JP2008177287A - 化合物半導体ウェハ - Google Patents

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Abstract

【課題】外周部にノッチを有するウェハで、表裏識別が可能な化合物半導体ウェハを提供するものである。
【解決手段】本発明に係る化合物半導体ウェハは、外周部に方位を識別するためのノッチ3を有すると共に、ウェハ両面15,16の外周部に面取部14を有しており、ウェハ両面15,16の面取部14に、研削方向が互いに異なる研削痕17,18を形成したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、化合物半導体ウェハに係り、特にノッチを有するノッチ付ウェハに関するものである。
化合物半導体ウェハの一つであるGaAsウェハは、受光素子、発光素子、高周波素子等の基板として幅広く使われている。これらGaAsウェハにイオンを打ち込んだり、エピタキシャル層を形成して半導体素子を製作するには、その製作コストを考えた場合、Siウェハと同様に、より大径のウェハを使用した方が製造コストを抑えることができる。このため、GaAsウェハでも6インチ(150mm)径のウェハを使用する場合が多くなってきている。
Siウェハでは、大径化が進むにつれて、ウェハの方向性を特定するオリエンテーションフラット、及びインデックスフラットをウェハに付ける代わりに、ウェハの外周部に、図1(a)、図1(b)に示すV型のノッチ3と呼ばれる切欠きを付けたノッチ付ウェハ1が、デバイスメーカーで使用されるようになった。GaAsウェハでも、φ6インチウェハの登場に伴い、Siウェハと同様に、ノッチ付ウェハがデバイスメーカーで使用されるようになっている。ノッチを付けるのは、ウェハの径が大きくなると、その分、オリエンテーションフラット、インデックスフラットの長さが長くなり、使用可能なウェハの面積が減るためである。また、素子作製のプロセスでウェハを回転させたりした場合、径が大きくなると、回転時の慣性モーメントが大きくなることで、位置がずれるためである。
こうしたノッチ付ウェハの加工は、以下のような順序でなされる。
1) 成長した結晶の表面を研削し、円柱状のインゴットに加工する。
2) インゴットの側面における特定の方向(位置)に、V型の溝を付ける(この溝がウェハをスライスした時の仮のノッチとなる)。
3) インゴットを、スライサ、ワイヤーソー等で所定の厚さのウェハにスライスする。
4) ウェハ端面研削機(面取機)で、仮ノッチの付いたウェハ(ウェハ本体)のノッチ部分及びその他の端面の面取りを行う。
5) 面取りしたウェハを研磨し、研磨面を鏡面に仕上げる。
ここで、一般的なウェハ端面研削機(面取機)では、図2(a)に示すように、面取り加工前のウェハ5をウェハ吸着台6に真空吸着させ、高速で回転する面取加工用砥石4に、ウェハ5自体を回転させながら、そのノッチ部分及びその他の端面を当てる。これによって、ウェハ5の外周部の面取加工がなされ、図2(b)に示すように、ウェハ両面15,16の外周部が面取され、面取部14を有する面取ウェハ7が得られる。
ウェハ本体に面取加工を施す場合、面取機には2つの研削用砥石があり、図2(a)に示した面取加工用砥石4でウェハ外周部全体の端面の面取加工をし、次いで、ノッチ部分研削用の砥石(図示せず)にてノッチ部の面取加工がなされる。それぞれの部分の面幅、面取形状(テーパー部角度、R(アール)形状)は、端面研削機がNC機であるため、数値データを入力することで調節が可能である。
図2(a)に示したように、ウェハ5の端面を研削する面取加工用砥石4は、溝11の付いた形状を有しており、溝11の部分はR部12とテーパ部13で構成されている。これらの部分に特定の粒度のダイヤモンド砥粒が付いている。
この溝11の部分にウェハ5の外周部を当てることにより、ウェハ5が面取される。具体的には、ウェハ5の上側の面は溝11の上側のテーパ部13に、ウェハ5の下側の面は溝11の下側のテーパ部13に当てることにより、図2(b)に示した面取ウェハ7が得られる。
ノッチ部分研削用の砥石は、その径が面取加工用砥石4に比べてかなり小さいことを除き、面取方法、手順、ウェハと砥石との位置関係は面取加工用砥石4の場合と同様である。
ノッチ付ウェハを加工する場合、Siウェハを始めとして、上記の順序で加工がなされる。ここで、ノッチ付ウェハは、ウェハ表(オモテ)面と裏(ウラ)面との形状が全く同じであるため、表裏の区別が必要であるウェハでは、各工程において表裏を間違えないようにする注意が必要である。
