JP5343400B2 - 半導体ウェーハの製造方法 - Google Patents
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長径K1と短径K2との差を20μm以上とした理由は、長径K1と短径K2との差が20μm未満であると、長径K1と短径K2との差の小さ過ぎて、長軸方向D1又は短軸方向D2を結晶方位として利用することができないからである。長径K1と短径K2との差は、好ましくは50μm以上である。
本実施形態のウェーハ1においては、長径K1は、例えば、200mm、300mm、450mmである。ここで、ウェーハ1の長径K1は、製造時の目標値としての数値であり、製造時の許容誤差等を含むものである。
本実施形態のウェーハ1における厚みt(図1(c)参照)は、適宜設定されるが、例えば、725μm以上900μm以下である。
本実施形態のウェーハ1においては、厚み方向D3の形状が楕円であり、楕円における長軸方向D1又は短軸方向D2を結晶方位として利用可能である。そのため、光学センサーなどを利用することにより、ウェーハ1に結晶方位を識別するための方位識別マークを設けなくても、ウェーハ1の結晶方位を識別することができる。
図2は、本発明の半導体ウェーハの第1実施態様を示すフローチャートである。図3(a)〜図3(e)は、第1実施態様のウェーハの製造方法の一部を順次示す図である。
図2に示すように、第1実施態様の半導体ウェーハの製造方法は、下記工程を備える。
まず、チョクラルスキー法(CZ法)やフローティングゾーン法(FZ法)等により単結晶の半導体インゴットを成長させる。
単結晶インゴット成長工程S1を経て成長した半導体インゴットは、先端部及び終端部が切断される。そして、未研削の半導体インゴット2について、1本の晶癖線21を残して、周面を真円形状に研削する。これにより、図3(a)に示すように、1本の晶癖線21を有する半導体インゴット2が得られる。半導体インゴット2は、晶癖線21を除き、その中心軸22に直交する直交平面に沿って切断した直交断面が真円形状となっている。
図3(b)及び(c)に示すように、晶癖線21を有する半導体インゴット2に対して、晶癖線21を結晶方位として利用して、半導体インゴット2の中心軸22に直交する直交平面に対して傾斜させてスライスする。スライスには、例えばワイヤソーWSが用いられる。これにより、図3(d)に示すように、晶癖線21を有するウェーハ1Aが得られる。ウェーハ1Aは、直交断面が真円形状の半導体インゴット2を、直交平面に対して傾斜させてスライスして得られるものであるため、晶癖線21を除き、厚み方向D3の形状が楕円形状となっている。
第1スライス加工工程S3により得られたウェーハ1Aに対して、晶癖線21を除去する。晶癖線21は、例えば、面取り用砥石により研削されて除去される。これにより、図3(e)に示すように、厚み方向D3の形状が楕円のウェーハ1が得られる。
なお、晶癖線の除去は、後述する面取り工程S4において併せて行うこともできる。
第1スライス加工工程S3を経て得られたウェーハ1には、ウェーハ1の周縁部の欠けやチッピングを防止するためにウェーハの外周部に面取り加工が行われる。例えば、ウェーハの外周部が面取り用砥石により所定の形状に面取りされる。これにより、ウェーハの外周部は、所定の丸みを帯びた形状に成形される。
面取り工程S4を経たウェーハに対して、スライス加工等の工程で生じたウェーハにおける表裏面の凹凸層が、ラッピングにより平坦化される。ラッピング工程では、ウェーハを、互いに平行なラッピング定盤の間に配置し、ラッピング定盤とウェーハとの間に、アルミナ砥粒、分散剤、水の混合物であるラッピング液を流し込む。そして、加圧下で回転・すり合わせを行ない、ウェーハ表裏両面がラッピングされる。これにより、ウェーハにおける表裏面の平坦度とウェーハの平行度が高まる。
ラッピング工程S5を経たウェーハは、エッチング液にディップされてエッチングされる。エッチング工程では、ウェーハをスピンしながらウェーハの表面にエッチング液を供給して、供給したエッチング液をスピンによる遠心力によりウェーハ表面全体に拡げてウェーハ表面全体をエッチングし、ウェーハ表面の表面粗さRaを所定の表面粗さに制御する。このエッチング工程では、面取り工程S4やラッピング工程S5のような機械加工プロセスによって導入された加工変質層をエッチングによって完全に除去する。
