添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る加工装置においてカセットから搬出されるフレームユニットについて説明する。図1は、フレームユニット11を模式的に示す斜視図である。フレームユニット11は、開口7aを備える環状のフレーム7と、フレーム7の開口7aを塞ぐように該フレーム7に配設されたシート9と、フレーム7の開口7aの内側でシート9に配設されたウェーハ1と、を備える。
ウェーハ1は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(窒化ガリウム)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料、または、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる略円板状の基板等である。
ウェーハ1の表面1aは格子状に配列された複数の分割予定ライン3で区画される。また、ウェーハ1の表面1aの分割予定ライン3で区画された各領域にはICやLSI、LED(Light Emitting Diode)等のデバイス5が形成される。加工装置を使用してウェーハ1を分割予定ライン3に沿って分割すると、個々のデバイスチップが形成される。
加工装置にウェーハ1を搬入する前に、ウェーハ1と、シート9と、フレーム7と、が一体化され、フレームユニット11が形成される。ウェーハ1は、フレームユニット11の状態で加工装置に搬入され、加工される。形成された個々のデバイスチップはシート9に支持される。その後、シート9を拡張することでデバイスチップ間の間隔を広げ、デバイスチップをピックアップする。
環状のフレーム7は、例えば、金属等の材料で形成され、ウェーハ1の径よりも大きい径の開口7aを備える。フレームユニット11を形成する際は、ウェーハ1は、フレーム7の開口7a内に位置付けられ、開口7aに収容される。
シート9は、フレーム7の開口7aよりも大きい径を有する。シート9は、例えば、基材層と、該基材層の上に形成された粘着層と、を備えるダイシングテープと呼ばれるテープである。シート9がダイシングテープである場合、シート9は、粘着層で発現する粘着力によりフレーム7及びウェーハ1の裏面1bに貼着される。または、シート9は、例えば、粘着層を備えないポリオレフィン系シートやポリエステル系シート等の樹脂シートでもよい。
ポリオレフィン系シートは、アルケンをモノマーとして合成されるポリマーのシートであり、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、または、ポリスチレンシートである。ポリエステル系シートは、ジカルボン酸(2つのカルボキシル基を有する化合物)と、ジオール(2つのヒドロキシル基を有する化合物)と、をモノマーとして合成されるポリマーのシートである。例えば、ポリエチレンテレフタレートシート、または、ポリエチレンナフタレートシートである。
シート9が粘着性を備えない樹脂系シートである場合、シート9をウェーハ1及びフレーム7に貼着できない。しかしながら、熱可塑性を有する樹脂系シートは、所定の圧力を印加しながらウェーハ1の裏面1b及びフレーム7と接合させた状態で融点近傍の温度まで加熱すると、部分的に溶融してウェーハ1の裏面1b及びフレーム7に熱圧着できる。
次に、フレームユニット11に含まれるウェーハ1を加工する加工装置について説明する。ウェーハ1を分割予定ライン3に沿って分割する際には、例えば、環状の切削ブレードを備える切削装置が使用される。または、例えば、ウェーハ1に分割予定ライン3に沿ってレーザビームを照射してウェーハ1をレーザ加工するレーザ加工装置が使用される。以下、本実施形態に係る加工装置が切削装置である場合を例に加工装置について説明するが、本実施形態に係る加工装置は切削装置に限定されない。
図2は、本実施形態に係る加工装置の一例である切削装置2を模式的に示す斜視図である。図2に示す通り、切削装置2の基台4の角部には、カセット13が載置されるカセットテーブル6が設けられている。カセットテーブル6は、昇降機構(不図示)により上下方向(Z軸方向)に昇降可能である。図2では、カセットテーブル6に載置されたカセット13の輪郭を二点鎖線で示している。
