以下、図面を参照しながら本発明の実施形態1および実施形態2を詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態1および実施形態2のみに限定されない。なお、各図面は説明の便宜上誇張されて表現されている。したがって、各図面における各構成要素の寸法比率は実際とは異なる。また、図面において同一の要素には同一の符号を付し、明細書において重複する説明は省略する。
[実施形態1]
(レンジフードの機械系の構成)
図1は、実施形態1に係るレンジフードをキッチンに設置した場合の正面図である。また、図2は、実施形態1に係るレンジフードをキッチンに設置した場合の側面図である。
図1および図2に示すように、実施形態1のレンジフード100は、調理器200の上部に設置される。レンジフード100は調理器200の調理時に生じる臭い、煙、油などを含む臭気や油煙を吸い込み外部に排気する。例示している調理器200は、3つの熱源210(後述する3つの熱源210A、210B、210Cの総称)およびグリルの吹出口220を有する。なお、本明細書において、熱源とは、ガス用の調理器に対してはバーナーやバーナー付近にある五徳を、IH用の調理器に対してはヒーターを、それぞれ意味する。
レンジフード100は、その中央部より左側の前面側の下面に、調理器200の上方の温度を検知する温度センサ300を有する。温度センサ300は、図示点線で示される領域の温度を検知する。実施形態1で使用している温度センサ300は、たとえば、8×8の64個の画素を有しそれぞれの画素に対応する領域の温度を別々に検知できる複眼温度センサである。温度センサ300は、調理器200の上方の温度を64の領域に分けて検知でき、また、3つの熱源のそれぞれの温度を個別に検知できる。なお、実施形態1では、温度センサ300として複眼温度センサを用いているが、単眼温度センサを用いても良い。単眼温度センサを用いる場合、3つの熱源のそれぞれの温度を個別に検知できるように、それぞれの熱源に対応させて3つの単眼温度センサを設けることが好ましい。実際に装備する場合には、単眼温度センサよりも複眼温度センサの方が好ましい。複眼温度センサの検知精度は単眼温度センサの検知精度よりも良いからである。複眼温度センサを用いる場合、例示した8×8の64個の画素を有する複眼温度センサに限らず、さらに多くの画素を有する複眼温度センサを用いても良い。
レンジフード100は、その上部に排気部110を備えている。排気部110は、調理器200からの臭気や油煙を排気する。排気部110は、調理器200からの油煙を吸い込む吸気口112、屋外と連通する排気口114、吸気口112と排気口114とを結ぶ通路内に吸気口112から吸い込んだ油煙を排気させるファン116を備えている。ファン116はファンモータ117によって駆動される。吸気口112とファン116との間に、吸気口112から吸い込んだ油煙から油分を除去するために回転するフィルタ(ディスク)118を備えている。フィルタ118はフィルタモータ119によって駆動される。なお、ファン116が回転している時にはフィルタ118も回転する。また、レンジフード100は回転しない固定式の(普通の)フィルタを備えていても良いし、フィルタレスのレンジフードであっても良い。レンジフード100は、前面側に、レンジフード100の動作を指示するための操作パネル120を備えている。
図3は、実施形態1のレンジフード100が備える操作パネル120の正面図である。操作パネル120は、運転スイッチ121、風量スイッチ122、風量自動スイッチ123、タイマースイッチ124、照明スイッチ125、および常時換気スイッチ126を有する。
運転スイッチ121は、レンジフード100を動作させるためのスイッチである。運転スイッチ121を押すとレンジフードON信号が送信され(後述の制御部に)、もう一度押すとレンジフードOFF信号が送信される。風量スイッチ122は、ファン116の風量を、弱、中、強に手動で切り替えるためのスイッチである。風量自動スイッチ123は、温度センサ300が検知する調理器200の上方の温度に応じて、ファン116の風量およびフィルタ118の回転数を、段階的または連続的に、自動的に切り替える自動運転を行わせるためのスイッチである。なお、この自動運転は、風量スイッチ122が押されると解除される。タイマースイッチ124は、ファン116およびフィルタ118を調理終了後に回転させる時間を設定するためのスイッチである。照明スイッチ125は、調理器200の上面を照らすLED電球を点灯/消灯させるためのスイッチである。常時換気スイッチ126は、ファン116を手動で回転/停止させることで常時換気の運転/停止を行うためのスイッチである。
図4は、温度センサ300による調理器200の上方の温度の検知状態を模式的に示す図である。上記の通り、温度センサ300は、レンジフード100の下面に取り付けられているので、調理器200の上方の温度は、調理器200の熱源(バーナーやバーナー付近にある五徳またはヒーター)210A、210B、210Cおよびグリルの吹出口220をカバーする領域で検知される。実施形態1では複眼温度センサを用いているので、調理器200の熱源210A、210B、210Cの温度は、図4のように、たとえば8×8の64に分割された画素(Tij(i=1~8、j=1~8))の熱源210A、210B、210Cのそれぞれに対応する領域の最高温度として検知される。一方、温度センサ300が単眼温度センサである場合には、3つの単眼温度センサを調理器200の熱源210A、210B、210Cのそれぞれに対応させて設けることになるので、調理器200の上方の温度は、調理器200の熱源210A、210B、210Cのそれぞれについて検知される。したがって、レンジフード100は、調理器200のどの熱源210A、210B、210Cが使用されているのか、また、どの熱源から調理器具が離れたのかを、温度センサ300の検知結果から容易に判断できる。
(レンジフードの制御系の構成)
図5は、実施形態1のレンジフード100の制御系のブロック図である。レンジフード100は、ファン116、ファンモータ117、フィルタ118、フィルタモータ119、操作パネル120、制御部130、および温度センサ300を有する。なお、制御部130は閾値温度記憶部135およびモード移行条件記憶部137を備え、レンジフード100に内蔵される。
