JP5936500B2 - ベビーカー用シート - Google Patents
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Description
この種のベビーカーは、例えば新生児や乳児等を乗せるには大き過ぎ、そこで、このような体格の小さい乳幼児(以下、乳児という)を乗せる場合、ベビーカー上での姿勢を保持するために、ベビーカーの本体シート部分上に、乳児の体格に合わせたベビーカー用シートを追加して装着するようにしている。
特に、このベビーカー用シートを利用する時期の乳児は首が据わる前が多く、自ら姿勢を自由に変えられず、崩した姿勢を自力で元に戻すことができない。このため、一旦姿勢を崩してしまうと、特許文献1のように、折角、頭部パッド10に側頭支持部14が設けられていても、これを有効に活用することが出来ず、そればかりか却って頭部パッド10に凹凸がある分、頭の据わりが悪くなってしまう。
例えば、特許文献1の臀部パッド50には臀支持部53が設けられているが、その隆起する度合いが小さく、ベビーカーの移動に伴って生じる振動などにより、臀部が徐々に前スベリをし、それに伴って頭部も動き、乳児はそれを細かく姿勢調整できないため、最初は側頭支持部14で頭部を保持できている場合であっても、徐々に支持できない状態となってしまう。
なお、臀部支持部53の高さ寸法を大きくする等して、乳児の臀部を確実に保持する手段も考えられるが、それでは最初から座り心地を悪くするだけであり、好ましくない。
また、臀部パッドには股ベルト孔が設けられているが、この股ベルト孔が例えば隆起部の隆起途中に配置されていると、そもそも被搬送者は隆起部より後ろ側の着座領域に着座しているため、ベルトは、被搬送者がベビーカーから落ちないという点では意味はあるが、着座領域からの位置ずれ防止という点では意味をなさない。
このため、単に隆起部や股ベルトが設けられているだけでは、被搬送者の動きを規制するには不十分であるが、本発明の構成では、股ベルト孔の隆起部側の内面が上方に向かって延伸することで、隆起部の着座領域側の隆起面が形成されている。
そうすると、股ベルトと股間部分が係止することで臀部の前滑りを抑制すると共に、それでも被搬送者の重みなどでベルトが変形して臀部が前滑りしようとしても、直ぐに、隆起部の隆起面に当たって、前滑りを抑えることが出来る。換言すれば、隆起部と股ベルトで被搬送者の動きを同時に抑制し、これにより臀部の前滑りを防止できる。
このように、本発明では股ベルト孔の領域に対応した股ベルトと隆起面で、被搬送者の股間部分の動きを抑制しているが、この被搬送者の股間部分はそもそも股ベルトに接触することを前提とした部位であり、この股間部分の領域における隆起面の隆起度合いを大きくしたとしても、即ち急激に隆起させたとしても、座り心地に与える悪影響は小さい。
従って、本発明では、良い座り心地を確保しつつ、被搬送者の股間部分(即ち、股ベルト孔)に対応する隆起面を急に隆起させることが可能であり、この急な隆起面と股ベルトで被搬送者の股間部分の動きを規制して、前滑りを確実に防止できる。
しかも、本発明の頭部パッドは、被搬送者の後頭部より小さな凹部を有し、この凹部は後頭部の一部を置くと、その重みにより内周面が押し広げられるようになっている。従って、凹部は被搬送者の頭部の動きに追従するように押し広げられ、頭部を保持することができる。また、このような頭部パッドであれば、頭部の大きさが異なる乳幼児にも対応ができる。
かくして、本発明によれば、位置決めの基準となる臀部を確実に保持し、デリケートな頭部もきっちりと保持できる。そして、臀部と頭部の位置が決まれば、全体的に姿勢は保持可能である。
このため、頭部パッド自体が動いてしまう事態を防止し、もって、頭部をしっかり保持できる。
このため、背中腰部パッドの前方に向かって膨出した膨出部により、背中と腰部も保持できるので、上述のように臀部パッドと頭部パッドで臀部と頭部を保持したことと相まって、より確実に被搬送者の全体姿勢を保持できる。