基台4の上面のカセットテーブル6に隣接する位置には、Y軸方向(左右方向、割り出し送り方向)に平行な状態を維持しながら互いに接近、離隔される一対のガイドレール8を含む仮置きテーブル10が設けられている。また、基台4の上面の仮置きテーブル10に隣接する位置には、カセットテーブル6に載置されたカセット13に収容されたフレームユニット11をカセット13から搬出する搬出ユニット12が設けられている。
図3は、カセットテーブル6に載置されたカセット13と、仮置きテーブル10と、搬出ユニット12と、を模式的に示す斜視図である。一対のガイドレール8は、それぞれ、フレーム7を下方から支持する支持面8aと、支持面8aに概ね垂直な突き当て面8bと、を備える。各ガイドレール8の突き当て面8bは、互いに向かい合っている。
基台4の上面には、仮置きテーブル10をY軸方向に沿って縦断する開口14が形成されている。開口14の内部には、搬出ユニット12をY軸方向に沿って移動させる移動機構(不図示)が設けられている。搬出ユニット12は、該移動機構に接続された移動体16を備える。図4は、搬出ユニット12を模式的に示す斜視図である。移動体16のカセット13(カセットテーブル6)に向いた面には開口18が設けられており、開口18にはフレームユニット11のフレーム7を把持する把持部20が配設されている。
把持部20は、それぞれ基端部が開口18を通して移動体16に収容された上板22と、下板24と、を備える。上板22及び下板24は、移動体16の内部に設けられた移動機構(不図示)により、互いに近接または離隔される。
カセット13に収容されたフレームユニット11を搬出ユニット12で搬出する際には、移動体16をカセット13に向けて移動させ、上板22及び下板24の間に該フレームユニット11のフレーム7を位置付ける。そして、上板22及び下板24を互いに近接する方向に移動させ、フレーム7を上板22及び下板24で挟み込む。すると、フレームユニット11のフレーム7が搬出ユニット12の把持部20に把持された状態となる。
その後、移動体16をカセット13から離れる方向に移動させると、カセット13からフレームユニット11が仮置きテーブル10に引き出される。そして、把持部20によるフレーム7の把持を解除する。このとき、フレーム7は、一対のガイドレール8のそれぞれの支持面8a上に支持される。そして、一対のガイドレール8をX軸方向に互い近接する方向に連動させて移動させ、該一対のガイドレール8のそれぞれの突き当て面8bでフレーム7を挟み込むと、フレームユニット11を所定の位置に位置付けられる。
再び図2を参照しつつ切削装置2の説明を続ける。基台4の上面のカセットテーブル6に隣接する位置には、X軸方向(前後方向、加工送り方向)に長い開口4aが形成されている。開口4a内には、図示しないボールねじ式のX軸移動機構(加工送りユニット)と、X軸移動機構の上部を覆う蛇腹状の防塵防滴カバー28と、が配設されている。
X軸移動機構は、X軸移動テーブル30の下部に接続されており、このX軸移動テーブル30をX軸方向に移動させる機能を有する。例えば、X軸移動テーブル30は、カセットテーブル6に近接する搬出入位置と、後述の切削ユニット40の下方の加工位置と、の間を移動する。
X軸移動テーブル30上には、フレームユニット11を吸引、保持するチャックテーブル(保持テーブル)32が設けられている。チャックテーブル32は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、Z軸方向(鉛直方向、切り込み送り方向)に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、チャックテーブル32は、上述したX軸移動機構によってX軸方向に移動する。
チャックテーブル32の上面は、フレームユニット11を保持するための保持面32aになっている。保持面32aは、チャックテーブル32の内部に形成された吸引路(不図示)等を介して吸引源(不図示)に接続されている。また、チャックテーブル32の周囲には、フレームユニット11に含まれるフレーム7を外側から固定するためのクランプ32bが設けられている。
仮置きテーブル10からチャックテーブル32へのフレームユニット11の搬送は、基台4の上面の仮置きテーブル10及び開口4aに隣接する位置に設けられた第1の搬送ユニット34により実施される。第1の搬送ユニット34は、基台4の上面から上方に突き出た昇降可能であるとともに回転可能な軸部と、軸部の上端から水平方向に伸長した腕部と、腕部の先端下方に設けられた保持部と、を有する。
