JP7342514B2 - ジャケット、転写装置、および画像形成装置 - Google Patents

Description

本発明は、ジャケット、転写装置、および画像形成装置に関する。

転写胴に交換可能なジャケットを巻き付け、そのジャケット上を通る用紙上に画像を転写する技術が考えられている。

特許文献１には、転写胴に相当するドラムに交換可能なシート状のブラケットを巻き付けてそのブラケット上にトナー層を転写する中間転写部材が開示されている。

特開２００４－１７１０２２号公報

上掲の特許文献１のブラケットは、そのブラケット上にトナー像が直接に転写されるものであって、そのブラケット上に転写されたトナー像は、そのブラケット上からさらに別な部材上に転写される。これに対し、ここでは、ジャケット（ブラケット）上に用紙を置き、その用紙上にトナー像等の画像を形成しようとするものである。

また、この特許文献１のブラケットは、ドラムに対し着脱されるが、この特許文献１には、着脱の作業性への言及は存在しない。

本発明は、高硬度の層の端縁が露出しているジャケットに比べて、着脱の際の作業性を向上させたジャケット、並びに、そのジャケット備えた転写装置および画像形成装置を提供することを目的とする。

請求項１に係る発明は、
回転する胴体に装着されたときに該胴体側となる金属製の第１層と、
前記胴体からは離間し前記第１層と比べ積層される用紙側に位置し該胴体の回転軸方向端部まで該第１層と平行に広がった層である、該第１層よりも低い硬度を有するとともに、該胴体の回転軸方向の少なくとも一方の端縁が該第１層より該回転軸方向内側に入り込んだ位置には存在しない第２層とを有することを特徴とするジャケットである。

請求項２に係る発明は、
前記第２層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁が、前記第１層より該回転軸方向外側に食み出た位置にあることを特徴とする請求項１に記載のジャケットである。

請求項３に係る発明は、
前記第１層は、前記第２層よりも薄い層であることを特徴とする請求項１に記載のジャケットである。

請求項４に係る発明は、
当該ジャケットが導電性を有することを特徴とする請求項１から３のうちのいずれか１項に記載のジャケットである。

請求項５に係る発明は、
前記第２層はゴム層であり、さらに、前記第１層との間に該ゴム層を挟んで積層された、用紙に接する表面層を有し、該表面層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁は、該ゴム層より前記回転軸方向内側に入り込んだ位置には存在しないことを特徴とする請求項４に記載のジャケットである。

請求項６に係る発明は、
前記表面層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁が、前記ゴム層より前記回転軸方向外側に食み出た位置にあることを特徴とする請求項５に記載のジャケットである。

請求項７に係る発明は、
前記第１層と前記ゴム層とを接着する接着層を有し、該接着層が、前記回転軸方向に関し前記第１層よりも外側には存在しないことを特徴とする請求項５または６に記載のジャケットである。

請求項８に係る発明は、
前記接着層の、前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁が、前記第１層よりも該回転軸方向内側に位置することを特徴とする請求項７に記載のジャケットである。

請求項９に係る発明は、
前記第２層が、用紙に接する表面層であって、さらに前記第１層と該表面層との間にゴム層を挟み、該表面層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁は、該ゴム層より該回転軸方向内側に入り込んだ位置には存在しないことを特徴とする請求項１から４のうちのいずれか１項に記載のジャケットである。

請求項１０に係る発明は、
前記表面層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁は、該ゴム層より前記回転軸方向外側に食み出た位置にあることを特徴とする請求項９に記載のジャケットである。

請求項１１に係る発明は、
前記第１層と前記ゴム層とを接着する接着層を有し、該接着層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁が、前記第１層から食み出た位置には存在せず、かつ、前記ゴム層の内側には存在しないことを特徴とする請求項９または１０に記載のジャケットである。

請求項１２に係る発明は、
前記該接着層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁が、前記第１層よりも該回転軸方向内側であって、かつ、前記ゴム層から食み出た位置にあることを特徴とする請求項１１に記載のジャケットである。

請求項１３に係る発明は、
前記胴体と、該胴体に装着された請求項１から１２のうちのいずれか１項に記載のジャケットとを備え、搬送されてきた用紙を該ジャケット上に置いて該用紙上に画像を転写することを特徴とする転写装置である。

