JP7286233B2 - チップの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ウェーハを切削してチップを製造するチップの製造方法に関する。
格子状に設定された分割予定ライン(ストリート)によって区画された複数の領域にそれぞれIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等でなるデバイスが形成されたウェーハを分割予定ラインに沿って分割することにより、デバイスを備える複数のチップ(デバイスチップ)が製造される。このウェーハの分割には、例えば切削装置が用いられる。
切削装置は、ウェーハを保持するチャックテーブルと、ウェーハを切削する円環状の切削ブレードが装着されるスピンドル(回転軸)とを備える。切削ブレードをスピンドルの先端部に装着した状態でスピンドルを回転させると、切削ブレードが回転する。そして、回転する切削ブレードをチャックテーブルによって保持されたウェーハに切り込ませることにより、ウェーハが切削され、分割される。
チップの製造に用いられるウェーハの例としては、シリコンウェーハの他、GaAs等のIII-V族化合物半導体でなるウェーハやサファイアウェーハ等が挙げられる。ただし、このようなウェーハを切削ブレードで切削して分割すると、ウェーハの裏面(下面)側にクラック(欠け)が発生することがある。このクラックがウェーハの分割によって得られたチップに残存するとチップの品質が低下するため、ウェーハの裏面側でのクラックの発生は極力抑制されることが望まれる。
なお、ウェーハの切削によって生じるクラックの形状(進行方向)や発生頻度は、ウェーハの結晶方位に依存することが確認されている。そのため、ウェーハの結晶方位に基づいて分割予定ラインの方向を設定することにより、クラックの発生を抑制する試みがなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2007-242804号公報 特開2016-157872号公報
切削ブレードによってウェーハを切削する際にウェーハの裏面側に生じるクラックは、上記のように分割予定ラインの方向を調整するのみでは十分に低減されないことが多い。例えば、切削ブレードで切削されるウェーハがGaAs等でなる化合物半導体ウェーハである場合には特にクラックが発生しやすく、分割予定ラインの方向の調整に加えて、切削ブレードに含まれる砥粒の大きさや切削ブレードの切り込み深さの最適化等を行っても、ウェーハの裏面側でのクラックの発生を十分に抑制することが困難な場合がある。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、クラックによるチップの品質低下を抑制することが可能なチップの製造方法の提供を目的とする。
本発明の一態様によれば、分割予定ラインが設定されたGaAsウェーハを切削してチップを製造するチップの製造方法であって、該GaAsウェーハの裏面側にダイシングテープを貼着するテープ貼着ステップと、該テープ貼着ステップの後、該ダイシングテープとチャックテーブルの保持面とが対向するように、該GaAsウェーハを該チャックテーブル上に載置する載置ステップと、該載置ステップの後、切削ブレードの下端を該GaAsウェーハの表面よりも下方で且つ該GaAsウェーハの裏面よりも上方に配置した状態で、該切削ブレードと該チャックテーブルとを該分割予定ラインに沿って相対移動させ、該切削ブレードを該GaAsウェーハに所定の深さで切り込ませることにより、該GaAsウェーハに切り残し部を残して切削溝を形成するとともに該切削溝から該GaAsウェーハの裏面に達するクラックを該切り残し部に生じさせる第1切削ステップと、該第1切削ステップの後、該切削ブレードの下端を該GaAsウェーハの裏面よりも下方で且つ該ダイシングテープの下面よりも上方に配置した状態で、該切削ブレードと該チャックテーブルとを該切削溝に沿って相対移動させ、該切削ブレードを該切削溝の溝底に切り込ませる第2切削ステップと、を含み、該第1切削ステップでは、該切り残し部の厚さが5μm以上10μm以下となるように該切削ブレードを該GaAsウェーハに切り込ませ、該第2切削ステップにおいて該GaAsウェーハが切削される際に生じるクラックは、該第1切削ステップで生じた該クラックに沿って進行するチップの製造方法が提供される。
なお、好ましくは、該第2切削ステップでは、該切削ブレードが該GaAsウェーハを裏面側から表面側に向かって切削する方向に該切削ブレードを回転させて、該GaAsウェーハを切削する。
