実施の形態1.
本実施の形態1の加熱調理器の構成を説明する。図1は、実施の形態1に係る加熱調理器の一構成例を模式的に示す側面透視図である。図1において、加熱調理器の一部の構成の断面構造を示す。加熱調理器100は、本体1と、蓋体25と、操作表示部23とを有する。
本体1は、容器カバー2と、調理容器5と、加熱部3とを有する。容器カバー2は、本体1の内側に固定されている。容器カバー2の上側の縁には、調理容器5を保持するための保持部2aが設けられている。加熱部3は、容器カバー2の外壁部に設けられている。加熱部3は、例えば、電磁誘導加熱用コイルである。電磁誘導加熱用コイルは、導線がスパイラル状に巻かれた構成であり、導線に高周波電流が供給される。本実施の形態1においては、加熱部3が電磁誘導加熱用コイルの場合で説明するが、電磁誘導加熱用コイルだけでなく、図に示さない他の加熱手段を有していてもよい。
調理容器5は、容器カバー2の内側に着脱自在に装着される。調理容器5の上側の縁には、外周に沿ってフランジ部5aが設けられている。調理容器5の側壁の外側面には、外周に沿って取っ手部6が設けられている。容器カバー2の内側に調理容器5が装着されると、取っ手部6が保持部2aに接触し、調理容器5が容器カバー2に保持される。調理容器5は、加熱部3からの誘導電流を受けて発熱する。調理容器5が発熱することで、調理容器5の内部が加熱される。
容器カバー2の底板の中央部に底板を貫通する孔部4bが形成されており、孔部4bに鍋底温度センサ4が設けられている。鍋底温度センサ4は調理容器5の底板の温度を検出する。本体1の内側底部には、鍋底温度センサ4が位置する場所に圧縮バネ4aが設けられている。鍋底温度センサ4は圧縮バネ4aを介して本体1に支持される。圧縮バネ4aの弾性力によって鍋底温度センサ4が上方向に押されることで、鍋底温度センサ4が調理容器5に密着した状態が維持される。
蓋体25は図に示さないヒンジを介して本体1に取り付けられている。そのため、使用者は、本体1に対して蓋体25を開いたり、閉じたりすることができる。蓋体25は、調理容器5の開口を覆う内蓋7と、内蓋7を覆う外蓋9とを有する。外蓋9は、切替弁11、開閉弁17、減圧ポンプ13およびカートリッジ20を有する。カートリッジ20は、調理容器5の内部で生じた蒸気を一時的に貯める役目を果たす。カートリッジ20には、調理容器5の内部の高圧蒸気をカートリッジ20の中へ導くための蒸気排出弁18が設けられている。蒸気排出弁18は、蓋体25が閉じられた状態の外蓋9において、内蓋7に設けられた孔に対向する位置に設けられている。内蓋7に設けられた孔は、調理容器5の内部の気圧が大気圧以下の場合、蒸気排出弁18によって閉塞した状態になる。蒸気排出弁18は、調理容器5の内部が大気圧未満の場合、カートリッジパッキン21と密着し、調理容器5の内部が密閉される。蒸気排出弁18の作用については後述する。また、カートリッジ20には、カートリッジ20の内部に流入した蒸気を外に排出させる蒸気排出口19が設けられている。
減圧ポンプ13は、調理容器5の内部を減圧する減圧装置である。減圧ポンプ13は、例えば、ダイヤフラムポンプである。図2および図3は、図1に示した減圧ポンプの一構成例を示す模式図である。図2は減圧ポンプ13の吸気工程を示す図であり、図3は減圧ポンプ13の排気工程を示す図である。図2に示すように、減圧ポンプ13は、吸気口66、排気口67およびダイヤフラム63が設けられた筐体61と、回転軸62aを含むモータ62と、モータ62の駆動をダイヤフラム63に伝達するシャフト64とを有する。回転軸62aには円板65が取り付けられている。シャフト64の2つの端部のうち、一方の端部が円板65に取り付けられ、他方の端部がダイヤフラム63に取り付けられている。
筐体61の吸気口66には、逆止弁66aが設けられている。逆止弁66aは、吸気口66から筐体61の内部に空気を流入させるが、筐体61の内部の空気が吸気口66から流出することを防ぐ役目を果たす。また、筐体61の排気口67には、逆止弁67aが設けられている。逆止弁67aは、筐体61の内部から外に空気を流出させるが、外から筐体61の内部に空気が流入することを防ぐ役目を果たす。
図2を参照して、減圧ポンプ13の吸気工程を説明する。図2において、実線矢印はシャフト64の動作方向を示し、破線矢印は空気の流れを示す。モータ62の回転軸62aが矢印の示す方向(時計回り)に回転すると、円板65に取り付けられたシャフト64がダイヤフラム63をX軸矢印方向に引っ張る。その結果、ダイヤフラム63が膨らみ、吸気口66から空気が筐体61の内部に流入する。一方、排気口67側においては、逆止弁67aにより排気口67から筐体61の内部に空気が入ることが阻止される。
続いて、図3を参照して、減圧ポンプ13の排気工程を説明する。図3において、実線矢印はシャフト64の動作方向を示し、破線矢印は空気の流れを示す。図2に示した状態から、モータ62の回転軸62aがさらに時計回りに回転すると、シャフト64がダイヤフラム63をX軸矢印の反対方向に押す。その結果、ダイヤフラム63が縮み、筐体61の内部の空気が排気口67から筐体61の外に流出する。一方、吸気口66側においては、逆止弁66aによって筐体61の内部の空気が吸気口66から流出することが阻止される。
