JP2023015710A - 加熱調理器 - Google Patents

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一貴 市村
Kazutaka Ichimura
杏子 石原
Kyoko Ishihara
ちひろ 伊藤
Chihiro Ito
毅 内田
Takeshi Uchida
直樹 茨田
Naoki Ibarada
利弘 齋藤
Toshihiro Saito
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【課題】ドリップが貯留容器から溢れることなく、長時間の減圧調理を実現することができる加熱調理器を提供する。【解決手段】加熱調理器は、内容物を収容する容器と、容器を収納する本体と、容器を覆う蓋体と、容器を加熱する加熱手段と、容器と蓋体とによって形成される容器内の空間の空気を吸引して容器内を減圧する減圧手段と、減圧沸騰状態を維持するように加熱手段および減圧手段を制御する制御装置とを備え、制御装置は、内容物の調理の際に、所定時間だけ、減圧手段を間欠的に駆動させる間欠減圧を行う。【選択図】図7

Description

本開示は、食材を調理する加熱調理器に関するものである。
従来、真空下で容器内の内容物を加熱し、100℃未満の低温で沸騰させることにより、低温でも内容物を攪拌して全体を均一に調理できることが知られている。例えば、特許文献1には、低温での調理を行う加熱調理器として、減圧ポンプを搭載し、調理容器内を減圧ポンプで減圧して真空とし、真空下で調理容器を加熱するようにした加熱調理器が開示されている。
特許文献1に記載の加熱調理器は、減圧ポンプを用いて調理容器内を内容物の飽和水蒸気圧まで減圧させることにより、100℃未満の低温度帯でも内容物を沸騰させることができる。例えば、60℃の水の飽和水蒸気圧は0.2気圧であるため、加熱調理器は、調理容器内を約0.2気圧まで減圧させることにより、60℃の水を沸騰させることができる。また、沸騰により調理容器内に水蒸気が発生し、発生した水蒸気が調理容器内から排出されることにより、調理容器内の内容物を100℃未満の低温でも濃縮させることができる。
特開2019-076557号公報
ところで、通常、大気圧下において約100℃で調理を行う場合、沸騰によって生じた水蒸気は、調理容器の外部へ排出される。その後、外部へ排出された水蒸気は、外気によって冷却されて凝縮して湯気となるが、高温であるため、すぐに蒸発して外気中に拡散する。
しかしながら、特許文献1に記載の加熱調理器のように、減圧ポンプによって例えば60℃程度の100℃未満の水蒸気を吸引した場合には、水蒸気の温度が低く、そのほとんどがドリップと称する液化した状態で排出される。そのため、排出された液体は、100℃の水蒸気と比較して、蒸発が起こりにくい。したがって、調理容器内の内容物を濃縮させたり、内容物を強く沸騰させたりするために、低温の水蒸気を減圧ポンプで吸引する場合、減圧ポンプの排出側からは、大量のドリップが排出される。
この場合、加熱調理器には、排出側にドリップを貯留するための貯留容器を設ける必要がある。貯留容器は、理想的には、調理容器と同等の容量の貯留容器が必要であり、非常に大型化してしまうので実際に設けられる貯留容器は、調理容器の容量よりも小さくなる。そのため、減圧調理を長時間行うことによって多くのドリップが排出され続けた場合には、ドリップが貯留容器から溢れてしまうという課題があった。
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ドリップが貯留容器から溢れることなく、長時間の減圧調理を実現することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
本開示の加熱調理器は、内容物を収容する容器と、前記容器を収納する本体と、前記容器を覆う蓋体と、前記容器を加熱する加熱手段と、前記容器と前記蓋体とによって形成される前記容器内の空間の空気を吸引して前記容器内を減圧する減圧手段と、減圧沸騰状態を維持するように前記加熱手段および前記減圧手段を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記内容物の調理の際に、所定時間だけ、前記減圧手段を間欠的に駆動させる間欠減圧を行うものである。
以上のように、本開示によれば、減圧沸騰状態を維持する際に、所定時間だけ間欠減圧が行われ、容器内に発生する水蒸気の吸引が適切な量に抑制されることにより、ドリップが貯留容器から溢れることなく、長時間の減圧調理を実現することができる。
実施の形態1に係る加熱調理器の構成の一例を示す模式断面図である。 図1の加熱調理器の構成の一例を示すブロック図である。 図1の制御装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。 図3の制御装置の構成の一例を示すハードウェア構成図である。 図3の制御装置の構成の他の例を示すハードウェア構成図である。 内容物の温度と飽和水蒸気圧との関係を示すグラフである。 実施の形態1に係る加熱調理器の調理制御について説明するためのグラフである。 実施の形態1に係る加熱調理器の第1調理モードによる調理制御について説明するためのグラフである。 実施の形態1に係る加熱調理器の第2調理モードによる調理制御について説明するためのグラフである。 実施の形態1に係る制御装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、以下の説明に用いられる図面では、同一または相当する部分には、同一の符号を付し、その説明を適宜省略または簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、および配置等は、本開示の範囲内で適宜変更することができる。また、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
実施の形態1.
