JP7390475B2 - ゼオライト膜複合体、分離装置、分離方法、および、ゼオライト膜複合体の製造方法 - Google Patents

ゼオライト膜複合体、分離装置、分離方法、および、ゼオライト膜複合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゼオライト膜複合体、および、当該ゼオライト膜複合体を利用した分離技術に関する。
[関連出願の参照]
本願は、2020年3月24日に出願された国際特許出願PCT/JP2020/012910からの優先権の利益を主張し、当該出願の全ての開示は、本願に組み込まれる。
特開2006-112488号公報(文献1)、および、竹見友宏、他3名による「DDR型ゼオライト膜によるバイオガスからのメタン回収システムの開発」(第31回土木学会関東支部新潟会研究調査発表会、2014年、484-485頁)(文献2)では、DDR型ゼオライト膜を用いて、消化ガス等のバイオガスからメタンを分離する装置が開示されている。バイオガスは、メタン、二酸化炭素の他に、硫化水素を含んでいるため、文献1および文献2では、脱硫装置を用いて、バイオガスから硫黄分が予め除去される。
また、特開2014-46267号公報(文献3)では、8員環ゼオライト膜(すなわち、酸素8員環を有するゼオライト構造を含むゼオライト膜)を用いて、硫化水素を含む混合ガスから硫化水素を分離する方法が開示されている。なお、特開2019-171234号公報(文献4)では、分離性能の低下した硫化水素分離用ゼオライト膜を、真空下で30℃以上500℃以下の温度で加熱処理することにより、ゼオライト中の硫黄分を除去し、ゼオライト膜の分離性能を再生させる手法が開示されている。
ところで、文献3のゼオライト膜を長期間使用すると、文献2に記載されているように、硫化水素が膜中に蓄積して硫化水素の透過速度が低下し、ゼオライト膜の分離性能が低下すると考えられる。混合ガスから硫化水素を除去する脱硫装置を設けることも考えられるが、硫化水素の分離に要するコストが増大してしまう。また、加熱によりゼオライト膜の分離性能を再生させる文献4の手法を採用する場合も、硫化水素の分離に要するコストが増大するとともに、分離処理に係る手順が煩雑となる。したがって、硫化水素濃度が高い場合であっても、硫化水素を安定して透過させることが可能なゼオライト膜が求められている。
本発明は、ゼオライト膜複合体に向けられており、硫化水素を安定して透過させることが可能なゼオライト膜を含むゼオライト膜複合体を提供することを目的としている。
本発明に係るゼオライト膜複合体は、多孔質の支持体と、前記支持体上に設けられ、8員環ゼオライトからなるゼオライト膜とを備え、前記ゼオライト膜は、プロトンを含み、前記ゼオライト膜が、窒素および硫化水素を含むガスに対して、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させる。
本発明によれば、硫化水素を安定して透過させることが可能なゼオライト膜複合体を提供することができる。
好ましくは、前記ゼオライト膜に対するアンモニア昇温脱離測定において、アンモニアの脱離量が最大となるピーク温度域における前記脱離量が1μmol/cm以上である。
好ましくは、前記ゼオライト膜において、酸素原子に対するアルカリ金属原子の比率が1atm%以下である。
本発明は、分離装置にも向けられている。本発明に係る分離装置は、上記ゼオライト膜複合体と、少なくとも硫化水素を含む混合ガスを前記ゼオライト膜複合体に供給する供給部とを備える。
好ましくは、前記混合ガスが、炭化水素を含む。
好ましくは、前記混合ガスにおける硫化水素の濃度が、3mol%以上である。
本発明は、分離方法にも向けられている。本発明に係る分離方法は、上記ゼオライト膜複合体を準備する工程と、少なくとも硫化水素を含む混合ガスを前記ゼオライト膜複合体に供給する工程とを備える。
好ましくは、前記混合ガスが、炭化水素を含む。
好ましくは、前記混合ガスにおける硫化水素の濃度が、3mol%以上である。
本発明は、ゼオライト膜複合体の製造方法にも向けられている。本発明に係る一のゼオライト膜複合体の製造方法は、構造規定剤を含む原料溶液を用いて、多孔質の支持体上に8員環ゼオライトからなるゼオライト膜を形成する工程と、前記ゼオライト膜から前記構造規定剤を除去する工程と、前記ゼオライト膜をアルカリ性処理液に1時間以上浸漬することにより、プロトンを含み、窒素および硫化水素を含むガスに対して、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させる前記ゼオライト膜を得る工程とを備え、前記処理液が、有機アミンまたは第四級アンモニウム水酸化物を含み、前記処理液中のアンモニウムイオン濃度が1μmol/L以下である。
好ましくは、前記処理液のpHが9.5~12である。
好ましくは、前記処理液におけるアルカリ金属イオン濃度が0.1mol/L以下である。
本発明に係る他のゼオライト膜複合体の製造方法は、構造規定剤を含む原料溶液を用いて、多孔質の支持体上に8員環ゼオライトからなるゼオライト膜を形成する工程と、前記ゼオライト膜から前記構造規定剤を除去する工程と、前記ゼオライト膜をアルカリ性の処理液に1時間以上浸漬することにより、プロトンを含み、窒素および硫化水素を含むガスに対して、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させる前記ゼオライト膜を得る工程とを備え、前記処理液が、ケイ素またはアルミニウムの少なくとも一方を含み、前記処理液中のアンモニウムイオン濃度が1μmol/L以下である
この場合に、好ましくは、前記処理液におけるケイ素原子およびアルミニウム原子の合計濃度が、0.001mol/L以上であり、前記原料溶液における当該濃度未満かつ1mol/L以下である。
上述の目的および他の目的、特徴、態様および利点は、添付した図面を参照して以下に行うこの発明の詳細な説明により明らかにされる。
ゼオライト膜複合体の断面図である。 ゼオライト膜複合体の一部を拡大して示す断面図である。 ゼオライト膜複合体の製造の流れを示す図である。 分離装置を示す図である。 分離装置による混合ガスの分離の流れを示す図である。
図1は、ゼオライト膜複合体1の断面図である。図2は、ゼオライト膜複合体1の一部を拡大して示す断面図である。ゼオライト膜複合体1は、多孔質の支持体11と、支持体11上に設けられたゼオライト膜12とを備える。ゼオライト膜12とは、少なくとも、支持体11の表面にゼオライトが膜状に形成されたものであって、有機膜中にゼオライト粒子を分散させただけのものは含まない。図1では、ゼオライト膜12を太線にて描いている。図2では、ゼオライト膜12に平行斜線を付す。また、図2では、ゼオライト膜12の厚さを実際よりも厚く描いている。