外蓋9には、減圧ポンプ13の吸気口66と切替弁11とを接続する減圧経路14aと、外気に通じる外蓋通気孔15aと切替弁11とを接続する大気流通経路16aとが設けられている。減圧ポンプ13の排気口67は、減圧経路14bを介して外蓋通気孔15bと接続されている。外蓋通気孔15bはカートリッジ20の内部と接続されている。また、外蓋9には、外蓋通気孔15bと開閉弁17とを接続する大気流通経路16bが設けられている。
外蓋9には、調理容器5の内部の気圧および温度を検出する蓋センサ22が設けられている。蓋センサ22は、調理容器5の内部の空気の温度を検出する温度センサ(不図示)と、調理容器5の内部の気圧を検出する圧力センサ(不図示)とを有する。
続いて、図1を参照して、内蓋7の構成を説明する。内蓋7の周縁部には、シール材として機能する蓋パッキン8が設けられている。蓋パッキン8によって調理容器5のフランジ部5aと内蓋7の内壁面とがシールされる。内蓋7には、内蓋7を貫通する内蓋通気孔10aおよび10bと、内蓋通気孔10aおよび10bに対応する位置にシール材として機能する経路パッキン12とが設けられている。内蓋通気孔10aは、経路パッキン12を介して切替弁11と接続される。内蓋通気孔10bは経路パッキン12を介して開閉弁17と接続される。
ここで、図1を参照して、切替弁11の切替動作を説明する。蓋体25が閉められた状態において、調理容器5の内部の空気が内蓋通気孔10aおよび経路パッキン12を介して切替弁11と流通する経路が形成される。切替弁11は、減圧経路14aを介して減圧ポンプ13の吸気口66と接続される第1経路と、大気流通経路16aを介して外蓋通気孔15aと接続される第2経路との2つの経路のうち、いずれかの経路を内蓋通気孔10aに接続する。内蓋通気孔10aが第1経路と接続される場合、減圧ポンプ13の駆動によって、調理容器5の内部が減圧される。内蓋通気孔10aが第2経路と接続される場合、調理容器5の内部の気圧は大気圧になる。一方、内蓋通気孔10aを第1経路および第2経路のいずれにも接続しない場合、切替弁11は、内蓋通気孔10aをいずれの経路にも接続されない閉塞状態Stに切り替える。この場合、調理容器5の内部の気圧が維持される。さらに、切替弁11は、第1経路と第2経路とを接続してもよい。この場合においても、内蓋通気孔10aは閉塞状態Stになる。
続いて、図1を参照して、開閉弁17の切替動作を説明する。開閉弁17は、内蓋通気孔10bおよび外蓋通気孔15bが接続される開状態と、内蓋通気孔10bおよび外蓋通気孔15bが接続されない閉状態とを切り替える。開閉弁17が開状態である場合、内蓋通気孔10bと外蓋通気孔15bとは、経路パッキン12および開閉弁17を介して、接続される。一方、開閉弁17が閉状態である場合、内蓋通気孔10bと外蓋通気孔15bとは接続されなくなる。
また、図1を参照して、減圧ポンプ13が調理容器5の内部を大気圧未満にする場合を説明する。蓋体25が閉じられており、切替弁11によって内蓋通気孔10aが第1経路と接続され、開閉弁17が閉状態であるものとする。この場合、内蓋通気孔10aは、切替弁11および減圧経路14aを介して、減圧ポンプ13の吸気口66と接続される。そのため、減圧ポンプ13が動作すると、図2および図3を参照して説明したように、モータ62の駆動がダイヤフラム63の伸縮運動に変換され、調理容器5の内部が減圧される。調理容器5の内部は、被調理物が収容される空間である。図1に示した構成例を参照して説明すると、被調理物が収容される空間は調理容器5および内蓋7によって囲まれる空間である。被調理物は、例えば、肉、魚、野菜等の食材である。被調理物は、塩および砂糖などの調味料であってもよく、調理に用いられる水であってもよい。以下では、調味料および水を含む液体を調味液と称する。
さらに、調理容器5の内部が大気圧より大きい場合における、蒸気排出弁18による作用を説明する。調理容器5の内部が大気圧以下である場合、蒸気排出弁18自身の重力によって、内蓋7に設けられた孔は蒸気排出弁18によって閉塞している。そして、切替弁11によって内蓋通気孔10aが閉塞状態Stであり、開閉弁17が閉状態である場合、調理容器5に収容された被調理物が加熱されると、被調理物から蒸気が発生する。発生した蒸気によって調理容器5の内部の気圧が大気圧を超えると、蒸気は蒸気排出弁18を重力方向と反対方向に押す。蒸気が蒸気排出弁18を押す力が蒸気排出弁18にかかる重力よりも大きくなると、蒸気はカートリッジ20の内部に流入する。カートリッジ20の内部に流入した蒸気は、カートリッジ20に設けられた蒸気排出口19を介して、外に排出される。
次に、図1に示した操作表示部23について説明する。操作表示部23は、本体1の側面に設けられている。操作表示部23は、例えば、画像を表示する表示装置(不図示)と、表示装置(不図示)の上に配置されるタッチパネル(不図示)とを有する。タッチパネルは、使用者が加熱調理器100に指示を入力するための入力インタフェースの役目を果たす。表示装置は、各種センサの検出値および加熱調理器100の動作の状態を表示する。図1に示す構成例においては、操作表示部23は、本体1の側面に設けられているが、外蓋9の上面に設けられていてもよい。