本実施の形態1に係る加熱調理器について説明する。本実施の形態1に係る加熱調理器は、容器内を減圧して容器内の内容物を低温状態で沸騰させる減圧低温沸騰を利用して調理を行うものである。
[加熱調理器100の構成]
図1は、本実施の形態1に係る加熱調理器の構成の一例を示す模式断面図である。加熱調理器100は、本体1と、本体1に開閉自在に係止された外蓋2とを備えている。
本体1の内側には、容器収納部3が内装固着されている。容器収納部3には、有底筒状で上面が開口した鍋状の容器4が着脱自在に収納されている。容器4内には、被加熱物である食材等の内容物が収容される。容器4の上面開口の周囲には、外方に向かって延びるフランジ部4aが形成されている。
容器収納部3の外壁には、加熱手段5が設けられている。加熱手段5は、例えば、容器収納部3にスパイラル状に旋回された電磁誘導加熱用の加熱コイル5aであり、高周波電流が供給されることにより発生する磁界で容器4を誘導加熱する。加熱手段5の加熱動作は、後述する制御装置50によって制御される。なお、この例に限られず、加熱手段5として、電流が供給されることによって熱を発生するヒータ等が用いられてもよい。
容器収納部3の底面の中央部には貫通孔が形成され、貫通孔内に鍋底温度センサ6が配置されている。鍋底温度センサ6は、圧縮バネ7によって下方から支持され、容器4の底部に接触するように配置される。鍋底温度センサ6は、容器4の温度を計測する。
外蓋2には、容器4の上面開口を覆う蓋体である内蓋9が連結されている。内蓋9の周縁には、シール材である蓋パッキン10が設けられている。蓋パッキン10は、外蓋2を閉じた際に、容器4のフランジ部4aおよび内壁と内蓋9との密閉性が得られるようになっている。
内蓋9には蒸気孔11が形成されている。蒸気孔11には蒸気排出弁12が配置されている。蒸気排出弁12は、容器4内の圧力によって自動的に開閉し、容器4内を密閉または非密閉とする。通常時において、蒸気排出弁12は、自重により蒸気孔11を閉塞するように設けられている。一方、容器4内が密閉された状態で、容器4内に蒸気が発生し、容器4内の圧力が大気圧を超えると、蒸気は蒸気排出弁12を押しのけて容器4外へ放出されるようになっている。なお、蒸気排出弁12は、容器4内が低圧となるときにも、蒸気孔11の周囲の内蓋9と外蓋2とを密閉するための蒸気孔パッキン23を介して、容器4内を密閉するように構成される。
蒸気排出弁12の下流には、カートリッジ13が配置されている。カートリッジ13には、ドリップ容器24が接続されている。カートリッジ13は、蒸気排出口14および凝縮水回収口15を備えている。カートリッジ13は、蒸気排出弁12を介して容器4内の蒸気を蒸気排出口14から排出する。
また、カートリッジ13は、凝縮水回収口15を備え、凝縮水回収口15を介して、内部に排出された凝縮水をドリップ容器24へと導く。ドリップ容器24は、カートリッジ13から供給された凝縮水を貯留する露受けとして機能する。なお、この例では、ドリップ容器24は、本体1の内部に配置されているが、これに限られず、外蓋2あるいはそれ以外の外部等に設けられてもよい。
内蓋9には、貫通するセンサ孔16が設けられている。外蓋2には、蓋温度センサ17が配置されている。蓋温度センサ17は、センサ孔16を介して容器4内の上部空間温度を計測する。上部空間温度は、容器4内の内容物以外の空間のうち、内蓋9近傍の空間の温度である。なお、外蓋2には、センサ孔16の周囲の内蓋9と外蓋2とを密閉するための蓋温度センサパッキン18が設けられている。
内蓋9には、貫通する第1の内蓋通気孔19aおよび第2の内蓋通気孔19bが設けられている。また、外蓋2には、中空状に形成された連通管21a~21f、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、圧力検知部33および電磁弁34が配置されている。
三方向電磁弁31には、第1の内蓋通気孔19aに接続された連通管21aと、減圧ポンプ32に接続された連通管21bと、外蓋2の内部に開口する外蓋内通気孔20に接続された連通管21dとが接続されている。減圧ポンプ32には、連通管21bと、カートリッジ13に接続された連通管21cとが接続されている。
三方向電磁弁31は、連通管21bと、連通管21aまたは連通管21dとが接続されるように、三方向電磁弁31の開閉動作が制御装置50によって制御される。連通管21bと連通管21dとが接続されることにより、外蓋2の内部と容器4の外部とが連通する。また、連通管21aと連通管21bとが接続されることにより、容器4の内外が連通する。
減圧ポンプ32は、吸引側から空気を吸引し、排出側から排気する減圧手段である。減圧ポンプ32は、容器4内の圧力を変化させる圧力変化手段として機能する。減圧ポンプ32の吸引側には、連通管21bが接続されている。減圧ポンプ32の排出側には、連通管21cが接続されている。減圧ポンプ32の駆動は、制御装置50によって制御される。
減圧ポンプ32は、三方向電磁弁31によって連通管21aと連通管21bとが接続された場合に、第1の内蓋通気孔19a、連通管21a、三方向電磁弁31および連通管21bを介して容器4内の空気を吸引する。そして、減圧ポンプ32は、吸引した空気を、連通管21cおよびカートリッジ13の蒸気排出口14を介して外部に排出する。これにより、容器4内の空気が吸引されて外部に排出されるため、容器4内が減圧する。以下では、このような第1の内蓋通気孔19aから連通管21a、三方向電磁弁31、連通管21b、減圧ポンプ32、連通管21cおよびカートリッジ13を経て蒸気排出口14に至る連通流路を「流路A」と適宜称して説明する。
また、減圧ポンプ32は、三方向電磁弁31によって連通管21bと連通管21dとが接続された場合に、外蓋内通気孔20、連通管21d、三方向電磁弁31および連通管21bを介して容器4内の空気を吸引する。そして、減圧ポンプ32は、吸引した空気を、連通管21cおよびカートリッジ13の蒸気排出口14を介して外部に排出する。以下では、このような外蓋内通気孔20から連通管21d、三方向電磁弁31、連通管21b、減圧ポンプ32、連通管21cおよびカートリッジ13を経て蒸気排出口14に至る連通流路を「流路B」と適宜称して説明する。
減圧ポンプ32が容器4内の蒸気を吸引した場合、減圧ポンプ32から凝縮水が排出されることがある。この凝縮水は、連通管21cを通ってカートリッジ13に排出され、カートリッジ13内において、重力によって凝縮水回収口15へ導かれる。そして、凝縮水は、凝縮水回収口15からドリップ容器24に貯留される。
圧力検知部33は、連通管21aの途中から分岐する分岐部分に接続されている。
圧力検知部33は、例えば圧力センサであり、連通管21aを含む容器4内の圧力を検知する。なお、圧力検知部33は、これに限られず、容器4に連通する連通流路を設け、この連通流路に接続するように配置されてもよい。
電磁弁34には、第2の内蓋通気孔19bに接続された連通管21eと、カートリッジ13に接続された連通管21fとが接続されている。電磁弁34は、容器4内と外部との連通を許容または阻止するように開閉する。電磁弁34の開閉動作は、制御装置50によって制御される。
