以下、図面に示された一具体例を参照しながら本発明の一実施の形態について説明する。
乳幼児サポート70が適用される育児器具1は、乳母車、チャイルドシート、揺動椅子、歩行器等の器具であり、典型的には子供(乳児、幼児、児童等の年少者)を育てる過程において子供を世話するために使用される器具である。例えば、乳母車は、子供を乗せる手押し車であり、チャイルドシートは、車の座席や自転車のフレーム、椅子等に取り付けて用いられる子供用の補助座席である。また、揺動椅子は、子供用の座席または寝台であり、ベビーチェア、ハイアンドローチェア、ローチェア、ロッキングチェア、ベビーラック、ロッキングラックとも呼ばれる。
図1~図12は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。このうち、図1~図6は、乳幼児サポートが適用される育児器具1の育児器具本体2を説明するための図であって、図7~図12は、乳幼児サポートを説明するための図である。これらの図に示された具体例において、育児器具1は、乳母車10として構成されている。
図1~図4には、乳母車の全体構成が示されている。図2に示すように、図示された乳母車10は、育児器具本体2を構成する乳母車本体11と、二点鎖線で示された乳母車本体11に取り外し可能に装着されるクッションシート60と、を有している。また、図11A及び図11Bに示すように、乳母車10は、クッションシート60上に配置される乳幼児サポート70を更に有している。図1~図4に示すように、乳母車本体11は、前脚14及び後脚16を有する本体フレーム12と、本体フレーム12に対して揺動可能となるように本体フレーム12に接続されたハンドル40と、を有している。前脚14及び後脚16の下端には車輪18が回転可能に設けられている。
図示された乳母車(乳母車本体)は、広く普及しているように、図1及び図2に示された展開状態から図4に示された折り畳み状態へ折り畳み可能に構成されている。乳母車(乳母車本体)は、折り畳み状態から展開状態に展開することもできる。乳母車が展開状態にある場合、ハンドル40を本体フレーム12に対して揺動させることができる。
図示された例において、ハンドル40は、第1位置と第2位置との間を本体フレーム12に対して揺動可能となっている。ハンドル40の第1位置は背面押し位置であり(図1及び図2参照)、ハンドル40の第2位置は対面押し位置である(図3参照)。図2に示すように、ハンドル40は、背面押し位置である第1位置において、鉛直方向に対して傾斜し後方に延び上がっている。背面押し位置である第1位置にハンドル40を配置した場合、操作者(保護者)は乳母車10の背面側からハンドル40を把持して乳母車10を操縦する。このとき、乳幼児は、乳母車10の走行中、進行方向の前方を向いて景色を楽しむことができる。図3に示すように、ハンドル40は、対面押し位置である第2位置において、鉛直方向に対して傾斜し前方に延び上がっている。対面押し位置である第2位置にハンドル40を配置した場合、操作者は乳幼児に対面する前脚14側の位置からハンドル40を把持して乳母車10を操縦する。このとき、乳母車10の後脚16側が進行方向の前方となるようにして乳母車を走行させることができる。
さらに、図示された乳母車10において、前脚14の下端に設けられた車輪18は、キャスターを構成し、回転可能であるとともに旋回可能となっている。同様に、後脚16の下端に設けられた車輪18は、キャスターを構成し、回転可能であるとともに旋回可能となっている。この例において、乳母車10の操縦性の観点から、進行方向における前方に位置する脚に設けられた車輪18の旋回が許容され、進行方向における後方に位置する脚に設けられた車輪18の旋回が規制されるようにしてもよい。なお、車輪18の旋回の許容及び規制の切り換えは、手動で行われるようにしてもよいし、ハンドル40の位置に応じて自動的に行われるようにしてもよい。車輪18の旋回の許容及び規制をハンドル40の位置に応じて自動的に切り換える構成としては、特開2015-13568号公報に開示された構成を用いることができる。
ところで、本明細書中において、乳母車およびその構成要素に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「右」、「左」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある乳母車に乗車する乳幼児を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「右」、「左」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。さらに詳しくは、「前後方向」とは、図1における紙面の左下と右上とを結ぶ方向であって、図2及び図3における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、乗車した乳幼児が向く側であり、図1における紙面の左下側並びに図2における紙面の左側が前側となる。一方、「上下方向」とは乳母車の走行面に直交する方向である。したがって、走行面が水平面である場合、「上下方向」とは鉛直方向をさす。また、「横方向」とは幅方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。図1に示すように、図示された乳母車は、全体的に、横方向中心に位置し前後方向及び上下方向に沿った面を中心として概ね対称な構成を有している。
まず、乳母車10の全体構成として、乳母車本体11について説明する。上述したように、乳母車本体11は、本体フレーム12及びハンドル40を有している。このうち本体フレーム12は、図1に示すように、それぞれ左右に配置された一対の前脚14と、それぞれ左右に配置された一対の後脚16と、を有している。本体フレーム12は、それぞれ左右に配置された第1リンクL1、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4を更に有している。前脚14、後脚16及び第1~第4リンクL1~L4は、乳母車本体11を折り畳み可能および展開可能に構成するリンクとして機能する。図示された例において、第1リンクL1は、アームレスト21としても機能する。すなわち、アームレスト21によって第1リンクL1が構成されている。
図2に示すように、前脚14の上端部分は、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。同様に、後脚16の上端部分は、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の前方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。また、第2リンクL2の上方部分が、対応する側(左側または右側)に配置された第1リンクL1の後方部分に回動可能(揺動可能)に接続されている。図3に示されているように、図示された例において、第2リンクL2は、主リンク材22と、主リンク材22の上端に固定された上接続材23と、を有している。主リンク材22は、例えば金属製パイプからなる。上接続材23は、例えば、樹脂成形物からなる。第2リンクL2は、上接続材23において、アームレスト21の後端部分に回動可能(揺動可能)に接続している。
図1~図3に示すように、第3リンクL3は、前脚14と回動可能(揺動可能)に接続している。第4リンクL4は、後脚16と回動可能(揺動可能)に接続している。第3リンクL3は、第2リンクL2及び第4リンクL4の少なくとも一方と回動可能(揺動可能)に接続している。第4リンクL4は、第2リンクL2及び第3リンクL3の少なくとも一方と回動可能(揺動可能)に接続している。第2リンクL2は、第3リンクL3及び第4リンクL4の少なくとも一方と回動可能(揺動可能)に接続している。
