌
羽を設けて旋回流を形成させながら被覆を行う被覆装置を使用して磁性キャリアコア粒子に塗布した(1層目)。なお、上述の樹脂溶液は、流動床の装置内での移動方向に対して垂直な方向から噴霧した。
次いで、熱硬化型フッ素樹脂溶液(FEP)と熱硬化型メラミン樹脂溶液を固形分比で20部:1部となるように十分な撹拌を行って混合し、キャリア被覆溶液を作製した。この被覆溶液を流動床内に回転式底板ディスクと撹拌羽を設けて旋回流を形成させながら被覆を行う被覆装置を使用して、磁性キャリアコア粒子100部に対して、フッ素樹脂とメラミン樹脂の合計が2部となるように磁性コア粒子に塗布した(2層目)。
その後、得られたキャリアを流動床中で、温度280℃で1時間乾燥して溶剤を除去後、磁性キャリア1を得た。
得られたキャリアに対してX線光電子分光法による元素分析を行ったところ、N1が0.42、S1が0.71、F1が57.64、N2が0.41、S2が1.60、F2が56.70であった。
[磁性キャリア2〜17の製造例]
磁性キャリアコア粒子に被覆する樹脂を表2のように変更した以外は、磁性キャリア1の製造例と同様にして、磁性キャリア2〜17を得た。また、得られた磁性キャリアに対しX線光電子分光法による元素分析を行った結果を表3に示す。
Figure 2021107853

表中、量は磁性キャリアコア粒子100部に対する部数である。また、樹脂は以下のも
のを用いた。
メチルシリコーン:KR−242A(信越化学社製)
メチルフェニルシリコーン:KR−300(信越化学社製)
FEP:テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共同合体(固形分)を20質量%含有した溶液
メラミン樹脂:メラミン、ホルムアルデヒド、メタノール及び水を(メラミン/ホルムアルデヒド/メタノール/水=5/4/1/5)の質量比率で混合し、pH8.5に調整した溶液
PVDF:ポリフッ化ビニリデン(固形分)を20質量%含有した溶液
APTES:3−アミノプロピルトリエトキシシラン
Figure 2021107853

表中、平均層厚の単位はnmである。
[二成分現像剤1の製造例]
トナー1と磁性キャリア1を、磁性キャリア90部に対して、トナー1が10部になるように、V型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)を用いて、0.5s−1、回転時間5minの条件で混合して二成分現像剤1を調製した。
[二成分現像剤2〜18の製造例]
トナーと磁性キャリアを、表4のように変更した以外は二成分現像剤1の製造例と同様にして、二成分現像剤2〜18を得た。
得られた二成分現像剤を用いて以下の評価を行った。評価結果を表5に示す。
Figure 2021107853
[評価方法]
画像形成装置として、imagePRESS C800(キヤノン製)を用い、現像剤担持体の直流電圧VDC、転写電流を自由に設定できるように改造した。この改造機のシアン位置の現像器に二成分現像剤1を入れた。改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、レーザーパワー、及び、帯電器の総放電電流量を自由に設定できるように変更した。
画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力し、FFh画像のトナーの載り量が所望になるようにVDC、VD、及びレーザーパワーを調整して、後述の評価を行った。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
[耐久画像安定性の評価方法]
[現像シミの評価]
紙:CS−680(68.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
画像濃度の評価は、画像印字比率1%を1000枚出力する。その後、A3紙全面ベタ画像を3枚出力し、続いてA3紙全面ハーフトーン画像を3枚出力した。ハーフトーン画像3枚を目視にて評価し、斑点(現像シミ)の数の合計値を、下記の指標で判断した。
(評価基準)
A:全くなし
B:3個未満
C:3個以上9個未満
D:9個以上15個未満
E:15個以上
[環境トリボ安定性の評価方法]
[高温高湿下での帯電維持性の評価]
紙:CS−680(68.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm(FFh画像)
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワー
により調整)
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/湿度80%RH(以下H/H))
プロセススピード:357mm/s
評価機の安定化として、画像比率0.1%の帯チャートを用いて、A4用紙に10枚出力を行った。その後、静電潜像担持体上に上記評価画像を形成し、中間転写体に転写される前に、静電潜像担持体の回転を止め、静電潜像担持体上のトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集した。
その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q及び捕集されたトナー質量Mを測定し、それより単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を計算し、初期の静電潜像担持体上Q/M(mC/kg)を測定した。
引き続き、H/H環境において評価機内に現像器を入れたまま2週間放置させた後、評価機起動後すぐに、放置前と同様の操作の方法で、放置後の静電潜像担持体上Q/M(mC/kg)を測定した。
そして、下記式を用いて、耐久後の静電潜像担持体上Q/Mの維持率を算出した。得られた耐久後の静電潜像担持体上Q/Mの維持率を下記の評価基準に従って評価した。また、評価結果を表5に示す。
耐久後の静電潜像担持体上Q/Mの維持率=
{耐久後の静電潜像担持体上Q/M/初期の静電潜像担持体上Q/M}×100
(評価基準)
A:静電潜像担持体上Q/M維持率が90%以上
B:静電潜像担持体上Q/M維持率が85%以上90%未満
C:静電潜像担持体上Q/M維持率が80%以上85%未満
D:静電潜像担持体上Q/M維持率が75%以上80%未満
E:静電潜像担持体上Q/M維持率が75%未満
Figure 2021107853

