JP7365351B2 - 分析装置とその使用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばガラス器具、プラスチック器具、カスタム器具などの実験用の反応器具(reactionware)のための分析装置と、反応器具とともに使用する分析装置の使用方法と、反応器具とともに分析装置を備える反応装置の調製方法とを提供する。また、通信する複数の分析装置を備えるネットワークが提供される。
関連出願
本願は、2017年11月28日(28.11.2017)に出願されたGB1719769.0に関連し、その利益を主張するとともに、参照によりその全体を本明細書に援用する。
化学的・生物学的な反応分析における近年の発展により、反応の進行のリアルタイムな監視を提供してきた。多くの反応パラメータを監視するため、分析装置のセンサーを、反応フラスコ内などの反応器具内に配置することが必要となる。
本発明者たちは、再現可能な反応監視を提供する分析装置を開発し、結果として、異なる反応ラン(reaction runs)間で有用な比較ができるようになった。
本発明は概して、反応フラスコなどの反応器具内で行われる反応を分析するための、反応器具とともに使用する分析装置を提供する。通常、分析装置には複数のセンサーが設けられ、興味のある反応の多次元リアルタイム分析を可能とする。
分析装置は、反応器具内または反応器具の傍に、正確で、再現性があり、自己校正できるセンサーの配置可能とするように構成されている。それによって、例えば後続の反応において同じ反応器具を使用したり、あるいは、後続の反応のために異なる場所で同様にまたは全く同一に構成された反応器具を使用したりする実験間で、正確に反応を監視することができる。
分析装置は複数のセンサーを有していてもよく、そのセンサーにより、リアルタイムに別個のまたは補完的な分析データを提供する。これにより、分析中の反応についての化学的なテレメトリーを提供する。反応空間またはヘッドスペースの分析のため、センサーは反応器具の反応空間またはヘッドスペースに設けられてもよく、または、センサーは反応器具の傍に設けられてもよい。
分析装置は、複数の反応を分析するために、別の分析装置とともにネットワーク内に含まれてもよい。そのネットワークは、反応条件を最適化するため、反応由来のデータを発展させてもよい。そのデータを使って、興味のある反応の予測モデルを開発することもできる。好都合なこととして、分析装置はネットワークオペレーターに対するリアルタイムフィードバックを可能とする。このネットワークオペレーターは、監視された化学システムにおける反応進行について深く理解することができる。
本発明の第一側面として、反応フラスコなどの反応器具用の分析装置が設けられる。分析装置は、例えば3つ以上の反応センサーなどの、少なくとも複数の反応センサーを備える。分析装置は、反応容器などの反応器具の反応空間や反応ヘッドスペースの分析のために複数のセンサーを配置するように構成されている。
通常、反応器具とは反応フラスコである。反応フラスコは丸底フラスコであってもよい。反応フラスコは例えば2つまたは3つなど、1つ以上の首部を有する。分析装置は反応フラスコの首部に配置するよう適合されている。分析装置は反応フラスコの内部に拡張可能であり、それによって反応フラスコの反応空間に反応センサーを配置することができる。
分析装置は、一つ以上の反応センサーを有してもよい。分析装置は、反応器具の反応空間や反応ヘッドスペースに複数のセンサーを配置するように構成されてもよい。通常、少なくとも1つまたは2つのセンサーが反応空間に配置される。
反応センサーは、温度センサー、pHセンサー、圧力センサー、伝導度センサー、UV-visセンサー、音響センサー、IRセンサー、加速度計、ホールセンサー、画像または動きセンサーおよび、温度センサー、pHセンサー、UV-visセンサーおよび圧力センサーから選択される1つ以上の反応センサーなどの電気化学センサーからなるグループから選択されてもよい。
分析装置は制御装置と無線または有線などで通信する。制御装置は分析装置に対して命令を送ったり、分析装置から得られた分析データを受信して保存したりしてもよい。
分析装置は、センサーの一つのセンサー素子と、センサーの電子回路などのセンサーの残りの部分との間に熱バリアを有していてもよい。この熱バリアは、センサー素子が比較的高温または比較的低温で反応混合物に曝される場合、センサーのその残りの部分、特に電子回路に対する熱保護として設けられる。また分析装置には装置を通じて熱を移動させるための熱シンクが設けられてもよい。それによって、センサーの電子化路などのセンサー部分やその傍など、装置内での不利な局所的温度変化を制限したり防いだりすることができる。
本発明の第二側面として、反応フラスコなどの反応器具と、本発明の第一側面による分析装置とを備える反応装置が設けられる。分析装置は反応器具の中または傍に延びて、反応器具の反応空間またはヘッドスペースの分析のための複数のセンサーを提供する。例えば分析装置は、反応器具の反応空間や反応ヘッドスペース内に複数のセンサーを配置するように構成されてもよい。
反応器具は反応フラスコであってもよく、分析装置は反応装置の首部によって保持されてもよい。分析装置は反応フラスコ内に延びて反応フラスコの反応空間に複数のセンサーを設けてもよい。
一実施例として、分析装置のセンサーが、反応フラスコなどの反応器具のヘッドスペースに設けられてもよい。
一実施例として、分析装置は、第2分析装置とともに提供されてもよい。第2分析装置は反応器具内に設けられ、分析装置と通信し、必要に応じて分析装置によって制御可能である。第2分析装置は、分析装置で使用するセンサーなどのセンサーを有する。第2分析装置は、反応器具の反応空間に設けることのできるスターラーバーに組み込まれてもよい。
本発明の第三側面として、本発明の反応装置を組み立てる方法が提供される。その方法は、本発明の第一側面の分析装置のセンサーを、反応器具の反応空間や反応ヘッドスペースなどの、反応器具内または反応器具の傍に配置するステップを備える。
その方法は、本発明の分析装置を反応フラスコなどの反応器具の首部内に挿入するステップを含んでもよい。
本発明の第四側面として、反応フラスコなどの反応器具における反応を分析する方法が提供される。その方法は、本発明の第二側面による反応装置を提供するステップと、反応混合物を反応器具内に提供するステップと、反応器具の反応空間およびヘッドスペースに配置された反応混合物の成分を含む反応混合物を分析装置で分析できるようにするステップとを備える。
本発明の第五側面として、反応を評価する方法が提供される。その方法は、本発明の第四側面による反応を分析し、それによって反応混合物の分析結果を得るステップと、反応混合物の分析結果を参考用の反応混合物の分析結果と比較するステップとを備える。
この反応を評価する方法は、その反応における参考用の反応との分析的差異をユーザーに示すことを付加的に含んでもよい。
本発明の第六側面として、反応フラスコなどの反応器具用の分析装置が提供される。分析装置は、センサー素子部とその他の部分とを有する少なくとも1つのセンサーを備える。センサー素子部とその他の部分との間に熱バリアが設けられている。その他の部分は、プリント回路板(PCB)などのセンサー用の電子回路であってもよい。
電子回路は、センサー素子から得られるデータを受信するように適合された部分であってもよく、それはまた制御装置にそのデータを伝達するように適合されていてもよい。この電子回路はまた、分析中にセンサー素子を制御しかつセンサー素子に電力を供給してもよい。熱バリアの存在により、センサー素子と電子回路との間の分析装置内に熱抵抗を提供し、それによって分析装置を使用しているときに、電子回路を加熱したり冷却したりするのを遅らせたり制限したりすることができる。したがって、仮にセンサー素子が電子回路の通常の作動範囲の上限を超えた温度に曝される場合であっても、電子回路は操作可能のままとなる。
一実施例として、熱バリアが気体熱バリアである。気体熱バリアにおける気体は、例えば20℃で測定したときに、大気圧、大気圧より高い圧力または大気圧より低い圧力で存在する。
さらなる実施例として分析装置には、熱バリアまたはセンサー部分と熱的連通する熱シンクが設けられてもよい。熱シンクは、金属片などの金属製の熱シンクであってもよい。熱シンクは、反応器具の外側に設けられる分析装置の一部と熱的連通してもよく、それによって周囲環境に熱移動したり周囲環境から熱移動したりすることができる。
また本発明の第七側面として、反応フラスコなどの反応器具と、本発明の第六側面による分析装置とを備える反応装置が提供される。分析装置は反応器具内に延びて、反応器具の反応空間内にセンサー素子を提供する。
ここで分析装置は、反応器具の反応空間または反応器具のヘッドスペースにセンサーを配置するように構成されている。反応器具は一つ以上の首部を有する反応フラスコであり、分析装置は反応フラスコの首部に保持される。
本発明の実施例のこれらおよび他の側面について、以下でより詳細に説明する。