ところで、上述のように、本発明では被搬送者の動きを可及的に止めるようにしているが、そうすると、体の同じ部位が長時間パッドに接触して部分的な圧迫を起こし、座り心地の悪さを感じさせる要因になる。しかし、本発明での背中腰部パッドの膨出部は、被搬送者の背中から腰部にかけての横方向の湾曲面に略沿うようになっている。したがって、体圧を分散させるように、より広い面で体を支えられるため、座り心地も向上できる。
従って、未だ腰部が据わりきっていない被搬送者について、背中から腰部の領域において姿勢を決めるための基準となる腰部の横方向の動きをより有効に規制できる。
上記構成によれば、背中腰部パッドの横方向の両端から中央に向かって切り欠かれた切り欠き部に、肩ベルトを取り外すことなく容易に挿入でき、この肩ベルトと上述した股ベルトとを接続するなどして、被搬送者を保持することができる。
そして、この複数の切り欠き部は、背中腰部パッドの高さ方向に沿って所要の間隔を空けながら配置されている。このため、被搬送者はその体格に応じて、高さ方向の配置が異なる複数の切り欠き部のいずれかを適宜選択し、そこに肩ベルトを通すことができ、体格の異なる被搬送者への対応が可能である。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
また、以下の図において、同一の符号を付した箇所は同様の構成である。
また、以下の説明において、前、後、左、右、上、下等の方向は、特段の言及がない限り、ベビーカーに適正に着座した状態(図8の状態)の被搬送者を基準にした方向である。
先ず、図1を用いて、ベビーカー用シートとベビーカーとの関係を概説する。
図1に示すベビーカー1は、乳幼児を乗せるための展開状態から、収納のために折り畳むことができる構造を有している。このベビーカー1は、例えば対象年齢が生後1カ月以上36カ月以内の乳幼児を乗せて、例えば買い物や外気浴等に使用するための一人乗りの乳母車であり、乳幼児を寝かせた姿勢や座らせた姿勢で使用することができる。
このベビーカー1は、ベビーカー本体1A(図2も参照)と、このベビーカー本体1Aに取り付けられ、乳幼児を乗せるための本体シート部材13とを有している。図1では、この本体シート部材13上には、さらに新生児や乳児等を乗せるためのべビーカー用シート100が着脱可能に装着されている。すなわち、本体シート部材13はベビーカー用シート100を置く基台ともいえ、本体シート部材13に乗せるには体格が小さい新生児や乳児等(被搬送者であって、以下、乳児という)に対して、ベビーカー用シート100をさらに上に配置することで、ベビーカー1上での乳児の姿勢を保持するようにしている。
次に、図1及び図2を用いて、ベビーカーの構造例等を説明する。
図1に示すベビーカー1の骨格又は土台ともなる図2に示すベビーカー本体1Aは、左右一対の前脚2と、左右一対の後脚3と、左右一対の側部フレーム4と、手押し杆5と、左右一対のアームレスト6と、背当て支持枠7と、フットレスト8と、4組の車輪9と、左右一対の連結杆10と、幌支持部11と、ガードバー16を有している。
この図2のベビーカー本体1Aに対して、図1に示すように複数の部品又は付属品が取り付けられている。
すなわち、図2の幌支持部11に図1の幌部材12が装着されている。
また、図2に示す一対の側部フレーム4の間に固定された座面部材13A、及び背当て支持枠7に対して、図1の本体シート部材13が固定されている。
そして、本体シート部材13の下部には、バスケット14が着脱可能に取り付けられている。また、本体シート部材13にはシートベルト15が取り付けられている。シートベルト15は、乳児の両肩に掛けられる肩ベルト15A、腰に回される腰ベルト15B、乳児の股の間に通される股ベルト15C、そして、これら各ベルト15A,15B,15Cを互いに着脱するためのバックル15Dを有している。
