JP7379376B2 - 車両用シートパッド - Google Patents
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Description
本願は、2018年12月14日に、日本に出願された特願2018-234149号に基づく優先権を主張するものであり、その内容の全文をここに援用する。
樹脂発泡体から形成され、着座者を支持するための着座部を有する、車両用シートパッドにおいて、
前記着座部のうち、前記着座部の最前端位置から前記着座部の前後方向の全長の45%の長さだけ離れた第1境界位置よりも、前側の部分を、腿下部とし、前記第1境界位置よりも後側の部分を、尻下部とし、
前記尻下部のうち、前記着座部の左右方向中心線から前記尻下部の左右方向の全長の25%の長さだけ左右方向外側に離れた一対の第2境界位置よりも、左右方向内側の部分を、尻下センター部とし、前記一対の第2境界位置よりも左右方向両外側の部分を、一対の尻下サイド部とするとき、
前記着座部は、複数の無底又は有底の穴を有し、
前記複数の穴は、前記腿下部に設けられた1つ又は複数の腿下穴と、前記尻下部に設けられた1つ又は複数の尻下穴と、からなり、
水平投影面において、
前記腿下部の全体面積に対する、前記腿下部の上面における前記腿下穴の総面積の比率R11Uと、
前記尻下センター部の全体面積に対する、前記尻下センター部の上面における前記尻下穴の総面積の比率R12CUと、
前記一対の尻下サイド部の全体面積に対する、前記一対の尻下サイド部の上面における前記尻下穴の総面積の比率R12SUとが、
R11U>R12CU>R12SU
を満たしている。
以下、本発明に係る車両用シートパッドの実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。以下では、車両用シートパッドを、単に「シートパッド」ともいう。
本明細書では、各図面に表記するとおり、シートパッド1に着座した着座者から観たときの「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の各方向を、それぞれ単に「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などという。
以下では、シートパッド1のうち、バックパッド1bではなくクッションパッド1aについて説明する。そのため、クッションパッド1aのことを、単に「シートパッド1」ということがある。
図2の例において、クッションパッド1aの上面(表面)USには、着座部10とサイドパッド部20との間において略前後方向に延びる溝40aと、着座部10とバックパッド対向部30との間において略左右方向に延びる溝40bと、着座部10の内部において略左右方向に延びる溝40cとが、それぞれ設けられている。これらの溝40a、40b、40cの内部には、例えば、表皮101(図1)をクッションパッド1aに取り付けるための取付具(図示せず)が配置される。図2の例では、水平投影面において、着座部10とサイドパッド部20との境界線が、両者間の溝40aの溝幅中心線であり、また、着座部10とバックパッド対向部30との境界線が、両者間の溝40bの溝幅中心線である。
ただし、溝40a、40bは、着座部10とサイドパッド部20との境界線や、着座部10とバックパッド対向部30との境界線とは、異なる位置にあってもよい。また、クッションパッド1aの上面USには、溝40a~40cが設けられていなくてもよい。
ここで、「尻下部12の左右方向の全長W12」とは、図2の例のように、尻下部12の左右方向の長さ(一対の溝40aの溝幅中心線どうしの間の距離)が前後方向に沿って非均一である場合、尻下部12の左右方向の長さの最大値(すなわち、尻下部12の左右方向の長さが最大になる前後方向位置における、尻下部の左右方向の長さ)を差す。図2の例において、尻下部12の左右方向の長さは、前側に向かうにつれて徐々に増大しており、尻下部12の左右方向の全長W12は、尻下部12の前端(すなわち、第1境界位置B1)における、尻下部12の左右方向の長さに相当する。
穴10hに関し、「無底」とは、穴10hが貫通孔であることを指しており、すなわち、穴10hが着座部10を貫通していることを指している。また、穴10hに関し、「有底」とは、穴10hが窪みであることを指しており、すなわち、穴10hの一端が、着座部10のいずれかの面に開口するとともに、穴10hの他端(底部)が、着座部10のいずれの面にも開口しておらず、着座部10の内部で終端していることを指す。
着座部10は、複数の穴10hを有しているので、仮に穴10hを有していない場合に比べて、シートパッド1(クッションパッド1a)の軽量化、通気性の向上、蓄熱性の低減などが可能である。シートパッド1(クッションパッド1a)の軽量化は、車両の燃費の向上、ひいては、省エネに繋がる。シートパッド1(クッションパッド1a)の通気性の向上や蓄熱性の低減は、車両内のエアコンの効き具合の向上、ひいては、省エネに繋がる。
