JP2803036B2 - 塩類の飽和水溶液を用いた定湿装置 - Google Patents

塩類の飽和水溶液を用いた定湿装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湿度計の校正、高
分子材料やセラミックスの吸湿特性の試験などを目的
に、塩化ナトリウムや塩化マグネシウムなどの塩類の飽
和水溶液を用いて、一定の湿度の雰囲気を生成する定湿
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図1のように、デシケーター、広口びん
など適当な密閉容器1の底に所定の塩の飽和水溶液2
を、上部空間に試験する湿度センサ5などの試料を入れ
る。飽和水溶液と共存して平衡にある容器内の気体の相
対湿度は、塩の種類と温度だけで決まる。代表的な塩と
温度に対して得られる相対湿度の値は、JIS Z 8
806「湿度測定法」に記載されており、その一部を表
1に示した。
【0003】
【表1】
【0004】容器内の相対湿度が表1のようになるの
は、容器内が平衡状態にあることを前提にしている。従
って、正しい相対湿度を得るためには、容器を、精密に
温度調節された極めて温度変化の小さい恒温室や恒温槽
12に納め、容器内の温度が一様で、かつ恒温槽の温度
と等しくなるのを待って、測定や試験が行われている。
【0005】密閉容器1と飽和水溶液2から成る定湿装
置それ自体は、簡便な装置であるが、恒温室などの高価
な設備を必要とし、また、平衡状態に達するのに時間も
かかるので、能率的な試験などが出来ない。それ故、止
むを得ず、温度変化の大きい通常の環境下で用いられる
ことが多い。この場合、容器内が平衡状態にあることは
稀で、その相対湿度は表1の値と数%RHの差異を生じ
ることもある。それ故、飽和水溶液を用いた定湿装置
は、甚だ信頼性に欠けるものと考えられている。
【0006】その対策としては、環境の温度変化の小さ
いときに使用するとか、密閉容器を断熱材で囲うとか、
専ら容器内の平衡状態の達成にのみ力が注がれてきた
が、その効果は小さかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記飽和水溶液による
定湿装置が、恒温室などでの使用に限定されると、この
方法の本来の特徴である簡便さが損なわれ、また、通常
の環境では信頼性が低いという欠点があった。本発明
は、容器内の気体と飽和水溶液の温度が異なっていて、
平衡状態になっていなくても、容器内の気体の正しい相
対湿度を求めることを課題とする。
【0008】
【問題を解決するための手段と作用】上記の課題を解決
するため、本発明の定湿装置においては、密閉容器内に
飽和水溶液と気体の温度を測定するための手段を設け
る。これによって、容器内の気・液の温度が異なってい
て、平衡状態になくても、気体の温度から飽和水蒸気圧
を、飽和水溶液の温度から水蒸気圧を求め、それらから
相対湿度を求めることができる。その理由は、相対湿度
は、存在する水蒸気の圧力と、それと同じ温度の飽和水
蒸気圧との比と定義されているからである。
【0009】前記の温度測定の手段としては、後記のよ
うに、白金測温体が適している。これによって、所要の
精度の相対湿度を求めることが出来る。
【0010】また、飽和水溶液と気体の温度測定の手段
を、それぞれ設けなくても、いずれか一方の温度を測定
する温度計と、両者の温度差を測定するための熱電対温
度計によって、目的を達することができる。温度差を必
要とする精度で測定すれば、飽和水溶液または気体を測
定する温度計は高精度のものを要しない。
【0011】
【発明の実施の形態】密閉容器内の気体や飽和水溶液の
温度の測定に適した温度計は、主として、被測定物の大
きさと、相対湿度をどの程度の精度で求めたいかによっ
て決まる。一般に、飽和水溶液の部分は深さが浅いの
で、熱電対、サーミスタ、白金測温体などの感温部の小
さい温度計が適している。気体の温度測定には、上記温
度計のほか、アルコール温度計や水銀温度計のような比
較的感温部の大きいものも使用することが出来る。
【0012】次に、実用的に利用できる温度計のうち、
最も精度の高い誤差±0.1℃の温度計を使用した場
合、どの程度の精度で相対湿度が求められるか、検討し
てみる。塩として塩化ナトリウム(平衡状態では25℃
において75%RH)を使用し、容器内の気体の温度は
25.8℃、飽和水溶液は25.0℃、その温度差は
0.8℃であり、測定誤差はいずれも±0.1℃とす
る。この場合、容器内の水蒸気圧は、25.0±0.1
℃の飽和水蒸気圧23.764±0.14mmHgの7
5%の17.823±0.11mmHgであり、25.
