本発明の化粧料添加剤は、例えば、化粧料基剤に添加され、化粧料に含有される体質顔料である。
本発明の化粧料添加剤は、多孔質粒子と、有機系光エネルギー線吸収剤と、硬化物とを含む。
多孔質粒子は、有機系光エネルギー線吸収剤を取り込むことができる担体(基体)である。
多孔質粒子の比表面積は、例えば、150m2/g以上、好ましくは、200m2/g以上、230m2/g以上、より好ましくは、300m2/g以上であり、また、1000m2/g以下である。多孔質粒子の比表面積は、BET法(窒素吸着法)に準拠して測定される。多孔質粒子の細孔径の平均は、例えば、1nm以上、例えば、100nm以下である。
多孔質粒子の外形形状は、特に限定されず、例えば、略球状、略板状(葉片状)、略針状、略多面体状(四面体、6面体(立方体など)など)などが挙げられ、好ましくは、優れた伸展性を得る観点から、略球状、略板状が挙げられる。
また、多孔質粒子は、表面に孔を有しており、かかる孔が外部と内部とを連絡し、そして、内部が中空である中空球状粒子を含むことができる。
多孔質粒子の最大長さの平均値(あるいは平均粒子径)は、例えば、0.5μm以上、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、2μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、20μm以下、より好ましくは、10μm以下である。多孔質粒子の最大長さの平均値は、レーザー回折法で測定するメジアン径として得られる。多孔質粒子の最大長さの平均値が上記した下限以上、上限以下であれば、化粧料添加剤を化粧料に添加して、化粧料の基本性能が損なわれない。
多孔質粒子は、特に限定されず、例えば、無機粒子、有機粒子、それらの複合粒子などが挙げられる。これらは、単独使用または併用することができる。
多孔質粒子として、好ましくは、無機粒子、有機粒子が挙げられる。
次に、無機粒子および有機粒子を順に説明する。
無機粒子としては、例えば、シリカ系粒子(シリカ粒子、シリカアルミナ粒子など)、窒化ホウ素粒子、酸化マグネシム粒子、セリサイト粒子、マイカ粒子、硫酸バリウム粒子、タルク粒子、炭酸カルシウム粒子などが挙げられる。無機粒子として、好ましくは、シリカ系粒子が挙げられる。無機粒子がシリカ系粒子であれば、多孔質粒子の表面に存在するヒドロキシル基(具体的には、シラノール基)が、硬化物と化学結合することができる。なお、シリカ系粒子は、その材料が、シリカを含むシリカ系材料であって、シリカ粒子、また、シリカを構成単位として含むシリカ含有複合酸化物粒子(具体的には、シリカアルミナ粒子など)などが挙げられる。
シリカ系粒子としては、沈降法シリカ、ゲル法シリカなどの湿式法シリカが挙げられる。また、シリカ系粒子として、例えば、特開平9-295808に記載される板状シリカ粒子(板状劈開性シリカ粒子)、例えば、特開平5-193927に記載される球状シリカ粒子例えば、中空球状シリカ粒子などが挙げられる。
なお、シリカ系粒子は、シリカ粒子と、酸化マグネシウム粒子などの弱塩基性酸化物粒子との粒子内で混合された組成物(粒子内混合物)を含むこともできる。シリカ系粒子が粒子内組成物である場合において、シリカ粒子の粒子内組成物における含有割合は、例えば、50質量%超過、好ましくは、55質量%以上であり、また、例えば、99質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。
無機粒子の吸油量は、例えば、80mL/100g以上、好ましくは、100mL/100g以上、より好ましくは、120mL/100g以上、さらに好ましくは、140mL/100g以上、とりわけ好ましくは、150mL/100g以上であり、また、例えば、500mL/100g以下である。無機粒子の吸油量は、JIS K 5101-13-2に準拠して測定される。
無機粒子の吸油量が上記した下限以上であれば、第1の製造方法の第1工程(後述)の1段階法(後述)では、無機粒子が取り込める有機系光エネルギー線吸収剤およびシリコーン組成物の総容積を十分に確保でき、第2の製造方法の第3工程(後述)の1段階法(後述)では、無機粒子が取り込める有機系光エネルギー線吸収剤およびシリカ系組成物を含む混合液の総容積を十分に確保できる。また、第1および第2の製造方法の2段階法の第1段階目において、無機粒子が取り込める有機系光エネルギー線吸収剤および溶媒を含有する有機系光エネルギー線吸収剤液の総容積を十分に確保できる。そのため、化粧料添加剤で要求される有機系光エネルギー線吸収剤性能(SPF、PAなど)を発揮できるレベルの有機系光エネルギー線吸収剤の量を確保でき、さらには、かかる有機系光エネルギー線吸収剤を確実に封止できる硬化物の量も確保できる。
無機粒子の屈折率は、例えば、1.3以上、好ましくは、1.4以上であり、また、例えば、1.6以下、好ましくは、1.5以下である。
とりわけ、シリカ系粒子の屈折率は、例えば、1.4以上、例えば、1.5以下である一方、疎水性有機系光エネルギー線吸収剤(具体的には、疎水性有機系紫外線吸収剤))(後述)の屈折率は、例えば、1.5以上である。具体的には、疎水性有機系光エネルギー線吸収剤の一例であるEHMC(後述)の屈折率は1.55である。つまり、シリカ系粒子の屈折率の上限は、好ましくは、疎水性有機系光エネルギー線吸収剤の屈折率の下限未満である。この場合には、シリカ系粒子および有機系光エネルギー線吸収剤(EHMC)の複合体の屈折率はシリカ系粒子の屈折率より高くなり、両者界面での光拡散が起こる。従って、シリカ系粒子中に疎水性有機系光エネルギー線吸収剤が硬化物によって封止された体質顔料(化粧料添加剤)は、多孔質シリカのみの体質顔料よりヘイズが高くなり、優れた皺隠し効果が期待される。屈折率は、例えば、液浸法で測定される。
有機粒子としては、例えば、生分解性を有する生分解性粒子、例えば、生分解性を有しない非生分解性粒子(具体的には、アクリル樹脂粒子、ポリエチレン粒子など)が挙げられる。これらは、単独使用または併用することができる。好ましくは、環境負荷を低減する観点から、生分解性粒子が挙げられる。
生分解性粒子としては、例えば、セルロール系粒子、ポリ乳酸粒子、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸などが挙げられる。好ましくは、セルロール系粒子が挙げられる。
セルロール系粒子としては、例えば、セルロース粒子、セルロースエステル粒子、セルロースエーテル粒子(メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど、セルロースのヒドロキシル基の一部または全部がエーテル化されたエーテル化合物)などが挙げられ、好ましくは、セルロース粒子、セルロースエステル粒子が挙げられる。
セルロースエステル粒子としては、例えば、酢酸セルロース(アセチルセルロースあるいはセルロースアセテート)、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、硫酸セルロース、ニトロセルロース、リン酸セルロースなど、セルロースのヒドロキシル基の一部または全部がエステル化されたエステル化合物が挙げられる。好ましくは、アセチル基を分子中に少なくとも1つ含むアセチル系セルロースが挙げられる。
アセチル系セルロースとしては、セルロースモノアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。
有機粒子の吸油量は、例えば、80mL/100g以上、好ましくは、100mL/100g以上、より好ましくは、120mL/100g以上、さらに好ましくは、140mL/100g以上、とりわけ好ましくは、150mL/100g以上であり、また、例えば、500mL/100g以下である。有機粒子の吸油量は、JIS K 5101-13-2に準拠して測定される。
有機粒子の吸油量が上記した下限以上であれば、第1の製造方法の第1工程(後述)の1段階法(後述)では、無機粒子が取り込める有機系光エネルギー線吸収剤およびシリコーン組成物の総容積を十分に確保でき、第2の製造方法の第3工程(後述)の1段階法(後述)では、無機粒子が取り込める有機系光エネルギー線吸収剤およびシリカ系組成物を含む混合液総容積を十分に確保できる。また、第1および第2の製造方法の2段階法の第1段階目において、無機粒子が取り込める有機系光エネルギー線吸収剤および溶媒を含有する有機系光エネルギー線吸収剤液の総容積を十分に確保できる。そのため、化粧料添加剤で要求される有機系光エネルギー線吸収剤性能(SPF、PAなど)を発揮できるレベルの有機系光エネルギー線吸収剤の量を確保でき、さらには、かかる有機系光エネルギー線吸収剤を確実に封止できる硬化物の量も確保できる。
多孔質粒子の化粧料添加剤における割合は、例えば、20質量%以上、好ましくは、35質量%以上であり、また、例えば、75質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
有機系光エネルギー線吸収剤は、多孔質粒子の細孔内に取り込まれている。有機系光エネルギー線吸収剤は、光エネルギー線を吸収して、皮膚に直接照射される光エネルギー線の量を低減する。
有機系光エネルギー線吸収剤の対象は、例えば、紫外線(UVA(長波長側紫外線)、UVB(短波長側紫外線)などを含む)、青色光線(ブルーライト)、近赤外線などを含む。有機系光エネルギー線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤、有機系青色光線吸収剤(ブルーライト吸収剤)、有機系近赤外線吸収剤などが挙げられる。有機系光エネルギー線吸収剤は、単独使用または併用することができる。
有機系光エネルギー線吸収剤として、好ましくは、有機系紫外線吸収剤が挙げられる。
また、有機系光エネルギー線吸収剤としては、疎水性有機系光エネルギー線吸収剤、親水性有機系光エネルギー線吸収剤が挙げられる。
疎水性有機系光エネルギー線吸収剤としては、例えば、p-メトキシ桂皮酸イソペンチル、4-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル(EHMC)などの桂皮酸化合物(UVB吸収剤)、例えば、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)などのジベンゾイルメタン化合物(UVA吸収剤)などが挙げられる。さらに、疎水性有機系光エネルギー線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルなどの安息香酸エステル化合物、例えば、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸ホモメンチルなどのサリチル酸エステル化合物、例えば、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物などが挙げられ、さらには、アントラニル酸メンチル、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(オルトクレリン)なども挙げられる。
ジベンゾイルメタン化合物は、βジケトン構造を有することから、シリコーン組成物に含まれる金属アルコキシドや、金属錯体を構成する金属が、ジベンゾイルメタン化合物と錯体化合物を形成するため、青色光線を吸収できる。そのため、疎水性有機系光エネルギー線吸収剤は、少なくともジベンゾイルメタン化合物を含むことが好適である。
親水性有機系光エネルギー線吸収剤としては、例えば、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸などのベンゾイミダゾールスルホン酸化合物(UVB吸収剤)などが挙げられる。
有機系光エネルギー線吸収剤として、好ましくは、疎水性有機系光エネルギー線吸収剤が挙げられる。有機系光エネルギー線吸収剤が疎水性有機系光エネルギー線吸収剤であれば、後述する1段階法および2段階法のいずれを用いても、有機系光エネルギー線吸収剤を多孔質粒子に簡便に担持させることができる。換言すれば、親水性有機系光エネルギー線吸収剤は、2段階法を採用せざるを得ず、化粧料添加剤の製造方法の製造工数が多いことから、不利となる場合がある。
なお、疎水性有機系光エネルギー線吸収剤の屈折率は、例えば、1.5以上である。
なお、有機系光エネルギー線吸収剤として、好ましくは、UVB吸収剤単独、UVA吸収剤およびUVB吸収剤の併用が挙げられ、より好ましくは、UVA吸収剤およびUVB吸収剤の併用が挙げられる。
有機系光エネルギー線吸収剤の質量部数は、多孔質粒子100質量部に対して、例えば、50質量部以上、好ましくは、70質量部以上であり、また、例えば、150質量部以下、好ましくは、100質量部以下、より好ましくは、90質量部以下、さらに好ましくは、80質量部以下である。
有機系光エネルギー線吸収剤の化粧料添加剤における含有割合は、例えば、20質量%以上、好ましくは、30質量%以上、さらに好ましくは、40質量%以上であり、また、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下、より好ましくは、50質量%以下である。
有機系光エネルギー線吸収剤の含有割合が上記した下限以上であれば、化粧料添加剤を含有する化粧料が光エネルギー線吸収剤効果を有効に発現することができる。
また、有機系光エネルギー線吸収剤として、UVA吸収剤およびUVB吸収剤が併用される場合には、UVA吸収剤およびUVB吸収剤の総量に対するUVB吸収剤の割合が、例えば、50質量%以上、好ましくは、70質量%以上であり、また、例えば、95質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。
硬化物は、多孔質粒子に取り込まれた有機系光エネルギー線吸収剤を封止している。硬化物は、多孔質粒子の細孔における内表面に担持された有機系光エネルギー線吸収剤を多孔質粒子に対して封止している。また、硬化物は、有機系光エネルギー線吸収剤を硬化物中に分散させながら、それらが多孔質粒子の細孔に取り込まれていてもよい。これらの態様は、後で詳述するが、図3、図5および図7で例示される。
また、この硬化物は、シリコーン組成物の硬化物(シリコーン硬化物という場合がある。)であれば、多孔質粒子を疎水化して、多孔質粒子の表面自由エネルギーを低下させる。
また、この硬化物は、シリカ系化合物の硬化物(シリカ系硬化物という場合がある。)であれば、マイクロプラスチックの発生を抑制でき、環境負荷を低減できる。
また、硬化物は、多孔質粒子の外表面を被覆する被膜として形成されていてもよい。このような態様は、後で詳述するが、図4、図6および図8で例示される。
有機系光エネルギー線吸収剤を封止する硬化物は、多孔質粒子がシリカ系粒子またはセルロース系粒子であれば、好ましくは、多孔質粒子の表面に存在するヒドロキシル基と化学結合している。
硬化物は、ケイ素を含有する。具体的には、硬化物としては、例えば、シリコーン組成物の硬化物、シリカ系化合物の硬化物が挙げられる。これらは、単独使用または併用することができる。
マイクロプラスチックの発生を抑制でき、環境負荷を低減する観点からは、好ましくは、シリカ系化合物の硬化物(シリカ系硬化物)が挙げられる。
