以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と称する)を説明する。
なお、本実施の形態においては、各図において、第1のシリコンウェーハW1の表面と裏面の位置が上下で入れ替わることがあり、各図において、必要に応じて「表面」と「裏面」を示すものとする。また、以下の説明においては、同一の機能を有する部材には同一又は関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本発明の複数の実施の形態では、第1のシリコンウェーハに対して面取りを行う切削加工、薄膜化及びダメージ除去の工程が共通している。そのため、まず、各実施の形態で共通する処理工程について説明を行う。また、共通する処理工程については、第1のシリコンウェーハの「両面」を面取り加工するパターンと、「片面のみ」を面取り加工するパターンの2つがあり、各パターンについて説明する。
[1.両面への切削加工、薄膜化及びダメージ除去]
図1に示すように、本発明の実施の形態では、大口径である第1の半導体ウェーハW1から小口径の第2の半導体ウェーハW2を複数切り出す工程において、第2の半導体ウェーハW2の表面及び裏面に面取り加工を行う。
第1の半導体ウェーハW1は、既知の製造方法によって製造されるものであり、その製造方法に関する詳細な説明は省略する。また、第1の半導体ウェーハW1は、製造後、平坦度の測定やパーティクルの測定が行われることが好ましい。
また、第1の半導体ウェーハW1は、例えば、直径が150mm、200mm又は300mmである高品位シリコンウェーハを用いることができる。なお、本発明が適用可能な半導体ウェーハには、素材として、シリコンウェーハ、エピウェーハ、SOIウェーハ、ダイアモンド、さらに化合物半導体の素材、例えば、GaAs、SiC、GaN、サファイア等がある。以下では、シリコンウェーハを一例に説明を行う。
また、特に限定されるものではないが、小口径である第2の半導体ウェーハW2については、直径が0.5インチ(約12.5mm)であることが好ましい。これは、ミニマルファブシステムに適した口径である。
また、第1の半導体ウェーハW1の厚さについては特に限定されないが、デバイスプロセスに用いられる第2の半導体ウェーハW2の直径を0.5インチとした場合、ハンドリング性の確保に必要な機械的強度と、プラズマエッチングの容易性とを考慮した場合、第1の半導体ウェーハW1の厚みは、一例として、単結晶インゴットをスライス、面取り及びラッピング処理した後の状態で、400~700μmであり、各処理工程を経て、第2の半導体ウェーハW2として切り出す前の厚みが、250±10μmとなる。
図1の中段の図及び下段の図では、図1の符号Tで示す範囲を側断面で概念的に示しており、第1のシリコンウェーハW1の表面F及び裏面Bには、後述するカップホイール100で切削加工して溝Sが形成される。また、以下では、第1のシリコンウェーハW1の表面に符号F、裏面に符号Bを付して示す。
より詳細には、カップホイール100の1回の切削加工により、第1のシリコンウェーハW1に表面に対して、1つ分の第2のシリコンウェーハW2の表面の両端部の面取り加工が行われる。また、同様に、第1のシリコンウェーハW1に裏面に対しても、カップホイール100の1回の切削加工により、1つ分の第2のシリコンウェーハW2の裏面の両端部の面取り加工が行われる。
なお、隣接する第2のシリコンウェーハW2の間に形成される溝Sは、図1の下図に示すように、溝Sが重なるように形成(例えば、左側に位置する第2のシリコンウェーハW2と右側に位置する第2のシリコンウェーハW2との間の位置の溝Sが重複している)されてもよいし、先発の切削加工で形成される溝Sと間隙を有して、次発の切削加工の溝Sが形成(2つの第2のシリコンウェーハの間に、2つの溝Sが形成される)されてもよい。
但し、第1のシリコンウェーハW1から切り出す第2のシリコンウェーハW2の個数を増やし、より無駄なく第1のシリコンウェーハW1を加工する観点からは、隣接する第2のシリコンウェーハW2の間に形成される溝Sが重なるように形成されるか、または、先発の切削加工で形成される溝Sと次発の切削加工の溝Sとの間の距離がより短く設定されることが好ましい。溝S同士の間隔は、カップホイール100で切削する領域を制御することで、適宜変更可能である。
続いて、図2及び図3を用いて、第1のシリコンウェーハW1から第2のシリコンウェーハW2を切り出す直前までの工程を説明する。なお、以下の説明における第1のシリコンウェーハW1及び第2のシリコンウェーハの厚みは、ミニマルファブシステムに利用可能な第2のシリコンウェーハの製造を示す一例として採用する数値であり、本発明の内容はこれに限定されるものではない。
また、後述する図2~図6、図8~図12の図面においては、第1のシリコンウェーハW1に対して、複数の第2のシリコンウェーハW2が形成されることを分かりやすくするために、溝Sの大きさに対する、第2のシリコンウェーハW2における半導体を製造する表面(または裏面)の大きさが非常に小さくなっている。実際には、溝Sが加工される範囲を1と仮定した場合、第2のシリコンウェーハW2における半導体を製造する表面(または裏面)の範囲は100程度の大きさとなる関係となっている。
まず、第1のシリコンウェーハW1は、一般的な半導体ウェーハの製造工程(スライス、ラッピング、周辺の面取り加工)を経て、その製造が行われている(図2(a)参照)。この段階での第1のシリコンウェーハW1厚みは、400~700μmである。
