JP2013142210A - 弾性織編布帛及び自動車用座席 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊度300dtex以上3000dtex以下の弾性糸条を使用して織編成され、向き合う把持フレームと把持フレームの間に張設して使用される弾性布帛の熱老化後の摩擦堅牢度の低下を抑制した弾性織編布帛を提供する。
【解決手段】顔料の配合された高融点着色ポリエーテルエステルポリマーを芯成分とし、顔料の配合率が芯成分の顔料の配合率よりも少なく、融点が芯成分の融点よりも低い熱融着性ポリマーを鞘成分とし、糸条の断面積に占める鞘成分の面積比率が20%未満であり、鞘成分の被膜厚みが5μm以上である単繊維繊度300dtex以上3000dtex以下のポリエーテルエステルポリマー系原着芯鞘複合弾性糸条を使用して弾性布帛12を織編成し、その原着芯鞘複合弾性糸条を織編組織点において交絡する糸条に、その鞘成分の熱融着性ポリマーを介して熱融着させた弾性織編布帛。及び前記布帛を使用した自動車用座席13。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊度300dtex以上3000dtex以下のポリエーテルエステル系モノフィラメント弾性糸条を使用して織成された弾性織編布帛12と、この弾性織編布帛12を向き合う把持フレーム11と把持フレーム11の間に張設して構成された座席13に関するものである(図1)。
弾性織編布帛の弾性糸条には、繊度が300dtex〜3000dtexであり、芯成分のポリマーの融点が鞘成分のポリマーの融点よりも30℃以上高い芯鞘構造のポリエーテルエステル系モノフィラメントが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
モノフィラメントの耐候堅牢度を高めるために紡糸するモノフィラメントのポリマーに顔料を配合することは公知である。
弾性織編布帛の織編規格を、経糸または緯糸の何れか一方に破断伸度が60(%)以上で15%伸長後の弾性回復率が90%以上で弾性糸条を適用することとし、その弾性糸条が連続している方向における布帛の10%伸長時の応力(F)(単位:N/5cm)を150(N/5cm)以上で600(N/5cm)以下とし、その弾性糸条が弾性布帛の幅の一部または全幅若しくは長さの一部または全長にわたって長くなって延在する延在方向における10%伸長時までの荷重伸度曲線図に示されるヒステリシスの加圧曲線(f0 )によって表される荷重伸度関係式(f0 (ρ))の積分値(V)と、そのヒステリシスの減圧曲線(f1 )によって表される荷重伸度関係式(f1 (ρ))の積分値(W)との差として表されるヒステリシスロス(C=V−W)の前記加圧曲線(f0 )によって表される荷重伸度関係式f0 (ρ)の積分値(V)に占めるヒステリシスロス率ΔEを20%以上で45%以下に設定することは公知である(例えば、特許文献2参照)。
座席にはクッション性と共に通気性が要求され、JIS−L−1096(6.27.1.A法)に規定される通気度が20cm3 /cm2 ・sec以上の織編布帛が座席に使用される(例えば、特許文献3、4参照)。
高融点着色ポリエーテルエステルポリマーを芯成分とし、低融点熱融着性ポリエーテルエステルポリマーを鞘成分とする繊度500〜3000dtexのポリエーテルエステル系原着芯鞘複合弾性糸条を用いた弾性織編布帛は、それが目粗に織編成されていてもクッション性に優れ、又、その目粗であるが故に通気性にも優れ、座席に好適なことから、形状安定性を確保するために熱処理を施し、織編組織点において鞘成分の低融点熱融着性ポリエーテルエステルポリマーを介して糸条間を熱融着固定して使用される。
特許第4560691号公報(特開2001−159052) 特許第3928178号公報 特許第4725832号公報(特開2005−220464) 特許第3114920号公報
