JP7363732B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は積層セラミックコンデンサに関する。
携帯電話を始めとする電子機器の小型化やCPUの高速化に伴い、積層セラミックコンデンサ(MLCC)への需要がますます高くなっている。積層セラミックコンデンサは、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された構造を有しており、薄層化された高誘電率誘電体層に起因して、小型でありながら大きな静電容量をもつ。種々の材料を用いた積層セラミックコンデンサが知られているが、誘電体層にチタン酸バリウム(BaTiO)系化合物を用い、内部電極層にニッケル(Ni)などの卑金属を用いたものが、安価で且つ高特性を示すため、広く利用されている。
積層セラミックコンデンサの小型化及び大容量化を実現する上で、誘電体層を薄層化することが重要である。しかしながら誘電体層の薄層化を進めると、内部電極層間における絶縁抵抗が低下し、信頼性の劣化につながるという問題がある。このような問題に対処すべく、BaTiO系化合物からなる誘電体層に、希土類元素(Re)やマグネシウム(Mg)といった添加物を加えて、絶縁抵抗及び信頼性の向上を図る技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、チタン酸バリウムと、酸化ユーロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミニウム、酸化エルビウム、酸化ツリウムおよび酸化イッテルビウムの中から選ばれる少なくとも一種と、ジルコン酸バリウムと、酸化マグネシウムと、酸化マンガンとからなり、特定の組成式で表される主成分を含有する誘電体磁器組成物が開示されている(特許文献1の請求項1)。また特許文献1には、当該磁器組成物を、内部電極がニッケルまたはニッケル合金で構成されている積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層に適用する旨、高電界強度で使用したときに、絶縁抵抗と静電容量の積(CR積)が高く、絶縁耐力が高く、高温負荷、耐湿負荷などの耐侯性能に優れる旨などが記載されている(特許文献1の請求項4及び[0007])。
ところで、積層セラミックコンデンサの側面には、内部電極層が存在しない余白部があり、この余白部は静電容量には寄与しない。そこで積層セラミックコンデンサを製造する際に、誘電体層の内部電極層のそれぞれの前駆体を積層した後に、積層体側面にサイドマージン部の前駆体を付着させた後に全体を焼成して、側面にサイドマージン部を備えた積層セラミックコンデンサとする技術が提案されている。サイドマージン部を積層体とは別個に設けることで、サイドマージン部の薄層化及びその厚みバラツキの低減が可能になる。そのため、積層セラミックコンデンサの大容量化及び容量バラツキの低減が可能になる。
例えば、特許文献2には、複数の誘電体セラミック層と、複数の内部電極層とを交互に積層したコンデンサ本体の対向する端面に、前記内部電極層と接続される外部電極をそれぞれ有するとともに、該外部電極が形成されていない前記コンデンサ本体の側面に、コンデンサとして機能しないセラミックスからなる一対のサイドマージン部をそれぞれ有する積層セラミックコンデンサが開示されている(特許文献2の請求項1)。また特許文献2には、チタン酸バリウムと酸化イットリウムと酸化マグネシウムとからなる誘電体材料粉末から誘電体セラミック層を作製する旨、誘電体材料粉末にジルコン酸カルシウムやジルコン酸バリウムを加えた粉末からサイドマージン部を作製する旨が記載されている(特許文献2の[0027]~[0030])。
特許第3334607号公報 特開平10-050545号公報
電子部品及び電子機器の進歩に伴い、積層セラミックコンデンサのさらなる小型化及び大容量化が期待されている。また積層セラミックコンデンサの用途が広がるにつれ、その信頼性向上の要望がますます高くなっている。そのため、薄層化を進めつつも、絶縁特性が高く、さらに高温、高湿下でも劣化の少ない信頼性に優れた積層セラミックコンデンサが要望されている。しかしながら、従来から提案される技術は、一定の効果があるものの、依然として改良の余地があった。
本発明者らは、このような問題点に鑑みて鋭意検討を行った。その結果、サイドマージン部を備える積層セラミックコンデンサは、その製造時の焼成工程で、誘電体層と内部電極層の界面にマグネシウム(Mg)とニッケル(Ni)の突起が生じやすいこと、この突起が絶縁特性及び信頼性の劣化につながるとの知見を得た。また特定領域における希土類元素(Re)量、ニッケル(Ni)量、及びマグネシウム(Mg)量を制御することで、高い絶縁特性を示すとともに、高温、高湿下での信頼性に優れる積層セラミックコンデンサを得ることができるとの知見を得た。
本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、高い絶縁特性を示すとともに、高温、高湿下での信頼性に優れる積層セラミックコンデンサの提供を課題とする。
本発明は、以下の態様を包含する。なお本明細書において「~」なる表現は、その両端の数値を含む。すなわち「X~Y」は「X以上Y以下」と同義である。
本発明の一態様によれば、厚さ方向に相対する第1主面及び第2主面、幅方向に相対する第1側面及び第2側面、及び長さ方向に相対する第1端面及び第2端面を有し、
前記厚さ方向に積層された複数の誘電体層及び複数の内部電極層を含む素体部と、
前記第1端面及び第2端面のそれぞれに設けられ、前記複数の内部電極層と電気的に接続された一対の外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサであって、
前記素体部を、
・前記複数の内部電極層のうち、前記第1主面から最も近い側に位置する内部電極層と、前記第2主面から最も近い側に位置する内部電極層と、で区画される内層、
・前記内層と前記第1主面とで区画される第1外層、
・前記内層と前記第2主面とで区画される第2外層、
・前記内層、前記第1外層及び前記第2外層と、前記第1側面と、で区画される第1サイドマージン部、及び
・前記内層、前記第1外層及び前記第2外層と、前記第2側面と、で区画される第2サイドマージン部に区分けしたときに、
前記内層、前記第1外層及び前記第2外層のそれぞれにおける誘電体層は、
・バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含む主結晶粒子を有し、さらにチタン(Ti)100mol部に対して、
・ニッケル(Ni)を0.2mol部以上3.0mol部以下、及び
・イットリウム(Y)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素(Re)を0.6mol部以上2.0mol部以下、の量で含み、
前記第1外層、前記第2外層、前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部のそれぞれが前記内層と接する界面から内部方向に50μmの距離で離間する面で包囲された領域を内部領域としたときに、前記内部領域における誘電体層は、チタン(Ti)100mol部に対するマグネシウム(Mg)の量が0.05mol部以下である、積層セラミックコンデンサが提供される。