次に、第1のシリコンウェーハW1の裏面に対して、カップホイール100(図13(a)参照)を取り付けた回転工具(図示省略)で、溝Sを形成する切削加工を行う。なお、ここでいうカップホイール100が本願請求項における第1の切削部に該当する。また、ここでいう溝Sを形成する切削加工が、本願請求項における第1の面切削工程に該当する。
回転工具は、カップホイール100を回転自在に支持可能な工具であり、カップホイール100を回転させながら、その先端部101を、第1のシリコンウェーハW1の裏面に接触させ、その面上に、平面視で略円形の溝Sを形成する。また、ここで形成される溝Sが、第2の半導体ウェーハW2の裏面の面取り部となる。
ここで、カップホイール100を取り付ける回転工具としては、既知のディスクグラインダー等が採用しうる。また、カップホイール100は、シリコンウェーハに対して切削加工が可能な、既知の素材で形成することができる。
図13(b)に示すように、筒状のカップホイール100の直径方向で切断した断面視において、左右の両側の先端部101に、突出部102が形成されている。この突出部102が、第1のシリコンウェーハW1の表面及び裏面に溝Sを形成する。
また、第1のシリコンウェーハW1の表面(裏面)に、カップホイール100を回転させて、突出部102で溝Sを加工する1回の工程で、1つの第2の半導体ウェーハW2における表面側(裏面側)の全周に渡る面取り部が形成されるものとなる。
図13(a)及び図13(b)から明らかなように、突出部102はカップホイール100の先端部101に、円周状に形成されている。
また、図13(c)に示すように、カップホイール100の直径方向で切断した断面視において、突出部102を形成する2辺のなす角度が140度に設定されている。また、突出部102は、その先端を中心に、左右略対象な形状に形成されている。
これにより、図13(d)に示すように、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面に形成される面取り部300は、直径方向の断面視で、部分台形状の面取り部となる。また、第2のシリコンウェーハW2の側端縁と表面(裏面)とを繋ぐ線301と、側端縁の上端位置における表面(裏面)と略平行な線302とがなす角度が略20度となる。
ここで、必ずしも、カップホイール100の直径方向で切断した断面視において、突出部102を形成する2辺のなす角度が140度に設定される必要はない。例えば、第2のシリコンウェーハW2の表面又は裏面に形成したい面取り部の形状に合わせて、その角度は適宜設定変更することが可能である。
図2(b)に示すように、上述したカップホイール100を取り付けた回転工具により、第1のシリコンウェーハW1の裏面に回転する突出部102を接触させ、裏面に溝Sを形成する。この際、第1のシリコンウェーハW1の裏面を上側、表面を下側として、第1のシリコンウェーハW1を固定して、回転する突出部102を接触させる。
また、回転工具及びカップホイール100と、第1のシリコンウェーハW1との間で、互いの位置を変えて、第1のシリコンウェーハW1の裏面上で研削する位置を変えながら、回転工具で研削する工程を繰り返し行い、第1のシリコンウェーハW1の裏面に溝Sを複数形成する。
図2(c)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の裏面に、カップホイール100による溝Sを形成する切削加工で生じたバリを取る為に、ラッピング加工及び研削加工を行う。また、同工程では、第1のシリコンウェーハW1の表面及び裏面の両面に対して、ラッピング加工及び研削加工を行い、第1のシリコンウェーハW1の厚みを薄くする。なお、ここでいうラッピング加工及び研削加工が、本願請求項における第1の薄膜化工程に該当する。また、ラッピング加工及び研削加工は、既知の方法を採用しうる。
ここで、必ずしも、ラッピング加工及び研削加工が採用される必要はなく、第1のシリコンウェーハW1の裏面に生じたバリを取り、その厚みを、所望の厚みまで薄くすることが可能であれば、ラッピング加工のみ、又は、研削加工のみで加工を行ってもよい。
次に、図2(d)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面が上側となるように固定する。そして、裏面と同様に、上述したカップホイール100を取り付けた回転工具により、第1のシリコンウェーハW1の表面に回転する突出部102を接触させ、表面にも複数の溝Sを形成する。また、ここで形成される溝Sが、第2の半導体ウェーハW2の表面の面取り部となる。なお、ここでいう溝Sを形成する切削加工が、本願請求項における第2の面切削工程に該当する。
ここで、第1のシリコンウェーハW1の表面に形成された溝Sと、裏面に形成された溝Sは、その位置が対応するように形成される。即ち、表面側に、1回の研削加工で形成された溝S1と、裏面側に、1回の研削加工で形成された溝S2とは、図2(d)で見る水平方向を基準に、各溝の形成位置は線対称となる。
更に言えば、第1のシリコンウェーハW1を平面視した場合、略円形の溝S1と、略円形の溝S2とが重なる位置に形成される。また、複数形成された溝Sについても同様に、第1のシリコンウェーハW1の表面と裏面で位置を合わせて形成される。この溝S1と溝S2が、1つの第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の周縁部の面取り部となる。