本発明の一態様に係るチップの製造方法は、切削ブレードをウェーハに所定の深さで切り込ませることにより、ウェーハに切削溝を形成するとともに切削溝からウェーハの裏面に達するクラックを生じさせる第1切削ステップと、切削ブレードを切削溝の溝底に切り込ませる第2切削ステップと、を含む。そして、第2切削ステップにおいてウェーハが切削される際に生じるクラックは、第1切削ステップで生じたクラックに沿って進行する。
上記のチップの製造方法を用いることにより、切削ブレードでウェーハを分割する際に生じるクラックが切削溝の外側に進行することを防止できる。これにより、ウェーハの分割によって得られるチップにクラックが残存することを防止し、チップの品質の低下を抑制することができる。
切削装置を示す斜視図である。 ウェーハを示す斜視図である。 チャックテーブルによってウェーハを保持する切削装置を示す断面図である。 図4(A)は第1切削ステップでの切削装置を示す断面図であり、図4(B)は第1切削ステップでのウェーハの一部を拡大して示す断面図である。 ウェーハをダウンカットで切削する切削装置を示す断面図である。 図6(A)は第2切削ステップでの切削装置を示す断面図であり、図6(B)は第2切削ステップでのウェーハの一部を拡大して示す断面図である。 ウェーハをアップカットで切削する切削装置を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明の一態様に係る実施形態を説明する。まず、本実施形態に係るチップの製造方法に用いることが可能な切削装置の構成例について説明する。図1は、切削装置2を示す斜視図である。
切削装置2は、切削装置2を構成する各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の前方の角部には開口4aが形成されており、この開口4aの内部には昇降機構(不図示)によってZ軸方向(鉛直方向、上下方向)に移動するカセット支持台6が設けられている。カセット支持台6の上面には、切削装置2によって切削加工が施される複数のウェーハ11を収容可能なカセット8が搭載される。なお、図1ではカセット8の輪郭を二点鎖線で示している。
図2は、ウェーハ11を示す斜視図である。ウェーハ11は、例えばGaAs等の化合物半導体を用いて円盤状に形成されており、表面11a及び裏面11bを備える。本実施形態では、ウェーハ11としてGaAs単結晶でなるGaAsウェーハを用いる。
ウェーハ11は互いに交差するように格子状に設定された分割予定ライン(ストリート)13によって複数の領域に区画されており、この領域の表面11a側にはそれぞれ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、LED(Light Emitting Diode)等でなるデバイス15が形成されている。
なお、ウェーハ11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えばウェーハ11は、GaAs以外の半導体(Si、InP、GaN、SiC等)、サファイア、ガラス、セラミックス、樹脂、金属等の材料でなる任意の形状のウェーハであってもよい。また、デバイス15の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。
ウェーハ11の裏面11b側には、ウェーハ11より径の大きい円形のダイシングテープ(粘着テープ)17が貼着される。例えばダイシングテープ17は、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート等の樹脂でなる基材上に、ゴム系やアクリル系の粘着層(糊層)を形成することによって得られる柔軟なフィルムである。
ダイシングテープ17の外周部は、ウェーハ11より径の大きい円形の開口19aを中央部に備える環状のフレーム19に貼着される。そのため、ウェーハ11は、開口19aの内側に配置された状態で、ダイシングテープ17を介してフレーム19によって支持される。そして、ウェーハ11はフレーム19で支持された状態で図1に示すカセット8に収容される。
開口4aの後方には、ウェーハ11のカセット8からの搬出、及びウェーハ11のカセット8への搬入を行う搬送ユニット(搬送機構)10が設けられている。搬送ユニット10は、Y軸方向(割り出し送り方向、前後方向)に沿って移動可能に構成されている。また、搬送ユニット10のカセット8側に位置する端部には、ウェーハ11を支持するフレーム19の端部を把持する把持部10aが設けられている。