本発明によれば、高い絶縁特性を示すとともに、高温、高湿下での信頼性に優れる積層セラミックコンデンサを提供することが可能になる。
積層セラミックコンデンサの外形を示す斜視図である。 積層セラミックコンデンサの内部構造を模式的に示す断面図である。 積層セラミックコンデンサの内部構造を模式的に示す断面図である。 内層及び内部領域の説明に供するための図面である。 内層及び内部領域の説明に供するための図面である。 誘電体層断面の元素マッピング像を示す図面である。
本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
(1)積層セラミックコンデンサ
本実施形態の積層セラミックコンデンサは、厚さ方向に相対する第1主面及び第2主面、幅方向に相対する第1側面及び第2側面、及び長さ方向に相対する第1端面及び第2端面を有し、厚さ方向に積層された複数の誘電体層及び複数の内部電極層を含む素体部と、第1端面及び第2端面のそれぞれに設けられ、複数の内部電極層と電気的に接続された一対の外部電極と、を備える。また素体部は、複数の内部電極層のうち、第1主面から最も近い側に位置する内部電極層と、第2主面から最も近い側に位置する内部電極層と、で区画される内層、内層と第1主面とで区画される第1外層、内層と第2主面とで区画される第2外層、内層、第1外層及び第2外層と、第1側面と、で区画される第1サイドマージン部、及び内層、第1外層及び第2外層と、第2側面と、で区画される第2サイドマージン部に区分けされる。さらに内層、第1外層及び第2外層のそれぞれにおける誘電体層は、バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含む主結晶粒子を有し、さらにチタン(Ti)100mol部に対して、ニッケル(Ni)を0.2mol部以上3.0mol部以下、及びイットリウム(Y)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素(Re)を0.6mol部以上2.0mol部以下、の量で含む。第1外層、第2外層、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部のそれぞれが内層と接する界面から内部方向に50μmの距離で離間する面で包囲された領域を内部領域としたときに、この内部領域における誘電体層は、チタン(Ti)100mol部に対するマグネシウム(Mg)の量が0.05mol部以下である。
積層セラミックコンデンサの一態様を、図1~図3を用いて説明する。図1は積層セラミックコンデンサの外形を示す斜視図である。図2及び図3は積層セラミックコンデンサの断面を示す図である。積層セラミックコンデンサ(100)は、積層された複数の誘電体層(2)及び複数の内部電極層(4)を含む素体部(6)と、この素体部(6)の両端面(14a、14b)に設けられた一対の外部電極(8a、8b)と、を備える。積層セラミックコンデンサ(100)及び素体部(6)は、略直方体の形状を有する。略直方体とは、直方体のみならず、角部及び/又は稜部が丸められた直方体を包含する。また積層セラミックコンデンサ(100)及び素体部(6)は、厚さ方向Tに相対する第1主面(10a)及び第2主面(10b)、幅方向Wに相対する第1側面(12a)及び第2側面(12b)、及び長さ方向Lに相対する第1端面(14a)及び第2端面(14b)を有する。ここで厚さ方向Tとは、複数の誘電体層(2)及び複数の内部電極層(4)が積層された方向を指す。長さ方向Lは、厚さ方向Tに直交するとともに、外部電極(8a、8b)が設けられた端面(14a、14b)に直交する方向を指す。幅方向Wは厚さ方向T及び長さ方向Lに直交する方向である。厚さ方向T及び幅方向Wを含む面をWT面と定義し、幅方向W及び長さ方向Lを含む面をLW面と定義し、長さ方向L及び厚さ方向Tを含む面をLT面と定義する。
外部電極(8a、8b)は、第1端面(14a)に設けられた第1外部電極(8a)と、第2端面(14b)に設けられた第2外部電極(8b)から構成される。第1外部電極(8a)は、第1端面(14a)のみならず、第1主面(10a)、第2主面(10b)、第1側面(12a)及び第2側面(12b)の一部に回り込んでもよい。また第2外部電極(8b)は、第2端面(14b)のみならず、第1主面(10a)、第2主面(10b)、第1側面(12a)及び第2側面(12b)の一部に回り込んでもよい。しかしながら、第1外部電極(8a)と第2外部電極(8b)は接触しておらず、電気的に離間している。
内部電極層(4)は、複数の第1内部電極層(4a)と複数の第2電極層(4b)とから構成される。複数の第1内部電極層(4a)は第1端面(14a)に延在し、そこで第1外部電極(8a)と電気的に接続されている。また複数の第2内部電極層(4b)は、第2端面(14b)に延在し、そこで第2外部電極(8b)と電気的に接続されている。誘電体層(2)を挟んで対向する第1内部電極層(4a)と第2内部電極層(4b)は、電気的に接続されていない。そのため外部電極(8a、8b)を介して第1内部電極層(4a)と第2内部電極層(4b)との間に電圧が印加されると、電荷が蓄積される。蓄電した電荷により静電容量が生じ、それにより容量素子としての機能が発現される。
素体部(6)を、内層(16)、第1外層(18a)、第2外層(18b)、第1サイドマージン部(20a)、及び第2サイドマージン部(20b)に区分けすることができる。内層(16)は、複数の内部電極層(4)のうち、第1主面(10a)から最も近い側に位置する内部電極層と、第2主面(10b)から最も近い側に位置する内部電極層と、で区画される領域である。すなわち、内層(16)は最上部の内部電極層と最下部の内部電極層に挟まれた領域であり、容量素子としての機能を発揮する領域である。第1外層(18a)は内層(16)と第1主面(10a)とで区画される領域であり、また第2外層(18b)は内層(16)と第2主面(10b)とで区画される領域である。すなわち、第1外層(18a)は、第1主面(10a)から最も近い側に位置する内部電極層と、第1主面(10a)と、で挟まれた領域と呼ぶことができ、第2外層(18b)は、第2主面(10b)から最も近い側に位置する内部電極層と、第2主面(10a)と、で挟まれた領域と呼ぶことができる。内層(16)及び外層(18a、18b)は、誘電体層(2)と内部電極層(4)とが積層された積層体と見なすことができる。
第1サイドマージン部(20a)は、内層(16)、第1外層(18a)及び第2外層(18b)のそれぞれと、第1側面(12a)と、で区画される領域であり、また第2サイドマージン部(20b)は、内層(16)、第1外層(18a)及び第2外層(18b)のそれぞれと、第2側面(12b)と、で区画される領域である。すなわち、サイドマージン部(20a、20b)は、側面(12a、12b)に沿って延在し、内部電極層(4)を含まない領域と見なすことができる。
