JP7355970B1 - 半導体装置及びレーザマーキング方法 - Google Patents

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Abstract

フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置(1)であって、半導体基板(11)と、半導体基板(11)に形成され、外部に露出する金属層(20)とを有し、金属層(20)の露出面には、1つ以上のマークが形成されており、マークは、レーザの輪郭を成す輪郭部(22b)と、輪郭部(22b)の内側に位置する中央部(22a)と、を含み、金属層(20)の露出面を平面視したとき、輪郭部(22b)の色は、金属層(20)の露出面におけるマークが形成されていない部分である素地部(22c)の色又は中央部(22a)の色と異なる。

Description

本開示は、レーザマークが形成された金属層を有する半導体装置、及び、金属層にレーザマークを形成するレーザマーキング方法に関する。
半導体装置の露出面にレーザ光を照射することで文字や数字等のレーザマークを形成するレーザマーキング方法が提案されている(例えば特許文献1)。
この種のレーザマーキング方法として、半導体装置における金属層(電極等)又は半導体基板にレーザ光を照射して金属層又は半導体基板の露出面を部分的に削ることで、文字や数字等のレーザマークを金属層又は半導体基板に印字する技術が知られている。このようにして印字されたレーザマークは、レーザ光の照射によって削られた部分(文字部分)とレーザ光が照射されずに削られなかった部分との凹凸差によるコントラストによって、ユーザに認識させることができる。
この場合、レーザマークを印字する対象物(マーキング対象物)が銅や銀等の比較的に融点が低い金属材料からなる金属層であったりシリコン基板からなる半導体基板であったりすれば、金属層の厚さ又は半導体基板の厚さにかかわらず、レーザ光によってマーキング対象物の表面層を削って凹凸を形成することができる。つまり、認識できるレーザマークをマーキング対象物に印字することができる。
一方、マーキング対象物である金属層がニッケル等の高融点の金属材料で構成されている場合には、レーザ光では金属層が削られにくくなるものの、金属層の厚さが薄ければ、レーザ光によって金属層を削って金属層の下に形成された下地層を露出させることができる。これにより、金属層とその下地層とで表面反射率が異なるので、そのコントラストによって、レーザマークをユーザに認識させることができる。
特開平11-156565号公報
しかしながら、マーキング対象物となる金属層が高融点の金属材料で構成されている場合に、金属層の厚さが厚くなると、レーザ光を照射しても金属層の下に形成された下地層を露出させるまで金属層を削ることができず、認識可能なレーザマークを金属層に形成することができないことがある。
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、レーザ光で削りにくい金属層であっても認識可能なレーザマークを金属層に形成することができるレーザマーキング方法及びそのレーザマークが形成された金属層を有する半導体装置等を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示に係る半導体装置の一態様は、フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、半導体基板と、前記半導体基板に形成され、外部に露出する金属層とを有し、前記金属層の露出面には、1つ以上のマークが形成されており、前記マークは、前記マークの輪郭を成す輪郭部と、前記輪郭部の内側に位置する中央部と、を含み、前記金属層の露出面を平面視したとき、前記輪郭部の色は、前記金属層の露出面における前記マークが形成されていない部分である素地部の色又は前記中央部の色と異なる。
また、本開示に係るレーザマーキング方法の一態様は、金属層の露出面にマークを形成するレーザマーキング方法であって、所定の条件で前記金属層の露出面に連続してレーザ光をパルス照射することで、(i)前記金属層の露出面における前記レーザ光の照射の影響を受けない素地部に比べて前記マークの輪郭を成す輪郭部の酸化の程度を高める第1作用と、(ii)前記金属層の露出面における前記素地部に比べて前記マークにおける前記輪郭部の内側に位置する中央部の酸化の程度を低める第2作用とを並行して生じさせて、前記輪郭部と前記中央部とを含む前記マークを形成する。
レーザ光で削りにくい金属層であっても認識可能なレーザマークを金属層に形成することができる。
実施の形態に係る半導体装置の断面図である。 実施の形態に係る半導体装置の上面図である。 実施の形態に係る半導体装置の背面図である。 実施の形態に係る半導体装置の金属層におけるコードが付された部分の拡大図である。 図4に示されるコードを構成する1つのレーザマークの拡大図である。 図5のVI-VI線に沿って切断したときの断面図である。 実施の形態に係るレーザマーキング方法を説明するための図である。 パルス照射されるレーザ光の1つのレーザ照射スポットごとの第1作用と第2作用とを示す図である。 実施の形態に係るレーザマーキング方法を用いて実際に半導体装置の金属層に形成したレーザマークを示す図である。 図9のレーザマークの一部を拡大して模式的に示す断面図及びその部分の平面像である。 図10のXI-XI線における断面SEM像である。 従来工法Aを説明するための図である。 従来工法Aを用いて金属層の露出面にレーザマークを形成したときの顕微鏡写真及び自動認識画像である。 従来工法Aによって金属層に形成したレーザマークの一部を示す電子顕微鏡像と、そのレーザマーク周辺の金属層における酸素質量濃度をEDX分析により測定した結果を示す図である。 従来工法Bを説明するための図である。 従来工法Bを用いて金属層の露出面にレーザマークを形成したときの顕微鏡写真及び自動認識画像である。 従来工法Bによって金属層に形成したレーザマークの一部を示す電子顕微鏡像と、そのレーザマーク周辺の金属層のEDXマッピングを示す図である。 実施の形態に係るレーザマーキング方法を用いて金属層の露出面にレーザマークを形成したときの顕微鏡写真及び自動認識画像である。 実施の形態に係るレーザマーキング方法によって第2金属層に形成したレーザマークの一部を示す電子顕微鏡像と、そのレーザマーク周辺の第2金属層における酸素質量濃度をEDX分析により測定した結果を示す図である(大気中1ヶ月放置後)。 実施の形態に係るレーザマーキング方法によって第2金属層に形成したレーザマークの一部を示す電子顕微鏡像と、そのレーザマーク周辺の第2金属層における酸素質量濃度をEDX分析により測定した結果を示す図である(大気中6ヶ月放置後)。 金属層の素地部の表面粗さが小さい場合と大きい場合とにおいて、従来工法Aによって形成したレーザマークの一例とそのレーザマークの一部を拡大して示す顕微鏡写真である。 金属層の素地部の表面粗さが小さい場合と大きい場合とにおいて、本工法によって形成したレーザマークの一例とそのレーザマークの一部を拡大して示す顕微鏡写真である。 実施の形態に係るレーザマーキング方法によってレーザマークを印字する際のレーザ光の1印字ライン及び一文字のサイズを説明するための図である。 実施の形態に係るレーザマーキング方法において、隣り合う2つのレーザ照射スポットが連続して複数重なり合った状態を示す図である。 実施の形態に係るレーザマーキング方法において、レーザ照射スポットの半径rと、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔dと、複数のレーザ照射スポットが重なり合う個数nと、図7の角度θとの関係を示す図である。 実施の形態に係るレーザマーキング方法において、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔dと、レーザ光の周波数aと、レーザ光のスキャンスピードbとの関係を示す図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。また、本明細書において、「上」及び「下」という用語は、必ずしも、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではない。
(実施の形態)
[半導体装置]
まず、実施の形態に係る半導体装置1の構成について、図1、図2及び図3を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る半導体装置1の断面図である。図2は、実施の形態に係る半導体装置1の上面図である。図3は、実施の形態に係る半導体装置1の背面図である。なお、図1は、図2のI-I線における断面を示している。
図1に示される半導体装置1は、フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ(Chip Size Package:CSP)型の半導体デバイスである。本実施の形態において、半導体装置1は、2つの縦型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが形成されたDualタイプの半導体デバイスである。この2つの縦型MOSトランジスタは、パワートランジスタであり、いわゆるトレンチMOS型FET(Field Effect Transistor)である。
図1及び図2に示すように、半導体装置1は、半導体層10と、半導体層10に積層された金属層20とを備える。
半導体層10は、半導体材料によって構成された半導体素子である。具体的には、半導体層10は、半導体基板11と、半導体基板11の上方に形成された低濃度不純物層12とを含む。
半導体基板11は、例えば、シリコンからなるシリコン基板である。具体的には、半導体基板11は、第1導電型の不純物を含むシリコン基板である。なお、半導体基板11は、シリコン基板に限るものではない。
低濃度不純物層12は、半導体基板11の上面に形成されている。低濃度不純物層12は、半導体基板11の第1導電型の不純物の濃度よりも低い濃度の第1導電型の不純物を含む。低濃度不純物層12は、例えば、エピタキシャル成長により形成される。
