JP2017125278A - 複合紡績糸およびそれを用いてなる繊維構造物 - Google Patents

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潔 小林
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Abstract

【課題】
本発明は、2種類以上の短繊維が混在するダブルロービング供給よりなる複合紡績糸であって、異なる短繊維の混率の変化が豊かな複合紡績糸およびそれぞれの品種により発揮される特徴が複合紡績糸の縦列方向に変化する繊維構造物を提供する。
【解決手段】
本発明複合紡績糸は、2種類以上の短繊維が混在してなる複合紡績糸であって、少なくとも一種類の粗紡糸に動物繊維を含み、かつ前記の複合紡績糸はその縦列方向へ断続的に前記の粗紡糸の混率が切替ることを特徴とする複合紡績糸である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紡績糸の縦列方向に断続的に異なる短繊維の混率が切替る複合紡績糸、およびその複合紡績糸を用いてなる繊維構造物に関し、複合紡績糸でありながらそれぞれの短繊維により発揮される特徴が複合紡績糸の縦列方向に変化する繊維構造物に関するものである。
従来から、2種類以上の短繊維を混ぜ合わせて混紡糸等の複合紡績糸を製造する方法は、混打綿工程で原綿を混ぜる方法や、練条工程や粗紡工程でスライバーを混ぜる方法、精紡工程で粗紡糸を引き揃えて混ぜる方法、および出来上がった単糸を撚糸工程で撚り合わせる方法など、多種に渡って実施されている。
従来の方法で製造された混紡糸は、短繊維が均一に混紡されていることから、それぞれの短繊維の特徴が紡績糸の縦列方向に常に一定であるため、これらの混紡糸を用いてなる繊維構造物は、物性や機能性が一定で品位で安定しており、一般的に好ましく使用されている。
他方、異なる短繊維を均一に混ぜることを好まない用途もあり、その代表的なものとして杢糸が挙げられる。杢糸は、異色に染色された原綿や異染色の原綿を10質量%以下と低い混紡率にすることにより、混打綿における不均一な分散性を利用して杢糸となるが、この方法では異なる短繊維の混率の変化に乏しく、杢糸の見え方が平凡となる。または杢糸の色相差が小さく、表現に乏しいなどの課題がある。
これに対し、連続した幹糸に不連続に部分的に貼り付けられた形態のパッチ糸からなる複合糸(特許文献1参照。)や、高収縮性アクリル繊維からなる粗紡糸、および低収縮性アクリル繊維と羊毛などの繊維からなる粗紡糸をダブルロービングによって、精紡機で複合する嵩高性のある杢糸が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、これらの方法では、一定周期の杢や一定の膨らみのある嵩高紡績糸であって、異なる短繊維の混紡率の変化や膨らみの変化に乏しく、杢糸の見え方が一定且つ単調になるという課題がある。
また、糸状の流れに直交する方向に往復運動する加撚ローラにより撚られた糸状であって、撚りの状態が一方の方向に撚られた領域、撚りのない領域、他方の方向に撚られた領域、撚りのない領域という変化を有する糸状が、少なくとも2本以上合糸される複合紡績糸からなる杢糸が提案されている(特許文献3参照。)。しかしながら、これらの方法においても、一定の周期性のある杢や嵩高紡績糸は得られるものの、異なる短繊維の混率の変化に乏しく膨らみも一定となることから、周期性のある単調なスラブ調杢糸となり、表面変化に乏しくなるという課題がある。
特開2005−213707号公報 特開2013−253334号公報 特許第458315号公報
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決すべく、異なる短繊維の混率や嵩高性の変化が豊かな杢糸調の複合紡績糸、およびそれぞれの短繊維により発揮される特徴が複合紡績糸の縦列方向に変化する繊維構造物を提供することにある。
本発明は、前記の課題を解決せんとするものであって、本発明の複合紡績糸は、2種類以上の短繊維からなる異なる粗紡糸が混在してなる複合紡績糸であって、少なくとも一種類の粗紡糸に動物繊維を含み、かつ前記複合紡績糸はその縦列方向へ断続的に前記粗紡糸の混率が切替ることを特徴とする複合紡績糸である。