図1は、(a)標準的な3つ口丸底反応フラスコと(b)本発明の第二側面の一実施例による反応装置の概略図である。この反応フラスコは、各首部に標準的なテーパ状の(クイックフィット)を有する。この装置は、本発明の第一側面の一実施例による分析装置とともに(a)の反応フラスコを備え、分析装置が反応フラスコの首部内に設けられている。 図2は、(a)本発明の第一側面の一実施例による分析装置と、(b)(a)の分析装置の分解バージョンの概略図である。 図3は、本発明の第七側面の一実施例による反応装置の概略斜視図である。この装置は、本発明の第六側面の一実施例による分析装置とともに反応フラスコ(例えば図1(a)に示したような)を備える。この分析装置は、反応フラスコの首部に設けられている。分析装置には空気チャンバーの形で熱バリアが設けられている。空気チャンバーは、センサーのセンサー素子とセンサーの電子回路との間に配置されている。 図4は、図3の反応装置と分析装置の概略図であり、反応チャンバーとセンサー素子に焦点を合わせた立面図で示されている。 図5は、本発明の第七側面の一実施例による反応装置の概略図である。この装置は、本発明の第六側面の一実施例による分析装置とともに、反応フラスコ(例えば図1(a)に示したような)を備える。分析装置は、反応フラスコの首部内に設けられている。分析装置には、空気チャンバーの形で熱バリアが設けられている。空気チャンバーは、センサーのセンサー素子とセンサーの電子回路との間に配置されている。熱バリアは、熱伝導性金属片の形で熱シンクと熱的連通している。
本発明は、反応フラスコなどの反応器具とともに使用するのに適した分析装置を提供する。この分析装置を使用して、反応器具内で行われる反応を特徴づけるデータを生成することができる。この反応プロファイルを、別の反応条件下で行われた反応についての反応プロファイルと組み合わせることで、調査対象の反応条件の理解を生み出すことができる。さらに、その反応プロファイルを使って反応の将来的なパフォーマンスを導き、例えば標準的な反応と比較して後の反応との間に分析的な差異があることを示すことができる。このように分析装置を使用することで、標準的な反応からの逸脱を示すことができる。また、分析装置を使用して、起こり得る反応の失敗を、例えば反応の初期段階で示すことができる。
反応器具
本発明の分析装置は、反応フラスコなどの標準的な反応器具や、より好ましくは標準的な実験用丸底フラスコなどとともに使用するのに適している。
反応器具は、反応混合物を保持するのに適した反応空間を有する。分析装置のセンサーは、反応混合物の分析のため、反応空間の内側または傍に配置される。また反応器具は、反応空間の上にヘッドスペースを有してもよい。分析装置のセンサーは、このヘッドスペースの内側または傍に配置されてもよい。
反応フラスコは、丸底フラスコ、三角フラスコ(平底フラスコ)またはフローレンスフラスコであってもよい。反応フラスコは通常、丸底フラスコである。
反応器具はまた、ガラスバイアルなどのバイアルであってもよく、分析装置のセンサーは、バイアルの内側または傍に配置するように適合されてもよく、例えばバイアルの内容物やバイアルの内容物の上のヘッドスペースの反応の監視を可能にする。
同様に、反応器具は、半多孔性のフリットを有する反応カートリッジなどの反応カートリッジであってもよい。反応カートリッジは通常、固相合成において利用される。分析装置のセンサーは、反応カートリッジの内側または傍に配置するように適合されてもよく、例えばカートリッジの内容物やカートリッジの内容物の上のヘッドスペースの反応の監視を可能とする。
一実施例として、バイアルまたはカートリッジは、例えば(ライブラリ合成などの)並列合成用に提供されるように、一連のバイアルまたはカートリッジで提供されてもよい。各バイアルまたは各カートリッジには、本発明による分析装置が別々に設けられてもよい。その代わりに、単一の分析装置にセンサーアレイが設けられてもよく、各センサーアレイは複数のセンサーを有する。ここで、個々のセンサーは各バイアルまたは各カートリッジ用に提供される。
フラスコなどの反応器具は、5ml,10ml,25ml,50ml,100ml,250ml,500mlまたは1000ml(1L)またはそれ以上の容量、好ましくは250mlまたは500mlの容量を有していてもよい。
丸底フラスコなどの反応フラスコは、少なくとも25mlの容量を有していてもよい。丸底フラスコなどの反応フラスコは、多くて500mlの容量を有していてもよい。
バイアルまたはカートリッジなどの反応器具は、0.1mL,0.3mL,0.5mL,1.0mL,1.5mL,2mL,4mL,5mL,7mL,15mLおよび22mLの容量を有していてもよい。バイアルなどの反応器具は、少なくとも1.0mlの容量を有していてもよい。バイアルなどの反応器具は、多くて5mlの容量を有していてもよい。
反応器具はガラス器具であってもよい。ポリマーベースの反応器具も使用することができる。通常、反応空間を形成する反応器具の壁部は、反応空間とヘッドスペースの簡単な外観検査を可能とするため透明である。壁部はIR、UVや可視光が透過可能であり、反応器具をIR、UVや可視光センサーとともに使用することを可能とする。これらのセンサーは、反応空間やヘッドスペースの内容物の分析のため、反応器具の傍に配置されてもよい。そのようなセンサーは、分析装置の構成要素であってもよく、または、本発明の装置ではない他の分析装置が設けられてもよい。
反応フラスコは、例えば2つまたは3つなど、一つ以上の首部を有していてもよく、これらは分析装置を受ける継手であってもよく、この装置に協働継手(cooperating joint)が設けられてもよい。通常、反応フラスコは2つ以上の首部を有する。分析装置は一つの首部に保持されてもよく、その他の首部を使って、例えば試薬、溶媒、触媒および気体などを反応フラスコに加えたり反応フラスコから除去したりすることができる。
各継手は円錐(台形(frusto))継手であってもよく、これは化学および生物学の反応フラスコとして標準的な継手である。反応フラスコの各首部は、例えば雌テーパ継手(ソケット)などの標準的な継手を有していてもよい。ここで分析装置には、雌継手に挿入するための雄継手(コーン)が設けられていてもよい。継手におけるテーパは標準的な1:10のテーパ比(「標準テーパ」)であってもよい。
継手は、5/20, 7/25, 10/30, 12/32, 14/35, 19/26, 19/38, 24/29, 24/40, 29/42, 34/45, 40/50 45/50, 50/50および55/50の継手からなるグループから選択することができる。好ましくは、継手は24/29または19/26の継手である。そのような継手は、例えば50ml以上など、25ml以上の容量を有する反応フラスコに日常的に使用される。
他の実施例として、反応器具がバイアルである場合などは、首部がスクリュートップ首部またはクリンプトップ首部であってもよい。ここで通常は、反応フラスコは首部を一つだけ有する。
反応器具がスクリュートップ首部を有する場合、分析装置には、反応フラスコのスクリュートップと相互作用するための適切なスクリューネックが設けられていてもよい。
反応器具がクリンプトップ首部を有する場合、分析装置には、反応フラスコのクリンプトップ首部と相互作用するためのクリンプシールが設けられていてもよい。
反応器具がガラス製の反応器具である場合、各継手はすりガラスの継手であってもよい。反応器具には、内部に含まれた反応混合物を攪拌するための手段が備えられていてもよい。これはスターラーであってもよい。
反応器具には、例えば磁気スターラーバーなどのスターラーバーが設けられていてもよい。ここで、反応器具にはまた、磁気スターラーバーを制御するための磁気スターラーが一緒に設けられていてもよい。スターラーバーそれ自体はまた、第2分析装置であってもよく、それが本発明の分析装置と無線通信でき、スターラーバーは必要に応じて分析装置によって制御可能である。制御装置が存在する場合、スターラーバーは制御装置と通信してもよく、スターラーバーは必要に応じて制御装置によって制御可能である。
反応器具には、オーバーヘッドスターラーが一緒に備えられていてもよい。ここで、攪拌パドルが反応器具内に配置され、このパドルが攪拌ロッドによって回転されるように移動される。攪拌ロッドはそのパドルと反応器具の上に配置されたモータとに接続されている。そのようなオーバーヘッドスターラーは、反応混合物が高粘度を有する場合に、反応のための大規模な調整方法においては一般的である。これはスターラーバーと比べて、オーバーヘッドスターラーを効果的に操作するために必要となる器具の量に起因して、本ケースのシステムおよび方法ではあまり好ましくない。
反応器具には、反応器具をその内容物と一緒に攪拌するため、例えばオービタルシェーカーなどのシェーカーも一緒に備えられてもよい。これは丸底フラスコなどの反応フラスコにとってはあまり好ましくない。これはバイアルおよびカートリッジなどの反応器具にとってはより好ましい。
一実施例として、反応器具は反応混合物を保持し、分析装置を使って反応混合物における変化を経時的に監視することができる。この反応混合物については以下でより詳細に説明する。
