JP7378473B2 - 植物生長調整剤および植物の生長促進方法 - Google Patents

植物生長調整剤および植物の生長促進方法 Download PDF

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Description

本発明は、植物生長調整剤およびその使用に関する。
従来から、広範な植物に対して高い生長促進効果を示す薬剤が求められている。このような薬剤として、例えば、酸化型グルタチオンが知られている(特許文献1)。
国際公開第WO2008/072602号
しかしながら、既存の薬剤においては、その生長促進効果は十分とは言えず、優れた生長促進効果を示す植物生長調整剤が依然として求められている。そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物の生長促進効果に優れた植物生長調整剤を提供することにある。
本願発明者が鋭意検討した結果、驚くべきことに、従来から食品、医療品および化粧品などへ用いられてきた特定の抗酸化物質を植物生長調節剤として利用することで、優れた植物生長促進効果が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、上記課題を解決するために、本発明に係る植物生長調整剤は、下記式(I)で示される化合物もしくはその互変異性体、またはそれらの農薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む。
Figure 0007378473000001
式(I)中、RおよびRは、独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表し、R~Rは、独立して炭素数1~4のアルキル基を表す。
また、本発明に係る植物の生長促進方法は、上記式(I)で示される化合物もしくはその互変異性体、またはそれらの農薬学的に許容可能な塩で植物を処理することを含む。
本発明によれば、植物の生長促進効果に優れた植物生長調整剤を提供することができる。
〔植物生長調整剤〕
(有効成分)
本実施形態に係る植物生長調整剤は、下記式(I)で示される化合物(以下、単に「化合物(I)」という)もしくは互変異性体、またはそれらの農薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む。
Figure 0007378473000002
式(I)中、RおよびRは、独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。R~Rは、独立して炭素数1~4のアルキル基を表す。
アルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、すなわち、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基またはtert-ブチル基であり得る。
およびRのうち少なくとも一方は、水素原子であることが好ましく、いずれも水素原子であることがより好ましい。RおよびRは、アルキル基である場合には、メチル基、エチル基またはプロピル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
~Rは、独立してメチル基、エチル基、またはプロピル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。R~Rは、少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、少なくとも2つがメチル基であることがより好ましく、全てメチル基であることがさらに好ましい。
「その互変異性体」とは、化合物(I)の互変異性体を指す。化合物(I)には、RおよびRのうち少なくとも一方が水素原子である場合には、互変異性体が存在する。より具体的には、式(I)中、Rが水素原子である場合は、互変異体として下記式(II)で示される化合物(以下、単に「化合物(II)という」)が存在し得る。また、式(I)中、Rが水素原子である場合は、互変異体として下記式(III)で示される化合物(以下、単に「化合物(III)という」)が存在し得る。以下、化合物(II)および化合物(III)をまとめて単に「互変異性体」という。
Figure 0007378473000003
式(II)および(III)中、R~Rは、式(I)におけるR~Rと同一である。
化合物(I)もしくはその互変異性体として好ましい化合物は、具体的には、エルゴチオネインであり、L-(+)-エルゴチオネインであることがより好ましい。
これら化合物は、市販のものを用いてもよく、当業者に周知の技術、例えば特許文献:特表2013-506706号公報あるいは特開2006-160748に記載の手法により合成したものを用いてもよい。また、エルゴチオネインは、細菌および真菌によって産生されることが知られている。このような微生物を用いる産出方法としては例えば、特許文献:特開2012-105618、特開2014-223051、WO2016/104437、WO2016/121285、WO2015/168112およびWO2017/150304に記載の方法を挙げることができる。エルゴチオネインとしては、これら微生物から得られた、エルゴチオネインを含む培養物をそのまま用いてもよいし、エルゴチオネインを濃縮あるいは精製して用いてもよい。
「農薬学的に許容可能」とは、通常、安全であり、非毒性であり、かつ生物学的にも他の意味でも所望されないものではなく、農薬用として、特に植物の生長を促進する農薬用として、許容されるものを意味する。
化合物(I)もしくはその互変異性体の「農薬学的に許容可能な塩」とは、上記で定義されたような農薬学的に許容される塩であって、化合物(I)もしくはその互変異性体の作用および効果が得られるものを意味する。このような塩としては、例えば、水和物、溶媒和物、酸付加塩、化合物(I)もしくはその互変異性体に存在する酸性プロトン(proton acide)が金属イオンにより置換されている場合に形成される塩、および該酸性プロトンが有機塩基もしくは無機塩基と配位する場合に形成される塩などが挙げられる。
酸付加塩は、無機酸と形成されるものであっても有機酸と形成されるものであってもよい。無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、およびリン酸などが挙げられる。有機酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2-ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、ジベンゾイル-L-酒石酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸、およびトリフルオロ酢酸などが挙げられる。