第1の搬送ユニット34で仮置きテーブル10からチャックテーブル32へフレームユニット11を搬送する際には、X軸移動テーブル30を移動させてチャックテーブル32を搬出入位置に位置付ける。そして、仮置きテーブル10に仮置きされているフレームユニット11のフレーム7を該保持部で保持し、フレームユニット11を持ち上げて、該軸部を回転させてフレームユニット11をチャックテーブル32の上方に移動させる。
その後、フレームユニット11を下降させてチャックテーブル32の保持面32aに載せる。そして、クランプ32bでフレーム7を固定するとともに、チャックテーブル32の吸引源を作動させて、シート9を吸引させる。すると、シート9を介してウェーハ1が吸引保持される。
切削装置2は、X軸移動テーブル30の搬出入領域から加工領域への移動経路の上方に、開口4aを横切るように配設された支持構造36を備える。そして、支持構造36には下方に向いた撮像ユニット38が設けられている。撮像ユニット38は、切削ユニット40の下方の加工領域へ移動するチャックテーブル32に吸引保持されたウェーハ1の表面1aを撮像し、表面1aに設けられた分割予定ライン3の位置及び向きを検出する。
該加工領域には、チャックテーブル(保持テーブル)32に保持されたフレームユニット11のウェーハ1を切削(加工)する切削ユニット(加工ユニット)40が設けられている。切削ユニット40は、円環状の砥石部を外周に備える切削ブレード42と、先端部に切削ブレード42が装着され該切削ブレード42の回転軸となるY軸方向に沿ったスピンドル44と、を備える。
スピンドル44の基端側には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。チャックテーブル32に保持されたフレームユニット11に含まれるウェーハ1に回転する切削ブレード42を切り込ませることで、ウェーハ1を切削(加工)できる。ウェーハ1がすべての分割予定ライン3に沿って切削されると、個々のデバイスチップが形成される。その後、チャックテーブル32は、X軸移動機構により搬出入領域に移動される。
基台4の上面の仮置きテーブル10及び開口4aに隣接する位置には開口4bが形成されており、開口4bには加工後のフレームユニット11を洗浄する洗浄ユニット46が収容されている。洗浄ユニット46は、フレームユニット11を保持するスピンナテーブルを備えている。スピンナテーブルの下部には、スピンナテーブルを所定の速さで回転させる回転駆動源(不図示)が連結されている。
切削装置2は、搬出入領域に位置付けられたチャックテーブル32から洗浄ユニット46にフレームユニット11を搬送する第2の搬送ユニット48を備える。第2の搬送ユニット48は、Y軸方向に沿って移動可能な腕部と、腕部の先端下方に設けられた保持部と、を有する。
第2の搬送ユニット48でチャックテーブル32から洗浄ユニット46へフレームユニット11を搬送する際には、まず、フレームユニット11を該保持部で保持する。そして、腕部をY軸方向に沿って移動させ、フレームユニット11を洗浄ユニット46のスピンナテーブルの上に載せる。その後、スピンナテーブルでフレームユニット11を保持してウェーハ1を洗浄する。
洗浄ユニット46でウェーハ1を洗浄する際には、スピンナテーブルを回転させながらウェーハ1の表面1aに向けて洗浄用の流体(代表的には、水とエアーとを混合した混合流体)を噴射する。そして、洗浄ユニット46で洗浄されたフレームユニット11は、カセットテーブル6に載るカセット13に収容される。
カセット13にフレームユニット11を収容する際には、第1の搬送ユニット34を使用して洗浄ユニット46から仮置きテーブル10にフレームユニット11を搬送する。そして、搬出ユニット12の移動体16をカセット13に向けて移動させてフレームユニット11をカセット13に押し入れる。このとき、収容作業が確実に実施されるように、仮置きテーブル10にフレームユニット11が置かれた際に一対のガイドレール8を互いに近接させて、フレームユニット11を所定の位置に位置付けてもよい。
このように、切削装置2では、カセット13からフレームユニット11が搬出され、フレームユニット11に含まれるウェーハ1が切削ユニット40で加工される。その後、フレームユニット11が洗浄ユニット46で洗浄されてカセット13に再び収容される。
切削装置2は、さらに、該切削装置2の各構成要素を制御する制御ユニット50を備える。制御ユニット50は、例えば、カセットテーブル6、搬出ユニット12、仮置きテーブル10、X軸方向移動機構、チャックテーブル32、撮像ユニット38、切削ユニット40、洗浄ユニット46、及び搬送ユニット34,48を制御する。