支持体11はガスおよび液体を透過可能な多孔質部材である。図1に示す例では、支持体11は、一体成形された一繋がりの柱状の本体に、長手方向(すなわち、図1中の左右方向)にそれぞれ延びる複数の貫通孔111が設けられたモノリス型支持体である。図1に示す例では、支持体11は略円柱状である。各貫通孔111(すなわち、セル)の長手方向に垂直な断面は、例えば略円形である。図1では、貫通孔111の径を実際よりも大きく、貫通孔111の数を実際よりも少なく描いている。ゼオライト膜12は、貫通孔111の内側面上に形成され、貫通孔111の内側面を略全面に亘って被覆する。
支持体11の長さ(すなわち、図1中の左右方向の長さ)は、例えば10cm~200cmである。支持体11の外径は、例えば0.5cm~30cmである。隣接する貫通孔111の中心軸間の距離は、例えば0.3mm~10mmである。支持体11の表面粗さ(Ra)は、例えば0.1μm~5.0μmであり、好ましくは0.2μm~2.0μmである。なお、支持体11の形状は、例えば、ハニカム状、平板状、管状、円筒状、円柱状または多角柱状等であってもよい。支持体11の形状が管状または円筒状である場合、支持体11の厚さは、例えば0.1mm~10mmである。
支持体11の材料は、表面にゼオライト膜12を形成する工程において化学的安定性を有するのであれば、様々な物質(例えば、セラミックまたは金属)が採用可能である。本実施の形態では、支持体11はセラミック焼結体により形成される。支持体11の材料として選択されるセラミック焼結体としては、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化ケイ素、炭化ケイ素等が挙げられる。本実施の形態では、支持体11は、アルミナ、シリカおよびムライトのうち、少なくとも1種類を含む。
支持体11は、無機結合材を含んでいてもよい。無機結合材としては、チタニア、ムライト、易焼結性アルミナ、シリカ、ガラスフリット、粘土鉱物、易焼結性コージェライトのうち少なくとも1つを用いることができる。
支持体11の平均細孔径は、例えば0.01μm~70μmであり、好ましくは0.05μm~25μmである。ゼオライト膜12が形成される表面近傍における支持体11の平均細孔径は0.01μm~1μmであり、好ましくは0.05μm~0.5μmである。支持体11の表面および内部を含めた全体における細孔径の分布について、D5は例えば0.01μm~50μmであり、D50は例えば0.05μm~70μmであり、D95は例えば0.1μm~2000μmである。ゼオライト膜12が形成される表面近傍における支持体11の気孔率は、例えば20%~60%である。
支持体11は、例えば、平均細孔径が異なる複数の層が厚さ方向に積層された多層構造を有する。ゼオライト膜12が形成される表面を含む表面層における平均細孔径および焼結粒径は、表面層以外の層における平均細孔径および焼結粒径よりも小さい。支持体11の表面層の平均細孔径は、例えば0.01μm~1μmであり、好ましくは0.05μm~0.5μmである。支持体11が多層構造を有する場合、各層の材料は上記のものを用いることができる。多層構造を形成する複数の層の材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
ゼオライト膜12は、微細孔(マイクロ孔)を有する多孔膜である。ゼオライト膜12は、複数種類の物質が混合した混合物質から、分子篩作用を利用して特定の物質を分離する分離膜として利用可能である。ゼオライト膜12では、当該特定の物質に比べて他の物質が透過しにくい。換言すれば、ゼオライト膜12の当該他の物質の透過量は、上記特定の物質の透過量に比べて小さい。後述するように、ゼオライト膜12は、窒素(N)および硫化水素(HS)を含むガスに対して、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させる。
ゼオライト膜12の厚さは、例えば0.05μm~30μmであり、好ましくは0.1μm~20μmであり、さらに好ましくは0.5μm~10μmである。ゼオライト膜12を厚くすると分離性能が向上する。ゼオライト膜12を薄くすると透過速度が増大する。ゼオライト膜12の表面粗さ(Ra)は、例えば5μm以下であり、好ましくは2μm以下であり、より好ましくは1μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以下である。
ゼオライト膜12を構成するゼオライトの最大員環数は8である。すなわち、ゼオライト膜12は、最大員環数が8である8員環ゼオライトからなる、8員環ゼオライト膜である。ゼオライト膜12は、典型的には、8員環ゼオライトのみから構成されるが、製造方法等によっては、ゼオライト膜12において8員環ゼオライト以外の物質が僅かに(例えば、1質量%以下)含まれていてもよい。
ゼオライト膜12を構成するゼオライトの種類は、8員環ゼオライトであるならば特に限定されないが、例えば、AEI型、AFN型、AFV型、AFX型、CHA型、DDR型、ERI型、ETL型、GIS型、IHW型、LEV型、LTA型、LTJ型、RHO型、SAT型等のゼオライトであってよい。より好ましくは、例えば、AEI型、AFN型、AFV型、AFX型、CHA型、DDR型、ERI型、ETL型、GIS型、LEV型、RHO型、SAT型のゼオライトである。ゼオライト膜12は、例えば、DDR型のゼオライトである。換言すれば、ゼオライト膜12は、国際ゼオライト学会が定める構造コードが「DDR」であるゼオライトにより構成されたゼオライト膜である。
本実施の形態では、8員環細孔の短径と長径の算術平均をゼオライトの平均細孔径とする。8員環細孔とは、酸素原子が後述するT原子と結合して環状構造をなす部分の酸素原子の数が8個である微細孔である。ゼオライトが、複数種類の8員環細孔を有する場合には、全種類の8員環細孔の短径と長径の算術平均をゼオライトの平均細孔径とする。このように、ゼオライト膜の平均細孔径は当該ゼオライトの骨格構造によって一義的に決定され、国際ゼオライト学会の“Database of Zeolite Structures”[online]、インターネット<URL:http://www.iza-structure.org/databases/>に開示されている値から求めることができる。
