以下、本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。なお、以下のフローチャートに含まれる各処理の順序は、特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、フローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同である。また、フローチャートに含まれる各処理の一部が実行されなくてもよいし、フローチャートを構成する各処理に新たな処理を追加してもよい。
図1は、本発明の実施の形態にかかるシステムの構成を示すブロック図である。図示するように、システムは、入居者端末1と、サーバ装置2と、通信ネットワーク3と、管理者端末4と、施工者端末5と、保証者端末6とから構成されている。なお、以下では、本発明の実施の形態にかかるシステムを、退去支援システムと表す場合がある。
入居者端末1は、賃貸物件の入居者により操作される。入居者端末1は、通信ネットワーク3を介してサーバ装置2と通信接続が可能である。また、退去支援システムは、複数の入居者端末1から構成されていてもよい。なお、賃貸物件のことを、以下では「物件」と表す場合がある。
管理者端末4は、物件を管理する管理者(例えば、物件の管理会社の担当者や、物件の所有者)が操作するものであり、据え置き型で管理会社のオフィス等に設置されたものでもよく、携帯型で管理者が移動する際に管理者に携帯されたものでもよい。
施工者端末5は、管理者からの依頼により退去後の賃貸物件の補修等を行い、賃貸物件を次の入居者が入居できる状態に回復する施工者(施工会社の担当者)が操作するものであり、管理者端末4と同様に、据え置き型で施工会社のオフィス等に設置されたものでもよく、携帯型で施工者が移動する際に施工者に携帯されたものでもよい。
保証者端末6は、入居者が支払う賃貸物件の家賃や、入居者が賃貸物件を退去する際に、賃貸物件の管理者が、入居者に請求する費用(退去費用ともいう)を代位弁済することを保証する家賃保証者が操作するものであり、管理者端末4と同様に、据え置き型で保証会社のオフィス等に設置されたものでもよく、携帯型で家賃保証者が移動する際にも家賃保証者に携帯されたものでもよい。
管理者端末4、施工者端末5、及び保証者端末6は、入居者端末1と同様に、通信ネットワーク3を介してサーバ装置2と通信接続が可能である。また、退去支援システムは、複数の管理者端末4、複数の施工者端末5、及び複数の保証者端末6から構成されていてもよい。
なお、ここで、家賃保証者とは、例えば、入居者に代わって、家賃や退去費用の支払いを行う代位弁済することを入居者と契約している家賃保証会社、家賃保証会社の従業者又は家賃保証会社から委託を受けた者をいう。家賃保証者は、入居者が家賃や退去費用を支払うことができない場合や支払いが遅れた場合に、入居者に代わり、それらの家賃や退去費用を物件の管理者に支払う。そのため、物件の管理者は、賃貸経営の収入について不安を解消できる。なお、入居者は保証人を立てることなく物件を借りることができる。
また、退去費用とは、退去に際して、入居者が管理者に支払う必要のある費用のことであり、入居者が負担すべき費用のことをいう。退去費用には、退去する物件を次の入居者に引き渡すことができる状態にするために必要な原状回復費(修繕費、補修費用ともいう)を含む。また、退去費用は、原状回復費等に、別途賃貸契約書の特約条項で定められた固定費、未払いの家賃、退去月の家賃、敷金等を加算又は減算して算定される。家賃保証者が家賃及び退去費用を保証する契約を入居者と結んでいる場合、退去費用は、入居者が家賃保証者から請求される費用ともいえる。つまり、退去費用は、家賃保証者が代位弁済する費用でもある。
退去支援システムは、管理者端末4及び施工者端末5の両方を備えるものであってもよく、管理者端末4又は施工者端末5のいずれか一方のみを備えるものであってもよい。
入居者端末1は、表示画面と入力部を有するコンピュータ装置であれば特に限定されないが、例えば、従来型の携帯電話、タブレット型端末、スマートフォン、デスクトップ型・ノート型のパーソナルコンピュータ等が挙げられる。管理者端末4、施工者端末5、及び保証者端末6も、同様に、表示画面と入力部を有するコンピュータ装置であれば特に限定されない。
図2は、本発明の実施の形態にかかる入居者端末の構成を示すブロック図である。入居者端末1は、制御部11、RAM12、ストレージ部13、グラフィックス処理部14、通信インタフェース15、インタフェース部16からなり、それぞれ内部バスにより接続されている。
制御部11は、CPUやROMから構成される。制御部11は、ストレージ部13に格納されたプログラムを実行し、入居者端末1の制御を行う。RAM12は、制御部11のワークエリアである。ストレージ部13は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。制御部11は、プログラム及びデータをRAM12から読み出して処理を行う。制御部11は、RAM12にロードされたプログラム及びデータを処理することで、描画命令をグラフィックス処理部14に出力する。
グラフィックス処理部14は表示部18に接続されている。表示部18は表示画面19を有している。制御部11が描画命令をグラフィックス処理部14に出力すると、グラフィックス処理部14は、表示画面19上に画像を表示するためのビデオ信号を出力する。ここで、表示部18はタッチセンサを備えるタッチパネルであってもよい。
通信インタフェース15は無線又は有線により通信ネットワーク3に接続が可能であり、通信ネットワーク3を介して、サーバ装置2とデータを送受信することが可能である。通信インタフェース15を介して受信したデータは、RAM12にロードされ、制御部11により演算処理が行われる。インタフェース部16には外部メモリ17(例えば、SDカード等)が接続されている。
管理者端末4、施工者端末5、及び保証者端末6は、入居者端末1と同様の構成を有するものであり、例えば、制御部、RAM、ストレージ部、グラフィックス処理部、通信インタフェース、インタフェース部からなり、それぞれ内部バスにより接続されている。
図3は、本発明の実施の形態にかかるサーバ装置の構成を示すブロック図である。サーバ装置2は、制御部21、RAM22、ストレージ部23及び通信インタフェース24を少なくとも備え、それぞれ内部バスにより接続されている。
制御部21は、CPUやROMから構成され、ストレージ部23に格納されたプログラムを実行し、サーバ装置2の制御を行う。また、制御部21は時間を計時する内部タイマを備えている。RAM22は、制御部21のワークエリアである。ストレージ部23は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。制御部21は、プログラム及びデータをRAM12から読み出し、入居者端末1等から受信した情報等をもとに、プログラム実行処理を行う。
なお、本発明の実施の形態において、サーバ装置2にて、各種情報の保存、各種情報の送受信、費用算定等を実行する態様について説明するが、サーバ装置2にかえて、ブロックチェーンによる分散型台帳技術によって達成されてもよい。ブロックチェーンネットワークはプライベートネットワークとして構築してもよいし、パブリックネットワークとして構築してもよい。ブロックチェーンによって情報を管理することにより、セキュリティを保持し、システムの利用者に対してデータが改ざんされていないことを証明できる。
入居者は、退去支援システムを利用する前に、賃貸している物件から退去することを、物件の管理者へ申請する。入居者は、例えば、物件名、部屋番号、契約者、契約者の連絡先、退去予定日、契約終了希望日等の必要な情報を記入した申請書を、FAXや郵送、eメールにて管理者へ提出する。
申請書の提出を受けた管理者は、入居者が、退去支援システムを利用するためのアプリケーションプログラムをダウンロードできるように、該プログラムのダウンロードが可能なWebサイトのURLを発行し、入居者又は家賃保証者へそのURLを伝える。入居者又は家賃保証者は、入居者端末1又は保証者端末6を操作して、発行されたURLへアクセスし、退去支援システムを利用するためのアプリケーションプログラムをダウンロードすることができる。
なお、入居者の居住年数が所定の期間以上である場合は、URLを発行しないこととしてもよい。居住年数が長い場合は、入居時に発生したキズや破損も多くなる傾向にあるため、退去支援システムを利用せずに、入居者と管理者の立ち合いのもと、物件の引き渡し手続きを行うことが好ましい場合もあるためである。
入居者は、退去予定日、或いは、退去予定日よりも前に、物件から所有物等を引き払い、退去の手続きを行う。退去予定の入居者は、ダウンロードした退去支援システムを利用して、退去を完了するための手続きと退去費用の清算の手続きを行う。
[退去支援処理]
まず、退去支援システムにおける退去支援処理について、説明する。図4は、本発明の実施の形態にかかる退去支援システムにおける退去支援処理のフローチャートを表す図である。
まず、入居者は、退去前に、入居者端末1にダウンロードされたアプリケーションプログラムを起動し、サーバ装置2へアクセスすることで、退去支援システムにログインをする。そして、入居者端末1にて物件に関する情報を入力する情報入力処理が実行される(ステップS1)。情報入力処理では、入居者が入居前に物件の管理者と契約した特約条項を含む賃貸契約に関する情報や物件内のキズ、汚れ、及び/又は破損等に関する情報を入力する。情報入力処理により入力された情報は、物件(例えば、物件名又は物件を識別可能な物件ID)若しくは入居者(例えば、氏名又は入居者を識別可能な入居者ID)と関連付けて、又は、物件及び入居者と関連付けて、サーバ装置2のストレージ部23にて記憶される。情報入力処理の詳細については、後述する。
なお、以下では、入居者端末1にて、情報入力処理を実行する場合について説明をするが、入居者端末1に代えて、保証者端末6にて情報入力処理を実行してもよい。
次に、ステップS1にて入力された情報に基づいて、サーバ装置2において、第1見積もりを算定する第1見積算定処理が実行される(ステップS2)。第1見積もりの算定は、特に限定されないが、所定のルールに沿って行われる。所定のルールの詳細については後述する。算定された第1見積もりの内容は、入居者端末1に表示される。「第1見積もり」は、情報入力処理により入力された情報、及び/又は、入居者が入居する際に管理者や家主と締結した賃貸借契約書の特約条項に関する情報をもとに算定されるものである。また、特約条項に関する情報には、入居者が退去時に管理者に支払うべき費用に関する情報が含まれる。
「第1見積もり」は、入居者が賃貸物件を退去する際に、管理者又は家賃保証者より請求される費用(退去費用)の見積もりである。算定される第1見積もりには、請求する項目、項目に係る数量、項目ごとの金額、及び/又は請求する費用の総額に関する情報が含まれる。また、算定された第1見積もりは、物件及び/又は入居者と関連付けて、サーバ装置2のストレージ部23にて記憶される。なお、見積もりにおいて請求される項目、項目に係る数量、項目ごとの金額等の請求の内訳、請求される費用の総額に関する情報等の見積もりに関する情報を「見積もりの内容」と表すことがある。第1見積算定処理の詳細については、後述する。
次に、通知処理が実行される(ステップS3)。通知処理では、入居者端末1にて入力された物件内の状態に関する情報のうちの少なくとも一部が、サーバ装置2を介して管理者端末4又は施工者端末5へ送信される。例えば、物件を特定するための情報(例えば、物件の住所や物件名)の他、後述するステップS24にて入居者端末1から送信された画像データ等が、サーバ装置2から管理者端末4又は施工者端末5へ送信される。
次に、管理者端末4又は施工者端末5の操作入力により、第2見積もりを算定する第2見積算定処理が実行される(ステップS4)。管理者又は施工者は、送信された情報を参考にしつつ、退去後の物件へ訪れ、物件内の状態を目視で確認して、第2見積もりを算定する。第2見積もりは、第1見積もりとは異なり、実際に物件内を目視により確認したうえで、算定される見積もりであり、サーバ装置2等のコンピュータ装置を活用せずに算定するものも含まれる。第2見積もりの算定は、特に限定されないが、第1見積もりと同様の所定のルールに沿って行われてもよい。
