本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明を適用した敷金代替役務支援システムの全体概要を説明する。
図1に示す本実施形態の敷金代替役務支援システムは、家屋の賃貸借を管理するための各種データベースを備えた賃貸借管理装置10と、賃貸家屋の入居希望者及び入居者(以下、これらの者を「借主」とも呼ぶ。)が使用し、インターネット等の通信網100を介して賃貸借管理装置10と通信を行う借主側端末20(20A,20B,20C,・・・,20n)と、を用いる。
賃貸借管理装置10は、本発明の敷金代替役務支援プログラムがインストールされたコンピュータであり、通信網100を介して賃貸借管理装置10と通信を行うサーバとして機能する。
本実施形態では、簡便のため、敷金代替役務の実行主体である第三者機関が賃貸借管理装置10を使用する場合について説明する。なお、第三者機関とは、賃貸家屋の貸主及び借主以外の者であれば特に限定されるものではないが、代表的には、不動産の仲介業者や金融業者等が挙げられる。
借主側端末20は、図1に示すように、通信網100を介して賃貸借管理装置10と通信する機能、キーボード、マウス、キースイッチ等による操作入力部、LCDやCRT等による表示部、等を備えた各種端末機が含まれる。
賃貸借管理装置10は、図2に示すように、この装置全体の制御を司るCPU11と、後述する各種データベースやファイルが格納された外部記憶部としてのHDD12と、キーボードやマウス等からなる操作入力部13と、LCD或いはCRTによる表示部14と、通信網100に接続するためのモデム或いはターミナルアダプタ等による送受信部15と、を有しており、これら各部が不図示のバスやインタフェースを介して相互に接続されている。なお、図示しないが、CPU11に対しては、インタフェースを介してさらにプリンタ等の各種機器が接続されていても良いことは勿論である。
図2に示すように、賃貸借管理装置10のHDD12内には、賃貸借物件の借主の各種データが借主情報として登録される借主データベース120と、賃貸借物件の各種データが物件情報として登録される物件データベース121と、賃貸借物件の貸主の情報が登録される貸主データベース122と、賃貸借契約の対象となった物件や、賃貸借契約及び敷金代替役務に関する種々の情報が登録される契約対象情報データベース123と、個々の賃貸家屋の修繕についての情報が登録される修繕情報データベース124と、賃貸借契約の際に仲介を行う仲介業者や、原状回復のための修繕を行う修繕業者、などの各種業者についての情報が登録される業者データベース125とが設けられ、各データベース121〜125内の各データは、個々の賃貸借物件毎(後述する物件データベース121の物件コード)に対応付けられて登録されるようになっている。
また、賃貸借管理装置10のHDD12内には、賃貸家屋の原状回復に関する統一した基準についての情報が登録されたファイルとして、査定基準マスタファイル126と、部材マスタファイル127と、が格納される。ここで、査定基準マスタファイル126には、賃貸家屋の原状回復のための修繕につき、個々の修繕についての費用を第三者機関と貸主と借主とがいずれの割合で負担するか、を決定するための統一した基準についての情報が登録される。一方、部材マスタファイル127には、修繕部材名とその単価についての情報が登録される。
さらに、賃貸借管理装置10のHDD12内には、敷金代替役務の現時点における全体の集計値等を登録するためのファイルとして、補償情報ファイル128が格納される。この補償情報ファイル128の詳細については後述する。
なお、本実施の形態では、これら各データベース及び各ファイルを1台のHDD12内に格納する構成としたが、必要に応じてこれらを相互に異なる記憶媒体に格納する構成としても良いことは勿論である。
図3に、借主データベース120に登録された一個人の情報(借主情報)について例示する。図3に示すように、借主データベース120には、借主の個人情報として、個人ID、パスワード、氏名、住所、連絡先(電話番号、ファックス番号、メールアドレス、など)、生年月日、家族構成、等の情報が登録される。このうち、個人IDとパスワードは、当該借主が借主側端末20を使用して通信網100経由で賃貸借管理装置10にアクセスする際のログイン(認証)のための情報として使用される。
また、図3に示すように、当該借主(個人)が特定の法人に所属する場合には、上記の個人情報に加えて、法人ID、社員番号、部署名、などの法人情報が借主データベース120に登録される。ここで、「特定の法人」とは、賃貸借管理装置10を使用する第三者機関が提供する敷金代替役務についての会員登録を済ませることにより法人IDが交付された法人を言う。したがって、借主(個人)が特定の法人に所属しない場合には、法人情報は登録されない。
なお、図3から分かるように、本実施の形態では、個人IDの最初の4桁が法人IDと同一となっており、このような構成とすることで、後述する認証や契約名義の判定、等の処理を早くすることができる。
また、図3に示すように、借主データベース120には、敷金代替役務の利用履歴としての、敷金代替役務の利用回数についての情報(数値)が、個人情報と法人情報のそれぞれに登録されるようになっている。なお、本実施の形態では、敷金代替役務の利用回数につき、一の賃貸家屋への入居毎に数値が加算されるようになっており、一年毎の掛捨補償料を複数回払った場合(すなわち複数年入居した場合、さらには賃貸借契約を更新した場合)でも加算数は1である。
さらに、図3に示すように、借主データベース120には、後述する掛捨補償料の値を算出する際の基準となる値(算出基準値)を登録、更新するための記憶領域(「平均支払回数」欄と「加重平均m2単価」欄)が、次回基準値登録欄として、個人情報と法人情報のそれぞれに設けられている。
ここで、「平均支払回数」欄は、敷金代替役務の利用毎(すなわち一の賃貸家屋への入居毎)に借主が第三者機関に支払った(年払いの)掛け捨て補償料の支払回数の平均値を登録、更新するための欄である。なお、「平均支払回数」欄に登録される値としては、図3に示すように、過去に利用した敷金代替役務利用(一の賃貸家屋への入居)の終了毎に登録される、掛捨補償料の支払回数の値と、これら各支払回数の値に基づいて更新される算出基準値(次回基準値)としての平均値(平均支払回数)とに大別されるが、これらの詳細については後述する。
一方、「加重平均m2単価」欄は、敷金代替役務の利用毎(一の賃貸家屋への入居毎)に第三者機関から貸主に支払われた原状回復費用額を賃貸家屋の広さ(専有面積)で除した値の加重平均値を登録、更新するための欄である。なお、「加重平均m2単価」欄に登録される値としては、本来あるべきm2単価としての理論値(理論m2単価)と、これら各値に基づいて更新される算出基準値(次回基準値)としての加重平均値(加重平均m2単価)とに大別されるが、これらの詳細については後述する。
本実施の形態では、借主データベース120内の上述した各登録情報は、当該借主が後述の物件データベース121に登録されたいずれかの物件(家屋)について入居(或いは入居予約)がなされる際に適宜コピーして、後述する契約対象情報データベース123内に格納され、このときに当該賃貸借物件の物件コードに対応付けて登録されることになる。
図4に、物件データベース121に登録された一の賃貸借物件の物件情報について例示する。
図4に示すように、物件データベース121には、賃貸借物件についての、物件コード、物件名、建物構造、物件区分(例えば、マンション,アパート,一戸建て,等の別)、住所、最寄り駅、最寄り駅からの徒歩時間、バス便の有無、築年日、月額家賃、共益費、敷金(家賃何ヶ月分かの情報)、礼金(家賃何ヶ月分かの情報)、専有面積(m2)、間取り(例えば、ワンルーム,2LDK,3DK,等の別)、間取り詳細(各部屋につき、その用途,広さ,床構造(畳,絨毯,フローリング,等の別),等)、などの情報が登録される。本実施の形態では、このうちの専有面積(m2)が、広さ情報として用いられることになる。
また、図4に示すように、物件データベース121には、敷金代替役務を利用できる物件であるか否かの別を示す「敷金代替対応」欄が設けられており、本実施の形態では、各物件につき、敷金代替役務の対象とするか否かについて、貸主側が選択できるようになっている。この例では、敷金代替対応欄に「可」が登録された場合は敷金代替役務を利用でき、かつ従来型の契約とすることもできる物件であり、「不可」が登録された場合は敷金代替役務を利用できず敷金を払う従来型の契約対象となる物件であることを示している。
なお、物件データベース121に登録された物件情報は、入居者すなわち借主が決まるまでは、通信網100を介して借主側端末20でアクセス可能とされ、この詳細については後述する。
貸主データベース122には、貸主(この例では家賃徴収者)の氏名、識別情報としてのコード、住所、連絡先(電話番号、ファックス番号、など)、メールアドレス、等の情報が、上述した物件データベース121における賃貸借物件の物件コード(図4参照)毎に対応付けられて登録される。貸主データベース122に登録された一の貸主の情報の一例を、図5に示す。
契約対象情報データベース123には、賃貸借契約が締結された物件(或いは締結される予定の物件)についての情報と、該物件の借主の情報と、契約に関する種々の情報が登録される。本実施の形態では、敷金代替役務の対象となった物件についてのデータベース(以下、便宜のため「役務利用事例データベース」とも呼ぶ。)と、貸主に敷金を支払う従来型の契約対象となった物件についてのデータベースと、で区別され、図6では、賃貸借契約が締結され、かつ、敷金代替役務の対象となった一の賃貸借物件に関する各種情報が登録された役務利用事例データベースについて示している。
図6に示すように、契約対象情報データベース123の役務利用事例データベースには、契約対象となる物件(賃貸家屋)の情報として、物件コードと貸主コードとが登録され、該物件の借主の情報として、入居者コード(借主の個人ID)と契約名義コード(借主の個人ID又は法人IDのいずれか)とが登録される。
また、役務利用事例データベースには、契約に関する情報として、賃貸借契約及び敷金代替役務の三者間契約についての本契約後に登録される契約番号(「契約No.」欄参照)、契約開始日、入居開始日、借主から第三者機関に支払われる年払いの掛け捨て補償料についての補償料率(「敷金代替補償料率」欄参照)及び補償料額(「敷金代替補償料」欄参照)、借主から貸主に支払われる家賃(月額賃料)、更新が行われる場合には契約の更新日及び更新後の家賃(月額賃料)及び補償料額、これらの契約の終了予定日及び終了日、入居開始日から契約終了日までの借主の入居期間、などが登録される。
