JP4525520B2 - 静電荷像現像用現像剤、画像形成方法、及び画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用現像剤、画像形成方法、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等において静電潜像の現像のために使用する静電荷像現像用現像剤、画像形成方法、及び画像形成装置に関する。
電子写真法は、潜像担持体(感光体)表面に形成された静電潜像を、着色剤を含むトナーで現像し、得られたトナー画像を被記録体表面へ転写し、これを熱ロール等で定着することにより画像が得られるものである。また、その潜像担持体は再び静電潜像を形成するために転写残存トナーをクリーニングしてもよく、球形トナーのように該転写残トナーがほとんど存在しない場合はクリーニング工程が省かれる場合もある。
このような電子写真法等に使用される乾式現像剤は、結着樹脂に着色剤等を配合したトナーを単独で用いる一成分現像剤と、そのトナーにキャリアを混合した二成分現像剤とに大別される。さらに、一成分現像剤は、磁性粉を用い磁気力により現像剤担持体で搬送されて現像される磁性一成分現像剤と、磁性粉を用いず帯電ロール等の帯電付与により現像剤担持体で搬送され、現像される非磁性一成分現像剤とに分類することができる。
1980年代の後半から,電子写真の市場ではデジタル化をキーワードとして小型化、高機能化の要求が強く、フルカラー画質に関しては、高級印刷、銀塩写真に近い高画質品位が望まれている。また、白黒画質についても同様に高画質を望まれるのと同時に高生産性、小型化、低コストが要求されている。高画質を達成する手段としては、デジタル化処理が不可欠であり、このような画質に関するデジタル化の効能として、複雑な画像処理を高速で行えることが挙げられている。これにより、文字と写真画像とを分離して制御することが可能となり、両品質の再現性が、アナログ技術に比べ大きく改善されている。特に写真画像に関しては、階調補正と色補正とが可能になった点が大きく、階調特性、精細度、鮮鋭度、色再現、粒状性の点でアナログに比べ有利である。画像出力としては、光学系で作成された静電潜像を忠実に作像する必要があり、トナーとしては益々小粒径化が進み、忠実再現を狙った活動が加速されている。
一方では小型化のための部品点数の抑制、低コスト化のための消耗品の延命化も要求され、現像剤への高機能化、高信頼性が命題である。さらに、高生産性を達成するために、潜像担持体の速度は高速化が進んでおり、安定的な高画質を得るためには、現像、転写、定着、クリーニングの各プロセスの改善が非常に重要となってきている。
また同時に、トナー成分による他消耗品の延命機能など高機能化も重要となってきており、2成分現像剤においては現像剤延命化による交換頻度の低減や無交換化の要求が高くなってきている。2成分現像剤はキャリア表面へのトナー成分汚染などに伴うキャリア帯電能力低下による、カブリやトナークラウド起因により寿命となる帯電寿命と、キャリア表面の被覆樹脂などが剥がれることにより、抵抗の低い芯材粒子が露出することで現像剤抵抗が低下し、現像剤への現像電界の注入による潜像担持体へキャリア付着が増加して寿命となる場合がある。
近年はトナーの小粒径化に伴うキャリアの小粒径化の傾向にあり、後者の原因による寿命が重要視されてきている。これは、トナー小粒径化により単位重量当たりのトナー表面積が増加しつつあるが、キャリアの粒径が変わらない場合にはキャリア表面のトナー被覆率が大きすぎて、充分にトナーを帯電させることができず、トナークラウドやカブリを発生させてしまう。そのため、トナー表面積に見合うようキャリアの粒径も同時に小さくすることで表面積を広げトナーを十分に帯電させトナークラウドやカブリを抑制している。
しかし、キャリアの小粒径化は単位重量当たりの表面積は増加させることができるが、一方でキャリア1粒子の磁力は低減するため、現像剤担持体の磁界による拘束力が弱まり、潜像担持体へのキャリア付着は増加してしまうのである。
そのため小粒径キャリアの潜像担持体へのキャリア付着を抑制する方法が提案されている。例えば、振動電界を印加する現像電界においてキャリアの抵抗を高抵抗化することで、該キャリア付着を抑制する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
確かにキャリア抵抗の高抵抗化は電界注入によるキャリア付着については効果があるかもしれないが、同時に現像剤抵抗を高抵抗してしまう。そのため現像領域における実効電界の潜像担持体への近接化や、トナー現像後にキャリアに残存するトナーと逆極の電荷が速やかに現像担持体へ逃げることができず、高濃度部と低濃度部の境目などの画質が悪化してしまい近年の高画質化には耐えられない。
また、キャリア体積抵抗、キャリア粒径、キャリア磁力の関係を規定することが提案され(例えば、特許文献2参照。)、或いは、芯材粒子を被覆する樹脂の被覆率を制御することでキャリア付着を抑制することが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
これらは確かに初期的には潜像担持体へのキャリア付着を抑制できるが、その経時安定性については何ら言及されていない。2成分現像では安定画像を得る為に現像剤を安定帯電させるとともに追加されたトナーを速やかに帯電させるため、現像機は常に攪拌されているが、その攪拌ストレスは小さくはない。そのため長期間の攪拌ストレスにより、現像剤中のキャリア表面を被覆している樹脂は徐々に剥がれていってしまう。その結果キャリアは初期の抵抗を維持していることができなくなり、電荷注入が引き起こされる抵抗に近づいていき、最終的には初期発生しなかった注入によるキャリア付着が発生してしまう。これは特に両面複写やフルカラー画像で顕著である。つまり両面複写では片面を現像、転写、定着したのちに再度搬送し、裏面へ画像を形成する。この間常に現像機は攪拌されるため、通常よりも現像剤ストレスを与える時間が長くなる。またフルカラー画像、特にタンデム現像においては、例えば4色の現像剤を用いる画像形成方法で、1色は使わない或いはほとんど使用しないような画像を得る場合でも、その1色の現像機は他3色と同時間現像機は攪拌する。そのため、白黒画像よりも現像剤へのストレスは大きいのである。その結果キャリアの被覆樹脂の剥がれによる抵抗低下は顕著に発生する。
そこで、キャリア表面を架橋シリコーン樹脂で被覆すると同時にキャリアの表面性を制御することで、キャリアの帯電能力と被覆樹脂の耐磨耗性との両立が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
しかし当該文献に記載されている磨耗抑制はキャリア帯電能力が落ちない程度の耐磨耗性であり、潜像担持体へのキャリア付着については何ら言及されていない。キャリア被覆樹脂の剥がれは、まずキャリア抵抗を低下させるが、帯電量は残った被覆樹脂でもある程度の帯電能力があるので、キャリア抵抗はそれほど大きく低下しない。それゆえ、カブリやトナー飛散は、その時点ではまだ発生しない。しかし、抵抗低下によって、電荷注入が引き起こされる抵抗に近づいていき、電荷注入されやすい状態となりキャリア付着が発生してしまう。そのため、当該文献のキャリアにおいてもキャリア付着に対する耐磨耗性は十分でない。
特開昭60−131549号公報 特開平5−66614号公報 特開平7−234548号公報 特開平11−133672号公報
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の課題を達成することを目的とする。すなわち、本発明は、長期に渡って高画質の画像を得ることを目的とし、経時に伴うキャリア表面被覆樹脂の剥がれを抑制することで、キャリア付着による画質欠陥のない画像を長期にわたって達成できる電子写真用現像剤、画像形成方法、及び画像形成装置を提供するものである。
上記状況を踏まえ、上記課題は以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
<1> 静電荷像現像用トナーと静電荷像現像用キャリアとを含む静電荷像現像用現像剤であって、
前記静電荷像現像用トナーは、結着樹脂、及び着色剤を含有してなるトナー母粒子の平均形状係数SF1が140以下であり、
前記静電荷像現像用キャリアは、核体としての磁性体粒子と該磁性体粒子の表面を被覆する被覆層とを有し、かつ、パウダーレオメーターにおいて、回転翼の先端スピード100mm/secで、回転翼の進入角度−5°におけるキャリアの充填表面から深さ70mmまでのトータルエネルギー量が、1500〜3000mJであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤である。
> 前記静電荷像現像用トナーは、前記トナー母粒子に外添剤を含有してなることを特徴とする前記<1>に記載の静電荷像現像用現像剤。
> 潜像担持体を帯電させる帯電工程と、
帯電した前記潜像担持体を露光して、該潜像担持体上に静電潜像を形成させる露光工程と、
現像剤を表面に担持する現像剤担持体によって前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像工程と、
前記トナー像を前記潜像担持体から被記録材に転写する転写工程と、を有する画像形成方法であって、
前記潜像担持体の周速が100〜600mm/secで、且つ、該潜像担持体の周速に対する前記現像剤担持体の周速の比が1.2〜2.0であり、
前記現像剤が、前記<1>又は2>に記載の静電荷像現像用現像剤を含むことを特徴とする画像形成方法である。
> 潜像担持体と、
前記潜像担持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記潜像担持体を露光して、該潜像担持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
現像剤を表面に担持する現像剤担持体によって前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記潜像担持体から被記録材に転写する転写手段と、を有する画像形成装置であって、
前記現像剤が、前記<1>又は2>に記載の静電荷像現像用現像剤を含むことを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、長期に渡って高画質の画像を得ることを目的とし、経時に伴うキャリア表面被覆樹脂の剥がれを抑制することで、キャリア付着による画質欠陥のない画像を長期にわたって達成できる電子写真用現像剤、画像形成方法、及び画像形成装置を提供することができる。
本発明者らは、発明に至る過程で、現像機の攪拌ストレスによるキャリア表面被覆樹脂の剥がれを抜本的に改善するには、現像機攪拌においても攪拌ストレスの少ない現像剤を使用することが重要であると考えた。すなわち現像機内オーガーやマグロールなどの回転体の攪拌力により、現像剤は流動し、さらに現像ニップ手前でマグロール上の現像剤は整流される。このとき現像剤に非常に大きな力が加わりキャリア被覆樹脂の剥がれが発生していく。同時にこの整流部では現像剤の搬送量も制御されるため、その手前に現像剤が滞留、パッキングする。ここでも現像剤へのストレスは強大になり、キャリア被覆剥がれが発生する。
そのため本発明者らは、これら現像機内攪拌ストレスを低減するような現像剤を得る為には、トナーとしては、平均形状係数SF1が140以下のトナー母粒子を用い、キャリアとしては、パウダーレオメーターにおいて回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°での、測定容器中のキャリアの充填表面から深さ70mmまでのトータルエネルギー量が核体としての磁性体粒子と、該磁性体粒子の表面を被覆する被覆層と、を有する静電荷像現像用キャリアの場合は1500〜3000mJのものを用い、核体としての磁性粉分散粒子と、該磁性粉分散粒子の表面を被覆する被覆層と、を有する静電荷像現像用キャリアの場合は1000〜1500mJのものを用いることが重要であり、この場合に、オーガーやマグロールなどによる現像機攪拌でも、キャリア被覆剥がれが起きにくいことを見出した。