穴10hが無底である場合、穴10hは、図2の例のように、着座部10の上面US及び裏面(下面。図示なし。)BSに開口していると好適である。穴10hが有底である場合、穴10hは、着座部10の上面US又は裏面BSに開口していると好適である。なお、着座部10に設けられた複数の穴10hは、図2のようにその全てが無底であってもよいし、当該複数の穴10hが無底の1つ又は複数の穴10hと有底の1つ又は複数の穴10hとを含んでいてもよいし、あるいは、当該複数の穴10hの全てが有底であってもよい。
本実施形態では、水平投影面において、腿下部11の全体面積A11に対する、腿下部11の上面USにおける腿下穴11hの総面積A11hUの比率R11U(R11U=A11hU×100/A11 [%])と、尻下センター部12Cの全体面積A12Cに対する、尻下センター部12Cの上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hCUの比率R12CU(R12CU=A12hCU×100/A12C [%])と、一対の尻下サイド部12Sの全体面積A12Sに対する、一対の尻下サイド部12Sの上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hSUの比率R12SU(R12SU=A12hSU×100/A12S [%])とが、
R11U>R12CU>R12SU
を満たしている。
ここで、水平投影面における「腿下部11の全体面積A11」は、水平投影面において腿下部11の外縁により区画された領域全体の面積を指しており、腿下穴11hの占める面積も含んでいる。同様に、水平投影面における「尻下センター部12Cの全体面積A12C」は、水平投影面において尻下センター部12Cの外縁により区画された領域全体の面積を指しており、尻下センター部12C内に位置する尻下穴12hの占める面積も含んでいる。水平投影面における「一対の尻下サイド部12Sの全体面積A12S」は、水平投影面において一対の尻下サイド部12Sの外縁により区画された領域全体の面積を指しており、一対の尻下サイド部12S内に位置する尻下穴12hの占める面積も含んでいる。
水平投影面における「腿下部11の上面USにおける腿下穴11hの総面積A11hU」は、水平投影面において、各腿下穴11hの腿下部11の上面USへの開口の面積の合計である。同様に、水平投影面における「尻下センター部12Cの上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hCU」は、水平投影面において、尻下センター部12C内に位置する尻下穴12hの尻下センター部12Cの上面USへの開口の面積の合計である。水平投影面における「一対の尻下サイド部12Sの上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hSU」は、水平投影面において、一対の尻下サイド部12S内に位置する尻下穴12hの一対の尻下サイド部12Sの上面USへの開口の面積の合計である。
なお、図2の例では、水平投影面において、腿下部11と尻下部12との間の第1境界位置B1上に穴10hが存在しないが、第1境界位置B1上に穴10hが存在していてもよい。その場合、水平投影面において、第1境界位置B1上に位置する穴10hのうち、腿下部11内に位置する部分は、腿下穴11hとしてカウントし、第1境界位置B1上に位置する穴10hのうち、尻下部12内に位置する部分は、尻下穴12hとしてカウントするものとする。
また、図2の例において、水平投影面において、尻下センター部12Cと尻下サイド部12Sとの間の第2境界位置B2上に尻下穴12hが存在しないが、第2境界位置B2上に尻下穴12hが存在していてもよい。その場合、第2境界位置B2上に位置する尻下穴12hのうち、尻下センター部12C内に位置する部分は、尻下センター部12C内に位置する尻下穴12hとしてカウントし、第2境界位置B2上に位置する尻下穴12hのうち、尻下サイド部12S内に位置する部分は、尻下サイド部12S内に位置する尻下穴12hとしてカウントするものとする。
そのため、本実施形態では、水平投影面において、腿下部11の全体面積A11に対する、腿下部11の上面USにおける腿下穴11hの総面積A11hUの比率R11Uが、尻下部12の全体面積A12に対する、尻下部12の上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hUの比率R12U(R12U=A12hU×100/A12 [%])よりも、高い(R11U>R12U)。
ここで、水平投影面における「尻下部12の全体面積A12」は、水平投影面において尻下部12の外縁により区画された領域全体の面積を指しており、尻下穴12hの占める面積も含んでいる。水平投影面における「尻下部12の上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hU」は、水平投影面において、尻下穴12hの尻下部12の上面USへの開口の面積の合計である。