ここで、「第2見積もり」は、入居者が賃貸物件を退去する際に、管理者又は家賃保証者より請求される費用(退去費用)の見積もりであって、退去後の物件の状態を確認のうえ、算定される見積もりであり、確定した退去費用ともいえる。第2見積もりは、管理者又は施工者が、賃貸物件内の状態をもとに算定したものであるともいえる。また、第2見積もりは、管理者端末4又は施工者端末5の操作によって算定される見積もりだけでなく、サーバ装置2等のコンピュータ装置を活用せずに算定するものも含まれる。第2見積もりには、請求する項目、項目に係る数量、項目ごとの金額、及び/又は請求する費用の総額に関する情報が含まれる。
次に、承諾判定処理が実行される(ステップS5)。承諾判定処理では、サーバ装置2に、物件及び/若しくは入居者と関連付けて記憶された、特約条項に関する情報、及び/又は、第1見積もり、並びに第2見積もりについて、請求の項目、項目に係る数量、項目ごとの金額、及び/又は請求される費用の総額を比較することで、後述の支払処理における退去費用の支払いについて、退去費用を支払う旨の入居者による承諾が必要か否かを判定する。承諾判定処理の詳細については、後述する。
次に、第1見積算定手段又は第2見積算定処理において算定された費用について、支払処理が実行される(ステップS6)。支払処理は、管理者に対して、第1見積もり又は第2見積もりで請求された費用を入居者又は家賃保証者が管理者に支払う処理である。また、家賃保証者が代位弁済した第1見積もり又は第2見積もりの費用について、入居者から家賃保証者に支払う処理であるともいえる。なお、ステップS5の承諾判定処理において、入居者の承諾が必要ないと判定された場合、第1支払処理が実行される。一方、入居者の承諾が必要であると判定された場合、第2支払処理が実行される。第1支払処理と第2支払処理の詳細については後述する。これら、ステップS1~S6により、退去支援処理は終了する。
[情報入力処理]
次に、退去支援システムにおける情報入力処理(ステップS1)について、説明する。図5は、本発明の実施の形態にかかる退去支援システムにおける情報入力処理のフローチャートを表す図である。まず、退去予定の入居者は、入居者端末1にダウンロードされたアプリケーションプログラムを起動し、サーバ装置2へアクセスすることで、退去支援システムにログインをする(ステップS11)。
入居者は、入居者端末1を操作して、退去支援システムの利用規約に同意するとともに、退去する物件の契約者の氏名等の必要な情報を入力する(ステップS12)。退去予定日を入力してもよい。入力された契約者名等は、サーバ装置2へ送信され、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。
次に、入居者は、入居者端末1を操作して、入居者の身分証明書や賃貸契約書、賃貸契約書の特約条項といった契約情報等を入力する(ステップS13)。入居者端末1の表示画面には、入居者の身分証明書または賃貸契約書の画像データを送信するように求めるメッセージが表示されることとしてもよい。入居者は、入居者端末1を操作して身分証明書及び/または賃貸契約書の画像データをサーバ装置2へ送信する。送信された画像データは、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。また、特約条項に関する情報は、物件及び/又は入居者と関連付けて、後述の費用管理テーブルに記憶される。また、契約情報等の入力は、入居者端末1の表示画面に、入力する項目の選択肢が表示され、いずれかの選択肢が選択されると、選択された項目の入力が可能となることとしてもよい。表示される選択肢としては、例えば、入居者の身分証明に関する情報、賃貸契約書、賃貸契約書の特約条項等があげられる。
なお、入居者情報、退去予定日、契約終了希望日、賃貸契約書の情報、及び/又は賃貸契約書の特約条項の入力は、予め、入居者端末1以外の端末(例えば、管理者端末4)にて入力し、サーバ装置2のストレージ部23等に記憶しておくことができる。つまり、ステップS1にて、入居者が賃貸物件から退去するために情報入力処理を行う前に、特約条項に関する情報等をサーバ装置2に登録しておくことができる。この場合、ステップS11にて退去支援システムにログインすると、ステップS12~S15までの情報が入力されているという構成にすることができる。つまり、退去する入居者ごとに発行されるURLが異なっていてもよい。
入居者端末1から送信される画像データは、入居者端末1のカメラ機能により予め撮影され、保存されたものを用いてもよく、本アプリケーションプログラムの実行中にカメラ機能を起動し、撮影したものを用いることもできる。また、身分証明書や賃貸契約書の画像データについては、複数の画像データを送信するように、入居者に求めることができる。例えば、運転免許証のような身分証明書を送信する場合であれば、表面と裏面のそれぞれの面の画像データを送信するように求めることもできる。或いは、賃貸契約書を送信する場合であれば、複数ページにわたる賃貸契約書のそれぞれのページ、その一部のページ、或いは、特約条項が記載されたページの画像データを送信するように求めることができる。
ここで、賃貸契約書の特約条項(特約事項ともいう)とは、賃貸契約等において、所定の場合に、退去に係る修繕費を入居者が別途負担する旨が定められているものである。そのため、退去費用を算定する際には、特約条項を参照する必要がある。賃貸契約の特約条項には、例えば、煙草のやにによるクロス等の変色によるクロスを補修又は交換するための補修費用、落書き、釘穴、又はねじ穴を補修するための補修費用、重量物の設置による畳・床材等のへこみを補修するための補修費用、水道パッキンの劣化により水道パッキンを交換するための交換費用、水洗トイレのボールタップなどの調整のための費用、電気やけを補修するための補修費用、床のワックスがけをするための費用、畳表替え、襖張替、又は障子張替のための費用等の費用項目について、入居者が退去の際に負担する旨が記載されていてもよい。また、所定の費用項目について、経年劣化にはあたらず、入居者が費用を負担する旨が記載されていてもよい。また、特約条項には、費用項目の具体的な金額や、入居者が負担する費用の割合について、記載されていることが好ましい。例えば、特約条項には、入居者が負担する費用項目として、ルームクリーニングの費用の全額を負担する旨と、部屋の類型や広さ(例えば、1R・1K、50m2越えの物件等)に関連付けて、具体的な費用の上限又は下限が記載されていてもよいし、畳表替え/襖張替/障子張替の全額を負担する旨と1枚ごとの畳表替えの具体的な費用の下限や1面ごとの障子・襖の張り替えの具体的な費用の上限又は下限が記載されていてもよい。
本発明の実施の態様に係る退去支援システムにおける賃貸契約書の特約条項に関する情報としては、費用項目と費用項目に係る金額が記載されているものであれば、特に限定されない。特約条項に関する情報として、上述の特約条項に記載された費用項目に加え、例えば、賃貸物件のキズ、破損、及び/若しくは、汚れの種類とそのキズ、破損、及び/若しくは、汚れを補修するための単価に基づいた費用、賃貸物件の種々の箇所をクリーニングするためのクリーニング費用、並びに/又は鍵の交換費用に関するものが含まれる。その他、賃貸契約の契約期間の途中で入居者の都合で解約した場合の違約金の支払いに関するものが、特約条項に関する情報として含まれていてもよい。
賃貸契約書の特約条項に関する情報を入力する際には、入居者又は管理者は、入居者端末1又は管理者端末4を操作して、賃貸契約書の特約条項に記載された費用項目と費用項目ごとの金額とを入力する。特約条項に関する情報の入力は、例えば、以下のように行われる。入居者端末1又は管理者端末4の表示画面に、借主である入居者により退去時に負担すべき費用項目の選択肢が表示される。表示される選択肢としては、例えば、ルームクリーニング費用、物件内に設置されたエアコンを洗浄又は消毒するためのエアコン洗浄費用、物件内に設置されたガスコンロ、食洗器等の備え付けの設備を洗浄又は消毒するための設備洗浄費用、賃貸物件のカギを交換するための鍵交換費用、汚れを修繕するための汚れ修繕費用、キズを修繕するためのキズ修繕費用、破損を修繕するための破損修繕費用等があげられる。費用項目は、洗浄、消毒や修繕に係る範囲や程度に関する情報が含まれていてもよい。
入居者端末1又は管理者端末4により、これらの選択肢のうちのいずれかが選択されると、選択した費用項目ごとに、入居者が負担すべき金額を入力することが可能となる。また、費用項目に記載された範囲や程度に関する情報を入力することができる。入力された費用項目と、入居者が負担すべき金額は、物件及び/又は入居者と関連付けて、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。なお、費用項目と、入居者が負担すべき金額は、物件ごとに予め登録されていてもよい。この場合、物件を選択すれば、特約条項に関連して入居者が負担すべき費用項目及び費用項目に係る金額を特定することができる。
ステップS13にて、特約条項に関する情報といった契約情報等を入力すると、入居者端末1の表示画面では、契約している物件の住所を入力するように求めるメッセージが表示される。入居者は、入居者端末1を操作して、退去の対象となる物件の住所を入力する(ステップS14)。入力された物件の住所はサーバ装置2へ送信され、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。なお、賃貸契約書の画像データから物件の住所を抽出できる場合は、ステップS14の処理を省略してもよい。
ステップS14にて、物件の住所が入力されると、入居者端末1の表示画面には、入居者の物件での居住年数を入力するように求めるメッセージが表示される。入居者は、入居者端末1を操作して居住年数を入力する(ステップS15)。入居者端末1の表示画面には、例えば「2年未満」、「2年~4年未満」、「4年~6年未満」、「6年以上」といった選択肢が表示され、入居者はこれらの選択肢から回答を選択することができる。
例えば、入居者の居住年数に応じて、入居者が負担する退去時の費用を変更することができる。具体的には、入居者の居住年数が短くなるほど、退去時の費用が高額となり、入居者の居住年数が長くなるほど、退去時の費用を低額とすることができる。また、居住年数が長くなるほど、物件内の設備の経年劣化を考慮する必要があり、入居者が支払う退去時の費用の負担の割合を変化させることができる。入力された居住年数は、サーバ装置2へ送信される。送信された居住年数は、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。
ステップS15にて、居住年数が入力されると、入居者端末1の表示画面には、設備の不具合の有無について入力するように求めるメッセージが表示される。入居者は、入居者端末1を操作して、物件内の設備に不具合があるか否かを入力する(ステップS16)。設備としては、例えば、靴箱、浴室乾燥機、洗濯機、エアコン、クローゼット等があげられる。入居者端末1の表示画面には選択肢として、例えば、「靴箱」、「浴室乾燥機」、「洗濯機」、「エアコン」、「クローゼット」、「不具合なし」が表示され、入居者はこれらの選択肢から回答を選択することができる。なお、退去の対象となっている物件に応じて、入居者端末1の表示画面に選択肢として表示される項目が自動的に変更されるような構成とすることもできる。
入居者は、不具合のある設備について、複数の選択肢の中から、1の選択肢だけでなく2以上の選択肢を選択することができる。例えば、「浴室乾燥機」、「エアコン」の2つを選択することができる。ただし、「不具合なし」を選択する場合は、他の選択肢を選択することはできない。入力された回答はサーバ装置2へ送信され、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。
ステップS16にて、設備の不具合について入力がされると、入居者端末1の表示画面には、喫煙の有無についての入力を求めるメッセージが表示される。入居者は、入居者端末1を操作して喫煙の有無について入力をする(ステップS17)。入居者端末1の表示画面には、「有り」、「無し」の選択肢が表示され、入居者によりいずれかの選択肢が選択される。
入居者が物件内で喫煙をしていた場合は、喫煙の結果、室内から発生する臭い等が出なくなるように、室内を洗浄する必要があるため、入居者が退去時に負担する費用に、その洗浄のための費用が加算される。入力された喫煙の有無に関する情報は、サーバ装置2へ送信され、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。