つまり、該トータルエネルギー量が大きいということは、攪拌ストレスに対するキャリアへの負荷が大きいということであり、即ち現像剤に与えるエネルギーも大きく、現像剤ストレスも大きくなるのである。そのため、キャリア被覆樹脂剥がれを抑制するためには、該トータルエネルギー量が極小であればよいのであるが、そうすると逆に前記現像ニップ手前の現像剤量整流部で現像剤の流動性が良すぎることによる現像剤すり抜けが発生し、現像ニップ部の現像剤量が安定しなくなる。その結果画像濃度が著しく変動し、極端な場合はカブリや現像剤量過多によるジャミングが発生してしまう。さらに、キャリアの該トータルエネルギー量が小さすぎる場合、トナーと接触帯電するための攪拌による摩擦力が減少し、帯電速度が低下してしまう。
ここで、そのキャリアとの摩擦力を向上させるために、トナー母粒子の平均形状係数SF1が140を超えるようにすると、該トータルエネルギー量が小さすぎる場合においても、確かにトナーとキャリアとの摩擦力はある程度確保され、帯電速度も極端に落ちなくなるが、逆にキャリアのトータルエネルギー量を小さくすることで、現像機内の現像剤ストレスの低減が狙いどおりの小さくならずに、キャリア被覆樹脂剥がれが起こってしまう。
これは、トナー母粒子の平均形状係数を140を超えるようにすると、キャリア表面でトナーが流動しづらくなり、現像ニップ前の現像剤整流部などで現像剤がストレスを受けたときにトナーが流動することで現像剤が転がり、うまくストレスを逃がすことができなくなる。逆にトナーの形状係数が140以下においては、該整流部においても現像剤がストレスを受けた場合にキャリア表面をトナーが微動することで、うまく整流部をすり抜け現像剤がストレスをうけずに現像ニップ部に搬送させることが可能となる。
特に、トナー母粒子に外添剤が添加されている場合、トナー母粒子表面に存在する外添剤微粒子によって、トナーとキャリア間の接触点数が少なくなることでトナーとキャリアの付着力が抑制されること、及び外添剤自体がトナー表面を転がり移動することでいわゆる「ころ」のような効果により、現像剤が流動しやすくなることでストレスを受けなくなる。したがって、本発明において、外添剤が添加されているトナーであることは好適である。
これらは高速機で特に有効であり、潜像担持体の周速が100〜600mm/secであり、高速機でも十分に現像性を確保する為に該潜像担持体の周速に対する現像剤担持体の周速の比を1.5〜2.0となるような、現像担持体の周速が非常に高速となるような現像システムにおいて特に有効である。
このように、本発明の効果は、トナー母粒子の形状係数SF1と、キャリアのトータルエネルギー量とを個々に調整して得られるものではなく、最適な帯電速度を踏まえた上で両因子を特定の範囲としたときにはじめて得られるものであることを見出したのである。
上記により経時に伴うキャリア表面被覆樹脂の剥がれを抑制することで、キャリア付着による画質欠陥のない高画質な画像を長期にわたって達成できる電子写真用現像剤及びそれを用いた画像形成方法を得ることができる。
<キャリア>
まず、パウダーレオメーターによるキャリアの流動性測定について説明する。
粒子の流動性を測定する場合、液体や固体、或いは気体の流動性を測定する場合よりも、多くの要因から影響を受けるため、粒径や表面粗さ等の従来用いられているパラメータでは、正確な粒子の流動性を特定することが困難である。また、流動性を特定するための測定すべき因子(例えば、粒径等)を決定しても、実際にはその因子は流動性に与える影響が少ない場合や、他の因子との組み合わせによってのみその因子を測定する意義が発生する場合もあり、測定因子を決定することでさえ困難である。
更に、粉体の流動性は、外的環境要因によっても著しく異なる。例えば、液体であれば、測定環境が変動しても、流動性の変動幅は然程大きくはないが、粒子の流動性については、湿度や流動させる気体の状態等の外的環境要因によって大きく変動する。このような外的環境要因がいずれの測定因子に影響を与えるかは明確にはされていないため、厳密な測定条件下で測定しても、得られる測定値の再現性に乏しいのが実際である。
また、キャリアを現像タンクに充填したときの流動性については、安息角や嵩密度などを指標としてきたが、これらの物性値は流動性に対して間接的なものであり、流動性を定量化して管理することが困難であった。
しかしながら、パウダーレオメーターでは、キャリアから測定機の回転翼にかかるトータルエネルギー量を測定できるため、流動性に起因する各要因を合算した値で得ることができる。それゆえ、パウダーレオメーターでは、従来のように、表面の物性値や粒度分布を調整して得られたキャリアについて、測定すべき項目を決定し、各項目について最適物性値を見出して測定することなく、流動性を直接的に測定できる。その結果、パウダーレオメーターで上記数値範囲に該当するかの確認を行うだけで、静電荷像現像用に用いるキャリアとして好適であるかの判断が可能となる。このようなキャリアの製造管理は、キャリアの流動性を一定に保つことに関して、従来の間接的な値で管理する方法に比べ、極めて実用に適した方法である。また、測定条件を一定とすることも容易であり、測定値の再現性も高い。
つまり、パウダーレオメーターによって得られる値で流動性を特定する方法は、従来の方法に比べて、簡便かつ正確で、信頼性も高い。
ここで本発明者らは、キャリア表面被覆樹脂の剥がれを抑制するためには、パウダーレオメーターで測定した場合に、特定の条件下でのトータルエネルギー量が、核体が磁性体粒子の場合には1500〜3000mJであり、磁性粉分散粒子の場合には1000〜1500mJの静電荷像現像用キャリアとすることが、極めて有効であることを見出した。この範囲内にあるキャリアは、静電荷像現像に用いたときに流動性が確保され、キャリア間の衝撃によるストレスを軽減することができる。
なお、核体が磁性体粒子であるキャリアにおいて、パウダーレオメーターの上記測定値が1500mJより低い場合、摩擦効果が低く、トナーを十分に帯電させることができない。一方、3000mJを超える値となる場合は、キャリアへのストレスが高くなることからキャリア表面被覆樹脂の剥がれを抑制できない。より好ましくは、上記測定値は、1800〜2700mJの範囲であり、更に好ましくは2000〜2500mJの範囲である。
核体が磁性粉分散粒子であるキャリアにおいて、パウダーレオメーターの上記測定値が1000mJより低い場合、摩擦効果が低く、トナーを十分に帯電させることができない。一方、1500mJを超える値となる場合は、キャリアへのストレスが高くなることからキャリア表面被覆樹脂の剥がれを抑制できない。より好ましくは、上記測定値は、1100〜1400mJの範囲であり、更に好ましくは1200〜1300mJの範囲である。
それぞれの具体的なキャリアの構成については、後述する。
次に、パウダーレオメーターの測定方法について説明する。
パウダーレオメーターは、充填した粒子中を回転翼が螺旋状に回転することによって得られる回転トルクと垂直荷重とを同時に測定して、流動性を直接的に求める流動性測定装置である。回転トルクと垂直荷重の両方を測定することで、粉体自身の特性や外部環境の影響を含めた流動性について、高感度に検出することができる。また、粒子の充填の状態を一定とした上で測定を行うため、再現性の良好なデータを得ることができる。
本発明では、パウダーレオメーターとしてfreeman technology社製のFT4を用いて測定する。
まず、測定するキャリアを容器に充填する。容器は、内径50mm、高さ88mmの160mL容器を用いる。この容器にキャリアを高さ88mmまで充填する。測定前のキャリアは、測定時の外的環境要因によって誤差が生じないよう、温度22℃、湿度50%RHの状態で、8時間以上放置される。
放置後、充填条件の変動による測定値のばらつきをなくすため、流動性測定前に充填キャリアのコンディショニングを行う。コンディショニングでは、充填した状態でキャリアにストレスを与えないようキャリアからの抵抗を受けない回転方向(測定時の回転方向とは逆の方向)で回転翼を緩やかに撹拌して、過剰の空気や部分的ストレスのほとんどを除去し、サンプルを均質な状態にする。
コンディショニングを終えた後、充填キャリア中に回転翼を進入させながら回転させる。
図1(A)のように、回転翼が、容器内に充填された粒子中を充填表面H1からH2まで、進入角度−5°で移動しながら回転翼の先端スピード100mm/sで回転するときの、回転トルクと垂直荷重を測定する。進入角度を−5°とするのは、キャリアの流動状態を測定するのにもっとも感度が高く精度も良いからである。
なお、進入角度とは、測定容器の軸と、回転翼の回転軸とのなす角度をいう。
充填表面H1からの深さHに対する回転トルク又は垂直荷重の関係を図1(B),図1(C)に示す。回転トルクと垂直荷重から、深さHに対してのエネルギー勾配(mJ/mm)を求めたものが、図2である。図2のエネルギー勾配を積分して得られた面積(図2の斜線部分)が、トータルエネルギー量(mJ)となる。本発明では、H2は、充填表面H1から深さ70mmの位置で測定した値とする。
また、本発明では、誤差による影響を少なくするため、この操作を5回行ったときの平均値を、本発明で定義するトータルエネルギー量(mJ)とする。
回転翼は、Freeman Technology社製のφ48mm径のブレードを用いる。この回転翼は、図3に図示される2枚翼プロペラ型の回転翼である。
次に、上記トータルエネルギー量を有するキャリアの構成について、説明を行う。
本発明のキャリアは、上記に該当するものであれば、特に限定されない。このような数値を実現するものとしては、キャリア粒子の粒径分布が充分小さいもの、或いは、キャリア核体表面の被覆層が低摩擦化可能な素材で形成されているもの、キャリアの形状が球形であるもの、キャリアの形状分布が小さいもの、凝集体が少ないもの、キャリアの密度が小さいもの、キャリア内部に空隙のあるもの等を挙げることができ、これらを単独で、或いは組み合わせて適用する。
本発明のキャリアは、上記の条件を満足する核体が磁性体粒子のキャリア(第一の態様のキャリア)であるが、以下では、核体が磁性体粒子のキャリア(第一の態様のキャリア)のほかに、磁性粉分散粒子のキャリア(第二の態様のキャリア)についても説明する。
−第一の態様のキャリア(核体が磁性体粒子で構成されるキャリア)−
第一の態様のキャリアにおいて、核体の材質としては、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類元素等との合金(例えば、ニッケル−鉄合金、コバルト−鉄合金、アルミニウム−鉄合金等)、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等を挙げることができるが、現像方式として磁気ブラシ法を用いる観点からは磁性体粒子であることが望ましい。
第一の態様のキャリアにおける核体の体積平均粒径は、10μm〜500μmが好ましく、より好ましくは20μm〜150μmであり、更に好ましくは25μm〜100μmである。キャリア核体の体積平均粒径が10μm未満であると、静電荷像現像用に用いた場合にトナー・キャリア間の付着力が高くなり、トナーの現像量が減少する。一方、500μmを超えると、磁気ブラシが荒くなり、きめ細かい画像が形成され難くなる。上記トータルエネルギー量の観点からは、核体の体積平均粒径が10μm未満であると、キャリア1個の磁力が小さくなり、潜像担持体へのキャリア付着が発生しやすくなり、500μmを超えると、トナーの表面積に対するキャリアの表面積が非常に小さくなりすぎ、トナーを十分に接触帯電することが出来なくなってしまう。
