JP7368816B1 - 冷却パン生地を用いたパンの製造システム - Google Patents
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Description
従来の方法とは別の方法で、焼成後のスライス面の気泡のきめ細かさ、ばらつきの少ない均一性、食感、風味を改善することが要望されている。
また、中種法による冷凍保存期間よりも柔軟に、本捏ねして分割後からホイロ(最終発酵)完了までの(焼成する前段階まで)の期間をコントロールすることが要望されている。
また、本捏ねして分割後からホイロ(最終発酵)完了までの(焼成する前段階まで)の期間(例えば、12時間から72時間)をコントロールできる、冷却パン生地を用いるパンの製造システムを提供する。
本開示の冷却パン生地を用いるパンの製造システムは、
前処理種分(酵母とモルトと水)を予備捏ねする前処理工程に使用される捏ね装置あるいは手動捏ねに使用される器具と、
前記前処理工程で得られた前処理種分を所定期間(例えば、24℃で10分から20分)、予備発酵する予備発酵工程に使用される予備発酵装置と、
前記前処理種分と、少なくとも小麦粉と食塩(および製パン安定剤)とを含む本捏ね成分と、水とを本捏ね(例えば、24℃でL6M4=低速6分中速4分混捏する、L6M6)する本捏ね工程に使用される捏ね装置あるいは手動捏ねに使用される器具と、
前記本捏ね工程で得られた生地(あるいは本捏ね工程後で一次発酵工程後の生地)を所定の量に分割する分割工程に使用される分割装置あるいは手動で分割するための器具と、
前記分割工程で得られた分割パン生地(必要に応じで容器に収納した状態の分割パン生地)を、所定の温度範囲(-35℃から-25℃の範囲のうちの任意の一定冷却温度、好ましくは-32℃から-28℃の範囲の内の任意の一定冷却温度)で、分割パン生地の中心部(実質的に中心近傍箇所を含む)の温度が10℃以下(上限は好ましくは6℃以下、より好ましくは5℃以下、下限は-5℃以上、-3℃以上、-1℃以上、0℃以上になるまで)で急速冷却(例えば、15分から50分で急速冷却)する急速冷却工程に使用される急速冷却装置を1台あるいは2台以上と、
前記急速冷却工程で得られた冷却分割パン生地(必要に応じで容器に収納した状態の冷却分割パン生地)を、-6℃から5℃の温度範囲(好ましくは一定温度、パーシャル温度(-1℃から-3℃))で、冷却分割パン生地を所定期間(例えば、12時間以上~30日以内)保存する冷却分割パン生地保存工程に使用される冷凍・冷蔵保存装置を1台あるいは2台以上と、を備えていてもよい。
製造システムは、急速冷却機能と一定温度における保存機能を備える装置(A:ブラストフリーザー)と、急速冷却機能を備える装置(A0)と、一定温度における保存機能を備える装置(B0)とをそれぞれ1以上備えていてもよい。
前記冷凍・冷蔵保存装置(B1:ドーコン)は、段階的な温度設定モードを有し、例えば、-10℃から+5℃の範囲の任意の温度で冷蔵保存する第三冷蔵保存モードと、冷蔵機能を停止して常温(室温)へ自然解凍する自然解凍モードと、5℃から15℃の範囲の任意の温度で解凍する第三低温解凍モードとを有していてもよい。装置(B1)は、手動あるいはタイマーや電子制御機器などによる自動制御で各モードを単独で運転、あるいは2種以上のモードを切り替えて運転する運転設定部を有していてもよい。
分割パン生地を、仮にゆっくり冷却するとイーストの作用により不均一な気泡やなし肌を生じる原因になるので好ましくない。