さらに、役務利用事例データベースには、賃貸家屋の原状回復に関する情報として、借主が申告した、入居時における家屋の状況(「入居時状況」欄参照)、及び退去時における家屋の状況(「退去時状況」欄参照)、入居時状況と退去時状況との差分(劣化程度)についての情報(「確定借主申告原状回復」欄参照)、貸主又は修繕業者(以下、便宜のため「貸主側」とも言う。)から第三者機関側に送られてきた賃貸家屋の修繕についての項目・費用につき、第三者機関側が行った単価チェック後の項目・費用(「確定原状回復項目・費用」欄参照)、第三者機関側が補償負担する度数(「確定原状回復度数(補償負担)」欄参照)、及び第三者機関側が負担する(すなわち貸主側に支払う)補償金の額(「確定原状回復費用(補償金額)」欄参照)、等についての情報が登録される。
なお、貸主側から第三者機関側に送られてきた賃貸家屋の修繕についての項目・費用については、まず修繕情報データベース124の「貸主申告原状回復金額」欄に登録されるようになっている。また、契約対象情報データベース123の上述した「確定原状回復項目・費用」欄の情報は、修繕情報データベース124の「確定原状回復金額」欄の情報が複写されたものである。図7に、修繕情報データベース124に登録された一の賃貸借物件の情報について示す。これら各情報についての登録処理の詳細については、フローチャートを参照して後述する。
図8は、業者データベース125に登録された一の修繕業者の情報を表した図である。図8に示すように、業者データベース125には、修繕業者の会社名、会社コード、住所、連絡先(電話番号等)、担当者名、メールアドレス、支払先銀行、支払先銀行の支店名、支払先銀行の口座番号、等が登録される。
図9に、査定基準マスタファイル126に登録された費用負担割合についての基準情報の一例を示す。この例では、度数が1〜5の場合には、0%〜100%の割合で第三者機関が補償して残りは貸主負担となり、度数が10の場合には、全額借主負担となり第三者機関の補償外となることを表している。
図10は、部材マスタファイル127に登録された修繕部材名とその単価についての情報を表した図である。図10に示すように、部材マスタファイル127は、修繕部材につき、標準部材の単価と高級部材の単価とが登録されたものとなっている。
図11は、補償情報ファイル128に登録される情報を表した図である。図11に示すように、補償情報ファイル128には、第三者機関が受領した補償料につき、年間での受領総額が登録される「受け取り補償料総額(年)」欄、年間での受領総回数が登録される「受け取り補償回数(年)」欄、現在までの累積総額が登録される「受け取り補償料総額(累積)」欄、現在までの累積受領総回数が登録される「受け取り補償回数(累積)」欄、第三者機関が貸主に支払った補償金の、年間での支払い総額が登録される「支払い補償金総額(年)」欄、及び現在までの支払い総額が登録される「支払い補償金総額(累積)」欄が設けられる。
また、補償情報ファイル128には、現在までの敷金代替役務の利用案件全体につき、一案件あたりの掛捨補償料の平均支払回数、すなわち一の賃貸家屋への入居につき借主が第三者機関に支払った年払い掛捨補償料の支払い回数の現在の平均値が登録される「平均支払回数(全体)」欄と、敷金代替役務全体での現在の原状回復費用のm2単価の加重平均値が登録される「加重平均m2単価(全体)」欄が設けられる。
なお、本例では、本システムにおける最初の利用者(借主)に対応するために、補償情報ファイル128に登録される、「加重平均m2単価(全体)」欄の初期値を「3500(円/m2)」に、また、「平均支払回数(全体)」欄の初期値を「4(回)」に設定している(図33のF欄及びH欄参照)が、この値に限定されるものでないことは勿論である。
本実施の形態では、上述した借主データベース120及び補償情報ファイル128における「平均支払回数」欄と「加重平均m2単価」欄とに登録されるデータを、掛け捨て補償料の実行値を算出するための算出基準値として用いることとし、具体的には、これらの算出基準値を、個々の賃貸家屋の契約に先立って予測値(予想値)として登録しておくとともに、個々の賃貸家屋の性質(広さ)が反映されるように補償料の実行値を算出し、さらには、借主の居住実績に応じて更新するようになっている。なお、これらの処理の詳細については、フローチャートを参照して後述する。
しかして、このようなデータ構造を備えた賃貸借管理装置10において、CPU11は、通信網100を介して借主側端末20と通信を行う通信処理手段、該通信時に借主の認証を行う認証手段、敷金代替役務についての各種処理を行う手段、等として機能することになる。
ここで、敷金代替役務についての各種処理のうち主要なものとしては、借主側端末20との通信時において各借主に対応した検索画面のデータを送信する検索画面データ送信処理、敷金代替役務を利用する各借主の、掛け捨て補償料についての値(利率及び額)を算出し、該算出値を掛捨補償料実行値としてHDD12に登録する掛捨補償料算出登録処理、賃貸借契約の締結に伴って、該当する借主情報と物件情報と掛捨補償料実行値とを対応付けてHDD12の契約対象情報データベース123に登録する契約対象情報登録処理、賃貸借契約が更新された場合に更新に関する新たな情報を契約対象情報データベース123に登録する更新情報登録処理、賃貸借契約終了に基づく退去に伴って、家屋の修繕についての修繕情報をHDD12の契約対象情報データベース123に登録する修繕情報登録処理、退去した借主等に関する次回の算出基準値を演算して、HDD12内の所定の「平均支払回数」欄及び「加重平均m2単価」欄の登録データを更新登録する処理等が挙げられ、これら各処理についての詳細についてはフローチャートを参照して後述する。
次に、主に図12のフローチャートを参照して、借主側端末20との通信時において賃貸借管理装置10が行う処理について説明する。
この敷金代替役務支援システムにおいては、まず、借主が借主側端末20を操作して所定のサイトにアクセスすることで、借主側端末20の表示部には、図13に示すように、ログイン情報としての個人IDとパスワード(図3参照)の送信を促すログイン画面が表示される。
ここで、借主が個人IDとパスワードを入力して「ログイン」ボタンを選択するように借主側端末20を操作することで、ログイン情報が通信網100を介して賃貸借管理装置10に送信される。
このとき、賃貸借管理装置10のCPU11は、ログイン情報を受信するまで待機状態にあり(ステップS11)、送受信部15を介してログイン情報を受信すると(ステップS11でYes)、ログイン情報を内部メモリ等に一時保存してステップS12に移行して、ステップS12では正規会員か否かについての認証処理を行い、正規会員と認めた場合にステップS13に移行する。
具体的には、ステップS12の認証処理では、CPU11は、借主データベース120の登録情報を参照して、受信したログイン情報が登録されている場合にはステップS13に移行し、登録されていない場合には、正規のログイン情報を受信するまでは、ログイン情報の再入力を促す不図示のエラー表示画面のデータを借主側端末20に送信するように送受信部15を制御する。
認証処理後のステップS13で、CPU11は、借主側端末20にメニュー画面のデータを送信した後に、ステップS14に移行して要求(コマンド)待ちの状態となる。
図14に、借主側端末20の表示部に表示されるメニュー画面の一例を示す。この例では、メニュー画面上に、物件データベース121に登録された各種賃貸家屋を検索するためのクリックボタン(「物件検索」ボタン)、検索等を行ったいずれかの物件について下見を希望する場合の「下見希望」ボタン、下見等を行った賃貸家屋につき仮予約するための「仮予約」ボタン、契約を済ませて入居を開始する際あるいは契約終了に基づく退去の際に後述のチェックシートの内容を入力するための「チェックシート入力」ボタン、その他、解約申込や更新申込などの各種データの登録要求、借主の住所やパスワード等の個人情報の変更要求、ログアウト要求などの、各種のクリックボタンが表示される。
そして、メニュー画面データの送信後のステップS14において、CPU11は、借主側端末20からの受信信号を監視して、何らかの要求(コマンド)が送られて来るまで待機状態となり、送受信部15でコマンドを受信すると、ステップS15〜ステップS18に移行して、受信した要求の種類に応じた処理を行う。
すなわち、CPU11は、送られて来たコマンドが物件検索要求であるか(物件検索ボタンがクリックされたか)否か(ステップS15)、仮予約要求であるか否か(ステップS16)、チェックシート入力要求であるか否か(ステップS17)、或いはその他の要求(ステップS18)であるか、を判定して、物件検索要求(ステップS15でYes)と判定した場合にはステップS19に移行し、仮予約要求(ステップS16でYes)と判定した場合にはステップS20に移行し、チェックシート入力要求(ステップS17でYes)と判定した場合にはステップS21に移行し、その他の要求(ステップS18)と判定した場合にはステップS22に移行する。
なお、ステップS18のその他の要求としては、図23で後述するステップS41の解約申込の要求や、ステップS42における更新申込の要求などが該当する。
そして、CPU11は、ステップS19では物件の検索画面のデータを借主側端末20に送信する処理を行い、ステップS20では仮予約入力フォームのデータを借主側端末20に送信する処理を行い、ステップS21では当該借主の現在の状況に応じて、後述する入居時チェックシート又は退去時チェックシートのフォームを借主側端末20に送信する処理を行い、ステップS22では、クリックされたボタンに対応する各種処理を行う。
また、CPU11は、ステップS19乃至ステップS22のいずれかの処理を完了すると、再びステップS14の要求待ち状態となり、借主側端末20からのログアウト要求等により接続が終了するまでは、上述したステップS15乃至ステップS22の処理を繰り返し行うことになる。
次に、主に図15のフローチャートを参照して、ステップS19のサブルーチン、すなわち借主側端末20との通信時において賃貸借管理装置10が行う検索画面データ送信処理の詳細について説明する。
