関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2015年11月10日に出願された、米国仮特許出願第62/253,595号の出願日の優先権の利益を主張し、この出願の開示は、その全体において、参照により本明細書に組み込まれる。
発明の分野
[0002]本発明は、たとえば、生体サンプル(たとえば、涙液)のようなサンプルの浸透圧を決定するためのシステムおよび使用方法に関する。
発明の背景
[0003]ドライアイ疾患、または乾性角結膜炎(KCS)は、眼科学において最も頻繁に確立された診断の1つである。現在の予想は、米国における約4千万~6千万の人々がドライアイ症状を呈するとみなしている。ドライアイの発生に関する正確な統計データの欠如は、主として最高水準の診断機器の欠如のためである。しかしながら、症状のある患者が必ずしも容易に特定されないので、より厄介な傾向は、ドライアイの誤診、または早期発見を完全に逃れることである。
[0004]より効果的な診断を追求することは、製薬業界によって認識されている事実である、眼科診療のパラダイムを強化することになる。ドライアイを治療するための最初の医療用医薬品が現在市場に現れており、より多くが途上であり、診断するための方法および治療を監視するための方法は、依然として問題のあるままである。
[0005]ドライアイを診断し、同時に治療の試みの有効性を監視する「ゴールドスタンダード」テストは、存在しない。1つの一般的な方法は、症状の主観的観察と客観的なテスト(シルマーテスト、染色技法、涙液層破壊時間など)とのマトリックスであり、そのいずれも、ドライアイの検出およびその重症度の測定に特有のものではない。ドライアイを治療することを目的とする最近の医薬品の進歩を考慮すると、診断技術のタイムリーで並行した進歩が必要とされる。
[0006]涙の浸透圧、そこに溶解した固形物の程度は、ドライアイの存在および重症度の指標として、この分野の専門家によって広く受け入れられている。涙液浸透圧の測定に最も一般的に関連する器具は、浸透圧計であるが、技術的な限界が、涙液浸透圧計の使用を主に研究環境に制限してきた。
[0007]浸透圧計は、水などの液体中の溶解した溶質の濃度を測定するデバイスである。浸透圧計は、他の分野で広く使用されているが、浸透圧計は、医療においては、とりわけ毒物学におけるオスモルギャップおよび外傷の症例を決定すること、マンニトール治療注入を監視すること、および外科的処置における灌注流体によるグリシン摂取における吸収を監視することなどの用途において使用される。
[0008]涙液浸透圧を測定することに対するこの技術の適合性にもかかわらず、現在のデバイスは、臨床環境におけるそれらの広範な使用を妨げる特定の制限を呈する。最も一般的な問題は、サンプルサイズに関係がある。
[0009]ほぼすべての市販の浸透圧計は、ミリリットルサイズのサンプルを測定するように設計される(そしておそらく技術的に制限される)。患者から抽出された涙サンプルは、ナノリットル体積である傾向にあり、問題をさらに複雑にする傾向にあり、ドライアイ患者は、一般に、より少ない涙を有し、サンプルの取扱をさらにより困難にする。ナノリットルサンプルサイズを測定するように設計された浸透圧計は、市販されておらず、臨床環境での実用には扱いにくすぎる。その結果、開業眼科医は、この一般的な状態を正確に検出するために、危険な方法論と不十分なツールとを委ねられている。
[0010]ドライアイ疾患は、涙液膜の3つの成分、すなわち、脂質層、水層、およびムチン層のうちの1つまたは複数の製造の減少によって特徴付けられる複雑な一群の疾患である。涙液膜成分の1つにおける欠乏は、涙液膜の安定性の損失を招く場合がある。正常な視力は、湿った眼の表面に依存し、十分な品質の涙、涙液膜の正常な組成、規則的な瞬き、および正常な瞼の閉鎖を前提条件として必要とする。治療されないままである場合、ドライアイ症候群は、結膜および角膜上皮における進行性の病変、不快感、角膜潰瘍を引き起こす場合があり、最終的には失明さえ招く場合がある。
[0011]標準的な治療は、人間の涙液膜を模倣するか、涙液膜のより高度な低浸透圧バージョンを提示することを試みる、涙置換療法である。残念なことに、ドライアイ症候群は、軽度な段階を越えて進行するので、この一般的な療法は、効果が少なくなる。さらに、これらの治療は、ドライアイの病因に対処しない。
[0012]ドライアイを引き起こす正確なメカニズムは、現在知られておらず、長年にわたって議論の対象となっている。最近、いくつかの異なるメカニズムがドライアイの可能性のある病因として提案されているが、一般的なイデオロギーでは、ドライアイは、通常、眼の表面を潤滑する涙液膜の品質の問題によって引き起こされる。より最近の研究は、ドライアイが、老化によるホルモン状態の低下(閉経後の女性においてより顕著である)の結果である可能性がある、または、眼の表面の免疫ベースの後天的な炎症状態を有する場合があることを示唆している。ドライアイ症状の他の原因は、特定の薬剤(たとえば、抗ヒスタミン薬、ベータ遮断薬)、特定の全身性炎症性疾患(たとえば、リウマチ性関節炎)との関連、機械的原因(たとえば、不完全な瞼の閉鎖)、感染性の原因(たとえば、ウイルス感染)、および特定の神経学的原因(たとえば、LASIK処置)から生じる場合がある。ドライアイの可能性のある病因要因の最近の知識の増加にもかかわらず、適切な診断基準、客観的診断テストの具体的な目的、診断において果たされる主観的症状の役割、および結果の解釈について合意が欠如している。
[0013]ドライアイの症状は、個人によって大きく異なる。ほとんどの患者は、異物感と、灼熱感と、一般的な眼の不快感を訴える。不快感は、典型的には、かゆみ、乾燥、痛み、ざらつき、疼き、または灼熱感として説明される。角膜は、知覚神経線維が豊富に供給されるので、不快感は、ドライアイの特徴である。
[0014]その高い有病率にもかかわらず、ドライアイは、必ずしも診断するのが容易ではない。大多数の患者は、軽度から中度の重症度の症状を有する。これらの患者は、本当に不快感に悩まされているが、ドライアイの客観的な兆候が見落とされることがあり、適切な診断がなければ、患者は、この状態が正当化する手当てと治療とを受けない場合がある。ドライアイの兆候および症状は、感染性、アレルギー性、または刺激性の結膜炎などの他の状態の証拠として誤解される場合がある。診断におけるこれらの合併症を考慮すると、ドライアイの診断率は、約20%であると推定される。
[0015]ドライアイの診断は、典型的には、臨床検査から始まる。シルマーテストが通常実行され、シルマーテストでは、下眼瞼の中央と横方向3分の1との間の接合部に、標準化された濾紙のストリップが配置される。5分後に5ミリメートル未満が湿っていた場合、水性の涙の欠乏が存在すると信じる理由が存在する。テストは、迅速で、安価で、結果がすぐに利用できるが、粗い推定のみを提供し、中度のドライアイにおいて信頼できない。
[0016]染料染色は、フルオレセインまたはローズベンガルのいずれかを用いてドライアイを診断する別の方法であり、訓練された医師は、スリットランプ観察の下で乾燥を示すパターンを探すことができる。別のテストである涙液分裂時間は、涙液膜の安定性の尺度である。正常な涙液膜は、約10秒後に分裂し始め、この時間は、ドライアイの患者では減少する。
[0017]涙液浸透圧を測定する際に一般的に使用される浸透圧計は、1960年代に開発されたClifton直読ナノリットル浸透圧計(Clifton Technical Physics、ハートフォード、ニューヨーク)である。必ずしも当初は涙液を測定する際に使用することを意図されたものではないが、溶液のナノリットル体積を測定することができる数少ない器具の1つであり、眼科への道を見い出した。
[0018]Clifton浸透圧計は、長年にわたって限られた量で生産され、研究所の外では日常的に使用されていない。それは、凝固点降下と呼ばれる周知の測定技法に基づく。Clifton浸透圧計は、凝固点降下を測定することによって、サンプルの浸透圧を測定する。凝固点降下測定では、水(通常0℃で凍結する)は、溶解した溶質の存在下でその凝固点の低下を経験し、その数学的関係は、Raoultの法則によって定義される。
[0019]テストは、正確であり得るが、測定を行う非常に熟練した作業者を必要とする。テストは、顕微鏡下で涙滴の部分体積を調べることによって凝固点温度の低下を監視する。その限界と利用可能性の欠如とのために、ほんの僅かのユニットしか現場に残っていないように思われる。さらに、各測定は、15分よりもかかる場合があり、それは、小さいサンプル体積と相まって、Clifton浸透圧計の使用を非常に面倒で不便なプロセスにする。ユニットが利用可能であっても、必要とされる時間量および必要とされる操作スキルは、忙しい診療所またはクリニックには受け入れられない。
[0020]たとえば、生体サンプル、たとえば、涙液のようなサンプルの浸透圧を決定し、たとえばドライアイ疾患のような様々な疾患と障害のための治療努力を診断および/または監視するために浸透圧データを使用することができる、簡単で正確なセンサシステムおよび方法が必要とされる。
[0021]サンプルの浸透圧を決定するためのシステムおよび方法が提供される。主題の方法の態様は、センサの感知面をサンプルと接触させることと、時間間隔にわたって、1つまたは複数のデータセットを生成することとを含み、データセットは、サンプルの浸透圧を決定するために使用される。主題の方法は、生体サンプル(たとえば、涙液)のようなサンプルの浸透圧の決定に、ならびに、たとえば、ドライアイ疾患のような様々な疾患と障害の診断および/または監視に用途を見出す。
[0022]本発明の態様は、(i)被覆領域を備える感知面を備えるセンサと、ここにおいて、センサは、第1の入射角で感知面と相互作用するように第1の光信号を導き、第2の入射角で感知面と相互作用するように第2の光信号を導くように構成されるものであり、(ii)光学シャーシであって、光信号生成構成要素と、検出構成要素と、プロセッサと、コントローラと、コンピュータ可読媒体と、を備える光学シャーシを備え、コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されたとき、コントローラに、第1の表面プラズモン共鳴(SPR)信号を生成するために第1の入射角で感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導かせ、検出構成要素を使用して、第1の時間間隔にわたる、第1のSPR信号の一連の画像を生成させ、第1の時間間隔にわたる第1のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置を決定させ、第2のSPR信号を生成するために第1の入射角で感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導かせ、検出構成要素を使用して、第2の時間間隔にわたる、第2のSPR信号の一連の画像を生成させ、第2の時間間隔にわたる、第2のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置を決定させ、第1の基準訂正SPR関数を生成するために、第1の時間間隔にわたる第1のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置と少なくとも1つの基準特徴のピクセル位置とを比較させ、第2の基準訂正SPR関数を生成するために、第2の時間間隔にわたる第2のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置と少なくとも1つの基準特徴のピクセル位置とを比較させ、基準訂正SPRデルタピクセル値を決定するために、第1の基準訂正SPR関数と第2の基準訂正SPR関数の1つまたは複数の特徴を比較させる命令を備えている。
[0023]いくつかの実施形態では、第1の入射角が、約40度から約70度の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の入射角が、約62度から約67度の範囲である。いくつかの実施形態では、第1の入射角が約64度である。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されたとき、コントローラに、基準訂正SPRデルタピクセル値と較正データセットとを比較させる命令をさらに備える。
[0024]いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されたとき、コントローラに、第3の表面プラズモン共鳴(SPR)信号を生成するために第2の入射角で感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導かせ、検出構成要素を使用して第3のSPR信号の画像を生成させ、生成された画像上の第3のSPR信号の最小値のピクセル位置を決定させ、第4のSPR信号を生成するために第2の入射角で感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導かせ、検出構成要素を使用して第4のSPR信号の画像を生成させ、生成された画像上の第4のSPR信号の最小値のピクセル位置を決定させ、SPRデルタピクセル値を決定するために第3のSPR信号の最小値のピクセル位置と第4のSPR信号の最小値のピクセル位置とを比較させる命令をさらに備える。
[0025]いくつかの実施形態では、第2の入射角が、約40度から約70度の範囲である。いくつかの実施形態では、第2の入射角が、約40度から約45度の範囲である。いくつかの実施形態では、第2の入射角が約42度である。
[0026]いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されたとき、コントローラに、SPRデルタピクセル値と較正データセットとを比較させる命令をさらに備える。
[0027]いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体が、プロセッサによって実行されたとき、コントローラに、第1の臨界角信号を生成するために第2の入射角で感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導かせ、検出構成要素を使用して第1の臨界角信号の画像を生成させ、生成された画像上の第1の臨界角信号の最大値のピクセル位置を決定させ、第2の臨界角信号を生成するために第1の入射角で感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導かせ、検出構成要素を使用して第2の臨界角信号の画像を生成させ、生成された画像上の第2の臨界角信号の最大値のピクセル位置を決定させ、臨界角デルタピクセル値を決定するために第1および第2の臨界角信号の最大値のピクセル位置を比較させる命令をさらに備える。