反応器具には、反応空間に成分を供給したり、反応空間から成分を取り除いたりするための従来型の装置が追加的に設けられてもよい。したがって反応器具には、不活性ガスまたは反応性ガスを供給するためのガス管、液体を供給するための滴下漏斗、シリンジポンプまたは隔膜が設けられていてもよい。反応器具には、反応器具の反応空間から材料を解放するため、例えば止めコックなどのバルブが設けられていてもよい。
分析装置は、本発明の分析器具の一部として、例えば反応器具と一緒にドラフト内に配置されていてもよい。
本発明のさらなる実施例として、反応器具それ自体が、反応器具の壁部の内部などにセンサーの一部を組み込んでもよい。特に、反応器具はセンサー素子などのセンサーの一部を組み入れてもよく、その一部が反応空間またはヘッドスペースに曝される反応器具の一部に設けられてもよい。
センサーの一部が反応器具内に備えられている場合、そのセンサーは分析装置内に備えられたセンサーの一部と通信可能である。分析装置が反応器具に設けられたとき、分析装置は反応器具内のセンサーの一部と通信する。
一例として、反応器具は、反応器具の反応空間に曝された壁の内部に設けられる電極を組み入れてもよい。分析装置には、その電極と電気的に接触する電気回路が設けられていてもよく、それによって反応器具内の反応混合物の電気化学分析が可能となる。
分析装置―複数のセンサー
本発明の一側面として、分析装置には、反応混合物の分析のための複数のセンサーが設けられている。通常、このセンサーは2つ以上のセンサーを有し、好ましくは3つや4つなどの2つ以上のセンサーを有する。しかしながら分析装置が5つ、6つ、7つまたは8つかそれ以上のセンサーを有してもよい。
反応器具とともに使用するもので、当業者に知られている分析装置の多くは、単一のセンサーのみ備える。通常、分析装置は反応器具の首部に保持されてもよく、これにより単一のセンサーが反応空間またはヘッドスペース内の環境を分析できるようになっている。ユーザーが複数のセンサーを使用したい場合、各センサーは別々の分析装置内に備えられ、各装置は反応フラスコの首部内に別々に保持される。フラスコ内の利用可能な首部の数は限られており、おそらく合計で3つ以下であろう。これらのうちの一つ以上は、例えば添加装置(addition apparatus)などの他の反応装置で使用する必要になるかもしれない。このため使用できる分析装置の数はさらに限られる。
Alaouiらは、分析装置を反応フラスコの各首部に保持する反応フラスコを示している。複数のセンサーを保持する単一の分析装置については何も言っておらず、その装置はフラスコの一つの首部に配置されている。
さらなる例として、CN206065562は、反応容器の一つの首部が温度モニターを保持する反応フラスコを開示している。その他の首部は反応装置によって占められている。CN204544169、CN203678359、およびCN206056822も、反応容器の一つの首部が単一の温度センサーを保持する反応フラスコを開示している。
他の状況として、複数の独立した分析装置が反応フラスコの単一の首部に配置されていてもよい。ここで、装置の配置は、混み合いのせいで厄介となる可能性があり、各装置内の個々のセンサーの配置は最適ではない可能性がある。フラスコ内において適切に配置するためには、各センサーは個々に配置されなければならない。
例えば、US5380485は、pHセンサーと水位センサーとを反応フラスコの首部内に有する反応フラスコを示している。これらのセンサーは同じ分析装置の一部ではなく、それぞれ独立して設けられている。
WO2010/135377は、バイオリアクターである反応フラスコを開示している。このリアクターは単一の開口部(首部ではないように見える)を有し、この開口部にはpHメーター、レドックスプローブ、酸素プローブおよびサンプラーが配置されている。しかしながら、これらのセンサーはすべて同じ分析装置の一部というわけではなく、互いに独立して示されている。
JPH10-187251は、反応フラスコの首部を通して複数のセンサーを配置することを示している。これらのセンサーはすべて同じ分析装置の一部というわけではない。その代わりに、各センサーは、首部に配置された隔膜を通して反応フラスコに個別に挿入されなければならない。
CN201903537は一見したところ、同じユニット内に温度センサーとpHセンサーとを含む分析装置について説明している。しかしながら、この文書では、分析装置において3つ以上のセンサーを使用することについて開示も示唆もされておらず、反応ヘッドスペースまたは環境に関連してそれらのセンサーを配置することについての議論もない。
概してセンサーは限定されない。しかしながら、センサーは、pHセンサー、音響(音)センサー、IRセンサー(IR分光計)、カラーセンサーまたは光度(輝度)センサーを含むUV-visセンサー(UVや可視光の分光計)、圧力センサー、温度センサー、加速度計、ホールセンサー、動きセンサー、静止画や動画などの画像センサー、伝導度センサー、電気化学センサー(レドックスセンサー)、重力センサー、加速度計、および界面センサー(たとえば、定位置に固定された面(captive surface)の測定を利用する)からなるグループから選択できる。
分析装置は、pHセンサー、音響センサー、IRセンサー、圧力センサー、温度センサー、画像センサー、伝導度センサーおよび電気化学センサーからなるグループから選択される1つ以上、例えばすべてのセンサーを有していてもよい。複数のセンサーは、このグループから全て選択されてもよい。
分析装置は、pHセンサー、伝導度センサー、静止画または動画などの画像センサー、IRセンサー(IR分光計)、カラーセンサーまたは光度(輝度)センサーを含むUV-visセンサー(UVや可視光の分光計)および音響(音)センサーからなるグループから一つ以上、例えばすべて選択されてもよい。複数のセンサーは、このグループから全て選択されてもよい。
一実施例として、分析装置は温度センサーとpHセンサーとで構成されていない。
分析装置で使用するセンサーは、通常、市販のセンサーである。センサーは本質的にモジュール式であってもよく、分析装置間で簡単に交換するのに適しているので、特定の用途でセンサーの変更が必要な場合でも分析装置に大きな変更を加える必要がない。
通常、分析ユニットの各センサーは異なる。例えば分析装置には、温度センサーおよびpHセンサーが設けられてもよい。あるいは、温度センサー、カラーセンサー、光度センサーおよび圧力センサーが設けられていてもよい。あるいは、動きセンサー、IRセンサーおよびUVセンサーが設けられていてもよい。あるいは、音響センサー、画像センサーおよび界面センサーが設けられていてもよい。
しかしながら、場合によっては同じセンサーが2つあってもよい。これらは反応容器の異なる領域を分析するために設けられてもよい。例えば反応中に物理的・化学的性質の変化が反応混合物を通して予想される場合、反応空間内に含まれる反応混合物の異なる領域などに設けられてもよい。また、反応空間における反応混合物やヘッドスペースから同じタイプのデータを収集する場合にも、同じタイプの複数のセンサーが設けられてもよい。以下でさらに詳細に説明するように、センサーは周囲環境からデータを収集するために設けられてもよく、これらのセンサー由来のデータを使って、反応空間およびヘッドスペースの環境からデータを収集する同様のセンサー由来のデータと比較してもよい。
pHセンサーがある場合、例えば少なくともpH1~13の範囲内、好ましくは0.5以下の分解能でpHを測定するのに適していてもよい。pHセンサーは、可変のサンプリングレートが可能であってもよい。pHセンサーは1秒あたり少なくとも10回読み取り(readings)のサンプリングレートが可能であってもよい。pHセンサーは通常、水性混合物のpH測定用に提供される。pHセンサーは、反応混合物の開回路を測定できる。
温度センサーがある場合、-10~300℃や-100~300℃など、少なくとも0~100℃の範囲内の温度を測定するのに適しており、0.1℃以下の分解能であることが好ましい。温度センサーは、可変のサンプリングレートが可能であってもよい。温度センサーは1秒あたり少なくとも10回の読み取りのサンプリングレートが可能であってもよい。
圧力センサーがある場合、それは反応器具の内側と外部環境との間の圧力差を測定するのに適したものであってもよい。圧力センサーは、少なくとも10Paから2MPaの範囲内で圧力を測定するのに適したものであってもよい。
音響センサーがある場合、それは例えば固形物などの材料を添加したことを検知したり、反応空間を検知したり、例えば結晶化や沈殿などのイベントの相転移に関連する音響信号を検知するのに適したものであってもよい。また、この音響センサーにより、反応空間の充填レベルを測定したり、反応空間に加えられた材料を特徴づけたりすることができる。
本発明で使用するセンサーは、使用中および使用していないときに低消費電力のものを選択してもよい。例えば、使用中の電力消費が最大で1.2mWであるもの。例えば使用していない状態での消費電力が、最大で0.5mW、最大で0.2mWなど、最大で1mWであってもよい。