上述したステップS15でYesと判定した場合には、賃貸借管理装置10のCPU11は、まず、ステップS191で、賃貸家屋の検索条件を絞り込むための検索条件入力画面のデータを借主側端末20に送信するように送受信部15を制御してステップS192に移行し、借主側端末20からの入力データが送られてくるまでステップS192で待機する。
図18に、賃貸借管理装置10から送信され、借主側端末20の表示部に表示された検索条件入力画面の一例を示す。
この検索条件入力画面では、図18に示すように、例えば入居したい物件の地域、家賃、間取り、等をプルダウン方式で選択できるようになっている。また、ここでは、契約名義を法人とする(以下、法人契約とも言う。)か個人とする(以下、個人契約とも言う。)か、及び、敷金代替役務(敷金代替補償サービス)を利用するか否か、をそれぞれ選択入力する画面となっている。すなわち、本実施の形態では、検索条件入力画面が、敷金代替役務(敷金代替補償)を利用するか否かを借主に選択させるための画面ともなっている。ここで、借主が借主側端末20を操作して各入力項目を決定して「検索」ボタンをクリックすることにより、各項目についての入力データが賃貸借管理装置10に送信される。
賃貸借管理装置10のCPU11は、この入力データを送受信部15で受信すると(ステップS192でYes)、受信データを内部メモリに一時記憶するとともに、当該借主が敷金代替役務を利用するか否かについて判定し(ステップS193)、Yesすなわち利用すると判定した場合にはステップS194に移行し、Noすなわち利用しないと判定した場合にはステップS195に移行する。
敷金代替役務を利用すると判定した後のステップS194で、CPU11は、図4で上述した物件データベース121から、「敷金代替対応」欄が「可」になっている各物件(敷金代替役務可能物件)のうち、上述の地域、家賃、間取り、等の検索条件に合致している物件のデータを、借主側端末20に送信するように送受信部15を制御するとともに、ステップS196に移行して、借主側端末20から敷金代替役務の内容表示要求が送られて来るまで待機する。
なお、図示しないが、このとき、借主側端末20の表示部には、検索結果としての各種物件の情報とともに、敷金代替役務の内容について表示する旨のクリックボタンが表示された状態となっており、このクリックボタンを選択すると、敷金代替役務の内容表示要求が賃貸借管理装置10に送信される。
一方、敷金代替役務を利用しないと判定した後のステップS195では、CPU11は、物件データベース121に登録された全ての物件のデータのうち、上述の地域、家賃、間取り、等の検索条件に合致している物件のデータを、借主側端末20に送信するように送受信部15を制御して、上述したステップS14に戻る。
なお、図示しないが、このとき、借主側端末20の表示部には、上述したステップS194の場合とは異なり、各種物件の情報が表示されるだけで、敷金代替役務の内容について表示する旨のクリックボタン等は含まれない画面が表示されることになる。
そして、敷金代替役務の内容表示要求を送受信部15で受信する(ステップS196でYes)と、CPU11は、ステップS197で借主データベース120における当該借主の情報を参照するとともに、ステップS192で受信した入力データに基づいて、契約名義が法人か個人かについて判定し(ステップS198)、法人であるとの判定の場合にはステップS199に移行し、個人であるとの判定の場合にはステップS200に移行する。
ステップS199で、CPU11は、ステップS197の参照結果に基づいて、当該契約名義人(この場合は法人)につき、既に敷金代替役務についての利用実績があるか否かについて、借主データベース120の法人情報の「敷金代替役務利用回数」欄(図3参照)のデータに基づいて判定し、Yesすなわち利用実績有りの場合にはステップS201に移行し、Noすなわち利用実績無しの場合にはステップS202に移行する。
同様に、ステップS200で、CPU11は、ステップS197の参照結果に基づいて、当該契約名義人(この場合は個人)につき、既に敷金代替役務についての利用実績があるか否かについて、借主データベース120の個人情報の「敷金代替役務利用回数」欄(図3参照)のデータに基づいて判定し、Yesすなわち利用実績有りの場合にはステップS203に移行し、Noすなわち利用実績無しの場合にはステップS202に移行する。
ステップS201で、CPU11は、借主データベース120の法人情報に登録された算出基準値(加重平均m2単価及び平均支払回数、図3参照)と、当該物件の専有面積及び月額家賃(図4参照)と、の各値に基づいて、掛捨補償料についての値(補償料率及び額の実行値)を算出し、かかる算出値を表示する画面のデータを生成するとともに、このデータを借主側端末20に送信するように、送受信部15を制御して、上述したステップS14に戻る。
図16に、ステップS201で行うCPU11の処理の詳細を示す。CPU11は、当該物件の専有面積の値を物件データベース121から抽出し(ステップS2011)、かかる抽出値を当該法人の加重平均m2単価と積算し(ステップS2012)、かかる積算値を当該法人の平均支払回数で除算し(ステップS2013)、さらに、かかる除算値を当該物件の賃料で除算する(ステップS2014)。そして、次のステップS2015で、CPU11は、ステップS2014で算出した値の切り上げ値に基づく補償料率及び額を、掛捨補償料の実行値として表示する画面のデータを生成して、該データを借主側端末20に送信するように、送受信部15を制御する(ステップS2015)。
すなわち、ステップS201の処理では、借主データベース120の法人情報の「加重平均m2単価」欄及び「平均支払回数」欄(図3参照)に登録された各値が、今回の敷金代替サービス利用にあたって実行される掛捨補償料の算出基準値となり、ステップS2012では当該物件についての原状回復費用の予測額が算出され、ステップS2013では1年(1回)当たりの掛捨補償料額が算出され、ステップS2014では当該物件に関する掛捨補償料の補償料率が算出されることになる。
例えば、当該物件の専有面積が42m2、月額家賃が10万円、当該法人の加重平均m2単価が2128円、平均支払回数が4回の場合には、当該物件についての原状回復費用の予測額として、42×2128=89376(円)が算出され(ステップS2012)、当該物件に関する1年(1回)当たりの掛捨補償料額として、89376/4=22344(円)が算出され(ステップS2013)、当該物件に関する掛捨補償料の補償料率として、22344/100000=22.344(%)が算出され(ステップS2014)、ステップS2015では、該値の切り上げ値である23(%)及び23000(円)を掛捨補償料の実行値として表示する画面のデータが生成され、借主側端末20に送信されることになる。
これにより、借主側端末20の表示部14には、実行される掛捨補償料の利率及び額として、当該物件の専有面積及び月額家賃と、当該法人の現時点における算出基準値(すなわち敷金代替役務の利用実績に基づく平均値)と、が反映された値が表示されることになる。なお、この算出基準値の更新処理についての詳細は後述する。
一方、ステップS203で、CPU11は、借主データベース120の個人情報に登録された算出基準値(加重平均m2単価及び平均支払回数、図3参照)と、当該物件の専有面積及び月額家賃(図4参照)と、の各値に基づいて、掛捨補償料についての値(補償料率及び額の実行値)を算出し、かかる算出値を表示する画面のデータを生成するとともに、このデータを借主側端末20に送信するように、送受信部15を制御して、上述したステップS14に戻る。
なお、ステップS203で行うCPU11の処理の詳細については、上述したステップS201と同様の算出方法が用いられる。すなわち、CPU11は、図16に示すように、当該物件の専有面積の値を物件データベース121から抽出し(ステップS2011)、該抽出値を当該個人の加重平均m2単価と積算し(ステップS2012)、該積算値を当該個人の平均支払回数で除算し(ステップS2013)、さらに、該除算値を当該物件の賃料で除算し(ステップS2014)、該除算値の切り上げ値に基づく補償料率及び額を、実行補償料の値として表示する画面のデータを生成して、該データを借主側端末20に送信するように送受信部15を制御する(ステップS2015)。
すなわち、ステップS203の処理では、借主データベース120の個人情報の「加重平均m2単価」欄及び「平均支払回数」欄(図3参照)に登録された各値が、今回の敷金代替サービス利用にあたって実行される掛捨補償料の算出基準値となる。
例えば、当該物件の専有面積が42m2、月額家賃が10万円、当該個人の加重平均m2単価が2250円、平均支払回数が4回の場合には、当該物件についての原状回復費用の予測額として、42×2250=94500(円)が算出され(ステップS2012)、当該物件に関する1年(1回)当たりの掛捨補償料額として、94500/4=23625(円)が算出され(ステップS2013)、当該物件に関する掛捨補償料の補償料率として、23625/100000=23.625(%)が算出され(ステップS2014)、ステップS2015では、該値の切り上げ値である24(%)及び24000(円)を掛捨補償料の実行値として表示する画面のデータが生成され、借主側端末20に送信されることになる。
これにより、借主側端末20の表示部14には、実行補償料の利率及び額として、当該物件の専有面積及び月額家賃と、当該個人の現時点における算出基準値(すなわち敷金代替役務の利用実績に基づく平均値)と、が反映された値が表示されることになる。なお、この算出基準値の更新処理についての詳細は後述する。
一方、利用実績無しと判定された後のステップS202において、CPU11は、上述した補償情報ファイル128に登録された算出基準値(全体の加重平均m2単価及び全体の平均支払回数、図11参照)と、当該物件の専有面積及び月額家賃(図4参照)と、の各値に基づいて、実行補償料についての値(補償料率及び額の実行値)を算出し、かかる算出値を表示する画面のデータを生成するとともに、このデータを借主側端末20に送信するように、送受信部15を制御して、上述したステップS14に戻る。