ここで、必ずしも、第1のシリコンウェーハW1の表面及び裏面を、同一形状のカップホイール100で切削加工する必要はない。例えば、裏面をカップホイール100で切削加工して、表面の切削加工に、カップホイール100とは、先端部の形状が異なるカップホイールを利用することもできる。これにより、第2のシリコンウェーハW2の表面と裏面とで、形状が異なる面取り部を形成することが可能となる。
また、図2(d)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面にレーザー加工等により、ラインオリフラ30を形成してもよい。
ここで、第1のシリコンウェーハW1の表面にラインオリフラを形成する場合、同時に、表面にモニター用のラインオリフラを形成しない第2のシリコンウェーハW2も準備しておく。これにより、同一の第1のシリコンウェーハW1から、パーティクル評価及び表面の平坦度評価が可能な、ラインオリフラを形成しない第2のシリコンウェーハW2が得られ、ラインオリフラを形成した第2のシリコンウェーハW2での品質評価を行うことができる。
次に、図3(e)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の裏面が上側となるように配置する。そして、第1のシリコンウェーハW1の表面に、カップホイール100による溝Sを形成する切削加工で生じたバリを取る為に、ラッピング加工及び研削加工を行う。また、同工程では、第1のシリコンウェーハW1の表面及び裏面の両面に対して、ラッピング加工及び研削加工を行い、第1のシリコンウェーハW1の厚みを更に薄くする。
この際、一例として、第1のシリコンウェーハW1の厚みは330μmまで薄くなる。なお、ここでいうラッピング加工及び研削加工が、本願請求項における第2の薄膜化工程に該当する。また、ラッピング加工及び研削加工は、既知の方法を採用しうる。
ここで、必ずしも、ラッピング加工及び研削加工が採用される必要はなく、第1のシリコンウェーハW1の表面に生じたバリを取り、その厚みを、所望の厚みまで薄くすることが可能であれば、ラッピング加工のみ、又は、研削加工のみで加工を行ってもよい。
また、図3(f)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面及び裏面の両面に対して、切削加工、ラッピング加工及び研削加工で生じたダメージを除去するために、化学的エッチング処理を行う。ここでは、一例として、片面につき20μmずつエッチング処理を行い、第1のシリコンウェーハW1の厚みは290μmまで薄くなる。なお、ここでいう化学的エッチング処理が、本願請求項におけるダメージ除去工程に該当する。また、化学的エッチング処理は、既知の方法を採用しうる。
次に、図3(g)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面が上側となるように配置して、第1のシリコンウェーハW1の下側から裏面に対して研磨加工を行う。この研磨加工により、裏面が鏡面加工され、きれいな面に仕上げられる。
さらに、図3(h)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の裏面が上側となるように配置して、第1のシリコンウェーハW1の下側か表面に対して研磨加工を行う。この研磨加工により、表面が鏡面加工され、きれいな面に仕上げられる。この表面及び裏面への研磨加工により、一例として、第1のシリコンウェーハW1の厚みは、250μmとなる。
以上までの流れにより、第2のシリコンウェーハW2に切り出す前の、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の面取り部となる部分が加工された第1のシリコンウェーハW1を製造できる。
続いて、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の面取り部となる部分が両面に加工され、250μmまで薄くした第1のシリコンウェーハW1から、第2のシリコンウェーハW2を切り出す工程について説明する。
[2.プラズマエッチングによる切り出し]
図4を用いて、プラズマエッチングを利用した第2のシリコンウェーハW2を切り出す工程を説明する。
図4(a)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面が上側となるように配置して、表面にレジスト10を塗布する。
図4(b)に示すように、ウェーハ加工用のフォトマスク(図示省略)を介して露光を行い、レジスト10にパターンを形成した後、現像して、レジスト10の露光した領域を除去する。これにより、第1のシリコンウェーハW1の表面における溝Sが形成された部分が露出する。
次に、図4(c)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の裏面にテープ60を貼り付け、第2のシリコンウェーハW2へと分割される際に、第2のシリコンウェーハW2を固定する。
続いて、図4(d)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の厚み方向にかけて、表面及び裏面の溝Sに挟まれた領域にプラズマエッチングを行う。これにより、第1のシリコンウェーハW1を貫通する貫通部70が形成される。
以上の工程により、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の周縁部に、カップホイール100で切削して加工した溝Sによる面取り部300が形成された、複数の複数の第2のシリコンウェーハW2を切り出すことができる。