電磁弁34が開くことにより、連通管21eと連通管21fとが接続され、容器4内と外部とが連通する。容器4内が減圧された状態で電磁弁34が開状態となった場合には、蒸気排出口14、カートリッジ13、連通管21f、電磁弁34、連通管21eを介して外気が容器4内に取り込まれ、容器4内の圧力が常圧に戻る。このように、電磁弁34の開閉状態によって容器4内の圧力が変化するため、電磁弁34は、減圧ポンプ32と同様に圧力変化手段として機能する。なお、以下では、このような蒸気排出口14からカートリッジ13、連通管21f、電磁弁34および連通管21eを経て第2の内蓋通気孔19bに至る連通流路を「流路C」と適宜称して説明する。
連通管21aの第1の内蓋通気孔19aとの接続部分には、第1の内蓋通気孔19aと密閉接続するための経路パッキン22aが配置されている。また、連通管21eの第2の内蓋通気孔19bとの接続部分には、第2の内蓋通気孔19bと密閉接続するための経路パッキン22bが配置されている。
なお、外蓋内通気孔20は、外蓋2の内部に配置される。これは、減圧ポンプ32への異物の侵入を防ぎ、故障を抑制するためである。また、外蓋内通気孔20および連通管21dは、外気を吸引するための通気孔として配置されているため、外蓋内通気孔20および連通管21dには、外部の埃等を吸引しないように、フィルターまたはメッシュ構造が設けられてもよい。
外蓋2には、操作表示部35が設置されている。操作表示部35は、ユーザによる操作指示等の入力および動作状態等の表示を行う。なお、操作表示部35は、外蓋2に設置される場合に限られず、例えば本体1に設置されてもよい。また、操作表示部35に対する操作および表示等の各種機能は、以下で説明する制御装置50に含まれてもよいし、スマートフォン等の外部の機器によって実現されてもよい。
(制御装置50)
さらに、加熱調理器100は、制御装置50を備えている。制御装置50は、加熱調理器100全体を制御する。制御装置50は、鍋底温度センサ6および蓋温度センサ17の計測結果に基づき、加熱コイル5a、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32および電磁弁34を制御し、後述する調理制御を実施するための制御を行う。
また、本実施の形態1において、制御装置50は、後述する温調工程で行われる間欠減圧の際に、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32および電磁弁34を制御し、容器4の減圧および減圧停止を制御する。なお、制御装置50は、本体1に設けられてもよいし、外蓋2に設けられてもよい。また、制御装置50は、上述した操作表示部35の各種機能を含んでもよい。
図2は、図1の加熱調理器の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、制御装置50には、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、圧力検知部33、電磁弁34、鍋底温度センサ6、蓋温度センサ17、操作表示部35およびインバータ部36が電気的に接続されている。インバータ部36は、加熱コイル5aに高周波電流を供給するために設けられている。
図3は、図1の制御装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、制御装置50は、情報取得部51、比較判断部52、機器制御部53、タイマ54および記憶部55を備えている。制御装置50は、マイクロコンピュータなどの演算装置上でソフトウェアを実行することにより各種機能が実現され、もしくは各種機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア等で構成されている。
情報取得部51は、鍋底温度センサ6で計測された容器4の温度と、蓋温度センサ17によって計測された容器4内の上部空間温度とを取得する。また、情報取得部51は、圧力検知部33で検知された容器4内の圧力を取得する。情報取得部51は、鍋底温度センサ6および蓋温度センサ17からの温度情報と、圧力検知部33からの圧力情報とを定期的に取得する。
比較判断部52は、後述する温調工程での間欠減圧の際に各種の比較および判断を行い、容器4の温度状態、圧力状態ならびに容器4に対する減圧時間等を判断する。例えば、比較判断部52は、タイマ54のカウント値と予め設定された値とを比較し、間欠減圧の際の減圧時間および減圧休止時間が予め設定された時間だけ経過したか否かを判断する。
機器制御部53は、比較判断部52による判断結果に基づき、加熱調理器100の各部の動作を制御する。例えば、機器制御部53は、比較判断部52による各種の判断結果に基づき、加熱コイル5a、三方向電磁弁31、減圧ポンプ32、電磁弁34、インバータ部36を制御する。
タイマ54は、後述する温調工程における各種の時間をカウントする。本実施の形態1において、タイマ54は、後述する間欠減圧時の減圧時間および減圧休止時間をカウントする。また、タイマ54は、間欠減圧時における減圧ポンプ32の駆動回数をカウントする。
記憶部55は、制御装置50の各部で用いられる各種の値を記憶する。本実施の形態1において、記憶部55は、比較判断部52でタイマ54によるカウント値と比較される減圧時間および減圧休止時間を記憶する。
図4は、図3の制御装置の構成の一例を示すハードウェア構成図である。制御装置50の各種機能がハードウェアで実行される場合、図3の制御装置50は、図4に示すように、処理回路41および入出力装置42で構成される。図3の情報取得部51、比較判断部52、機器制御部53、タイマ54および記憶部55の各機能は、処理回路41により実現される。また、操作表示部35の各種機能が制御装置50に含まれている場合、操作表示部35は、図4の入出力装置42に対応する。
各機能がハードウェアで実行される場合、処理回路41は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。情報取得部51、比較判断部52、機器制御部53、タイマ54および記憶部55の各部の機能それぞれを処理回路41で実現してもよいし、各部の機能を1つの処理回路41で実現してもよい。
図5は、図3の制御装置の構成の他の例を示すハードウェア構成図である。制御装置50の各種機能がソフトウェアで実行される場合、図3の制御装置50は、図5に示すように、プロセッサ43、メモリ44および入出力装置45で構成される。情報取得部51、比較判断部52、機器制御部53、タイマ54および記憶部55の各機能は、プロセッサ43およびメモリ44により実現される。また、操作表示部35の各種機能が制御装置50に含まれている場合、図3の操作表示部35は、図5の入出力装置45に対応する。
各機能がソフトウェアで実行される場合、情報取得部51、比較判断部52、機器制御部53、タイマ54および記憶部55の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ44に格納される。プロセッサ43は、メモリ44に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。