本実施形態によれば、R11U>R12Uであるので、腿下部11の空隙率を尻下部12の空隙率よりも高くすることができ、ひいては、腿下部11を尻下部12よりも柔らかくすることができる。これにより、シートパッド1(クッションパッド1a)が運転席に設置された場合に、着座部10の上に着座した着座者(運転手)は、自身の大腿部を容易に動かすことができるようになり、運転の操作がし易くなる。よって、シートパッド1の操作性を向上できる。また、R11U>R12Uとすることにより、尻下部12を腿下部11よりも硬くすることができるので、着座部10の上に着座した着座者の尻部をしっかりと支えることができる。これにより、着座者は安定的に運転操作を行うことができる。また、座り心地を向上できる。
また、本実施形態によれば、比率R11Uを一定として考えると、仮にR11U=R12Uとした場合に比べて、腿下部11の上面USにおける比率R11Uを高くすることができ、ひいては、腿下部11の空隙率を高くすることができるので、操作性の向上に加えて、シートパッド1(クッションパッド1a)の軽量化、通気性向上、蓄熱性低減なども可能になる。
また、本実施形態によれば、仮にシートパッド1が運転席以外の座席に設置された場合であっても、着座者は、自身の大腿部を容易に動かすことができ、また、自身の尻部がしっかりと支えられるので、座り心地を向上できる。
R12CU>R12SUとすることにより、一対の尻下サイド部12Sの空隙率を尻下センター部12Cの空隙率よりも低くすることができ、ひいては、一対の尻下サイド部12Sを尻下センター部12Cよりも硬くすることができる。これにより、着座者の尻部が一対の尻下サイド部12Sによって左右方向両側から良好にホールドされるようになるので、車両が方向転換する際等に左右方向の揺れが生じたときに、着座者がぐらつくのを抑制することができる。
なお、仮に、尻下部12の全体に尻下穴12hを均一に設け、それにより、R12CU=R12SUとした場合は、尻下部12が柔らかくなり撓みやすくなるため、仮に尻下部12に尻下穴12hが全く無い場合に比べて、ぐらつきが生じやすくなる。
ぐらつきの低減の観点などから、穴10hの配置パターンは、着座部10の左右方向中心線Cに対し、対称であると、好適である。
穴10h(腿下穴11h、尻下穴12h)の水平投影面における形状は、図の例では円形(正円)であるが、それ以外にも、例えば、楕円形や、三角形、四角形、ひし形、台形等の多角形状等も好適である。
ただし、これとは異なる手法によって、穴10hを形成してもよい。
また、図2の例では、水平投影面において、腿下部11の全体面積A11に対する、腿下部11の裏面BSにおける腿下穴11hの総面積A11hBの比率R11B(R11B=A11hB×100/A11 [%])が、腿下部11の全体面積A11に対する、腿下部11の上面USにおける腿下穴11hの総面積A11hUの比率R11Uと、同じである(R11B=R11U)。また、水平投影面において、尻下部12の全体面積A12に対する、尻下部12の裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hBの比率R12B(R12B=A12hB×100/A12 [%])が、尻下部12の全体面積A12に対する、尻下部12の上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hUの比率R12Uと、同じである(R12B=R12U)。また、水平投影面において、尻下センター部12Cの全体面積A12Cに対する、尻下センター部12Cの裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hCBの比率R12CB(R12CB=A12hCB×100/A12C [%])が、尻下センター部12Cの全体面積A12Cに対する、尻下センター部12Cの上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hCUの比率R12CUと、同じである(R12CB=R12CU)。また、水平投影面において、一対の尻下サイド部12Sの全体面積A12Sに対する、一対の尻下サイド部12Sの裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hSBの比率R12SB(R12SB=A12hSB×100/A12S [%])が、一対の尻下サイド部12Sの全体面積A12Sに対する、一対の尻下サイド部12Sの上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hSUの比率R12SUと、同じである(R12SB=R12SU)。