図1及び図5に示すように、図示された例において、第3リンクL3をなす部材として、フレーム材24と、フレーム材24に固定された前接続材25及び後接続材26とが設けられている。フレーム材24は、例えば、曲げ加工した金属製パイプからなる。前接続材25及び後接続材26は、例えば樹脂成形物からなる。フレーム材24は、前後方向に延びる一対のフレーム側部24aと、一対のフレーム側部24aを前方にて連結するフレーム連結部24bと、を有してU字状をなしている。前接続材25は、一端部分を前脚14と回動可能に接続され、他端部分をフレーム側部24aの前方部分に固定されている。後接続材26は、フレーム側部24aの後端部分に固定されている。この例において、右側に位置するフレーム材24のフレーム側部24aと、この右側のフレーム側部24aに固定された右側の前接続材25及び後接続材26とによって、右側の第3リンクL3が形成されている。同様に、左側に位置するフレーム材24のフレーム側部24aと、この左側のフレーム側部24aに固定された左側の前接続材25及び後接続材26とによって、左側の第3リンクL3が形成されている。
図5に示すように、図示された例において、第4リンクL4は、後脚16に回動可能に接続された主軸材28と、主軸材28の上端部分に固定された端部材29と、を有している。主軸材28は、例えば金属製パイプからなる。端部材29は、例えば樹脂成形物からなる。主軸材28は、下端部分において後脚16の中間部分と回動可能に接続されている。端部材29は、第2リンクL2及び第3リンクL3と回動可能に接続されている。図示された例において、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4は、同一の軸部材30を用いて、互いに回動可能に接続されている。この軸部材30は、第2リンクL2の主リンク材22、第4リンクL4の端部材29、及び、第3リンクL3をなす後接続材26を貫通している。この構成により、第2リンクL2、第3リンクL3及び第4リンクL4は、軸部材30の中心軸線と一致する軸線を中心として、互いに回動可能となっている。
また、図示された乳母車の本体フレーム12は、図1~図3および図6に示すように、ベースフレーム31及び上方フレーム32と、ベースフレーム31と上方フレーム32とを連結する連結フレーム33と、をさらに、有している。ベースフレーム31及び上方フレーム32は、共にU字状に形成されている。そして、図2および図6に示すように、フレーム材24およびベースフレーム31にベース布材34が張った状態で保持されている。図6に示すように、ベース布材34は、フレーム材24の一対のフレーム側部24a及びフレーム連結部24bに取り付けられている。また、図1及び図6に示すように、ベースフレーム31は、一対の側方フレーム部31aと、一対の側方フレーム部31aの先端間を連結する連結フレーム部31bと、を有している。そして、ベース布材34は、一対の側方フレーム部31aおよび連結フレーム部31bに取り付けられている。
ベース布材34は、フレーム材24、ベースフレーム31、上方フレーム32及び連結フレーム33とともに、クッション性を有したクッションシート60を支持する。図示された例において、乳母車本体11に含まれる構成要素のうちのフレーム材24、ベースフレーム31、上方フレーム32、連結フレーム33及びベース布材34が、クッションシート60を支持するシート支持ユニット50を構成する。シート支持ユニット50は、乳幼児の臀部に対面するようになる座部支持体51と、乳幼児の背部に対面するようになる背部支持体52と、を有している。シート支持ユニット50を構成する構成要素のうち、ベースフレーム31及びベース布材34のベースフレーム31によって保持された部分が、乳幼児の背部を支持する背部支持体52を構成する。また、フレーム材24及びベース布材34のフレーム材24によって保持された部分が、乳幼児の臀部を支持する座部支持体51を構成するそして、図2、図3、図11A及び図11Bに示すように、座部支持体51は、前方において上方に向かうように水平方向に対して傾斜している。なお、図4において、ベースフレーム31、上方フレーム32及び連結フレーム33の図示を省略している。
ベースフレーム31は、その両端部において、軸部材30に貫通されている(図5参照)。そして、ベースフレーム31は、フレーム材24やその他の構成要素に対して回動可能(揺動可能)となっている。ベースフレーム31がフレーム材24に対して揺動することで、クッションシート60および乳幼児サポート70のリクライニング動作が可能となる。上方フレーム32は、その両端部において、第1リンクL1の後端部分と回動可能(揺動可能)に接続されている。上方フレーム32の第1リンクL1に対する回動軸線は、第2リンクL2の第1リンクL1に対する回動軸線と同一線上に位置している。ベースフレーム31及び上方フレーム32の間には、横方向に離間して一対の連結フレーム33が設けられている。連結フレーム33は、その両端において、ベースフレーム31及び上方フレーム32と回動可能に接続している。
図1に示すように、本体フレーム12は、横方向に延びる構成要素として、一対の前脚14間を連結する前方連結材15と、一対の後脚16間を連結する後方連結材17と、を有している。ただし、図示された例において、前方連結材15は、フットレストとして機能する。また、一対の後接続材26間には、中央連結材27が設けられている。前方連結材15、後方連結材17及び中央連結材27によって、乳母車の横方向への変形を抑制することができる。さらに、一対の第1リンクL1間に可撓性を有したガード部材38が取り外し可能に設けられている。
以上に説明した本体フレーム12に対し、ハンドル40が揺動可能に連結されている。図示された例において、ハンドル40は、本体フレーム12に揺動可能に取り付けられたハンドル本体41と、ハンドル本体41に設けられた保持体42と、を有している。図示された乳母車本体11において、ハンドル40は、側面視において垂直軸よりも後方に傾斜する第1位置(背面押し位置)と、垂直軸よりも前方に傾斜する第2位置(対面押し位置)と、の間を揺動可能となっている。
図1および図6に示すように、ハンドル本体41は、互いに略平行に延びる一対の軸部41aと、一対の軸部41a間を連結する中間部41bと、を含んでいる。ハンドル本体41は、全体として略U字状の形状を有している。ハンドル40は、U字の両端部において、本体フレーム12と回動可能(揺動可能)に接続されている。図示された例において、ハンドル本体41は、軸部材30を用いて、本体フレーム12と回動可能に接続されている。したがって、第2リンクL2、第3リンクL3、第4リンクL4、ベースフレーム31及びハンドル40は、軸部材30によって画成される同一の軸線を中心として、互いに対して回動可能となっている。ハンドル40に設けられた保持体42が、本体フレーム12の第1位置保持部材36(図3参照)と係合することで、ハンドル40を図2に示された第1位置に維持することができる。ハンドル40に設けられた保持体42が、本体フレーム12の第2位置保持部材37(図2参照)と係合することで、ハンドル40を図3A及び図3Bに示された第2位置に維持することができる。
以上の構成を有した乳母車本体11は、各構成部材を相対回動させることにより、折り畳むことができる。具体的には、第1位置に配置されたハンドル40をいったん後上方に引き上げ、その後、下方に押し下げることによって、第4リンクL4を後脚16に対し図2において時計回り方向に回動させる。この操作にともなって、第1リンクL1および第3リンクL3は第2リンクL2に対し図2において時計回り方向に回動する。このような操作により、側面視においてハンドル40と前脚14とが略平行な配置を維持しながら互いに接近するとともに、ハンドル40の位置が下げられるようになる。以上のようにして、図4に示すように、乳母車本体11を折り畳むことができる。図4の折り畳まれた状態では、乳母車の前後方向および上下方向に沿った寸法を小型化することができる。一方、乳母車本体11を折り畳み状態から展開するには、上述した折り畳み操作と逆の手順を踏めばよい。
また、乳母車本体11は、折り畳み動作時に互いに相対回動するいずれか二つの構成部材の相対回動、一例として第2リンクL2及び第4リンクL4の相対回動を規制する状態維持機構(図示せず)を有している。この状態維持機構を操作することで、乳母車本体11の折り畳み動作が可能となる。なお、図示された例において、ハンドル40は、状態維持機構に連結した遠隔操作装置43を有している。図1に示すように、遠隔操作装置43は、ハンドル本体41の中間部41bに設けられている。遠隔操作装置43を操作することで、状態維持機構が動作し、乳母車本体11の折り畳み動作が可能となる。