半導体層10の上には、絶縁膜として酸化膜30が形成されている。具体的には、酸化膜30は、低濃度不純物層12の上に形成されている。また、酸化膜30の上には、ポリイミド等の樹脂材料からなる保護層40が形成されている。
金属層20は、半導体層10に形成されている。具体的には、金属層20は、半導体基板11に形成されている。本実施の形態において、金属層20は、裏面電極であり、半導体基板11の下面(裏面)に形成されている。
金属層20は、複数の金属層によって構成されている。本実施の形態において、金属層20は、第1金属層21と第2金属層22との2層構造である。したがって、半導体基板11には、第1金属層21及び第2金属層22が形成されている。
第1金属層21は、半導体基板11側に位置し、第2金属層22は、半導体基板11側とは反対側に位置している。つまり、半導体基板11の下面に第1金属層21が形成され、第1金属層21の下面に第2金属層22が形成されている。本実施の形態では、第2金属層22が金属層20の最表面層(最外層)であるので、金属層20の下面は、第2金属層22の下面となる。
また、金属層20は外部に露出している。具体的には、金属層20の下面が外部に露出する露出面である。本実施の形態では、第2金属層22が金属層20の最外層であるので、第2金属層22が外部に露出している。したがって、第2金属層22の下面が外部に露出する露出面になっている。なお、第1金属層21の側面及び第2金属層22の側面も金属層20の露出面の一部である。
第1金属層21は、半導体基板11の下面に形成されている。第1金属層21を構成する金属材料は、例えば、銀又は銅である。第1金属層21の厚さは、一例として、30μm以上60μm以下である。なお、第1金属層21を構成する金属材料は、銀又は銅に限るものではない。
第2金属層22は、第1金属層21の上に形成されている。つまり、第1金属層21は、第2金属層22の下に形成される下地層である。第2金属層22を構成する金属材料の融点は、第1金属層21を構成する金属材料の融点よりも高い。また、第2金属層22を構成する金属材料のヤング率は、第1金属層21を構成する金属材料のヤング率よりも高い。第2金属層22を構成する金属材料は、例えば、ニッケルである。第2金属層22の厚さは、一例として、2μm以上である。本実施の形態において、第2金属層22の厚さは、10μm以上35μm以下である。なお、第2金属層22の厚さは、第1金属層21の厚さよりも薄くなっているが、これに限るものではない。また、第2金属層22を構成する金属材料は、ニッケルに限るものではない。
本実施の形態において、第1金属層21及び第2金属層22は、いずれもメッキ法により形成されたメッキ膜である。ただし、第1金属層21及び第2金属層22は、メッキ膜に限るものではない。この場合、第1金属層21及び第2金属層22は、蒸着法により形成された蒸着膜であってもよいし、スパッタ法により形成されたスパッタ膜であってもよい。また、第2金属層22がメッキ膜である場合、第2金属層22が蒸着膜である場合に比べて、第2金属層22の露出面が平滑ではなくなることが多い。なお、第1金属層21及び第2金属層22には、主成分となる金属材料以外の金属材料等が含まれていてもよい。例えば、第1金属層21及び第2金属層22には、製造工程中に混入する不純物が微量に含まれていてもよい。
図1に示すように、半導体装置1には、第1縦型MOSトランジスタ50aと、第2縦型MOSトランジスタ50bとの2つのトランジスタが形成されている。図2に示すように、第1縦型MOSトランジスタ50aは、第1領域A1に形成され、第2縦型MOSトランジスタ50bは、第2領域A2に形成されている。第1領域A1及び第2領域A2は、半導体装置1の上面視において、互いに隣接し、かつ、半導体装置1を二等分する一方と他方である。
低濃度不純物層12における第1領域A1には、第1縦型MOSトランジスタ50aにおける第1ボディ領域12aが形成されている。第1ボディ領域12aは、第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含む。
また、低濃度不純物層12における第2領域A2には、第2縦型MOSトランジスタ50bにおける第2ボディ領域12bが形成されている。第2ボディ領域12bは、第2導電型の不純物を含む。つまり、第1ボディ領域12a及び第2ボディ領域12bは、いずれも第2導電型の不純物を含む。
第1縦型MOSトランジスタ50aは、第1ゲート電極(第1ゲート導体)51aと、第1ゲート絶縁膜52aと、第1ソース電極53aとを有する。
第1ゲート電極51aは、第1ボディ領域12aに形成されている。第1ゲート電極51aは、図2に示される第1ゲートパッド54aと電気的に接続されている。また、第1ボディ領域12aには、さらに、第1ゲート絶縁膜52aと、第1導電型の不純物を含む第1ソース領域55aとが形成されている。
第1ソース電極53aは、酸化膜30に形成された開口部を介して第1ボディ領域12aに接触している。第1ソース電極53aは、例えば、アルミニウム、銅、金及び銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されている。
第1ソース電極53aの上には、第1ソースパッド56aが形成されている。第1ソースパッド56aは、第1ソース電極53aを介して第1ソース領域55a及び第1ボディ領域12aに接続されている。第1ソースパッド56aは、保護層40の開口部から露出している。図2に示すように、本実施の形態において、第1ソースパッド56aは、複数(図2では6つ)形成されている。
第1ソースパッド56aは、半導体装置1をフェイスダウン実装により実装基板に実装する際に、半田等の接合材を介して実装基板に接合される。例えば、第1ソースパッド56aは、フェイスダウン実装におけるリフロー時に半田等の接合材に接合される。一例として、第1ソースパッド56aは、ニッケル、チタン、タングステン、銅、及びパラジウムのうちのいずれか1つ以上を含む金属材料によって構成されている。なお、第1ソースパッド56aの上面には、金等のメッキ膜が形成されていてもよい。また、第1ソースパッド56aの上面又は上面に形成されたメッキ膜には、半田バンプ又は半田ボールが接続されていてもよい。また、本実施の形態では、フェイスダウン実装で半導体装置1を実装したが、フェイスアップ実装で半導体装置1を実装してもよい。例えば、半導体装置1を回路基板等内に実装する基板内蔵部品として使用する場合、回路基板内で下方のビアと第1ソースパッド56a等を接続する場合はフェイスダウン実装とし、回路基板内で上部のビアと第1ソースパッド56a等を接続する場合はフェイスアップ実装とすることができる。なお、フェイスダウン実装であってもフェイスアップ実装であっても、半導体装置1の裏面(背面)は、後述するレーザマーク61が形成されたマーク面である。
第2縦型MOSトランジスタ50bは、基本的には第1縦型MOSトランジスタ50aと同じ構造になっている。具体的には、第2縦型MOSトランジスタ50bは、第2ゲート電極(第2ゲート導体)51bと、第2ゲート絶縁膜52bと、第2ソース電極53bとを有する。
第2ゲート電極51bは、第2ボディ領域12bに形成されている。第2ゲート電極51bは、図2に示される第2ゲートパッド54bと電気的に接続されている。また、第2ボディ領域12bには、さらに、第2ゲート絶縁膜52bと、第1導電型の不純物を含む第2ソース領域55bとが形成されている。
第2ソース電極53bは、酸化膜30に形成された開口部を介して第2ボディ領域12bに接触している。第2ソース電極53bは、第1ソース電極53aと同じ金属材料で構成されている。
第2ソース電極53bの上には、第2ソースパッド56bが形成されている。第2ソースパッド56bは、第2ソース電極53bを介して第2ソース領域55b及び第2ボディ領域12bに接続されている。第2ソースパッド56bは、保護層40の開口部から露出している。図2に示すように、本実施の形態において、第2ソースパッド56bは、複数(図2では6つ)形成されている。
第2ソースパッド56bは、第1ソースパッド56aと同様に、半導体装置1をフェイスダウン実装する際に、半田等の接合材を介して実装基板に接合される。第2ソースパッド56bは、第1ソースパッド56aと同じ金属材料によって構成されている。なお、第2ソースパッド56bの上面には、金等のメッキ膜が形成されていてもよい。また、第2ソースパッド56bの上面又は上面に形成されたメッキ膜には、半田バンプ又は半田ボールが接続されていてもよい。また、上記同様に、半導体装置1をフェイスアップ実装で実装してもよい。例えば、半導体装置1を回路基板等内に実装する基板内蔵部品として使用する場合、回路基板内で下方のビアと第2ソースパッド56b等を接続する場合はフェイスダウン実装とし、回路基板内で上部のビアと第2ソースパッド56b等を接続する場合はフェイスアップ実装とすることができ、いずれの場合も半導体装置1の裏面(背面)はマーク面である。
このように形成された第1縦型MOSトランジスタ50a及び第2縦型MOSトランジスタ50bでは、第1縦型MOSトランジスタ50aの第1ドレイン領域が半導体基板11及び低濃度不純物層12であり、第2縦型MOSトランジスタ50bの第2ドレイン領域が半導体基板11及び低濃度不純物層12である。つまり、1つの半導体装置1に形成された第1縦型MOSトランジスタ50a及び第2縦型MOSトランジスタ50bについては、ドレイン領域が共通化されており、半導体装置1における半導体基板11と低濃度不純物層12は、第1縦型MOSトランジスタ50a及び第2縦型MOSトランジスタ50bの共通のドレイン領域として機能している。
また、本実施の形態のように、半導体装置1が2つの縦型MOSトランジスタを有するDualタイプの半導体デバイスである場合、双方向通電用の電流は、金属層20を経由することになる。したがって、金属層20の厚さは、厚い方がよい。金属層20の厚さを厚くすることで、オン抵抗を低くすることができる。また、オン抵抗をより低くするには、半導体基板11を薄くし、金属層20を厚くするとよいが、このようにすると、半導体装置1に反りが生じるおそれがある。そこで、この反りを抑制するために、金属層20のうちニッケル層である第2金属層22の厚さを厚くするとよい。なお、オン抵抗を低くし且つ半導体装置1の反りを抑制するとの観点では、第2金属層22の厚さは、2μm以上であるとよい。