操作表示部23に設けられる表示装置(不図示)は、例えば、液晶ディスプレイである。なお、表示装置は、複数のLED(Light Emitting Diode)で構成されてもよい。また、加熱調理器100は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信部(不図示)を有していてもよい。加熱調理器100は操作表示部23の表示装置に表示させる情報を、使用者のスマートフォン等の情報処理端末(不図示)に近距離無線通信部を介して送信する。この場合、使用者は、自分の情報処理端末(不図示)の表示部(不図示)を見て、加熱調理器100の動作の状態を確認できる。
図4は、図1に示した加熱調理器の構成の一例を示すブロック図である。加熱調理器100は、図1を参照して説明した構成の他に、加熱部3に高周波電流を供給するインバータ部41と、加熱調理器100全体を制御する制御装置30とを有する。図4に示す検出部42は、図1に示した鍋底温度センサ4および蓋センサ22を含む構成である。制御装置30は、インバータ部41、切替弁11、開閉弁17および減圧ポンプ13のそれぞれと、図に示さない信号線を介して接続される。また、制御装置30は、操作表示部23と、図に示さない信号線を介して接続される。制御装置30は、図1に示した鍋底温度センサ4および蓋センサ22の各センサと、図に示さない信号線を介して接続される。
次に、図4に示した制御装置の構成を説明する。図5は、図4に示した制御装置の一構成例を示す機能ブロック図である。図4に示した検出部42は、図5に示すポンプ温度検出部43およびモータ回転検出部44を有する。ポンプ温度検出部43およびモータ回転検出部44は減圧ポンプ13に設けられている。ポンプ温度検出部43は、図2に示した減圧ポンプ13のモータ62の温度を検出する温度センサである。ポンプ温度検出部43は、モータ62の温度に限らず、減圧ポンプ13全体の温度を検出してもよい。以下では、モータ62の温度、および減圧ポンプ13全体の温度をポンプ温度と称する。本実施の形態1においては、ポンプ温度検出部43がモータ62の温度を検出する場合で説明する。モータ回転検出部44は、モータ62の回転速度を検出するセンサである。
制御装置30は、記憶手段31と、判定手段32と、加熱制御手段33と、弁制御手段34と、ポンプ制御手段35と、タイマ36とを有する。制御装置30は、マイクロコンピュータなどの演算装置がソフトウェアを実行することにより各種機能が実現される。また、制御装置30は、各種機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアで構成されてもよい。図1に示した構成において、制御装置30は、本体1に設けられてもよく、外蓋9に設けられてもよい。
加熱調理器100は複数種の調理モードを有する。記憶手段31は、複数種の調理モードの各調理モードについて、調理容器5の内部の気圧、圧力上昇速度、調理時間および調理温度等の条件の組み合わせと、組み合わせに対応する各制御対象機器の制御内容とを記憶している。記憶手段31は、調理モードの他に、保存モードを記憶していてもよい。保存モードは、例えば、調理終了後に調理容器5に収容された食材を保温するためのモードである。
複数種の調理モードには、例えば、低温沸騰モード、減圧染み込みモードおよび昇温沸騰モードである。低温沸騰モードは、調理容器5の内部を減圧し、かつ調理容器5の内部を飽和蒸気温度の前後に温度調整することで、100℃未満の温度で沸騰を促し、調理容器5の内部を蒸気で満たす低温蒸し調理を行うモードである。減圧染み込みモードは、加熱調理前に調理容器5の内部を、減圧と大気圧までの昇圧とを繰り返すことで、食材への調味液の浸透を促進するモードである。昇温沸騰モードは、調理容器5の内部を昇温しながら、断続的に飽和蒸気圧までの減圧と大気圧までの昇圧とを繰り返すことで、調理容器5の内部を均一に昇温するモードである。
判定手段32は、使用者によって調理モードが選択されると、選択された調理モードを記憶手段31から読み出し、読み出した調理モードに対応して、加熱制御手段33、弁制御手段34およびポンプ制御手段35を制御する。具体的には、判定手段32は、読み出した調理モードに対応する制御情報を、加熱制御手段33、弁制御手段34およびポンプ制御手段35のそれぞれに送信する。
また、判定手段32は、減圧ポンプ13の動作中に減圧ポンプ13に異常が発生したと判定すると、減圧ポンプ13に異常が発生したことを示す異常発生信号を弁制御手段34およびポンプ制御手段35に送信する。判定手段32は、異常発生信号を加熱制御手段33に送信してもよい。判定手段32は、減圧ポンプ13の異常の有無の判定に、ポンプ温度およびモータ回転速度のうち、少なくともいずれかを用いる。なお、判定手段32は、減圧ポンプ13のモータ62に流れる電流であるモータ電流に基づいて、減圧ポンプ13の異常の有無を判定してもよい。