一方、優れた伸展性および優れた撥水性を得る観点からは、好ましくは、シリコーン組成物の硬化物が挙げられる。
なお、化粧料添加剤は、撥水性に優れれば、ユーザーに良好な触感を与える。また、化粧料添加剤を疎水性の化粧料基剤に配合するときに、分散性に優れる。
シリコーン組成物は、加水分解して、縮合反応して、シリコーン硬化物を生成する。シリコーン組成物は、第1オリゴマーを含有する。
第1オリゴマーは、シリコーン組成物における必須の硬化成分である。第1オリゴマーは、第2オリゴマーとシリコーンオイルとを含有するシリコーン組成物中においては、第2オリゴマーとシリコーンオイルとに対する両親媒性の性質を有するので、硬化時に表層に層分離(あるいは相分離)したシリコーンオイルとシロキサンマトリクスとの界面を安定化させてシリコーン硬化物の非粘着性を発現させる役割を担う。それによって、化粧料添加剤の滑り性を向上させ、これによって、化粧料添加剤の伸展性を向上させる。第1オリゴマーは、シリコーン硬化物において、任意的に配合される第2オリゴマーとともにシロキサンマトリックスを形成する。
また、第1オリゴマーは、シリコーン組成物が第2オリゴマーおよびシリコーンオイルを含有しない場合であっても、第1オリゴマーの硬化物が、次に説明する-SiR2O-がシリコーン硬化物の表面に配向して、シリコーン硬化物の非粘着性を発現させる。
第1オリゴマーは、-SiR2O-(2つのRは、互いに同一または相異なってもよく、それぞれ、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。)で示されるシロキサンユニットと、RO基(Rは、1価の飽和炭化水素基を示す。)を含有するRO基含有シロキサンユニットとを含有する。
1価の飽和炭化水素基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、iso-ペンチル、n-ヘキシル、iso-ヘキシルなどの炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。好ましくは、メチルである。
1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチルなどの炭素数6~10のアリール基が挙げられる。好ましくは、フェニルである。
また、1価の炭化水素基としては、好ましくは、メチルおよび/またはフェニルが挙げられ、より好ましくは、メチルである。
-SiR2O-で示されるシロキサンユニットは、反応時に、直鎖シロキサン結合を硬化体に導入するための直鎖シロキシユニットである。-SiR2O-で示されるシロキサンユニットとして、好ましくは、ジアルキルシロキサンユニット、アルキルアリールシロキサンユニットが挙げられる。
ジアルキルシロキサンユニットとしては、好ましくは、ジメチルシロキサンユニットが挙げられる。
アルキルアリールシロキサンユニットとしては、好ましくは、メチルフェニルシロキサンユニットが挙げられる。
RO基として、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、より好ましくは、メトキシである。
具体的には、第1オリゴマーは、下記式(1)で示されるユニットI~Vを構成単位として含有するシロキサンオリゴマーである。
(式中、R1~R6は、互いに同一または相異なってもよく、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。式中、R7~R9は、互いに同一または相異なってもよく、1価の飽和炭化水素基を示す。Xは、シロキサンユニットである。)
R1~R6で示され、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基としては、上記Rと同様の1価の炭化水素基が挙げられる。R7~R9で示される1価の炭化水素基としては、上記ROで例示した、1価の飽和炭化水素基が挙げられる。
第1オリゴマーにおいて、ユニットIは、RO基含有シロキサンユニットである。aは、ユニットIにおいて、ケイ素原子に結合するR7O基の数を意味し、例えば、1または2、好ましくは、2である。その場合には、ユニットIにおいて、ケイ素原子に結合するRlで示される1価の炭化水素基の数(3-a)は、好ましくは、1(=3-2)である。
ユニットIにおいて、Si-O-における酸素原子は、次に説明するユニットII~ユニットIVのうち、いずれかのケイ素原子に結合している。これにより、このユニットIのSi-O-は、第1オリゴマーにおいて、シロキサン結合を構成する。また、ユニットIは、第1オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
ユニットIIは、RO基含有シロキサンユニットである。また、ユニットIIは、反応時に3次元化の起点となる分岐シロキシユニットである。ユニットIIの数は、特に限定されず、例えば、2以上、好ましくは、3以上であり、また、例えば、20以下、好ましくは、13以下の整数である。
ユニットIIIは、ケイ素原子に結合する2つの酸素原子を有するシロキサンユニットである。ユニットIIIは、分岐シロキシユニットである。また、ユニットIIIは、RO基を含有してもよい。
Xで示されるシロキサンユニットとしては、例えば、下記式(2)で示されるユニットVI単独、ユニットIIおよびユニットIの組合せ(ユニットIIを介して末端にユニットIを有する場合)、ユニットIIおよびユニットVの組合せ(ユニットIIを介して末端にユニットVを有する場合)、ユニットIIおよびユニットVI(ユニットIIを介して末端にユニットVIを有する場合)の組合せが挙げられる。
ユニットVIとしては、下記式(2)で示される環状シロキサンユニットが挙げられる。
(式中、cは、2以上の整数である。Z1は、上記したRで示される1価の炭化水素基またはRO基である。)
Z1で示される1価の炭化水素基およびRO基は、上記と同様である。
ユニットIIIの数は、特に限定されず、例えば、2以上であり、また、例えば、10以下、好ましくは、6以下の整数である。
ユニットIVは、上記-SiR2O-で示されるシロキサンユニットである。ユニットIVは、直鎖シロキシユニットである。ユニットIVの数は、例えば、1以上、好ましくは、2以上であり、また、20以下、好ましくは、6以下の整数である。
ユニットVは、RO基含有シロキサンユニットである。ユニットVにおけるケイ素原子は、ユニットII~ユニットIVのうち、いずれかの酸素原子に結合する。これにより、ユニットVにおけるケイ素原子は、第1オリゴマーにおいてシロキサン結合を構成する。また、ユニットVは、第1オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
bは、ユニットVにおいて、ケイ素原子に結合するOR9基の数を意味し、例えば、1または2、好ましくは、2である。その場合には、ユニットVにおいてケイ素原子に結合するR6で示されるl価の炭化水素基の数(3-e)は、好ましくは、1(=3-2)である。
上記した各ユニットおよびその数は、1H-NMRおよび29Si-NMRによって特定される。
また、第1オリゴマーを、下記の平均組成式(A)で示すこともできる。
平均組成式(A):
Rp
αSi(ORq)βO(4-α-β) (A)
(式中、RpおよびRqは、互いに同一または相異なっていてもよい。Rpは、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。Rqは、1価の飽和炭化水素基を示す。αは、その平均値が0.40~1.70の範囲内にある値を示す。βは、平均組成式(A)中におけるケイ素原子に結合したORqの比率が5質量%以上40質量%未満になる値を示す。)
平均組成式(A)中、Rpとしては、上記した一般式(1)中のRl~R6と同様の1価の炭化水素基が挙げられ、Rqとしては、上記した一般式(1)中のR7~R9と同様の1価の飽和炭化水素基が挙げられる。
また、平均組成式(A)中のβは、平均組成式(A)中におけるケイ素原子に結合したORqの比率が、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、また、例えば、35質量%以下、好ましくは、30質量%以下になる値である。
第1オリゴマーとしては、例えば、式(1)におけるR1~R9がアルキルであり、ジアルキルシロキサンユニットを含有する、ジアルキルシロキサンユニット含有オリゴマー、例えば、式(1)におけるR1~R6がアルキルおよびアリールであり、R7~R9がアルキルであるアルキルアリールシロキサンユニットを含有する、アルキルアリールシロキサンユニット含有オリゴマーが挙げられる。ジアルキルシロキサンユニット含有オリゴマーは、アルキルアリールシロキサンユニットを含有しない。一方、アルキルアリールシロキサンユニット含有オリゴマーは、ジアルキルシロキサンユニットをさらに含有してもよい。
より具体的には、ジアルキルシロキサンユニット含有オリゴマーとしては、好ましくは、式(1)におけるR1~R9がメチルであり、ジメチルシロキサンユニットを含有する、ジメチルシロキサンユニット含有オリゴマーが挙げられる。ジメチルシロキサンユニット含有オリゴマーは、例えば、メチルトリメトキシシランおよびジメチルジメトキシシランから生成される。
アルキルアリールシロキサンユニット含有オリゴマーとしては、好ましくは、式(1)におけるR1~R6がメチルおよびフェニルであり、R7~R9がメチルであり、メチルフェニルシロキサンユニットを含有する、メチルフェニルシロキサンユニット含有オリゴマーが挙げられる。メチルフェニルシロキサンユニット含有オリゴマーは、ジメチルシロキサンユニットをさらに含有してもよい。メチルフェニルシロキサンユニット含有オリゴマーは、例えば、メチルフェニルジメトキシシランおよびメチルトリメトキシシランから生成される。
第1オリゴマーの分子量は、例えば、500以上、好ましくは、1000以上であり、また、例えば、3000以下、好ましくは、2000以下である。
第1オリゴマーは、市販品が用いられる。例えば、X-40-9250(式(1)中、ユニットIIの数が8、ユニットIIIの数が4、ユニットIVの数が4であり、R1~R9がメチルであるジメチルシロキサンユニット含有オリゴマー、信越化学工業社製)などが例示される。
シリコーン組成物における第1オリゴマーの割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上、より好ましくは、3質量%以上、さらに好ましくは、5質量%以上、とりわけ好ましくは、6質量%以上であり、また、例えば、50質量%未満、好ましくは、45質量%以下、より好ましくは、40質量%以下、さらに好ましくは、30質量%以下、とりわけ好ましくは、20質量%以下、もっとも好ましくは、15質量%以下である。
シリコーン組成物は、好ましくは、第2オリゴマーをさらに含有する。
第2オリゴマーは、シリコーン組成物に任意的に配合される硬化成分である。第2オリゴマーは、硬化時には、任意的に配合されるシリコーンオイルを表層に層分離(あるいは相分離)させて硬化物の非粘着性を発現させる役割を担う。第2オリゴマーは、-SiR2O-(2つのRは、互いに同一または相異なってもよく、それぞれ、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。)で示されるシロキサンユニットを含有せず、RO基(Rは、1価の飽和炭化水素基を示す。)を含有するRO基含有シロキサンユニットを含有する。
1価の炭化水素基およびRO基は、上記した第1オリゴマーと同様の1価の炭化水素基およびRO基が挙げられる。
第2オリゴマーに含有されず、-SiR2O-で示されるシロキサンユニットは、第1オリゴマーに含有される直鎖シロキシユニットである。
具体的には、第2オリゴマーは、下記式(3)で示されるユニットXI~XIVを構成単位として含有するシロキサンオリゴマーである。
(式中、Rll~R14は、互いに同一または相異なってもよく、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。R15~R17は、1価の飽和炭化水素基を示す。Yは、シロキサンユニットである。)
Rll~R14で示される1価の炭化水素基としては、上記Rと同様の1価の炭化水素基が挙げられる。R15~R17で示される1価の飽和炭化水素基としては、上記Rと同様の1価の飽和炭化水素基が挙げられる。
第2オリゴマーにおいて、ユニットXIは、RO基含有シロキサンユニットである。dは、ユニットXIにおいてケイ素原子に結合するR15O基の数を意味し、好ましくは、2である。その場合には、ユニットXIにおいてケイ素原子に結合するRllで示される1価の炭化水素基の数(3-d)は、好ましくは、1(=3-2)である。
ユニットXIにおける酸素原子は、次に説明するユニットXIIまたはユニットXIIIのケイ素原子に結合している。これにより、このユニットXIのSi-O-は、第2オリゴマーにおいて、シロキサン結合を構成する。また、ユニットXIは、第2オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
ユニットXIIは、RO基含有シロキサンユニットである。ユニットXIIは、分岐シロキシユニットである。ユニットXIIの数は、特に限定されず、例えば、2以上、好ましくは、3以上であり、また、例えば、20以下、好ましくは、17以下の整数である。
ユニットXIIIは、ケイ素原子に結合する2つの酸素原子を有するシロキサンユニットである。ユニットXIIIは、分岐シロキシユニットである。また、ユニットXIIIはRO基を含有してもよい。
Yで示されるシロキサンユニットとしては、例えば、下記式(3)で示されるユニットXV単独、ユニットXIIおよびユニットXIの組合せ(ユニットXIIを介して末端にユニットXIを有する場合)、ユニットXIIおよびユニットXIVの組合せ(ユニットXIIを介して末端にユニットXIVを有する場合)、ユニットXIIおよびユニットXV(ユニットXIIを介して末端にユニットXVを有する場合)の組合せが挙げられる。
ユニットXVとしては、下記式(4)で示される環状シロキサンユニットが挙げられる。
(式中、fは、2以上の整数である。Z2は、上記した1価の炭化水素基またはRO基である。)
Z2で示される1価の炭化水素基およびRO基は、上記と同様である。
ユニットXIIIの数は、特に限定されず、例えば、2以上、好ましくは、3以上であり、また、例えば、18以下、好ましくは、15以下の整数である。
ユニットXIVにおけるケイ素原子は、ユニットXIIまたはユニットXIIIにおける酸素原子に結合する。これにより、ユニットXIVにおけるケイ素原子は第2オリゴマーにおいて、シロキサン結合を構成する。また、ユニットXIVは第2オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
ユニットXIVにおいて、ケイ素原子に結合するOR17基の数は、例えば、1または2、好ましくは、2である。その場合には、ユニットXIVにおいて、ケイ素原子に結合するR14で示される1価の炭化水素基の数(3―e)は、好ましくは、1(=3-2)である。