図17に、ステップS202で行うCPU11の処理の詳細を示す。CPU11は、当該物件の専有面積の値を物件データベース121から抽出し(ステップS2021)、かかる抽出値を補償情報ファイル128に登録された全体の加重平均m2単価と積算し(ステップS2022)、かかる積算値を全体の平均支払回数で除算し(ステップS2023)、さらに、かかる除算値を当該物件の賃料で除算し(ステップS2024)、該除算値の切り上げ値に基づく補償料率及び額を、実行補償料の値として表示する画面のデータを生成して、該データを借主側端末20に送信するように送受信部15を制御する(ステップS2015)。
すなわち、ステップS202の処理では、補償情報ファイル128の「加重平均m2単価(全体)」欄及び「平均支払回数(全体)」欄(図11参照)に登録された各値が、今回の敷金代替サービス利用にあたって実行される掛捨補償料の算出基準値となり、ステップS2022では当該物件についての原状回復費用の予測額が算出され、ステップS2023では1年(1回)当たりの掛捨補償料額が算出され、ステップS2024では当該物件に関する掛捨補償料の補償料率が算出されることになる。
例えば、当該物件の専有面積が42m2、月額家賃が10万円、補償情報ファイル128に登録された全体の加重平均m2単価が2336円、全体の平均支払回数が4回の場合には、当該物件についての原状回復費用の予測額として、42×2336=98112(円)が算出され(ステップS2022)、当該物件に関し1年(1回)当たりに必要となる掛捨補償料額として、98112/4=24528(円)が算出され(ステップS2023)、当該物件に関する掛捨補償料の補償料率として、24528/100000=24.528(%)が算出され(ステップS2024)、ステップS2025では、該値の切り上げ値である25(%)及び25000(円)を掛捨補償料の実行値として表示する画面のデータが生成され、借主側端末20に送信されることになる。
これにより、借主側端末20の表示部14には、実行補償料の利率及び額として、当該物件の専有面積及び月額家賃と、敷金代替役務全体の算出基準値(すなわち敷金代替役務の全てののべ利用者の利用実績に基づく平均値)と、が反映された値が表示されることになる。なお、この算出基準値の更新処理についての詳細は後述する。
本システムでは、このような処理を行うことで、個々の物件及び個々の契約名義人(個人又は法人)毎に予め個別に算出された掛捨補償料の実行値(補償料率及び補償料額)が、賃貸借契約及び敷金代替役務の利用に先立って、借主側端末20の表示部に表示されるので、借主は、入居に際して必要となる費用等の情報が一目で分かることになる。
図19に、上述したステップS202の処理により、借主側端末20の表示部に表示された補償料率及び補償料額の一例を示す。この例では、上述した補償情報ファイル128に登録された初期値(加重平均m2単価が3500円、平均支払回数が4回)が算出基準値として用いられた場合であり、同様に物件の専有面積が42m2、月額家賃が10万円であったため、補償料率が37%で、年間の補償料額が37000円と算出された場合について示している。
また、図19に示すように、この例では、この掛捨補償料についての値とともに、当該物件の入居すなわち賃貸借契約の締結等について仮予約するための「仮予約」ボタンが借主側端末20の表示画面に表示されるようになっており、借主が借主側端末20を操作してこの仮予約ボタンをクリックすることにより、仮予約要求(ステップS16)が賃貸借管理装置10に送信される。
賃貸借管理装置10のCPU11は、この仮予約要求を送受信部15で受信すると(ステップS16でYes)、仮予約対象となる物件の物件コード(図4参照)と、貸主の貸主コード(図5参照)と、借主の個人IDと、契約名義となる者のID(個人ID又は法人ID)とを抽出して、これらをそれぞれ契約対象情報データベース123の「物件コード」欄、「貸主コード」欄、「入居者コード」欄、「契約名義コード」欄(図6参照)に登録し、かつ、「契約No.」欄に新たな契約番号を登録するように、HDD12を制御する。また、CPU11は、物件データベース121に登録された当該物件の情報については、借主側端末20での検索ができなくなるような処理、例えば検索対象外となる旨のフラグを立てる処理を行うように、HDD12を制御する。
この後、借主は、敷金代替役務を利用して賃貸家屋に入居する場合には、貸主との間で賃貸借契約を締結して、賃料等を貸主に対して支払うとともに、第三者機関と貸主との間で上述した三者間契約を締結して、個別に設定された補償料率(図19の例では月額家賃の37%)に基づく掛け捨て補償料(上記例では1年あたり3万7千円)を第三者機関に支払って、賃貸借契約に基づく所定期間(例えば2年間)の入居が開始されることになる。
そして、賃貸借契約及び三者間契約の契約内容、例えば契約日、契約期間(すなわち入居期間)、入居開始日、1年当たりの掛捨補償料額、補償料額の初回分の受領日、契約終了予定日、等の各種情報については、適宜システム管理者が操作入力部13を操作することで、契約対象情報データベース123の該当欄(図6参照)に登録される。
また、本システムにおいては、借主に入居時チェックシートを交付して、入居後速やかに第三者機関に提出してもらうこととする。この入居時チェックシートは、入居時における賃貸家屋の傷み具合等について確認するためのものであり、複数の質問項目についてそれぞれ選択形式でチェックできるようになっている。
本実施の形態では、上述した仮予約に伴う契約対象情報データベース123への登録がなされた案件につき、所定の時期に入居時チェックシートのフォームを自動で生成して、借主側端末20に送信するとともに、借主から入居時のチェックデータが送られて来たか等について管理するようになっている。以下、この処理について図20のフローチャート等を参照して説明する。
ステップS31で、賃貸借管理装置10のCPU11は、契約対象情報データベース123を参照して、本契約がなされたか否かについて判定し、本契約がなされたと判定した場合にはステップS32に移行する。なお、ステップS31における判定は、例えば契約対象情報データベース123の「契約開始日」欄等を監視して、該欄に契約日が登録されたか否か、により行えば良い。
ステップS32で、CPU11は、借主データベース120に登録された当該借主の「敷金代替役務利用回数」欄の数値に1を加算して、ステップS33に移行する。なお、ここでは、契約名義が法人の場合には個人情報と法人情報の双方の「敷金代替役務利用回数」欄の数値に1を加算し、契約名義が個人の場合には個人情報の「敷金代替役務利用回数」欄のみの数値に1を加算することになる。
ステップS33で、CPU11は、入居チェックシートのフォームを生成、送信する。具体的には、CPU11は、物件データベース121に登録された当該賃貸家屋についての間取り情報及び間取り詳細情報と、査定基準マスタファイル126の登録情報に基づいて、入居チェックシートのフォームを生成し、当該フォームのデータを借主のメールアドレス宛に送信するように送受信部15を制御した後に、ステップS34に移行する。
なお、本実施の形態では、ステップS33におけるCPU11の送信処理としては、入居時チェックシートのフォームデータを直接送信するのではなく、「所定サイトにアクセスしてチェックシートへの入力をお願いします。」といったメッセージのメールを送信するようになっている。
したがって、本システムでは、このメールを読んだ借主が借主側端末20で上述した所定サイトにアクセスして、ログイン後のメニュー画面(図14)からチェックシート入力ボタンをクリックすることで入居時チェックシートをダウンロードするととともに、チェック内容のデータを賃貸借管理装置10に送信することで、チェック内容のデータが契約対象情報データベース123の「入居時状況」欄(図6参照)に登録される。
借主側端末20で入居時チェックシートをダウンロードしてチェック内容を入力した例を図21に示す。図21の例では、家屋の各箇所の傷み具合の状態(例えば、新品、新品同様、シミ有り、キズ有り、等の別)についてプルダウン方式により選択できるようになっている。ここで、中央にある各箇所の「状態−」欄についての各数値は、数が大きくなるほど傷み具合が大きいことを示している。また、各箇所の「材質」欄については、物件データベース121に材質が登録されていない場合もあるため、借主にプルダウン方式による選択で入力してもらうこととしている。
そして、賃貸借管理装置10のCPU11は、続くステップS34で、契約対象情報データベース123の「入居開始日」欄を監視して、当該物件について、入居開始日が登録されるまで待機し、登録された(ステップS34でYes)と判定すると、ステップS35に移行する。
ステップS35において、CPU11は、入居開始日から所定日数が経過するまで待機して、Yesすなわち経過したと判定した場合にはステップS36に移行する。ここで、所定日数とは、入居時のチェックシートを提出するための待機期間であり、本実施の形態では借主の事情(例えば借主側端末20の故障等によりチェックシートを第三者機関まで郵送しなければならない場合等)を考慮して、2週間に設定している。なお、入居時チェックシートが郵送された場合には、システム管理者が操作入力部13を操作して、契約対象情報データベース123に登録すれば良い。
そして、ステップS36で、CPU11は、契約対象情報データベース123の「入居時状況」欄を参照して、借主からの入居時チェックシートのデータが登録済みであるか否かについて判定し、Noすなわち未だ登録されていないとの判定の場合にはステップS37に移行し、Yesすなわち登録済みとの判定の場合には処理を終える。
ステップS37で、CPU11は、当該借主のメールアドレス宛に督促メールを送信する処理を行ってステップS35に戻り、入居時チェックシートのデータが登録されるまで、ステップS35〜ステップS36〜ステップS37の処理を繰り返す。図22に、ステップS37で送信される督促メールの一例について示す。
なお、どうしても借主からの協力が得られない場合にまで督促メールを繰り返し送信しても無駄なので、本実施の形態では、督促メールの送信は2回までとし、督促メールを2回送信した場合には、CPU11は、次のステップS36の判定では契約対象情報データベース123の登録内容にかかわらず登録済とみなして処理を終えるように設定している。
但し、実際には、上述の三者間契約や督促メールで入居時チェックシートの趣旨及び不提出の場合の罰則等を明記しておくことにより、入居時チェックシート不提出の事態は避けられるものと考えられる。
次に、図23のフローチャートを参照して、契約期間の終了予定日前後の時期における賃貸借管理装置10の行う処理について説明する。