図1及び図2に示す前脚2と後脚3はパイプ状の部材であり、それぞれの下端部には車輪9が回転可能および旋回可能に取り付けられている。左右一対の前脚2の下部の間には、ステー2Sが連結されており、このステー2S上にはフットレスト8が固定されている。図2に示すように、左右一対の後脚3の下部の間には、ステー3Sが連結されている。
前脚2と後脚3との間には側部フレーム4が回動自在に支持されている。すなわち、側部フレーム4の後端部4Bは後脚3に対して回動自在に連結され、側部フレーム4の前端部4Cは前脚2に回動自在に支持されている。
なお、アームレスト6の前端部には、ガードバー16の端部が着脱可能に連結されている。
手押し杆5には、ハンドルロック29が付けられており、本ベビーカー1を押す使用者がハンドルロック29を手で持ち上げると、手押し杆5の保持状態を解除できる。そして使用者が、手押し杆5の位置を、図2において実線で示す保持状態から、中心軸CLを中心にR方向に回転することで、2点鎖線で示す反転したもう一つの保持状態に変更することができる。この手押し杆5の保持状態の変更後、使用者がハンドルロック29を下げることで、手押し杆5は2点鎖線で示す状態に固定できるので、使用者は、ベビーカー1に乗っている乳幼児に対面しながら、ベビーカー1を方向Bに向って押すことができる。
次に、ベビーカー用シート100について説明する。
図3は、図1に示す本体シート部材13と、この本体シート部材13上に着脱可能に装着されたベビーカー用シート(以下、シートという)100を示す斜視図である。
すなわち、シート100は、乳児を乗せて移動する際、その身体の姿勢を保持するために、図1と図3に示すように、本体シート部材13の上にさらに追加して装着されるもので、クッション、パッド、マットとも呼ぶことができる。
シート100は、乳児を保持できる所要の剛性を有しつつ、柔らかい材質で作られたクッション性を有し、具体的には、弾性変形可能であって、エネルギーの吸収性が高いウレタンフォーム等の発泡体からなる低反発性素材と、この低反発性素材を覆うシートカバーにより形成することができる。なお、本発明は所要の剛性とクッション性の双方を有すれば、低反発素材に限られるものではなく、例えばビーズクッションであってもよい。
図1と図3に示すシート100の装着例では、シート100の頭部パッド101と背中腰部パッド102は、本体シート部材13の背中・腰部保持部91上に配置され、シート100の臀部パッド103は、本体シート部材13の座面部92上に配置されている。
シート100は、例えば面ファスナー等の接合部材(不図示)を用いて、その構成品である頭部パッド101、背中腰部パッド102、臀部パッド103の中から1つ以上を選択して、これを本体シート部材13に着脱可能に装着できる。
さらに本実施形態では、頭部パッド101と背中腰部パッド102が着脱可能に連結され、また、背中腰部パッド102と臀部パッド103が着脱可能に連結されるようになっている。これにより、シート100は、頭部パッド101と背中腰部パッド102と臀部パッド103に別々に構成されているにもかかわらず、一体物として本体シート部材13上に装着し、乳児は切れ目のないパッドに乗ることができるし、また、本体シート部材13に対する装着作業も容易となる。
〔臀部パッド103について〕
先ず、臀部パッド103を説明する。
図4は臀部パッド103の好ましい形状例であり、図4(A)はその正面図(装着した状態では上から見た平面図となる)、図4(B)は図4(A)において矢印G方向から見た側面図である。また、図5は臀部パッド103の使用例を示す斜視図である。
図4と図5に示す臀部パッド103は、シート100上に載せた乳児の臀部を保持する部材である。
この臀部パッド103は、正面視が例えば長方形状であり、長辺部分140,141と、短辺部分142,143を有している。なお、臀部パッド103の正面視における4つの角部144は略1/4円周形状とされている。