ステップS17にて、喫煙の有無の入力が完了すると、入居者端末1の表示画面には、ペットの飼育の有無についての入力を求めるメッセージが表示される。入居者は、入居者端末1を操作してペットの飼育の有無について入力をする(ステップS18)。入居者端末1の表示画面には、「有り」、「無し」の選択肢が表示され、入居者によりいずれかの選択肢が選択される。入居者が物件内でペットの飼育をしていた場合は、入居者が退去時に負担する費用が加算されてもよい。入力されたペットの飼育の有無に関する情報は、サーバ装置2へ送信され、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。
ステップS18にて、ペットの飼育の有無の入力が完了すると、入居者端末1の表示画面には、キズ、汚れ又は破損に関する情報の入力を求めるメッセージが表示される。入居者は、物件の床や壁等に、入居者の過失により発生したキズ、汚れ又は破損等があるか否かを確認したうえで、入居者端末1へ入力する(ステップS19)。入居者端末1の表示画面には選択肢として、例えば、「キズ」、「汚れ」、「破損」、「無し」が表示され、入居者はこれらの選択肢から回答を選択することができる。ステップS19にて入力された回答はサーバ装置2へ送信され、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。
ステップS20では、ステップS19にて「キズ」、「汚れ」、「破損」を選択したか否かが、入居者端末1又はサーバ装置2にて判定される。ステップS19にて「キズ」、「汚れ」、「破損」を選択した場合(ステップS20にてYes)はステップS21に移行し、ステップS19にて「無し」を選択した場合(ステップS20にてNo)は、ステップS21~S24を経ずにステップS2に移行する。
ステップS19にて「キズ」、「汚れ」、「破損」を選択した場合は、そのキズ、汚れ、破損の程度を入力するように求めるメッセージが表示される。入居者は、入居者端末1を操作し、そのキズ、汚れ、破損の程度を入力する(ステップS21)。例えば、ステップS19にて「キズ」を選択した場合、入居者端末1の表示画面には、事前に登録されているキズの程度が異なる複数の画像が表示される。入居者は、これらの複数の画像の中から、退去する物件内の実際のキズの程度と同程度と思われる画像を選択することができる。このような構成とすることで、入居者は、実際のキズの程度を正確に、退去支援システムに登録することができる。ステップS21にて、入力された回答はサーバ装置2へ送信され、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。なお、以下では、キズ、汚れ、破損を、キズ等と表す場合がある。
また、ステップS19にて「汚れ」を選択した場合、入居者端末1の表示画面には、事前に登録されている汚れの程度が異なる複数の画像が表示され、入居者は、これらの複数の画像の中から、退去する物件内の実際の汚れの程度と同程度と思われる画像を選択することができる。ステップS19にて「破損」を選択した場合も、「キズ」や「汚れ」を選択した場合と同様に、破損の程度が異なる複数の画像が表示され、入居者は、これらの複数の画像の中から、退去する物件内の実際の破損の程度と同程度と思われる画像を選択することができる。
ステップS21にて選択された、キズ、汚れ、破損の程度を示す画像に応じて、入居者が退去時に負担する費用も変わる。例えば、9段階のキズの程度が異なる画像を登録しておき、入居者が選択した画像が、キズが大きいものであるほど、入居者の退去時に負担する費用は高額となる。汚れ、破損についても、同様に、その汚れ、破損の程度が大きいものであるほど、退去時に負担すべき費用を高額とすることができる。この場合、キズの程度の比較的小さい3つの画像、キズの程度が中程度の3つの画像、キズの程度が大きい3つの画像といったように3つに分類をし、同じ分類の画像を選択した場合は、退去時に負担する費用が同じになるようにしてもよい。
ステップS21にて、キズ、汚れ又は破損の程度を入力すると、そのキズ、汚れ、破損が、退去する物件のどの部屋のものであるかの入力を求めるメッセージが表示される。入居者は、入居者端末1を操作して、ステップS21にて入力したキズ、汚れ又は破損が、どの部屋のものであるかを入力する(ステップS22)。入居者端末1の表示画面には選択肢として、例えば、「玄関」、「キッチン」、「リビングルーム」、「バス/トイレ」、「クローゼット」、「洋間1」、「洋間2」が表示され、入居者はこれらの選択肢から回答を選択することができる。
なお、退去の対象となっている物件に応じて、入居者端末1の表示画面に選択肢として表示される部屋についての項目が自動的に変更されるような構成とすることもできる。ステップS12にて、入力された回答はサーバ装置2へ送信され、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。
ステップS22にて、ステップS21にて入力したキズ、汚れ又は破損が、どの部屋のものであるかを入力すると、そのキズ、汚れ、破損が、その部屋のどの箇所のものであるかの入力を求めるメッセージが表示される。入居者は、入居者端末1を操作して、ステップS21にて入力したキズ、汚れ又は破損が、ステップS22にて選択した部屋のどの箇所のものであるかを入力する(ステップS23)。入居者端末1の表示画面には選択肢として、例えば、「天井/壁」、「床」、「その他」が表示され、入居者はこれらの選択肢から回答を選択することができる。ステップS23にて、入力された回答はサーバ装置2へ送信され、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。
ステップS23にて、ステップS21にて入力したキズ、汚れ又は破損が、部屋のどの箇所のものであるかを入力すると、そのキズ、汚れ又は破損をしている箇所の画像データを送信するように求めるメッセージが表示される。入居者は入居者端末1を操作して、画像データをサーバ装置2へ送信する(ステップS24)。入居者端末1から送信される、キズ、汚れ又は破損についての画像データは、入居者端末1のカメラ機能により予め撮影され、保存されたものを用いてもよく、本アプリケーションプログラムの実行中にカメラ機能を起動し、撮影したものを用いることもできる。送信された画像データは、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。
なお、ステップS21~S24で入力するキズ、汚れ、破損は、入居者による過失によって生じたキズ、汚れ、破損を想定しているが、入居者端末1を操作して、入居当初より発生していたキズ、汚れ、破損である旨を入力することもできる。入居当初より発生していたキズ、汚れ、破損である旨を入力した場合、後述のステップS31において、該キズ、汚れ、破損については、原状回復費用の算定を行わないとする構成にすることができる。なお、入居当初より発生していたキズ、汚れ、破損については、管理者の管理者端末4の操作により、物件と関連付けて予めサーバ装置2に登録しておくことができる。この場合、入居当初より発生していたキズ、汚れ、破損である旨を入力しなくとも、登録されたキズ、汚れ、破損については、原状回復費用の算定を行わないとする構成にすることができる。
ステップS21~S24の処理が終了すると、ステップS19に戻り、再度、入居者端末1の表示画面には、キズ、汚れ又は破損に関する情報の入力を求めるメッセージが表示される。既に、ステップS21~S24にて入力したキズ、汚れ、破損以外にも、キズ、汚れ、破損がある場合は、残りのキズ、汚れ、破損についても、ステップS19~S24の処理を繰り返して実行する。入居者は、すべてのキズ、汚れ、破損についての入力を終えた段階で、ステップS19にて、入居者端末1の表示画面に表示された「無し」の選択肢を選択する。
なお、ステップS11~S19までのいずれかのタイミングで、入居者が入力すべきキズ、汚れ、破損の程度を示す画像や説明を入居者端末1の表示画面に表示させてもよい。キズ、汚れ、破損の程度を示す画像としては、事前にサーバ装置2に登録されているキズ、汚れ、破損の画像のうち最も軽度の画像が表示されるのが好ましい。また、ステップS19において、「無し」の選択肢を選択したときに「こちらに類似するキズ、汚れ、破損の入力は終了しましたか?」といった文章とキズ、汚れ、破損の程度を示す画像とを入居者端末1の表示画面に表示させることにより、入居者に入力すべきキズ、汚れ、破損を入力したか確認するようにしてもよい。また、ステップS21~S24の処理は、順番を入れ替えて実行されてもよい。
ステップS19にて「無し」の選択肢が選択されると(ステップS20にてNo)、ステップS19~S24までの繰り返し処理は終了される。ステップS11~S24により、情報入力処理は終了する。ステップS15~S24にて入居者端末1において入力される情報は、賃貸物件内の状態に関する状態情報ともいえる。
次に、本発明の退去支援システムにおける入居者端末1の表示画面19について説明する。図6は、本発明の実施の形態にかかる入居者端末の表示画面の一例を示す図である。図6は、ステップS15の居住年数の入力、及び、S16の設備の不具合についての入力を実行する際の表示画面を示すものである。ステップS14にて、入居者により物件の住所が入力されると、質問者マーク31aとともに、質問32a及び選択肢33aが表示される。質問32aとして「居住年数を教えて下さい」と表示される。選択肢33aとしては「2年未満」、「2年~4年未満」、「4年~6年未満」、「6年以上」が表示される。入居者は、これらの選択肢33aのうちのいずれかを選択することができる。入居者が選択肢33aのうちのいずれかを選択すると、選択された回答が表示される。
入居者が、選択肢33aのうち「2年未満」を選択すると、回答34aとして「2年未満」が表示される。回答34aが表示された後、質問者マーク31bとともに、質問32b及び選択肢33bが表示される。質問32bとして「設備の不具合がありますか」と表示される。選択肢33bとしては、「靴箱」、「浴室乾燥機」、「洗濯機」、「エアコン」、「クローゼット」、「不具合なし」が表示される。入居者は、入居者端末1を操作して、これらの選択肢33bのうちのいずれかを選択することができる。入居者が選択肢33bのうちのいずれかを選択すると、選択された回答が表示される。例えば、入居者が、選択肢33bのうち「浴室乾燥機」を選択すると、回答34bとして「浴室乾燥機」が表示される。
図6では、ステップS15の居住年数の入力、及び、S16の設備の不具合についての入力を実行する際の表示画面を示したが、ステップS12~S24の各ステップに応じた質問やメッセージ、選択肢が表示され、入居者が入居者端末1を操作して、表示された質問、メッセージに対して回答を行うと、次の質問、メッセージ又選択肢が表示される。
[第1見積算定処理]
次に、ステップS2における第1見積算定処理について、説明をする。図7は、本発明の実施の形態にかかる退去支援システムにおける第1見積算定処理のフローチャートを表す図である。第1見積算定処理は、情報入力処理が終了すると、入居者端末1から送信された情報をもとに、サーバ装置2にて第1見積もりを算定する処理である。第1見積算定処理と後述の第2見積算定処理は、入居者が賃貸物件を退去する際に、賃貸物件の管理者又は賃貸物件の家賃を保証する家賃保証者が、入居者に請求する費用を算定する処理であるともいえる。また、該費用の算定は、特約条項に関する情報に基づいて算定される。第1見積算定処理では、例えば、入居者端末1から送信された状態情報及び特約条項に記載された情報をもとに、第1見積もりを算定する等の所定のルールに従って、退去費用を算定する処理が行われる。具体的には、状態情報及び特約条項に記載された情報から、サーバ装置2に記憶された後述の費用テーブルに基づいて、第1見積もりを算定できる。
第1見積算定処理では、まず、ステップS19~S24において、入居者端末1から送信された複数のキズ、汚れ、破損に関する情報のそれぞれについて、費用テーブルをもとに、次の入居者に引き渡すことができる状態にするための原状回復費用を算定する(ステップS31)。
費用テーブルは、賃貸物件内の状態に関する状態情報と、該状態から次の入居者に引き渡すことができる状態にするための費用とを関連付けて記憶するものである。費用テーブルは、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。また、費用テーブルは、1種類のみが設定されているのではなく、玄関、キッチン、リビングルーム、バス/トイレ、クローゼット、洋間、和室等の部屋の種類毎に異なる複数の費用テーブルが設けられている。同じ部屋であっても、天井、壁、床等の部屋の補修が必要な箇所毎に異なる複数の費用テーブルが設けられている。さらに、同じ部屋の種類で、且つ、同じ箇所であっても、キズ、汚れ、破損等の不具合の種類毎に異なる複数の費用テーブルが設けられている。つまり、費用テーブルは、部屋の種類、部屋の補修が必要な箇所及び不具合の種類に応じて、異なる複数の費用テーブルが設定されている。