本発明の複合紡績糸の好ましい態様によれば、前記のそれぞれの粗紡糸を構成する短繊維が存在しない部分を有する、または/およびそれぞれの粗紡糸を構成する短繊維が混在する部分を有することである。
本発明の複合紡績糸の好ましい態様によれば、前記の複合紡績糸を構成する一種類の粗紡糸に動物繊維(羊毛)を有し、他の一種類の粗紡糸に沸水収縮率が3〜27%の合成繊維を配してなることである。
本発明においては、前記の複合紡績糸を用いてなる繊維構造物を製造することができる。
本発明によれば、異なる短繊維の混率や嵩高性の変化が豊かな杢糸調の複合紡績糸、およびそれぞれの短繊維により発揮される特徴が複合紡績糸の縦列方向に変化する繊維構造物が得られる。
2種類以上の短繊維が存在するダブルロービング供給よりなる複合紡績において、少なくとも一種類の粗紡糸に動物繊維(羊毛)を含むことにより、染色差から得られる杢糸ならびに吸湿性や吸湿発熱性に優れた保温性繊維構造物を得ることができる。
次に、本発明の複合紡績糸の縦列方向に断続的に、異なる短繊維の混率が切替る複合紡績糸と繊維構造物の形態について説明する。
本発明の複合紡績糸は、2種類以上の短繊維からなる異なる粗紡糸が混在してなる複合紡績糸であって、少なくとも一種類の粗紡糸に動物繊維を含み、かつ前記複合紡績糸はその縦列方向へ断続的に前記粗紡糸の混率が切替っている複合紡績糸である。
本発明の複合紡績糸は、2種類以上の短繊維からなる粗紡糸(A)と粗紡糸(B)を用いて複合紡績糸の単糸に、少なくとも両者が混在されてなる形態となる。ここで記載される一種類の粗紡糸(A)は、動物繊維(羊毛)であって、複合紡績糸の製造安定性から、単繊維の平均直径が18〜24.5μmの羊毛の入手が容易であり汎用品として好ましく使用され、18〜21.5μmが紡績糸を容易に構成し易い点から好ましく使用される。さらなる複合紡績糸の製造安定性から、羊毛に合成繊維を混用した2種類以上を粗紡糸(A)として使用しても好ましい様態である。
本発明の複合紡績糸に使用される羊毛の繊維長は、合成繊維の繊維長に合わせることが品質の優れた複合紡績糸を得るための手段となり、平均繊維長は38〜64mmが好ましく使用され、より好ましくは38〜51mmが使用される。羊毛を所定の繊維長に切断する方法としては、一般的な短繊維紡績で利用される等長カット法式、またはアテネーターカット法式のいずれの方法も好ましい様態である。
また、本発明の複合紡績糸に使用される動物繊維(羊毛)の機能は吸放湿性であり、これにより合成繊維特有の衣服内の蒸れが解消される。衣服内を想定した30℃×90%RHの平衡吸湿率と外気を想定した20℃×65%RHの平衡吸湿率の差から△MRを算出し、吸放湿率とした。吸放湿率△MR値が大きいほど、繊維構造物の湿度の吸収と放湿との差が大きく蒸れにくいことから、吸放湿率△MR値が1.5%以上あれば着用快適性に優れるといえる。本発明の繊維構造物の吸放湿率ΔMR値は、動物繊維(羊毛)を組み合わせることにより、好ましくは2.0〜4.0%の範囲となり、快適な着用感を得ることができる。
本発明に使用されるもう一種類の他の粗紡糸(B)は、素材はもちろんのこと、同素材でも繊維長や繊度、または断面形状が異なるものや染色差が異なるものを混用することにより、2種類以上となり、これらの短繊維を混用したものを粗紡糸(B)として用いることができる。すなわち、同じ素材であるポリエステル繊維でも、断面形状が異なる丸断面と三角断面や、単繊維繊度も1.0dtexと2.0dtexであれば2種類であり、また原綿染色した黒色と原綿染色していない白色も2種類と数えることができ、粗紡糸(B)として用いることができる。
複合紡績糸を構成する粗紡糸(B)に用いる短繊維としては、通常のあらゆる合成繊維としてポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル系繊維他、アセテート等のセルロース系繊維、および再生セルロース系繊維なども容易に適用することができる。
前記の複合紡績糸を構成する短繊維の繊維断面形状としては、中実断面、中空断面、丸型断面、三角断面および十字断面などのその他の異型断面や葉型断面、または扁平断面等々、何れの繊維断面形状とすることができる。