積層セラミックコンデンサ(100)の寸法は、特に限定されない。しかしながら、長さ方向L寸法が0.2mm以上1.2mm以下、幅方向W寸法が0.1mm以上0.7mm以下、積層方向T寸法が0.1mm以上0.7mm以下であることが好ましい。
<誘電体層>
誘電体層はセラミックスから構成される。また内層、第1外層及び第2外層のそれぞれにおける誘電体層は、バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含む主結晶粒子を有する。この主結晶粒子はチタン酸バリウム(BaTiO)系化合物からなる。BaTiOは、一般式:ABOで表されるペロブスカイト型酸化物である。BaTiOは、室温で正方晶系の結晶構造を示し、高い誘電率を示す強誘電体である。そのためBaTiO系化合物を主成分にすることで、誘電体セラミックの誘電率を高めることができ、コンデンサの大容量化を図ることが可能になる。なお本明細書において、主成分とは、セラミック中の含有割合が最も多い成分のことである。主成分の含有割合は、50質量%以上であってよく、60質量%以上であってよく、70質量%以上であってよく、80質量%以上であってよく、90質量%以上であってもよい。
チタン酸バリウム(BaTiO)系化合物は、バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を主として含むペロブスカイト型酸化物である限り、特に限定されない。すなわち、この化合物はBaTiOであってよく、あるいはBaTiOに含まれるBa及び/又はTiの一部が他の元素で置換されたものであってよい。具体的には、Baの一部がSr及び/又はCaで置換されてよく、またTiの一部がZr及び/又はHfで置換されてもよい。さらにBaTiO系化合物のAサイト元素(Ba、Sr、Ca等)とBサイト元素(Ti、Zr、Hf等)の比は、厳密に1:1に限定される訳ではない。ペロブスカイト型結晶構造を維持する限り、Aサイト元素とBサイト元素の比のずれは許容される。
また内層、第1外層及び第2外層のそれぞれにおける誘電体層は、チタン(Ti)100mol部に対して、イットリウム(Y)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素(Re)を0.6mol部以上2.0mol部以下の量で含む。希土類元素(Re)は誘電体層に加えられる添加成分である。誘電体層は、上述したReのうち一種のみを含んでもよく、あるいは複数種を組み合わせて含んでもよい。またReは、少なくともその一部が主結晶粒子に含まれていれば、存在形態は限定されない。主結晶粒子のみに含まれてもよく、あるいは主結晶粒子とともに粒界相や三重点に含まれてもよい。主結晶粒子に含まれるReは、BaTiO系化合物のBaサイト(Aサイト)を占めてもよく、Tiサイト(Bサイト)を占めてもよく、あるいは両方のサイトを占めてもよい。
誘電体層に希土類元素(Re)を加えることで、様々な特性を制御することが可能になる。すなわちBaTiOでは、イオン半径の大きいBa2+がAサイトを占める一方で、イオン半径の小さいTi4+がBサイトを占める。Reは通常は正3価のイオン(R3+)になり、そのイオン半径はBa2+とTi4+の中間の大きさである。そのためReはBaTiOに固溶して、Ba及びTiのいずれか一方又は両方を置換する。Baサイト(Aサイト)に固溶したReはドナーとして働く一方で、Tiサイト(Bサイト)に固溶したReはアクセプターとして働く。このような働きを有するReを加えることで、誘電体層の特性を変化させることができる。
特に、希土類元素(Re)を加えることで、高温負荷寿命が改善され、信頼性が高くなる。すなわちBaTiO系誘電体層は、焼成工程で生じた酸素空孔を主成分粒子中に多く含んでいる。酸素空孔は正電荷を有しており、この酸素空孔が電荷の通り道になる。酸素空孔が多いと、移動する電荷が多くなり、絶縁抵抗劣化が生じやすい。特に高温環境下では、酸素空孔が負極近傍にまで移動しやすい。そのため負荷が加わると、負極側での酸素空孔量が局所的に多くなり、絶縁抵抗が劣化する。これに対してBaTiOに、ドナー及び/又はアクセプターとして働くReを加えると、酸素空孔の生成及びその移動を抑制する。
希土類元素(Re)の量は、チタン(Ti)100mol部に対して0.6mol部以上2.0mol部以下である。Re量が過度に少ないと、Reによる効果を十分に発揮できず、信頼性(高温負荷特性、耐湿負荷特性)が低下する。Re量は、0.8mol部以上であってよく、1.0mol部以上であってもよい。一方で、Re量が過度に多いと、信頼性が却って低下するとともに、内部電極層間の短絡(ショート)が発生する恐れがある。Re量は、1.5mol部以下であってよく、1.0mol部以下であってもよい。また希土類元素(Re)は、好適にはガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、及びホルミウム(Ho)からなる群から選択される少なくとも一種であり、特に好適にはジスプロシウム(Dy)である。これらの元素は、イオン半径の大きさが希土類元素(Re)の中でも中間程度である。そのため、ドナー及びアクセプターとしての機能をバランスよく発現し、その結果、信頼性(高温負荷特性)が顕著に向上する。
内層、第1外層及び第2外層のそれぞれにおける誘電体層は、チタン(Ti)100mol部に対して、ニッケル(Ni)を0.2mol部以上3.0mol部以下の量で含む。Niは誘電体層に加えられる添加成分であり、主結晶粒子中に固溶する。Niは、アクセプターとして働き、酸素空孔をトラップする能力に優れている。アクセプターとして働くNiを0.2mol部以上の量で加えることで、絶縁特性(IR、ショート率)、及び信頼性(高温負荷特性、耐湿負荷特性)を顕著に向上させることが可能になる。Ni量は、0.5mol部以上であってよく、1.0mol部以上であってもよい。一方でNi量が過度に多いと、絶縁特性及び信頼性が却って低下する。Ni量は、2.5mol部以下であってよく、2.0mol部以下であってもよい。なおNiは、少なくともその一部が主結晶粒子に含まれていれば、存在形態は限定されない。主結晶粒子のみに含まれてもよく、あるいは主結晶粒子とともに粒界相や三重点に含まれてもよい。
第1外層、第2外層、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部のそれぞれが内層と接する界面から内部方向に50μmの距離で離間する面で包囲された領域を内部領域としたときに、この内部領域における誘電体層は、チタン(Ti)100mol部に対するマグネシウム(Mg)の量が0.05mol部以下(500ppm以下)である。内部領域について、図4及び図5を用いて説明する。内部領域(22)は、内層(16)の内部に設けられた仮想領域である。内層(16)は、その周囲に存在する第1外層(18a)、第2外層(18b)、第1サイドマージン部(20a)及び第2サイドマージン部(20b)と4個の界面を介して接している。この界面から内層(16)の内部方向に向かって50μmだけ離間した4個の面を仮想したときに、この仮想面及び端面(14a、14b)に囲まれた領域が内部領域(22)である。換言するに、内部領域(22)は、内層(16)内部に存在し、内層(16)を取り囲む4個の界面から50μm以内の部分を除外した領域である。
