JP7365119B2 - 生物忌避剤およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、環境負荷が小さく、水棲生物や微生物などの種々の有害生物に対して忌避作用を有する生物忌避剤(有害生物忌避剤)およびその用途に関する。
防汚塗料は、海水中の汚損生物、例えば、フジツボ類、ムラサキ貝類、ヒドロ虫類、カンザシゴカイなどの付着生物や、アオノリ類、アオサ類などの付着藻類、ヌメリ状物質(スライム)の着生を防ぐ塗料として開発され、発電所、液化天然ガス(LNG)気化器などの取水管、構造物の没水部、船底、養殖や定置漁網などの漁具、海洋観測機器類などに広く使用されている。特に、船底に付着したフジツボなどの海洋生物は、航行に対する大きな抵抗力となるため、船底に防汚塗料を塗装することにより海洋生物の付着を防止している。
防汚塗料に用いられる防汚剤としては、亜酸化銅、有機錫化合物、有機窒素硫黄系化合物などが知られている。有機錫化合物は優れた防汚性能を示すものの、魚類に対する毒性(蓄積性)が問題化し、代表的な防汚剤であったトリブチル錫が2008年から国際海事機関条約によって世界的に使用禁止されたため、有機錫化合物に代わる環境負荷の小さい防汚剤の開発が望まれている。
特開2000-198965号公報(特許文献1)には、各平均粒子径が3~10μmである常時マイナスイオンを放出するモナズ石粉体40~60重量%と電気石粉体60~40重量%との混合物を主成分とする防汚塗料用添加剤が開示されている。
しかし、この防汚塗料用添加剤は、天然の鉱物であり、安定した供給が困難であり、生産性や経済性が低い。
特開2000-198965号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、環境負荷が小さく、水棲生物や微生物などの種々の有害生物に対して忌避効果を発現できる生物忌避剤およびその用途を提供することにある。
本発明の他の目的は、生産性が高く、防汚性も高い生物忌避剤およびその用途を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、従来の防汚剤に比べて環境負荷の小さいポリシランが水性生物や微生物などの種々の有害生物に対して忌避効果を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の生物忌避剤はポリシランからなる。前記ポリシランは、下記式(1)および(2)で表される構造単位のうち少なくとも1つの構造単位を有していてもよい。
Figure 0007365119000001
(式中、R~Rは、同一または相異なって、水素原子、ヒドロキシル基、有機基またはシリル基を示す)。
前記ポリシランは、重量平均分子量100~10000のポリアルキルアリールシランであってもよい。
本発明には、水棲生物および/または微生物などの有害生物を忌避するために前記生物忌避剤を使用する方法も含まれる。また、本発明には、水棲生物が水中の部材(船底など)表面に付着するのを防止するために前記生物忌避剤を使用する方法も含まれる。
本発明には、前記生物忌避剤を含む防汚塗料も含まれる。この防汚塗料は、船底コーティング剤であってもよい。
本発明では、安全性の高いポリシランを用いるため、環境負荷が小さいにも拘わらず、水棲生物や微生物などの種々の有害生物に対して忌避効果を発現できる。さらに、ポリシランは工業的に量産が容易であるため、生産性が高く、離型性にも優れるため、生物的および物理的の両面から、海洋生物などが水中の部材表面に付着するのを効果的に防止でき、防汚性に優れている。そのため、本発明の生物忌避剤は、防汚塗料の添加剤または防汚剤としても適している。
実施例1および比較例1において、培養液の生菌数を比較したグラフである。 図2は、実施例1において、2日間培養した後のLB寒天培地の写真である。 図3は、比較例1において、2日間培養した後のLB寒天培地の写真である。
[ポリシラン]
本発明の防汚剤はポリシランからなる。本発明者らは、ポリシランが生物に対する忌避作用を有することを見出し、水棲生物が水中の部材表面に付着するのを防止できるため、防汚剤として有効であることも見出した。
ポリシランは、Si-Si結合を有する鎖状(直鎖状もしくは分岐鎖状)、環状または網目状(ネットワーク状)の化合物であれば特に限定されない。これらのポリシランを構成する構造単位(シラン単位)としては、下記式(1)~(4)で表される構造単位[シラン単位(1)~(4)]が例示できる。通常、ポリシランは、下記式(1)および(2)で表される構造単位のうち、少なくとも1つの構造単位を有する場合が多い。ポリシランの分子構造は、鎖状(直鎖状もしくは分岐鎖状)または環状であるのが好ましい。
Figure 0007365119000002
(式中、R~Rは、同一または異なって、水素原子、ヒドロキシル基、有機基またはシリル基を示す)。
前記式(1)~(2)および(4)において、R~Rで表される有機基としては、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などが例示でき、通常、炭化水素基である場合が多い。
炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル基(アルキル基)、アリール基、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル基などのC5-10シクロアルキル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基などのC6-12アリール-C1-4アルキル基など)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基などのC2-6アルケニル基など)、シクロアルケニル基(例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などのC5-10シクロアルケニル基など)などが例示できる。これらの炭化水素基は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、アルキル基、アリール基が好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基などの直鎖状もしくは分岐鎖状C1-10アルキル基などが例示できる。これらのアルキル基は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、C1-6アルキル基が好ましく、メチル基やエチル基などのC1-4アルキル基がさらに好ましく、メチル基が最も好ましい。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのC6-12アリール基などが例示でき、好ましくはC6-10アリール基、さらに好ましくはフェニル基であってもよい。アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の個数は、特に限定されず、例えば、1または複数(例えば2~4個)であってもよく、複数の場合は、置換基の種類が異なってもよい。このような置換基を有するアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、メチルナフチル基などのC1-6アルキルC6-10アリール基(例えば、モノ乃至トリC1-4アルキルC6-10アリール基、特にモノまたはジC1-4アルキルフェニル基など)などであってもよい。
これらの炭化水素基の中でも、生物忌避性や有機溶媒に対する溶解性に優れる点などから、アルキル基(特にメチル基、エチル基などのC1-4アルキル基)、アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
前記式(1)において、RとRとの組み合わせは、アルキル基およびアリール基のいずれかを少なくとも含むのが好ましく、RとRとは同一であってもよく、異なっていてもよい。RとRとの組み合わせは、例えば、アルキル基同士[例えば、C1-4アルキル基(特にメチル基またはエチル基)]、アリール基(特にフェニル基)同士、アルキル基とアリール基との組み合わせであってもよい。特に、RとRとの組み合わせは、生物忌避性および有機溶媒に対する溶解性を向上させる点からアルキル基[例えば、C1-4アルキル基(特にメチル基)]とアリール基[特にフェニル基]との組み合わせが好ましく、特に、メチル基またはエチル基(特にメチル基)とフェニル基との組み合わせが好ましい。
シラン単位(1)とシラン単位(2)との割合は、前者/後者(モル比)=10/90~100/0の広い範囲から選択でき、例えば50/50~100/0(例えば55/45~90/10)、好ましくは60/40~100/0(例えば65/35~85/15)、さらに好ましくは70/30~100/0(特に75/25~80/20)程度であってもよく、シラン単位(1)のみ(100/0)であってもよい。
ポリシラン全体に対するシラン単位(1)およびシラン単位(2)の合計割合は、10~100モル%の広い範囲から選択でき、例えば30モル%以上(例えば40~90モル%)、好ましくは50モル%以上(例えば60~85モル%)、さらに好ましくは70モル%以上(例えば、75~80モル%)、特に90モル%以上であってもよい。
ポリシラン全体に対するシラン単位(3)の割合は、例えば0~20モル%(例えば1~10モル%、好ましくは2~5モル%)程度であってもよい。
ポリシラン全体に対するシラン単位(4)の割合は、例えば0~40モル%(例えば1~20モル%、好ましくは5~10モル%)程度であってもよい。
ポリシランの少なくとも一部の末端基は、シラノール基(ヒドロキシル基)であってもよい。末端基がシラノール基(ヒドロキシル基)であると、塗料として用いた場合、シラノール基との官能基を有する樹脂成分との反応または結合により、塗膜の機械的強度、耐摩耗性を向上できるため有利である。
ポリシランの重合形態は、特に限定されず、単独重合体、または共重合体(例えば、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体など)であってもよい。
好ましいポリシランとしては、前記式(1)で表される構造単位を有する直鎖状または環状ポリシランが挙げられ、好ましくはポリジアルキルシラン、ポリアルキルアリールシラン、ポリジアリールシラン、これらのポリシラン共重合体、さらに好ましくは直鎖状ポリアルキルアリールシラン、環状ポリジアリールシラン(例えば、環状ポリジフェニルシラン)、特に直鎖状ポリC1-2アルキルC6-10アリールシラン(例えば、ポリメチルフェニルシラン)が好ましい。
なお、ポリシランは、シロキサン結合(-Si-O-Si-)を有さないのが好ましいが、不可避的に微量のシロキサン結合を有する場合がある。
ポリシランの平均重合度は、ケイ素原子換算(すなわち、一分子当たりのケイ素原子の平均数)で250以下(例えば2~100)程度であり、例えば2~30、好ましくは2~20、さらに好ましくは3~10(特に4~8)程度であってもよい。重合度が大きすぎると、防汚塗料などの添加剤として使用する場合、相容性などが低下する虞がある。