加熱制御手段33は、判定手段32から受信する制御情報に対応して、インバータ部41を介して加熱部3を制御する。具体的には、加熱制御手段33は、制御情報に対応して、加熱部3の通電開始のタイミングおよび通電時間を制御する。加熱制御手段33は、減圧ポンプ13の動作中に判定手段32から異常発生信号を受信すると、予め決められた休止時間trefだけ、加熱部3に供給する電力を小さくしてもよい。弁制御手段34は、判定手段32から受信する制御情報に対応して、切替弁11および開閉弁17を制御する。弁制御手段34は、減圧ポンプ13の動作中に判定手段32から異常発生信号を受信すると、休止時間trefだけ、内蓋通気孔10aが閉塞状態Stになるように切替弁11を制御する。
ポンプ制御手段35は、判定手段32から受信する制御情報に対応して、減圧ポンプ13の動作開始のタイミングおよび動作時間を制御する。ポンプ制御手段35は、減圧ポンプ13の動作中に判定手段32から異常発生信号を受信すると、休止時間trefだけ、減圧ポンプ13の動作を停止する。また、ポンプ制御手段35は、減圧ポンプ13の動作中に一定の周期でモータ62からモータ電流の情報を受信し、受信したモータ電流の情報を判定手段32に送信する。タイマ36は、時間を計測し、計測する時間の情報を判定手段32、弁制御手段34およびポンプ制御手段35に提供する。
ここで、図5に示した制御装置のハードウェアの一例を説明する。図6は、図5に示した制御装置の一構成例を示すハードウェア構成図である。制御装置30の各種機能がハードウェアで実行される場合、図5に示した制御装置30は、図6に示すように、処理回路51で構成される。図5に示した、記憶手段31、判定手段32、加熱制御手段33、弁制御手段34、ポンプ制御手段35およびタイマ36の各機能は、処理回路51により実現される。図6に示す入出力装置52は図1に示した操作表示部23に相当し、図6は、処理回路51および入出力装置52が通信可能に接続されることを示している。
各機能がハードウェアで実行される場合、処理回路51は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、または、これらを組み合わせたものに該当する。記憶手段31、判定手段32、加熱制御手段33、弁制御手段34、ポンプ制御手段35およびタイマ36の各手段の機能それぞれを処理回路51で実現してもよく、各手段の機能を1つの処理回路51で実現してもよい。
また、図5に示した制御装置の別のハードウェアの一例を説明する。図7は、図5に示した制御装置の別の構成例を示すハードウェア構成図である。制御装置30の各種機能がソフトウェアで実行される場合、図5に示した制御装置30は、図7に示すように、プロセッサ71およびメモリ72で構成される。記憶手段31、判定手段32、加熱制御手段33、弁制御手段34、ポンプ制御手段35およびタイマ36の各機能は、プロセッサ71およびメモリ72により実現される。図7に示す入出力装置73は図1に示した操作表示部23に相当し、図7は、プロセッサ71、メモリ72および入出力装置73が互いに通信可能に接続されることを示している。
各機能がソフトウェアで実行される場合、判定手段32、加熱制御手段33、弁制御手段34、ポンプ制御手段35およびタイマ36の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ72に格納される。プロセッサ71は、メモリ72に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各手段の機能を実現する。
メモリ72として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable and Programmable ROM)およびEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリが用いられる。また、メモリ72として、RAM(Random Access Memory)の揮発性の半導体メモリが用いられてもよい。さらに、メモリ72として、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等の着脱可能な記録媒体が用いられてもよい。
次に、本実施の形態1の加熱調理器100の動作を説明する。図8は、実施の形態1に係る加熱調理器が選択された調理モードに対応して動作する手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、調理モードが低温沸騰モードの場合について説明する。
はじめに、使用者は、作りたいメニューを決めると、メニューに必要な肉、魚、野菜、調味料および水等の材料を調理容器5に入れ、調理容器5の開口を内蓋7で塞ぐ。続いて、使用者は、調理容器5の取っ手部6を把持して容器カバー2に装着する。そして、使用者は、内蓋7を外蓋9に取り付け、蓋体25を閉める。蓋体25が閉まると、外蓋9が蓋パッキン8を介して内蓋7を調理容器5のフランジ部5aに強く押しつけ、フランジ部5aと蓋パッキン8とがシールされる。このとき、開閉弁17は開状態なので、調理容器5の内部は、外蓋通気孔15bを介して外気と空気が流通する状態である。