エッチング工程S6を経たウェーハは、外周部が外周研磨される。これにより、ウェーハの面取り面が鏡面仕上げされる。外周研磨工程では、ウェーハの面取り面に研磨液を供給しながら、軸線回りに回転している研磨布の外周面にウェーハの面取り面を押し付けて、鏡面に研磨する。
外周研磨工程S7を経たウェーハには、表裏面を同時に研磨する両面同時研磨装置を用いて、表面の粗研磨としての一次研磨が行われる。
一次研磨工程S8を経たウェーハには、表裏面を同時に研磨する両面同時研磨装置を用いて、鏡面研磨としての二次研磨が行われる。なお、本実施態様における一次研磨工程S8及び二次研磨工程S9では、両面同時研磨によってウェーハの表裏面を同時に研磨しているが、この両面同時研磨の代わりに、ウェーハの表裏面を片面ずつ研磨する片面研磨によってウェーハを研磨してもよい。
二次研磨(鏡面研磨)工程S9を経たウェーハは、仕上げ洗浄される。例えば、RCA洗浄液により洗浄される。
仕上げ洗浄工程S10を経たウェーハは、研磨の仕上がり具合を平坦度として測定される。
本実施態様のウェーハの製造方法によれば、前記実施形態のウェーハ1を容易に製造することができる。
図4は、本発明の半導体ウェーハの第2実施態様を示すフローチャートである。図5(a)〜図5(c)及び図6(a)〜図6(c)は、第2実施態様のウェーハの製造方法の一部を順次示す図である。
単結晶インゴット成長工程S1を経て成長した半導体インゴットは、先端部及び終端部が切断される。そして、図5(a)に示すように、半導体インゴットに対して、その中心軸22に直交する直交平面に沿って切断した直交断面が真円形状となるように真円加工が行われる。これにより、直交断面が真円形状の半導体インゴット2Aが得られる。
真円加工工程S2’を経た半導体インゴット2Aは、真円形状の周面の一部が除去される。これにより、図5(b)に示すように、半導体インゴット2Aの周面に凹状目印23が形成され、凹状目印23を有する半導体インゴット2Bが得られる。
凹状目印23は、半導体インゴット2Bにおける中心軸22が延びる方向全長に亘って形成される。凹状目印23の深さ(ウェーハ1の径方向の最大深さ)は、例えば、1000μm〜2000μmであり、好ましくは、1000μm〜1500μmである。凹状目印23は、例えば、尖鋭な凹み状、丸みを帯びた凹み状を有する。なお、真円形状の周面を有する半導体インゴット2Bの位置合わせ(アライメント)には、例えば、X線回折装置が用いられる。
凹状目印形成工程S22を経た半導体インゴット2Bは、図5(c)及び図6(a)に示すように、中心軸22に直交する直交平面に平行にスライスされる。スライスには、例えばワイヤソーWSが用いられる。これにより、図6(b)に示すように、凹状目印23を有するウェーハ1Bが得られる。ウェーハ1Bは、厚み方向D3の形状が、凹状目印23を除き、真円形状である。
第2スライス加工工程S3’を経て得られたウェーハ1Bには、ウェーハ1Bの周縁部の欠けやチッピングを防止すると共に凹状目印23を除去するために、ウェーハ1Bの外周部に面取り加工が行われる。例えば、ウェーハ1Bの外周部が面取り用砥石により所定の形状に面取りされる。ここで、図6(b)及び(c)に示すように、ウェーハ1の外周部は、楕円状に成形される。ここで、ウェーハ1Bの外周部における凹状目印23が位置する領域及びその周方向反対側の領域は、ウェーハ1の径方向に多く研削され、その結果、凹状目印23が消滅する。このように、凹状目印23が消滅するように面取り加工を行うことにより、図6(c)に示すように、厚み方向D3の形状が楕円の半導体ウェーハ1が得られる。
図7は、本発明の半導体ウェーハの第3実施態様を示すフローチャートである。図8(a)〜図8(d)は、第3実施態様のウェーハの製造方法の一部を順次示す図である。
単結晶インゴット成長工程S1を経て成長した半導体インゴットは、先端部及び終端部が切断される。そして、半導体インゴット2には、その中心軸22に直交する直交平面に沿って切断した直交断面が楕円形状となるように楕円加工が行われる。これにより、図8(a)に示すように、直交断面が楕円形状の半導体インゴット2Cが得られる。