次に、乳母車本体11のシート支持ユニット50によって支持されるクッションシート60について説明する。図7に示すように、クッションシート60は、シート支持ユニット50によって乳母車本体11上に支持される。そして、乳幼児はこのクッションシート60上に着座又は横臥することになる。クッションシート60は、内部に綿や生地等を有することでクッション性を発現し、乳母車10に着座又は横臥する乳幼児の快適性を確保することができる。
クッションシート60は、座部61、背部62および側部63を有している。クッションシート60は、全体的に、前後方向に沿って延びる幅方向中心面を中心として概ね対称な構成を有している。座部61は、主として、座部支持体51によって支持される。そして、座部61は、乳母車10に着座又は横臥する乳幼児の臀部に主として対面する。背部62は、主として、背部支持体52によって支持される。そして、背部62は、乳母車10に着座又は横臥する乳幼児の背部に対面する。図示された例において、座部61は、後方端部において背部62と接続している。
側部63は、座部61の側部から左右に延び出た第1側部64と、背部62の側部および上部から延び出た第2側部65と、を含んでいる。図示された例において、第1側部64は、座部61から起立した姿勢に保持され、乳母車10に乗車した乳幼児の体に側方から対面する。また、図示された例において、第2側部65は、背部62から起立した姿勢に保持され、乳母車10に乗車した乳幼児の体に側方および上方(後方)から対面する。
ところで、図7に示すように、乳母車本体11は、乳幼児を固定するための乳幼児用ベルト55を有している。乳幼児用ベルト55は、乳幼児の股を通過する股ベルト56と、乳幼児の腰の周囲に配置される腰ベルト57と、乳幼児の肩の上を通過する肩ベルト58と、を含んでいる。これらの各ベルト56,57,58は、例えば、シート支持ユニット50に固定されている。そして、図示された例において座部61は、股ベルト56が通過する股ベルト通過穴66を設けられている。背部62には、腰ベルト57が通過する腰ベルト通過穴67及び肩ベルト58が通過する肩ベルト通過穴68が設けられている。
次に、図8~図12を主に参照しながら乳幼児サポート70について説明する。
本実施の形態における乳幼児サポート70は、乳母車10のクッションシート60上に取り外し可能に装着される補助シート部71を有している。図10に示すように、補助シート部71は、表側緩衝材73と、表側緩衝材73のクッションシート60側に保持された裏側緩衝材74と、を有している。表側緩衝材73は、その周縁を含む仮想面としての中心面CSを形成している。裏側緩衝材74は、中心面CSに対してクッションシート60の側に位置し、表側緩衝材73は、中心面CSに対してクッションシート60とは反対側に位置している。また図10に示された補助シート部71は、シート状に広がる芯材72を更に有している。芯材72は、クッションシート60の側に裏側緩衝材74を保持し、クッションシート60とは反対側に表側緩衝材73を保持している。芯材72は、中心面CS上に位置している。
補助シート部71の芯材72は、乳幼児サポート70の基底をなしている。より具体的には、芯材72は、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を支持している。好ましくは、芯材72には、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74がそれぞれ接合されている。表側緩衝材73及び裏側緩衝材74が芯材72に接合されて芯材72によって保持されることで、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を適切な相対位置に維持することができる。表側緩衝材73及び裏側緩衝材74の芯材72への接合は、溶着であってもよいし、接着材や粘着材等の接合材を用いてもよい。また、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を芯材72に接合することで、乳幼児サポート70としての一体性を付与することができる。芯材72は、布地によって構成され得る。或いは、乳幼児サポート70のクッション性や乳幼児サポート70の柔軟性を向上させるため、クッション性を有した材料、柔軟性を有した材料、弾性変形可能な材料によって芯材72を構成することができる。
補助シート部71の表側緩衝材73は、クッションシート60上に着座又は横臥する乳幼児を所望の姿勢に維持することを主目的として設置されている。表側緩衝材73によれば、例えば乳母車の走行時に乳幼児の姿勢を適切に維持することが可能となる。表側緩衝材73は、乳幼児との接触時に変形可能な材料、とりわけ弾性変形可能な材料によって構成され得る。このような材料を用いることでクッションシート60上での居住性を改善することができる。
補助シート部71の裏側緩衝材74は、クッションシート60を介して育児器具本体2から乳幼児に伝達される振動や衝撃を緩和することを主目的として設置されている。乳幼児に伝達される振動や衝撃を緩和することで、クッションシート60上での居住性を効果的に改善して、乳幼児が感じる乗り心地や居心地を向上させることができる。裏側緩衝材74は、弾性変形可能な材料によって構成され得る。弾性変形可能な材料からなる裏側緩衝材74によれば、振動や衝撃を効果的に吸収することができる。
上述のように、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74は、それぞれ、圧縮弾性変形可能な材料によって構成され得る。同様に、芯材72も圧縮弾性変形可能な材料によって構成され得る。例えば、圧縮方向における寸法が、好ましくは70%以下となるまで、より好ましくは50%以下となるまで、更に好ましくは30%以下となるまで、更に好ましくは20%以下となるまで、弾性圧縮変形可能である材料によって、芯材72、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を構成するようにしてもよい。より具体的には、ポリエチレンフォームやポリプロピレンフォーム等のポリオレフィンフォームやウレタン等の発泡体、その他の樹脂材料、ゴム、綿等を用いて、芯材72、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を構成することができる。合成樹脂を発泡成形してなる表側緩衝材73及び裏側緩衝材74によれば、成形時に表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を芯材72に溶着により接合することが可能となる。
表側緩衝材73及び裏側緩衝材74は、互いに同一の材料を用いて構成されてもよいし、互いに異なる材料を用いて構成されてもよい。表側緩衝材73及び裏側緩衝材74は、互いに同一の特性を有するようにしてもよいし、互いに異なる特性を有するようにしてもよい。ただし、振動吸収性および衝撃吸収性を主目的とする裏側緩衝材74が、姿勢保持を主目的とする表側緩衝材73よりも、低い反発弾性率を有する材料を用いて形成されていることが好ましい。
また、芯材72は、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74と同一の材料を用いて構成されてもよいし、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74と異なる材料を用いて構成されてもよい。芯材72は、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74と同一の特性を有するようにしてもよいし、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74と異なる特性を有するようにしてもよい。表側緩衝材73及び裏側緩衝材74の安定支持および乳幼児サポート70の取り扱い性を考慮すると、芯材72が、表側緩衝材73と同一の材料を用いて構成され、表側緩衝材73と同一の反発弾性率を有し、裏側緩衝材74よりも高い反発弾性率を有することが好ましい。