[0028]いくつかの実施形態では、センサが、被覆領域と非被覆領域とを備え、第1および第2の臨界角信号が、非被覆領域から生成される。いくつかの実施形態では、基準特徴は、1つまたは複数の光機械基準特徴のピクセル位置を備える。いくつかの実施形態では、基準特徴は、第3のSPR信号の最小値のピクセル位置、第4のSPR信号の最小値のピクセル位置、SPRデルタピクセル値、または、これらの組合せを備える。いくつかの実施形態では、基準特徴は、第1の臨界角信号の最大値のピクセル位置、第2の臨界角信号の最大値のピクセル位置、臨界角デルタピクセル値、または、これらの組合せを備える。いくつかの実施形態では、第1および第2の基準訂正SPR関数の特性は、第1および第2の基準訂正SPR関数の導関数を備える。いくつかの実施形態では、第1および第2の基準訂正SPR関数の特性は、第1および第2の基準訂正SPR関数のプラトー値を備える。いくつかの実施形態では、センサが、光学シャーシに取り外し可能に結合されるように構成されている。いくつかの実施形態では、システムがベンチトップシステムである。いくつかの実施形態では、システムがハンドヘルドシステムである。
[0029]本発明の態様は、サンプルの浸透圧を決定するための方法を含み、本方法が、ここで説明するようなシステムの感知面をサンプルと接触させることと、第1の表面プラズモン共鳴(SPR)信号を生成するために第1の入射角で感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導くことと、検出構成要素を使用して、第1の時間間隔にわたって、第1のSPR信号の一連の画像を生成することと、第1の時間間隔にわたって、第1のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置を決定することと、第2のSPR信号を生成するために第1の入射角で感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導くことと、検出構成要素を使用して、第2の時間間隔にわたって、第2のSPR信号の一連の画像を生成することと、第2の時間間隔にわたって、第2のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置とを決定することと、第1の基準訂正SPR関数を生成するために、第1の時間間隔にわたる第1のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置と、少なくとも1つの基準特徴のピクセル位置とを比較することと、第2の基準訂正SPR関数を生成するために、第2の時間間隔にわたる第2のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置と、少なくとも1つの基準特徴のピクセル位置とを比較することと、基準訂正SPRデルタピクセル値を決定するために、第1の基準訂正SPR関数と第2の基準訂正SPR関数とのうちの1つまたは複数の特性を比較することと、サンプルの浸透圧を決定するために、基準訂正SPRデルタピクセル値と較正データセットとを比較することとを備える。
[0030]いくつかの実施形態では、本方法は、感知面を基準媒体と接触させることと、第3の表面プラズモン共鳴(SPR)信号を生成するために第2の入射角で感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導くことと、検出構成要素を使用して第3のSPR信号の画像を生成することと、生成された画像上の第3のSPR信号の最小値のピクセル位置を決定することと、第4のSPR信号を生成するために第2の入射角で感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導くことと、検出構成要素を使用して第4のSPR信号の画像を生成することと、生成された画像上の第4のSPR信号の最小値のピクセル位置を決定することと、SPRデルタピクセル値を決定するために、第3のSPR信号の最小値のピクセル位置と第4のSPR信号の最小値のピクセル位置とを比較することとをさらに備える。
[0031]いくつかの実施形態では、SPRデルタピクセル値を基準訂正SPRデルタピクセル値と比較することをさらに備える。いくつかの実施形態では、方法は、SPRデルタピクセル値を較正データセットと比較することをさらに備える。いくつかの実施形態では、方法は、第1の臨界角信号を生成するために第2の入射角で感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導くことと、検出構成要素を使用して第1の臨界角信号の画像を生成することと、生成された画像上の第1の臨界角信号の最大値のピクセル位置を決定することと、第2の臨界角信号を生成するために第2の入射角で感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導くことと、検出構成要素を使用して第2の臨界角信号の画像を生成することと、生成された画像上の第2の臨界角信号の最大値のピクセル位置を決定することと、臨界角デルタピクセル値を決定するために第1および第2の臨界角信号の最大値のピクセル位置を比較することと、をさらに備える。いくつかの実施形態では、方法は、臨界角デルタピクセル値を基準訂正SPRデルタピクセル値と比較することをさらに備える。いくつかの実施形態では、方法は、臨界角デルタピクセル値をSPRデルタピクセル値と比較することをさらに備える。いくつかの実施形態では、方法は、臨界角デルタピクセル値を較正データセットと比較することをさらに備える。
[0032]いくつかの実施形態では、SPR信号の画像は、単一の画像フレーム内にキャプチャされる。いくつかの実施形態では、SPR信号の画像と、臨界角信号の画像は、単一の画像フレーム内にキャプチャされる。
[0033]いくつかの実施形態では、本方法は、外部環境補正デルタピクセル値を生成するために、基準訂正SPRデルタピクセル値、SPRデルタピクセル値、または、臨界角デルタピクセル値を、外部環境パラメータと比較することと、外部環境補正デルタピクセル値を較正データセットと比較することとをさらに備える。いくつかの実施形態では、外部環境パラメータが、温度と、圧力と、湿度と、光と、環境構成要素と、または、これらに任意の組合せを備えるグループから選択される。
[0034]いくつかの実施形態では、第1のおよび第2の波長を有する光信号が、同時に感知面と相互作用するように導かれる。いくつかの実施形態では、第1のおよび第2の波長を有する光信号が、ゲーテッド方式で感知面と相互作用するように導かれる。いくつかの実施形態では、較正データセットが、システムのプロセッサの読出し専用メモリ内に記憶される。
[0035]いくつかの実施形態では、サンプルは、生体サンプルである。いくつかの実施形態では、生体サンプルは、涙液である。いくつかの実施形態では、基準媒体は、空気である。
[0036]いくつかの実施形態では、第1の時間間隔は約0.001秒から約90秒までの範囲である。いくつかの実施形態では、第2の時間間隔は約0.001秒から約90秒までの範囲である。
[0037]正常な眼およびドライアイに関する涙浸透圧と確率との間の関係を示すグラフ。
[0038]パネルAは、涙液の浸透圧を測定するための表面プラズモン共鳴(SPR)技法を実証する図。パネルBは、SPR角度の関数として相対応答を示すグラフ。
[0039]パネルAは、638nm波長のレーザを使用して生成された画像。パネルBは、632nm波長の従来のLEDを使用して生成された画像。パネルCは、レーザダイオード画像からのより大きい量のノイズを示すグラフ。パネルDは、LEDからのより少ないノイズを示すグラフ。パネルDのグラフは、パネルCのグラフよりも著しく滑らかである。
[0040]異なる波長を有する3つの異なる光信号に関する入射角の関数としての%反射率を比較するグラフ。より長い波長の光信号は、より狭い(よりシャープな)SPR線幅を有する。
[0041]異なる波長を有する異なる光源に関する画像品質の違いを実証する3つの異なる画像の集合の図。SPR線の幅は、より大きい波長を有する光についてはより狭い。
[0042]高屈折率ガラス(SF10、屈折率~1.72)および低屈折率ガラス(BK7、屈折率~1.52)に関する波長の関数としての解像度を示すグラフ。グラフは、異なる材料間にほとんど差がないことを示す。
[0043]SPR曲線の最小値を決定するための直線フィット手法を実証するグラフ。
[0044]ビデオイメージャを使用して取得されたSPR線画像。画像内の関心領域は、図示の矩形で輪郭付けされている。
[0045]図8に示された関心領域に関するピクセル位置の関数としてグレースケール値を示すグラフ。グラフは、X方向に沿った関心領域内の垂直列ピクセル強度の平均に対応して生成された。
[0046]図9に示されたSPR曲線(点線)ならびにSPR角度(ピクセル)の関数としてのSPR曲線の導関数(実線)を示すグラフ。SPR曲線の導関数のゼロ交差は、丸で囲まれている。
[0047]図10に示されたSPR曲線の導関数のゼロ交差の位置を1ピクセル値の数分の1まで示すグラフ。
[0048]線形補間技法を使用するゼロ交差点の正確な座標の決定を示すグラフ。
[0049]約1.0秒間隔で順次取得された10のSPR画像に関するSPR最小値の位置を示す表。
[0050]エタノールおよび脱イオン水に関する相対的SPR応答を示すグラフ。2つの媒体に関するピクセル位置の差は、約910ピクセルとして示されている。
[0051]エタノール溶液に関する生のSPRデータを示す画像。
[0052]脱イオン水に関する生のSPRデータを示す画像。
[0053]微分信号処理技法を使用して取得され分析されたSPR角度(ピクセル)の関数として浸透圧を示すグラフ。
[0054]カーブフィッティング技法を使用して生成されたピクセルカウントの関数としての相対的応答を示すグラフ。
[0055]3次多項式をSPR曲線にフィッティングすることによって生成されたピクセルカウントの関数としての相対的応答を示すグラフ。
[0056]SPR最小値に対応するピクセル位置を決定するために使用され得る2次方程式と3次方程式とを示す図。
[0057]様々な例示的な材料に関する温度に対する屈折率の相対的変化を示すグラフ。
[0058]射出成形センサの一例を示す図。センサおよび感知面が参照される。
[0059]射出成形センサの別の例を示す図。
[0060]射出成形センサの別の例を示す図。図示のセンサは、42.04度の入射角で感知面と相互作用して第1の光信号を導き、64.44度の入射角で感知面と相互作用して第2の光信号を導くように構成される。
[0061]射出成形センサの別の例を示す図。図示のセンサは、42.04度の入射角で感知面と相互作用して第1の光信号を導き、64.44度の入射角で感知面と相互作用して第2の光信号を導くように構成される。
[0062]複数の光学シャーシ構成要素とセンサとを通って進む様々な光路を示す図。
[0063]複数の光学シャーシ構成要素とセンサとを通って進む様々な光路を示す別の図。
[0064]パネルAは、複数の光学シャーシ構成要素とセンサとを通って進む様々な光路を示す別の図。パネルBは、被覆領域と非被覆領域とを示す、感知面の端面図。パネルCは、センサの様々なファセットおよび感知面と相互作用する様々な光路の拡大図。
[0065]パネルAは、(空気と接触する)乾燥感知面からLEDの第1のセットからの1つのLEDを使用する、(感知面の被覆領域から得られた)空気のSPR線および(感知面の非被覆領域から得られた)臨界角の遷移のシミュレーションを示す図。パネルBは、感知面が水または涙液と接触したときにLEDの第2のセットからの1つのLEDを使用して得られたSPR線を示す図。
[0066]スネルの法則(屈折の法則)のジオメトリと基板の臨界角とを示す図。
[0067]異なる厚さの金膜を有する複数の感知面に対する入射角の関数としての反射率のグラフ。臨界角(θc)は、一定のままであり、金膜の厚さとは無関係である。
[0068]パネルAは、複数の光学シャーシ構成要素とセンサとを通って進む様々な光路を示す別の図。パネルBは、センサの様々なファセットおよび感知面と相互作用する様々な光路の拡大図。
[0069]パネルAは、涙液サンプルからのデータを示すシミュレートされた画像。空気のSPR線および涙のSPR線、ならびに臨界角線が示されている。パネルBは、パネルAにおける画像に関するピクセル位置の関数としてグレースケール値を示すグラフ。空気および涙のSPR線に対応する最小グレースケール値、ならびに臨界角線に対応する最大グレースケール値が示されている。
[0070]複数の光学シャーシ構成要素とセンサとを通って進む様々な光路を示す別の図。
[0071]複数の光学シャーシ構成要素とセンサとを通って進む様々な光路を示す別の図。
[0072]複数の光学シャーシ構成要素とセンサとを通って進む様々な光路を示す別の図。図示の光学シャーシの全長は、2.181インチである。
[0073]光学シャーシおよびセンサの側面図。図示の光学シャーシの全高は、0.903インチである。図示のセンサの直径は、0.765インチである。
[0074]光学シャーシおよびセンサの別の側面図。
[0075]光学シャーシおよびセンサの別の側面図。
[0076]光学シャーシおよびセンサの斜視図。
[0077]光学シャーシおよびセンサの別の側面図。
[0078]パネルAは、センサの側面図。パネルBは、センサの底面図。
[0079]センサの斜視図。
[0080]パネルAおよびパネルBは、センサの側面図。
[0081]センサの端面図。
[0082]センサおよび光学シャーシの端面図。
[0083]センサの透明レンダリングの図。
[0084]センサと、様々な構成要素を備える光学シャーシとを備えるベンチトップシステムの図。
[0085]ベンチトップシステムの斜視図。
[0086]ベンチトップシステムの別の斜視図。
[0087]図48~図50に示されたベンチトップシステムとともに使用され得る外側ケーシング構成要素の画像。
[0088]パネルA-Eは、ここで説明する方法を使用して、異なる時間間隔にわたって収集されたSPR信号の画像およびグラフを示す。
[0089]パネルA-Dは、ここで説明する方法を使用して、異なる時間間隔にわたって収集されたSPR信号の画像およびグラフを示す。
[0090]300mOsm/Lの浸透圧有する涙液のサンプルから取得された2つの異なるSPR信号他にする時間の関数としてデルタピクセル値を示すグラフ。
[0091]ここで説明する方法を使用して、水から、および、正常な涙のタンパク質含有量の80%であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルから取得したデータを示す、画像およびグラフの集合の図。
[0092]ここで説明する方法を使用して、水から、および、正常な涙のタンパク質含有量の80%であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルから取得したデータを示す、画像およびグラフの集合の図。