上記した各ユニットおよびその数は、lH-NMRおよび29Si-NMRによって、特定される。
また、第2オリゴマーを、下記の平均組成式(B)で示すこともできる。
平均組成式(B):
Rt
γSi(ORs)δO(4-γ-δ) (B)
(式中、RtおよびRsは、互いに同一または相異なっていてもよい。Rtは、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。Rsは、1価の飽和炭化水素基を示す。γは、その平均値が0.40~1.70の範囲内にある値を示す。δは、平均組成式(B)中におけるケイ素原子に結合したORsの比率が5質量%以上40質量%未満になる値を示す。)
平均組成式(B)中、Rtとしては、上記した一般式(3)中のR11~R14と同一の1価の炭化水素基が挙げられ、Rsとしては上記した一般式(3)中のR15~R17と同一の1価の飽和炭化水素基が挙げられる。
また、平均組成式(B)中のδは平均組成式(B)中におけるケイ素原子に結合したORSの比率が、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、また、例えば、35質量%以下になる値である。
具体的には、第2オリゴマーは、例えば、-SiR2O-で示される直鎖シロキシユニットを含有せず、式(3)におけるR11~R17がアルキルである、直鎖シロキシユニット不含-アルキル系オリゴマー、例えば、-SiR2O-で示される直鎖シロキシユニットを含有せず、R11~R14がアルキルおよびアリールであり、式(3)におけるR15~R17がアルキルである直鎖シロキシユニット不含-アルキルアリール系オリゴマーなどが挙げられる。直鎖シロキシユニット不含-アルキル系オリゴマーは、アルキルアリールシロキサンユニットを含有しない。
より具体的には、直鎖シロキシユニット不含-アルキル系オリゴマーとしては、好ましくは、式(3)におけるR11~R17がメチルである、直鎖シロキシユニット不含-メチル系オリゴマーが挙げられる。直鎖シロキシユニット不含-メチル系オリゴマーは、例えば、メチルトリメトキシシランから生成される。
直鎖シロキシユニット不含-アルキルアリール系オリゴマーとしては、式(3)におけるR11~R14がメチルおよびフェニルであって、R15~R17がメチルである、直鎖シロキシユニット不含-メチルフェニル系オリゴマーなどが挙げられる。直鎖シロキシユニット不含-メチルフェニル系オリゴマーは、例えば、フェニルトリメトキシシランとメチルトリメトキシシランとから生成される。
第2オリゴマーの分子量は、例えば、500以上、好ましくは、1000以上であり、また、例えば、4000以下、好ましくは、3000以下である。
第2オリゴマーは市販品が用いられる。例えば、KC-89(信越化学工業社製)、KR-515(信越化学工業社製)、KR-500(式(3)中、ユニットXIIの数が10、ユニットXIIIの数が4である直鎖シロキシユニット不含-メチル系オリゴマー、信越化学工業社製)、X-40-9225(式(3)中、ユニットXIIの数が12、ユニットXIIIが10である直鎖シロキシユニット不含-メチル系オリゴマー、信越化学工業社製)、US-SG2403(東レ・ダウコーニング社製)、KR-401N(式(3)中、R11~R14がメチルおよびフェニル、R15~R17がメチルである直鎖シロキシユニット不含-メチルフェニル系オリゴマー)などが例示できる。
シリコーン組成物における第2オリゴマーの割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、20質量%以上、さらに好ましくは、25質量%以上、とりわけ好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、50質量%未満、好ましくは、45質量%以下である。
第2オリゴマーに対する第1オリゴマーの割合(第1オリゴマー/第2オリゴマー:質量比)は、例えば、0.15以上、好ましくは、0.16以上、より好ましくは、0.18以上、さらに好ましくは、0.20以上、より好ましくは、0.22以上である。また、第2オリゴマーに対する第1オリゴマーの割合(第1オリゴマー/第2オリゴマー:質量比)は、例えば、10以下、好ましくは、9以下、より好ましくは、7以下、さらに好ましくは、5以下、とりわけ好ましくは、2以下、さらには、1.0以下、さらには、0.5以下である。
シリコーン組成物における第1オリゴマーおよび第2オリゴマー(硬化成分)の総量の割合は、例えば、20質量%以上、好ましくは、25質量%以上、より好ましくは、30質量%以上である。上記した総量の割合が上記した下限以上であれば、シリコーン硬化物を確実に形成できる。シリコーン組成物における第1オリゴマーおよび第2オリゴマー(硬化成分)の総量の割合は、例えば、75質量%以下、好ましくは、65質量%以下、より好ましくは、55質量%以下、さらに好ましくは、50質量%以下である。上記した総量の割合が上記した上限以下であれば、歩留まりの過度の低下を抑制することができる。
シリコーン組成物は、より好ましくは、シリコーンオイルをさらに含有する。
シリコーンオイルは、シリコーン組成物に任意的に配合される。シリコーンオイルは、硬化時には、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーから層分離(あるいは相分離)して、シリコーン硬化物の非粘着性を発現させ、それによって、化粧料添加剤の滑り性をより一層向上させ、これによって、化粧料添加剤の伸展性をより一層向上させることができる。シリコーンオイルは、シリコーン硬化物の表面に存在(局在化)して、シリコーン硬化物に非粘着性を付与し、これにより、化粧料使用時の感触を改良する。
シリコーンオイルは、シリコーンオイルは、直鎖状の主鎖を有し、例えば、ポリシロキサンの繰り返し構造(-(SiO)n-)を有する。シリコーンオイルとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなどのストレートシリコーンオイル(未変性シリコーンオイル)などが挙げられる。また、シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル以外に、主鎖の末端および/または側鎖が水素原子、アルキル基、アルケニル基(ビニル基を含む)、アルキニル基、フェニル基、イオン性基などで変性された変性シリコーンオイルも挙げられる。イオン性基としては、例えば、メルカプト基などのアニオン性基、例えば、アミノ基などのカチオン性基などが挙げられる。これらシリコーンオイルは、単独使用または2種以上併用することができる。シリコーンオイルとして、好ましくは、ストレートシリコーンオイル、より好ましくは、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
シリコーンオイルの25℃における動粘度は、例えば、100mm2/s以上、好ましくは、200mm2/s以上、より好ましくは、500mm2/s以上、さらに好ましくは、1000mm2/s以上である。また、シリコーンオイルの25℃における動粘度は、例えば、100万mm2/s以下、好ましくは、50万mm2/s以下、より好ましくは、10万mm2/s以下、さらに好ましくは、1万mm2/s以下である。シリコーンオイルの動粘度が上記した上限以下であれば、シリコーンオイルを簡便に取り扱って、シリコーン組成物を簡便に調製することができる。
シリコーンオイルとしては、市販品が用いられ、例えば、KF-96シリーズ(信越化学工業社製)、KF-965シリーズ(信越化学工業社製)、SH200シリーズ(東レ・ダウコーニング社製)、TSF451シリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン社製)、YF-33シリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン社製)などが用いられる。
シリコーンオイルの割合は、シリコーン組成物に対して、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、より好ましくは、1.0質量%以上、さらに好ましくは、1.5質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、3質量%以下である。
第1オリゴマーおよび100質量部に対するシリコーンオイルの質量部数は、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上、より好ましくは、20質量部以上であり、また、例えば、100質量部以下、好ましくは、50質量部以下、より好ましくは、35質量部以下である。
第1オリゴマーおよび第2オリゴマーの総量100質量部に対するシリコーンオイルの質量部数は、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上、より好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、7質量部以下である。
シリコーン組成物に対する、第1オリゴマーと第2オリゴマーとシリコーンオイルとの総量の割合は、例えば、20質量%以上、好ましくは、25質量%以上、より好ましくは、30質量%以上、さらに好ましくは、35質量%以上である。上記した総量の割合が上記した下限以上であれば、硬化成分の割合が過度に少なくなることを防止して、硬化物を確実に形成することができる。
シリコーン組成物に対する第1オリゴマーと第2オリゴマーとシリコーンオイルとの総量の割合は、例えば、75質量%以下、好ましくは、65質量%以下、より好ましくは、55質量%以下である。上記した総量の割合が上記した上限以下であれば、歩留まりの過度の低下を抑制することができる。
また、シリコーン組成物は、触媒、有機溶剤をさらに含有することができる。
触媒は、シリコーン組成物を硬化するときに、空気中の水分と反応して加水分解して、第1オリゴマー(および第2オリゴマー)を縮合反応させる硬化触媒である。
触媒としては、例えば、金属アルコキシド、金属キレート化合物、金属カルボン酸塩、酸(リン酸など)などが挙げられる。触媒は、単独使用または併用することができる。好ましくは、金属アルコキシド、金属キレート化合物、金属カルボン酸塩が挙げられる。
金属アルコキシドとしては、例えば、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド(例えば、ジルコニウムテトラn-ブトキシド、ジルコニウムテトラn-プロポキシド)、ゲルマニウムアルコキシド(例えば、ゲルマニウムテトラエトキシド)、スズアルコキシド(例えば、スズテトラn-ブトキシド、スズテトラtert-ブトキシド)、ハフニウムアルコキシド(例えば、ハフニウムテトラ2-プロポキシド、ハフニウムテトラtert-ブトキシド)、ニオブアルコキシド(例えば、ニオブペンタエトキシド)、タンタルアルコキシド(例えば、タンタルペンタn-ブトキシド、タンタルペンタエトキシド)などが挙げられる。好ましくは、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシドが挙げられる。
チタンアルコキシドとしては、例えば、チタントリアルコキシド、チタンテトラアルコキシドなどが挙げられ、好ましくは、チタンテトラアルコキシドが挙げられる。チタンテトラアルコキシドとしては、例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド(例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn-プロポキシドなど)、チタンテトラブトキシド(例えば、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラn-ブトキシドなど)、チタンテトラペントキシド、チタンテトラヘキソキシド、チタンテトラ(2-エチルヘキソキシド)などが挙げられる。
アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムトリアルコキシドが挙げられる。アルミニウムトリアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド(例えば、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn-プロポキシド)、アルミニウムトリブトキシド(例えば、アルミニウムトリsec-ブトキシド、アルミニウムトリn-ブトキシド)などが挙げられる。
なお、金属アルコキシドにおける3つまたは4つのアルコキシ基のそれぞれは、その炭素数や分岐の有無により反応性が異なる。一方、加水分解が過度に早く進行すると、取扱性(安定性)が低下することがある。そのため、反応性および安定性を考慮すれば、チタンアルコキシドのうち、好ましくは、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラn-ブトキシドが挙げられる。また、アルミニウムアルコキシドのうち、好ましくは、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリsec-ブトキシドが挙げられる。
金属アルコキシドは、市販品が用いられ、例えば、D-25(チタンテトラn-ブトキシド、信越化学工業社製)などが用いられる。
金属キレート化合物は、例えば、β-ジケトン、オクチレングリコール、リン酸エステル、アルカノールアミンなどを配位子として有する金属キレート化合物が挙げられる。
β-ジケトンとしては、例えば、2,4-ペンタンジオン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン、2,4-ヘキサンジオン、3,5-ヘプタンジオン、2,4-オクタンジオン、2,4-デカンジオン、2,4-トリデカンジオン、5,5-ジメチル-2,4-ヘキサンジオン、2,2-ジメチル-3,5-ノナンジオン、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン、1,3-シクロペンタンジオン、1,3-シクロヘキサンジオンなどが挙げられる。好ましくは、2,4-ペンタンジオンが挙げられる。
オクチレングリコールとしては、例えば、2-エチル-3-ヒドロキシヘキソキシドなどが挙げられる。
リン酸エステルとしては、例えば、リン酸2-エチルヘキシルなどが挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
配位子として、好ましくは、β-ジケトンが挙げられる。
金属キレート化合物を形成する中心金属(金属原子)としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、マグネシウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、パラジウム、インジウム、スズなどが挙げられる。好ましくは、アルミニウム、チタン、ジルコニウムが挙げられる。