炎天下の駐車場に放置された自動車内は高熱下に曝されており、顔料を配合して紡糸されたポリエーテルエステル系原着芯鞘複合弾性糸条を自動車の座席に適用するときは、その芯成分が低融点熱融着性ポリエーテルエステルポリマーが高熱下に曝されて粘性を帯び、衣類等によって座面が擦られるときは、その低融点熱融着性ポリエーテルエステルポリマーに配合されている顔料によって衣類等が汚染されることが懸念された。
そこで本発明は、高熱下においても摩擦堅牢度に優れ、自動車用座席に適した弾性織編布帛と、この弾性織編布帛を用いた自動車用座席を得ることを目的とする。
本発明に係る弾性織編布帛は、顔料の配合された高融点着色ポリエーテルエステルポリマーを芯成分とし、顔料の配合率が芯成分の顔料の配合率よりも少なく、融点が芯成分の融点よりも低い熱融着性ポリマーを鞘成分とし、糸条の断面積に占める鞘成分の面積比率が20%未満であり、鞘成分の被膜厚みが5μm以上である単繊維繊度300dtex以上3000dtex以下のポリエーテルエステルポリマー系原着芯鞘複合弾性糸条を使用して織編成されており、その原着芯鞘複合弾性糸条が、織編組織点において交絡する糸条に、その鞘成分の熱融着性ポリマーを介して熱融着していることを第1の特徴とする。
本発明に係る弾性織編布帛の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、鞘成分の熱融着性ポリマーが顔料無配合の低融点無着色ポリエーテルエステルポリマーである点にある。
本発明に係る弾性織編布帛の第3の特徴は、上記第1、第2何れかの特徴に加えて、JIS−L−1096(6.27.1.A法)に規定される通気度が20cm3 /cm2 ・sec以上である点にある。
本発明に係る自動車用座席は、上記第1、第2、第3の何れかの特徴を有する弾性織編布帛を、向き合う把持フレームと把持フレームの間に張設して成り、ポリエーテルエステルポリマー系原着芯鞘複合弾性糸条が座面に露出していることを特徴とする。
本発明によると、弾性織編布帛を構成しているポリエーテルエステルポリマー系原着芯鞘複合弾性糸条の顔料の配合されている原着部分は主には芯成分であり、その芯成分を被覆している鞘成分には顔料無配合か配合されていても芯成分に比して配合率が少ないので、高熱下に曝されて鞘成分の低融点熱融着性ポリマーが粘性を帯びることがあっても、顔料によって衣類等が汚染されることはあり難く、摩擦堅牢度に優れ、又、織編組織点において交絡する糸条間が鞘成分の低融点熱融着性ポリマーを介して熱融着して形状安定性にも優れ、それ故に、ポリエーテルエステルポリマー系原着芯鞘複合弾性糸条が表面に露出する程度に織編密度を粗くし、JIS−L−1096(6.27.1.A法)に規定される通気度が20cm3 /cm2 ・sec以上で自動車用座席に適した弾性織編布帛を得ることが出来る。
本発明に係る弾性織編布帛では、それを自動車用座席以外の内装材や事務用椅子や家庭用椅子、座椅子等に使用する場合には、それを構成しているポリエーテルエステルポリマー系原着芯鞘複合弾性糸条の顔料の配合されている原着部分が主には芯成分であり、その芯成分を被覆している鞘成分は、顔料無配合か配合されていても芯成分に比して配合率が少ない未原着ポリマーであって染料が染着し易く、その鞘成分を染料によって染色し、好みの色調に仕上げることも出来る。
座席の斜視図である。
本発明において、弾性糸条が融着する織編組織点とは、弾性布帛が織物の場合は、隣り合う複数本の経糸と複数本の緯糸が交叉する織目を意味し、弾性布帛が編物の場合は、編糸が形成するシンカーループとニードルループが絡み合った編目(ニットループ)を意味する。
