<第1の実施の形態>
〔全体構成〕
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタ1は、電子写真方式のレーザビームプリンタである。プリンタ1は、図1に示すように、給送ユニットU1と、画像形成ユニットU2と、定着ユニット50と、反転搬送ユニットU3と、両面搬送ユニットU4と、を有している。画像形成ユニットU2は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4つのプロセスカートリッジ4Y,4M,4C,4Kと、スキャナユニット5と、を備えている。
なお、4つのプロセスカートリッジ4Y,4M,4C,4Kは、形成する画像の色が異なること以外は同じ構成である。そのため、プロセスカートリッジ4Yの構成及び画像形成プロセスのみを説明し、プロセスカートリッジ4M,4C,4Kの説明は省略する。
プロセスカートリッジ4Yは、感光ドラム8と、帯電ローラ9と、現像ローラ6と、供給ローラ7と、クリーニングブレード10と、を有している。感光ドラム8は、アルミシリンダの外周に有機光導電層を塗布して構成され、不図示の駆動モータによって回転する。供給ローラ7は、現像ローラ6にトナーを含む現像剤を供給する。また、画像形成ユニットU2には、駆動ローラ11b及びテンションローラ11aに巻き掛けられた中間転写ベルト11が設けられ、中間転写ベルト11の内側には、1次転写ローラ15Y,15M,15C,15Kが設けられている。また、中間転写ベルト11を挟むように、駆動ローラ11bに対向して2次転写ローラ11cが設けられており、中間転写ベルト11及び2次転写ローラ11cは、搬送されるシートPに画像を転写する画像形成部としての2次転写部N1を形成している。
給送ユニットU1は、シートPを収容するカセット16と、カセット16に昇降可能に支持される中板29と、中板29に支持されたシートPを給送するピックアップローラ17と、レジストレーションローラ対18と、を有している。定着ユニット50は、ヒータ54を内蔵する定着ローラ51と、定着ローラ51に圧接する加圧ローラ53と、を有し、これら定着ローラ51及び加圧ローラ53によって形成される定着部N2においてシートPに熱及び圧力を付与する。また、定着ユニット50は、定着部N2によって搬送されたシートPを搬送する搬送ローラ対13及び排出ローラ対25を有している。反転搬送ユニットU3は、画像が形成されたシートPを反転させる反転部としての反転ローラ対20を有している。両面搬送ユニットU4は、反転搬送ユニットU3によって両面搬送路R4に搬送されたシートPを搬送する搬送ローラ対21,22,24を有している。
次に、このように構成されたプリンタ1の画像形成動作について説明する。不図示のパソコン等から画像信号がスキャナユニット5に入力されると、スキャナユニット5から、画像信号に対応したレーザ光がプロセスカートリッジ4Yの感光ドラム8上に照射される。
このとき感光ドラム8は、帯電ローラ9により表面が予め所定の極性・電位に一様に帯電されており、スキャナユニット5からレーザ光が照射されることによって表面に静電潜像が形成される。感光ドラム8に形成された静電潜像は、現像ローラ6により現像され、感光ドラム8上にイエロー(Y)のトナー像が形成される。
同様にして、プロセスカートリッジ4M,4C,4Kの各感光ドラムにもスキャナユニット5からレーザ光が照射され、各感光ドラムにマゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成される。各感光ドラム上に形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ15Y,15M,15C,15Kにより中間転写ベルト11に転写され、駆動ローラ11bによって回転する中間転写ベルト11により2次転写部N1まで搬送される。なお、各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト11上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。なお、1次転写ローラ15Yによってトナー像が転写された後に感光ドラム8に残ったトナーは、クリーニングブレード10によって回収される。
この画像形成プロセスに並行して、中板29上のシートPがピックアップローラ17に当接するように、中板29が上昇する。シート支持部としての中板29に支持されたシートPは、給送部としてのピックアップローラ17により給送搬送路R1に送り出される。なお、ピックアップローラ17によって給送されたシートPは、不図示の分離ローラ対により1枚ずつに分離される。また、分離ローラ対の代わりに、ピックアップローラ17に対向する分離パッド等によってシートを1枚ずつに分離してもよい。