[0093]ここで説明する方法を使用して、水から、および、正常な涙のタンパク質含有量の120%であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルから取得したデータを示す、画像およびグラフの集合の図。
[0094]ここで説明する方法を使用して、水から、および、正常な涙のタンパク質含有量の120%であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルから取得したデータを示す、画像およびグラフの集合の図。
[0095]ここで説明する方法を使用して、正常な涙のタンパク質含有量の80%であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルと、正常な涙のタンパク質含有量の120%であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルとの比較分析からの結果を示す、グラフのセット。
[0096]主題の方法を使用して、正常な涙液サンプルの比較分析からの結果を示すグラフのセット。
[0097]2つの異なる波長を使用して分析した、浸透圧の関数として、食塩水のデルタピクセル値を示すグラフ。
詳細な説明
[0098]サンプルの浸透圧を決定するためのシステムおよび方法が提供される。主題の方法の態様は、センサの感知面とサンプルが接触することと、時間間隔にわたって1つまたは複数のデータを生成することを含み、データセットは、サンプルの浸透圧を決定するために使用される。主題の方法は、生体サンプル(たとえば涙液)のようなサンプルの浸透圧を決定することに、ならびに、たとえば、ドライアイ疾患のような、様々な疾患と障害の診断および/または監視することに、用途を見出す。
[0099]本発明についてより詳細に説明する前に、本発明が説明された特定の態様に限定されるものではなく、もちろん変化し得るように理解されるべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の態様のみを説明する目的のためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
[0100]値の範囲が提供される場合、文脈が特に明確に要求しない限り、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限とその記載された範囲内の任意の他の記載された値または中間値との間の各々の中間値は、本発明に包含されることが理解される。記載された範囲内の任意の特定の除外された限界を条件として、これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲内に含まれてもよく、本発明にも包含される。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外した範囲も、本発明に含まれる。
[0101]特定の範囲が、本明細書では、数値に「約」という用語が先行して提示される。「約」という用語は、本明細書では、それが先行する正確な数、ならびにその用語が先行する数に近いかほぼ等しい数のための文字上のサポートを提供するために使用される。数が具体的に列挙された数に近いかまたはほぼ等しいかを決定する際、近いまたはほぼ等しい列挙されていない数は、それが提示される文脈において、具体的に列挙された数の実質的な等価物を提供する数であり得る。
[0102]特に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通して理解されているのと同じ意味を有する。本明細書で説明されたものと同様または同等の任意の方法および材料も、本発明の実施または試験において使用され得るが、典型的な例示的な方法および材料についてここでは説明する。
[0103]本明細書において引用されたすべての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照により具体的に個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれ、刊行物が引用される元となった方法および/または材料を開示および説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示のためのものであり、本発明が先行発明によってそのような刊行物に先行する資格を持たないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供された公開日は、実際の公開日とは異なる場合があり、独立して確認される必要がある場合がある。
[0104]本明細書および添付の特許明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が特に明確に要求しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲がどのようなオプションの要素も排除するように作成されている場合があることにさらに留意されたい。そのように、この記述は、請求項要素の列挙に関連して「単独で」、「のみ」などの排他的な用語の使用、または「否定的」制限の使用のための先行詞として役立つことを意図している。
[0105]本開示を読むと当業者には明らかになるように、本明細書に記載され図示された個々の態様の各々は、本発明の範囲または要旨から逸脱することなく他のいくつかの態様のいずれかの特徴から容易に分離され得、またはそれらと組み合わされ得る個別の構成要素および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙されたイベントの順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
定義
[0106]本明細書で使用される「感知面」という用語は、外部媒体と接触するように構成されたセンサの表面を指す。
[00107]本明細書で交換可能に使用される「入射角」または「入射の角度」という用語は、平面に導かれた光のビームと、同じ平面に垂直な線との間に形成される角度を指す。
[00108]本明細書で使用される「ファセット」という用語は、センサの表面(たとえば、内部表面または外部表面)の実質的に平坦な部分を指す。
[00109]本明細書で使用される「半透明膜」という用語は、光に対して部分的に透明であり、表面プラズモン/ポラリトンの生成を容易にする膜を指す。
[00110]本明細書で交換可能に使用される「反射被覆」および「反射膜」という用語は、光または他の放射線を反射することができる被覆または膜をそれぞれ指す。本明細書で使用される「半透明膜」および「反射膜」または「反射被覆」という用語は、互いに排他的ではなく、所与の幕は半透明膜と反射膜の両方であり得る。
[00111]本明細書で使用される「貴金属」という用語は、湿った空気中での腐食に対して耐性がある金属元素を指す。貴金属の非限定的な例は、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、またはそれらの組合せを含む。
[00112]本明細書で使用される「接着層」という用語は、感知面上またはファセット上に形成され、感知面またはファセットへの被覆材料(たとえば、反射膜または半透明膜)の接着を容易にする材料の層を指す。
[00113]感知面またはファセットに関して本明細書で使用される「被覆領域」という用語は、被覆(たとえば、半透明膜、反射被覆、および/または接着層)で覆われた感知面またはファセットの領域を意味する。感知面またはファセットに関して本明細書で使用される「非被覆領域」という用語は、被覆で覆われていない感知面またはファセットの領域を意味する。
[00114]本明細書で使用される「光学シャーシ」という用語は、1つまたは複数の光学構成要素を支持するおよび/または含む構造を指す。
[00115]本明細書で使用される「光信号」という用語は、光子を備える信号を指す。
[00116]本明細書で使用される「臨界角」という用語は、それを上回る入射角で(たとえば、臨界角よりも大きい角度値を有する入射角で)全内部反射が生じる入射角を指す。
[00117]本明細書で使用される「ピクセル位置」という用語は、たとえば、x、y座標平面などの座標系上のピクセルの位置を指す。
[00118]ピクセル位置を比較することに関して本明細書で使用される「比較する」という用語は、座標平面上の2つ以上のピクセルの位置の差を測定することを指す。ピクセル位置の比較は、定性的または定量的であり得る。
[00119]本明細書で使用される「基準特徴(reference feature)」という用語は、時間で変化しない1つまたは複数のデータ点、あるいは、時間で変化しない1つまたは複数のデータ点を生成するように構成されているまたは適合されている構成要素を指す。
[00120]「光機械基準(opt-mechanical reference)」または「OMR」という用語は、1つまたは複数の光信号の経路内に物理的障害物を置き、それにより、検出構成要素によって検出され分析され得る、時間で変化しない1つまたは複数の基準信号を生成するように構成されているまたは適合されている構成要素を指す。
[00121]本明細書で使用される「デルタピクセル位置」または「デルタピクセル値」という用語は、座標系上の2つのピクセル間の位置の差を表す数値を指す。
[00122]本明細書で使用される「外部環境パラメータ」という用語は、主題のセンサまたはシステムの外部にある環境の特性を指す。外部環境パラメータの非限定的な例は、センサが動作される部屋の温度である。
[00123]データ値に関して本明細書で使用される「訂正された」という用語は、数学的操作を受けたたとえば、所与のパラメータ(たとえば、外部環境パラメータ、または基準値)に基づいてデータ値を訂正するまたはする正規化するために数値を乗算または除算されているデータ値を指す。
[00124]データ値または数学的関数(たとえば、SPR関数)に関して本明細書で使用される「基準訂正された」という用語は、数学的操作を受けたたとえば、基準特徴から取得した少なくとも1つの数値に基づいてデータ値を訂正するまたはする正規化するために、1つまたは複数の基準特徴から取得した少なくとも1つの数値を乗算または除算されているデータ値または数学的関数を指す。
[00125]本明細書で使用される「較正データセット」という用語は、測定標準と、主題のセンサおよび/またはシステムによって測定される特性との間の関係を表す1つまたは複数のデータ点の集合を指す。
[00126]本明細書で使用される「関数」という用語は、数学的演算またはそのグラフ表示を指し、固有のy座標値をすべてのx座標値に割り当てる。
[00127]本明細書で使用される「最小値」という用語は、画像フレーム内および所与の座標系上の関数の最も低い数値を指す。
[00128]本明細書で使用される「最大値」という用語は、画像フレーム内および所与の座標系上の関数の最も高い数値を指す。
[00129]本明細書で使用される「導関数」という用語は、関数の変化率を示す。関数の導関数の値は、関数を表すグラフ上の点における接線の勾配である。
[00130]本明細書で使用される「プラトー値」という用語は、領域のわたる関数のy-値を指し、関数は、実質的に一定、または、固定状態のy-値を有している。
[00131]本明細書で使用される「品質パラメータ」という用語は、センサまたはシステムの最適な機能のために必要とされる主題のセンサまたはシステムの態様を指す。
[00132]本明細書で使用される「表面プラズモン共鳴」または「SPR」という用語は、入射光によって刺激される負の誘電率材料と正の誘電率材料との間の界面における伝導電子の共鳴振動を指す。
[00133]本明細書で使用される「光信号操作構成要素」という用語は、光信号の1つまたは複数の特徴を操作することができる構成要素を指す。光信号操作構成要素は、光信号の1つまたは複数の特性を操作するために個々の構成要素が並列および/または直列に作用することができる任意の数の個々の構成要素を含むことができる。光信号操作構成要素の非限定的な例は、ビームスプリッタ、空間フィルタ、外部周辺光を低減するフィルタ、レンズ、偏光子、および光導波路を含む。
[00134]本明細書で使用される「取り外し可能に結合する」という用語は、接続が可逆的であり、構成要素が互いに分離され得るように2つ以上の構成要素を接続することを指す。
[00135]本明細書で使用される「保持構成要素」という用語は。1つまたは複数の構成要素を別の構成要素に対して固定された位置に保持するように構成された構成要素を指す。
[00136]本明細書で使用される「整列構成要素」という用語は、動作可能に結合される2つ以上の構成要素間の機能的および/または構造的整列を提供するように構成された構成要素を指す。
[00137]本明細書で使用される「運動学的取り付け構成要素」という用語は、取り付けられる構成要素における自由度の数に等しい数の制約を提供する取り付け構成要素を指す。
[00138]本明細書で使用される「ベンチトップシステム」という用語は、動作中に、たとえば、研究室のベンチトップ、または別の適切な基板の表面上に配置されるように構成されたシステムを指す。
[00139]本明細書で使用される「ハンドヘルドシステム」という用語は、動作中にユーザの手の中に保持されるように構成されたシステムまたはその構成要素を指す。
[00140]本明細書で使用される「被験者」、「患者」という用語は、任意の人間または非人間動物を指す。
センサおよびシステム
[00141]本発明の態様は、たとえば、サンプルの浸透圧を決定するために、主題の方法を実行するように構成されたセンサとシステムとを含む。特定の実施形態では、主題のシステムは、少なくとも1つの感知面を有し、第1の入射角で感知面と相互作用するように第1の光信号を導き、第2の入射角で感知面と相互作用するように第2の光信号を導くように構成された光センサを含む。いくつかの実施形態では、主題のシステムは、光信号生成構成要素と検出構成要素とを含む光学シャーシをさらに含む。これらの構成要素の各々について、ここでさらにより詳細に説明する。
センサ
[00142]上記で要約したように、本発明の態様は、少なくとも1つの感知面を含み、第1の入射角で感知面と相互作用するように第1の光信号を導き、第2の入射角で感知面と相互作用するように第2の光信号を導くように構成されたセンサを含む。2つの異なる入射角で感知面と相互作用するように光信号を導くことによって、主題のセンサは、2つ以上の異なる媒体(たとえば、空気および水)について感知面からデータを生成し、同じ検出構成要素を使用してデータを検出することができる。次いで、媒体の1つまたは複数の特性を決定するために、データの分析が使用され得る。そのように、異なる媒体から得られたデータは、検出構成要素の同じ視野または画像フレーム内にキャプチャされ得、次いで、検出構成要素によって分析され得る。検出構成要素の同じ視野または画像フレーム内の異なる媒体に関する感知面からのデータの包含は、分析において使用され得る(たとえば、センサの較正のためおよび/または未知のサンプルを分析するために使用され得る)データ内の内部基準を提供する。ここでさらに説明するように、いくつかの実施形態では、センサは、データ分析において使用されることができる基準特徴を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサは、検出構成要素の画像フレーム中に基準信号を生成する基準特徴を備え、基準信号の1つまたは複数のピクセル位置は、データ分析の目的のために内部基準として使用されることができる(たとえば、センサの較正のために、ならびに/あるいは、既知のまたは未知のサンプルを分析するために使用されることができる)。