面取までの工程では、ウェハの一方の面に薬品で印を付ける等、ウェハ表裏の識別を可能にする方法があるが、面取加工後に、この薬品で印を付けた部分を研磨してしまえば、ウェハ表裏の区別が付かなくなり、研磨以降の工程でウェハの表裏を取り違える可能性がある。
こうしたウェハ表裏の取り違えを防止する方法として、ウェハ表裏において面取部分の形状が異なるウェハが提案されている(特許文献1,2)。
特開2001−44084号公報 特開2002−15966号公報
しかしながら、ウェハ面取部分の径方向長さ(幅)は数百μmと非常に短いので、一瞥しただけでは、ウェハ表裏の面取部分の形状の違いを見分けることは困難である。
そこで本発明の目的は、外周部にノッチを有するウェハで、表裏識別が可能な化合物半導体ウェハを提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、外周部に方位を識別するためのノッチを有すると共に、ウェハ両面の外周部に面取部を有した化合物半導体ウェハにおいて、ウェハ両面の上記面取部に、研削方向が互いに異なる研削痕を形成したことを特徴とする化合物半導体ウェハである。
請求項2の発明は、ウェハ材料がGaAs、InP、InSb、InAs、又はGaPである請求項1記載の化合物半導体ウェハである。
請求項3の発明は、一方の面の面取部にウェハ周方向に延びる上記研削痕を形成し、他方の面の面取部にウェハ径方向に放射状に延びる上記研削痕を形成した請求項1又は2記載の化合物半導体ウェハである。
本発明によれば、ウェハ製造工程においてノッチ付ウェハの表裏の識別が可能で、ウェハの表裏の取り違えによる歩留まりの低下を防ぐことができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
本実施の形態に係る化合物半導体ウェハは、図1(a)、図1(b)に示したノッチ付ウェハ1と基本的な構成は同じであり、その外周部に方位を識別するためのノッチ3を有し、また、図4に示すように、ウェハオモテ面15及びウェハウラ面16の各外周部に面取部14を有する。ウェハウラ面16の面取部14には、図2(a)に示した面取加工用砥石4による研削痕18が形成されている。一方、ウェハオモテ面15の面取部14には、後述する仕上げ用砥石8による研削痕17が形成されている。
ウェハウラ面16に形成される研削痕18とウェハオモテ面15に形成される研削痕17は研削方向が互いに異なり、研削痕18は研削の痕跡がウェハ周方向に延びており、研削痕17は研削の痕跡がウェハ径方向に放射状に延びている。
化合物半導体ウェハのウェハ材料は、GaAs、InP、InSb、InAs、又はGaPが挙げられ、特に限定するものではない。
本実施の形態に係る化合物半導体ウェハの製造方法を説明する。
化合物半導体からなるインゴットを作製し、そのインゴットの端面(周面)における特定の方向(位置)に、V型の溝を付ける。このインゴットをスライサ、ワイヤーソー等で所定の厚さのウェハにスライスし、仮ノッチの付いたウェハ(ウェハ本体)を作製する。
次に、ウェハ本体の両面15,16の各外周部、すなわちノッチ部分及びノッチ部分以外の端面に、面取加工を施す。これによって、ウェハ両面15,16の各外周部に面取部14が形成された面取ウェハ7を作製する。また、この面取加工によって、各面取部14に研削の痕跡がウェハ周方向に延びる研削痕18を形成する。
その後、図3に示すように、ウェハ外周部に対して垂直に、より好ましくは、ウェハ面に対して垂直に、かつ、ウェハの径方向延長上に配置された仕上げ用砥石8により、ウェハオモテ面15の面取部14のみに仕上げ加工を施す。これによって、図4に示すように、ウェハオモテ面15の面取部14に、研削の痕跡がウェハ径方向に放射状に延びる研削痕17を有する仕上げウェハ9を作製する。ウェハウラ面16には仕上げ加工を施さないので、ウェハウラ面16の面取部14には研削痕18が残っている。仕上げ研削を行う面取ウェハ7の面は、ウェハオモテ面15ではなく、ウェハウラ面16であってもよい。
仕上げ加工後の仕上げウェハ9に研磨加工を施して研磨面を鏡面に仕上げ、最終製品である化合物半導体ウェハ(ノッチ付ウェハ)を作製する。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
本実施の形態に係る化合物半導体ウェハは、ウェハ両面15,16の各ウェハ外周部に面取加工を施した後、ウェハオモテ面15の面取部14のみに仕上げ加工を施すことによって、ウェハオモテ面15の面取部14に、ウェハウラ面16の面取部14に形成された研削痕18とは異なる研削痕17を備える。