図10に示すように、補助シート部71は、芯材72及び表側緩衝材73を覆う第1の表面生地76Aと、芯材72及び裏側緩衝材74を覆う第2の表面生地76Bと、を有していることが好ましい。表面生地76A,76Bは、種々の生地によって構成され得る。ただし、表面生地76A,76Bは、芯材72、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を外部から保護し得る程度の強度を有していることが好ましい。また、表面生地76A,76Bは、芯材72、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74と接合されていてもよい。表面生地76A,76Bと、芯材72、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74との接合は、溶着であってもよいし、接着材や粘着材等の接合材を用いてもよい。合成樹脂を発泡成形してなる芯材72、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74によれば、成形時に芯材72、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を表面生地76A,76Bに溶着により接合することが可能となる。
図10に示すように、補助シート部71は、芯材72、表側緩衝材73、裏側緩衝材74および表面生地76A,76Bを積層してなる積層体の周縁に設けられた周縁布77を、更に有していてもよい。周縁布77は、第1表面生地76A、表側緩衝材73、芯材72、裏側緩衝材74及び第2表面生地76Bを含む積層体の縁部を覆っている。周縁布77を設けることで、互いに接合された第1表面生地76A、表側緩衝材73、芯材72、裏側緩衝材74及び第2表面生地76Bが互いから剥がれてしまうことを効果的に防止することができる。これにより、適切な状態で補助シート部71の一体性が維持されるようになり、補助シート部71が後述した作用効果を安定して発揮することが可能となる。
次に、図示された具体例に基づいて、乳幼児サポート70の具体的な構成を説明する。
図8及び図9に示すように、図示された乳幼児サポート70は、座部補助シート部80と、背部補助シート部85を有している。図11A及び図11Bに示すように、座部補助シート部80は、クッションシート60の座部61上に配置される。背部補助シート部85は、クッションシート60の背部62上に配置される。図10に示すように、座部補助シート部80及び背部補助シート部85の両方が、上述した補助シート部71によって構成され、芯材72、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を有している。ただし、図示された例とは異なり、座部補助シート部80及び背部補助シート部85の一方のみが、上述した補助シート部71によって構成され、この一方のみが芯材72、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を有するようにしてもよい。
図10によく示されているように、図例された乳幼児サポート70は、座部補助シート部80及び背部補助シート部85を連結する連結部90を更に含んでいる。連結部90は、幅方向に細長く延びている。連結部90は、座部補助シート部80の後縁80bと背部補助シート部85の下縁85bとに接続している。
座部補助シート部80の平面視における外形状は、補助シート部71の芯材72の平面視における外形状によって画成されている。図8および図9から理解され得るように、座部補助シート部80は、平面視において、概ね、台形形状と、楕円を長軸方向に沿って分断してなる半楕円形状とを、台形形状の幅広の下底と半楕円の長軸とが接続するようにして、組み合わせた平面形状となっている。このうち、半楕円の楕円弧の中央部分によって座部補助シート部80の前縁80aが形成され、台形形状の幅狭の上底によって座部補助シート部80の後縁80bが形成され、半楕円の楕円弧の端部部分および台形形状の側辺によって座部補助シート部80の側縁80cが形成されている。そして、座部補助シート部80は、後縁80bにおいて、連結部90と接続している。
座部補助シート部80は、補助シート部71によって構成され、裏側緩衝材74を含んでいる。図9及び図10に示すように、座部補助シート部80に含まれる裏側緩衝材74は、芯材72からクッションシート60に対面する側へ突出した座部裏側隆起部82を形成している。座部裏側隆起部82は、座部補助シート部80のうちの前縁80a及び後縁80bの間となる位置と後縁80bとの間に位置している。
とりわけ図示された例では、座部補助シート部80に、乳母車10の股ベルト56が通過する股ベルト通過孔83が設けられている。そして、座部裏側隆起部82は、座部補助シート部80のうち股ベルト通過孔83と後縁80bとの間となる領域に設けられている。股ベルト通過孔83は、股ベルト56の偏平形状に対応して細長い形状を有している。股ベルト通過孔83は、幅方向に細長く延びている。股ベルト通過孔83は、座部補助シート部80の前縁80a及び後縁80bの略中心に位置している。そして、座部裏側隆起部82の前縁は、股ベルト通過孔83に隣接して又は股ベルト通過孔83の近傍に位置している。座部裏側隆起部82の後縁は、座部補助シート部80の後縁に位置している。つまり、座部裏側隆起部82は、前後方向において、座部補助シート部80の中心から後縁までに領域に亘って位置している。
図9に示すように、座部裏側隆起部82は、一方の側縁80cから他方の側縁80cまで座部補助シート部80の幅方向に延びている。座部裏側隆起部82の芯材72からの突出高さT1(図10参照)は、座部裏側隆起部82の幅方向における中央部分において、一定となっている。すなわち、座部裏側隆起部82は、幅方向における中央部分に、高さが一定で幅方向に延びる頂縁82aを有している。頂縁82aの幅方向に沿った長さD1(図9参照)は、座部補助シート部80の後縁80bの幅方向に沿った長さの半分以上となっている。一方、座部裏側隆起部82の芯材72からの突出高さは、当該中央部分の両側縁80c側となる両端部分において、側縁80cに向けてしだいに低くなっている。図10に示すように、座部裏側隆起部82の幅方向における中央部分は、幅方向に直交する断面において、一辺が芯材72に沿って延びる三角形の芯材72から突出した角を面取りしてなる断面形状を有している。とりわけ図示された例では、座部裏側隆起部82のこの断面形状は、直角三角形形状の一つの角を面取りしてなる形状を有している。そして、図10に示すように、頂縁82aは、座部裏側隆起部82の前後方向における概ね後端に位置している。
また、座部補助シート部80は、補助シート部71によって構成され、表側緩衝材73を含んでいる。図8及び図10に示すように、座部補助シート部80に含まれる表側緩衝材73は、芯材72からクッションシート60に対面する側とは反対側、すなわち芯材72から乳幼児に対面する側へ突出した座部表側隆起部81を形成している。
図示された乳幼児サポート70の座部補助シート部80において、表側緩衝材73は、幅方向に離間して設けられた一対の座部表側隆起部81を有している。各座部表側隆起部81は、幅方向に延びる股ベルト通過孔83の幅方向端部の前方となる範囲および股ベルト通過孔83の幅方向における外方となる範囲を含むL字状の領域に設けられている。なお、幅方向における外方とは、幅方向における中心から幅方向に離間する側のことである。座部表側隆起部81は、股ベルト通過孔83の幅方向中央部の前方となる領域には設けられていない。
また、座部裏側隆起部82の後端は、座部補助シート部80の後端と股ベルト通過孔83との中間に位置している。図10に示すように、各表側隆起部81は、前後方向において座部裏側隆起部82が設けられている範囲よりも前方となる範囲内に、芯材72から最も突出した頂部81aを有している。図示された例において、各座部表側隆起部81の最も突出した頂部81aは、前後方向において股ベルト通過孔83よりも前方に位置している。さらに言い換えると、各座部表側隆起部81の最も突出した頂部81aは、座部補助シート部80の前縁80a及び後縁80bの中心と前縁80aとの間となる範囲内に位置している。また、座部表側隆起部81の頂部81aは、座部裏側隆起部82の頂縁82aよりも幅方向において外方となる位置に設けられている。
