JP4593803B2 - 住宅賃貸関連費用算出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅の賃貸に関する費用の額をコンピュータにより算出する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
住宅の賃貸については、その住宅の貸主と借主との間において賃貸契約が予め締結され、その締結内容に従い、住宅の賃貸に関する費用の負担者および負担額が決定される。
【0003】
住宅の賃貸に関する費用に、借主が貸主に対して支払うべき家賃が含まれることはいうまでもないが、借主による住宅の使用後にその住宅の原状回復を行うのに必要な工事の費用である原状回復費用も含まれる場合がある。この場合、貸主は、一般に、賃貸契約が終了し、それまで借りていた住宅をその借主が退去するときに、その原状回復費用を貸主に対して支払うこととなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、その「原状回復」という用語の意味をめぐって貸主と借主との間でトラブルとなるケースが少なくない。
【0005】
この用語に対して「リフォーム」という用語が存在する。借りていた住宅をその借主が退去した後にその住宅に対して行われる工事の目的が「リフォーム」である場合には本来、その工事の費用を借主が負担すべき義務はないはずである。ところが、貸主と借主との利害が対立することから、貸主はその「原状回復」という用語の意味を広く解釈し、「リフォーム」という用語の意味を部分的に取り込もうとする傾向があるのに対して、借主は同じ「原状回復」という用語の意味を狭く解釈し、「リフォーム」という用語の意味を一切排除しようとする傾向がある。そのため、借りていた住宅をその借主が退去するときに、原状回復費用の額をめぐって貸主と借主との間でトラブルになることが少なくないのである。
【0006】
このような実態を改善すべく、平成10年3月、財団法人 不動産適正取引推進機構は、建設省住宅局からの委託に基づき、「賃貸住宅リフォームの推進方策検討結果報告書〜原状回復をめぐるトラブルとガイドライン〜」と題する報告書(以下、単に「ガイドライン」と称する)を発行した。このガイドラインによれば、「原状回復」という用語と「リフォーム」という用語の意味の違いが明確になる。具体的には、原状回復義務は、借主の通常の居住、使用により生ずる損耗等を復旧する範囲においては、貸主に課される一方、借主の故意過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧する範囲においてのみ、借主に課されることになる。さらに、そのガイドラインによれば、「リフォーム」という用語は、貸主が次の入居者を確保するために行うある程度の補修工事と内装・設備等のグレードアップのための工事とを意味することとなる。
【0007】
以上要するに、このガイドラインによれば、自然損耗または経年変化に起因した損耗に対する復旧義務は借主にではなく貸主にあるのであって、故意過失、善管注意義務違反等による破損、汚損等に対する復旧責任のみが借主にあるのである。
【0008】
このように、現状では、「原状回復」という用語の解釈が当業界において十分には統一されていない上に、原状回復費用の額が、貸主またはその代行者により、勘と経験とをたよりに算定されていた。客観的かつ理論的な規則に従って算定されていたとはいえないのである。そのため、その算定者の如何によって算定額が異なってしまう場合があり、このことも貸主と借主との間でトラブルの原因となっていた。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
このような事情を背景として、本発明は、コンピュータによる計算の公平性および客観性を利用することにより、住宅の賃貸に関する費用の額をめぐってその住宅の貸主と借主との間でトラブルが起こる事態を回避することを課題としてなされたものである。
本発明の一側面によれば、住宅の賃貸に関する費用の額をコンピュータにより算出する方法であって、
当該方法を実施するために、前記コンピュータは、対応関係メモリと、負担率メモリと、組入率メモリと、基本家賃メモリとを用い、
前記対応関係メモリは、前記住宅内に配置可能な各部屋の複数の種類と、予め設定された使用条件で各種類の部屋が使用されることを想定した場合にその仮想的な使用の終了後にその部屋の原状回復を行うのに必要であると予想される工事の費用である原状回復費用の額を算出するために参照することが必要な参照情報との対応関係を予め記憶させられており、
前記参照情報は、各種類の部屋の原状回復を行うために修理されるべき部位である修理部位と、工事仕様と、修理内容とに関して予め定められた条件のもと、各部屋の種類に応じて工事費用を計算するのに必要な数値を含んでおり、
前記負担率メモリは、前記原状回復費用の見積額のうち、前記住宅の貸主が負担すべき形式貸主負担費用の割合である形式貸主負担率と、前記住宅の借主が負担すべき借主負担費用の割合である借主負担率とを記憶させられ、
前記負担率メモリは、さらに、前記形式貸主負担率に基づいて算出される形式貸主負担費用のうち、前記貸主に代わって前記住宅の賃貸を管理する管理者が負担すべき部分を除く部分である実質貸主負担費用の割合である実質貸主負担率も記憶させられ、
前記組入率メモリは、前記実質貸主負担費用である組入額のうち、借主が貸主に対して支払うべき最終家賃に組み入られる費用の額の、前記組入額の全額に対する比率である組入率を記憶させられ、
前記基本家賃メモリは、前記住宅を新たに借りることを希望する者が存在する場合に、それ以前に同じ住宅を借りていた者が前記貸主に対して支払っていた現状家賃である基本家賃を記憶させられ、
当該方法は、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、その住宅の間取りを表す間取りデータを前記コンピュータに入力することをユーザに促すための入力催促表示を画面上において行う第1表示工程であって、前記間取りデータは、前記ユーザが前記住宅内に配置することを希望する部屋の数と各部屋の種類および広さとを表すデータを含むものと、
前記入力催促表示に応答して前記ユーザにより入力された間取りデータに基づき、前記対応関係メモリにおいて、前記入力された間取りデータに対応する前記参照情報を検索し、その検索された参照情報と前記入力された間取りデータとに基づき、その間取りデータに対応する前記原状回復費用の見積額を算出し、その算出された原状回復費用の見積額を前記画面上に表示する第2表示工程と、
前記負担率メモリから前記形式貸主負担率および前記借主負担率を読み込み、それら読み込まれた形式貸主負担率および借主負担率と、前記算出された原状回復費用の見積額とに基づき、前記形式貸主負担費用と前記借主負担費用とのそれぞれについて見積額を算出し、その算出された各負担費用の見積額を前記画面上に表示する第3表示工程と、
前記借主が前記最終家賃の一部として前記貸主に対して支払うべき費用の額と、前記借主が前記最終家賃とは別に前記貸主に対して支払うべき特別費用の額とを算出し、それら算出された費用の額を前記画面上に表示する第4表示工程と
を含み、
その第4表示工程は、
前記負担率メモリから前記実質貸主負担率を読み込み、
その読み込まれた実質貸主負担率と、前記算出された原状回復費用の見積額との積として、前記実質貸主負担費用の額を算出し、
その算出された実質貸主負担費用の額を、前記住宅の平均的な使用期間における月数で割り算することにより、月ごとの前記最終家賃に組み入れる月別組入額を算出し、
前記基本家賃メモリから前記基本家賃を読み込み、
前記組入率メモリから前記組入率を読み込み、
その読み込まれた組入率と、前記算出された月別組入額との積と、前記読み込まれた基本家賃の額との和として前記最終家賃の額を算出し、
前記算出された月別組入額と、1から前記組入率を引き算した値との積として前記特別費用の額を算出する住宅賃貸関連費用算出方法が提供される。
本発明によって下記各態様が得られる。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本明細書に記載の技術的特徴のいくつかおよびそれらの組合せのいくつかの理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると解釈されるべきではない。
【0010】
(1) 住宅の賃貸に関する費用の額をコンピュータにより算出する方法であって、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、その住宅の間取りを表す間取りデータを前記コンピュータに入力することをユーザに促すための入力催促表示を画面上において行う第1表示工程と、