図3に示すように、半導体装置1の裏面(背面)には、コード60が付されている。本実施の形態において、コード60は、金属層20の露出面である金属層20の下面に付されている。具体的には、コード60は、第2金属層22の露出面である第2金属層22の下面に付されている。
コード60は、例えば、半導体装置1の個体識別用の識別コードである。本実施の形態において、コード60は、英字(英語アルファベット)等の言語を構成する文字、アラビア数字やローマ数字等の数字、丸や四角等の図形をはじめとして種々の記号が複数個組み合わさることで構成されている。図3に示されるコード60は、「U920」という1つの英字及び3つの数字からなる文字列と、「M12」という1つの英字及び2つの数字からなる文字列と、「〇」の図形とで構成されている。より具体的には、「U920」の文字列と「M12」の文字列とが2段で配置され、「M12」の文字列の左下端に「〇」の図形が配置されている。なお、「〇」は、製品仕様書に記載される1番ピンのある位置を表す円形痕(ピンマーク)を示している。
コード60を構成する1つ1つの文字又は数字等は、レーザマーク61によって構成されている。つまり、1つのレーザマーク61は、1つの文字、1つの数字又は1つの図形等に対応しており、コード60は、1つ又は複数のレーザマーク61によって構成されている。したがって、金属層20の露出面(本実施の形態では第2金属層22の露出面)には、1つ以上のレーザマーク61が形成されている。
なお、レーザマーク61は、文字、数字、図形に限るものではなく、模様、図柄、符号等のその他の記号であってもよい。本明細書において、文字、数字、図形、模様、図柄、符号等の記号は、まとめて文字類と記載する。このように、レーザマーク61は、文字類によって構成された文字状の構造物である。
レーザマーク61は、コード60を構成する1つの文字類を示すマークの一例である。本実施の形態において、レーザマーク61は、レーザ光によって形成された文字類を示すマークである。レーザマーク61は、レーザ光によって金属層20の露出面に形成されている。具体的には、レーザマーク61は、レーザマーク61が印字される対象物(マーキング対象物)である金属層20の露出面にレーザ光を照射することで、金属層20の露出面に印字される。
ここで、レーザマーク61の詳細について、図4~図6を用いて説明する。図4は、半導体装置1の金属層20におけるコード60が付された部分の拡大図である。図5は、図4に示されるコード60における「M」を示すレーザマーク61の拡大図である。図6は、図5のVI-VI線の断面図である。
レーザマーク61は、金属層20の露出面の一部をレーザ光で加工することによって形成される。本実施の形態において、レーザマーク61は、第2金属層22の露出面の一部が加工されたものである。所定の文字類のレーザマーク61を第2金属層22の露出面に形成する場合、第2金属層22に照射したレーザ光を所定の文字類を描くようにスキャンすることで、所定の文字類のレーザマーク61を第2金属層22の露出面に形成することができる。
図4~図6に示すように、レーザマーク61は、当該レーザマーク61の内部を成す中央部22aと、当該レーザマーク61の輪郭を成す輪郭部22bとを含む。第2金属層22において、中央部22a及び輪郭部22bは、レーザマーク61が表す文字類として認識される文字部分である。レーザマーク61を構成する中央部22a及び輪郭部22bは、いずれもレーザ光により第2金属層22が加工された部分である。中央部22a及び輪郭部22bは、レーザマーク61を形成する際のレーザ光のスキャン方向に延在するように直線及び/又は曲線等の線状に形成される。詳細は後述するが、中央部22aは、レーザ光が照射された部分(レーザ照射スポット)そのものの領域に対応し、輪郭部22bは、レーザ光が照射された部分(レーザ照射スポット)の周辺領域に対応している。
図5及び図6に示すように、第2金属層22の平面視及び断面視において、中央部22aは、輪郭部22bの内側に位置している。具体的には、中央部22aは、レーザ光のスキャン方向と直交する方向において、輪郭部22bの内側に位置している。
また、第2金属層22の平面視及び断面視において、輪郭部22bは、中央部22aの両側に位置している。具体的には、輪郭部22bは、レーザ光のスキャン方向と直交する方向において、中央部22aの外側に位置している。輪郭部22bは、中央部22aの両側を縁取るように形成されている。したがって、中央部22aは、一対の輪郭部22bで挟まれている。
なお、第2金属層22の露出面におけるレーザマーク61が形成されていない部分は、第2金属層22の素地部22cである。つまり、素地部22cは、第2金属層22の露出面におけるレーザ光によって加工されなかった部分である。素地部22cは、第2金属層22の露出面のうちレーザマーキングされない背景部分である。
そして、第2金属層22の露出面を平面視したときに、輪郭部22bの色は、中央部22aの色又は素地部22cの色と異なっている。本実施の形態において、輪郭部22bの色は、中央部22a及び素地部22cのいずれの色とも異なっている。
中央部22aの色と素地部22cの色とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施の形態において、中央部22aの色は、素地部22cの色と異なっているが、輪郭部22bの色よりも素地部22cの色に近い。具体的には、中央部22aの色と素地部22cの色とは、同程度の色又は同系色である。つまり、本実施の形態におけるレーザマーク61については、中央部22aと素地部22cとが同程度の色又は同系色であるが、輪郭部22bの色は、中央部22aの色及び素地部22cの色と異なっている。
なお、輪郭部22bにおける第2金属層22の表面の組成は、素地部22cにおける第2金属層22の表面の組成及び/又は中央部22aにおける第2金属層22の表面の組成と異なっている。本実施の形態において、輪郭部22bにおける第2金属層22の表面の組成は、素地部22cにおける第2金属層22の表面の組成及び中央部22aにおける第2金属層22の表面の組成のいずれとも異なっている。なお、第2金属層22の表面の組成とは、第2金属層22の表面における元素の種類と割合のことである。第2金属層22では、第2金属層22を構成する金属と酸素が主要な元素になる。
第2金属層22を構成する金属がニッケル(Ni)である場合、レーザ光が照射することでニッケルが酸化して黒くなる。このため、レーザ光の照射によって第2金属層22が酸化して組成が変化することで、輪郭部22bの色は、素地部22c及び中央部22aと比較して黒く変化する。つまり、第2金属層22の一部が黒化して(酸化して)輪郭部22bとなる。なお、酸化による金属の色の変化は、酸化の程度(酸素含有量)により決まるので、色の変化の程度も、輪郭部≫素地部≒中央部の関係になる。
このように、レーザマーク61を第2金属層22に形成する際、レーザ光を照射することで第2金属層22が酸化して組成が変化するので、第2金属層22における酸素含有量が部分的に変化する。具体的には、輪郭部22bにおける第2金属層22の表面の酸素含有量は、中央部22aにおける第2金属層22の表面の酸素含有量よりも大きくなっている。また、輪郭部22bにおける第2金属層22の表面の酸素含有量は、素地部22cにおける第2金属層22の表面の酸素含有量よりも大きくなっている。本実施の形態では、第2金属層22の表面の酸素含有量は、輪郭部22bにおいて最大になっている。
具体的には、輪郭部22bにおける第2金属層22の表面の酸素含有量をAとし、素地部22cにおける第2金属層22の表面の酸素含有量をBとし、中央部22aにおける第2金属層22の表面の酸素含有量をCとすると、A>B≧Cの関係を満たしている。酸素含有量は、例えば、酸素質量濃度[%]によって表すことができる。
このような第2金属層22における酸素含有量の変化は、第2金属層22の酸化作用によるものである。この場合、第2金属層22が酸化することで第2金属層22の光吸収係数が変化し、この結果、酸化の程度により第2金属層22の色が部分的に異なって見える。
なお、本実施の形態では、第2金属層22を構成する金属をニッケルとしたが、これに限らない。例えば、第2金属層22を構成する金属は、マグネシウム、アルミニウム、クロム又は銅等であってもよい。第2金属層22を構成する金属がマグネシウム又はアルミニウムである場合は、酸化により形成される輪郭部22bは白色になる。また、第2金属層22を構成する金属がクロムである場合は、クロムの酸化の状態によって第2金属層22の色が変化する。
[レーザマーキング方法]
次に、金属層20の露出面にレーザマーク61を形成するレーザマーキング方法について、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態に係るレーザマーキング方法を説明するための図である。なお、本実施の形態では、金属層20における第2金属層22の露出面にレーザマーク61を形成している。
本実施の形態に係るレーザマーキング方法では、パルスレーザを用いて第2金属層22の露出面に所定の条件でレーザ光をパルス照射することで、第2金属層22の露出面に所定の文字類のレーザマーク61を印字している。
図7の(a)は、第2金属層22の露出面に、パルスの1ショット目のレーザ光を照射した状態を示している。図7の(b)は、そのレーザ光をパルス照射してスキャンしたときの様子を示している。図7の(b)に示すように、第2金属層22の露出面に連続してレーザ光をパルス照射している。これにより、第2金属層22の露出面に、中央部22a及び輪郭部22bで構成されたレーザマーク61を印字することができる。
本実施の形態では、所定の条件で第2金属層22の露出面にレーザ光をパルス照射することで、第2金属層22の露出面に第1作用と第2作用とを並行して生じさせている。
第1作用は、レーザ光が照射された領域(半径rの円形のレーザ照射スポット)とその周辺領域とにおける第2金属層22の露出面を物理的加工することなく化学的加工する作用である。本実施の形態において、第2金属層22に施される化学的加工は、酸化である。つまり、第2金属層22の露出面にレーザ光を照射することで、レーザ光が照射された半径rの円形の領域とその円形の領域の周辺領域である半径rから+Δrまでの円環状の領域とが酸化される。これにより、レーザ光が照射された領域とその周辺領域とにおいては、第2金属層22の色が変化して酸化領域になる。例えば、第2金属層22がニッケルの場合、レーザ光を照射することで第2金属層22が酸化して黒化する。このレーザ光が照射された領域とその周辺領域とは、それぞれレーザマーク61における中央部22aと輪郭部22bとに対応することになる。つまり、中央部22aと輪郭部22bとで構成されるレーザマーク61の文字部分は、第1作用により酸化領域となって素地部22cとは異なる色になる。