ステップS41で、賃貸借管理装置10のCPU11は、契約期間終了に伴う借主からの解約の申し込みがあるか否か(ステップS41)又は更新の申し込みがあるか否か(ステップS42)について判定し、解約申込ありと判定した(ステップS41でYes)場合にはステップS43に移行し、更新申込ありと判定した(ステップS42でYes)場合にはステップS44に移行する。
本実施の形態では、これら解約申込又は更新申込については、借主が借主側端末20で上述した所定サイトにアクセスして、ログイン後のメニュー画面(図14)から各種データの登録要求のボタンをクリックして、解約申込又は更新申込のデータを賃貸借管理装置10に送信できるようになっている。そして、CPU11は、借主からの解約する旨の意思表示のデータを受信した場合に、解約の申込あり(ステップS41でYes)と判定する。また、CPU11は、借主の更新する旨の意思表示のデータ、新たな賃料についてのデータ、及び新たな契約期間(入居期間)についてのデータを受信した場合に、更新の申込あり(ステップS42でYes)と判定する。したがって、更新申込についての各データは、借主と貸主との間で契約更新についての協議を経た後に、借主が借主側端末20を操作して賃貸借管理装置10に送信されることになる。一方、解約する旨の意思表示のデータは、借主から一方的に(貸主への通知前に)賃貸借管理装置10に送信され、かつ、具体的な退去日(契約終了日)が不明な場合が多い。したがって、この場合には、退去日(契約終了日)が決まり次第、契約対象情報データベース123の「契約終了日」欄にその日付をシステム管理者が入力することとする。
ステップS43で、CPU11は、当該借主のメールアドレス宛に、退去時チェックシートのデータを送信するように送受信部15を制御して、ステップS45に移行する。この退去時チェックシートのデータとしては、上述したステップS32で生成した入居時チェックシートのデータをそのまま用いることが可能である。
また、本実施の形態では、ステップS43におけるCPU11の送信処理としては、チェックシートのフォームデータを直接送信するのではなく、上述した入居時の処理と同様に、「所定サイトにアクセスしてチェックシートへの入力をお願いします。」といったメッセージのメールを送信するようになっている。
したがって、本システムでは、このメールを読んだ借主が借主側端末20で上述した所定サイトにアクセスして、ログイン後のメニュー画面(図14)からチェックシート入力ボタンをクリックすることで退去時チェックシートをダウンロードするととともに、チェック内容のデータを賃貸借管理装置10に送信することで、チェック内容のデータが契約対象情報データベース123の「退去時状況」欄(図6参照)に登録される。
借主側端末20で退去時チェックシートをダウンロードしてチェック内容を入力した例を図25に示す。図21と図25を比較して分かるように、一般に退去時においては、入居時に比べて家屋の各箇所の傷み具合が大きくなっている。
一方、ステップS44では、CPU11は、当該借主の契約更新のための処理を行うことで、契約対象情報データベース123を更新する。なお、ステップS44の処理の詳細については、図24のサブルーチンを参照して後述する。
ステップS45で、CPU11は、退去時チェックシートのデータ送信時から所定日数が経過するまで待機して、所定日数が経過すると(ステップS45でYes)、ステップS46に移行する。ここで、所定日数とは、退去時のチェックシートを提出するための待機期間であり、本実施の形態では借主の事情(例えば借主側端末20の故障等によりチェックシートを第三者機関まで郵送しなければならない場合等)及び退去期日の切迫性とを比較考慮して、入居時よりも短い期間(例えば1週間程度)に設定している。なお、退去時チェックシートが郵送された場合には、入居時と同様にシステム管理者が操作入力部13を操作して、契約対象情報データベース123に登録すれば良い。
そして、ステップS46で、CPU11は、契約対象情報データベース123の「退去時状況」欄(図6)を参照して、借主からの退去時チェックシートのデータが登録済みであるか否かについて判定し、Noすなわち未だ登録されていないとの判定の場合にはステップS48に移行し、Yesすなわち登録済みとの判定の場合にはステップS47に移行する。
ステップS48で、CPU11は、当該借主のメールアドレス宛に督促メールを送信する処理を行ってステップS45に戻り、退去時チェックシートのデータが登録されるまで、ステップS45〜ステップS46〜ステップS48の処理を繰り返す。この督促メールの内容は、図22に示す入居時の場合と同様である。
なお、どうしても借主からの協力が得られない場合にまで督促メールを繰り返し送信しても無駄なので、本実施の形態では、督促メールの送信は2回までとし、督促メールを2回送信した場合には、次のステップS46の判定では契約対象情報データベース123の登録内容にかかわらず登録済とみなしてステップS47に移行するように設定している。
但し、実際には、上述の三者間契約や督促メールで退去時チェックシートの趣旨及び不提出の場合の罰則等を明記しておくことにより、退去時チェックシート不提出の事態は避けられるものと考えられる。
ステップS47で、CPU11は、契約対象情報データベース123の「入居時状況」欄を参照して、借主からの入居時チェックシートのデータが登録されているか否かについて判定し、Yesすなわち登録されているとの判定の場合にはステップS49に移行し、Noすなわち登録されていないとの判定の場合にはステップS50に移行する。
ステップS49で、CPU11は、入居時チェックシートのデータと退去時チェックシートのデータとを比較して、損傷項目及び損傷程度についての差分を抽出して、この差分情報を含む各情報を、借主申告データとして契約対象情報データベース123の「確定借主申告原状回復」欄(図6)に登録した後に、ステップS51に移行する。
一方、ステップS50では、CPU11は、入居時チェックシートのデータについては、入居時の当該家屋の各チェック項目についての状態を「新品同様」とみなして、このデータと退去時チェックシートのデータとを比較して、損傷項目及び損傷程度についての差分を抽出して、この差分情報を借主申告データとして契約対象情報データベース123の「確定借主申告原状回復」欄(図6)に登録した後に、ステップS51に移行する。
ステップS51で、CPU11は、ステップS49又はステップS50で抽出した借主申告データを例えばeメールの添付ファイル形式で借主のメールアドレス宛に送信して、ステップS52に移行する。なお、このeメールには、「当該データに間違いがないか否かの確認をして欲しい」旨、「修正すべき点があればその点を指摘して期日までに返送して欲しい」旨、「期日までに修正等の指摘がない場合には当該データが確定する」等のメッセージを掲載しておく。
図26に、借主側端末20の表示部に表示された借主申告データの例を示す。図26に示す例では、入居時チェックシート及び退去時チェックシートの入力内容が対比して表示されており、このような対比表形式とすることにより、例えば退去時の値が入居時の値よりも低い(すなわち新しい)場合のような、チェックを要する箇所が一目で分かるようになる。なお、賃貸借管理装置10の契約対象情報データベース123には、図26に示す各情報に加えて、各箇所の状態についての差分値(すなわち退去時の値−入居時の値)が「確定借主申告原状回復」欄(図6)に登録された状態となっている。
ステップS52で、CPU11は、借主申告データを確定するか否かを判定し、Yesすなわち確定するとの判定の場合にはステップS54に移行し、Noすなわち確定しないとの判定の場合にはステップS53に移行する。この判定は、上述した期日の到来までに借主からの修正等の指摘についてのメールが返送されたか否かをチェックすることにより自動で行うことが可能である。
ステップS53で、CPU11は、借主申告データの修正を行うための画面を表示するように表示部14を制御するとともに、システム管理者等により操作される操作入力部13からの入力信号に基づいて、借主申告データの修正や新たなメール作成等の処理を行う。そして、CPU11は、借主申告データの修正に関する各処理が完了すると、ステップS51に戻って、ステップS52でYesと判定されるまで上述したステップS51〜ステップS52〜ステップS53の処理を繰り返す。
ステップS54で、CPU11は、現時点での借主申告データを確定して、契約対象情報データベース123に登録する。
図24は、上述したステップS44のサブルーチンを示している。
すなわち、ステップS441で、CPU11は、受信した更新申込の各データ、すなわち借主の更新する旨の意思表示のデータ、新たな賃料についてのデータ、及び新たな契約期間(入居期間)についてのデータを内部メモリに一時記憶する。また、このときCPU11は、契約対象情報データベース123につき、更新される契約内容を新たに登録するための記憶領域(図6の例では、「契約更新日1」、「更新月額賃料1」、「更新敷金代替補償料1」の各欄)を確保するとともに、「契約更新日」欄に、現段階での「契約終了予定日」欄の登録日の翌日の日付を登録して、ステップS442に移行する。
ステップS442で、CPU11は、前ステップで一時記憶した新たな賃料と契約対象情報データベース123に登録されている最新の賃料(図6の例では、「月額賃料」欄の100,000円)とを比較することで、賃料変更の有無を判定し、Noすなわち変更なしとの判定の場合にはステップS443に移行し、Yesすなわち変更ありの場合にはステップS444に移行する。
賃料変更無しと判定された後のステップS443で、CPU11は、契約対象情報データベース123の「更新月額賃料」欄(図6の例では、「更新月額賃料1」欄)に前回の賃料と同額の値を登録し、かつ、契約対象情報データベース123の「更新敷金代替補償料」欄(図6の例では、「更新敷金代替補償料1」欄)に前回の掛捨補償料と同額の値を登録して、ステップS447に移行する。
一方、賃料変更有りと判定された後のステップS444では、CPU11は、契約対象情報データベース123の「更新月額賃料」欄(図6の例では、「更新月額賃料1」欄)に新たな賃料を登録して、続くステップS445で、登録された新たな賃料に、実行中の敷金代替補償料率(すなわち「敷金代替補償料率」欄に登録された利率)を積算することで、新たな掛捨補償料の額を算出して、ステップS446に移行する。