前記入力催促表示に応答して前記ユーザにより入力された間取りデータに基づき、前記住宅内に配置可能な各部屋の複数の種類と、予め設定された使用条件で各種類の部屋が使用されることを想定した場合にその仮想的な使用の終了後にその部屋の原状回復を行うのに必要であると予想される工事の費用である原状回復費用の額を算出するために参照することが必要な参照情報との対応関係を予め記憶させられた対応関係メモリにおいて、その入力された間取りデータに関連する前記参照情報を検索し、その検索された参照情報と前記入力された間取りデータとに基づき、その間取りデータに対応する前記原状回復費用の見積額を算出し、その算出された原状回復費用の見積額を前記画面上に表示する第2表示工程と
を含む住宅賃貸関連費用算出方法[請求項1]。
この方法においては、住宅の賃貸契約の締結に先立ち、その住宅の間取りに基づき、その住宅に関して将来的に発生する原状回復費用の見積額が算出されて表示される。ここに「間取り」は、一般に、住宅内に配置される各部屋の種類(例えば、居間、台所、食堂、洗面所、トイレ、浴室等)や、各種類の部屋の数、各部屋の大きさ等の要素によって表現される。
したがって、この方法によれば、従来におけるように、借りていた住宅をその借主が退去する際にはじめて原状回復費用の額を算出してその借主に提示する場合におけるより、原状回復費用の額をめぐって将来、貸主と借主との間でトラブルになってしまうケースを容易に回避し得る。
さらに、この方法においては、賃貸に係る住宅内に配置可能な各部屋の複数の種類と、予め設定された使用条件で各種類の部屋が使用されることを想定した場合にその仮想的な使用の終了後にその部屋の原状回復を行うのに必要であると予想される工事の費用である原状回復費用の額を算出するために参照することが必要な参照情報との対応関係が対応関係メモリに予め記憶させられる。ここに「参照情報」は、例えば、各種類の部屋の広さ等に応じてその部屋の原状回復に必要な工事費用(例えば、各種類の部屋の内装工事費用)を計算するのに必要な定数や係数を含むように作成される。
さらに、この方法においては、住宅の賃貸契約の締結に先立ち、住宅についてユーザにより入力された間取りを表す間取りデータに基づき、上記対応関係メモリにおいて、その入力された間取りデータに関連する参照情報が検索され、その検索された参照情報と、入力された間取りデータとに基づき、その間取りデータに対応する原状回復費用の見積額が算出される。
したがって、この方法によれば、住宅の賃貸契約の締結に先立ち、その住宅の間取りに基づき、一定の算出規則に従って、その間取りに対応する原状回復費用の見積額を算出し得る。
その結果、この方法によれば、コンピュータの公平性および客観性を利用することにより、同じ間取りであるにもかかわらず原状回復費用の見積額が異なってしまう事態を容易に回避し得る。
よって、この方法によれば、借主の観点からすれば、賃貸に係る住宅に関する原状回復費用の額の透明性が増し、借主がその住宅を借りて使用する間、その原状回復費用の額に対して過敏にならずに済む。
さらに、この方法によれば、貸主の観点からすれば、原状回復費用の額の透明性が増す結果、借主からの信頼を容易に獲得し得る。
さらに、この方法によれば、住宅の賃貸をその貸主に代わって管理する管理者の観点からすれば、原状回復費用の額をめぐって将来、貸主と借主との間でトラブルになってしまうケースを容易に回避し得ることにより、そのトラブルの解消に費やさなければならない時間および労力を容易に軽減し得る。
本項における「コンピュータ」は、例えば、他のコンピュータに依存せずに自立するスタンドアローン型コンピュータとして構築したり、他のコンピュータと通信ネットワークを介して接続されたネットワーク型コンピュータとして構築することができる。
そのネットワーク型コンピュータは、情報提供側であるサーバ・コンピュータとして機能する場合と、情報受領側であるクライアント・コンピュータとして機能する場合とがある。
それら2つの場合のいずれにおいても、本項における「画面」は、サーバ・コンピュータにおける画面ではなく、クライアント・コンピュータにおける画面を意味することとなる。ユーザにより使用されるコンピュータはクライアント・コンピュータであるからである。
さらに、上記2つの場合のいずれにおいても、クライアント・コンピュータにおける画面上に情報の内容を直接に表示するのはクライアント・コンピュータであるが、そのクライアント・コンピュータにその表示を指令するのはサーバ・コンピュータである。したがって、表示を行うコンピュータは、クライアント・コンピュータであると考えることもできるし、サーバ・コンピュータであると考えることもできる。
この事実に着目することにより、本項における「画面」が業務用のクライアント・コンピュータにおける画面として構成される場合には、本項における第1表示工程および第2表示工程がそのクライアント・コンピュータにより実行されるものであると考えることも、サーバ・コンピュータにより実行されるものであると考えることも可能である。また、本項における「画面」が個人・家庭用のクライアント・コンピュータにおける画面として構成される場合には、本項における第1表示工程および第2表示工程がサーバ・コンピュータにより実行されるものであると考えることが可能である。
さらに、本項における「コンピュータ」は、複数のクライアント・コンピュータとサーバ・コンピュータとが通信ネットワークを介して互いに通信可能に接続されて構成されたコンピュータ・システムとして構築することも可能である。
さらに、本項における「コンピュータ」は、種々の用途および形態を採用することが可能であり、例えば、汎用コンピュータを意味するものとしたり、専用コンピュータを意味するものとしたり、携帯電話機およびPHSを含む移動電話機におけるコンピュータを意味するものとしたり、電子メモに通信機能が付加された携帯情報端末におけるコンピュータを意味するものとすることが可能である。
さらに、本項における「ユーザ」は、例えば、賃貸に係る住宅の貸主としたり、借主としたり、その貸主に代わってその住宅を管理する管理者とすることが可能である。
以上、本項における「コンピュータ」、「画面」および「ユーザ」に対する解釈を説明したが、この解釈は、下記の各項においても適宜適用することが可能である。
(2) 前記予め設定された使用条件に従う前記住宅の使用が、その住宅の借主が前記各部屋を平均的な方法で平均的な期間使用する平均的な使用を意味し、かつ、その平均的な使用が、前記借主が故意または過失によって各部屋を破損または汚損することなく、しかも、その借主が善良なる管理者としての注意をもって各部屋を管理する行為に該当する行為と、該当しない行為との双方を含む(1)項に記載の住宅賃貸関連費用算出方法[請求項2]。
前記(1)項に係る方法は、前記予め設定された使用条件に従う住宅の使用が、その住宅の借主が故意または過失によって各部屋を破損または汚損することなく、しかも、その借主が善良なる管理者としての注意をもって各部屋を管理する行為(以下、単に「自然損耗招来行為」という)に該当する行為のみを含む態様で実施することが可能である。しかし、異なる借主が個々に住宅を実際に使用する状態を統計的にもしくは経験的に判断すると、異なる借主による実際の平均的な使用は、一般には、自然損耗招来行為に該当する行為のみならず、該当しない行為も含んでいる。
このような実情に鑑み、本項に係る方法においては、予め設定された使用条件に従う住宅の使用が、自然損耗招来行為に該当する行為と、該当しない行為との双方を含むものとされている。
したがって、この方法によれば、原状回復費用の見積額が、将来における借主の平均的な使用を想定して算出されることとなり、その将来における借主の使用が自然損耗招来行為のみに該当すると想定して算出された場合に比較し、原状回復費用の見積額とそれの実際額とのずれが低減される。
この方法によれば、借主による住宅の実際の使用が平均的である限り、原状回復費用の見積額と、借主が住宅を実際に使用した結果その住宅の原状回復に必要となる原状回復費用の額、すなわち、原状回復費用の実際額とが互いに一致することとなる。
したがって、この方法によれば、借主の観点からすれば、借主による住宅の将来における使用が平均的である限り、原状回復費用の見積額のうちその借主が負担すべきであるとして提示された額の費用以外の費用を貸主に対して支払う義務が生じないことを、住宅の賃貸契約の締結に先立ち、確認することができる。
その結果、この方法によれば、借主は、住宅の使用終了に伴ってその住宅の原状回復のために貸主に対して支払わなければならないこととなる費用の額をそれほど心配せずに、住宅を借りて使用し得る。