第一の態様のキャリアにおける核体の体積平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)を用いて測定された値をいう。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
第一の態様のキャリアにおける核体の好ましい粒径分布としては、体積平均粒径D84v/体積平均粒径D50vが1.20以下、個数平均粒径D50p/個数平均粒径D16pが1.25以下であり、より好ましくは、体積平均粒径D84v/体積平均粒径D50vが1.15以下、個数平均粒径D50p/個数平均粒径D16pが1.20以下である。
このような粒径分布を有する核体を得るには、振動篩分機、重力式の分級機、遠心分離式の分級機、慣性方式の分級機、あるいは、篩による選別により、所望の粒度分布に合わせることができる。
特に、上記粒径分布を有するキャリア核体とするには、振動篩分機や風力分級機の方法を用いることが好ましく、この方法において多段の篩分や微粉/粗粉を同時に取り除く分級する方法ことが特に好ましい。
キャリア核体の粒径分布が、上記範囲よりも広い場合には、既述のパウダーレオメーターによるトータルエネルギー量が規定の範囲から外れてしまう。一方、粒径分布が上記範囲よりも狭くしようとすると、分級等の作業が過剰なものとなり作業効率が極めて悪くなる。
なお、キャリア核体の粒径分布は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)を用いて、得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積84%となる粒径をD84v、小粒径側から個数累積分布を引いて、累積50%となる粒径をD50p、累積16%となる粒径をD16pとしたとき、粗粉側粒度分布指標を体積平均粒径D84v/体積平均粒径D50vとし、微粉側粒度分布指標を個数平均粒径D50p/個数平均粒径D16pとして求めた値をいう。
第一の態様のキャリアにおける核体の真比重は、3.0〜8.0であることが好ましく、3.5〜7.0であることがより好ましく、4.0〜6.0であることが更に好ましい。真比重が3.0よりも軽い場合には、トナーの流動性の状態に近づくため、帯電付与能力が減少し、真比重が8.0よりも重い場合には、キャリアの流動性の低下が発生し、トータルエネルギー量が上限値を超えて大きくなる傾向となるため好ましくない。
本発明のキャリアは、核体と、その表面に被覆層を有する。被覆層は、マトリックス樹脂によって構成される被覆樹脂層であることが好ましい。
前記マトリックス樹脂としては、一般的なマトリックス樹脂を使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等のポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂またはその変性品;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂;シリコーン樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に、トナー成分の汚染に対しては、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などの低表面エネルギー樹脂を被覆樹脂として用いることが好ましく、フッ素樹脂で被覆することがより好ましい。
フッ素樹脂としては、フッ化ポリオレフィン、フルオロアルキル(メタ)アクリレート重合体及び/又は共重合体、フッ化ビニリデン重合体及び/又は共重合体及びこれらの混合物等を挙げることができ、フッ素樹脂を形成するためのフッ素を含有する単量体としては、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ペンタフルオロメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレートなど、フッ素を含有するフルオロアルキルメタクリレート系単量体が好適である。但し、これらに限定されるものではない。
フッ素を含有する単量体の配合量としては、被覆樹脂を構成する全単量体に対して、0.1〜50.0質量%の範囲で配合するのが適当であり、より好ましくは0.5〜40.0質量%の範囲であり、より好ましくは1.0〜30.0.質量%の範囲である。0.1質量%を下回ると耐汚染性を確保することが困難となり、50.0質量%を超えると核体への被覆樹脂の密着性が低下し、且つ帯電性が低下する場合がある。
被覆樹脂層に含有されるマトリックス樹脂は、キャリア全重量に対して0.5〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0質量%〜5.0質量%であり、更に好ましくは1.0質量%〜4.0質量%である。0.5ではキャリア表面に磁性体芯粒子が露出しやすくなり、キャリアの電気抵抗が低下しやすくなる。一方、10質量%を超えるとキャリアの流動性の低下が顕著になり、トナーが均一に帯電し難くなる。
被覆層には、樹脂微粒子を分散させて含有させることができる。
前記樹脂微粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等が挙げられる。その中でも、硬度を上げることが比較的容易な熱硬化性樹脂が好適であり、また、トナーに負帯電性を付与するためには、窒素原子を含有する樹脂粒子を用いることが好ましい。なお、これらの樹脂粒子は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂微粒子は、前記マトリックス樹脂中に、被覆樹脂層の厚み方向、およびキャリア表面への接線方向にできるだけ、均一に分散しているのが好ましい。樹脂微粒子の樹脂と、前記マトリックス樹脂とが高い相溶性を有していると、樹脂微粒子の被覆樹脂層における分散の均一性が向上するので好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等のポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂またはその変性品;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート等が挙げられる。
樹脂微粒子に用いられる熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂;等が挙げられる。
尚、樹脂微粒子の樹脂とマトリックス樹脂とは、同種の材料であっても、異種の材料であってもよい。特に好ましくは、樹脂微粒子の樹脂とマトリックス樹脂とが異種の材料からなる場合である。
上記樹脂微粒子の樹脂として、熱硬化性樹脂粒子を用いると、キャリアの機械的な強度を向上できるので好ましい。特に架橋構造を有する樹脂が好ましい。また、樹脂粒子の帯電サイトとしての機能をより良好にするには、トナー帯電の立ち上がりが速い樹脂を用いるのが好ましく、そのような樹脂粒子としては、ナイロン樹脂、アミノ樹脂、およびメラミン樹脂などの窒素含有の樹脂の粒子が好ましい。
樹脂微粒子は、乳化重合、懸濁重合等の重合を利用して粒状化された樹脂粒子を製造する方法や、モノマーもしくは、オリゴマーを溶媒中に分散して架橋反応を進行させながら粒状化して、樹脂粒子を製造する方法、低分子成分と、架橋剤とを溶融混錬等により混合反応させた後、風力、機械力等により、所定の粒度に粉砕して、樹脂粒子を製造する方法等によって製造することができる。
樹脂微粒子の体積平均粒径は0.1〜2.0μmであるのが好ましく、より好ましくは0.2〜1.0μmである。0.1μmより小さいと被覆樹脂層中での分散が低下し、一方、2μmより大きいと被覆樹脂層からの脱落が生じ易く、安定した帯電性が得られない場合がある。樹脂微粒子の体積平均粒径の測定方法は、上記核体の体積平均粒径の場合と同様である。
樹脂微粒子は、被覆層中に、1〜50容量%で含有されることが好ましく、より好ましくは1〜30容量%、更に好ましくは1〜20容量%で含有される場合である。被覆樹脂層中の樹脂微粒子の含有率が1容量%よりも少ないと、樹脂微粒子の効果が発現しない場合があり、50容量%を超えると、被覆樹脂層からの脱落が生じ易く、安定した帯電性が得られない場合があるとなるため好ましくない。
被覆層には、さらに導電性微粉末を分散させて含有させることができる。
前記導電性微粉末子としては、例えば、金、銀、銅のような金属;カーボンブラック;更に酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム粉末等の金属酸化物;酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を、酸化錫、カーボンブラック、または金属で覆った微粉末;等を挙げることができる。これらは、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。導電性微粉末として金属酸化物を用いると、帯電性の環境依存性をより低減できるので好ましく、特に酸化チタンが好ましい。
さらに、前記材料からなる微粉末を、カップリング剤で処理することが好ましい。中でも、カップリング剤で処理された金属酸化物が好ましく、特に、カップリング剤処理された酸化チタンが好ましい。カップリング剤で処理された導電性微粉末は、トルエン等の溶剤に未処理の導電性微粉末を分散させ、次いで、カップリング剤を混合し、処理した後、減圧乾燥することにより得ることができる。
さらに、得られたカップリング剤で処理された導電性微粉末から、凝集体を除去するために、必要に応じて、解砕機で解砕してもよい。解砕機としては、ピンミル、ディスクミル、ハンマーミル、遠心分級型ミル、ローラミル、ジェットミル等の公知の解砕機を使用でき、特に、ジェットミルが好ましい。用いられるカップリング剤としてはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤など公知のものを使用することができる。
中でも、シランカップリング剤、特にメチルトリメトキシシラン処理された導電性微粉末を用いると帯電の環境安定性に特に効果的である。
導電性微粉末の体積平均粒径は0.5μm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.05μm以上0.45μm以下であり、更に好ましくは、0.05μm以上0.35μm以下である。導電性微粉末の体積平均粒径の測定方法は、上記核体の体積平均粒径の測定方法に準ずる。
導電性微粉末の体積平均粒径が0.5μmを超えると、被覆樹脂層からの脱落が生じやすく、安定した帯電性が得られない場合があるため好ましくない。
前記導電性微粉末は、101Ω・cm以上1011Ω・cm以下の電気抵抗を有していることが好ましく、103Ω・cm以上109Ω・cm以下の電気抵抗を有していることがより好ましい。尚、本明細書において、導電性微粉末の電気抵抗は、以下の方法で測定した値をいう。
常温常湿下で、導電性微粉末を2×10-42の断面積を有する容器に厚み約1mm程度になるように充填し、その後、充填した導電性微粉末上に、金属製部材により、1×104kg/m2の荷重をかける。該金属製部材と、容器の底面電極との間に106V/mの電界が生じる電圧を印加し、その際の電流値から算出した値を電気抵抗値とする。
導電性微粉末は、被覆樹脂層中に、通常1〜80容量%含有され、好ましくは2〜20容量%、さらに好ましくは5〜50容量%含有される。
キャリアの核体の表面に前記被覆層を形成する方法としては、キャリア核体を、前記樹脂、導電材料および溶剤を含む被覆層形成用溶液を調製し、この中に浸漬する浸漬法や、被覆層形成用溶液をキャリア核体の表面に噴霧するスプレー法、キャリア核体を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、或いはニーダーコーター中でキャリア核体と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