そして、シートPは、レジストレーションローラ対18のニップ部のシート搬送方向における上流に設けられるシャッタ部材に突き当たる。このシャッタ部材は、バネ部材によって給送搬送路R1に突出する位置に付勢されている。シートPは、シャッタ部材に突き当たってループを形成することで斜行が補正され、シートPのコシがバネ部材の付勢力を上回ると、シャッタ部材を押し上げて搬送される。シャッタ部材を通過したシートPは、レジストセンサ34にシートPの先端が到達したタイミングを基準に、マージポイント35でシートPの先端位置と中間転写ベルト11上に形成されたトナー像の先端位置とが合うように搬送される。
そして、シートPには、2次転写ローラ11cに印加された二次転写バイアスによって、2次転写部N1において中間転写ベルト11上のフルカラーのトナー像が転写される。中間転写ベルト11に残存したトナーは、不図示のクリーニング装置によってクリーニングされる。トナー像が転写されたシートPは、定着部N2において所定の熱及び圧力が付与されて、トナーが溶融固着(定着)される。定着部N2を通過したシートPは、搬送ローラ対13によって搬送されつつ案内部材19によって排出搬送路R2に案内され、排出ローラ対25によって排出トレイ14に排出される。
シートPの両面に画像を形成する両面印刷ジョブが入力された際には、2次転写部N1によって表面に画像が形成されたシートPは、案内部材19によって反転搬送路R3に案内される。そして、シートPは、反転ローラ対20によって反転され、両面搬送路R4に搬送される。両面搬送路R4に案内されたシートPは、搬送ローラ対21,22,24によって再びレジストレーションローラ対18に搬送され、2次転写部N1によって裏面に画像が形成され、排出ローラ対25によって排出トレイ14に排出される。
プリンタ1の搬送路上には、シートPを検知する複数のセンサが配置されている。具体的には、給送搬送路R1に沿った位置において、レジストレーションローラ対18と2次転写部N1との間にはレジストセンサ34が配置され、2次転写部N1と定着部N2との間にはループセンサ30が配置されている。また、搬送ローラ対13のシート搬送方向における下流には、排出センサ33が配置され、反転ローラ対20の搬送ローラ対13とは反対側には、反転センサ32が配置されている。両面搬送路R4に沿った位置において、搬送ローラ対22,23の間には、再給送待機センサ23が配置されている。
これら各センサは、本実施の形態では、シートPによって押圧されて回動するフラグ部材と、フラグ部材の回動に応じてON又はOFFされるフォトセンサと、を有しているが、これに限定されない。例えば、各センサは、超音波センサや反射型のフォトセンサ等から構成されてもよい。
ループセンサ30は、2次転写部N1と定着部N2とに挟持されたシートPのたわみ量を検知する。2次転写部N1によってシートPに転写された未定着のトナーは、振動や衝撃等で飛散してしまうことがあるため、2次転写部N1と定着部N2とに挟持されたシートPは、適切なたわみ量が維持されることが好ましい。そこで、後述するように、シートPのたわみ量が所定の閾値を超えた場合、ループセンサ30はONし、ループセンサ30のON信号に伴って定着ローラ51及び加圧ローラ53のシート搬送速度を上昇する定着ループ制御が実行される。
排出センサ33は、搬送ローラ対13にシートPが到達したことを検知する。例えば両面印刷時のようにシートPを反転ローラ対20に搬送する際には、案内部材19は、排出センサ33がシートPの先端を検知したタイミングを基準に回動し、シートPを反転ローラ対20に案内する。また、案内部材19は、シートPの後端が排出センサ33を抜けるタイミングを基準に、シートPが案内部材19を抜けた後、反転ローラ対20によって反転されたシートPを両面搬送路R4に案内する位置に回動する。
[制御系]
次に、本実施の形態に係るプリンタ1の制御系について説明する。プリンタ1の制御ユニット60は、図1に示すように、CPU60a、ROM60b及びRAM60cを有している。CPU60aは、ROM60bに格納された各種のプログラムを実行可能である。RAM60cは、CPU60aの作業領域として機能する。
また、制御ユニット60は、図2に示すように、画像形成制御部61と、給送制御部62と、反転搬送制御部63と、定着制御部64と、ビデオインターフェイス部67と、を有し、コントローラ65を介してホストコンピュータ66に接続されている。コントローラ65は、ホストコンピュータ66及び制御ユニット60と相互に通信可能となっている。
コントローラ65は、ホストコンピュータ66から印刷データを受け取ると、印刷データを展開し、画像形成するための画像データへ変換する。そして、コントローラ65は、その画像データに基づいて露光するための4色分の露光用のビデオ信号を生成し、制御ユニット60のビデオインターフェイス部67に対し印字開始を指示する。