本発明の複合紡績糸の糸番手は、10〜60番手(綿式)の範囲であることが好ましいが、用途に応じて適宜選ぶことができる。例えば、衣料用の織編物であれば、20〜40番手(綿式)が好ましい。また、カーペットなどのパイル織物であれば、10〜30番手(綿式)が好ましい。また、糸番手は用途に応じて混紡糸の縦列方向で変更しても構わないが、複合紡績糸の縦列方向に一定である方が繊維構造物の品位が良くなる。
本発明の複合紡績糸のヨリ係数は、2.0〜5.0の範囲であることが好ましく、2.8〜4.2の範囲であることが動物繊維(羊毛)の風合いを表現されるためより好ましいが、用途に応じて適宜選択することができる。また、ヨリ係数は一定である必要はなく、用途に応じて複合紡績糸の縦列方向に変更することができる。
本発明における複合紡績糸の一種類の粗紡糸(A)が動物繊維(羊毛)を有し、他の短繊維からなる粗紡糸(B)に、例えば、沸水収縮率が好ましくは3〜27%を有する合成繊維を使用することにより、いわゆる一般的に織編物に使用されるバルキー形状となる複合紡績糸が得られる。沸水収縮率が小さいほど膨らみは小さくなり、沸水収縮率が大きいほど膨らみは大きくなる。粗紡糸(B)に用いられる収縮短繊維の収縮率は、3〜27%が好ましく、編物であれば7〜27%がより好ましく、織物であれば3〜12%の範囲がより好ましい態様である。特に織物の場合は、収縮率を低く押さえることにより、品位が安定する傾向を示し、目面がきれいな織物の様態となる。
本発明の粗紡糸(B)に使用する収縮短繊維は、アクリル系繊維を使用することが一般的に知られているが、ポリアミド繊維やポリエステル繊維などの合成繊維であっても、沸水収縮率が3〜27%の範囲であることが好ましい。また、複合紡績糸に用いられる収縮短繊維の混紡率は、30〜80質量%であることが好ましく、ソフトなバルキー形態やきれいな目面を得る混紡率として40〜60質量%であることがより好ましい態様である。
本発明の複合紡績糸は、用途に応じてスラブ糸にして用いることもできる。スラブ糸の太さや長さ、用途に応じて変更すれば良い。
本発明において、複合紡績糸の縦列方向に断続的に異なる短繊維の混率が切替るとは、用途や目的に応じて粗紡糸を構成する短繊維の混率が切り替わるものであるが、それぞれの短繊維が50質量%未満の部分を有することが好ましく、さらには、それぞれの粗紡糸からなる短繊維が存在しない部分を有すること、即ち、他の種類のみで形成される部分を有することが好ましい態様である。
これは、それぞれの粗紡糸を構成する短繊維の特徴がより発揮されるためである。質量%は、採取するサンプルを複合紡績糸の長さにより10mmとすること以外は、JIS L1030−2(2012年版)に準じても良いし測定することができ、複合紡績糸の断面を電子顕微鏡もしくはマイクロスコープで写真を撮影しそれぞれの種類の短繊維の数を数え、またそれぞれの種類の単繊維繊度をJIS法(合成繊維であればJIS L1015(2010年版))で求め、比重を掛けて求めることもできる。また、一種類の短繊維が存在しない部分とは、複合紡績糸や繊維構造物から分解した複合紡績糸の断面写真から、それぞれの短繊維の種類の有無によって評価される。
長さ200mmの複合紡績糸5本を用意し、複合紡績糸を端から20mmでカットし、その複合紡績糸の断面を電子顕微鏡もしくはマイクロスコープで写真を撮影し、それぞれの種類の短繊維の存在を確認する。カットした端からまた20mmでカットし、同じ方法で、短繊維の存在を確認する。これを繰り返し、長さ200mmの複合紡績糸で10回、断面写真で短繊維の存在を確認する。同じ方法で残った4本の複合紡績糸を評価し、合計50回の評価を行い、短繊維の存在有無を確認する。50回の中で1回でも一種類の短繊維が存在しないことが確認される場合、本発明のそれぞれの短繊維が存在しない部分を有する複合紡績糸とする。
次に、発明の複合紡績糸は、必要に応じてフィラメント糸と複合させることができる。また、複合紡績糸の形態も、リング紡績糸でも良く、空気紡績糸や結束紡績糸とすることもできる。
本発明の複合紡績糸を得る方法としては、例えば、練条機やギル機などの練条工程で、2種類のスライバーを用意し、クリールを単独で駆動させ2種類のスライバーを縦列方向に断続的に切替える方法で作製したスライバーを必要に応じて粗紡糸にしてリング精紡機や空気精紡機や結束紡績機などに仕掛けて混紡糸を得る方法や、精紡工程で2本の粗糸をそれぞれミドルローラーとバックローラーから供給し、独立したエプロン機構とドラフトローラー駆動により紡績糸を縦列方向に断続的に切替えるモザイクヤーンシステム(豊田自動織機(株)製)を有する精紡機を用いて混紡糸を得る方法が挙げられる。