(3) さらに、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、前記算出された原状回復費用の見積額のうち、前記住宅の貸主が負担すべき負担費用の割合である貸主負担率と、その住宅の借主が負担すべき負担費用の割合である借主負担率とをそれぞれ表す負担率データと、前記算出された原状回復費用の見積額とに基づき、前記貸主と前記借主とのそれぞれについて前記負担費用の見積額を算出し、その算出された各負担費用の見積額を前記画面上に表示する第3表示工程を含む(1)または(2)項に記載の住宅賃貸関連費用算出方法[請求項3]。
この方法においては、住宅の賃貸契約の締結に先立ち、その住宅の間取りに対応する原状回復費用の見積額のうち、貸主と借主とがそれぞれ負担すべき負担費用の見積額が算出される。
したがって、この方法によれば、例えば、住宅の賃貸契約の締結に先立ち、その住宅の間取りに対応する原状回復費用の見積額のうち貸主と借主とがそれぞれ負担すべき負担費用の見積額を貸主と借主との双方に提示することが可能となり、このことも、原状回復費用の額をめぐって将来、貸主と借主との間でトラブルになってしまうケースを容易に減少させ得るために有効に寄与する。
(4) 前記算出された原状回復費用の見積額が、前記貸主が負担すべき負担費用の見積額と、前記借主が負担すべき負担費用の見積額と、前記貸主に代わって前記住宅の賃貸を管理する管理者が負担すべき負担費用の額との和を意味する(3)項に記載の住宅賃貸関連費用算出方法[請求項4]。
前記(3)項に係る方法は、住宅の賃貸をその貸主に代わって管理者が管理する住宅に関して実施することが可能であり、この場合には、その管理者は、前記(1)項において説明したように、原状回復費用の額をめぐって将来、貸主と借主との間でトラブルになってしまうケースを容易に回避し得ることにより、そのトラブルの解消に費やさなければならない時間および労力を容易に軽減し得る。
一方、同じ管理者が、自らまたは関連会社により、同じ住宅の原状回復のために工事を行う場合には、上記トラブル解消に要する時間および労力の軽減による業務効率向上および経費削減の見返りとして、その原状回復のための工事の費用として貸主または/および借主に請求する費用の額を低減可能となる。このことは、原状回復費用のうち本来であれば貸主または/および借主が負担すべき費用の一部を管理者が負担可能となることを意味する。
それらの知見に基づき、本項に係る方法においては、前記算出された原状回復費用の見積額が、貸主と借主と管理者との三者によって負担される。
その結果、この方法によれば、賃貸に係る住宅に関して貸主または/および借主に課される負担を容易に軽減し得る。
(5) 前記借主の負担費用が、その借主による前記住宅の使用開始に伴ってその借主によりその住宅の貸主に対して支払われるものである(3)または(4)項に記載の住宅賃貸関連費用算出方法[請求項5]。
前記(3)または(4)項に係る方法は、借主の負担費用が、その借主による住宅の使用終了に伴ってその住宅の貸主に対して支払われるものとされる態様で実施することが可能である。
これに対して、本項に係る方法においては、借主の負担費用が、その借主による住宅の使用開始に伴ってその住宅の貸主に対して支払われるものとされる。
したがって、この方法によれば、借主の観点からすれば、その借主の負担費用を住宅の使用開始に伴って支払ってしまえば、特別の事情がない限り、その住宅の使用終了に伴って、その住宅の原状回復のための追加の費用を請求されずに済むという安心感が得られる。
さらに、この方法によれば、貸主の観点からすれば、借主による住宅の使用開始に伴って、その借主の負担費用を確実に徴収可能となり、よって、その借主がその住宅の使用終了後に原状回復費用を一切負担しない事態の発生を心配せずに済む。
(6) さらに、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、前記貸主について算出された負担費用の見積額に基づき、予め設定された算出条件に従い、前記借主が家賃の一部として前記貸主に対して支払うべき費用の額と、前記借主が家賃とは別に前記貸主に対して支払うべき費用の額との少なくとも一方を算出し、その算出された費用の額を前記画面上に表示する第4表示工程を含む(3)ないし(5)項のいずれかに記載の住宅賃貸関連費用算出方法[請求項6]。
この方法においては、住宅の賃貸契約の締結に先立ち、貸主について算出された負担費用の見積額に基づき、借主が家賃の一部として貸主に対して支払うべき費用の額と、借主が家賃とは別に貸主に対して支払うべき費用の額との少なくとも一方が算出される。
したがって、この方法によれば、住宅の賃貸契約の締結に先立ち、貸主について算出された負担費用の見積額を見込んで、借主から将来徴収すべき費用の額を決定し得る。
よって、この方法によれば、貸主の観点からすれば、原状回復費用のうち貸主が負担すべき負担費用の見積額を見込まずに、借主から徴収すべき費用の額を決定する場合におけるより確実に、貸主はその原状回復費用の最終額のうち見積額に相当する分を回収可能となり、その結果、借主による原状回復費用の支払いについてその借主と貸主との間で大きなトラブルが起こることを容易に回避し得る。
(7) (1)ないし(6)項のいずれかに記載の住宅賃貸関連費用算出方法を実施するためにコンピュータにより実行される住宅賃貸関連費用算出プログラム[請求項7]。
このプログラムがコンピュータにより実行されれば、前記(1)ないし(6)項のいずれかに係る方法と基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
本項に係る「住宅賃貸関連費用算出プログラム」は、それの機能を果たすためにコンピュータにより実行される指令の組合せのみならず、各指令により処理されるファイルやデータをも含むように解釈することが可能である。
(8) (7)項に記載の住宅賃貸関連費用算出プログラムをコンピュータ読取り可能に記録した記録媒体[請求項8]。
この記録媒体に記録されたプログラムがコンピュータにより実行されれば、前記(1)ないし(6)項のいずれかに係る方法と基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
本項における「記録媒体」は種々の形式を採用可能であり、例えば、フロッピーディスク等の磁気記録媒体、CD、CD−ROM等の光記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、ROM等のアンリムーバブル・ストレージ等の少なくとも1つを採用可能である。
(9) 住宅の賃貸に関する費用の額をコンピュータにより算出するシステムであって、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、その住宅の間取りを表す間取りデータを前記コンピュータに入力することをユーザに促すための入力催促表示を画面上において行う第1表示手段と、
前記住宅内に配置可能な各部屋の複数の種類と、予め設定された使用条件で各種類の部屋が使用されることを想定した場合にその仮想的な使用の終了後にその部屋の原状回復を行うのに必要であると予想される工事の費用である原状回復費用の額を算出するために参照することが必要な参照情報との対応関係を予め記憶させられた対応関係メモリと、
前記入力催促表示に応答して前記ユーザにより入力された間取りデータに基づき、前記対応関係メモリにおいて、その入力された間取りデータに関連する前記参照情報を検索し、その検索された参照情報と前記入力された間取りデータとに基づき、その間取りデータに対応する前記原状回復費用の見積額を算出し、その算出された原状回復費用の見積額を前記画面上に表示する第2表示手段と
を含む住宅賃貸関連費用算出システム[請求項9]。
このシステムによれば、前記(1)項に係る方法と基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
(10) 前記予め設定された使用条件に従う前記住宅の使用が、その住宅の借主が前記各部屋を平均的な方法で平均的な期間使用する平均的な使用を意味し、かつ、その平均的な使用が、前記借主が故意または過失によって各部屋を破損または汚損することなく、しかも、その借主が善良なる管理者としての注意をもって各部屋を管理する行為に該当する行為と、該当しない行為との双方を含む(9)項に記載の住宅賃貸関連費用算出システム。
このシステムによれば、前記(2)項に係る方法と基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