また、臀部パッド103の背面部149は平面状であり、図3に示す本体シート部材13の座面部92と対面し、例えば面ファスナーを用いて座面部92に対して固定される。
このようにして、臀部パッド103は、本体シート部材13に確実に固定される。
着座領域155は、隆起部158に対して凹部であり、その領域は略平坦である。そして、中央部には臀部に対する通気を行うための複数個の通気孔147が形成されている。
着座領域155は、正面視が概ね台形状であり、互いに略平行な辺のうち長い辺(図4の長辺部分140)が乳児の着座状態における背面側とされている。
なお、乳児の着座状態における背面側の角部(図4の上側の角部)144、及びこの角部144に隣接する短辺部分142,143の一部142P、143Pは、隆起部158が形成されずに、着座領域155の平坦面が続くようになっている。これにより、この角部周辺領域144,142P,143Pから、着座領域155に落ちたゴミ等の異物を掃き出したり、空気を乳児の背面に供給したりすることができる。さらに、長辺部分140の両端近傍の一部142P、143Pに隆起部158が形成されないことで、乳児の臀部が側部サポート部分161、162に乗らず、前滑りを防ぐことができる。さらにまた、長辺部分140は、座面部92と背中・腰部保持部91との境界近傍に位置することになり、ベビーカー1を折畳んだ場合に、嵩高となることがなく、折り畳みに影響がない。
図4(B)に示すように、側部サポート部分161,162は、乳児の背面側から前側に向かうに従って、着座領域155に対して、傾斜角度Eだけ隆起するように傾斜して形成され、隆起部158の中でも前側サポート部分163の高さH1が最も高く設定されている。図の高さH1は30〜50mm、好ましくは40mmである。
一方、側部サポート部分161,162の稜線161C,162Cは、互いに略平行であり、内側面部161B,162Bは前側サポート部分163に向かうに従って稜線161C,162Cから離れるように形成されている。これにより、稜線161C,162Cから内側面部161B,162Bまでの領域ARについては、乳児の背面側から前側に向かうに従って、徐々に傾斜面が緩やかになっている。従って、図5に示すように、側部サポート部分161,162は、臀部の側面を保持しつつも、楽に脚LGを置くことができる。
そして、図4(B)に示すように、この股ベルト孔170の隆起部158(前側サポート部分163)側の内面170aが上方に向かって延伸することで、隆起部158(前側サポート部分163)の着座領域155側の隆起面(つまり内側面部)163Baが形成されている。より具体的には、図4(A)に示すように、股ベルト孔170は、正面視において、前側サポート部分163の内側面部163Bの一部を切り欠くように形成されている。これにより、側部サポート部分161,162に比べて急に隆起する前側サポート部分163の内側面部163Bのなかでも、股ベルト孔170に隣接した隆起面(つまり内側面部の一部)163Baが最も急激に隆起している(傾斜角度が大きい)。
なお、本実施形態の股ベルト孔170は、上述のように、前側サポート部分163の内側面部163Bの一部を切り欠くように形成されているが、隆起面163Baが股ベルト孔170の際に配置され、他の内側面部に比べて急に隆起する構成であれば、切り欠かれていなくても構わない。
そして、乳児の脚LGは、側部サポート部分161,162の稜線161C,162Cよりも着座領域155側の領域ARを通って、前側サポート部分163の上に載せられ、この領域ARは比較的緩やかな傾斜面とされているため、座り心地に与える悪影響を抑制できる。
これに比べて、前側サポート部分163の内側面部163Bは相対的に急に隆起する傾斜面を有し、その中でも股ベルト孔170に隣接した隆起面(つまり内側面部の一部)163Baが最も急に隆起しているので、臀部HPが前滑りしようとしても、乳児の股間部分THと隆起面163Baとが係止して、臀部HPは保持される。しかも、この股間部分THは、股ベルト孔170を通る股ベルト15Cによっても規制されている。従って、隆起面163Baを含む内側面部163Bと股ベルト15Cが共同して股間部分THの動きを規制し、これにより、臀部HPの前滑りを確実に防止できる。そして、股間部分THは、いずれにしても股ベルト15Cが接触する部分であるため、その先の隆起面163Baが急激に隆起したとしても、座り心地に与える悪影響は小さい。