ステップS446で、CPU11は、前ステップで算出された新たな補償料額を、契約対象情報データベース123の「更新敷金代替補償料」欄(図6の例では、「更新敷金代替補償料1」欄)に登録して、ステップS447に移行する。
ステップS447で、CPU11は、ステップS441で一時記憶した新たな契約期間(入居期間)のデータに基づく契約満了日を、契約対象情報データベース123の「契約終了予定日」欄に登録することで、該欄のデータを更新して、処理を終える。
上述したステップS441〜ステップS447の処理を行うことにより、賃貸借管理装置10では、賃貸借契約が更新された場合に、新たな契約内容及びこれに基づく新たな掛捨補償料の額が契約対象情報データベース123に登録されるので、契約更新時に賃料が変更される場合、さらには賃貸借契約の更新が複数回なされて借主の入居が長期にわたる場合にも対応でき、最初に設定された補償料率に基づく補償料額で敷金代替役務を適格に運用することが可能となる。
次に、主に図27のフローチャートを参照して、借主の退去後における賃貸借管理装置10の行う処理について説明する。
なお、以下の処理は、原状回復のための査定及び修繕業者への依頼を貸主が行った場合を想定した処理となっているが、査定及び修繕業者への依頼を第三者機関側で行った場合でも同様の処理によって対応可能である。
ステップS61で、賃貸借管理装置10のCPU11は、契約対象情報データベース123の「契約終了日」欄を参照して、借主の退去が完了したか否かを判定して、退去完了と判定した場合にステップS62に移行する。
ステップS62で、CPU11は、貸主側(貸主或いは修繕業者)に対する修繕請求シートを送信するための処理を行った後にステップS63に移行する。
本実施の形態では、ステップS62の処理として、貸主が指定した修繕業者のメールアドレス(図8参照)宛に、例えば図28に示すような、修繕項目(修繕箇所)、修繕範囲(全体か部分かの別)、修繕内容、個々の修繕項目についての費用、各修繕箇所につき貸主が行った借主の過失の程度(貸主判断)等について入力する表形式のシートをeメールの添付ファイル形式で送信する処理を行う。ここで、「貸主判断」欄については、1(経年劣化)〜5(故意)の別をプルダウン形式で選択できるようになっている。
図28では、修繕業者が修繕の見積もり内容を入力した状態を表しており、これらの入力データは、賃貸借管理装置10に修繕請求データとして送信され、修繕情報データベース124に登録されるることになる(図7参照)。
なお、例えば修繕業者(或いは貸主)がメールアドレスを有しないような場合には、図示しないプリンタを制御して、修繕業者(或いは貸主)の住所及び修繕請求シートの内容を封筒及び定型用紙に印字する処理を行っても良い。
ステップS63で、CPU11は、送受信部15の受信信号(修繕請求シートが返送される場合)及び操作入力部13からの入力信号(修繕請求シート(紙面)が郵送されてシステム管理者が手入力する場合)を監視して、修繕業者(或いは貸主)からの修繕請求データを受信するまで待機状態となり、該データを受信する(ステップS63でYes)と、ステップS64に移行する。
ステップS64で、CPU11は、ステップS54で契約対象情報データベース123の「確定借主申告原状回復」欄に登録された借主申告データ(差分値のデータ)と、物件データベース121に登録された当該家屋についての物件データと、部材マスタファイル127(図10)に登録された部材単価データと、修繕請求データとを比較して、貸主に確認すべき確認項目を抽出してCPU11の内部メモリ等に一時記憶した後に、ステップS65に移行する。
すなわち、貸主が行った査定及び修繕業者への修繕等の依頼については、原状回復のための修繕等のみならず、次の入居者の募集を有利にするための(原状回復の範囲を越えた)リフォームのための修繕等も含まれている場合があるため、ステップS64の処理を行うことによって、原状回復のための修繕等に当たらない修繕項目及び修繕費用が抽出でき、抽出した項目及び費用について貸主に確認することが可能となる。
続くステップS65で、CPU11は、上述した借主申告データ(差分値のデータ)と、修繕請求データとを比較して、修繕項目及び修繕程度についての借主と貸主との差分を抽出して、ステップS66に移行する。
ステップS66で、CPU11は、借主申告データ(差分値のデータ)と、ステップS64、ステップS65で抽出したデータとを含めた借主申告・貸主請求対比表を出力した後に、ステップS67に移行する。図29に、この借主申告・貸主請求対比表を賃貸借管理装置10の表示部14で出力した状態を示す。ここで、第三者機関は、出力した借主申告・貸主請求対比表や、査定基準マスタファイル126の登録内容等に基づいて、各修繕部材についての単価チェックを行うことになる。
ステップS67で、CPU11は、システム管理者により操作される操作入力部13の入力信号を監視して、家屋の原状回復に関する上記各値について修正しない(すなわち確定する)か否かの判定を行い、Yesすなわち確定するとの判定の場合にはステップS68に移行し、Noすなわち上述した単価チェックに基づく修正を行うとの判定の場合にはステップS69に移行する。
ステップS69では、CPU11は、原状回復に関する各値について修正するための入力画面を表示して、システム管理者等に対して操作入力部13の操作によりいずれかの修繕項目の原状回復費用についての修正値の入力を促して、最終的に修正しない(確定する)との判定をした場合(ステップS67でYes)には、ステップS68に移行する。
図30に、ステップS69で表示される修正値の入力画面の一例を示す。図30では、「確定原状回復費用」欄に、上述した単価チェックに基づく修正値が入力された状態を示している。また、図30の「確定度数」欄は、この修正値に対して、第三者機関が負担すべき度合いを決めるためのものであり、システム管理者等が操作入力部13を操作してこの度数を変更すると、「補償負担割合」欄のパーセントが、査定基準マスタファイル126(図9)の登録情報に基づいて変更されるようになっている。このときCPU11は、各修繕項目について、「確定原状回復費用」の額に「補償負担割合」のパーセントを乗算して、その値を「補償負担額」の欄に表示するように、表示部14を制御する。
そして、第三者機関は、図30の修正値入力画面に表示された「補償負担額」について、貸主との間で適宜協議、交渉を行い、最終的に合意に達したところで、この修正値入力画面の入力値を確定するように操作入力部13を操作する。
しかして、ステップS68で、CPU11は、図30の各入力値、すなわち原状回復に関する各修繕項目の内容を確定して、確定した各入力値を契約対象情報データベース123の「確定原状回復項目・費用」欄と「確定原状回復度数(補償負担)」欄と、「確定原状回復費用(補償金額)」欄(図6参照)と、修繕情報データベース124の「確定貸主申告原状回復金額」欄(図7参照)とに登録して、ステップS70に移行する。
ステップS70で、CPU11は、掛捨補償料の平均支払回数についての算出・登録(更新)処理を行うことで、借主データベース120及び補償情報ファイル128の「平均支払回数」欄を更新する。
また、ステップS71で、CPU11は、確定原状回復費用(補償金額)の加重平均m2単価についての算出・登録(更新)処理を行うことで、借主データベース120及び補償情報ファイル128の「加重平均m2単価」欄を更新する。
さらに、ステップS72で、CPU11は、補償情報ファイル128の「受け取り補償料総額(年)」、「受け取り補償料総額(累積)」、「支払い補償金総額(年)」、「支払い補償金総額(累積)」、の各欄に、今回の案件についての各値(すなわち受け取り補償料及び支払い補償金の額)を加算し、かつ、「受け取り補償回数(年)」及び「受け取り補償回数(累積)」の各欄の値に1を加算するようにHDD12を制御して、処理を終了する。
すなわち、ステップS70及びステップS71において、賃貸借管理装置10のCPU11は、実行補償料の算出基準値としての、補償料支払い回数の平均値と、原状回復費用のm2単価の加重平均値とを算出して、各算出値を次回基準値として更新登録する処理を行う。
以下、これらステップS70及びステップS71の処理の詳細について、図31及び図32の各サブルーチン、及び図33に示す一具体例を参照して説明する。
まず、図31のフローチャートを参照して、ステップS70のサブルーチン、すなわち、掛捨補償料の平均支払回数の更新処理の詳細について説明する。
ステップS7001で、CPU11は、契約対象情報データベース123の登録情報から、当該案件についての掛捨補償料の支払い回数の値を算出して、内部メモリに一時記憶する。ここで、掛捨補償料の支払い回数については、契約対象情報データベース123の「契約開始日」欄の登録情報と「契約終了日」欄の登録情報とから求めることが可能であり、図6の登録例では5回となる。
次に、CPU11は、借主データベース120の個人情報を参照して、当該借主個人について、過去に敷金代替役務を利用した実績があるか否かについて判定し(ステップS7002)、Noすなわち実績がない場合にはステップS7003に移行し、Yesすなわち実績がある場合にはステップS7004に移行する。
詳細には、ステップS7002において、CPU11は、契約対象情報データベース123の「入居者コード」欄に登録された個人IDに対応する借主データベース120の個人情報における「敷金代替役務利用回数」欄の値が2以上であるか否かを判定して、2以上であればステップS7004に移行し、1であればステップS7003に移行する。
ステップS7003において、CPU11は、ステップS7001で算出した掛捨補償料の支払い回数の値を、次回の実行補償料の算出要素(すなわち次回基準値)として、(契約対象情報データベース123の「入居者コード」欄に登録された個人IDに対応する)借主データベース120の個人情報の「平均支払回数」欄に登録し、かつ、該欄の下位に個別の「支払い回数1」欄を新たに設定し(図3参照)、ステップS7001で算出した掛捨補償料の支払い回数の値を「支払い回数1」欄に登録するように、HDD12を制御して、ステップS7005に移行する。
一方、ステップS7004において、CPU11は、ステップS7001で算出した掛捨補償料の支払い回数の値を、当該個人の過去の掛捨補償料の支払い回数に累積加算して平均支払回数の値を算出し、かかる算出値を、次回の実行補償料の算出基準値(次回基準値)として、(契約対象情報データベース123の「入居者コード」欄に登録された個人IDに対応する)借主データベース120の個人情報の「平均支払回数」欄に更新登録するように、HDD12を制御して、ステップS7005に移行する。