(11) さらに、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、前記算出された原状回復費用の見積額のうち、前記住宅の貸主が負担すべき負担費用の割合である貸主負担率と、その住宅の借主が負担すべき負担費用の割合である借主負担率とをそれぞれ表す負担率データと、前記算出された原状回復費用の見積額とに基づき、前記貸主と前記借主とのそれぞれについて前記負担費用の見積額を算出し、その算出された各負担費用の見積額を前記画面上に表示する第3表示手段を含む(9)または(10)項に記載の住宅賃貸関連費用算出システム。
このシステムによれば、前記(3)項に係る方法と基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
(12) 前記算出された原状回復費用の見積額が、前記貸主が負担すべき負担費用の見積額と、前記借主が負担すべき負担費用の見積額と、前記貸主に代わって前記住宅の賃貸を管理する管理者が負担すべき負担費用の額との和を意味する(11)項に記載の住宅賃貸関連費用算出システム。
このシステムによれば、前記(4)項に係る方法と基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
(13) 前記借主の負担費用が、その借主による前記住宅の使用開始に伴ってその借主によりその住宅の貸主に対して支払われるものである(11)または(12)項に記載の住宅賃貸関連費用算出システム。
このシステムによれば、前記(5)項に係る方法と基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
(14) さらに、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、前記貸主について算出された負担費用の見積額に基づき、予め設定された算出条件に従い、前記借主が家賃の一部として前記貸主に対して支払うべき費用の額と、前記借主が家賃とは別に前記貸主に対して支払うべき費用の額との少なくとも一方を算出し、その算出された費用の額を前記画面上に表示する第4表示手段を含む(11)ないし(13)項のいずれかに記載の住宅賃貸関連費用算出システム。
このシステムによれば、前記(6)項に係る方法と基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
(15) 画面を有してユーザにより使用されるクライアント・コンピュータに通信ネットワークを介して通信可能に接続され、前記ユーザにより入力されてそのクライアント・コンピュータから受信したデータに基づいて住宅の賃貸に関する費用の額を算出してその結果を前記画面上に表示するためのデータを前記クライアント・コンピュータに送信するサーバ・コンピュータであって、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、その住宅の間取りを表す間取りデータを前記クライアント・コンピュータに入力することを前記ユーザに促すための入力催促表示を前記画面上において行うための第1表示データを前記クライアント・コンピュータに送信する第1送信手段と、
前記住宅内に配置可能な各部屋の複数の種類と、予め設定された使用条件で各種類の部屋が使用されることを想定した場合にその仮想的な使用の終了後にその部屋の原状回復を行うのに必要であると予想される工事の費用である原状回復費用の額を算出するために参照することが必要な参照情報との対応関係を予め記憶させられた対応関係メモリと、
前記入力催促表示に応答して前記ユーザにより前記クライアント・コンピュータに入力された間取りデータであってそのクライアント・コンピュータから受信したものに基づき、前記対応関係メモリにおいて、その入力された間取りデータに関連する前記参照情報を検索し、その検索された参照情報と前記入力された間取りデータとに基づき、その間取りデータに対応する前記原状回復費用の見積額を算出し、その算出された原状回復費用の見積額を前記画面上に表示するための第2表示データを前記クライアント・コンピュータに送信する第2送信手段と
を含む住宅賃貸関連費用算出用サーバ・コンピュータ[請求項10]。
このサーバ・コンピュータによれば、前記(1)項に係る方法におけると基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
(16) 前記予め設定された使用条件に従う前記住宅の使用が、その住宅の借主が前記各部屋を平均的な方法で平均的な期間使用する平均的な使用を意味し、かつ、その平均的な使用が、前記借主が故意または過失によって各部屋を破損または汚損することなく、しかも、その借主が善良なる管理者としての注意をもって各部屋を管理する行為に該当する行為と、該当しない行為との双方を含む(15)項に記載の住宅賃貸関連費用算出用サーバ・コンピュータ。
このサーバ・コンピュータによれば、前記(2)項に係る方法におけると基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
(17) さらに、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、前記算出された原状回復費用の見積額のうち、前記住宅の貸主が負担すべき負担費用の割合である貸主負担率と、その住宅の借主が負担すべき負担費用の割合である借主負担率とをそれぞれ表す負担率データと、前記算出された原状回復費用の見積額とに基づき、前記貸主と前記借主とのそれぞれについて前記負担費用の見積額を算出し、その算出された各負担費用の見積額を前記画面上に表示するための第3表示データを前記クライアント・コンピュータに送信する第3送信手段を含む(15)または(16)項に記載の住宅賃貸関連費用算出用サーバ・コンピュータ。
このサーバ・コンピュータによれば、前記(3)項に係る方法におけると基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
(18) 前記算出された原状回復費用の見積額が、前記貸主が負担すべき負担費用の見積額と、前記借主が負担すべき負担費用の見積額と、前記貸主に代わって前記住宅の賃貸を管理する管理者が負担すべき負担費用の額との和を意味する(17)項に記載の住宅賃貸関連費用算出用サーバ・コンピュータ。
このサーバ・コンピュータによれば、前記(4)項に係る方法におけると基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
(19) 前記借主の負担費用が、その借主による前記住宅の使用開始に伴ってその借主によりその住宅の貸主に対して支払われるものである(17)または(18)項に記載の住宅賃貸関連費用算出用サーバ・コンピュータ。
このサーバ・コンピュータによれば、前記(5)項に係る方法におけると基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
(20) さらに、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、前記貸主について算出された負担費用の見積額に基づき、予め設定された算出条件に従い、前記借主が家賃の一部として前記貸主に対して支払うべき費用の額と、前記借主が家賃とは別に前記貸主に対して支払うべき費用の額との少なくとも一方を算出し、その算出された費用の額を前記画面上に表示するための第4表示データを前記クライアント・コンピュータに送信する第4送信手段を含む(17)ないし(19)項のいずれかに記載の住宅賃貸関連費用算出用サーバ・コンピュータ。
このサーバ・コンピュータによれば、前記(6)項に係る方法におけると基本的に同じ原理に従い、同様な効果が実現され得る。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態の1つを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明の一側面の一実施形態に従う住宅賃貸関連費用算出システム(以下、単に「システム」という)のハードウエア資源が概念的にかつ系統的に示されている。このシステムは、本発明の別の側面である住宅賃貸関連費用算出方法の一実施形態を実施するものである。また、このシステムは、本発明のさらに別の側面である記録媒体の一実施形態を含み、さらに、本発明のさらに別の側面である住宅賃貸関連費用算出用サーバ・コンピュータの一実施形態も含んでいる。
【0013】
このシステムにおいては、複数のクライアント・コンピュータ(同図においては1つのクライアント・コンピュータのみが代表的に示されている)10とサーバ・コンピュータ12とが通信ネットワーク20を介して互いに通信可能に接続されている。このシステムは、賃貸に係る住宅を貸主(または家主)に代わって管理する管理会社により使用される。
【0014】
