JP7377513B2 - アルゼンチンアリ防除用毒餌剤 - Google Patents

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Description

本発明は、アルゼンチンアリ防除用毒餌剤に関する。
アルゼンチンアリ(Linepithema humile)は、ハチ目アリ科カタアリ亜科アルゼンチンアリ属に分類されるアリの一種であり、侵入した地域のアリを駆逐根絶して、生態系を破壊することから、特定外来生物に指定されている。
アルゼンチンアリを防除するための毒餌剤が開発され実用に供されている。例えば特許文献1にはアルゼンチンアリへの防除が可能な毒餌剤の処方として、蛹粉、砂糖、デンプン、および水等のアルゼンチンアリを誘引するための誘引成分、および防除成分を含有する処方が開示されている。
特開2017-8015号公報
上記したように、毒餌剤にはタンパク質、糖類、炭水化物等の誘引成分および水が含有されていることから保管時または使用時にカビが発生することがある。
本発明は、長期に亘りカビの発生がなく、さらにはアルゼンチンアリへの喫食性が高いアルゼンチンアリ防除用毒餌剤を提供することを課題とする。
本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果本発明に至った。すなわち、本発明は
〔1〕アルゼンチンアリ用誘引性成分、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメートおよびアルゼンチンアリ防除成分を含有することを特徴とするアルゼンチンアリ防除用毒餌剤。
〔2〕アルゼンチンアリ用誘引性成分および3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメートを含有することを特徴とするアルゼンチンアリ防除用誘引剤。
を提供する。
本発明によれば、カビの発生を伴うことなく長期間保管が可能で、さらにはアルゼンチンアリに対して優れた喫食性を有するアルゼンチンアリ防除用毒餌剤を提供することができ、かかる毒餌剤を使用することにより効果的にアルゼンチンアリを防除することが可能となる。
本発明のアルゼンチンアリ防除用毒餌剤に使用される誘引性成分としては、動物性タンパク質粉、穀物粉、澱粉、糖類、植物性油などが挙げられ、通常、これらを単独、または2種以上を、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメートと水の存在下に混練して得られる製剤(以下、誘引剤と記す)として使用される。前記誘引剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調整すればよい。
前記動物性タンパク質粉としては、例えば、蛹粉、魚粉、オキアミ粉、エビ粉、ミミズ粉、昆虫の成虫の粉などが挙げられる。前記穀物粉としては、トウモロコシ粉、ジャガイモ粉、サツマイモ粉、タピオカ粉、小麦粉、大麦粉、米粉などが挙げられる。前記澱粉としては、バレイショ澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチなどが挙げられる。前記糖類としては、ブドウ糖、果糖などの単糖類、ショ糖、麦芽糖などの二糖類、水あめ、デキストリン、ソルビトール、糖蜜などが挙げられる。植物性油としては、ゴマ油、落花生油、オリーブ油、ヤシ油、ゴマ油、大豆油、ベニハナ油、なたね油などが挙げられる。
前記誘引剤において、各成分の含有量は適宜設計すればよいが、通常、誘引剤全体量に対し動物性タンパク質粉を10~25重量%、穀物粉を10~30重量%、澱粉を10~30重量%、糖類を5~30重量%、植物性油を1~15重量%、水を15~50重量%の範囲とする。
本発明のアルゼンチンアリ防除用毒餌剤に使用される3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメートは、アルゼンチンアリ防除用毒餌剤全体量に対し0.01~0.5重量%の範囲とする。
本発明のアルゼンチンアリ防除用毒餌剤に使用される防除成分としては、フェニルピラゾール系化合物、ネオニコチノイド系化合物、アミジノヒドラ化合物、カーバメート系化合物、有機リン系化合物、ホウ酸、および昆虫成長制御物質が挙げられる。