本開示の急速冷却工程では、分割パン生地を急速冷却することでイーストの作用を極力抑えることができ、冷却分割パン生地保存工程へ移行できる。一方で、分割パン生地の中心部までパン生地を完全に凍結(固く冷凍された状態)すると、パン生地の解凍に時間が掛かかる。本開示の急速冷却工程では、パン生地の中心部まで凍結することなく、パン生地を手で押して弾力感を残している。冷却分割パン生地での保存期間に応じて、イーストの作用を少なくすることが好ましい。1日から15日程度の保存期間であれば、普通用イーストを使用して、急速冷却工程で、パン生地の中心部温度を5℃以下3℃以上、好ましくは5℃にして、15日以上の保存期間(例えば20~30日)であれば、冷凍用イーストを使用して、急速冷却工程でパン生地の中心部温度を2℃以下-1℃以上、好ましくは0℃にしてもよい。
2以上の分割パン生地のすべての中心温度を測定してもよく、予め設定された測定サンプル数(1つ以上5つ以下など)に対応して測定してもよい。
前記製造システムは、
前記本捏ね工程後で一次発酵工程に使用される発酵装置を1台あるいは2台以上と、
パンチ工程に使用されるパンチ装置あるいは手動捏ねに使用される器具とを備えていてもよい。
分割工程前に行われる、全成分を仮捏ねする仮捏ね工程に使用される捏ね装置と、
仮捏ねした生地を所定期間(例えば、12時間から72時間)保存する冷蔵(チルド温度)保存するチルド保存工程に使用されるチルド保存装置とを備えていてもよい。
前記製造システムは、
前記チルド保存工程で保存されていた仮捏ね生地を本捏ねする本捏ね工程に使用される本捏ね装置あるいは手動で捏ねるための器具を備えていてもよい。
分割工程および分割装置は、前記本捏ね工程で得られた生地(あるいは本捏ね工程後で一次発酵工程後の生地)を所定の量に分割してもよい。
仮捏ね工程の後で保存工程はなく、本捏ね工程を行ってもよい。
前記本捏ね工程と分割工程の間に、前記本捏ね工程で得られた生地を所定期間(例えば、24℃で10分から20分)、一次発酵する一次発酵工程を含んでいてもよい。一次発酵工程において一次発酵中にパンチ工程を含んでいてもよい。
冷却分割パン生地(冷却分割パン生地保存工程で保存されていたパン生地)を、常温常湿下(例えば、15℃~25℃、相対湿度45~80%)で、パン生地の中心部温度が所定温度(例えば、8℃~10℃)になるまで温度制御する常温戻し工程に使用される自然解凍装置を1台あるいは2台以上、あるいは常温戻しに使用される器具と、
前記常温戻し工程で得られたパン生地を成型する成型工程に使用される成型装置あるいは手動で成型する際に使用される器具を備えていてもよい。
前記成型工程の後で、少なくとも3段階の温度および期間を設定してホイロ発酵(最終発酵)を行う多段式ホイロ発酵工程(例えば、-2℃から38℃の間で3ステップ以上での発酵工程)に使用される多段式ホイロ発酵装置を1台あるいは2台以上と、
前記多段式ホイロ発酵工程で得られたパン生地(必要に応じで容器に収納した状態のパン生地)を、焼成する焼成工程に使用される焼成装置を1台あるいは2台以上と、
を備えていてもよい。
前記冷凍・冷蔵保存装置と前記多段式ホイロ発酵装置は、1台で構成されており、一定温度における保存機能と多段式ホイロ発酵機能を備えていてもよい。
製造システムは、一定温度における保存機能と多段式ホイロ発酵機能を備える装置(B:フリーザーリターダー)と、急速冷却機能を備える装置(A0)と、一定温度における保存機能を備える装置(B0)と、多段式ホイロ発酵装置(C0)をそれぞれ1以上有していてもよい。
製造システムは、急速冷却機能と一定温度における保存機能と多段式ホイロ発酵機能を備える装置(C)と、急速冷却機能を備える装置(A0)と、一定温度における保存機能を備える装置(B0)と、多段式ホイロ発酵装置(C0)をそれぞれ1以上有していてもよい。
2以上の分割パン生地のすべての中心温度を測定してもよく、予め設定された測定サンプル数(1つ以上5つ以下など)に対応して測定してもよい。
焼成工程を開始する時刻から逆算して少なくとも3時間以上の期間を要していてもよい。
第一段階において、-2℃以上5℃以下の範囲で2時間から12時間、
第二段階において、6℃以上15℃以下の範囲で0.5時間から2時間、
第三段階において、16℃以上から25℃以下の範囲で0.5時間から2時間、