ここで、水平投影面における「腿下部11の裏面BSにおける腿下穴11hの総面積A11hB」は、水平投影面において、各腿下穴11hの腿下部11の裏面BSへの開口の面積の合計である。同様に、水平投影面における「尻下部12の裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hB」は、水平投影面において、尻下穴12hの尻下部12の裏面BSへの開口の面積の合計である。水平投影面における「尻下センター部12Cの裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hCB」は、水平投影面において、尻下センター部12C内に位置する尻下穴12hの尻下センター部12Cの裏面BSへの開口の面積の合計である。水平投影面における「一対の尻下サイド部12Sの裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hSB」は、水平投影面において、一対の尻下サイド部12S内に位置する尻下穴12hの一対の尻下サイド部12Sの裏面BSへの開口の面積の合計である。
この場合、クッションパッド1aを発泡成形するための金型において、穴10hを成形するための突起の形状が簡単になるので、金型の製造が簡単となる。また、シートパッド1(クッションパッド1a)の製造時において、クッションパッド1aを金型から型抜きする際に、金型の突起を穴10hから簡単に抜き出すことができる。よって、穴10hの形成が簡単となる。
なお、穴10hは、直径、面積、及び形状を、着座部10の上面USから裏面BSまでにわたって一定としつつ、穴10hの壁面を、鉛直方向に対して傾斜させてもよい。
この場合、水平投影面において、腿下部11の全体面積A11に対する、腿下部11の裏面BSにおける腿下穴11hの総面積A11hBの比率R11Bが、腿下部11の全体面積A11に対する、腿下部11の上面USにおける腿下穴11hの総面積A11hUの比率R11Uよりも、小さくてもよい(R11B<R11U)。かつ/又は、水平投影面において、尻下部12の全体面積A12に対する、尻下部12の裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hBの比率R12Bが、尻下部12の全体面積A12に対する、尻下部12の上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hUの比率R12Uよりも、小さくてもよい(R12B<R12U)。かつ/又は、水平投影面において、尻下センター部12Cの全体面積A12Cに対する、尻下センター部12Cの裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hCBの比率R12CBが、尻下センター部12Cの全体面積A12Cに対する、尻下センター部12Cの上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hCUの比率R12CUよりも、小さくてもよい(R12CB<R12CU)。かつ/又は、水平投影面において、一対の尻下サイド部12Sの全体面積A12Sに対する、一対の尻下サイド部12Sの裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hSBの比率R12SBが、一対の尻下サイド部12Sの全体面積A12Sに対する、一対の尻下サイド部12Sの上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hSUの比率R12SUよりも、小さくてもよい(R12SB<R12SU)。
この場合、図2の例のようにR11B=R11U、R12B=R12U、R12CB=R12CU、R12SB=R12SUとした場合に比べて、シートパッド1(クッションパッド1a)を、上側から下側に向かうにつれて徐々に硬くなるようにすることができる。これにより、着座者は、着座部10に着座する際に、最初は柔らかく感じて、後のほうからは硬くなるような感触(着座感)を得るようになる。よって、座り心地を向上できる。また、この場合、シートパッド1(クッションパッド1a)を発泡成形するための金型において、穴10hを成形するための突起を、シートパッド1の上面USを成形するための下型のみに設けるようにすれば、型抜きがし易くなり、穴10hの形成が簡単となる。
この場合、操作性や座り心地を向上する観点や、ぐらつきの低減の観点からは、水平投影面において、腿下部11の全体面積A11に対する、腿下部11の裏面BSにおける腿下穴11hの総面積A11hBの比率R11Bと、尻下センター部12Cの裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hCBの比率R12CBと、一対の尻下サイド部12Sの裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hSBの比率R12SBとが、
R11B≧R12CB≧R12SB