これらの費用テーブルでは、物件内のキズ、汚れ又は破損の状態と、これらの不具合のある状態から次の入居者に引き渡すことができる状態にするための補修費用とが関連付けて記憶されている。例えば、ステップS21において、キズ、汚れ又は破損の程度を示す9段階の画像が選択できる場合であれば、費用テーブルにて、それらの各段階に応じた補修費用が設定されている。
図8は、本発明の実施の形態にかかる費用テーブルの一例を示す図である。費用テーブル40は、キズの程度41と、そのキズを補修するための費用42とを関連付けて記憶するものである。図8におけるキズの程度41の「1」~「9」の数字は、例えば、ステップS21にて選択されるキズの画像とそれぞれ対応するものであり、数字が小さいほど、キズの程度は小さくなる。図8の費用テーブル40によれば、キズの程度の比較的小さい第1~3段階は同じ額が設定され、キズの程度が中程度の第4~6段階も同じ額が設定されており、さらに、キズの程度が大きい第7~9段階でも同じ額が設定されている。例えば、ステップS21において、第4段階のキズがあるとして入力され、サーバ装置へ送信された場合は、その費用は「5,000円」となる。
なお、費用テーブル40は、図8のように3段階ごとに同じ費用42が設定されているものではなく、9段階のすべてにおいて異なる費用42が設定されていてもよい。また、これらの費用テーブル40にて設定される費用42は、単位面積当たりの費用であってもよい。この場合、単位面積当たりの費用に、補修の必要な部屋の床、壁又は天井の面積を乗じることで、補修費用が算定される。
また、ステップS13において、特約条項に関する情報としてキズ、破損及び/又は汚れの種類とそのキズ、破損及び/又は汚れを補修するための単価に基づいた費用が入力され、サーバ装置2へ送信された場合は、その特約条項に関する情報に基づいて費用テーブル40の費用42が設定されていてもよい。例えば、「3cm未満のキズにつき、1か所2,000円を請求する」と特約条項に関する情報として入力されていたとき、3cm未満のキズの程度に対応する第1~2段階の費用を2,000円に変更してもよい。これにより、より契約内容に即した退去費用の見積もりを算定できる。
ステップS31にて、入居者端末1から送信された複数のキズ、汚れ、破損に関する情報について、それぞれのキズ、汚れ、破損を補修するための補修費用を算定した後、算定された費用を合算する(ステップS32)。
なお、同じ部屋の同じ箇所に複数のキズがある場合は、この部屋のこの箇所に1つのキズのみがあるものとして、費用として特定することができる。複数のキズを補修する場合であっても、それが同じ部屋の同じ箇所である場合は、補修に必要な労力は変わらないからである。ここで、同じ個所とは、予め設定された所定の範囲のことを指す。例えば、複数のキズが30cm2以内に存在する場合、同じ個所に複数のキズがあると判定できる。同様に、同じ部屋の同じ箇所に複数の汚れがある場合は、この部屋のこの箇所に1つの汚れのみがあるものとして、費用として特定することができる。また、同様に、同じ部屋の同じ箇所に複数の破損がある場合は、この部屋のこの箇所に1つの破損のみがあるものとして、費用として特定することができる。
また、同じ部屋の同じ箇所に複数のキズがある場合、それらのキズの中で最も高額の費用を、その部屋のその箇所を補修するための費用として特定してもよい。同様に、同じ部屋の同じ箇所に複数の汚れがある場合は、それらの汚れの中で最も高額な費用を、その部屋のその箇所を補修するための費用として特定してもよく、同じ部屋の同じ箇所に複数の破損がある場合は、それらの破損の中で最も高額の費用を、その部屋のその箇所を補修するための費用として特定してもよい。さらには、同じ部屋の同じ箇所にキズ、汚れ及び破損のいずれかが複数ある場合は、それらのキズ、汚れ及び破損の中で最も高額の費用を、その部屋のその箇所を補修するための費用として特定してもよい。
一つの箇所を補修するための労力は、キズ、汚れ、破損が1つであっても、複数であっても、大きく変わらないためである。この場合、ステップS31では、物件内の部屋毎及び/又は部屋の所定の箇所毎に、キズ、汚れ、破損を補修するための費用が算定され、ステップS32では、算定された物件内の部屋毎及び/又は部屋の所定の箇所毎の補修費用が合算される。
次に、ステップS32にて合算して得られたキズ、汚れ及び破損の補修費用に、特約条項に記載された費用やその他費用の加算が行われる(ステップS33)。費用の加算又は減算にあたっては、サーバ装置2等に予め物件ごとの加算費用、減算費用又はその計算方法を登録しておき、それら登録された内容にしたがって、費用の加算又は減算が実行される。ステップS33について、より具体的には、特約条項に記載された費用の加算、居住年数による経年劣化を考慮した補修費用の減算、喫煙によるクリーニング費及びクロス張替費の加算、不具合のある設備の修繕費の加算、未払いの家賃を加算、退去予定日に基づく退去月の家賃分の減算、敷金の減算等、その他の諸費用の加算又は減算が行われ、第1見積もりが算定されることになる。
次に、算定された第1見積もりがサーバ装置2のストレージ部23に記憶される(ステップS34)。第1見積もりの内容は、物件及び/又は入居者と関連付けて、後述の費用管理テーブルに記憶される。ステップS31~34により、第1見積算定処理は終了する。なお、第1見積算定処理は、サーバ装置2に代えて、入居者端末1又は保証者端末6にて実行してもよい。
算定された第1見積もりについては、入居者端末1に送信され、入居者端末1の表示画面に表示されることが好ましい。ステップS1~S2(ステップS11~S24、S31~S33)の処理を通して、入居者は、退去に必要な費用を知ることができるだけでなく、管理者等との物件の立会いを行うことなく、費用の支払い以外の退去の手続きを完了することができる。なお、算定された第1見積もりは、確定した退去費用ではなく、暫定的な見積もりとすることができる。
なお、ステップS33は省略し、ステップS32にて合算して得られたキズ、汚れ及び破損の補修費用だけを、第1見積もりとしてもよい。また、ステップS33において、特約条項に記載された費用を第1見積もりに加算せず、入居者端末1に第1見積もりの内容を表示する際に、「特約条項に関する費用については、ご自身の契約書をご確認ください。」などといった注意書きを表示する構成を採用することもできる。この場合、特約条項に関する費用については、後述の第2見積もりに含まれることが好ましい。
なお、上で述べたステップS31~S33では、ステップS21にて選択された、キズ、汚れ、破損の程度を示す画像に応じて、キズ、汚れ、破損を補修するための費用を算定する構成としているが、ステップS24にて、入居者端末1からサーバ装置2へ送信された画像データをもとに、キズ、汚れ、破損を補修するための費用を算定するような構成とすることができる。この場合、サーバ装置2において、ステップS24にてサーバ装置2へ送信された画像データを画像解析し、キズ、汚れ又は破損の程度が費用テーブル40のいずれの段階のものであるかを特定することで、補修費用を算定することができる。また、画像解析は、ディープラーニングにより学習をしたプログラムにより実行される構成としてもよい。
なお、このステップS2の第1見積算定処理は、省略してもよい。ステップS2の第1見積算定処理を省略する場合、ステップS1の実行後、ステップS3の通知処理が実行される。
[通知処理]
次に、本発明の退去支援システムにおける通知処理(ステップS3)について、説明をする。図9は、本発明の実施の形態にかかる退去支援システムにおける通知処理のフローチャートを表す図である。入居者端末1からサーバ装置2へ、物件内の状態に関する情報を送信する(ステップS41)。このステップS41は、ステップS1の情報入力処理において、入居者端末1又は保証者端末6により物件内の状態に関する情報が入力されると実行される。
このステップS41にて送信される物件内の状態に関する情報には、例えば、ステップS13にて入力された賃貸契約書の情報、ステップS15にて入力された居住年数、ステップS16にて入力された設備の不具合の有無に関する情報、ステップS17にて入力された喫煙の有無に関する情報、ステップS18にて入力されたペットの飼育の有無に関する情報、ステップS19にて入力されたキズ、汚れ、破損があるか否かに関する情報、ステップS21にて入力されたキズ、汚れ、破損の程度に関する情報、ステップS22にて入力されたキズ、汚れ、破損のある部屋に関する情報、ステップS23にて入力されたキズ、汚れ、破損のある箇所に関する情報、ステップS24にて送信されたキズ、汚れ、破損の画像データ等の少なくとも1つが含まれる。
サーバ装置2では、物件内の状態に関する情報を受信する(ステップS42)。サーバ装置2では、受信した物件内の状態に関する情報を記憶する(ステップS43)。また、ステップS42にて、サーバ装置2が物件内の状態に関する情報を受信すると、サーバ装置2から、管理者端末4又は施工者端末5へ所定の情報が送信される(ステップS44)。ここで、所定の情報とは、例えば、物件内の状態に関する情報、サーバ装置2が物件内の状態に関する情報を受信したことを示す情報(通知)、及び/又は、物件内の状態に関する情報に応じて算定される物件からの退去費用に関する情報(第1見積もりに関する情報ともいう)があげられる。管理者端末4又は施工者端末5では、所定の情報を受信する(ステップS45)。ステップS41~S45により、通知処理は終了する。
管理者端末4又は施工者端末5にて所定の情報を受信すると、管理者端末4又は施工者端末5の表示画面に、それらの情報を表示することができる。これらの情報を表示画面にて確認した管理者又は施工者は、入居者による退去の手続きが終了したことを把握することができる。
なお、退去の手続きの完了は、図5に示す情報入力処理において、物件内の状態に関する情報のいずれか少なくとも1つをサーバ装置2にて受信すると、サーバ装置2にて、退去の手続きが完了したことが登録されることとしてもよく、図9の通知処理において、管理者端末4又は施工者端末5にて所定の情報を受信すると、管理者端末4又は施工者端末5にて退去の手続きが完了したことを登録してもよい。
また、サーバ装置2が物件内の状態に関する情報を受信したことに応じて、退去の手続きが完了したことが登録された場合、サーバ装置2へ物件内の状態に関する情報が送信された時、又は、サーバ装置2にて物件内の状態に関する情報が受信された時を、入居者の退去日として設定することができる。或いは、入居者の退去日は、退去の申し込みをした際に設定した退去日としてサーバ装置2に登録しておき、後述の第2見積算定処理において、所定の条件を満たしたときに、上述の時を退去日として繰り上げて設定することができる。本発明の退去支援システムによれば、これらの設定された退去日に応じて、入居者の負担すべき費用の算定を行うことができる。
なお、このステップS3の通知処理は、省略することも可能である。ステップS3の通知処理を省略する場合、入居者端末1にて入力された物件内の状態に関する情報のうちの少なくとも一部は、紙媒体等に印刷したうえで、管理者端末4又は施工者端末5へ提供されることが好ましい。
[第2見積算定処理]
次に、本発明の退去支援システムにおける、入居者端末1により送信された物件内の状態に関する情報が、適切なものであるか否かを判定し、第2見積もりを算定する第2見積算定処理(ステップS4)について、説明をする。図10は、本発明の実施の形態にかかる退去支援システムにおける第2見積算定処理のフローチャートを表す図である。
ステップS12~S24の処理を通して、物件内の状態に関する情報の少なくともいずれか1つをサーバ装置2にて受信すると、サーバ装置2にて、退去の手続きが完了したことが登録され得る。ただし、退去費用の精算の手続きは残った状態である。費用の精算以外の退去の手続きが完了した後、管理者又は施工者は、退去された後の物件に訪れ、入居者端末1から送信され、サーバ装置2に記憶された物件内の状態についての情報が、現実の物件内の状態と合致しているか否か、或いは、入居者端末1から送信された物件内の状態が、現実の物件内の状態よりも良い状態を示すものではないかを確認する。