前記フェニルピラゾール系化合物としては、アセトプロール、エチプロール、フィプロニル、ピリプロールなどが挙げられる。前記ネオニコチノイド系化合物としては、クロチアニジン、ニテンピラム、イミダクロプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、アセタミプリド、ジノテフランなどが挙げられる。前記アミジノヒドラ化合物としては、ヒドラメチルノンが挙げられる。前記カーバメート系化合物としては、フェノブカルブ、メトキサジアゾン、イソプロカルブ、キシリルカルブ、メトルカルブ、カルバリル、プロポクスルなどが挙げられる。前記有機リン系化合物としては、アセフェート、ブタチオホス、キャドサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、シアノホス、DCIP、ジクロフェンチオン、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、EPN、エトプロホス、エトリムホス、フェンチオン、フェニトロチオンなどが挙げられる。前記昆虫成長制御物質としては、ピリプロキシフェン、ジフルベンズロン、フェノキシカルブなどが挙げられる。前記防除成分は単独、または2種以上使用することができ、2種以上の例としては、フィプロニルとピリプロキシフェンの組合せが挙げられる。
前記防除成分の含有量は、防除成分の種類によって適宜設計されるが、防除成分が有機化合物の場合は、通常、アルゼンチンアリ防除用毒餌剤全体量に対し0.001~1重量%、またホウ酸の場合は、通常、アルゼンチンアリ防除用毒餌剤全体量に対し1~30重量%とする。
本発明のアルゼンチンアリ防除用毒餌剤には、さらに他の成分を含有させてもよく、そのような他の成分としては、増粘剤、酸化防止剤、乳化剤、香料、誤食防止剤、粘度調整剤、防腐剤、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート以外の防カビ剤などが挙げられる。前記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩、キサンタンガム、カラギーナン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチンなどが挙げられる。前記酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸などが挙げられる。前記乳化剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。前記誤食防止剤としては、安息香酸デナトニウム、アマランス、エリスロシンなどが挙げられる。前記粘度調整剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、分子量150~2000のポリエチレングリコールなどが挙げられる。前記防腐剤とは細菌の発生を防ぐために使用され、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オン(以下、BITと称す)などが挙げられる。前記防カビ剤としては、チアベンダゾールを使用することが特に好ましい。
本発明のアルゼンチンアリ防除用毒餌剤は、前記のようにして調製された誘引剤と防除成分とを公知の混練機械により混練し、その後、前記混練物を押出機によって所定の形状に押出すか刃物などで切断するなどすることにより、例えば、顆粒状、ペースト状、塊状のアルゼンチンアリ防除防除用毒餌剤として得ることができる。あるいは、前記混練物を公知の打錠機を使用して錠剤状のアルゼンチンアリ防除用毒餌剤とすることもできる。
本発明のアルゼンチンアリ防除用毒餌剤は、例えば、側面に開口部を有する容器に収容して、アルゼンチンアリが生息する場所に設置して使用することができる。
以下に実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔アルゼンチンアリ防除用誘引剤の調整〕
製剤例1
カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学社製)2.5重量部、砂糖(三井製糖社製)20重量部、バレイショデンプン(関東化学社製)20重量部、サナギ粉(マルキュー社製)15重量部、チアベンダゾール(関東化学社製、以下TBZと称す)0.25重量部、落花生油(関東化学社製)5重量部、グリセリン(関東化学社製)10重量部、を混合して得た混合物に3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメートが0.01重量部となるように加えて混合し、さらに夫々の混合物に全体量が100部となるように水を加えて混練し誘引剤を得た。(以下、製剤例1と称す。)