第四段階において、26℃以上から35℃以下の範囲で0.5時間から2時間、
を含んでいてもよい。
前記段階的ホイロ発酵工程は、第三段階の替わりに、あるいは追加で、
第五段階において、37℃~38℃で0.5時間から2時間を含んでいてもよい。
前記段階的ホイロ発酵工程は、
焼成工程を開始する時刻から逆算して少なくとも10時間、11時間、12時間、13時間、14時間または15時間以上の期間を要していてもよい。
第一実施例の冷却パン生地あるいはパン生地組成物は、
前処理種分の一種として、0.25~0.55質量%の酵母(例えば、パン酵母、イースト)と、
前処理種分の一種として、0.15~0.45質量%のモルト(発芽させた大麦)と、
前処理種分の一種として、1~3質量%の35℃~42℃の水と、
本捏ね成分の一種として、小麦粉と、
本捏ね成分の一種として、食塩と、
本捏ね成分の一種として、製パン安定剤と、
本捏ね成分の一種として、水と、
を有し、
全配合量が170質量%に対し、前記小麦粉が99~101質量%、前記前処理種分が2.4~3.0質量%、前記食塩が1.8~2.4質量%、前記製パン安定剤が0.07~0.13質量%、前記水が67.7~68.3質量%であってもよい。
「イースト」は、例えば、生イースト、ドライイースト、インスタントドライイースト、普通用イースト、冷凍用イーストなどが挙げられる。冷凍用イーストを使用することで、<5℃までイースト菌の働きを制限することができ(つまり、5℃未満で長期保存が可能となる)、普通用イーストを使用することで<0℃までイースト菌の動きを制限できる(つまり、0℃未満で保存が可能となる)。
「小麦粉」は、例えば、強力粉、準強力粉(リスドオル(日清製粉製))、中力粉、薄力粉などが挙げられる。
「製パン安定剤」は、例えば、乳化剤、ビタミンC、BBJ(ルサッフル製)などが挙げられる。
「水」は、例えば、純水、精製水、水道水、天然水、アルカリイオン水などが挙げられる。
前処理種分の一種として、1.0~1.5質量%の酵母と、
前処理種分の一種として、0.5~0.7質量%のモルトと、
前処理種分の一種として、5~7質量%の35℃~42℃の水と、
本捏ね成分の一種として、小麦粉と、
本捏ね成分の一種として、食塩と、
本捏ね成分の一種として、製パン安定剤と、
本捏ね成分の一種として、コーンフラワーと、
本捏ね成分の一種として、胚芽と、
本捏ね成分の一種として、水と、
を有し、
全配合量が175.5質量%に対し、前記小麦粉が99~101質量%に対し、前記前処理種分が7.6~8.0質量%、前記食塩が2.0~2.4質量%、前記製パン安定剤が0.15~0.25質量%、前記コーンフラワーが0.15~0.25質量%、前記胚芽が0.05~0.15質量%、前記水が64.0~66.0質量%であってもよい。
第一、第二実施例の組成物に、さらに、
糖(砂糖、上白糖)、甘味料(例えば、トレハロース)、液糖(糖分50%)、ベーカリークリーム、加糖練乳、果汁酵素、バターの内1種以上が配合されていてもよい。
前記小麦粉の配合分の内で、薄力粉および/または小麦胚芽が含まれていてもよい。
小麦粉は、グルテニンとグリアジン(タンパク質)有する。
グルテニンやグリアジンが多く含まれている(=タンパク含有量の多い)小麦の方が、よくふくらむキメの細かいソフトなパンになり、少ないと、パリッとした食感ともちっとした食感を合わせ持つハード系のパンになる。
(1)焼成後のスライス面の気泡のきめ細かさ、ばらつきの少ない均一性、食感、風味を改善できる。
急速冷却によりイースト作用を抑制させ、かつパーシャル温度でのゆっくり発酵とイースト効果の抑制により、常温戻し工程の後のホイロ発酵した焼成、または、3ステップ以上の多段式温度での発酵コントロールした焼成でも同様の効果を発揮する。
(2)本捏ねして分割後からホイロ(最終発酵)完了までの(焼成する前段階まで)の期間をコントロールできる。