なお、股ベルト通過孔83の周囲に圧縮弾性変形可能な構成要素が存在する場合には、当該構成要素を圧縮した状態で隣接する他の構成要素に接合することが好ましい。この例によれば、股ベルト通過孔83の周囲において圧縮弾性変形可能な構成要素が隣接する他の構成要素から分離してしまうことや、圧縮弾性変形可能な構成要素が部分的に分断される又はちぎれてしまうことを、効果的に防止することができる。例えば、股ベルト通過孔83の周囲に、表側緩衝材73や裏側緩衝材74が存在する場合には、当該表側緩衝材73又は裏側緩衝材74が圧縮された状態で芯材72や表面生地76A,76Bと接合されていることが好ましい。また、芯材72が圧縮変形可能な材料を用いて構成されている場合には、股ベルト通過孔83の周囲において、芯材72が圧縮された状態で隣接する他の構成要素73、74、76A、76Bに接合されていることが好ましい。このような座部補助シート部80は、合成樹脂を発泡成形してなる構成要素を成形時に隣接する他の構成要素に溶着させることによって、作製され得る。
以上のように、図示された座部補助シート部80において、裏側緩衝材74は、少なくとも一部分において、芯材72上における表側緩衝材73が設けられている領域以外の領域に設けられている。すなわち、裏側緩衝材74が、シート状に広がる芯材72上において、表側緩衝材73から少なくとも部分的にずらして位置している。その一方で、裏側緩衝材74は、一部分において、芯材72上における表側緩衝材73が設けられている領域に設けられている。すなわち、裏側緩衝材74が、シート状に広がる芯材72上において、表側緩衝材73と部分的にのみ重なるようにして位置している。
次に、背部補助シート部85について説明する。図8および図9に示すように、背部補助シート部85の平面視における外形状は、概ね、矩形形状の一方の短辺を曲線状となるように面取りしてなる形状となっている。そして、曲線状に整形された短辺によって背部補助シート部85の上縁85aが形成されている。この上縁85aは、座部補助シート部80から後方または上方に離間して位置する。矩形形状の他方の短辺によって背部補助シート部85の下縁85bが形成されている。背部補助シート部85は、下縁85bにおいて、連結部90と接続している。
背部補助シート部85は、補助シート部71によって構成され、裏側緩衝材74を含んでいる。図9及び図10に示すように、背部補助シート部85に含まれる裏側緩衝材74は、芯材72からクッションシート60に対面する側へ突出した背部裏側隆起部87を形成している。図9に示すように、背部補助シート部85の背部裏側隆起部87は、芯材72のクッションシート60に対面する側となる面の全域に設けられている。図示された例において、背部裏側隆起部87を形成する裏側緩衝材74は、背部補助シート部85の周縁において、圧縮された状態で芯材72に溶着されている。このような背部裏側隆起部87は、合成樹脂を発泡成形してなる裏側緩衝材74を成形時に芯材72に溶着させることによって、作製され得る。そして、背部裏側隆起部87の圧縮された周縁を除くと、背部補助シート部85の裏側緩衝材74によって形成される背部裏側隆起部87の厚みは、上方領域よりも下方領域において厚くなっている。より具体的には、後述する孔88、89A、89B、89Cの存在を無視すれば、背部裏側隆起部87の厚みは上縁85aから下縁85bに向けてしだいに厚くなっている。
補助シート部71によって構成された背部補助シート部85は、表側緩衝材73を更に含んでいる。図8に示すように、背部補助シート部85の表側緩衝材73は、芯材72からクッションシート60に対面する側とは反対側、すなわち芯材72から乳幼児に対面する側へ突出した背部表側隆起部86を形成している。図示された乳幼児サポート70の背部補助シート部85において、表側緩衝材73は、幅方向に離間して設けられた一対の背部表側隆起部86を有している。図10に示すように、各背部表側隆起部86の下端(前端)は、背部裏側隆起部87の下端(前端)よりも上方(後方)に位置し、背部表側隆起部86の上端(後端)は、背部裏側隆起部87の上端(後端)よりも下方(前方)に位置している。
図示された例において、背部補助シート部85には、乳母車10の腰ベルト57が通過する一対の腰ベルト通過孔88が幅方向に離間して設けられている。一対の背部表側隆起部86は、一対の腰ベルト通過孔88の幅方向における外方に位置している。すなわち、各背部表側隆起部86は、幅方向における対応する側の腰ベルト通過孔88と背部補助シート部85の側縁との間に位置している。腰ベルト通過孔88は、腰ベルト57の偏平形状に対応して細長い形状を有している。腰ベルト通過孔88は、幅方向に直交する方向に細長く延びている。各背部表側隆起部86も、幅方向に直交する方向に長手方向を有している。背部表側隆起部86は、腰ベルト通過孔88の全長に亘って隣接し且つ背部補助シート部85の側縁にも隣接している。
一方、背部補助シート部85の裏側緩衝材74は、一対の腰ベルト通過孔88の間となる領域および各背部表側隆起部86と芯材72を介して重なる領域に背部裏側隆起部87を有している。一対の腰ベルト通過孔88の間となる領域に設けられた背部裏側隆起部87の芯材72からの突出高さ、及び、前記一対の背部表側隆起部86と対向する領域にそれぞれ設けられた一対の背部裏側隆起部87の芯材72からの突出高さは、互いに同一となっていることが好ましい。
背部補助シート部85には、乳母車10の肩ベルト58が通過する複数対の肩ベルト通過孔89Aが設けられている。また、背部補助シート部85には、通気のための通気孔89Bも設けられている。さらに、乳幼児サポート70上の乳幼児の頭部に対面する位置に、低反発弾性率を有した頭部保護部材(図示せず)を配置可能となっている。この頭部保護部材を取り付けるための手段、例えば取り付けベルトが通過する通過孔89Cが、背部補助シート部85に設けられている。
なお、背部補助シート部85に形成された孔88、89A、89B、89Cの周囲に圧縮弾性変形可能な構成要素が存在する場合には、当該構成要素を圧縮した状態で隣接する他の構成要素に接合することが好ましい。この例によれば、孔88、89A、89B、89Cの周囲において圧縮弾性変形可能な構成要素が隣接する他の構成要素から分離してしまうことや、圧縮弾性変形可能な構成要素が部分的に分断される又はちぎれてしまうことを、効果的に防止することができる。例えば、孔88、89A、89B、89Cの周囲に、表側緩衝材73や裏側緩衝材74が存在する場合には、当該表側緩衝材73又は裏側緩衝材74が圧縮された状態で芯材72や表面生地76A,76Bと接合されていることが好ましい。また、芯材72が圧縮変形可能な材料を用いて構成されている場合には、孔88、89A、89B、89Cの周囲において、芯材72が圧縮された状態で隣接する他の構成要素73、74、76A、76Bに接合されていることが好ましい。このような背部補助シート部85は、合成樹脂を発泡成形してなる構成要素を成形時に隣接する他の構成要素に溶着させることによって、作製され得る。
以上のように、図示された背部補助シート部85において、裏側緩衝材74は、少なくとも一部分において、芯材72上における表側緩衝材73が設けられている領域以外の領域に設けられている。すなわち、裏側緩衝材74が、シート状に広がる芯材72上において、表側緩衝材73から少なくとも部分的にずらして位置している。その一方で、裏側緩衝材74は、一部分において、芯材72上における表側緩衝材73が設けられている領域に設けられている。すなわち、裏側緩衝材74が、シート状に広がる芯材72上において、表側緩衝材73と部分的にのみ重なるようにして位置している。
上述したように、座部補助シート部80と背部補助シート部85との間には連結部90が設けられている。図10に示すように、図示された例において、連結部90は、芯材72と、芯材72のクッションシート60に対面する側に保持された裏側緩衝材74と、を有している。図10に示すように、座部補助シート部80、背部補助シート部85及び連結部90の間で、芯材72は一体的に成形されている。同様に、座部補助シート部80、背部補助シート部85及び連結部90の間で、裏側緩衝材74も一体的に成形されている。連結部90の厚みは、座部補助シート部80及び背部補助シート部85の隣接する部分の厚みと比較して薄くなっている。また、連結部90は、乳幼児に対面する側に溝部90aを有している。図示された連結部90には、複数の溝部90aが形成されている。溝部90aは、芯材72、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74の発泡成形時に、芯材72を圧縮成形することで作製され得る。