制御ユニット50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成される。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニット50の機能が実現される。なお、制御ユニット50の構成及び機能等については、後に詳述する。
次に、複数のフレームユニット11を収容できるカセット13について、図3を用いて説明する。図3には、カセット13の斜視図が模式的に示されている。カセット13は、箱型の筐体15を有する。カセット13は、筐体15の内部にフレームユニット11の幅よりも大きな幅の収容空間17を備える。カセット13は、複数のフレームユニット11を縦方向(Z軸方向)に並べて収容空間17に収容できる。
カセット13の筐体15の前面には、収容空間17を外部に開放する開口19が設けられている。カセット13へのフレームユニット11の搬出入は、開口19を経て実施される。そのため、開口19の幅は、フレームユニット11の幅よりも大きい。カセット13の開口19に隣接する一対の側壁15aの内面には、フレームユニット11のフレーム7の端部を支持する複数の支持溝21が形成されている。
複数の支持溝21は、それぞれ、一対の側壁15aに同じ高さに形成されている。そして、一対の側壁15aの内面では、それぞれ、互いに上下に隣接する支持溝21が一定の間隔23となるように並んでいる。フレームユニット11は、カセット13に収容される際、一方の側壁15aに形成された一つの支持溝21に挿し入れられるとともに、該支持溝21と同じ高さに形成されている他方の側壁15aの支持溝21に挿し入れられる。
すなわち、各側壁15aに形成された互いに対応する一対の支持溝21にフレーム7が支持された状態でフレームユニット11がカセット13の収容空間17に収容される。カセット13は、各側壁15aに縦方向に並ぶ対となる支持溝21の数だけフレームユニット11を収容可能である。
例えば、各側壁15aには、25個の支持溝21が上下に10mmの間隔23で設けられる。この場合、カセット13には、25個のフレームユニット11が収容可能となる。ただし、カセット13には、必ずしも収容能力の限界までフレームユニット11が収容されなくてもよく、一部の支持溝21にはフレームユニット11のフレーム7が載せられていなくてもよい。
カセット13からのフレームユニット11の搬出作業は、上述の搬出ユニット12により実施される。カセット13に収容されているフレームユニット11を搬出する際には、搬出ユニット12が搬出作業を実施できる高さに該フレームユニット11の高さが合うようにカセットテーブル6を昇降させる。
ここで、フレーム7は、予期せぬ衝撃や力を受けて変形することがある。そして、フレーム7が変形していると、フレームユニット11の搬出時に位置付けられるべき所定の高さにカセット13が位置付けられていても、搬出ユニット12の把持部20が把持できる高さに該フレーム7の把持される予定の部分が位置しない場合がある。この場合、把持部20がフレーム7を把持できない。
そこで、例えば、カセット13がカセットテーブル6に載せられたとき、各フレームユニット11のフレーム7の把持される予定の部分の収容空間17における高さ位置を予め測定しておくことが考えられる。フレーム7の検出には、例えば、搬出ユニット12の移動体16のカセット13に向いた面に把持部20に隣接して設けられた透光窓を備える検出器26を使用する。図4に示す検出器26は、該透光窓から光を発出できるとともに、検出対象物で反射された該光を検出できる。
検出器26の透光窓の正面にフレーム7が位置しているとき、透光窓からフレーム7の側面に光を照射すると、該光がフレーム7の該側面で反射されて透光窓に光が戻る。すなわち、検出器26でフレーム7が検出される。その一方で、検出器26の透光窓の正面にフレーム7が存在しない場合、透光窓から発せられた光はフレーム7の側面で反射されず、透光窓に戻らない。
そして、検出器26でフレーム7を検出できたときのカセットテーブル6の高さに基づいて、フレーム7の収容空間17における高さを導出できる。カセット13の収容空間17に存在する全てのフレーム7の高さの測定は、カセット13を昇降させるとともに検出器26による検出動作を繰り返すことで実施される。