[00143]主題のセンサは、半透明膜を備える少なくとも1つの感知面を含み、半透明膜は、貴金属を備える。半透明膜は、感知面と接触する媒体の表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく分析を容易にする。SPRは、反射光が消されるように、光が特定の角度で感知面に入射するときに発生する現象である。入射光の特定の角度において、反射光の強度は、数学的方程式によって良好に定義される減少する強度の特性曲線を示す。曲線の反射率の最小値に対応する入射光の角度は、半透明膜の特性と、半透明膜と接触する外部媒体の特性とによって影響を受ける。図2のパネルAは、涙の浸透圧測定のためのSPR技法の例示的な概要を提供する。図2のパネルBは、SPR曲線の相対最小値を実証し、SPR信号曲線の反射率の最小値に対応する位置を示すSPR信号のグラフ(すなわち、SPR信号曲線、または関数)を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の態様は、(本明細書でさらに説明する)検出構成要素によって生成される画像上に表されるSPR信号曲線の反射率の最小値に対応するピクセル位置を決定することを含む。
[00144]いくつかの実施形態では、感知面上の半透明膜は、約1nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、41nm、42nm、43nm、44nm、45nm、46nm、47nm、48nm、49nm、50nm、51nm、52nm、53nm、54nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、155nm、160nm、165nm、170nm、175nm、180nm、185nm、190nm、または195nmなどの、約0.5nmから約200nmまでの厚さの範囲であり得る。任意の適切な技法、たとえば、薄膜堆積技法(たとえば、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、蒸着、金属有機化学気相堆積(MOCVD)、スパッタリングなど)、またはそれらの任意の組合せを使用して、センサの表面上に半透明膜が堆積され得る。主題のセンサの実施形態に従って半透明膜内で使用され得る貴金属の非限定的な例は、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態では、感知面上の半透明膜は、複数の別個の材料の層から構成され得、各層内の材料は、上記で説明した貴金属、またはそれらの任意の組合せ(たとえば、2、3、4、5、6、7、または8以上の異なる貴金属などの、それらの合金)から選択され得る。いくつかの実施形態では、感知面は、半透明膜で少なくとも部分的に被覆された一方の側を有する、たとえば、顕微鏡スライドなどの基板を備えることができる。そのような実施形態では、基板は、感知面を提供するようにセンサに動作可能に結合され得る。
[00145]いくつかの実施形態では、センサは、センサ(または基板)と半透明膜との間の感知面上に堆積された接着層を含むことができる。本発明の実施形態による接着層は、感知面への半透明膜の接着を促進する働きをし、センサを通過する光信号の1つまたは複数の特性を変調することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、接着層は、接着層を通過する光信号の所望の特性を改善する材料を備えることができる。いくつかの実施形態では、接着層の厚さおよび材料組成は、接着層を通過する光信号の特性を有利に操作するように選択される。いくつかの実施形態では、所望の屈折率(RI)を有する材料が、接着層を通過する光信号の特性を変調するように選択される。いくつかの実施形態では、接着層は、それを通過する光信号の特性を変調する、たとえば、光信号中のノイズの量を低減する材料を備える。
[00146]いくつかの実施形態では、接着層は、約1nm、1.5nm、2nm、2.5nm、3nm、3.5nm、4nm、4.5nm、5nm、5.5nm、6nm、6.5nm、7nm、7.5nm、8nm、8.5nm、9nm、9.5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、155nm、160nm、165nm、170nm、175nm、180nm、185nm、190nm、または195nmなどの、約0.5nmから約200nmまでの厚さの範囲であり得る。任意の適切な技法、たとえば、薄膜堆積技法(たとえば、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、蒸着、金属有機化学気相堆積(MOCVD)、スパッタリングなど)、またはそれらの任意の組合せを使用して、センサの表面上に接着層が堆積され得る。主題のセンサの実施形態に従って接着層内で使用され得る材料の非限定的な例は、クロム(Cr)、TiO2、TOx、SiO2、SiOx、またはそれらの任意の組合せ(たとえば、それらの混合物または合金)を含む。
[00147]本発明の実施形態による感知面は、任意の適切なサイズと形状とを有することができる。いくつかの実施形態では、感知面は、正方形、矩形、台形、八角形、楕円形、または円形の形状、またはそれらの任意の組合せであり得る。感知面の表面積は、様々であり得、いくつかの実施形態では、約2mm2、3mm2、4mm2、5mm2、6mm2、7mm2、8mm2、または9mm2などの、約1mm2から約10mm2までの範囲であり得る。
[00148]特定の実施形態では、感知面は、被覆領域と非被覆領域とを備えることができる。いくつかの実施形態では、被覆領域は、約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%などの、約10%から100%までの範囲の感知面の面積のパーセンテージを備える。特定の実施形態では、感知面全体が半透明膜で被覆される。
[00149]本発明の実施形態による被覆領域は、任意の適切な形状を有することができる。いくつかの実施形態では、感知面の被覆領域は、正方形、矩形、台形、八角形、楕円形、または円形の形状、またはそれらの任意の組合せであり得る。いくつかの実施形態では、感知面は、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の別個の被覆領域などの、複数の別個の被覆領域を備えることができる。感知面の被覆領域は、感知面上の任意の適切な位置に配置され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、被覆領域は、感知面の中心に置かれ得、いくつかの実施形態では、被覆領域は、たとえば、感知面の1つの特定の側に配置され得る、感知面の1つまたは複数の側に沿って配置され得る、などである。いくつかの実施形態では、感知面の約半分は、被覆領域を備え、感知面の約半分は、非被覆領域を備える。いくつかの実施形態では、感知面の約2/3(約66%)は、被覆領域を備え、感知面の約1/3(約33%)は、非被覆領域を備える。特定の実施形態では、感知面の全表面が被覆領域である(すなわち、感知面の100%が半透明膜で被覆される)。
[00150]いくつかの実施形態では、感知面の非被覆領域は、センサに関連付けられた臨界角の分析を容易にする。臨界角は、全内部反射が生じる入射角である。臨界角は、センサが作られる材料の特性によって影響を受け、センサの感知面と接触する外部媒体の影響を受けない。そのように、所与のセンサの臨界角は、分析中の内部基準として機能することができる。いくつかの実施形態では、本発明の態様は、センサに関する臨界角を決定することと、(本明細書でさらに説明する)検出構成要素によって生成された画像上の臨界角に対応するピクセル位置を決定することとを含む。
[00511]本発明の実施形態によるセンサは、任意の適切なサイズと形状とを有することができる。いくつかの実施形態では、センサは、平面と曲面とを有する半円筒形状を有し、感知面は、平面上に配置される。いくつかの実施形態では、センサは、円錐形状または円錐台形状を備える。いくつかの実施形態では、センサは、センサが内部表面(たとえば、凹部の内側の表面)と外部表面とを備えるように、凹形状を有することができる。いくつかの実施形態では、センサは、円錐台状の凹形状を有することができる。
[00152]いくつかの実施形態では、センサは、2cm、3cm、4cm、5cm、8cm、10cm、12cm、14cm、16cm、または18cmなどの、約1cm~約20cmの範囲の長さ寸法を有することができる。いくつかの実施形態では、センサは、2cm、3cm、4cm、5cm、8cm、10cm、12cm、14cm、16cm、または18cmなどの、約1cm~約20cmの範囲の幅寸法を有することができる。いくつかの実施形態では、センサは、2cm、3cm、4cm、5cm、8cm、10cm、12cm、14cm、16cm、または18cmなどの、約1cm~約20cmの範囲の高さ寸法を有することができる。いくつかの実施形態では、センサは、2cm、3cm、4cm、5cm、8cm、10cm、12cm、14cm、16cm、または18cmなどの、約1cm~約20cmの範囲の直径を有することができる。
[00153]いくつかの実施形態では、センサは、(たとえば、所与の角度でファセットから反射するように)光信号を所与の方向に導くように構成された1つまたは複数のファセットを備えることができる。本発明の実施形態によるファセットは、任意の適切な面積を有することができ、いくつかの実施形態では、約5mm2、10mm2、15mm2、20mm2、25mm2、30mm2、35mm2、40mm2、45mm2、50mm2、55mm2、60mm2、65mm2、70mm2、75mm2、80mm2、85mm2、90mm2、または95mm2などの約1mm2から約100mm2までの面積の範囲であり得る。センサの実施形態によるファセットは、任意の適切な形状を有することができ、いくつかの実施形態では、正方形、矩形、台形、八角形、楕円形、または円形の形状、またはそれらの任意の組合せであり得る。
[00154]本発明の実施形態によるセンサは、センサの所与の表面上に任意の適切な数のファセットを有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、センサは、センサの所与の表面上に、2、3、4、5、6、7、8、または9などの、1から10までの範囲の数のファセットを有することができる。特定の実施形態では、センサは、内部表面上の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のファセットなどの、内部表面上の1つまたは複数のファセットを有することができ、外部表面上の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のファセットなどの、外部表面上の1つまたは複数のファセットを有することもできる。いくつかの実施形態では、ファセットは、光信号を反射するファセットの能力を高めるために、光反射材料で被覆され得る。いくつかの実施形態では、複数のファセットは、異なる形状および/または面積を有することができる。いくつかの実施形態では、複数のファセットは、同じ形状および/または面積を有することができる。
[00155]特定の実施形態では、1つまたは複数のファセットは、反射被覆(たとえば、反射膜、または光学反射材料)で被覆され得る。いくつかの実施形態では、センサのファセットのすべては、反射被覆で被覆され得る。いくつかの実施形態では、センサの特定のファセットは、反射被覆で被覆され、同じセンサ上の他のファセットは、反射被覆で被覆されない。いくつかの実施形態では、選択されたファセットの表面全体は、反射被覆で被覆され得る。いくつかの実施形態では、特定のファセットの表面の一部または区分のみが反射被覆で被覆される。好ましい実施形態では、複数の「肩」ファセットが反射性金被覆で被覆される。たとえば、1つの好ましい実施形態では、図43でラベル付けされたファセット(ならびに感知面の反対側に対称的に配置されたファセット)は、反射被覆(たとえば、反射性金被覆)で被覆される。
[00156]いくつかの実施形態では、ファセットの表面上の反射被覆は、約0.5nm、約1nm、約5nm、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、約800nm、約850nm、約900nm、または約950nm、またはそれよりも厚い、などの、約0.1nmから約1000nm(1μm)までの厚さの範囲であり得る。任意の適切な技法、たとえば、薄膜堆積技法(たとえば、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、蒸着、金属有機化学気相堆積(MOCVD)、スパッタリングなど)、またはそれらの任意の組合せなどを使用して、ファセットの表面上に反射被覆が堆積され得る。主題のセンサの実施形態に従って反射膜内で使用され得る貴金属の非限定的な例は、銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、またはそれらの任意の組合せを含む。好ましい実施形態では、反射被覆は、金(Au)を備える。
[00157]いくつかの実施形態では、センサは、1つまたは複数のファセット上に堆積され、センサ(または基板)とファセット上の反射被覆との間に配置された接着層を含むことができる。本発明の実施形態による接着層は、ファセット上の反射被覆の接着を促進する働きをし、ファセットから反射される光信号の1つまたは複数の特性を変調することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、接着層は、特定のファセットから反射される光信号の所望の特性を改善する材料を備えることができる。いくつかの実施形態では、接着層の厚さおよび材料組成は、特定のファセットから反射される光信号の特性を有利に操作するように選択される。