ファン116、ファンモータ117、フィルタ118、フィルタモータ119、操作パネル120、温度センサ300の構成および機能は上記した通りである。
閾値温度記憶部135は、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数を変化させるための閾値温度を記憶する。
制御部130は、操作パネル120の風量自動スイッチ123(図3参照)が押され、レンジフード100が自動運転されているときには、温度センサ300が検知する調理器200の上方の温度と閾値温度記憶部135に記憶されている閾値温度(ファン用の)とを比較し、ファン116の風量を決定する。また、制御部130は、温度センサ300が検知する調理器200の上方の温度と閾値温度記憶部135に記憶されている閾値温度(フィルタ用の)とを比較し、フィルタ118の回転数を決定する。なお、制御部130は、フィルタ118を備えていないフィルタレスのレンジフード、または固定式のフィルタを備えているレンジフードの場合には、ファン116の風量のみを決定する。
モード移行条件記憶部137は、調理器具が調理器200の熱源210A、210B、210Cから離れたことを判断するために設けられ、それぞれのモードへの移行条件を記憶する。この移行条件は具体的には図6に示すようなものである。
モード移行条件記憶部137は、自動運転時のモードを、通常モード、安定モード、調理器具移動モードの3つのいずれかのモードに移行させるための移行条件を記憶する。具体的には、通常モードから安定モードに移行させるための移行条件、安定モードから調理器具移動モードに移行させるための移行条件、安定モードから通常モードに移行させるための移行条件、調理器具移動モードから通常モードに移行させるための移行条件を記憶する。なお、調理器具移動モードから安定モードへは直接移行させないことが好ましく、ゆえに実施形態1では調理器具移動モードから安定モードに移行させるための移行条件は記憶していない。
通常モードとは、たとえばフライパンを予熱中であるとか、調理器具で具材を炒め始めたとかいう、調理開始直後の状態において、一定時間中の温度の上昇が規定の温度以上である場合に選択されるモードである。なお、通常モードは、レンジフード100が自動運転を開始したときに無条件で最初に選択される。通常モードは、次の安定モードまたは調理器具移行モードから移行されるモードである。
安定モードとは、たとえば湯沸しの沸騰後のように、安定した調理中の状態であり、一定時間中の温度の上昇または下降が所定の温度範囲内である場合に選択されるモードである。安定モードは通常モードのみから移行される。
調理器具移行モードとは、たとえば沸騰した鍋が調理器200の熱源210A、210B、210Cのいずれかから離れたときに、その熱源に対応する温度が、安定した温度から急激に上昇する場合、すなわち、所定時間中に所定温度以上の温度上昇を示すものであった場合に選択されるモードである。調理器具移行モードは安定モードのみから移行される。
モード移行条件記憶部137が記憶する、通常モードから安定モードに移行させるための移行条件は、具体的には次のようなものである。(1)通常モードで運転中、T1秒毎に複画素あるうちの最高温度の画素の温度を取得し、この最高温度の画素の温度をT2秒間分合計する。この「T2秒間分合計」をT1秒毎に行ない、A回続けて(T3秒間)T1秒前の「T2秒間分合計」と比較して+K1℃未満を満たしているか、(2)「T2秒間分合計」の温度偏差の計測をT1秒毎に行ない、その温度偏差がB回続けて(T4秒間)「K2≦温度偏差≦K3」を満たしているか、という2つの判断において、(1)、(2)の両方の判断を満たしているときには、通常モードから安定モードに移行させる、というものである。言い換えれば、T3秒間中(規定時間中)の温度の上昇が+K1℃以上(規定の温度以上)を満たしており、かつ、T4秒間中(一定時間中)の温度の上昇または下降が「K2≦温度偏差≦K3」(一定の温度範囲内)であれば通常モードとし、これを満たさない場合は安定モードへ移行させる。なお、規定時間=一定時間であっても良いし、規定時間≠一定時間であっても良い。なお、本明細書では、温度偏差を求める手法として、温度差から温度偏差を求める手法を例示している。しかし、温度偏差を求める手法としては、温度偏差を求める手法以外に、標準偏差から温度偏差を求める手法、平均偏差から温度偏差を求める手法など、他の数々の手法を用いることができる。
(1)の判断は、連続的な温度上昇がなく、調理状態が落ち着いたかを判断するために行なう。(2)の判断は、大きな温度変化がなく、調理状態が落ち着いたかを判断するために行なう。
モード移行条件記憶部137が記憶する、安定モードから調理器具移行モードに移行させるための移行条件は、具体的には次のようなものである。安定モードかつ最大でない運転レベル(たとえばファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数に関する運転レベルが弱・中・強の3段階ある場合には、弱や中)で運転中において、「T7秒間分合計」がT8秒前の「T7秒間分合計」と比べてK4℃以上温度上昇していた場合は、安定モードから調理器具移行モードに移行させる、というものである。
この移行条件は、T8秒間中(所定時間中)にK4℃以上(所定温度以上)の温度上昇を示すという、急な温度上昇を捉えることで、調理器具を調理器200の熱源210A、210B、210Cのいずれかから下ろしたかどうかを判断するために行なう。
モード移行条件記憶部137が記憶する、安定モードから通常モードに移行させるための移行条件は、具体的には次のようなものである。安定モードで運転中において、通常モードから安定モードに移行する際の(1)、(2)の両方の判断を満たさなくなった場合である。
この移行条件は、安定モードで自動運転中に、連続的な温度上昇または大きな温度変化がある場合には、安定モードの維持は適切でないと判断するために行なう。
また、安定モードから通常モードに移行させるための移行条件として、T5秒間は安定モードを維持していたかという判断も行わせる。