使用者は、蓋体25を閉めた後、操作表示部23を操作して、調理モードを選択する。その際、使用者は、調理モードだけでなく、操作表示部23を操作して調理条件を設定してもよい。調理条件は、例えば、調理容器5の内部の気圧、圧力上昇速度、調理時間および調理温度などである。なお、使用者は、操作表示部23を操作して、調理モードの代わりに保存モードを選択してもよく、調理条件の代わりに保存条件を設定してもよい。
使用者が操作表示部23を操作して低温沸騰モードを選択し、調理開始の指示を入力すると(ステップS101)、判定手段32は、低温沸騰モードの情報を記憶手段31から読み出す。そして、判定手段32は、低温沸騰モードに決められた手順にしたがって、低温沸騰モードに設定された制御情報を加熱制御手段33、弁制御手段34およびポンプ制御手段35のそれぞれに送信する。
加熱制御手段33は、判定手段32から受信する制御情報にしたがって、加熱部3への電力供給を開始する(ステップS102)。加熱部3は、電力供給が開始されることで、調理容器5の加熱を開始する。加熱部3には、インバータ部41から高周波電流が供給され、高周波磁界が発生する。加熱部3と磁気結合した調理容器5において、加熱部3のコイルと対向面が励磁され、容器底面に渦電流が誘起される。この渦電流と調理容器5の持つ抵抗とによりジュール熱が発生し、調理容器5の底面が発熱することで、被調理物が加熱される。
判定手段32は、鍋底温度センサ4および蓋センサ22の検出値から調理容器5に収容された被調理物の温度Tmを算出する。例えば、判定手段32は、温度Tmとして、鍋底温度センサ4が検出する温度および蓋センサ22が検出する温度の平均値を算出する。判定手段32は、温度Tmと調理温度Tk1とが同じか否かを判定する(ステップS103)。調理温度Tk1は、例えば、70℃である。判定手段32は、温度Tmと調理温度Tk1とが同じになると、温度Tmが調理温度Tk1を維持するように加熱部3を制御する旨の制御情報を加熱制御手段33に送信する。加熱制御手段33は、判定手段32から受信した制御情報にしたがって、温度Tmが調理温度Tk1を維持するように加熱部3を制御する(ステップS104)。加熱制御手段33による加熱制御は、温度Tmが調理温度Tk1と完全に一致する場合に限らず、温度Tmが調理温度Tk1を基準にして予め決められた範囲に入る状態が維持されていればよい。
また、判定手段32は、ステップS103の判定の結果、被調理物の温度Tmが調理温度Tk1に到達すると、開閉弁17を閉状態に切り替え、切替弁11に第1経路を内蓋通気孔10aに接続させる旨の制御情報を弁制御手段34に送信する。弁制御手段34は、判定手段32から受信する制御情報にしたがって、開閉弁17を閉状態に切り替え、切替弁11に対して第1経路を内蓋通気孔10aに接続させる(ステップS105)。内蓋通気孔10aが第1経路と接続されることにより、調理容器5の内部が減圧ポンプ13の吸気口66と接続される。
続いて、判定手段32は、減圧ポンプ13を起動する旨の制御情報をポンプ制御手段35に送信する。ポンプ制御手段35は、判定手段32から受信した制御情報にしたがって、減圧ポンプ13を起動する(ステップS106)。減圧ポンプ13は、調理容器5の内部の空気を、外蓋通気孔15bを介して、外に排出する。減圧ポンプ13が動作することにより、調理容器5の内部の気圧は大気圧未満になる。
判定手段32は、例えば、調理容器5の内部の気圧が被調理物の飽和蒸気圧に近づくように、ポンプ制御手段35に対して、減圧ポンプ13を制御させる。調理容器5の内部の気圧が低下し、調理容器5の内部の気圧が、温度調整された被調理物の飽和蒸気圧に近づくと、調理容器5の内部の被調理物が沸騰を開始する。
判定手段32は、調理容器5の容量と減圧ポンプ13の吸気流量とから、減圧下の調理の効果が得られる気圧まで調理容器5の内部を減圧させる十分な減圧時間を算出してもよい。判定手段32は、算出した減圧時間を含む制御情報をポンプ制御手段35に送信する。ポンプ制御手段35は、制御情報から減圧時間を読み出し、タイマ36が計測する時間を参照し、減圧時間だけ、減圧ポンプ13を動作させる。
また、判定手段32は、蓋センサ22によって検出される温度から被調理物が沸騰したと判定するまで、ポンプ制御手段35に対して、調理容器5の内部を減圧するように減圧ポンプ13を制御させてもよい。さらに、調理容器5の内部の目標気圧が予め設定されていてもよい。この場合、ポンプ制御手段35は、蓋センサ22によって検出される気圧が目標気圧になるまで、減圧ポンプ13を動作させればよい。
図8に示すステップS107において、判定手段32は、温度Tmが予め設定された温度帯Tzに含まれるか否かを判定する。温度Tmが温度帯Tzに含まれる場合、判定手段32は、タイマ36によって計測される時間tが予め設定された調理時間tv0に到達するか否かを判定する(ステップS108)。判定手段32は、計測される時間tが調理時間tv0に到達するまで、調理容器5の内部の温度および気圧を維持するように、加熱制御手段33を介して加熱部3を制御し、ポンプ制御手段35を介して減圧ポンプ13を制御する。操作表示部23の表示装置(不図示)は、調理容器5の内部の温度および気圧などの検出値と、沸騰およびスチーム状態などの被調理物の状態と、調理にかかっている時間とを表示する。