冒頭に記載の特許文献2に記載されている通り、本発明の弾性布帛は、(1) 織組織の接結点の連続する方向がジグザグ又は放射状を成す山形斜紋、網代斜紋、杉綾斜紋、千鳥斜紋等の変化斜紋織組織、又は、組織率が0.5以下となる斜子織(並子、七子、魚子、経緯斜子)、不規則斜子織(変則斜子、飾斜子)、接結斜子織等の変化平織組織によって織成された織物であっても良く、(2) 非弾性糸条によって編成されたベース編地の少なくとも一部のコースにおける少なくとも一部の複数ウェール間にわたって弾性糸条がコース方向に一直線に編み込まれており、その緯編地のウェール方向における10%伸長時の応力が25(N/5cm)以上となる非弾性糸条と弾性糸条によって編成された緯編地であっても良く、(3) 表糸に成る表布と裏糸に成る裏布が一体的に織成または編成されており、その少なくとも一部の裏糸が弾性糸条で構成されている二重織編布帛であっても良く、(4) それらの表布と裏布の間が連結糸によって隔てられた層厚0.3m/m以上の空隙層となっている二重織編布帛であっても良く、(5) 花糸片が芯糸に係止されてパイル状に周側面に突き出ているモール糸、繊維破片を芯糸に静電植毛したフロッキー加工糸、天然皮革、合成皮革、人工皮革、又は、不織布をテープ状に裁断し、その裁断口から単糸繊度が30dtex以下の繊維が浮き出ているテープ糸条、糸条の周側面が起毛されて起毛毛羽が浮き出ている起毛糸、添糸が芯糸にリング状に絡み付いて周側面に浮き出た凹凸を形成しているリング糸、添糸が芯糸に紡績スライバー状に絡み付いて周側面に浮き出た凹凸を形成しているスラブ糸、添糸が芯糸に毛玉状に絡み付いて周側面に浮き出た凹凸を形成しているネップ糸、マルチフィラメント糸が高いオーバーフィード率をもって混繊され、そのオーバーフィード率が加撚後に残存し、その残存オーバーフィード率に応じて弛み出たフィラメント繊維が周側面に凹凸を形成しているインターレース糸等の防滑性糸条が織編込まれている防滑性織編布帛であっても良い。
そのように、本発明に係る弾性布帛の織編組織は特に限定されることはなく、又、弾性糸条と非弾性糸条に成るものであっても良い。
本発明に係るポリエーテルエステルポリマー系芯鞘複合弾性糸条の芯成分における顔料の配合率は、鞘成分における顔料の配合率より多ければ良いが、0.05重量%以上0.50重量%以下であることが好ましい。これは、芯成分における顔料の配合率が0.05重量%以上でなくては、前記芯鞘複合弾性糸条の芯成分が着色され難く、又、芯成分における顔料の配合率が0.50重量%を越えると、自動車用座席に適用する布帛に必要な糸強度が得られ難くなるためである。尚、芯成分における顔料の配合率が0.10重量%以上0.30重量%以下となれば更に好ましい。
一方、前記芯鞘複合弾性糸条の鞘成分において、仮に顔料が配合される場合には、鞘成分の顔料の配合率が0.03重量%以上0.08重量%以下が好ましい。又、前記芯鞘複合弾性糸条の鞘成分は、顔料が無配合であっても良い。
(実施例)
緯糸挿入装置と第1筬(L1 )と第2筬(L2 )と第3筬(L3 )の3枚筬を有する24(ゲージ/25.4mm)のシングルラッシェル経編機の第1筬(L1 )に総繊度330dtexのポリエステル・マルチフィラメント糸を通し、第2筬(L2 )と第3筬(L3 )の各筬に総繊度660dtexのポリエステル・マルチフィラメント糸を挿通し、第1筬(L1 )を1−0/0−1/1−0/0−1/1−0/0−1/………と続く第1編組織に従って操作し、第2筬(L2 )を1−0/2−3/4−5/3−2/4−5/3−2/4−5/3−2/1−0/2−3/1−0/2−3/………と続く第2編組織に従って操作し、第3筬(L3 )は、4−5/3−2/1−0/2−3/1−0/2−3/1−0/2−3/4−5/3−2/4−5/3−2/………と続く第3編組織に従って操作してウェール密度24(ウェール/25.4mm)・コース密度22(コース/25.4mm)のベース経編地を編成する過程において、粒径1μmのカーボンブラック(黒色顔料)を0.17重量%配合された融点220℃の高融点着色ポリエーテルエステルポリマーを芯成分とし、顔料無配合で融点180℃の低融点無着色ポリエーテルエステルポリマーを鞘成分とし、糸条の断面積に占める鞘成分の面積比率が18%であり、鞘成分の被膜厚みが8μmであり、単繊維繊度2500dtex(繊維径170μm)のポリエーテルエステルポリマー系原着芯鞘複合モノフィラメント弾性糸条を緯糸としてベース経編地を各コース間に挿入してJIS−L−1096(6.27.1.A法)に規定される通気度345cm3 /cm2 ・secの緯糸挿入弾性経編布帛を編成した。