カセット8と搬送ユニット10との間には、カセット8から搬出されたウェーハ11、又はカセット8に搬入されるウェーハ11が仮置きされる仮置き領域12が設けられている。この仮置き領域12には、Y軸方向に沿って互いに概ね平行に配置された一対のガイドレール14が設けられている。一対のガイドレール14は、X軸方向(加工送り方向、左右方向)に沿って互いに接近及び離隔するように移動する。
仮置き領域12の近傍には、ウェーハ11を支持するフレーム19を吸引保持してウェーハ11を搬送する搬送ユニット(搬送機構)16が設けられている。また、カセット8の側方には、ウェーハ11を保持するチャックテーブル18が設けられている。
チャックテーブル18は、モータ等の回転駆動源(不図示)と接続されており、Z軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、チャックテーブル18の下方には移動機構(不図示)が設けられており、この移動機構はチャックテーブル18をX軸方向に沿って移動させる。さらに、チャックテーブル18の周囲には、ウェーハ11を支持するフレーム19を四方から固定する4個のクランプ20が設けられている。
チャックテーブル18の上面は、ウェーハ11を保持する保持面18aを構成する。この保持面18aは、チャックテーブル18の内部に形成された吸引路(不図示)等を介して吸引源(不図示)と接続されている。
ウェーハ11を加工する際は、まず、カセット8に収容されたウェーハ11を支持するフレーム19を、搬送ユニット10の把持部10aで把持する。この状態で搬送ユニット10をY軸方向に沿って後方に移動させると、ウェーハ11がカセット8から引き出される。このようにしてカセット8から搬出されたウェーハ11は、仮置き領域12に仮置きされる。
仮置き領域12に設けられた一対のガイドレール14は、ウェーハ11を支持するフレーム19を支持した状態で、互いに接近するようにX軸方向に沿って移動する。これにより、フレーム19が一対のガイドレール14によって挟まれ、ウェーハ11の位置合わせが行われる。その後、ウェーハ11は搬送ユニット16によって吸引保持され、チャックテーブル18上に搬送される。
チャックテーブル18の上方には、チャックテーブル18によって保持されたウェーハ11を切削する切削ユニット22が設けられている。切削ユニット22は、先端部にウェーハ11を切削する環状の切削ブレード44(図3参照)が装着されるスピンドル42(図3参照)を備える。また、切削ユニット22は移動機構(不図示)と接続されており、この移動機構は切削ユニット22をY軸方向及びZ軸方向に沿って移動させる。
さらに、切削ユニット22は純水等の切削液を供給するためのノズル(不図示)を備える。切削ユニット22によってウェーハ11を切削する際、このノズルからウェーハ11及び切削ブレード44(図3参照)に切削液が供給される。これにより、ウェーハ11及び切削ブレード44が冷却されるとともに、切削によって生じた屑(切削屑)が洗い流される。
また、切削装置2は、切削ユニット22によるウェーハ11の加工が行われる処理空間を覆うカバー24を備える。このカバー24は、切削ユニット22の前方及び上方を覆うように設けられている。切削ユニット22でウェーハ11を加工する際、チャックテーブル18及び切削ユニット22の周囲をカバー24で覆うことにより、切削液や加工屑が処理空間の外部に飛散することを防止できる。なお、ウェーハ11の加工中、カバー24は閉じた状態でロックされるため、ウェーハ11や切削ユニット22の露出が防止され、加工が安全に実施される。
チャックテーブル18の移動経路の上方には、ウェーハ11に設定された分割予定ライン13の位置を検出する検出ユニット(検出機構)26が設けられている。検出ユニット26は、チャックテーブル18によって保持されたウェーハ11を撮像するカメラ等で構成される撮像ユニット28を備える。撮像ユニット28によって取得されたウェーハ11の画像に基づき、チャックテーブル18によって保持されたウェーハ11と切削ユニット22との位置合わせが行われる。
チャックテーブル18の後方には、ウェーハ11を洗浄する洗浄ユニット30が設けられている。また、洗浄ユニット30の上方には、ウェーハ11をチャックテーブル18上から洗浄ユニット30に搬送する搬送ユニット(搬送機構)32が設けられている。