ステップS108において、時間tが調理時間tv0に到達すると、判定手段32は、低温沸騰モードによる調理が終了したと判定し、加熱制御手段33およびポンプ制御手段35に対して制御の終了を指示する。加熱制御手段33は加熱部3への電力供給を停止し、ポンプ制御手段35は減圧ポンプ13を停止する。判定手段32は、調理が終了したことを操作表示部23に報知させる(ステップS109)。
なお、図8に示す手順において、ステップS105の処理がステップS104の処理よりも前であってもよい。また、図8を参照して、判定手段32が被調理物の温度Tmが調理温度Tk1に到達した後に切替弁11および開閉弁17の弁制御を弁制御手段34に指示する場合で説明したが、被調理物の温度Tmが調理温度Tk1に到達する前に指示してもよい。
次に、減圧ポンプ13に異常が発生して、減圧ポンプ13が急停止してしまう場合の問題を説明する。例えば、図8に示したステップS106~S108の動作中に起こり得る問題である。
減圧ポンプ13が動作を開始すると、減圧ポンプ13の吸気側の圧力が低下するにつれ、ダイヤフラム63を伸縮運動させるモータ62の負荷が大きくなる。モータ62が負荷の大きい状態で連続的に駆動すると、モータ62の内部の温度が上昇し、モータ62の動作が不安定になることがある。動作が不安定になったモータ62は、モータ電流が徐々に増加する。モータ電流が増加する状態が続くと、モータ62の内部の部品が破損し、モータ62が駆動できなくなる。
減圧ポンプ13の温度が上昇する原因は、モータ62の負荷が大きい場合に限らない。例えば、減圧ポンプ13の周辺の温度が上昇することで、減圧ポンプ13の温度が上昇することもある。また、減圧ポンプ13が吸引する蒸気によって、減圧ポンプ13の温度が上昇することもある。これらの原因によって減圧ポンプ13の温度が上昇しても、減圧ポンプ13の動作が不安定になることもある。
減圧ポンプ13が不具合により停止すると、停止のタイミングによっては、減圧ポンプ13において、外気と繋がる排気口67と調理容器5の内部と繋がる吸気口66とが常に空気が流通できる状態になってしまうことがある。この場合、減圧ポンプ13の内部の密閉性を保つことができずに、減圧状態を維持していた調理容器5の内部は、外気と繋がることによって大気圧まで昇圧する。その結果、調理容器5において、100℃未満の設定温度での沸騰状態を維持できなくなる。沸騰状態を維持できなくなると、調理容器5に収容された食材への熱伝達が急激に低下し、使用者の期待どおりに料理を仕上げることができなくなる。その結果、使用者が感じる、料理のおいしさが低下する。
被調理物が沸騰する状態にまだ到達していない場合にも、調理容器5の内部の密閉状態を維持できなくなれば、被調理物が外気にさらされることで、被調理物の温度が低下しやすくなる。この場合、被調理物を調理に必要な温度まで昇温させるために余計な電力が必要となる。また、調理後の食材の保存中に調理容器5の内部の密閉状態を維持できなくなれば、外気が調理容器5の内部に流入することで、食材の状態が悪化してしまうこともある。
そこで、本実施の形態1の加熱調理器100は、減圧ポンプ13に異常が発生すると、減圧ポンプ13が完全に停止してしまう前に減圧ポンプ13を停止させる。その際、加熱調理器100は、減圧ポンプ13を停止する前に、調理容器5を密閉状態にする。具体的には、加熱調理器100は、減圧ポンプ13に異常が発生すると、切替弁11を制御して減圧ポンプ13の吸気口66と調理容器5の内部との経路を閉塞して、調理容器5を密閉する。その後、加熱調理器100は、減圧ポンプ13の駆動を停止し、所定時間休止するものとする。
図9を参照して、減圧ポンプ13に異常が発生した場合について、加熱調理器100が行う制御の一例を説明する。図9は、実施の形態1に係る加熱調理器において、減圧ポンプに異常が発生した場合の動作手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、減圧ポンプ13が動作中なので、内蓋通気孔10aが第1経路と接続され、開閉弁17は閉状態である。
判定手段32は、一定時間毎に、減圧ポンプ13に異常が発生するか否かを判定する(ステップS201)。例えば、判定手段32は、ステップS201において、モータ62に流れるモータ電流が予め決められた電流閾値Cth以上であるか否かを判定する。モータ電流が電流閾値Cth未満である場合、判定手段32は、減圧ポンプ13に異常が発生していないと判定する。一方、モータ電流が電流閾値Cth以上である場合、判定手段32は、減圧ポンプ13に異常が発生していると判定する。
減圧ポンプ13に異常が発生している場合、判定手段32は異常発生信号を弁制御手段34に送信する。弁制御手段34は、判定手段32から異常発生信号を受信すると、調理容器5を密閉するために、内蓋通気孔10aを第1経路と接続された状態から閉塞状態Stに切り替えるように切替弁11を制御する(ステップS202)。続いて、判定手段32は異常発生信号をポンプ制御手段35に送信する。ポンプ制御手段35は、判定手段32から異常発生信号を受信すると、減圧ポンプ13を停止する(ステップS203)。