請求項１４に係る発明は、
請求項１３に記載の転写装置を備え、前記用紙上に画像を形成することを特徴とする画像形成装置である。

請求項１のジャケット、請求項１３の転写装置、および請求項１４の画像形成装置によれば、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、第２層よりも高硬度な金属製の第１層の露出が抑えられ、着脱時の作業性が高められて効率の良い作業が可能である。

請求項２のジャケットによれば、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、第１層の端縁と第２層の端縁が重なっている場合と比べ、着脱時の作業性がさらに高められる。

請求項３のジャケットによれば、第１層が鋭利な刃となる条件化において、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、第１層の露出が避けられる。

請求項４のジャケットによれば、金属等の導電性の胴体に巻き付けて転写電界を形成することが可能である。

請求項５のジャケットによれば、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、表面層によりゴム層が保護される。

請求項６のジャケットによれば、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、表面層の端縁とゴム層の端縁が重なっている場合と比べ、表面層によるゴム層の保護が高められる。

請求項７のジャケットによれば、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、接着層が胴体に直接に触れることが抑えられる。

請求項８のジャケットによれば、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、第１層の端縁と接着層の端縁が重なっている場合と比べ、接着層が胴体に直接に触れることがさらに抑えられる。

請求項９のジャケットによれば、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、表面層によりゴム層が保護される。

請求項１０のジャケットによれば、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、表面層の端縁とゴム層の端縁が重なっている場合と比べ、表面層によるゴム層の保護が高められる。

請求項１１のジャケットによれば、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、接着層が胴体に直接に触れることが抑えられるとともに、ゴム層が、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、そのゴム層の回転軸方向の端縁まで第１層と接着する。

請求項１２のジャケットによれば、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、第１層の端縁と接着層の端縁が重なっている場合と比べ接着層が胴体に直接に触れることがさらに抑えられるとともに、回転軸方向の少なくとも一方の端縁について、接着層の端縁とゴム層の端縁が重なっている場合と比べ、ゴム層が、そのゴム層の回転軸方向の端縁まで第１層とさらに確実に接着する。

本発明の一実施形態としての画像形成装置の概要を示した模式図である。 転写胴の周りを示した模式斜視図である。 ジャケットが装着された転写胴を回転軸に垂直な平面で断面して示した模式断面図である。 第１例のジャケットを回転軸方向に広がる平面で断面して示した、ジャケットの幅方向の模式断面図である。 第２例のジャケットを回転軸方向に広がる平面で断面して示した、ジャケットの幅方向の模式断面図である。

以下、本発明の実施の形態について説明する。

図１は、本発明の一実施形態としての画像形成装置の概要を示した模式図である。この画像形成装置は、本発明の一実施形態としての転写装置およびジャケットを備えている。ジャケットは消耗品であって着脱式となっている。

この画像形成装置１０は、乾式のトナーを用いて電子写真方式で画像を形成するタイプの画像形成装置である。

この画像形成装置１０には、４つの像保持体２０Ｙ，２０Ｍ，２０Ｃ，２０Ｋが備えられている。各像保持体２０Ｙ，２０Ｍ，２０Ｃ，２０Ｋは、矢印Ａ方向に回転しながら、その表面にトナー像が形成される。ここで、像保持体の符号２０Ｙ，２０Ｍ，２０Ｃ，２０Ｋのうちの符号Ｙ，Ｍ，Ｃ，Ｋは、形成されるトナーの色を表している。以下では、トナーの色にかかわらず共通の説明については、符号Ｙ，Ｍ，Ｃ，Ｋは省略して表記する。像保持体２０以外の構成要素についても同様である。

また、この画像形成装置１０は、中間転写ベルト３０を備えている。この中間転写ベルト３０は、無端状のベルトであって、２次転写ローラ３１を含む複数のローラ３１，３２，３３に巻き掛けられて矢印Ｂ方向に循環移動する。各像保持体２０上に形成されたトナー像は、各１次転写ローラ２１の作用により、順次重なるように中間転写ベルト３０上に転写される。