本発明において、切替ピッチ長は、40mm〜1500mmの範囲であることが好ましく、更に好ましくは50mm〜1000mmの範囲である。切替ピッチが40mm未満では、編物の場合はループがあるため、外観変化に乏しくなる場合がある。また、切替ピッチが1500mmを超えると、同じ素材が長く続くため、変化に乏しい繊維構造物となる場合がある。
次に、本発明の複合紡績を使用した繊維構造物について説明する。
本発明の複合紡績糸を使用してなる繊維構造物としては、パイル織物を含めた織物や編物などその用途によって選ぶことができる。
例えば、本発明の複合紡績糸を織物に用いる場合は、織物の経糸および/または緯糸として使用することができ、通常の製織工程で製織することができる。また、本発明の複合紡績糸を編物に用いる場合は、通常の横編みや丸編み、経編工程で編成することができる。
製織編工程は、一般的に使用される工程を採用することができ、織機および編機の種類は特に限定されない。
また、織編物の組織や密度は、求められる風合いや物性および機能性により適宜選択される。
得られた生機は、使用される素材によって選別されるが、一般的な染色工程と条件で染色仕上げ加工され、最終の仕上げにより織編物となる。また、本発明では、必要に応じて染色した原綿や製織編工程前の紡績糸で染色することができる。
また、本発明の複合紡績糸は繊維構造物の一部に使うことができ、繊維構造物の全体に使用することもできる。
本発明の複合紡績糸と繊維構造物に好適な用途は、インナー、ジャケット、ユニフォーム、カットソー、タイツや靴下等のレッグニットとして、またマフラーやショール、帽子および手袋等の衣料用途、およびマットやタオル等の一般家庭用途などに好適に用いることができる。
また、本発明の複合紡績糸からなる繊維構造物には、付帯加工として、防汚加工、抗菌加工、消臭加工および防臭加工、さらには形状加工として、カレンダー加工、エンボス加工および起毛加工等があり、最終狙い用途の要求特性によって適宜使い分けて使用することができる。
次に、本発明の複合紡績糸について、実施例に基づいて更に具体的に説明する。本発明における測定方法および評価方法は、次のとおりである。
(1)一種類の短繊維が存在しない箇所:
織物から分解した複合紡績糸の断面写真から、それぞれの短繊維の有無を評価した。織物の緯糸方向に幅に200mmで、長さ方向で10mmの大きさにカットしサンプルを作製する。そのサンプルからヨコ糸を5本抜き取る。その際、5本は複合紡績糸の長さ方向で200mmあると共に、織物になっている際にヨコ糸として並びあった糸とする。糸を端から20mmでカットし、その複合紡績糸の断面をマイクロスコープによって20倍で写真を撮影し、それぞれの短繊維の存在を確認した。カットした端から又20mmでカットし、同じ方法で短繊維の存在を確認し、これを繰り返し、長さ200mmの糸で10回、断面写真で短繊維の存在を確認した。同じ方法で残った4本の複合紡績糸を評価し、合計50回の評価を行い、短繊維の存在しない箇所を確認した。50回の中で1回でも存在しないことが確認される場合、本発明のそれぞれの短繊維が存在しない部分を有する複合紡績糸とする。
(2)織編物の外観評価:
杢糸の見え方の評価として、織編物の外観評価を次のとおり3段階で級判定を行った。
3級:異なる色調の部分がそれぞれ独立している。
2級:異なる色調がそれぞれ独立している部分が存在するが、色が混ざっている部分も存在する。
1級:色が混ざって、杢糸ではない。
(3)沸水収縮率:
処理前の複合紡績糸サンプルに初荷重をかけ、一定間隔の原長(L1)を計測し、そのサンプルを沸水によって15分間処理し、乾燥後、サンプルに初荷重をかけ、変化長(L2)を計測し、次式により収縮率を求めた。
・沸水収縮率(%)={(L1−L2)/L1}×100。
(4)吸放湿率(ΔMR値)(快適性):
繊維構造物のサンプル(試験片)を絶乾させた後に、温度30℃で湿度90%と、温度20℃湿度65%のそれぞれのデシケーターに入れて、24時間後の試験片の質量(湿度吸収量)を測定し、△MR値を次式により求める。