ゼオライト膜12の平均細孔径は、例えば0.2nm以上かつ0.5nm以下であり、好ましくは0.3nm以上かつ0.5nm以下である。ゼオライト膜12の平均細孔径は、ゼオライト膜12が形成される表面近傍における支持体11の平均細孔径よりも小さい。なお、ゼオライト膜12がDDR型のゼオライトにより構成される場合、ゼオライト膜12を構成するゼオライトの固有細孔径は、0.36nm×0.44nmであり、平均細孔径は、0.40nmである。
ゼオライト膜12は、例えば、ケイ素(Si)を含む。ゼオライト膜12は、例えば、Si、アルミニウム(Al)およびリン(P)のうちいずれか2つ以上を含んでいてもよい。この場合、ゼオライト膜12を構成するゼオライトとしては、ゼオライトを構成する酸素四面体(TO)の中心に位置する原子(T原子)がSiのみ、もしくは、SiとAlとからなるゼオライト、T原子がAlとPとからなるAlPO型のゼオライト、T原子がSiとAlとPとからなるSAPO型のゼオライト、T原子がマグネシウム(Mg)とSiとAlとPとからなるMAPSO型のゼオライト、T原子が亜鉛(Zn)とSiとAlとPとからなるZnAPSO型のゼオライト等を用いることができる。T原子の一部は、他の元素に置換されていてもよい。
ゼオライト膜12がSi原子およびAl原子を含む場合、ゼオライト膜12におけるSi/Al比は、例えば1以上かつ10万以下である。当該Si/Al比は、好ましくは5以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは100以上であり、高ければ高いほど好ましい。後述する原料溶液中のSi源とAl源との配合割合等を調整することにより、ゼオライト膜12におけるSi/Al比を調整することができる。また、ゼオライト膜12がAl原子およびP原子を含む場合、ゼオライト膜12におけるP/Al比は、好ましくは0.7以上かつ1.5以下である。後述する原料溶液中のP源とAl源との配合割合等を調整することにより、ゼオライト膜12におけるP/Al比を調整することができる。
ゼオライト膜12を構成するゼオライトは、T原子として実質的にPを含まないことが好ましい。換言すれば、ゼオライトは骨格元素として、実質的にPを含まないことが好ましい。これにより、ゼオライト膜12の耐熱性を高めることができる。なお、骨格元素として実質的にPを含まないとは、全T原子におけるPの割合が3mol%以下であることをいう。
ゼオライト膜12は、アルカリ金属を僅かに含んでいてもよい。当該アルカリ金属は、例えば、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)である。ゼオライト膜12では、酸素原子に対するアルカリ金属原子の比率が小さいほど好ましく、例えば1atm%以下である。上記比率は、好ましくは0.7atm%以下であり、より好ましくは0.5atm%以下である。酸素原子に対するアルカリ金属原子(アルカリ金属イオンを含む)の比率は、(アルカリ金属原子数/酸素原子数)で求められる原子百分率であり、例えば、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)により求めることが可能である。なお、XPSによるゼオライト膜12の組成の測定は、表面の汚れの影響を除くため、膜表面をアルゴンで約1nmエッチングしてから行うことができる。ゼオライト膜12が複数種類のアルカリ金属を含む場合には、上記比率は、当該複数種類のアルカリ金属原子の合計の、酸素原子に対する比率である。
ゼオライト膜12は、構造規定剤(Structure-Directing Agent、以下「SDA」とも呼ぶ。)を僅かに含んでいてもよい。すなわち、ゼオライト膜12を構成するゼオライトは、SDAを含んでいてもよい。SDAは、ゼオライト膜12の形成において利用される。後述するように、好ましいゼオライト膜12は、SDAをほとんど含まない。
ゼオライト膜12は、プロトンを含む。好ましいゼオライト膜12では、アンモニア昇温脱離測定を行った場合に、ピーク温度域におけるアンモニアの脱離量が1μmol/cm以上である。ゼオライト膜12中のプロトン濃度が高いほど、アンモニア昇温脱離測定での、ピーク温度域におけるアンモニアの脱離量は高くなる。アンモニア昇温脱離測定では、所定の大きさに切り出したゼオライト膜複合体1に対してアンモニアを吸着させた後に水蒸気処理を行い、その後、ゼオライト膜12を10℃/minで昇温させつつ、各温度におけるアンモニアの脱離量が測定される。水蒸気処理により、プロトン以外に吸着したアンモニアが取り除かれる。上述のピーク温度域における脱離量とは、300~550℃の範囲内でアンモニアの脱離量が最大となるピーク温度を求め、ピーク温度の前後50℃(幅100℃)の範囲で積算したアンモニア脱離量である。アンモニア昇温脱離測定に用いたゼオライト膜12の体積は、電子顕微鏡(SEM)等によって求めたゼオライト膜12の膜厚(支持体11の表面上に形成されたゼオライト膜の厚さ)と切り出したゼオライト膜複合体1に含まれるゼオライト膜12の面積の積により求められる。ピーク温度域における脱離量は、好ましくは1.5μmol/cm以上であり、より好ましくは2μmol/cm以上である。ピーク温度域における脱離量の上限は特に限定されないが、例えば100μmol/cmである。
ゼオライト膜12は、窒素および硫化水素をモル比1:1にて含むガス(以下、「評価用ガス」という。)に対して、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させる。すなわち、評価用ガスにおいて、ゼオライト膜12を透過する硫化水素の透過量(分子数)が、ゼオライト膜12を透過する窒素の透過量よりも大きくなる。具体的には、温度25℃の評価用ガスを圧力0.9MPaでゼオライト膜12に供給し、ゼオライト膜12を透過して流出する透過ガス(圧力約0.1MPa)の流量をマスフローメーターで、組成をガスクロマトグラフィーで測定する。そして、透過ガスの流量と組成に基づいて、単位膜面積・単位圧力差あたりの硫化水素と窒素の透過速度(パーミアンス)をそれぞれ算出する。窒素パーミアンスに対する硫化水素パーミアンスの比(すなわち、硫化水素パーミアンス/窒素パーミアンス)が1よりも大きな値である場合、ゼオライト膜12が、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させるということができる。このようなゼオライト膜12では、バイオガス等の硫化水素を含む混合ガス(以下、「分離対象ガス」という。)においても、硫化水素を安定して透過させることが可能である。この理由は明確ではないが、以下のように推測される。