分析装置には、電力供給装置などの、センサーとともに使用する部品を保持するためのハウジングや、収集したデータを制御装置に伝達するための通信装置が設けられている。これは無線または有線の通信装置であってもよい。
センサーは、反応フラスコの反応空間やヘッドスペースなどの局所環境と接触するための露出したセンサー素子を有していてもよい。センサーは、使用時に反応器具とともに配置されるハウジングの一部などの、ハウジングの外面に配置されてもよい。センサーの他の部分は、ハウジング内に密閉されるなど、ハウジング内に保持されてもよく、センサー素子は電気通信などでそれらの部分と通信してもよい。
センサーは、使用時に反応器具とともに配置されるハウジングそれ自体の一部など、ハウジング内に配置されてもよい。ハウジングにより、検出可能な信号を反応空間またはヘッドスペースから内在センサー(internalised sensor)へと伝達可能である場合、センサーは反応器具の反応空間またはヘッドスペースを分析することができる。
例えば、内在センサーはIRセンサー(IR分光計)や、カラーセンサーや光量(輝度)センサーを含むUV-visセンサー(UVや可視光の分光器)などの、分光センサーであってもよい。ここでハウジングは、検出される電磁放射線を透過させる壁部、または、壁部内の窓部を有してもよい。
同様に、ハウジングは、反応空間またはヘッドスペースから内在センサーに音響信号を送信可能にすることができる。
分析装置のセンサーは、反応容器の反応空間またはヘッドスペースを分析するための反応器具の内部または傍に配置される。
好ましくは、二つ以上などの、一つ以上のセンサーが反応器具内の反応空間またはヘッドスペース内に設けられる。
分析装置は、好ましくは首部を有する反応フラスコとともに使用できるよう構成されており、分析装置は反応フラスコの首部に部分的に配置され、かつ、保持されてもよい。分析装置は、反応フラスコの首部によってしっかりと保持されてもよい。例えば雌首継手などの首部と、雄継手などの分析装置の協働部分との相互作用によって保持されてもよい。
したがって、一実施例として、分析装置には、反応フラスコの雌継手などの継手と協働する雄継手などの継手が設けられる。分析装置の継手は、少なくともハウジングの一部を少なくとも囲むカラーであってもよい。
分析装置を保持する首部は、雌テーパ継手であってもよく、分析装置はその継手に保持されるように適合されてもよい。
CN201903537は、取付部材を含む分析装置を開示している。この部材は、テーパ状でなく、それゆえガラス器具などの反応器具内の標準的なテーパ継手とともに使用するには適さない。
分析装置の継手は、上述した反応器具の好ましい継手と協働する継手であってもよい。例えば分析装置の継手は雄継手であってもよく、好ましくは、これは24/29または19/26継手などの雌継手と協働するものであってもよい。それぞれの継手はすりガラス継手であってもよい。
一実施例として、継手はハウジングに対して移動可能である。このように、センサー素子に対する継手の位置を調整することができ、これによりセンサーの配置を調整可能にできる。このようにして、同じ反応器具内の異なる位置にセンサー素子を配置できるように分析装置が適合されてもよい。また、異なるデザインや容積を有する反応フラスコなどの異なる反応器具内において、適切な位置でセンサーを配置できるように分析装置が適合されてもよい。
分析装置には、ハウジングの上などに適切な印が設けられてもよく、異なる形状および異なる大きさの反応フラスコに適合するために、継手が印のついた位置間を移動できるようにすることができる。
分析装置のハウジングと継手との間の接続部は密閉されてもよく、それによってこの継手を介して気体および液体が反応器具から移動するのを妨げることができる。ハウジングと継手との間を適切に密閉してもよい。
分析装置の継手と分析フラスコの継手との間の接続部は密閉されてもよく、それにより継手を介して気体および液体が反応器具から移動するのを防ぐことができる。ここで、その密閉は両方の継手のすりガラス結合により設けられてもよい。
少なくとも1つの、例えば2つのセンサーが、反応器具の反応空間に設けられ、かつ、その空間において反応器具によって保持される反応混合物と接触可能となるように、分析装置が反応器具内に設置されるように適合されてもよい。
通常、分析装置の一つのセンサーが反応器具の反応空間内に設けられ、2つ以上のセンサーが反応器具の反応空間内に設けられてもよい。
必要に応じて、例えば反応混合物の上方の領域の性質を測定するため、分析装置の一つのセンサーが反応器具のヘッドスペースに設けられてもよい。例えば、圧力センサーがヘッドスペースに設けられて、反応中の圧力と圧力の変化とを分析してもよい。
反応混合物を攪拌するためのスターラーまたはパドルの位置よりも上方に本発明の分析装置が配置されるように、分析装置は反応器具内に配置されるように構成されてもよい。したがって本発明の分析装置は、反応混合物を攪拌するためのスターラーまたはパドルの動作を妨げない。
必要に応じて、分析装置には、反応器具の外側に配置された一つ以上のセンサーが設けられてもよい。そのようなセンサーは、反応器具内の環境と比較するため、周囲環境を分析するために設けられてもよい。例えば、この目的のために温度センサーや圧力センサーが設けられてもよい。そのようなセンサーは、使用中に反応器具の外側に保持されるハウジングの表面に配置される、センサー素子を備えたハウジング内に設けられてもよい。
分析装置のセンサーは、内部の反応空間または内部のヘッドスペースの分析のため、反応器具の外側に設けられてもよい。通常、反応器具の外側に配置されるセンサーは、IRセンサー(IR分光計)、UV‐visセンサー(UVや可視光分光計)などの分光センサーであり、カラーセンサーまたは光度(輝度)センサーを含む。ここで、反応器具は壁部または壁部内に窓部を有し、これは検出される電磁放射線を透過させる。このセンサーは、反応器具と密着または接触して、反応器具の傍に配置されてもよい。
分析装置のセンサーは、少なくとも部分的に、反応器具の壁部内などの反応器具内に設けられてもよく、その結果、センサーが反応器具の反応空間またはヘッドスペースに曝されてもよい。ここで、反応器具はセンサー素子の一部として一つ以上の電極を組み込んでもよい。この電極は、反応器具の外側に配置されるセンサー素子の別の部分と電気的に接続可能である。
分析装置には、バッテリーなどの電源が設けられてもよい。電源はセンサーの各々に電力を供給できる。また電源は、データの無線送信など、分析装置から制御装置にデータ送信のための電源を供給してもよい。電源がある場合、一連の反応の間、例えば少なくとも12時間、例えば少なくとも24時間、例えば少なくとも48時間、センサーに電力供給するのに十分である。
分析装置には、例えば制御ユニットに送信する前に分析情報を保存するためのメモリ装置が設けられてもよい。制御装置がある場合、これにも例えばデータをネットワークに送信する前に、分析ユニットから送られる分析情報を保存するためのメモリ装置が設けられていてもよい。
分析装置が電源を有する場合、電源にもUSBやマイクロUSBコネクタなどの電気コネクタなど、電源を充電するための手段が備えられてもよい。その電気コネクタには、コネクタが実験室の環境に曝されないようにするための取り外し可能なカバーが設けられてもよい。その代わりに、分析装置は無線で再充電可能であってもよい。
別の実施例として、分析装置用の電源が、分析装置が電気通信できる制御装置によって供給される。
電源、無線通信機およびメモリ装置はハウジング内に設けられてもよく、分析装置が反応器具と組み合わされたときに、それらは反応器具の外側に配置されるハウジングのその部分に設けることができる。
さらなる実施例として、分析装置には、例えば反応混合物が保持された反応空間またはヘッドスペースから試料を取り除くなど、反応器具から試料を取り出すためのサンプラーが設けられてもよい。この試料は、分析装置の制御下で反応器具から取り出すことができ、それゆえユーザーの介入は必要とされない。
抽出された試料は、分析のために一つ以上の外部の分析装置に提供されてもよい。例えば試料は、LCMSまたはGCMSなどの質量分析による分析、または1Hまたは13C NMRなどのNMRによる分析のために取り出されてもよい。関連する分光計を本発明の分析装置に収容するのが実際的でない状況下では、サンプリング戦略が反応混合物の分析にとって有用である。ユーザーはサンプラーによって、反応器具内で行われる反応について付加的な化学情報を得ることができる。
分析装置には、装置における電源の充電状態を示すインジケーターが設けられてもよく、例えばバッテリー電源のフル充電、少ない充電量または充電中などを示す。
同様に分析装置にも、分析装置のセンサーと制御装置との通信状態を示すインジケーターが設けられてもよい。例えばその装置から制御装置に無線で通信することを示す。
インジケーターが設けられる場合、これは通常、LEDなどの光インジケーターであり、これはハウジングの外面に設けられる。