減圧ポンプ13は、動作が不安定になったときに、モータ62の内部の部品が破損する前に一定の時間、動作を停止することにより、モータ62の内部が冷却される。軽微な異常であれば、モータ62は、内部が冷却された後、再起動すると、通常の駆動状態に復帰できる。モータ62が停止してから復帰するまでの休止時間trefは、例えば、10分である。休止時間trefとして、モータ62の温度が一旦、上昇した後、通常の動作に支障がない温度に低下するまでの時間が予め設定される。休止時間trefは記憶手段31に記憶される。
ポンプ制御手段35は、タイマ36によって計測される時間tを参照し、時間tが休止時間trefに到達するか否かを判定する(ステップS204)。時間tが休止時間trefに到達すると、ポンプ制御手段35は、減圧ポンプ13を再起動する(ステップS205)。続いて、弁制御手段34は、減圧ポンプ13が再起動すると、調理容器5の内部を減圧ポンプ13の吸気口66と接続するために、内蓋通気孔10aを第1経路と接続するように切替弁11を制御する(ステップS206)。内蓋通気孔10aを第1経路と接続することで、調理容器5の内部が減圧ポンプ13によって、再び減圧される。ステップS206の後、判定手段32はステップS201に戻る。
図9を参照して、ステップS201において、判定手段32がモータ電流と電流閾値Cthとを比較して、減圧ポンプ13の異常の有無を判定したが、異常の有無の判定に用いるパラメータはモータ電流に限らない。異常の有無の判定に用いるパラメータは、ポンプ温度であってもよく、モータ回転速度であってもよい。
図10は、図9に示した制御による各種パラメータの時系列変化を示す図である。図10は、横軸を時間として、5つのパラメータの時系列変化を示す。図10の最上段のグラフは減圧ポンプ13が駆動しているか否かの状態を示し、最上段から2番目のグラフはモータ電流の変化を示す。図10の最上段から3番目のグラフはモータ62の回転速度の変化を示し、最上段から4番目のグラフはポンプ温度の変化を示す。図10の最下段のグラフは、調理容器5の内部の気圧の変化を示す。時間t1は減圧ポンプ13の停止したときを示し、時間t2は減圧ポンプ13が再起動したときを示す。
図10の最上段のグラフから、図9を参照して説明したように、判定手段32はモータ電流に基づいて減圧ポンプ13の異常の有無を判定できることがわかる。また、判定手段32は、判定基準にモータ62の回転速度を用いる場合、回転速度と予め決められた回転速度閾値Rthとを比較することで、減圧ポンプ13に異常が発生したか否かを判定する。判定手段32は、モータ62の回転速度が回転速度閾値Rth以下である場合、減圧ポンプ13に異常が発生したと判定する。さらに、判定手段32は、判定基準にポンプ温度を用いる場合、ポンプ温度と予め決められた温度閾値Tthとを比較することで、減圧ポンプ13に異常が発生したか否かを判定する。判定手段32は、ポンプ温度が温度閾値Tth以上である場合、減圧ポンプ13に異常が発生したと判定する。
図10に示すように、判定手段32は、減圧ポンプ13の異常がモータ62の温度上昇が原因である場合、モータ62の温度が温度閾値Tth以上になったとき、減圧ポンプ13を停止する。また、減圧ポンプ13の動作が不安定になる原因がモータ62である場合、モータ62の回転速度が小さくなるだけでなく、モータ62の単位時間あたりの回転数が低下する。そのため、モータ62の単位時間あたりの回転数によってモータ62の不安定な動作を検出できる。非接触方式の回転数検出センサ(不図示)をモータ62に予め設けてもよい。判定手段32は、回転数検出センサの検出値と予め決められた回転数閾値とを比較して減圧ポンプ13の異常の有無を判定できる。回転数閾値は、モータ62の単位時間あたりの回転数について、モータ62が異常か否かの判定基準となる値である。
図10の最下段のグラフに示すように、調理容器5の内部の気圧は、時間t1から時間経過に伴って上昇するが、大気圧Patmに到達する前に時間t2になり、調理容器5の内部の減圧が再開される。そのため、調理容器5の内部の気圧が大気圧Patmになることが回避される。
図9に示したステップS204において、時間tが休止時間trefに到達するまでの間、加熱制御手段33は、加熱部3に供給する電力を、減圧ポンプ13に異常があると判定される前に加熱部3に供給されていた電力よりも小さくしてもよい。この場合、被調理物から蒸気の発生が抑制され、調理容器5の内部の減圧状態がより長く維持される。
図9を参照して説明したように、加熱調理器100は、減圧ポンプ13の異常を検出すると、減圧ポンプ13が故障して完全に停止してしまう前に、被調理物が収容される空間を密閉してから減圧ポンプ13を停止する。そのため、減圧ポンプ13が停止したとき、被調理物が収容される空間の気圧が上昇することが抑制される。
また、加熱調理器100が減圧ポンプ13を休止時間trefだけ停止して減圧ポンプ13の復帰を促している間、被調理物が収容される空間の密閉性が維持される。そのため、休止時間trefに被調理物が収容される空間の減圧状態が維持され、減圧ポンプ13が再起動した後、加熱調理器100は、減圧状態を維持したまま調理を継続できる。さらに、減圧ポンプ13に異常が発生しても減圧ポンプ13が動作を継続すると、完全に故障してしまうが、このような事態が発生することを防ぐことができる。異常が検出されたとき、減圧ポンプ13が、休止時間trefだけ停止することで、異常の原因がなくなる、または異常の原因が低減するからである。