窒素と硫化水素は分子径がほぼ同じであることから、ゼオライト膜の細孔径の大きさだけでは、評価用ガスから一方を選択透過させることはできない。また、硫化水素は、ゼオライトの細孔内にとどまって蓄積しやすいため、ゼオライト膜を透過しにくい。そのため、通常の8員環ゼオライト膜は、窒素および硫化水素を含む評価用ガスに対して、硫化水素よりも窒素を選択的に透過させやすい。一方で、評価用ガスに対して窒素よりも硫化水素を選択的に透過させる上記ゼオライト膜12では、硫化水素がゼオライトの細孔内にとどまらずに透過すると考えられ、硫化水素による細孔の閉塞が起こりにくい。したがって、分離対象ガスに対しても、硫化水素を安定して透過させることが可能となる。その結果、後述の分離装置2(図4参照)におけるゼオライト膜複合体1の長期間の使用において、硫化水素の分離性能が低下することが抑制される。
評価用ガスに対して窒素よりも硫化水素を選択的に透過させるゼオライト膜12は、例えば、膜中のプロトン濃度を一定以上にすることにより得られる。これは、プロトンは硫化水素と適度に相互作用しつつ硫化水素の透過を阻害しないためと考えられる。ゼオライト膜12中のプロトン濃度の評価には、既述のアンモニア昇温脱離測定が利用可能である。ピーク温度域におけるアンモニアの脱離量が、例えば1μmol/cm以上であれば、膜中のプロトン濃度がある程度高く、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させるゼオライト膜12が得られる。また、ピーク温度域におけるアンモニアの脱離量が、例えば100μmol/cm以下であれば、膜中のプロトン濃度が高すぎないため、硫化水素の透過性速度が高いゼオライト膜12が得られる。
さらに、ゼオライト膜12において、膜中の酸素原子に対するアルカリ金属原子の比率は、好ましくは1atm%以下である。これは、アルカリ金属イオンは硫化水素と強く相互作用するため、アルカリ金属イオンが過剰に膜中に存在すると硫化水素の透過を阻害する、換言すると、アルカリ金属イオンが少なければ、硫化水素の透過が阻害されることが抑制されるためと考えられる。
次に、図3を参照しつつ、ゼオライト膜複合体1の製造の流れの一例について説明する。図3のゼオライト膜複合体1の製造は、ゼオライト膜12の製造でもある。ゼオライト膜複合体1の製造では、まず、ゼオライト膜12の形成に利用される種結晶が準備される(ステップS11)。DDR型のゼオライト膜12を形成する一例では、水熱合成にてDDR型のゼオライトの粉末が生成され、種結晶は、当該ゼオライトの粉末から取得される。当該ゼオライトの粉末はそのまま種結晶として用いられてもよく、当該粉末を粉砕等によって加工することにより種結晶が取得されてもよい。
続いて、種結晶を分散させた分散液に多孔質の支持体11を浸漬し、種結晶を支持体11に付着させる(ステップS12)。あるいは、種結晶を分散させた分散液を、支持体11上のゼオライト膜12を形成させたい部分に接触させることにより、種結晶を支持体11に付着させる。これにより、種結晶付着支持体が作製される。種結晶は、他の手法により支持体11に付着されてもよい。
種結晶が付着された支持体11は、原料溶液に浸漬される。原料溶液は、ゼオライト膜12の原料およびSDA等を、溶媒に溶解または分散させることにより作製される。DDR型のゼオライト膜12を形成する一例では、原料溶液は、Si源、SDA、および、溶媒としての水を含む。もちろん、原料溶液はAl源等の他の原料を含んでよく、原料溶液中の配合割合等を調整することにより、DDR型のゼオライト膜12の組成を調整することができる。原料溶液の溶媒には、アルコール等の水溶性溶媒や非水溶性溶媒が用いられてもよい。原料溶液に含まれるSDAは、例えば有機物(有機SDA)である。SDAとして、例えば、1-アダマンタンアミン、エチレンジアミン等を用いることができる。
その後、水熱合成により支持体11上の種結晶を核としてゼオライトを成長させることにより、8員環ゼオライトからなるゼオライト膜12が支持体11上に形成される(ステップS13)。水熱合成時の温度は、例えば110~200℃である。水熱合成時間は、例えば5~100時間である。
水熱合成が終了すると、支持体11およびゼオライト膜12が純水で洗浄される。洗浄後の支持体11およびゼオライト膜12は、例えば100℃にて乾燥される。支持体11およびゼオライト膜12を乾燥した後に、ゼオライト膜12を酸化性ガス雰囲気下で加熱処理することによって、ゼオライト膜12中のSDAが燃焼除去される(ステップS14)。これにより、ゼオライト膜12内の微細孔が貫通する。好ましくは、SDAはおよそ完全に除去される。SDAの除去における加熱温度は、例えば400~1000℃であり、好ましくは400~900℃であり、より好ましくは450~800℃である。加熱時間は、例えば10~200時間である。酸化性ガス雰囲気は、酸素を含む雰囲気であり、例えば大気中である。
続いて、アルカリ源を水に溶解させることにより、アルカリ性の処理液(以下、「アルカリ処理液」という。)が作製される。アルカリ源として、例えば、有機アミン、第四級アンモニウム水酸化物等を用いることができる。アルカリ処理液のpHは、例えば9.5~12であり、好ましくは10~12であり、より好ましくは10~11.5である。アルカリ処理液を用いることにより、後述のアルカリ金属の除去をより効果的に行うことができる。
また、アルカリ処理液は、アンモニウムイオン(NH )を実質的に含まない。処理液がアンモニウムイオンを含む場合、ゼオライト膜12のゼオライトの細孔内にアンモニウムイオンが侵入するため、ゼオライト膜12の透過速度が低下する場合がある。ゼオライト膜12からアンモニウムイオンを完全に除去するには、500℃よりも高い温度(例えば600℃)での加熱が必要となるため、熱によるダメージ(欠陥等)によって、ゼオライト膜12の分離性能が低下する場合がある。そのため、アンモニア等のアンモニウムイオンを生成するアルカリ源は好適でない。なお、アルカリ処理液がアンモニウムイオンを実質的に含まないとは、アルカリ処理液中のアンモニウムイオン濃度が1μmol/L以下であることを言う。また、前述のアンモニウムイオンには、有機アンモニウムイオンは含まれない。これは、有機アンモニウムイオンはサイズが大きく、ゼオライトの細孔内へ侵入しにくいためである。