この判断は、調理終了後に即座に通常モードに移行させてしまうと、調理器具を調理器200の熱源210A、210B、210Cのいずれかから移動させた際、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数を本来は増加させたくないのに、増加させてしまうことになる。T5秒間という時間を設けることで、調理終了後に即座に通常モードに移行してしまうことが無く、このことが防止できる。
モード移行条件記憶部137が記憶する、調理器具移動モードから通常モードに移行させるための移行条件は、具体的には次のようなものである。(1)「T9秒間分合計」をT10秒毎に行ない、D回続けて(T11秒間)T10秒前の「T9秒間分合計」と比較して+K5℃以上を満たしているか、つまり、T9秒間中の温度の上昇が+K5℃以上を満たしているか、(2)「T12秒間分合計」の温度偏差の計測をT13秒毎に行ない、その温度偏差がE回続けて(T14秒間)「K6≦温度偏差」または「温度偏差≦K7」を満たしているか、つまり、T14秒間中の温度の上昇または下降が「K6≦温度偏差」または「温度偏差≦K7」であるか、(3)複画素あるうちの最高温度の画素の温度がC回続けて(T6秒間)最も低い運転レベル(たとえばファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数に関する運転レベルが弱・中・強の3段階ある場合には、弱を指す)の閾値温度であることを満たしているか、(4)手動で調理器具移動モードをキャンセルする操作があったか(たとえば、自動運転中に、操作パネル120(図3参照)の風量スイッチ122が押されたか)、という判断において、(1)、(2)、(3)、(4)の内のいずれか1つの判断を満たしているときには、調理器具移動モードから通常モードに移行させる、というものである。
(1)の判断は、温度上昇を捉えた場合は加熱調理が継続しているということを判断するために行なう。(2)の判断は、焼き物を裏返す前等、調理は終了していないが誤って調理器具移行モードに移動してしまった場合に、温度偏差に動きがあれば、調理は継続されていると判断するために行なう。(3)の判断は、調理環境が大きく変化したと判断するために行なう。(4)の判断は、ユーザーの好みを優先させるために行なう。
なお、モード移行条件記憶部137が記憶する上記の移行条件は、理解を容易にするために具体的な数値を入れて説明したが、これらの数値は実際とは異なり概念的な単純なものである。したがって、本発明のレンジフード100はこれらの数値を用いたものに限定されるものではない。また、上記の時間T1、T10、T13はT2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9、T11、T12、T14よりも短い時間である。T1、T10、T13は全て異なる時間であっても良いし、これらの内同じ時間のものがあっても良い。(例えばT1=T10≠T13や、全てイコールでも良い。)また、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9、T11、T12、T14は全て異なる時間であっても良いし、これらのうち同じ時間のものがあっても良い。(例えばT2=T3≠T4≠T5=T6や、全てイコールでも良い。)また、上記の回数A、B、C、D、Eは全て異なる回数であっても良いし、これらのうち同じ回数のものがあっても良い。また、上記の温度K1、K4、K5の関係は、K1<K4かつK1≦K5であり、K4とK5は同じ温度であっても良いし、異なる温度であっても良い。K2とK6、また、K3とK7はそれぞれ同じでも異なっていても良い。
なお、制御部130は、温度センサ300が検知する温度を閾値温度記憶部135に記憶されている閾値温度と比較して、その比較結果により、ファンモータ117または/およびフィルタモータ119の回転数を段階的または連続的に変化させて、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数を制御する。これとは別に、制御部130は、温度センサ300の検知結果から、レンジフード100の運転のモードを、通常モード、安定モード、調理器具移動モードに設定する。これらのモードの設定の制御と、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の設定とは、制御部130内では別々の制御として行われ、モードの設定の制御とファン116または/およびフィルタ118の制御とは連動しない。
レンジフード100の自動運転のモードを通常モード、安定モード、調理器具移動モードに設定するのは、あくまでも調理器具が調理器200の熱源210A、210B、210Cから離れたことを判断するために、制御部130で内部的に行われるものである。したがって、実施形態1のレンジフード100の場合、通常モードから安定モード、安定モードから調理器具移動モード、調理器具移動モードから通常モード、安定モードから通常モード、それぞれのモードへの移行が行われたからといって、必ずしも、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数が連動して切り換わるようにはなっていない。しかし、それぞれのモードへの移行と風量または/およびフィルタ118の回転数の切り替わりを連動させても良いのはもちろんである。
(制御部130の動作)
図7は、実施形態1のレンジフードにおけるファンの風量または/およびフィルタの回転数の制御に関する動作フローチャートである。この動作フローチャートは制御部130によって処理される。なお、この動作フローチャートは、操作パネル120(図3および図5参照)の風量自動スイッチ123が押され、レンジフード100が自動運転されているときに実行される。
制御部130は、温度センサ300により調理器200の上方の温度を検知する(S100)。次に、制御部130は、検知された調理器200の上方の温度と閾値温度記憶部135に記憶されている閾値温度とを比較する(S110)。次に、制御部130は、調理器200の上方の温度と閾値温度との比較結果に応じて、ファン116の風量および/またはフィルタ118の回転数を制御する(S120)。この場合、調理器200の上方の温度が高くなるほどファン116の風量および/またはフィルタ118の回転数は大きくなり、調理器200の上方の温度が低くなるほどファン116の風量および/またはフィルタ118の回転数は小さくなる。たとえば、調理器200から調理後の調理器具が離れると、調理器200の熱源が露出されることから、温度センサ300が調理器200の上方の温度の急上昇を検知することになり、ファン116の風量および/またはフィルタ118の回転数は、調理後に急上昇する。実施形態1では、調理終了後にこのような急上昇を抑制するために、図8に示す、自動運転のモードの制御をしている。