詳細には、ステップS7004において、CPU11は、借主データベース120の「平均支払回数」欄内の各支払回数(「支払回数1」〜「支払回数n」)欄(図3参照)の次に、新たな支払回数(「支払回数(n+1)」)欄を生成して、この欄内にステップS7001で算出した掛捨補償料の支払い回数の値(すなわち当該案件における実績値)を登録するとともに、各欄(すなわち「支払回数1」〜「支払回数(n+1)」欄)の登録値を全て加算し、該加算値を(n+1)で除算することで、支払回数の平均値を算出し、かかる算出値を「平均支払回数」欄に登録することで、「平均支払回数」欄を更新する。
本実施の形態では、かかるステップS7003又は7004の処理を行うことにより、次回の敷金代替役務利用時に当該個人の名義で契約した場合に、該値が掛捨補償料の算出基準値として用いられることになる(ステップS198,ステップS203,ステップS2013等参照)。
ステップS7005において、CPU11は、契約対象情報データベース123の「契約名義コード」欄を参照して、当該案件の契約名義が法人か否かについて判定し、Yesすなわち法人と判定した場合にはステップS7006に移行し、Noすなわち契約名義が個人と判定した場合には、当該個人が所属する法人についての次回基準値の処理を行う必要なしとして、ステップS7009に移行する。
ステップS7006で、CPU11は、借主データベース120を参照して、当該法人について、過去に敷金代替役務を利用した実績があるか否かについて判定し、Noすなわち実績がない場合にはステップS7007に移行し、Yesすなわち実績がある場合にはステップS7008に移行する。
詳細には、ステップS7006において、CPU11は、契約対象情報データベース123の「契約名義コード」欄に登録された法人IDに対応する借主データベース120の法人情報における「敷金代替役務利用回数」欄の値が2以上であるか否かを判定して、2以上であればステップS7008に移行し、1であればステップS7007に移行する。
ステップS7007において、CPU11は、ステップS7001で算出した掛捨補償料の支払い回数の値を、次回の実行補償料の算出基準値(次回基準値)として、(契約対象情報データベース123の「契約名義コード」欄に登録された法人IDに対応する)借主データベース120の法人情報の「平均支払回数」欄に登録し、かつ、該欄の下位に個別の「支払い回数1」欄を新たに設定し(図3参照)、ステップS7001で算出した掛捨補償料の支払い回数の値を「支払い回数1」欄に登録するように、HDD12を制御して、ステップS7009に移行する。
一方、ステップS7008において、CPU11は、ステップS7001で算出した掛捨補償料の支払い回数の値を、当該法人の過去の掛捨補償料の支払い回数に累積加算して支払回数の平均値を算出し、かかる算出値を、次回の実行補償料の算出基準値(次回基準値)として、(契約対象情報データベース123の「契約名義コード」欄に登録された法人IDに対応する)借主データベース120の法人情報の「平均支払回数」欄に更新登録するように、HDD12を制御して、ステップS7009に移行する。
なお、ステップS7008の処理の詳細については、上述したステップS7004の場合と同様であり、説明を省略する。
本実施の形態では、かかるステップS7007又は7008の処理を行うことにより、次回の敷金代替役務利用時に当該法人名義で契約した者に対しては、該値が掛捨補償料の実行値についての算出基準値として用いられることになる(ステップS198,ステップS201,ステップS2013等参照)。
さらに、ステップS7009において、CPU11は、ステップS7001で算出した当該案件についての掛捨補償料の支払い回数の値を、当該案件を除く過去の全ての契約終了案件の掛捨補償料の支払い回数に累積加算して、一案件についての支払い回数の平均値を算出する。なお、この処理は、借主データベース120の各個人情報に登録された各「支払い回数」欄の登録値を用いて算出することが可能である。
そして、次のステップS7010で、CPUは、該算出値(すなわち敷金代替役務の全体運用における掛捨補償料の平均支払回数)を、次回の実行補償料の算出基準値(次回基準値)として、補償情報ファイル128の「平均支払回数(全体)」欄(図11参照)に更新登録するように、HDD12を制御して、一連の処理を終える。
本実施の形態では、かかるステップS7009及びステップS7010の処理を行うことにより、これ以降の敷金代替役務利用者が、該役務利用実績の無い契約名義者(法人又は個人)で契約した場合に、補償情報ファイル128の「平均支払回数(全体)」欄における登録値が掛捨補償料の実行値についての算出基準値として用いられることになる(ステップS198又はステップS200でNo,ステップS202,ステップS2023等参照)。
本実施の形態では、上述したステップS7001〜ステップS7010の一連の処理を行うことで、敷金代替役務の利用実績の有無及び契約名義等に応じた適切な処理が行われ、かつ、当該案件の個人及び契約名義者さらには各契約終了案件全体の、過去の掛捨補償料の支払い回数(実績値)に基づく平均値が、次回の実行補償料の算出基準値(次回基準値)として更新登録されることになる。
なお、本実施の形態では、上述したステップS7004,ステップS7008,ステップS7010で登録する平均支払回数(次回基準値)の値を、それぞれ小数点以下を切り上げた整数値にして「平均支払回数」欄に登録しているが(図33のB欄及びH欄参照)、他にも例えば、小数点以下を切り捨てた整数値にして登録したり、小数点以下を四捨五入した整数値にして登録したり、さらには小数点以下を残したまま次回基準値として登録する、等であっても良い。
次に、図32のフローチャート等を参照して、ステップS71のサブルーチン、すなわち、加重平均m2単価の更新処理の詳細について説明する。
ステップS7101で、CPU11は、契約対象情報データベース123に登録された当該案件についての確定原状回復費用(すなわち貸主への支払い補償金額)と、物件データベース121に登録された当該案件についての専有面積のデータとを抽出して、内部メモリに一時記憶する(図33のA欄及びD欄参照)。
続くステップS7102で、CPU11は、前ステップで抽出した確定原状回復費用を当該物件の専有面積(m2)で除算することで、当該物件についての原状回復m2単価を算出する(図33のE欄参照)。
次に、CPU11は、借主データベース120の個人情報を参照して、当該借主個人について、過去に敷金代替役務を利用した実績があるか否かについて判定し(ステップS7103)、Noすなわち実績がない場合にはステップS7104に移行し、Yesすなわち実績がある場合にはステップS7105に移行する。なお、このステップS7103の判定処理の詳細については、上述したステップS7002と同様であるが、他にも、ステップS7002の判定結果を内部メモリに一時記憶しておいて、ステップS7103の判定で用いることとしても良い。
ステップS7104において、CPU11は、ステップS7102で算出した理論値としての個別の原状回復m2単価を、次回の実行補償料を算出するための基準値(すなわち次回基準値)として、(契約対象情報データベース123の「入居者コード」欄に登録された個人IDに対応する)借主データベース120の個人情報の「加重平均m2単価」欄に登録し(図33のF欄の「2857」参照)、かつ、該欄の下位に個別の「m2単価1」欄を新たに設定し(図3参照)、ステップS7102で算出した原状回復m2単価(理論値)の値を「m2単価1」欄に登録するように、HDD12を制御して、ステップS7106に移行する。
一方、ステップS7105において、CPU11は、ステップS7102で算出した理論値としての個別の原状回復m2単価を当該個人の過去の個別の原状回復m2単価(すなわち各理論値)に累積加算して、加重平均値を算出し、かかる算出値(加重平均m2単価)を、次回の実行補償料の算出基準値(次回基準値)として、(契約対象情報データベース123の「入居者コード」欄に登録された個人IDに対応する)借主データベース120の個人情報の「加重平均m2単価」欄に更新登録する(図33のF欄における「2429」以下参照)ように、HDD12を制御して、ステップS7106に移行する。
詳細には、ステップS7105において、CPU11は、借主データベース120の「加重平均m2単価」欄内の各m2単価(「m2単価1」〜「m2単価n」)欄(図3参照)の次に、新たなm2単価(「m2単価(n+1)」)欄を生成して、この欄内にステップS7102で算出した原状回復m2単価(すなわち当該案件における理論値)を登録するとともに、各欄(すなわち「m2単価1」〜「m2単価(n+1)」欄)の登録値を全て加算し、該加算値を(n+1)で除算することで、m2単価の加重平均値を算出し、かかる算出値を「加重平均m2単価」欄に登録することで、「加重平均m2単価」欄を更新する。
本実施の形態では、かかるステップS7104又は7105の処理を行うことにより、次回の敷金代替役務利用時に当該個人の名義で契約した場合に、該値が掛捨補償料の値についての算出基準値として用いられることになる(ステップS198,ステップS203,ステップS2012等参照)。
ステップS7106において、CPU11は、当該案件の契約名義が法人か否かについて判定し、Yesすなわち法人と判定した場合にはステップS7107に移行し、Noすなわち契約名義が個人と判定した場合には、当該個人が所属する法人についての次回基準値の処理を行う必要なしとして、ステップS7110に移行する。
ステップS7107で、CPU11は、借主データベース120を参照して、当該法人について、過去に敷金代替役務を利用した実績があるか否かについて判定し、Noすなわち実績がない場合にはステップS7108に移行し、Yesすなわち実績がある場合にはステップS7109に移行する。
なお、ステップS7106及びステップS7107の判定処理の詳細については上述したステップS7005及びステップS7006と同様であるが、他にも、ステップS7005及びステップS7006の判定結果のデータを内部メモリに一時記憶しておいて、該データをステップS7106及びステップS7107の判定で用いることとしても良い。