ビデオインターフェイス部67は、コントローラ65から印字開始指示を受信すると、画像形成制御部61に対して印字開始指示を送信する。画像形成制御部61は、受信した印字開始指示に基づいて、各種アクチュエータを起動し、上述した画像形成プロセスの準備を開始する。画像形成制御部61は、画像形成の準備が整うと、ビデオインターフェイス部67を介して画像形成準備完了をコントローラ65に通知する。コントローラ65は、画像形成準備完了を受信すると、ビデオインターフェイス部67にビデオ信号を送信する。画像形成制御部61は、ビデオインターフェイス部67で受信したビデオ信号に基づいて画像形成を行う。
制御部としての給送制御部62は、画像形成制御部61の受信した印字開始タイミングを基準に、給送ユニットU1によってシートPを給送する。給送制御部62は、その機能ブロックとして、給送手段71、給送モータ駆動手段72、給送加減速手段73、給送加減速タイミング計算手段74及びシート先端検知手段75を有している。
給送手段71は、後述する給送モータ40が駆動している状態で、ピックアップソレノイド17aを駆動することで、ピックアップローラ17及び不図示の分離ローラ対を駆動する。給送モータ駆動手段72は、第1駆動源としての給送モータ40を駆動する。本実施の形態において、給送モータ40は、図1及び図2に示すように、ピックアップローラ17、レジストレーションローラ対18及び搬送ローラ対21,22,24を駆動する。また、第2駆動源としての定着モータ41は、定着ローラ51、搬送ローラ対13、排出ローラ対25及び反転ローラ対20を駆動する。
給送加減速手段73は、給送モータ40の回転速度を変更してピックアップローラ17及びレジストレーションローラ対18によって給送されるシートの搬送速度を変更する給送加減速制御を実行する。すなわち、給送加減速手段73は、給送モータ40を制御することでピックアップローラ17によって給送されるシートの搬送速度を変更可能である。給送加減速制御によって、中間転写ベルト11によって搬送されるトナー像の先端とシートの先端とをマージポイント35で位置合わせする。
給送加減速タイミング計算手段74は、上記給送加減速制御の開始タイミングを、後述する算出方法で算出する。シート先端検知手段75は、レジストセンサ34が出力する検知信号に基づいて、シートの先端がレジストセンサ34に到達したことを検知する。なお、給送加減速タイミング計算手段74は、シートの先端がレジストセンサ34に到達したタイミングで、上記給送加減速制御の開始タイミングを算出する。
定着制御部64は、画像形成制御部61の印字開始タイミングを基準に、定着モータ41を制御する定着モータ駆動手段64aを有し、定着モータ41で駆動される定着ローラ51、搬送ローラ対13及び排出ローラ対25によってシートを搬送する。また、定着モータ駆動手段64aは、ループセンサ30の検知結果に基づいて、2次転写部N1及び定着部N2によって挟持されるシートの姿勢が一定となるように、定着モータ41の回転速度を制御する(以下、定着ループ制御と称する)。
反転搬送制御部63は、画像形成制御部61の印字開始タイミングを基準に、反転搬送ユニットU3が有する反転センサ32及び再給送待機センサ23の検知結果に基づいて、両面クラッチ81及び反転ソレノイド82を制御する。反転搬送制御部63は、反転ソレノイド82を制御することで、定着モータ41を駆動源をとする反転ローラ対20の回転方向を切り換えると共に、案内部材19によってシートの搬送経路を切り換える。また、反転搬送制御部63は、両面クラッチ81を制御することで、給送モータ40を駆動源として駆動される搬送ローラ対21,22,24を停止させたり駆動させたりすることができる。
[両面2枚交互印字ジョブ]
次に、図3を参照して、複数枚のシートの両面に画像を形成する両面印刷ジョブとしての両面2枚交互印字ジョブにおけるプリンタ1の各処理とシートの状態について説明する。
なお、以下では、これから1面目に画像が形成される1枚目のシートを、シート「1/1」とし、これから2面目に画像が形成されるために両面搬送路R4から再給送される1枚目のシートを、シート「1/2」と表現する。すなわち、カギカッコ内における最初の数字は、何枚目に給送されたシートかを示し、最後の数字は、何面目に画像が形成されるシートかを示す。例えば、シート「2/1」は、これから1面目に画像が形成される2枚目のシートであり、シート「3/2」は、これから2面目に画像が形成される3枚目のシートを示す。