を満たしていると好適であり、
R11B>R12CB>R12SB
を満たしているとより好適である。
なお、シートパッド1の上面USにおける比率R11U、R12U、R12CU、R12SUを一定として考えた場合に、図2に示す例は、上述のように着座部10の複数の穴10hのうちの一部又は全部における、直径や面積を、着座部10の上面USから裏面BSに向かうにつれて徐々に小さくした場合よりも、シートパッド1の裏面BS側の空隙率が高くなるので、軽量化、通気性の向上、蓄熱性の低減などが可能である。
また、水平投影面において、尻下部12の全体面積A12に対する、尻下部12の上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hUの比率R12Uは、1~20%であると好適であり、3~18%であるとより好適である。
これにより、操作性を向上しつつ、座り心地を向上できる。
同様の観点から、水平投影面において、腿下部11の全体面積A11に対する、腿下部11の上面USにおける腿下穴11hの総面積A11hUの比率R11Uは、尻下部12の全体面積A12に対する、尻下部12の上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hUの比率R12Uの1.1~3.0倍であると好適であり、1.5~2.5倍であると、より好適である。
また、水平投影面において、尻下部12の全体面積A12に対する、尻下部12の裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hBの比率R12Bは、0.5~20%であると好適であり、1~18%であるとより好適である。
これにより、操作性を向上しつつ、座り心地を向上できる。
同様の観点から、水平投影面において、腿下部11の全体面積A11に対する、腿下部11の裏面BSにおける腿下穴11hの総面積A11hBの比率R11Bは、尻下部12の全体面積A12に対する、尻下部12の裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hBの比率R12Bの1.1~3.0倍であると好適であり、1.5~2.5倍であると、より好適である。
また、水平投影面において、一対の尻下サイド部12Sの全体面積A12Sに対する、一対の尻下サイド部12Sの上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hSUの比率R12SUは、1~15%であると好適であり、3~13%であるとより好適である。
これにより、ぐらつきを効果的に低減できる。
同様の観点から、水平投影面において、尻下センター部12Cの全体面積A12Cに対する、尻下センター部12Cの上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hCUの比率R12CUは、一対の尻下サイド部12Sの全体面積A12Sに対する、一対の尻下サイド部12Sの上面USにおける尻下穴12hの総面積A12hSUの比率R12SUの1.1~3.0倍であると好適であり、1.5~2.5倍であると、より好適である。
また、水平投影面において、一対の尻下サイド部12Sの全体面積A12Sに対する、一対の尻下サイド部12Sの裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hSBの比率R12SBは、0.5~15%であると好適であり、2~13%であるとより好適である。
これにより、ぐらつきを効果的に低減できる。
同様の観点から、水平投影面において、尻下センター部12Cの全体面積A12Cに対する、尻下センター部12Cの裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hCBの比率R12CBは、一対の尻下サイド部12Sの全体面積A12Sに対する、一対の尻下サイド部12Sの裏面BSにおける尻下穴12hの総面積A12hSBの比率R12SBの1.1~3.0倍であると好適であり、1.5~2.5倍であると、より好適である。
これにより、着座者は、自身の大腿部を容易に動かすことができるようになるので、操作性を向上できる。また、尻部がしっかりと支えられるので、乗り心地を向上できる。
なお、図2の例では、水平投影面において、上面USにおける各腿下穴11hの面積どうし、尻下センター部12Cの上面USにおける各尻下穴12hの面積どうし、一対の尻下サイド部12Bの上面USにおける各尻下穴12hの面積どうしが、互いに同じである。また、水平投影面において、尻下センター部12Cの上面USにおける各尻下穴12hのそれぞれの面積が、一対の尻下サイド部12Bの上面USにおける各尻下穴12hのそれぞれの面積よりも、大きい。
しかし、水平投影面において、上面USにおける各腿下穴11hの面積どうし、尻下センター部12Cの上面USにおける各尻下穴12hの面積どうし、一対の尻下サイド部12Bの上面USにおける各尻下穴12hの面積どうしは、互いに異なっていてもよい。