管理者が管理者端末4にて、専用のアプリケーションプログラムを起動し、サーバ装置2へアクセスすることで、退去支援システムにログインをする、或いは、施工者が施工者端末5にて、退去支援システムにログインをする(ステップS51)。次に、管理者端末4又は施工者端末5への操作により、入居者端末1にて入力され、サーバ装置2へ送信された物件内の状態に関する情報について、サーバ装置2から管理者端末4又は施工者端末5へ送信するように要求する送信要求が、管理者端末4又は施工者端末5からサーバ装置2に送信される(ステップS52)。サーバ装置2にて送信要求が受信される(ステップS53)と、サーバ装置2から管理者端末4又は施工者端末5へ、物件内の状態に関する情報が送信される(ステップS54)。
管理者端末4又は施工者端末5にて、物件内の状態に関する情報が受信されると(ステップS55)、受信した物件内の状態に関する情報が、表示画面に表示される(ステップS56)。より具体的には、入居者が入居者端末1に入力した物件内の状態に関する情報として、ステップS16にて入力された設備の不具合の有無、ステップS17にて入力された喫煙の有無、ステップS18にて入力されたペットの飼育の有無、ステップS19~S24にて入力された、入居者の過失により発生したキズ、汚れ、破損等の情報が、サーバ装置2から送信され、管理者端末4又は施工者端末5の表示画面に表示される。
管理者又は施工者は、表示画面に表示された物件内の状態に関する情報と、実際の物件内の状態とを視認したうえで比較し、入居者端末1から送信された物件内の状態についての情報が、所定の条件を満たすか(つまり、現実の物件内の状態と合致しているか、或いは、入居者端末1から送信された物件内の状態が、現実の物件内の状態よりも良い状態を示すものではないか)について判定をする。
例えば、管理者又は施工者が実際の物件を確認したところ、設備の不具合、悪臭、汚れ、キズ、破損等が実際の物件内に存在し、それらがステップS56にて表示された物件内の状態に関する情報に含まれない場合、管理者又は施工者は、所定の条件を満たさないと判定できる。また、実際の物件内の汚れ、キズ、及び/又は破損の程度が、ステップS56にて表示された汚れ、キズ、及び/又は破損の程度よりも程度の大きいものであった場合、管理者又は施工者は、所定の条件を満たさないと判定できる。
物件内の状態の比較の結果、管理者又は施工者は、前記所定の条件を満たしているか否かの判定の結果を、管理者端末4又は施工者端末5に入力する(ステップS57)。入力された判定の結果は、サーバ装置2へ送信される(ステップS58)。次に、ステップS58にて送信された所定の条件を満たすか否かの判定の結果を、サーバ装置2にて受信する(ステップS59)。
入居者端末1からサーバ装置2へ送信された物件内の状態に関する情報が、前記所定の条件を満たすものであると、管理者端末4又は施工者端末5に入力された場合(ステップS60にてYES)は、ステップS1の情報入力処理において、入居者端末1により物件内の状態に関する情報が入力された時、サーバ装置2へ物件内の状態に関する情報が送信された時、又は、サーバ装置2にて物件内の状態に関する情報を受信した時が、入居者の退去時に設定される(ステップS61)。一方、入居者端末1からサーバ装置2へ送信された物件内の状態に関する情報が、前記所定の条件を満たさないものであると、管理者端末4又は施工者端末5に入力された場合(ステップS60にてNO)は、退去の申し込みをした際に設定した退去日のままとなる。
次に、サーバ装置2では、第2見積もりの算定を行う(ステップS62)。ステップS60にてYESの場合、ステップS61にて設定された退去時に基づいて、第2見積もりを算定する。具体的には、ステップS61にて設定された退去時が、退去の申し込みをした際に設定した退去日から繰り上がる場合、退去月の家賃は、その繰り上がった日数に基づいて減額される。例えば、退去月の家賃を該月の日数で除した後、繰り上がった日数を乗ずることで、減額する家賃が求められる。つまり、月額の家賃を当月の総日数で除した料金について、利用日数分の家賃を算定する日割り計算が実行されるともいえる。ステップS62においては、第2見積もりは、算定された第1見積もりの総額から、減額する家賃分を減ずることで求められる。
ステップS60にてNOの場合、現実の物件内の状態に基づいて、管理者端末4又は施工者端末5の操作により、ステップS16~S24及びステップS31~S33と同様の処理を行い、第2見積もりの算定を行うのが好ましい。また、ステップS56にて表示された物件内の情報が現状物件の状態と明らかに異なる場合、入居者が故意に物件の情報の入力を省略したと見受けられるような場合、入居者が情報入力処理にて入力した情報が虚偽の場合等には、ステップS31~S33の処理に加えて、ペナルティとして追加の費用を第2見積もりに加算する処理を行ってもよい。
なお、虚偽の申告があった場合にペナルティとして費用が追加される旨とその費用については、予めサーバ装置2に記憶され、入居者に通知されることが好ましい。一方、ステップS55にて表示された物件内の情報が現状物件の状態と異なる場合においても、入居者の過失により入力がされなかったものやキズ等の発生場所がわかりにくいもの等については、ペナルティとして追加の費用を加算しないこととしてもよい。
サーバ装置2にて、第2見積もりが算定されると、サーバ装置2のストレージ部23に、物件及び/又は入居者と関連付けて、算定された第2見積もりの内容が記憶される(ステップS63)。また、管理者端末4又は施工者端末5より入力された画像データや算定された第2見積もりの内容が、物件及び/又は入居者と関連付けて、後述の費用管理テーブルに記憶される。ステップS51~S63により、第2見積算定処理は、終了する。
このような構成とすることにより、退去の申し込みをした際に設定した退去日よりも早くに、入居者端末1からサーバ装置2へ物件内の状態に関する情報を送信して、退去の手続きが完了し、所定の条件を満たした場合は、退去日が早まることになる。通常、賃貸物件の家賃は、月ごとの家賃が定められており、月の途中で退去する場合は、日割りで家賃の計算をすることになる。退去日が早まることで、日割りで支払いを求められる家賃の額が低くなる。つまり、入居者は、物件内の状態に関する情報として、虚偽の情報を入力せずに、正確な情報を入力することで、家賃の精算の基準となる退去日を早めることができる。
また、ステップS62の処理に代えて、管理者又は施工者が、別途計算を行って算定をした第2見積もりを、物件及び/又は入居者と関連付けて、サーバ装置2に記憶させてもよい。具体的には、例えば、管理者又は施工者は、表示画面に表示された物件内の状態に関する情報と、退去支援システムにより算定された第1見積もりと、実際の物件内のキズ、汚れ又は破損とを確認する。そして、管理者又は施工者は、実際に物件内を目視により確認したうえで、実際の物件内の状態に即した修繕費用の見積もりを算定する。
次に、管理者又は施工者の管理者端末4又は施工者端末5への操作により、第2見積もりとして、入居者に請求する費用項目、費用項目に係る数量、及び、費用項目ごとの金額が入力される。入力された第2見積もりは、物件及び/又は入居者と関連付けて、管理者端末4又は施工者端末5からサーバ装置2へ送信される。送信された第2見積もりの内容は、物件及び/又は入居者と関連付けて、サーバ装置2のストレージ部23にて記憶される。
これにより、システムで一様に算定できない細やかな費用算定を行うことができる。このとき、管理者端末4又は施工者端末5のカメラ機能を起動し、キズ、汚れ又は破損を撮影し、得られた画像データをサーバ装置2に送信することが好ましい。サーバ装置2では、送信された画像データを費用項目、物件及び/又は入居者と関連付けて記憶する。これにより、後述の支払処理において第2見積もりの内容とともに画像データを入居者に送信することで、入居者に対して、算定された第1見積もりから増減した根拠を明確に示すことができる。また、入居者が第2見積もりの支払いの承諾をするための判断材料にできる。
なお、ステップS52~S59では、管理者又は施工者自身が、入居者端末1から送信された物件内の状態に関する情報が所定の条件を満たすかを判定し、管理者端末4又は施工者端末5に判定の結果を入力することとしたが、これらの入力処理は実行せずに、サーバ装置2にて、所定の条件を満たしているか否かの判定を実行してもよい(ステップS60)。
この場合、情報入力処理にて、入居者による退去手続きが完了した後、管理者又は施工者が、退去された後の物件に訪れ、物件内のキズ、汚れ又は破損を確認する。管理者又は施工者は、管理者端末4又は施工者端末5のカメラ機能を起動し、該キズ、汚れ又は破損を撮影し、得られた画像データをサーバ装置2に送信することができる。管理者端末4又は施工者端末5において、ステップS16~S24の処理を実行してもよい。サーバ装置2では、送信された画像データ等をもとに、入居者端末1により送信された物件内の状態に関する情報が、所定の条件を満たすか否かを判定することができる。
例えば、ステップS60では、以下の処理を実行することができる。管理者端末4又は施工者端末5から送信された画像データについてサーバ装置2において画像解析を行い、キズ、汚れ、破損の程度を数値化することができる。そして、該キズ、汚れ、破損に対応するステップS21にて入力された画像データについて、サーバ装置2にて画像解析を行い、キズ等の程度を数値化し、それぞれ数値化したキズ等の程度を比較する。実際の物件内のキズ等の程度の数値が、ステップS21にて選択された画像データを画像解析した数値、又はステップS21で入力されたキズ等の程度と、同一又は小さい場合、所定の条件を満たすと判定できる。なお、実際の物件内の状態と比較する画像データは、ステップS24にて送信された画像データでもよい。或いは、管理者端末4又は施工者端末5から画像データを送信する構成にかえて、管理者端末4又は施工者端末5への操作により、ステップS21において選択されたキズ等について、キズ等の程度の数値を入力してもよい。入力された実際の物件内のキズ等の程度の数値が、ステップS21にて送信された画像データを画像解析した数値又は、ステップS21で入力されたキズ等の程度と、同一又は小さい場合、所定の条件を満たすと判定できる。なお、管理者又は施工者は、キズ等の程度の判断において、客観的に判断することができるので、サーバ装置2の処理負担を減らすため、管理者端末4又は施工者端末5への操作により、キズ等の程度を入力することが好ましい。
また、例えば、ステップS60では、以下の処理を実行することができる。ステップS24にて選択された画像データと、管理者端末4又は施工者端末5から送信された画像データとを比較し、画像データにおける、キズ、汚れ、破損の大きさや色等の適合率が所定の範囲以内であれば、所定の条件を満たすと判定できる。
また、例えば、ステップS60では、以下の処理を実行することができる。管理者端末4又は施工者端末5から送信された状態情報をもとに、ステップS31~33の処理が実行され、算定された費用と、第1見積もりを比較することで、所定の条件を満たすと判定できる。具体的には、第1見積もりにおける入居者に請求する費用項目、費用項目に係る数量、及び/又は、費用項目ごとの金額と、算定された費用における入居者に請求する費用項目、費用項目に係る数量、及び/又は、費用項目ごとの金額とをそれぞれ比較する。比較の結果、第1見積もりの費用項目、数量及び金額がいずれも、算定された費用における費用項目、数量及び金額よりも同一又は小さいものであれば、所定の条件を満たすと判定できる。一方、算定された費用において、第1見積もりと異なる費用項目、及び/又は第1見積もりよりも大きい数量や金額があれば、所定の条件は満たさないと判定できる。
また、ステップS52~S61のいずれかのタイミングにおいて、管理者又は施工者が、
管理者端末4又は施工者端末5に、入居者と管理者との間で締結された賃貸契約書の特約条項に定められた費用項目以外の費用が、第2見積もりの請求の内訳に含まれるか否かについて入力してもよい。入力された情報は、サーバ装置2に送信され、サーバ装置2のストレージ部23に、物件及び/又は入居者に関連付けて、記憶されることが好ましい。請求の内訳に特約条項に定められた費用項目以外の項目が含まれないと入力された場合、ステップS5の承諾判定処理を省略し、第1支払処理を実行するとしてもよい。また、請求の内訳に特約条項に定められた費用項目以外の項目が含まれると入力された場合、ステップS5の承諾判定処理を省略し、第2支払処理を実行するとしてもよい。
[承諾判定処理]
次に、退去支援システムにおける承諾判定処理(ステップS5)の一例について、説明する。図11は、本発明の実施の形態にかかる退去支援システムにおける承諾判定処理のフローチャートを表す図である。
まず、サーバ装置2では、ステップS63において第2見積もりが記憶された後、該第2見積もりの支払において、入居者の承諾の有無が必要か否かを判定する入居者が特定される(ステップS71)。このとき、入居者が退去する物件を特定することとしてもよい。また、管理者の管理者端末4への操作により、第2見積もりの支払の承諾の有無を判定する入居者又は物件を特定してもよい。