次に、頭部パッド101について説明する。
図6は本発明の頭部パッドの好ましい形状例であり、図6(A)は頭部パッド101の正面図、図6(B)は図6(A)のA−A断面図、図6(C)は頭部パッド101に乳児の頭部HDを当てて保持している様子を示す断面図である。
この頭部パッド101は、乳児の頭部を安定して保持するための部材であり、図3に示す本体シート部材13の背中・腰部保持部91に、図6に示す面ファスナー等の接合部材33で着脱可能に固定することができる。
なお、頭部パッド101の背面119は、背中・腰部保持部91に対応して、略平坦面とされ、接合部材33は背面119の長手方向の両端部に配設されている。
そして、この凹部115は、外力を加えない状態において、乳児の頭部HDの背面側(つまり後頭部)が収容しきれず、その一部分だけが収容される外径とされ、本実施形態では、底面部116に後頭部が付かない程度の小さな窪みとされている。
これにより、頭部HDの重みを凹部115に加えない状態において、頭部HDを凹部115の内周面115aの全周に当接可能であり、そして、頭部HDの重みを加えると、図6(C)に示すように、内周面115aは頭部HDの形状に合わせて沈みこむように(例えば矢印Jの方向に沈みこんで、内周面115aを押し広げるように)変形する。従って、頭部HDは頭部パッド101の当該変形した凹部115の内面全体(内周面115a、及び底面部116)に密着し、体圧分散効果が発揮されると共に安定して保持される。
なお、本実施形態の頭部パッド101は低反発性素材から形成されて、上述のように沈み込むように変形するが、頭部パッド101は、例えば所要の剛性と柔軟性を有するビーズクッションであっても、凹部115が底面部116に後頭部の付かない程度の小さな円形状の窪みであれば、充填物であるビーズが頭部HDの重みで周囲に押し広がって、内周面115aを頭部HDの形状に沿った形状に変形させ、凹部115の内面全体に頭部HDを密着させることができる。
好ましくは、頭部パッド101は、クッション性を重視して、背面119に追加で低反発素材を着脱できる構成にするとよい。この場合、上述した実施形態に対して追加の低反発素材を取り付けるのであれば、背面119の面ファスナー等の接合部材33に取り付けるのが好ましいが、本発明はこれに限られず、例えば、背面119に当該低反発素材を挿入できるポケットを設けてもよい。追加する低反発素材は、背面119の面積と略同じ面積とし、全体的なクッション性を選択的に付与できるようするとよい。
なお、凹部115の底面部116には、複数個の通気孔117が形成されている。これにより、凹部115内に頭部HDが密着しても、複数個の通気孔117が、頭部HDに対する通気を行うことができる。
次に、背中腰部パッド102について説明する。
図7は背中腰部パッドの好ましい形状例であり、図7(A)はその正面図、図7(B)は図7(A)のC−C断面図、図7(C)は図7(A)の腰部を保持した状態におけるD−D断面図である。
この背中腰部パッド102は、図3に示す頭部パッド101と臀部パッド103の間に配置され、乳児の背中と腰部を保持する部材である。
図7に示す背中腰部パッド102は、正面視が例えば長方形状の部材であり、長辺部分120,121と、短辺部分122,123を有し、左右対称となっている。短辺部分122,123の長さL4は、図3に示す背中・腰部保持部91の左右のサイドサポート部93の間にはまってずれない様な寸法に設定されている。