[00158]いくつかの実施形態では、接着層は、約1nm、1.5nm、2nm、2.5nm、3nm、3.5nm、4nm、4.5nm、5nm、5.5nm、6nm、6.5nm、7nm、7.5nm、8nm、8.5nm、9nm、9.5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、155nm、160nm、165nm、170nm、175nm、180nm、185nm、190nm、または195nmなどの、約0.5nmから約200nmまでの厚さの範囲であり得る。任意の適切な技法、たとえば、薄膜堆積技法(たとえば、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、蒸着、金属有機化学気相堆積(MOCVD)、スパッタリングなど)、またはそれらの任意の組合せを使用して、センサの表面上(たとえば、センサのファセット上)に接着層が堆積され得る。主題のセンサの実施形態に従って接着層内で使用され得る材料の非限定的な例は、クロム(Cr)、TiO2、TOx、SiO2、SiOx、またはそれらの任意の組合せ(たとえば、それらの混合物または合金)を含む。
[00159]いくつかの実施形態では、センサは、システムの別の構成要素に(たとえば、光学シャーシの構成要素に、プロセッサに、など)識別情報を通信するように構成された1つまたは複数の識別構成要素を含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、センサは、たとえば、センサの感知面上に配置された半透明膜のタイプ、センサの感知面上の被覆領域および非被覆領域の構成、センサ内のファセットの構成などに関する情報を光学シャーシに提供する識別構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、センサによって通信される識別情報に応答するように構成される。たとえば、特定の実施形態では、システムは、センサから識別情報を受信し、それに応答して、特定の分析方法を実行するようにシステムを構成する(たとえば、特定の波長を有する1つまたは複数の光信号を生成するようにシステムを構成する)ように構成され得る。本発明の実施形態による識別構成要素は、任意の適切な構成を有することができ、たとえば、バーコード、磁気ストリップ、コンピュータ可読チップなどを含むことができる。本発明の実施形態によるシステムは、センサ上の識別構成要素からの識別情報を受信および/または識別するように構成された対応する識別構成要素を伴って構成され得る。
[00160]主題のセンサの態様は、主題のシステムの別の構成要素(たとえば、以下でさらに説明する光学シャーシ)に対して固定された位置にセンサを保持するように構成された保持構成要素を含む。本発明の実施形態による保持構成要素は、任意の適切な形状と寸法とを有することができ、たとえば、主題のセンサの1つまたは複数の部分から延びるタブまたはフランジの形態をとることができる。いくつかの実施形態では、センサは、センサを、たとえば、光学シャーシなどの別の構成要素に取り外し可能に結合するように構成された保持構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサは、オペレータがセンサの無菌状態を損なうことなくセンサの光学シャーシへの結合を達成することができ、センサと物理的に接触することなくセンサを光学シャーシから結合解除することを可能にすることができることを意味する、非接触または無菌方式で、光学シャーシに取り外し可能に結合および/または結合解除するように構成される。
[00161]主題のシステムの態様は、センサの無菌操作、ならびにセンサの光学シャーシへの結合(たとえば、取り外し可能な結合)を容易にするように構成された1つまたは複数のセンサ取り付け構成要素を含む。たとえば、特定の実施形態では、センサ取り付け構成要素は、無菌方式でセンサを保持し、ユーザがセンサを光学シャーシに結合することを可能にし、次いで、無菌方式で光学シャーシに結合されたセンサを残してセンサから外れるように構成される。本発明の実施形態によるセンサ取り付け構成要素は、任意の適切な寸法を有することができ、いくつかの実施形態では、センサの少なくとも一部と相補的な表面を含む。いくつかの実施形態では、センサ取り付け構成要素は、センサ取り付け構成要素がセンサから外されるまでセンサの被覆された部分が外部環境にアクセスできないようにするために、センサの外部表面の少なくとも一部を覆うように構成される。いくつかの実施形態では、センサ取り付け構成要素は、任意の適切な技法による滅菌に適合され、滅菌が完了した後にその機能を維持するように適合される。滅菌技法は、当該技術分野において周知であり、たとえば、熱滅菌、ガンマ線照射、化学滅菌(たとえば、エチレンオキシドガス滅菌)、および多くの他の物を含む。本発明の態様は、任意の認識可能な方式でそれらの機能を変えることなく滅菌に適合されたセンサ取り付け構成要素を含む。いくつかの実施形態では、センサ取り付け構成要素は、センサおよびセンサ取り付け構成要素が互いに結合されている間にセンサの滅菌を可能にするように構成される。
[00162]主題のセンサの態様は、取り付けられる構成要素の自由度の数に等しい数の制約を提供するように構成された1つまたは複数の運動学的取り付け構成要素を含む。たとえば、6つの自由度を有する3次元オブジェクトについて、(以下でさらに説明する)光学シャーシ上にセンサを取り付けるために、6つの制約を提供する運動学的取り付け構成要素が使用され得る。
[00163]主題のセンサの態様は、センサを(以下でさらに説明する)光学シャーシの1つまたは複数の構成要素と整列させるように構成された1つまたは複数の整列構成要素を含む。いくつかの実施形態では、整列構成要素は、センサを光学シャーシと整列させるテーパ付きセンタリング構成要素を備えることができる。
[00164]主題のセンサは、限定はしないが、ガラス、光学グレードプラスチック、ポリマ、それらの組合せなどを含む、様々な適切な材料のいずれかから作製され得る。適切な材料の非限定的な例は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)ポリスチレン(PS)シクロオレフィンポリマ(たとえば、ZEONEX(登録商標)E48R)、サファイア、ダイアモンド、石英、ジルコン(ジルコニア)など、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態では、主題のセンサを作製するために使用される材料は、1.21、1.22、1.23、1.24、1.25、1.26、1.27、1.28、1.29、1.3、1.31、1.32、1.33、1.34、1.35、1.36、1.37、1.38、1.39、1.4、1.41、1.42、1.43、1.44、1.45、1.46、1.47、1.48、1.49、1.5、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59、1.6、1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68、1.69、1.7、1.71、1.72、1.73、1.74、1.75、1.76、1.77、1.78、1.79、1.8、1.81、1.82、1.83、1.84、1.85、1.86、1.87、1.88、1.89、1.9、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、または1.99などの、約1.2から約2.0までの範囲の屈折率を有することができる。当業者は、適切な光学特性を有する任意の材料が主題のセンサにおいて使用され得ることを認識するであろう。本発明の実施形態によるセンサは、機械加工、3D印刷、および/または成形(たとえば、射出成形)などの任意の適切な技法を使用して製造され得る。いくつかの実施形態では、センサは、適切な技法を使用して製造され得、次いで、センサの表面上に1つまたは複数の組成物(たとえば、半透明膜、接着層、または反射被覆)を堆積させるためにさらに処理され得る。いくつかの実施形態では、センサは、使い捨てであり、1回または複数回の使用の後に廃棄され得る。いくつかの実施形態では、センサは、繰返し使用に適合され、たとえば、使用後に洗浄および滅菌され、次いで再び使用されるように適合される。
[00165]上記で検討したように、本発明の態様は、2つの異なるテスト媒体(たとえば、空気、および、たとえば涙液膜のような生体サンプル)に関する感知面からのデータが検出構成要素の同じ視野または画像フレーム内でキャプチャされ得るように、第1の入射角で感知面と相互作用するように第1の光信号を導き、第2の入射角で感知面と相互作用するように第2の光信号を導くように構成されたセンサを含む。いくつかの実施形態では、センサは、上記で検討したように、検出構成要素の同じ視野または画像フレーム内でデータを生成するために、第1の狭い範囲の入射角にわたって感知面と相互作用するように第1の光信号を導き、第2の狭い範囲の入射角にわたって感知面と相互作用するように第2の光信号を導くように構成される。いくつかの実施形態では、入射角の狭い範囲は、約3度、4度、5度、6度、7度、8度、または9度などの、約2度~約10度の範囲の度数にわたる。
[00166]理論にとらわれることなく、センサのために選択される第1および第2の入射角の範囲は、センサを製造するために使用される材料の光学特性、ならびにセンサによって分析されるべき外部媒体に依存する。そのように、第1および第2の入射角、または第1および第2の狭い範囲の入射角は、異なる材料からなるセンサについて異なり得、所与のセンサに関する入射角の範囲は、分析されるサンプル(たとえば、生体サンプル)の予想される屈折率に基づき得る。いくつかの実施形態では、センサは、臨床的意義の入射角のダイナミックレンジを有するように構成され、センサは、サンプルの分析を容易にし、臨床的意義を有するデータ(たとえば、生体サンプル、たとえば涙液膜の浸透圧の決定を容易にするデータ)を提供する入射角の範囲にわたって感知面と相互作用するように1つまたは複数の光信号を導くように構成される。当業者は、異なる第1および第2の入射角またはその範囲は、異なるテスト媒体、または、基準とテスト媒体(たとえば、空気および水、空気および涙液など)の異なる組合せに関して感知面から検出構成要素の同じ視野内のデータを生成するために、たとえば、センサを製造するために使用される材料の光学特性、感知面と接触させられる外部媒体(たとえば、生体サンプルおよび/または基準媒体)の特性、半透明膜の特性、および/または(存在する場合)接着層の特性に基づいて選択され得ることを理解されよう。いくつかの実施形態では、入射角の範囲は、約36度、37度、38度、39度、40度、41度、42度、43度、44度、45度、46度、47度、48度、49度、50度、51度、52度、53度、54度、55度、56度、57度、58度、59度、60度、61度、62度、63度、64度、65度、66度、67度、68度、69度、70度、71度、72度、73度、または、74度などの、約35度~約75度にわたる。
[00167]いくつかの実施形態では、センサは、(以下に説明する)光学シャーシに結合されたとき、研究室環境、たとえば、臨床検査室環境で使用するように構成されたベンチトップシステムに形成され得る。いくつかの実施形態では、センサは、(以下に説明する)光学シャーシに結合されたとき、ハンドヘルドシステムに形成され得る。好ましい実施形態では、ハンドヘルドシステムは、ペンの寸法と同様の寸法を有する。使用時に、ハンドヘルドシステムは、たとえば、医師によって保持され、分析中のサンプルと接触され得る。
[00168]いくつかの実施形態では、センサは、任意の適切な技法による滅菌に適合され、滅菌が完了した後にその機能を維持するように適合される。滅菌技法は、当該技術分野において周知であり、たとえば、熱滅菌、ガンマ線照射、化学滅菌(たとえば、エチレンオキシドガス滅菌)、および多くの他の物を含む。本発明の態様は、任意の認識可能な方式でそれらの機能を変えることなく滅菌に適合されたセンサを含む。
[00169]本発明の態様は、複数のセンサを含むキットを含む。いくつかの実施形態では、キットは、複数の同一のセンサを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、異なる特性を有する2つ以上のセンサ(たとえば、複数の第1のタイプのセンサ、および複数の第2のタイプのセンサ)を含むことができる。本発明の実施形態によるキットは、任意の適切なパッケージングを備えることができ、たとえば、気密パッケージング(たとえば、密封パッケージング)、真空密封パッケージングなどを備えることができる。特定の実施形態では、キットは、無菌であり得る(たとえば、キットの内容物は、無菌であり、キットパッケージングは、内容物の無菌性を維持するように構成される)。いくつかの実施形態では、キットは、複数のセンサを備えることができ、各個別のセンサは、無菌パッケージング内に別々に封止される。いくつかの実施形態では、キットは、無菌ではないが、使用場所において、たとえば、臨床医の診療室または病院においてキットが滅菌され得るように滅菌に適合される。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書で説明するように、1つまたは複数のセンサ取り付け構成要素をさらに含むことができる。
[00170]いくつかの実施形態では、センサは、貯蔵安定性であり、その機能性を維持しながら、1年から2年以上などの長期間の時間の間貯蔵され得る。特定の実施形態では、センサは、センサが長期間の時間の間貯蔵安定性のままであるように、適切なパッケージングを有するキットにおいて提供され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、センサは、長期間の時間の間の貯蔵安定性を容易にするために、気密パッケージングまたは真空密封パッケージングにおいて提供され得る。
[00171]1つの好ましい実施形態では、センサは、シクロオレフィンポリマから製造され、内部表面と外部表面とを有する円錐台状の凹形状を有し、センサは、外部表面上に配置された感知面とともに、内部表面上の2つのファセットと、外部表面上の4つのファセットとを備え、ファセットは、約42度の入射角で感知面と相互作用するように第1の光信号を導き、約64度の入射角で感知面と相互作用するように第2の光信号を導くように構成される。この好ましい実施形態では、空気と水の両方からのデータ、または空気と涙液の両方からのデータは、検出構成要素の同じ視野または画像フレーム内で収集され得、それによって、分析において使用され得る画像内の内部基準を提供する。
[00172]別の好ましい実施形態では、センサは、シクロオレフィンポリマから製造され、内部表面と外部表面とを有する円錐台状の凹形状を有し、センサは、センサの外部表面上に配置された感知面とともに、内部表面上の2つのファセットと、外部表面上の4つのファセットとを備え、ファセットは、約40度~約45度の範囲の狭い範囲の入射角にわたって感知面と相互作用するように第1の光信号を導くように構成され、約62度~約67度の範囲の狭い範囲の入射角にわたって感知面と相互作用するように第2の光信号を導くように構成される。