Claims (9)

  1. トナー及び磁性キャリアを含有する二成分現像剤あって、
    該トナーは、トナーコア及び該トナーコアの表面に形成されたシェル層を有するトナー粒子を有し、
    該トナーコアは、結着樹脂を含有し、
    該シェル層は熱硬化性樹脂を含み、
    該熱硬化性樹脂は、
    (i)該トナーコアに含有される該結着樹脂と結合を有し、
    (ii)下記式(1)、(2)及び(3)からなる群から選択される少なくとも一の構造を有し、
    該磁性キャリアは、磁性キャリアコア粒子及び該磁性キャリアコア粒子の表面に形成された樹脂被覆層を有し、
    該樹脂被覆層は、窒素元素、ケイ素元素及びフッ素元素を含有しており、
    X線光電子分光法による該磁性キャリアの表面分析において、
    (i)該磁性キャリアの表面分析で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
    該磁性キャリアの表面における窒素原子の比率をN1(原子%)とし、ケイ素原子の比率をS1(原子%)とし、フッ素原子の比率をF1(原子%)とし、
    (ii)該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置で検出される窒素原子、ケイ素原子、フッ素原子、炭素原子及び酸素原子の総和を基準として、
    該磁性キャリアの表面から深さ40nmの位置における窒素原子の比率をN2(原子%)とし、ケイ素原子の比率をS2(原子%)とし、フッ素原子の比率をF2(原子%)としたとき、
    該N1、S1、F1、N2、S2及びF2が、下記式を満たすことを特徴とする二成分現像剤。
    0.10≦N1≦1.50
    0.30≦S1≦5.00
    45.00≦F1≦65.00
    S1<S2
    S1/N1<S2/N2
    F1>F2
    Figure 2021107853

    式(1)、(2)及び(3)中、R,R,R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。*は結着樹脂と接続する。
  2. 前記磁性キャリアコア粒子の表面に形成された前記樹脂被覆層の平均層厚が、50nm以上3000nm以下である請求項1に記載の二成分現像剤。
  3. 前記S1及び前記S2が、
    S2/S1 ≧ 2.00
    を満たす請求項1又は2に記載の二成分現像剤。
  4. 前記N1及び前記N2が、
    0.70 ≦ N1/N2 ≦ 1.30
    を満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  5. 前記樹脂被覆層が、フッ素系樹脂を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  6. 前記樹脂被覆層が、シリコーン樹脂を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  7. 前記樹脂被覆層が、含窒素樹脂を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  8. 前記樹脂被覆層が、含窒素化合物を含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の二成分現像剤。
  9. シェル層が、さらに熱可塑性樹脂を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の二成分現像剤。

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