本実施の形態では、プラズマエッチングにより複数の第2のシリコンウェーハW2を切り出して、第2のシリコンウェーハW2の表面だけでなく、裏面にも所望の形状の面取り部を精度高く形成した第2のシリコンウェーハW2を得ることができる。
また、本実施の形態では、プラズマエッチングにより複数の第2のシリコンウェーハW2を切り出す為、第2のシリコンウェーハW2において更なる面取りやエッチングといった追加工程を行う必要がなくなる。
更に、本実施の形態では、プラズマエッチングにより複数の第2のシリコンウェーハW2を切り出す為、第2のシリコンウェーハW2において、第1のシリコンウェーハW1の表面状態を維持することができる。
この点は、第2のシリコンウェーハW2を、直径が0.5インチ(約12.5mm)の小口径のミニマルファブシステム用のウェーハとして利用する点で大きな利点となる。まず、そもそも、ミニマルファブシステム用のサイズのウェーハでは、平坦度測定やパーティクル測定における測定精度が大口径ウェーハ測定精度より劣るため、第1のシリコンウェーハW1の表面状態を維持することで、測定の工程なしにウェーハの品質を担保することが可能となる。
更に、例えば、第1のシリコンウェーハW1の直径が200mmであれば、現行のウェーハ形成技術によれば、平坦度がGBIR<2μm、SBIR(W2のGBIR相当)<0.1μmの加工精度の表面状態とすることができる。また、パーティクルについては、0.2μm以上<1個、0.1μm以上<100個以下のクリーン度で形成しうる。即ち、第2のシリコンウェーハについても、直径200mmのサイズのシリコンウェーハと同一の平坦度及びパーティクルの品質を引き継ぐことができ、高品質な表面状態のシリコンウェーハとなる。
従来のレーザーによる切出加工による小口径のシリコンウェーハの形成方法では、上述したような平坦度及びパーティクルの品質を実現することは困難であり、この点においても、本実施の形態は優れたものとなる。なお、これ以降で説明するその他の実施の形態においても同様の利点を有している。
更に、本実施の形態では、面取り加工した第2のシリコンウェーハW2を、第1のシリコンウェーハW1から複数切り出す際、第1のシリコンウェーハW1の表面及び裏面に、カップホイール100による切削加工で面取り部を形成した上で、プラズマエッチングによる切り出しプロセスにおいて、同時に端面形状を制御することができるため、従来の大口径のシリコンウェーハから小口径の半導体ウェーハを切り出した後に、小口径のシリコンウェーハの面取り加工を行う製造に比べて、製造効率を大幅に向上させることができる。なお、これ以降で説明するその他の実施の形態においても同様の利点を有している。
[3.フッ硝酸液のウェットエッチングによる切り出し]
図5を用いて、フッ硝酸液のウェットエッチングを利用した第2のシリコンウェーハW2を切り出す工程を説明する。
図5(a)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面が上側となるように配置して、第1のシリコンウェーハW1の裏面にテープ60を貼り付け、第2のシリコンウェーハW2へと分割される際に、第2のシリコンウェーハW2を固定する。
図5(b)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面のうち、溝Sで囲まれた範囲であり、かつ、平坦な面を覆うように保護テープ80を貼り付ける。この保護テープ80は、フッ硝酸液(HF/HNO3)を用いたウェットエッチング処理において、第2のシリコンウェーハW2の表面上の平坦面となる領域を保護する部材である。
また、保護テープ80は、平面視した状態では、略円形(切り出し後の第2のシリコンウェーハW2の形状)となっている。また、保護テープ80が貼り付けられてない箇所の下部には、第1のシリコンウェーハW1の表面における溝Sが形成された部分が露出する。
続いて、図5(c)に示すように、フッ硝酸液を用いたウェットエッチング処理を行う。これにより、第1のシリコンウェーハW1の厚み方向にかけて、表面及び裏面の溝Sに挟まれた領域が加工され、第1のシリコンウェーハW1を貫通する貫通部70が形成される。
以上の工程により、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の周縁部に、カップホイール100で切削して加工した溝Sによる面取り部300が形成された、複数の第2のシリコンウェーハW2を切り出すことができる。
本実施の形態では、以上のように、フッ硝酸液(HF/HNO3)を用いたウェットエッチング処理を用いて、第1のシリコンウェーハW1から複数の第2のシリコンウェーハW2を形成することができる。また、第2のシリコンウェーハW2の表面だけでなく、裏面にも所望の形状の面取り部を精度高く形成することができる。
また、本実施の形態では、ウェットエッチング処理により複数の第2のシリコンウェーハを切り出す為、第2のシリコンウェーハW2において更なる面取りやエッチングといった追加工程を行う必要がなくなる。
更に、本実施の形態では、ウェットエッチング処理により複数の第2のシリコンウェーハを切り出す為、第2のシリコンウェーハW2において、第1のシリコンウェーハW1の表面状態を維持することができる。
[4.昇華法レーザーによる切り出し]
図6を用いて、昇華法レーザーを利用した第2のシリコンウェーハW2を切り出す工程を説明する。