ここで、一般的に、入居者が賃貸物件を退去するとき、経年劣化によるキズ、破損及び/又は汚れや、入居者が通常に生活して生じるキズ、破損及び/又は汚れについては、賃貸物件の管理者が、次の入居者が入居できる状態にする原状回復の費用を負担する。一方、入居者の過失により発生したキズ、破損及び/又は汚れについては、入居者が原状回復に係る補修費用を負担する必要があり、該補修費用の支払いは、管理者又は施工者が退去後の物件を確認して算定した見積もりに対して、入居者が支払いの承諾をしたうえで、退去費用の清算を行う。
一方、特約条項に、費用項目と費用項目に係る金額が記載されていれば、管理者は入居者の退去時に当該記載された費用項目に係る金額について、入居者の承諾なく、退去費用として入居者に請求することができる。例えば、賃貸契約書の特約条項に、入居者の過失により発生したキズ、破損及び/又は汚れの種類と破損及び/又は汚れを補修するための単価に基づいた費用や退去時の部屋、エアコン等のクリーニング費用の具体的な費用が記載されている場合、管理者は入居者の退去時に当該記載された費用について、入居者の承諾なく入居者に請求することができる。
そのため、退去費用の支払いにおいて、以下の所定の条件を満たす場合は、退去費用を支払う旨の入居者による承諾(合意ともいう)が必要と判定することができる。入居者による承諾とは、退去費用を支払うことを承諾する旨を示すだけでなく、退去費用の確認をするものも含まれる概念である。例えば、入居者端末1に、「退去費用の請求額を確認ください。確認をすれば確認ボタンを押してください」といった表示がされ、確認ボタンを押下することで、入居者による承諾に関する入力が受け付けられる。
所定の条件としては、例えば、第2見積もりに入居者が賃貸物件の管理者と入居時に締結した契約で定められた事項以外の費用を含むものである場合、つまり、第2見積もりに特約条項に定められた費用項目以外の費用項目が含まれる場合があげられる。また、例えば、管理者若しくは施工者が、賃貸物件内の状態をもとに算定した費用の根拠となる賃貸物件内の状態に、第1見積算定手段により算定された費用の根拠となる賃貸物件内の状態とは異なるものが含まれる場合、つまり、第2見積もりの内容が第1見積もりの内容と異なる場合、又は、第1見積もりの内容に含まれない内容が第2見積もりの内容に含まれる場合があげられる。また、例えば、第2見積もりの請求の総額が第1見積もりの請求の総額よりも高額である場合があげられる。また、所定の条件は、上述の場合を適宜組み合わせてもよい。例えば、所定の条件は、第2見積もりの内容が第1見積もりの内容と異なる場合であって、かつ、第2見積もりに、特約条項に定められた費用項目以外の費用項目が含まれる場合とすることができる。
所定の条件は、管理者端末4への操作入力により適宜設定できる。また、所定の条件は、管理者端末4への操作入力により、予め、サーバ装置2に登録されることが好ましい。なお、以下では、所定の条件として、第2見積もりの内容が第1見積もりの内容と異なる場合であって、かつ、第2見積もりに、特約条項に定められた費用項目以外の費用項目が含まれる場合が設定されたときの処理について説明する。
入居者が特定されると、入居者と関連付けて記憶された、第1見積もりの内容と第2見積もりの内容を、費用管理テーブルをもとに、比較する(ステップS72)。ステップS1、S2、及びS4において、特約条項に関する情報、第1見積もりの内容、及び第2見積もりの内容が、物件及び/又は入居者と関連付けて、サーバ装置2の費用管理テーブルに記憶されている。
図12は、本発明の実施の形態にかかる費用管理テーブルの一例を示す図である。費用管理テーブルはサーバ装置2のストレージ部23に記憶される。費用管理テーブル50には、物件名51及び/又は入居者52と関連付けて、特約条項53と、第1見積もり54と、第2見積もり55と、比較結果56とが記憶される。また、入居者の承諾の有無57と、支払いの登録58とが記憶されていてもよい。
また、特約条項53には、請求の費用項目53aと、項目ごとの金額54bとが、第1見積もり54には、請求の対象となる費用の項目54aと、項目に係る数量54bと、項目ごとの金額54cとが、第2見積もり55には、請求の対象となる費用の項目55aと、項目に係る数量55bと、項目ごとの金額55cとが、それぞれ記憶されている。
ステップS72において、費用管理テーブル50を参照して、第1見積もり54と第2見積もり55の費用項目54a及び55aを比較して、第1見積もり52に存在しない項目が第2見積もりに含まれるか否かを判定する。また、第1見積もり54と第2見積もり55の費用項目54a及び55a並びに項目に係る数量54b及び55bを比較して、第1見積もり52に存在する項目の数量が、第2見積もりに存在する該項目の数量より少ないかを判定してもよい。或いは、第1見積もり54と第2見積もり55の項目ごとの金額54c及び55cを比較して、第1見積もり52の額が、第2見積もりの額より少ないかを判定してもよい。
図12の費用管理テーブル50によれば、第2見積もりの項目「汚れ(レベル3)」と、「破損(レベル1)」と、「キズ(10cm2以上)」は、第1見積もりの項目に含まれていない。また、第2見積もりの項目「キズ(~10cm2以内)」は、第1見積もりの項目に含まれているが、第2見積もりの数量が第1見積もりの数量より「1」多く、第2見積もりの額が第1見積もりの額より「1,000円」高額となっている。
次に、入居者と関連付けて記憶された、特約条項に関する情報と第2見積もりの内容を、費用管理テーブルをもとに、比較する(ステップS73)。ステップS73において、費用管理テーブル50を参照して、特約条項53と第2見積もり55の費用項目53a及び55aを比較して、特約条項53に存在しない項目が第2見積もりに含まれるか否かを判定する。
図12の費用管理テーブル50によれば、第2見積もりの項目「破損(レベル2)」と、「喫煙あり」と、「汚れ(レベル3)」と、「破損(レベル1)」は、特約条項の項目に含まれていない。つまり、第2見積もりの項目について、第1見積もりの項目に含まれていない項目のうち、第2見積もりの項目「キズ(10cm2以上)」は、特約条項の項目に含まれているが、「汚れ(レベル3)」と「破損(レベル1)」は、特約条項に含まれていない。
次に、ステップS72とS73の比較結果に基づいて、第2見積もりの支払について、入居者の承諾が必要か否かを判定する(ステップS74)。ここで、退去費用を支払う旨の入居者による承諾が必要か否かを判定するための所定の条件として、第2見積もりの内容が第1見積もりの内容と異なる場合であって、かつ、第2見積もりに、特約条項に定められた費用項目以外の費用項目が含まれる場合が設定されている。図12の費用管理テーブル50によれば、第2見積もりの内容が第1見積もりの内容と異なり、かつ、第2見積もりに、特約条項に定められた費用項目以外の費用項目が含まれるため、入居者の承諾が必要と判定される。そのため、入居者の承諾の有無57には、入居者の承諾が「要」と記憶される。また、まだ入居者の承諾を得ていないため、入居者の承諾は「未」と記憶されている。なお、第2見積もりのうち、第1見積もりに含まれない項目及び/又は数量が、全て特約条項の項目に含まれる場合、入居者の承諾なく支払いの処理を進めることができる。
第2見積もりの支払について、入居者の承諾が必要ないと判定された場合、第1支払処理が実行される。一方、第2見積もりの支払について、入居者の承諾が必要と判定された場合、第2支払処理が実行される。ステップS71~74により、承諾判定処理は終了する。なお、所定の条件の設定を変更することで、ステップS72又はS73を省略することができる。
なお、情報入力処理において入居者又は家賃保証者により入力がなされた、キズ、破損及び/又は汚れ等については、入居者の過失部分であると入居者又は家賃保証者が認めたものと解されるため、第1見積もりと同一の第2見積もりの内容については、入居者の承諾を必要としないとすることができる。或いは、第1見積もりと同一の第2見積もりの内容についても、特約条項に含まれない項目が含まれる場合には、入居者の承諾が必要と判定してもよい。
また、第2見積もりのうち、第1見積もりに含まれない項目及び/又は数量がある場合、全て特約条項の項目に含まれるとしても、入居者の承諾が必要と判定するように設定できる。これにより、入居者にとって、知らない間に増額された退去費用について、支払いの処理が進められることを防ぐことができる。
なお、承諾判定処理における所定の条件は、ステップS60における所定の条件と異なることが好ましい。さらに、ステップS60において、所定の条件を満たすとされた場合、第2見積もりは第1見積もりと同額又は低額となるので、ステップS74において入居者の承諾は必要ないと判定され得る。
なお、上述した実施の形態では、承諾判定処理を実行し、第1支払処理又は第2支払処理のいずれかを実行するか判定する形態について説明したが、承諾判定処理を実行せず、いずれの支払処理を実行するかは、管理者の管理者端末4への操作入力により、決定してもよい。
この場合、支払処理までに、特約条項に関する情報、及び/又は第1見積もりの内容、並びに、第2見積もりの内容の比較を行い、承諾判定処理における所定の条件を満たすか否かを、管理者は判定する必要がある。管理者の判定に基づいて、管理者は、第1支払処理又は第2支払処理のいずれかの処理を進めるかを入力する構成としてもよい。
なお、第1見積もりの内容で後述の支払処理を進める構成を採用する場合には、第2見積算定処理及び/又は承諾判定処理を省略し、退去の手続きが完了した時点で、後述の第1支払処理又は第2支払処理を実行してもよい。いずれの支払処理を実行するかについて、管理者が予め設定し、サーバ装置2に記憶させてもよいし、承諾判定処理において判定してもよい。承諾判定処理では、特約条項に関する情報と第1見積もりの内容を、費用管理テーブルをもとに、比較する。このとき、費用管理テーブルを参照して、特約条項と第1見積もりの費用項目を比較して、特約条項に存在しない項目が第1見積もりに含まれるか否かを判定する。特約条項に存在しない項目が第1見積もりに含まれる場合、入居者の承諾が必要と判断されてもよい。
[第1支払処理]
次に、退去支援システムにおける支払処理(ステップS6)の一例について、説明する。図13は、本発明の実施の形態にかかる退去支援システムにおける第1支払処理のフローチャートを表す図である。第1支払処理は、入居者端末1において、承諾に関する入力を受け付けることなく、第1見積もり又は第2見積もりによる退去費用の支払い処理を実行する処理である。
管理者端末5から入居者端末1へ、ステップS34にて記憶された第1見積もり又はステップS62にて算定された第2見積もりの内容と支払いの方法に関する請求情報が送信され(ステップS81)、入居者端末1では、第1見積もり又は第2見積もりの内容と請求情報が受信される(ステップS82)。入居者端末1にて受信される請求情報には、入居者から家賃保証者への支払方法等の情報が含まれる。入居者端末1では、第1見積もり又は第2見積もりの請求の内訳(請求項目と数量)と請求の総額(退去費用)の合計が表示される。また、このとき、管理者端末5から保証者端末6へ、同様の第1見積もり又は第2見積もりの内容と請求情報が送信され(ステップS81)、保証者端末6では、第1見積もり又は第2見積もりの内容と請求情報が受信される(ステップS83)。保証者端末6では、第1見積もり又は第2見積もりの請求の内訳と請求の総額の合計が表示される。保証者端末6にて受信される請求情報には、家賃保証者から管理者への支払方法等の情報が含まれる。
ステップS81及び後述のS91で送信される第1見積もり又は第2見積もりの内容は、入居者が賃貸物件を退去する際に、賃貸物件の管理者、又は、該賃貸物件の家賃を保証する家賃保証者が、入居者へ請求する費用に関する情報ともいえる。また、ステップS81で送信される第1見積もり又は第2見積もりの内容は、入居者の承諾なしに支払いの手続きを進められるものなので、ステップS83で第1見積もり又は第2見積もりの内容と請求情報を受信した家賃保証者は、第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額を管理者へ支払う手続きを実行する(ステップS84)。家賃保証者は、未払いの家賃や退去月の家賃だけでなく、原状回復費、賃貸契約書の特約条項で定められた固定費等の支払いを管理者に行うことが可能となる。管理者は、家賃保証者が第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額の支払い手続きを実行したことを管理者端末5にその旨を表示させること等によって、確認する(ステップS85)。ステップS84~S85により、家賃保証者による代位弁済の手続きが実行される。