図8は、実施形態1のレンジフードにおける自動運転時のモードの制御に関する動作フローチャートである。この動作フローチャートも図7の動作フローチャートと同様に、制御部130によって処理される。したがって、制御部130は、温度センサ300が検知する温度に応じてファン116の風量および/またはフィルタ118の回転数を制御する一方、これとは独立して、次の自動運転のモードの設定をする。
まず、制御部130は、操作パネル120の風量自動スイッチ123が押され、レンジフード100を自動運転させたときには、通常モードで運転する(S200)。次に、制御部130は、温度センサ300の検知結果をモード移行条件記憶部137に記憶されている移行条件と比較し、通常モードから安定モードへのモードアップの判定条件を満たすか否かを判断する(S201)。
モードアップの判定条件を満たさなければ(S201:NO)、具体的には、(1)通常モードで運転中、T1秒毎に複画素あるうちの最高温度の画素の温度を取得し、この最高温度の画素の温度をT2秒間分合計する。この「T2秒間分合計」をT1秒毎に行ない、A回続けて(T3秒間)T1秒前の「T2秒間分合計」と比較して+K1℃未満であるという判断と、(2)「T2秒間分合計」の温度偏差の計測をT1秒毎に行ない、その温度偏差がB回続けて(T4秒間)「K2≦温度偏差≦K3」であるという判断の、両方の判断を満たしていなければ、調理状態が落ち着いているとは言えないので、通常モードで運転することを継続する。
一方、モードアップの判定条件を満たせば(S201:YES)、具体的には、上記の(1)および(2)の両方の判断を満たしていれば、調理状態が落ち着いていると判断できるので、通常モードから安定モードに移行させる。
通常モードから安定モードに移行されると、制御部130は、安定モードで運転する(S202)。次に、制御部130は、温度センサ300の検知結果をモード移行条件記憶部137に記憶されている移行条件と比較し、安定モードから調理器具移動モードへの移行条件を満たすか否かを判断する(S203)。
安定モードから調理器具移動モードへの移行条件を満たさなければ(S203:NO)、具体的には、安定モードかつ、図7の動作フローチャートで選択される、最大でない運転レベル(たとえばファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数に関する運転レベルが弱・中・強の3段階ある場合には、弱や中)で運転中において、「T2秒間分合計」がT1秒前の「T2秒間分合計」と比べてK4℃以上温度上昇していなかった場合には、次に、モードダウンの判定条件を満たすか否かを判断する(S204)。
一方、安定モードから調理器具移動モードへの移行条件を満たせば(S203:YES)、具体的には、安定モードかつ、最大でない運転レベルで運転中において、「T7秒間分合計」がT8秒前の「T7秒間分合計」と比べてK4℃以上温度上昇している場合には、安定モードから調理器具移動モードに移行させる。
レンジフード100の運転モードが通常モード、安定モード、調理器具移動モードのいずれのモードであっても、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数は、図7の動作フローチャートによって制御される。しかし、安定モードから調理器具移動モードに移行されるときには、温度センサ300の検知結果が、安定した温度から急激に上昇し、図7の動作フローチャートによれば、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数は増加することになるが、安定モードから調理器具移動モードに移行するときには、制御部130がファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数を増加させる指示をキャンセルする、またはその指示を受け付けない、またはその指示を判定しないなどとすることにより、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数を増加させない。つまり、制御部130は、温度センサ300の検知結果から、調理器具が調理器200の熱源から離れたと判断した場合には、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増加を行わない。なお、増加は行わないが減少させることはできる。
実施形態1の場合、図4に示すように、調理器200に3つの熱源210A、210B、210Cを備えている。この場合には、制御部130は、温度センサ300の検知結果から、調理器具が調理器200の複数の熱源210A、210B、210Cの内の1の熱源(たとえば熱源210A)から離れたと判断すると同時に他の熱源(たとえば熱源210Bおよび210C)は使用されていると判断した場合には、温度センサ300が検知する前記1の熱源(たとえば熱源210A)の温度によるファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増加は行わない。したがって、他の熱源(たとえば熱源210Bおよび210C)の温度によるファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増減は、図7の動作フローチャートによって行われる。
S204の判断処理に戻って、モードダウンの判定条件を満たせば(S204:YES)、具体的には、安定モードで運転中において、通常モードから安定モードに移行する際の(1)および(2)の2つの条件を満たさなくなった場合には、調理状態が落ち着いているとは言えないので、安定モードでT5秒間運転を維持した後に(S205)、手動で調理器具移動モードをキャンセルする操作があったか否かを判断し(S208)、手動で調理器具移動モードをキャンセルする操作がなければ(S208:NO)、安定モードから通常モードに移行させ、通常モードで運転する(S200)。