化合物(I)もしくはその互変異性体に存在する酸性プロトンと置換し得る金属イオンとしては、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンおよびアルミニウムイオンなどが挙げられる。
化合物(I)もしくはその互変異性体に存在する酸性プロトンと配位し得る有機塩基としては、例えば、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、トリエタノールアミン、およびトロメタミンなどが挙げられる。無機塩基としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
本実施形態に係る植物生長調整剤は、化合物(I)もしくはその互変異性体、またはそれらの農薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むことにより、これにより処理した植物において、優れた生長促進効果を呈する。なお、本明細書における「生長促進効果に優れる」とは、植物の生長の指標の少なくとも一つが従来の化合物に比べて優れていることを指す。ここで、「植物の生長の指標」とは、例えば、植物の草丈、分げつ数、花数、果実数および種子収穫量などが挙げられる。
本実施形態に係る植物生長調整剤は、化合物(I)またはその農薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むことが好ましい。本実施形態に係る植物生長調整剤は、化合物(I)およびその互変異性体のうち複数の化合物またはそれらの農薬学的に許容可能な塩を有効成分として含んでいてもよい。
通常、溶液中では、化合物(I)と化合物(II)または化合物(III)とは平衡状態で存在し得る。化合物(I)と化合物(II)または化合物(III)との比率は、溶媒、温度またはpHなどにより変動し得る。
(適用対象)
本実施形態における植物生長調整剤は、一般的に全ての植物に対する生長促進効果を呈するが、適用植物の例として以下を挙げることができる。イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、トリチケール、トウモロコシ、モロコシ(ソルガム)、サトウキビ、シバ、ベントグラス、バミューダグラス、フェスクおよびライグラスなどのイネ科類、ダイズ、ラッカセイ、インゲンマメ、エンドウ、アズキおよびアルファルファなどのマメ科類、サツマイモなどのヒルガオ科類、トウガラシ、ピーマン、トマト、ナス、ジャガイモおよびタバコなどのナス科類、ソバなどのタデ科類、ヒマワリなどのキク科類、チョウセンニンジンなどのウコギ科類、ナタネ、ハクサイ、カブ、キャベツおよびダイコンなどのアブラナ科類、テンサイなどのアカザ科類、ワタなどのアオイ科類、コーヒーノキなどのアカネ科類、カカオなどのアオギリ科類、チャなどのツバキ科類、スイカ、メロン、キュウリおよびカボチャなどのウリ科類、タマネギ、ネギおよびニンニクなどのユリ科類、イチゴ、リンゴ、アーモンド、アンズ、ウメ、オウトウ、スモモ、モモおよびナシなどのバラ科類、ニンジンなどのセリ科類、サトイモなどのサトイモ科類、マンゴーなどのウルシ科類、パイナップルなどのパイナップル科類、パパイアなどのパパイア科類、カキなどのカキノキ科類、ブルーベリーなどのツツジ科類、ペカンなどのクルミ科類、バナナなどのバショウ科類、オリーブなどのモクセイ科類、ココヤシおよびナツメヤシなどのヤシ科類、みかん、オレンジ、グレープフルーツおよびレモンなどのミカン科類、ブドウなどのブドウ科類、草花(Flowers and ornamental plants)、果樹以外の樹ならびにその他の観賞用植物。
また、野生植物、植物栽培品種、異種交配若しくは原形質融合などの従来の生物育種によって得られる植物および植物栽培品種、ならびに遺伝子操作によって得られる遺伝子組み換え植物および植物栽培品種を挙げることができる。遺伝子組み換え植物および植物栽培品種としては、例えば、除草剤耐性作物、殺虫性タンパク産生遺伝子を組み込んだ害虫耐性作物、病害に対する抵抗性誘導物質産生遺伝子を組み込んだ病害耐性作物、食味向上作物、収量向上作物、保存性向上作物、および収量向上作物などを挙げることができる。各国で認可を受けた遺伝子組み換え植物栽培品種としては、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)のデータベースに蓄積されているものを挙げることができる。具体的には、Roundup Ready、Liberty Link、IMI、SCS、Clearfield、Enlist、B.t.、BXN、Poast Compatible、AgriSure、Genuity、Optimum、Powercore、DroughtGard、YieldGard、Herculex、WideStrike、Twinlink、VipCot、GlyTol、Newleaf、KnockOut、BiteGard、BtXtra、StarLink、Nucotn、NatureGard、Protecta、SmartStax、Power Core、InVigorおよびBollgardなどの登録商標を含むものを挙げることができる。
(製剤)
植物生長調整剤は、一般的には、有効成分である化合物(I)もしくはその互変異性体、またはそれらの混合物を固体担体または液体担体(希釈剤)、界面活性剤およびその他の製剤補助剤などと混合して粉剤、水和剤、粒剤および乳剤などの種々の形態に製剤して使用する。
製剤補助剤として使用する固体担体、液体担体および界面活性剤を例示すれば、まず、固体担体としては、粉末担体および粒状担体などとして用いられ、クレー、タルク、珪藻土、ゼオライト、モンモリロナイト、ベントナイト、酸性白土、活性白土、アッタパルジャイト、方解石、バーミキュライト、パーライト、軽石および珪砂などの鉱物;尿素などの合成有機物;炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、消石灰および重曹などの塩類;ホワイトカーボンなどの非晶質シリカおよび二酸化チタンなどの合成無機物;木質粉、トウモロコシ茎(穂軸)、クルミ殻(堅果外皮)、果実核、モミガラ、オガクズ、ふすま、大豆粉、粉末セルロース、デンプン、デキストリンおよび糖類などの植物性担体;ならびに、架橋リグニン、カチオンゲル、加熱または多価金属塩でゲル化するゼラチン、寒天などの水溶性高分子ゲル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体および尿素-アルデビド樹脂などの種々の高分子担体;などを挙げることができる。