ステップS84においては、家賃保証者は、保証者端末6にて受信した第1見積もり又は第2見積もりにおいて請求される項目、項目に係る数量、項目ごとの金額、及び請求される費用の総額に関する情報を表示画面にて確認したうえで、管理者に対して、第1見積もり又は第2見積もりの費用の総額を退去費用として支払い手続きを実行することができる。
ステップS82で第1見積もり又は第2見積もりの内容・請求情報を受信した入居者は、家賃保証者へ、請求情報の記載に基づいて第2見積もりの請求の総額(退去費用)の支払い手続きを実行する(ステップS86)。家賃保証者は、入居者から第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額が支払われたことを家賃保証者端末6にその旨を表示させること等によって、確認する(ステップS87)。ステップS81~S87により、第1支払処理は終了する。なお、ステップS84~S85、及びステップS86~S87の処理は、順番を入れ替えて実行されてもよいし、同時期に進行されてもよい。また、入居者端末1、管理者端末4、及び、保証者端末6の情報の送受信は、サーバ装置2を介して実行されてもよい。また、請求情報のうちの少なくとも一部は、紙媒体等に印刷したうえで、入居者や家賃保証者へ提供されてもよい。
なお、ステップS84の家賃保証者から管理者への支払い方法、又は、ステップS86の入居者から家賃保証者への支払い方法は、特に限定されないが、例えば、銀行振り込み、QRコード(登録商標)決済等の電子決済、クレジットカード払い、デポジット払い等の方法をとることができる。また、ステップS84の家賃保証者から管理者への支払いは、家賃保証者による保証者端末6への操作に応じて、サーバ装置2にて実行されてもよい。例えば、家賃保証者が保証者端末6を操作することで、サーバ装置2に予め登録されたクレジットカードにより支払いの処理が実行されてもよく、サーバ装置2から、銀行等が運営するシステムへアクセスし、家賃保証者の口座から管理者の口座へ支払いをするように支払い指示情報を送信してもよい。その他、家賃保証者ごとに、管理者へ支払うための費用を予納しておき、家賃保証者による保証者端末6への操作に応じて、サーバ装置2のストレージ部23に記憶された、予納された金額を減算して更新してもよい。入居者から家賃保証者への支払いも同様に、入居者による入居者端末1への操作に応じて、サーバ装置2にて実行されてもよい。例えば、サーバ装置2に予め登録されたクレジットカードによる支払いの処理、銀行等が運営するシステムへ入居者の口座から家賃保証者の口座へ支払いをするための支払い指示情報の送信、又は、サーバ装置2のストレージ部23に記憶された、入居者により予納された金額の減算などが実行される。
なお、第1支払処理及び後述の第2支払処理において、上述の第1見積算定手段又は第2見積算定手段により算定された費用について、サーバ装置2を介して家賃保証者から管理者への支払い処理を実行する構成、算定された費用に関する情報を、家賃保証者が操作する保証者端末へ送信する構成、及び/又は、算定された費用について、家賃保証者から管理者への支払い処理が実行されたことを登録する構成としてもよい。具体的には、例えば、ステップS85又は後述のS97において、管理者が家賃保証者からの支払いを確認後、管理者端末4への操作入力により、家賃保証者から管理者への支払い処理が実行されたことを、物件及び/又は入居者と関連付けて、サーバ装置2に登録してもよい。或いは、ステップS84又は後述のS96において、家賃保証者からの支払いが実行された後に、保証者端末6への操作入力により、家賃保証者から管理者への支払い処理が実行されたことを、物件及び/又は入居者と関連付けて、サーバ装置2に登録してもよい。
或いは、第1支払処理及び後述の第2支払処理において、第1見積算定手段又は第2見積算定手段により算定された費用について、サーバ装置2を介さず家賃保証者から管理者への支払い処理を実行する場合も同様に、算定された費用に関する情報を、家賃保証者が操作する保証者端末へ送信する構成、及び/又は、算定された費用について、家賃保証者から管理者への支払い処理が実行されたことを登録する構成としてもよい。
入居者から家賃保証者への支払いも同様に、上述の構成を採用できる。例えば、第1見積算定手段又は第2見積算定手段により算定された費用について、サーバ装置2を介して入居者から家賃保証者への支払い処理を実行する構成、算定された費用に関する情報を、入居者端末へ送信する構成、及び/又は、算定された費用について、入居者から家賃保証者への支払い処理が実行されたことを登録する構成としてもよい。また、第1見積算定手段又は第2見積算定手段により算定された費用について、サーバ装置2を介さず入居者から家賃保証者への支払い処理を実行する場合も同様に、算定された費用に関する情報を、入居者が操作する入居者へ送信する構成、及び/又は、算定された費用について、入居者から家賃保証者への支払い処理が実行されたことを登録する構成としてもよい。
具体的には、ステップS87又は後述のS101において、家賃保証者が入居者からの支払いを確認後、保証者端末6への操作入力により、入居者から家賃保証者への支払い処理が実行されたことを、物件及び/又は入居者と関連付けて、サーバ装置2に登録してもよい。或いは、ステップS86又は後述のS100において、入居者からの支払いが実行された後に、入居者端末1への操作入力により、入居者から家賃保証者への支払い処理が実行されたことを、物件及び/又は入居者と関連付けて、サーバ装置2に登録してもよい。
なお、ステップS86の入居者から家賃保証者への第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額の支払い手続きを、入居者から管理者へ支払うという構成にしてもよい。この場合、入居者から管理者への支払いについて期日が設けられており、その期日までは、ステップS84の家賃保証者の第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額の支払い手続きは実行されない。この場合、ステップS82にて入居者端末1にて受信される請求情報には、入居者から家賃保証者への支払方法等の情報が含まれる。
期日までに入居者から管理者への支払い手続きが実行されない場合、又は、期日までに入居者から管理者への支払い手続きが実行されたことが登録されない場合、家賃保証者はステップS84の第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額の支払い手続きを実行し、入居者に対して、退去費用の支払いを請求する。サーバ装置2から保証者端末6へ、家賃保証者が第2見積もりの請求の総額の支払の手続きを実行する旨を通知してもよい。このとき、入居者が第1見積もり又は第2見積もりを支払い先は、管理者から家賃保証者へと変更される。これらの処理については、一般的な家賃滞納時のフローを援用できる。
また、上述の実施の形態では、第1見積もり又は第2見積もりを入居者に請求する場合について、入居者に支払いを請求する処理として、ステップS81~S87の処理を実行している。一方、第1見積もり又は第2見積もりの算定の結果、入居者に退去費用を返還する場合、ステップS81において、返還される費用の詳細が入居者端末1及び保証者端末6に送信され、管理者又は家賃保証者から入居者に第2見積もりにて算定された費用が支払われる。この場合、ステップS84~S87を省略することができる。
[第2支払処理]
次に、退去支援システムにおける支払処理(ステップS6)の他の一例について、説明する。図14は、本発明の実施の形態にかかる退去支援システムにおける第2支払処理のフローチャートを表す図である。第2支払処理は、入居者端末から承諾に関する入力を受け付けた後に、第1見積もり又は第2見積もりの支払いの支払い処理を実行する処理である。なお、第1支払処理と重複する説明を省略する場合がある。
管理者端末5から入居者端末1へ、ステップS34にて記憶された第1見積もり又はステップS62にて算定された第2見積もりが送信され(ステップS91)、入居者端末1では、第1見積もり又は第2見積もりの請求の内訳と請求の総額の合計が表示される(ステップS92)。また、このとき、入居者端末1では、第1見積もり又は第2見積もりの内容に加えて、第1見積もり又は第2見積もりの内容にしたがって、退去費用の支払いを行うことを承諾する承諾意思を示す承諾ボタンが表示される。さらに、第2見積もりの内容が表示される際に、第1見積もりの内容から追加された見積もりの項目及び/又は数量について、強調して表示されてもよいし、第1見積もりの内容と第2見積もりの内容とを両方表示されてもよい。
承諾ボタンは、第1見積もり又は第2見積もりの内容にしたがって退去費用の支払いを行うことを承諾する旨の意思表示を示すために用いられる。入居者は、表示された第1見積もり又は第2見積もりについて、支払いの承諾をする場合は、承諾ボタンを押下することにより、入居者端末1にて、退去費用を支払う旨の入居者による承諾に関する入力を受け付ける(ステップS93)。
また、第2見積もりの支払いを実行する場合、ステップS91では、第2見積もりにおいて算定された請求の内訳と請求の総額だけでなく、第2見積もりを算定した際に取得した画像データを送信するのが好ましい。画像データを入居者に送信することで、入居者に対して、第1見積算定処理にて表示された第1見積もりから増減した根拠を明確に示すことができる。入居者は、該画像データを第2見積もりの支払いについて、承諾するための判断材料にできる。また、入居者端末1への操作により、情報入力処理にて入力した物件内の状態に関する情報を入居者端末1に送信するようにサーバ装置2に送信要求を行うことができる。また、入居者が第2見積もりの支払いについて自らの過失ではない原状回復費が含まれている等の理由から承諾できない場合、管理者へ問い合わせ等を行うことができる。
ステップS93にて、入居者から第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額について支払いの承諾を入居者端末1が受け付けると、承諾に関する入力を受け付けた旨の承諾情報がサーバ装置2から送信され、管理者端末5及び保証者端末6にて、承諾情報が受信される(ステップS94、ステップS95)。また、入居者により支払いの承諾がされた旨である承諾情報と共に、第1見積もり又は第2見積もりの内容、及び請求情報が、サーバ装置2から送信され、管理者端末4及び/又は保証者端末6において受信されてもよい。保証者端末6にて受信される請求情報には、家賃保証者から管理者への支払方法等の情報が含まれる。なお、ステップS94、及びS95の処理は入居者の退去費用を支払う旨の承諾に関する通知を、他のコンピュータ装置である管理者端末5及び保証者端末6に送信する処理であるともいえる。
保証者端末6において、承諾がされた旨と受信した第1見積もり又は第2見積もりの請求の内訳と請求の総額の合計を表示画面にて確認する。家賃保証者は、入居者より退去費用の支払いの承諾がされているため、未払いの家賃や退去月の家賃だけでなく、原状回復費、賃貸契約書の特約条項で定められた固定費等の支払いを管理者に行うことが可能となる。家賃保証者により、承諾された第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額について、管理者への支払い手続きが実行され(ステップS96)、管理者は、家賃保証者が第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額の支払い手続きを実行したことを管理者端末5にその旨を表示させること等によって、確認する(ステップS97)。ステップS96~S97により、家賃保証者による代位弁済の手続きが実行される。
また、家賃保証者は、代位弁済した退去費用を、入居者に対して請求するため、保証者端末6の操作入力により、保証者端末6から入居者端末1に請求情報が送信され(ステップS98)、入居者端末1にて請求情報が受信される(ステップS99)。入居者端末1にて受信される請求情報には、入居者から家賃保証者への支払方法等の情報が含まれる。