先述したように、Ni内部電極層を備える積層セラミックコンデンサにおいて、誘電体層がMgを含有すると、このMgが内部電極層に含まれるNiと反応し、内部電極層と誘電体層との界面にMg及びNiを含有する突起(Mg-Ni突起)が生じることがある。このような突起が発生すると、誘電体層が局所的に薄化して、内部電極層間で短絡(ショート)が発生する恐れがある。特に誘電体層を薄層化した場合に短絡の問題は深刻であり、絶縁特性や信頼性の劣化につながる。これに対して、誘電体層のMg量を0.05mol部(500ppm)以下に限定することで、Mg-Ni突起の発生を防止することができ、その結果、誘電体層の局所的な薄化、及びそれに伴う絶縁特性や信頼性の劣化を抑制することができる。誘電体層に含まれる主結晶粒子には、酸素空孔のトラップ力が高く、アクセプターとして働くNiが固溶している。そのため誘電体層中のMg量が抑えられていても、アクセプター不足による信頼性劣化にはつながらない。Mg量は0.03mol部(300ppm)以下であってもよい。
好適には、第1外層、第2外層及び内層のそれぞれにおける誘電体層は、チタン(Ti)100mol部に対して、マンガン(Mn)を0.08mol部以上0.40mol部以下、ケイ素(Si)を0.6mol部以上2.0mol部以下、アルミニウム(Al)を0.04mol部以上0.30mol部以下、及びバナジウム(V)を0.04mol部以上0.20mol部以下の量で含む。Mn、Si、Al及びVは、誘電体層の添加成分である。誘電体層がMn、Si、Al及びVを前述した量で含むことで、信頼性(高温負荷特性)がより一層に向上する。Mn量は0.08mol部以上0.20mol部以下であってよく、Si量は0.6mol部以上1.0mol部以下であってよく、Al量は0.04mol部以上0.15mol部以下であってよく、V量は0.04mol部以上0.12mol部以下であってもよい。
誘電体層は、ニッケル(Ni)、希土類元素(Re)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)及びバナジウム(V)以外の他の添加成分を含んでもよい。他の添加成分として、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、及びカルシウム(Ca)などが挙げられる。また製造工程時に混入する不可避不純物を含んでもよい。不可避不純物として、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)及びコバルト(Co)などが挙げられる。
好適には、第1外層、第2外層及び内層のそれぞれにおける誘電体層は、チタン(Ti)100mol部に対して、バリウム(Ba)を99.5mol部以上101.5mol部以下の量で含む。Ba量をこの範囲内に限定することで、信頼性(高温負荷特性)がより一層に向上する。Ba量は100.0モル部以上101.0モル部以下がより好適である。
好適には、第1外層、第2外層及び内層のそれぞれにおける誘電体層の主結晶粒子はNi含有粒子を含み、主結晶粒子中のNi含有粒子の個数割合は4%以上である。ここでNi含有粒子とは、Ni低濃度領域とNi高濃度領域とを備える粒子である。Ni高濃度領域とは、Ni濃度がNi低濃度領域の1.3倍以上の領域である。すなわち主結晶粒子の少なくとの一部にはNiが固溶している。またNiが固溶した主結晶粒子の少なくとも一部は、その粒内にNi濃度の分布があり、Ni低濃度領域とNi高濃度領域とに区分けされる。Ni含有粒子の個数割合を4%以上にすることで、絶縁特性(IR、ショート率)及び信頼性(高温負荷特性、耐湿負荷特性)をより一層に向上させることが可能になる。Ni含有粒子の個数割合は、7%以上がより好適である。個数の上限は特に限定されない。しかしながら典型的には20%以下である。
Ni含有粒子は、Ni低濃度領域とNi高濃度領域とを備える限り、Ni濃度の分布は特に限定されない。しかしながら、好適には、Ni高濃度領域がコア部を占めるとともにNi低濃度領域がシェル層を占めるコア-シェル粒子である。この場合、粒子中のコア部は1個であってもよく、あるいは複数個であってもよい。またコア部の全部がシェル層に覆われてもよく、あるいはコア部の一部が粒子表面に露出していてもよい。好適には、Ni含有粒子が、Ni高濃度領域を9%以上の面積割合で含む。これにより絶縁性向上と高温信頼性向上の効果を得ることが可能になる。
好適には、Ni高濃度領域におけるチタン(Ti)100mol部に対する希土類元素(Re)の量は、Ni低濃度領域におけるチタン(Ti)100mol部に対する希土類元素(Re)の量に対して1.3倍以上である。このようにNi高濃度領域におけるRe濃度を高めることで、高温信頼性向上の効果が得られる。
なお粒子中のNi濃度やRe濃度の分布は、誘電体層断面をTEM-EDXで分析し、得られた断面EDX像を画像解析することで求めることができる。例えば、断面EDX像においてNi濃度を数値化及びマッピング化し、得られたマッピング像に基づき主結晶粒子中のNi低濃度領域及びNi高濃度領域を区分けする。そして低濃度領域と高濃度領域の両方を有する主結晶粒子をNi含有粒子と見なして、その個数割合を求める。また断面EDX像におけるNi低濃度領域とNi高濃度領域のそれぞれの面積を求め、Ni高濃度領域の面積割合を求めればよい。
内層における誘電体層は、その厚さが、好適には1.0μm以下、特に好適には0.4μm以下である。誘電体層を薄層化することにより、積層セラミックコンデンサの大容量化を図ることが可能になる。本実施形態の積層セラミックコンデンサでは、誘電体層と内部電極層との界面におけるMg-Ni突起の発生を抑えることができるため、薄層化しても絶縁特性(IR、ショート率)の低下がなく、信頼性の向上を図ることが可能である。しかしながら誘電体層が過度に薄層化されると、絶縁特性の低下を抑えることが困難になる。誘電体層の厚さは、典型的には0.15μm以上である。
第1外層及び第2外層のそれぞれにおける誘電体層は、その厚さが、9.5μm以上30μm以下であることが好ましく、9.5μm以上20μm以下がでより好ましい。第1外層及び第2外層における誘電体層は、単層であってもよく、あるいは複数の層からなる積層体であってもよい。また第1外層における誘電体層と第2外層における誘電体層は、その厚さが同じであってもよく、あるいは異なってもよい。
内層、第1外層及び第2外層のそれぞれにおける誘電体層は、上述した要件を満足する限り、その組成は限定されない。例えば、内層における誘電体層は、その組成が第1外層及び第2外層における誘電体層と同じであってもよく、あるいは異なってもよい。また第1外層及び第2外層における誘電体層は、その組成が同じであってもよく、あるいは異なってもよい。また内層、第1外層及び第2外層における誘電体層は、その合計層数が15枚以上700枚以下であることが好適である。
<内部電極層>