また、この画像形成装置１０には、転写胴４０と定着胴５０が備えられている。ここで、転写胴４０は、中間転写ベルト３０を挟んで２次転写ローラ３１と対向する位置に備えられている。また、定着胴５０は、転写胴４０の回転軸と平行な回転軸を持ち、転写胴４０から水平方向に離間した位置に配置されている。転写胴４０と定着胴５０との間にはファン６０とヒータ７０が配置されている。なお、転写胴４０および定着胴５０は、胴体の一例である。

図２は、転写胴の周りを示した模式斜視図である。

転写胴４０の両側には、その転写胴４０の回転軸４１１に固定された歯車４０１が備えれていて、それらの歯車４１には各チェーン４２が噛み合っている。また、図１に示す定着胴５０の回転軸の両側にも、転写胴４０と同様な歯車が固定されている。各チェーン４２は、無端状であって、転写胴４０の歯車４１と定着胴５０の不図示の歯車とに掛け回されている。転写胴４０、チェーン４２、および定着胴５０は不図示の駆動源により、チェーン４２が矢印Ｃの向きに循環移動するよう駆動されている。

これらのチェーン４２には、グリッパ４３が橋渡しされていてそのグリッパ４３の両端部の各々が各チェーン４２に取り付けられている。グリッパ４３の役割については後述する。グリッパ４３はチェーン４２に取り付けられているため、チェーン４２が矢印Ｃの向きに循環移動すると、その移動に伴って、グリッパ４３が転写胴４０から定着胴５０へと移動し、そして定着胴５０から転写胴４０へと戻ることとなる。転写胴４０には、回転軸方向に延びる溝４０２が形成されている。グリッパ４３は、転写胴４０と重なる位置にあるときには、その溝４０２内に入り込む。定着胴５０にも転写胴４０の溝４０２と同様の溝５０２（図１参照）が形成されている。そして、グリッパ４３は、定着胴５０と重なる位置にあるときには、その溝５０２内に入り込む。

図３は、ジャケットが装着された転写胴を回転軸に垂直な平面で断面して示した模式断面図である。

転写胴４０には、ジャケット９０が装着される。このジャケット９０は、転写胴４０の回転方向の両端部９０１が折り曲げられて溝４０２内に入り込み、その溝４０２の壁面に固定される。転写胴４０は導電性の金属部材であり、ジャケット９０も導電性を有する。このジャケット９０は時々交換される消耗品である。

図１および図２に戻って説明を続ける。

用紙Ｐが不図示の用紙トレイから送り出され搬送装置８０により矢印Ｄの向きに搬送されて転写胴４０に案内される。用紙Ｐの搬送と転写胴４０の回転の位相は同期がとれていて、搬送されてきた用紙Ｐの前端部がグリッパ４３に把持される。グリッパ４３に把持された用紙Ｐは、転写胴４０の回転およびチェーン４２の移動にしたがって、先ずは転写胴４０（転写胴４０に装着されているジャケット９０の上）に巻き付けられる。用紙Ｐの搬送と中間転写ベルト３０上へのトナー像の転写もタイミングが調整されており、中間転写ベルト３０により搬送されてきたトナー像は、２次転写ローラ３１の作用により、転写胴４０に巻き付けられた状態の用紙Ｐ上に転写される。

トナー像の転写を受けた用紙Ｐは、その前端部がグリッパ４３に把持されたまま、チェーン４２の移動とともに定着胴５０に向かって搬送される。ここで、ファン６０は、グリッパ４３が通過する高さよりも下側に配置されていて用紙Ｐに向けて風を送り、用紙Ｐを浮いた状態に保つ役割を有する。ヒータ７０は、グリッパ４３が通過する高さよりも上側に配置されていて、用紙Ｐおよびトナー像を予備的に熱する。ここで、仮に、用紙Ｐが浮いた状態にはなくその下面が部材に接した状態にあると、用紙Ｐの接している箇所と接していない箇所とでは加熱のされ方が異なり、画像にムラが生じるおそれがある。このため、ここでは、ファン６０を備えて風を送り、用紙Ｐを浮かせた状態に保っている。
定着胴５０に隣接した位置に、内部に熱源５１１が配置された定着ローラ５１を備えている。グリッパ４３に把持されたまま定着胴５０まで搬送されてきた用紙Ｐは、定着胴５０と定着ローラ５１とに挟まれて加熱および加圧され、その用紙Ｐ上に定着トナー像からなる画像が形成される。仮に、ヒータ７０を備えずに用紙Ｐ上のトナー像を定着胴５０と定着ローラ５１だけで定着しようとすると、定着胴５０と定着ローラ５１による加熱および加圧を強める必要上回転軸方向の加圧の強さの分布を生じ、用紙Ｐにしわが発生するおそれがある。そこで、ここでは、ヒータ７０を備えて予備加熱を行うこととしている。