なお、第2金属層22の露出面における素地部22cは、レーザ光の照射の影響を受けない部分であるので、レーザ光によっては酸化されない。ただし、素地部22cは、自然酸化によって酸化する可能性がある。
このように、第1作用は、第2金属層22の露出面における素地部22cに比べて中央部22a及び輪郭部22bの酸化の程度を高める作用である。
一方、第2作用は、中央部22aに対応するレーザ光が照射された領域のみについて、酸化の程度を低める作用である。具体的には、第2作用は、第1作用によって第2金属層22が酸化した酸化領域のうちレーザ光が照射された領域のみをレーザ光によって削る作用である。つまり、第2作用は、第2金属層22の酸化領域のうちレーザ光が照射された領域のみを物理的加工する作用である。この第2作用によって、第2金属層22の酸化領域のうちレーザ光が照射された部分のみが削られて除去されることになる。酸化領域が削られることで、酸化領域の下層に存在する第2金属層22の酸化されていない層が露出する。
このように、第2作用は、第2金属層22の露出面における素地部22cに比べて中央部22aの酸化の程度を低める作用である。具体的には、第2作用は、第2金属層22の酸化領域を削る作用である。
そして、本実施の形態におけるレーザマーキング方法では、第2金属層22の露出面に対して第1作用と第2作用とが並行して生じるようにレーザ光の照射条件を制御している。この結果、レーザ光が照射された領域(半径rの円形のレーザ照射スポット)は、酸化領域となった直後に削られて、レーザマーク61の中央部22aになる。一方、レーザ光が照射された領域の周辺領域(半径rから+Δrまでの円環状の領域)は、削られずに酸化領域のまま残り、レーザマーク61の輪郭部22bになる。つまり、中央部22aは、物理的加工により形成された領域であり、輪郭部22bは、ほぼ物理的加工されることなく化学的加工による変化のみが生じて形成された領域である。このように、レーザ光の照射条件を調整することで、1回のレーザ光の照射によって中央部22a及び輪郭部22bを並行して同時に形成することができる。
本実施の形態におけるレーザマーキング方法では、図7の(b)に示すように、パルス状のレーザ光をスキャンすることで、所定の文字類のレーザマーク61を描画している。この場合、レーザ光のパルス照射によって、半径rの円形のレーザ照射スポットが間隔dで順次連なっていく。つまり、連なった複数のレーザ照射スポットは、隣り合う2つのレーザ照射スポット同士が互いに重なるようになっている。
これにより、レーザマーク61における中央部22aは、第2金属層22の露出面におけるレーザ光のレーザ照射スポットによって、レーザ照射スポットごとに第1作用による酸化領域が第2作用により連続して削られていくことで形成される。この結果、所定の文字類で印字されたレーザマーク61の中央部22aは、蛇腹状に形成される。つまり、中央部22aには、蛇腹状の痕跡が残ることになる。なお、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔dは、2つのレーザ照射スポットの中心同士を結ぶ直線(中心線)における蛇腹の距離を複数測定し、その平均値を求めることで算出することができる。
一方、レーザマーク61における輪郭部22bは、第2金属層22の露出面におけるレーザ光のレーザ照射スポットの周辺領域における第1作用による酸化領域を複数回重ねることで形成される。
このように形成される中央部22a及び輪郭部22bについて、図8を用いて詳細に説明する。図8は、パルス照射されるレーザ光の1つのレーザ照射スポットごと(1ショットごと)の第1作用と第2作用とを示す図である。図8の(a)は、連続する4つのレーザ光を示しており、図8の(b)は、連続する2つのレーザ光を示している。なお、図8の(a)において、黒丸は、連続するレーザ照射スポットの中心同士を結ぶ直線(中心線)において、1つのレーザ照射スポットのレーザ光により酸化される領域を示しており、白丸は、その中心線において、1つのレーザ照射スポットのレーザ光により削られる領域を示している。また、図8の(b)において、「d」は、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔を示しており、「r」は、レーザ光が照射された領域でのレーザ光の照射スポット(レーザ照射スポット)の半径を示しており、「Δr」は、レーザ光が照射された領域の周辺領域の範囲を示しており、「θ」は、レーザ照射スポットの中心と隣り合う2つのレーザ照射スポットの交点とを結ぶ直線と、隣り合う2つのレーザ照射スポットの中心同士を結ぶ中心線とのなす角を示している。
図8の(a)及び(b)に示すように、中央部22aに対応する第2金属層22の露出面では、物理的加工によって削られた後、その削られた領域は、次のレーザ照射スポットによりr+Δrの範囲が後追いするので再度酸化されるものの、輪郭部の22bが酸化される程度よりは抑えられる。このため、中央部22aは、輪郭部22bに対して高い輝度が得られる。また、中央部22aでは、再度酸化しても、その酸化領域は、酸化した直後にレーザ光によって削り取られる。
一方、輪郭部22bに対応する第2金属層22の露出面では、半径rから+Δrまでの円環状の範囲がレーザ照射スポットの中心から離れていて照射強度が小さいため、化学的加工(具体的には熱的作用)によって酸化のみが生じる。したがって、輪郭部22bに対応する第2金属層22の露出面では、レーザ照射スポットごとに酸化された領域が重複しながら連続して繰り返されることになる。この結果、第2金属層22がニッケルの場合、輪郭部22bは、重なっていくことで黒味が増していくことになる。これにより、輪郭部22bの色が濃くなるので、レーザマーク61の視認性を高めることができる。
なお、中央部22aでは、第2金属層22の露出面をレーザ光によって半径rの範囲で薄く削り取ることで形成されるので、第2金属層22の表面の自然酸化部分は、レーザ光によって除去される。このため、中央部22aの酸化の程度は、輪郭部22bの酸化の程度よりも一旦低くなる。また、第2金属層22において酸化領域の層の厚さは、後述するように、第2金属層22の露出面からおよそ100nm以下の深さの極薄い厚さであるので、第2金属層22において酸化領域は、レーザ光により簡単に除去される。このため、第2金属層22における酸化の程度は、レーザマーク61の形成直後は、一旦、輪郭部22bの酸化の程度≫素地部22cの酸化の程度(自然酸化)≧中央部22aの酸化の程度、という関係となるが、長時間経過すれば、輪郭部22bの酸化の程度≫素地部22cの酸化の程度(自然酸化)≒中央部22aの酸化の程度(自然酸化)、という関係に至ることになる。
このように、本実施の形態におけるレーザマーキング方法によれば、レーザマーク61における中央部22a及び輪郭部22bは、レーザ光のスキャン方向に沿ってレーザ照射スポットが連続して重なって形成されたものである。
ここで、レーザマーク61の視認性を確保するためには、中央部22aの幅はある程度の大きさで確保することが望ましい。このためには、半径r+Δrの円形領域のうち中央部22a(半径rの円形のレーザ照射スポット)の幅についてはできるだけ大きくするとともに酸化作用の重なりで黒化していく輪郭部22bについてはなるべく外側に寄せることが望ましい。つまり、中央部22aの幅(r)は、輪郭部22bの幅(Δr)よりも大きくてもよい。
このため、半径rから+Δrまでの円環状の領域においては、レーザ照射スポットが隣接して重複する部分の最低点(つまり隣り合う2つのレーザ照射スポットの交点)を、中心線から一定程度離して上部又は下部に寄せるとよい(図8の(b)参照)。この場合、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔dが広すぎると、最低点が中心線に近づいてしまうため、間隔dはある程度狭くする方がよい。間隔dは、レーザ光のスキャンスピード[mm/s]とパルスの周波数[kHz]とを適宜設定することで制御することができる。なお、1つのレーザ照射スポットの半径rとその周辺領域(半径rから+Δrの領域)とについては、レーザ光の照射強度及びレーザ光の焦点距離等の条件を調整することで制御できる。
また、隣り合う2つのレーザ照射スポットの交点は、d/2の位置になる。したがって、図8の(b)に示すように、半径rの円形のレーザ照射スポットの中心と隣り合う2つのレーザ照射スポットの交点とを結ぶ直線と、隣り合う2つのレーザ照射スポットの中心同士を結ぶ中心線とのなす角をθとすると、半径rと間隔dと角度θとは、以下の関係式が成立する。
d=2r・cosθ
このとき、角度θは、66°≦θ≦87°であるとよい。つまり、角度θの下限(つまり間隔dの上限)は66°であり、角度θの上限(つまり間隔dの下限)は87°であるとよい。
θ<66°になると、輪郭部22bが最小でもレーザ照射スポットの半径rの10%分だけ中心線に近づくため、中央部22aの幅が狭くなってしまい、輪郭部22bと中央部22aとの差異が不明瞭になってレーザマーク61の視認性が低下するおそれがある。
一方、θ>87°になると、輪郭部22bと中央部22aとの差異が不明瞭にならないものの、レーザ光のスキャンスピードを大きく低下させることになるか、レーザ光のパルスの周波数を過剰に大きくしなければならなくなる。スキャンスピードを大きく低下させると、レーザマーク61を形成する時間が長くなってしまう。また、周波数を過剰に大きくすると、レーザ光がパワー不足となって1つのレーザ照射スポットでは第2金属層22が酸化しにくくなり、輪郭部22bの黒化が低下し(つまり黒味が増さなくなる)、レーザマーク61の視認性がかえって低下するおそれがある。
本実施の形態において、角度θは、θ=81°程度にしている。θ=81°にすることで、中央部22aの幅の減少を上下で半径rの2%分に収めることができる。これにより、レーザマーク61を形成する時間が長くなることを抑制しつつ、中央部22aの幅を確保してレーザマーク61の視認性を容易に得ることができる。