この分析装置は、分析装置を保持するケースとともに、必要に応じて分析装置に電力供給する充電器とともにキットとして提供されてもよい。説明書が分析装置に備えられてもよい。このキットは必要に応じてさらに、本明細書で説明した反応フラスコなどの反応器具を備えてもよい。
分析装置‐熱バリア
本発明の別の側面として、反応フラスコなどの反応器具用の分析装置が設けられる。分析装置は、センサー素子部とその他の部分とを有する、少なくとも一つのセンサーを備える。熱バリアがセンサー素子部とその他の部分との間に設けられる。その他の部分は、プリント回路板などのセンサー用の電子回路であってもよく、これはセンサー素子と通信する。
使用時に、分析装置は、非常に高温または非常に低温で反応混合物に曝されてもよく、反応手順によっては極高温と極低温との間を推移してもよい。多くの標準的なセンサーで使用される電子回路は、制限された温度動作範囲を有し、範囲外での性能は信頼性が無く、予測不能である。例えば通常のプリント回路板は、-20℃から60℃の間でのみ確実に動作可能とみなされる。したがって分析装置の動作は、装置内のセンサーが電子回路の標準的な温度動作範囲外での使用に適合されていない限り、これらの適温で実施される反応に制限されてもよい。-20℃から60℃の範囲で動作可能なセンサーは、報告された反応手順の約60%でのみ使用されている。一方で、-80℃から200℃の範囲で動作可能なセンサーは、報告された反応手順の約98%で使用されている。
分析装置は、一つ以上のセンサー、例えば複数のセンサーを備えてもよい。各センサーは、本発明の第一側面の分析装置について上述したセンサーであってもよい。最も好ましくは、装置が3つ以上のセンサーを有する。分析装置は、上述したように複数のセンサーを有する分析装置であってもよい。
分析装置は、反応器具の反応空間内および必要に応じて反応器具のヘッドスペース内に一つ以上のセンサーを配置できるように構成されている。反応器具は一つ以上の首部を有する反応フラスコであり、分析装置は反応フラスコの首部内に保持される。反応フラスコなどの反応器具内に配置するための分析装置の構成は、本発明の第一側面の分析装置について上述した通りのものであってもよい。
本願の発明者は、センサーの部分間に熱バリアを挿入し、それによって、センサーのそれらの部分間での熱移動を制限したり妨げたりすることができるということを確立した。したがって熱バリアは、曝されるセンサーの部分であるセンサーのセンサー素子と、電子回路などのセンサーのその他の部分との間に設けられてもよい。センサー素子はセンサーの残りの部分と、電気通信などの通信状態を維持する。
熱バリアは、センサー素子から、センサーの電子回路などの残りの部分への熱伝導を防いだり制限したりする任意の材料または材料の組み合わせであってもよい。
一実施例として、熱バリアはセンサー部分間に保持される流体、通常は気体によって設けられてもよい。ここで、その気体は、空気、気体の別の混合物、または窒素、アルゴン、キセノンなどの単一の不活性気体であってもよい。気体の熱バリアは、チャンバー内に設けられてもよく、内部に含まれる気体は、例えば20℃で測定したときの大気圧または大気圧より低い圧力など、大気圧、大気圧より高い圧力、大気圧より低い圧力で設けられてもよい。チャンバーは通常、密閉チャンバーである。
一実施例として、熱バリアは、センサー部分間に配置された固体の断熱材によって提供されてもよい。
分析装置内の熱バリア材料の量は、分析装置への熱移動、分析装置からの熱移動、分析装置を通した熱移動を最小化するために最大量にしてもよい。
熱バリアの存在は、センサーのセンサー素子で用いられる材料が良熱伝導体であり、そのため、センサー素子それ自体が反応混合物から分析装置の内部部分へと熱伝導するということを考慮すると特に重要である。例えば、分析装置に伝導度センサーが設けられている場合、その伝導度センサー用のセンサー素子は通常、金などの導電性表面であり、そのような表面は通常、良熱伝導体でもある。
反応チャンバー内の反応混合物または反応ヘッドスペースと接触することが必要なセンサー素子によって経験される熱の強襲(thermal assault)に、感熱性部分が曝されるのを最小化するため、電子回路などのセンサーの感熱性部分をできるだけセンサー素子から離れて配置するのが好ましいということは明らかであろう。しかしながら、当然理解できることであるが、センサー素子の動作のために、反応フラスコ内に配置される分析装置の一部の内部に電子回路を配置する必要もあるかもしれない。このため、これらの部分は何らかの形態の熱の強襲に曝されるであろうし、任意の著しい熱暴露を最小化したり防いだりするために適切な熱バリアが設けられる。
分析装置のハウジング用の材料は、低い熱伝導度を有する材料を含んでもよい。この材料は、反応器具の反応チャンバー内の反応混合物から、分析装置の内部部品への熱の移動を制限することができる。使用する材料の例として、ガラスおよびセラミックスを含む。特に好ましい実施例として、その材料は石英ガラスである。
分析装置の内部部品は、センサー素子からその関連するプリント回路板などの電子回路への装置内での熱移動を最小化するように設けられ、配置されてもよい。例えば分析装置の部品は、ハウジングから直接的に内部部品への熱移動を最小化するため、ハウジングから間隔をあけて配置されてもよい。
さらに、分析装置内の、分析装置内の部品の断面積は、反応器具内に配置された装置の一部から、反応器具の外側に配置された反応器具の一部への、分析装置を通した熱伝導度に影響を与えるように選択されてもよい。
例えば、分析装置内の部品の断面積を最小化することによって、その後の装置全体にわたる熱移動を最小化するが、その代わりに例えば熱シンクと熱的連通する装置を通した熱移動を促進し、装置内の温度変化、特に分析装置の電子回路内の温度変化を最小化することができる。
反応器具の反応空間に拡張する分析装置の部分に熱伝導度の低いハウジング材料が設けられてもよい。
分析装置には熱シンクが設けられてもよく、そのような熱シンクは熱バリアがある場合に熱バリアと熱的連通していてもよい。熱シンクにより、熱バリアへの熱移動または熱バリアからの熱移動を可能とし、電子回路などのセンサーの他の部分に対する温度変化を制限したり防いだりすることができる。熱シンクは、反応器具の外側に設けられる分析装置の一部と熱的連通してもよい。したがって熱シンクは、分析装置から周辺環境への熱移動を可能にするように適合されてもよい。
熱シンクは、一つ以上のセンサーと熱的連通してもよい。したがって熱シンクにより、センサーへの熱移動またはセンサーから熱移動が可能となり、センサーに対する温度変化を制限したり防いだりすることができる。
熱シンクは金属片などの金属製の熱シンクであってもよい。熱シンクに使用する金属の例として銅およびアルミニウムなどを含み、それ以外では銅が好ましい。
熱シンクへの熱移動または熱シンクからの熱移動は、反応器具の外側に配置された分析装置の一部における熱シンクの表面積を増やすことにより増進できる。熱シンクの一部は、雰囲気へまたは雰囲気から熱を直接的に移動させるため、分析装置の外面に設けられてもよい。その代わりに熱移動は、熱シンクと接触するなどして熱的連通して設けられる分析装置のハウジングを通して起こってもよい。
例えば表面積、体積または質量によって測定される、熱シンクのより大部分が、反応器具の外側に設けられる分析装置の一部に配置されてもよい。この配置では、熱シンクの周囲環境への露出が増加し、その結果、熱散逸が増加する。
場合によっては、分析装置のセンサーが、すぐれた熱伝導度を有するセンサー素子を含んでもよく、これらのセンサー素子によって分析装置への熱移動または分析装置からの熱移動が可能となる。例えば本発明の実施例によっては、分析装置が電気化学センサーを備えてもよく、それは一つ以上の、例えば2つまたは3つの銅または銀の電極などの金属電極を備えていてもよい。熱バリアや熱シンクは、それらのセンサー素子からセンサーの他の部分または分析装置の他の部分に熱が移動しないように設けられてもよい。
分析装置は、複数のセンサーを有していてもよく、したがって熱バリアが本発明の第一側面による分析装置内に存在していてもよい。したがって、本発明の第六側面の分析装置、および本発明の第七側面の分析器具について、第一側面による分析装置および第二側面の分析装置と同様に用いることができる。
分析器具
本発明の分析器具または反応装置は、反応器具とともに、必要に応じて分析装置と通信する制御装置とともに、本発明の分析装置を備える。
分析装置と反応器具は、反応器具の反応空間やヘッドスペースの内部または傍に分析装置のセンサーを設けられるように接続されている。
上で説明したように、分析装置は反応器具の継手に保持されてもよい。分析装置と反応フラスコとの間の継手には、例えば圧力が変化する場合に部品が動くのを防ぐために、当技術分野で知られるような留め具が設けられてもよい。
好ましくは、分析装置は反応器具それ自体によって支持されてもよい。反応器具が比較的小さい場合、または比較的不安定な場合、分析装置用の支持部を設けてもよい。
装置は、例えばスターラー、ホットプレート、加熱槽または冷却槽などの反応器具内で反応を行うための標準的な装置を付加的に備えていてもよい。