管理会社は、本店と複数の支店とを有するように構成されている。それら複数の支店に上述の複数のクライアント・コンピュータ10が設置され、各クライアント・コンピュータ10は各支店において担当者により使用される。各クライアント・コンピュータ10のユーザ(すなわち、このシステムのユーザ)は、本実施形態においては、賃貸に係る住宅の管理者なのである。これに対して、本店にはサーバ・コンピュータ12が設置される。通信ネットワーク20の一例は、クローズド型である専用通信回線であり、別の例は、オープン型であるインターネットである。
【0015】
図2に示すように、クライアント・コンピュータ10は、プロセシングユニット(以下、「PU」と略称する)30とメモリ32とがバス34により互いに接続されて構成されている。メモリ32は、ROM,RAM,磁気ディスク,光ディスク等の記録媒体を含むように構成される。このメモリ32には、ブラウジング機能、外部に対する送受信機能等を実現するための各種プログラムが予め記憶させられている。
【0016】
クライアント・コンピュータ10には、それにデータを入力する入力装置40と、そのクライアント・コンピュータ10から出力されたデータを画面42(図1参照)上に表示する表示装置46とが接続されている。入力装置40の一例は、キーボード、ポインティングデバイスとしてのマウス等を含むように構成される。これに対して、表示装置46の一例は、LCD、CRT等の少なくとも1つを含むように構成される。クライアント・コンピュータ10には、さらに、それから出力されたデータを紙等の媒体に印刷するプリンタ49も接続されている。
【0017】
図3に示すように、サーバ・コンピュータ12は、クライアント・コンピュータ10と同様に、PU50とメモリ52とがバス54により互いに接続されて構成されている。メモリ52は、メモリ32と同様に、ROM,RAM,磁気ディスク,光ディスク等の記録媒体を含むように構成される。
【0018】
このメモリ52においては、それのいくつかの記憶領域に複数のプログラムメモリが割り当てられている。それら複数のプログラムメモリには、原状回復費用の見積額を算出するための原状回復費用算出プログラムを予め記憶させられた原状回復費用算出プログラムメモリ60と、家賃等の額を算出するための家賃等算出プログラムを予め記憶させられた家賃等算出プログラムメモリ62と、外部に対する送受信を行うための送受信プログラムを予め記憶させられた送受信プログラムメモリ64とがある。
【0019】
メモリ52においては、さらに、それのいくつかの記憶領域に複数のデータメモリが割り当てられている。それら複数のデータメモリには、間取りメモリ70と、対応関係メモリ72と、負担率メモリ74と、組入率メモリ76と、表示データメモリ78とがある。以下、各メモリの機能を順に説明する。
【0020】
間取りメモリ70は、ユーザにより入力されて各クライアント・コンピュータ10から受信した間取りデータを、原状回復費用計算のために一時的に記憶するためのメモリである。間取りデータは、前記管理会社が管理する各住宅の間取り、すなわち、各住宅内に配置される各部屋の種類(例えば、主に和室と洋間(洋室ともいう)とに分類される居間(リビングルームともいう)、食物の調理をする部屋である台所(キッチンともいう)、食事をする部屋である食堂(ダイニングルームともいう)、洗面所、トイレ、浴室等)や、各種類の部屋の数、各部屋の大きさ等の要素によって表現されるものを表すデータである。
【0021】
対応関係メモリ72は、対応関係を予め記憶させられたメモリである。対応関係は、住宅内に配置可能な各部屋の複数の種類と、予め設定された使用条件で各種類の部屋が使用されることを想定した場合にその仮想的な使用の終了後にその部屋の原状回復を行うのに必要であると予想される工事の費用である原状回復費用の額を算出するために参照することが必要な参照情報との対応関係である。
【0022】
ここに、「各部屋の複数の種類」には、図7に示すように、主に、居間Lと、食堂Dと、台所Kと、洗面所と、トイレと、玄関・通路と、クローゼット・物入と、階段・通路と、ロフトと、独立した台所とがある。それら以外の部屋(用途を自由に選べる部屋を意味し、以下、「居室」という)の種類については、図6に示すように、和室と、洋間とがある。
【0023】
また、「予め設定された使用条件」に従う住宅の使用は、その住宅の借主が各部屋を平均的な方法で平均的な期間使用する平均的な使用を意味する。本実施形態においては、その「平均的な使用」は、借主が故意または過失によって各部屋を破損または汚損することなく、しかも、その借主が善良なる管理者としての注意をもって各部屋を管理する行為に該当する行為と、該当しない行為との双方を含む。また、「平均的な期間」には、例えば、4年(48ケ月)を設定することができる。
【0024】
また、「参照情報」は、例えば、各種類の部屋の広さ等に応じてその部屋の原状回復に必要な工事費用(例えば、各種類の部屋の内装工事費用)を算出するために必要な数値を含むように作成される。参照情報は、例えば、図8に示すように、各種類の部屋の原状回復工事に関して予め定められた条件(以下、「予め定められた工事条件」という)、すなわち、修理されるべき部位である修理部位と、工事仕様と、修理内容とに関して予め定められた条件のもと、各部屋の広さに応じて工事費用を計算するのに必要な定数や係数である。この例においては、同図に示すように、洋間については、壁、天井および床が修理部位とされ、壁紙を新品のクロス材のものに張り替え、天井を塗装し、床材を新品のものに張り替えることが工事仕様とされ、修繕し、補修し、塗装することが修理内容とされている。
【0025】
負担率メモリ74には、前記原状回復費用算出プログラムの実行により算出される原状回復費用の見積額のうち、住宅の貸主が負担すべき形式負担費用の割合である形式貸主負担率と、その住宅の借主が負担すべき負担費用の割合である借主負担率とをそれぞれ表す負担率データが記憶させられる。図8に示すように、例えば、形式貸主負担率が70%、借主負担率が30%とされる。
【0026】
本実施形態においては、その形式貸主負担率に基づいて算出される貸主の形式負担費用の一部が、前記管理会社によって負担されるようになっている。そして、原状回復費用の見積額のうち、その管理会社が負担すべき負担費用の割合が、管理会社負担率とされている。この管理会社負担率は、例えば、図10に示すように、20%であり、この例においては、形式貸主負担率が70%、実質貸主負担率が50%、借主負担率が30%とされている。その実質貸主負担率を表す負担率データも負担率メモリ74に記憶させられる。
【0027】
図3に示す組入率メモリ76には、上記実質貸主負担率に基づいて算出される貸主の実質負担費用をいくつかに分割した各費用(以下、「組入額」という)のうち、借主が貸主に対して支払うべき家賃に組み入れられる費用の額の、その組入額の全額に対する比率である組入率が記憶させられる。
【0028】
組入額を家賃に組み入れる方式には、図11に示すように、3つある。
【0029】
第1の組入方式は、同図の(a)に示すように、組入額の全額を、家賃の外に、特別費用として組み入れる方式である。この方式を採用する場合には、最終家賃が、基本家賃(例えば、ある住宅を新たに借りることを希望する者が存在する場合に、それ以前に同じ住宅を借りていた者が貸主に対して支払っていた家賃である現状家賃)の基本家賃と一致し、特別費用の額が組入額の全額と一致することになる。
【0030】
第2の組入方式は、同図の(b)に示すように、組入額の全額を、家賃の中に組み入れる方式である。この方式を採用する場合には、最終家賃が基本家賃と組入額の全額との和と一致することになる。この方式においては、組入率が1であると考えることができる。
【0031】
そして、第3の組入方式は、同図の(c)に示すように、組入額の一部は、家賃の中に組み入れる一方、残りは、家賃の外に、特別費用として組み入れる方式である。この方式を採用する場合には、最終家賃が、組入額と組入率との積と基本家賃との和と一致し、特別費用の額が、組入額と(1−組入率)との積と一致することになる。
【0032】
図3に示す表示データメモリ78には、サーバ・コンピュータ12にアクセスした任意のクライアント・コンピュータ10の画面42上に必要な画像を表示するためにそのクライアント・コンピュータ10に送信すべき表示データが予め記憶させられている。
【0033】
図4には、前記原状回復費用算出プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。このプログラムは、任意のクライアント・コンピュータ10からの実行リクエストに応答し、サーバ・コンピュータ12により実行される。
【0034】