なお、ゼオライト粉末に対するアルカリ金属の除去では、硝酸アンモニウムや塩化アンモニウム等の無機アンモニウム塩の水溶液が処理液として用いられるが、無機アンモニウム塩水溶液は酸性または中性であるため、ゼオライト粉末の場合とは異なり、ゼオライト膜12のアルカリ金属を効果的に除去することが難しい。加えて、無機アンモニウム塩水溶液はアンモニウムイオンを含むため、処理液として用いた場合、前述のように、ゼオライト膜12の細孔内にアンモニウムイオンが侵入する。そのため、後述のアンモニア昇温脱離測定において、アンモニアの脱離量を1μmol/cm以上とすることができない。
アルカリ処理液には、不純物としてアルカリ金属が含まれる場合がある。アルカリ処理液に含まれるアルカリ金属は、少ないことが好ましい。アルカリ処理液におけるアルカリ金属イオン濃度は、好ましくは0.1mol/L以下であり、より好ましくは0.05mol/L以下である。アルカリ金属イオン濃度は、例えば誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により求めることが可能である。アルカリ処理液が複数種類のアルカリ金属イオンを含む場合には、上記アルカリ金属イオン濃度は、当該複数種類のアルカリ金属イオンの合計濃度である。
アルカリ処理液が準備されると、支持体11およびゼオライト膜12が、十分な量のアルカリ処理液に1時間以上浸漬される(ステップS15)。例えば、1-アダマンタンアミン等を含むアルカリ処理液に1時間以上浸漬することで、ゼオライト膜12に含まれるアルカリ金属イオンがゆるやかにヒドロニウムイオンに置換され、ゼオライト膜12からアルカリ金属が除去される。換言すれば、1時間未満の浸漬時間では、ゼオライト膜12からアルカリ金属の除去を十分に行うことができない場合がある。また、浸漬の代わりに、ゼオライト膜12の表面にアルカリ処理液を塗布する方法では、十分な量のアルカリ処理液をゼオライト膜12に接触させることができないため、アルカリ金属の除去を十分に行うことができない場合がある。浸漬時間は、例えば1~100時間であり、好ましくは2~50時間である。アルカリ処理液は加熱されることが好ましく、これにより、アルカリ金属イオンとヒドロニウムイオンとの交換が促進される。加熱温度は、例えば60~250℃であり、好ましくは80~200℃である。
アルカリ処理液を用いた処理(アルカリ処理)において、ゼオライト膜12のゼオライトが溶解することを抑制するには、アルカリ処理液が、ケイ素またはアルミニウムの少なくとも一方、もしくは、ケイ素およびアルミニウムの双方を含むことが好ましい。アルカリ処理液におけるケイ素原子およびアルミニウム原子の合計濃度(ケイ素またはアルミニウムの一方のみを含む場合は、当該一方の原子の濃度である。以下同様。)は、例えば0.001mol/L以上であり、好ましくは0.002mol/L以上であり、より好ましくは0.005mol/L以上である。また、ゼオライト膜12の透過速度が低下することを抑制できるため、アルカリ処理液におけるケイ素原子およびアルミニウム原子の合計濃度は、ゼオライト膜12を合成する際の原料溶液における当該濃度(すなわち、ケイ素原子およびアルミニウム原子の合計濃度)未満かつ1mol/L以下であることが好ましい。
その後、支持体11およびゼオライト膜12が純水で洗浄される。洗浄後の支持体11およびゼオライト膜12は、例えば100℃にて乾燥される。支持体11およびゼオライト膜12を乾燥した後に、ゼオライト膜12が大気中で加熱処理される(ステップS16)。これにより、ゼオライト膜12中の吸着水等が除去されて、ヒドロニウムイオンがプロトンに変換される。加熱温度は、例えば300~500℃であり、好ましくは350~500℃である。加熱時間は、例えば10~100時間であり、好ましくは15~50時間である。以上の処理により、窒素および硫化水素を含む評価用ガスに対して、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させるゼオライト膜12が得られ、ゼオライト膜複合体1が完成する。
上記アルカリ処理では、ゼオライト膜12が、支持体11と共にアルカリ処理液に浸漬されるが、例えば、アルカリ処理液を貫通孔111内のみに注いで保持することにより、アルカリ処理液をゼオライト膜12に接触させる方法も、浸漬方法として用いることができる。このように、アルカリ処理では、様々な手法にてゼオライト膜12がアルカリ処理液に浸漬されてよい。
以上に説明したように、ゼオライト膜複合体1は、8員環ゼオライトからなるゼオライト膜12を備え、ゼオライト膜12が、窒素および硫化水素を含む評価用ガスに対して、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させる。これにより、硫化水素を安定して透過させることが可能なゼオライト膜複合体1を提供することができる。その結果、分離対象ガスに対する硫化水素の分離において、硫化水素がゼオライト膜12中に蓄積することを抑制して、ゼオライト膜複合体1を硫化水素の分離に安定的に(長期間に亘って)使用することが可能となる。
ゼオライト膜12に対するアンモニア昇温脱離測定において、アンモニアの脱離量が最大となるピーク温度域における当該脱離量が1μmol/cm以上である。これにより、ゼオライト膜12における硫化水素の選択的な透過をより確実に実現することができる。また、ゼオライト膜12において、酸素原子に対するアルカリ金属原子の比率が1atm%以下である場合も、硫化水素の選択的な透過をより確実に実現することができる。
ゼオライト膜複合体1の製造では、SDAを含む原料溶液を用いて、支持体11上に8員環ゼオライトからなるゼオライト膜12が形成される。続いて、ゼオライト膜12からSDAが除去される。そして、ゼオライト膜12をアルカリ処理液に浸漬することにより、窒素および硫化水素を含む評価用ガスに対して、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させるゼオライト膜12が得られる。これにより、ゼオライト膜複合体1を容易に製造することができる。
アルカリ処理液のpHが9.5~12であることにより、硫化水素を選択的に透過させるゼオライト膜12をより確実に製造することができる。アルカリ処理液におけるアルカリ金属イオン濃度が0.1mol/L以下であることにより、ゼオライト膜12に含まれるアルカリ金属原子をより確実に少なくすることができる。