・ΔMR=MR2−MR1=(W1−W3)/W3×100%、
・MR2=(W2−W3)/W3×100%
(ここで、W1は、温度20℃×湿度65%RHにおける試験片の質量(g)、W2は、温度30℃×湿度90%RHにおける試験片の質量(g)、そして、W3は、絶乾状態における試験片の質量(g)をそれぞれ表す。)
△MR値が大きいほど、繊維構造物の湿度の吸収と放湿との差が大きく、蒸れにくい。本発明の繊維構造物のΔMR値は2.0%以上であり、これは、例えば、ΔMR値0.1〜0.2%のポリエステル繊維100%やΔMR値0.6〜0.7%のアクリル系繊維100%の繊維構造物に比べてはるかに蒸れにくく、着用快適性に優れるレベルである。
(実施例1)
粗紡糸(A)を構成する短繊維aとして、単繊維の平均直径が21.5μmの羊毛(メリノ種)を平均繊維長51mmに等長カットしたものを準備した。また、粗紡糸(B)を構成する短繊維bとして、黒色に原綿染色された単繊維繊度が2.2デシテックスで、繊維長が51mmのポリエステル系短繊維(東レ(株)製、原綿タイプT201)を準備した。
粗紡糸(A)は100質量%使用し、通常の紡績工程を経て、300ゲレン/30ydの粗紡糸(A)を作製した。また、粗紡糸(B)は100質量%使用し、通常の紡績工程を経て、300ゲレン/30ydの粗紡糸(B)を作製した。それぞれの粗紡糸を、豊田自動織機(株)製のモザイクヤーンシステムを有する精紡機で、粗紡糸(A)をミドルローラーから、また粗紡糸(B)をバックローラーからそれぞれ供給し、表1に示す条件によって綿方式の番手で20Sの複合紡績糸を得た。糸切れの発生も少なく、紡績性は良好であった。
得られた複合紡績糸を緯糸に用い、経糸に別に用意した320dtex−192フィラメントのポリエステルフィラメント糸を用い、通常のドビー織機を用いて、織組織をドビー織として、織密度を経が104本/2.54cmで緯が80本/2.54cmとした織物を得た。
得られた織物は、未着色部と着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化し、官能評価で未着色部と着色部の変化が激しい今までにない新しい外観である織物を得た。また、吸放湿性はΔMR2.2となり、蒸れ感の少ない快適性を示す結果を得られた。結果を表1に示す。
(実施例2および3)
精紡機の条件を表1に示す条件にしたこと以外は、実施例1と同じ方法によって、織物を得た。得られた織物は、未着色部と着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化し、官能評価で未着色部と着色部の変化が激しいまでにない新しい外観である織物を得た。結果を表1に示す。
(実施例4)
粗紡糸(A)を構成する短繊維aとして、単繊維の平均直径が21.5μmの羊毛(メリノ種)を平均繊維長51mmに等長カットしたものを準備した。また、粗紡糸(B)を構成する短繊維bとして、黒色に原綿染色された単繊維繊度が2.2デシテックスで、繊維長が51mmのポリエステル系短繊維(東レ(株)製、原綿タイプT201)と、短繊維cとして単繊維繊度が1.7デシテックスで、繊維長が38mm、沸水収縮率が5.0%のアクリル系短繊維(東レ(株)製、原綿タイプT632S)とを準備した。
粗紡糸(A)は100質量%使用し、通常の紡績工程を経て、300ゲレン/30ydの粗紡糸(A)を作製した。また粗紡糸(B)として、混打綿工程において質量比で短繊維bを40質量%、短繊維cを60質量%混ぜて100質量%として投入し、カード工程以降は通常の紡績工程を経て、300ゲレン/30ydの粗紡糸(B)を作製した。それぞれの粗糸を、豊田自動織機(株)製のモザイクヤーンシステムを有する精紡機で、粗紡糸(A)をミドルローラーから、また粗紡糸(B)をバックローラーからそれぞれ供給し、表1に示す条件で綿方式の番手で20Sの複合紡績糸を得た。糸切れの発生も少なく、紡績性は良好であった。
得られた複合紡績糸を緯糸に用い、経糸に別に用意した320dtex−192フィラメントのポリエステルフィラメントを用い、通常のドビー織機を用いて、織組織をドビー、織密度を経が104本/2.54cmで緯が80本/2.54cmとした織物を得た。
