JP7356228B2 - 組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ナイアシンアミドを含有する組成物であり、さらに詳しくは、肌や髪への浸透感に優れ、塗布時のべたつき感が無く、ハリ感等の仕上がり実感にも優れる組成物に関する。
皮膚は加齢やストレスなどの内的要因や、紫外線や空気の乾燥などの外的要因により、しみやシワ、たるみ、色素沈着等を生じる。中でもシワ、たるみといった形態的変化は、外観の印象を大きく左右するため改善を望む人は多い。それらシワ、たるみを予防・改善するために多くの薬剤が提案されている。このような中でも、ナイアシンアミドは安全性が高く、皮膚老化防止効果を有することが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、ナイアシンアミドを多量に含有するとべたつき感が強いなど、望ましくない使用感触があることが知られており、その改善が行われてきた(例えば、特許文献3参照)。
特開平10-130135号公報 特開平10-001414号公報 特表2003-502435号公報
しかしながら特許文献3の技術では、べたつき感を抑える効果が不十分であった上に、分枝鎖炭化水素及び液体エステル皮膚軟化剤などの高展性油を共に含有する技術であるため、化粧水などの油剤の含有量が制限される製品には不向きであった。
そこで本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ナイアシンアミドを含有する組成物において、ポリプロピレングリコール類を共に用いることにより、べたつき感を抑えるばかりでなく、油剤を含有する組成物の様な延展性や滑らかさが感じられ、さらには使用時の浸透感と、ハリ感等の仕上がりの効果感にも優れる組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次の成分(A)~(C):
(A)ナイアシンアミド 0.1~10質量%
(B)プロピレングリコール及びポリプロピレングリコールから選ばれる1種又は
2種以上
(C)水
を含有する組成物を提供するものである。
本発明によれば、ポリプロピレングリコール類を使用することにより、ナイアシンアミドの浸透感を向上することができる。また、本発明の組成物は、使用時のべたつき感が無く、肌や髪への浸透感に優れ、後肌のハリ感や髪のハリ・コシ感等の仕上がり実感に優れるものである。また該組成物は、長期間に渡っての使用が可能であり、これにより、肌の弾力を向上させ、シワ・たるみといった老化の形態的変化を予防・改善する、アンチエイジング効果を期待できる化粧料として有用なものである。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
本発明に用いられる成分(A)ナイアシンアミドは、ニコチン酸(ビタミンB3/ナイアシン)のアミド化合物である。ナイアシンアミドは水溶性ビタミンで、ビタミンB群の一つである公知の物質であり、天然物(米ぬかなど)から抽出されたり、あるいは公知の方法によって合成することができる。具体的には、第17改正日本薬局方に収載されているものを用いることが出来る。
本発明における成分(A)の含有量は、0.1~10質量%(以下、単に「質量%」を「%」と略す)であり、3~10%が好ましく、4~9%が特に好ましい。成分(A)の含有量が0.1%未満であると、ハリ感等が得られない場合があり、10%を超えると、塗布時のべたつき感が強く、使用感が悪い場合がある。
本発明に用いられる成分(B)は、プロピレングリコール及びポリプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上である。該ポリプロピレングリコールとは、プロピレングリコールの重合体を指し、本発明において、その重合度は、2以上であれば特に限定されるものではないが、好ましくは2~9、より好ましくは2~7であり、さらには3がより好ましい。ポリプロピレングリコールは、重合度が低い場合、水、エタノール等の水溶性溶媒に溶解するなどの水溶性の性質を示すが、重合度が高くなると、アセトン、ベンゼン等の溶媒にも溶解する油溶性の性質を有するものである。本発明においては、ポリプロピレングリコールを用いることにより、前述の成分(A)の肌への親和性を高めるとともに、べたつきを感じることなく、仕上がり実感のある組成物を得ることができる。また、ポリプロピレングリコールの製造方法については、特に限定されるものではなく、市販されているものを用いることも可能である。なお、本発明において重合度は、数平均分子量をポリスチレンを標準試料とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(gel permeation chromatography:GPC)により測定される値を求め、プロピレングリコールの分子量を元に重合度を算出したものであり、重合度の数値は平均値を意味するものである。