具体的には、金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、マグネシウムキレート化合物(例えば、ジアクアビス(2,4-ペンタンジオナト)マグネシウムなど)、カルシウムキレート化合物(例えば、ジアクアビス(2,4-ペンタンジオナト)カルシウムなど)、クロムキレート化合物(例えば、トリス(2,4-ペンタンジオナト)クロムなど)、マンガンキレート化合物(例えば、ジアクアビス(2,4-ペンタンジオナト)マンガンなど)、鉄キレート化合物(例えば、トリス(2,4-ペンタンジオナト)鉄など)、コバルトキレート化合物(例えば、トリス(2,4-ペンタンジオナト)コバルトなど)、ニッケルキレート化合物(例えば、ビス(2,4-ペンタンジオナト)ニッケルなど)、銅キレート化合物(例えば、ビス(2,4-ペンタンジオナト)銅など)、亜鉛キレート化合物(例えば、ビス(2,4-ペンタンジオナト)亜鉛など)、トリス(2,4-ペンタンジオナト)ガリウムなど)、ニオブキレート化合物(例えば、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナトニオブ(IV)など)パラジウムキレート化合物(例えば、ビス(2,4-ペンタンジオナト)パラジウムなど)、インジウムキレート化合物(例えば、トリス(2,4-ペンタンジオナト)インジウムなど)、スズキレート化合物(例えば、ビス(2,4-ペンタンジオナト)スズなど)などが挙げられる。
金属キレート化合物として、好ましくは、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物が挙げられる。金属キレート化合物として、より好ましくは、シリコーン硬化物における優れた堅牢性(強度)を維持する観点から、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ビス(エチルアセトアセテート)(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムなどが挙げられる。好ましくは、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムが挙げられる。
チタンキレート化合物としては、例えば、テトラキス(2,4-ペンタンジオナト)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタンなどが挙げられる。好ましくは、テトラキス(2,4-ペンタンジオナト)チタンが挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、テトラキス(2,4-ペンタンジオナト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどが挙げられる。好ましくは、テトラキス(2,4-ペンタンジオナト)ジルコニウムが挙げられる。
また、金属キレート化合物は、上記した配位子に加え、アルコキシ基をさらに含有するアルコキシ基含有金属キレート化合物を含む。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、2-プロポキシ、n-ブトキシ、2-ブトキシなどが挙げられる。アルコキシ基として、好ましくは、2-プロポキシが挙げられる。具体的には、アルコキシ基含有金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートなどのアルコキシ基含有アルミニウムキレート化合物、例えば、ビス(2,4-ペンタンジオナト)ビス(2-プロパノラト)チタンなどのアルコキシ基含有チタンキレート化合物などが挙げられる。
金属カルボン酸塩は、カルボン酸の金属塩である。
カルボン酸としては、例えば、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸などの直鎖状カルボン酸、例えば、2-メチルブタン酸、2-メチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、2-メチルヘプタン酸、4-メチルオクタン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸などの分枝状カルボン酸、例えば、ナフテン酸などの環状カルボン酸などが挙げられる。好ましくは、分枝状カルボン酸が挙げられ、より好ましくは、2-エチルヘキサン酸が挙げられる。
金属塩を形成する金属としては、特に限定されず、例えば、上記した中心金属(金属キレート化合物を形成する中心金属)と同様の金属が挙げられ、好ましくは、亜鉛、鉄、コバルト、マンガンが挙げられる。
金属カルボン酸塩として、例えば、アルミニウムカルボン酸塩、チタンカルボン酸塩、ジルコニウムカルボン酸塩、ニオブカルボン酸塩、マグネシウムカルボン酸塩、カルシウムカルボン酸塩、クロムカルボン酸塩、マンガンカルボン酸塩、鉄カルボン酸塩、コバルトカルボン酸塩、ニッケルカルボン酸塩、銅カルボン酸塩、亜鉛カルボン酸塩、ガリウムカルボン酸塩、パラジウムカルボン酸塩、インジウムカルボン酸塩、スズカルボン酸塩、タンタルカルボン酸塩などが挙げられる。金属カルボン酸塩として、好ましくは、亜鉛カルボン酸塩、鉄カルボン酸塩、コバルトカルボン酸塩、マンガンカルボン酸塩が挙げられる。
亜鉛カルボン酸塩としては、例えば、ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、酢酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛などが挙げられる。好ましくは、ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛が挙げられる。
鉄カルボン酸塩としては、例えば、ビス(2-エチルヘキサン酸)鉄、酢酸鉄、ナフテン酸鉄などが挙げられる。好ましくは、ビス(2-エチルヘキサン酸)鉄が挙げられる。
コバルトカルボン酸塩としては、例えば、ビス(2-エチルヘキサン酸)コバルト、酢酸コバルト、ナフテン酸コバルトなどが挙げられる。好ましくは、ビス(2-エチルヘキサン酸)コバルトが挙げられる。
マンガンカルボン酸塩としては、例えば、ビス(2-エチルヘキサン酸)マンガン、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガンなどが挙げられる。好ましくは、ビス(2-エチルヘキサン酸)マンガンが挙げられる。
なお、触媒は、後述する有機溶剤に溶解した触媒溶液として調製されていてもよい。
触媒の割合は、シリコーン組成物に対して、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、好ましくは、2質量%以上であり、また、例えば、25質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。触媒の割合は、第1オリゴマー100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、200質量部以下、好ましくは、100質量部以下である。触媒の割合は、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーの総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上、より好ましくは、3質量部以上、さらに好ましくは、4質量部以上、とりわけ好ましくは、25質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下、より好ましくは、40質量部以下、さらに好ましくは、35質量部以下である。
触媒の割合が上記した下限以上、上記した上限以下であれば、第1オリゴマー(および第2オリゴマー)が常温で迅速に硬化して、シリコーン硬化物を常温で形成することができる。
なお、シリコーン組成物を加熱により硬化させる場合には、触媒の割合を上記範囲より低減することができる。
有機溶剤は、シリコーン組成物を常温硬化することができる常温硬化型シリコーン組成物として用いるときに、シリコーン組成物に好適に含有される。さらに好ましくは、有機溶剤は、常温硬化型シリコーン組成物に必須成分として含有される。
なお、常温とは、シリコーン組成物(常温硬化型シリコーン組成物)から硬化物を形成するときに、加熱(具体的には、50℃以上の加熱)をしない温度であり、例えば、50℃未満、好ましくは、40℃以下であり、また、例えば、0℃以上、好ましくは、10℃以上である。
有機溶剤は、例えば、後述する蒸気圧の下限値以上である高蒸気圧溶剤である。具体的には、高蒸気圧溶剤は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール(2-プロパノール)などのアルコール系溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、エチルグリコールアセテート、酢酸アミルなどのエステル系溶剤、例えば、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤(高蒸気圧グリコールエーテル系溶剤)、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン系溶剤、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、イソオクタンなどのパラフィン系溶剤(高蒸気圧パラフィン系溶剤)、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのナフテン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなどの芳香族系溶剤、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤などから選択される。
有機溶剤は、単独が選択され、あるいは、2種以上が選択されて、使用される。
有機溶剤として、好ましくは、アルコール系溶剤が選択される。
有機溶剤がアルコール系溶剤であれば、使用(シリカアルミナ粒子との混合)前のシリコーン組成物(つまり、保管(貯蔵)中のシリコーン組成物)において、第1オリゴマー(および第2オリゴマー)におけるRO基が加水分解してアルコールを生成する反応が平衡反応であることから、上記したアルコールの生成を抑制することができ、そのため、シリコーン組成物の貯蔵安定性に優れる。
有機溶剤の20℃における蒸気圧は、例えば、1kPa(7.5mmHg)以上、好ましくは、2kPa(15mmHg)以上、より好ましくは、3kPa(22.5mmHg)以上である。また、有機溶剤の20℃における蒸気圧は、100kPa(750mmHg)以下、好ましくは、25kPa(187mmHg)以下、より好ましくは、10kPa(75mmHg)以下、さらに好ましくは、7kPa(52mmHg)以下、とりわけ好ましくは、5kPa(38mmHg)以下である。
有機溶剤の蒸気圧が上記した下限以上であれば、常温硬化型シリコーン組成物を常温硬化するときに、有機溶剤を迅速に除去(留去)でき、そのため、シリコーン硬化物を形成することができる。
一方、有機溶剤の蒸気圧が上記した上限以下であれば、シリコーン組成物を多孔質粒子と混合するときに、有機溶剤が迅速に除去(留去)されることを抑制し、そのため、シリコーン硬化物に厚みムラが生成することを抑制し、化粧料添加剤の滑り性を向上させ、これによって、化粧料添加剤の伸展性を向上させることができる。
他方、有機溶剤は、高蒸気圧溶剤であるが、上記した蒸気圧の下限値を下回る低蒸気圧溶剤を、極微量の混入を許容することができる。例えば、上記した触媒溶液に含有される低蒸気圧溶剤の混入を許容する。
低蒸気圧溶剤の20℃における蒸気圧は、例えば、1kPa未満である。低蒸気圧溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどの低蒸気圧グリコールエーテル系溶剤、例えば、ミネラルターペンなどの低蒸気圧パラフィン系溶剤、例えば、ミネラルスピリットなどの石油系溶剤などが挙げられる。
低蒸気圧溶剤の混入割合は、高蒸気圧溶剤100質量部に対して、例えば、15質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、5質量部以下、さらに好ましくは、3質量部以下、とりわけ好ましくは、1質量部以下である。また、低蒸気圧溶剤の混入割合は、常温硬化型シリコーン組成物に対して、例えば、10質量%未満、5質量%以下、好ましくは、3質量%以下、より好ましくは、1.0質量%以下、さらに好ましくは、0.5質量%以下、とりわけ好ましくは、0.1質量%以下である。
有機溶剤(高蒸気圧溶剤)の常温硬化型シリコーン組成物に対する割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より30質量%以上、さらに好ましくは、40質量%以上、とりわけ好ましくは、50質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下、より好ましくは、60質量%以下である。
第1オリゴマー100質量部に対する有機溶剤の割合は、例えば、100質量部以上、好ましくは、200質量部以上であり、また、例えば、5000質量部以下、好ましくは、1000質量部以下である。第1オリゴマーと第2オリゴマーとの総量100質量部に対する有機溶剤の割合は、例えば、30質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、750質量部以下、好ましくは、300質量部以下である。第1オリゴマーと第2オリゴマーとシリコーンオイルとの総量100質量部に対する有機溶剤の割合は、例えば、25質量部以上、好ましくは、75質量部以上、であり、また、例えば、300質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
有機溶剤の割合が上記した下限以上であれば、常温硬化型シリコーン組成物の取扱性に優れるとともに、多孔質粒子との混合後に過度に急速に乾燥が進行することに起因する硬化物の厚みムラが生成することを抑制することができる。一方、有機溶剤の割合が上記した上限以下であれば、歩留まりの過度の低下を抑制することができる。
なお、シリコーン組成物が常温硬化型シリコーン組成物であれば、硬化前の常温硬化型シリコーン組成物の質量に対する硬化物の質量の割合が、百分率で、例えば、15質量%以上、好ましくは、20質量%以上となり、また、例えば、65質量%以下、好ましくは、45質量%以下となるように、上記した各成分の割合が設定される。硬化物(および硬化物中に取り込まれる成分(具体的には、シリコーンオイル、触媒など))の質量は、各成分の総量から、有機溶剤および加水分解生成物を差し引いた質量である。なお、硬化物の質量は、硬化前後における常温硬化型シリコーン組成物の質量減少量からも算出される。
シリカ系化合物は、加水分解して、縮合反応して、シリカ系硬化物(シリカ化合物の硬化物)を生成する。
シリカ系化合物としては、例えば、加水分解性のケイ酸塩、加水分解性のオルガノシラン系化合物などの加水分解性のシリカ系化合物が挙げられる。これらは、単独使用または併用できる。
ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウ、ケイ酸カリウムなどのアルカリ金属のケイ酸塩、例えば、ケイ酸アンモニウムが挙げられる。好ましくは、アルカリ金属のケイ酸塩が挙げられ、より好ましくは、ケイ酸ナトリウムが挙げられる。ケイ酸ナトリウムは、水ガラスと称される。
オルガノシラン系化合物としては、例えば、酸触媒存在下で、加水分解できる加水分解基を有する。加水分解基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基などが挙げられる。オルガノシラン系化合物としては、例えば、アルコキシシラン、アルコキシシランのオリゴマーが挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えば、4官能オルガノシランが挙げられる。4官能オルガノシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシランが挙げられ、好ましくは、テトラエトキシシランが挙げられる。
アルコキシシランのオリゴマーとしては、例えば、4官能オルガノシランのオリゴマーが挙げられる。4官能オルガノシランのオリゴマーとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシランのホモ縮合オリゴマーおよび共縮合オリゴマーが挙げられ、好ましくは、加水分解して縮合する時の質量減少を小さくし、反応速度を高くする観点から、テトラメトキシシラン、テトラエトシシランのホモ縮合オリゴマーおよび共縮合オリゴマーが挙げられる。オリゴマーの平均重合度は、例えば、3以上、好ましくは、4以上であり、また、例えば、15以下、好ましくは、10以下である。
アルコキシシランのオリゴマーは、市販品が用いられ、例えば、シリケートオリゴマーシリーズ(コルコート社製)などが例示される。
シリカ系化合物の硬化物は、具体的には、シリカである。
加水分解前のシリカ系化合物の質量に対する加水分解後の硬化物の質量の割合が、百分率で、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
硬化物としてシリコーン硬化物およびシリカ系硬化物が併用される場合には、シリコーン硬化物およびシリカ系硬化物の総量に対するシリカ系硬化物の割合が、例えば、10質量%以上、好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、75質量%以下である。シリコーン硬化物およびシリカ系硬化物の総量に対するシリコーン硬化物の割合が、例えば、10質量%以上、好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、75質量%以下である。
硬化物(シリコーン硬化物、および/または、シリカ系硬化物)の質量部数は、多孔質粒子100質量部に対して、例えば、3質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
硬化物の質量部数は、有機系光エネルギー線吸収剤100質量部に対して、例えば、3質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
硬化物の化粧料添加剤に対する含有割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上、より好ましくは、5質量%以上、さらに好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、30質量%以下、さらに好ましくは、20質量%以下である。
硬化物の被膜は、多孔質粒子の外表面を被覆する。被膜を構成する硬化物としては、例えば、上記したシリコーン硬化物、上記したシリカ系硬化物が挙げられる。被膜を構成する硬化物として、好ましくは、優れた撥水性および優れた伸展性を得る観点から、シリコーン硬化物が挙げられ、また、好ましくは、環境負荷を低減できる観点から、シリカ系硬化物が挙げられる。
多孔質粒子100質量部に対する被膜の質量部数は、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上であり、また、例えば、25質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。化粧料添加剤に対する被膜の割合は、例えば、0.005質量%以上、好ましくは、0.05質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下、好ましくは、2質量%以下である。
次に、図1~図8を参照して、化粧料添加剤の構造の例を説明する。
この化粧料添加剤1において、多孔質粒子2は、図2Aに示すように、上記した細孔径に相当する細孔5を有する。
図2Cに示すように、一態様として、この化粧料添加剤1は、細孔5内に充填されるシリコーン組成物の硬化物4であるシリコーン硬化物41を有する。
図2Cに示すように、化粧料添加剤1は、細孔5内において、有機系光エネルギー線吸収剤3からなる相(吸収相)と、シリコーン硬化物41からなる相(硬化相)との2相を有してもよい。また、図3に示すように、有機系光エネルギー線吸収剤3およびシリコーン硬化物41が一体となった1相であってもよい。図3に示す1相では、シリコーン硬化物41が、有機系光エネルギー線吸収剤を含んでいる。
図4に示すように、図3に示す化粧料添加剤1が、多孔質粒子2の外表面を被覆する硬化物の被膜43を含んでもよい。被膜43を構成する硬化物としては、例えば、シリコーン硬化物、シリカ系硬化物が挙げられ、伸展性の向上の観点からは、好ましくは、シリコーン硬化物が挙げられ、環境負荷低減の観点からは、好ましくは、シリカ系硬化物が挙げられる。硬化物の被膜43と、細孔5内において有機系光エネルギー線吸収剤3を封止する硬化物41とは、例えば、被膜43がシリコーン硬化物であれば一体であり、被膜43がシリカ系硬化物であれば別体である。
図5~図8に示すように、別態様として、この化粧料添加剤1は、細孔5内に充填されるシリカ系化合物の硬化物4であるシリカ系硬化物42を有する。
図5に示すように、化粧料添加剤1は、細孔5内において、有機系光エネルギー線吸収剤3およびシリカ系硬化物42が一体となった1相を有する。図5に示す1相では、シリカ系硬化物42が、有機系光エネルギー線吸収剤を含んでいる。なお、図示しないが、化粧料添加剤1は、有機系光エネルギー線吸収剤3からなる相(吸収相)と、シリカ系硬化物42からなる相(硬化相)との2相を含んでよい。
図6に示すように、図5に示す化粧料添加剤1が、多孔質粒子2の外表面を被覆する硬化物の被膜43をさらに含んでいてもよい。被膜43を構成する硬化物としては、例えば、シリコーン硬化物、シリカ系硬化物が挙げられ、伸展性の向上の観点からは、好ましくは、シリコーン硬化物が挙げられ、環境負荷低減の観点からは、好ましくは、シリカ系硬化物が挙げられる。硬化物の被膜43と、細孔5内において有機系光エネルギー線吸収剤3を封止するシリカ系硬化物42とは、例えば、被膜43がシリコーン硬化物であれば別体であり、被膜43がシリカ系硬化物であれば一体である。
図7に示すように、細孔5内には、シリコーン硬化物41およびシリカ系硬化物42が充填されてもよい。シリコーン硬化物41およびシリカ系硬化物42が、有機系光エネルギー線吸収剤(図7で図示せず)を封止している。例えば、シリカ系硬化物42が有機系光エネルギー線吸収剤と一体となる。シリカ系硬化物42が、細孔5の深部に存在し、シリコーン系硬化物41が、シリカ系硬化物42の外方に存在する。シリコーン系硬化物41は、外方に露出している。シリコーン系硬化物41は、細孔5の浅部に存在する。
図8に示すように、図7に示す化粧料添加剤1が、多孔質粒子2の外表面を被覆する硬化物の被膜43を含んでもよい。硬化物の被膜43は、例えば、シリコーン系硬化物、シリカ系硬化物からなる。硬化物の被膜43と、シリカ系硬化物42の外方に配置される硬化物41とは、例えば、硬化物41がシリコーン硬化物であれば別体であり、硬化物がシリカ系硬化物であれば一体である。
なお、図4、図6および図8に示す硬化物の被膜43は、各図に示すように、多孔質粒子2の外表面の全部を被覆してもよく、または、図示しないが、多孔質粒子2の外表面の一部のみを被覆してもよい。
上記した各態様は、次に説明する製造方法における硬化性ケイ素材料の配合量などによって適宜選択される。また、上記した各態様は、明確に峻別されなくてもよい。
次に、この化粧料添加剤の製造方法を説明する。
化粧料添加剤の製造方法は、多孔質粒子と、有機系光エネルギー線吸収剤と、ケイ素を含有する硬化性ケイ素原料とを配合する工程と、硬化性ケイ素材料を硬化させて、その硬化物により、有機系光エネルギー線吸収剤を、多孔質粒子内において封止する工程とを備える。
ケイ素を含有する硬化性ケイ素原料としては、例えば、上記したシリコーン組成物、加水分解性のシリカ系化合物などが挙げられる。
なお、シリカ系化合物がオルガノシラン系化合物である場合には、シリカ系化合物は、オルガノシラン系化合物および触媒を含むオルガノシラン組成物として調製されていてもよい。オルガノシラン組成物としては、例えば、シリコーンオイルを含まず、オルガノシラン系化合物および触媒を含む第1のオルガノシラン組成物、例えば、シリコーンオイル、オルガノシラン系化合物および触媒を含む第2のオルガノシラン組成物が挙げられる。
触媒としては、上記した金属アルコキシドなどの金属系触媒が挙げられ、例えば、チタンアルコキシド、好ましくは、テトラブトキシチタンなどが挙げられる。触媒の配合部数は、オルガノシラン系化合物100質量部に対して、例えば、1質量部以上であり、また、例えば、25質量部以下である。第1のオルガノシラン組成物に含まれる触媒の配合部数は、オルガノシラン系化合物100質量部に対して、好ましくは、5質量部以上、好ましくは、15質量部以下である。第2のオルガノシラン組成物に含まれる触媒の配合部数は、オルガノシラン系化合物100質量部に対して、好ましくは、15質量部以上、好ましくは、22.5質量部以下である。
シリコーンオイルは、第2のオルガノシラン組成物に含有される。シリコーンオイルの割合は、オルガノシラン系化合物およびシリコーンオイルの総量に対して、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、より好ましくは、1.0質量%以上、さらに好ましくは、1.5質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、3質量%以下である。シリコーンオイルは、硬化時には、シリカから層分離(あるいは相分離)して、シリカ系硬化物の非粘着性を発現させ、それによって、化粧料添加剤の滑り性をより一層向上させ、これによって、化粧料添加剤の伸展性をより一層向上させることができる。従って、後述する第3の方法における第5工程の実施を省くことができる。
なお、シリカ系化合物がオルガノシラン系化合物である場合であっても、その硬化物がシリカとなる場合には、当該オルガノシラン系化合物は、シリカ系化合物に分類される。
そして、化粧料添加剤の製造方法としては、例えば、シリコーン硬化物で有機系光エネルギー線吸収剤を封止する第1の方法、例えば、シリカ系硬化物で有機系光エネルギー線吸収剤を封止する第2の方法が挙げられる。これらは、単独または併用することができる。
さらには、この製造方法は、有機系光エネルギー線吸収剤を多孔質粒子内において封止する工程の後に、硬化物から、多孔質粒子の外表面を被覆する硬化皮膜を形成する第3の方法を挙げることができる。以下、第1の方法~第3の方法を順に説明する。
第1の方法は、第1工程と、第2工程とを順に備える。
第1工程では、多孔質粒子と、有機系光エネルギー線吸収剤と、常温硬化型シリコーン組成物とを配合する。
第1工程としては、例えば、多孔質粒子に対して、有機系光エネルギー線吸収剤および常温硬化型シリコーン組成物を1度に配合する1段階法、例えば、多孔質粒子に対して、有機系光エネルギー線吸収剤および常温硬化型シリコーン組成物を順に配合する2段階法が挙げられる。
まず、1段階法を説明する。
1段階法は、具体的には、有機系光エネルギー線吸収剤および常温硬化型シリコーン組成物を多孔質粒子に1度に担持させる方法である。
この1段階法では、まず、有機系光エネルギー線吸収剤と常温硬化物シリコーン組成物とを配合して、それらを含有する混合液を調製する。具体的には、有機系光エネルギー線吸収剤を、常温硬化型シリコーン組成物中に溶解または分散させる。
なお、有機系光エネルギー線吸収剤を常温硬化型シリコーン組成物中に分散させる場合には、有機系光エネルギー線吸収剤のサイズが、好ましくは、多孔質粒子の細孔径未満となるように、分散条件を設定する。
混合液における有機系光エネルギー線吸収剤の割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下、より好ましくは、50質量%以下である。
また、混合液における常温硬化型シリコーン組成物の割合は、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、より好ましくは、50質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下、より好ましくは、70質量%以下である。
続いて、多孔質粒子と、混合液とを配合する。具体的には、多孔質粒子に混合液を配合する。これにより、多孔質粒子に混合液(有機系光エネルギー線吸収剤および常温硬化型シリコーン組成物)を担持させる。
この際、混合液の配合容積が、好ましくは、多孔質粒子の吸油可能容積未満となるように、多孔質粒子と、混合液とを配合する。混合液の配合容積が、多孔質粒子の吸油可能容積以上になると、一部の有機系光エネルギー線吸収剤と硬化物が化粧料添加剤の粒子表面に存在することになり、溶剤による溶脱率が高くなることがある。
多孔質粒子100質量部に対する混合液の質量部数は、例えば、80質量部以上、好ましくは、100質量部以上であり、また、例えば、250質量部以下、好ましくは、200質量部以下、より好ましくは、180質量部以下である。
多孔質粒子100質量部に対する有機系光エネルギー線吸収剤の質量部数は、例えば、50質量部以上、好ましくは、60質量部以上、より好ましくは、70質量部以上であり、また、例えば、150質量部以下、好ましくは、120部以下、より好ましくは、100質量部以下である。
これにより、混合液が多孔質粒子の細孔に取り込まれる。
なお、混合液中の有機溶剤は、後述する次の第2工程における常温硬化型シリコーン組成物の硬化(硬化物の形成)の前に、常温硬化型シリコーン組成物から除去される。
次に、2段階法を説明する。
2段階法は、具体的には、まず、有機系光エネルギー線吸収剤および多孔質粒子を配合し、その後、それらと常温硬化型シリコーン組成物とを配合する。詳しくは、2段階法は、まず、有機系光エネルギー線吸収剤を多孔質粒子に担持させ、その後、常温硬化型シリコーン組成物を多孔質粒子に担持させる方法である。
2段階法では、まず、第1段階目として、多孔質粒子と、有機系光エネルギー線吸収剤とを配合する。これにより、多孔質粒子に有機系光エネルギー線吸収剤を担持させる。