内部電極層は導電性金属を含む。導電性金属として、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、及びこれらを含む合金などの公知の電極材料を用いればよい。しかしながら、低コスト化の観点から卑金属たるNiやCuが好適であり、Niが特に好適である。本実施形態の積層セラミックコンデンサは、Ni内部電極層を備えていてもMg-Ni突起の発生が抑えられるため、信頼性向上を図ることが可能である。内部電極層は、導電性金属以外の他の成分を含んでもよい。他の成分として、共材として働くセラミック成分を挙げることができる。セラミック成分として、誘電体層に含まれるBaTiO系化合物が例示される。また内部電極層の厚さは、好適には0.20μm以上0.80μm以下であり、内部電極層の層数は、好適には15枚以上700枚以下である。
<外部電極>
外部電極として、公知の構成を採用できる。例えば、積層セラミックコンデンサの端面側から、下地層、第1めっき層、及び第2めっき層からなる積層構造とすることができる。下地層は、例えばニッケル(Ni)や銅(Cu)などの金属を含む。また共材としてセラミック粉末を金属の他に含んでもよい。第1めっき層は、例えばニッケル(Ni)めっき層である。第2めっき層は、例えばスズ(Sn)めっき層である。また下地層と第1めっき層との間に、導電性樹脂層を設けてもよい。導電性樹脂層は、銅(Cu)、銀(Ag)及びニッケル(Ni)等の導電性金属粒子と樹脂とを含む層である。外部電極は、内部電極層と電気的に接続され、外部入出力端子として機能するものであれば、その態様は限定されない。
<サイドマージン部>
本実施形態の積層セラミックコンデンサは、第1側面側及び第2側面側のそれぞれに、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を備える。側面側にサイドマージン部を設けているので、内部電極層が側面側へ露出していない。そのため、外部雰囲気中の水分が側面を通って積層セラミックコンデンサの内部に侵入することが防止される。またサイドマージン部を設けることで、静電容量に寄与しない余白部の厚さを薄くすることができるとともに、その厚さを厳密に管理することができる。その結果、積層セラミックコンデンサの大容量化及び容量バラツキの低減が可能になる。サイドマージン部は、BaTiO系化合物などのペロブスカイト型化合物からなる主結晶粒子を有するものとすればよい。また主結晶粒子の他に、ニッケル(Ni)、希土類元素(Re)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、及びバナジウム(V)などの添加成分を含んでもよい。さらにジルコニウム(Zr)などの不可避不純物を含んでもよい。
サイドマージン部は、積層セラミックコンデンサ側面に平行な面をもつ単層であってもよく、あるいは、複数の層の積層体でもよい。複数の層の積層体である場合には、側面から垂直な方向を横切る界面がサイドマージン部に存在してもよい。またサイドマージン部と内層との間に界面が存在してもよい。一方で、主面に平行の方向には界面が存在しなくてもよい。サイドマージン部の厚みは、好適には15μm以上55μm以下である。
好適には、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部が、チタン(Ti)と、さらにチタン(Ti)100モル部に対し、1.00mol部以上3.00mol部以下のマグネシウム(Mg)及び0.50mol部以上2.00mol部以下のマンガン(Mn)の少なくとも一方を含み、マグネシウム(Mg)とマンガン(Mn)の合計含有量が5.00mol部以下である。Mg量を1.00mol部以上又はMn量を0.50mol部以上にすることで、耐湿負荷特性をより一層に優れたものにすることが可能である。またMg量を3.00mol部以下及びMn量を2.00mol部以下にすることで、容量低下を抑えることが可能になる。
このような本実施形態の積層セラミックコンデンサは、特定領域における希土類元素(Re)量、ニッケル(Ni)量、及びマグネシウム(Mg)量が制御されているため、高い絶縁特性を示すとともに、高温、高湿下での信頼性に優れる。特に、Mgを抑制し、その代わりにNiを添加成分として誘電体層に加え、さらにRe量を所定の範囲内に制御することで、薄層化しつつもMg-Ni突起の発生を抑えることができる。そのため、積層セラミックコンデンサの大容量化と、優れた絶縁特性及び信頼性の両立が可能になる。また側面にサイドマージン部を備えることから、容量バラツキの低減が可能になる。
(2)積層セラミックコンデンサの製造方法
本実施形態の積層セラミックコンデンサは、上述した要件を満足する限り、その製造方法は限定されない。しかしながら好適には以下の方法で製造される。好適な製造方法は、以下の工程:誘電体層用の主成分原料を準備する工程(準備工程)、主成分原料に添加成分原料を混合して誘電体原料にする工程(混合工程)、誘電体原料にバインダ―及び溶媒を添加及び混合してスラリー化し、得られたスラリーから誘電体層用グリーンシートを成形する工程(成形工程)、内部電極用導電ペーストを用いて、誘電体層用グリーンシートの表面にパターン化された導電ペースト層を印刷する工程(印刷工程)、複数枚の誘電体層用グリーンシートを積層及び圧着して、積層ブロックを作製する工程(積層工程)、得られた積層ブロックを切断して積層チップにする工程(切断工程)、得られた積層チップの側面にサイドマージングリーン体を付着させて、グリーン素体部にする工程(サイドマージン形成工程)、得られたグリーン素体部に脱バインダ処理及び焼成処理を施して、素体部にする工程(焼成工程)、及び得られた素体部に外部電極を形成して、積層セラミックコンデンサにする工程(外部電極形成工程)を備える。各工程の詳細を以下に説明する。
<準備工程>
準備工程では、誘電体層になる主成分原料と添加成分原料を準備する。主成分原料として、ペロブスカイト型構造(ABO)を有するBaTiO系化合物の粉末を用いることができる。BaTiO系化合物は、固相反応法、水熱合成法、アルコキシド法などの公知の手法で合成すればよい。ただし主成分原料は、その粒径D50が110nm以上150nm以下であり、ペロブスカイト構造のc軸/a軸比が1.0085~1.0100であるものが好適である。ここで粒径D50は円相当径である。円相当径は、SEMを用いてグレインの観察を行い、得られた画像を解析して求めることができる。このような主成分原料を用いることで、絶縁特性及び信頼特性に優れる積層セラミックコンデンサを得ることができる。
<混合工程>
混合工程では、主成分原料に、添加成分(Ni、Re、Mg、Mn、Si、Al、V等)原料を混合して誘電体原料にする。添加成分原料として、酸化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、有機酸塩、アルコキシド及び/又はキレート化合物など公知のセラミック原料を用いればよい。混合手法は特に限定されない。例えば、秤量した主成分原料と添加成分原料を粉砕媒体及び純水とともにボールミルを用いて湿式で混合及び粉砕する手法が挙げられる。湿式で混合を行った場合には、混合物を乾燥すればよい。
<成形工程>