8±0.1℃の飽和水蒸気圧は24.922±0.15
mmHgであるので、相対湿度は71.5±0.9%R
Hとなる。(飽和水蒸気圧は前記JIS「湿度測定法」
記載の飽和水蒸気圧表によった。)このことからする
と、±1%RHの精度で相対湿度を必要とする場合、±
0.1℃程度の精度の温度計を使用しなければならない
ことが分かる。
【0013】前記の温度計として、白金測温体を用いた
温度計や標準水銀温度計が考えられる。標準水銀温度計
は、感温部の大きさの点で飽和水溶液の測定に向かない
し、また、指示の読みとり、堅牢さなどにも難がある。
白金測温体の温度計の方は気・液いずれの測定にも適し
ている。
【0014】しかしながら、白金測温体の温度計は、温
度計の中では比較的高価であり、しかも二台必要とする
ので、経済的でない。種々、検討したところ、このよう
な高精度の温度計を使用しなくても、必要とする精度の
相対湿度が得られることが分かった。
【0015】表1をみると、いずれの塩の飽和水溶液
も、その相対湿度は温度依存性が小さいので、気体また
は溶液の温度を厳密に知る必要性は少ない。5℃の温度
差に対して、多くの飽和水溶液の相対湿度は1%以下の
違いに過ぎない。従って、気体または飽和水溶液の温度
は大凡の値であっても、その温度差が正確に分かれば、
容器内の相対湿度を精度よく求めることができる。
【0016】このことも具体的な数値例によれば、更に
理解し易い。実際の値は25.0℃の塩化ナトリウムの
飽和水溶液の温度を30℃とし、温度差は前例と同じ
0.8℃とする。水溶液と気体の温度を、それぞれ3
0.0℃、30.8℃として、前と同様の計算をする
と、71.6%RHとなる。このように、相対湿度は、
飽和水溶液の温度が正しい値より5℃高いとして計算し
ても、正しい温度から求めた値71.5%RHと殆ど同
じ値になる。すなわち、使用する塩の種類と必要とする
相対湿度の精度によっては、水溶液あるいは気体の温度
の測定も必要としない程である。
【0017】温度差を測定する手段としては、熱電対が
適している。元来、熱電対温度計は冷接点と温接点の温
度差を測定するものだからである。また、熱電対は白金
測温体に比べて大きさも小さく、価格も格段に低い。熱
電対の一方の接点を気体中に、他方を飽和水溶液中に置
き、その電位差を測定して温度差を求める。気体又は飽
和水溶液のいずれか一方の温度と温度差が分かれば、他
方の温度も分かるので、相対湿度を求めることが出来
る。次に、実施例を図面を参照して説明する。
【0018】
【実施例1】図2において、容器1は直径80mm、高
さ160mm、容積500mlのガラス製、飽和水溶液
2は塩化ナトリウムを溶かしたもので、深さ約10m
m、固形分を残してあるので、確実に飽和の状態になっ
ている。白金測温体3、4によって、気体及び飽和水溶
液の温度を測定する。白金測温体3は湿度センサ5の近
くに置く。予め校正された湿度センサ5は、 容器内の
湿度が本発明の方法によって求められる値と一致するか
どうかを調べるためのもので、発明の構成要素ではな
い。
【0019】この容器に湿度センサ5を挿入してから、
約18時間後(午前10時)に湿度計5の指示をみると
72.8%RHであり、気体の温度は23.7℃、飽和
水溶液は23.3℃であった。このように長い時間が経
過した後も、平衡状態にないのは、朝方、容器の周りの
気温が上昇すると共に、容器内の気体も水溶液の温度も
上がるが、水溶液の熱容量は大きいので、その温度上昇
が遅れることによるものと推察される。この場合、従来
のように表1によれば、容器内の湿度は75%RHとさ
れる。一方、本発明によれば23.3℃の塩化ナトリウ
ムの飽和水溶液の水蒸気圧は、21.460mmHg×
0.75=16.095mmHg、23.7℃の飽和水
蒸気圧は21.984mmHg、従って、容器内の相対
湿度は73.2%となる。これは測定値72.8%RH
と±1%RH以内の誤差でよく一致している。
【0020】このように、気・液が平衡状態になってい
なくても、それぞれの温度を測定して、水蒸気圧と飽和