アルカリ処理液が、ケイ素またはアルミニウムの少なくとも一方を含むことにより、アルカリ処理においてゼオライト膜12が溶解することを抑制することができる。アルカリ処理液におけるケイ素原子およびアルミニウム原子の合計濃度が、0.001mol/L以上であることにより、ゼオライト膜12が溶解することをより確実に抑制することができる。また、アルカリ処理液におけるケイ素原子およびアルミニウム原子の合計濃度が、ゼオライト膜12を合成する際の原料溶液における当該濃度未満かつ1mol/L以下であることにより、ゼオライト膜12の透過速度が低下することを抑制することができる。
次に、ゼオライト膜複合体1の製造の実施例について説明する。
<実施例1>
まず、水熱合成によって取得したDDR型のゼオライト粉末を種結晶とし、種結晶を所定の混合割合となるように純水に投入した溶液に、支持体を接触させることにより、各貫通孔内に種結晶を付着させた。当該混合割合は、例えば0.001質量%~0.36質量%である。
次に、SDAとして1-アダマンタンアミン(アルドリッチ製)、水酸化ナトリウム(アルドリッチ製)、30質量%コロイダルシリカ(日産化学製、商品名:スノーテックS)およびアルミン酸ナトリウム(和光純薬製)を純水(例えば、イオン交換水)に加えたものを混合することにより、ゼオライト膜用の原料溶液を作製した。当該原料溶液作製時の1-アダマンタンアミン、水酸化ナトリウム、コロイダルシリカ、アルミン酸ナトリウムおよび純水の重量は、それぞれ1.32g、0.35g、52.6g、0.36gおよび152.4gであった。
当該原料溶液の作成後、種結晶を付着させた支持体を原料溶液に浸漬し、160℃で48時間水熱合成することにより、支持体上にDDR型のゼオライト膜を形成した。そして、ゼオライト膜が形成された支持体を、純水で十分に洗浄し、100℃で完全に乾燥させた。次に、ゼオライト膜が形成された支持体を大気中において450℃で50時間加熱することにより、SDAを燃焼除去して、ゼオライト膜内の細孔を貫通させた。
次に、1-アダマンタンアミン0.31gを純水207gに溶解させることにより、アルカリ処理液を作製した。作製したアルカリ処理液のpHは11であった。ゼオライト膜が形成された支持体をアルカリ処理液に浸漬し、130℃で24時間加熱することにより、ゼオライト膜をアルカリ処理した。そして、アルカリ処理されたゼオライト膜が形成された支持体を、純水で十分に洗浄し、100℃で完全に乾燥させた。次に、アルカリ処理されたゼオライト膜が形成された支持体を大気中において450℃で50時間加熱することにより、ゼオライト膜複合体を得た。
実施例1のゼオライト膜複合体に対して、後述の分離装置2を用い、硫化水素と窒素の混合ガス(モル比で1:1)を用いて、硫化水素/窒素の分離試験を行った。混合ガスの導入圧は0.9MPa、透過圧は0.1MPa、温度は25℃とした。その結果、(硫化水素パーミアンス/窒素パーミアンス)は1.2であった。このように、実施例1のゼオライト膜複合体は、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させる膜であることが分かった。
実施例1のゼオライト膜複合体に対してアンモニア昇温脱離測定を行ったところ、ピーク温度域における脱離量が1μmol/cm以上であった。また、XPS測定を行ったところ、ゼオライト膜における、酸素原子に対するアルカリ金属原子の比率が1atm%以下であった。
<比較例1>
比較例1におけるゼオライト膜複合体の製造は、アルカリ処理以降の操作を行わなかった点を除き、実施例1と略同様である。
比較例1のゼオライト膜複合体に対して、実施例1と同様にして硫化水素/窒素の分離試験を行った結果、(硫化水素パーミアンス/窒素パーミアンス)は0.3であった。このように、比較例1のゼオライト膜複合体は、硫化水素よりも窒素を選択的に透過させる膜であることが分かった。
比較例1のゼオライト膜複合体に対してアンモニア昇温脱離測定を行ったところ、ピーク温度域における脱離量が1μmol/cm未満であった。また、XPS測定を行ったところ、ゼオライト膜における、酸素原子に対するアルカリ金属原子の比率が1atm%よりも大きくなった。
<比較例2>
比較例2におけるゼオライト膜複合体の製造は、アルカリ処理液の代わりに、硝酸アンモニウム0.17gを純水207gに溶解させた水溶液を使用した点を除き、実施例1と略同様である。作製した硝酸アンモニウム水溶液のpHは5.6であった。
比較例2のゼオライト膜複合体に対して、実施例1と同様にして硫化水素/窒素の分離試験を行った結果、(硫化水素パーミアンス/窒素パーミアンス)は0.5であった。このように、比較例2のゼオライト膜複合体は、硫化水素よりも窒素を選択的に透過させる膜であることが分かった。
比較例2のゼオライト膜複合体に対してアンモニア昇温脱離測定を行ったところ、ピーク温度域における脱離量が1μmol/cm未満であった。また、XPS測定を行ったところ、ゼオライト膜における、酸素原子に対するアルカリ金属原子の比率が1atm%よりも大きくなった。
次に、図4および図5を参照しつつ、ゼオライト膜複合体1を利用した混合ガス(分離対象ガス)の分離について説明する。図4は、分離装置2を示す図である。図5は、分離装置2による混合ガスの分離の流れを示す図である。
分離装置2では、複数種類のガスを含む混合ガスをゼオライト膜複合体1に供給し、混合ガス中の透過性が高いガスを、ゼオライト膜複合体1を透過させることにより混合ガスから分離させる。分離装置2は、ガス分離装置である。分離装置2における分離は、例えば、透過性が高いガスを混合ガスから抽出する目的で行われてもよく、透過性が低いガスを濃縮する目的で行われてもよい。
既述のように、ゼオライト膜複合体1において透過性が高いガスの典型例は、硫化水素(HS)である。分離対象ガスである混合ガスは、少なくとも硫化水素を含む。混合ガスにおける硫化水素の濃度は比較的高くてもよく、例えば3mol%以上であってもよい。混合ガスにおける硫化水素の濃度は、さらに高くてもよいが(10mol%以上)、例えば50mol%以下である。混合ガスにおける硫化水素の濃度は、例えば市販の硫化水素濃度計により測定可能である。混合ガスは、透過性が高い他のガスをさらに含んでもよい。