切削ユニット22によるウェーハ11の加工が完了すると、ウェーハ11が搬送ユニット32によってチャックテーブル18上から洗浄ユニット30に搬送され、洗浄ユニット30によるウェーハ11の洗浄及び乾燥が行われる。その後、ウェーハ11は搬送ユニット16によって一対のガイドレール14上に搬送された後、搬送ユニット10によってカセット8に収容される。
切削装置2の上部には、撮像ユニット28によって撮像された画像や、オペレータに参照される各種の情報などを表示する表示部34が設けられている。また、基台4の前方側には、オペレータが加工条件等の情報を入力するための操作パネル36が設けられている。
上記の切削装置2を用いてウェーハ11を分割予定ライン13(図2参照)に沿って切削して分割することにより、デバイス15をそれぞれ備える複数のチップ(デバイスチップ)が製造される。以下、本実施形態に係るチップの製造方法の具体例を説明する。
まず、図2に示すように、ウェーハ11の裏面11b側にダイシングテープ17を貼着する(テープ貼着ステップ)。そして、ダイシングテープ17が貼着された状態のウェーハ11をカセット8(図1参照)に収容し、カセット8をカセット支持台6上に載置する。
次に、ウェーハ11をチャックテーブル18上に載置する(載置ステップ)。具体的には、まず、カセット8に収容されたウェーハ11を搬送ユニット10によって引き出し、仮置き領域12に搬送する。その後、一対のガイドレール14でウェーハ11の位置合わせを行った後、搬送ユニット16によってウェーハ11をチャックテーブル18上に載置する。
図3は、チャックテーブル18によってウェーハ11を保持する切削装置2を示す断面図である。ウェーハ11は、ウェーハ11の裏面11b側に貼着されたダイシングテープ17とチャックテーブル18の保持面18aとが対向するように、チャックテーブル18上に載置される。また、ウェーハ11を支持するフレーム19がクランプ20によって固定される。
この状態で保持面18aに吸引源の負圧を作用させると、ウェーハ11は表面11a側が上方に露出した状態でチャックテーブル18によって吸引保持される。そして、ウェーハ11を保持したチャックテーブル18は、切削ユニット22の下方に位置付けられる。
切削ユニット22は、切削ユニット22のY軸方向及びZ軸方向における位置を制御する移動機構(不図示)に固定された筒状のハウジング40を備える。ハウジング40の内部には、Y軸方向に概ね平行に配置され回転軸として機能するスピンドル42が収容されている。スピンドル42の一端側の先端部はハウジング40の外部に露出しており、この先端部にはウェーハ11を切削する環状の切削ブレード44が装着される。
なお、切削ブレード44の材質等に制限はない。例えば切削ブレード44としては、ダイヤモンド等でなる砥粒をニッケル等でなるめっき層で固定して形成された環状の切刃を備える電鋳ハブブレードや、砥粒を金属、セラミックス、樹脂等でなるボンド材で固定して形成された環状の切刃からなるワッシャータイプのブレード等が用いられる。
スピンドル42の他端側は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されている。スピンドル42の先端部に装着された切削ブレード44は、スピンドル42を介して伝達される回転駆動源の動力によって回転する。
次に、切削ブレード44をウェーハ11に所定の深さで切り込ませることにより、ウェーハ11に切削溝を形成する(第1切削ステップ)。図4(A)は第1切削ステップでの切削装置2を示す断面図であり、図4(B)は第1切削ステップでのウェーハ11の一部を拡大して示す断面図である。
第1切削ステップでは、まず、チャックテーブル18を回転させて、一の分割予定ライン13(図2参照)の長さ方向を切削装置2の加工送り方向(X軸方向)に合わせる。また、切削ブレード44の下端がウェーハ11の表面11aよりも下方で且つウェーハ11の裏面11bよりも上方に配置されるように、切削ユニット22の高さを調整する。さらに、該一の分割予定ライン13の延長線上に切削ブレード44が配置されるように、切削ユニット22の割り出し送り方向(Y軸方向)における位置を調整する。
その後、切削ブレード44を回転させながら、チャックテーブル18を加工送り方向に沿って移動させる。これにより、チャックテーブル18と切削ユニット22とが分割予定ライン13に沿って相対的に移動し、切削ブレード44が分割予定ライン13に沿ってウェーハ11に所定の深さ(切り込み深さD、図4(B)参照)で切り込む。その結果、ウェーハ11が切削され、ウェーハ11の表面11a側には深さがウェーハ11の厚さ未満である線状の切削溝11cが分割予定ライン13に沿って形成される。
