JP2018004774A - 複写機用フィルタユニット - Google Patents
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Abstract
Description
ここに言う「濾材が有する総濾材面積S1」とは、フィルタユニットの枠内にプリーツ加工された状態で収められた濾材のうち、前述した排気としての空気流の濾過に実質的に寄与する部分の総面積を表す。また、「フィルタユニットの間口面積S2」とは、上記空気流がフィルタユニットに流入、濾過される際、その流入側から見た平面視での面積を表し、当該ユニットの枠を除く部分の面積を表す。さらに、上述した「比S1/S2」とは、これら2つの面積が、例えば平方cmとして、同一の単位で求めたものである。
Qf値=−Ln(1−捕集効率/100)/圧力損失
始めに、評価に供した濾材の調製について説明する。本実施例では、液体帯電不織布層として、体積固有抵抗値が1016(Ω・cm)程度である市販のポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製:商品名『プライムポリプロ』)に対し、市販のヒンダードアミン系光安定剤(BASFジャパン株式会社製,:商品名『CHIMASSORB 944』)を4質量%混合し、周知のメルトブロー法を適用してシート化した。続いて、特許文献4の技術によって、当該不織布に水中で超音波処理による帯電を行い、乾燥させた。これにより得られたメルトブロー不織布は、目付が約25g/m2、平均繊維径2μm、厚さは0.35mm(20g/cm2の圧縮荷重時)であって、見掛け密度は約0.07g/cm3であった。
次いで、本実施例等で用いた難燃性不織布層の調製方法につき説明する。まず、市販のモダクリル短繊維(繊度2.2dtex、繊維長51mm、株式会社カネカ製:商品名『カネカロン Protex−S』)とポリエステル短繊維(繊度3.3dtex、繊維長64mm、東レ株式会社製:商品名『テトロン T−201』)とを1:1の質量比で混綿し、カード機によってシート化した。この状態での目付が35g/m2であるシートに対して、市販の塩化ビニル系バインダー(日信化学工業株式会社製:商品名『ビニブラン 902』)と、塩化ビニリデン系バインダー(旭化成ケミカルズ株式会社製:商品名『サランラテックス L123D』)とを1:1の質量比で混合した難燃性のバインダーを塗布し、乾燥することによって目付74g/m2、厚さは0.7mm(20g/cm2の圧縮荷重時)であって、見掛け密度は約0.11g/cm3の難燃性不織布を得た。
次いで、市販のオレフィン系ホットメルト樹脂(株式会社MORESCO社製:商品名『モレスコメルト AC−856』)を7.5g/m2塗布して液体帯電不織布と難燃性不織布とを貼り合せ、目付125g/m2、厚さは1.3mm(20g/cm2の圧縮荷重時)であって、見掛け密度は約0.79g/cm3の濾材を調製した。
このようにして調製した実施例に係る濾材に、周知のプリーツ加工を施し、後段の表1に示すプリーツ構成で評価用のフィルタユニットを作製した。当該ユニットの作製に当たっては、枠を構成する素材として市販のスパンボンド不織布(ユニチカ株式会社製:商品名『92203/WSQ』:目付225g/m2)に市販のエチレン・酢酸ビニル系ホットメルト接着剤(ヤスハラケミカル株式会社製:商品名『ヒロダイン8006』)を塗布した枠材を用い、フィルタユニットとしての外寸は120mm×120mm、枠の厚さを1mmに統一した。尚、これら表1に示す各実施例並びに比較例のフィルタユニットのうち、液体帯電不織布層に代えてコロナ帯電品を備えた比較例5は、前述したメルトブロー不織布に一般的なコロナ荷電を施した点を除き、実施例3のユニットと同一構成とした。
フィルタユニットを試験ダクトに装着し、粒径0.3〜0.5μmの大気塵(大気塵数:U)を含む空気を面風速0.5m/秒でフィルタユニットの上流側に供給した。この際、下流側に漏れた大気塵数(D)をパーティクルカウンタ(RION株式会社製:KC−01E)で測定し、次式により算出した値を捕集効率として求める。