ステップS7108において、CPU11は、ステップS7102で算出した理論値としての個別の原状回復m2単価を、次回の実行補償料の値(利率及び額)を算出するための基準値(すなわち次回基準値)として、(契約対象情報データベース123の「契約名義コード」欄に登録された法人IDに対応する)借主データベース120の法人情報の「加重平均m2単価」欄に登録し(図33のF欄の「2857」参照)、かつ、該欄の下位に個別の「m2単価1」欄を新たに設定し(図3参照)、ステップS7102で算出した原状回復m2単価(理論値)の値を「m2単価1」欄に登録するように、HDD12を制御して、ステップS7110に移行する。
一方、ステップS7109において、CPU11は、ステップS7102で算出した理論値としての個別の原状回復m2単価を当該法人の過去の個別の原状回復m2単価(各理論値)に累積加算して、加重平均値を算出し、かかる算出値(加重平均m2単価)を、次回の実行補償料の算出基準値(次回基準値)として、(契約対象情報データベース123の「契約名義コード」欄に登録された法人IDに対応する)借主データベース120の法人情報の「加重平均m2単価」欄に更新登録する(図33のF欄における「2429」以下参照)ように、HDD12を制御して、ステップS7110に移行する。
なお、ステップS7109の処理の詳細については、上述したステップS7105の場合と同様であり、説明を省略する。
本実施の形態では、かかるステップS7108又は7109の処理を行うことにより、次回の敷金代替役務利用時に当該法人名義で契約した者に対しては、該値が掛捨補償料の値についての算出基準値として用いられることになる(ステップS198,ステップS201,ステップS2012等参照)。
さらに、ステップS7110において、CPU11は、ステップS7102で算出した理論値としての個別の原状回復m2単価を、当該案件を除く過去の全ての契約終了案件の各原状回復m2単価(各理論値)に累積加算して、加重平均値を算出する。なお、この処理は、借主データベース120の各個人情報に登録された各「m2単価」欄の登録値を用いて算出することが可能である。
そして、次のステップS7111で、CPU11は、該算出値(すなわち敷金代替役務の全体運用における原状回復m2単価の加重平均値)を、次回の実行補償料の算出基準値(次回基準値)として、補償情報ファイル128の「加重平均m2単価(全体)」欄(図11参照)に更新登録するように、HDD12を制御して、一連の処理を終える。
本実施の形態では、かかるステップS7110及びステップS7111の処理を行うことにより、これ以降の敷金代替役務利用者が、該役務利用実績の無い契約名義者(法人又は個人)で契約した場合に、補償情報ファイル128の「加重平均m2単価(全体)」欄における登録値が掛捨補償料の実行値についての算出基準値として用いられることになる(ステップS198又はステップS200でNo,ステップS202,ステップS2022等参照)。
本実施の形態では、上述したステップS7101〜ステップS7111の一連の処理を行うことで、敷金代替役務の利用実績の有無及び契約名義等に応じた適切な処理が行われ、かつ、当該案件の個人及び契約名義者さらには各契約終了案件全体の、過去の個別の原状回復m2単価(理論値)に基づく加重平均値が、次回の実行補償料の算出基準値(次回基準値)として更新登録されることになる。
図33に、本システムにおいて敷金代替役務の利用毎に推移する補償料の実行料率等の各値の推移の一例を示す。また、図34には、本システムと比較するために、広さ情報を用いずに掛捨補償料の実行値(実行料率)を算出した算出例を示す。
ここで、図33と図34の各例は、同一人がそれぞれ敷金代替役務を10回利用した場合の仮想事例であり、かつ、各利用時における家賃額(C欄)、入居年数すなわち掛捨補償料の支払い回数(B欄)、貸主に支払った原状回復費用額(A欄)がそれぞれ同一であったと仮定した場合を比較して示している。
なお、図34に示す他の例では、次回の実行料率を、「過去の各理論補償料率(すなわち本来あるべき補償料率)の加重平均値」により算出しており、個々の理論補償料率については、A/B/Cの式、すなわち貸主に支払われた補償金額Aを掛捨補償料の支払回数Bで除算し、該除算値をさらに月額家賃額Cで除した値を用いている。また、図34に示す他の例では、本システムと対比するため、掛捨補償料の実行料率の初期値を(月額家賃の)37%としている。
さらに、図35のグラフは、図33と図34の各例における補償料の実行料率の振れ幅の推移を対比して示すものである。
図33乃至図35の各表から分かるように、賃貸家屋の広さ(専有面積)と掛捨補償料の支払回数の平均値とを算出基準値として使用した本システムによれば、これを使用しない他のシステムと比較して、借主が現実に入居する物件の特性(すなわち広さ)に基づいたより妥当な掛捨補償料の実行値を算出して借主に提示することが可能となる。また、本システムによれば、掛捨補償料の実行値の更新時(すなわち敷金代替役務の次回利用時)における該実行料率の振れ幅(上下動のぶれ幅)をより小さくすることが可能となる。以下、これらの理由について説明する。
図33の表に示すように、貸主への支払補償金すなわち確定した原状回復費用額(A欄の値)と、賃貸家屋の広さ(専有面積、D欄の値)とは、概ね比例的な関係を有していることが分かる。
したがって、賃貸家屋の広さ(専有面積)を要素として算出した原状回復費用の予測値(G欄の値)は、貸主への支払補償金の額(A欄の値)に対して、多少の誤差は生じるものの、概ね妥当な値が算出されることになる。
これに対して、賃貸家屋の広さ(専有面積)を要素とせずに掛捨補償料の実行値を算出する他の処理例(図34参照)では、該実行値の算出に当たって、「今回の契約案件の特性に基づく予測」という側面がなく、いわば過去の実績のみに依存した算出手法となる。
従って、例えば専有面積が60m2と比較的広い賃貸家屋に入居した2回目の利用時には、本システムでは契約案件の広さに基づいて比較的高めの実行料率(39.0%)が算出される(図33参照)のに対して、当該他の処理例では、前回までの実績のみに依存した低い実行料率(30.0%)が算出されてしまい(図34参照)、このため当該案件の実行料率と個別理論料率(42.9%)とが大きく乖離する結果となっている。逆に、例えば専有面積が28m2と比較的狭い賃貸家屋に入居した3回目の利用時には、本システムでは契約案件の広さに基づいて前回よりも低い実行料率(36.0%)が算出される(図33参照)のに対して、当該他の処理例では、前回までの実績のみに依存した実行料率として、前回よりも高い実行料率(37.0%)が算出されてしまい(図34参照)、この結果、実行料率の更新時におけるぶれ幅が大きくなり、該ぶれが収まりにくい(図35参照)という難点が生じる。
このような相違から、現実の契約案件の特性(広さ)を反映した掛捨補償料の実行値を算出する本システムによれば、より妥当な掛捨補償料の実行値を算出して借主に提示することが可能となり、この結果、過去の実績のみに依存した算出処理を行う他のシステムと比較して、掛捨補償料の実行値の更新時(すなわち敷金代替役務の次回利用時)に、該値の上下動のぶれ幅が少なくなる(図35参照)ので、敷金代替役務を利用する借主に安心感を与え、取引の安定化、明確化を推進することが可能となる。
一方で、本システムにおいては、借主の賃貸家屋への居住期間によっては、第三者機関が実際に借主から受領した補償料(「受け取り補償料」欄参照)が、上述した原状回復費用の予測値(G欄の値)に対して大きく乖離するケースが発生し得るため(図33における敷金代替役務の2回目、5回目、6回目、9回目の利用時の欄参照)、このようなケースにも対応すべく、掛捨補償料の実行値の算出にあたり、上述のように、当該借主が過去に支払った掛捨補償料の支払い回数の平均値を算出基準値として用いている。これにより、本システムで算出される掛捨補償料の実行値は、「掛捨補償料の支払回数の過去の実績」が反映されることになり、かかる平均値が大きくなるほど、換言すると一の賃貸家屋に長期間居住するケースが多い借主ほど、掛捨補償料の実行値(利率及び額)が下がることとなる。
なお、本システムにおいては、居住態度が良好な借主については個別m2単価(E欄)の額が相対的に安くなり、ひいては次回の実行基準値である加重平均m2単価(F欄)の値が低くなるので、この点からも、敷金代替役務を繰り返し利用している借主側の公平感等が担保されることになる。
以上のように、本システムによれば、契約案件の特性に基づいたより妥当な掛捨補償料の実行値を算出して借主に提示することができ、敷金代替役務の支援促進を図ることが可能となる。また、本システムによれば、掛捨補償料の実行値の更新時(敷金代替役務の次回利用時)における該実行値の上下動のぶれ幅をより小さくすることで、敷金代替役務の利用者に一層の安心感を与え、取引の安定化を図ることが可能となる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。すなわち、上述した実施の形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せに、さらにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
例えば、上述した実施の形態では、本発明の敷金代替役務支援プログラムにより賃貸借管理装置10をサーバとして機能させ、賃貸借管理装置10と借主側端末20とで通信網100を介したデータ通信を行う場合について説明したが、本システムは、借主側端末20を用いずに賃貸借管理装置10のみで処理を完結させることも可能であり、この場合には、通信網100経由で賃貸借管理装置10のHDD12に記録する各データを、システム管理者等が適宜操作入力部13を操作して入力すれば良い。
また、上述した実施の形態では、従来型の契約と敷金代替役務利用とを選択できるシステムを構築した例について説明したが、敷金代替役務利用のみ行えるシステムとしても良いことは勿論であり、この場合には処理ルーチンやデータベース構造がより簡素となる。
さらには、上述した実施の形態では、敷金代替役務を初めて利用する借主の場合には、補償情報ファイル128の「平均支払回数(全体)」欄及び「加重平均m2単価(全体)」欄の各登録値を算出基準値として使用する構成としたが、敷金代替役務を初めて利用する借主に対しては、例えば予め定めた固定値(一例としては、上述した「4(回)」及び「3500(円/m2)」)を算出基準値として使用する構成としても良い。