定着胴５０と定着ローラ５１とに挟まれて加熱および加圧されることによりトナー像が定着された用紙Ｐは、その前端部を把持していたグリッパ４３から解放され、不図示の搬送路に沿って、この画像形成装置１０の外部にまで送り出される。一方、グリッパ４３は、チェーン４２の移動とともに移動して、再び転写胴４０に戻る。

次に、ジャケットの層構造について説明する。

図４は、第１例のジャケットを回転軸方向に広がる平面で断面して示した、ジャケットの幅方向の模式断面図である。

このジャケット９０は、基層９１と、接着層９２（例えばアクリル系導電性接着剤）と、弾性層９３と、表面層９４が、この順に積層された積層構造を有する。ここで、このジャケット９０は、基層９１が金属からなる層であり、また各層とも導電性の材料で形成されている。したがって、このジャケット９０を金属等の導電性の転写胴４０に装着して転写電界を形成することが可能である。

基層９１は、このジャケット９０が転写胴４０に装着されたり、また、このジャケット９０が中間転写ベルト３０を介して２次転写ローラ３１に押し当てられても、ジャケット９０の全体が伸びてしまわないように形状を保つ役割を担っている。また、弾性層９３は、このジャケット９０が中間転写ベルト３０を介して２次転写ローラ３１に押し当てられたときに厚み方向に適度に伸縮して、用紙Ｐへの転写を円滑に行わさせるための層である。また、表面層９４は、弾性層９３の保護の役割を担っている。

基層９１は、金属の薄板からなる層である。この基層９１には、例えば５０μｍ程度の厚さのステンレスあるいは１００μｍ程度の厚さの銅、アルミニウムなどが採用される。この基層９１は、転写胴４０に装着されたときにその転写胴４０側となる層であり、本発明にいう第１層の一例に相当する。なお、基層９１が、ステンレスで構成されていると、ステンレス以外の金属材料で構成されている場合に比べて、耐食性に優れ、腐食し難くなる。

また、弾性層９３は、基層９１を介して転写胴４０とは反対側に位置し、５～７ｍｍ程度の厚さのゴム層であって、基層９１よりも低い硬度を有する。この弾性層９３は、発泡ゴムからなるゴム層であってもよい。弾性層９３には、例えばニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム（ＥＰＤＭ）、アクリルニトリルブタジエンゴム（ＮＢＲ）、シリコンゴム、ポリウレタン、ポリエチレン及びそれらの混合物などの導電性の樹脂材料（導電ゴム層）が用いられる。発泡ゴムは密着性が良くないが、第１例では、予め基層９１に接着される構成とされているため、弾性層９３が発泡ゴムであっても、転写胴４０に巻き付けることが可能となる。

この弾性層９３は、転写胴４０の回転軸方向の少なくとも一方の端縁、この図４に示す例では両端縁９３１，９３２が基層９１より回転軸方向内側に入り込んだ位置には存在しない層である。あるいは、この弾性層９３は、回転軸方向の少なくとも一方の端縁、この図４に示す例では両端縁９３１，９３２が、基層９１よりも回転軸方向外側に食み出た位置にある。この図４における弾性層９３は、本発明にいう第２層の一例に相当する。ここで、基層９１の厚みは、弾性層９３の厚みよりも小さくなっている。したがって、基層９１の厚みが、弾性層９３の厚みと同じか、それよりも厚い場合に比べて、硬度の大きい基層９１であっても、転写胴４０に巻き付け易くなり、ジャケット９０の着脱の作業性が向上される。