液体担体としては、脂肪族溶剤(パラフィン類)、芳香族溶剤(キシレン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ソルベントナフサなど)、混合溶剤(灯油)、マシン油(精製高沸点脂肪族炭化水素)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなど)、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、多価アルコール誘導体類(プロピレン系グリコールエーテルなど)、ケトン類(アセトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、γ-ブチロラクトンなど)、エステル類(脂肪酸メチルエステル(ヤシ油脂肪酸メチルエステル)、乳酸エチルヘキシル、炭酸プロピレン、二塩基酸メチルエステル(コハク酸ジメチルエステル、グルタミン酸ジメチルエステル、アジピン酸ジメチルエステル))、含窒素担体類(N-アルキルピロリドン類)、油脂類(ヤシ油、大豆油、菜種油など)、アミド系溶剤(ジメチルホルムアミド、(N,N-ジメチルオクタンアミド、N,N-ジメチルデカンアミド、5-(ジメチルアミノ)-2-メチル-5-オキソ-吉草酸メチルエステル、N-アシルモルホリン系溶剤(CAS No.887947-29-7など))、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルおよび水などを挙げることができる。
界面活性剤は、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル, ポリオキシエチレンジアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジルフェニル(またはフェニルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニル(またはフェニルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンエーテルおよびエステル型シリコンおよびフッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ならびにアルキルグリコシドなどが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルサルフェート、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンブロックポリマーサルフェートなどのサルフェート類の塩、パラフィン(アルカン)スルホネート、α-オレフィンスルホネート、ジアルキルスルホサクシネート、アルキルベンゼンスルホネート、モノまたはジアルキルナフタレンスルホネート、ナフタレンスルホネート・ホルマリン縮合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホネート、リグニンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテルスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸ハーフエステルなどのスルホネート類の塩、脂肪酸、N-メチル-脂肪酸サルコシネート、樹脂酸などの脂肪酸類の塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンモノまたはジアルキルフェニルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)化フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルホスフェート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ホスファチジルコリンホスファチジルエタノールイミン(レシチン)、およびアルキルホスフェートなどホスフェール類の塩などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、メチルポリオキシエチレンアルキルアンモニウムクロライド、アルキルN-メチルピリジウムブロマイド、モノまたはジアルキルメチル化アンモニウムクロライド、アルキルペンタメチルプロピレンジアミンジクロライドなどのアンモニウム塩類およびアルキルジメチルベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド(オクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)などのベンザルコニウム塩類が挙げられる。界面活性剤は、バイオサーファクタントを用いてもよい。バイオサーファクタントとしては、ラムノリピッド、サーファクチン、セロビオースリピッド、ソホロリピッド、マンノシルアルジトールリピッド、トレハロースリピッド、グルコースリピッド、オリゴ糖脂肪酸エステル、セラウエッチン、ライケンシン、アルスロファクチン、スピクルスポール酸、コリノミコール酸、アガリチン酸およびエマルザンなどが挙げられる。
その他の製剤用補助剤としては、pH調節剤としてのナトリウムおよびカリウムなどの無機塩類、フッ素系、シリコーン系の消泡剤、食塩などの水溶性の塩類、増粘剤として用いられるキサタンガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、デンプン誘導体および多糖類などの水溶性高分子、アルギン酸およびその塩、崩壊分散剤として用いられるステアリン酸金属塩、トリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、その他、防腐剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、薬害軽減剤ならびに劣化防止剤などが挙げられる。
製剤には、そのまま使用するものと水などの希釈剤で所定濃度に希釈して使用するものとがある。希釈して使用するときの化合物(I)の濃度は0.0001~1重量%の範囲が望ましい。化合物(I)の互変異性体についても同様である。
これらの製剤には有効成分として化合物(I)を、0.1~90重量%、より好ましくは0.2~50重量%含まれるように製剤する。また、化合物(I)の使用量は、畑、田、果樹園および温室などの農園芸地1haあたり、0.005~50kg、より好ましくは0.03~30kgである。化合物(I)の互変異性体についても同様である。これらの使用濃度および使用量は剤形、使用時期、使用方法、使用場所および対象植物などによっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することが可能である。
(他の有効成分)
本実施形態における植物生長調整剤は、既知の他の有効成分と組み合わせ、植物生長調整剤としての性能を高めて使用することもできる。既知の他の有効成分としては、既知の植物生長調節剤、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤および除草剤に含まれる有効成分を挙げることができる。