ステップS99で請求情報を受信した入居者は、家賃保証者へ、請求情報の記載に基づいて承諾した第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額の支払い手続きを実行する(ステップS100)。家賃保証者は、入居者から第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額が支払われたことを家賃保証者端末6にその旨を表示させること等によって、確認する(ステップS101)。ステップS91~S101により、第2支払処理は終了する。なお、ステップS96~S97、及びステップS98~S101の処理は、順番を入れ替えて実行されてもよいし、同時期に進行されてもよい。
なお、ステップS96の家賃保証者から管理者への支払い方法、及び、ステップS100の入居者から家賃保証者への支払い方法は、特に限定されず、上述の支払方法を適宜採用できる。
なお、ステップS100の入居者から家賃保証者への第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額の支払い手続きを、ステップS86と同様に、入居者から管理者へ支払うという構成にしてもよい。この場合、入居者から管理者への支払いについて期日が設けられており、その期日までは、ステップS96の家賃保証者の第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額の支払い手続きは実行されない。この場合、ステップS93にて入居者端末1にて支払いの承諾を受け付けた後、請求情報がサーバ装置2又は管理者端末4から入居者端末1に送信される。このとき、入居者端末1にて受信される請求情報には、入居者から管理者への支払方法等の情報が含まれる。
期日までに入居者から管理者への支払い手続きが実行されない場合、又は、期日までに入居者から管理者への支払い手続きが実行されたことが登録されない場合、家賃保証者はステップS96の第1見積もり又は第2見積もりの請求の総額の支払い手続きを実行し、入居者に対して、退去費用の支払いを請求する。このとき、入居者が第1見積もり又は第2見積もりを支払い先は、管理者から家賃保証者へと変更される。これらの処理については、一般的な家賃滞納時のフローを援用できる。
また、上述の実施の形態では、第1見積もり又は第2見積もりを入居者に請求する場合について、入居者に支払いを請求する処理として、ステップS91~S101の処理を実行している。一方、第1見積もり又は第2見積もりの算定の結果、入居者に退去費用を返還する場合、ステップS94にて、管理者が退去費用の返還について入居者からの承諾を受信した後、管理者から入居者に第2見積もりにて算定された費用が支払われる。この場合、ステップS96~S101を省略することができる。なお、退去費用の返還手続きは、入居者からの承諾を省略することができる。
さらに、上述の実施の形態では、算定された第2見積もりの内容の支払いの承諾を第2見積もりの算定後の支払処理にて入力したが、第2見積算定処理前に入居者が支払いの承諾を入力する構成としてもよい。具体的には、ステップS2において、算定された第1見積もりを入居者端末1の表示画面に表示する際に、第2見積もりの内容にしたがって、退去費用の支払いを行うことを承諾する承諾意思を示す承諾ボタンも表示させる。入居者から支払いの承諾を受け付けた場合、承諾判定処理を省略し、第2見積算定処理後、第1支払処理が実行される構成としてもよい。
第2見積算定処理の前に、入居者からの操作により、入居者の承諾を入居者端末1が受け付けると、入居者の支払いの承諾は、サーバ装置2へ送信され、物件及び/又は入居者と関連付けて、サーバ装置2のストレージ部23に記憶される。また、第2見積もりの支払いの承諾がされたことを管理者端末5及び保証者端末6が受信してもよい。この場合、その後算定された第2見積もりの内容によらず、ステップS74にて入居者の承諾が必要ないと判定される。そして、第1支払処理を進めることができる。なお、第2見積算定処理の前に、入居者からの操作により、入居者の承諾を受け付けた場合であっても、第1見積もりと第2見積もりとの請求の総額の差額が、所定の金額以上の場合は、ステップS74にて入居者の承諾が必要と判定され、第2支払処理にて、再度、入居者から支払いの承諾を入力させるのが好ましい。
なお、上述の支払処理は、第2見積もりの内容にしたがって、実行されることが好ましい。第2見積もりの算定前に第1見積もりについて支払処理が実行されると、第2見積もりの算定により支払いを完了した第1見積もりから請求費用が変動する場合がある。その場合は、第1見積もりから加算または減算された費用について、ステップS6の支払処理を進める必要がある。第1見積もりの費用よりも第2見積もりの費用が高額な場合は、承諾判定処理が実行され、第2見積もりの費用から支払い済みの第1見積もりの費用を減算した費用について、第1支払処理又は第2支払処理が実行される。一方、第2見積もりの費用が第1見積もりの費用よりも低額な場合は、支払い済みの第1見積もりの費用から第2見積もりの費用を減算した費用について、ステップS81~83の支払(返還)処理を行う。一方、第1見積もり及び第2見積もりの内容が同一の場合、すでに第1見積もりの請求の総額について支払いを終えているため、支払処理は実行されない。
上述のとおり、算定された第1見積もり又は第2見積もりの支払いについて、家賃保証者から入居者に請求することができる。また、算定された第1見積もり又は第2見積もりの支払いは、いずれも、支払処理において、入居者から家賃保証者への支払いの処理を実行することができる。
上述の実施の形態では、賃貸契約書の特約条項に基づいて退去費用の見積もりをし、見積もられた費用について、家賃保証者による保証者端末への操作により、算定された見積もりにしたがって、家賃保証者から管理者への前記費用の支払い処理を実行する構成とした。しかし、例えば、前記退去支援システムにおいて、特約条項に基づかずに見積もられた費用であっても、家賃保証者による保証者端末への操作により、算定された見積もりにしたがって、家賃保証者から管理者への前記費用の支払い処理を実行するような構成を採用することもできる。つまり、算定される第1見積もり及び第2見積もりは、特約条項で定められた事項を含まないものであってもよく、該第1見積もり又は該第2見積もりについて、上述のステップS6の支払処理を進めるという構成を採用することができる。
[退去支援処理の変形例]
上述した実施の形態では、主に、退去物件の情報入力の処理等について入居者が操作する入居者端末1にて入力する構成について説明したが、上述した実施の形態で示した構成において、入居者端末1に代えて、家賃保証者が操作する保証者端末6にて入力する構成とすることができる。
例えば、入居者が経済的に困窮をし、入居者の行方が不明となった場合は、家賃保証者が物件の状態を確認したうえで、退去の手続きを行うことができる。入居者による家賃の滞納が継続し、入居者の行方が不明であると判明した場合は、家賃保証者により入居者の所有物を物件から搬出し、家賃保証者が上述の退去支援システムを利用することができる。
したがって、例えば、退去支援システムを利用する前の申請、図5に示す情報入力処理のフローチャート、図7に示す第1見積算定処理のフローチャート、図8に示す費用テーブル、図9に示す通知処理のフローチャート、図10に示す第2見積算定処理のフローチャート、図13及び図14に示す支払処理のフローチャートは、入居者端末1に代えて保証者端末6においても適用される。さらに、図6の表示画面の例は、保証者端末6の表示画面においても適用される。なお、ステップS1の情報入力処理において、家賃保証者は、入居者の身分証明書の代わりに、家賃保証者自身の身分保証書の画像データを送信することもできる。また、ステップS17の喫煙の有無やステップS18のペットの飼育の有無に関する入力について、家賃保証者は、物件内の状態から判断することができる。
また、情報入力処理において、物件内で発生したキズ、汚れ、破損について、家賃保証者から退去支援システムに報告をするための処理として、ステップS19~S24の処理を実行できる。このうち、ステップS21にて、事前に登録されているキズ、汚れ、破損の程度が異なる複数の画像を選択し、さらに、ステップS24にて、そのキズ、汚れ、破損についての画像データをサーバ装置2へ送信してもよいし、ステップS21を省略して、ステップS19、S22、S23及びS24のみを実行することも可能である。
本発明によれば、退去時の物件内の過失箇所について、入居者、家賃保証者、管理者、及び/又は施工者との立ち会い確認を省略して、退去の手続きが完了することができる。これにより、日程の調整をはじめ、立ち会いによって生じる負担をなくすことができる。
本発明によれば、特約条項に関する情報に基づいて入居者が賃貸物件を退去する際に、賃貸物件の管理者又は賃貸物件の家賃を保証する家賃保証者が、入居者に請求する費用(退去費用ともいう)を算定するため、具体的な退去費用を簡易に算定できる。また、本発明によれば、特約条項に関する情報が、賃貸物件のキズ、破損、及び/若しくは、汚れの種類と単価に基づいた費用、賃貸物件のクリーニング費用、並びに/又は鍵の交換費用に関するものであるため、これらに関する費用について、特約条項に基づいて退去費用を算定できる。
また、本発明によれば、物件内の状態に関する状態情報と特約条項に関する情報に基づいて退去費用を算定するため、物件内の状態に即した退去費用を算定できる。また、本発明によれば、賃貸物件内の状態に関する状態情報と関連付けて記憶された、該状態から次の入居者に引き渡すことができる状態にするための費用をもとに、受け付けた状態情報に応じて、退去費用を算定できる。
また、本発明によれば、算定された退去費用について、入居者の退去費用について代位弁済することを保証する家賃保証者が退去費用の支払い処理を実行し、退去費用の支払い情報を家賃保証者端末にて受信し、及び/又は、家賃保証者により支払処理が実行されたことを登録するため、家賃保証者が入居者の退去費用を代位弁済することができる。これにより、管理者が入居者から退去費用を回収できない場合に生じる損害を抑えることができる。
また、家賃保証者が入居者の家賃及び退去費用について代位弁済することを保証するため、未納家賃や退去費用の清算のために、管理者が担保として預かっていた敷金について、入居者から預かる必要がなくなる。そのため、敷金が減額された、又は敷金がかからない賃貸物件を賃貸しすることができ、入居者にとって入居に関する初期費用を抑えることができる。また、家賃保証者が、入居者の家賃及び退去費用を代位弁済するため、管理者が、敷金で対応できなかった退去費用の不足分や敷金を預からない場合の退去費用の請求を入居者に督促する必要がなくなる。これにより、管理者の退去費用の回収の負担を軽減することができる。さらに、入居者にとっては、家賃及び退去費用の支払いについて、家賃保証者のみから督促されるため、当該支払いの対応が管理会社を含む場合と比較して手続きを円滑に行える。
本発明によれば、入居者が賃貸物件から退去する際に、賃貸物件の管理者又は家賃保証者が、入居者に請求する費用を支払う旨の承諾を受け付けるため、入居者から退去費用の支払いに関する合意を得る手続きを簡便に行うことができる。従来、退去費用の負担に関して見積もりを算定し、入居者から支払いに関する合意を得ていたが、退去費用に係る費用算定について、算定結果に不明瞭な点がある場合、入居者から支払いに関する合意を得るために、管理者は入居者と何回もやり取りすることがある。本発明の退去支援システムによれば、システム内で入居者から退去費用の支払いについて承諾を得ることができ、手続きを簡略化できる。また、費用テーブル等の所定のルールに基づいた明瞭な費用算定が行われ、また、費用の算定について、物件内の情報による根拠を示すことができるため、入居者は納得して退去費用の支払いについて承諾をすることができる。
また、本発明によれば、退去費用が、管理者、又は、賃貸物件を次の入居者が入居できる状態に回復する施工者が、賃貸物件内の状態をもとに算定したものであるため、正確な退去費用について、入居者の支払の承諾を得ることができる。また、本発明によれば、承諾情報を、家賃保証者が操作する保証者端末、及び/又は、管理者が操作する管理者端末に送信するため、家賃保証者が退去費用を代位弁済の支払の手続きを進められる。また、本発明によれば、所定の場合においては、承諾に関する入力を受け付けることなく、退去費用の支払い処理を実行することができる。また、本発明によれば、所定の場合においては、承諾に関する入力を受け付けた後に、退去費用の支払い処理を実行することができる。そのため、物件の退去費用の清算の手続きを円滑に進めることができる。
本発明によれば、入居者、家賃保証者、管理者、及び施工者が操作する端末をそれぞれ備えるシステムであるので、入居者、家賃保証者、管理者、及び施工者を含めた煩雑な退去に関するやり取りを、円滑に進めることができる。