この第１例のジャケット９０の場合、上述の通り、基層９１は、弾性層９３よりも薄く、例えば５０μｍ程度の厚さのステンレスあるいは１００μｍ程度の厚さの銅などで形成されている。したがって、この基層９１の端縁９１１、９１２は、鋭利な刃となり得る。

この第１例のジャケット９０の場合、回転軸方向について、金属製の高硬度の基層９１の、弾性層９３からのはみ出しがない。基層９１が弾性層９３からはみ出していると作業性が低下するところ、この第１例の場合は弾性層９３からの基層９１のはみ出しがなく、したがって、この基層９１自体は鋭利な刃となり得る条件にあっても、ジャケット９０を転写胴４０に着脱する際の作業性が高められている。

特に、この第１例のジャケット９０によれば、回転軸方向について弾性層９３の端縁９３１，９３２が基層９１よりもはみ出ているため、基層９１の端縁９１１，９１２と弾性層９３の端縁９３１，９３２が重なっている場合と比べ、着脱の作業性がさらに高められている。

また、表面層９４は、基層９１との間に弾性層９３を挟んで積層された、例えばポリイミドあるいはポリイミドアミドイミド等からなる８０～１００μｍ程度の厚さの層である。この表面層９４の回転軸方向の少なくとも一方の端縁は、弾性層９３より回転軸方向内側に入り込んだ位置には存在しない。さらには、表面層９４の回転軸方向の少なくとも一方の端縁、ここに示した第１例の場合は両端縁９４１，９４２が、弾性層９３よりも回転軸方向外側に食み出た位置にある。このように、表面層９４の端縁９４１，９４２が弾性層９３よりも内側に入り込んだ位置には存在しないため、弾性層９３には直接には触れにくく、表面層９４により弾性層９３が保護されている。特に、この第１例の場合、表面層９４の端縁９４１，９４２が弾性層９３よりもはみ出ているため、表面層９４の端縁９４１，９４２と弾性層９３の端縁９３１，９３２とが重なっている場合と比べ、表面層９３による弾性層９３の保護が高められる。

また、基層９１と弾性層９３とを接着している接着層９２に関しては、接着層９２は、、回転軸方向に関し基層９１よりも外側には存在しない。この図４に示す第１例の場合、回転軸方向の少なくとも一方の端縁、具体的には両端縁９２１，９２２が、基層９１よりも回転軸方向内側に位置している。このように、回転軸方向に関し接着層９２が基層９１よりも外側には存在しないため、接着層９２が転写胴４０に直接に触れることが抑えられる。また、この第１例の場合、両端縁９２１，９２２が、基層９１よりも回転軸方向内側に位置しているため、基層９１の端縁９１１，９１２と接着層９２の端縁９２１，９２２とが重なっている場合と比べ、接着層９２が転写胴４０に直接に触れることがさらに抑えられる。

次に、ジャケットの第２例について説明する。

図５は、第２例のジャケットを回転軸方向に広がる平面で断面して示した、ジャケットの幅方向の模式断面図である。この第２例においても、図４に示した第１例における各要素に対応する各要素には、図４において付した符号と同一の符号を付して示す。

この第２例のジャケット９０は、第１例と同じく、基層９１と、接着層９２と、弾性層９３と、表面層９４が、この順に積層された積層構造を有する。ここで、このジャケット９０を構成する各層は、第１例の各層と同じ導電性の材料で形成されている。したがって、このジャケット９０を金属等の導電性の転写胴４０に装着して転写電界を形成することが可能である。また、各層の厚みも第１例の場合と同様である。

この第２例のジャケット９０の場合、第１例と同様、基層９１が本発明にいう第１層の一例に相当する。ただし、この第２例のジャケット９０の場合、第１例とは異なり、表面層９４が本発明にいう第２層の一例と観念される。

この第２例のジャケット９０の場合、第２層の一例である表面層９４は、転写胴４０の回転軸方向の少なくとも一方の端縁、この図５に示す例では両端縁９４１，９４２が基層９１より回転軸方向内側に入り込んだ位置には存在しない層である。あるいは、この表面層９４は、回転軸方向の少なくとも一方の端縁、この図５に示す例では両端縁９４１，９４２が、基層９１よりも回転軸方向外側に食み出た位置にある。