なお、仮に第1切削ステップで切削ブレード44をウェーハ11の厚さを超える深さで切り込ませてウェーハ11を分割すると、ウェーハ11の裏面11bには、切り口(カーフ)からはみ出すようにクラック(欠け)が形成されることがある。このクラックがウェーハ11の分割によって得られたチップに残存すると、チップの品質が低下する。
特に、ウェーハ11がGaAsウェーハである場合に切削ブレード44をウェーハ11の厚さを超える深さで切り込ませると、ウェーハ11の裏面11bにクラックが発生しやすいことが確認されている。この現象は、GaAsウェーハの硬さや脆さ等の性質の他、切削時に発生するクラックの進行方向がGaAsの結晶方位に依存することに起因していると考えられる。具体的には、GaAsウェーハには、GaAsの結晶方位に応じてクラックが進行しやすい方向と進行しにくい方向とが存在することが確認されている。
分割予定ライン13がクラックの進行しやすい方向と交差するように設定されている場合、分割予定ライン13に沿ってウェーハ11を切削すると、クラックが分割予定ライン13の外側に向かって進行して分割予定ライン13からはみ出しやすい。一方、分割予定ライン13をクラックの進行しやすい方向に沿って設定すれば、クラックが分割予定ライン13からはみ出しにくくなることが期待される。
しかしながら、図2に示すように分割予定ライン13は2方向に沿って格子状に設定されており、全ての分割予定ライン13をクラックの進行しやすい方向に沿って設定することは困難である。そのため、ウェーハ11切削する際には、クラックの進行方向がウェーハ11の結晶方位の影響を受けずに制御されることが望まれる。
そこで、本実施形態ではまず、第1切削ステップで切削ブレード44をウェーハ11の裏面11bの近傍まで切り込ませて切削溝11cを形成する。すなわち、第1切削ステップではウェーハ11が切断されない。その結果、図4(B)に示すように、ウェーハ11の裏面11b側には切削溝11cが形成されていない領域に相当する切り残し部11eが形成される。図4(B)では、切り残し部11eの厚さをTで示している。
このように切削ブレード44でウェーハ11を切削すると、切削ブレード44がウェーハ11に切り込む際にウェーハ11にかかる負荷(加工負荷)により、切り残し部11eにクラック21が形成される。このクラック21は、切削ブレード44がウェーハ11に切り込む方向、すなわち、切削溝11cの溝底11dから下方に向かって進行し、ウェーハ11の裏面11bの切削溝11cと重なる領域に到達する。
そのため、ウェーハ11に切削溝11cを形成すると、ウェーハ11の裏面11bのうち切削溝11cと重なる位置には、分割予定ライン13の内側の領域(隣接するデバイス15間に対応する領域)に沿って線状のクラックが形成される。
なお、第1切削ステップにおける切削ブレード44の切り込み深さDは、ウェーハ11及び切削ブレード44の材質、切削ブレード44の回転数等に基づき、切削溝11cの内部で生じたクラック21がウェーハ11の裏面11bに達するように調整される。例えば、ウェーハ11として厚さ400μmのGaAsウェーハを用いる場合には、切り残し部11eの厚さTが10μm以下、すなわち切削ブレード44の切り込み深さDが390μm以上となるように切削ブレード44をウェーハ11に切り込ませると、クラック21が適切に形成されることが確認された。
ただし、切り残し部11eの厚さTが特に小さい場合、上記のクラック21に加え、切削溝11cの内部からウェーハ11の裏面11bのうち切削溝11cの外側の領域(切削溝11cと重ならない領域)に達するクラックが形成される可能性がある。そのため、切り残し11eの厚さTは、クラック21のみが形成されるように設定されることが好ましい。例えば、ウェーハ11としてGaAsウェーハを用いる場合には、切り残し部11eの厚さを5μm以上、すなわち切削ブレード44の切り込み深さDを395μm以下とすることが好ましい。
その後、同様の手順を繰り返し、全ての分割予定ライン13に沿って切削溝11cを形成する。これにより、ウェーハ11の表面11a側には分割予定ライン13に沿って格子状の切削溝11cが形成される。また、ウェーハ11の裏面11bの切削溝11cと重なる位置には格子状のクラックが形成される。