前記被覆層形成用溶液の調製に使用する溶剤は、前記樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類を使用することができる。
前記被覆層の平均膜厚は、0.1μm〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1μm〜3.0μmであり、更に好ましくは0.1μm〜1.0μmである。樹脂被覆層の平均膜厚が0.1μmよりも薄いと、長時間使用時に被覆層剥れによる抵抗低下が発生し、10μmを超えると飽和帯電量に達するまでの時間がかかるとなるため好ましくない。
このように上記核体の表面を樹脂等で被覆した第一の態様のキャリアの真比重は3.0〜8.0であることが好ましく、3.5〜7.0であることがより好ましく、4.0〜6.0であることが更に好ましい。真比重が3.0よりも軽い場合には、トナーの流動性の状態に近づくため、帯電付与能力が減少し、真比重が8.0よりも重い場合には、キャリアの流動性の低下が発生し、トータルエネルギー量が上限値を超えて大きくなる傾向となるため好ましくない。
また、第一の態様のキャリアについて、下記式(1)で表される形状係数SF1は、130以下であることが好ましく、より好ましくは、120以下である。
形状係数SF(1)は100に近づくほど真球となる。キャリアの形状係数SF1が大きくなるほど、形状の歪によってキャリアどうしの衝突によって流動性が低くなる。そのため、形状係数SF(1)が130を超えると、上記トータルエネルギー量が、上限値を超えて大きくなる傾向にある。
式(1): (ML2/A)×(π/4)×100
式(1)中、MLはキャリア粒子の絶対最大長を表し、Aはキャリア粒子の投影面積を表す。
形状係数SF1の平均値は、250倍に拡大した50個以上のキャリア粒子を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEX III、ニレコ社製)に取り込み、その最大長及び投影面積から、個々の粒子について前記SF1の値を求め平均したものである。
第一の態様のキャリアの飽和磁化は、40emu/g以上であることが好ましく、50emu/g以上であることがより好ましい。
磁気特性の測定としての装置は振動試料型磁気測定装置VSMP10−15(東英工業社製)を用いる。測定試料は内径7mm、高さ5mmのセルに詰めて前記装置にセットする。測定は印加磁場を加え、最大1000エルステッドまで掃引する。ついで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製する。カーブのデータより、飽和磁化、残留磁化、保持力を求める。本発明においては、飽和磁化は1000エルステッドの磁場において測定された磁化を示す。
キャリア抵抗は、1×108〜1×1014Ωcmの範囲に制御されることが好ましく、1×108〜1×1013Ωcmの範囲であることがより好ましく、1×108〜1×1012Ωcmの範囲であることがさらに好ましい。
キャリア抵抗が1×1014Ωcmを超える場合、高抵抗になり、現像時に現像電極として働きにくくなるため、特にベタ画像部でエッジ効果が出るなど、ソリッド再現性が低下する。一方、1×108Ωcm未満の場合、低抵抗になるため、現像剤中のトナー濃度が低下した時に現像ロールからキャリアへ電荷が注入し、キャリア自体が現像されてしまう不具合が発生しやすい。
上記キャリア抵抗(Ω・cm)は以下のように測定した値とする。なお、測定環境は、温度20℃、湿度50%RHとする
20cm2の電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象となるキャリアを1〜3mm程度の厚さになるように平坦に載せ、キャリア層を形成する。この上に前記同様の20cm2の電極板を載せキャリア層を挟み込む。キャリア間の空隙をなくすため、キャリア層上に載置した電極板の上に4kgの荷重をかけてからキャリア層の厚み(cm)を測定する。キャリア層上下の両電極には、エレクトロメーターおよび高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が103.8V/cmとなるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、キャリア抵抗(Ω・cm)を計算する。キャリア抵抗(Ω・cm)の計算式は、下式(2)に示す通りである。
式(2): R=E×20/(I−I0)/L
上記式中、Rはキャリアの体積電気抵抗(Ω・cm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、I0は印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lはキャリア層の厚み(cm)をそれぞれ表す。また、20の係数は、電極板の面積(cm2)を表す。
−第二の態様のキャリア(核体が磁性粉分散粒子で構成されるキャリア)−
第一の態様のキャリアにおいて、核体は、磁性粉が樹脂中に分散されてなる磁性粉分散粒子で構成される。
前記磁性粉としては、上記磁性体粒子で記載した磁性体を適用することができ、これらの中でも、酸化鉄が好ましい。前記磁性体微粒子が、酸化鉄微粒子であると、特性が安定しており、かつ毒性が少ない点で有利である。
これら磁性体は、単種で使用しても良く、2種以上併用してもよい。
磁性粉の粒径は、0.01〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.03μm〜0.5μmであり、更に好ましくは、0.05μm〜0.35μmである。磁性粉の粒径が0.01μm未満の場合、飽和磁化の低下を招いたり、あるいは組成物(モノマー混合物)の粘度が増大し、均一粒径のキャリアが得られない場合がある。一方、磁性粉の粒径が1μmを超える場合、均質な磁性粒子を得ることができない場合がある。
前記磁性粉の磁性粉分散粒子中における含有量としては、30質量%〜95質量%であることが好ましく、45質量%〜95質量%であることがより好ましく、60質量%〜95質量%であることが更に好ましい。前記含有量が、30質量%未満であると、磁性体分散型キャリアの飛散等を招くことがあり、95質量%を越えると、磁性体分散キャリアの穂が固くなり、割れ易くなることがある。
磁性粉分散粒子中の樹脂成分は、架橋されたスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、フェノール系樹脂、ウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等を挙げることができる。
本発明の磁性粉分散粒子は、前記マトリックス及び前記磁性粉のほか、目的に応じてさらにその他の成分を含有していてもよい。前記その他の成分としては、例えば、帯電制御剤、フッ素含有微粒子などが挙げられる。
磁性粉分散粒子の好ましい粒径分布としては、体積平均粒径D84v/体積平均粒径D50vが1.20以下、個数平均粒径D50p/個数平均粒径D16pが1.25以下であり、より好ましくは、体積平均粒径D84v/体積平均粒径D50vが1.15以下、個数平均粒径D50p/個数平均粒径D16pが1.20以下である。
磁性粉分散粒子の製造方法は、例えば、磁性体粉末とスチレンアクリル樹脂等の絶縁性樹脂とを、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて溶融混練し、冷却した後に粉砕し、分級する溶融混練法(特公昭59−24416号公報、特公平8−3679号公報等)や、結着樹脂のモノマー単位と磁性体粉末とを溶媒中に分散して懸濁液を調製し、この懸濁液を重合させる懸濁重合法(特開平5−100493号公報等)や、樹脂溶液中に磁性体粉末を混合分散した後、噴霧乾燥するスプレードライ法などが知られている。
前記溶融混練法、前記懸濁重合法、及び前記スプレードライ法はいずれも、磁性体粉末をあらかじめ何らかの手段により調製しておき、この磁性体粉末と樹脂溶液とを混合し、前記樹脂溶液中に前記磁性体粉末を分散させる工程を含む。
溶融混練法によって磁性粉分散粒子を製造する場合、上記粒径分布とするためには、遠心分離式の分級機、慣性方式の分級機、あるいは、篩による選別により、所望の粒度分布に合わせることができる。
懸濁重合法によって磁性粉分散粒子を製造する場合、上記粒径分布とするためには、分散粒子径を整えることが極めて重要であり、分散時の温度、界面活性剤の量・種類、攪拌速度・時間、等を調整することが肝要である。これら種々の因子を組み合わせて粒子を整えていく。
スプレードライ法によって磁性粉分散粒子を製造する場合、上記粒径分布とするためには、噴霧条件と乾燥条件を調整することが重要である。例えば、液滴の大きさによって磁性粉分散粒子の大きさを制御するため、吐出ノズルの圧力や、回転盤の回転数を調整することで液滴の大きさを変化させたり、乾燥条件を変えることでキャリアの表面状態などを制御することが肝要である。
第二の態様のキャリアにおける核体の体積平均粒径としては、10〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは30〜150μmの範囲のものであり、更に好ましくは30〜100μmの範囲のものである。体積平均粒径が10μm未満ではキャリアが感光体に移行しやすく、かつ製造性が低下し、500μmを越えるとブラシマークと呼ばれるキャリアのすじが画像上に生じ、ざらざらした感じの画像となる点で好ましくない。
かかる核体の体積平均粒径の測定方法は、核体が磁性体粒子の場合と同様である。
第二の態様のキャリアの核体において、真比重は、2.0〜5.0であることが好ましく、2.5〜4.5であることがより好ましく、3.0〜4.0であることが更に好ましい。真比重が2.0よりも軽い場合には、トナーの流動性の状態に近づくため、帯電付与能力が減少し、真比重が5.0よりも重い場合には、キャリアの流動性の低下が発生し、トータルエネルギー量が上限値を超えて大きくなる傾向となるため好ましくない。
磁性粉分散粒子の表面に形成される被覆層は、上記磁性体粒子の表面に形成される被覆層で適用した材料を適用することができ、好ましい材料も同様である。また、被覆層に含有できる物質や、被覆層の形成方法についても、磁性体粒子上の被覆層の場合と同様である。
磁性粉分散粒子の表面の被覆層の平均膜厚は、0.1μm〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1μm〜3.0μmであり、更に好ましくは0.1μm〜1.0μmである。樹脂被覆層の平均膜厚が0.1μmよりも薄いと、長時間使用時に被覆層剥れによる抵抗低下が発生し、10μmを超えると飽和帯電量に達するまでの時間がかかるため好ましくない。
磁性粉分散粒子の表面に被覆層を設けた第二の態様のキャリアの真比重は2.0〜5.0であることが好ましく、2.5〜4.5であることがより好ましく、3.0〜4.0であることが更に好ましい。真比重が2.0よりも軽い場合には、トナーの流動性の状態に近づくため、帯電付与能力が減少し、真比重が5.0よりも重い場合には、キャリアの流動性の低下が発生し、トータルエネルギー量が上限値を超えて大きくなる傾向となるため好ましくない。
第二の態様のキャリアについて、上記式(1)で表される形状係数SF1は、150以下であることが好ましく、より好ましくは、130以下である。形状係数SF1の求め方は、第一の態様の場合と同様である。
第二の態様のキャリアの飽和磁化は、30emu/g以上であることが好ましく、40emu/g以上であることがより好ましく、さらに好ましくは50emu/gである。
磁気特性の測定方法は、第一の態様の場合と同様である。
キャリア抵抗は、1×107〜1×1014Ωcmの範囲に制御されることが好ましく、1×108〜1×1013Ωcmの範囲であることがより好ましく、1×108〜1×1012Ωcmの範囲であることがさらに好ましい。