両面2枚交互印字ジョブでは、シート「1/1」、シート「2/1」、シート「1/2」、シート「3/1」、シート「2/2」の順で印字が実行され、プリンタ1内に、最大で3枚のシートが同時に搬送されることとなる。なお、3枚のみを印刷する両面2枚交互印字ジョブでは、シート「1/1」、シート「2/1」、シート「1/2」、シート「3/1」、シート「2/2」、シート「3/2」の順で印字が実行される。また、4枚のみを印刷する両面2枚交互印字ジョブでは、シート「1/1」、シート「2/1」、シート「1/2」、シート「3/1」、シート「2/2」、シート「4/1」、シート「3/2」、シート「4/2」の順で印字が実行される。
まず、コントローラ65は、シート「1/1」に対する印字開始コマンドを制御ユニット60のビデオインターフェイス部67に送信する。ビデオインターフェイス部67は、印字開始コマンドを受信すると、画像形成制御部61に印字開始準備を指示する。画像形成制御部61は、印字開始準備を受信すると印字準備(前回転)を開始し、給送制御部62に給送準備開始を指示する。
次に、画像形成制御部61は、画像形成の準備が整うと、ビデオインターフェイス部67を介して画像形成準備完了をコントローラ65に通知する。コントローラ65は、画像形成準備完了を受信すると、ビデオインターフェイス部67にビデオ信号を送信する。画像形成制御部61は、ビデオインターフェイス部67で受信したビデオ信号に基づいて画像形成を行う。
次に、給送制御部62は、画像形成開始を基準にシート「1/1」の給送を開始する。シート「1/1」は、給送されると、2次転写部N1、定着部N2、反転ローラ対20に順に搬送され両面搬送路R4において待機する。なお、両面搬送路R4におけるシートの待機は、再給送待機センサ23にシートの先端が到達したタイミングに基づいて両面クラッチ81がOFFとなることで行われる。
次に、コントローラ65は、シート「1/1」の画像形成を終了する前までに、シート「2/1」に対する印字開始をビデオインターフェイス部67に送信する。ビデオインターフェイス部67は、シート「2/1」に対する印字開始を受信すると画像形成制御部61に印字開始を指示する。画像形成制御部61は、シート「1/1」の画像形成に続けてシート「2/1」の画像形成を行う。以降、シート「1/2」に対する印字開始、シート「3/1」に対する印字開始、シート「2/2」に対する印字開始も上記と同様の制御を行う。
一方、給送制御部62は、各シートに対する印字開始指示に対応した、給送開始指示を受信すると給送準備を行って給送待ちとなり、画像形成開始を待つ。その後、給送制御部62は、画像形成開始を基準に、各シートの給送動作を行う。ここで、シート「2/1」、シート「3/1」は両面印字が行われるため、給送されると、2次転写部N1、定着部N2、反転ローラ対20に順に搬送され両面搬送路R4において待機する。一方、シート「1/2」及びシート「2/2」は、両面搬送路R4で待機後に、両面クラッチ81がONとなることで搬送ローラ対21,22,24によって再び給送される。そして、シート「1/2」及びシート「2/2」は、2次転写部N1、定着部N2、排出ローラ対25の順に搬送されて機外に排出される。ここで、シート「3/1」の給送タイミングにおいては、先行するシートはシート「1/2」及びシート「2/1」の2枚あり、両面印字時の生産性を向上させている。
図4は、両面2枚交互印字ジョブにおけるシート「3/1」の給送タイミングでの各シートの位置を示す概略図である。1枚目のシートP1(シート「1/2」)は、2次転写部N1及び定着部N2によって挟持されつつ排出ローラ対25によって機外に排出されている最中である。2枚目のシートP2(シート「2/1」)は、反転ローラ対20によって第1方向D1に搬送された後に、第1方向D1とは反対の第2方向D2に搬送され、反転ローラ対20及び搬送部としての搬送ローラ対21によって挟持されて搬送されている。なお、検知センサとしての反転センサ32は、反転ローラ対20よりも第2方向D2における上流の検知位置においてシートを検知する。
ここで、反転ローラ対20を駆動する定着モータ41の回転速度は、1枚目のシートP1の定着ループ制御によって決定され、搬送ローラ対21を駆動する給送モータ40の回転速度は、3枚目のシートP3の給送加減速制御によって決定される。このため、2枚目のシートP2(シート「2/1」)は、それぞれ他のシートに対して制御を実行中の異なるモータによって駆動される反転ローラ対20及び搬送ローラ対21によって搬送されることとなる。
[片面印刷ジョブでの給送加減速制御]
次に、図5(a)を参照して、シートの片面(第1面)のみに画像を形成する片面印刷ジョブでの給送制御について説明する。図5(a)に示すように、ビデオインターフェイス部67がコントローラ65から印字開始指示を受信し、画像形成を開始するまでの流れは、図3と同様であるため、説明を省略する。
画像形成制御部61が生成し、中間転写ベルト11によって搬送されるトナー像は、所定時間経過後にマージポイント35に到達し、シートの先端とタイミングを合わせて2次転写部N1に突入する。