メモリ44として、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable and Programmable ROM)およびEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ等が用いられる。また、メモリ44として、例えば、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等の着脱可能な記録媒体が用いられてもよい。
[加熱調理器100の動作]
次に、上記構成を有する加熱調理器100の動作について説明する。まず、加熱調理器100の動作について説明する前に、調理における温度と圧力との関係について説明する。
図6は、内容物の温度と飽和水蒸気圧との関係を示すグラフである。図6のグラフは、内容物の温度に対する飽和水蒸気圧、すなわち、内容物が沸騰する際の圧力と沸点との関係を示す。図6に示すように、容器4内の内容物の沸点は、容器4内の圧力によって変動する。例えば、容器4内の内容物である水を60℃で沸騰させるためには、容器4内を0.2気圧程度まで減圧すればよい。
図6に示す内容物の温度と飽和水蒸気圧との関係から、本実施の形態1に係る加熱調理器100は、容器4内の内容物を調理する際に、容器4内を減圧するとともに加熱し、大気圧未満の圧力で100℃未満の温度帯から沸騰が継続される減圧沸騰状態を維持する。このように、減圧沸騰状態を維持することにより、容器4内の煮汁の対流が促進されるとともに、沸騰によって発生した水蒸気により、煮汁に浸かっていない食材が蒸すようにして加熱される。そのため、沸騰していない場合と比較して、容器4内の内容物の加熱ムラが軽減される。そして、加熱ムラが軽減されることにより、容器4内の内容物が均一に加熱され、食材の仕上がりが安定するため、おいしさを向上させることができる。
(基本動作)
本実施の形態1に係る加熱調理器100の基本動作について、図1および図2を参照しながら説明する。加熱調理器100では、主に、容器4を加熱する昇温工程と、容器4の温度を設定調理温度に維持しながら沸騰状態を維持する温調工程とを含む調理制御が行われる。
まず、ユーザによって、任意のメニューを調理するのに必要な米、肉、魚、野菜、水および調味料等の材料が容器4内に投入される。その後、ユーザによって容器4が容器収納部3に載置され、外蓋2が閉じられる。これにより、内蓋9の蓋パッキン10が容器4のフランジ部4aに圧接され、容器4内が密閉される。
次に、ユーザによる操作表示部35に対する操作によってメニューが選択され、図示しない開始スイッチがオンとされると、制御装置50に調理開始指示が与えられ、調理が開始される。このとき、制御装置50には、選択されたメニューに応じて、設定調理温度T[℃]、減圧ポンプ32の駆動パターン、ならびに設定調理温度Tを維持する設定調理時間等の調理条件を含む調理シーケンスが、調理開始指示として与えられる。
なお、設定調理温度Tおよび設定調理時間等の調理条件は、それぞれユーザによって直接選択されるようにしてもよい。また、食材の種類および量、ならびに調理方法等についても、それぞれユーザによって直接選択されてもよい。
ここで、本実施の形態1では、減圧低温沸騰が開始される設定調理圧力P[atm]は設定されない。本実施の形態1では、容器4内の空間温度の上昇等により、低温沸騰が開始されたこと、すなわち、容器4内の圧力が設定調理温度Tの飽和水蒸気圧である設定調理圧力Pに到達したことが判断される。
なお、この例に限られず、設定調理圧力Pが予め設定されるようにしてもよい。また、例えば、設定可能な各温度に対する飽和水蒸気圧の関係をテーブルとして予め用意しておき、設定調理温度Tで沸騰する圧力が自動的に設定され、そのときの圧力が操作表示部35等に表示されるようにしてもよい。加えて、予約調理のように、設定した時刻までに調理が完了するように、設定調理時間と設定完了時刻とが設定されるようにしてもよい。
調理開始指示が制御装置50に与えられると、昇温工程および温調工程を含む調理制御が開始される。電磁弁34は、調理開始時には流路Cが連通するように開状態となっているが、調理制御が開始されると、流路Cを遮断するように閉状態とされる。
加熱コイル5aには、インバータ部36から高周波電流が供給され、高周波磁界が発生する。容器4の加熱コイル対向面は、発生した高周波磁界によって加熱コイル5aと磁気結合して励磁され、容器4の底面に渦電流が誘起される。そして、誘起された渦電流と容器4の抵抗とによりジュール熱が生じ、容器4の底面が発熱して容器4の内容物に対する加熱が行われる。本実施の形態1では、容器4が設定調理温度Tに到達した後、インバータ部36が制御され、設定調理温度Tを維持するように、設定調理温度Tの近傍での温度調節が行われる。
また、三方向電磁弁31は、調理開始時には流路Bが連通する状態となっており、容器4内の減圧が行われるときのみ流路Aが連通する状態とされる。そして、減圧ポンプ32が駆動された場合には、容器4内の空気が第1の内蓋通気孔19a、連通管21a、三方向電磁弁31、連通管21b、減圧ポンプ32、連通管21cおよびカートリッジ13の蒸気排出口14を介して外部に排出される。これにより、容器4内の圧力が徐々に低下する。そして、図6に示すように、容器4内の圧力が、容器4の温度または容器4内の内容物の温度における飽和水蒸気圧となると、容器4内に収容された内容物が激しく蒸発および沸騰し、減圧低温沸騰が開始される。なお、本実施の形態1において、このときの圧力は、大気圧である1.0atm以下の圧力となる。
指示された設定調理時間が経過すると、調理が終了し、インバータ部36および減圧ポンプ32の駆動が停止され、加熱および減圧が停止する。また、三方向電磁弁31は、連通流路が流路Aから流路Bに切り替えられるように制御される。このとき、例えば操作表示部35により、調理が終了したことがユーザに対して報知されるようにしてもよい。
その後、内容物および容器4内の温度が低下し、予め設定された保温温度に到達した場合に、インバータ部36が制御され、設定保温温度で内容物の温度を調節する保温工程が行われる。
図7は、本実施の形態1に係る加熱調理器の調理制御について説明するためのグラフである。図7は、容器4の温度[℃]および容器4内の圧力[atm]と、加熱コイル5a、減圧ポンプ32、三方向電磁弁31、電磁弁34および蒸気排出弁12のそれぞれの動作タイミングとの一例を示す。図7に示すように、加熱調理器100は、調理の際に、昇温工程および温調工程を含む調理制御を行う。
(昇温工程)
昇温工程は、容器4内の温度が設定調理温度Tに達するまで昇温する工程である。昇温工程において、制御装置50の機器制御部53は、まず、電磁弁34が閉状態となるように制御して流路Cを遮断する。また、機器制御部53は、鍋底温度センサ6で計測された容器4の温度が設定調理温度T[℃]となるように加熱手段5を駆動し、容器4の加熱を開始する。そして、時点t1において容器4の温度が設定調理温度Tに到達すると、温調工程が開始される。
(温調工程)