(比較例1)
実施例のベース経編地を編成する過程において、粒径1μmのカーボンブラック(黒色顔料)を0.17重量%配合された融点220℃の高融点着色ポリエーテルエステルポリマーを芯成分とし、粒径1μmのカーボンブラック(黒色顔料)を0.17重量%配合された融点180℃の低融点着色ポリエーテルエステルポリマーを鞘成分とし、糸条の断面積に占める鞘成分の面積比率が18%であり、鞘成分の被膜厚みが8μmであり、単繊維繊度2500dtex(繊維径170μm)のポリエーテルエステルポリマー系原着芯鞘複合モノフィラメント弾性糸条を緯糸としてベース経編地を各コース間に挿入してJIS−L−1096(6.27.1.A法)に規定される通気度345cm3 /cm2 ・secの緯糸挿入弾性経編布帛を編成した。
(比較例2)
実施例のベース経編地を編成する過程において、顔料無配合で融点220℃の高融点無着色ポリエーテルエステルポリマーを芯成分とし、顔料無配合で融点180℃の低融点無着色ポリエーテルエステルポリマーを鞘成分とし、糸条の断面積に占める鞘成分の面積比率が18%であり、鞘成分の被膜厚みが8μmであり、単繊維繊度2500dtex(繊維径170μm)のポリエーテルエステルポリマー系無着色芯鞘複合モノフィラメント弾性糸条を緯糸としてベース経編地を各コース間に挿入して編成したJIS−L−1096(6.27.1.A法)に規定される通気度345cm3 /cm2 ・secの緯糸挿入弾性経編布帛を編成し、黒色分散染料を2%owfと界面活性剤1g/リットルと酢酸0.3g/リットルを含む染浴(130℃)にて染色した。
(摩擦堅牢度試験)
上記実施例と比較例1・2で得た緯糸挿入弾性経編布帛の摩擦堅牢度を、80℃の恒温室内において400時間熱老化させた後、常温に放置して冷却した後、JIS−L−0849.5.1−b法(摩擦に対する染色堅牢度試験法)に従い、摩擦試験機2型(学振型)で200gfの荷重を架けた圧力子の接触面積を14cm×5cmとして白綿布をセットし、30回/min・100mm幅で水平に100回往復運動させた後、白綿布を取り出し、グレースケールによって白綿布の汚染度を調べ、次の(表1)に示す結果を得た。
Figure 2013142210
(評価)
表1に示す通り、本発明実施例の弾性布帛は、比較例1・2の弾性布帛に比して、摩擦堅牢度において優れていた。
本発明に係る弾性織編布帛は、先に説明したように、自動車用座席以外の内装材や事務用椅子や家庭用椅子、座椅子等に使用することが出来る。
11:把持フレーム
12:弾性布帛
13:座席

Claims (4)

  1. 顔料の配合された高融点着色ポリエーテルエステルポリマーを芯成分とし、顔料の配合率が芯成分の顔料の配合率よりも少なく、融点が芯成分の融点よりも低い熱融着性ポリマーを鞘成分とし、糸条の断面積に占める鞘成分の面積比率が20%未満であり、鞘成分の被膜厚みが5μm以上である単繊維繊度300dtex以上3000dtex以下のポリエーテルエステルポリマー系原着芯鞘複合弾性糸条を使用して織編成されており、その原着芯鞘複合弾性糸条が、織編組織点において交絡する糸条に、その鞘成分の熱融着性ポリマーを介して熱融着している弾性織編布帛。
  2. 鞘成分の熱融着性ポリマーが顔料無配合の低融点無着色ポリエーテルエステルポリマーである請求項1に記載の弾性織編布帛。
  3. JIS−L−1096(6.27.1.A法)に規定される通気度が20cm3 /cm2 ・sec以上である請求項1と2の何れかに記載の弾性織編布帛。
  4. 請求項1と2と3の何れかに記載の弾性織編布帛を、向き合う把持フレームと把持フレームの間に張設して成り、ポリエーテルエステルポリマー系原着芯鞘複合弾性糸条が座面に露出している自動車用座席。
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