このような成分(B)は、具体的には、単量体であるプロピレングリコール、プロピレングリコールの2分子が重合したジプロピレングリコール、3分子が重合したトリプロピレングリコール、7分子が重合したポリプロピレングリコール、9分子が重合したポリプロピレングリコール、12分子が重合したポリプロピレングリコール、20分子が重合したポリプロピレングリコールなどが挙げられる。またポリプロピレングリコールの分子構造としては、直鎖状であっても、分岐構造を含んでいてもいずれでもよく、これらから必要に応じて1種単独又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
これらの中でも、成分(A)のべたつきを抑え、油の様な肌馴染みの良さを具現化する観点からは、プロピレングリコール3分子が重合したトリプロピレングリコールを含有することが好ましい。トリプロピレングリコールの市販品としては、TPG-H(株式会社ADEKA社製)、アデカ カーポール DL-30(株式会社ADEKA社製)、などが挙げられる。
本発明における成分(B)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは1~30%であり、特にべたつきを抑え、優れた仕上がり効果の点において、5~15%がより好ましい。この範囲内で成分(B)を含有すると、成分(A)を均一に溶解する上でも好ましく、特に使用感に優れた組成物を得ることからも好ましい。
また、上記成分(A)と成分(B)との含有質量比は、1:1~1:100の範囲であることが好ましい。成分(A)と成分(B)との含有質量比を特定の範囲とすることで、組成物としての浸透感や、べたつきの無い、滑らかな伸びを、より良好に演出することが可能となる。
本発明に用いられる成分(C)水は、前記成分(A)の溶媒として必須の成分であり、また組成物の媒体でもあり、通常の組成物に用いられる水であれば特に制限はない。具体的には、常水、温泉水、深層水、或いは植物の水蒸気蒸留水等でも良く、必要に応じて1種単独又は2種以上を組み合わせて含有することもできる。
本発明における成分(C)の含有量は、特に限定されるものではなく、適宜、他の成分量に応じて含有することができるが、概ね5~90%の範囲で用いることができる。含有量がこの範囲であれば、成分(A)の溶解性も良好であり、使用性の点で好ましい。
さらに本発明は、成分(D)として抱水性油剤を含有してもよく、該抱水性油剤とは、以下の試験法による抱水力が100以上のものであり、水を抱え込める性質によってナイアシンアミドのべたつきを抑え、みずみずしく延展性に優れた滑らかな伸びを、より良好に演出することが可能となる。
試験法:50℃に加熱した油剤10gを200mlビーカーに秤り取り、デスパーミキサーにて3000rpmで攪拌しながら50℃の水を徐々に添加し、水が排液しない最大限(質量g)を測定し、この数値を10で除し、100倍して抱水力とした。
成分(D)は、具体的には、N-アシルアミノ酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ダイマー酸エステル、ジペンタエリストール脂肪酸エステル、ステロール誘導体等が挙げられる。より詳細には、例えば、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジオクチルドデシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)等のN-アシルアミノ酸エステル、ヒマシ油、シア脂、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、(アジピン酸/2-エチルヘキサン酸/ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油等のグリセリン脂肪酸エステル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル等のダイマー酸エステル、(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリトール、(12-ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリトール等のジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、コレステロール、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、リシノール酸コレステリル等の脂肪酸コレステリルエステル、フィトステロール、オレイン酸フィトステリル、