温調工程は、容器4の温度を設定調理温度Tの近傍となるように調節する工程である。すなわち、機器制御部53は、鍋底温度センサ6で計測された容器4の温度が設定調理温度Tを含む一定の温度範囲内に収まるように加熱コイル5aを制御する。以下では、「設定調理温度Tを含む一定の温度範囲」を「設定調理温度範囲」と称し、「設定調理温度Tを含む一定の温度範囲内に収まる」ことが「設定調理温度Tを維持する」ことを意味するものとする。
時点t1において、容器4の温度が設定調理温度Tに到達すると、機器制御部53は、連通流路が流路Aとなるように、三方向電磁弁31を切り替える。また、機器制御部53は、蒸気排出弁12を閉にして減圧ポンプ32を駆動し、容器4内の減圧を開始する。このとき、機器制御部53は、容器4内の内容物の沸騰が検知されるまで、減圧ポンプ32による減圧を継続する。
このように容器4内の減圧が行われることにより、容器4内は、大気圧である1.0[atm]から徐々に減圧される。そして、容器4内の圧力が、容器4の温度における飽和水蒸気圧以下になると、容器4の底面を中心に内容物が急激に蒸発し、沸騰状態となる。
機器制御部53は、時点t2において内容物の沸騰を検知すると、沸騰検知から所定時間経過した時点t3において、連通流路が流路Bとなるように、三方向電磁弁31を切り替え、容器4を密閉状態にする。また、機器制御部53は、時点t3において、減圧ポンプ32の駆動を停止させ、容器4内の減圧を停止する。
なお、機器制御部53は、沸騰の検知直後に減圧ポンプ32による減圧を停止させてもよいし、沸騰の検知に関わらず、減圧開始から予め設定された所定時間だけ減圧を行うようにしてもよい。内容物の沸騰検知として、従来から用いられている各種公知の方法が用いられる。具体的には、例えば、蓋温度センサ17で計測された容器4内の上部空間温度と、鍋底温度センサ6で計測された容器4の温度との温度差が設定値以下になった場合に、制御装置50は、沸騰を検知することができる。
本実施の形態では、容器4の温度が設定調理温度Tに到達した後に、容器4内の減圧を開始するように説明したが、これはこの例に限られない。例えば、容器4の加熱と容器4内の減圧とを同時に開始してもよい。また、例えば、容器4内を減圧してから容器4の加熱を開始してもよい。本実施の形態1に係る加熱調理器100は、調理中または調理後に減圧沸騰状態を維持することが求められる。そのため、減圧のタイミングに関わらず、容器4内の圧力が容器4の温度における飽和水蒸気圧以下まで減圧されれば、加熱および減圧のタイミングは問わない。
上述したように、機器制御部53は、時点t3において連通流路が流路Bとなるように三方向電磁弁31を切り替えた際に、減圧ポンプ32の駆動を停止させてもよいが、減圧ポンプ32をそのまま駆動させてもよい。これにより、減圧ポンプ32は、外蓋内通気孔20から外気を吸引するため、流路Bを介してカートリッジ13に凝縮水および空気を排出することができる。
ここで、容器4内の空間が完全に密閉されていれば、容器4内の空間は、常に気液平衡状態となる。制御装置50の制御により、容器4は温調されているため、加熱の際にはそのエネルギーが沸騰に寄与して内容物の沸騰が起こり、容器4内の圧力は微増する。一方、加熱が停止された場合には沸騰が落ち着き、容器4内の圧力が低下する。そのため、容器4の加熱および加熱停止を繰り返すことにより、容器4内の内容物は十分に攪拌されるとともに、容器4内全体を均一な温度に維持することができる。
一方で、容器4の密閉状態が維持され続ける限り、例え沸騰状態が続いたとしても、容器4内の内容物が濃縮されることはない。また、何らかの原因によって、スローリークが発生している場合、容器4内の圧力は徐々に上昇するため、沸騰を維持することが困難となる。容器4内の内容物が完全に沸騰しなくなり、外気が流入し続けると、場合によっては容器4を温調していた場合でも、容器4の空間温度が低下する。そうすると、容器4内の内容物にしっかり火が通せない等、ユーザの所望の仕上がりを実現できない可能性がある。
そこで、本実施の形態1に係る加熱調理器100では、減圧沸騰の維持および容器4内の内容物の濃縮を目的として、減圧ポンプ32が間欠的に繰り返し駆動する。すなわち、機器制御部53は、減圧ポンプ32による減圧を停止させてから所定の時間が経過した後、連通流路が流路Aとなるように三方向電磁弁31を切り替えるとともに、減圧ポンプ32を駆動し、容器4内を減圧する。また、機器制御部53は、減圧ポンプ32の駆動を再開してから所定時間が経過した後、減圧ポンプ32の駆動を停止するとともに、連通流路が流路Bとなるように三方向電磁弁31を切り替える。そして、このような容器4内の減圧と密閉維持(減圧休止)とを間欠的に行う間欠減圧が繰り返される。
温調工程が開始されてから設定調理時間が経過すると、機器制御部53は、容器4の加熱を停止させ、電磁弁34を開状態として調理制御を終了する。ただし、この後に、調理制御を継続してもよい。例えば、機器制御部53は、容器4の温度が設定調理温度Tよりも高い所定の温度となるまで加熱を行い、第2の温調工程を行ってもよい。なお、設定調理時間のカウントは、沸騰が検知された時点から開始されるようにしてもよい。
(設定調理時間に応じた間欠減圧について)
ところで、設定調理時間、すなわち、減圧沸騰状態を維持する時間は、調理内容等によって異なる。例えば、煮込み調理および低温調理では、減圧沸騰状態を数時間維持する必要がある。また、一般的な炊飯器では、最低でも12時間の保温を保証するものが多い。したがって、このように減圧沸騰状態を長時間維持する場合であっても、ドリップ容器24から凝縮水であるドリップが溢れないようにする必要がある。
そこで、本実施の形態1に係る加熱調理器100では、温調工程における間欠減圧の回数が増えるほど、間欠減圧時に減圧ポンプ32を駆動する減圧時間を短くし、間欠減圧時に減圧ポンプ32の駆動を停止する減圧休止時間を長くする。
煮込み調理、低温調理および保温では、調理時間に数時間を要するが、その他のほとんどの料理は、調理時間が1時間前後で完結するものが多い。したがって、このような場合には、調理の前半に減圧を集中させ、強い沸騰を得るとともに、水蒸気の排出を行い、調理後半では減圧沸騰状態を維持する程度とする。これにより、比較的長い調理時間に対しても減圧調理を継続することができる。また、沸騰による攪拌および蒸気の排出等、仕上がりに影響を与えやすい調理を調理時間の前半に行うため、様々な調理メニューに対しても比較的安定した仕上がりを得ることができる。
なお、間欠減圧における減圧時間は、減圧回数が増加するにつれて毎回減らしてもよいし、減圧回数が所定の回数に到達する毎に減らしてもよい。具体的には、制御装置50は、タイマ54により減圧回数をカウントし、タイマ54の値が規定数以上となった場合に減圧時間を減らす、あるいは、減圧休止時間を増やすようにする。また、例えば、間欠減圧においては、途中までは回が増加する毎に減圧時間を減らし、その後は減圧時間を一定としてもよい。
さらに、例えば、間欠減圧においては、減圧時間を積算し、積算時間が規定値以上となった場合に、減圧時間を減らす、あるいは、減圧休止時間を増やすようにしてもよい。