図9は、実施の形態に係るレーザマーキング方法を用いて実際に半導体装置1の金属層20に形成したレーザマーク61を示している。レーザ光によるマーキング対象物は、銀からなる第1金属層21とニッケルからなる第2金属層22との2層構造の金属層20における第2金属層22の露出面である。レーザ光のレーザ照射スポットの半径rは10μmであり、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔dは3μmであり、酸化領域(輪郭部22b)の幅(Δr)は15μmである。なお、中央部22aを挟む一対の輪郭部22bの幅(Δr)は、互いに同じであるが、異なっていてもよい。
図9の外観写真に示すように、中央部22a及び輪郭部22bからなるレーザマーク61が形成されていることが分かる。
また、図10は、図9のレーザマーク61の一部を拡大して模式的に示す断面図及びその部分の平面像である。図10の平面光学顕微鏡像及び平面SEM像に示すように、レーザマーク61には、蛇腹状の痕跡が残った中央部22aと輪郭部22bとが明確に形成されていることが分かる。具体的には、平面光学顕微鏡像では、輪郭部22bとして、酸化の程度が大きい酸化領域を確認することができる。ただし、輪郭部22bのみが酸化されているわけではない。また、平面SEM像では、酸化領域が不明瞭ではあるものの、中央部22aが蛇腹状に形成されていることが確認できる。なお、レーザ照射スポットの半径(r)及び輪郭部22bの酸化領域(Δr)の測定には、平面光学顕微鏡像を用いることが望ましい。また、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔の測定には、平面SEM像を用いることが望ましい。また、中央部22aと輪郭部22bとの境界については、中央部22aとは蛇腹状の間隔を持つ領域であると捉えて、この蛇腹状の間隔がゼロになって蛇腹同士が接続するところをもって輪郭部22bになったと考えることができる。
図11は、図10のXI-XI線における断面SEM像を示している。また、図11では、ニッケルからなる第2金属層22の酸素(O)及びニッケル(Ni)の濃度プロファイルをEDX分析によって測定した結果を示している。
図11の濃度プロファイルに示すように、第2金属層22の最表面から100nmまでの深さの領域には、酸化層が形成されていることが分かる。つまり、酸化領域である輪郭部22bの厚さは、100μm以下である。
次に、本実施の形態におけるレーザマーキング方法(以下、「本工法」とも記載する)について、従来工法A及び従来工法Bの2つの従来のレーザマーキング方法と比較して説明する。
図12は、従来工法Aを説明するための図である。図12では、半導体装置における銀からなる金属層20Xの露出面にレーザマークを形成している。
図12に示すように、従来工法Aでは、半導体装置における金属層20Xにレーザ光をパルス照射することで、銀からなる金属層20Xの表面層を部分的に削っている。従来工法Aにより印字されたレーザマークは、レーザ光の照射により削られた部分(文字部分)とレーザ光が照射されずに削られなかった部分との凹凸差によるコントラストによって、ユーザに認識される。
図13は、実際に従来工法Aを用いて銀からなる金属層20Xの露出面にレーザマークを形成したときの顕微鏡写真及び自動外観検査カメラ画像を示している。図13に示すように、従来工法Aにより形成されたレーザマークを認識することができる。
このとき、銀からなる金属層20Xの厚みを3μmとし、レーザ光のレーザパワーを22%とし、レーザ光の周波数を40kHzとし、レーザ光のスキャンスピードを400mm/sとし、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔dを10μmとした。この場合、レーザ照射スポット1つあたりのエネルギーの大きさを表す目安として、レーザパワー[%]/周波数[kHz]の値を用いると、その値は、小さいものであり、0.55であった。なお、レーザパワーとは、最大出力を100%としたときの割合のことである。
図14は、従来工法Aによって金属層20Xに形成したレーザマークの一部を示す電子顕微鏡像と、そのレーザマーク周辺の金属層20Xにおける酸素質量濃度をEDX分析により測定した結果を示している。図14のEDX分析の結果に示すように、従来工法Aでは、金属層20Xの露出面には酸化領域が形成されていない。つまり、金属層20Xにおけるレーザ加工部と素地部とにおいて酸素含有量が変化していない。また、レーザ加工後に金属層20Xの露出面が自然酸化したとしても、金属層20Xの露出面の全面が一様に自然酸化することにとどまり、色の差は生じない。つまり、従来工法Aでは、本工法により形成される輪郭部22bに相当する高酸素濃度領域(色変化領域)が存在しない。
このような従来工法Aは、レーザマークを形成するマーキング対象物である金属層20Xが銀等の比較的に融点が低い金属材料によって構成されている場合、金属層20Xの厚さにかかわらず、レーザ光によって金属層20Xの表面層を削って凹凸を形成することができる。
ただし、マーキング対象物である金属層20Xがニッケル等の高融点の金属材料で構成されている場合、レーザ光のパワー不足により金属層20Xに物理的加工を施すことが難しくなる。つまり、レーザ光によって金属層20Xが削られにくくなる。また、仮に高融点の金属材料で構成された金属層20Xに物理的加工を施すことができたとしても、その加工によって生じる金属層20Xの露出面の凹凸が金属層20Xの表面粗さに埋もれてしまうことがある。つまり、金属層20Xの露出面に凹凸を形成できたとしても、その凹凸差が小さいため、凹凸差によるコントラストではレーザマークが見えにくく、所定の文字類のレーザマークとして認識することが難しい。このように、従来工法Aでは、認識できるレーザマークを形成することが難しくなる。
図15は、従来工法Bを説明するための図である。図15では、銀からなる第1金属層21とニッケルからなる第2金属層22Yとの2層構造の金属層20Yの露出面にレーザ光をパルス照射することでレーザマークを形成している。具体的には、ニッケルからなる第2金属層22Yの露出面にレーザマークを形成している。
図15に示すように、第2金属層22Yが高融点のニッケルによって構成されていても、最表面層となる第2金属層22Yの厚さが薄ければ(例えば0.5μm未満の厚さ)、レーザ光によって第2金属層22Yを削り取って第2金属層22Yの下に形成された下地層である第1金属層21を露出させることができる。これにより、第2金属層22Yと第1金属層21とで表面反射率が異なるので、レーザマークは、そのコントラストによって認識される。
図16は、実際に従来工法Bを用いて金属層20Yの露出面にレーザマークを形成したときの顕微鏡写真及び自動外観検査カメラ画像を示している。図16に示すように、従来工法Bにより形成されたレーザマークを認識することができる。なお、第2金属層22Yが削り取られたレーザマークの文字部分は、銀からなる第1金属層21の表面、又は、銀とニッケルとの合金層の表面である。
このとき、銀からなる第1金属層21の厚みを10μmとし、ニッケルからなる第2金属層22Yの厚みを0.4μmとし、レーザ光のレーザパワーを45%とし、レーザ光の周波数を100kHzとし、レーザ光のスキャンスピードを600mm/sとし、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔dを6μmとした。この場合、レーザ照射スポット1つあたりのエネルギーの大きさの目安として、従来工法Aと同様にしてレーザパワー[%]/周波数[kHz]の値を用いると、その値は、小さいものであり、0.45であった。
図17は、従来工法Bによって金属層20Yに形成したレーザマークの一部を示す電子顕微鏡像と、そのレーザマーク周辺(加工部周辺)の金属層20Yの銀及びニッケルのEDXマッピングを示している。銀のEDXマッピングに示すように、レーザ加工部からはAgが多く検出されている。これは、第2金属層22Yの下地層である第1金属層21が露出して第1金属層21の主成分である銀そのものが露出したか、あるいは、第1金属層21を構成する銀が合金化したからであると考えられる。また、ニッケルのEDXマッピングに示すように、第2金属層22Yの全面でニッケルが検出されている。
このような従来工法Bは、マーキング対象物となる第2金属層22Yが高融点の金属材料で構成されていても、第2金属層22Yの厚さが薄ければ、レーザ光によって第2金属層22Yを部分的に除去して第2金属層22Yの下に形成された第1金属層21を露出させることができる。
ただし、第2金属層22Yの厚さが厚いと、レーザ光を照射しても第1金属層21を露出させるまで第2金属層22Yを削ることができず、認識可能なレーザマークを金属層20Yに形成することができないことがある。例えば、第2金属層22Yがニッケルである場合、第2金属層22Yの厚さが2μm以上になると、レーザ光を照射しても下地層である第1金属層21を露出させることができなくなる。
これに対して、本実施の形態におけるレーザマーキング方法(本工法)では、レーザマーキング対象物である第2金属層22が厚くて下地層である第1金属層21を露出させることができなくても、第2金属層22が高融点の金属材料によって構成されていてレーザ光では削りにくいものであっても、上記のように、第2金属層22の露出面に第1作用と第2作用とを並行して生じさせているので、認識可能なレーザマークを形成することができる。
図18は、実際に本工法を用いて金属層20の露出面にレーザマークを形成したときの顕微鏡写真及び自動認識画像を示している。具体的には、第2金属層22の露出面にレーザマークを形成している。本工法では、酸化という化学的加工によって第2金属層22の露出面を酸化して色を変えて輪郭部22bを中央部22aの両側に形成しているので、図18に示すように、レーザマークを高い視認性で認識することができる。
このとき、銀からなる第1金属層21の厚みを40μmとし、ニッケルからなる第2金属層22の厚みを34μmとし、レーザ光のレーザパワーを60%とし、レーザ光の周波数を65kHzとし、レーザ光のスキャンスピードを200mm/sとし、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔dを3μmとした。また、レーザ光の焦点位置は、レーザ照射スポットの半径rが15μmになる位置に設定した。この場合、レーザ照射スポット1つあたりのエネルギーの大きさの目安として、従来工法A及び従来工法Bと同様にしてレーザパワー[%]/周波数[kHz]の値を用いると、その値は、大きいものであり、0.92であった。
このように、本工法では、レーザ照射スポット1つあたりのエネルギーが従来工法A及び従来工法Bと比べて約2倍になっている。これにより、ニッケルからなる第2金属層22の露出面を酸化させることができる。
ここで、この第2金属層22の酸化は、レーザ光を照射することによる第2金属層22の高温化によって生じる。本工法では、スキャンスピードを従来工法の半分以下にすることで、レーザ光の1照射あたりの高温化の効率を高めている。また、本工法では、レーザ光のスキャンにより連続するレーザ照射スポットは、隣り合う2つのレーザ照射スポットが重なり合う重なり部を一定程度有するように間隔dを短くして隣り合う2つのレーザ照射スポットの間を詰めている。これにより、重なり部の高温化を維持することができるので、第2金属層22の酸化の程度を高めることができる。具体的には、本工法では、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔dを3μmとし、従来工法A及び従来工法Bの半分以下にしている。
なお、従来工法Aでは、金属層の露出面に凹凸差が形成されていればよく、また、従来工法Bでは、金属層を除去又は合金化できていればよいことから、従来工法A及び従来工法Bにおいては、隣り合う2つのレーザ照射スポットの重なり部は、連続するレーザ照射の痕跡を繋げて文字状にすることを除いては、重要な要素にはならない。このため、従来工法A及び従来工法Bでは、マーキング工程の時間の短縮を優先すればよく、本工法とは異なり、隣り合う2つのレーザ照射スポットの間隔dを大きく設定することになる。
図19及び図20は、本工法によって第2金属層22に形成したレーザマークの一部を示す電子顕微鏡像と、そのレーザマーク周辺の第2金属層22における酸素質量濃度をEDX分析により測定した結果を示している。図19は、大気中に1ヶ月放置したときの電子顕微鏡像と酸素質量濃度とを示しており、図20は、大気中に6ヶ月放置したときの電子顕微鏡像と酸素質量濃度とを示している。
図19のEDX分析の測定結果に示されるように、レーザマークの中央部22aでは、酸化領域が存在しない、あるいはEDX分析では検出できない程度に微量であると考えられることが分かる。これは、中央部22aでは、酸化されてもレーザ光によって酸化領域が除去されるからであると考えられる。一方、レーザマークの輪郭部22bでは、酸化領域がそのまま残って存在していることが分かる。
なお、図20のEDX分析の測定結果に示されるように、大気中に6ヶ月放置(長時間放置)することで、中央部22a、輪郭部22b及び素地部22cにおける酸素質量濃度が増加することが分かる。これは、中央部22a、輪郭部22b及び素地部22cの表面が待機中に晒され続けることで自然酸化したからであると考えられる。また、大気中に長時間放置することで、中央部22aの酸化の程度と素地部22cの酸化の程度とがほぼ同じになることも分かる。ただし、大気中に1ヶ月放置した場合でも大気中に6ヵ月放置した場合でも輪郭部22bの酸素含有量が最も多くなっている。
このように、大気中に1ヶ月放置した場合及び大気中に6ヵ月放置した場合のいずれの場合においても、輪郭部22bの酸素質量濃度は、中央部22a及び素地部22cの酸素質量濃度よりも大きくなっており、第2金属層22の露出面において輪郭部22bの酸素質量濃度が最大になっている。なお、大気中に1ヶ月放置した場合における輪郭部22bと素地部22cと中央部22aとの各酸素質量濃度は、輪郭部22bの酸素質量濃度>素地部22cの酸素質量濃度>中央部22aの酸素質量濃度の関係を満たしている。
このように、第2金属層22の表面の酸素質量濃度は、輪郭部22bで最大になっている。これにより、中央部22aと素地部22cとが同程度の色であっても、レーザマークにおける輪郭部22bの色だけを黒く際立たせることができる。
本実施の形態において、輪郭部22bの酸素質量濃度は、3%を超えている。つまり、中央部22a及び輪郭部22bで構成されたレーザマークを形成する際、EDX分析で測定される酸素質量濃度が3%を超えるように輪郭部22bを形成している。これにより、長時間経過して自然酸化した後でも素地部22c及び中央部22aに対する輪郭部22bの色の違い(黒さ)を維持することができる。つまり、長時間経過後においても輪郭部22bの色が濃いままとなるので、レーザマークの視認性を高めることができる。なお、素地部22cの酸素質量濃度は、1.7%程度である。なお、輪郭部22bの酸素質量濃度は、レーザマーク形成直後においても長時間経過後においても3%を超えていてもよい。
また、図19及び図20の平面SEM像に示すように、本工法によって形成されたレーザマークについては、輪郭部22bがさらに第1領域22b1と第2領域22b2とに分けられることが分かる。
輪郭部22bにおける第1領域22b1は、輪郭部22bの内側の領域である。具体的には、第1領域22b1は、中央部22aに接している。第1領域22b1は、レーザ照射スポットの外側に形成される繋がりのある凹凸領域である。また、第1領域22b1の凹凸は、素地部22cの凹凸よりも大きくなっている。したがって、第1領域22b1の表面粗さは、素地部22cの表面粗さよりも大きい。
なお、第1領域22b1は、第2金属層22の厚み方向において、素地部22cよりも高い部分を有する。また、第1領域22b1は、各レーザ照射スポットの外縁構造物の連結体になっている。具体的には、第1領域22b1は、ミルク王冠の縁のような形状になっている。
輪郭部22bにおける第2領域22b2は、輪郭部22bの外側の領域である。具体的には、第2領域22b2は、第1領域22b1よりも中央部22aから離れた領域である。図19及び図20において、第2領域22b2の幅は、第1領域22b1の幅よりも大きくなっている。また、第2領域22b2の凹凸は、第1領域22b1の凹凸よりも小さくなっている。したがって、第2領域22b2の表面粗さは、第1領域22b1の表面粗さよりも小さい。一例として、第2領域22b2の表面粗さは、素地部22cの表面粗さと同等である。
平面視において、第2領域22b2の色は、中央部22aの色及び/又は素地部22cの色と異なる。具体的には、第2領域22b2は、中央部22a及び/又は素地部22cに対して酸化の程度が異なっている。この結果、第2領域22b2は、中央部22a及び/又は素地部22cに対して色が異なっている。なお、素地部22cの酸化の程度と中央部22aの酸化の程度とは、同等であってもよいし、異なっていてもよい。
以上、従来工法A、従来工法B及び本工法の特徴と、従来工法A、従来工法B及び本工法によって形成されたレーザマークの特徴とをまとめると、以下の表1、表2、表3に示す結果になる。
表1は、従来工法Aによって形成されたレーザマークの特徴を示しており、表2は、従来工法Bによって形成されたレーザマークの特徴を示しており、表3は、本工法によって形成されたレーザマークの特徴を示している。
なお、従来工法Aの表1及び従来工法Bの表2の各々における中央部及び輪郭部は、本工法によって形成されたレーザマークの中央部及び輪郭部に対応する位置での特徴のことであり、従来工法A及び従来工法Bによって中央部22a及び輪郭部22bが形成されることを示すものではない。
Figure 0007355970000001
Figure 0007355970000002
Figure 0007355970000003
また、従来工法Aと本工法とを比べると、レーザマークを形成する金属層の露出面の表面粗さ(つまり素地部の表面粗さ)がレーザマークの視認性に影響を与えることが分かった。この点について、図21及び図22を用いて説明する。図21は、金属層20Xの素地部の表面粗さが小さい場合と大きい場合とにおいて、従来工法Aによって形成したレーザマーク61の一例とそのレーザマーク61の一部を拡大して示す顕微鏡写真である。図22は、金属層20の素地部の表面粗さが小さい場合と大きい場合とにおいて、本工法によって形成したレーザマーク61の一例とそのレーザマーク61の一部を拡大して示す顕微鏡写真である。
図21に示すように、従来工法Aでは、金属層20Xの素地部の粗さがレーザマーク61の視認性に影響を与えることが分かる。具体的には、従来工法Aでは、金属層20Xの素地部の粗さが小さくなると、金属層20Xとレーザマーク61によって生じた粗さが同程度になるため、レーザマーク61の視認性が悪くなる。
一方、図22に示すように、本工法の場合、金属層20の素地部の粗さはレーザマーク61の視認性に影響を与えないことが分かる。これは、本工法は、輪郭部22bと中央部22a又は素地部22cとの色の違いによってレーザマーク61の良好な視認性を得るものだからである。つまり、本工法では、素地部22cの粗さによらず、レーザマーク61の良好な視認性を確保することができる。
次に、本工法によって形成されるレーザマーク61の好ましいサイズについて、図23を用いて説明する。図23は、本工法によってレーザマーク61を印字する際のレーザ光の1印字ライン及び一文字のサイズを説明するための図である。
図23に示すように、レーザマーク61を印字する際、レーザ光をスキャンする。この際、1つのレーザマーク61における1印字ラインの線幅(W)は、中央部22aの線幅(2r)と輪郭部22b(片側輪郭部)の線幅(Δr)の2倍(×2)との和として表される。つまり、W=2×r+2×Δrである。
このとき、1つのレーザマーク61は、既定の矩形領域内に形成される。図23では、既定の矩形領域内に、レーザマーク61として、「m」の文字を印字する場合を示している。
このとき、レーザマーク61の輪郭部22bの線幅が広いと、レーザマーク61(文字)を構成する線(印字ライン)同士が重なって視認性が低下する。具体的には、レーザマーク61を示す文字がつぶれて文字として判別しにくくなる。このため、小サイズのレーザマーク61ほど明瞭に印字することが難しくなるが、本工法で形成されるレーザマーク61は、中央部22aとその両側に備わる輪郭部22bとの組み合わせであるので、中央部22aが存在しないレーザマークと比べて、小サイズでも視認性に優位性がある。
ただし、本工法によって小サイズのレーザマーク61を形成する場合であっても、十分な視認性を確保するには、以下の2点が重要になる。
一つ目は、隣接する印字ラインで輪郭部22bが重ならないことである。例えば、印字するレーザマーク61の文字類が「m」、「M」、「E」、「W」、「5」、「6」等の場合であっても、文字サイズを示す1つの矩形領域内に最大で3つの印字ラインが並走できればよい。これは、英語アルファベット及び数字では、3つの印字ラインを超えるものがないからである。
二つ目は、輪郭部22bが中央部22aによって相対的に侵食され過ぎないこと(つまり中央部22aの線幅が太くなり過ぎないこと)、また、逆に、輪郭部22bだけが残らないこと(つまり中央部22aの線幅が細くなり過ぎないこと)である。
本発明者らの実験結果によれば、レーザ光によってレーザマーク61を印字する際の1印字ラインについて、以下の表4に示される結果が得られた。
Figure 0007355970000004
具体的には、表4に示すように、まず、1印字ラインの線幅W(=2r+2Δr)は、38μm以上100μm以下であればよい、ということが分かった。この場合、中央部22aの線幅(2r)は、14μm以上50μm以下であるとよく、1印字ラインの片側輪郭部の線幅(Δr)は、12μm以上25μm以下であるとよい。一例として、1印字ラインの線幅Wは50μmで、中央部22aの線幅は20μmで、1印字ラインの片側輪郭部の線幅は15μmである。
また、上記の下限条件をもとに検討したところ、小さい文字サイズのレーザマーク61を印字する場合、その文字サイズ(矩形領域)は、幅寸法及び高さ寸法が114μm以上300μm以下であるとよいことが分かった。
典型的には、レーザマーク61の文字サイズ(矩形領域)は、150μmであり、好ましくは、レーザマーク61の文字サイズは、150μm以上である。つまり、レーザマーク61を印字する際の既定の矩形領域の幅寸法及び高さ寸法は、いずれも150μm以上であるとよい。これにより、レーザマーク61の視認性を確保することができる。これは、その条件で実現できる1印字ラインの線幅の3倍が、印字可能なレーザマーク61の文字サイズの下限になるからである。つまり、レーザマーク61の文字サイズを150μm以上にすることで、隣接する印字ライン同士が重ならなくなり、レーザマーク61の視認性の低下を抑制することができる。言い換えると、所定の文字サイズの文字類があって、その文字サイズに収まる(つまり視認できる)レーザマーク61は、1印字ラインの線幅がその寸法の1/3になるようなレーザ照射条件が限度になるということである。
したがって、レーザマーク61の1印字ラインの線幅は、当該レーザマーク61が1つ印字される既定の矩形領域における幅寸法及び高さ寸法のうち小さい方の寸法の1/3未満であるとよい。これにより、小さいサイズのレーザマーク61であっても、つぶれることなく明瞭なレーザマーク61を印字することができる。
また、レーザマーク61の1印字ラインの線幅Wが太くなると、r及びΔrがいずれも太くなるが、本工法で文字類の視認性を確保できることが確認されたレーザ照射条件のうち最も中央部22aの線幅が太くなる条件に基づくと、1印字ラインにおける相対的な輪郭部22bだけの線幅(つまり、(1印字ラインの線幅-中央部22aの線幅)/1印字ラインの線幅)を0.5以上にすることで、輪郭部22bだけの線幅が過剰に細くなってレーザマーク61の視認性が低下することを抑制できる。逆に、レーザマーク61の1印字ラインの線幅Wが細くなり過ぎると、中央部22aの線幅が細くなってレーザマーク61の視認性が低下するおそれがある。したがって、本工法で文字類の視認性を確保できることが確認されたレーザ照射条件のうち最も中央部22aの線幅が細くなる条件に基づくと、「(1印字ラインの線幅-中央部22aの線幅)/1印字ラインの線幅」の上限は0.63であるとよい。以上より、「(1印字ラインの線幅-中央部22aの線幅)/1印字ラインの線幅」は、0.50以上0.63以下(典型例としては0.6)であるとよい。
次に、レーザマーク61における輪郭部22bの黒化を制御することについて、図24を用いて説明する。図24は、本工法において、隣り合う2つのレーザ照射スポットが連続して複数重なり合った状態を示している。図24の左図は、n個(nは2以上の整数)の複数のレーザ照射スポットが重なり合ったときの1個目とn個目のレーザ照射スポットを示している(途中は省略している)。また、図24の右図は、5個(n=5)のレーザ照射スポットが重なり合ったときの状態を示している。
レーザマーク61における輪郭部22bの黒味(黒色の濃さ)は、重複するレーザ照射スポットの個数の増減で制御することができる。具体的には、重複するレーザ照射スポットの個数が多いほど、輪郭部22bの黒味が増すことになる。
図24に示すように、本工法で形成されるレーザマーク61において、中央部22aは、半径rの円形のレーザ照射スポットが間隔dで連なることで形成され、輪郭部22bは、そのレーザ照射スポットと同心円の半径r+Δrの円形から半径rの円形を除いた幅Δrの円環状の領域が連なることで形成される。このとき、平面視において、隣り合う2つのレーザ照射スポット同士は、互いに重なり合う重なり部があり、その重なり部は、半径rの円形よりも外側に位置している。
これを満たすには、1個目のレーザ照射スポットとn個目のレーザ照射スポットとが、半径rの円形よりも外側に重なり部を持てばよいので、半径r、幅Δr及び間隔dは、幾何学的に以下の関係式が成立すればよい。
d=2・Δr/(n-1)・(2r/Δr+1)1/2
このとき、本発明者らの実験結果によれば、レーザ照射スポットが重複する個数nについては、個数nの下限(つまり間隔dの上限)が7で、個数nの上限(つまり間隔dの下限)が45であればよい、ということが分かった。
n<7になると、レーザ照射スポットの重なり部が不足して輪郭部22bの黒味が薄くなる。具体的には、輪郭部22bの輝度が~0.65となり、輪郭部22bの輝度と中央部22aの輝度とが同程度になった。この結果、輪郭部22bと中央部22aとの色及び輝度の差異が不明瞭になり、レーザマーク61の視認性が低下する。なお、輝度とは、256階調のモノクロで撮影した画像データを、黒を0とし白を1として数値化した明るさのことである。各画素ごとに数値があるが、本開示では405×405μmの面積にあたる180画素の数値を平均したものを指標として用いており、平均輝度という場合もある。また、画像の撮影には1画素が1.5μmとなる顕微鏡及びカメラを使用した。
一方、n>45になると、輪郭部22bの黒味が十分な出来栄えになるものの、重なり合う部分が過剰に連続することになり、レーザ光の物理的加工に影響を及ぼしたり高温化による構造破壊が発生したりするおそれが高まる。
このように、半径r、幅Δr及び間隔dは、d=2・Δr/(n-1)・(2r/Δr+1)1/2、7≦n≦45の関係を満たすとよい。これにより、輪郭部22bを黒くすることができるとともに、一定の幅の中央部22aを確保し且つ中央部22aを白くすることができる。この結果、レーザマーク61の不明瞭さを軽減することができ、レーザマーク61の視認性を向上させることができる。
この場合、典型的には、n=16であるとよい。これにより、輪郭部22bの適切な黒味(例えば輝度が~0.42)を維持しつつ、レーザ光の物理的加工に影響を及ぼしたり高温化による構造破壊が発生したりすることを抑制できる。
また、間隔dは、1μm≦d≦8μmであるとよい。これにより、輪郭部22bを黒くし中央部22aを白くしてレーザマーク61の視認性を向上させることができるだけでなく、レーザマーキング工程の時間の短縮を図ることができる。また、半径rは、7μm≦r≦25μmであるとよく、幅Δrは、12μm≦Δr≦25μmであるとよい。一例として、d=3μm、r=10μm、Δr=15μm、n=16である。この場合、θ=81.4°となり、輪郭部22bの輝度は0.42となる。
また、間隔dと半径rとは、d=2・Δr/(n-1)・(2r/Δr+1)1/2、7≦n≦45の関係を満たすとともに、上記のように、d=2r・cosθ、66°≦θ≦87°の関係も満たすとよい。
このとき、半径rは、上記のように、7μm≦r≦25μmであるとよいので、間隔dと半径rとの好ましい範囲は、図25の網掛け部分の範囲になる。例えば、半径r=10μmの場合、図25に示すように、間隔dの好ましい範囲は、約1μm以上約8μm以下である。なお、半径rとΔrとは、上記のように、レーザ光の照射強度及び焦点距離等を調整することで制御することができる。
また、間隔d[μm]は、上記のように、レーザ光の周波数[kHz]とレーザ光のスキャンスピード[mm/s]とを適宜設定することによって制御することができる。ここで、レーザ光の周波数をa[kHz]とし、レーザ光のスキャンスピードをb[mm/sec]とすると、間隔d[μm]は、d=b/aとなる。
図26は、間隔dとレーザ光の周波数aとレーザ光のスキャンスピードbとの関係を示している。
スキャンスピードは、レーザ光を照射するレーザ照射機が移動する速さ又はレーザ光が照射される側の半導体装置1が移動する速さである。スキャンスピードが遅くなると、レーザマーキング工程に時間を要することになる。例えば、スキャンスピードが100[mm/sec]未満になると、レーザマーキング工程の能率が低下する。
周波数は、パルスレーザによってレーザ光を照射する際の1秒あたりのレーザ光の照射回数である。周波数が高くなればなるほど、レーザ光の1ショット(照射)あたりの照射強度が低下するため、レーザ光によって中央部22aに対応する金属層を薄く削り取る加工が難しくなるとともに、金属層を酸化して輪郭部22b(酸化領域)を形成することが難しくなる。例えば、130[kHz]~150[kHz]の高い周波数でレーザ光を照射してレーザマーク61を形成すると、レーザマーク61の視認性が悪くなる。
以上より、本工法において、レーザ光をパルス照射してレーザマーク61を形成する際のスキャンスピード及び周波数の所定の条件としては、a≦130[kHz]、b≧100[mm/s]、1.0≦b/a≦8.0、であるとよい。これにより、輪郭部22bを黒くし中央部22aを白くしてレーザマーク61の視認性を一層向上させることができるとともに、レーザマーキング工程の時間の短縮を一層図ることができる。
なお、本工法において、レーザマーク61の輪郭部22bを形成する際に重要となる要素は間隔dであるが、間隔dが同じであっても、周波数が低ければ低いほど、1つのレーザ照射スポットあたりの白黒の明瞭性がはっきりするので、レーザマーク61の視認性は向上する。つまり、図26において、同じdの直線上の条件であっても、好ましい条件は、周波数が低くなる方向(左上に近づく方向)の条件になる。
以上説明したように、本実施の形態に係るレーザマーキング方法は、金属層20(具体的には第2金属層22)の露出面にレーザマーク61を形成する方法であって、所定の条件で金属層20(具体的には第2金属層22)の露出面に連続してレーザ光をパルス照射することで、(i)金属層20の露出面におけるレーザ光の照射の影響を受けない素地部22cに比べてレーザマーク61の輪郭を成す輪郭部22bの酸化の程度を高める第1作用と、(ii)金属層20の露出面における素地部22cに比べてレーザマーク61における輪郭部22bの内側に位置する中央部22aの酸化の程度を低める第2作用とを並行して生じさせて、輪郭部22bと中央部22aとを含むレーザマーク61を形成している。
これにより、高融点の金属材料で構成されていたり厚さが厚くなったりしてレーザ光で削りにくい金属層20であったとしても、輪郭部22bの色を素地部22cの色又は中央部22aと異ならせることができるので、認識可能なレーザマーク61を金属層20に形成することができる。しかも、本実施の形態に係るレーザマーキング方法によれば、中央部22aと輪郭部22bとを一度のレーザ光の照射によって同時に並行して形成することができるので、レーザマーキング工程の時間を短縮することができる。
また、本実施の形態に係る半導体装置1は、フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、半導体基板11と、半導体基板11に形成され、外部に露出する金属層20とを有し、金属層20の露出面には、中央部22aと輪郭部22bとを含む1つ以上のレーザマーク61が形成されている。そして、金属層20の露出面を平面視したとき、輪郭部22bの色は、素地部22cの色又は中央部22aの色と異なっている。
この構成により、レーザ光で削りにくい金属層20であっても、認識可能なレーザマーク61を金属層20に形成することができる。
(変形例)
以上、本開示に係る半導体装置及びレーザマーキング方法等について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態において、半導体装置1の金属層20に形成されたコード60は、一つ一つが互いに分離されたレーザマーク61の組み合わせであったが、これに限らない。例えば、コード60は、複数のレーザマーク61が互いに接触するように組み合わされていてもよい。一例として、コード60は、複数の図形のレーザマーク61の組み合わせからなる二次元バーコードであってもよい。
また、上記実施の形態において、レーザマーク61が形成される半導体装置1の露出面は、第2金属層22の下面(裏面)であったが、これに限らない。例えば、レーザマーク61は、第2金属層22の側面又は第1金属層21の側面であってもよいし、第1ゲートパッド54a、第1ソースパッド56a、第2ゲートパッド54b又は第2ソースパッド56bの露出面であってもよい。つまり、金属材料で構成された外部に露出する金属部材の露出面であれば、その金属部材の露出面にレーザマーク61を形成することができる。
また、上記実施の形態において、半導体装置1は、2つの縦型MOSトランジスタが形成されたDualタイプの半導体デバイスであったが、これに限らない。例えば、半導体装置1は、1つの縦型MOSトランジスタが形成されたSingleタイプの半導体デバイスであってもよい。
また、上記実施の形態において、半導体装置1のトランジスタは、縦型MOSトランジスタであったが、これに限らない。例えば、半導体装置1のトランジスタは、横型(プレーナ型)MOSトランジスタであってもよい。また、半導体装置1のトランジスタは、FETに限るものではないし、半導体装置1そのものもトランジスタを有するものに限らない。半導体装置1は、レーザマーク61が形成される金属部材を有していればよい。
その他、上記実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
本開示の技術は、レーザマークが印字された半導体装置等の種々のデバイスに有用である。
1 半導体装置
10 半導体層
11 半導体基板
12 低濃度不純物層
12a 第1ボディ領域
12b 第2ボディ領域
20 金属層
21 第1金属層
22 第2金属層
22a 中央部
22b 輪郭部(片側輪郭部)
22b1 第1領域
22b2 第2領域
22c 素地部
30 酸化膜
40 保護層
50a 第1縦型MOSトランジスタ
51a 第1ゲート電極
52a 第1ゲート絶縁膜
53a 第1ソース電極
54a 第1ゲートパッド
55a 第1ソース領域
56a 第1ソースパッド
50b 第2縦型MOSトランジスタ
51b 第2ゲート電極
52b 第2ゲート絶縁膜
53b 第2ソース電極
54b 第2ゲートパッド
55b 第2ソース領域
56b 第2ソースパッド
60 コード
61 レーザマーク

Claims (13)

  1. フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、
    半導体基板と、
    前記半導体基板に形成され、外部に露出する金属層とを有し、
    前記金属層の露出面には、1つ以上のマークが形成されており、
    前記マークは、前記マークの輪郭を成す輪郭部と、前記輪郭部の内側に位置する中央部と、を含み、
    前記輪郭部における前記金属層の表面の酸素含有量は、前記中央部における前記金属層の表面の酸素含有量よりも大きく、
    前記金属層の主成分は、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、クロム、又は、銅のいずれかであり、
    前記金属層の厚さは、2μm以上である、
    半導体装置。
  2. フェイスダウン実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、
    半導体基板と、
    前記半導体基板に形成され、外部に露出する金属層とを有し、
    前記金属層の露出面には、1つ以上のマークが形成されており、
    前記マークは、前記マークの輪郭を成す輪郭部と、前記輪郭部の内側に位置する中央部と、を含み、
    前記輪郭部における前記金属層の表面の光吸収係数は、前記中央部における前記金属層の表面の光吸収係数と異なり、
    前記金属層の主成分は、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、クロム、又は、銅のいずれかであり、
    前記金属層の厚さは、2μm以上である、
    半導体装置。
  3. 前記金属層の表面の酸素含有量は、前記輪郭部で最大となる、
    請求項1又は2に記載の半導体装置。
  4. 前記輪郭部における前記金属層の表面の酸素含有量をAとし、前記金属層の露出面における前記マークが形成されていない部分である素地部における前記金属層の表面の酸素含有量をBとし、前記中央部における前記金属層の表面の酸素含有量をCとすると、
    A>B≧Cの関係を満たす、
    請求項1又は2に記載の半導体装置。
  5. 前記輪郭部における前記金属層の表面の組成は、前記金属層の露出面における前記マークが形成されていない部分である素地部における前記金属層の表面の組成又は前記中央部における前記金属層の表面の組成と異なる、
    請求項1又は2に記載の半導体装置。
  6. 前記マークの1印字ラインの線幅は、当該マークが1つ印字される既定の矩形領域における幅寸法及び高さ寸法のうち小さい方の寸法の1/3未満である、
    請求項1又は2に記載の半導体装置。
  7. 前記中央部は、半径rの円形のレーザ照射スポットが間隔dで連なることで形成され、
    前記半径rと前記間隔dとは、d=2r・cosθ,66°≦θ≦87°の関係を満たす、
    請求項1又は2に記載の半導体装置。
  8. 前記中央部は、半径rの円形のレーザ照射スポットが間隔dで連なることで形成され、
    前記輪郭部は、前記レーザ照射スポットと同心円の半径r+Δrの円形から半径rの円形を除いた幅Δrの円環状の領域が連なることで形成され、
    前記半径r、前記幅Δr及び前記間隔dは、d=2・Δr/(n-1)・(2r/Δr+1)1/2、7≦n≦45の関係を満たす、
    請求項1又は2に記載の半導体装置。
  9. 前記間隔dは、1μm≦d≦8μmである、
    請求項7に記載の半導体装置。
  10. ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、クロム、又は、銅のいずれかを主成分とする厚さが2μm以上の金属層の露出面にマークを形成するレーザマーキング方法であって、
    所定の条件で前記金属層の露出面に連続してレーザ光をパルス照射することで、(i)前記金属層の露出面における前記レーザ光の照射の影響を受けない素地部に比べて前記マークの輪郭を成す輪郭部の酸化の程度を高める第1作用と、(ii)前記金属層の露出面における前記素地部に比べて前記マークにおける前記輪郭部の内側に位置する中央部の酸化の程度を低める第2作用とを並行して生じさせて、前記輪郭部と前記中央部とを含む前記マークを形成する、
    レーザマーキング方法。
  11. 前記輪郭部は、前記金属層の露出面における前記レーザ光のレーザ照射スポットの周辺領域における前記第1作用による酸化領域を複数回重ねることで形成される、
    請求項10に記載のレーザマーキング方法。
  12. 前記輪郭部を、EDX分析で測定される酸素質量濃度が3%を超えるように形成する、
    請求項10に記載のレーザマーキング方法。
  13. 前記レーザ光の周波数をa[kHz]とし、前記レーザ光のスキャンスピードをb[mm/sec]とすると、
    前記所定の条件は、a≦130kHz、b≧100mm/s、1.0≦b/a≦8.0、である、
    請求項10に記載のレーザマーキング方法。
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