水蒸気圧を求めれば、正しい相対湿度を知ることができ
る。
【0021】
【実施例2】図3は、気体と飽和水溶液の温度差を測定
して、相対湿度を求める方法を示したもので、実施例1
と同じ塩と容器を用いる。T型熱電対の冷接点9を湿度
センサ5の側に置き、温接点10を飽和水溶液の中に入
れる。熱電対は、特にT型に限定されることはなく、他
の型のものでもよい。図のように、熱電対と温度指示計
7を接続し、気・液の温度差を測定する。また、棒状ア
ルコール温度計11によって、容器内の気体の大凡の温
度を測定する。湿度センサには、気体用の温度計が付属
されていることが多いので、このようなセンサを本定湿
装置によって校正するときは、わざわざ温度計11を設
ける必要はない。
【0022】ある時刻に、湿度計8は77.6%RH、
アルコール温度計11は25.5℃、温度差は0.5℃
であって、飽和水溶液の方が高かった。飽和水溶液は2
6.0℃、気体は25.5℃として相対湿度を求める
と、25.219×0.75/24.482=0.77
3すなわち77.3%RHとなり、測定値に極めて近い
ことが分かる。その後、時間の経過と共に、温度差は小
さくなっていったが、アルコール温度計6の指示は変わ
らなかった。30分後には湿度76.5%RH、温度差
0.3℃、更に45分後には75.3%RH、0.0℃
になった。温度差0.3℃の場合、水溶液の温度は2
5.8℃であり,相対湿度は24.922×0.75/
24.482=0.763すなわち76.3%RHとな
って、測定値とよく一致する。気・液に温度差がなくな
り、平衡状態になったとき、測定値が75%RHに近い
のは当然といえる。
【0023】
【発明の効果】容器内の飽和水溶液と気体の温度が平衡
状態になくても、それぞれの温度を測定することによっ
て、正しい相対湿度を知ることができる。従って、恒温
槽や恒温室の設備を使用しなくても、通常の環境におい
て、塩類の飽和水溶液を用いた定湿装置を利用すること
が出来る。また、気・液が平衡状態になるのを待たなく
てもよいので、迅速な測定や試験が可能になる。
【0024】また、飽和水溶液と気体の温度をそれぞれ
精密に測定しなくても、その温度差を必要とする精度で
測定すれば、前項と同程度の精度で相対湿度を求めるこ
とが出来る。温度差の測定には安価な熱電対が適してお
り、気体または飽和水溶液の温度計も精度の低いもので
よいので、更に、本装置は簡略かつ経済的に構成するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩類の飽和水溶液を用いた定湿装置の従来例を
示す図である。
【図2】気体および飽和水溶液の温度をそれぞれ測定す
る実施例を示す図である。
【図3】気体の温度と飽和水溶液との温度差を測定する
実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 密閉容器 2 塩化ナトリウムの飽和水溶液 3、4 白金測温体 5 湿度センサ 6、7 温度計 8 湿度計 9 熱電対の冷接点 10 熱電対の温接点 11 棒状アルコール温度計 12 恒温槽

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩類の飽和水溶液を入れた密閉容器内
    に、当該飽和水溶液と当該容器内の残部気体との温度測
    定手段を有することを特徴とする塩類の飽和水溶液を用
    いた定湿装置。
  2. 【請求項2】 前記温度測定手段が、前記飽和水溶液と
    前記残部気体との温度を測定する白金測温体である請求
    項1記載の塩類の飽和水溶液を用いた定湿装置。
  3. 【請求項3】 前記温度測定手段が、前記飽和水溶液と
    前記残部気体とのいずれかを測定する温度計と、当該水
    溶液と気体の温度差を測定する熱電対である請求項1記
    載の塩類の飽和水溶液を用いた定湿装置。
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