この第２例のジャケット９０の場合、第１例と同様、基層９１は、例えば５０μｍ程度の厚さのステンレスあるいは１００μｍ程度の厚さの銅などで構成されている。したがって、この基層９１の端縁９１１、９１２は、鋭利な刃となり得る。この第２例のジャケット９０の場合、回転軸方向について、金属製の高硬度の基層９１の、表面層９４からのはみ出しがない。したがって、この基層９１自体は鋭利な刃となり得る条件にあっても、ジャッケト９０を転写胴４０に着脱する際の作業の安全性が高められている。

ここで、この表面層９４は、基層９１との間に弾性層を挟み、表面層９４の回転軸方向の少なくとも一方の端縁は、弾性層９３より回転軸方向内側に入り込んだ位置には存在しない。したがって、弾性層９３より回転軸方向内側に入り込んだ位置には存在しない側の端縁については、表面層９４により弾性層９３が保護されている。さらに、この第２例によれば、表面層９４の回転軸方向の少なくとも一方の端縁、具体的には両端縁９４１，９４２は、弾性層９３より回転軸方向外側に食み出た位置にある。このため、この第２例のジャケット９０によれば、回転軸方向について、表面層９４の端縁９４１，９４２と弾性層９３の端縁９３１，９３２が重なっている場合と比べ、表面層９４による弾性層９３の保護が高められている。

また、この第２例において、基層９１と弾性層９３とを接着している接着層９２に関しては、接着層９２の回転軸方向の端縁９２１，９２２は、基層９１よりも外側には存在せず、かつ、弾性層９３の内側には存在しない。このため、接着層９２が転写胴４０に直接に触れることが抑えられるとともに、弾性層９３の回転軸方向の端縁９３１，９３２まで基層９１と接着する。また、この第２例の場合、接着層９２の回転軸方向の少なくとも一方の端縁、この第２例に示す例では両端縁９２１，９２２が、基層９１よりも回転軸方向内側であって、かつ、弾性層９３から食み出た位置にある。このため、基層９１の端縁９１１，９１２と接着層９２の端縁９２１，９２２が重なっている場合と比べ接着層９２が転写胴４０に直接に触れることがさらに抑えられるとともに、回転軸方向について、接着層９２の端縁９２１，９２２と弾性層９３の端縁９３１，９３２が重なっている場合と比べ、弾性層９３が、その弾性層９３の回転軸方向の端縁９３１，９３２まで基層９１とさらに確実に接着する。

なお、上述の第１例および第２例は、基層９１と表面層９４との間に接着層９２と弾性層９３が積層されている例であるが、基層９１と表面層９４との間には、接着層９２と弾性層９３に加えさらにもう１つの弾性層が備えられているなど、それ以外の層が１層ありうは複数層備えられてもよい。また、接着層９２を設けず、基層９１と弾性層９３との間を熱的に溶融させることで互いを接着させてもよい。また、上述の第１例は、弾性層９３に表面層９４が積層されている例であるが、表面層９４が積層されていなくてもよい。

以上の通り、図４に示す第１例の場合は、回転軸方向に関し、第１層である基層９１よりも第２層である弾性層９３の方がはみ出ているため、基層９１の方がはみ出ている場合と比べ、転写胴４０へのジャケット９０の着脱の作業時の高い作業性が確保される。また、図５に示す第２例の場合は、回転軸方向に関し、第１層である基層９１よりも第２層である表面層９４の方がはみ出ているため、基層９１の方がはみ出ている場合と比べ、転写胴４０へのジャケット９０の着脱の作業時の高い作業性が確保される。

なお、ここでは、電子写真方式の画像形成装置に使用されるジャケットを例に挙げて説明したが、本発明のジャケットは着脱時の作業性をテーマとしており、電写真方式以外の、例えばインクジェット方式の画像形成装置に用いられるジャケットに本発明を適用してもよい。また、定着胴５０に巻き付けるジャケットに本発明を適用してもよい。