[00173]ここで図22を参照すると、本発明の一実施形態によるセンサの図が提供されている。図示の実施形態は、金膜を備える感知面を有する射出成形透明プラスチックセンサである。
[00174]図23は、本発明の実施形態による別のセンサの図である。図示された実施形態では、センサは金膜の感知面を備える。図示されたセンサの上部は、SPRプリズムとして機能する。図示されたセンサの中間部分は、スカート部分であり、図示されたセンサの下部は、(以下でさらに説明する)光学シャーシに接続するベース部分である。
[00175]図24は、本発明の実施形態によるセンサの別の図である。図示の実施形態では、センサは、約42.04度の入射角で感知面と相互作用するように第1の光信号を導くように構成され、約64.44度の入射角で感知面と相互作用するように第2の光信号を導くように構成される。
[00176]図25は、本発明の実施形態によるセンサの別の図である。図示の実施形態では、センサは、約42.04度の入射角で感知面と相互作用するように第1の光信号を導くように構成され、約64.44度の入射角で感知面と相互作用するように第2の光信号を導くように構成される。感知面上の金被覆、センサの楕円形の外部表面、センサのオプションの湾曲した下面、点光源LED、およびビームスプリッタがさらに示されている。
[00177]図42のパネルAは、内部表面と外部表面とを有する円錐台状の凹形状を有する本発明の実施形態によるセンサの側面図である。図示の実施形態では、センサの外部表面は、4つの反射ファセットと、光学シャーシと合致するテーパ付きセンタリング構成要素とを有する。パネルBは、センサの底面図であり、センサの内部表面上の2つのファセットを示す。保持構成要素および運動学的取り付け構成要素も示されている。
[00178]図43は、図42に示されたセンサの斜視図である。複数の保持取り付け具、ならびにセンサの外部表面上の感知面および4つのファセットが見える。
[00179]図44のパネルAは、内部表面と外部表面とを有する円錐台状の凹形状を有する本発明の実施形態によるセンサの側面図である。図示の実施形態では、センサの外部表面は、4つの反射ファセットと、光学シャーシと合致するテーパ付きセンタリング構成要素とを有する。パネルBは、センサの側面図であり、センサを製造するプロセス中に金型を通る材料の流れを示す破線を示す。運動学的な取り付け位置も示されている。
[00180]図45は、本発明の実施形態によるセンサの上面端面図である。図示されたセンサは、被覆領域と非被覆領域とを備える感知面を含む。センサを光学シャーシに取り外し可能に結合するように構成された3つの保持構成要素またはタブも示されている。
[00181]図47は、本発明の実施形態によるセンサの透視斜視図である。
光学シャーシ
[00182]上記で要約したように、本発明の態様は、光信号生成構成要素と検出構成要素とを備える光学シャーシを含む。いくつかの実施形態では、光学シャーシは、光信号操作構成要素を備えることができる。これらの態様の各々について、以下でより詳細に説明する。
[00183]本発明の態様は、光信号を生成するように構成された1つまたは複数の光信号生成構成要素を含む。いくつかの実施形態では、光信号生成構成要素は、たとえば、レーザ、発光ダイオード(LED)、点光源LED、または分光フィルタを有する白色光源などの、光信号を生成する光源を含むことができる。いくつかの実施形態では、光学シャーシは、2、3、4、5、6、7、8、または9つの光信号生成構成要素などの、1~10の範囲の数の光信号生成構成要素を含むことができる。
[00184]本発明の実施形態による光信号生成構成要素は、UV光から可視光、赤外光までの範囲の任意の適切な波長を有する光を生成するように構成され得る(たとえば、任意の適切な発光スペクトルを有してもよい)。いくつかの実施形態では、光信号は、約325、350、375、387、393、400、425、433、445、450、467、475、488、490、492、494、495、500、502、505、510、516、517、520、525、545、550、567、573、574、575、585、596、600、603、605、611、625、633、645、650、655、667、670、673、675、690、694、700、725、750、775、800、825、850、855、875、900、925、940、950、975、1000、1025、1033、1050、1060、1075、1100、1125、1150、1175、1200、1225、1250、1270、1275、1300、1325、1350、1375、1400、1425、1450、または1475nmなどの、約300nm~約1500nmの範囲の波長を有することができる。いくつかの実施形態では、光信号は、約855nmの波長を有することができる。いくつかの実施形態では、光源は、約950nmの波長を有することができる。
[00185]本発明の実施形態による光信号生成構成要素は、様々な方法で光信号を生成するように構成され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、光信号生成構成要素は、光信号を連続的に生成するように構成される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の光信号生成構成要素が、2つの異なる波長を有する光信号を同時に生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、光信号生成構成要素は、ゲーテッド方式で測定され得る点滅光信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、光信号生成構成要素は、単一の波長を有する光信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、光信号生成構成要素は、同じ光信号生成構成要素が2つ以上の異なる波長の光信号を生成することができるように、異なる波長を有する複数の光信号を生成するように構成される。
[00186]いくつかの実施形態では、光学シャーシは、1つまたは複数の光信号の経路内に物理的障害物を置くように構成または適合された光機械基準(OMR)を備える。物理的障害物は、検出構成要素によって検出され分析され得る1つまたは複数の基準信号を作成する。いくつかの実施形態では、OMRは、光信号の垂直または水平の影または遮蔽された領域が検出構成要素によって検出され得るように、1つまたは複数の光信号内に垂直または水平の障害物を作成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、OMRは、光信号の垂直および水平の影または遮蔽された領域の組合せが検出構成要素によって検出され得るように、1つまたは複数の光信号内に垂直および水平の障害物の組合せを作成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、光機械構成要素は、光信号の円形または楕円形の影または遮蔽された領域が検出構成要素によって検出され得るように、1つまたは複数の光信号内に円形または楕円形の障害物を作成するように構成され得る。主題の方法の態様は、OMR信号の1つまたは複数の特徴のピクセル位置を検出することと、較正、品質制御、および/または、データ分析手順におけるOMR信号の1つまたは複数の特徴のピクセル位置を使用することとを伴う。
[00187]本発明の態様は、主題のセンサからの1つまたは複数の光信号を検出し、そこからデータを生成するように構成された検出構成要素を含む。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、主題のセンサからの1つまたは複数の光信号を検出し、分析のためのデータの画像(たとえば、デジタル画像)を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、1つまたは複数の光信号から複数の画像を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、1秒あたり10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100以上などの、1秒あたり複数の画像を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、センサから受信された1つまたは複数の光信号のビデオを生成するように構成されたビデオ記録構成要素(たとえば、ビデオカメラ)を備える。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、ビデオの1つまたは複数の画像フレームをキャプチャし、以下でさらに説明するように、1つまたは複数の画像フレームにさらなる処理を施すように構成される。ある実施形態では、検出構成要素は、サンプルが主題のセンサの感知面と接触する前に、データをキャプチャすることを開始し、サンプルと感知面との接触の直後にデータを迅速にキャプチャするように構成されている。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、サンプルと感知面と接触と同時に、データをキャプチャすることを開始し、サンプルと感知面との接触の直後にデータを迅速にキャプチャするように構成されている。
[00188]本発明の実施形態による検出構成要素は、入力として光信号を受信し、光信号を分析のために検出器に導くように構成される。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、特定の波長の光、または特定の波長範囲の光のみが検出構成要素に入ることを可能にするように構成され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、検出構成要素は、特定の波長範囲の光のみが検出構成要素に入ることを可能にするように構成された1つまたは複数の光学フィルタを含むことができる。
[00189]いくつかの実施形態では、検出構成要素は、フォトダイオードを備える1つまたは複数の検出器を含むことができる。本発明の実施形態によるフォトダイオードは、光の光子を吸収し、光を測定され得る電流に変換するように構成される。いくつかの実施形態では、フォトダイオードは、1つまたは複数の光学フィルタ、レンズ、または、光エネルギーを測定のために電流に変換するために使用され得る任意の他の適切な構成要素を含んでもよい。
[00190]いくつかの実施形態では、検出構成要素は、1つまたは複数の光電子増倍管(PMT)を含むことができる。本発明の実施形態によるPMTは、入射光信号によって生成された電流を増倍することによって入射光子を検出するように構成される。
[00191]いくつかの実施形態では、検出構成要素は、1つまたは複数のアバランシェフォトダイオード(APD)、またはガイガーモードアバランシェフォトダイオードもしくはG-APDとしても知られるシングルフォトンアバランシェフォトダイオード(SPAD)を含むことができる。本発明の実施形態によるAPDおよびSPADは、入射電磁放射を検出するために半導体デバイス内の光子トリガアバランシェ電流を利用することによって単一光子レベルに至るまでの光信号(低強度信号など)を検出することができる。
[00192]いくつかの実施形態では、検出構成要素は、検出器を横切る光パルスの時間変化する偏向を生じさせることによって、光パルスの時間プロファイルを検出器上の空間プロファイルに変換することによって動作する1つまたは複数のストリークカメラを含むことができる。
[00193]いくつかの実施形態では、検出構成要素は、画像センサを有する1つまたは複数の検出器を含むことができる。本発明の実施形態による画像センサは、光学画像を電子信号に変換するように構成される。画像センサの例は、限定はしないが、電荷結合素子(CCD)、および相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、またはN型金属酸化膜半導体デバイスを含む。いくつかの実施形態では、画像センサは、アクティブピクセルセンサ(APS)であり得る。
[00194]いくつかの実施形態では、検出構成要素は、1つまたは複数のカメラを含むことができる。いくつかの実施形態では、カメラは、きわめて低いノイズと、高速フレームレートと、広いダイナミックレンジと、高量子効率(QE)と、高解像度と、大きい視野とを提供するCCDカメラまたはサイエンティフィックCMOSカメラ(sCMOS)である。そのようなカメラは、科学技術ベンダーから商業的に入手可能である。
[00195]いくつかの実施形態では、検出構成要素は、1つまたは複数のリニアアレイセンサ(LAS)を含むことができる。本発明の実施形態によるリニアアレイセンサは、定義された露光時間にわたって入射光を測定し、アレイ内の各ピクセルの露光を表す電圧またはデジタル出力を生成するように構成された積分光感知ピクセルの線形アレイを備える。LASは、当該技術分野において周知であり、様々な寸法およびピクセル解像度(DPI)において一般的に利用可能である。いくつかの実施形態では、LASのアナログ出力は、デジタル信号処理を実行するために、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)に直接インターフェースされ得る。
[00196]いくつかの実施形態では、検出構成要素は、主題のセンサから受信された1つまたは複数の光信号の画像を生成し、画像を、撮像アレイ内の座標系上に編成された複数のピクセルを備えるデジタル画像に変換またはレンダリングするように構成される。いくつかの実施形態では、デジタル画像は、2次元座標系、たとえば、それに関連付けられたx、y座標系を有することができ、デジタル画像内の各ピクセルは、x、y座標を割り当てられる。特定の実施形態では、検出構成要素は、グレースケールデジタル画像を生成することができ、デジタル画像内の各ピクセルは、白色から黒色までの範囲のモノクロ階調に対応するグレースケール値を割り当てられる。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、カラーデジタル画像を生成することができ、デジタル画像内の各ピクセルは、色を割り当てられる。いくつかの実施形態では、撮像アレイのx方向におけるピクセルの数は、約1000、1500、2000、2500、3000、または3500以上などの、約500~約4000以上の範囲である。いくつかの実施形態では、撮像アレイのy方向におけるピクセルの数は、約1000、1500、2000、2500、3000、または3500などの、約500~約4000以上の範囲である。主題のセンサから受信された1つまたは複数の信号から画像を生成することができる任意の検出構成要素が、主題のシステムおよび方法に従って使用され得る。