この背中保持領域102Bより下側の領域は、乳児の腰部WTが配置される腰保持領域102Cが想定され、また、背中保持領域102Bより上側の領域は、乳児の首の付け根付近が配置される首根元領域102Aが想定されている。
この際、乳児であっても個体差はあり、また、ある程度年齢が大きくても小柄な乳幼児がいるため、そのような個体差に対応できるように、背中腰部パッド102は長めに形成され、図7(A)の場合の長さL5は250〜350mm、好ましくは300mmとされ、それに応じて各領域102A,102B,102Cも少し長めに形成されている。
すなわち、左右周縁部の膨出部127,127に挟まれた凹部126は、背中及び腰部の中心部(体の中心線部)が配置される部分となり、その凹部126と両脇の膨出部127,127を含めて、背中腰部パッド102全体として、乳幼児の背面形状に対応して形成されている。
具体的には、図7(B)に示す首根元領域102Aは僅かに湾曲しており、図7(C)に示す腰保持領域102Cは腰部の丸みに対応して、背面側に大きく凸となるように湾曲している。また、図示していないが、背中保持領域102Bも湾曲しており、その湾曲度合いは、首根元領域102Aの湾曲度合いと腰保持領域102Cの湾曲度合いとの略中間である。
このようにして、背中腰部パッド102は乳児の首の付け根から腰部を広い面で受け止めて、圧力を広い面積に分散させ、体が部分的に強く圧迫されることを防ぎ、乳児のデリケートな皮膚や体への負担を軽減している。特に、本実施形態の場合、上述のように、頭部パッド101と臀部パッド103で確実に位置決めして、乳児の動きを規制しているため、このように体圧を分散させることの意義は大きい。
従って、未だ腰が据わりきっていない乳児について、背中から腰部の領域において姿勢を決めるための基準となる腰部の左右方向の動きをより有効に規制できる。
本実施形態の場合、切り欠き部130,131は4カ所であり、その内、相対的に上側に配置された2つの切り欠き部130,130は背中保持領域102Bと首根元領域102Aとを分離するように横方向に沿って配置されている。従って、略平均的な体格を有する乳児については、図3に示す肩ベルト15Aを取り外さなくても、横からスライドさせるように切り欠き部130,130に肩ベルト15Aを容易に挿入した後、肩ベルト15Aと股ベルト15Cとを、バックル15Dを介して接続することができる。
そして、上述したように、背中腰部パッド102は、図3に示す左右のサイドサポート部93の間にはまってずれない様な寸法に設定されているため、横方向(図3及び図7の左右方向)についても固定されている。
これにより、使用者は、背中腰部パッド102を図3に示す本体シート部材13に対して左右上下方向に位置ずれがないように簡単に着脱可能に取り付けることができる。
なお、背中腰部パッド102は、その背面に面ファスナー等の接合部材を設けて、図3に示す背中・腰部保持部91に接続させても構わない。
この点、最上部に配置された切り欠き部130,130より上側に配置されている上側膨出部127aについては、例えば図7(C)の下側膨出部127cのような明らかな稜線が形成されず、図7(B)に示すように、膨出度があまり変化しない平坦部46が形成されている。
従って、下側の切り欠き部131,131に肩ベルトを通した場合において(以下、この段落に示す符号については、図6と図7を参照)、背中腰部パッド102の上側に対して頭部パッド101を面ファスナー33で取り付け可能であるが、この際、上側膨出部127aの平坦部46に頭部パッド101の面ファスナー33を接続可能であり、しかも、上側膨出部127aは他の膨出部127b,127cに比べて膨出度合いが小さいことから、背中腰部パッド102に対して、頭部パッド101の浮きを防止しながら確実に固定できる。
なお、背中腰部パッド102の短手方向の長さ(つまり幅)L4は、少なくとも下側の切り欠き部131から上側は、いずれの上下方向の位置でも変えないようにしている。これにより、頭部パッド101を切り欠き部131から上側のどこに配置しても、図3のサイドサポート部93の間にはめることができる。