分子量としては、例えば、重量平均分子量が30000以下程度であり、例えば100~10000、好ましくは300~3000、さらに好ましくは500~1000(特に600~800)程度;数平均分子量も30000以下程度であり、例えば100~10000、好ましくは300~3000、さらに好ましくは400~1000(特に500~700)程度であってもよい。分散度(M/M)は、例えば1~5、好ましくは1~3、さらに好ましくは1~2、特に1~1.5であってもよい。なお、ポリシランの重量平均分子量(M)および数平均分子量(M)は、GPCによりポリスチレン換算で測定できる。
これらのポリシランは、市販品を用いてもよく、調製してもよい。調製する場合、前記式(1)~(4)で表される単位を有するハロシラン類を用いた種々の調製方法、例えば、マグネシウムを還元剤としてハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「マグネシウム還元法」)などにより調製できる。
本発明の生物忌避剤は、生物の忌避効果を利用して、各種の有害生物に対して、防汚、除虫、殺虫、除草、除菌、抗菌、殺菌などの目的で、単独で使用してもよく、液状分散物またはゲル状物、エアゾール、遅効性または持続性の蒸気または煙発生組成物、泡状組成物、粉剤または粒剤などの固体組成物、マイクロカプセルなどに対する添加剤として使用してもよい。なかでも、特に、ポリシランは、生物忌避効果に加えて、離型性も有しているため、生物を忌避するだけでなく、生物が部材に付着することを物理的にも抑制できる。そのため、本発明の生物忌避剤は、防汚塗料の添加剤として利用するのが好ましい。
[防汚塗料]
本発明の防汚塗料は、前記生物忌避剤を含んでいる。塗料中の生物忌避剤の割合は0.1~99質量%程度の範囲から選択でき、例えば10~95質量%、好ましくは20~90質量%、さらに好ましくは30~80質量%(特に50~70質量%)程度である。生物忌避剤を他の防汚剤と組み合わせる場合、塗料中の生物忌避剤の割合は、例えば1~80質量%、好ましくは3~70質量%、さらに好ましくは5~50質量%(特に10~30質量%)程度であってもよい。生物忌避剤の割合が少なすぎると、防汚性が低下する虞があり、逆に多すぎると、塗料の成膜性が低下する虞がある。
本発明の防汚塗料は、前記生物忌避剤に加えて、塗膜形成成分として、防汚塗料で慣用的に使用されるバインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、例えば、熱可塑性樹脂[オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、カルボキシル基または酸無水物基で変性された変性ポリオレフィン、エポキシ基などで変性されたポリオレフィンなど)、アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸エステル系重合体、カルボキシル基含有アクリル樹脂、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂など)、スチレン系樹脂(スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体など)、酢酸ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体など)、ビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体など)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-ビニルイソブチルエーテル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体など)、ビニルエーテル系重合体(ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル、メチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体などのC1-6アルキルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体など)、ポリエステル樹脂(共重合ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂など)、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル;酢酸セルロースなどのセルロースエステルなど)など]、熱硬化性樹脂[エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メチロール化メラミン樹脂などのメラミン樹脂など)など]、光硬化性樹脂[エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどの光硬化性オリゴマー、多官能性(メタ)アクリレート、窒素含有モノマーなどの光硬化性モノマー]、ゴム類[例えば、塩化ゴム;ハロゲン化ポリオレフィン(塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィン;クロロスルホン化ポリエチレンなどのクロロスルホン化ポリオレフィンなど)など]、粘着付与成分または溶出促進成分[天然樹脂(例えば、ロジンまたはその誘導体(ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂など)、ラック、スチラックスなどの含エステル天然樹脂など);塩素化パラフィンなどのワックス類;油脂またはその誘導体(亜麻仁油などのグリセライド、重合亜麻仁油などの重合油など)など]などが例示できる。