なお、第1切削ステップでは、切削ブレード44がウェーハ11を表面11a側から裏面11b側に向かって切削する方向に切削ブレード44を回転させる、所謂ダウンカットによってウェーハ11を切削することが好ましい。図5は、ウェーハ11をダウンカットで切削する切削装置2を示す断面図である。
切削ブレード44を矢印Aで示す方向(図5で反時計回り)に回転させながら、チャックテーブル18を矢印Bで示す方向に移動させて加工送りを行うと、切削ブレード44はウェーハ11を表面11a側から裏面11b側に向かって切削する。第1切削ステップにおいてダウンカットでウェーハ11を切削することにより、クラック21が切削溝11cの溝底11dからウェーハ11の裏面11bに向かって進行しやすくなる。
ただし、第1切削ステップでのウェーハ11の切削は上記の方法に限定されない。すなわち、切削ブレード44がウェーハ11を裏面11b側から表面11a側に向かって切削する方向に切削ブレード44を回転させる、所謂アップカット(図7参照)によってウェーハ11を切削してもよい。
次に、切削ブレード44を切削溝11cの溝底11dに切り込ませる(第2切削ステップ)。図6(A)は第2切削ステップでの切削装置2を示す断面図であり、図6(B)は第2切削ステップでのウェーハ11の一部を拡大して示す断面図である。
第2切削ステップでは、まず、チャックテーブル18を回転させて、一の切削溝11cの長さ方向を切削装置2の加工送り方向(X軸方向)に合わせる。また、切削ブレード44の下端がウェーハ11の裏面11bよりも下方で且つダイシングテープ17の下面よりも上方に配置されるように、切削ユニット22の高さを調整する。さらに、該一の切削溝11cの延長線上に切削ブレード44が配置されるように、切削ユニット22の割り出し送り方向(Y軸方向)における位置を調整する。
その後、切削ブレード44を回転させながら、チャックテーブル18を加工送り方向に沿って移動させる。これにより、チャックテーブル18と切削ユニット22とが切削溝11cに沿って相対的に移動し、切削ブレード44が切削溝11cの溝底11dに切り込む。その結果、ウェーハ11が切削溝11cに沿って分割される。なお、このときダイシングテープ17は切断されないため、分割後のウェーハ11の配置はダイシングテープ17によって維持される。
切削ブレード44を切削溝11cの溝底11dに切り込ませると、切削ブレード44とウェーハ11との接触領域からクラック(不図示)が生じる。仮にこのクラックが切削溝11cの外側まで進行すると、ウェーハ11の分割によって得られたチップにクラックが残存し、チップの品質が低下することがある。
本実施形態では、第1切削ステップの実施によって切削溝11cからウェーハ11の裏面11bに至るクラック21が形成されており、このクラック21はウェーハ11の裏面11bのうち切削溝11cと重なる領域に達している。この状態で第2切削ステップを実施すると、切削ブレード44とウェーハ11との接触領域で生じたクラックがクラック21に誘導され、クラック21に沿って進行する。そのため、ウェーハ11を切断する際に生じるクラックが切削溝11cの外側に進行することを防止できる。
その後、同様の手順を繰り返し、全ての分割予定ライン13に沿ってウェーハ11を切削する。これにより、ウェーハ11が分割予定ライン13によって区画された複数の領域に分割され、デバイス15(図2参照)をそれぞれ備える複数のチップが製造される。これらのチップは、例えばパーソナルコンピュータや携帯電話に代表される各種の電子機器に搭載される。
なお、第2切削ステップでは、切削ブレード44がウェーハ11を裏面11b側から表面11a側に向かって切削する方向に切削ブレード44を回転させる、所謂アップカットによってウェーハ11を切削することが好ましい。図7は、ウェーハ11をアップカットで切削する切削装置2を示す断面図である。
切削ブレード44を矢印Cで示す方向(図7で時計回り)に回転させながら、チャックテーブル18を矢印Dで示す方向に移動させて加工送りを行うと、切削ブレード44はウェーハ11を裏面11b側から表面11a側に向かって切削する。なお、第1切削ステップでダウンカットを行い第2切削ステップでアップカットを行う場合には、切削ブレード44の回転方向(図5の矢印A、図7の矢印C)を変える代わりに、加工送り方向(図5の矢印B、図7の矢印D)を変えることによって、ダウンカットとアップカットとを切り替えることもできる。