図6(a)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面及び裏面に対して、熱酸化処理により保護膜90を形成する。ここで形成した保護膜90により、次工程の昇華法レーザーを照射する処理で、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の平坦面となる領域を保護する。
図6(b)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の裏面にテープ60を貼り付け、第2のシリコンウェーハW2へと分割される際に、第2のシリコンウェーハW2を固定する。
続いて、第1のシリコンウェーハW1に対して、昇華法レーザーを照射するレーザー処理を行う。図6(b)では、符号Lにて昇華法レーザーを照射する位置を示している。
これにより、図6(c)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の厚み方向にかけて、表面及び裏面の溝Sに挟まれた領域が加工され、第1のシリコンウェーハW1を貫通する貫通部70が形成される。
以上の工程により、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の周縁部に、カップホイール100で切削して加工した溝Sによる面取り部300が形成された、複数の第2のシリコンウェーハW2を切り出すことができる。
本実施の形態では、以上のように、昇華法レーザーを照射するレーザー処理を用いて、第1のシリコンウェーハW1から複数の第2のシリコンウェーハを形成することができる。また、第2のシリコンウェーハの表面だけでなく、裏面にも所望の形状の面取り部を精度高く形成することができる。
また、本実施の形態では、昇華法レーザーを照射するレーザー処理を用いるが、本レーザー処理は、昇華法レーザーを用いて複数の第2のシリコンウェーハを切り出す為、第2のシリコンウェーハにおいて更なる面取りやエッチングといった追加工程を行う必要がなくなる。
更に、本実施の形態では、昇華法レーザーにより複数の第2のシリコンウェーハを切り出す為、第2のシリコンウェーハW2において、第1のシリコンウェーハW1の表面状態を維持することができる。なお、昇華法レーザーは、ダメージが入らないため、切り出したウェーハをそのまま使用することが可能となる。
[5.片面への切削加工、薄膜化及びダメージ除去]
図7に示すように、大口径である第1の半導体ウェーハW1から小口径の第2の半導体ウェーハW2を複数切り出す工程において、上述したカップホイール100で先に、第2の半導体ウェーハW2の裏面に面取り加工を行う方法を説明する。
また、第1の半導体ウェーハW1の厚さについては特に限定されないが、デバイスプロセスに用いられる第2の半導体ウェーハW2の直径を0.5インチとした場合、ハンドリング性の確保に必要な機械的強度と、プラズマエッチングの容易性とを考慮した場合、第1の半導体ウェーハW1の厚みは、一例として、単結晶インゴットをスライス、面取り及びラッピング処理した後の状態で、400~700μmであり、各処理工程を経て、第2の半導体ウェーハW2として切り出す前の厚みが、250±10μmとなる。
図7の中段の図及び下段の図では、図7の符号Tで示す範囲を側断面で概念的に示しており、第1のシリコンウェーハW1の裏面Bには、カップホイール100で切削加工して溝Sが形成される。
より詳細には、カップホイール100の1回の切削加工により、第1のシリコンウェーハW1に裏面に対して、1つ分の第2のシリコンウェーハW2の裏面の両端部の面取り加工が行われる。また、第1のシリコンウェーハW1に表面に対しては、後述するカップホイール100の切削加工とは異なる加工により、1つ分の第2のシリコンウェーハW2の表面の両端部の面取り加工が行われる。
なお、隣接する第2のシリコンウェーハW2の間に形成される溝Sは、図7に示すように溝Sが重なるように形成(例えば、左側に位置する第2のシリコンウェーハW2と右側に位置する第2のシリコンウェーハW2との間の位置の溝Sが重複している)されてもよいし、先発の切削加工で形成される溝Sと間隙を有して、次発の切削加工の溝Sが形成(2つの第2のシリコンウェーハの間に、2つの溝Sが形成される)されてもよい。
但し、第1のシリコンウェーハW1から切り出す第2のシリコンウェーハW2の個数を増やし、より無駄なく第1のシリコンウェーハW1を加工する観点からは、隣接する第2のシリコンウェーハW2の間に形成される溝Sが重なるように形成されるか、または、先発の切削加工で形成される溝Sと次発の切削加工の溝Sとの間の距離がより短く設定されることが好ましい。溝S同士の間隔は、カップホイール100で切削する領域を制御することで、適宜変更可能である。
続いて、図8及び図9を用いて、第1のシリコンウェーハW1から第2のシリコンウェーハW2を切り出す直前までの工程を説明する。なお、以下の説明における第1のシリコンウェーハW1及び第2のシリコンウェーハの厚みは、ミニマルファブシステムに利用可能な第2のシリコンウェーハの製造を示す一例として採用する数値であり、本発明の内容はこれに限定されるものではない。
まず、第1のシリコンウェーハW1は、一般的な半導体ウェーハの製造工程(スライス、ラッピング、周辺の面取り加工)を経て、その製造が行われている(図8(a)参照)。この段階での第1のシリコンウェーハW1厚みは、400~700μmである。
次に、第1のシリコンウェーハW1の裏面に対して、カップホイール100(図13(a)参照)を取り付けた回転工具(図示省略)で、溝Sを形成する切削加工を行う。なお、ここでいうカップホイール100が本願請求項における第1の切削部に該当する。また、ここでいう溝Sを形成する切削加工が、本願請求項における第1の面切削工程に該当する。