反応を監視するために、分析装置を一つ以上の付加的な分析装置と組み合わせて用いてもよい。これらの付加的な装置は、それらのセンサーとともに反応器具の外側に配置されてもよい。
分析器具はさらに、分析装置と通信する制御装置を含んでもよい。制御装置は分析装置と無線通信など有線または無線で通信できる。
制御装置は、分析装置を操作したり分析装置からきた分析データを受信して保存したりするように適切にプログラムされた標準的なコンピューターであってもよい。
上記のように、制御装置は本発明の分析装置と通信する。さらなる実施例として、それぞれの装置が本発明の装置である場合、制御装置は複数の分析装置と通信できる。したがって制御装置は複数の分析装置とともにネットワークを形成することができ、それぞれの分析装置が例えば異なるドラフトや異なる実験室などの、異なる場所に配置されてもよい。分析装置はネットワークを介して制御装置と通信できる。制御装置それ自体がネットワークを通じて通信する複数のコンピューター装置であってもよい。
制御装置はまた、本発明の装置ではない一つ以上の分析装置と通信してもよい。そのような装置は、例えば装置に反応パラメータを記録するための適切なセンサーが設けられていない場合、本発明の装置によっては得られない分析データを提供できる。したがって、これらの他の装置は、本発明の装置を補完するために用いられてもよい。
制御装置は、分析装置から集められた分析データを保存したり表示したりするのに適している。またそれは、同じ反応器具で行われた複数の反応や、異なる反応器具で行われた複数の反応などの、複数の反応から得られた分析データを比較するように適切にプログラムされてもよい。
したがって、分析器具はまた、分析装置によって記録データを表示するためのディスプレイを含んでいてもよい。
制御装置には、ユーザーによって分析装置を制御するためのユーザーインターフェースが設けられてもよい。
分析器具には、分析装置(ここでは第1分析装置と呼ぶ)とともに使用する第2分析装置が付加的に設けられてもよい。第2分析装置は、例えば反応フラスコの反応空間内に配置されるような、反応フラスコ内に配置される一つ以上のセンサーを有する。
第2分析装置を使って第1分析装置を補完したり補足したりすることができる。第2分析装置は第1分析装置に含まれないセンサーを有してもよい。したがって、第2分析装置は分析中の反応について付加的な分析情報を提供することができる。第2分析装置は第1分析装置と共通するセンサーを有していてもよい。したがって第2分析装置は、第1分析装置によって収集されたデータに対する確認データを提供することができる。
第1分析装置のセンサーと共通する第2分析装置のセンサーは、反応フラスコの反応空間において他のセンサーから空間的に離れて配置されてもよい。ここで、第2分析装置を使って、反応空間全体にわたる反応混合物の化学的・物理的性質の違いを示すことができる。例えば、第1および第2分析装置が温度センサーを有する場合、これらのセンサーを使って反応混合物内の温度勾配の存在を示すことができる。
第2分析装置は、第1分析装置と無線通信などで通信してもよい。例えば、第2分析装置の一つ以上のセンサーによって集められたデータは、制御装置に対する通信のため、第1分析装置に送信されてもよい。
第1分析装置はまた第2分析装置を制御してもよい。したがって、第1および第2分析装置は互いに通信するように適合される。
第2分析装置は、スターラーバーなどのスターラー内に収容されてもよい。ここで、第2分析装置は、反応空間内の反応混合物と密接に接触することができる。
第2分析装置には、一つ以上のセンサーに電力を供給するための電源が設けられてもよく、必要に応じて例えば第1分析装置に対してセンサーのデータを通信するための電力を供給することができる。
分析装置および反応装置の利用
本発明の分析装置は、反応装置内の反応の進行を監視するための反応装置の一部として設けられてもよい。その反応は化学的または生物学的反応であってもよい。
本発明の一側面として、反応フラスコなどの反応器具内の反応を分析する方法が提供される。この方法は、本発明の分析装置とともに反応器具を有する反応装置を提供するステップと、反応器具の反応空間内に反応混合物を提供するステップと、例えば経時的に、分析装置に反応混合物を分析させるステップとを備える。
本発明のこの方法を使って反応混合物における変化を経時的に分析することができる。これらの変化は、例えば共有結合や非共有結合が形成されたり破壊されたりしたことに起因する、新規生成物の形成や試薬の消費などの、化学変化であってもよい。これらの変化は、反応混合物の成分の結晶化などの物理的変化であってもよい。また本発明のこの方法を使って反応の分析プロファイルを生成し、温度、音および圧力における変化など、経時的に物理的パラメータがどのように変化したかを示すことができる。そのような分析プロファイルを使って、反応進行および反応結果を把握することができる。またそれらを使って他の反応プロファイルと比較し、反応結果における差異を把握することができる。
分析装置は、反応の開始から生成物の形成までや、反応完了までなど、少なくとも反応経路の一部にわたって動作することができる。分析装置を使って、複数のセンサーによって記録された分析データから得られる、反応のプロファイルを得ることができる。
したがって、例えばそのプロファイルは、反応過程の温度、反応混合物の色、pHおよび圧力の変化を示すことができる。その反応プロファイルは、反応空間内に含まれる反応混合物における変化だけでなく、ヘッドスペースにおける変化も記録することができる。
本発明の方法は、異なる反応条件下で複数回反応を行うこと、および、それぞれの反応のプロファイルを得ることを含んでもよい。各反応について反応結果は記録され、この反応結果を使って他の反応条件に対する特定の反応条件の有用性について評価することができる。例えば、反応結果は生成物の収量、反応速度、最大反応温度などの反応温度および純度等であってもよい。
反応は、反応温度、一つ以上の試薬の相対量および絶対量、溶媒および触媒などの一つ以上の条件において異なっていてもよい。
本発明の別の側面として、反応を評価する方法が提供されてもよく、この方法は上述のように反応を分析するステップを備え、それによって反応のプロファイルを得ることができ、その反応のプロファイルを参考反応(reference reaction)のプロファイルと比較するステップとを備える。この比較のステップは、反応の進行中にリアルタイムで行われてもよい。
ここで参考反応は、生成物の所望の収量などの所望の反応結果を有する最適化された反応であってもよい。
この方法において、ユーザーには、進行中の反応の起こり得る経過の表示が提供されてもよい。選択された反応プロファイルと参考反応のプロファイルとの間で比較することで、所望の反応結果からのその反応の逸脱を示すことができる。この情報により、ユーザーは、思い通りの反応結果となるようにその反応を適合させられるようになる。あるいは、この情報によりユーザーは、反応を完了させることなく反応を中止することができ、そのような反応完了は、反応が失敗である可能性が高い。
したがって、反応器具内の反応を分析する方法が提供される。その方法は、本発明による反応装置を提供するステップと、反応器具の反応空間内に反応混合物を提供するステップと、反応器具内の反応空間内の反応混合物を分析装置に分析させるステップと、必要に応じて反応器具のヘッドスペースを分析装置に分析させるステップとを備え、それによって反応の第1プロファイルを得ることができる。この方法はさらに、本発明による同じかまたは異なる反応装置において反応を繰り返すステップと、繰り返しの反応の第2データプロファイルの少なくとも一部を得るステップと、必要に応じて少なくともその一部を反応の第1データプロファイルのデータプロファイルと比較するステップとを備える。
ここで、反応プロファイルの一部とは、データプロファイルが第1反応について得られた反応経路の一部についてのみの分析データの収集物をいう。したがって、反応プロファイルの一部とは、第1反応において分析される反応の時間的経過の一部を指すこともできる。
第2反応の完全なデータプロファイルを収集する必要はなく、第2反応の起こり得る結果を決定するためには、データプロファイルの一部で十分である可能性がある。例えば最初の反応進行を分析することにより、ユーザーが反応生成物の同一性、収量、純度のうちの一つ以上を決定できるようにすることができる。これらが予想される結果または必要な結果から逸れる場合、ユーザーは、上記のように反応を完了させて精密に検査する必要なしに、初期段階で第2反応を中止することができる。
必要であれば、第2反応の完全なデータプロファイルを得ることもできる。
また本発明の方法により、分析装置によって記録されるような反応のプロファイルが、最適化された反応のプロファイルと同じ水準となるように、ユーザーが反応を適合させられるようにすることで、反応を最適化することも可能となる。
反応フラスコ内で行われる反応は、上述のように分析されてもよく、反応進行が、開発中の(developing)反応プロファイルの形式で、最適化された反応の反応プロファイルと比較されてもよい。この最適化された反応は、収量および純度などの一つ以上の都合の良い反応結果と関連するものであってもよい。