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル等の脂肪酸フィトステリルエステル等のステロール誘導体などが挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、N-アシルアミノ酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ダイマー酸エステルが保湿感に優れるため好ましく、さらに、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、シア脂、デカグリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油が、ナイアシンアミドのべたつきを抑え、みずみずしく延展し、長く肌上にナイアシンアミドを留めることにより、肌へのアンチエイジング効果もたらす点でより好ましい。
市販品としては、エルデュウPS-203(抱水力300)、エルデュウPS-304(抱水力420)、エルデュウPS-306(抱水力470)(味の素社製)、PLANDOOL-S(抱水力300)(日本精化社製)、ビオデルマ SX-19<E>(抱水力110)(一丸ファルコス社製)、キャストライドMS(抱水力110)(ナショナル美松社製)、テクノールMH(抱水力105)(横関油脂社製)等が挙げられる。
本発明における成分(D)の含有量は、特に限定されないが、0.01~20%が好ましく、0.1~5%がべたつかずに、みずみずしい感触を付与することができ、成分(B)とともにナイアシンアミドを長く肌上に留めることにより、肌のアンチエイジング効果をもたらす点でより好ましい。
さらに本発明は、成分(E)として、アミノ酸及び/又はその誘導体を含有してもよい。具体的には、アミノ酸としては、例えばグリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アセチルグルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、シスチン、システイン、アセチルシステイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、オルニチン、シトルリン、テアニン、トリメチルグリシン等が挙げられる。またアミノ酸誘導体としては、ラウロイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸等のアシルグルタミン酸およびそれらの塩等が、好ましく例示できる。これらから必要に応じて1種単独又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
本発明における成分(E)の含有量は、特に限定されるものではないが、組成物の浸透感、ハリ感等の観点から、0.01~1%が好ましく、0.05~0.75%がより好ましく、0.1~0.5%がさらにより好ましい。
本発明の組成物には、上記成分(A)~(E)以外に、通常の外用剤に使用される成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜、含有することができる。例えば、高級アルコール、炭化水素油、エステル油、ワックス類、シリコーン油等の油剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、水溶性高分子、成分(B)以外の多価アルコール、低級アルコール等の水性成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、抗菌剤、防腐剤、保湿剤、pH調整剤、清涼剤、粉体、ビタミン類、美容成分、香料等を含有することができる。
油剤としては、具体的には、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の高級アルコール;スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン等の炭化水素油;アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル等のエステル油;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、セラックロウ、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等のワックス類:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン等のシリコーン油が挙げられる。