ゼオライト膜複合体1において透過性が低いガスは、特に限定されない。透過性が低いガスの好ましい一例は、炭化水素である。すなわち、混合ガスは、炭化水素をさらに含むことが好ましい。例えば、混合ガスは、C1~C8の炭化水素を含む。C1~C8の炭化水素とは、炭素が1個以上かつ8個以下の炭化水素である。C3~C8の炭化水素は、直鎖化合物、側鎖化合物および環式化合物のうちいずれであってもよい。また、C2~C8の炭化水素は、飽和炭化水素(すなわち、2重結合および3重結合が分子中に存在しないもの)、不飽和炭化水素(すなわち、2重結合および/または3重結合が分子中に存在するもの)のどちらであってもよい。C1~C4の炭化水素は、例えば、メタン(CH)、エタン(C)、エチレン(C)、プロパン(C)、プロピレン(C)、ノルマルブタン(CH(CHCH)、イソブタン(CH(CH)、1-ブテン(CH=CHCHCH)、2-ブテン(CHCH=CHCH)またはイソブテン(CH=C(CH)である。
分離装置2は、ゼオライト膜複合体1と、封止部21と、外筒22と、2つのシール部材23と、供給部26と、第1回収部27と、第2回収部28とを備える。ゼオライト膜複合体1、封止部21およびシール部材23は、外筒22内に収容される。供給部26、第1回収部27および第2回収部28は、外筒22の外部に配置されて外筒22に接続される。
封止部21は、支持体11の長手方向(すなわち、図4中の左右方向)の両端部に取り付けられ、支持体11の長手方向両端面、および、当該両端面近傍の外側面を被覆して封止する部材である。封止部21は、支持体11の当該両端面からのガスの流入および流出を防止する。封止部21は、例えば、ガラスまたは樹脂により形成された板状部材である。封止部21の材料および形状は、適宜変更されてよい。なお、封止部21には、支持体11の複数の貫通孔111と重なる複数の開口が設けられているため、支持体11の各貫通孔111の長手方向両端は、封止部21により被覆されていない。したがって、当該両端から貫通孔111へのガス等の流入および流出は可能である。
外筒22の形状は限定されないが、例えば、略円筒状の筒状部材である。外筒22は、例えばステンレス鋼または炭素鋼により形成される。外筒22の長手方向は、ゼオライト膜複合体1の長手方向に略平行である。外筒22の長手方向の一方の端部(すなわち、図4中の左側の端部)には供給ポート221が設けられ、他方の端部には第1排出ポート222が設けられる。外筒22の側面には、第2排出ポート223が設けられる。供給ポート221には、供給部26が接続される。第1排出ポート222には、第1回収部27が接続される。第2排出ポート223には、第2回収部28が接続される。外筒22の内部空間は、外筒22の周囲の空間から隔離された密閉空間である。
2つのシール部材23は、ゼオライト膜複合体1の長手方向両端部近傍において、ゼオライト膜複合体1の外側面と外筒22の内側面との間に、全周に亘って配置される。各シール部材23は、ガスが透過不能な材料により形成された略円環状の部材である。シール部材23は、例えば、可撓性を有する樹脂により形成されたOリングである。シール部材23は、ゼオライト膜複合体1の外側面および外筒22の内側面に全周に亘って密着する。図4に示す例では、シール部材23は、封止部21の外側面に密着し、封止部21を介してゼオライト膜複合体1の外側面に間接的に密着する。シール部材23とゼオライト膜複合体1の外側面との間、および、シール部材23と外筒22の内側面との間は、シールされており、ガスの通過はほとんど、または、全く不能である。
供給部26は、混合ガスを、供給ポート221を介して外筒22の内部空間に供給する。供給部26は、例えば、外筒22に向けて混合ガスを圧送するブロワーまたはポンプである。当該ブロワーまたはポンプは、外筒22に供給する混合ガスの圧力を調節する圧力調節部を備える。第1回収部27および第2回収部28は、例えば、外筒22から導出されたガスを貯留する貯留容器、または、当該ガスを移送するブロワーもしくはポンプである。
混合ガスの分離が行われる際には、上述の分離装置2が用意されることにより、ゼオライト膜複合体1が準備される(ステップS21)。続いて、供給部26により、ゼオライト膜12に対する透過性が異なる複数種類のガスを含む混合ガスが、外筒22の内部空間に供給される。供給部26から外筒22の内部空間に供給される混合ガスの圧力(すなわち、導入圧)は、例えば、0.1MPa~20.0MPaである。混合ガスの分離が行われる温度は、例えば、10℃~150℃である。
供給部26から外筒22に供給された混合ガスは、矢印251にて示すように、ゼオライト膜複合体1の図中の左端から、支持体11の各貫通孔111内に導入される。混合ガス中の透過性が高いガス(典型例では、硫化水素であり、以下、「高透過性ガス」と呼ぶ。)は、各貫通孔111の内側面上に設けられたゼオライト膜12、および、支持体11を透過して支持体11の外側面から導出される。これにより、高透過性ガスが、混合ガス中の透過性が低いガス(例えば、メタンであり、以下、「低透過性ガス」と呼ぶ。)から分離される(ステップS22)。支持体11の外側面から導出されたガス(以下、「透過ガス」と呼ぶ。)は、矢印253にて示すように、第2排出ポート223を介して第2回収部28により回収される。第2排出ポート223を介して第2回収部28により回収されるガスの圧力(すなわち、透過圧)は、例えば、約1気圧(0.101MPa)である。
また、混合ガスのうち、ゼオライト膜12および支持体11を透過したガスを除くガス(以下、「不透過ガス」と呼ぶ。)は、支持体11の各貫通孔111を図中の左側から右側へと通過し、矢印252にて示すように、第1排出ポート222を介して第1回収部27により回収される。第1排出ポート222を介して第1回収部27により回収されるガスの圧力は、例えば、導入圧と略同じ圧力である。不透過ガスには、上述の低透過性ガス以外に、ゼオライト膜12を透過しなかった高透過性ガスが含まれていてもよい。第1回収部27により回収された不透過ガスは、例えば、供給部26に循環されて、外筒22内へと再度供給されてもよい。
実施例1のゼオライト膜複合体に対して、分離装置2を用い、硫化水素とメタンの混合ガス(モル比で1:1)を用いて、硫化水素/メタンの分離試験を行った。混合ガスの導入圧は0.9MPa、透過圧は0.1MPa、温度は25℃とした。その結果、(硫化水素パーミアンス/メタンパーミアンス)は5.3であった。また、(硫化水素パーミアンス/メタンパーミアンス)の値は、5時間以上の分離試験の間、ほぼ一定であった。このように、実施例1のゼオライト膜複合体は、硫化水素を安定して透過させる膜であることが分かった。一方、比較例1、2のゼオライト膜複合体に対して硫化水素/メタンの分離試験を行った場合、(硫化水素パーミアンス/メタンパーミアンス)の値は試験時間によって徐々に低下する結果となった。