開発中の反応プロファイルが、最適化された反応プロファルのそれと一致する場合、ユーザーは反応結果が同じになるであろうと確信することができ、ユーザーは所望の結果を得るために、反応条件を調整する必要がなくなる。
しかしながら開発中の反応プロファイルは、最適化された反応プロファイルから逸脱する可能性がある。したがって、記録データは、反応混合物の開発中の化学的または物理的性質における差異を示している可能性がある。この差異は、準最適な反応生成物と関連している可能性がある。ユーザーはその反応を中止するか、あるいはユーザーは、それが最適化された反応プロファイルのそれに近くなるように開発中の反応プロファイルを変化させるために反応条件を変えることもできる。
例えば、最適化された反応と比べて反応中の温度が上昇するなどの変化がある場合、ユーザーは冷却するなどの反応温度を変えるためのステップを踏むことができる。これにより、初期のその反応プロファイルからの逸脱を受けて、開発中の反応プロファイルを最適化された反応プロファイルと一致するように戻すことができる。
第1パラメータについての反応に由来する記録データの分析は、ユーザーが第2の監視反応パラメータにおいて変化を起こすために反応条件を変更するための指標として用いることができる。それは例えば、その変化が第1パラメータにおける変化についても同様にもたらす可能性がある場合に用いることができる。例えば、適切に配置された圧力センサーからのヘッドスペースの圧力についての記録データは、ユーザーが反応温度を変えるための指標を提供することができ、例えば公正に適用される冷却または加熱によって反応温度を下げたり上げたりすることができる。記録された圧力値に対する加熱または冷却応答が適切となるように、適切に配置された温度センサーによって反応温度を監視することができる。反応温度の変化は、ヘッドスペースにおける圧力変化をもたらす可能性がある。
したがって、本発明の方法は、反応を起こすこと、および、分析装置の第1センサーを用いて第1反応パラメータについての反応プロファイルを得ること、その反応プロファイルを第1パラメータの閾値と比較することを含む。第1パラメータが閾値を超える場合、その後に反応条件を変更することにより、第2反応パラメータの反応プロファイルを変化させることができる。反応プロファイルにおけるその変化は、分析装置の第2センサーによって検出可能である。
他の選択
上記の実施形態のありとあらゆる互換性のある組み合わせは、あたかもありとあらゆる組み合わせが個別にかつ明示的に記載されているかのように、本明細書で明示的に開示される。
本発明の様々なさらなる側面および実施形態は、本開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
本明細書で使用される「and/or」は、2つの特定の特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示として、他の有無にかかわらず解釈されるべきである。例えば、「A and/or B」は、あたかもそれぞれが本明細書で個別に明確に述べられているかのように、(i)A、(ii)Bおよび(iii)AおよびBのそれぞれの具体的な開示とみなされるべきである。
特に文脈で指示しない限り、上記の特徴の説明および定義は、本発明の特定の側面または実施形態に限定されず、説明されるすべての側面および実施形態に等しく適用される。
次に、本発明の特定の側面および実施形態について、例として、上述の図を参照して説明する。
本発明の例示的実施例
本発明の第一側面の一実施例による分析装置が図1(下側)および2に示されている。本発明の第六側面の一実施例による分析装置が図3、4および5に示されている。
図1(上側)は、標準的な250mLの3つ首丸底フラスコを示している。このフラスコの首部は24/29テーパリング(tapering)の雌継手である。反応フラスコは、反応フラスコの右側の継手に保持されたねじ山付きクイックフィットアダプターとともに示されている。このねじ山付きアダプターは、雌継手と協働する雄継手を有する。このアダプターは、実験室ではありふれたものであり、通常は温度計、ブリード管、電極などを継手と連結するのに用いられる。この場合、図1(下側)に関連して以下でさらに詳細に説明するように、そのようなアダプターを分析装置の一部として用いて、反応フラスコに装置を連結させることができる。
丸底フラスコに配置される動くスターラーバーの予想される高さとともに適切な最大液面高さが示されている。予想されるスターラーバーの最大高さは、適切な最大液面高さとともに、反応フラスコ内に保持される反応混合物を監視するための反応センサーを配置するためのフラスコ内の領域を形成している(例えばセンサーが反応混合物内に浸される場合)。
図1(下側)は分析器具を示す。この分析器具は、本発明の一実施例による分析装置とともに図1(上側)の反応フラスコを備える。分析装置は4つのセンサーを有する。すなわち2つの温度センサーと、pHセンサーと、圧力センサーとを有する。これらのセンサーはハウジング内に設けられており、このハウジングには、分析装置を反応フラスコに固定するためのねじ山付きアダプターが取り付けられている。
分析装置には、データを分析装置から制御装置(図示せず)に通信するための無線通信装置(図示せず)および、センサーと無線通信装置とに電力を供給するための電源部(図示せず)が追加的に設けられる。
分析装置のハウジングは、電源部と無線通信装置とを保持するための上側ハウジングと、センサー素子を収納するための細長いプローブである下側ハウジングとを有する。このプローブは、一端部で上側ハウジングと接続されている。センサー素子は、上側ハウジングの部品と通信する。下側ハウジングは反応容器内に収容するためのものであり、ねじ山付きアダプターが取り付けられたハウジングの一部である。下側ハウジングは、反応フラスコの雌継手を通して挿入可能なように適切に適合されており、反応フラスコに取り付けられたときに、反応フラスコの反応空間に延びるように適切に細長くなっている。
温度センサーとpHセンサーのそれぞれには、反応空間内の反応混合物と接触するための、または、反応ヘッドスペースの分析のための、露出されたセンサー素子が設けられてもよい。
図1(下側)の分析装置には、2つの温度センサーと、pHセンサーと、追加的に圧力センサーとが設けられている。下側ハウジングは、温度センサーとpHセンサーとを保持し、各センサーのためのセンサー素子が上側ハウジングから遠位側にある下側ハウジングの一端部に設けられている。これにより、センサー素子を反応フラスコの反応空間に配置することができる。下側ハウジングにはさらに、温度センサーが設けられており、そのセンサー素子がハウジングの中間部分に設けられ、それによってセンサー素子を反応フラスコのヘッドスペース内に配置できる。
ハウジングの上側部分は圧力センサーを保持し、このセンサー用のセンサー素子は上側ハウジングの外面に配置されている。
図2は、本発明の一実施例による分析装置の側面図(左)と分解図(右)を示す。この装置は、図1(下側)で反応フラスコとともに示されている装置である。
図1(下側)および2に示される分析装置を反応フラスコに設けることにより、本発明の第二側面による反応装置の一実施例を提供する。
図3および4に示される分析装置を反応フラスコに設けることにより、本発明の第七側面による反応装置の一実施例を提供する。
図3は本発明の第六側面による分析装置の斜視図を示す。分析装置は反応フラスコとともに提供され、装置は反応フラスコによって保持され、かつ、反応フラスコ内に延びる。分析装置にはセンサーが設けられており、そのセンサーは、センサー素子部と、プリント回路板の形態の電子回路を含むその他の部分とを備える。センサー素子は、反応フラスコの反応空間内に配置するため、装置の外面に設けられる。
反応フラスコ内に配置される分析装置の一部は、ガラスなどの断熱材料で構成されてもよい。
分析装置は、センサーのセンサー素子と、センサーのその他の部分との間に熱バリアを備える。ここで熱バリアは、気体のバリアであり、より具体的には空気のバリアである。その空気は、密閉チャンバー内に、例えば20℃で測定したときの大気圧、あるいは大気圧より小さいかまたは大きい圧力で供給することができる。
図3の分析装置は、反応フラスコの反応空間内に配置される分析装置の一部を拡大して図4においてより詳細に示されている。
図3および4に示される装置のそれぞれには、温度センサーやpHセンサーなどの複数のセンサーが設けられてもよい。好ましくは、装置には3つ以上のセンサーが設けられ、これらはpHセンサー、音響センサー、IRセンサー、UV-VISセンサー、圧力センサー、温度センサー、画像センサー、伝導度センサーおよび電気化学センサーからなるグループから選択されるセンサーを含むことができる。
さらなる分析装置が図5に示されている。この装置は反応フラスコとともに提供され、装置は反応フラスコによって保持され、かつ、反応フラスコ内に延びている。図3および4の分析装置のように、図5の分析装置には気体バリアの形態の熱バリアが設けられる。