得られた織物は、未着色繊維と黒着色繊維からなる混色部と黒色着色部が混紡糸の縦列方向に断続的に変化し、官能評価で色調の変化が激しい今までにない新しい外観である織物を得た。また、収縮繊維を含む効果として、織物の蒸気セットを実施することにより、元糸の1.1倍の膨らみの発現による上品なスラブ調織物が得られた。着用快適性を示す吸放湿性もΔMR2.5が得られた。結果を表1に示す。
Figure 2017125278
(実施例5)
粗紡糸(A)を構成する短繊維aとして、単繊維の平均直径が21.5μmの羊毛(メリノ種)を平均繊維長51mmに等長カットしたものを準備した。また、粗紡糸(B)を構成する短繊維bとして、黒色に原綿染色された単繊維繊度が2.2デシテックスで、繊維長が51mmのポリエステル系短繊維(東レ(株)製、原綿タイプT201)と、短繊維cとして単繊維繊度が1.15デシテックスで、繊維長が38mm、沸水収縮率が23.0%のアクリル系短繊維(東レ(株)製、原綿タイプT346)とを準備した。
粗紡糸(A)は100質量%使用し、通常の紡績工程を経て、300ゲレン/30ydの粗紡糸(A)を作製した。混打綿工程において質量比で短繊維bを40質量%と、短繊維cを60質量%混ぜて100質量%として投入し、カード工程以降は通常の紡績工程を経て、300ゲレン/30ydの粗紡糸(B)を作製した。それぞれの粗紡糸を、豊田自動織機(株)製のモザイクヤーンシステムを有する精紡機で、粗紡糸(A)をミドルローラーから、粗紡糸(B)をバックローラーからそれぞれ供給し、表1に示す条件によって綿方式の番手で20Sの複合紡績糸を得た。糸切れの発生も少なく、紡績性は良好であった。
得られた複合紡績糸を緯糸に用い、経糸に別に用意した320dtex−192フィラメントのポリエステルフィラメントを用い、通常のドビー織機を用いて、織組織をドビー織とし、織密度を経が104本/2.54cmで緯が80本/2.54cmとした織物を得た。
得られた織物は、未着色繊維と黒着色繊維からなる混色部と黒色着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化し、官能評価で色調の変化が激しい今までにない新しい外観である織物を得た。また、収縮繊維を含む効果として、織物の蒸気セットを実施することにより元糸の1.18倍の膨らみが発現することにより、強いスラブ形状の織物が得られた。着用快適性を示す吸放湿性もΔMR2.5が得られた。結果を表2に示す。
(実施例6)
粗紡糸Aを構成する短繊維aとして、単繊維の平均直径が21.5μmの羊毛(メリノ種)を平均繊維長51mmに等長カットしたものを準備した。また、粗紡糸Bを構成する短繊維bとして、黒色に原綿染色された単繊維繊度が2.2デシテックスで、繊維長が51mmのポリエステル系短繊維(東レ(株)製、原綿タイプT201)と、短繊維dとして単繊維繊度が2.2デシテックスで、繊維長が51mm、沸水収縮率が5.5%のナイロン6短繊維(東レ(株)製、原綿タイプN201)と、経糸に320dtex−192フィラメントのナイロン6フィラメントを用いた準備したこと以外は、実施例4と同じ方法によって織物を得た。
得られた織物は、未着色繊維と黒着色繊維からなる混色部と黒色着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化し、官能評価で色調の変化が激しい今までにない新しい外観である織物を得た。また、収縮繊維を含む効果として、織物の蒸気セットを実施することにより、元糸の1.1倍の膨らみの発現による上品なスラブ調織物が得られた。着用快適性を示す吸放湿性もΔMR2.8が得られた。結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例5と同じ方法で製造した複合紡績糸を、カセ染色機で98℃の温度の沸騰水で30分間の湿熱処理において、18.6%の沸水収縮率のバルキー糸を得た。7ゲージの横編機(島精機社製「SES横編機」)を用い、その給糸口に2本の双糸を供給して天竺組織の編み立てを行い、リラックス処理とソーピングを順に行い、仕上げ熱セットを115℃の温度のスチームで行い、セーター製品に使用できる横編地を得た。得られた横編地は、未着色繊維と黒着色繊維からなる混色部と黒色着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化し、官能評価で色調の変化が激しい今までにない新しい外観である編物を得た。