ところで、図8及び図9に示すように、図示された乳幼児サポート70は、乳幼児サポート70をクッションシート60又は乳母車本体11に固定するための固定部材75を、更に有している。固定部材75は、補助シート部71の側縁から側方に延び出している。図示された例において、固定部材75は、補助シート部71から離間した先端を折り返すようにして固定されたベルト状部材によって構成されている。この固定部材75は、補助シート部71から延び出したベルト状本体部75aと、ベルト状本体部75aから分岐して延び出した分岐部75bと、を有している。分岐部75bは、ベルト状本体部75aの補助シート部71への接続部となる基端部の側に向けてベルト状本体部75aからしだいに離間するようにして、ベルト状本体部75aの先端近傍から延び出している。図12に示すように、クッションシート60に設けられた固定部材通過孔69に固定部材75を挿入することで、固定部材75を介して乳幼児サポート70をクッションシート60に固定することができる。図示された例において、固定部材通過孔69は、クッションシート60の第1側部64および背部62に設けられている。
図示された例において、座部補助シート部80の両側縁80cからそれぞれ一つの固定部材75が延び出し、背部補助シート部85の両側縁からそれぞれ一つの固定部材75が延び出している。図9に示すように、固定部材75は、前後方向において座部裏側隆起部82が設けられている範囲内で、座部補助シート部80に接続している。また、図8に示すように、固定部材75は、上下方向(前後方向)において背部表側隆起部86が設けられている範囲内で、背部補助シート部85に接続している。
次に、以上の構成を有する図示された乳幼児サポート70の使用時における作用について説明する。
最初に乳幼児サポート70の育児器具1への取り付けについて説明する。まず、乳幼児サポート70をクッションシート60上に載置する。このとき、乳幼児サポート70の座部補助シート部80をクッションシート60の座部61上に配置し、背部補助シート部85を背部62上に配置する。また、乳幼児用ベルト55の股ベルト56が乳幼児サポート70の股ベルト通過孔83を通過するようにし、腰ベルト57が腰ベルト通過孔88を通過するようにし、肩ベルト58がいずれかの肩ベルト通過孔89Aを通過するようにする。さらに、乳幼児サポート70の固定部材75をクッションシート60の固定部材通過孔69に挿入する。クッションシート60の座部61に隣接する第1側部64に形成された一対の固定部材通過孔69のそれぞれに固定部材75を挿入し、背部62に形成された一対の固定部材通過孔69のそれぞれに残りの固定部材75を挿入する。クッションシート60の固定部材通過孔69を通過した固定部材75の分岐部75bを、クッションシート60の裏面、図示された例では乳母車本体11に対面する側の面に引っ掛けることで、固定部材75を介して乳幼児サポート70をクッションシート60上に固定することができる。
なお、分岐部75bをベルト状本体部75a上の押し倒すことで、固定部材75を固定部材通過孔69から引き抜くことができる。このように固定部材75を操作することで、固定部材75を介した乳幼児サポート70のクッションシート60上への装着を解除することができる。
次に、図11A及び図11Bに示すように、乳幼児サポート70上に乳幼児を載せる。図11A及び図11Bでの図示は省略するが、乳幼児用ベルト55により乳幼児を乳幼児サポート70上に固定する。なお、図11Aに示された状態において、シート支持ユニット50の背部支持体52は、座部支持体51に対して後方に倒れている。図11Aに示された状態において、シート支持ユニット50、クッションシート60及び乳幼児サポート70は、寝台として機能し、乳幼児は乳幼児サポート70上で横臥することができる。一方、図11Bに示された状態において、シート支持ユニット50の背部支持体52は、座部支持体51に対して立ち上がっている。図11Bに示された状態において、シート支持ユニット50、クッションシート60及び乳幼児サポート70は、座席として機能し、乳幼児は乳幼児サポート70上に着座することができる。
図示された乳幼児サポート70は、座部補助シート部80及び背部補助シート部85と、座部補助シート部80及び背部補助シート部85を連結する連結部90と、を有している。連結部90は、幅方向に延びる溝部90aを有している。また、連結部90の厚みは、座部補助シート部80及び背部補助シート部85の隣接する部分の厚みと比較して薄くなっている。したがって、シート支持ユニット50の背部支持体52が座部支持体51に対して揺動する際、乳幼児サポート70は、連結部90において屈曲しやすくなっている。これにより、乳幼児サポート70の座部補助シート部80をクッションシート60の座部61上に安定して維持することができ、且つ、背部補助シート部85を背部62上に安定して維持することができる。結果として、後述する、乳幼児の姿勢維持と振動および衝撃の吸収とを安定して実現することができる。
次に、乳幼児サポート70の乳幼児に対する作用について説明する。
上述したように、乳幼児サポート70は補助シート部71を有し、補助シート部71は、芯材72の互いに異なる側に支持された表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を含んでいる。このうち、表側緩衝材73は、主として、乳幼児サポート70上に載せられた乳幼児を適切な姿勢に維持することに役立つ。
図示された乳幼児サポート70は、座部補助シート部80及び背部補助シート部85のそれぞれに表側緩衝材73を有している。座部補助シート部80に設けられた表側緩衝材73は、幅方向に離間した一対の座部表側隆起部81を形成している。幅方向に離間して設けられた一対の座部表側隆起部81は、図11Aに示された横臥状態において乳幼児サポート70上の乳幼児を上方に向いた姿勢に維持し、図11Bに示された着座状態において乳幼児を前方に向いた姿勢に維持することができる。また、一対の座部表側隆起部81は、座部補助シート部80の前方に設けられており、図11Aに示された横臥状態および図11Bに示された着座状態のいずれの状態においても、乳幼児の臀部が座部補助シート部80の前縁80aの側へずれることを効果的に抑制することができる。
背部補助シート部85に設けられた表側緩衝材73も、幅方向に離間した一対の背部表側隆起部86を形成している。幅方向に離間して設けられた一対の背部表側隆起部86は、図11Aに示された横臥状態において上方を向く姿勢に乳幼児を維持し、図11Bに示された着座状態において前方を向く姿勢に乳幼児を維持することができる。とりわけ、一対の背部表側隆起部86は、背部補助シート部85の下方(前方)に設けられている。したがって、一対の背部表側隆起部86によって、乳幼児の腰部を幅方向における両側から安定して保持することが可能となる。これにより、居住性を害することなく、乳幼児を安定して適切な姿勢に維持することができる。
ところで、育児器具1には乳幼児に伝達される振動や衝撃を緩和することが求められている。とりわけ低月齢の乳幼児に対しては、振動や衝撃をより効果的に低減させることが期待されている。しかしながら、従来、低月齢の乳幼児を育児器具のクッションシートに載せる際に乳幼児サポートが用いられていたものの、従来の乳幼児サポートは姿勢を適切に維持することに役立つが、振動や衝撃の吸収には有効に機能していなかった。この点について、本実施の形態による乳幼児サポート70では、補助シート部71が、表側緩衝材73に加えて、裏側緩衝材74を有している。上述したように、表側緩衝材73はクッションシート60上において乳幼児を適切な姿勢に維持することに役立つ。一方、乳幼児サポート70の裏側緩衝材74は、以下に説明するように、育児器具本体2から伝達される振動や衝撃の吸収に役立つ。