なお、判定手段32は、減圧ポンプ13の異常を検出した回数をカウントし、検出された異常の回数の履歴を記憶手段31に記憶させてもよい。この場合、判定手段32は、履歴に記録された回数が予め決められた回数以上になると、操作表示部23を介して、減圧ポンプ13の検査を促すメッセージを使用者に報知してもよい。
また、本実施の形態1においては、減圧ポンプ13の停止中にモータ62を自然冷却する場合で説明したが、減圧ポンプ13の近くに冷却ファン(不図示)を設けてもよい。判定手段32は、減圧ポンプ13の停止中に冷却ファンを動作させる。この場合、減圧ポンプ13への冷却が促進され、冷却効果が高くなり、休止時間trefを短縮することができる。
本実施の形態1の加熱調理器100は、調理容器5と、調理容器5の開口を覆い、調理容器5の内部と接続される内蓋通気孔10aが設けられた蓋体25と、加熱部3と、調理容器5の内部を減圧する減圧ポンプ13と、切替弁11と、制御装置30とを有する。切替弁11は、内蓋通気孔10aが減圧ポンプ13の吸気口66に接続される状態と閉塞状態Stとを切り替える。制御装置30は、減圧ポンプ13に異常があるか否かを判定する判定手段32と、弁制御手段34と、ポンプ制御手段35とを有する。弁制御手段34は、判定手段32によって減圧ポンプ13に異常があると判定されると、休止時間trefだけ、内蓋通気孔10aが閉塞状態Stを維持するように切替弁11を制御する。ポンプ制御手段35は、内蓋通気孔10aが閉塞状態Stの間、減圧ポンプ13を停止させる。
本実施の形態1によれば、減圧ポンプ13の異常が検出されると、被調理物が収容される空間と減圧ポンプ13とを接続する経路が閉塞状態になるため、減圧ポンプ13が停止している間、被調理物が収容される空間の密閉性が維持される。そのため、減圧ポンプ13の停止中に被調理物が収容される空間の気圧が上昇することが抑制され、被調理物への減圧ポンプ13の停止による影響を抑制できる。
次に、本実施の形態1において、減圧ポンプ13に異常が発生しないようにする構成について説明する。減圧ポンプ13は、調理中の調理容器5内の蒸気を吸引することで、減圧経路14aおよび14bと、減圧ポンプ13の内部とに水分が付着することがある。減圧ポンプ13の内部の部品への水分の付着は、減圧ポンプ13の流量および減圧ポンプ13の内部の密閉性に影響し、減圧性能の低下につながる。
本実施の形態1におけるポンプ制御手段35は、減圧ポンプ13の内部の水分と、減圧経路14aおよび14bの水分とを排出するため、調理終了後および調理容器5の内部の減圧後にも、減圧ポンプ13を動作させる乾燥運転を実行する。ポンプ制御手段35が減圧ポンプ13に乾燥運転をさせる際、弁制御手段34は、第1経路と第2経路とを接続するように切替弁11を制御する。これにより、減圧ポンプ13の吸気口66と外蓋通気孔15aとが接続される。
減圧ポンプ13は、外蓋通気孔15aから吸引する外気を大気流通経路16aおよび減圧経路14aを流通させた後、減圧ポンプ13の内部および減圧経路14bを経由させて外蓋通気孔15bから排出する。これにより、外気が減圧ポンプ13の内部と減圧経路14aおよび14bとを流れる。外気は調理容器5の内部よりも乾いた空気なので、減圧ポンプ13の内部と減圧経路14aおよび14bとに付着した水分は、外蓋通気孔15bから排出される。減圧ポンプ13の内部と減圧経路14aおよび14bとから、空気により押し出された水分は、外蓋通気孔15bから排出され、カートリッジ20に保持される。カートリッジ20の他に、カートリッジ20以外の箇所に、水分を保持する排水容器(不図示)を別途設け、外蓋通気孔15bが排水容器と接続されるようにしてもよい。
また、外蓋9が開いた状態において、減圧ポンプ13から滞りなく排水できるように、減圧ポンプ13の排気口67は、外蓋9が開いた状態で重力方向に向くように配置される。また、外蓋9が閉じた状態において、減圧ポンプ13の吸気口66よりも排気口67が下側になるように、吸気口66および排気口67が配置されている。この場合、重力によって減圧ポンプ13の内部の水分が排出されやすくなる。
さらに、カートリッジ20および上述した排水容器(不図示)のような水保持容器と減圧ポンプ13との距離は、できるだけ短い方が望ましい。例えば、調理容器5の後方に水保持容器が配置される場合、減圧ポンプ13も水保持容器と同様に後方に配置されると、減圧ポンプ13と水保持容器とを接続する経路が短くなり、排水が促されやすくなる。図1においては、説明のために、排気口67が減圧ポンプ13の本体よりも上側に伸びている構成を示しているが、排水のためには、排気口67と外蓋通気孔15bとが同じ高さか、外蓋通気孔15bが排気口67よりも低い位置に配置されていることが望ましい。さらに、排気口67と外蓋通気孔15bとを接続する経路は、排気口67から外蓋通気孔15bに向かって徐々に傾斜していることが望ましい。この構成によれば、減圧ポンプ13からの排水がより促進される。