より具体的には、有機系光エネルギー線吸収剤が液状であれば、有機系光エネルギー線吸収剤をそのまま多孔質粒子に配合してもよいが、細孔へ均一に担持させるために、溶媒で希釈し、低粘度の液体として、それらを攪拌混合する。これにより、有機系光エネルギー線吸収剤が多孔質粒子の細孔内に取り込まれる(吸収される)。
一方、有機系光エネルギー線吸収剤が固体状であれば、有機系光エネルギー線吸収剤を溶媒で溶解または分散させ、有機系光エネルギー線吸収剤液を調製し、次いで、この有機系光エネルギー線吸収剤液を多孔質粒子に配合して、それらを攪拌混合する。
他方、有機系光エネルギー線吸収剤が液状であっても、多孔質粒子への担持を迅速に進行させるために、液状の有機系光エネルギー線吸収剤を溶剤により希釈して低粘度にすることができる。つまり、攪拌効果が弱いときなどには、液状の有機系光エネルギー線吸収剤の希釈液を調製し、希釈液を化粧料添加剤に配合(担持)させることが有効である。
溶媒としては、常温硬化型シリコーン組成物で例示した有機溶剤が挙げられ、好ましくは、常温硬化型シリコーン組成物が含有する有機溶剤と同一の有機溶剤が挙げられる。
有機系光エネルギー線吸収剤液の質量部数は、その総容積が多孔質粒子の吸油可能容積未満となるように設定され、具体的には、多孔質粒子100質量部に対して、例えば、80質量部以上、好ましくは、100質量部以上、さらには、120質量部以上であり、また、例えば、150質量部以下である。有機系光エネルギー線吸収剤液の質量部数は、その総容積が多孔質粒子の吸油可能容積以上の場合は、後述の溶媒除去後に一部の有機系光エネルギー線吸収剤が単体の状態で化粧料添加剤の粒子表面に存在することになり、溶剤による溶脱率が高くなる。
有機系光エネルギー線吸収剤液における有機系光エネルギー線吸収剤の割合は、例えば、50質量%以上、好ましくは、60質量%以上、さらに、上記した攪拌効率が高い場合には、好ましくは、70質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。
これにより、有機系光エネルギー線吸収剤液が多孔質粒子の細孔内に取り込まれる。有機系光エネルギー線吸収剤液が多孔質粒子に担持される。
その後、有機系光エネルギー線吸収剤液を取り込んだ多孔質粒子から、溶媒を除去する。具体的には、有機系光エネルギー線吸収剤液を取り込んだ多孔質粒子を、常温で24時間以上放置する。あるいは、有機系光エネルギー線吸収剤液を取り込んだ多孔質粒子を、100℃以下の範囲で、有機溶剤の蒸気が出なくなるで加熱してもよい。これにより、有機系光エネルギー線吸収剤のみが多孔質粒子の細孔内に取り込まれている。有機系光エネルギー線吸収剤のみを取り込んだ多孔質粒子を得る。
その後、第2段階目として、上記した多孔質粒子(有機系光エネルギー線吸収剤を取り込んだ多孔質粒子)と、常温硬化型シリコーン組成物とを配合する。これにより、多孔質粒子に、常温硬化型シリコーン組成物を新たに担持させる。従って、多孔質粒子は、有機系光エネルギー線吸収剤および常温硬化型シリコーン組成物の両方を担持する。多孔質粒子の細孔内には、有機系光エネルギー線吸収剤および常温硬化型シリコーン組成物が共存する。常温硬化型シリコーン組成物の配合容積が、有機系光エネルギー線吸収剤を取り込んだ多孔質粒子の吸油可能容積以上になると(あるいは、常温硬化型シリコーン組成物および有機系光エネルギー線吸収剤の総配合容積が、有機系光エネルギー線吸収剤をまだ取り込んでいない多孔質粒子の吸油可能容積以上になると)、一部の有機系光エネルギー線吸収剤とシリコーン硬化物とが粒子表面に存在することになり、溶剤による溶脱率が高くなることがある。
多孔質粒子(有機系光エネルギー線吸収剤を取り込んだ多孔質粒子)100質量部に対する常温硬化型シリコーン組成物の質量部数は、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、また、例えば、60質量部以下、好ましくは、50質量部以下である。
上記した1段階法または2段階法によって、第1工程を実施する。
1段階法および2段階法のうち、製造工数を低減する観点では、1段階法が好ましい。一方、有機系光エネルギー線吸収剤を高濃度で多孔質粒子に担持させる観点では、2段階法が好ましい。
その後、第2工程を実施する。
第2工程では、常温硬化型シリコーン組成物を取り込んだ多孔質粒子を、例えば、常温で放置する。
放置する時間は、特に限定されず、常温硬化型シリコーン組成物に含まれる有機溶剤が留去(除去)されるとともに、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーが硬化できる時間であって、具体的には、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上、より好ましくは、10時間以上、さらに好ましくは、20時間以上であり、また、例えば、100時間以下である。なお、第2工程の時間短縮を図る観点から、常温硬化型シリコーン組成物を取り込んだ多孔質粒子を、例えば、100℃以下で、例えば、1時間以上、5時間以下、加熱して、第2工程を実施することもできる。
これによって、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーの硬化反応が進行する。
同時に、多孔質粒子がシリカ系粒子またはセルロース系粒子であれば、好ましくは、多孔質粒子の表面に存在するヒドロキシル基と脱水反応して、多孔質粒子と、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーとが、化学結合を形成する。
同時に、あるいは、上記に先行して、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーのアルコキシ基から生じるアルコールは、有機溶剤とともに除去(留去)される。
これにより、常温硬化型シリコーン組成物を常温硬化させて、常温硬化型シリコーン組成物の硬化物を調製する。この硬化物によって、多孔質粒子の表面に担持された有機系光エネルギー線吸収剤を封止する。つまり、この硬化物は、多孔質粒子の細孔内において、有機系光エネルギー線吸収剤を封止する封止体を形成する。
この硬化物は、例えば、硬質である。JIS K 5600-5-4(1999)年に記載に従って測定される硬化物からなる被膜の鉛筆硬度は、例えば、H以上、好ましくは、2H以上、より好ましくは、3H以上、さらに好ましくは、4H以上、とりわけ好ましくは、5H以上である。
これにより、多孔質粒子と有機系光エネルギー線吸収剤と硬化物とを含む化粧料添加剤を製造する。
図2A~図2Cに、2段階法で第1工程を実施し、次いで、第2工程を実施する化粧料添加剤の製造工程を説明する断面図を描画する。
2段階法では、図2Aに示すように、第1段階目として、まず、多孔質粒子2を準備する。多孔質粒子2は、上記した細孔径に相当する細孔5を有する。
次いで、図2Bに示すように、有機系光エネルギー線吸収剤3を、多孔質粒子2の細孔5内に取り込ませる。有機系光エネルギー線吸収剤3は、細孔5の内表面に付着している。また、細孔5には、硬化物4が形成される空隙(マージン)6がまだ存在する。
その後、第2段階目として、さらに、常温硬化型シリコーン組成物を細孔5内に取り込ませ、それを常温硬化させて、図2Cまたは図3に示すように、硬化物4であるシリコーン硬化物41を形成する。硬化物4は、有機系光エネルギー線吸収剤3を封止している。
これにより、多孔質粒子2と、有機系光エネルギー線吸収剤3と、シリコーン硬化物41とを備える化粧料添加剤1を製造する。
図2Cに示すように、この化粧料添加剤1は、細孔5内において、有機系光エネルギー線吸収剤3からなる相(吸収相)と、硬化物4からなる相(硬化相)との2相を有することができ、また、図3に示すように、1相であってもよい。このことは、有機系光エネルギー線吸収剤がシリコーン組成物に溶解できることに起因する。
また、図3に、1段階法で第1工程を実施し、次いで、第2工程を実施して得られる化粧料添加剤の断面図を描画する。
1段階法でも、まず、図2Aに示すような、細孔5を有する多孔質粒子2を準備する。
次いで、有機系光エネルギー線吸収剤および常温硬化型シリコーン組成物を含有する混合液を細孔5内に一度に取り込ませ、その後、混合液中の常温硬化型シリコーン組成物を硬化させて、図3に示すように、硬化物4を形成する。この硬化物4中には、有機系光エネルギー線吸収剤(図3では図示されず)が均一に分散されている。
この化粧料添加剤1は、細孔5内において、有機系光エネルギー線吸収剤3および硬化物4からなる1相(吸収硬化相)を有する。
このように、この化粧料添加剤1は、多孔質粒子2の細孔5内に有機系光エネルギー線吸収剤3が取り込まれた上で、有機系光エネルギー線吸収剤3(細孔5)が硬化物4により封止されている。
第2の方法は、第3工程と、第4工程とを順に備える。
第3工程では、多孔質粒子と、有機系光エネルギー線吸収剤と、硬化性ケイ素原料とを配合する。
第3工程としては、例えば、多孔質粒子に対して、有機系光エネルギー線吸収剤および硬化性ケイ素原料を1度に配合する1段階法、例えば、多孔質粒子に対して、有機系光エネルギー線吸収剤および硬化性ケイ素原料を順に配合する2段階法が挙げられる。
まず、1段階法を説明する。
1段階法では、硬化性ケイ素原料として、例えば、シリカ系化合物、好ましくは、オルガノシラン組成物(第1のオルガノシラン組成物)が挙げられる。オルガノシラン組成物に含有されるオルガノシラン系化合物は、ケイ酸塩より、有機系光エネルギー線吸収剤に対する親和性に優れる。そのため、均一な第2混合液(後述)を調製できる。
1段階法では、有機系光エネルギー線吸収剤と、硬化性ケイ素原料とを配合する。具体的には、有機系光エネルギー線吸収剤を、液状のオルガノシラン系化合物および触媒を含むオルガノシラン組成物(第1のオルガノシラン組成物)に溶解または分散させる。これにより、有機系光エネルギー線吸収剤およびオルガノシラン系化合物を含有する第2混合液を調製する。
第2混合液における有機系光エネルギー線吸収剤の割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。第2混合液におけるオルガノシラン系化合物の割合は、例えば、20質量%以上、好ましくは、50質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、75質量%以下である。
続いて、多孔質粒子と、第2混合液とを配合する。具体的には、多孔質粒子に第2混合液を配合する。これにより、第2混合液(有機系光エネルギー線吸収剤、オルガノシラン系化合物および触媒)を多孔質粒子に担持させる。
この際、第2混合液の配合容積が、好ましくは、多孔質粒子の吸油可能容積未満となるように、多孔質粒子と、第2混合液とを配合する。これにより、多孔質粒子に第2混合液を担持させる。
第2混合液の質量部数は、多孔質粒子100質量部に対して、例えば、80質量部以上、好ましくは、120質量部以上であり、また、例えば、250質量部以下、好ましくは、200質量部以下、より好ましくは、180質量部以下である。多孔質粒子100質量部に対する有機系光エネルギー線吸収剤の質量部数は、第1の方法におけるそれと同様である。
これにより、第2混合液が多孔質粒子の細孔に取り込まれる。第2混合液を、例えば、常温(25℃)で、混合する。具体的には、第2混合液を、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上、また、例えば、3時間以下、好ましくは、2時間以下、攪拌する。
また、1段階法として、例えば、多孔質粒子と、大過剰の第2混合液とを配合して、スラリーを調製し、スラリーにおいて、吸着平衡となるまで、第2混合液の一部を多孔質粒子の細孔に取り込ませ、その後、残余の第2混合液を上記した多孔質粒子から分離する方法を挙げることもできる(いわゆる、湿式法)。
湿式法では、第2混合液の配合部数は、多孔質粒子100質量部に対して、例えば、250質量部以上、好ましくは、500質量部以上、より好ましくは、750質量部以上であり、また、例えば、3000質量部以下、好ましくは、1500質量部以下である。
残余の第2混合液の分離方法としては、例えば、濾過などの固液分離方法が挙げられる。
次に、2段階法を説明する。
2段階法は、具体的には、まず、有機系光エネルギー線吸収剤および多孔質粒子を配合し、その後、それらと硬化性ケイ素原料とを配合する。詳しくは、2段階法は、まず、有機系光エネルギー線吸収剤を多孔質粒子に担持させ、その後、シリカ系化合物を多孔質粒子に担持させる方法である。
2段階法における第1段階目は、上記した第1の方法の第1工程における2段階法における第1段階目と同様である。
第1段階目の後に、第2段階目として、有機系光エネルギー線吸収剤を取り込んだ多孔質粒子と、シリカ系化合物とを配合する。
シリカ系化合物としては、ケイ酸塩およびオルガノシラン系化合物のいずれであってもよい。なお、シリカ系化合物がケイ酸塩である場合には、ケイ酸塩を水に溶解させて、ケイ酸塩水溶液を調製することができる。水100質量部に対するケイ酸塩の質量部数は、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上であり、また、例えば、25質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。ケイ酸塩水溶液を用いる場合には、有機系光エネルギー線吸収剤を取り込んだ多孔質粒子と、ケイ酸塩水溶液とを配合して、それらを混合する。
シリカ系化合物の質量部数は、多孔質粒子100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、1000質量部以下、好ましくは、250質量部以下である。
上記した1段階法または2段階法によって、第3工程を実施する。
1段階法および2段階法のうち、製造工数を低減する観点では、1段階法が好ましい。
一方、2段階法は、有機系光エネルギー線吸収剤を高濃度で多孔質粒子に担持させる観点、および、親水性(水溶性)のケイ酸塩を用いることができ、環境負担を低減する観点から、好適である。
その後、第4工程を実施する。
第4工程では、シリカ系化合物を加水分解して、縮合反応させて、シリカ系硬化物を細孔内に生成する。
シリカ系化合物がケイ酸塩であれば、例えば、酸をケイ酸塩(具体的には、ケイ酸塩水溶液)に配合する。一方、シリカ系化合物がオルガノシラン系化合物であれば、オルガノシラン系化合物(オルガノシラン組成物)(好ましくは、第1のオルガノシラン組成物)を加熱する。好ましくは、酸をケイ酸塩に配合する。酸をケイ酸塩に配合すれば、ケイ酸塩を加熱する必要がなく、そのため、有機系光エネルギー線吸収剤が加熱に起因して光エネルギー線吸収性能が低減することを抑制できる。
酸は、加水分解反応の触媒である。酸としては、例えば、硫酸などの無機酸、例えば、有機酸が挙げられ、好ましくは、無機酸が挙げられる。また、酸は、水で希釈された酸水溶液に調製されてもよい。
ケイ酸塩における酸化金属(具体的には、ケイ酸ナトリウムにおける酸化ナトリウム)に対する、酸の当量比が、例えば、1となるように、酸をケイ酸塩に対して配合する。