これらの中でも、特に、2-オクチルドデカノール、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、2-エチルヘキサン酸セチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリルから選択される1種又は2種以上を用いることにより、ナイアシンアミドのべたつきを抑え、より滑らかで瑞々しい感触の組成物を得ることができる。
本発明の組成物は、例えば、外用液剤、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤、ハップ剤、硬膏剤、噴霧剤、エアゾール剤等が挙げられる。剤型としては、水性混合系、可溶化系、乳化系(O/W型、W/O型、W/O/W型)等が挙げられる。また本発明の組成物の製造方法は、剤型に応じて、公知の手法を用いて、特に限定されることなく製造可能である。
また本発明の組成物は、皮膚及び頭髪用の化粧料として利用可能であり、例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、マッサージ料、パック料、ハンドクリーム、ボディローション、ボディクリーム、日焼け止め料、ファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、コンシーラー、シャンプー、コンディショナー、ヘアクリーム、ヘアミスト、ヘアローション、ヘアトリートメント等を例示することができる。効果を実感できるという点では、スキンケア化粧料や毛髪化粧料が好ましい。その使用方法は、手や指、コットンで使用する方法、不織布等に含浸させて使用する方法、直接噴霧して使用する方法等が挙げられる。
本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。含有量は特記しない限り、その成分が含有される組成物に対する質量%で示す。
実施例1~9、比較例1~5:化粧水
実施例1~9、比較例1~5の化粧水を調製し、イ:浸透感、ロ:べたつきのなさ、ハ:肌馴染みの良さ、ニ:サラサラ感、ホ:ハリ感について下記の方法により評価した。それら化粧水の処方と、評価結果を併せて表1に示す。
(製造方法)
A:成分(1)~(9)を70℃で均一に溶解混合する。
B:成分(10)及び(11)を均一に溶解混合する。
D:Aを40℃まで冷却したのちに、Bを添加混合し、化粧水を得た。
(評価項目)
イ:浸透感
ロ:べたつきのなさ
ハ:肌馴染みの良さ
ニ:サラサラ感
ホ:ハリ感
(評価方法)
20代~40代の女性で官能評価の訓練を受け、一定の基準で評価が可能な専門パネルを10名選定した。該専門パネルは前腕に各試料を使用し、それぞれについて、使用時に感じる浸透感、べたつきのなさ、肌馴染みの良さ、また、後肌のサラサラ感、ハリ感を、下記絶対評価にて5段階に評価し評点を付けた。各試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(イ:浸透感)
絶対評価基準
(評点):(評価)
5点:化粧水の肌への浸透感があると感じる
4点:化粧水の肌への浸透感があるとやや感じる
3点:普通
2点:化粧水の肌への浸透感があるとあまり感じない
1点:化粧水の肌への浸透感があると感じない
4段階判定基準(以下の評価項目においても同様)
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超える4.5点以下:良好
△ :1.5点を超える3.5点以下:やや不良
× :1.5点以下 :不良
(ロ:べたつきの無さ)
絶対評価基準
(評点):(評価)
5点:べたつき感が無い
4点:ほとんどべたつき感が無い
3点:ややべたつき感がある
2点:べたつき感がある
1点:非常にべたつき感がある
(ハ:肌馴染みの良さ)
絶対評価基準
(評点):(評価)
5点:肌に塗布した際、非常に早く肌になじむ
4点:肌に塗布した際、早く肌になじむ
3点:普通
2点:肌に塗布した際、肌になじみにくく、なじむまで時間を要する
1点:肌に塗布した際、肌になじむまでかなりの時間を要する
(ニ:サラサラ感)
絶対評価基準
(評点):(評価)
5点:塗布後の乾燥させた肌に、非常に良好なサラサラ感を感じる
4点:塗布後の乾燥させた肌に、良好なサラサラ感を感じる
3点:普通
2点:塗布後の乾燥させた肌に、サラサラ感はほとんど感じない
1点:塗布後の乾燥させた肌に、サラサラ感を感じない
(ホ:ハリ感)
絶対評価基準
(評点):(評価)
5点:肌のハリ感があると感じる
4点:やや肌のハリ感があると感じる
3点:普通
2点:あまり肌のハリ感があると感じない
1点:肌のハリ感があると感じない
表1の結果から明らかなように、実施例1~9の化粧水は、比較例1~5の化粧水に比べ、肌への浸透感、べたつきの無さ、肌馴染みの良さ、後肌のサラサラ感、肌のハリ感、において優れたものであった。