裏側緩衝材74は、乳幼児とは反対側に芯材72から膨出した裏側隆起部82、87を形成する。上述したように、表側緩衝材73は、乳幼児の体重を受ける領域から外れた領域、例えば乳幼児の臀部、腰部、背部等に対面する領域以外の領域に設けられていた。その一方で、芯材72から表側緩衝材73とは反対側に突出する裏側緩衝材74を、乳幼児の体重を受ける領域に配置することが可能となる。また、表側緩衝材73の厚みとは独立して裏側緩衝材74の厚みを調節することができるので、より大きな体重を受ける領域において、裏側緩衝材74の厚みを厚くすることができる。乳幼児のより大きな体重を受けている領域を経由して、育児器具1から乳幼児により大きな振動や衝撃が伝達されるようになる。厚みを適宜調節され得る裏側緩衝材74の優れた振動吸収性や優れた衝撃吸収性によって、乳幼児に伝達される振動や衝撃を効果的に低減することができ、これにより、乗り心地や居心地等の居住性を効果的に改善することができる。
とりわけ、乳幼児サポート70の補助シート部71は、表側緩衝材73との組合せにより裏側緩衝材74を有している。この乳幼児サポート70によれば、表側緩衝材73によって乳幼児サポート70上における乳幼児の位置や向き等の姿勢を適切に維持することができる。そして、乳幼児サポート70上において乳幼児が適切な姿勢に維持されるので、裏側緩衝材74による振動吸収機能や衝撃吸収機能性がより有効に期待されたように発揮され得る。
図8~図10に示すように、図示された乳幼児サポート70では、裏側緩衝材74は、一部分において、芯材72上における表側緩衝材73が設けられている領域に設けられている。その一方で、裏側緩衝材74は、少なくとも一部分において、芯材72上における表側緩衝材73が設けられている領域以外の領域にも設けられている。この具体例によれば、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74のそれぞれを適切に配置することができる。これにより、乳幼児を適切な姿勢により安定して保持することができ、且つ、乳幼児に伝達される振動や衝撃をより効果的に低減することができる。
また、図8~図10に示すように、乳幼児サポート70は、クッションシート60の座部61上に配置される座部補助シート部80と、クッションシート60の背部62上に配置される背部補助シート部85と、を有している。そして、座部補助シート部80及び背部補助シート部85の両方が、補助シート部71によって構成され、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を有している。この具体例によれば、乳幼児サポート70の補助シート部71が乳幼児の臀部および背部の両方に対面して配置されるようになる。臀部および背部は、振動時や衝撃時に大きな荷重が加えられやすくなる。したがって、乳幼児サポート70によって乳幼児の姿勢を安定して保持すること及び乳幼児へ伝達される振動や衝撃を効果的に低減することができる。
さらに、図9及び図10に示すように、補助シート部71からなる座部補助シート部80の裏側緩衝材74は、座部補助シート部80の前縁80a及び後縁80bの間となる位置と後縁80bとの間に座部裏側隆起部82を形成している。座部裏側隆起部82は、座部補助シート部80のうちの股ベルト通過孔83と後縁80bとの間となる領域に設けられている。この具体例によれば、座部補助シート部80の座部裏側隆起部82は、振動時や衝撃時に大きな荷重が加えられる領域、より具体的には乳幼児の臀部に対面する領域に配置されている。したがって、座部補助シート部80の座部裏側隆起部82によって、乳幼児に伝達される振動や衝撃をより効果的に低減することができる。
また、図9に示すように、座部裏側隆起部82は幅方向に延びている。したがって、この座部裏側隆起部82によれば、幅方向に広がる広範囲に亘って、臀部への振動や衝撃を効果的に吸収することができる。加えて、座部裏側隆起部82の芯材72からの突出高さは、幅方向における中央部分において一定の高さを有し、中央部分の幅方向における両外方に位置する両端部分において幅方向端部に向けてしだいに低くなっていく。座部裏側隆起部82は、幅方向における中央部分に高さが一定で幅方向に延びる頂縁82aを有している。頂縁82aの幅方向に沿った長さD1は、座部補助シート部80の後縁80bの幅方向に沿った長さの半分以上となっている。これらの構成は、幅方向に広がるより広範囲に亘って、臀部への振動や衝撃を効果的に吸収することを可能とする。
さらに図10に示すように、座部裏側隆起部82の頂縁82aは、座部補助シート部80の前後方向における略後端に位置している。座部裏側隆起部82の幅方向に直交する断面での断面形状は、一辺が芯材72に沿って延びる三角形形状、より好ましくは直角三角形形状であって、芯材72から突出した当該三角形形状の角を面取りしてなる形状を有している。このような座部裏側隆起部82によれば、座部補助シート部80が、振動時や衝撃時に大きな荷重が加えられるようになる乳幼児の臀部への振動や衝撃をより効果的に低減することができる。
なお、図11A及び図11Bに示すように、育児器具本体2の側面視において、シート支持ユニット50の座部支持体51は前方において上方に向かうように水平方向に対して傾斜している。このようなシート支持ユニット50は、乳幼児サポート70を必要としない月齢の進んだ幼児等に優れた乗り心地や座り心地を提供することができる。一方、後方における突出高さが高くなる座部裏側隆起部82を有した座部補助シート部80をこのシート支持ユニット50に適用することで、乳幼児サポート70の適用が好ましいとされる低月齢の乳幼児に対して、水平方向に対する傾斜角度の小さい座面を提供することができ、低月齢の乳幼児に対する居住性を効果的に向上させることができる。
また、図9に示すように、乳幼児サポート70は、座部補助シート部80から延び出した固定部材75を有している。この固定部材75は、前後方向において座部裏側隆起部82が設けられている範囲内で座部補助シート部80に接続している。この固定部材75によれば、座部裏側隆起部82の近傍で座部補助シート部80をクッションシート60に対して位置決めすることができる。したがって、座部裏側隆起部82を乳幼児に対して安定して適切な相対位置に維持することができ、これにより、座部裏側隆起部82が予定された振動吸収機能および衝撃吸収機能を安定して発揮することができる。
次に、図9に示すように、補助シート部71からなる背部補助シート部85の裏側緩衝材74は、芯材72からクッションシート60の側へ突出した背部裏側隆起部87を形成している。裏側緩衝材74は、芯材72のクッションシート60側となる面の全域に設けられている。このような背部補助シート部85によれば、乳幼児の月齢に依存することなく、乳幼児の腰部や背部への振動や衝撃を効果的に吸収することができる。
図10に示すように、裏側緩衝材74によって構成された背部裏側隆起部87の厚みは、上方領域よりも下方領域において厚くなっている。また、背部裏側隆起部87の厚みは、圧縮した状態で芯材72に接合された周縁部および孔88、89A、89B、89Cの周囲を除き、背部補助シート部85の上縁85aから下縁85bに向けてしだいに厚くなっていく。このような背部裏側隆起部87は、乳幼児へ伝達される振動や衝撃がより大きくなる部分において、より厚い厚みを有している。すなわち、背部裏側隆起部87は、乳幼児へ伝達される振動や衝撃がより大きくなる部分において、より優れた振動吸収機能および衝撃吸収機能を発揮することができる。同時に、背部裏側隆起部87の厚みが必要以上に厚くなることを効果的に防止することができる。これにより、材料費を節約することができる。さらに、乳幼児サポート70の厚みが厚くなり過ぎることを回避して、乳幼児サポート70上で乳幼児が不安定となることを効果的に防止することができる。
なお、図10に示すように、座部裏側隆起部82の芯材72からの突出高さT1は、背部裏側隆起部87の芯材72からの突出高さT2よりも大きくなっている。一般に、乳幼児の臀部に伝達される振動や衝撃は、腰部や背部に伝達される振動や衝撃よりも大きくなる傾向がある。座部裏側隆起部82の厚み及び背部裏側隆起部87の厚みは、このような傾向に対応したものであって、より大きな振動や衝撃が発生し得る領域において、裏側緩衝材74の厚みが厚くなっている。したがって、乳幼児サポート70における座部裏側隆起部82及び背部裏側隆起部87の突出高さを大きくし過ぎることなく、振動吸収機能および衝撃吸収機能を十分に発揮することができる。