また、回転軸方向に関し、第１層である基層９１と、第２層である弾性層９３または表面層９４の長さを同一にすることで、基層９１の端縁が露出しないように構成してもよい。しかし、より確実に基層９１の端縁が露出させないようにするには、図４に示す第１例や図５に示す第２例のように、回転軸方向に関し、第１層よりも第２層がはみ出ていることが好ましい。

１０ 画像形成装置
２０Ｙ，２０Ｍ，２０Ｃ，２０Ｋ 像保持体
３０ 中間転写ベルト
３１ ローラ（２次転写ローラ）
３２，３３ ローラ
４０ 転写胴
４０１ 転写胴の回転軸
４０２ 溝
４１ 歯車
４２ チェーン
４３ グリッパ
５０ 定着胴
５０２ 溝
５１ 定着ローラ
５１１ 熱源
６０ ファン
７０ ヒータ
８０ 搬送装置
９０ ジャケット
９１ 基層
９１１，９１２ 基層の回転軸方向の端縁
９２ 接着層
９２１，９２２ 接着層の回転軸方向の端縁
９３ 弾性層
９３１，９３２ 弾性層の回転軸方向の端縁
９４ 表面層
９４１，９４２ 表面層の回転軸方向の端縁

Claims (14)

1. 回転する胴体に装着されたときに該胴体側となる金属製の第１層と、
   前記第１層を介して前記胴体とは反対側に位置し該胴体の回転軸方向端部まで該第１層と平行に広がった層であり、該第１層よりも低い硬度を有するとともに、該回転軸方向の少なくとも一方の端縁が該第１層より該回転軸方向内側に入り込んだ位置には存在しない第２層とを有することを特徴とするジャケット。
2. 前記第２層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁が、前記第１層より該回転軸方向外側に食み出た位置にあることを特徴とする請求項１に記載のジャケット。
3. 前記第１層は、前記第２層よりも薄い層であることを特徴とする請求項１に記載のジャケット。
4. 当該ジャケットが導電性を有することを特徴とする請求項１から３のうちのいずれか１項に記載のジャケット。
5. 前記第２層はゴム層であり、さらに、前記第１層との間に該ゴム層を挟んで積層された、用紙に接する表面層を有し、該表面層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁は、該ゴム層より前記回転軸方向内側に入り込んだ位置には存在しないことを特徴とする請求項４に記載のジャケット。
6. 前記表面層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁が、前記ゴム層より前記回転軸方向外側に食み出た位置にあることを特徴とする請求項５に記載のジャケット。
7. 前記第１層と前記ゴム層とを接着する接着層を有し、該接着層が、前記回転軸方向に関し前記第１層よりも外側には存在しないことを特徴とする請求項５または６に記載のジャケット。
8. 前記接着層の、前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁が、前記第１層よりも該回転軸方向内側に位置することを特徴とする請求項７に記載のジャケット。
9. 前記第２層が、用紙に接する表面層であって、さらに前記第１層と該表面層との間にゴム層を挟み、該表面層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁は、該ゴム層より該回転軸方向内側に入り込んだ位置には存在しないことを特徴とする請求項１から４のうちのいずれか１項に記載のジャケット。
10. 前記表面層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁は、該ゴム層より前記回転軸方向外側に食み出た位置にあることを特徴とする請求項９に記載のジャケット。
11. 前記第１層と前記ゴム層とを接着する接着層を有し、該接着層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁が、前記第１層から食み出た位置には存在せず、かつ、前記ゴム層の内側には存在しないことを特徴とする請求項９または１０に記載のジャケット。
12. 前記該接着層の前記回転軸方向の少なくとも一方の端縁が、前記第１層よりも該回転軸方向内側であって、かつ、前記ゴム層から食み出た位置にあることを特徴とする請求項１１に記載のジャケット。
13. 前記胴体と、該胴体に装着された請求項１から１２のうちのいずれか１項に記載のジャケットとを備え、搬送されてきた用紙を該ジャケット上に置いて該用紙上に画像を転写す
    ることを特徴とする転写装置。
14. 請求項１３に記載の転写装置を備え、前記用紙上に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

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