また、酸の配合は、例えば、複数回、好ましくは、2回にわたって実施することができる。例えば、1回目の配合で、シリカ系硬化物を細孔内に堆積させ、2回目の配合で、ケイ酸塩の加水分解反応を完結させる。また、具体的には、1回目の酸の配合では、ケイ酸塩を部分中和し、2回目の酸の配合によって、ケイ酸塩を完全中和する。1回目の配合割合は、酸全配合量に対して、例えば、50%以上、好ましくは、60%以上であり、また、例えば、90%以下、好ましくは、70%以下である。
1回目の配合時間は、例えば、1時間以上、好ましくは、5時間以上であり、また、10時間以下である。2回目の配合時間は、例えば、1分以上、好ましくは、5分以上であり、また、例えば、30分以下、好ましくは、15分以下である。
なお、ケイ酸塩水溶液を用いる場合には、加水分解反応後に、化粧料添加剤を、例えば、濾過などの固液分離によって、酸によって中和されたケイ酸塩水溶液から化粧料添加剤を回収する。
酸を配合する時の温度は、特に限定されず、例えば、20~40℃、具体的には、常温である。
オルガノシラン系化合物の加熱温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上、より好ましくは、70℃以上であり、また、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下である。
一方、加熱時間は、例えば、4時間以上、好ましくは、8時間以上、より好ましくは、12時間以上であり、また、例えば、100時間以下である。
この硬化物は、例えば、硬質である。JIS K 5600-5-4(1999)年に記載に従って測定される硬化物からなる被膜の鉛筆硬度は、例えば、H以上、好ましくは、2H以上、より好ましくは、3H以上、さらに好ましくは、4H以上、とりわけ好ましくは、5H以上である。
これにより、多孔質粒子の細孔内に、有機系光エネルギー線吸収剤を封止する硬化物を充填して、化粧料添加剤を得る。
化粧料添加剤は、必要により、洗浄および乾燥する。
図5に、1段階法で第3工程を実施し、次いで、第4工程を実施する第2の方法で得る化粧料添加剤の断面図を描画する。
また、2段階法で第3工程を実施する態様は、図2A~図2Bに描画され、また、第4工程を実施する態様は、図2Cで準ずる内容で示される。
第3の方法は、第1工程および第2工程、および/または、第3工程および第4工程と、第5工程とを備える。
第5工程では、第1の方法の第2工程の後、および/または、第2の方法の第4工程の後に、硬化物から、化粧料添加剤における多孔質粒子の外表面を被覆する硬化物の被膜を形成する。硬化物として、例えば、優れた強度を得る観点から、シリコーン硬化物、シリカ系硬化物が挙げられ、好ましくは、優れた伸展性、優れた撥水性および良好な感触を得る観点から、常温硬化性シリコーン組成物の硬化物であるシリコーン硬化物が挙げられる。また、非マイクロプラスチック該当品(マイクロプラスチックの発生を抑制できる化粧料添加剤)であって、伸展性にも優れる化粧料添加剤における硬化物として、好ましくは、第2のオルガノシロキサン組成物の硬化物も挙げられる。
硬化物をシリコーン硬化物とする場合には、第2工程または第4工程の後の化粧料添加剤(具体的には、細孔内に有機系光エネルギー線吸収剤および硬化物を含む多孔質粒子)と、シリコーン組成物(好ましくは、常温硬化型シリコーン組成物)とを配合する。
続いて、シリコーン組成物を硬化反応(縮合反応)させて、シリコーン硬化物を生成する。シリコーン組成物が常温硬化型シリコーン組成物であれば、放置する。放置時間は、第1の方法の第2工程のそれと同様である。なお、第5工程の時間短縮を図る観点から、常温硬化型シリコーン組成物を取り込んだ多孔質粒子を、例えば、100℃以下で、例えば、1時間以上、5時間以下、加熱して、第2工程を実施することもできる。
硬化物をシリカ系硬化物とする場合には、第2工程または第4工程の後の化粧料添加剤と、オルガノシラン組成物とを配合する。オルガノシラン組成物としては、例えば、第1のオルガノシラン組成物、第2のオルガノシラン組成物が挙げられ、好ましくは、化粧料添加剤の伸展性を向上させる観点から、第2のオルガノシラン組成物が挙げられる。
続いて、シリカ系化合物であるオルガノシラン組成物を硬化反応(縮合反応)させて、シリカ系硬化物を生成する。具体的には、オルガノシラン組成物を取り込んだ多孔質粒子を加熱する。加熱温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、60℃以上、より好ましくは、70℃以上であり、また、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下である。一方、加熱時間は、例えば、4時間以上、好ましくは、8時間以上、より好ましくは、12時間以上であり、また、例えば、100時間以下である。
第3の方法によって、多孔質粒子の外表面を被覆する硬化物を被膜として形成する。
上記した工程後の多孔質粒子100質量部に対する硬化物の被膜の質量部数は、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上であり、また、例えば、25質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
硬化物の被膜は、撥水被膜として作用するため、この硬化物の被膜を有する化粧料添加剤は、撥水性に優れるとともに、感触が良好である。
図4および図6には、第3の方法によって得られる化粧料添加剤の断面図を示す。
具体的には、第1工程および第2工程を実施して、シリコーン硬化物41で多孔質粒子2の細孔5内を封止し、第5工程で、被膜43で多孔質粒子2の外表面を被覆する態様が、図4で描画される。
また、第3工程および第4工程を実施して、シリカ系硬化物42で多孔質粒子2の細孔5内を封止し、第5工程で、被膜43で多孔質粒子2の外表面を被覆する態様が、図6で描画される。
なお、上記した説明では、第3の方法と、第1の方法または第2の方法とを区別している。しかし、例えば、第1の方法を実施することによって、多孔質粒子の細孔の充填に加え、多孔質粒子の外表面の被覆を併せて実施されることが許容される。つまり、第1の方法または第2の方法の実施によって、同時に第3の方法が実施されることが許容される。
また、図7および図8の態様では、多孔質粒子2の細孔5の深部および浅部のそれぞれに、シリカ系硬化物42およびシリコーン硬化物41のそれぞれが存在するが、それらの配置は、図示しないが、逆であってもよい。
また、図示しないが、図6におけるシリカ系硬化物42が細孔5から突出する一方、シリコーン硬化物41は、多孔質粒子2の外表面の全部または一部を被覆してもよい。
その後、多孔質粒子は、硬化物(とりわけ、硬化物の被膜)がバインダとして作用することにより、多孔質粒子が凝集している場合には、上記した凝集を解消するために、解砕により、凝集状態を解消させる。具体的には、ジェットミルなどによって、化粧料添加剤を解砕する。
これにより、多孔質粒子と有機系光エネルギー線吸収剤と硬化物とを含む化粧料添加剤を製造する。
このようにして得られた化粧料添加剤は、光エネルギー線吸収が要求される化粧料基剤に添加されて、化粧料として使用される。
化粧料は、光エネルギー線吸収性能を有する化粧料であって、かかる化粧料としては、例えば、日焼け止めローション、日焼け止め乳液、日焼け止めクリーム、日焼け止めジェル、日焼け止め2層分離タイプなどのサンスクリーン化粧料、例えば、ファンデーション、コンシーラー、頬紅、白粉(おしろい、ルースパウダー、プレストパウダー)、コントロールカラー、下地料、BBクリーム、アイカラー、口紅などのメイクアップ化粧料、例えば、乳液、クリーム、美容液、デイクリームなどのスキンケア化粧料などが挙げられることができる。好ましくは、サンスクリーン化粧料、メイクアップ化粧料(具体的には、ファンデーション)が挙げられる。なお、化粧料添加剤が添加された化粧料は、化粧料組成物として調製される。
そして、この化粧料添加剤では、多孔質粒子が、有機系光エネルギー線吸収剤を取り込み、さらに、かかる有機系光エネルギー線吸収剤を多孔質粒子内において硬化物によって封止している。そのため、有機系光エネルギー線吸収剤の漏出を抑制することができる。つまり、有機系光エネルギー線吸収剤の漏出抑制性に優れる。従って、化粧料添加剤、さらには、それが添加された化粧料は、光エネルギー線吸収効果に優れる。
さらに、この化粧料添加剤は、特定のシリコーン組成物の硬化物であるシリコーン硬化物を含むので、伸展性に優れる。とりわけ、シリコーン組成物がシリコーンオイルを含む場合には、硬化物の表面にシリコーンオイルが局在化するので、とりわけ、伸展性に優れ、感触が良好である。
一方、化粧料添加剤は、シリカ系硬化物を含む場合には、マイクロプラスチックの発生を抑制できる。そのため、環境負荷を低減できる。
とりわけ、多孔質粒子がシリカ系粒子で、硬化物がシリカ系硬化物であれば、それらは、親和性に優れる。そのため、化粧料添加剤は、強度に優れる。しかも、シリカ系粒子およびシリカ系硬化物は、いずれも、マイクロプラスチックの発生を抑制できる。従って、化粧料添加剤は、強度に優れながら、環境負荷を低減することもできる(具体的には、実施例10~13および21)。
他方、有機系光エネルギー線吸収剤を封止する硬化物がシリカ系硬化物であり、被膜を構成する硬化物がシリコーン硬化物であれば、化粧料添加剤は、マイクロプラスチックの発生抑制と、伸展性および撥水性とをバランスよく備えることができる(具体的には、実施例14~20)。
また、この化粧料添加剤の製造方法では、常温硬化型シリコーン組成物を常温硬化させれば、有機系光エネルギー線吸収剤が加熱に起因して光エネルギー線吸収性能が低減することを抑制することができる。
また、シリカ系化合物(具体的には、ケイ酸塩)を、酸触媒下で、常温で、加水分解して、シリカ(シリカ硬化物)を生成すれば、有機系光エネルギー線吸収剤が加熱に起因して光エネルギー線吸収性能が低減することを抑制することができる。
また、シリコーン組成物は、第1オリゴマーおよびシリコーンオイルを必須成分として含み、第2オリゴマーを任意成分として含むこともできる。
なお、上記した一例では、常温硬化型シリコーン組成物を1液型で準備しているが、例えば、常温硬化型シリコーン組成物を2液型で準備することもできる。例えば、第1オリゴマーを含有するA液と、触媒および有機溶媒を含有するB液とをそれぞれ調製する。
なお、上記の一例で説明した化粧料添加剤の製造方法では、第1工程では、常温硬化型シリコーン組成物を配合し、第2工程では、常温硬化型シリコーン組成物を常温硬化させているが、これに限定されず、例えば、第1工程では、2液型加熱硬化型シリコーン組成物(A液およびB液)(加熱硬化することができる硬化型シリコーン組成物)を配合し、第2工程では、2液型加熱硬化型シリコーン組成物を加熱により硬化させることもできる。
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。また、以下の記載において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。
<常温硬化型シリコーン組成物の調製例>
調製例1
表1に記載の処方に従って、常温硬化型シリコーン組成物を調製した。具体的には、200mlガラス容器に、第1オリゴマー6.8部、第2オリゴマー27.4部、シリコーンオイル1.8部、溶媒54.0部、触媒10.0部を配合し、マグネチックスターラーを用いて、常温で20分間攪拌して、常温硬化型シリコーン組成物を調製した。
なお、この常温硬化型シリコーン組成物を、常温硬化させたときの硬化物の質量割合は、硬化前の常温硬化型シリコーン組成物の質量に対して、30.5質量%であった。また、常温硬化型シリコーン組成物を、JIS H 4000準拠の試験用アルミニウム板の表面に塗布し、23℃で24時間静置して、有機溶剤および加水分解生成物を除去した後の硬化物からなる被膜の鉛筆硬度は、5Hであった。
原料成分の詳細を以下に示す。
第1オリゴマー:X-40-9250(式(4)中、bが8、cが4、dが4であるメチル系シリコーンアルコキシオリゴマー(第1オリゴマー)、信越化学工業社製)
第2オリゴマー:KR-500(式(7)中、gが10、hが4であるメチル系シリコーンアルコキシオリゴマー(第2オリゴマー)、信越化学工業社製)
シリコーンオイル:KF-96-1000cs(ポリジメチルシロキサン、動粘度(25℃):1000mm2/s、信越化学工業社製)
有機溶剤:2-プロパノール(20℃における蒸気圧4kPa)
触媒:D-25(チタン(IV)テトラn-ブトキシド、信越化学工業社製)
ケイ酸ナトリウム:加水分解性のケイ酸塩、3号ケイ酸ソーダ、富士化学社製
テトラエトキシシラン:加水分解性のオルガノシラン系化合物、TEOS、エチルシリケート28(コルコート社製)、硬化後の生成シリカ28重量%
テトラメトキシシランのオリゴマー:加水分解性のオルガノシラン系化合物、平均重合度7、メチルシリケート53(コルコート社製)、硬化後の生成シリカ53重量%
<多孔質粒子および有機系紫外線吸収剤の準備>
多孔質粒子として、表2に記載の4種類のシリカ系粒子、および、表4に記載の吸油量250mL/100gの1種類のセルロース粒子(大東化成工業社製、CELLULOBEADS USF)を準備した。
表3~表5に記載の有機系紫外線吸収剤として、EHMC(UVB吸収剤)およびアボベンゾン(UVA吸収剤)を準備した。
表5に記載の硬化性ケイ素原料として、ケイ酸ナトリウム(加水分解性のケイ酸塩)、および、テトラエトキシシラン(加水分解性のオルガノシラン系化合物)、テトラメトキシシランのオリゴマー(加水分解性のオルガノシラン系化合物)をそれぞれ準備した。
<化粧料添加剤の製造>
<第1工程を2段階法で実施する化粧料添加剤の製造>
実施例1
表3に記載の処方で、有機系紫外線吸収剤を2-プロパノールに溶解させて、有機系紫外線吸収剤の2-プロパノール溶液、つまり、有機系紫外線吸収剤液を調製した。
続いて、表3に記載の処方でシリカ系粒子を攪拌機(カワタ社製スーパーミキサー・ピッコロ)に仕込み、300rpmで攪拌しながら、有機系紫外線吸収剤液を2分かけて滴下し、5分間攪拌を継続して均一になるまで混合した(第1段階目)。第1段階目では、有機系紫外線吸収剤液の全部が、シリカ系粒子に吸収された。これにより、有機系紫外線吸収剤液を取り込んだシリカ系粒子を得た。
続いて、シリカ系粒子を、23℃で1日静置して、2-プロパノールを揮散させた(除去した)。これにより、有機系紫外線吸収剤のみが、シリカ系粒子の細孔内に取り込まれ、つまり、有機系紫外線吸収剤のみが担持されたシリカ系粒子を得た。
次いで、有機系紫外線吸収剤が担持されたシリカ系粒子を攪拌機に仕込み、常温硬化型シリコーン組成物を表3に記載の量を2分かけて滴下し、5分間攪拌を継続して均一になるまで混合した(第2段階目)。
続いて、23℃で2日静置して、常温硬化型シリコーン組成物に含まれる2-プロパノールを揮散させながら、常温硬化型シリコーン組成物を常温硬化させた(第2工程)。これにより、常温硬化型シリコーン組成物の硬化物を得た。シリカ系粒子に有機系紫外線吸収剤が担持され、有機系紫外線吸収剤が硬化物によって封止された化粧料添加剤を製造した。