ただし、カセット13に収容されているすべてのフレームユニット11のフレーム7が変形していることは稀であり、変形していないフレーム7の高さの測定作業は不要である。にもかかわらず、カセット13の収容空間17を全高さにわたってセンシングする場合、カセット13がカセットテーブル6に置かれてからカセット13から最初のフレームユニット11が搬出されるまでに少なくない時間が消費されることとなる。
そして、フレームユニット11の状態でカセット13に収容されて切削装置(加工装置)2に搬入されたすべてのウェーハ1の加工が完了し、ウェーハ1がカセット13に再び収容されるまでの時間が増大する。結果として、カセット13の切削装置2からの搬出が遅れ、カセット13に収容されたすべてウェーハ1の加工効率が低下することとなる。
そこで、フレーム7が変形していてもフレームユニット11をカセット13から搬出できるように、かつ、ウェーハ1の加工効率を低下させないように本実施形態に係る加工装置である切削装置2の制御ユニット50は、以下に説明する構成をさらに備える。すなわち、図2に示す通り、制御ユニット50は、記憶部50aと、昇降制御部50bと、第1搬出制御部50cと、第2搬出制御部50dと、を備える。次に、制御ユニット50の各部について詳述する。
記憶部50aは、制御ユニット50による切削装置2の各部の制御に使用される各種の情報が記憶される。そして、記憶部50aには、カセット13の側壁に形成された互いに上下に隣接する支持溝21の間隔23の値が記憶される。記憶部50aに記憶された支持溝21の間隔23は、カセットテーブル6を昇降させる際に参照される。
昇降制御部50bは、カセットテーブル6を制御して昇降させる機能を有する。そして、昇降制御部50bは、搬出ユニット12による搬出が可能となる高さに搬出の対象となるフレームユニット11が位置付けられるように、記憶部50aに記憶された支持溝21の間隔23に基づいてカセットテーブル6を昇降させる。
複数のフレームユニット11を次々にカセット13から搬出する際、一つのフレームユニット11が搬出された後、支持溝21の間隔23に対応する距離だけカセットテーブル6が昇降され、次のフレームユニット11を搬出する準備がされる。換言すると、本実施形態に係る加工装置である切削装置2では、支持溝21の間隔23等の情報から推定されるフレーム7の予定位置に基づいてカセット13が昇降される。
なお、記憶部50aには、例えば、カセット13の収容空間17におけるフレーム7のすべての予定される高さ位置が登録されることにより、実質的に支持溝21の間隔23が登録されていてもよい。
昇降制御部50bは、記憶部50aに記憶された情報に基づいてカセットテーブル6を昇降させる。例えば、カセットテーブル6にカセット13が載せられた際、最初にカセット13から搬出されるフレームユニット11が搬出ユニット12の搬出作業が可能となる高さに位置付けられるように、カセットテーブル6を昇降させる。その後、次のフレームユニット11をカセット13から搬出する際には、支持溝21の間隔23に対応する距離だけカセットテーブル6を昇降させる。
しかし、フレーム7に歪みが生じて変形している等の場合、カセット13が所定の高さに位置付けられていても、搬出の対象となるフレームユニット11のフレーム7の把持部20に把持される部分が該把持部20による把持が可能な高さに位置しない場合がある。
そこで、第1搬出制御部50cは、搬出ユニット12による搬出作業が実施される前に、搬出ユニット12が備える検出器26を制御し、該検出器26にフレームユニット11のフレーム7の検出動作を実施させる。そして、検出器26により所定の位置にフレーム7が存在するか否かを確認する。
第1搬出制御部50cは、検出器26がフレーム7を検出する場合、搬出ユニット12を制御し、搬出ユニット12の把持部20にフレーム7を把持させて仮置きテーブル10までフレームユニット11を搬出させる。その一方で、検出器26がフレーム7を検出しない場合、少なくとも把持部20が把持できる領域にフレーム7が存在しないことが確認される。本実施形態に係る加工装置である切削装置2では、次に説明する第2搬出制御部50dにより、ここではじめてフレーム7を探索する動作が実施される。
第2搬出制御部50dは、第1搬出制御部50cにより制御された検出器26がフレーム7を検出しない場合にカセットテーブル6を昇降させて検出器26にフレーム7の検出動作を実施させる。より詳細には、カセット13の収容空間17におけるフレーム7が位置していることが想定されていた位置を基準として、その上下で検出器26を用いてフレーム7が探索される。