キャリア抵抗が1×1014Ωcmを超える場合、高抵抗になり、現像時に現像電極として働きにくくなるため、特にベタ画像部でエッジ効果が出るなど、ソリッド再現性が低下する。一方、1×107Ωcm未満の場合、低抵抗になるため、現像剤中のトナー濃度が低下した時に現像ロールからキャリアへ電荷が注入し、キャリア自体が現像されてしまう不具合が発生しやすい。
上記第二の態様のキャリア抵抗(Ω・cm)は、前記第一の態様のキャリア抵抗の測定と同様である。
<トナー>
次に、トナーについて説明する。
本発明の静電潜像現像用トナー(以下、単に「トナー」という場合がある)は、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母粒子の平均形状係数SF1が140以下であり、更に好適には該母粒子に外添剤を一種添加してなるものである。
ここで、本発明における形状係数SF1とは、下記式(1)で表されるものと定義する。
式(1): SF1=100×π×ML2/4A
上記式(2)中、SF1は形状係数を表し、MLは粒子の絶対最大長を表し、Aは粒子の投影面積を表す。なお、形状係数SF1は、真球の場合に100となり、歪みが大きくなるほどに100よりも大きな値となる。
トナー母粒子の平均形状係数SF1は、現像機内攪拌ストレスを低減するような現像剤を得る為に真球形に近い形態であることが望ましく、本発明では、140以下である必要がある。好ましくは110〜138であり、より好ましくは120〜135である。形状係数SFの平均値が140を超えると、歪んだトナー粒子によるキャリア樹脂被覆層の剥離を促すため好ましくない。
なお、前記形状係数SF1の平均値は、250倍に拡大した50個以上のトナー像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEX III、ニレコ社製)に取り込み、その最大長及び投影面積から、個々の粒子について前記SF1の値を求め平均したものである。
トナーの粒度分布指標としては、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30以下、数平均粒度分布指標GSDpが1.38以下であることが好ましい。また、体積平均粒度分布指標GSDvと数平均粒度分布指標GSDpとの比GSDv/GSDpが0.95以上であることが好ましい。
体積平均粒度分布指標GSDvが1.30を超える、あるいは数平均粒度分布指標GSDpが1.38を超えると画像の解像性が低下し、GSDv/GSDpが0.95未満の場合、帯電性の低下を発生させることがあると同時に飛び散り、カブリ等の画像欠陥の原因ともなり得る場合がある。
上記体積平均粒径及び粒度分布指標は、コールターウンターTAII(ベックマン−コールター社製)を用いて測定される粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、数をそれぞれ小粒径側から累積分布を引いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v(これを「体積平均粒径」とする)、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。そして、前記体積粒度分布指数GSDvは、(D84v/D16v1/2として算出され、前記数平均粒度分布指数GSDpは、(D84p/D16p1/2として算出される。
なお、前記測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。
具体的な測定法としては、次の通りである。分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加え、これを前記電解液100〜150ml中に添加する。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて粒度分布を測定して、前述のようにして体積平均粒径を求める。測定する粒子数は50,000とする。
(1)トナー組成
以下に、本発明にかかるトナーを構成する物質について説明する。
1)結着樹脂
トナーの結着樹脂としては特に制限されず、結晶性樹脂、あるいは、無定形樹脂(非結晶性樹脂)のいずれを用いても良く、両者を組合せて用いてもよい。
なお、両者を併用する場合の結晶性樹脂と、無定形樹脂(非結晶性樹脂)との混合割合は、用途や目的に応じて低温定着性や、カブリ、画像の保存性等の種々の特性のバランスが取れるように適宜選択することができる。また、両者を併用する場合、通常は、全結着樹脂に対する結晶性樹脂の割合を20〜60重量%の範囲内とすることが好ましい。さらに、結晶性樹脂を含むコア層と、コア層を被覆し、無定形樹脂を含むシェル層とからなるいわゆるコアシェル構造を有するトナーを作製することもできる。
なお、本発明のトナーに用いることができる結晶性樹脂の『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを意味する。一方、半値幅が10℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性樹脂(無定形樹脂)を意味する。
−非結晶性樹脂−
非結晶性樹脂としては、特に限定されるわけではないが、公知の樹脂材料を用いることができる。例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸エチルヘキシル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニル基を有するエステル類;マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル等の二重結合を有するカルボン酸類;エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン等のオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の二重結合を有するカルボン酸類;などを単独で重合、またはこれらを2種類以上組み合わせて共重合したもの、さらにはこれらの混合物を挙げることができる。
さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物やこれらの共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等が挙げられる。
本発明における非結晶性樹脂には、重合度の制御等のために、解離性ビニル系単量体を非結晶性樹脂を構成する単量体とともに重合時に含有させても良い。前記解離性ビニル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなど高分子酸、高分子塩基の原料となる単量体をいずれも使用することができる。重合体形成反応の容易性などから高分子酸が好適であり、中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を有する解離性ビニル系単量体が重合度の制御、ガラス転移点の制御の観点から好ましい。なお、これら解離性ビニル系単量体は通常非結晶性樹脂重合時に、共重合して、用いることができる。
前記ビニル系単量体の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができる。その他の樹脂の場合、その樹脂が油性であって水への溶解度が比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に溶解し、水にイオン性界面活性剤及び/又は高分子電解質を溶解し、それらと共にホモジナイザーなどの分散機により水中に粒子分散するのがよい。その後、加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を調製するのがよい。
非結晶性樹脂の重量平均分子量Mwは10000〜100000の範囲であることが好ましく、20000〜50000の範囲がより好ましく、20000〜35000の範囲であることがさらに好ましい。Mwが10000未満であると可塑化が生じやすくオフセットの発生を防止できない場合があり、100000を超えると通常の定着を行うことができない場合がある。
前記Mwの測定は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。測定条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
本発明におけるトナーは、非結晶性樹脂の重合時に連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に制限はないが、チオール成分を有する化合物を用いることができる。具体的には、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類が好ましく、特に分子量分布が狭く、そのため高温時のトナーの保存性が良好になる点で好ましい。
本発明における非結晶性樹脂は、重合性単量体のラジカル重合により製造することができる。
ここで用いるラジカル重合用開始剤としては、特に制限はない。具体的には、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸tert−ブチルヒドロペルオキシド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等の過酸化物類、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブ
タン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロへプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物類、1,4−ビス(ペンタエチレン)−2−テトラゼン、1,4−ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テトラゼン等が挙げられる。
上記重合時において、主に前記重合開始剤量が分子量制御に影響し、一般的に重合開始剤量を減少させると分子量は増加する。
本発明における非結晶性樹脂のガラス転移温度は、45〜60℃の範囲であることが好ましく、50〜60℃の範囲であることがより好ましい。ガラス転移温度が45℃未満であると、トナーが貯蔵中又は現像器中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、ガラス転移温度が60℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない。
−結晶性樹脂−
結晶性樹脂としては、結晶性を有する樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられるが、定着時の紙への定着性や帯電性、及び好ましい範囲での融点調整の観点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。また、適度な融点をもつ直鎖脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
上記結晶性ポリエステル樹脂は、酸(ジカルボン酸)成分と、アルコール(ジオール)成分とから合成されるものである。なお、本発明では、結晶性のポリエステル主鎖に対して、他成分を50質量%以下の割合で共重合した共重合体も結晶性ポリエステル樹脂とする。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けて製造することができる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度180〜230℃の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させても良い。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させると良い。