カップホイール100を回転させながら、その先端部101を、第1のシリコンウェーハW1の裏面に接触させ、その面上に、平面視で略円形の溝Sを形成する(図8(b)参照)。また、ここで形成される溝Sが、第2の半導体ウェーハW2の裏面の面取り部となる。
図8(b)に示すように、上述したカップホイール100を取り付けた回転工具により、第1のシリコンウェーハW1の裏面に回転する突出部102を接触させ、裏面に溝Sを形成する。この際、第1のシリコンウェーハW1の裏面を上側、表面を下側として、第1のシリコンウェーハW1を固定して、回転する突出部102を接触させる。
また、回転工具及びカップホイール100と、第1のシリコンウェーハW1との間で、互いの位置を変えて、第1のシリコンウェーハW1の裏面上で研削する位置を変えながら、回転工具で研削する工程を繰り返し行い、第1のシリコンウェーハW1の裏面に溝Sを複数形成する。
また、図8(c)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面が上側となるように固定して、第1のシリコンウェーハW1の表面にレーザー加工等により、ラインオリフラ30を形成してもよい。
図8(d)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の裏面が上側となるように配置する。第1のシリコンウェーハW1の裏面に、カップホイール100による溝Sを形成する切削加工で生じたバリを取る為に、ラッピング加工及び研削加工を行う。また、同工程では、第1のシリコンウェーハW1の表面及び裏面の両面に対して、ラッピング加工及び研削加工を行い、第1のシリコンウェーハW1の厚みを薄くする。
この際、一例として、第1のシリコンウェーハW1の厚みは330μmまで薄くなる。
なお、ここでいうラッピング加工及び研削加工が、本願請求項における薄膜化工程に該当する。また、ラッピング加工及び研削加工は、既知の方法を採用しうる。
ここで、必ずしも、ラッピング加工及び研削加工が採用される必要はなく、第1のシリコンウェーハW1の裏面に生じたバリを取り、その厚みを、所望の厚みまで薄くすることが可能であれば、ラッピング加工のみ、又は、研削加工のみで加工を行ってもよい。
次に、図9(e)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面及び裏面の両面に対して、切削加工、ラッピング加工及び研削加工で生じたダメージを除去するために、化学的エッチング処理を行う。ここでは、一例として、片面につき20μmずつエッチング処理を行い、第1のシリコンウェーハW1の厚みは290μmまで薄くなる。なお、ここでいう化学的エッチング処理が、本願請求項におけるダメージ除去工程に該当する。また、化学的エッチング処理は、既知の方法を採用しうる。
次に、図9(f)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面が上側となるように配置して、第1のシリコンウェーハW1の下側から裏面に対して研磨加工を行う。この研磨加工により、裏面が鏡面加工され、きれいな面に仕上げられる。
さらに、図9(g)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の裏面が上側となるように配置して、第1のシリコンウェーハW1の下側か表面に対して研磨加工を行う。この研磨加工により、表面が鏡面加工され、きれいな面に仕上げられる。この表面及び裏面への研磨加工により、一例として、第1のシリコンウェーハW1の厚みは、250μmとなる。
以上までの流れにより、第2のシリコンウェーハW2に切り出す前の、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の面取り部となる部分が加工された第1のシリコンウェーハW1を製造できる。
続いて、第2のシリコンウェーハW2の裏面の面取り部となる部分が、その裏面に加工され、250μmまで薄くした第1のシリコンウェーハW1から、第2のシリコンウェーハW2を切り出す工程について説明する。
[6.プラズマエッチングによる面取り及び切り出し]
図10及び図11を用いて、プラズマエッチングを利用した面取り及び第2のシリコンウェーハW2を切り出す工程を説明する。
本実施の形態では、これまでに述べた実施の形態と異なり、第1のシリコンウェーハW1の裏面側のみ、カップホイール100で切削加工して、第1のシリコンウェーハW1の表面側には、切削加工とは異なる方法で、第2のシリコンウェーハW2の表面の面取り部を形成する工程を有する。
図10(a)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面が上側となるように配置して、表面にレジスト10を塗布する。
図10(b)に示すように、ウェーハ加工用のフォトマスク(図示省略)を介して露光を行い、レジスト10にパターンを形成した後、現像して、レジスト10の露光した領域を除去する。これにより、第1のシリコンウェーハW1の表面で、その下方に位置する裏面に溝Sが形成された部分が露出する。
次に、図10(c)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の裏面にテープ60を貼り付け、第2のシリコンウェーハW2へと分割される際に、第2のシリコンウェーハW2を固定する。
続いて、図10(d)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の厚み方向にかけて、表面に等方性プラズマエッチングを行う。これにより、第1のシリコンウェーハW1の表面における、裏面の溝Sが形成された部分と反対側に位置する領域に、第2のシリコンウェーハW2の表面の面取り部300が形成される。
さらに、図11(e)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の厚み方向にかけて、表面の面取り部300及び裏面の溝S(裏面の面取り部300)に挟まれた領域に異方性プラズマエッチングを行う。これにより、第1のシリコンウェーハW1を貫通する貫通部70が形成される。
以上の工程により、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の周縁部に、表面は等方性プラズマエッチングによる面取り部300、また、裏面はカップホイール100で切削して加工した溝Sによる面取り部300が形成された、複数の第2のシリコンウェーハW2を切り出すことができる。
ここで、本実施の形態では、第1のシリコンウェーハW1の表面及び裏面に保護膜として酸化膜が形成されていない態様を説明したが、本発明では、保護膜として酸化膜が形成された第1のシリコンウェーハW1を用いることもできる。
また、本実施の形態では、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の面取り部300を鏡面化することも可能である。面取り部300を鏡面化することで、衝突に強い形状となり、ミクロなパーティクルの発生を防止することができる。この面取り部の鏡面化は、エッチング又は研磨テープ等を用いた既知の手法で行うことができる。なお、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の面取り部300を鏡面化は、本実施の形態に限らず、以下で説明する他の実施の形態においても採用しうる。
本実施の形態では、以上のように、プラズマエッチングを用いて、第1のシリコンウェーハW1から複数の第2のシリコンウェーハW2を形成することができる。また、第2のシリコンウェーハW2の表面だけでなく、裏面にも所望の形状の面取り部を精度高く形成することができる。
また、本実施の形態では、プラズマエッチングにより複数の第2のシリコンウェーハを切り出す為、第2のシリコンウェーハW2において更なる面取りやエッチングといった追加工程を行う必要がなくなる。
更に、本実施の形態では、プラズマエッチングにより複数の第2のシリコンウェーハを切り出す為、第2のシリコンウェーハW2において、第1のシリコンウェーハW1の表面状態を維持することができる。
[7.グレースケールリソグラフィー法を用いたプラズマエッチング]
図12を用いて、グレースケールリソグラフィー法を用いたプラズマエッチングで面取り形状の形成を行い、第2のシリコンウェーハW2の切り出しを行う工程を説明する。
本実施の形態では、第1のシリコンウェーハW1の裏面側のみ、カップホイール100で切削加工して、第1のシリコンウェーハW1の表面側には、切削加工とは異なる方法で、第2のシリコンウェーハW2の表面の面取り部を形成する工程を有する。
本実施の形態では、第1のシリコンウェーハW1の表面側は、グレースケールリソグラフィー法で、第2のシリコンウェーハW2の表面の面取り部を形成する工程を有する。
図12(a)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面が上側となるように配置して、表面にレジスト10を塗布する。
図12(b)に示すように、第1のシリコンウェーハW1の表面にグレースケールリソグラフィー用のフォトマスク45を介して露光を行い、レジスト10にパターンを形成する。
次に、図12(c)に示すように、現像して、レジスト10の露光した領域を除去する。これにより、レジスト10には、厚み方向に差を有する領域10aが形成される。
また、第1のシリコンウェーハW1の裏面にテープ60を貼り付け、第2のシリコンウェーハW2へと分割される際に、第2のシリコンウェーハW2を固定する。
続いて、図12(c)に示すように、パターニングされたレジスト10aをマスクとして、図12(d)に示すように、プラズマエッチングを行う。これにより、裏面の溝Sが形成された部分と反対側に位置する領域に、第2のシリコンウェーハW2の表面の面取り部300が形成され、同時に、第1のシリコンウェーハW1を貫通する貫通部70が形成される。
以上の工程により、第2のシリコンウェーハW2の表面及び裏面の周縁部に、表面はグレースケールリソグラフィーを用いてプラズマエッチングによる面取り部300、また、裏面はカップホイール100で切削して加工した溝Sによる面取り部300が形成された、複数の第2のシリコンウェーハW2を切り出すことができる。
ここで、グレースケールリソグラフィーを用いて面取り部300だけを形成し、改めて第1のシリコンウェーハW1の表面にフォトマスクを介して露光を行い、レジスト10にパターンを形成した後、表面の面取り部300及び裏面の溝S(裏面の面取り部300)に挟まれた領域にプラズマエッチングを行うことで、複数の第2のシリコンウェーハW2に切り出すことも可能である。
本実施の形態では、以上のように、グレースケールリソグラフィー法でレジストの形状をコントロールすることで、プラズマエッチングを用いて、第1のシリコンウェーハW1から複数の第2のシリコンウェーハW2を形成することができる。また、第2のシリコンウェーハW2の表面だけでなく、裏面にも所望の形状の面取り部を精度高く形成することができる。
更に、本実施の形態では、グレースケールリソグラフィー法でレジストの形状をコントロールすることで、プラズマエッチングにより複数の第2のシリコンウェーハを切り出す為、第2のシリコンウェーハW2において、第1のシリコンウェーハW1の表面状態を維持することができる。
[SOI構造を有する半導体ウェーハ]
半導体ウェーハを貼り合わせして、ミニマルファブシステム用の半導体ウェーハのサイズでSOI構造を作成する場合に、本発明を適用した半導体ウェーハの製造方法を用いることで、貼り合せた面の下まで面取り加工を行う必要がなくなり、容易に所望の面取り形状を形成可能となることを説明する。
まず、従来方法を説明する。
図14(a)及び図14(b)に示すように、表面に酸化膜20が形成された酸化ウェーハW10と、支持ウェーハW20とを貼り合せる。
また、酸化ウェーハW10と支持ウェーハW20を貼り合せた後、強化熱処理を行い、ウェーハ間の結合力を高める(図14(c)参照)。
続いて、既知のべべリングの手法により、酸化ウェーハW10の表面側から、支持ウェーハW20の接合面の端部近傍まで面取りを行い、図14(d)図中の符号Tで示す点線部分をカットする(図14(e)参照)。
その後、酸化ウェーハW10の表面側から薄膜化処理を行い、SOI構造を有する半導体ウェーハW30を完成させる(図14(f)及び図17(b)参照)。
このように、従来方法の加工では、SOI構造を有する半導体ウェーハW30を製造するにあたり、酸化ウェーハW10と支持ウェーハW20を貼り合せた面の下方の、支持ウェーハW20の接合面の端部近傍まで面取りした形状とする必要があり、接合面の近傍に通常の面取り形状(例えば、滑らかなエッジ形状)を形成することが困難であった。
次に、本発明を適用した半導体ウェーハの製造法により、ミニマルファブシステム用の半導体ウェーハのサイズでSOI構造を作成する例を説明する。
図15(a)及び図15(b)に示すように、表面に酸化膜20が形成された酸化ウェーハW40と、支持ウェーハW50とを貼り合せる。
また、酸化ウェーハW40と支持ウェーハW50を貼り合せた後、強化熱処理を行い、ウェーハ間の結合力を高める(図15(c)参照)。
続いて、支持ウェーハW50の裏面に対して、カップホイール100(図13(a)参照)を取り付けた回転工具(図示省略)で、溝Sを形成する切削加工を行う(図15(d)参照)。
次に、支持ウェーハW50の裏面に研削加工を行う。また、支持ウェーハW50の裏面に対して研磨加工を行う(図15(e)参照)。
また、酸化ウェーハW40の表面側から薄膜化処理を行う(図15(f)参照)。
続いて、酸化ウェーハW40の表面に対して、カップホイール100を取り付けた回転工具(図示省略)で、溝Sを形成する切削加工を行う(図16(g)参照)。ここで、支持ウェーハW50の裏面に形成された溝Sと、酸化ウェーハW40の表面に形成された溝Sは、その位置が対応するように形成される。
また、酸化ウェーハW40の表面側から薄膜化処理を行う。また、酸化ウェーハW40の表面に対して研磨加工を行う(図16(h)参照)。
次に、図16(i)に示すように、支持ウェーハW50の裏面にテープ60を貼り付け、SOI構造を有する半導体ウェーハW60へと分割される際に、半導体ウェーハW60を固定する。続いて、その厚み方向にかけて、酸化ウェーハW40の表面及び支持ウェーハW50裏面の溝Sに挟まれた領域にプラズマエッチングを行う。これにより貫通部70が形成される。この結果、SOI構造を有する半導体ウェーハW60を切り出すことができる(図16(i)参照)。
このように、本発明を適用した半導体ウェーハの製造法によれば、SOI構造を有する半導体ウェーハの表面及び裏面に対して、カップホイールを用いた切削加工により面取り部を形成して、接合面の近傍に通常の面取り形状(例えば、滑らかなエッジ形状)を形成することができる(図17(a)参照)。また、簡易な工程により、通常の面取り形状を形成したSOI構造を有する半導体ウェーハを製造可能となる。
例えば、電気自動車等に使用されるパワー半導体においては、その性能を向上させる為にSiC、GaN、ダイアモンド等の新たな半導体材料での開発競争が起こっている。この新たな半導体材料の結晶は、ウェーハ径が小さいものが多く、ミニマルファブシステムにより効率よく研究開発から量産化まで対応することができるが、パワー半導体として活用するには、その新たな材料結晶上でSOI構造を持たせることが必須となる。ここで、本発明を適用した半導体ウェーハの製造法を利用することでそれが可能となる。
なお、ここでは、オリフラのない半導体ウェーハW60について説明を行ったが、本発明を適用した半導体ウェーハの製造法では、オリフラを形成する工程を有していてもよい。
また、必ずしも、SOI構造を有する半導体ウェーハW60へと分割される際に、プラズマエッチングが採用される必要はなく、上述したフッ硝酸液のウェットエッチングや、昇華法レーザーによる切り出しが採用されてもよい。
以上のように、本発明に係る半導体ウェーハの製造方法は、ミニマルファブシステムに用いられる小口径の半導体ウェーハにおいて、表面及び裏面に所望の形状の面取り加工を行うことが可能な方法となっている。
本明細書、及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書、及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。