ここで、検出器26にフレーム7の検出動作を実施させる範囲を検出範囲と呼ぶこととする。検出範囲は、例えば、フレームユニット11のフレーム7に生じる変形の許容される程度に対応するように設定される。フレーム7があまりに大きく変形している場合、切削装置2において、第1の搬送ユニット34及び第2の搬送ユニット48による搬送に適さなくなり、若しくは、チャックテーブル(保持テーブル)32による保持に適さなくなる。または、切削ユニット(加工ユニット)40による切削に適さなくなる。
したがって、切削装置2に搬入するのに適さない程にフレーム7が変形している場合、そのようなフレーム7を検出器26で検出する意味もないため、一定の範囲に絞られた該検出範囲においてだけフレーム7を探索するとよい。例えば、該検出範囲は、支持溝21の間隔23よりも小さい。より詳細には、支持溝21の間隔23が10mmに設定されている場合、例えば、2mmとするとよい。
第2搬出制御部50dは、検出器26が該検出範囲内でフレーム7を検出する場合は搬出ユニット12にフレーム7を把持させて仮置きテーブル10までフレームユニット11を搬出させる。その一方で、検出器26が該検出範囲内でフレーム7を検出しない場合は、搬出ユニット12による搬出が可能な範囲にフレームユニット11が存在せず、フレームユニット11が搬出不能であると判定する。なお、該支持溝21に支持されるフレームユニット11がそもそも存在していない場合にも、搬出不能の判定がなされる。
本実施形態に係る加工装置では、制御ユニット50の各部の機能により、カセット13に収容されたフレームユニット11を次々に搬出する。ここで、仮に全てのフレームユニット11のフレーム7に対して第2搬出制御部50dが検出器26で探索作業を実施する場合においても、収容空間17の全高さにわたってフレーム7の高さの測定作業を実施する場合と比較して作業の総所要時間が短くなる。これは、該検出範囲の総和が収容空間17の高さと比較して小さくなるためである。
次に、以上に説明した制御ユニット50を備える本実施形態に係る加工装置である切削装置2の使用形態の一態様として、カセット13からフレームユニット11を搬出する搬出方法について説明する。図5は、切削装置(加工装置)2においてカセットテーブル6に載るカセット13からフレームユニット11を搬出する搬出方法の各ステップの流れを示すフローチャートである。
該搬出方法では、まず、第1のカセット昇降ステップS10を実施する。第1のカセット昇降ステップS10では、制御ユニット50の昇降制御部50bにカセットテーブル6を制御させてカセット13を昇降させる。そして、搬出ユニット12による搬出が可能となる高さに搬出の対象となるフレームユニット11が位置付けられるように、カセット13を所定の高さに位置付ける。
ここで、昇降制御部50bは、記憶部50aにアクセスしてカセット13を位置付けるべき高さに関する情報を取得する。例えば、記憶部50aに記憶された支持溝21の間隔23の値を参照してカセット13を位置付けるべき高さを算出して、該高さにカセット13を位置付ける。また、例えば、一つのフレームユニット11の搬出が完了した後に次のフレームユニット11を搬出する際には、カセットテーブル6を支持溝21の間隔23だけ昇降させる。
第1のカセット昇降ステップS10を実施した後、第1のフレーム検出ステップS20を実施する。第1のフレーム検出ステップS20では、検出器26にフレーム7の検出動作を実施させ、搬出ユニット12の把持部20が把持できる高さにフレーム7の把持される部分が位置付けられているか否かを検出する。まず、搬出ユニット12の移動体16をカセットテーブル6に載るカセット13に接近させる。そして、検出器26の透光窓からカセット13に向けて光を照射する。
このとき、検出器26の透光窓に戻る該光を検出することで該検出器26でフレーム7を検出する(S21)。すなわち、該光がフレーム7の側面で反射され検出器26の透光窓に到達し検出器26に検出される場合、搬出ユニット12の把持部20で把持できる高さにフレーム7が存在していることが確認される。その一方で、該光がフレーム7の側面で反射されず検出器26に該光が戻らない場合、把持部20で把持できる高さにフレーム7が位置していないことが確認される。