結晶性ポリエステル樹脂の製造時に使用可能な触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、及びアミン化合物等が挙げられる。
具体的には、例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
このようにして製造され、本発明に用いられ得る結晶性ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリ−1,2−シクロプロペンジメチレンイソフタレート、ポリデカメチレンアジペート、ポリデカメチレンアゼレート、ポリデカメチレンオキサート、ポリデカメチレンセバケート、ポリデカメチレンサクシネート、ポリアイコサメチレンマロネート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ブチレート、ポリエチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリエチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリヘキサメチレン−p−(カルボフェノキシ)ウンデカノエート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンスベレート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンアジペート、ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレンマロネート等が挙げられる。
さらに、トランス−ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニレン−1−メチルシクロプロパンジカルボキシレート、ポリノナメチレンアゼレート、ポリノナメチレンテレフタレート、ポリオクタメチレンドデカンジエート、ポリペンタメチレンテレフタレート、トランス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパンジカルボキシレート、シス−ポリ−m−フェニレンシクロプロパンジカルボキシレート、ポリテトラメチレンカーボネート、ポリテトラメチレン−p−フェニレンジアセテート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリトリメチレンドデカンジオエート、ポリトリメチレンオクタデカンジオエート、ポリトリメチレンオキサレート、ポリトリメチレンウンデカンジオエート、ポリ−p−キシレンアジペート、ポリ−p−キシレンアゼレート、ポリ−p−キシレンセバケート、ポリジエチレングリコールテレフタレート、シス−ポリ−1,4−(2−ブテン)セバケート、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
なお、これらの重合体において使用される複数のエステル系モノマーの共重合体、エステル系モノマー及びこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体等も使用することができる。
本発明における結晶性樹脂の融点は、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。但し、上限としては100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。また、特に低温定着性のためには結晶性樹脂の融点は60〜95℃の範囲であることが好ましい。
結晶性樹脂の融点が40℃より低い場合は、トナーの保存時や使用時に、トナーがブロッキングを起こすおそれがある。また、結晶性樹脂の融点が100℃より高い場合は、低温定着性が達成されないおそれがある。
本発明において、前記結晶性樹脂の融点の測定には、前記示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時の、ASTM D3418−8に準拠した示差熱分析測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、上記測定において複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピーク温度をもって融点とみなす。
結晶性樹脂の分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量Mwが8,000〜80,000の範囲であることが好ましく、10,000〜50,000の範囲がより好ましく、15,000〜30,000の範囲であることがさらに好ましい。結晶性樹脂の重量平均分子量が8,000より小さいと、定着像の強度不足、現像器攪拌中の破砕等が生じるおそれがある。また、結晶性樹脂の重量平均分子量が80,000より大きいと、定着温度が上昇するおそれがある。
なお、上記分子量の測定は、非結晶性樹脂の分子量測定法と同様に行うことができる。
本発明のトナーにおいて、非晶性樹脂と結晶性樹脂とは適度に相溶することが望ましい。非晶性樹脂と結晶性樹脂とが完全に相溶してしまうと、溶融時にトナー粘度が下がりすぎて、耐ホットオフセット性が悪化する場合がある。また、両者が完全に非相溶であると、結晶性樹脂がトナー内部に取り込まれず、表面に吐き出されて(リジェクション)しまい、その結果、トナーの帯電・粉体・定着特性に悪影響を与える場合がある。
2)着色剤
本発明における着色剤としては、公知の有機、もしくは、無機の顔料や染料、油溶性染料を使用することができる。
例えばC.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45432)、カーボンブラック、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、金属錯塩染料の誘導体これらの混合物等を挙げることができる。
さらにはシリカ、酸化アルミニウム、マグネタイトや各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び酸化マグネシウムなどの種々の金属酸化物及びこれらの混合物などが挙げられる。用いる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。
着色剤の含有量は、トナー粒径や現像量に依存するが、結着樹脂100質量部に対して1〜50質量部の範囲程度が適切である。特に、2〜25質量部の範囲が好ましい。
これらの着色剤は、単独もしくは混合し、更には固溶体の状態で使用できる。これらの着色剤は、公知の方法で分散されるが、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等が好ましく用いられる。
更に、これらの着色剤が乳化凝集法等に用いられる場合には、極性を有する界面活性剤を用い、前記ホモジナイザーによって水系に分散される。
3)外添剤
本発明においては、転写性、流動性、クリーニング性及び帯電量の制御性、特に流動性を改善するため、トナーに外添剤を含有させることが好ましい。なお、外添剤とは、上記トナー母粒子表面に付着させる無機微粒子をいう。
無機微粒子としてはSiO2、TiO2、Ti(OH)2、Al23、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe23、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2n(nは1〜4の整数)、Al23・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等を使用することができる。これらのうち、特にシリカ微粒子、チタニア微粒子の場合には、流動性が良好となるため好ましい。
本発明においては、外添剤の体積平均粒径は、5〜40nmであることが好ましい。
外添剤の体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして求めることができる。
外添剤の無機微粒子の表面は、予め疎水化処理されていることが望ましい。この疎水化処理によりトナーの粉体流動性が改善されるほか、帯電の環境依存性、及び耐キャリア汚染性に対しても有効である。疎水化処理は疎水化処理剤に無機微粒子を浸漬する等して行うことができる。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもシラン系カップリング剤が好適である。
4)その他の成分
本発明のトナーを構成する成分としては、既述したように、結晶性樹脂及び非晶性樹脂を含む結着樹脂と着色剤とを含有するものであれば特に限定されないが、必要に応じて、離型剤等の他の成分を含んでいてもよい。
本発明に用いる離型剤としては、以下のような具体例が挙げられる。
例えば、ロウ類及びワックス類として、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等である。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックスも使用できる。
さらに、他の離型剤としては、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート/エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子が挙げられる。これらの中でより好ましいものとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックスあるいは合成ワックスが挙げられる。
離型剤の含有量は、トナー粒子全体の10〜40質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲がより好ましく、15〜30質量%の範囲がさらに好ましく、15〜25質量%の範囲が特に好ましい。離型剤の含有率が10質量%以上であれば、充分な離型性を確保することができ、ホットオフセットの発生が防止できる。一方、40質量%以下であればトナー表面への離型剤の露出がなく、良好な流動性や帯電性を得ることができる。
またその他に、本発明のトナーには、必要により滑剤や帯電制御剤を加えても良い。
使用できる滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩が挙げることができる。
前記帯電制御剤は、帯電性をより向上安定化させるために添加するものであり、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、後述する乳化凝集法等によりトナーを作製する場合の凝集工程や融合・合一工程において、凝集粒子の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から、水に溶解しにくい材料が好適である。
特に、帯電制御剤としては、粉体トナーにおいて使用されている、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩からなる群より選ばれる化合物、さらにこれらを適宣組合せたものが好ましく使用できる。
また、帯電制御剤として、湿式で無機粒子をトナーに添加する場合、このような無機粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど通常トナー表面の外添剤として使うすべての無機粒子を挙げることができる。この場合、これら無機粒子はイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基等を用いて溶媒中に分散させて利用することができる。