(3)焼成工程のタイミングに合わせて、冷却分割パン生地を長期保存できるため、パン生地をまとめて作っておける。
(4)冷却分割パン生地をホイロ発酵させるまでの期間をコントロールできる。
(5)ホイロ発酵工程を3ステップ以上の多段式温度での発酵コントロールをできることで、焼成工程のタイミングを柔軟に調整できる。
(6)装置1台で、急速冷却機能と、一定温度における保存機能を備える。
(7)装置1台で、一定温度における保存機能と、多段階ホイロ発酵機能を備える。
(8)装置1台で、急速冷却機能と、一定温度における保存機能と、多段階ホイロ発酵機能を備える。
(9)急速冷却機能と、一定温度における保存機能と、多段階ホイロ発酵機能を備える装置(C)と、一定温度における保存機能と、多段階ホイロ発酵機能を備える装置(B)と、急速冷却機能と、一定温度における保存機能を備える装置(A)と、急速冷却機能を備える装置(A0)と、一定温度における保存機能を備える装置(B0)と、多段階ホイロ発酵機能を備える装置(C0)とを、店舗要求に応じて、選択してシステム構成することで、一台の装置(A0、C)に対し、複数あるいは大型の装置(B0)を備えることで、長期保存期間が可能となり、急速冷却工程より前の工程を長期保存分まとめて実行できる。長期保存している間は、それら工程を行う必要がなく工程を集中的に行えるので作業効率を向上できる。
実施形態1では、ハードパンの一例としてフランスパンについて説明する。
フランスパンの配合組成物の一例を以下に示すが、これに制限されず、他の材料が配合されてもよい。
冷却パン生地の製造方法は、以下の工程を含む。
(S1)前処理工程
酵母(ドライイースト)とモルトと水を予備捏ねする。予備捏ねは、手捏ねでもよく、ミキサー(予備捏ね装置に相当する。)を用いて行ってもよい。
(S2)予備発酵工程
前処理工程で得られた前処理種分を所定期間(例えば、24℃で10分から20分)、予備発酵する。予備発酵は、発酵装置、ドウコンディショナーを用いて実現してもよい。
前処理配合分と、少なくとも強力粉(純強力粉を含む)と食塩と製パン安定剤とを含む本捏ね成分と、水とを本捏ねする。
例えば、ミキサー(本捏ね装置に相当する。)を用いて、24℃でL6M4(低速6分中速4分)、あるいはL6M6(低速6分中速6分)など本捏する。本捏ねする条件は、配合成分によっても異なる。ミキサーとともに、手捏ねをしてもよい。
本捏ね工程で得られた生地を所定期間(例えば、24℃で10分から20分)、一次発酵する。一次発酵は、発酵装置、ドウコンディショナーを用いて実現してもよい。
一次発酵工程において一次発酵中にパンチ工程を含む。パンチは、手作業、パンチング装置で実現してもよい。
一次発酵工程後の生地を所定の量に分割する。分割する量は、最終のパンの形状、サイズによって決定される。分割は、手作業、パンチング装置で実現してもよい。
分割工程において、分割した後で、ベンチタイム(例えば、30分から2時間など)をとってもよい。分割した後で、最終のパンの形状、サイズに合わせて成型する成型工程を含んでいてもよい。分割したパン生地は、容器に収容してもよい。成型は、手作業、成型装置で実現してもよい。
分割パン生地(あるいは容器に収納した状態の分割パン生地)を、-30℃から-20℃の温度範囲の急冷冷却装置(例えば、ブラストフリーザ、ブラストチラー)で、分割パン生地の中心部(実質的に中心近傍箇所を含む)の温度が-5℃以上6℃以下になるまで急速冷却(例えば、15分から50分で急速冷却)する。
冷却分割パン生地での保存期間に応じて、イースト菌の作用を少なくすることが好ましい。1日から15日程度の保存期間であれば、普通用イーストを使用して、急速冷却工程で、パン生地の中心部温度を5℃以下3℃以上にし、15日以上の保存期間(例えば20~30日)であれば、冷凍用イーストを使用して、急速冷却工程でパン生地の中心部温度を2℃以下-1℃以上にしてもよい。