既知の植物生長調整剤の有効成分としては、例えば、酸化型グルタチオン、L-グルタミン酸、L-プロリン、アミノエトキシビニルグリシン、クロルメコート、クロルプロファム、シクラニリド、ジケグラック、ダミノジット、エテホン、フルルプリミドール、フルメトラリン、ホルクロルフェニュロン、ジベレリン、マレイン酸ヒドラジド塩、メピコートクロリド、メチルシクロプロペン、ベンジルアミノプリン、パクロブトラゾール、プロヘキサジオン、チジアズロン、トリブチルホスホロトリチオエート、トリネキサパックエチルおよびウニコナゾールなどが挙げられる。
殺菌剤用途に好適な有効な成分としては、例えば、ステロール生合成阻害化合物、ベンズイミダゾール系化合物、コハク酸脱水素酵素阻害化合物(SDHI系化合物)、ストロビルリン系化合物、フェニルアミド系化合物、ジカルボキシイミド系化合物、アニリノピリミジン系化合物、多作用点化合物、抗生物質、カーバメート系化合物、キノリン系化合物、有機リン系化合物、およびカルボキシアミド系化合物などが挙げられる。
ステロール生合成阻害化合物としては、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、ジニコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、メトコナゾール、イプコナゾール、ミクロブタニル、ペフラゾエート、ペンコナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、エポキシコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリチコナゾール、フルシラゾール、オキスポコナゾール、メフェントリフルコナゾール、イプフェントリフルコナゾール、1-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-5-(4-クロロベンジル)-2-(クロロメチル)-2-メチルシクロペンタン-1-オール、メチル 2-((1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル)-3-(4-クロロベンジル)-2-ヒドロキシ-1-メチルシクロペンタン-1-カルボキシレート、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、スピロキサミン、トリデモルフ、ブピリメート、フェナリモル、ピリフェノックス、ピリソキサゾール、ヌアリモル、エタコナゾール、ピペラリン、ナフティフィン、フェンピラザミン、フェンヘキサミド、タービナフィンおよびトリホリンなどが挙げられる。
ベンズイミダゾール系化合物としては、カルベンダジム、ベノミル、チアベンダゾール、チオファネート、チオファネートメチルおよびフベリダゾールなどが挙げられる。
コハク酸脱水素酵素阻害化合物(SDHI系化合物)としては、ビキサフェン、ベンゾビンジフルピル、ボスカリド、フルオピラム、フルトラニル、フルキサピロキサド、フラメトピル、イソフェタミド、イソピラザム、メプロニル、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、チフルザミド、フルインダピル、ピラジフルミド、ピジフルメトフェン、ピラジフルミド、ベノダニル、カルボキシン、ピラプロポイン、インピルフルクサム、イソフルシプラムおよびオキシカルボキシンが挙げられる。
ストロビルリン系化合物としては、アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロビン、フェナミストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、マンデストロビン、ピリベンカルブ、ピラオキシストロビン、ピラメトストロビン、フルフェノキシストロビン、エノキサストロビン、クモキシストロビン、トリクロピリカルブ、フェナミンストロビンおよびメチルテトラプロールなどが挙げられる。
フェニルアミド系化合物としては、ベナラキシル、ベナラキシルMまたはキララキシル、メタラキシル、メタラキシルMまたはメフェノキサムおよびオキサジキシルなどが挙げられる。
ジカルボキシイミド系化合物としては、プロシミドン、イプロジオンおよびビンクロゾリンなどが挙げられる。
アニリノピリミジン系化合物としては、シプロジニル、メパニピリムおよびピリメタニルなどが挙げられる。
多作用点化合物としては、マンコゼブ、マンゼブ、マンネブ、メチラム、プロピネブ、チラム(チウラム)、ジネブ、ジラム、アンバム、アニラジン、ジチアノン、フルアジナム、ペンシクロン、キントゼン、トリフルアニド、ドダイン、グアザチン、イミノクタジン(イミノクタジン酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩)、銅、銅化合物(例えば塩基性塩化銅、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、硫酸銅、有機銅(オキシン銅)、ノニルフェノールスルホン酸銅、DBEDCなど)、炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、金属銀、フェンチン、硫黄、鉱物油、重曹、炭酸カリウム、ファーバム、キャプタン、キャプタフォル、フルオロイミド、メタスルホカルブ、ジピメチトロン、クロロタロニル(TPN)およびフォルペットなどが挙げられる。
抗生物質としては、カスガマイシン、ポリオキシン、ストレプトマイシン、バリダマイシンおよびオキシテトラサイクリンなどが挙げられる。
カーバメート系化合物としては、ベンチアバリカルブ(ベンチアバリカルブイソプロピル)、ジエトフェンカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブおよびトルプロカルブなどが挙げられる。
キノリン系化合物としては、オキソリニック酸、ピロキロン、キノキシフェンおよびテブフロキンなどが挙げられる。
有機リン系化合物としては、ジノカップ、エジフェンフォス(EDDP)、ホセチル(ホセチル‐アルミニウム)、イプロベンホス(IBP)、メプチロジノカップおよびトルクロホスメチルなどが挙げられる。
カルボキシアミド系化合物としては、カルプロパミド、エタボキサム、フェノキサニル、シルチオファム、チアジニルおよびイソチアニルなどが挙げられる。