一方、モードダウンの判定条件を満たさなければ(S204:NO)、具体的には、安定モードで運転中において、通常モードから安定モードに移行する際の(1)および(2)の2つの条件を満たしていれば、調理状態が落ち着いていると言えるので、安定モードで運転することを継続する(S202)。
さらに、制御部130は、モードダウンの判定条件を満たすか否かを判断する(S207)。モードダウンの判定条件を満たさなければ(S207:NO)、具体的には、(1)「T9秒間分合計」をT10秒毎に行ない、D回続けて(T11秒間)T10秒前の「T9秒間分合計」と比較して+K5℃以上を満たしているか、(2)「T12秒間分合計」の温度偏差の計測をT13秒毎に行ない、その温度偏差がE回続けて(T14秒間)「K6≦温度偏差」または「温度偏差≦K7」を満たしているか、(3)複画素あるうちの最高温度の画素の温度がC回続けて(T6秒間)最も低い運転レベル(たとえばファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数に関する運転レベルが弱・中・強の3段階ある場合には、弱を指す)の閾値温度であるか、(4)手動で調理器具移動モードをキャンセル操作があったか(たとえば、自動運転中に、操作パネル120(図3参照)の風量スイッチ122が押されたか)、という判断において、(1)、(2)、(3)、(4)の全ての判断を満たしていなければ、調理器具移動モードで運転することを継続する(S206)。
一方、モードダウンの判定条件を満たせば(S207:YES)、具体的には、上記の(1)から(4)のいずれか1つの判断を満たしていれば、手動で調理器具移動モードをキャンセルする操作があったか否かを判断し(S208)、手動で調理器具移動モードをキャンセルする操作がなければ(S208:NO)、調理器具移動モードから通常モードに移行させて運転する(S200)。また、手動で調理器具移動モードをキャンセルする操作があれば(S208:YES)、自動運転を終了する。
S208の処理において、自動運転が終了した後には、すなわち、制御部130がレンジフードOFFの信号を受信した後には、タイマーによってファン116とフィルタ118との運転を継続するが、この場合にも、レンジフード100は、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増加を行わない。
なお、レンジフードOFFの信号は、使用者がレンジフード100に設けられているレンジフードOFFスイッチ(図3の運転スイッチ121)を押したときに、または、使用者がリモコンに設けられているレンジフードOFFスイッチを押したときに、または、調理器200をOFF(調理器200のOFFスイッチと制御部130とは接続されている)したときに、制御部130に送信される。同様に、レンジフードONの信号も、使用者が、運転スイッチ121を押したときに、または、リモコンに設けられているレンジフードONスイッチを押したときに、または、調理器200をONしたときに、制御部130に送信される。
以上のように、実施形態1のレンジフード100では、温度センサ300の検知結果をモード移行条件記憶部137に記憶されている移行条件と比較し、レンジフード100の運転開始時には通常モードに設定し、次に安定モードへの移行条件が整えば安定モードに移行し、次に、調理器具移動モードへの移行条件が整えば調理器具移動モードに移行する。つまり、レンジフード100の運転のモードを、通常モード→安定モード→調理器具移動モードの順に移行させる。安定モード→調理器具移動モードに移行したときには、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数は増加させない。
実施形態1のレンジフード100では、通常モードから直接に調理器具移動モードに移行することはない。また、調理器具移動モードから直接に安定モードに移行することはない。さらに、調理器具移動モードから通常モードへの移行条件が整えば、調理器具移動モードから直接に通常モードに移行する。安定モードから通常モードへの移行条件が整えば、安定モードから直接に通常モードに移行する。
以上、実施形態1のレンジフード100によれば、温度センサ300の検知結果から調理器具が熱源から離れたと判断した場合は、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増加を行わない。このため、調理は終了しているのに風量または/および回転数が上がってしまうために、使用者が違和感や不快感を覚えることが防止できる。
また、調理器具が調理器200の複数の熱源の内の1の熱源から離れたと判断すると同時に他の熱源は使用されていると判断した場合には、温度センサ300が検知する前記1の熱源の温度によるファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増加は行わない。このため、前記1の熱源での調理が終了して熱源が露出しても、他の熱源が調理中であれば風量または/およびフィルタの回転数を増加させることができる。
調理器具移動モードでレンジフード100を自動運転する場合は、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増加を行わないので、調理器具移動モードにある間は、風量または/および回転数の増加がないため、使用者が違和感や不快感を覚えることが防止できる。
安定モードから調理器具移行モードに移行するときには、急な温度上昇を熱源の露出と捉えるので、使用者が違和感や不快感を覚えることが防止できる。
通常モードと安定モードとを備え、必ず通常モードから安定モードに移行し、通常モードから直接調理器具移行モードには移行しないようにしているので、通常モードにおいては、調理開始時の急な温度上昇を調理器具の移動と誤検知することがない。また、調理開始時の急な温度上昇に対しては適切な風量で排気することができる。
安定モードは、一定時間中の温度の上昇および下降が所定の温度範囲内である状態としているので、調理状態が安定しているか安定していないかを正確に捉えることができる。