一方、給送制御部62の給送手段71は、画像形成制御部61の画像形成開始タイミングを基準に、シートの給送を開始する。次に、シート先端検知手段75は、レジストセンサ34によってシートの先端検知を開始する。その後、シート先端検知手段75は、シートの先端がレジストセンサ34に到達したタイミングt1で、給送加減速手段73に、給送加減速制御の開始を指示する。
給送加減速タイミング計算手段74は、給送加減速制御の開始を受信すると、マージポイント35でトナー像とシートの先端のタイミングを合わせて2次転写部N1にシートを突入するために、トナー像に対するシートの先行量Sを算出する。そして、給送加減速タイミング計算手段74は、先行量Sの分だけシートを遅らせるための速度V1と、速度V1から定格の速度である速度V0に戻すタイミングt2を計算する。速度V1は、速度V0よりも遅い。そして、給送加減速手段73は、給送モータ40の速度を速度V0から第2の速度としての速度V1に変更する。なお、給送加減速手段73が給送モータ40の速度を速度V0から速度V1に変更するタイミングは、シートの先端がレジストセンサ34に到達したタイミングt1の直後である。すなわち、片面印刷ジョブにおいて、給送制御部62は、ピックアップローラ17によるシートの給送開始のタイミングtsから第1の時間q1が経過した第2のタイミングとしてのタイミングt1で第2速度変更処理としての給送加減速制御を開始する。
その後、給送加減速手段73は、所定の時間q2経過後、タイミングt2において給送モータ40の速度を速度V1から速度V0に戻すことで、マージポイント35においてトナー像の先端とシートの先端とを合わせる。給送制御部62は、その後、後続シートの給送待ちとなる。
[定着ループ制御]
次に、図5(b)を参照して、本実施の形態における定着ループ制御について説明する。なお、定着ループ制御は、片面印刷ジョブ及び両面2枚交互印字ジョブのいずれであっても、同様に行われる。
定着制御部64は、シートが2次転写ローラ11cを通過し、定着ローラ51に到達したタイミングt3において、定着ループ制御を開始する。具体的には、まず、定着制御部64は、2次転写ローラ11c(2次転写部N1)と定着ローラ51(定着部N2)の間でループができるように定着モータ41を遅い速度V_f_Lowで駆動する。次に、このループが一定量以上となりループセンサ30がONされると、定着制御部64は、定着モータ41を速い速度V_f_Highに切り替える。
その後、ループが一定量未満となりループセンサ30がOFFされると、定着制御部64は、定着モータ速度を遅い速度V_f_Lowに切り替える。以降、定着制御部64は、ループセンサ30のON/OFFを基準に定着モータ41の回転速度を切り替えることで、シートのループ量を一定に保ち、ローラ間での引っ張りなどが発生しないようにしている。これにより、未定着のトナーがずれて画像不良を発生させることを低減できる。そして、シートの後端が2次転写ローラ11cを抜けると、定着制御部64は定着ループ制御を終了し、速度をV_f_Lowに戻す。
[シートのシワの発生]
次に、図6を参照して、例えば両面2枚交互印字ジョブにおいて、反転ローラ対20によって反転搬送されるシートにシワが発生するメカニズムについて説明する。上述したように、例えば両面2枚交互印字ジョブにおいて、2枚目のシートP2(シート「2/1」)は、それぞれ他のシートに対して制御を実行中の異なるモータによって駆動される反転ローラ対20及び搬送ローラ対21によって搬送されることとなる。
具体的には、反転ローラ対20を駆動する定着モータ41は、1枚目のシートに対する定着ループ制御によって回転速度が決定され、搬送ローラ対21を駆動する給送モータ40は、3枚目のシートに対する加減速制御によって回転速度が決定される。例えば図5(a)に示す加減速制御によって給送モータ40が速度V1に減速されると、搬送ローラ対21によるシートの搬送速度よりも反転ローラ対20によるシートの搬送速度が速くなることがある。この場合、シートP2には、ループが形成されていく。
また、定着ローラ51及び加圧ローラ53が熱膨張した場合には、定着部N2でのシートの搬送速度が速くなり、上述した定着ループ制御によって、定着モータ41が遅い速度V_f_Lowになりやすい。すると、2枚目のシートP2(シート「2/1」)が反転ローラ対20を通過するタイミングが遅くなり、シートP2が搬送ローラ対21及び反転ローラ対20によって挟持される期間が長くなる。これらにより、シートP2に形成されるループが許容量を超えてしまうと、図6に示すように、シートP2にはS字状にシワができ、折れ等のダメージがシートP2に発生してしまうことがある。
[両面2枚交互印字ジョブでの給送加減速制御]