その後、化粧料添加剤をジェットミル(セイシン企業社製A-Oジェットミル)で解砕した。
<第1工程を2段階法で実施する化粧料添加剤の製造>
実施例2、5および6
表3の記載に従って、処方を変更した以外は、実施例1と同様に処理して、化粧料添加剤を得た。
比較例1
表3の記載に従って、常温硬化型シリコーン組成物を配合しなかった以外は、実施例1と同様に処理して、化粧料添加剤を得た。
要するに、第1工程の2段階法において、第1段階目を実施したが、第2段階目を実施せず、また、第2工程も実施しなかった。つまり、比較例1の化粧料添加剤は、硬化物を含まない。
<第1工程を1段階法で実施する化粧料添加剤の製造>
実施例3、4、7および8
表3に記載に従って、有機系紫外線吸収剤と常温硬化型シリコーン組成物とを配合して、有機系紫外線吸収剤と常温硬化型シリコーン組成物とを含有する混合液を調製した。この混合液では、有機系紫外線吸収剤が、常温硬化型シリコーン組成物中に溶解していた。
続いて、表3に記載の処方でシリカ系粒子を攪拌機(カワタ社製スーパーミキサー・ピッコロ)に仕込み、シリカ系粒子を300rpmで攪拌しながら、表3に記載の処方で、混合液を、2分かけてシリカ系粒子に滴下し、5分間攪拌を継続して均一になるまで混合した。これにより、混合液の全部が、シリカ系粒子に吸収された。つまり、混合液を吸収したシリカ系粒子を得た(第1工程)。
続いて、このシリカ系粒子を、23℃で2日静置して、2-プロパノールを揮散させ、常温硬化型シリコーン組成物を常温硬化させた(第2工程)。これにより、常温硬化型シリコーン組成物の硬化物を得た。有機系紫外線吸収剤が硬化物によって封止された化粧料添加剤を製造した。
その後、化粧料添加剤をジェットミル(セイシン企業社製A-Oジェットミル)で解砕した。
比較例2~比較例7
表3に記載されるように、有機系紫外線吸収剤をそのまま比較例2~比較例3とし、シリカ系粒子をそのまま比較例4~比較例7とした。
<第1工程を2段階法で実施する化粧料添加剤の製造>
実施例9
配合処方を表4に従った以外は、実施例1と同様にして、化粧料添加剤を製造した。
比較例8
表4の記載に従って、常温硬化型シリコーン組成物を配合しなかった以外は、実施例9と同様に処理して、化粧料添加剤を得た。
要するに、第1工程の2段階法において、第1段階目を実施するが、第2段階目を実施せず、また、第2工程も実施しなかった。つまり、比較例8の化粧料添加剤の製造では、常温硬化型シリコーン組成物を配合せず、そのため、化粧料添加剤は、硬化物を含まない。
<ケイ酸ナトリウムを用いる2段階法の第3工程および第4工程を実施する化粧料添加剤の製造>
実施例10および11
(第3工程の第1段階目)
表5に記載の処方で、有機系紫外線吸収剤を2-プロパノールに溶解させて、有機系紫外線吸収剤の2-プロパノール溶液、つまり、有機系紫外線吸収剤液を調製した。
続いて、表5に記載の処方でシリカ系粒子を攪拌機(カワタ社製スーパーミキサー・ピッコロ)に仕込み、300rpmで撹拌しながら、有機系紫外線吸収剤液を5分かけて滴下し、5分間撹拌を継続して均一になるまで混合した。第1段階目では、有機系紫外線吸収剤液の全部が、シリカ系粒子に吸収された。これにより、有機系紫外線吸収剤液を取り込んだシリカ系粒子を得た。続いて、シリカ系粒子を、23℃で1日真空乾燥して、2-プロパノールを揮散させた(除去した)。これにより、有機系紫外線吸収剤のみが、シリカ系粒子の細孔内に取り込まれた、つまり、有機系紫外線吸収剤のみが担持されたシリカ系粒子を得た。
(第3工程の第2段階目および第4工程)
次いで、表5に記載の処方で、5Lのステンレス製容器に、第3工程の第2段階目で調製したシリカ系粒子およびイオン交換水2kgを順に仕込み、ステンレス製攪拌機(新東科学製スリーワンモーター)で撹拌しながら、ケイ酸ナトリウム92gを添加して溶解して、ケイ酸ナトリウム水溶液を調製した。続いて、10%硫酸水溶液90g(ケイ酸ナトリウム中の酸化ナトリウムに対する0.66当量)を6時間かけて滴下して、シリカ系硬化物をシリカ系粒子の細孔内へ堆積させ、細孔を封止した。
続いて、10%硫酸水溶液47g(ケイ酸ナトリウム中の酸化ナトリウムに対する0.34当量)を10分で添加して、反応を終了させた(完全中和)。これによって、シリカであるシリカ系硬化物を生成した。このようにして、有機系紫外線吸収剤が担持され、シリカ系硬化物によって封止された化粧料添加剤のスラリーを得た。続いて、円形濾紙を敷いた磁製ブフナー漏斗を、吸引ビンにセットし、このスラリーを移し、減圧濾過による固液分離さらに水洗を行った。得られた、スラリーを50℃で1日真空乾燥して、化粧料添加剤を得た。
<オルガノシラン系化合物を用いる1段階法の第3工程および第4工程を実施する化粧料添加剤の製造>
実施例12および13
(第3工程)
表5に記載の処方で、有機系紫外線吸収剤およびテトラブトキシチタンをテトラエトキシシランに溶解させて、テトラエトキシシラン溶液を調製した。続いて、表5に記載の処方でシリカ系粒子を攪拌機(カワタ社製スーパーミキサー・ピッコロ)に仕込み、300rpmで撹拌しながら、テトラエトキシシラン溶液を10分かけて滴下し、5分間撹拌を継続して均一になるまで混合した。第1段階目では、テトラエトキシシラン溶液の全部が、シリカ系粒子に吸収された。これにより、テトラエトキシシラン溶液を取り込んだシリカ系粒子を得た。
(第4工程)
続いて、シリカ系粒子を、80℃で15時間加熱乾燥した。これにより、テトラエトキシシランを加水分解して、縮合反応させて、シリカであるシリカ系硬化物を生成するとともに、副生成物であるエタノールおよびブタノールを除去した。これにより、有機系紫外線吸収剤が担持され、シリカ系硬化物で細孔が封止されたシリカ系粒子を得た。
<ケイ酸ナトリウムを用いる2段階法の第3工程、第4工程、および、常温硬化型シリコーン組成物を用いる第5工程を実施する化粧料添加剤の製造>
実施例14および15
(第1工程および第2工程)
実施例10と同様に第1工程および第2工程を実施した。
(第5工程)
表5に記載の処方で、第2工程の後の化粧料添加剤を、攪拌機(カワタ社製スーパーミキサー・ピッコロ)に仕込み、300rpmで撹拌しながら、常温硬化型シリコーン組成物を5分かけて滴下し、5分間撹拌を継続して均一になるまで混合した。シリカ系粒子を、23℃で2日静置して、常温硬化型シリコーン組成物に含まれる2-プロパノールを揮散させながら、常温硬化型シリコーン組成物を常温硬化させた。これにより、外表面にシリコーン硬化物からなる硬化物の被膜を有する化粧料添加物を製造した。
<オルガノシラン系化合物を用いる2段階法の第3工程、第4工程、および、常温硬化型シリコーン組成物を用いる第5工程を実施する化粧料添加剤の製造>
実施例16および17
(第3工程の第1段階目)
実施例10と同様に第3工程の第1段階目を実施した。
(第3工程の第2段階目および第4工程)
表5に記載の処方で、テトラブトキシチタンをテトラエトキシシランに溶解させて、テトラエトキシシラン溶液を調製した。
続いて、表5に記載の処方でシリカ系粒子を攪拌機(カワタ社製スーパーミキサー・ピッコロ)に仕込み、300rpmで撹拌しながら、テトラエトキシシラン溶液を20分かけて滴下し、5分間撹拌を継続して均一になるまで混合した。続いて、シリカ系粒子を、80℃で15時間加熱乾燥して、テトラエトキシシランを硬化させた。これにより、有機系紫外線吸収剤が担持され、シリカ系硬化物によって封止された化粧料添加剤を得た。
(第5工程)
実施例14と同様にして第5工程を実施して、硬化皮膜を形成した。これにより、外表面にシリコーン硬化物からなる硬化物の被膜を有する化粧料添加物を製造した。
<オルガノシラン系化合物を用いる1段階法の第3工程、第4工程、および、常温硬化型シリコーン組成物を用いる第5工程を実施する化粧料添加剤の製造>
実施例18および19
(第3工程および第4工程)
実施例12と同様にして第3工程および第4工程を実施して、有機系紫外線吸収剤が担持され、シリカ系硬化物で細孔が封止されたシリカ系粒子を得た。
(第5工程)
実施例14と同様にして第5工程を実施して、外表面にシリコーン硬化物からなる硬化物の被膜を有する化粧料添加物を得た。
た。
<湿式法でオルガノシラン系化合物を用いる1段階法の第3工程、第4工程、および、常温硬化型シリコーン組成物を用いる第5工程を実施する化粧料添加剤の製造>
実施例20
有機系紫外線吸収剤(メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)350g、および、D-25 40gをテトラエトキシシラン420gに溶解させ、テトラエトキシシラン溶液を調製し、2Lコルベンに仕込んだ。このテトラエトキシシラン溶液に、撹拌下、表5に記載の多孔質シリカ粉体100gを添加し、テトラエトキシシラン溶液が細孔と吸着平衡となるまで、300rpmで1時間撹拌した。このようにして、有機系紫外線吸収剤およびテトラエトキシシランが吸着されたシリカ系粒子のスラリーを得た。続いて、円形濾紙を敷いた磁製ブフナー漏斗を、吸引ビンにセットし、得られたスラリーを移して、減圧濾過にした。有機系紫外線吸収剤、テトラブトキシチタン、テトラエトキシシランが吸着されたシリカ系粒子湿粉を得た。得られたスラリーを湿粉を80℃、15時間加熱乾燥した。これにより、テトラエトキシシランを加水分解して、縮合反応させ、シリカ系硬化物を生成するとともに、副生成物であるエタノールおよびブタノールを除去した。これにより、有機系紫外線吸収剤が担持され、シリカ系硬化物で細孔が封止されたシリカ系粒子を得た。
なお、湿式法では、濾過によって取り除いた濾液中の有機系紫外線吸収剤、D-25、
テトラエトキシシランのそれぞれの量を測定することによって、シリカ系粒子に吸着された上記成分の量を求めた。この量を、表5に括弧書きの左側に記載する。
(第5工程)
実施例14と同様にして、硬化皮膜を形成した。これにより、外表面にシリコーン硬化物からなる硬化物の被膜を有する化粧料添加物を製造した。
<シリコーンオイルを含むオルガノシランオリゴマーを用いる1段階法の第3工程、第4工程を実施する化粧料添加剤の製造>
実施例21
(第3工程および第4工程)
表5に記載の処方で、2-プロパノールにEHMC、テトラメトキシシランのオリゴマー、シリコーンオイル、D-25を配合して、有機系紫外線吸収剤と第2のオルガノシラン組成物(テトラメトキシシランのオリゴマー、シリコーンオイルおよびD-25)とを含有する混合液を調製した。この混合液では、有機系紫外線吸収剤が、第2のオルガノシラン組成物中に溶解していた。
続いて、表5に記載の処方でシリカ系粒子を攪拌機(カワタ社製スーパーミキサー・ピッコロ)に仕込み、シリカ系粒子を300rpmで攪拌しながら、調製した混合液を、2分かけてシリカ系粒子に滴下し、5分間攪拌を継続して均一になるまで混合した。これにより、混合液の全部が、シリカ系粒子に吸収された。つまり、混合液を吸収したシリカ系粒子を得た(第3工程)。
続いて、シリカ系粒子を、80℃で15時間加熱乾燥した。これにより、テトラメトキシシランのオリゴマーを加水分解して、縮合反応させて、シリカであるシリカ系硬化物を生成するとともに、副生成物であるメタノールおよびブタノールを除去した。これにより、有機系紫外線吸収剤が担持され、シリカ系硬化物で細孔が封止され、シリコーンオイルが表面側に相分離した化粧料添加物を製造した。(第4工程)
<評価>
各実施例および各比較例の化粧料添加剤に関し、下記の各項目を評価した。それらの結果を表3~表5に示す。
化粧料添加剤の外観
化粧料添加剤の外観を目視により観察した。
化粧料添加剤のSPF
化粧料添加剤のSPFの測定を下記の手順に従って測定した。
(1)シリコーンオイル(信越化学社製KF-96-1000cs)にEHMC濃度が7質量%となるように、化粧料添加剤を分散させた試料を準備した。
(2)PMMAプレート(Helioscreen社製ヘリオプレートHD6)の上に試料を30mg秤りとり、指で均一に塗り広げた。
(3)上記プレートを15分間、室温(25℃)静置乾燥後、SPFアナライザー(Labsphere社製UV-2000S)によって、SPFを測定した。
(4)測定は上記プレートの異なる12点を測定し、その平均値を得た。1つの試料につき2回測定し、2回分の平均値の平均をSPF値とした。
その結果を表3~表5に示す。
なお、SPF値が高いほど、紫外線(UVB)吸収効果が高いことを示す。
化粧料添加剤の耐溶脱性(化粧料添加剤の漏出抑制性)
化粧料添加剤の耐溶脱性(漏出抑制性)を下記の手順に従って測定した。
(1)化粧料添加剤を、有機系紫外線吸収剤含有量が500mgとなるように、50mLのビーカーに精秤し、スクワレン10gを添加した。
(2)室温で10分間静置した後、上澄み液50mgをアセトニトリル10mLに添加、溶解させた。
(3)液体クロマトグラフィー分析によりスクワレン中に溶解している有機系紫外線吸収剤含量を求めた。
(4)化粧料添加剤に含まれている有機系紫外線吸収剤がすべてスクワレン中に溶脱(溶出)した濃度を100%として、有機系紫外線吸収剤の溶脱率を算出した。
平均摩擦係数
化粧料添加剤の平均摩擦係数を下記に従って測定した。
(1)化粧料添加剤5mgを秤り取った。
(2)摩擦感テスター(カトーテック社製)上に、幅3cmの人工皮膚(出光テクノファイン社製のサプラーレ(登録商標):トップ層:ポリウレタン(プロテインパウダー配合)100%、ベース基布:レーヨン80%およびナイロン20%)を置いた。
(3)秤り取った化粧料添加剤を人工皮膚の上に分散して置き、ゴム手袋で3×8cmの範囲に均一に塗布した。
(4)荷重25g、速度1mm/秒の条件で、摩擦感テスターによる自動測定して、摩擦係数を得た。
(5)この操作を3回実施して、平均値を平均摩擦係数として取得した。
平均摩擦係数が低いほど、伸展性に優れることを示す。
紫外可視分光分析
上記した化粧料添加剤の耐溶脱性の評価で採取した実施例4および比較例3のアセトニトリル溶液を、紫外可視分光分析に供した。実施例4のスペクトルを図1Aに示し、比較例3のスペクトルを図1Bに示す。なお、実施例4および比較例3のアセトニトリル溶液は、いずれも、有機系紫外線吸収剤として、EHMCおよびアボベンゾンを含有している。
図1A~図1Bから分かるように、実施例4は、比較例3と異なり、390nm~410nmの青色光線の領域に吸収波長を有する。これは、アボベンゾンが、無機粒子に含まれる金属と錯体化合物を形成し、この錯体化合物に起因する吸収波長に基づいて、アボベンゾンのUVAの吸収波長がブロード化したためと考えられる。
撥水性
化粧料添加剤0.5gを水100gに添加した。化粧料添加剤の撥水性を下記の基準に従って評価した。
○:化粧料添加剤が水に浮いた。
×:化粧料添加剤が水中で沈降した。
環境負荷
各実施例化粧料添加剤の環境負荷の低さを、下記の観点で評価した。
◎:硬化物が、マイクロプラスチックの発生の可能性が低いシリカ系硬化物のみである。
○:硬化物が、シリカ系硬化物、および、マイクロプラスチックの発生の可能性が高いシリコーン硬化物の混合物である。
△:硬化物が、シリコーン硬化物のみである。
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれるものである。