JP7351188B2 - 微粒子の捕集装置と画像形成装置 - Google Patents
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Description
特許文献3には、複写機内に装着され、紙にトナー像を加熱固定する際に生じた排気としての空気中のウルトラファインパーティクル(UFP)を除去するフィルタユニットにおいて、フィルタユニットの濾材はプリーツ加工されて枠内に収容されており、その濾材は液体帯電不織布層を含んでなるとともに、その濾材が有する総濾材面積S1をフィルタユニットの開口面積S2で割った比S1/S2が7以上であって、しかもフィルタユニットの粒子エミッションから算出したUFPの除去効率が90%以上である複写機用フィルタユニットが記載されている。
特許文献5には、パンチングメタルを集じん極の後流に取り付けた電気集塵機のダクト除去装置が記載されている。また特許文献5には、パンチングメタルの開口率を20%~60%とすることや、パンチングメタルの開口径を2~10mmにすることも記載されている。
特許文献6,7には、空気中や排気ガス中に含まれる微粒子を静電吸着方式で捕集する捕集装置や排気浄化装置が記載されている。
微粒子が含まれる空気を流す流路空間を有した通気管と、
前記通気管の流路空間内で前記空気が送るべき方向に流される気流を発生させる気流発生手段と、
前記通気管の流路空間内を遮断する状態で配置され、前記空気に含まれる微粒子を捕集する捕集手段と、
を備え、
前記捕集手段は、開口の大きさが0.005mm以上かつ0.1mm以下の複数の通気部を有する金属製の通気板で構成されており、
前記通気板は、開口率が10%以上かつ20%以下になるよう構成されているものである。
この発明(3)の微粒子の捕集装置は、上記発明(1)の捕集装置において、前記通気板は多孔板で構成されているものである。
この発明(4)の微粒子の捕集装置は、上記発明(1)から(3)のいずれかの捕集装置において、前記通気板は、前記気流発生手段よりも前記空気の送られる方向の上流側に配置されているものである。
この発明(5)の微粒子の捕集装置は、上記発明(2)の捕集装置において、前記網板は、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、金、亜鉛、チタン、タングステンおよびモリブデンからなる群のうちの少なくとも1つを含む金属で構成されているのである。
この発明(6)の微粒子の捕集装置は、上記発明(3)の捕集装置において、前記多孔板は、ニッケル、チタン、ステンレス、アルミニウム、鉄および銅からなる群のうちの少なくとも1つを含む金属で構成されているものである。
装置本体内に存在する空気を収集して排気する排気手段を備え、
前記排気手段に上記発明(1)から(6)のいずれかの微粒子の捕集装置が組み合わせて配置されているものである。
この発明(8)の画像形成装置は、上記発明(7)の画像形成装置において、未定着のトナー像を記録媒体に熱定着させる定着手段と、前記定着手段に存在する空気を収集して排気する、前記排気手段としての第1排気手段と、を備え、前記第1排気手段に前記捕集装置が組み合わせて配置されているものである。
また、上記発明(1)によれば、通気板の開口率が10%以上かつ20%以下になるよう構成されていない場合に比べて、超微粒子のうち少なくとも粒径が比較的大きい方の超微粒子を捕集して確実に低減させることができる。
上記発明(3)によれば、通気板が多孔板で構成されていない場合に比べて、所要のパターンの開口からなる通気部を有した通気板における開口の大きさを調整しやすい。
上記発明(4)によれば、通気板を気流発生手段よりも空気を送る方向の上流側に配置しない場合に比べて、超微粒子のうち少なくとも粒径が比較的大きい方の超微粒子を捕集して確実に低減させることができる。
上記発明(5)によれば、網板を複数種類の金属のうちから選択して製作することが可能であり、上記したいずれの金属からなる網板を適用した場合でも超微粒子のうち少なくとも粒径が比較的大きい方の超微粒子を捕集して低減させることができる。
上記発明(6)によれば、多孔板を複数種類の金属のうちから選択して製作することが可能であり、上記したいずれの金属からなる多孔板を適用した場合でも超微粒子のうち少なくとも粒径が比較的大きい方の超微粒子を捕集して低減させることができる。
上記発明(8)によれば、定着手段で発生する超微粒子を含む空気から少なくとも粒径が比較的大きい方の超微粒子を捕集して低減させることができる。
図1と図2は、この発明の実施の形態1に係る微粒子の捕集装置と画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の構成を示し、図2はその画像形成装置の一部(主に定着装置と微粒子の捕集装置)の構成を示している。
図1等の各図面中に符号X,Y,Zで示す矢印は、各図面において想定した3次元空間の幅、高さおよび奥行の各方向を示す。また各図面においてX,Yの方向の矢印が交わる部分の丸印は、Zの方向が図面の鉛直下方に向いていることを示している。
図1に示される画像形成装置1は、電子写真方式により画像を記録媒体の一例である用紙9に形成する装置である。実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えば、情報端末機等の外部接続機器から入力される画像情報に対応した画像の形成を行うプリンタとして構成されている。
像形成装置2では、感光ドラム21と転写装置25が対向する各部位がトナー像の転写を行う転写位置TPになる。
用紙9は、筐体10内での搬送が可能であってトナー像の転写および定着が可能な普通紙、コート紙、厚紙等の記録媒体であればよく、その材質、形態等については特に制約されるものでない。
この定着装置5では、加熱用回転体51と加圧用回転体52が接触する部位が、未定着像のトナー像を用紙9に定着するための加熱、加圧等の処理をするニップ部(定着処理部)FNとして構成されている。
続いて、画像形成装置1では、定着装置5において、トナー像が転写された用紙9がニップ部FNに導入されて定着動作が実行される。これにより、未定着のトナー像が用紙9に定着される。定着後の用紙9は、例えば排出ロール45により筐体10の外部にある図示しない収容部に排出されて収容される。
以上により、画像形成装置1による1枚の用紙9片面への画像形成動作が完了する。
次に、微粒子の捕集装置6は、図1から図3等に示されるように、通気管61、気流発生手段62、捕集手段63等を備えている。
また、この捕集装置6により捕集する超微粒子は、例えば、トナーに含まれるワックス等の成分が定着処理(定着動作)時の加熱により揮発した後に冷却されて生成される微粒子(粉じん)に含まれる超微粒子が対象である。
実施の形態1における通気管61は、流路空間61aの横断面の形状がほぼ矩形からなる角筒状の管であり、図2や図3に示されるように、その一端部61bが定着装置5の筐体50の側面部に設けられた収集ダクト56に接続されている一方で、その他端部61cが筐体10の背面部10eに設けた排気口12と接続されるよう配置されている。収集ダクト56は、定着装置5の筐体50における導入口50aおよび排出口50bよりも上方の位置に設けられた吸気口56aから筐体50内やその周辺に存在する空気を収集して取り入れるものである。
実施の形態1では、気流発生手段62として軸流ファンを適用している。軸流ファンは、例えば、図3に示されるように、断面円形の貫通部621aが形成された枠部621と、その枠部621の貫通部621aに存在して回転可能に支持されるとともに駆動モータが内蔵された軸部622と、その軸部622の周囲に立設された複数枚の羽根部623とで構成されている。
気流発生手段62で発生させる気流の強さ(風量又は風速)については、例えば画像形成装置1の筐体10内(本例では特に定着装置5の筐体50内)における温度の上昇や結露の発生を防止する等の観点から、0.1~1m3/分の範囲に設定することが好ましい。
また、通気板の一例である網板65は、図4に示されるように、ほぼ同じ開口形状の網目(開き目)66がほぼ均等に散在するよう複数設けられている網状の金属製部材である。より具体的には、縦用の線材65aと横用の線材65bを平織等の織り方で織って複数の網目(開き目)66を形成してなる網状の金属製部材である。
網板65として開口形状が矩形からなる網目66が複数設けられた網板を用いる場合、その網目66の開口の大きさとは、図4に示されるように、すべての網目66における天地幅Maおよび左右幅Mbを平均した値となる。
網板65を構成する線材65a,65bは、上記開口の大きさや後述する開口率を所要の範囲内におさめる等の観点からすると、その線径が0.01~0.06mmの範囲内のものを適用することが好ましい。
開口率は、通気管61の流路空間61a内で通気板(網板65)が実際に空気と接触させる部分の全面積に対するすべての通気部63a(全網目66)の全開口面積が占める割合を百分率で示したものになる。この開口率が10%未満である場合は、圧力損失が増加し空気が流れにくくなる等の不具合がある。反対に開口率が60%を越える場合は、特に空気中に含まれるUFPを低減する効果が得られなくなる。
また、この開口率の上限値が20%以下であれば、その上限値が20%を越える場合に比べると、超微粒子のうち少なくとも粒径が比較的大きい方の超微粒子を捕集して確実に低減させることが可能になる。粒径が比較的大きい方とは、例えば、粒径が40nm以上の場合をいう。