次に、図7を参照して、両面2枚交互印字ジョブでの給送加減速制御について説明する。特に、以下では、図4に示すように、2枚目のシートP2(シート「2/1」)が反転搬送されている際に、3枚目のシートP1(シート「3/1」)を給送する際の給送加減速制御について説明する。
ビデオインターフェイス部67がコントローラ65からシート「3/1」に対する印字開始指示を受信してからレジストセンサ34がシート「3/1」の先端を検知するまでの流れは、図5(a)と同じであるため説明は省略する。
給送制御部62の給送加減速タイミング計算手段74は、シート「3/1」の先端がレジストセンサ34に到達したタイミングt1で、トナー像に対するシート「3/1」の先行量S1(不図示)を算出し、給送加減速制御の開始を待つ。このとき、シート「2/2」は反転中であり、シート「2/2」の後端は、タイミングt0_snsで反転センサ32を通過し、タイミングt0_rollerで反転ローラ対20を通過する。
そこで、給送加減速タイミング計算手段74は、シート「2/2」の後端が反転センサ32を通過したタイミングt0_snsにおいて、先行量S1の分だけシート「2/2」の搬送を遅らせるための速度V2と、速度V0に戻すタイミングt5とを計算する。このとき、給送加減速タイミング計算手段74は、シート「2/2」に形成されるループの許容量をS3(不図示)として、許容量S3以内に、シート「2/2」の後端が反転ローラ対20を通過するように給送加減速制御の開始のタイミングt4を算出する。タイミングt4は、先行シートであるシート「2/2」の先端が搬送ローラ対21を通過してから所定時間が経過したタイミングである。また、タイミングt4では、シート「2/2」が反転ローラ対20及び搬送ローラ対21によって挟持されている状態となっている。
そして、給送加減速タイミング計算手段74は、算出したタイミングt4で、給送加減速手段73に給送加減速制御の開始を指示する。次に、給送加減速手段73は、給送モータ駆動手段72に、給送モータ40の回転速度を速度V0から速度V2へ変更するように指示する。その後、給送加減速手段73は、算出したタイミングt5において、給送モータ40の回転速度を速度V2からV0に戻しはじめることで、タイミングt_mergeで、トナー像の先端とシート「3/1」とのタイミングを合わせる。
すなわち、両面2枚交互印字ジョブにおいて、給送制御部62は、シートの給送開始のタイミングtsから第2の時間q3が経過した第1のタイミングとしてのタイミングt4で第1速度変更処理としての給送加減速制御を開始する。第2の時間q3は、第1の時間q1(図5(a)参照)よりも長い。また、第1の速度としての速度V2は、速度V1(図5(a)参照)及び定格速度としての速度V0よりも遅い。また、給送制御部62は、タイミングt4で給送加減速制御を開始してから、時間q2(図5(a)参照)よりも短い時間q5経過後、タイミングt5において給送モータ40の速度を速度V2から速度V0に戻す。
図7の斜線で示す減速量S2は、給送モータ40を常に速度V0で駆動していた場合に比して、給送加減速制御によって給送モータ40を速度V2で駆動することによって搬送ローラ対21で発生したシートの遅れに相当する。すなわち、減速量S2は、給送加減速制御によって増加したシート「2/2」のたわみ量である。なお、シート「2/2」は、タイミングt0_rollerで反転ローラ対20を通過するため、タイミングt0_roller以降はシート「2/2」のたわみは解消される。
次に、図8及び図9に示すフローチャートに沿って、本実施の形態に係る両面2枚交互印字ジョブでの給送制御について説明する。まず、給送制御部62は、シート「N/1」(Nは自然数)の給送開始指示を受信したか否かを判断する(ステップS1)。給送開始指示を受信していないと判断された場合(ステップS1:NO)、ステップS1を繰り返す。
給送開始指示を受信したと判断された場合(ステップS1:YES)、給送制御部62は、シート「N/1」を給送し(ステップS2)、レジストセンサ34がシート「N/1」の先端を検知したか否かを判断する(ステップS3)。レジストセンサ34がシート「N/1」の先端を検知した場合(ステップS3:YES)、中間転写ベルト11によって搬送されるトナー像に対するシート「N/1」の先行量S1を算出する(ステップS4)。
そして、給送制御部62は、シート「N/1」の後端が反転センサ32を通過したか否かを判断する(ステップS5)。シート「N/1」の後端が反転センサ32を通過したと判断された場合(ステップS5:YES)、給送制御部62は、給送加減速制御の開始タイミングを算出する(ステップS6)。
図9に示すように、給送加減速制御の開始タイミングを算出するにあたって、給送制御部62は、まず反転センサ32の検知位置から反転ローラ対20までの搬送方向における長さを例えばROM60bから取得する。そして、給送制御部62は、上記長さに基づいて、シート「N/1」の後端が反転ローラ対20を通過するタイミングt0_rollerを算出する(ステップS11)。次に、給送制御部62は、タイミングt4、速度V2及びタイミングt5を算出する(ステップS12,S13,S14)。