また、一般に、真空度が高くなればなるほど、容器4内の気体の密度は小さくなるため、減圧ポンプ32が単位時間あたりに吸引および排出できる気体の量は、容器4内の真空度が高くなるに従って少なくなる。したがって、減圧ポンプ32から排出されるドリップの量は、設定調理温度Tが高温になるほど多くなる。そのため、設定調理温度Tに関わらず、より長時間の減圧調理を可能とするためには、設定調理温度Tに応じて、間欠減圧の回数を調整する必要がある。
この場合、例えば、設定調理温度Tと間欠減圧の回数とを関連付けたテーブルを予め用意しておき、設定調理温度Tに基づき、テーブルを参照することで間欠減圧の回数が設定される。なお、このときのそれぞれの間欠減圧における減圧時間および減圧休止時間は、予め設定されていてもよい。これにより、間欠減圧における減圧時間を、減圧回数に応じて適切に設定することができる。
(設定調理温度Tが異なる調理モードでの間欠減圧について)
設定調理温度が異なる2つの調理モードにおける間欠減圧時の減圧時間および減圧休止時間について説明する。以下では、加熱調理器100が、第1調理モードおよび第2調理モードの、設定調理温度Tが異なる2つの調理モードによる調理を行うことができる場合を例にとって説明する。ここで、第1調理モードは、設定調理温度Tを60[℃]程度の設定調理温度T1として調理を行うモードである。第2調理モードは、設定調理温度Tを80[℃]程度の設定調理温度T1よりも高い設定調理温度T2として調理を行うモードである。
上述したように、設定調理温度Tが高温であるほど、減圧ポンプ32から排出される凝縮水であるドリップの量が多くなる。そのため、設定調理温度Tが異なる第1調理モードおよび第2調理モードに対して、温調工程の間欠減圧におけるそれぞれの減圧時間および減圧休止時間を同一時間とした場合、1回の減圧の際のドリップ排出量が多い、設定調理温度Tが高い第2調理モードでは、設定調理温度Tが低い第1調理モードと比較して、ドリップ容器24からドリップが早く溢れてしまう。
したがって、設定調理温度Tが高いほど、間欠減圧の回数を少なくするようにするとよい。具体的には、例えば、第2調理モードにおける温調工程では、第1調理モードにおける温調工程よりも間欠減圧の回数を少なくする。すなわち、第2調理モードの温調工程では、間欠減圧の減圧時間を第1調理モードよりも短くし、減圧休止時間を長くする。これにより、設定調理温度Tの高さに関わらず、減圧調理を行うことができ、設定調理温度Tが比較的高温である場合であっても、減圧調理を長時間行うことができる。
図8は、本実施の形態1に係る加熱調理器の第1調理モードによる調理制御について説明するためのグラフである。図9は、本実施の形態1に係る加熱調理器の第2調理モードによる調理制御について説明するためのグラフである。図8および図9は、それぞれ、容器4の温度[℃]および容器4内の圧力[atm]と、加熱コイル5a、減圧ポンプ32、三方向電磁弁31、電磁弁34および蒸気排出弁12のそれぞれの動作タイミングとの一例を示す。
第1調理モードでは、例えば、設定調理温度Tを60[℃]程度の設定調理温度T1として調理が行われるものとする。第2調理モードでは、例えば、設定調理温度Tを80[℃]程度の設定調理温度T1よりも高い設定調理温度T2として調理が行われるものとする。
図8に示すように、第1調理モードでは、沸騰が検知されてから時間t11が経過した後に、減圧ポンプ32が停止し、容器4内の減圧が停止する。減圧ポンプ32が停止してから時間t12が経過すると、減圧ポンプ32が駆動し、容器4内の減圧が行われる。減圧ポンプ32が駆動してから時間t14が経過すると、減圧ポンプ32が停止し、容器4内の減圧が停止する。減圧ポンプ32が停止してから時間t13が経過すると、減圧ポンプ32が駆動し、容器4内の減圧が行われる。減圧ポンプ32が駆動してから時間t15が経過すると、減圧ポンプ32が停止し、容器4内の減圧が停止する。以下、同様にして、第1調理モードによる温調工程が終了するまで間欠減圧が行われ、減圧ポンプ32の駆動および駆動停止が所定の回数だけ繰り返される。
また、図9に示すように、第2調理モードでは、沸騰が検知されてから時間t21が経過した後に、減圧ポンプ32が停止し、容器4内の減圧が停止する。減圧ポンプ32が停止してから時間t22が経過すると、減圧ポンプ32が駆動し、容器4内の減圧が行われる。減圧ポンプ32が駆動してから時間t24が経過すると、減圧ポンプ32が停止し、容器4内の減圧が停止する。減圧ポンプ32が停止してから時間t23が経過すると、減圧ポンプ32が駆動し、容器4内の減圧が行われる。減圧ポンプ32が駆動してから時間t25が経過すると、減圧ポンプ32が停止し、容器4内の減圧が停止する。以下、同様にして、第2調理モードによる温調工程が終了するまで間欠減圧が行われ、減圧ポンプ32の駆動および駆動停止が所定の回数だけ繰り返される。
ここで、図8および図9に示す例では、間欠減圧時における1回目の減圧休止時間t12およびt22よりも2回目の減圧休止時間t13およびt23の方が長い。すなわち、「t13>t12」および「t23>t22」となっている。また、この例では、間欠減圧時における1回目の減圧時間t14およびt24よりも2回目の減圧時間t15およびt25の方が短い。すなわち、「t14>t15」および「t24>t25」となっている。
間欠減圧時には、このように減圧ポンプ32の駆動および駆動停止が制御されることにより、ドリップ容器24からドリップが溢れることなく、容器4内の減圧沸騰状態を長時間維持することができる。
図10は、本実施の形態1に係る制御装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、制御装置50が図8に示す第1調理モードによる調理を行う場合について説明する。
第1調理モードによる調理が行われる場合、制御装置50の機器制御部53は、ステップS1において、流路Cが遮断されるように電磁弁34を制御するとともに、連通流路が流路Bとなるように三方向電磁弁31を切り替える。また、機器制御部53は、加熱手段5を駆動する。これにより、制御装置50は、昇温工程を開始する。
ステップS2において、制御装置50は、容器4の空間温度が設定調理温度T1まで昇温したか否かを判断する。空間温度が設定調理温度T1に到達した場合(ステップS2:Yes)には、処理がステップS3に移行する。一方、空間温度が設定調理温度T1に到達していない場合(ステップS2:No)には、処理がステップS2に戻り、空間温度が設定調理温度T1に到達するまでステップS2の処理が繰り返される。
ステップS3において、機器制御部53は、連通流路が流路Aとなるように三方向電磁弁31を切り替えるとともに、減圧ポンプ32を駆動し、容器4内の減圧を開始する。これにより、制御装置50は、温調工程を開始する。
ステップS4において、制御装置50は、容器4内の内容物の沸騰を検知したか否かを判断する。容器4内の内容物の沸騰を検知した場合(ステップS4:Yes)、制御装置50は、ステップS5において、タイマ54による減圧時間のカウントを開始する。一方、容器4内の内容物の沸騰を検知しない場合(ステップS4:No)には、処理がステップS4に戻り、沸騰が検知されるまでステップS4の処理が繰り返される。