レンジフードOFFの信号を受信した後は、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増加を行わないので、調理は終了しているのに風量または/および回転数が上がってしまうために使用者が違和感や不快感を覚えることが防止できる。
[実施形態2]
次に、実施形態2について説明する。実施形態2が実施形態1と異なるのは、実施形態1よりも、調理器具が熱源から離れたことを、より的確に判断できるようにした点である。具体的には、T15秒の間に温度がK8℃以上上昇したら(急上昇したら)調理器具移動モードへ移行させるようにしている点である。さらに、調理器具移動モードへの移動は、実施形態1とは異なり、通常モードと安定モードのいずれからでも移行できるようにしている。
(レンジフードの機械系の構成)および(レンジフードの制御系の構成)は、実施形態1と同一である。ただし、図5のモード移行条件記憶部137は、自動運転時のモードを、通常モード、安定モード、調理器具移動モードの3つのいずれかのモードに移行させるための移行条件を記憶するが、実施形態1とは異なり、具体的には、通常モードから安定モードに移行させるための移行条件、安定モードから調理器具移動モードに移行させるための移行条件、安定モードから通常モードに移行させるための移行条件、調理器具移動モードから通常モードに移行させるための移行条件に加えて、通常モードおよび安定モードから調理器具移動モードに移行させるための移行条件を記憶する。なお、調理器具移動モードから安定モードへは直接移行させないことが好ましく、ゆえに実施形態1では調理器具移動モードから安定モードに移行させるための移行条件は記憶していない。
図9および図10は、実施形態2における図5のモード移行条件記憶部に記憶されている移行条件の具体例を示す図である。
実施形態2においても、モード移行条件記憶部137が記憶するモードアップ判定条件のうち、通常モードから安定モードに移行させるための移行条件は、実施形態1と同一である。しかし、実施形態2では、通常モードから調理器具移動モードに移行させるための移行条件をも記憶している。図9に示すように、T15秒の間にK8℃以上上昇した場合には、通常モードから調理器具移動モードに移行させる。これは、特に急激な温度上昇を捉えることで、調理器具を調理器200から下ろしたかどうかを判断できるようにするためである。
実施形態2においても、モード移行条件記憶部137が記憶するモードアップ判定条件のうち、安定モードから調理器具移動モードに移行させるための移行条件は、実施形態1と同一である。しかし、実施形態2では、図9に示すように、T15秒の間にK8℃以上上昇した場合にも、安定モードから調理器具移動モードに移行させる。これは、特に急激な温度上昇を捉えることで、調理器具を調理器200から下ろしたかどうかを判断できるようにするためである。
なお、図9および図10に示すように、モード移行条件記憶部137が記憶するモードダウン判定条件は、実施形態1と同一である。
モード移行条件記憶部137が記憶する上記の移行条件は、理解を容易にするために具体的な数値を入れて説明したが、これらの数値は実際とは異なり概念的な単純なものである。したがって、本発明のレンジフード100はこれらの数値を用いたものに限定されるものではない。また、上記の時間T1、T10、T13、T15はT2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9、T11、T12、T14よりも短い時間である。T1、T10、T13、T15は全て異なる時間であっても良いし、これらの内同じ時間のものがあっても良い。(例えばT1=T10≠T13≠T15や、全てイコールでも良い。)また、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9、T11、T12、T14は全て異なる時間であっても良いし、これらのうち同じ時間のものがあっても良い。(例えばT2=T3≠T4≠T5=T6や、全てイコールでも良い。)また、上記の回数A、B、C、D、Eは全て異なる回数であっても良いし、これらのうち同じ回数のものがあっても良い。また、上記の温度K1、K4、K5、K8の関係は、K1<K4≦K8かつK1≦K5<K8であり、K4とK5は同じ温度であっても良いし、異なる温度であっても良い。ただし、K4>K5であることが好ましく、つまり、K1≦K5<K4≦K8であることが好ましい。さらに好ましくは、K1≦K5<K4<K8であると良く、特にK8はK4の2倍以上の温度であると良い。K2とK6、また、K3とK7はそれぞれ同じでも異なっていても良い。
制御部130は、実施形態1と同様に、温度センサ300が検知する温度を閾値温度記憶部135に記憶されている閾値温度と比較して、その比較結果により、ファンモータ117または/およびフィルタモータ119の回転数を段階的または連続的に変化させて、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数を制御する。これとは別に、制御部130は、温度センサ300の検知結果から、レンジフード100の運転のモードを、通常モード、安定モード、調理器具移動モードに設定する。これらのモードの設定の制御と、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の設定とは、制御部130内では別々の制御として行われ、モードの設定の制御とファン116または/およびフィルタ118の制御とは連動しない。
レンジフード100の自動運転のモードを通常モード、安定モード、調理器具移動モードに設定するのは、あくまでも調理器具が調理器200の熱源210A、210B、210Cから離れたことを判断するために、制御部130で内部的に行われるものである。したがって、実施形態2のレンジフード100の場合も実施形態1と同様に、通常モードから安定モード、安定モードから調理器具移動モード、通常モードおよび安定モードから調理器具移動モード、調理器具移動モードから通常モード、安定モードから通常モード、それぞれのモードへの移行が行われたからといって、必ずしも、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数が連動して切り換わるようにはなっていない。しかし、それぞれのモードへの移行と風量または/およびフィルタ118の回転数の切り替わりを連動させても良いのはもちろんである。