加えて、図5の装置には、気体熱バリアと熱接続(thermal connection)する熱シンクが設けられている。熱シンクは金属片であり、この金属片は反応フラスコの反応空間に位置する装置の一部から、反応フラスコの外側に位置する装置の一部まで、分析装置の長さ方向に沿って延びる。この配置において熱シンクは、熱を周囲環境から、または周囲環境へと移動させることができ、それによってプリント回路板などの電子回路の温度変化を制限したり防いだりすることができる。
熱シンクの大部分は、反応フラスコの外側に配置される(図示せず)。この種の配置により、熱を熱シンクから十分に散逸させられるようにする。例えばセンサー素子が反応容器内で高温に曝されているときに、熱シンクによって熱を電子回路から移動させる必要がある。同様に、センサー素子が反応容器内で低温に曝されているとき、周囲環境から電子回路へと熱を移動させるために熱シンクを用いることができる。
図5の分析装置には、単一のセンサーを設けてもよいが、これは好ましくない。したがって分析装置には、例えば3つ以上のセンサーなど、複数のセンサーが設けられてもよい。使用する好ましいセンサーは、pHセンサー、伝導度センサー、静止画または動画などの画像センサー、IRセンサー、カラーセンサーまたは光度センサーを含むUV-VISセンサー、音響センサーからなるグループから選択される。
このセンサーは、反応フラスコ内の反応混合物、反応ヘッドスペースや、反応器具の周囲環境などの反応器具の周りの環境の分析用に設けられてもよい。
参考文献
本発明および本発明が関係する最新技術をより十分に説明および開示するために、多くの刊行物が上記に引用されている。これらの参考文献のすべての引用を以下に示す。これらの参考文献のそれぞれの全体は、本明細書に援用される。
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Claims (22)

  1. 反応装置であって、反応器具と分析装置とを備え、
    分析装置は、ハウジングと、ハウジング内に配置される複数の反応センサーを備え、
    分析装置のハウジングは反応器具の反応空間内に、複数のセンサーを配置するように構成されており、
    反応器具は一つ以上の首部を有する反応フラスコであり、分析装置が反応フラスコの一つの首部内に保持されることを特徴とする反応装置。
  2. 請求項1に記載の反応装置であって、センサーのそれぞれが、pHセンサー、音響センサー、IRセンサー、UV-VISセンサー、圧力センサー、温度センサー、動きセンサー、画像センサー、伝導度センサー、電気化学センサー、重力センサー、加速度計、および相境界センサーからなるグループから選択されることを特徴とする反応装置。
  3. 請求項1または2に記載の反応装置であって、分析装置が3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つ以上の反応センサーを備えることを特徴とする反応装置。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の反応装置であって、センサーが同じものでないことを特徴とする反応装置。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の反応装置であって、反応フラスコが丸底フラスコであることを特徴とする反応装置。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の反応装置であって、反応フラスコが2つまたは3つの首部を有することを特徴とする反応装置。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の反応装置であって、反応フラスコが100、250または500mLなどの50~1000mLの範囲の容積を有することを特徴とする反応装置。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の反応装置であって、分析装置を保持する首部が雌テーパ継手であり、分析装置のハウジングがその継手に保持されるように適合されていることを特徴とする反応装置。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の反応装置であって、分析装置のハウジングが上側ハウジングと下側ハウジングとを備え、
    複数の反応センサーが少なくとも下側ハウジング内に配置されており、
    下側ハウジングが、反応フラスコの首部を通して挿入できる大きさとされており、かつ、反応フラスコの反応空間まで延びるように適切に細長くなっていることを特徴とする反応装置。
  10. 請求項1~のいずれか一項に記載の反応装置であって、スターラーバーをさらに備え、スターラーバーが反応フラスコ内に設けられ、分析装置がスターラーバーの高さよりも上方に配置されるなど、センサーがスターラーバーの高さよりも上方に配置されていることを特徴とする反応装置。
  11. 請求項10に記載の反応装置であって、スターラーバーにセンサーが設けられ、スターラーバーのそのセンサーが分析装置と通信し、スターラーバーが分析装置によって制御可能であり、および/または、スターラーバーが制御装置と通信し、スターラーバーが制御装置によって制御可能であることを特徴とする反応装置。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の反応装置であって、分析装置が、反応フラスコの反応空間から試料を取り出すためのサンプラーをさらに備えることを特徴とする反応装置。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載の反応装置であって、分析装置に、分析情報を保存するためのメモリ装置が設けられていることを特徴とする反応装置。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載の反応装置であって、分析装置と通信する制御装置をさらに備え、制御装置には分析情報を保存するためのメモリ装置が設けられていることを特徴とする反応装置。
  15. 請求項1~13のいずれか一項に記載された各反応装置を複数備える反応装置のネットワークであって、反応装置がネットワーク内の制御装置と通信することを特徴とするネットワーク。
  16. 請求項15に記載のネットワークであって、各々の反応装置が、別個のドラフトや、別個の実験室など、離れた場所に配置されていることを特徴とするネットワーク。
  17. 反応器具用の分析装置であって、分析装置がハウジングと、ハウジング内に配置される3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたは8つ以上の反応センサーなどの、少なくとも複数の反応センサーを備え、
    分析装置のハウジングが、反応器具の反応空間内に、その複数の反応センサーを配置するように構成されており、
    反応器具が、一つ以上の首部を有する反応フラスコであり、分析装置が反応フラスコの一つの首部内に保持されることを特徴とする分析装置。
  18. 請求項17に記載の分析装置であって、分析装置のハウジングが上側ハウジングと下側ハウジングとを備え、
    複数の反応センサーが少なくとも下側ハウジング内に配置されており、
    下側ハウジングが、反応フラスコの首部を通して挿入できる大きさとされており、分析装置が反応フラスコの首部に保持されたときに、反応フラスコの反応空間まで延びるように適切に細長くなっていることを特徴とする分析装置。
  19. 反応器具における反応を分析する方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の反応装置を提供するステップと、反応器具の反応空間内に反応混合物を提供するステップと、反応器具の反応空間内の反応混合物を分析装置に分析させるステップとを備えることを特徴とする方法。
  20. 請求項19に記載の反応器具における反応を分析する方法であって、その方法が、反応の第1データプロファイルを取得するステップを備えることを特徴とする方法。
  21. 請求項20に記載の方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の同じかまたは異なる反応装置において反応を繰り返すステップと、繰り返しの反応の第2データプロファイルの少なくとも一部を取得するステップと、その少なくとも一部を、反応の第1データプロファイルのデータプロファイルと比較するステップとを備えることを特徴とする方法。
  22. 請求項20に記載の方法であって、請求項1~14のいずれか一項に記載の異なる反応装置において反応を繰り返すステップをさらに備え、繰り返しの反応が、少なくとも部分的に第一の反応と同時か、または第一の反応の後に行われることを特徴とする方法。
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