また、収縮繊維を含む効果として、カセ染色機の湿熱処理により元糸の1.2倍の膨らみが発現することにより、強いスラブ形状の編物が得られた。着用快適性を示す吸放湿性もΔMR2.5が得られた。結果を表2に示す。
Figure 2017125278
(比較例1)
実施例1と同様に、粗紡糸(A)として未着色繊維100質量%と、粗紡糸(B)としての未着色繊維と黒着色繊維とを準備した。粗紡糸(B)は、未着色繊維を50質量%と黒着色繊維50質量%を混打綿工程で通常の混綿をした後、通常の紡績工程を経て、300ゲレン/30ydの粗紡糸(B)を作製した。その粗紡糸を通常のリング精紡機に仕掛け、綿方式の番手で20Sの複合紡績糸を得た。この複合紡績糸も糸切れの発生も少なく、紡績性は良好であった。
得られた複合紡績糸を緯糸に用い、実施例1と同じ方法によって織物を得た。得られた織物は、未着色部と着色部が複合紡績糸の縦列方向に断続的に変化せず、官能評価で未着色部と着色部の変化のない、いわゆる混紡杢糸の外観である織物を得た。着用快適性を示す吸放湿性もΔMR0.2となり蒸れ感を示す結果が得られた。結果を表3に示す。
(比較例2)
粗紡糸(B)の未着色繊維を95質量%、また、黒着色繊維を5質量%使用したこと以外は、比較例1と同じ方法によって織物を得た。得られた織物は、官能評価で杢糸の色差がはっきりしない外観である織物を得た。着用快適性比較例1と同様に、蒸れ感を示す結果が得られた。結果を表3に示す。
(比較例3)
粗紡糸(A)を構成する短繊維aとして、平均直径が21.5μmの羊毛(メリノ種)を平均繊維長51mmに等長カットしたものを準備した。また、粗紡糸(B)を構成する短繊維bとして、黒色に原綿染色された単繊維繊度が2.2デシテックスで、繊維長が51mmのポリエステル系短繊維(東レ(株)製、原綿タイプT201)と、短繊維cとして単繊維繊度が1.15デシテックスで、繊維長が38mm、沸水収縮率が23.0%のアクリル系短繊維(東レ(株)製、原綿タイプT346)とを準備した。
短繊維aを50質量%、短繊維bを20質量%、そして短繊維cを30質量%とを、混打綿工程で均一に混紡された300ゲレン/30ydの粗紡糸を作製し、通常のリング紡績糸を得た。得られた複合紡績糸を、実施例7と同様にして湿熱処理と編み立てを行い横編地が得られたが、通常の混紡杢調素材であり、色調や外観変化が一定で変化に乏しいバルキー素材であった。結果を表3に示す。
Figure 2017125278

Claims (4)

  1. 2種類以上の短繊維からなる異なる粗紡糸が混在してなる複合紡績糸であって、少なくとも一種類の粗紡糸に動物繊維を含み、かつ前記複合紡績糸はその縦列方向へ断続的に前記粗紡糸の混率が切替ることを特徴とする複合紡績糸。
  2. それぞれの粗紡糸を構成する短繊維が存在しない部分を有する、または/およびそれぞれの粗紡糸を構成する短繊維が混在する部分を有する請求項1記載の複合紡績糸。
  3. 複合紡績糸を構成する一種類の粗紡糸に動物繊維(羊毛)を有し、他の一種類の粗紡糸に沸水収縮率が3〜27%の合成繊維を配してなる請求項1または2記載の混紡糸。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の複合紡績糸を用いてなる繊維構造物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018127991A1 (ja) * 2017-01-05 2018-07-12 日本毛織株式会社 結束紡績糸とこれを用いた繊維生地及び衣料用繊維製品
WO2020040303A1 (ja) * 2018-08-24 2020-02-27 株式会社Itoi生活文化研究所 合繊混布地、及び洋服
US11598027B2 (en) 2019-12-18 2023-03-07 Patrick Yarn Mills, Inc. Methods and systems for forming a composite yarn

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