このように、本実施の形態の化合物半導体ウェハは、ウェハ両面15,16の各面取部14における研削痕17,18が互いに異なるため、各面取部14に光が当たった時に光の反射のされ方(光の反射方向)が異なってくる。その結果、一瞥で、仕上げウェハ9の表裏の識別が可能となり、仕上げウェハ9の表裏の取り違えによる歩留まりの低下を防ぐことができる。
本実施の形態においては、化合物半導体ウェハに研削痕17,18を形成した場合を例に挙げて説明を行ったが、ノッチを有するSiウェハに対して研削痕17,18を形成しても、同様の効果が得られる。
また、研削痕17の研削の痕跡方向は、ウェハ径方向に対して傾いていてもよい。しかし、傾角があまり大きすぎると、例えば、45°を超えると、研削痕17の痕跡方向が研削痕18の痕跡方向に近づき、光の反射方向が変わらなくなるため、好ましくない。
(実施例1)
(100)方向に仮のノッチが付いた、厚さ750μm、直径152mmの(100)GaAsウェハ1,000枚を準備した。これらのウェハの外周部の端面を、図2(a)に示したウェハ端面研削機(面取機)で面取加工し、図2(b)に示した面取ウェハ7を作製した。その後、図3に示すように、ウェハ7を吸着台10に真空吸着させ、仕上げ用砥石8を、ウェハ7の外周部に対して垂直に配置すると共に高速で回転させ、仕上げ用砥石8をウェハオモテ面15の面取部14のみに当て、仕上げ加工した。このようにして、ノッチの付いた直径150mmの(100)仕上げウェハ9を得た。
仕上げウェハ9のウェハオモテ面15及びウェハウラ面16の各面取部14を、顕微鏡(倍率100倍)で観察した際のスケッチを基にした説明図を図4に示すように、本実施例の仕上げウェハ9は、ウェハ両面15,16の各面取部14における研削痕17,18が互いに異なっている。これら1,000枚の仕上げウェハ9は、面取後に研磨工程に送られ、研磨加工がなされるが、ウェハ両面15,16の各面取部14における研削痕17,18が互いに異なっていることから、各面取部14における光の反射方向は異なり、面の表裏を容易に識別することができた。よって、これ以降の工程でウェハの表、裏の取り違えは皆無であった。
(比較例1)
(100)方向に仮のノッチが付いた、厚さ750μm、直径152mmの(100)GaAsウェハ1,000枚を準備した。これらのウェハの外周部の端面を、図2(a)に示したウェハ端面研削機で面取加工し、図2(b)に示した面取ウェハ7(ノッチの付いた直径150mmの(100)ウェハ)を作製した。
面取ウェハ7のウェハ両面15,16の各面取部14を、顕微鏡(倍率100倍)で観察した際のスケッチを基にした説明図を図5に示すように、本比較例の面取ウェハ7は、ウェハ両面15,16の各面取部14における研削痕18,18が共に同じである。これら1,000枚の面取ウェハ7は、面取後に研磨工程に送られ、研磨加工がなされるが、ウェハ両面15,16の各面取部14における研削痕18,18が共に同じであることから、各面取部14における光の反射方向は同じであり、面の表裏の識別が困難であった。よって、これ以降の工程でウェハの表、裏の取り違えが10枚発生した。
実施例1及び比較例1の結果から、ノッチ付ウェハを加工する際、ウェハ両面の各外周部における面取部の研削方向を変えることは、ウェハの表、裏の識別を容易にするために有効であり、ウェハ製造時においてウェハ表裏の管理を確実に行えることがわかった。
ノッチ付ウェハの外観図である。図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)の1b−1b線断面図である。 図2(a)は面取加工用砥石でウェハの面取加工を行う様子を示す図であり、図2(b)は面取加工された面取ウェハの断面図である。 本発明の好適一実施の形態に係る化合物半導体ウェハの、仕上げ加工の様子を示す図である。 実施例1の仕上げウェハの、ウェハ外周部のスケッチを基にした説明図である。 比較例1の面取ウェハの、ウェハ外周部のスケッチを基にした説明図である。
符号の説明
3 ノッチ
14 面取部
15 ウェハオモテ面
16 ウェハウラ面
17,18 研削痕

Claims (3)

  1. 外周部に方位を識別するためのノッチを有すると共に、ウェハ両面の外周部に面取部を有した化合物半導体ウェハにおいて、ウェハ両面の上記面取部に、研削方向が互いに異なる研削痕を形成したことを特徴とする化合物半導体ウェハ。
  2. ウェハ材料がGaAs、InP、InSb、InAs、又はGaPである請求項1記載の化合物半導体ウェハ。
  3. 一方の面の面取部にウェハ周方向に延びる上記研削痕を形成し、他方の面の面取部にウェハ径方向に放射状に延びる上記研削痕を形成した請求項1又は2記載の化合物半導体ウェハ。
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