この厚さDが5mmを越える場合は、その通気板を設置する設置スペースのうち空気を通過させる方向の寸法の増加を招いてしまう。この厚さDは、好ましくは4mm以下、より好ましくは2mm以下である。ちなみに、この厚さDの下限値は、網板65の製造が可能であってかつ所要の捕集性能(特に粒径が比較的大きいUFPを低減させる効果)を得ることが可能であれば特に制約されるものでないが、その下限値は例えば0.02mmであれば特に支障ない。
これにより、定着装置5において定着動作で主に発生する微粒子が含まれる空気が、収集ダクト56を介して通気管61の流路空間61a内に吸引されるよう流れ込む。
この際、捕集前の空気Eaは、開口の大きさが0.005mm以上かつ0.1mm以下の複数の網目66を有する金属製の網板65に衝突しながら網板65を通過する。これにより、捕集前の空気Eaに含まれている微粒子のうち粒径が100nm以下の超微粒子は、金属製の網板65の線材部分に接触すると付着しやすくなる。この結果、捕集後の空気Ebでは、網板65を通過する空気に含まれる微粒子のうち粒径が比較的大きい超微粒子が金属製の網板65に捕集されて低減される。
この際、特に網板65の網目66を通過した粒径が小さい超微粒子は、その粒子径が小さくなるほどブラウン運動(拡散)しやすくなるという傾向があることから、網板65の網目66を通過したとしても、網板65の下流側に存在する通気管61の流路空間61aの内壁面や気流発生手段62における羽根部等の部品に付着して捕集されやすくなる。
ちなみに、超微粒子の総量の低減とは、捕集手段63としての通気板の網板65を設けた場合における超微粒子の総量が、その通気板の網板65を設けない場合における超微粒子の総量に比べて、少なくなっていることである。
次に、この捕集装置6の捕集効果に関して行った試験T1について説明する。
また、この試験T1では、網板65の比較例として、金属ではないPETからなる線材を平織した網板(PETの網板)を用意し、それを装着した捕集装置6についても調べた。このPETの網板の構成は、材質を除いて、上記金属製の網板65とほぼ同じ条件とした。
ちなみに、実施例の画像形成装置1では、図6に示される結果をみる限り、粒径が比較的小さい(例えば40nm未満の)UFPの数量が比較例の画像形成装置1の結果と比べても多い傾向にある。
UFP値は、上記試験規格(RAL-UZ205)に記載の方法に基づいて求めた。UFPの低減率は、網板65の有無の差から求めた。
このため、金属製の網板65の場合、開口の大きさとUFPの低減率との間にはほぼ反比例する相関関係にあるといえそうである。また、この結果から開口の大きさ(目開き)が0.01mm以上でかつ0.07mm以下(約0.08mm以下)の範囲であれば、UFPを低減する効果が得られることがいえる。
捕集装置6の網板65における網目66の開口率と圧力損失との関係について調べる試験T2を行った。この試験T2の結果について図8に示す。
金属製の網板65の開口率としては、図8の横軸に示されるように11%、13%、40%、49.5%、60%の5種類のものを用意した。
ちなみに、開口率については、粒径が比較的大きいUFPを確実に捕集することができる等の観点からすると、10%以上かつ20%以下になることが好ましい。
図9は、この発明の実施の形態2に係る微粒子の捕集装置を示すものである。
実施の形態2に係る微粒子の捕集装置6は、捕集手段63の通気板として、網板65に代えて多孔板67を適用して変更した以外は実施の形態1に係る捕集装置6と同じ構成からなるものである。
この多孔板67は、図9(B)や図10に示されるように、同じ開口形状の通気孔68がほぼ均等に散在するよう複数設けられている板状の部材である。多孔板67として開口形状が円形からなる通気孔68が複数設けられた多孔板を用いる場合、その通気孔68の開口の大きさとは、図10に示されるように、すべての通気孔68の直径Rを平均した値となる。
この開口率の範囲の意義や好ましい範囲についても、既述した実施の形態1における網板65の場合と同様である。
多孔板67を構成する金属としては、ニッケル、チタン、ステンレス、アルミニウム、鉄および銅からなる群のうちの少なくとも1つを含む金属が適用される。また、これらの金属のうちアルミニウムは、コストの低減等の観点からすると、より好ましい金属である。
この際、捕集前の空気Eaは、開口の大きさが0.005mm以上かつ0.1mm以下の複数の通気孔68を有する多孔板67を通過する。これにより、捕集前の空気Eaに含まれる100nm以下の超微粒子は、多孔板67に衝突した際に粒径が小さい粒子が通気孔68を通過する一方で、粒径の比較的大きい超微粒子が慣性のまま移動して多孔板67の非通気孔部分等にそのまま付着しやすくなる。この結果、通過する空気に含まれる微粒子のうち粒径が比較的大きい超微粒子が捕集されて低減される。