このプログラムが実行されると、まず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする)において、図5に示すトップページを今回のクライアント・コンピュータ10の画面42上に表示するための表示データが表示データメモリ78から読み出され、それが今回のクライアント・コンピュータ10に送信される。その表示データを受信したクライアント・コンピュータ10は、その表示データに従い、画面42上にトップページを表示する。
【0035】
図5に示すように、本実施形態においては、トップページ上に「原状回復費用情報」という項目と、「マスタメニュー」という項目と、「終了」という項目とが表示される。住宅の賃貸契約の締結に先立ってユーザがマウスを最初の項目においてクリックすると、住宅に関する原状回復費用の見積額の算出が可能となる。これに対して、ユーザがマウスを2番目の項目においてクリックすると、原状回復費用の見積額の算出等に必要なマスタデータであって特定の管理者により登録および修正が行われるべきものの登録および修正が可能となる。マスタデータは、例えば、前述の対応関係を表すデータや、前述の予め定められた工事条件を表すデータである。このマスタデータの登録および修正については、本発明を理解する上において説明することが不可欠ではないため、さらに詳細な説明は省略する。
【0036】
次に、図4に示すように、S2において、ユーザによるメニュー選択が行われる。具体的には、図5に示すトップページ上においてユーザがマウスにより、「原状回復費用情報」という項目と、「マスタメニュー」という項目と、「終了」という項目とのいずれを選択したのかが判定される。「マスタメニュー」という項目が選択された場合に行われる手続については説明を省略する。「終了」という項目が選択された場合には、直ちにこのプログラムの今回の実行が終了する。
【0037】
それらに対して、ユーザがマウスにより、「原状回復費用情報」という項目を選択した場合には、S3に移行する。
【0038】
このS3においては、図6に示す、原状回復費用見積情報入力と題する入力支援ページ(1/2)を今回のクライアント・コンピュータ10の画面42上に表示するための表示データが表示データメモリ78から読み出され、それが今回のクライアント・コンピュータ10に送信される。その表示データを受信したクライアント・コンピュータ10は、その表示データに従い、画面42上に入力支援ページ(1/2)を表示する。
【0039】
その後、図4のS4において、ユーザが、その表示されている入力支援ページ(1/2)における複数の項目のうち必要なものに対してデータの入力を行う。ユーザは、例えば、今回の住宅を特定するためのデータ(例えば、契約ナンバー、物件コード、部屋の番号)と、その住宅の間取りを表す間取りデータとを入力する。間取りは、居間Lと食堂Dと台所Kとのうち存在するものと、それら以外の部屋(前記居室)の数とにより表現される。ユーザは、さらに、その居室に関する居室情報として、各部屋の種類と広さとを特定するためのデータも入力する。このデータも間取りデータの一部である。
【0040】
続いて、図4のS5において、ユーザによるボタン選択が行われる。具体的には、ユーザがマウスにより、入力支援ページ(1/2)における「キャンセル」というボタンと「次へ」というボタンとのうちいずれを選択したのかが判定される。ユーザが「キャンセル」というボタンを選択した場合には、S3に戻り、入力支援ページ(1/2)に対するデータ入力が最初から行われる。これに対して、ユーザが「次へ」というボタンを選択した場合には、S6に移行する。
【0041】
このS6においては、図7に示す入力支援ページ(2/2)を今回のクライアント・コンピュータ10の画面42上に表示するための表示データが表示データメモリ78から読み出され、それが今回のクライアント・コンピュータ10に送信される。その表示データを受信したクライアント・コンピュータ10は、その表示データに従い、画面42上に入力支援ページ(2/2)を表示する。
【0042】
その後、図4のS7において、ユーザが、その表示されている入力支援ページ(2/2)における複数の項目のうち必要なものに対してデータの入力を行う。ユーザは、入力支援ページ(1/2)に対して入力したデータ以外に、原状回復費用の見積に必要なデータを入力する。図7の例においては、間取りが、居間Lと食堂Dと台所Kとを含み、さらに、洗面所と、トイレと、玄関・通路とを含んでいるため、ユーザは、それら部屋の種類および広さを特定するためのデータを入力することとなる。それら入力されたデータも上記間取りデータの一部である。
【0043】
続いて、図4のS8において、ユーザによるボタン選択が行われる。具体的には、ユーザがマウスにより、入力支援ページ(2/2)における「戻る」というボタンと「次へ」というボタンとのうちいずれを選択したのかが判定される。ユーザが「戻る」というボタンを選択した場合には、S3に戻り、入力支援ページ(1/2)および(2/2)に対するデータ入力が最初から行われる。これに対して、ユーザが「次へ」というボタンを選択した場合には、S9に移行する。
【0044】
このS9においては、ユーザにより入力されてクライアント・コンピュータ10から送信された間取りデータがサーバ・コンピュータ12に受信される。その受信された間取りデータは間取りメモリ70に記憶される。
【0045】
その後、S10において、その記憶された間取りデータに基づき、原状回復費用の算出に必要な参照情報が対応関係メモリ72において検索される。続いて、S11において、それら間取りデータと参照情報とに基づき、原状回復費用の見積額が計算される。原状回復費用の見積額は、各部屋ごとに計算されるとともに、それら計算値の合計値も計算される。それら計算結果はメモリ52に記憶される。
【0046】
その後、S12において、形式貸主負担率データと借主負担率データとが負担率メモリ74から読み込まれ、続いて、S13において、その読み込まれた形式貸主負担率データおよび借主負担率データと、上記計算された原状回復費用の見積額とに基づき、形式貸主負担費用の見積額と、借主負担費用の見積額とが計算される。それら計算結果はメモリ52に記憶される。
【0047】
その後、S14において、図8に示す、原状回復費用見積情報詳細と題する見積情報詳細ページを今回のクライアント・コンピュータ10の画面42上に表示するための表示データが表示データメモリ78から読み出され、それが今回のクライアント・コンピュータ10に送信される。その表示データを受信したクライアント・コンピュータ10は、その表示データに従い、画面42上に見積情報詳細ページを表示する。
【0048】
さらに、このS14においては、図8に示すように、その表示されている見積情報詳細ページ上において、上述のようにして、各部屋ごとに個別に計算された原状回復費用の見積額(同図においては「金額」で示されている)と、それら複数の個別原状回復費用の見積額の合計値(同図においては「合計」で示されている)とを表示するための表示データがクライアント・コンピュータ10に送信される。その表示データを受信したクライアント・コンピュータ10は、その表示データに従い、複数の個別原状回復費用の見積額と、それらの合計値を画面42上に表示する。
【0049】
さらに、このS14においては、図8に示すように、その見積情報詳細ページ上において、形式貸主負担率と、借主負担率と、それらの負担率に従って計算された形式貸主負担費用と借主負担費用とのそれぞれの見積額(同図においては「負担額」で示されている)とを表示するための表示データが今回のクライアント・コンピュータ10に送信される。その表示データを受信したクライアント・コンピュータ10は、その表示データに従い、形式貸主負担率と、借主負担率と、形式貸主負担費用の見積額と、借主負担費用の見積額とを画面42上に表示する。ここに、借主負担費用は、本実施形態においては、その借主による住宅の使用開始に伴ってその借主によりその住宅の貸主に対して支払われるものとされている。
【0050】
その後、図4のS15において、ユーザによるボタン選択が行われる。具体的には、ユーザがマウスにより、見積情報詳細ページにおける「キャンセル」というボタンと「印刷」というボタンと「閉じる」というボタンとのうちいずれを選択したのかが判定される。
【0051】
ユーザが「キャンセル」というボタンを選択した場合には、S3に戻り、入力支援ページ(1/2)および(2/2)に対するデータ入力が最初から行われる。これに対して、ユーザが「印刷」というボタンを選択した場合には、その見積情報詳細ページがプリンタ49により印刷される。この場合には、以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。また、ユーザが「閉じる」というボタンを選択した場合には、S16がスキップされてこのプログラムの今回の実行が終了する。
【0052】