(制御部130の動作)
実施形態2のレンジフードにおけるファンの風量または/およびフィルタの回転数の制御に関する動作フローチャートは、実施形態1の図7と同一である。
図11は、実施形態2のレンジフードにおける自動運転時のモードの制御に関する動作フローチャートである。この動作フローチャートは実施形態1の図8の動作フローチャートに対応する。この動作フローチャートにおいて、図8の動作フローチャートと異なるのは、S201Aの判断処理が設けられていることである。その他のステップの処理は、図8の動作フローチャートのステップの処理と類似している。
まず、制御部130は、操作パネル120の風量自動スイッチ123が押され、レンジフード100を自動運転させたときには、通常モードで運転する(S200)。次に、制御部130は、温度センサ300の検知結果をモード移行条件記憶部137に記憶されている移行条件と比較し、通常モードから安定モードへのモードアップの判定条件を満たすか否かを判断する(S201)。
モードアップの判定条件を満たさなければ(S201:NO)、具体的には、(1)通常モードで運転中、T1秒毎に複画素あるうちの最高温度の画素の温度を取得し、この最高温度の画素の温度をT2秒間分合計する。この「T2秒間分合計」をT1秒毎に行ない、A回続けて(T3秒間)T1秒前の「T2秒間分合計」と比較して+K1℃未満であるという判断と、(2)「T2秒間分合計」の温度偏差の計測をT1秒毎に行ない、その温度偏差がB回続けて(T4秒間)「K2≦温度偏差≦K3」であるという判断の、両方の判断を満たしていなければ、調理状態が落ち着いているとは言えないので、通常モードで運転することを継続する。
一方、モードアップの判定条件を満たせば(S201:YES)、具体的には、上記の(1)および(2)の両方の判断を満たしていれば、調理状態が落ち着いていると判断できる。
次に、T15秒間にK8℃以上温度が上昇したか否かを判断する(S201A)。T15秒間にK8℃以上温度が上昇していれば(S201A:YES)、温度は急激に上昇しているのであるから、調理器具が調理器200から下ろされたと判断し、通常モードから調理器具移動モードに移行させる。
一方、T15秒間にK8℃以上温度が上昇していなければ(S201A:NO)、調理状態が落ち着いていると判断できるので、通常モードから安定モードに移行させる。
通常モードから安定モードに移行されると、制御部130は、安定モードで運転する(S202)。次に、制御部130は、温度センサ300の検知結果をモード移行条件記憶部137に記憶されている移行条件と比較し、安定モードから調理器具移動モードへの移行条件を満たすか否かを判断する。なお、この判断においては、T15秒間にK8℃以上温度が上昇したか否か、についても判断する(S203)。
安定モードから調理器具移動モードへの移行条件を満たさなければ(S203:NO)、具体的には、安定モードかつ、図7の動作フローチャートで選択される、最大でない運転レベル(たとえばファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数に関する運転レベルが弱・中・強の3段階ある場合には、弱や中)で運転中において、「T2秒間分合計」がT1秒前の「T2秒間分合計」と比べてK4℃以上温度上昇していなかった場合には、次に、モードダウンの判定条件を満たすか否かを判断する(S204)。
一方、安定モードから調理器具移動モードへの移行条件を満たせば(S203:YES)、具体的には、安定モードかつ、最大でない運転レベルで運転中において、「T7秒間分合計」がT8秒前の「T7秒間分合計」と比べてK4℃以上温度上昇している場合、またはT15秒間にK8℃以上温度が上昇している場合には、安定モードから調理器具移動モードに移行させる。
レンジフード100の運転モードが通常モード、安定モード、調理器具移動モードのいずれのモードであっても、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数は、実施形態1と同様に、図7の動作フローチャートによって制御される。しかし、安定モードから調理器具移動モードに移行されるときには、温度センサ300の検知結果が、安定した温度から急激に上昇し、図7の動作フローチャートによれば、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数は増加することになるが、安定モードから調理器具移動モードに移行するときには、制御部130がファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数を増加させる指示をキャンセルする、またはその指示を受け付けない、またはその指示を判定しないなどとすることにより、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数を増加させない。つまり、制御部130は、温度センサ300の検知結果から、調理器具が調理器200の熱源から離れたと判断した場合には、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増加を行わない。なお、増加は行わないが減少させることはできる。
実施形態1と同様に、図4に示すように、調理器200に3つの熱源210A、210B、210Cを備えている。この場合には、制御部130は、温度センサ300の検知結果から、調理器具が調理器200の複数の熱源210A、210B、210Cの内の1の熱源(たとえば熱源210A)から離れたと判断すると同時に他の熱源(たとえば熱源210Bおよび210C)は使用されていると判断した場合には、温度センサ300が検知する前記1の熱源(たとえば熱源210A)の温度によるファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増加は行わない。したがって、他の熱源(たとえば熱源210Bおよび210C)の温度によるファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増減は、図7の動作フローチャートによって行われる。