[00197]主題のシステムの態様は、光信号の1つまたは複数の特性を操作するように構成された光信号操作構成要素を含む。光信号操作構成要素の例は、限定はしないが、ミラー、レンズ(たとえば、円柱レンズ、複レンズ、コリメートレンズ)、ビームスプリッタ、プリズム(たとえば、ビーム平行移動プリズム)、回折格子、光電子増倍管、光学フィルタ(たとえば、周辺光を低減または除去することができるロングパスフィルタ、バッフル構成要素などの、たとえば、外部周辺光を低減する光学フィルタ)、ビーム整形光学系、光導波路、偏光子、空間フィルタ/空間アパーチャなどを含む。本発明の実施形態による光信号操作構成要素は、いくつかの実施形態では、複数の同じ個々の構成要素(たとえば、複数の光電子増倍管、複数の偏光子など)を含む、任意の適切な数の個々の構成要素を含むことができる。
[00198]いくつかの実施形態では、主題のシステムの態様は、1つまたは複数の空間アパーチャを含む。本発明の実施形態による空間アパーチャ(空間フィルタとしても知られる)は、システムの1つまたは複数の光学構成要素における不完全性または変動による光ビームにおける収差を除去するように構成された構成要素である。いくつかの実施形態では、空間アパーチャは、光信号の光路内に配置され、光信号の望ましくない部分または構造に対応する光を遮蔽しながら、光信号の所望の部分がアパーチャを通過することを可能にするアパーチャまたは開口部を含む。本発明の実施形態による空間アパーチャは、光が通過することを可能にする小さい円形アパーチャまたは「ピンホール」アパーチャを含むことができる。いくつかの実施形態では、空間アパーチャは、その直径が100、150、200、250、300、350、400、または450μmなどの、50μm~500μmの範囲のアパーチャを有する。特定の実施形態では、空間アパーチャは、そのサイズが可変であるアパーチャを含んでもよく、主題の方法は、空間アパーチャのサイズを変化させること(たとえば、直径を変化させること)を含んでもよい。特定の実施形態では、空間アパーチャは、そのサイズが100、150、200、250、300、350、400、または450μmなど、50μmから500μmまで変化され得るアパーチャを含んでもよい。
[00199]特定の実施形態では、光信号操作構成要素は、コリメートされた光信号を作成するために光源からの光信号を整形するために使用され得る。特定の実施形態では、光信号をコリメートされた光信号に成形するために、1つまたは複数の光学構成要素が使用され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、光コリメートレンズまたはレンズの集合が、光信号の経路内に配置され得、光源からの光信号をコリメートされた光信号に整形するために使用され得る。
[00200]いくつかの実施形態では、光信号操作構成要素は、光信号を偏光するように構成された1つまたは複数の偏光子を含むことができる。偏光は、p偏光(すなわち、横磁気(TM)偏光)であり得、またはs偏光(すなわち、横電気(TE)偏光)、もしくはそれらの任意の組合せであり得る。いくつかの実施形態では、光信号操作構成要素は、光信号を偏光するように構成された楕円偏光子および/または円偏光子を含むことができる。
[00201]本発明の態様は、主題のシステムまたはセンサの1つまたは複数の構成要素を制御するおよび/または動作させるように構成または適合された、コントローラと、プロセッサと、コンピュータ可読媒体とを含む。いくつかの実施形態では、システムは、本明細書で説明するように主題のシステムまたはセンサの1つまたは複数の構成要素と通信し、たとえば、本明細書で説明した1つまたは複数の方法を実行するために、システムの態様を制御する、および/または主題のシステムの1つまたは複数の動作または機能を実行するように構成されたコントローラを含む。いくつかの実施形態では、システムは、プロセッサと、メモリ媒体および/または記憶媒体を含み得るコンピュータ可読媒体とを含む。コンピュータ可読メモリ上のコンピュータ可読命令(または「ファームウェア」、すなわち、読出し専用メモリにプログラムされた永続的なソフトウェア)として具体化されたアプリケーションおよび/またはオペレーティングシステムは、限定はしないが、本明細書で説明した方法ステップの1つもしくは複数を実行すること、主題のセンサおよび/もしくはシステムから得られたデータを取得および処理すること、ならびに/または分析のためにデータに1つもしくは複数のアルゴリズムもしくは他の操作を適用することによって、本明細書で説明した機能の一部またはすべてを提供するためにプロセッサによって実行され得る。いくつかの実施形態では、ファームウェアは、感知面と接触して配置された媒体の1つまたは複数の画像をキャプチャする1つまたは複数の画像キャプチャシーケンスを実行するための命令を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、1つもしくは複数の画像を処理するため、(たとえば、テストサンプルの浸透圧を決定するために)1つもしくは複数の画像からのデータを分析するため、またはそれらの任意の組合せのために使用され得る1つまたは複数のアルゴリズムを実行するための命令を含むソフトウェアを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、1つまたは複数の方法を自動的に実行するように構成され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、システムは、特定のイベント、たとえば、センサの光学シャーシへの結合、ユーザ入力の受信(たとえば、ユーザからの活性化信号の受信)などに応答して、1つもしくは複数の画像キャプチャシーケンスおよび/または画像またはデータ処理アルゴリズムを自動的に実行するように構成され得る。
[00202]いくつかの実施形態では、システムは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)などのユーザインターフェース、および/またはユーザからの入力を受信し、本明細書で説明される方法の1つまたは複数を実行するように適合または構成された1つまたは複数のユーザ入力デバイスを含む。いくつかの実施形態では、GUIは、データまたは情報をユーザに表示するように構成される。
[00203]いくつかの実施形態では、システムは、センサの1つもしくは複数の部分および/または光学シャーシの1つもしくは複数の構成要素の温度を制御するように構成された1つまたは複数の温度制御要素を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、システムは、センサまたは光学シャーシを目標温度範囲内に維持するように構成された温度コントローラを含む。システムの実施形態による温度制御要素は、抵抗ヒータ、熱電ヒータまたはクーラ、ファンなどを含んでもよい。
[00204]いくつかの実施形態では、システムは、外部環境の1つまたは複数の特性を測定するように構成された1つまたは複数の環境分析構成要素を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、システムは、環境の温度を測定することができる温度センサ(たとえば、温度計または熱電対)を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、環境の圧力(たとえば、気圧)を測定することができる圧力センサ(たとえば、気圧計)を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、外部環境の湿度を測定することができる湿度センサ(たとえば、湿度計、湿度センサ)を含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、センサが動作する環境で光の量を測定できる光センサを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、センサが動作する環境の組成物(たとえば、1つまたは複数の化学種の存在ならびに/あるいは濃度)を測定できる環境組成センサを含むことができる。特定の態様では、主題のシステムは、サンプルを分析するときに、外部環境の1つまたは複数の特性、または、複数の外部環境の特性の組合せについて考慮または訂正するように構成される。たとえば、いくつかの実施形態では、プロセッサは、サンプルを分析するときに、たとえば、外部温度を訂正するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、サンプルを分析するときに、たとえば、湿度と環境組成との組合せを訂正するように構成される。
[00205]主題のシステムの態様はまた、システムの2つ以上の構成要素間でデータを交換/送信するために使用され得る接続を確立するように構成された、たとえば、USBポート、イーサネット(登録商標)ポート、または他のデータポートなどの、データ交換機能を含む。主題のシステムの態様はまた、システムの2つ以上の構成要素間でデータをワイヤレス送信するように構成された、WiFi構成要素などのワイヤレス送信構成要素を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、システムは、センサから得られたデータを、記憶するためにデータベースまたはリポジトリに送信することができる。
[00206]主題のシステムの態様はまた、主題のシステムによって取得されたデータを記憶および/または分析するために使用され得る、1つまたは複数のコンピュータプロセッサ、データストレージ、および/またはデータベース構成要素を含む。そのような構成要素は、たとえば、USB接続を介して、主題のシステムの他の構成要素に物理的に接続され得、または、たとえば、WiFi接続を介して、もしくはインターネットを介して、主題のシステムの他の構成要素とワイヤレス通信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、主題のシステムのコンピュータプロセッサ、データストレージ、および/またはデータベース構成要素は、遠隔に配置されてもよく、たとえば、センサの物理的位置とは異なる物理的位置に配置されてもよい。
[00207]主題のシステムの態様はまた、主題のシステムに電力を提供するように構成された、バッテリおよび/または電力ケーブルなどの、1つまたは複数の電力構成要素を含むことができる。本発明の実施形態による電力構成要素は、モジュール式であってもよく、電力を提供する目的のために主題のシステムに取り外し可能に結合されるように構成されてもよく、たとえば、主題のシステムに挿入されるか、または他の方法で結合されるように構成された1つまたは複数のバッテリまたはバッテリパックである。いくつかの実施形態では、主題のシステムは、標準的な電源コンセントとの電気的接触を確立するように構成された電力ケーブルを含む。いくつかの実施形態では、システムは、システムの1つまたは複数の構成要素(たとえば、光学シャーシまたはその構成要素)を再充電するように構成されたベースユニットを含むことができる。
[00208]いくつかの実施形態では、システムは、システムの1つまたは複数の構成要素を衛生化するように構成された1つまたは複数の消毒構成要素を含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、システムは、システムの1つまたは複数の部分をUV光で照明するように構成されたUV光消毒構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、消毒構成要素は、上記で説明したようにシステムの1つまたは複数の構成要素を再充電するように構成されたベースユニット内に配置され得る。
[00209]いくつかの実施形態では、主題のシステムの様々な特徴は、プラスチック、金属、ガラス、またはセラミック材料、およびそれらの任意の組合せなどの適切な材料から形成されたハウジングを含む単一のデバイスに形成される。たとえば、いくつかの実施形態では、本明細書で説明するように、センサと光学シャーシとを含むシステムは、プラスチックハウジングから形成され、システムの様々な追加の構成要素は、ハウジング内に配置される。いくつかの実施形態では、システムは、以下でさらに説明するように、主題の方法を実行するために使用され得る単一のベンチトップシステムに形成される。いくつかの実施形態では、システムは、ユーザによって持ち運ばれ得る単一のハンドヘルドシステムに形成される。特定の実施形態では、ハンドヘルドシステムは、ワイヤレスである。特定の実施形態では、ハンドヘルドシステムは、再充電可能なバッテリ構成要素を含む。好ましい実施形態では、システムの特徴は、本明細書で説明する方法を実行するために使用され得る、ワイヤレスで再充電可能なペンサイズのデバイスに形成される。
[00210]1つの好ましい実施形態では、光学シャーシは、光信号生成構成要素として4つの点光源LEDを含み、点光源LEDのうちの2つは、約855nmの波長を有する光を放射するように構成され、点光源LEDのうちの2つは、約950nmの波長を有する光を放射するように構成される。1つの好ましい実施形態では、光学シャーシは、約2592×1944のアクティブピクセルを有し、各ピクセルにおける光の強度値を決定し、グレースケール値を各ピクセルに割り当てることによって、入射光をデジタル電子信号に変換するCMOSデジタル画像センサを含む。
[00211]本発明の態様は、検出構成要素から得られたデータを分析するように構成された1つまたは複数の信号処理構成要素を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、信号処理構成要素は、検出構成要素によって生成された画像の関心領域(ROI)を識別するように構成される。いくつかの実施形態では、信号処理構成要素は、画像の所与の座標方向に沿った平均ピクセル強度に対応する数学的関数を生成するように構成される。たとえば、いくつかの実施形態では、信号処理構成要素は、画像のx座標に沿った各ピクセル位置に関する垂直列ピクセル強度の平均を計算し、その結果を表す数学的関数を生成するように構成される。一旦生成されると、数学的関数は、たとえば、数学的関数の相対的最小値または相対的最大値に対応するx座標を決定するために分析され得る。
[00212]特定の実施形態では、信号処理構成要素は、信号からノイズを低減または除去するように働く1つまたは複数のノイズ低減技法を適用するように構成される。たとえば、いくつかの実施形態では、信号処理構成要素は、信号内のノイズを低減するためにガウスぼかしアルゴリズムを適用するように構成される。いくつかの実施形態では、信号処理構成要素は、微分信号のゼロ交差値を正確に位置決めするために微分信号処理を使用するように構成される。