この際、特に多孔板67の通気孔68を通過した超微粒子は、上記した網板65のときとほぼ同様に、その粒子径が小さくなるほどブラウン運動(拡散)しやすくなるという傾向があることから、多孔板67の通気孔68を通過したとしても、多孔板67の下流側に存在する通気管61の流路空間61aの内壁面や気流発生手段62における羽根部等の部品に付着して捕集されやすくなる。
このときの最終排気の空気Ecは、捕集前の空気Eaに比べて、粒径が比較的大きい超微粒子が捕集されて低減されるが、粒径の小さい超微粒子が多孔板67を通過後に存在する通気管61の流路空間61aの内壁面等に付着することで排気前に捕集されるので超微粒子の総量としても低減された空気になる。
したがって、このときの最終排気の空気Ecは、捕集前の空気Eaに比べて、超微粒子の総量が低減された空気になる。
次に、この捕集装置6の捕集効果に関して行った試験T1について説明する。
金属製の多孔板(いわゆるパンチングメタル)67の開口の大きさとしては、図11の横軸に示されるように0.47mm、0.10mm、0.12mmの3種類のものを用意した。
この際、多孔板67は、通気孔68の開口の大きさを変更しても、開口率についてはすべて40%程度に保たれるよう調整した。
このため、金属製の多孔板67の場合、開口の大きさとUFPの低減率との間にはほぼ反比例する相関関係にあるといえそうである。また、この結果から開口の大きさが0.04mm以上でかつ0.1mm以下の範囲であれば、UFPを低減する効果が得られることがいえる。
この場合においても、実施の形態1における同試験T1の結果(図6)とほぼ同様の結果が得られることが確認されている。
また、この金属製の多孔板67を適用した捕集装置6についても、実施の形態1における試験T2により多孔板67における通気孔68の開口率と圧力損失との関係について調べた。
このときの結果は、実施の形態1における同試験T1の結果(図8)とほぼ同様の結果が得られることが確認されている。
なお図12に、金属製の多孔板67における通気孔68の開口の大きさとして2種の大きさ(0.005mm、0.09mm)を採用した場合、その各開口の大きさに対する開口率やそのときの隣り合う通気孔68どうしのピッチPや間隔との関係について例示する。
この発明は、実施の形態1、2で例示した内容に何ら限定されるものではなく種々の変更が可能であり、例えば、以下に挙げるような変形例も含むものである。
また、この発明の捕集装置6は、超微粒子の捕集が必要であれば、画像形成装置以外の各種の装置に適用することも可能である。
5 …定着装置(定着手段の一例)
6 …微粒子の捕集装置
9 …用紙(記録媒体の一例)
12…排気口(排気手段の一部)
56…収集ダクト(排気手段の一部)
61…通気管
61a…流路空間
62…気流発生手段
63…捕集手段
63a…通気部
65…網板(通気板の一例)
66…網目(通気部の一例)
67…多孔板(通気板の一例)
68…通気孔(通気部の一例)
C …空気が送られる方向(空気の通過する方向)
Claims (8)
- 微粒子が含まれる空気を流す流路空間を有した通気管と、
前記通気管の流路空間内で前記空気が送るべき方向に流される気流を発生させる気流発生手段と、
前記通気管の流路空間内を遮断する状態で配置され、前記空気に含まれる微粒子を捕集する捕集手段と、
を備え、
前記捕集手段は、開口の大きさが0.005mm以上かつ0.1mm以下の複数の通気部を有する金属製の通気板で構成されており、
前記通気板は、開口率が10%以上かつ20%以下になるよう構成されている微粒子の捕集装置。 - 前記通気板は網板で構成されている請求項1に記載の捕集装置。
- 前記通気板は多孔板で構成されている請求項1に記載の捕集装置。
- 前記通気板は、前記気流発生手段よりも前記空気の送られる方向の上流側に配置されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の捕集装置。
- 前記網板は、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、金、亜鉛、チタン、タングステンおよびモリブデンからなる群のうちの少なくとも1つを含む金属で構成されている請求項2に記載の捕集装置。
- 前記多孔板は、ニッケル、チタン、ステンレス、アルミニウム、鉄および銅からなる群のうちの少なくとも1つを含む金属で構成されている請求項3に記載の捕集装置。
- 装置本体内に存在する空気を収集して排気する排気手段を備え、
前記排気手段に請求項1乃至6のいずれか1項に記載の微粒子の捕集装置が組み合わせて配置されている画像形成装置。 - 未定着のトナー像を記録媒体に熱定着させる定着手段と、
前記定着手段に存在する空気を収集して排気する、前記排気手段としての第1排気手段と、
を備え、
前記第1排気手段に前記捕集装置が組み合わせて配置されている請求項7に記載の画像形成装置。
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