第2切削ステップにおいてウェーハ11を上記のようにアップカットで切削すると、ウェーハ11の裏面11b側でのクラックの残存がより効果的に低減されることが確認された。この結果から、ウェーハ11をアップカットで切削すると、ダウンカットと比較してウェーハ11と切削ブレード44との接触領域で生じるクラックがクラック21に沿って進行しやすく、切削溝11cの外側に進行しにくくなると推察される。
以上の通り、本実施形態に係るチップの製造方法は、切削ブレード44をウェーハ11に所定の深さで切り込ませることにより、ウェーハ11に切削溝11cを形成するとともに切削溝11cからウェーハ11の裏面11bに達するクラック21を生じさせる第1切削ステップと、切削ブレード44を切削溝11cの溝底11dに切り込ませる第2切削ステップと、を含む。そして、第2切削ステップにおいてウェーハ11が切削される際に生じるクラックは、第1切削ステップで生じたクラック21に沿って進行する。
上記のチップの製造方法を用いることにより、切削ブレード44でウェーハ11を分割する際に生じるクラックが切削溝11cの外側に進行することを防止できる。これにより、ウェーハ11の分割によって得られるチップにクラックが残存することを防止し、チップの品質の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態では、第1切削ステップによって形成される全てのクラック21が、ウェーハ11の裏面11bの切削溝11cと重なる領域に達するように形成される場合について説明した。ただし、ウェーハ11の分割によって得られるチップの品質に問題が生じない範囲内であれば、例えば一部のクラック21が切削溝11cの外側に僅かにはみ出していてもよい。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
11 ウェーハ
11a 表面
11b 裏面
11c 切削溝
11d 溝底
11e 切り残し部
13 分割予定ライン(ストリート)
15 デバイス
17 ダイシングテープ(粘着テープ)
19 フレーム
19a 開口
21 クラック
2 切削装置
4 基台
4a 開口
6 カセット支持台
8 カセット
10 搬送ユニット(搬送機構)
10a 把持部
12 仮置き領域
14 ガイドレール
16 搬送ユニット(搬送機構)
18 チャックテーブル
18a 保持面
20 クランプ
22 切削ユニット
24 カバー
26 検出ユニット(検出機構)
28 撮像ユニット
30 洗浄ユニット
32 搬送ユニット(搬送機構)
34 表示部
36 操作パネル
40 ハウジング
42 スピンドル
44 切削ブレード

Claims (2)

  1. 分割予定ラインが設定されたGaAsウェーハを切削してチップを製造するチップの製造方法であって、
    GaAsウェーハの裏面側にダイシングテープを貼着するテープ貼着ステップと、
    該テープ貼着ステップの後、該ダイシングテープとチャックテーブルの保持面とが対向するように、該GaAsウェーハを該チャックテーブル上に載置する載置ステップと、
    該載置ステップの後、切削ブレードの下端を該GaAsウェーハの表面よりも下方で且つ該GaAsウェーハの裏面よりも上方に配置した状態で、該切削ブレードと該チャックテーブルとを該分割予定ラインに沿って相対移動させ、該切削ブレードを該GaAsウェーハに所定の深さで切り込ませることにより、該GaAsウェーハに切り残し部を残して切削溝を形成するとともに該切削溝から該GaAsウェーハの裏面に達するクラックを該切り残し部に生じさせる第1切削ステップと、
    該第1切削ステップの後、該切削ブレードの下端を該GaAsウェーハの裏面よりも下方で且つ該ダイシングテープの下面よりも上方に配置した状態で、該切削ブレードと該チャックテーブルとを該切削溝に沿って相対移動させ、該切削ブレードを該切削溝の溝底に切り込ませる第2切削ステップと、を含み、
    該第1切削ステップでは、該切り残し部の厚さが5μm以上10μm以下となるように該切削ブレードを該GaAsウェーハに切り込ませ、
    該第2切削ステップにおいて該GaAsウェーハが切削される際に生じるクラックは、該第1切削ステップで生じた該クラックに沿って進行することを特徴とするチップの製造方法。
  2. 該第2切削ステップでは、該切削ブレードが該GaAsウェーハを裏面側から表面側に向かって切削する方向に該切削ブレードを回転させて、該GaAsウェーハを切削することを特徴とする請求項1に記載のチップの製造方法。
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