一方、成分(A)を含有しない比較例1は、サラサラ感やハリ感において劣っていた。成分(A)が0.01%の比較例2でも、同様に後肌のサラサラ感やハリ感を感じることができず、成分(A)が15%の比較例3は、ナイアシンアミドが多すぎる為に浸透感を感じにくく、またべたつきが生じてしまった。成分(B)をグリセリンに変更した比較例4は、独特のべたつきやぬるつきが生じてしまったため、浸透感やべたつきの無さに問題が生じ、さらには後肌のサラサラ感も感じられないものであった。またさらに成分(B)を配合していない比較例5に関しては、すべての点において劣るものであった。
実施例10~19、比較例6~10:ヘアミルク(油中水型)
実施例10~19、比較例6~10のヘアミルクを調製し、ヘ:浸透感、ト:サラサラ感、チ:しなやかさ、リ:ハリコシ感について下記の方法により評価した。それらヘアミルクの処方と、評価結果を併せて表2に示す。
(製造方法)
A:成分(1)~(9)を70℃で均一に溶解混合する。
B:成分(11)~(15)を80℃で均一に溶解混合する。
C:AにBを添加混合し、50℃まで冷却する。
D:(16)~(18)、(19)~(20)と(10)をそれぞれ溶解し、Cに添加混合することで油中水型のヘアミルクを得た。
(評価項目)
ヘ:浸透感
ト:サラサラ感
チ:しなやかさ
リ:ハリコシ感
(評価方法)
20代~40代の女性で官能評価の訓練を受け、一定の基準で評価が可能な専門パネルを10名選定した。該専門パネルは髪に各試料を使用し、それぞれについて、使用時に感じる浸透感、また、仕上がりのサラサラ感、しなやかさ、ハリコシ感を、下記絶対評価にて5段階に評価し評点を付けた。各試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(ヘ:浸透感)
絶対評価基準
(評点):(評価)
5点:ヘアミルクの髪への浸透感があると感じる
4点:ややヘアミルクの髪への浸透感があると感じる
3点:普通
2点:あまりヘアミルクの髪への浸透感があると感じない
1点:ヘアミルクの髪への浸透感があると感じない
4段階判定基準(以下の評価項目においても同様)
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.5点を超える :非常に良好
○ :3.5点を超える4.5点以下:良好
△ :1.5点を超える3.5点以下:やや不良
× :1.5点以下 :不良
(ト:サラサラ感)
絶対評価基準
(評点):(評価)
5点:塗布後の乾燥させた髪に、非常に良好なサラサラ感を感じる
4点:塗布後の乾燥させた髪に、良好なサラサラ感を感じる
3点:普通
2点:塗布後の乾燥させた髪に、サラサラ感はほとんど感じない
1点:塗布後の乾燥させた髪に、サラサラ感を感じない
(チ:しなやかさ)
絶対評価基準
(評点):(評価)
5点:髪にしなやかさがある
4点:ほとんど髪にしなやかさがある
3点:やや髪にしなやかさがある
2点:あまり髪にしなやかさが無い
1点:非常に髪にしなやかさが無い
(リ:ハリコシ感)
絶対評価基準
(評点):(評価)
5点:髪のハリコシ感があると感じる
4点:やや髪のハリコシ感があると感じる
3点:普通
2点:あまり髪のハリコシ感があると感じない
1点:髪のハリコシ感があると感じない
表2の結果から明らかなように、実施例10~19のヘアミルクは、比較例6~10のヘアミルクに比べ、髪への浸透感、サラサラ感、しなやかさ、髪のハリコシ感、において優れたものであった。
一方、成分(A)を含有しない比較例6は、後髪のしなやかさやハリコシ感において劣っていた。成分(A)が0.01%の比較例7でも、同様に後髪のしなやかさやハリコシ感を感じることができず、成分(A)が15%の比較例8はナイアシンアミドが多すぎる為に浸透感を感じにくく、またサラサラ感が低下してしまった。成分(B)をグリセリンに変更した比較例9は独特のべたつきやぬるつきが生じてしまったため、浸透感やサラサラ感に問題が生じ、さらには後髪のしなやかさも感じられないものであった。またさらに成分(B)を配合していない比較例10に関しては、すべての点において劣るものであった。
実施例20:透明化粧水
(成分) (%)
(1)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0
(2)モノイソステアリン酸ポリグリセリル 0.8
(3)ポリオキシエチレン(8)アルキル(12-15)エーテルリン酸 0.05
(4)防腐剤 適量
(5)香料 適量
(6)エタノール 10.0
(7)トリプロピレングリコール 5.0
(8)プロピレングリコール 2.0
(9)ナイアシンアミド 3.0
(10)精製水 残量
(製造方法)
A:成分1~6を均一に溶解混合する。
B:成分7~10を均一に溶解混合する。
C:AをBに添加し、室温にて可溶化し、透明化粧水を得た。
以上のようにして得られた透明化粧水は浸透感、べたつきのなさ、肌馴染みの良さ、後肌のサラサラ感、ハリ感に優れるものであった。