また、その他の殺菌剤用途の化合物として、アメトクトラジン、アミスルブロム、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、ジクロシメット、ジクロメジン、ファモキサドン、フェンアミドン、フェニトロパン、フルジオキソニル、フルオピコリド、フルスルファミド、フルチアニル、ハルピン、イソプロチオラン、イソニアニル、マンジプロパミド、メトラフェノン、オキサチアピプロリン、フサライド、プロキナジド、バリフェナレート、ゾキサミド、フェンピコキサミド、ピカルブトラゾックス、キノフメリン、ジメトモルフ、フルモルフ、ピリモルフ、フェリムゾン、アシベンゾラー(アシベンゾラル-S-メチル)、エトリジアゾール、ヒメキサゾール、プロベナゾール、トリシクラゾール、テクロフタラム、ヒドロキシイソキサゾール、フルオルイミド、ピリオフェノン、ジフルメトリム、キノメチオナート、アミノピリフェン、ジクロベンチアゾクス、ピリダクロメチル、イプフルフェノキン、フルオピモミド、フロリルピコキサミド、フルオキサピプロリン、フェンフラン、ビナパクリル、メプチルジノカップ、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、フララキシル、オフレース、ジメチリモール、エチリモール、オクチリノン、クロゾリネート、ジメタクロン、フェンピクロニル、ブラストサイジン、トリアゾキシド、ドジン、ピカルブトラゾクス、ピラゾホス、ビフェニル、クロロネブ、ジクロラン、テクナゼン(TCNB)、プロチオカルブ、ナタマイシン、ラミナリン、フルベネテラム、リン酸、リン酸塩、シイタケ菌糸体抽出物、および生物農薬(アグロバクテリウム・ラジオバクター、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモナス・ロデシア、バチルス・ズブチリス、バチルス・シンプレクス、バチルス・アミロリクエファシエンス、非病原性エルビニア・カロトボーラ、ラクトバチルス・プランタラム、バリオボラックス・パラドクスなど)などが挙げられる。
殺虫剤用途に好適な有効な成分としては、例えば、有機リン系化合物、カーバメート系化合物、ピレスロイド系化合物、ネライストキシン化合物、ネオニコチノイド化合物、ベンゾイル尿素化合物、その他昆虫成長制御化合物、有機塩素化合物、および天然物由来化合物などが挙げられる。
有機リン系化合物としては、アセフェート、アジンホス-メチル、カズサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルピリホス、シアノホス、デメトン-S-メチル、ダイアジノン、ジクロルボス(DDVP)、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エチオン、エトプロホス、EPN、フェナミホス、フエニトロチオン(MEP)、フェンチオン(MPP)、ホスチアゼート、イミシアホス、イソフェンホス、イソキサチオン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス、モノクロトホス、オメトエート、オキシデメトンメチル、パラチオン、パラチオン-メチル、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホキシム、ピリミホスメチル、プロフェノホス、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、キナルホス、テブピリムホス、テルブホス、トリアゾホスおよびトリクロルホン(DEP)などが挙げられる。
カーバメート系化合物としては、アラニカルブ、アルジカルブ、ベンフラカルブ、BPMC、カルバリル(NAC)、カルボフラン、カルボスルファン、カルタップ、フェノキシカルブ(BPMC)、フォルメタネート、イソプロカルブ(MIPC)、メチオカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカルブ、チオジカルブ、XMC、ベンダイオカルブ、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、フラチオカルブ、メトルカルブおよびキシリルカルブなどが挙げられる。
ピレスロイド系化合物としては、アクリナトリン、アレスリン、シペルメトリン、ビフェントリン、シクロプロトリン、シフルトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、ジメフルトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルブロシトリネート、フルシトリネート、フルバリネート、ハルフェンプロックス、シハロトリン、メトフルトリン、モンフルオロトリン、ペルメトリン、プロフルトリン、テフルトリン、トラロメトリン、シフルトリン、カッパービフェントリン、イミプロトリン、ピレトリン、クロロプラレトリン、イプシロンメトフルトリン、クロロプラレスリン、イプシロンモンフルオロトリンおよびシフェノトリンなどが挙げられる。
ネライストキシン化合物としては、カルタップ、ベンスルタップ、チオシクラム、モノスルタップおよびビスルタップなどが挙げられる。
ネオニコチノイド化合物としては、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、チアクロプリドおよびチアメトキサムなどが挙げられる。
ベンゾイル尿素化合物としては、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロンおよびトリフルムロンなどが挙げられる。
その他昆虫成長制御化合物としては、ブプロフェジン、クロマフェノジド、シロマジン、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジドおよびピリプロキシフェンなどが挙げられる。
有機塩素化合物としては、アルドリン、ディルドリン、エンドスルファン、メトキシクロル、リンダンおよびDDTなどが挙げられる。
天然物由来化合物としては、アバメクチン、バチルス・チューリンゲンシス菌由来の生芽胞および産生結晶毒素、並びにそれらの混合物、ベンスルタップ、エマメクチン安息香酸塩、レピメクチン、ミルベメクチン、スピネトラム、スピノサド、マシン油、デンプン、還元澱粉糖化物、ナタネ油、オレイン酸ナトリウム、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリドおよびリン酸第二鉄などが挙げられる。
また、その他の殺虫剤用途の化合物として、アベルメクチン、クロラントラニリプロール、テトラクロラントラニリプロール、クロルフェナピル、シアントラニリプロール、ジアフェンチウロン、エチプロール、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルエンスルホン、フルピラジフロン、インドキサカルブ、メタフルミゾン、メタアルデヒド、ピメトロジン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、シラフルオフェン、スピロテトラマト、スルホキサフロール、トルフェンピラド、アフィドピロペン、ブロフラニリド、シクラニリプロール、ジクロロメゾチアズ、フロメトキン、フルアザインドリジン、フルヘキサホン、フルキサメタミド、ピリプロール、テトラニリプロール、トリフルメゾピリム、メトプレン、チクロピラゾフロー(tyclopyrazoflor)、フルピリミン、スピロピジオン、ベンズピリモキサン、シハロジアミド、スルフラミド、イソシクロセラム、DNOC、ロテノン、ニコフルプロールおよびジムプロピリダズなどが挙げられる。
殺ダニ剤用途に好適な有効成分(殺ダニ活性成分)としては、例えばアセキノシル、アミドフルメット、アミトラズ、アゾシクロチン、ビフェナゼート、ブロモプロピレート、クロルフェンソン、キノメチオネート、フェニソブロモレート、ベンゾキシメート、クロフェンテジン、シエノピラフェン、シフルメトフェン、シヘキサチン、ジフロビダジン、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェンピロキシメート、フェノチオカルブ、フルアクリピリム、ヘキシチアゾクス、プロパルギット(BPPS)、ピフルブミド、ピリダベン、ピリミジフェン、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、テブフェンピラド、テトラジホン、アシノナピル、シエトピラフェン、フルペンチオフェノックスおよび調合油などが挙げられる。
殺線虫剤用途に最適な有効成分(殺線虫活性成分)としては、例えばD-D(1,3-ジクロロプロペン)、DCIP(ジクロロジイソプロピルエーテル)、メチルイソチオシアネート、カーバムナトリウム塩、カズサホス、ホスチアゼート、イミシアホス、酒石酸モランテル、塩酸レバミゾール、ネマデクチン、シクロブトリフルラムおよびチオキサザフェンなどが挙げられる。
除草剤用途に好適な有効な成分としては、例えば、アセト乳酸合成(ALS)阻害剤化合物、アミノ酸系化合物、シクロヘキサンジオン系化合物、アセトアミド系化合物、ビピリジリウム系化合物、アリルオキシフェノキシプロピオン酸系化合物、カーバメート系化合物、ピリジン系化合物、ウレア系化合物、ジニトロアニリン系化合物、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素(PPO)阻害化合物、フェノキシ酢酸系化合物、ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ酵素(HPPD)阻害化合物およびトリアジン系化合物などが挙げられる。
アセト乳酸合成(ALS)阻害剤化合物としては、イマザメタベンズおよびイマザメタベンズメチル、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピルアミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロンおよびベンスルフロンメチル、クロリムロンおよびクロリムロンメチル、クロスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロンおよびエタメトスルフロンメチル、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルセトスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロンおよびハロスルフロンメチル、イマゾスルフロン、ヨードスルフロンおよびヨードスルフロンメチル、メソスルフロン、メタゾスルフロン、メトスルフロンおよびメトスルフロンメチル、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロンおよびピリミスルフロンメチル、プロピリスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロンおよびピラゾスルフロンエチル、リムスルフロン、スルホメツロンおよびスルホメツロンメチル、スルホスルフロン、チフェンスルフロンおよびチフェンスルフロンメチル、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロンおよびトリフルスルフロンメチル、トリトスルフロン、ビスピリバックナトリウム、クロランスラムおよびクロランスラムメチル、ジクロスラム、フロラスラム、フルカルバゾンおよびその塩、フルメトスラム、メトスラム、オルトスルファムロン、ペノキススラム、プロポキシカルバゾンおよびその塩、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリミノバックメチル、ピリミスルファン、ピリチオバックおよびその塩、ピロキシスラム、チエンカルバゾンおよびチエンカルバゾンメチルならびにトリアファモンなどが挙げられる。
アミノ酸系化合物としては、ビアラホスおよびその塩、グルホシネートおよびその塩、グルホシネートPおよびその塩ならびにグリホサートおよびその塩などが挙げられる。
シクロヘキサンジオン系化合物としては、ブトロキシジム、クレトジム、シクロキシジム、プロホキシジム、セトキシジム、テプラロキシジムおよびトラルコキシジムなどが挙げられる。
アセトアミド系化合物としては、ナプロパミド、ジメタクロール、ペトキサミド、アセトクロール、アラクロール、ブタクロール、ジメテナミドおよびジメテナミドP、メタザクロール、メトラクロールおよびS-メトラクロール、プレチラクロール、プロパクロール、テニルクロール、フルフェナセットならびにメフェナセットなどが挙げられる。
ビピリジリウム系化合物としては、ジクワットおよびパラコートなどが挙げられる。
アリルオキシフェノキシプロピオン酸系化合物としては、クロジナホップおよびクロジナホッププロパルギル、シハロホップブチル、ジクロホップおよびジクロホップメチルおよびジクロホップPメチル、フェノキサプロップおよびフェノキサプロップエチルおよびフェノキサプロップPエチル、フルアジホップおよびフルアジホップブチルおよびフルアジホップPブチル、ハロキシホップおよびハロキシホップメチルおよびハロキシホップPメチル、メタミホップ、プロパキザホップならびにキザロホップおよびキザロホップエチルおよびキザロホップPエチルおよびキザロホップPテフリルなどが挙げられる。
カーバメート系化合物としては、アシュラム、カルベタミド、デスメディファム、フェンメディファム、ブチレート、EPTC、エスプロカルブ、モリネート、オルベンカルブ、プロスルホカルブ、ピリブチカルブ、チオベンカルブ(ベンチオカーブ)およびトリアレートなどが挙げられる。
ピリジン系化合物としては、アミノピラリド、クロピラリド、ジフルフェニカン、ジチオピル、フルリドン、フルロキシピル、ハロウキシフェン、ピクロラムおよびその塩、ピコリナフェン、チアゾピルならびにトリクロピルおよびその塩などが挙げられる。