本発明のトナーは、コア/シェル構造を有するトナー母粒子であってもよい。コア部分を形成する結着樹脂としては特に制限はないが、上記結晶性樹脂、非結晶性樹脂、或いはこれらの組み合わせであってもよい。シェル部分を形成する結着樹脂としても特に制限はないが、非結晶性樹脂であることが好ましく、コア部分とシェル部の非晶性樹脂は同じであって、異なるものであってもよい。
(2)トナーの製造方法
トナーの製造方法については、上記形状係数SF1を満たすものが得られるのであれば特に制限されず、混練粉砕法、懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法などを適用することができるが、好適な形状係数や粒径を有するトナーを作製するためには湿式粒造法を用いることが好ましい。前記湿式造粒法としては、公知の溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等の方法が挙げられ、本発明においては、これらの中でも乳化凝集法が好適に用いられる。
混練粉砕法とは、結着樹脂と着色剤、離型剤、その他添加剤を混練、粉砕、分級する方法である。混練粉砕によって作製された粒子は、粒度分布が比較的広く、形状が不定形であり、形状係数SF1は140を超えるものが大半である。この混練粉砕トナーを用いると、尖りの部分がキャリア樹脂被覆層を剥離してしまう。そこで、本発明では、混練粉砕によって作製された粒子を分級して粒度分布を狭くし、更に熱処理を行うことで形状を球形に整えることが好ましい。
本発明において、混練粉砕の方法は、公知の方法を適宜適用することができる。また、分級には、重力式の分級機、遠心分離式の分級機、慣性方式の分級機、あるいは、篩による選別等を適宜適用することができる。熱処理には、流動層、スプレードライヤーなどを用いることができる。
懸濁重合法とは、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、その他添加物を含む溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する方法である。
また、溶解懸濁法とは、結着樹脂と着色剤、離型剤、の他添加物を含む溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する方法である。
乳化重合凝集法とは、乳化重合などにより作製した樹脂微粒子分散液と、溶媒に着色剤を分散させて作製した着色剤分散液とを混合して、トナー粒径に相当する凝集体を形成し、次いで、この凝集体を加熱することによって融合・合一させトナーを作製する方法である。すなわち、乳化重合凝集法は混練粉砕法に比較して、粒度分布を狭く保ちながらトナーの小径化を行うことが容易であるとともに、液中で融合合一化する条件を調整することによりトナー表面の平滑化や球形度制御を図ることができる。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、潜像担持体を帯電させる帯電工程と、帯電した前記潜像担持体を露光して潜像担持体上に静電潜像を形成させる露光工程と、トナーとキャリアとを含む現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像工程と、前記トナー像を前記潜像担持体から被記録材に転写する転写工程と、を有する画像形成方法であることが好ましい。なお、画像形成に用いるキャリアは、上述の静電荷像現像用キャリアを含む。
上記現像剤に含まれるトナーは、既述のトナーである。
本発明の画像形成方法では、上記帯電工程、露光工程、現像工程、及び転写工程については、公知の技術を適宜適用することができる。さらに、これらの工程に加え、転写工程後の潜像担持体をクリーニングするクリーニング工程、転写された被記録材上のトナー像を定着させる定着工程等を行ってもよい。
また、前記現像工程は、現像剤を表面に担持する現像剤担持体(所謂マグロール)が前記像担持体に対向して回転し、前記現像剤を前記像担持体に搬送させる態様であることが好ましい。
特に、潜像担持体の周速が100〜600mm/secで、且つ、潜像担持体の周速に対する現像剤担持体の周速の比が1.2〜2.0であることが好適である。
潜像担持体の周速が100mm/sec未満である場合、近年における高速化の対応に適さず、あまり好ましくない。一方、600mm/secを超える場合、潜像坦持体は帯電後、露光によって光減衰し、潜像を形成するがその光減衰が十分に起こる前に現像工程にいってしまう。そのため十分なコントラストを得ることができずに、解像度の低い現像像となってしまうため好ましくない。
また、潜像担持体の周速に対する現像剤担持体の周速の比が1.2より小さいと、現像剤が潜像坦持体に現像する時間が短いために特に高像密度像の場合に現像するトナーが足りなくなり、低濃度となってしまうため好ましくなく、該比が2.0より大きいと、現像剤は潜像坦持体と十分に接触し現像するトナーとしても十分であるが、逆に現像剤坦持体の潜像坦持体に対する相対速度が速すぎることにより、潜像坦自体が現像剤にこすられ現像像が乱れてしまうため好ましくない。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、潜像担持体と、前記潜像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記潜像担持体を露光して潜像担持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記潜像担持体から被記録材に転写する転写手段と、を有する画像形成装置であることが好ましい。
これらの各構成部材、すなわち、電子写真感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、更に、クリーニング装置および除電装置については、本発明において、特に制限されるものではなく、従来公知の如何なる構成のものも問題なく使用することができる。
また、上記現像手段は、上記現像剤を攪拌する攪拌手段と、現像剤を像担持体まで搬送する上記現像剤担持体(所謂マグロール)を有することが好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<各種特性の測定方法>
まず、実施例、比較例で用いたキャリア等の物性測定方法について説明する。
−形状係数−
スライドグラス上に散布したトナー母粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じて画像解析装置(LUZEXIII、ニレコ社製)に取り込み、50個について円相当径を測定して、最大長及び面積から、個々の粒子について上記式(1)からSF1を算出し、平均値を求めた。
−体積平均粒径−
測定装置としては、コールターカウンターTA−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加えた。これを前記電解液100〜150ml中に添加した。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて粒度分布を測定して、前述のようにして体積平均粒径を求めた。測定する粒子数は50000であった。
−キャリアの粒径分布−
測定装置としては、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)を使用した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を10〜200mg加えた。これを純水100〜150ml中に添加した。試料を懸濁した液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記LS Particle Size Analyzer:LS13 320により、ポンプスピード80%で粒度分布を測定して、前述のようにして体積平均粒径、粗粉側粒度分布、微粉側粒度分布を求めた。
−ガラス転移点−
ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC−50)を用い、昇温速度3℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移点は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とした。
−重量平均分子量及び数平均分子量−
重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
−樹脂酸価−
樹脂酸価(AV)は以下のようにして測定した。基本操作はJIS K−0070−1992に準ずる。
試料は予め結着樹脂のTHF不溶成分を除去して使用するか、上記のTHF不溶分の測定で得られるソックスレー抽出器によるTHF溶媒によって抽出された可溶成分を試料として使用した。試料の粉砕品1.5gを精秤し、300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液100mlを加え溶解させた。自動滴定装置GT−100(ダイアインスツルメンツ社製)を用いて、0.1mol/lのKOHのエタノール溶液により電位差滴定を行った。この時のKOH溶液の使用量をA(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とする。これらの値から、下記式により酸価を計算した。下記式中、wは精秤した試料量、fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(A−B)×f×5.61}/w
<トナー粒子の製造>
(トナー粒子(1)の製造)
・ポリエステル樹脂(テレフタル酸/ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物/シクロヘキサンジメタノールから得られた線状ポリエステル:Tg=60℃、Mn=3,600、Mw=28,000、酸価=15。) 85部
・植物系ワックス(カルナバワックス) 6部
・SiO2微粒子(R972;日本アエロジル製) 3部
・C.I.ピグメント・ブルー15:3 6部
上記各成分をヘンシェルミキサーで充分予備混合を行い、バンバリーミキサーにより溶融混練し、冷却圧延、予備粉砕した後に、ジェットミルにより微粉砕を行い、さらに流動層型熱処理装置SFP−LABO(パウレック製)により球形化処理(乾燥空気量1L/min、設定乾燥空気温度70℃、ブレード回転数500rpmで60分間回分処理をした)を行った後に、さらにコアンダ効果を利用した分級機エルボージェット(松坂貿易社製)で分級を行い、トナー母粒子(1)(Cyanトナー)を得た。
得られたトナー母粒子(1)は、体積平均粒径6.0μmであって、4μm以下の粒径のトナー粒子数が5個数%、16μm以上の粒径のトナー粒子が1体積%であり、平均形状係数SF1が132であった。
この粒子100部と、外添剤として30nmの疎水性酸化チタン微粒子(商品名:STT30A、チタン工業社製)1.0部と40nmの疎水性シリカ微粒子(商品名:RX50、日本アエロジル社製)1.0部をヘンシェルミキサーにて混合してトナー粒子(1)を調製した。
(トナー粒子(2)の製造)
実施例1のトナー粒子(1)の製造において、球形化処理時間を90分間となるように変更した以外は同様にして、トナー母粒子(2)を得た。
得られたトナー母粒子(2)は、体積平均粒径5.9μmであって、4μm以下の粒径のトナー粒子数が4.9個数%、16μm以上の粒径のトナー粒子が1.1体積%であり、平均形状係数SF1が128であった。
このトナー母粒子(2)に対して、実施例1と同様の方法で外添剤を添加し、トナー粒子(2)を調製した。
(トナー粒子(3)の製造)
実施例1のトナー粒子(1)の製造において、球形化処理時間を30分間に変更した以外は同様にして、トナー母粒子(3)を得た。