ステップS6において、比較判断部52は、タイマ54でカウントされた値と、記憶部55に記憶された減圧時間t11とを比較し、容器4内の内容物の沸騰を検知してから減圧時間t11が経過したか否かを判断する。減圧時間t11が経過した場合(ステップS6:Yes)、機器制御部53は、ステップS7において、減圧ポンプ32を停止させて容器4内の減圧を停止するとともに、連通流路が流路Bとなるように三方向電磁弁31を切り替える。また、制御装置50は、タイマ54によるカウントをリセットし、タイマ54による減圧休止時間のカウントを開始する。一方、減圧時間t11が経過していない場合(ステップS6:No)には、処理がステップS6に戻り、減圧時間t11が経過するまでステップS6の処理が繰り返される。
ステップS8において、比較判断部52は、タイマ54でカウントされた値と、記憶部55に記憶された減圧休止時間t12とを比較し、容器4内の減圧を停止してから減圧休止時間t12が経過したか否かを判断する。減圧休止時間t12が経過した場合(ステップS8:Yes)、機器制御部53は、ステップS9において、連通流路が流路Aとなるように三方向電磁弁31を切り替えるとともに、減圧ポンプ32を駆動し、容器4内の減圧を再開する。また、制御装置50は、タイマ54によるカウントをリセットし、タイマ54による減圧時間のカウントを開始する。一方、減圧休止時間t12が経過していない場合(ステップS8:No)には、処理がステップS8に戻り、減圧休止時間t12が経過するまでステップS8の処理が繰り返される。
ステップS10において、比較判断部52は、タイマ54でカウントされた値と、記憶部55に記憶された減圧時間t14とを比較し、容器4内の内容物の沸騰を検知してから減圧時間t14が経過したか否かを判断する。減圧時間t14が経過した場合(ステップS10:Yes)、機器制御部53は、ステップS11において、減圧ポンプ32を停止させて容器4内の減圧を停止するとともに、連通流路が流路Bとなるように三方向電磁弁31を切り替える。また、制御装置50は、タイマ54によるカウントをリセットし、タイマ54による減圧休止時間のカウントを開始する。一方、減圧時間t14が経過していない場合(ステップS10:No)には、処理がステップS10に戻り、減圧時間t14が経過するまでステップS10の処理が繰り返される。
ステップS12において、比較判断部52は、タイマ54でカウントされた値と、記憶部55に記憶された減圧休止時間t13とを比較し、容器4内の減圧を停止してから減圧休止時間t13が経過したか否かを判断する。減圧休止時間t13が経過した場合(ステップS12:Yes)、機器制御部53は、ステップS13において、連通流路が流路Aとなるように三方向電磁弁31を切り替えるとともに、減圧ポンプ32を駆動し、容器4内の減圧を再開する。また、制御装置50は、タイマ54によるカウントをリセットし、タイマ54による減圧時間のカウントを開始する。一方、減圧休止時間t13が経過していない場合(ステップS12:No)には、処理がステップS12に戻り、減圧休止時間t13が経過するまでステップS12の処理が繰り返される。
ステップS14において、比較判断部52は、タイマ54でカウントされた値と、記憶部55に記憶された減圧時間t15とを比較し、容器4内の内容物の沸騰を検知してから減圧時間t15が経過したか否かを判断する。減圧時間t15が経過した場合(ステップS14:Yes)、機器制御部53は、ステップS15において、減圧ポンプ32を停止させて容器4内の減圧を停止するとともに、連通流路が流路Bとなるように三方向電磁弁31を切り替える。また、制御装置50は、タイマ54によるカウントをリセットし、タイマ54による減圧休止時間のカウントを開始する。一方、減圧時間t15が経過していない場合(ステップS14:No)には、処理がステップS14に戻り、減圧時間t15が経過するまでステップS14の処理が繰り返される。
このようにして、本実施の形態1に係る加熱調理器100では、設定調理温度Tに対して予め規定された回数だけ間欠減圧が繰り返される。これにより、容器4内の圧力が維持されるため、容器4内の内容物の沸騰を維持することができ、ユーザが所望する調理(仕上がり)を実現することができる。
ここで、間欠減圧における減圧の頻度を減らし始めるタイミングは、最初からでなくてもよい。例えば、容器4内の液体物量が固形物よりも少ない場合には、固形物に水蒸気の熱が奪われやすく、初期は水蒸気量が少ないため、頻繁に減圧ポンプ32を駆動することでしっかりと強い沸騰を起こすことができ、内容物の攪拌を行うことができる。したがって、容器4の空間温度が十分に上昇するまでは、どのような設定調理温度Tであっても減圧の頻度を同一とし、空間温度が設定調理温度T付近の所定温度に到達してから減圧の頻度を減らし始めるとよい。
一方、非常に長い時間調理を続けると、いずれはドリップ容器24が満水となり、ドリップが溢れてしまう。そこで、制御装置50は、ある一定以上の減圧を実施した場合に、それ以降は減圧ポンプ32を動作させないように制御する。
例えば、設定調理温度T1が60[℃]である第1調理モードにおいて、減圧回数が10回以上となった場合にドリップ容器24が溢れる場合、制御装置50は、間欠減圧を9回目以降に行わないようにする。上述したように、容器4が完全に密閉されていれば、間欠減圧を行わずに容器4内の沸騰を維持することは可能である。ただし、現実的に一般家庭においてスローリークを全く起こさないことは困難である。そのため、このような場合には、蓋温度センサ17による空間温度の低下を検知した際に、ユーザに対してエラーを報知するなど、バックアップ対策を行うとよい。
また、設定調理温度T2が設定調理温度T1よりも高い80[℃]である第2調理モードでは、沸騰後の吸引時間が同じである場合に、1回の減圧ポンプ32の駆動によって吸引されるドリップ量が第1調理モードと比較して多い。そのため、この場合には、間欠減圧の回数を第1調理モードよりも少なくする。具体的には、例えば、制御装置50は、間欠減圧を6回目以降に行わないようにする。ただし、設定調理温度Tが第1調理モードよりも高い分、沸騰検知以降の吸引時間を減らすなど、別の対策を行っている場合はこの限りではない。
以上のように、本実施の形態1に係る加熱調理器100では、減圧沸騰状態を維持する際に、所定時間だけ間欠減圧が行われ、容器4内に発生する水蒸気の吸引が適切な量に抑制される。そのため、ドリップ容器24からドリップが溢れることを防ぎつつ、長時間の減圧沸騰を維持することができる。
以上、本開示の実施の形態1について説明したが、本開示は、上述した実施の形態1に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形または応用が可能である。本実施の形態1では、減圧ポンプ32への水蒸気の吸引量を調整するための様々な対策をすべてまとめて搭載した場合について説明したが、これに限られず、それぞれの対策を個別に実施するようにしてもよい。