図9には、前記家賃等算出プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。このプログラムは、上記原状回復費用算出プログラムの実行後であるが住宅の賃貸契約の締結前に、クライアント・コンピュータ10からの実行リクエストに応答し、サーバ・コンピュータ12により実行される。
【0053】
このプログラムが実行されると、まず、S51において、前記計算された原状回復費用(合計値)の見積額がメモリ52から読み込まれ、次に、S52において、負担率メモリ74から実質貸主負担率データが読み込まれる。その後、S53において、それら読み込まれた原状回復費用の見積額と実質貸主負担率データとに基づき、組入額が計算される。
【0054】
具体的には、図10に示すように、原状回復費用の見積額と、実質貸主負担率データにより表される実質貸主負担率との積(すなわち、実質貸主負担費用)を、今回の住宅の平均的な使用期間における月数で割り算することにより、月ごとの家賃に組み入れる組入額が計算される。同図の例においては、実質貸主負担率が50パーセントとされるとともに、今回の住宅の平均的な使用期間における月数が48ケ月とされている。
【0055】
その後、図9のS54において、メモリ52から基本家賃が読み込まれる。続いて、S55において、ユーザによる組入方式の選択が行われる。具体的には、ユーザがマウスにより、画面42上における「外に」というボタンと「中に」というボタンと「一部中に、一部外に」というボタンとのうちいずれを選択したのかが判定される。
【0056】
ユーザが「外に」というボタンを選択した場合には、ユーザが前記第1の組入方式(図11の(a)参照)を選択した場合であるとして、S56において、前記読み込まれた基本家賃と同額で前記最終家賃の額が決定される。その後、S57において、前記計算された組入額と同額で前記特別費用の額が決定される。続いて、S58において、それら決定された最終家賃の額と特別費用の額とを表示するための表示データが今回のクライアント・コンピュータ10に送信される。その表示データを受信したクライアント・コンピュータ10は、その表示データに従い、最終家賃の額と特別費用の額とを画面42上に表示する。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0057】
これに対して、ユーザが「中に」というボタンを選択した場合には、ユーザが前記第2の組入方式(図11の(b)参照)を選択した場合であるとして、S59において、前記読み込まれた基本家賃の額と、前記計算された組入額との和として最終家賃の額が決定される。その後、S58が上記の場合と同様に実行されてこのプログラムの今回の実行が終了する。
【0058】
また、ユーザが「一部中に、一部外に」というボタンを選択した場合には、ユーザが前記第3の組入方式(図11の(c)参照)を選択した場合であるとして、S60において、組入率メモリ76から組入率データが読み込まれる。その後、S61において、その読み込まれた組入率データにより表される組入率と、前記計算された組入額との積と、前記読み込まれた基本家賃の額との和として最終家賃の額が決定される。続いて、S62において、その組入額と、1から組入率を引き算した値との積として特別費用の額が決定される。その後、S58が上記の場合と同様に実行されてこのプログラムの今回の実行が終了する。
【0059】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、少なくともサーバ・コンピュータ12が請求項1における「コンピュータ」の一例を構成し、クライアント・コンピュータ10の画面42が同請求項における「画面」の一例を構成し、入力支援ページ(1/2)(2/2)が同請求項における「入力催促表示」の一例を構成し、図4におけるS3とS6とが互いに共同して同請求項における「第1表示工程」の一例を構成し、同図におけるS10とS11とS14とが互いに共同して同請求項における「第2表示工程」の一例を構成しているのである。
【0060】
さらに、本実施形態においては、図4のS12ないしS14が互いに共同して請求項3における「第3表示工程」の一例を構成しているのである。
【0061】
さらに、本実施形態においては、前述の3つの組入方式がそれぞれ、請求項6における「予め設定された算出条件」の一例を構成し、前述の特別費用が同請求項における「家賃とは別に貸主に対して支払うべき費用」の一例に相当し、図9のS51ないしS62が互いに共同して同請求項における「第4表示工程」の一例を構成しているのである。
【0062】
さらに、本実施形態においては、少なくとも原状回復費用算出プログラムが請求項7に係る「住宅賃貸関連費用算出プログラム」の一例を構成しているのである。
【0063】
さらに、本実施形態においては、少なくともメモリ52が請求項8に係る「記録媒体」の一例を構成しているのである。
【0064】
さらに、本実施形態においては、少なくともサーバ・コンピュータ12が請求項9における「コンピュータ」の一例を構成し、クライアント・コンピュータ10の画面42が同請求項における「画面」の一例を構成し、入力支援ページ(1/2)(2/2)が同請求項における「入力催促表示」の一例を構成し、少なくともサーバ・コンピュータ12のうち図4におけるS3およびS6を実行する部分が同請求項における「第1表示手段」の一例を構成し、同図におけるS10、S11およびS14を実行する部分が同請求項における「第2表示手段」の一例を構成しているのである。
【0065】
さらに、本実施形態においては、サーバ・コンピュータ12が請求項10に係る「原状回復費用算出用サーバ・コンピュータ」の一例を構成し、クライアント・コンピュータ10の画面42が同請求項における「画面」の一例を構成し、入力支援ページ(1/2)(2/2)が同請求項における「入力催促表示」の一例を構成し、少なくともサーバ・コンピュータ12のうち図4におけるS3およびS6を実行する部分が同請求項における「第1送信手段」の一例を構成し、同図におけるS10、S11およびS14を実行する部分が同請求項における「第2送信手段」の一例を構成しているのである。
【0066】
以上、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、前記[課題を解決するための手段および発明の効果]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に従う住宅賃貸関連費用算出システムのハードウエア資源の構成を概念的に示すブロック図である。
【図2】図1におけるクライアント・コンピュータ10およびその周辺装置の構成を概念的に示すブロック図である。
【図3】図1におけるサーバ・コンピュータ12の構成を概念的に示すブロック図である。
【図4】図3における原状回復費用算出プログラムメモリ60に記憶されている原状回復費用算出プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図5】図4におけるS1の実行によりクライアント・コンピュータ10の画面42上に表示されるトップページを画面イメージで示す図である。
【図6】図4におけるS3の実行によりクライアント・コンピュータ10の画面42上に表示される入力支援ページ(1/2)を画面イメージで示す図である。
【図7】図4におけるS6の実行によりクライアント・コンピュータ10の画面42上に表示される入力支援ページ(2/2)を画面イメージで示す図である。
【図8】図4におけるS14の実行によりクライアント・コンピュータ10の画面42上に表示される見積情報詳細ページを画面イメージで示す図である。
【図9】図3における家賃等算出プログラムメモリ62に記憶されている家賃等算出プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図10】本実施形態における原状回復費用が借主と貸主と管理会社とにより分担される様子と、図9の家賃等算出プログラムにおいて組入額が計算される規則の内容とを説明するための図である。
【図11】図9の家賃等算出プログラムにおいて選択されるべき3つの組入方式の各内容を説明するための図である。
【符号の説明】
10 クライアント・コンピュータ
12 サーバ・コンピュータ
20 通信ネットワーク
52 メモリ
60 原状回復費用算出プログラムメモリ
62 家賃等算出プログラムメモリ
72 対応関係メモリ
Claims (4)
- 住宅の賃貸に関する費用の額をコンピュータにより算出する方法であって、
当該方法を実施するために、前記コンピュータは、対応関係メモリと、負担率メモリと、組入率メモリと、基本家賃メモリとを用い、