ウレア系化合物としては、クロロトルロン、ダイムロン、ジウロン(DCMU)、フルオメツロン、イソプロツロン、リニュロン、メタベンズチアズロン、テブチウロン、クミルロン、カルブチレートおよびイソウロンなどが挙げられる。
ジニトロアニリン系化合物としては、ベンフルラリン(ベスロジン)、ブトラリン、エタルフルラリン、オリザリン、ペンディメタリン、プロジアミンおよびトリフルラリンなどが挙げられる。
プロトポルフィリノーゲン酸化酵素(PPO)阻害化合物としては、アシフルオルフェン、アクロニフェン、アザフェニジン、ビフェノックス、クロメトキシニル、エトキシフェンおよびエトキシフェンエチル、ホメサフェン、フルアゾレート、フルオログリコフェンおよびフルオログリコフェンエチル、ハロサフェン、ラクトフェン、オキシフルオルフェン、ブタフェナシル、カルフェントラゾンおよびカルフェントラゾンエチル、シニドンエチル、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン、フルチアセットおよびフルチアセットメチル、オキサジアルギル、オキサジアゾン、ペントキサゾン、ピラクロニル、ピラフルフェンおよびピラフルフェンエチル、サフルフェナシル、スルフェントラゾン、チジアジミン、ベンズフェンジゾン、プロフルアゾールならびにフルフェンピルエチルなどが挙げられる。
フェノキシ酢酸系化合物としては、2,4-Dおよびその塩、2,4-DBおよびその塩、クロメプロップ、ジクロルプロップ、MCPAおよびその塩、MCPBおよびその塩ならびにメコプロップ(MCPP)およびその塩およびメコプロップPおよびその塩などが挙げられる。
ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ酵素(HPPD)阻害化合物としては、ベンゾビシクロン、ベンゾフェナップ、ビシクロピロン、イソキサフルトール、メソトリオン、ピラスルホトール、ピラゾリネート(ピラゾレート)、ピラゾキシフェン、スルコトリオン、テフリルトリオン、テンボトリオン、トプラメゾン、フェンキノトリオンおよびトルピラレートなどが挙げられる。
トリアジン系化合物としては、アメトリン、アトラジン、シアナジン、ジメタメトリン、ヘキサジノン、インダジフラム、メタミトロン、メトリブジン、プロメトリン、シマジン(CAT)、シメトリン、テルブチラジン、テルブトリンおよびトリアジフラムなどが挙げられる。
また、その他の除草剤用途の化合物として、アミカルバゾン、アミノシクロピラクロル、アミノトリアゾール、アニロホス、ベフルブタミド、ベナゾリン、ベンフレセート、ベンタゾン、ブロマシル、ブロモブチド、ブロモキシニル、ブタミホス、カフェンストロール、クロリダゾン(PAC)、クロルタール、クロマゾン、クミルロン、ジカンバ(MDBA)およびその塩、ジクロベニル(DBN)、ジフェンゾコート、ジフルフェンゾピル、エンドタールおよびその塩、エトフメセート、エトベンザニド、フェノキサスルホン、フェントラザミド、フルポキサム、フルオロクロリドン、フルルタモン、インダノファン、アイオキシニル、イプフェンカルバゾン、イソキサベン、レナシル、メチルアルソン酸、ナプタラム、ノルフルラゾン、オキサジクロメホン、ピノキサデン、プロパニル、プロピザミド、ピリデート、ピロキサスルホン、プロマシル、キンクロラック、キンメラック、キノクラミン、ターバシル、シクロピリモレート、フロルピローキシフェンベンジル(Florpyrauxifen-benzyl)、ランコトリオン(Lancotrione)、エピリフェナシル、ジメスルファゼット、テトフルピロリメトおよびその塩、チアフェナシル、トリフルジモキサジン、テトラピオン(フルプロパネート)およびその塩ならびにd-リモネンなどが挙げられる。
〔植物の生長促進方法〕
本実施形態における植物生長調整剤は、例えば、畑、水田、芝生、および果樹園などの農耕地または非農耕地において使用することができる。また、本実施形態における植物生長調整剤は、あらゆる施肥法によって使用することができ、例えば、茎葉散布、給水への混入、土壌への散布、注入機を用いた下層土までの注入、球根および塊茎などへの処理を含む種子処理、ならびに植物への直接施肥などの方法で使用できる。したがって、本実施形態における植物生長促進方法は、上述の植物生長調整剤を用いて施肥を行う手順を含む。
給水への混入による施用では、例えば、作物への給水または水田の田面水に粒剤などを投与することによって行う。一例において、給水中の有効成分の濃度は、0.5~500mg/Lであり、好ましくは1~300mg/Lである。また、田面水に投与する場合の有効成分の使用量は、水田10aあたり例えば0.5~5000gであり、好ましくは3~3000gである。
茎葉散布あるいは土壌への散布による施用では、例えば、苗の移植時などに植穴またはその周辺に粒剤などを処理したり、種子、植物体または植物体の周囲の土壌に粒剤および水和剤などを処理したりすることによって行う。また、土壌への散布の後、土と撹拌することが好ましい場合がある。茎葉散布または土壌表面へ散布する場合の有効成分の使用量は、農園芸地1mあたり例えば0.5~5000mgであり、好ましくは3~3000mgである。
種子処理による施用では、水和剤および粉剤などを種子と混合し攪拌することにより、あるいは希釈した水和剤などに種子を浸漬することにより、薬剤を種子に付着させる。また、種子処理には、種子コーティング処理も含まれる。種子処理の場合の有効成分の使用量は、種子100kgに対して例えば0.005~10000gであり、好ましくは0.05~1000gである。農園芸用薬剤で処理した種子については、通常の種子と同様に利用すればよい。
なお、使用濃度および使用量は、剤形、使用時期、使用方法、使用場所および対象作物などによっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することが可能である。以上説明したように、化合物(I)およびその互変異性体は、広範な植物に対して優れた生長促進効果を示す。
〔植物生長調整剤の利用〕
本実施形態における植物生長調整剤は、上述の通り、処理した植物において、優れた生長促進効果を呈する。そのため、本実施形態における植物生長調整剤は、例えば、バイオスティミュラントおよび肥料として利用することができる。また、土壌改良剤および農薬などに混合して利用してもよい。
なお、「肥料」とは、植物に対して栄養素を供給することまたは土壌に化学変化をもたらすことを目的として、植物または土壌に作用するものを主に意図している。また、「バイオスティミュラント」とは、作物の活力、収量および品質などの改善を目的として、植物に対して、栄養素とは異なる経路を通じて植物生理に作用するものを主に意図している。
〔まとめ〕
上述の通り、本発明に係る植物生長調整剤は、下記式(I)で示される化合物もしくはその互変異性体、またはそれらの農薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む。