これらのバインダーは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。また、これらのバインダーは、用途に応じて選択でき、熱可塑性樹脂を含む防汚塗料や、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などの硬化性樹脂を含む防汚塗料が好ましい。
バインダーの割合は、生物忌避剤100質量部に対して、例えば1~200質量部、好ましくは5~150質量部(例えば10~100質量部)、さらに好ましくは30~80質量部(特に40~60質量部)程度である。バインダーの割合が少なすぎると、塗料の製膜性が低下する虞があり、逆に多すぎると、防汚性が低下する虞がある。
本発明の防汚塗料は、前記生物忌避剤に加えて、慣用の防汚剤をさらに含んでいてもよい。防汚剤としては、例えば、亜酸化銅、銅合金、ロダン第一銅、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメート、ジンクジメチルジチオカーバメート、2-メチルチオ-4-t-ブチルアミノ-6-シクロプロピルアミノ-s-トリアジン、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル、N,N-ジメチルジクロロフェニル尿素、ジンクエチレンビスジチオカーバメート、4,5-ジクロロ-2-N-オクチル-3(2H)イソチアゾロン、N-(フルオロジクロロメチルチオ)-フタルイミド、N,N-ジメチル-N′-フェニル-(N-フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、テトラメチルチウラムジサルファイド、2,4,6-トリクロロフェニルマレイミドなどが例示できる。これらの防汚剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
防汚剤の割合は、生物忌避剤100質量部に対して200質量部以下程度であり、例えば0.1~200質量部、好ましくは1~150質量部、さらに好ましくは5~100質量部(特に10~50質量部)程度である。防汚剤の割合が多すぎると、防汚性が低下する虞がある。
本発明の防汚塗料は、さらに溶剤を含んでいてもよい。溶剤は、水であってもよく、有機溶媒であってもよい。有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、炭化水素類[例えば、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂環族炭化水素類(例えば、シクロヘキサンなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、へプタン、ミネラルスピリットなど)]、ケトン類(例えば、メチルエチルケトンなどのジC1-4ジアルキルケトンなど)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸C1-6アルキルエステルなど)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、ブタノールなどの一価アルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの多価アルコール類など)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのC1-6アルキルセロソルブ類など)、カルビトール類(例えば、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのC1-4アルキルカルビトール類など)、グリコールエーテルエステル類(例えば、セロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、テルペン類などが例示できる。これらの溶剤は、単独で又は混合溶媒として使用できる。
溶剤の割合は、生物忌避剤100質量部に対して、例えば1~200質量部、好ましくは5~150質量部(例えば10~100質量部)、さらに好ましくは30~80質量部(特に40~60質量部)程度である。溶剤の割合が少なすぎると、塗料の取り扱い性が低下する虞があり、逆に多すぎると、厚肉の塗膜を形成するのが困難となる虞がある。
本発明の防汚塗料は、防汚塗料に配合される慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、充填剤、脱水剤、湿潤剤、安定剤(酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤など)、可塑剤、軟化剤、滑剤、離型剤、増粘剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、界面活性剤、着色剤、防錆顔料、粘度調整剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、カップリング剤、消泡剤、沈降防止剤、皮張防止剤、重合防止剤、レべリング剤、チキソトロピック剤、色別れ防止剤、艶消し剤などが例示できる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これら添加剤の割合は、生物忌避剤100質量部に対して、例えば0.1~50質量部、好ましくは0.5~30質量部、さらに好ましくは1~10質量部(特に1.5~5質量部)程度である。