得られたトナー母粒子(3)は、体積平均粒径6.1μmであって、4μm以下の粒径のトナー粒子数が5.1個数%、16μm以上の粒径のトナー粒子が1体積%であり、平均形状係数SF1が139であった。
このトナー母粒子(3)に対して、実施例1と同様の方法で外添剤を添加し、トナー粒子(3)を得た。
(比較のトナー粒子(4)の製造)
実施例1のトナー粒子(1)の製造において、球形化処理時間を5分間となるように変更した以外は同様にして、トナー母粒子(4)を得た。
得られたトナー母粒子(4)は、体積平均粒径5.1μmであって、4μm以下の粒径のトナー粒子数が5.1個数%、16μm以上の粒径のトナー粒子が4.9体積%であり、平均形状係数SF1が146であった。
このトナー母粒子(4)に対して、実施例1と同様の方法で外添剤を添加し、トナー粒子(4)を得た。
<キャリアの製造>
(キャリア(1)の製造)
フェライト粒子(Mn−Mg−Ferrite、真比重4.5g/cm3、体積平均粒径35μm、形状係数SF1125。)をエルボジェットにて微粉や粗粉を除き、被覆用核体粒子を形成した。具体的には、エルボジェット(日鉄鉱業社製、品番EJ−LABO)にて微粉や粗粉を除き、被覆用核体粒子を形成した。
得られた被覆用核体粒子の粒径分布は、粗粉側:1.18、微粉側:1.20であり、体積平均粒径37μm、形状係数SF1124であった。
被覆用核体粒子100部に対し、スチレンメチルメタクリレート共重合体(共重合比20:80、重量平均分子量80000、三菱レイヨン社製)のトルエン溶液(固形分15質量%)を20部加え、ジャケットを備えた容量50Lの回分式ニーダー内で10分間混合し、攪拌しながら混合物の温度を上昇させ、120℃以上の温度で20分間攪拌した後、混合物の温度が60℃になるまで冷却攪拌を行い、被覆キャリアを取り出した。その後、エルボジェットによる微粉/粗粉除去を3回繰り返し、キャリア(1)を得た。
得られたキャリア(1)の粒径分布は粗粉側:1.15、微粉側:1.16であり、体積平均粒径は37μm、形状係数SF(1)は123であった。
得られたキャリア(1)のトータルエネルギー量を、既述の方法によってパウダーレオメーターFT4(freeman technology社製)を使用して測定した。具体的な測定方法は以下の通りである。
まず、160mlの容器の上側に補助器具を取り付け、160mlの容器上部を越えるようにキャリア(1)を投入した。次に本測定装置にキャリア(1)を詰めた容器の上部に回転翼(freeman technology社製、商品名φ48mm径ブレード、径48mm、幅10mm)をセットし、−5.0°の進入角で、回転翼の先端スピードを60mm/sとして、4回コンディショニングを行った。
続いて、コンディショニングによって充分脱気されたキャリア(1)を160ml容器上端で擦り切り、進入角−5.0°、回転翼の先端スピードを100mm/secで、容器下部から10mmまで回転翼を進入させ(進入距離70mm)、そのときのトルクの積算値をトータルエネルギー量として求めた。キャリア(1)のトータルエネルギー量は2400mJ(中心値)であった。
(キャリア(2)〜(3)の製造)
キャリア(1)の製造において、エルボジェットでの微粉/粗粉除去の操作を3回繰り返したところを、それぞれ2回、4回と変更した以外は同様にして、キャリア(2)〜(3)を作製した。キャリア(2)〜(3)のトータルエネルギー量は、表1に示す値であった。
(比較のキャリア(7)の製造)
フェライト粒子(Mn−Mg−Ferrite、真比重4.5g/cm3、体積平均粒径35μm、形状係数SF(1)125。)を分級せずそのまま使用した。前記フェライト粒子100部に対し、スチレンメタクリレート共重合体のトルエン溶液(固形分15重量%)を20部加え、ジャケットを備えた容量50Lの回分式ニーダー内で10分間混合し、攪拌しながら混合物の温度を上昇させ、120℃以上の温度で20分間攪拌した後、混合物の温度が60℃になるまで冷却攪拌を行い、被覆キャリアを取り出した。その後、75μm篩で粗粉を取り除き、比較のキャリア(7)を得た。
得られたキャリア(7)のトータルエネルギー量は3800mJであった。
(比較のキャリア(8)の製造)
キャリア(1)の製造において、エルボジェットでの微粉/粗粉除去の操作を3回繰り返したところを、6回に変更した以外は同様にして、比較のキャリア(8)を作製した。キャリア(8)のトータルエネルギー量は、表1に示す値であった。
(比較のキャリア(9)の製造)
キャリア(6)の製造において、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体(80/20)を15部、パーフルオロアクリレート共重合体:25部に変更した以外は、同様にしてキャリア(9)を作製した。キャリア(9)のトータルエネルギー量は、表1に示す値であった。
(比較のキャリア(10)の製造)
キャリア(4)の製造において、マグネタイト(EPT−1000、戸田工業社製)を120部に変更し、分級処理を3回に変更した以外は同様の方法で、比較のキャリア(10)を作製した。キャリア(10)のトータルエネルギー量は、表1に示す値であった。
(比較のキャリア(11)の製造)
特開平11−133672号公報の実施例1のキャリアを同公報に記載の方法で作製し、比較のキャリア(11)を得た。
キャリア(11)のトータルエネルギー量は3900であった。
[実施例1]
(現像剤(1)の調製)
キャリア(1)100部と、トナー粒子(1)7部とを実効容積2LのV型混合機にて40rpmで20min混合し、現像剤(1)を調製した。
[実施例2〜3]
(現像剤(2)〜(3)の調製)
現像剤(1)の調製において、トナー粒子(1)を用いたところをトナー粒子(2)〜(3)のいずれかに変更した以外は同様にして、現像剤(2)〜(3)を調製した。
[実施例4〜
(現像剤(4)〜()の調製)
現像剤(1)の調製において、キャリア(1)を用いたところをキャリア(2)〜()に変更した以外は同様にして、現像剤(4)〜()の調製を行った。
[比較例1]
(比較の現像剤(9)の調製)
現像剤(1)の調製において、トナー粒子(1)を用いたところをトナー粒子(4)に変更した以外は同様にして、比較の現像剤(9)を調製した。
[比較例2〜6]
(比較の現像剤(10)〜(14)の調製)
現像剤(1)の調製において、キャリア(1)を用いたところをキャリア(7)〜(11)のいずれかに変更した以外は同様にして、比較の現像剤(10)〜(14)を調製した。
<評価>
得られた現像剤(1)〜(5)、(9)〜(14)を用いて、Fuji Xerox社製DocuPrintColorの改造機により、潜像担持体の周速420mm/sec、潜像担持体に対する現像剤担持対の周速比1.75にて下記コピーテストを行った。
かかるコピーテストは、低温低湿(10℃/15%RH)の環境下で、エリアカバレッジ80%で、20000枚をコピーすることにより行い、10枚コピー後(初期)および20,000枚コピー後に、下記評価方法により、画像濃度、かぶり、白点/色点の項目について評価を行った。
(現像量評価方法)
2cm×5cmのベタパッチを2箇所有する画像をコピーし、用紙への転写前に装置を強制停止させて、現像量(用紙への転写前のトナーの量)を測定した。具体的には、精秤したテープを2つ用意し、潜像担持体表面の2箇所の現像部分をそれぞれ前記テープに粘着性を利用し転写して、トナー採取後のテープを再度精秤し、トナー採取前のテープ重量をそれぞれ差し引いた後に平均化することにより現像量とした
判断基準は、以下の通りであり、◎、○を実用可能なレベルとする。
◎:現像量4.5±0.5g/m2
○:現像量4.5±0.6g/m2
△:現像量4.5±0.75g/m2
×:現像量4.5±0.75g/m2以上
(かぶり評価方法)
上記(ベタ現像量)における、感光体表面からのテープによるトナー採取時に、前記ベタパッチからおよそ10mm離れた箇所の背景部について、現像量評価の場合と同様にテープに転写し、該テープにおける1cm2当たりのトナー個数をカウントする。
判断基準は、以下の通りであり、◎、○を実用可能なレベルとする。
◎:50個未満
○:50個以上100個未満
△:100個以上200個未満
×:200個以上
(白点/色点評価方法)
エリアカバレッジ30%の全面ハーフトーン画像をA3用紙に出力し、色点並びに白点の個数をカウントする。
判断基準は、以下の通りであり、◎、○を実用可能なレベルとする。
◎:色点/白点なし
○:トータル5個未満
△:トータル5個以上10個未満
×:トータル10個以上
表1に示すように、上記条件下でのパウダーレオメーターでの測定において、トータルエネルギー量が、核体が磁性体粒子の場合には1500〜3000mJであり、磁性粉分散粒子の場合には1000〜1500mJのキャリアと、平均形状係数SF1が140以下のトナーとを含有する現像剤の場合、キャリアの樹脂被覆層の剥離が抑制され、長期間にわたって帯電/抵抗が安定し、高画質な画像が出力された。
パウダーレオメーターでのトータルエネルギー量の測定方法を説明するための図である。 パウダーレオメーターで得られた、垂直荷重とエネルギー勾配との関係を示す図である。 パウダーレオメーターで用いる回転翼の形状を説明するための図である。

Claims (4)

  1. 静電荷像現像用トナーと静電荷像現像用キャリアとを含む静電荷像現像用現像剤であって、
    前記静電荷像現像用トナーは、結着樹脂、及び着色剤を含有してなるトナー母粒子の平均形状係数SF1が140以下であり、
    前記静電荷像現像用キャリアは、核体としての磁性体粒子と該磁性体粒子の表面を被覆する被覆層とを有し、かつ、パウダーレオメーターにおいて、回転翼の先端スピード100mm/secで、回転翼の進入角度−5°におけるキャリアの充填表面から深さ70mmまでのトータルエネルギー量が、1500〜3000mJであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
  2. 前記静電荷像現像用トナーは、前記トナー母粒子に外添剤を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用現像剤。
  3. 潜像担持体を帯電させる帯電工程と、
    帯電した前記潜像担持体を露光して、該潜像担持体上に静電潜像を形成させる露光工程と、
    現像剤を表面に担持する現像剤担持体によって前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像工程と、
    前記トナー像を前記潜像担持体から被記録材に転写する転写工程と、を有する画像形成方法であって、
    前記潜像担持体の周速が100〜600mm/secで、且つ、該潜像担持体の周速に対する前記現像剤担持体の周速の比が1.2〜2.0であり、
    前記現像剤が、請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用現像剤を含むことを特徴とする画像形成方法。
  4. 潜像担持体と、
    前記潜像担持体を帯電させる帯電手段と、
    帯電した前記潜像担持体を露光して、該潜像担持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
    現像剤を表面に担持する現像剤担持体によって前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
    前記トナー像を前記潜像担持体から被記録材に転写する転写手段と、を有する画像形成装置であって、
    前記現像剤が、請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用現像剤を含むことを特徴とする画像形成装置。
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