なお、水平投影面において、腿下部11の上面USにおける腿下穴11hの面積、尻下センター部12Cの上面USにおける尻下穴12hの面積、及び、一対の尻下サイド部12Bの上面USにおける尻下穴12hの面積どうしの大小関係は、任意でよい。例えば、水平投影面において、尻下部12の上面USにおける各尻下穴12hの面積どうしが互いに同じでもよい。かつ/又は、水平投影面において、着座部10の上面USにおける各穴10hの面積どうしが互いに同じでもよい。
これにより、着座者は、自身の大腿部を容易に動かすことができるようになるので、操作性を向上できる。また、尻部がしっかりと支えられるので、乗り心地を向上できる。
ここで、穴10h(腿下穴11h、尻下穴12h)の「直径(d12、d22)」は、水平投影面において穴10hが非円形の形状をなす場合、水平投影面における穴10hの外接円の直径を指すものとする。
なお、図2の例では、水平投影面において、上面USにおける各腿下穴11hの直径d12どうし、尻下センター部12Cの上面USにおける各尻下穴12hの直径d22どうし、一対の尻下サイド部12Bの上面USにおける各尻下穴12hの直径d22どうしが、互いに同じである。また、水平投影面において、尻下センター部12Cの上面USにおける各尻下穴12hのそれぞれの直径d22が、一対の尻下サイド部12Bの上面USにおける各尻下穴12hのそれぞれの直径d22よりも、大きい。
しかし、水平投影面において、上面USにおける各腿下穴11hの直径d12どうし、尻下センター部12Cの上面USにおける各尻下穴12hの直径d22どうし、一対の尻下サイド部12Bの上面USにおける各尻下穴12hの直径d22どうしは、互いに異なっていてもよい。
なお、水平投影面において、腿下部11の上面USにおける腿下穴11hの直径d12、尻下センター部12Cの上面USにおける尻下穴12hの直径d22、及び、一対の尻下サイド部12Bの上面USにおける尻下穴12hの直径d22どうしの大小関係は、任意でよい。例えば、水平投影面において、尻下部12の上面USにおける各尻下穴12hの直径d22どうしが互いに同じでもよい。かつ/又は、水平投影面において、着座部10の上面USにおける各穴10hの直径d12、d22どうしが互いに同じでもよい。
また、上述した各例においては、尻下部12の上面USにおける各尻下穴12hのそれぞれの直径d22は、5~35mmであると好適であり、8~32mmであるとより好適である。また、尻下部12の上面USにおける各尻下穴12hのそれぞれの面積は、19~962mm2であると好適であり、50~804mm2であるとより好適である。
これにより、操作性を向上しつつ、座り心地を向上できる。
また、上述した各例においては、尻下部12の裏面BSにおける各尻下穴12hのそれぞれの直径d23は、2~39mmであると好適であり、5~35mmであるとより好適である。また、尻下部12の裏面BSにおける各尻下穴12hのそれぞれの面積は、3~1193mm2であると好適であり、19~962mm2であるとより好適である。
これにより、操作性を向上しつつ、座り心地を向上できる。
この場合、操作性をより向上できる。
ただし、腿下穴11hどうしの間の距離l11は、尻下穴12hどうしの間の距離l12と、同じ(l11=l12)でもよいし、それより大きく(l11>l12)てもよい。
本発明のシートパッドの比較例1~2、実施例1についての評価を説明する。
表1は、本発明の比較例1~2及び実施例1に係る車両用シートパッドのクッションパッドの試験体についての評価を示している。
比較例1~2及び実施例1の試験体は、いずれも、外形状の寸法や材質(組成)が同じであり、穴の構成が異なるものであり、それに伴い、クッションパッドの重量も異なるものである。比較例1の試験体は、穴を有しないものであるのに対し、比較例2及び実施例1の試験体は、無底の穴を有するものである。比較例2は、複数の無底の腿下穴11hと複数の無底の尻下穴12hとが、一定のピッチ間隔で均一に配置されており、R11U=R12Uであり、また、R12CU=R12SUである。実施例1は、R11U>R12Uであり、また、R11U>R12CU>R12SUを満たすものである。
各例の試験体に関し、以下に説明するぐらつき角度、重量比率、通気性、耐蓄熱性、(腿下部11の25%硬度)×100/(尻下部12の25%硬度)、操作性、座り心地のそれぞれの評価は、表1のようになる。
表1の「ぐらつき角度(°)」は、各例の試験体を試験台の上に配置し、試験体に45kgの尻型治具を乗せ、試験体を試験台とともにロール加振した際の試験台に対する尻型治具の揺動角度を測定したときの、揺動角度である。ロール加振は、シートパッドの前後方向に延在する回転軸の周りで左右に振動させることにより行う。揺動角度の測定は、モーションキャプチャーにより行う。ぐらつき角度(°)は、小さいほど、シートパッドに左右方向の振動が入力されたときに着座者のぐらつきを低減できる性能(耐ぐらつき性)が高いことを示している。