実施例21:水中油乳化型美容液
(成分) (%)
(1)(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10 1.5
(2)トリプロピレングリコール 15.0
(3)ナイアシンアミド 6.0
(4)L-テアニン 0.05
(5)1,3-ブチレングリコール 3.5
(6)ジプロピレングリコール 0.5
(7)精製水 残量
(8)グリセリン 2.0
(9)ポリエチレングリコール 2.0
(10)リン酸水素ナトリウム 0.3
(11)リン酸二水素ナトリウム 0.6
(12)エデト酸2ナトリウム 0.02
(13)メチルパラベン 0.1
(14)イソステアリン酸ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油 0.2
(15)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2
(16)エタノール 5.0
(17)L-メントール 0.02
(18)ミリスチン酸イソプロピル 0.3
(19)ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/
ステアリル/ベヘニル)(注3) 0.2
(20)トリオレイン酸ソルビタン 0.2
(21)トコトリエノール 0.02
(22)カルボマー 0.02
(23)(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー
0.02
(24)キサンタンガム 0.01
(25)水酸化ナトリウム 0.01
(26)加水分解ヒアルロン酸 0.01
(注3)PLANDOOL-S(日本精化社製)
(製造方法)
A:成分(1)~(13)を室温で均一に混合する。
B:成分(14)~(21)を均一に溶解し、Aに攪拌しながら添加後冷却する。
C:AにBを加え、ディスパーミキサーで1000rpm、5分間乳化する。
D:Cを攪拌しながら、成分(22)~(26)を添加する。
E:Dを容器に充填し、美容液を得た。
以上のようにして得られた水中油乳化型美容液は、浸透感、べたつきのなさ、肌馴染みの良さ、後肌のサラサラ感、ハリ感に優れるものであった。
実施例22:日焼け止め料(油中水型)
(成分) (%)
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 25.0
(2)ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 1.0
(3)ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 1.0
(4)イソノナン酸イソトリデシル 1.0
(5)2-エチルヘキサン酸セチル 3.0
(6)パラメトキシケイ皮酸2-エチルへキシル 3.0
(7)4-tert-ブチル-4´-メトキシ-ジベンゾイルメタン 1.0
(8)ジメチルポリシロキサン 1.0
(9)メタクリル酸メチルクロスポリマー(15μm) 0.5
(10)香料 適量
(11)精製水 残部
(12)トリプロピレングリコール 2.0
(13)プロピレングリコール 5.0
(14)ナイアシンアミド 1.0
(15)エタノール 2.0
(16)防腐剤 適量
(製造方法)
A:成分(1)~(10)を加温し、均一に溶解する。
B:成分(11)~(16)を均一に溶解後、Aに攪拌しながら添加する。
C:Bを攪拌しながら冷却混合して、日焼け止め料を得た。
以上のようにして得られた日焼け止め料は、浸透感、べたつきのなさ、肌馴染みの良さ、後肌のサラサラ感、ハリ感に優れるものであった。
実施例23:日焼け止め料(水中油型)
(成分) (%)
(1)1,3-ブチレングリコール 5.0
(2)ジプロピレングリコール 5.0
(3)精製水 残量
(4)ナイアシンアミド 0.5
(5)(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー 0.4
(6)トリエタノールアミン 0.4
(7)ジメチコジエチルベンザルマロネート 1.2
(8)4-tert-ブチル-4´-メトキシ-ジベンゾイルメタン 2.0
(9)パラメトキシケイ皮酸2-エチルへキシル 7.0
(10)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.5
(11)ステアリン酸硬化ヒマシ油(注4) 1.0
(12)ジカプリン酸プロピレングリコール 5.0
(13)オレイン酸エチル 0.3
(14)天然ビタミンE 0.1
(15)ローズマリー油 0.01
(16)1,2-ペンタンジオール 0.1
(17)無水シリカ 1.0
(18)水溶性コラーゲン 0.01
(19)カミツレ花エキス 0.05