冷却分割パン生地(あるいは容器に収納した状態の冷却分割パン生地)を、冷凍・冷蔵装置(例えば、パーシャル温度機能の冷蔵庫、ブラストフリーザ、ブラストチラー)で、冷却分割パン生地をパーシャル温度(-1℃から-3℃))で所定期間(12時間以上~30日以内)保存する。
保存期間は、焼成工程のタイミングに対応して設定される。
冷却分割パン生地保存工程で保存されていた冷却分割パン生地を、常温常湿下(例えば、15℃~25℃、相対湿度45~80%)で、パン生地の中心部温度が所定温度(例えば、8℃~10℃)になるまで温度制御する。室内あるいは恒温恒湿庫で実行されてもよい。常温戻し工程は、例えば、30分から50分である。
常温戻し工程で得られたパン生地を成型する。必要なパンの形状に成型する、あるいはパン生地を容器に収納する工程である。成型は、手作業、成型装置で実現してもよい。
一旦常温に戻すことで、パンの成型を行える。
成型工程の後で、少なくとも3段階の温度および期間を設定してホイロ発酵(最終発酵)を行う。多段式ホイロ発酵装置は、例えばリターダー、ドウコンディショナーなどを用いて、チルド(0℃)の状態にしてから段階的に温度を上げて、ホイロ発酵をコントロールする工程である。
前日の17時に段階的ホイロ工程を開始でき、翌日の9時に焼成工程をする例を示す。
第一段階:0℃で12時間
第二段階:10℃で1時間(40分から120分)
第二段階:20℃で1時間(40分から120分)
第三段階:30℃で1時間(40分から120分)
多段式ホイロ発酵工程で得られたパン生地(容器に収納した状態のパン生地)を、焼成する。例えば、オーブン(焼成装置に相当する。)で190℃~220℃で20分~30分で焼成する。
焼成の条件は、パンの種類に応じて設定される。
図1Bに別実施形態の製造工程を説明する。
冷却パン生地の製造方法は、以下の工程を含む。
(S1)前処理工程、(S2)予備発酵工程、(S3)本捏ね工程、(S4)一次発酵工程、(S5)分割工程、(S6)急速冷却工程、(S7)冷却分割パン生地保存工程、(S8)常温戻し工程、(S9)成型工程、は実施形態1と同じ工程である。
成型工程の後で、ホイロ発酵(最終発酵)を行う。例えば、リターダー、ドウコンディショナーなどを用いて、ホイロ発酵を行う工程である。食パンの場合は、例えば、38℃で40から60分のホイロ発酵を行う。フランスパンの場合は、例えば、30℃で40から60分のホイロ発酵を行う。
(S11)焼成工程
ホイロ発酵工程で得られたパン生地(容器に収納した状態のパン生地)を、焼成する。例えば、オーブン(焼成装置に相当する。)で190℃~220℃で20分~30分で焼成する。
焼成の条件は、パンの種類に応じて設定される。
図1Cにパンの製造システムの一例を説明する。
作業日Aにおいて、捏ね装置で本捏ね工程と、発酵装置で一次発酵工程と、複数の急速冷却装置で急速冷却工程とをそれぞれ行う。
保存期間Bにおいて、冷凍・冷蔵保存装置で所定期間(例えば、12時間から30日)保存する。ここで、急速冷却/冷凍・冷蔵保存装置は、2種類の装置機能を兼用する1台が設けられており、急速急冷後にそのまま保存することができる。
焼成前日(前々日)の作業Cにおいて、多段式ホイロ発酵装置で多段式ホイロ発酵工程を行う。ここで、冷凍・冷蔵保存/多段式ホイロ発酵装置は、2種類の装置機能を兼用する1台が設けられており、保存後にそのまま多段式ホイロ発酵を行うことができる。
焼成日の作業Dにおいて、ホイロ発酵後のパン生地を焼成装置で焼く。
実施形態1との違いは、多段式ホイロ発酵工程(食パン)である。
前日の17時に段階的ホイロ工程を開始でき、翌日の9時に焼成工程をする例を示す。
第一段階:0℃で12時間
第二段階:10℃で1時間(40分から120分)
第二段階:20℃で1時間(40分から120分)
第三段階:30℃で1時間(40分から120分)
第四段階:38℃で1時間(40分から120分)