本発明の防汚塗料は、用途に応じて慣用の方法で塗工でき、例えば、エアースプレー、エアレススプレー、ロールコーター、ハケなどを用いて塗布(コーティング)してもよい。塗膜(乾燥塗膜)の平均厚みは、特に限定されず、例えば1~500μm、好ましくは10~400μm、さらに好ましくは50~300μm程度であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。用いた試料の詳細は以下の通りである。
ポリシラン:大阪ガスケミカル(株)製、「ポリメチルフェニルシラン(OGSOL SI-10-40)」(重量平均分子量:700、数平均分子量:620)
枯草菌:Bacillus subtilis菌株
LB寒天培地:超純水(ミリQ水)を溶媒とし、ハイポリペプトン(日本製薬(株)製)10g/リットル、乾燥酵母エキス(ナカライテスク(株)製)5g/リットル、塩化ナトリウム(ナカライテスク(株)製)5g/リットル、精製寒天末(ナカライテスク(株)製)10g/リットルを含む培地
市販の防汚塗料:大日本塗料(株)製「シーブルーエースキング」。
実施例1
30mlのリン酸緩衝生理食塩水を充填した50ml容の遠沈管に、前記生理食塩水中0.1体積%となるように枯草菌の前培養液を添加し、リン酸緩衝生理食塩水の生菌数を計測した(初期生菌数)。前培養液を添加したリン酸緩衝生理食塩水中に、スライドグラス(72mm×26mm)の片面にポリシランを塗布した試験片を浸漬した後、1日間または2日間静置し、それぞれ前記リン酸緩衝生理食塩水の生菌数を計測した結果を表1に示す。
2日間静置した試験片を遠沈管から取り出して、液切りした後、40mlの滅菌超純水で洗浄した。洗浄後に液切りした試験片のポリシラン塗布面をLB寒天培地に押し付け、そのまま1時間接触状態を保持した。試験片を培地から取り除いた後、LB寒天培地を37℃で24時間培養し、培地上に形成されたコロニーを観察した。コロニーの写真を図2に示す。
比較例1
スライドグラスにポリシランを塗布せずに、実施例1と同様の方法で枯草菌の培養試験を行って生菌数を測定し、培地上のコロニーを観察した。生菌数の計測結果を表1に示し、コロニーの写真を図3に示す。
Figure 0007365119000003
表1および図1~2の結果から明らかなように、比較例1に比べて、実施例1では、枯草菌の生育を阻害できるとともに、付着抑制効果もあった。
実施例2
防汚剤80質量部に対してポリシランの割合が20質量部となるように、市販の防汚塗料にポリシランを添加して混合し、防汚組成物を調製した。この防汚組成物をポリカーボネート板の片面に塗布した後、塗布面にアコヤガイの稚貝150個を載置し、海水中で90分間静置した。90分の静置後、ポリカーボネート板を海水中から取り出し、ポリカーボネート板に付着しているアコヤガイを計測した結果、アコヤガイの付着数は6個であった。
比較例2
防汚組成物として、ポリシランを添加せずに、市販の防汚塗料を、そのまま防汚組成物として使用する以外は実施例2と同様の方法でアコヤガイの付着状況を試験した結果、アコヤガイの付着数は11個であった。
実施例2および比較例2の結果から、アコヤガイの付着率は、比較例2が浸漬前の7.3%であったのに対して、実施例2では4%に減少しており、アコヤガイの付着防止効果が見られた。
本発明の生物忌避剤は、水棲生物や微生物などの種々の生物に対して忌避作用を有しているため、各種の除虫、殺虫、除草、殺菌、抗菌などの用途において、有害な生物、例えば、貝類(フジツボ類、エボシガイ類、ムラサキイガイ、イガイ、アコヤガイなど)、多毛虫類(カサネカンザシなど)、苔虫類(フサコケムシなど)、ホヤ類、ヒドロ虫類、藻類(アオノリ類、アオサ類)、カビやバクテリア(枯草菌など)を忌避するための添加剤として利用できる。特に、ポリシランは、生物忌避効果に加えて、離型性も有しているため、生物を忌避するだけでなく、生物が部材に付着することを物理的にも抑制できるため、防汚剤として特に適している。そのため、本発明の生物忌避剤を添加剤として含む防汚塗料として、前記生物自身や、バクテリアなどに起因して生成するスライムなどが水中の部材または成形体に付着するのを防止するための防汚剤として利用できる。
本発明の防汚塗料は、淡水または海水などの水と接触する種々の部材または成形体、例えば、船底などの船体、ブイなどの浮遊体、橋梁や突堤、桟橋などの構造物における支持部または浸漬部、冷却管、取水管などの流路形成部材、定置網などの漁具、海洋観測機器類、ロープなどをコーティングするための塗料として利用できる。

Claims (6)

  1. 重量平均分子量500~1000のポリアルキルアリールシランからなる水棲生物忌避剤。
  2. 水棲生物を忌避するために請求項1記載の水棲生物忌避剤を使用する方法。
  3. 水棲生物が水中の部材表面に付着するのを防止するために請求項1記載の水棲生物忌避剤を使用する方法。
  4. 水中の部材表面が船底である請求項記載の方法。
  5. 請求項1記載の水棲生物忌避剤を含む防汚塗料。
  6. 船底コーティング剤である請求項記載の防汚塗料。
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