表1の「質量比率(%)」は、各例の試験体の質量を、比較例1の試験体の重量を100%としたときの比率で表したものである。質量比率(%)は、低いほど、シートパッドの軽量化を達成できることを示している。
表1の「通気性」は、JIS K6400-7 B法により各例の試験体のそれぞれの通気量の測定に基づいている。
表1において、「○」は「良い」との評価を表し、「△」は「普通」との評価を表す。
表1の「耐蓄熱性」は、シートパッド内の熱のこもりにくさを表している。耐蓄熱性は、各例の試験体の周囲の雰囲気を高温から低温に変化させた際に、雰囲気と試験体の温度変化を測定することにより評価する。具体的には、まず、試験体を、雰囲気温度を60℃とした恒温槽内に配置し、試験体が60℃に一定となるまで放置する。そして、試験体が60℃で一定となった後、恒温槽内の雰囲気温度の設定を60℃から25℃へ変化させ、その際の、雰囲気温度の温度変化と試験体の温度変化とを測定する。試験体の温度は、尻下部の中心(水平投影面で中心であって、当該中心部分における厚さ方向で中心)を熱電対を用いて測定する。そして、試験体の温度変化のグラフ(横軸が時間、縦軸が温度)と、雰囲気の温度変化のグラフ(横軸が時間、縦軸が温度)とを対比し、試験体が雰囲気の温度変化にどれだけ追従しやすいかを、耐蓄熱性として評価する。試験体の温度変化のグラフが雰囲気の温度変化のグラフに近接しているほど、試験体が雰囲気の温度変化に追従しやすく、ひいては、試験体の耐蓄熱性が良い(熱がこもりにくい)と評価する。
表1において、「○」は「良い」との評価を表し、「△」は「普通」との評価を表す。
表1の「(腿下部11の25%硬度)×100/(尻下部12の25%硬度)(%)」は、各例の試験体について、腿下部11の25%硬度と尻下部12の25%硬度とをそれぞれ測定し、これらの比を求めたものである。25%硬度(N)は、JIS K6400-1 D法に従って測定される。(腿下部11の25%硬度)×100/(尻下部12の25%硬度)は、低いほど、腿下部11が尻下部12に対して柔らかく、操作性が良いことを表している。
表1の「操作性」は、評価者が各例の試験体に着座したときに感じる、操作性の官能評価を示している。
表1において、「○」は「良い」との評価を表し、「△」は「普通」との評価を表す。
表1の「座り心地」は、評価者が各例の試験体に着座したときに感じる、座り心地の官能評価を示している。
表1において、「○」は「良い」との評価を表し、「△」は「普通」との評価を表す。
1a:クッションパッド、 10:着座部(メインパッド部)、 10h:穴、 11:腿下部、 11h:腿下穴、 12:尻下部、 12h:尻下穴、 12C:尻下センター部、 12S:尻下サイド部、
20:サイドパッド部、 30:バックパッド対向部、 40a、40b、40c:溝、
1b:バックパッド、
100:車両用シート、 101:表皮、 102:ヘッドレスト、
B1:第1境界位置、 B12:第2境界位置、 T:最前端位置、 US:上面、
C:左右方向中心線
Claims (2)
- 樹脂発泡体から形成され、着座者を支持するための着座部を有する、車両用シートパッドにおいて、
前記着座部のうち、前記着座部の最前端位置から前記着座部の前後方向の全長の45%の長さだけ離れた第1境界位置よりも、前側の部分を、腿下部とし、前記第1境界位置よりも後側の部分を、尻下部とし、
前記尻下部のうち、前記着座部の左右方向中心線から前記尻下部の左右方向の全長の25%の長さだけ左右方向外側に離れた一対の第2境界位置よりも、左右方向内側の部分を、尻下センター部とし、前記一対の第2境界位置よりも左右方向両外側の部分を、一対の尻下サイド部とするとき、
前記着座部は、複数の無底又は有底の穴を有し、
前記複数の穴は、前記腿下部に設けられた1つ又は複数の腿下穴と、前記尻下部に設けられた1つ又は複数の尻下穴と、からなり、
水平投影面において、
前記腿下部の全体面積に対する、前記腿下部の上面における前記腿下穴の総面積の比率R11Uと、
前記尻下センター部の全体面積に対する、前記尻下センター部の上面における前記尻下穴の総面積の比率R12CUと、
前記一対の尻下サイド部の全体面積に対する、前記一対の尻下サイド部の上面における前記尻下穴の総面積の比率R12SUとが、
R11U>R12CU>R12SU
を満たしており、
水平投影面において、前記腿下部の上面における各前記腿下穴のそれぞれの面積が、前記尻下部の上面における各前記尻下穴のそれぞれの面積よりも、大きい、車両用シートパッド。 - 水平投影面において、
前記比率R11Uは、5~25%であり、
前記比率R12CUは、2~23%であり、
前記比率R12SUは、1~15%である、請求項1に記載の車両用シートパッド。
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