成形工程では、誘電体原料にバインダ及び溶媒を添加及び混合してスラリー化し、得られたスラリーから誘電体層用グリーンシートを成形する。誘電体層用グリーンシートは、焼成後に積層セラミックコンデンサの内層及び外層を構成する誘電体層になる。バインダとして、ポリビニルブチラール系バインダなど公知の有機バインダを用いればよい。また溶媒として、トルエンやエタノールなどの公知の有機溶媒を用いればよい。必要に応じて可塑剤などの添加剤を加えてもよい。成形は、リップ法などの公知の手法で行えばよい。成形後のシート厚は、例えば1μm以下である。
<印刷工程>
印刷工程では、内部電極層用の導電ペーストを用いて、誘電体層用グリーンシートの表面に、パターン化された導電ペースト層を形成する。導電ペースト層は、焼成後に内部電極層になる。導電ペーストに含まれる導電性金属としてニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、及びこれらを含む合金などの導電材料を用いればよい。しかしながらニッケル(Ni)が好適である。また導電ペーストには共材として働くセラミック成分を加えてもよい。セラミック成分として、誘電体層の主成分原料を用いることができる。導電ペースト層の形成手法は特に限定されない。例えばスクリーン印刷、グラビア印刷などの手法が挙げられる。
<積層工程>
積層工程では、複数枚の誘電体層用グリーンシートを積層及び圧着して、積層ブロックを作製する。この際、導電ペースト層を形成していない誘電体層用グリーンシートで上下から挟み込むように、導電ペースト層を形成した複数枚の誘電体層用グリーンシートを積層する。導電性ペースト層を形成していないグリーンシートは、焼成工程を経て、積層セラミックコンデンサの外層になる。一方で、導電性ペースト層を形成したグリーンシートは、積層セラミックコンデンサの内層を構成する誘電体層になる。積層するグリーンシートの枚数は、必要とされる容量を得るように調整すればよい。
<切断工程>
切断工程では、得られた積層ブロックを切断して積層チップにする。切断は、所定のサイズのチップが得られ、且つ導電ペースト層の少なくとも一部が積層チップの端面及び側面に露出するように行えばよい。
<サイドマージン形成工程>
サイドマージン形成工程では、積層チップの側面にサイドマージングリーン体を付着させて、グリーン素体部にする。サイドマージングリーン体により、積層チップ側面に露出する導電ペースト層が覆われる。またサイドマージングリーン体は、焼成後に積層セラミックコンデンサのサイドマージン部になる。サイドマージングリーン体の原料として、誘電体層作製に用いた主成分原料と添加成分原料を用いることができる。しかしながらサイドマージンの組成を誘電体層組成と同一にする必要はなく、異なる組成としてもよい。例えば、誘電体層の添加成分の一部のみを用いてもよく、あるいは誘電体層とは異なる添加成分を加えてもよい。一方でサイドマージン部の組成を誘電体層と同一にしてもよい。
サイドマージングリーン体の作製及び付着は公知の手法で行えばよい。例えば、サイドマージンの原料粉末からグリーンシートを作製し、このグリーンシートを積層チップの側面に接着する手法が挙げられる。その際、グリーンシートの接着を確実にするため、予め積層チップ側面に有機溶剤などの接着補助剤を塗布してもよい。あるいはサイドマージン原料粉末からペーストを作製し、このペーストを積層チップ側面に塗布及び乾燥する手法が挙げられる。またサイドマージングリーン体は単層であってもよく、あるいは複数の層からなる積層体であってもよい。積層体からなるサイドマージングリーン体は、積層チップの側面に複数のグリーンシートを積層する手法や、ペーストの塗布及び乾燥を繰り返す手法で得ることができる。
<焼成工程>
焼成工程では、グリーン素体部に脱バインダ処理及び焼成処理を施して、素体部にする。焼成処理により導電ペースト層と誘電体層用グリーンシートとが共焼結されて、それぞれ内部電極層と誘電体層とになる。脱バインダ処理の条件はグリーンシート及び導電ペースト層に含まれる有機バインダの種類に応じて決めればよい。また焼成処理は、積層チップが十分に緻密化する温度で行えばよい。例えば1200℃以上1300℃以下の温度で0分以上10分以下保持する条件で行えばよい。また焼成は、主成分たるBaTiO系化合物が還元されることなく、且つ導電性材料の酸化が抑制される雰囲気で行う。例えば酸素分圧1.8×10-9~8.7×10-10MPaのN-H-HO気流中で行えばよい。さらに焼成後にアニール処理を施してもよい。
<外部電極形成工程>
外部電極形成工程では、素体部に外部電極を形成して、積層セラミックコンデンサにする。外部電極の形成は公知の手法で行えばよい。例えば、素体部の内部電極が引き出されて露出した端面に、CuやNiなどの導電成分を主成分とする導電ペーストを塗布及び焼き付けて下地層を形成する。下地層は、焼成前のグリーン素体部の両端面に導電ペーストを塗布した後に焼成処理を施す手法で形成してもよい。下地層を形成した後、電解めっきを施して下地層の表面にNi、Snなどのめっき皮膜を形成すればよい。これにより積層セラミックコンデンサが作製される。
[例1~例67]
例1~例67につき、誘電体層の組成を変化させて、積層セラミックコンデンサを作製し、その評価を行った。誘電体層の組成とコンデンサの特性を表1に示す。
主成分原料として、BaTiO粉末を準備した。ここでmは、ペロブスカイト型化合物(ABO)のA/Bモル比、すなわちBa/Tiモル比である。またBaTiO粉末として、粒径D50が140nmで、ペロブスカイト構造のc軸/a軸比が1.0090であるものを用いた。次いで、準備したBaTiO粉末を秤量し、ボールミルにより湿式混合して凝集体を解砕した。
主成分原料とは別に、添加成分(Ni、Re、Mg、Mn、Si、Al、V)原料を秤量した。添加成分原料として、酸化ニッケル(NiO)、希土類酸化物(Dy等)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸マンガン(MnCO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、及び酸化バナジウム(V)を用いた。また製造後の積層セラミックコンデンサにおいて、誘電体層の組成が表1及び表2に示す組成になるように主成分原料及び添加成分原料の配合量を調整した。
次に、主成分原料に添加成分原料を添加し、ボールミルを用いて湿式混合した後に乾燥及び熱処理して誘電体原料とした。得られた誘電体原料に、ポリビニルブチラール系バインダ、及び有機溶媒たるエタノールを加えて、所定の時間ボールミルにより湿式混合して、スラリーを作製した。このスラリーをシート成形して、誘電体層用グリーンシートを作製した。
次に、得られた誘電体層用グリーンシート表面に、Niを主体とする導電ペーストをスクリーン印刷し、内部電極層になる導電ペースト層をパターン形成した。その後、導電ペースト層が形成された複数枚のグリーンシートを積層するとともに、その上下に導電ペースト層が形成されていないグリーンシートを配置し、全体を圧着して積層ブロックを作製した。そして、得られた積層ブロックをダイシングソーにて切断して積層チップにした。積層は、導電ペースト層が引き出されている端部が互い違いになるように行った。また切断は、導電ペースト層が側面に露出するように行った。