S204の判断処理に戻って、モードダウンの判定条件を満たせば(S204:YES)、具体的には、安定モードで運転中において、通常モードから安定モードに移行する際の(1)および(2)の2つの条件を満たさなくなった場合には、調理状態が落ち着いているとは言えないので、安定モードでT5秒間運転を維持した後に(S205)、手動で調理器具移動モードをキャンセルする操作があったか否かを判断し(S208)、手動で調理器具移動モードをキャンセルする操作がなければ(S208:NO)、安定モードから通常モードに移行させ、通常モードで運転する(S200)。
一方、モードダウンの判定条件を満たさなければ(S204:NO)、具体的には、安定モードで運転中において、通常モードから安定モードに移行する際の(1)および(2)の2つの条件を満たしていれば、調理状態が落ち着いていると言えるので、安定モードで運転することを継続する(S202)。
さらに、制御部130は、モードダウンの判定条件を満たすか否かを判断する(S207)。モードダウンの判定条件を満たさなければ(S207:NO)、具体的には、(1)「T9秒間分合計」をT10秒毎に行ない、D回続けて(T11秒間)T10秒前の「T9秒間分合計」と比較して+K5℃以上を満たしているか、(2)「T12秒間分合計」の温度偏差の計測をT13秒毎に行ない、その温度偏差がE回続けて(T14秒間)「K6≦温度偏差」または「温度偏差≦K7」を満たしているか、(3)複画素あるうちの最高温度の画素の温度がC回続けて(T6秒間)最も低い運転レベル(たとえばファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数に関する運転レベルが弱・中・強の3段階ある場合には、弱を指す)の閾値温度であるか、(4)手動で調理器具移動モードをキャンセル操作があったか(たとえば、自動運転中に、操作パネル120(図3参照)の風量スイッチ122が押されたか)、という判断において、(1)、(2)、(3)、(4)の全ての判断を満たしていなければ、調理器具移動モードで運転することを継続する(S206)。
一方、モードダウンの判定条件を満たせば(S207:YES)、具体的には、上記の(1)から(4)のいずれか1つの判断を満たしていれば、手動で調理器具移動モードをキャンセルする操作があったか否かを判断し(S208)、手動で調理器具移動モードをキャンセルする操作がなければ(S208:NO)、調理器具移動モードから通常モードに移行させて運転する(S200)。また、手動で調理器具移動モードをキャンセルする操作があれば(S208:YES)、自動運転を終了する。
S208の処理において、自動運転が終了した後には、すなわち、制御部130がレンジフードOFFの信号を受信した後には、タイマーによってファン116とフィルタ118との運転を継続するが、この場合にも、レンジフード100は、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増加を行わない。
なお、レンジフードOFFの信号は、使用者がレンジフード100に設けられているレンジフードOFFスイッチ(図3の運転スイッチ121)を押したときに、または、使用者がリモコンに設けられているレンジフードOFFスイッチを押したときに、または、調理器200をOFF(調理器200のOFFスイッチと制御部130とは接続されている)したときに、制御部130に送信される。同様に、レンジフードONの信号も、使用者が、運転スイッチ121を押したときに、または、リモコンに設けられているレンジフードONスイッチを押したときに、または、調理器200をONしたときに、制御部130に送信される。
以上のように、実施形態1のレンジフード100では、温度センサ300の検知結果をモード移行条件記憶部137に記憶されている移行条件と比較し、レンジフード100の運転開始時には通常モードに設定し、次に安定モードへの移行条件が整えば安定モードに移行し、次に、調理器具移動モードへの移行条件が整えば調理器具移動モードに移行する。または、通常モードまたは安定モードから調理器具移動モードへの移行条件が整えば調理器具移動モードに移行する。つまり、レンジフード100の運転のモードを、通常モード→安定モード→調理器具移動モードの順に、または通常モード→調理器具移動モード、安定モード→調理器具移動モード移行させる。通常モード→調理器具移動モード、および安定モード→調理器具移動モードに移行したときには、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数は増加させない。
実施形態2のレンジフード100では、通常モードから直接に調理器具移動モードに移行することがある。また、調理器具移動モードから直接に安定モードに移行することはない。さらに、調理器具移動モードから通常モードへの移行条件が整えば、調理器具移動モードから直接に通常モードに移行する。安定モードから通常モードへの移行条件が整えば、安定モードから直接に通常モードに移行する。
なお、実施形態2のレンジフード100では、通常モードまたは安定モードに設定されている場合であって、T15の間に温度がK8℃以上上昇したときには、調理器具移動モードに移行させ、ファンの風量または/およびフィルタの回転数の増加を行わない態様とした。この態様以外にも、通常モード、安定モード、調理器具移動モードのいずれのモードにも設定することなく、単純に「T15の間に温度がK8℃以上上昇したら、調理器具が調理器の熱源から離れたと判断し、ファンの風量または/およびフィルタの回転数の増加を行わない」という態様を採用しても良い。
以上、実施形態2のレンジフード100によれば、温度センサ300の検知結果から調理器具が熱源から離れたと判断した場合は、ファン116の風量または/およびフィルタ118の回転数の増加を行わない。このため、調理は終了しているのに風量または/および回転数が上がってしまうために、使用者が違和感や不快感を覚えるということが、実施形態1のレンジフード100よりもより防止しやすくなる。
以上、本発明の実施形態として2つの実施形態を述べたが、本発明は、上記の2つの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想に基づいて様々な形態として実施可能であり、それらもまた本発明の範疇であることは言うまでもない。