給送加減速制御の開始タイミングの算出が終了すると、図8に示すように、給送制御部62は、シート「N/1」に対する給送加減速制御の開始のタイミングt4になったか否かを判断する(ステップS7)。タイミングt4になったと判断された場合(ステップS7:YES)、給送制御部62は、算出されたタイミングt4、速度V2及びタイミングt5に基づいて、給送加減速制御を実行し(ステップS8)、処理を終了する。
ここで、給送加減速制御における下限速度である速度Vmin、タイミングt_merge、給送モータ40の加速及び減速を含む速度V(t)、形成されるループの許容量S3及び減速量S2を用いた、各パラメータの制約は以下である。
また、給送加減速制御での減速量S2は、以下の式となる。
上記制約を満たすパラメータを算出することで、給送加減速制御による減速量S2は許容量S3以下となる。また、後続シート(例えばシート「3/1」)に対する給送加減速制御が開始されるタイミングt4は、先行シート(例えばシート「2/2」)の先端が搬送ローラ対21を通過してから所定時間が経過したタイミングである。このため、後続シートに対する給送加減速制御によって反転搬送される先行シートにたわみが形成される影響を抑えることができる。このため、両面2枚交互印字ジョブでの生産性を向上しつつ、シートのシワ及び折れ等のダメージを低減できる。
以上のように、本実施の形態では、両面2枚交互印字ジョブにおいて、反転されるシートに形成されるループの許容量S3を考慮して、給送加減速制御の開始タイミングと速度を変更し、シートのループの発生を軽減する方法について説明した。
特に、本実施の形態では、反転ローラ対20によって反転搬送されるシートが反転センサ32を通過したタイミングt0_snsに基づいて、給送加減速制御を開始するタイミングt4や、速度V2及びタイミングt5を算出する。このため、給送加減速制御を開始するタイミングt4は、反転搬送されるシートが反転センサ32の検知位置を通過したタイミングt0_snsよりも後となる。反転センサ32は、反転ローラ対20の近傍に設けられており、シートの後端が反転ローラ対20を通過するタイミングt0_rollerを精度良く算出することができる。
また、本実施の形態では、片面印刷ジョブにおける給送加減速制御と、両面2枚交互印字ジョブにおける給送加減速制御と、が異なる。より具体的には、片面印刷ジョブにおいては、レジストセンサ34がシートの先端を検知した直後のタイミングt1で給送加減速制御を開始する。このように、ピックアップローラ17によるシートの給送開始のタイミングtsを基準にすると、タイミングt1は、タイミングt4よりも速く、その分だけ給送モータ40の増速量を少なくすることができる(V1>V2)。これにより、片面印刷ジョブにおいては、給送加減速制御における給送モータ40の稼働音を低減することができる。
なお、上述の実施の形態は、給送加減速制御における減速の場合について説明したが、これに限定されず、給送モータ40を加速、停止したり、速度変更を複数回行ったりしてもよい。
また、本実施の形態では、反転搬送されるシートのループの許容量S3以下となるように給送加減速タイミングを算出する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、シートに形成されるループが許容量S3を超えた場合は、ユーザに通知するなど必ずしも許容量S3以内となるような給送加減速タイミングを算出しなくてもよい。
なお、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
<第2の実施の形態>
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明するが、第2の実施の形態は、第1の実施の形態の給送加減速制御を変更したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
第1の実施の形態では、反転センサ32の検知結果を基準に、給送加減速制御の開始タイミングと速度を変更することで、反転したシートのループの発生を軽減する方法について説明した。すなわち、第1の実施の形態では反転センサ32がある場合を説明したが、小型化および低コスト化で反転センサ32を無くした場合は実施できない。
そこで、上記課題を鑑みて、第2の実施の形態では、両面印字するシートの反転タイミングを基準に、定着モータ41の回転数からシート後端の反転ローラ対20の通過タイミングを予測する。そして、予測した上記通過タイミングを用いて、給送加減速制御の開始タイミングと速度を変更することで、反転したシートのループの発生を軽減する方法について説明する。