また、本実施の形態1では、減圧ポンプ32によって吸引されたドリップをドリップ容器24に貯留する場合について説明したが、これに限られず、例えば、ドリップをシンク等に流せるように、凝縮水回収口15にホース等を設けてもよい。これにより、ドリップ容器24からドリップが溢れることを確実に防ぐことができる。ただし、このようにしてドリップを外部に排出する場合には、加熱調理器100の使用場所が限定されるため、実施の形態1で説明したように、加熱調理器100にドリップ容器24を設ける方が使い勝手がよい。
調理の際の容器4の温度変化は一例を示したものであり、所定の設定調理温度Tで温調する温調工程が調理制御に含まれていれば、温調工程の前後に如何なる制御を入れてもよい。
間欠減圧による減圧の回数および減圧によるドリップの吸引量等の検知方法としては、実施の形態1で説明した方法以外にも考えられる。例えば、制御装置50は、間欠減圧時における沸騰検知後の容器4内の減圧(減圧ポンプ32の駆動)を継続している時間を積算し、積算時間が予め設定された所定の時間以上に到達した場合に、それ以降の容器4内の減圧を行わないようにする。この場合、制御装置50は、設定調理温度Tが高いほど所定の時間を短くする。
また、加熱調理器100は、ドリップ容器24に貯留されるドリップの量を検知するドリップ量センサ等を備えてもよい。例えば、重量センサまたは光学式の水位センサ等、従来から知られているセンサ類を設け、制御装置50は、ドリップ容器24の内容物量を検知する。そして、制御装置50は、ドリップ容器24に所定の量のドリップが貯留された場合に、間欠減圧を停止する。
このとき、ドリップ容器24内のドリップ量に応じて、減圧ポンプ32の駆動制御を変更するようにしてもよい。例えば、ドリップ容器24の制限容量の50%までドリップが貯まった場合、制御装置50は、減圧休止時間をより長くしたり、減圧沸騰後の吸引時間(減圧時間)をより短くしたりするとよい。ドリップ量を検知することにより、より確実にドリップ容器24からのドリップの溢れを防止できるとともに、ドリップ量に応じて、各設定調理温度Tでの最適な制御を実施することができる。
また、本実施の形態1では、減圧ポンプ32を一定のトルクで駆動するものとして、減圧ポンプ32による減圧時間を調整したが、これに限られず、減圧ポンプ32のトルクを可変としてもよい。この場合、制御装置50は、インバータ等により、減圧ポンプ32への供給電流量を調整し、トルクを制御することで、減圧量を調整するようにしてもよい。
1 本体、2 外蓋、3 容器収納部、4 容器、4a フランジ部、5 加熱手段、5a 加熱コイル、6 鍋底温度センサ、7 圧縮バネ、9 内蓋、10 蓋パッキン、11 蒸気孔、12 蒸気排出弁、13 カートリッジ、14 蒸気排出口、15 凝縮水回収口、16 センサ孔、17 蓋温度センサ、18 蓋温度センサパッキン、19a 第1の内蓋通気孔、19b 第2の内蓋通気孔、20 外蓋内通気孔、21a、21b、21c、21d、21e、21f 連通管、22a、22b 経路パッキン、23 蒸気孔パッキン、24 ドリップ容器、31 三方向電磁弁、32 減圧ポンプ、33 圧力検知部、34 電磁弁、35 操作表示部、36 インバータ部、41 処理回路、42、45 入出力装置、43 プロセッサ、44 メモリ、50 制御装置、51 情報取得部、52 比較判断部、53 機器制御部、54 タイマ、55 記憶部、100 加熱調理器。

Claims (10)

  1. 内容物を収容する容器と、
    前記容器を収納する本体と、
    前記容器を覆う蓋体と、
    前記容器を加熱する加熱手段と、
    前記容器と前記蓋体とによって形成される前記容器内の空間の空気を吸引して前記容器内を減圧する減圧手段と、
    減圧沸騰状態を維持するように前記加熱手段および前記減圧手段を制御する制御装置と
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記内容物の調理の際に、所定時間だけ、前記減圧手段を間欠的に駆動させる間欠減圧を行う
    加熱調理器。
  2. 前記制御装置は、
    第1設定調理温度で前記内容物を減圧沸騰させる第1工程を含む第1調理モードと、
    前記第1設定調理温度よりも高い第2設定調理温度で前記内容物を減圧沸騰させる第2工程を含む第2調理モードと
    を少なくとも有し、
    前記第2調理モードにおいて、前記第2工程で行われる前記間欠減圧における減圧回数が前記第1工程で行われる前記間欠減圧における減圧回数よりも少なくなるように、前記減圧手段を制御する
    請求項1に記載の加熱調理器。
  3. 前記制御装置は、
    前記間欠減圧における減圧回数が増えるにつれて前記間欠減圧による前記容器内の空気の吸引量が減るように、前記減圧手段を駆動する減圧時間を短くする
    請求項1または2に記載の加熱調理器。
  4. 前記制御装置は、
    前記間欠減圧における減圧回数が増えるにつれて前記間欠減圧による前記容器内の空気の吸引量が減るように、前記減圧手段への供給電流を調整する
    請求項1または2に記載の加熱調理器。
  5. 前記制御装置は、
    前記間欠減圧における減圧回数が増えるにつれて、前記減圧手段の駆動を停止する減圧休止時間を長くする
    請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱調理器。
  6. 前記調理の際に、ユーザによる調理温度または調理時間の操作指示が入力される操作表示部をさらに備える
    請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱調理器。
  7. 前記制御装置は、
    前記間欠減圧の回数が所定回数に到達した場合に、前記容器内の減圧を停止する
    請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱調理器。
  8. 前記制御装置は、
    前記容器内を減圧する累計減圧時間が所定時間に到達した場合に、前記容器内の減圧を停止する
    請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱調理器。
  9. 前記制御装置は、
    前記内容物の沸騰が検知されてからの前記容器内を減圧する累計減圧時間が所定時間に到達した場合に、前記容器内の減圧を停止する
    請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱調理器。
  10. 前記減圧手段によって吸引された前記空気による水蒸気が結露することによって生じるドリップを貯留するドリップ容器と、
    前記ドリップ容器に貯留された前記ドリップの貯留量を検知するドリップ量センサと
    をさらに備え、
    前記制御装置は、
    前記ドリップ容器への前記ドリップの貯留量が所定量となった場合に、前記容器内の減圧を停止する
    請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱調理器。
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