(20)トウキンセンカ花エキス 0.05
(21)グリセリン 1.0
(22)エタノール 7.0
(23)香料 0.1
(注4)キャストライドMS(ナショナル美松者製)
(製造方法)
A.成分(1)~(6)を70℃で均一に溶解混合する。
B.成分(7)~(12)を80℃で均一に溶解混合する。
C.前記AにBを添加し70℃で乳化する。
D.前記Cに成分(13)~(23)を添加混合した後、40℃まで冷却して水中油型乳液を得た。
以上のようにして得られた日焼け止め料(水中油型)は、浸透感、べたつきのなさ、肌馴染みの良さ、後肌のサラサラ感、ハリ感に優れるものであった。
実施例24:水中油型乳液
(成分) (%)
(1)1,3-ブチレングリコール 5.0
(2)ジプロピレングリコール 5.0
(3)精製水 残量
(4)ナイアシンアミド 0.5
(5)水酸化ナトリウム2%水溶液 0.2
(6)N-ミリストイル-L-グルタミン酸 0.2
(7)ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 0.2
(8)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル(注5) 1.0
(9)トリ(カプリル酸/カプリル酸)グリセリル 0.2
(10)トコフェロールニコチン酸エステル 0.01
(11)天然ビタミンE 0.1
(12)コメ胚芽油 0.01
(13)酢酸トコフェロール 0.01
(14)ステアリルアルコール 0.5
(15)1,2-ペンタンジオール 0.1
(16)カルボマー 0.2
(17)エンメイソウエキス 0.05
(18)ジャニアルベンスエキス 0.05
(19)黒大豆エキス 0.05
(20)ゴマ発芽体エキス 0.05
(21)グリセリン 1.0
(22)エタノール 5.0
(23)香料 0.1
(注5)PLANDOOL-MAS(日本精化社製)
(製造方法)
A.成分(1)~(5)を70℃で均一に溶解混合する。
B.成分(6)~(14)を80℃で均一に溶解混合する。
C.前記AにBを添加し70℃で乳化する。
D.前記Cに成分(15)~(23)を添加混合した後、40℃まで冷却して水中油型乳液を得た。
以上のようにして得られた水中油型乳液は、浸透感、べたつきのなさ、肌馴染みの良さ、後肌のサラサラ感、ハリ感に優れるものであった。
実施例25:ヘアパック料
(成分) (%)
(1)塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 2.0
(2)トリプロピレングリコール 10.0
(3)プロピレングリコール 2.0
(4)トコフェロール 0.01
(5)香料 適量
(6)トリメチルグリシン 0.5
(7)グリシン 1.0
(8)塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.0
(9)セトステアリルアルコール 3.0
(10)ベヘニルアルコール 3.0
(11)2-エチルヘキサン酸セチル 5.0
(12)N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・
オクチルドデシル)(注6) 1.5
(13)防腐剤 適量
(14)ワセリン 1.0
(15)ジメチコン 2.0
(16)ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 0.5
(17)ナイアシンアミド 0.5
(18)精製水 残量
(注6)エルデュウPS-203(味の素社製)
(製造方法)
A:成分(1)~(7)および成分(17)~(18)を加熱溶解する。
B:成分(8)~(16)を加熱溶解する。
C:BにAを添加して均一に乳化混合し、冷却する。
D:Cを容器に充填し、ヘアパック料を得た。
以上のようにして得られたヘアパック料は、浸透感、サラサラ感、しなやかさ、ハリコシ感に優れる組成物であった。

Claims (5)

  1. 次の成分(A)~(C):
    (A)ナイアシンアミド 0.1~10質量%
    (B)プロピレングリコール及びプロピレングリコールの重合体から選ばれる1種又は2種以上であり、少なくともトリプロピレングリコールを1~30質量%含む
    (C)水
    を含有する組成物。
  2. 前記成分(B)がプロピレングリコール及びポリプロピレングリコールから選ばれる2種以上である請求項1記載の組成物。
  3. 前記成分(A)と前記成分(B)の含有質量比が1:1~1:100である請求項1~2記載の組成物。
  4. さらに成分(D)抱水性油剤を含有する請求項1~3記載の組成物。
  5. さらに成分(E)アミノ酸又はその誘導体を含有する請求項1~4記載の組成物。
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