実施形態2では、食パンの一例について説明する。
食パンの配合組成物の一例を以下に示すが、これに制限されず、他の材料が配合されてもよい。
実施例1は、図3の製造工程において前処理工程はなく、本捏ね工程から行う。
(S3)本捏ね工程
表3に記載の全成分をミキサーで捏ねる。
(S4)一次発酵工程
本捏ね工程で得られた生地を所定期間(例えば、24℃で10分から20分)、一次発酵する。一次発酵工程において一次発酵中にパンチ工程を含む。
(S5)分割工程
一次発酵工程後の生地を所定の量に分割する。分割した後で、ベンチタイム(例えば、30分から2時間など)をとってもよい。
分割パン生地を、-30℃で、急速冷却手段(例えば、急速冷却装置、ブラストチラー)で、分割パン生地の中心部(実質的に中心近傍箇所を含む)の温度が5℃になるまで急速冷却(例えば、30分から50分で急速冷却)する。
(S7)冷却分割パン生地保存工程
冷却分割パン生地を、-4℃で冷凍・冷蔵手段(例えば、パーシャル温度機能の冷蔵庫)で、冷却分割パン生地を所定期間(例えば、10日)保存する。
(S8)常温戻し工程
冷却分割パン生地保存工程で保存されていた冷却分割パン生地を、常温常湿下で、パン生地の中心部温度が所定温度(例えば、8℃~10℃)になるまで温度制御する。常温戻し工程は、例えば、30分から50分である。
(S9)
常温戻し工程で得られたパン生地を成型する。食パン容器に収納する。
容器に収納したパン生地を、段階的にホイロ発酵(最終発酵)をする。
第一段階:0℃で12時間
第二段階:10℃で1時間
第二段階:20℃で1時間
第三段階:30℃で1時間
第四段階:38℃で1時間
段階的ホイロ発酵工程(あるいはホイロ発酵工程)で得られたパン生地(成型容器に収納した状態のパン生地)を、焼成する。
表3に記載の全成分をミキサーで仮捏ねをする。
次いで、パン生地をチルド温度で12時間保存する。
翌日、本仕込として、パン生地を再度ミキサーで捏ねる。次いで、発酵させる。
その後に、焼成する。
実施例1では、空隙のサイズが細かく均一であり、ケービング(パンの側面または、上部がへこむ現象)がない。一方、比較例1では、空隙のサイズが大きいものが点在し、均一ではなく、ケービングがあった。
Claims (3)
- 冷却パン生地を用いるパンの製造システムであって、
本捏ね工程で得られた生地あるいは本捏ね工程後で一次発酵工程後の生地を所定の量に分割する分割工程で得られた分割パン生地を、-35℃から-25℃の温度範囲の任意の温度で、分割パン生地の中心部の温度が-5℃以上10℃以下になるまで急速冷却する急速冷却工程に使用される急速冷却装置を1台あるいは2台以上と、
前記急速冷却工程で得られた冷却分割パン生地を、-6℃から5℃の温度範囲で、冷却分割パン生地を所定期間保存する冷却分割パン生地保存工程に使用される冷凍・冷蔵保存装置を1台あるいは2台以上と、
前記保存した後の前記冷却分割パン生地をパン生地の中心部温度が8℃~10℃になるまで温度制御し、次いでパン生地を成型した後で、少なくとも3段階の温度および期間を設定してホイロ発酵を行う多段式ホイロ発酵装置を1台あるいは2台以上と、
前記多段式ホイロ発酵装置で発酵されたパン生地を焼成する焼成装置を1台あるいは2台以上と、
を備え、
前記急速冷却装置と前記冷凍・冷蔵保存装置は、同じ機能を有し、および/または、
前記冷凍・冷蔵保存装置と前記多段式ホイロ発酵装置は、同じ機能を有する、
ことを特徴とする、パンの製造システム。 - 多段式ホイロ発酵装置は、前記成型した後のパンを常温状態から-2℃以上5℃以下の範囲に低下させる第一段階と、その温度を超える段階的な温度におけるホイロ発酵を行う、請求項1に記載のパンの製造システム。
- フランスパン、ハード系パンあるいは食パン用に使用される、
請求項1に記載のパンの製造システム。
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