以下、図10乃至図12に示すフローチャートに沿って、本実施の形態に係る両面2枚交互印字ジョブでの給送加減速制御について説明する。まず、給送制御部62は、図10に示すように、シート「N-1/1」(Nは自然数)が反転ローラ対20によって反転開始したか否かを判断する(ステップS21)。シート「N-1/1」が反転ローラ対20によって反転開始したと判断された場合(ステップS21:YES)、給送制御部62は、シート「N/1」に対する給送加減速制御が終了しているか否かを判断する(ステップS22)。シート「N/1」に対する給送加減速制御が終了している場合(ステップS22:YES)、以降の処理を終了する。
シート「N/1」に対する給送加減速制御が終了していない場合(ステップS22:NO)、給送制御部62は、定着制御部64から定着モータ41の回転数を取得し、定着モータ41の総回転数を算出する(ステップS23)。そして、給送制御部62は、シート「N-1/1」の後端位置を、シート「N-1/1」の反転開始タイミングから定着モータ41の回転数に相当する搬送距離の分だけ進んでいると予測する(ステップS24)。そして、給送制御部62は、給送制御を行って、ステップS22に戻る(ステップS25)。
給送制御が開始されると、図11に示す各処理を実行する。なお、図11におけるステップS31~S34は、図8のステップS1~S4までと同様なので、説明を省略する。給送制御部62は、ステップS34を実行した後、給送加減速制御の開始タイミングを算出する(ステップS35)。
図12に示すように、給送加減速制御の開始タイミングを算出するにあたって、給送制御部62は、まずステップS24において予測したシート「N-1/1」の後端位置を取得する。そして、給送制御部62は、該後端位置に基づいて、シート「N-1/1」の後端が反転ローラ対20を通過するタイミングt0_rollerを算出する(ステップS41)。
現在時刻をt_n、一時点前の時刻をt_n-1、現在時刻のシート「N-1/1」の後端位置をx_n、一時点前の時刻のシート「N-1/1」の後端位置をx_n-1とすると、シート「N-1/1」の後端における速度V(t)は以下となる。
そして、上記V(t)と、シート「N-1/1」の長さから、シート「N-1/1」の後端が反転ローラ対20を通過するタイミングt0_rollerを算出する。
次に、給送制御部62は、タイミングt4、速度V2及びタイミングt5を算出する(ステップS42,S43,S44)。これらのパラメータの計算方法は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。給送加減速制御の開始タイミングの算出が終了すると、図11に示すように、給送制御部62は、シート「N/1」に対する給送加減速制御の開始のタイミングt4になったか否かを判断する(ステップ36)。
タイミングt4になっていないと判断された場合(ステップS36:NO)、ステップS35に戻る。タイミングt4になったと判断された場合(ステップS36:YES)、給送制御部62は、算出されたタイミングt4、速度V2及びタイミングt5に基づいて、給送加減速制御を実行し(ステップS37)、処理を終了する。
以上のように、本実施の形態では、両面2枚交互印字ジョブにおいて、反転センサ32を用いることなく、給送加減速制御によってシートのループの発生を軽減する方法について説明した。このため、両面2枚交互印字ジョブでの生産性を向上しつつ、シートのシワ及び折れ等のダメージを低減し、更にプリンタ1の小型化および低コスト化を実現できる。
なお、上述の実施の形態ではシート「N-2/2」の定着ループ制御を行っているが、上述の[数3]の式によって、シート「N-1/1」の後端における速度V(t)を精度良く求めることができる。なお、シート「N-1/1」の後端位置の予測方法については、上述の方法に限定されない。例えば、両面搬送路R4を搬送される先行シートが再給送待機センサ23に到達した時間から、後続のシートの後端が反転ローラ対20を通過する時間を予測し、後続のシートにフィードバックする方法などを適用してもよい。
また、既述のいずれの形態においても、ピックアップローラ17によってシートを給送していたが、これに限定されず、例えば静電吸着力や負圧によってシートを吸着するベルト部材によってシートを給送してもよい。
また、既述のいずれの形態においても、電子写真方式のプリンタ1を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。
<その他の実施の形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、システム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。