検出器26でフレーム7が検出される場合、フレームユニット搬出ステップS30が実施される。フレームユニット搬出ステップS30では、搬出ユニット12の把持部20でフレームユニット11のフレーム7が把持され、移動体16がカセット13から離れるように動かされ、カセット13からフレームユニット11が仮置きテーブル10に搬出される。
その一方で、第1のフレーム検出ステップS20において、検出器26でフレーム7を検出できない場合、フレーム7を探すためにカセットテーブル6を昇降させながら検出器26によるフレーム7の検出動作を繰り返す。すなわち、この場合、第2のカセット昇降ステップS40と第2のフレーム検出ステップS50とを実施する。
第2のカセット昇降ステップS40では、記憶部50aに記憶された上述の検出範囲に収まる位置でカセット13を昇降させる。そして、第2のフレーム検出ステップS50では、第1のフレーム検出ステップS20と同様に、搬出ユニット12の検出器26にフレーム7の検出動作を実施させる(S51)。そして、フレーム7が検出された場合、その位置でフレームユニット11の搬出が可能であるため、フレームユニット搬出ステップS30を実施して、カセット13からフレームユニット11を搬出する。
その一方で、第2のフレーム検出ステップS50でフレーム7が検出されない場合(S51)、その位置ではフレームユニット11の搬出ができないことが確認される。そして、該検出範囲に他にフレーム7を探索していない高さがある場合(S52)、再び第2のカセット昇降ステップS40と第2のフレーム検出ステップS50を実施し、フレーム7の検出を試みる(S51)。
また、該検出範囲のすべての高さでフレーム7の探索が完了している場合(S52)、少なくとも該検出範囲にフレーム7が存在しないことが確認される。すなわち、搬出ユニット12によるカセット13からのフレームユニット11の搬出について、搬出不能判定がされる(S60)。
この場合、例えば、カセット13に収容されているフレームユニット11のフレーム7が許容される量を超えて大きく変形していることが考えられる。または、搬出の対象となるフレームユニット11が当初からカセット13の収容空間17に存在していないことが考えられる。いずれにせよ、搬出不能判定(S60)となった場合、カセット13に収容された他のフレームユニット11を搬出するために、図5のフローチャートで示す該搬出方法をさらに実施する。
なお、以上に説明した該搬出方法の第1のフレーム検出ステップS20と、それに引き続き実施されるフレームユニット搬出ステップS30は、主に、制御ユニット50の第1搬出制御部50cの機能により実施される。さらに、第2のカセット昇降ステップS40と、第2のフレーム検出ステップS50と、それに引き続き実施されるフレームユニット搬出ステップS30と、搬出不能判定S60と、は主に制御ユニット50の第2搬出制御部50dの機能により実施される。
以上に説明するように、切削装置2に代表される本実施形態に係る加工装置によると、カセット13に収容されたフレームユニット11を搬出する際に、まず、搬出ユニット12で搬出可能な位置にフレーム7が存在するか否かが検出器26により確認される。フレーム7が検出される場合、フレーム7の探索動作が実施されることなくフレームユニット11がカセット13から早期に搬出され、加工装置においてウェーハ1が効率的に加工される。
その一方で、フレーム7が検出されない場合、カセットテーブル6を検出範囲内で昇降させ、フレーム7が探索される。そして、検出範囲内でフレーム7が検出された場合に搬出ユニット12でフレームユニット11を搬出する。そのため、フレーム7に歪みや変形が生じていても、その歪みや変形が許容される程度であれば、フレームユニット11をカセット13から搬出できる。そのため、加工可能なウェーハ1がカセット13に残されることもない。
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、カセット13からのフレームユニット11の搬出が実施される加工装置が切削装置である場合を例に説明したが、本発明の一態様に係る加工装置はこれに限定されない。該加工装置は、フレームユニット11に含まれるウェーハ1をレーザ加工するレーザ加工装置や、ウェーハ1を研削する研削装置、または、ウェーハ1を研磨する研磨装置で、ウェーハ1を洗浄する洗浄装置でもよい。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。