Figure 0007378473000004
式(I)中、RおよびRは、独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表し、R~Rは、独立して炭素数1~4のアルキル基を表す。
また、本発明に係る植物生長調整剤は、上記式(I)で示される化合物またはその農薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むことが好ましい。
また、本発明に係る植物生長調整剤は、前記式(I)中、RおよびRのうち少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。
また、本発明に係る植物生長調整剤は、前記式(I)中、RおよびRが水素原子であり、R~Rがメチル基であることが好ましい。
また、本発明に係る植物生長調整剤は、前記式(I)で示される化合物が、L-(+)-エルゴチオネインであることが好ましい。
また、本発明に係る植物の生長促進方法は、上記式(I)で示される化合物もしくはその互変異性体、またはそれらの農薬学的に許容可能な塩で植物を処理することを含む。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
(実施例1)
・サンプル
幅65mm、奥行き65mm、高さ70mmのプラスチックポットに、1ポットあたり3個体のシロイヌナズナ(Col-O)を播種した。直径160mm、高さ28mmのプラスチック製深皿を用意し、3ポット設置した。土壌として、バーミキュライト100mL、粒状培土(JA粒状くみあい合成培土3号)50mLおよびバーミキュライト50mLをこの順にポットに入れた。
・管理条件
室温25℃に設定した恒温室内で、明期16時間、暗期8時間とした。光条件は、蛍光灯(日本医科器械製、植物育成用LED蛍光灯 プラントレック 40W型電球色)を用いて、蛍光灯照射下の中心部において光強度5000lxとなるように設定した。給水は下部給水とし、水位を約5mmとした。播種後4週目からエルゴチオネイン処理を開始した。より具体的には、播種後21日目、23日目、25日目および27日目では、給水に替えて、1mM L-(+)-エルゴチオネイン(Cayman Chemical社製)水溶液50mLを添加した。
・検証
播種後37日目に、草丈(cm)およびシロイヌナズナ1個体当たりの花ならびに実の数を調べた。結果を表1に示す。
(比較例1)
水溶液中のL-(+)-エルゴチオネインを酸化型グルタチオン(和光純薬社製)とした以外は、実施例1と同様に操作を行った。
(比較例2)
L-(+)-エルゴチオネイン水溶液を蒸留水とした以外は、実施例1と同様に操作を行った。
(実施例2)
・サンプル
直径60mm、高さ55mmのプラスチックポットに、1ポットあたり1個体のシロイヌナズナ(Col-O)を播種した。直径160mm、高さ28mmのプラスチック製深皿を用意し、6ポット設置した。土壌として、バーミキュライト45mL、粒状培土(JA粒状くみあい合成培土3号)22.5mL、およびバーミキュライト22.5mLをこの順にポットに入れた。
・管理条件
室温を22℃とした以外は、実施例1と同様にした。
・検証
播種後85日目に種子を収穫し、種子収穫量(mg/個体)を調べた。結果を表2に示す。
(実施例3)
L-(+)-エルゴチオネイン水溶液の濃度を0.1mMとした以外は、実施例2と同様に操作を行った。
(実施例4)
L-(+)-エルゴチオネイン水溶液の濃度を0.01mMとした以外は、実施例2と同様に操作を行った。
(比較例3)
水溶液中のL-(+)-エルゴチオネインを酸化型グルタチオン(和光純薬社製)とした以外は、実施例2と同様に操作を行った。
(比較例4)
水溶液中のL-(+)-エルゴチオネインをL-グルタミン酸(和光純薬社製)とした以外は、実施例2と同様に操作を行った。
(比較例5)
水溶液中のL-(+)-エルゴチオネインをL-プロリン(和光純薬社製)とした以外は、実施例2と同様に操作を行った。
(比較例6)
L-(+)-エルゴチオネイン水溶液を蒸留水とした以外は、実施例2と同様に操作を行った。
(実施例5)
・サンプル
実施例2と同様に操作を行った。
・管理条件
室温を22℃とし、L-(+)-エルゴチオネインを播種後2週目から、より具体的には8日目、10日目、12日目および14日目に添加した以外は、実施例1と同様に操作を行った。
・検証
播種後82日目に種子を収穫し、種子収穫量(mg/個体)を調べた。結果を表3に示す。
(実施例6)
L-(+)-エルゴチオネインを播種後4週目から、より具体的には22日目、24日目、26日目および28日目に添加した以外は、実施例5と同様に操作を行った。
(比較例7)
水溶液中のL-(+)-エルゴチオネインを酸化型グルタチオンとして、播種後4週目から、より具体的には22日目、24日目、26日目および28日目に添加した以外は、実施例5と同様に操作を行った。
(比較例8)
L-(+)-エルゴチオネイン水溶液を蒸留水とした以外は、実施例5と同様に操作を行った。
(分析)
実施例1、比較例1および比較例2の「草丈」と「花および実」とについて、比較例2の結果に対する割合を「Ratio」としてそれぞれ表1に示した。また、実施例2~実施例4および比較例3~比較例6の「種子収穫量」について、比較例6の値を1とした場合の割合を「Ratio」としてそれぞれ表2に示した。同様に、実施例5、実施例6、比較例7および比較例8の「種子収穫量」について、比較例8の値を1とした場合の割合を「Ratio」としてそれぞれ表3に示した。
Figure 0007378473000005
Figure 0007378473000006
Figure 0007378473000007

Claims (2)

  1. 下記式(I)で示される化合物もしくはその互変異性体、またはそれらの農薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、種子収量増強剤。
    (式(I)中、RおよびRは、独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表し、R~Rは、独立して炭素数1~4のアルキル基を表す。)
  2. 下記式(I)で示される化合物もしくはその互変異性体、またはそれらの農薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、花数増強剤。
    (式(I)中、RおよびRは、独立して水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表し、R~Rは、独立して炭素数1~4のアルキル基を表す。)
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