また図8に示すように、図示された乳幼児サポート70では、各座部表側隆起部81は、前後方向において座部裏側隆起部82が設けられている範囲よりも前方となる範囲内に、芯材72から最も突出(離間)した頂部81aを有している。各座部表側隆起部81は、座部補助シート部80の後縁80bから前方に離間して設けられている。とりわけ、座部表側隆起部81の頂部81aは、股ベルト通過孔83よりも前方に位置している。また、座部表側隆起部81の頂部81aは、座部補助シート部80の前縁80a及び後縁80bの中心と前縁80aとの間となる領域内に位置している。これらの構成の少なくともいずれかを有した座部表側隆起部81によれば、乳幼児の臀部に前方から接触することで、乳幼児が座部補助シート部80の前縁80aの側へずれることをより安定して抑制することが可能となる。この結果、乳幼児の臀部を座部裏側隆起部82上に安定して配置することが可能となり、座部裏側隆起部82による臀部への振動緩和および衝撃緩和を効果的に実現することができる。
また、各座部表側隆起部81は、座部裏側隆起部82の頂縁82aよりも幅方向において外方となる範囲内に、芯材72から最も突出(離間)した頂部81aを有している。すなわち、幅方向において、一対の座部表側隆起部81の頂部81aの内側において、座部裏側隆起部82の頂縁82aが幅方向に延びている。このような一対の座部表側隆起部81は、主として乳幼児の脚部に接触しながら、乳幼児の姿勢を維持することができる。これにより、居住性を害することなく、乳幼児を適切な姿勢に維持することができる。
さらに図8に示すように、図示された乳幼児サポート70では、背部補助シート部85の表側緩衝材73によって形成された一対の背部表側隆起部86は、一対の腰ベルト通過孔88の幅方向における外方にそれぞれ設けられている。すなわち、一対の背部表側隆起部86の幅方向内側に一対の腰ベルト通過孔88が設けられている。このような一対の背部表側隆起部86によれば、乳幼児の腰部に接触することで、乳幼児を安定して適切な姿勢に維持することができる。
図9に示すように、このような一対の背部表側隆起部86に対し、背部補助シート部85の裏側緩衝材74によって形成された背部裏側隆起部87は、一対の腰ベルト通過孔88の間となる領域および各背部表側隆起部86と芯材72を介して重なる領域の両方に位置している。したがって、一対の背部表側隆起部86は乳幼児の側へ向けて十分に突出して乳幼児の腰部に接触することができる。すなわち、背部裏側隆起部87の存在によって、乳幼児サポート70の表面における背部表側隆起部86の凹凸が消失されることを効果的に回避することができる。言い換えると、一対の背部表側隆起部86の機能が害されることを効果的に回避することができる。
とりわけ図示された例では、一対の腰ベルト通過孔88の間となる領域に設けられた背部裏側隆起部87の芯材72からの突出高さ、及び、一対の背部表側隆起部86と対向する領域にそれぞれ設けられた一対の背部裏側隆起部87の突出高さは、互いに同一となっている。したがって、背部裏側隆起部87によって、背部表側隆起部86の乳幼児側への突出高さが低くなり過ぎてしまうことや高くなりすぎてしまうことを効果的に防止することができる。すなわち、背部裏側隆起部87の存在によって一対の背部表側隆起部86の機能を害されることを極めて効果的に回避することができる。
また、図8に示すように、乳幼児サポート70は、背部補助シート部85から延び出した固定部材75を有している。この固定部材75は、上下方向において背部表側隆起部86が設けられている範囲内で背部補助シート部85に接続している。この固定部材75によれば、背部表側隆起部86の近傍で背部補助シート部85をクッションシート60に対して位置決めすることができる。したがって、背部表側隆起部86を乳幼児に対して安定して適切な相対位置に維持することができ、これにより、背部表側隆起部86が予定された姿勢維持機能を安定して発揮することができる。
以上に説明してきた一実施の形態において、乳幼児サポート70は、育児器具1のクッションシート上に設けられる補助シート部71を有している。補助シート部71は、表側緩衝材73と、表側緩衝材73のクッションシート60側に保持された裏側緩衝材74と、を有している。また、以上に説明してきた一実施の形態において、育児器具1は、シート支持ユニット50を有する育児器具本体2と、シート支持ユニット50上に保持されたクッションシート60と、クッションシート60上に設けられる乳幼児サポート70と、を有している。この一実施の形態によれば、表側緩衝材73によって、乳幼児の側に突出する表側隆起部81、86を形成することができる。表側隆起部81、86によって、補助シート部71の表面に凹凸を形成することができる。表側隆起部81、86によって形成された補助シート部71の表面凹凸によって、育児器具1に載せられた乳幼児の姿勢を安定して保持することができる。一方、裏側緩衝材74よって、乳幼児とは反対側に裏側隆起部82、87を形成することができる。このとき、振動時や衝撃時の荷重が大きくなる領域に裏側隆起部82、87を設け、さらに裏側隆起部82、87の厚み調節することができる。さらには、振動時や衝撃時の荷重が大きくなる領域で、裏側隆起部82、87の厚みを大きくし、振動時や衝撃時の荷重が小さくなる領域で、裏側隆起部82、87の厚みを薄くする又は裏側隆起部82、87を設けないようにしてもよい。これにより、補助シート部71に優れた振動吸収性や衝撃吸収性を付与することができる。すなわち、表側緩衝材73および裏側緩衝材74を含む乳幼児サポート70によれば、乳幼児を所望の姿勢に安定して保持しながら、優れた振動吸収性や優れた衝撃吸収性を発揮することができる。そして、優れた振動吸収性や優れた衝撃吸収性によって、乳幼児に伝達される振動や衝撃を効果的に低減することができ、これにより、乗り心地や居心地等の居住性を効果的に改善することができる。
図示された一実施の形態の具体例において、表側緩衝材73をクッションシート60とは反対側に保持し且つ裏側緩衝材74をクッションシート60側に保持する芯材72を更に有している。このような具体例によれば、表側緩衝材73及び裏側緩衝材74を所定の位置に維持することができる。これにより、表側緩衝材73によって所望の姿勢に維持された乳幼児に対し、優れた振動吸収性や優れた衝撃吸収性をより効果的に発揮することができる。
図示された具体例を参照して一実施の形態を説明してきたが、図示された具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
上述した具体例において、乳幼児サポート70が座部補助シート部80及び背部補助シート部85を有し、座部補助シート部80及び背部補助シート部85の両方が補助シート部71によって構成されている例を示した。しかしながら、この例に限られず、座部補助シート部80及び背部補助シート部85の一方のみが補助シート部71によって構成され、当該一方のみが表側緩衝材73及び裏側緩衝材74の両方を含み、他方が表側緩衝材73及び裏側緩衝材74の少なくとも一方を含まないようにしてもよい。
また、上述した具体例において、乳幼児サポート70は、座部補助シート部80と背部補助シート部85とを連結する連結部90を有する例を示したが、この例に限られず、連結部90を省略することができる。例えば、乳幼児サポート70は、連結部90を介することなく、座部補助シート部80及び背部補助シート部85が直接互いに接続していてもよい。また、上述した具体例において、連結部90は、芯材72及び裏側緩衝材74を有する例を示したが、これに限られず、裏側緩衝材74を有さず芯材72のみを有するようにしてもよい。
さらに、上述した具体例において、乳幼児サポート70が互いに接続された座部補助シート部80及び背部補助シート部85を有する例を示したが、この例に限られない。乳幼児サポート70の座部補助シート部80及び背部補助シート部85が、分離されていてもよいし、分離可能であってもよい。また、乳幼児サポート70が、座部補助シート部80及び背部補助シート部85のいずれか一方しか有さないようにしてもよい。