前記対応関係メモリは、前記住宅内に配置可能な各部屋の複数の種類と、予め設定された使用条件で各種類の部屋が使用されることを想定した場合にその仮想的な使用の終了後にその部屋の原状回復を行うのに必要であると予想される工事の費用である原状回復費用の額を算出するために参照することが必要な参照情報との対応関係を予め記憶させられており、
前記参照情報は、各種類の部屋の原状回復を行うために修理されるべき部位である修理部位と、工事仕様と、修理内容とに関して予め定められた条件のもと、各部屋の種類に応じて工事費用を計算するのに必要な数値を含んでおり、
前記負担率メモリは、前記原状回復費用の見積額のうち、前記住宅の貸主が負担すべき形式貸主負担費用の割合である形式貸主負担率と、前記住宅の借主が負担すべき借主負担費用の割合である借主負担率とを記憶させられ、
前記負担率メモリは、さらに、前記形式貸主負担率に基づいて算出される形式貸主負担費用のうち、前記貸主に代わって前記住宅の賃貸を管理する管理者が負担すべき部分を除く部分である実質貸主負担費用の割合である実質貸主負担率も記憶させられ、
前記組入率メモリは、前記実質貸主負担費用である組入額のうち、借主が貸主に対して支払うべき最終家賃に組み入られる費用の額の、前記組入額の全額に対する比率である組入率を記憶させられ、
前記基本家賃メモリは、前記住宅を新たに借りることを希望する者が存在する場合に、それ以前に同じ住宅を借りていた者が前記貸主に対して支払っていた現状家賃である基本家賃を記憶させられ、
当該方法は、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、その住宅の間取りを表す間取りデータを前記コンピュータに入力することをユーザに促すための入力催促表示を画面上において行う第1表示工程であって、前記間取りデータは、前記ユーザが前記住宅内に配置することを希望する部屋の数と各部屋の種類および広さとを表すデータを含むものと、
前記入力催促表示に応答して前記ユーザにより入力された間取りデータに基づき、前記対応関係メモリにおいて、前記入力された間取りデータに対応する前記参照情報を検索し、その検索された参照情報と前記入力された間取りデータとに基づき、その間取りデータに対応する前記原状回復費用の見積額を算出し、その算出された原状回復費用の見積額を前記画面上に表示する第2表示工程と、
前記負担率メモリから前記形式貸主負担率および前記借主負担率を読み込み、それら読み込まれた形式貸主負担率および借主負担率と、前記算出された原状回復費用の見積額とに基づき、前記形式貸主負担費用と前記借主負担費用とのそれぞれについて見積額を算出し、その算出された各負担費用の見積額を前記画面上に表示する第3表示工程と、
前記借主が前記最終家賃の一部として前記貸主に対して支払うべき費用の額と、前記借主が前記最終家賃とは別に前記貸主に対して支払うべき特別費用の額とを算出し、それら算出された費用の額を前記画面上に表示する第4表示工程と
を含み、
その第4表示工程は、
前記負担率メモリから前記実質貸主負担率を読み込み、
その読み込まれた実質貸主負担率と、前記算出された原状回復費用の見積額との積として、前記実質貸主負担費用の額を算出し、
その算出された実質貸主負担費用の額を、前記住宅の平均的な使用期間における月数で割り算することにより、月ごとの前記最終家賃に組み入れる月別組入額を算出し、
前記基本家賃メモリから前記基本家賃を読み込み、
前記組入率メモリから前記組入率を読み込み、
その読み込まれた組入率と、前記算出された月別組入額との積と、前記読み込まれた基本家賃の額との和として前記最終家賃の額を算出し、
前記算出された月別組入額と、1から前記組入率を引き算した値との積として前記特別費用の額を算出する住宅賃貸関連費用算出方法。 - 請求項1に記載の住宅賃貸関連費用算出方法を実施するためにコンピュータにより実行される住宅賃貸関連費用算出プログラム。
- 請求項2に記載の住宅賃貸関連費用算出プログラムをコンピュータ読取り可能に記録した記録媒体。
- 画面を有してユーザにより使用されるクライアント・コンピュータに通信ネットワークを介して通信可能に接続され、前記ユーザにより入力されてそのクライアント・コンピュータから受信したデータに基づいて住宅の賃貸に関する費用の額を算出してその結果を前記画面上に表示するためのデータを前記クライアント・コンピュータに送信するサーバ・コンピュータであって、
当該サーバ・コンピュータは、対応関係メモリと、負担率メモリと、組入率メモリと、基本家賃メモリとを用い、
前記対応関係メモリは、前記住宅内に配置可能な各部屋の複数の種類と、予め設定された使用条件で各種類の部屋が使用されることを想定した場合にその仮想的な使用の終了後にその部屋の原状回復を行うのに必要であると予想される工事の費用である原状回復費用の額を算出するために参照することが必要な参照情報との対応関係を予め記憶させられており、
前記参照情報は、各種類の部屋の原状回復を行うために修理されるべき部位である修理部位と、工事仕様と、修理内容とに関して予め定められた条件のもと、各部屋の種類に応じて工事費用を計算するのに必要な数値を含んでおり、
前記負担率メモリは、前記原状回復費用の見積額のうち、前記住宅の貸主が負担すべき形式貸主負担費用の割合である形式貸主負担率と、前記住宅の借主が負担すべき借主負担費用の割合である借主負担率とを記憶させられ、
前記負担率メモリは、さらに、前記形式貸主負担率に基づいて算出される形式貸主負担費用のうち、前記貸主に代わって前記住宅の賃貸を管理する管理者が負担すべき部分を除く部分である実質貸主負担費用の割合である実質貸主負担率も記憶させられ、
前記組入率メモリは、前記実質貸主負担費用である組入額のうち、借主が貸主に対して支払うべき最終家賃に組み入られる費用の額の、前記組入額の全額に対する比率である組入率を記憶させられ、
前記基本家賃メモリは、前記住宅を新たに借りることを希望する者が存在する場合に、それ以前に同じ住宅を借りていた者が前記貸主に対して支払っていた現状家賃である基本家賃を記憶させられ、
当該サーバ・コンピュータは、
前記住宅の賃貸契約の締結に先立ち、その住宅の間取りを表す間取りデータを前記クライアント・コンピュータに入力することをユーザに促すための入力催促表示を前記クライアント・コンピュータの画面上において行うためのデータを前記クライアント・コンピュータに送信する第1送信手段であって、前記間取りデータは、前記ユーザが前記住宅内に配置することを希望する部屋の数と各部屋の種類および広さとを表すデータを含むものと、
前記入力催促表示に応答して前記ユーザにより前記クライアント・コンピュータに入力された間取りデータを受信し、その受信したデータ間取りに基づき、前記対応関係メモリにおいて、前記入力された間取りデータに対応する前記参照情報を検索し、その検索された参照情報と前記入力された間取りデータとに基づき、その間取りデータに対応する前記原状回復費用の見積額を算出し、その算出された原状回復費用の見積額を前記クライアント・コンピュータの画面上に表示するためのデータを前記クライアント・コンピュータに送信する第2送信手段と、
前記負担率メモリから前記形式貸主負担率および前記借主負担率を読み込み、それら読み込まれた形式貸主負担率および借主負担率と、前記算出された原状回復費用の見積額とに基づき、前記形式貸主負担費用と前記借主負担費用とのそれぞれについて見積額を算出し、その算出された各負担費用の見積額を前記クライアント・コンピュータの画面上に表示するためのデータを前記クライアント・コンピュータに送信する第3送信手段と、
前記借主が前記最終家賃の一部として前記貸主に対して支払うべき費用の額と、前記借主が前記最終家賃とは別に前記貸主に対して支払うべき特別費用の額とを算出し、それら算出された費用の額を前記クライアント・コンピュータの画面上に表示するためのデータを前記クライアント・コンピュータに送信する第4送信手段と
を含み、
その第4送信手段は、
前記負担率メモリから前記実質貸主負担率を読み込み、
その読み込まれた実質貸主負担率と、前記算出された原状回復費用の見積額との積として、前記実質貸主負担費用の額を算出し、
その算出された実質貸主負担費用の額を、前記住宅の平均的な使用期間における月数で割り算することにより、月ごとの前記最終家賃に組み入れる月別組入額を算出し、
前記基本家賃メモリから前記基本家賃を読み込み、
前記組入率メモリから前記組入率を読み込み、
その読み込まれた組入率と、前記算出された月別組入額との積と、前記読み込まれた基本家賃の額との和として前記最終家賃の額を算出し、
前記算出された月別組入額と、1から前記組入率を引き算した値との積として前記特別費用の額を算出する住宅賃貸関連費用算出用サーバ・コンピュータ。
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