切断した積層チップの、導電ペースト層が露出した両側面に、サイドマージン用グリーンシート(サイドマージングリーン体)を貼り付けて、グリーン素体部にした。サイドマージン用グリーンシートの作製は、主成分原料及び添加成分原料の配合量を変えた以外は、誘電体層用グリーンシートと同様にして行った。この際、製造後の積層セラミックコンデンサにおけるサイドマージン部において、BaTiO系化合物のA/B比が1.005、Ti100モルに対して、Niが1.5mol部、Re(Dy)が1.0mol部、Mgが0.03mol部、Mnが0.10mol部、Siが0.8mol部、Alが0.08mol部、Vが0.08mol部の組成になるように配合量を調整した。
得られたグリーン素体部を、N気流中、最高温度270℃の条件で熱処理し、さらにN-HO-H気流中、最高温度800℃の条件で熱処理した。その後、N-HO-H気流中で、酸素分圧1.8×10-9~8.7×10-10MPa、昇温速度20℃/sec、最高温度1260℃の条件で焼成した。なお、焼成の際は、最高温度1260℃に到達後すぐに室温近傍まで冷却した。続いて、N-HO-H気流中、最高温度1090℃の条件で35分間の熱処理を施した。これにより積層セラミックコンデンサの素体部を得た。
焼成により得られた素体部の、内部電極層が引き出された端面に、銅(Cu)を主成分とする導電ペーストを塗布した。その後、塗布した導電ペーストを900℃で焼き付けて、外部電極の下地層を形成した。さらに、下地層の表層に、湿式メッキによってNiめっきとSnめっきをこの順で行った。このようにして、例1~例67の積層セラミックコンデンサを作製した。
作製された積層セラミックコンデンサは、長さL寸法が0.4mm、幅方向W寸法が0.2mm、厚さ方向T寸法が0.2mmであった。また内層部における誘電体層の厚さが0.5μm、内部電極層の厚さ0.4μm、誘電体層の層数が150であった。
[例68~例81]
製造後の積層セラミックコンデンサにおいて、誘電体層及びサイドマージン部の組成が、表3に示す組成になるように、原料配合量を調整した。それ以外は、例6と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。
[例82]
製造後の積層セラミックコンデンサにおいて、誘電体層及びサイドマージン部の組成が表3に示す組成になるように、原料配合量を調整した。それ以外は、例1と同様にして積層セラミックコンデンサを作製した。
(2)評価
作製した積層セラミックコンデンサにつき、各種特性の評価を以下のとおり行った。
<組成分析>
積層セラミックコンデンサの断面において、サイドマージン部をレーザーアブレーションICP-MSで分析した。また、内部領域(22)以外を研磨で除去し、粉砕後、内部電極Niを磁石で除去した。残ったセラミックスをICP-MSで分析し、誘電体層の組成を分析した。
<粒内Ni分布及びRe分布>
積層セラミックコンデンサの断面について、TEM-EDXを用いてマッピング分析を行い、結晶粒子内のニッケル(Ni)及び希土類元素(Re)の分布を調べた。具体的には積層セラミックコンデンサ中央部をLT断面が得られるように研磨して、誘電体層を露出させた。露出した誘電体層の中央部近傍における主結晶粒子についてTEM観察を行い、EDXを用いて粒子内の原子分布を示すマッピング像を得た。観察は100個の粒子に対して行った。そして得られたマッピング像を画像解析して、Ni濃度及びRe濃度を数値化した。得られたデータを用いて、主結晶粒子中のNi含有粒子の個数割合、Ni高濃度領域の面積割合を求めた。
<容量>
積層セラミックの静電容量を、自動ブリッジ式測定機を用いて測定した。測定は温度25℃、実効電圧0.5Vrms、周波数1kHzの条件で行った。得られた静電容量を、内層部の誘電体層の体積で除して、単位体積あたりの静電容量(体積容量)を求めた。
<絶縁抵抗>
20個のサンプルにつき、室温下で、サンプルの外部電極間に4Vの直流電圧を印可して60秒間保持して充電を行った。充電後の各サンプルの絶縁抵抗を測定し、その対数値の平均をLogIRとして求めた。
<ショート率>
100個のサンプルについて絶縁抵抗を測定し、絶縁抵抗が100Ω以下となったサンプルの個数を数えた。絶縁抵抗100Ω以下のサンプル数を全サンプル数で除して、ショート率を算出した。
<高温負荷試験>
100個のサンプルにつき、温度150℃、印加電圧3.2Vの条件で高温負荷試験を行い、50又は200時間経過後の絶縁抵抗IR(Ω)を測定した。LogIR≦4となるサンプルを不良(NG)と判別して、不良サンプル数からNG率を算出した。
<耐湿負荷試験>
100個のサンプルにつき、温度125℃、湿度95%RH、印加電圧2V又は4Vの条件で耐湿負荷試験を行い、72時間経過後の絶縁抵抗IR(IR)を測定した。LogIR≦4となるサンプルを不良(NG)と判別して、不良サンプル数からNG率を算出した。
(3)結果
[例1~例29]
例1~例29で得られた積層セラミックコンデンサについて、誘電体層の組成とコンデンサ特性を表1に示す。例1~例29は、内層及び外層における誘電体層について、Ni量、Re量、Mg量、及びReの種類を変えたサンプルである。例1、例2、例10、例11、例17、及び例19~例21は本実施形態の要件を満足しない比較例であり、それ以外は実施例である。
Ni量、Re量、及びMg量が本実施形態で特定される範囲を満足しない比較例サンプル(例1、例2、例10、例11、例17、及び例19~例21)では、絶縁特性(LogIR、ショート率)及び信頼性(高温負荷特性、耐湿負荷特性)のいずれかが劣っていた。一方で、実施例サンプル(例3~例9、例12~例16、例18、及び例22~例29)は、絶縁特性及び信頼性に優れていた。このことから、Ni量、Re量、及びMg量を本実施形態で特定される範囲内に限定することで、絶縁特性及び信頼性に優れる積層セラミックコンデンサを得られることが分かった。
またNi高濃度領域を9%以上の割合で含むNi含有粒子の個数割合が4%以上であるサンプルは、絶縁特性及び信頼性が優れ、特に個数割合が7%以上であるサンプルは信頼性が特に優れていた。なおNi含有粒子は、Ni高濃度領域におけるチタン(Ti)100mol部に対する希土類元素(Re)の量が、Ni低濃度領域におけるチタン(Ti)100mol部に対する希土類元素(Re)の量に対して1.3倍以上であった。
Figure 0007363732000001
例6で得られた積層セラミックコンデンサの内層における誘電体層断面の元素マッピング像を図6に示す。図6に示すように、ケイ素(Si)は結晶粒界に偏析していた。一方で、ニッケル(Ni)とジスプロシウム(Dy)は主結晶粒子の内部に固溶し、粒子内部の中央部に高濃度領域(Ni高濃度領域、Dy高濃度領域)が形成されていた。
[例30~例67]
例30~例67で得られた積層セラミックコンデンサについて、誘電体層の組成とコンデンサ特性を表2に示す。例30~例67は、内層及び外層における誘電体層について、Mn量、Si量、Al量、V量、及びBa/Tiモル比(A/Bモル比)を変えたサンプルである。また例32、例39、例46、例54及び例61は、例6と同じサンプルである。