捕集効率(%)=[1−(D/U)]×100
また、圧力損失は、上記捕集効率測定時におけるフィルタユニット上流側および下流側の静圧の差をマノメータ(株式会社コスモ計器製:DM−3501)によって計測した。これら種々にプリーツ加工された濾材の基本性能に関わるQf値を、フィルタユニットの総濾材面積S1(表中、面積S1と略記)で割って、濾材面積当たりのQf値を求めた。この評価試験に使用した各フィルタユニットのプリーツ構成、フィルタユニットの構成、及び測定結果としてのフィルタユニットの基本性能を表1に列挙する。同表においては、上述した総濾材面積S1以外に、間口面積S2を「面積S2」、及び、これら2つの面積の比を「S1/S2」と各々略記してある。
この差は、比較例5がコロナ帯電技術を利用しているため、主として濾材の表層部分に荷電しているのに対し、特許文献4による帯電技術では、不織布の構成繊維自体が帯電しているためと考えられる。また、各フィルタユニットのサンプル名称として実施例1〜実施例4、並びに、比較例1〜比較例5と表記している。これらサンプル名称は、後段で詳述するPER10を元にした「捕集効率」の評価結果に基づいて表記してある。
まず、上述した評価用の各フィルタユニットを市販のカラーレーザープリンタ(富士ゼロックス株式会社製:商品名『DocuPrint C3200A』)の装置排気口に装着し、別途、装置に取り付けた冷却用ファンによって、複写機内で発生したUFPを含む空気流を一括して装置外に排出する構造とした。また、この測定試験では1m3のチャンバに上述の複写機を収容した。このチャンバ内の換気回数は毎時5回に条件設定し、HEPAフィルタおよびケミカルフィルタを備えたFFU(ファン フィルタ ユニット)によってチャンバ外から取り入れる外気を清浄化し、この清浄化された外気をチャンバ内に層流として導入した。このチャンバ内の複写機稼働に伴う排気は、上記層流によってチャンバの排気口に運び、この排気口からサンプリングした。サンプリングされた発生粒子としてのUFPの計数には、FMPS(Fast Mobility Particle Sizer[ファスト モビリティー パーティクル サイザー])(TSI社製:商品名『Model 3091』)を用いた。複写機の稼働条件は、標準印刷枚数25枚/毎分に設定し、印刷開始から一定時間を経てUFP計数値が初期値として示した発生数にまで安定化したことを確認し、前述した非特許文献1規定の解析方法によりPER10の値を求めた。これら結果を表2に示す。
この表2並びに表1の結果から、本発明の好適態様としての実施例1〜4では液体帯電不織布を含む濾材を用い、これをプリーツ形状とした際の比S1/S2が7以上の構成を採ることによって、90%以上の優れた除去効率と、大気塵で実測された指標としてのQf値から理解できる低圧損との双方を実現することが可能となった。
13:濾材、13a:液体帯電不織布層、13b:難燃性不織布層、15:枠、
A:空気流(の方向)。
Claims (3)
- 複写機内に装着され、紙にトナー像を加熱固定する際に生じた排気としての空気流中のUFP(ウルトラファインパーティクル)を除去する複写機用フィルタユニットにおいて、
前記フィルタユニットの濾材はプリーツ加工されて枠内に収納されており、該濾材は液体帯電不織布層を含んでなると共に、該濾材が有する総濾材面積S1を前記フィルタユニットの間口面積S2で割った比S1/S2が7以上であって、しかも前記フィルタユニットの粒子エミッション率(PER10)から算出したUFPの除去効率が90%以上であることを特徴とする複写機用フィルタユニット。 - 前記濾材が前記液体帯電不織布層と難燃性不織布層とからなることを特徴とする請求項1に記載の複写機用フィルタユニット。
- 前記濾材が有する面積当たりのQf値が5×10−5(Pa−1/cm2)以上であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の複写機用フィルタユニット。
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