楕円加工工程S2”を経た半導体インゴット2Cは、図8(b)及び(c)に示すように、中心軸22に対して直交する直交平面に平行にスライスされる。スライスには、例えばワイヤソーWSが用いられる。これにより、図8(d)に示すように、厚み方向D3の形状が楕円のウェーハ1が得られる。
第3スライス加工工程S3”を経て得られたウェーハ1には、ウェーハ1の周縁部の欠けやチッピングを防止するためにウェーハ1の外周部に面取り加工が行われる。例えば、ウェーハ1の外周部が面取り用砥石により所定の形状に面取りされる。これにより、ウェーハ1の外周部は、所定の丸みを帯びた形状に成形される。
例えば、半導体インゴットのスライスは、ワイヤソー以外の手段により行うことができる。
2、2A、2B 半導体インゴット
21 晶癖線
22 中心軸
23 凹状目印
D1 長軸方向
D2 短軸方向
D3 厚み方向
K1 長径
K2 短径
S2’ 真円加工工程
S2” 楕円加工工程
S3 第1スライス加工工程
S3’ 第2スライス加工工程
S3” 第3スライス加工工程
S4’ 面取り工程
S21 晶癖線除去工程
S22 凹状目印形成工程
Claims (4)
- 厚み方向に視た形状が楕円であり且つ前記楕円における長軸方向又は短軸方向を結晶方位として利用可能である半導体ウェーハの製造方法であって、
少なくとも、半導体インゴットに対して、該半導体インゴットの中心軸に直交する直交平面に対して傾斜させてスライスするスライス加工工程を行うことにより、厚み方向に視た形状が楕円の半導体ウェーハを得る製造方法であり、
晶癖線を有する半導体インゴットに対して、該晶癖線を結晶方位として利用して該半導体インゴットの中心軸に直交する直交平面に対して傾斜させてスライスすることにより、前記晶癖線を有する半導体ウェーハを得る前記スライス加工工程としての第1スライス加工工程と、
前記第1スライス加工工程により得られた前記半導体ウェーハに対して、前記晶癖線を除去することにより、厚み方向に視た形状が楕円の半導体ウェーハを得る晶癖線除去工程と、を有することを特徴とする半導体ウェーハの製造方法。 - 厚み方向に視た形状が楕円であり且つ前記楕円における長軸方向又は短軸方向を結晶方位として利用可能である半導体ウェーハの製造方法であって、
少なくとも、半導体インゴットに対して、該半導体インゴットの中心軸に直交する直交平面に平行にスライスするスライス加工工程を行うことにより、厚み方向に視た形状が楕円の半導体ウェーハを得る製造方法であり、
半導体インゴットに対して、その中心軸に直交する直交平面に沿って切断した直交断面が真円形状となるように真円加工を行う真円加工工程と、
前記真円加工工程を経た前記半導体インゴットにおける真円形状の周面の一部を除去して、該半導体インゴットの周面に凹状目印を形成する凹状目印形成工程と、
前記凹状目印形成工程を経た前記半導体インゴットを前記直交平面に平行にスライスして、前記凹状目印を有する半導体ウェーハを得る前記スライス加工工程としての第2スライス加工工程と、
前記第2スライス加工工程により得られた前記半導体ウェーハに対して、前記凹状目印が消滅するように面取り加工を行うことにより、厚み方向に視た形状が楕円の半導体ウェーハを得る面取り工程と、を有することを特徴とする半導体ウェーハの製造方法。 - 厚み方向に視た形状が楕円であり且つ前記楕円における長軸方向又は短軸方向を結晶方位として利用可能である半導体ウェーハの製造方法であって、
少なくとも、半導体インゴットに対して、該半導体インゴットの中心軸に直交する直交平面に平行にスライスするスライス加工工程を行うことにより、厚み方向に視た形状が楕円の半導体ウェーハを得る製造方法であり、
半導体インゴットに対してその中心軸に直交する直交平面に沿って切断した直交断面が楕円形状となるように楕円加工を行う楕円加工工程と、
前記楕円加工工程を経た前記半導体インゴットを前記直交平面に平行にスライスして厚み方向に視た形状が楕円の半導体ウェーハを得る前記スライス加工工程としての第3スライス加工工程と、を有することを特徴とする半導体ウェーハの製造方法。 - 前記厚み方向に視た形状が楕円の半導体ウェーハにおいて前記楕円における長径と短径との差は、20μm以上400μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の半導体ウェーハの製造方法。
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