例30~例67はいずれも絶縁特性(LogIR、ショート率)及び信頼性(高温負荷特性、耐湿負荷特性)に優れていた。特にMn量、Si量、Al量、V量、及びBa/Tiモル比が所定範囲内にある例31~例35、例38~例42、例45~例50、例53~例57、例60~例64、例66及び例67は、長時間(200時間)での高温負荷特性がさらに優れていた。このことからMn量、Si量、Al量、V量、及びBa/Tiモル比を所定範囲内に限定することで、信頼性(高温負荷特性)がより一層改善されることが分かった。
Figure 0007363732000002
[例68~例82]
例68~例82で得られた積層セラミックコンデンサについて、誘電体層及びサイドマージン部の組成とコンデンサ特性を表3に示す。例82は、内層及び外層における誘電体層の組成が本実施形態の要件を満足しない比較例であり、それ以外は実施例である。
例68~例82の積層セラミックコンデンサを、その特性に応じて、以下の基準にしたがい格付けした。
A:体積容量が80μF/mm以上、高温負荷試験NG率(50時間)が5%以下、耐湿負荷試験NG率(2V)が5%以下、及び耐湿負荷試験NG率(4V)が5%以下のいずれも満足する。
B:体積容量が80μF/mm以上、高温負荷試験NG率(50時間)が5%以下、耐湿負荷試験NG率(2V)が5%以下、耐湿負荷試験NG率(4V)が5%以下のいずれか3項目を満足する。
C:A及びBの要件を満足しない。
比較例サンプル(例82)では、絶縁特性(LogIR、ショート率)及び信頼性(高温負荷特性、耐湿負荷特性)が劣っていた。一方で、実施例サンプル(例68~例81)は、絶縁特性及び信頼性に優れていた。特にサイドマージン部のMg量及びMn量が所定範囲内である例69~例74、例76~例79及び例81は、高い体積容量を維持しつつ、高電圧(4V)印加下での耐湿負荷特性がさらに優れていた。このことからサイドマージン部の組成を所定範囲内に限定することで、信頼性(耐湿負荷特性)がより一層改善されることが分かった。
Figure 0007363732000003
2 誘電体層
4 内部電極層
6 素体部
8a 第1外部電極
8b 第2外部電極
10a 第1主面
10b 第2主面
12a 第1側面
12b 第2側面
14a 第1端面
14b 第2端面
16 内層
18a 第1外層
18b 第2外層
20a 第1サイドマージン部
20b 第2サイドマージン部
22 内部領域
100 積層セラミックコンデンサ

Claims (8)

  1. 厚さ方向に相対する第1主面及び第2主面、幅方向に相対する第1側面及び第2側面、及び長さ方向に相対する第1端面及び第2端面を有し、
    前記厚さ方向に積層された複数の誘電体層及び複数の内部電極層を含む素体部と、
    前記第1端面及び第2端面のそれぞれに設けられ、前記複数の内部電極層と電気的に接続された一対の外部電極と、を備える積層セラミックコンデンサであって、
    前記素体部を、
    ・前記複数の内部電極層のうち、前記第1主面から最も近い側に位置する内部電極層と、前記第2主面から最も近い側に位置する内部電極層と、で区画される内層、
    ・前記内層と前記第1主面とで区画される第1外層、
    ・前記内層と前記第2主面とで区画される第2外層、
    ・前記内層、前記第1外層及び前記第2外層と、前記第1側面と、で区画される第1サイドマージン部、及び
    ・前記内層、前記第1外層及び前記第2外層と、前記第2側面と、で区画される第2サイドマージン部に区分けしたときに、
    前記内層、前記第1外層及び前記第2外層のそれぞれにおける誘電体層は、
    ・バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含む主結晶粒子を有し、さらにチタン(Ti)100mol部に対して、
    ・ニッケル(Ni)を0.2mol部以上3.0mol部以下、及び
    ・イットリウム(Y)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)からなる群から選択される少なくとも一種の希土類元素(Re)を0.6mol部以上2.0mol部以下、の量で含み、
    前記第1外層、前記第2外層、前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部のそれぞれが前記内層と接する界面から内部方向に50μmの距離で離間する面で包囲された領域を内部領域としたときに、前記内部領域における誘電体層は、チタン(Ti)100mol部に対するマグネシウム(Mg)の量が0.05mol部以下(ただし、0mol部を除く)である、積層セラミックコンデンサ。
  2. 前記第1外層、前記第2外層及び前記内層のそれぞれにおける誘電体層は、チタン(Ti)100mol部に対して、
    ・マンガン(Mn)を0.08mol部以上0.40mol部以下、
    ・ケイ素(Si)を0.6mol部以上2.0mol部以下、
    ・アルミニウム(Al)を0.04mol部以上0.30mol部以下、及び
    ・バナジウム(V)を0.04mol部以上0.20mol部以下の量で含む、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
  3. 前記第1外層、前記第2外層及び前記内層のそれぞれにおける誘電体層は、チタン(Ti)100mol部に対して、バリウム(Ba)を99.5mol部以上101.5mol部以下の量で含む、請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサ。
  4. 前記第1外層、前記第2外層及び前記内層のそれぞれにおける誘電体層の主結晶粒子は、Ni低濃度領域と、ニッケル(Ni)濃度が前記Ni低濃度領域の1.3倍以上であるNi高濃度領域と、を備えるNi含有粒子を含み、
    前記主結晶粒子中の前記Ni含有粒子の個数割合が4%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ。
  5. 前記Ni含有粒子が、Ni高濃度領域を9%以上の面積割合で含む粒子である、請求項4に記載の積層セラミックコンデンサ。
  6. 前記Ni高濃度領域におけるチタン(Ti)100mol部に対する希土類元素(Re)の量は、前記Ni低濃度領域におけるチタン(Ti)100mol部に対する希土類元素(Re)の量に対して1.3倍以上である、請求項4又は5に記載の積層セラミックコンデンサ。
  7. 前記第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部が、チタン(Ti)と、さらにチタン(Ti)100モル部に対し、1.00mol部以上3.00mol部以下のマグネシウム(Mg)及び0.50mol部以上2.00mol部以下のマンガン(Mn)の少なくとも一方を含み、マグネシウム(Mg)とマンガン(Mn)の合計含有量が5.00mol部以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ。
  8. 前記内部電極層がニッケル(Ni)を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層セラミックコンデンサ。
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