比較製剤例1
カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学社製)2.5重量部、砂糖(三井製糖社製)20重量部、バレイショデンプン(関東化学社製)20重量部、サナギ粉(マルキュー社製)15重量部、TBZ0.25重量部、落花生油(関東化学社製)5重量部、グリセリン(関東化学社製)10重量部、を混合して得た混合物に全体量が100部となるように水を加えて混練し誘引剤を得た。(以下、比較製剤例1と称す)。
〔防カビ試験〕
比較製剤例1の誘引剤をポリプロピレン製袋に入れ25℃の室内で6カ月保管した結果、カビの発生が認められたので顕微鏡で同定したところ、Eurotium sp.およびAspergillus sp.であることが確認できた。
JIS Z2911に準じて前記カビをイオン交換水で懸濁した後、胞子数10~10個/mLの胞子数懸濁液を調整した。
そして、製剤例1の誘引剤25gをシャーレに入れ、前記胞子懸濁液0.5mLを製剤例1に滴下して、26℃・相対湿度95%の恒温恒湿機内で2週間インキュベートした。
その後、該シャーレに再度、前記胞子懸濁液0.5mLを滴下し、26℃・相対湿度95%の恒温恒湿機内でさらに2週間インキュベートした。このような操作を3回繰り返し、各回毎に検体のカビの発生の有無を顕微鏡で確認したが、すべてにおいてカビの発生は確認できなかった。
〔喫食性試験〕
製剤例1および比較製剤例1の誘引剤1gを夫々、側面が開放した容器に入れたものを3つずつ準備した。アルゼンチンアリの生息地を3地点探し出し、各地点毎に製剤例1の誘引剤が入った容器と比較製剤例1の誘引剤が入った容器を、容器間隔が約40cmとなるように設置、4時間後に回収して該アリによる喫食量を測定した。表1に結果を示す。
〔表1〕
Figure 0007377513000001
〔毒餌剤の作成〕
製剤例1の誘引剤において、防除成分としてフィプロニル(東京化成工業社製)を0.02重量%、ピリプロキシフェン(住友化学社製)を0.1重量%添加混練し、本発明のアルゼンチンアリ防除用毒餌剤1を得た。
製剤例1の誘引剤において、防除成分としてジノテフラン(東京化成工業社製)を0.1重量%、ピリプロキシフェン(住友化学社製)を0.1重量%添加し、本発明のアルゼンチンアリ防除用毒餌剤2を得た。
製剤例1の誘引剤において、防除成分としてヒドラメチルノン(富士フィルム和光純薬社製)を0.4重量%、ピリプロキシフェン(住友化学社製)を0.1重量%添加し、本発明のアルゼンチンアリ防除用毒餌剤3を得た。
〔毒餌剤試験1〕
アルゼンチンアリ10頭を円筒状ポリカップ(底面の内径10cm、高さ10cm)に放し、10%砂糖水を含ませた脱脂綿を設置した。そして1.0gの前記アルゼンチンアリ防除用毒餌剤1をカップ内に設置し、25℃条件下に置き、48時間経過後の死虫数を観察した。試験は3反復実施した。いずれの試験においてもアルゼンチンアリが全頭致死していることを確認した。
〔毒餌剤試験2〕
アルゼンチンアリ10頭を円筒状ポリカップ(底面の内径10cm、高さ10cm)に放し、10%砂糖水を含ませた脱脂綿を設置した。そして1.0gの前記アルゼンチンアリ防除用毒餌剤2をカップ内に設置し、25℃条件下に置き、48時間経過後の死虫数を観察した。試験は3反復実施した。いずれの試験においてもアルゼンチンアリが全頭致死していることを確認した。
〔毒餌剤試験3〕
アルゼンチンアリ10頭を円筒状ポリカップ(底面の内径10cm、高さ10cm)に放し、10%砂糖水を含ませた脱脂綿を設置した。そして1.0gの前記アルゼンチンアリ防除用毒餌剤3をカップ内に設置し、25℃条件下に置き、48時間経過後の死虫数を観察した。試験は3反復実施した。いずれの試験においてもアルゼンチンアリが全頭致死していることを確認した。


Claims (1)

  1. アルゼンチンアリ防除用誘引成分、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメートおよび防除成分を含有することを特徴とするアルゼンチンアリ防除用毒餌剤。
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