図8に例示するように、臀部パッド103では、一方の側部サポート部分161と他方の側部サポート部分162と前側サポート部分163とからなる隆起部158により、臀部HPのF方向への前スベリ現象や左右方向の動きを規制して、臀部HPを安定的に保持できる。そして、姿勢の位置決めの基準となる臀部HPを固定した上で、パッド101の後頭部を置くことで押し広がる円形状の凹部115を設けることで、最も大きく動き易い頭部HDを安定的に保持できる。さらに、背中腰部パッド102でも、乳児の背面形状に対応した膨出部127(特に、膨出度合いが大きな膨出部を有する腰保持領域102C)により全体の姿勢を確実に安定させることができる。そして、各パッド101,102,103は、全体的に乳児の背面側全体と密着するような構成となっており、広い面で乳児を支え、動きを規制するだけでなく、乳児の皮膚に加わる圧力を分散させて、優れた座り心地を実現できるようになっている。
上述した頭部パッド101、背中腰部パッド102、及び臀部パッド103は、それぞれ別個に、図1に示す本体シート部材13に着脱可能に装着できるが、図9では、これら各パッド101,102,103同士を連結している。
すなわち、頭部パッド101と背中腰部パッド102とが、例えば第1接続部180により着脱可能に接続されている。また、背中腰部パッド102と臀部パッド103とが、例えば第2接続部190により着脱可能に接続されている。
これらの第1接続部180と第2接続部190は、例えば一方側にオス部材を設けて他方側にオス部材を着脱可能に取り付けるメス部材を有する面ファスナーであっても良いし、一方側に凸部分を設け、他方側にこの凸部分を着脱可能にはめ込むための凹部分を設ける構成であっても良い。
これにより、頭部パッド101と背中腰部パッド102と臀部パッド103は、必要に応じて単独あるいは2つ以上を組み合わせて販売し、あるいは使用することができる。
例えば、図1に示すベビーカー1は一人乗りであるが、本発明はこれに限られず、二人以上を同時に乗せられる乳母車であってもよい。
Claims (5)
- ベビーカーの本体シート部材上に配置され、被搬送者の頭部が置かれる頭部パッドと、前記被搬送者の臀部が置かれる臀部パッドと、を備えたベビーカー用シートであって、
前記臀部パッドは、前記臀部が置かれる着座領域より前方に配置されて隆起した隆起部と、前記被搬送者の股の間に通される股ベルトを挿通するための股ベルト孔とを有し、前記股ベルト孔の前記隆起部側の内面が上方に向かって延伸することで、前記隆起部の前記着座領域側の隆起面が形成されており、
前記頭部パッドは、前記被搬送者の後頭部より小さな凹部を有し、この凹部は前記後頭部の一部を置くと、その重みにより内周面が押し広げられるようになっている
ことを特徴とするベビーカー用シート。 - 前記頭部パッドは、前記本体シート部材の左右の夫々から前方に向けて突出したサイドサポート部の間に係止されることを特徴とする請求項1に記載のベビーカー用シート。
- 前記頭部パッドと前記臀部パッドの間には、前記被搬送者の背中と腰部が置かれる背中腰部パッドが配置されるようになっており、
前記背中腰部パッドは、前記被搬送者の背中から腰部にかけての横方向の湾曲面に略沿うように、左右周縁部に前方に向かって膨出した膨出部を有している
ことを特徴とする請求項1または2に記載のベビーカー用シート。 - 前記膨出部は、前記背中側に比べて前記腰部側の膨出度が大きくなっていることを特徴とする請求項3に記載のベビーカー用シート。
- 前記膨出部は、前記背中腰部パッドの横方向の両端から中央に向かって切り欠かれた複数の切り欠き部を有しており、
この複数の切り欠き部は、前記背中腰部パッドの高さ方向に沿って所要の間隔を空けながら配置されている
ことを特徴とする請求項4に記載のベビーカー用シート。
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