以上に説明したように、図4の分離装置2では、硫化水素を選択的に透過させるゼオライト膜複合体1を用いて、混合ガスから高透過性ガス(すなわち、硫化水素)が分離される。これにより、分離装置2におけるゼオライト膜複合体1の長期間の使用において、膜中における硫化水素の蓄積により硫化水素の分離性能が低下することを抑制することができる。その結果、低透過性ガス(例えば、メタン)を安定的に濃化することができる。また、分離装置2では、混合ガスにおける硫化水素の濃度が比較的高い(例えば、3mol%以上である)場合であっても、混合ガスから硫化水素を適切に分離することが可能である。
上記ゼオライト膜複合体1、ゼオライト膜複合体1の製造方法、分離装置2、および、分離方法では様々な変形が可能である。
ゼオライト膜複合体1の製造では、種結晶を支持体11上に付着させる処理(図3:ステップS11,S12)を省略し、ステップS13の処理において支持体11上にゼオライト膜12を直接形成することも可能である。一方、ゼオライト結晶粒が密集したゼオライト膜12を容易に形成するには、ゼオライト膜12を形成する前に、支持体11上に種結晶を付着させることが好ましい。
ゼオライト膜複合体1は、支持体11およびゼオライト膜12に加えて、ゼオライト膜12上に積層された機能膜や保護膜をさらに備えていてもよい。このような機能膜や保護膜は、ゼオライト膜、シリカ膜または炭素膜等の無機膜であってもよく、ポリイミド膜またはシリコーン膜等の有機膜であってもよい。また、ゼオライト膜12上に積層された機能膜や保護膜には、特定の分子を吸着しやすい物質が添加されていてもよい。
分離装置2および分離方法は、バイオガス等の硫化水素および炭化水素を含む混合ガスにおける硫化水素の分離に特に適しているが、硫化水素および他のガスを含む混合ガスにおける硫化水素の分離に利用されてもよいし、バイオガス以外の分離に利用されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
発明を詳細に描写して説明したが、既述の説明は例示的であって限定的なものではない。したがって、本発明の範囲を逸脱しない限り、多数の変形や態様が可能であるといえる。
本発明のゼオライト膜複合体は、様々な物質の分離膜や様々な物質の吸着膜等として、ゼオライトが利用される様々な分野で利用可能である。
1 ゼオライト膜複合体
2 分離装置
11 支持体
12 ゼオライト膜
26 供給部
S11~S16,S21,S22 ステップ

Claims (14)

  1. ゼオライト膜複合体であって、
    多孔質の支持体と、
    前記支持体上に設けられ、8員環ゼオライトからなるゼオライト膜と、
    を備え、
    前記ゼオライト膜は、プロトンを含み、
    前記ゼオライト膜が、窒素および硫化水素を含むガスに対して、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させるゼオライト膜複合体
  2. 請求項1に記載のゼオライト膜複合体であって、
    前記ゼオライト膜に対するアンモニア昇温脱離測定において、アンモニアの脱離量が最大となるピーク温度域における前記脱離量が1μmol/cm以上であるゼオライト膜複合体
  3. 請求項1または2に記載のゼオライト膜複合体であって、
    前記ゼオライト膜において、酸素原子に対するアルカリ金属原子の比率が1atm%以下であるゼオライト膜複合体
  4. 分離装置であって、
    請求項1ないし3のいずれか1つに記載のゼオライト膜複合体と、
    少なくとも硫化水素を含む混合ガスを前記ゼオライト膜複合体に供給する供給部と、
    を備える分離装置
  5. 請求項4に記載の分離装置であって、
    前記混合ガスが、炭化水素を含む分離装置
  6. 請求項4または5に記載の分離装置であって、
    前記混合ガスにおける硫化水素の濃度が、3mol%以上である分離装置
  7. 分離方法であって、
    請求項1ないし3のいずれか1つに記載のゼオライト膜複合体を準備する工程と、
    少なくとも硫化水素を含む混合ガスを前記ゼオライト膜複合体に供給する工程と、
    を備える分離方法
  8. 請求項7に記載の分離方法であって、
    前記混合ガスが、炭化水素を含む分離方法
  9. 請求項7または8に記載の分離方法であって、
    前記混合ガスにおける硫化水素の濃度が、3mol%以上である分離方法
  10. ゼオライト膜複合体の製造方法であって、
    構造規定剤を含む原料溶液を用いて、多孔質の支持体上に8員環ゼオライトからなるゼオライト膜を形成する工程と、
    前記ゼオライト膜から前記構造規定剤を除去する工程と、
    前記ゼオライト膜をアルカリ性処理液に1時間以上浸漬することにより、プロトンを含み、窒素および硫化水素を含むガスに対して、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させる前記ゼオライト膜を得る工程と、
    を備え
    前記処理液が、有機アミンまたは第四級アンモニウム水酸化物を含み、前記処理液中のアンモニウムイオン濃度が1μmol/L以下であゼオライト膜複合体の製造方法
  11. 請求項10に記載のゼオライト膜複合体の製造方法であって、
    前記処理液のpHが9.5~12であるゼオライト膜複合体の製造方法
  12. 請求項10または11に記載のゼオライト膜複合体の製造方法であって、
    前記処理液におけるアルカリ金属イオン濃度が0.1mol/L以下であるゼオライト膜複合体の製造方法
  13. オライト膜複合体の製造方法であって、
    構造規定剤を含む原料溶液を用いて、多孔質の支持体上に8員環ゼオライトからなるゼオライト膜を形成する工程と、
    前記ゼオライト膜から前記構造規定剤を除去する工程と、
    前記ゼオライト膜をアルカリ性の処理液に1時間以上浸漬することにより、プロトンを含み、窒素および硫化水素を含むガスに対して、窒素よりも硫化水素を選択的に透過させる前記ゼオライト膜を得る工程と、
    を備え、
    前記処理液が、ケイ素またはアルミニウムの少なくとも一方を含み、前記処理液中のアンモニウムイオン濃度が1μmol/L以下であるゼオライト膜複合体の製造方法
  14. 請求項13に記載のゼオライト膜複合体の製造方法であって、
    前記処理液におけるケイ素原子およびアルミニウム原子の合計濃度が、0.001mol/L以上であり、前記原料溶液における当該濃度未満かつ1mol/L以下であるゼオライト膜複合体の製造方法
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