[00213]いくつかの実施形態では、信号処理構成要素は、約0.002秒、約0.003、約0.004秒、約0.005秒、約0.006秒、約0.007秒、約0.008秒、約0.009秒、約0.01秒、約0.02秒、約0.03秒、約0.04秒、約0.05秒、約0.06秒、約0.07秒、約0.08秒、約0.09秒、約0.1秒、約0.2秒、約0.3秒、約0.4秒、約0.5秒、約0.6秒、約0.7秒、約0.8秒、約0.9秒、約1秒、約2秒、約3秒、約4秒、約5秒、約6秒、約7秒、約8秒、約9秒、約10秒、約15秒、約20秒、約25秒、約30秒、約35秒、約40秒、約45秒、約50秒、約55秒、約60秒、約65秒、約70秒、約75秒、約80秒、または、約85秒などの、約0.001秒から約90秒までの範囲の時間間隔にわたるサンプルから複数のデータを獲得し、分析するように構成されている。
[00214]ここで図26を参照すると、本発明の実施形態による光学シャーシおよびセンサが示されている。この図では、LEDに始まり、システムを通って進む様々な光路が示されている。図示の実施形態は、855nmおよび950nmの波長のLED光源と、5ファセットセンサとを含む。加えて、図示の光学シャーシは、複レンズと、円柱レンズと、ビーム折り返しミラーと、検出構成要素とを含む。
[00215]図27は、本発明の実施形態による別の光学シャーシとセンサとを示す。この図では、LEDに始まり、システムを通って進む様々な光路が示されている。図示の実施形態は、855nmおよび950nmの波長のLED光源と、センサとを含む。加えて、図示の光学シャーシは、円柱レンズと、複レンズと、検出構成要素とを含む。
[00216]図28のパネルAは、本発明の実施形態による別の光学シャーシとセンサとを示す。この図では、LEDに始まり、システムを通って進む2つの光路が示されている。図示の実施形態は、855nmおよび950nmの波長の光源(各光源は、2つのLEDのセットを備える)、複数の内部ファセットおよび外部ファセットを有するセンサ、ならびに感知面を含む。加えて、図示の光学シャーシは、円柱レンズと、コリメートレンズと、検出構成要素とを含む。パネルBは、図示のセンサの感知面の上面端面図を示す。感知面は、感知面の中心線に沿って矩形の向きに配置された金被覆(たとえば、金半透明膜被覆)を有する被覆領域を備える。被覆領域のいずれかの側において、感知面は、非被覆領域を備える。パネルCは、センサ、およびその内部ファセット(n=2)(丸で囲まれた数字1および7でラベル付けされている)、その外部ファセット(n=4)(丸で囲まれた数字2、3、5、および6でラベル付けされている)、ならびに感知面(丸で囲まれた数字4でラベル付けされている)の拡大図を示す。
[00217]図32のパネルAは、本発明の実施形態による別の光学シャーシとセンサとを示す。この図では、LEDに始まり、システムを通って進む様々な光路が示されている。図示の実施形態は、855nmおよび950nmの波長のLED光源と、センサとを含む。加えて、図示の光学シャーシは、円柱レンズと、複レンズと、検出構成要素とを含む。パネルBは、センサの内部ファセット(n=2)(丸で囲まれた数字1および5でラベル付けされている)、センサの外部ファセット(n=2)(丸で囲まれた数字2および4でラベル付けされている)、および丸で囲まれた数字3でラベル付けされた感知面の拡大図である。図示の実施形態では、ファセット2は、被覆されず、ファセット4は、反射被覆で被覆され、感知面3は、半透明膜で被覆される。
[00218]図34は、本発明の実施形態による別の光学シャーシとセンサとを示す。この図では、LEDに始まり、システムを通って進む様々な光路が示されている。図示の実施形態は、855nmおよび950nmの波長のLED光源と、センサとを含む。加えて、図は、円柱レンズ、コリメートレンズ、光学くさび、および検出構成要素(たとえば、XIMEA(登録商標)イメージャ)の位置を示す。
[00219]図35は、本発明の実施形態による光学シャーシおよびセンサの側面図を示す。この図では、LEDに始まり、システムを通って進む様々な光路が示されている。図示の実施形態は、855nmおよび950nmの波長のLED光源と、センサとを含む。加えて、図は、円柱レンズと、コリメートレンズと、光学くさびと、検出構成要素(たとえば、XIMEA(登録商標)イメージャ)とを示す。この図示の実施形態では、センサは、光学シャーシに動作可能に結合される。
[00220]図36は、本発明の実施形態による光学シャーシおよびセンサの側面図を示す。この図示の実施形態では、光学シャーシの長さは、約2.181インチである。
[00221]図37は、本発明の実施形態による光学シャーシおよびセンサの側面図を示す。この図示の実施形態では、光学シャーシの高さは、約0.903インチであり、センサの直径は、約0.765インチである。
[00222]図38は、図37に示す光学シャーシおよびセンサの側面図を示す。図示の実施形態では、図示の実施形態では、光学シャーシは、コリメートレンズと、円柱レンズと、光学くさびと、検出構成要素(たとえば、XIMEA(登録商標)イメージャ)とを含む。
[00223]図39は、本発明の実施形態による光学シャーシおよびセンサの側面図を示す。この図示の実施形態では、光学シャーシは、シャーシ窓と、2つの円柱レンズと、ビームスプリッタと、850nmおよび940nmの波長のLEDと、光学くさびと、検出構成要素(たとえば、XIMEA(登録商標)イメージャ)とを含む。
[00224]図40は、本発明の実施形態による光学シャーシおよびセンサの斜視図である。図示の実施形態では、光学シャーシは、850nmおよび940nmの波長のLEDと、センサキャップロッキング構成要素と、偏光子およびバレルと、制御ボードと、検出構成要素(たとえば、XIMEA(登録商標)イメージャアセンブリ)とを含む。
[00225]図41は、本発明の実施形態による光学シャーシおよびセンサの側面図である。図示の実施形態では、光学シャーシは、850nmおよび940nmの波長のLEDと、偏光子およびバレルと、制御ボードと、検出構成要素(たとえば、XIMEA(登録商標)イメージャアセンブリ)と、光学シャーシ構成要素を取り囲むケース(LacriPenケース)とを含む。
[00226]図46は、光学シャーシに取り外し可能に結合されたセンサの上面端面図である。図示の実施形態では、被覆表面(金被覆領域)と非被覆表面(非被覆プリズム領域)とを備えるセンサの感知面が示されている。図示のセンサはまた、センサを光学シャーシに取り外し可能に結合するように構成された、3つの保持構成要素または保持タブを含む。図示のセンサは、光学シャーシとツイストロックするように構成される。
[00227]図48は、本発明の実施形態によるベンチトップシステムの図である。この図示の実施形態では、システムは、半円筒形センサと、金被覆顕微鏡スライドと、画像センサと、ビームスプリッタと、950nmおよび855nmの波長のLED光源およびコリメータと、回路基板とを含む。図示の実施形態は、正方形ハウジング内に配置され、使用中に、たとえば、研究室のベンチトップ上に配置されるように構成される。
[00228]図49は、図48に示すベンチトップシステムの斜視図である。
[00229]図50は、図48および図49に示すベンチトップシステムのラベル付き斜視図である。図示の実施形態は、半円筒形センサと、金被覆顕微鏡スライドと、画像センサと、ビームスプリッタと、950nmおよび855nmの波長のLEDと、回路基板とを示す。
[00230]図51は、図48~図50に示すベンチトップシステムを収容するために使用され得るハウジングおよび付随するカバープレートの画像である。
使用方法
[00231]本発明の態様は、たとえば、サンプルの浸透圧を決定するために、主題のセンサおよびシステムを使用してサンプルを分析する方法を含む。図1に示すように、正常な眼における涙の平均浸透圧は、ドライアイにおける涙の平均浸透圧とは異なり、したがって、ドライアイ疾患の診断予測因子として役立つことができる。主題の方法は、主題の方法の1つまたは複数を実行するのに十分な時間の期間の間、センサの感知面をテストされるべき媒体(たとえば、基準媒体、または未知の浸透圧を有するテストサンプル)と接触させることを伴う。いくつかの実施形態では、主題の方法は、約0.009秒、0.008秒、0.007秒、0.006秒、0.005秒、0.004秒、0.003秒、0.002秒、または0.001秒以下など、約0.09秒、0.08秒、0.07秒、0.06秒、0.05秒、0.04秒、0.03秒、0.02秒、または0.01秒以下など、0.5秒、0.4秒、0.3秒、0.2秒、または0.1秒以下など、80秒、70秒、60秒、50秒、40秒、30秒、20秒、10秒
、5秒、4秒、3秒、2秒、または1秒以下など、約90秒以下である時間期間内に実行され得る。
[00232]いくつかの実施形態では、主題の方法は、患者または被験者から取得した生体サンプルの浸透圧を決定することを伴う。分析の結果に基づいて、状態または障害(たとえば、ドライアイ疾患)を有する患者または被験者を診断する際に、介護者を支援するために情報を使用できる。たとえば、いくつかの実施形態では、患者の涙液膜が特定の範囲内の浸透圧または塩分値を有すると決定された場合、介護者は、患者をドライアイ疾患と診断できる。
[00233]主題の方法は、任意の適切な生体サンプルの浸透圧を決定するために使用されることができる。主題の方法を使用して分析されることができる生体サンプルは、血液、血漿、血清、痰、粘液、唾液、尿、糞便、胃液および消化液、涙、鼻洗浄、精液、膣液、リンパ液、腫瘍性組織から導出された間質液、腹水、脳脊髄液、汗、母乳、滑液、腹膜液、および羊水を含むが、これらに限定されない。
[00234]任意の適切な量のサンプルを、本主題の方法とともに使用できる。いくつかの実施形態では、サンプルの量は、約200、300、400、500、600、700、800、900、または1000マイクロリットル(μL)など、約5、25、50、75、または100μLなど、約200、300、400、500、600、700、800、900、また1000ナノリットル(nL)など、約25、50、75、または100nLなど、約5nLから約1ミリリットル(mL)の範囲である。いくつかの実施形態では、センサの感知面は、サンプルに直接接触し、たとえば、サンプルと直接接触して配置される。いくつかの実施形態では、センサの感知面は、患者からサンプルを物理的に分離する必要なく生体サンプルと直接接触する。たとえば、いくつかの実施形態では、感知面は、患者の涙液と直接接触する一方で、涙液は、患者の眼中または患者の眼上にあるままである。いくつかの実施形態では、感知面は、患者から血液を物理的に分離する必要なく(たとえば、開放創における)患者の血液に直接接触する。いくつかの実施形態では、感知面は、患者の口から唾液を物理的に取り除く必要なく患者の唾液と直接接触する。
[00235]本方法の態様は、センサの感知面とサンプル(たとえば、生体サンプル)とを接触させることと、応答して信号(たとえば、SPR信号)を生成するために、第1の時間間隔にわたって、第1の入射角で感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導くこととを伴う。いくつかの実施形態では、方法は、感知面がサンプルと接触する間、第2の時間間隔にわたって、第1の入射角でセンサの感知面と相互作用するように第2の波長を有する第2の光信号を導くこと伴う。いくつかの実施形態では、第1の時間間隔と第2の時間間隔は同じである。いくつかの実施形態では、第1の時間間隔と第2の時間間隔は異なる。いくつかの実施形態では、第1の光信号と第2の光信号は、同時に感知面と相互作用するように導かれるのに対して、いくつかの実施形態では、第1の光信号と第2の光信号は、ゲーテッド方式で感知面と相互作用するように導かれる。
[00236]本方法の態様は、時間間隔にわたってSPR信号の一連の画像を生成し、時間間隔にわたってSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置を決定することをさらに伴う。いくつかの実施形態では、時間間隔にわたるSPR信号の最小値に対応するピクセル位置は、SPR信号に対する時間の最小値のピクセル位置を描く数学的関数を生成するように使用され、ここではSPR関数と呼ばれる。いくつかの実施形態では、方法は、SPR関数を少なくとも1つの基準特徴のピクセル位置と比較し、基準訂正SPR関数を生成することを伴う。ある実施形態では、方法は、第1の波長を有する第1の光信号から生成した、第1のSPR関数のうちの1つまたは複数の特性と、第2の波長を有する第2の光信号から生成した、第2のSPR関数のうちの1つまたは複数の特性とを比較することを伴う。いくつかの実施形態において、関数の特性は、関数の導関数である。いくつかの実施形態において、関数の特性は、関数のプラトー値である。
[00237]本方法の態様は、センサの感知面を基準媒体と接触させることと、応答して信号(たとえば、SPR信号または臨界角信号)を生成するために、第2の入射角で感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導くこととを伴う。いくつかの実施形態では、方法は、感知面が基準媒体と接触している間、第2の入射角で感知面と相互作用するように異なる波長を有する1つまたは複数の光信号を導くことを伴う。
[00238]方法の態様は、感知面が基準媒体と接触する間、感知面から生成された臨界角信号とSPR信号とを測定することを伴う。いくつかの実施形態では、SPR信号は、感知面の被覆領域と相互作用するように光信号を導くことによって生成される。いくつかの実施形態では、臨界角信号は、感知面の非被覆領域と相互作用するように光信号を導くことによって生成される。いくつかの実施形態では、方法は、第1および第2のSPR信号を生成するために、感知面の被覆領域と相互作用するように異なる波長を有する第1および第2の光信号を導くことを伴う。いくつかの実施形態では、方法は、第1および第2の臨界角信号を生成するために、感知面の非被覆領域と相互作用するように異なる波長を有する第1および第2の光信号を導くことを伴う。
[00239]いくつかの実施形態では、最初に、上記で説明したように、センサの感知面を基準媒体(たとえば、空気)と接触させて、SPRデルタピクセル値および/または臨界角デルタピクセル値を決定することと、その後、ここで説明したように、感知面をテストサンプル(たとえば、生体サンプル)と接触させて、1つまたは複数のデータ分析手順を使用して、テストサンプルの浸透圧を決定することを伴う。
[00240]いくつかの実施形態では、方法は、1つまたは複数の入射角で感知面と相互作用するように光信号を導くことを伴う。たとえば、いくつかの実施形態では、方法は、第1の入射角で感知面と相互作用するように第1の光信号を導くことと、第2の入射角で感知面と相互作用するように第2の光信号を導くこととを伴う。いくつかの実施形態では、方法は、感知面と接触される媒体のタイプに応じて、異なる入射角で感知面と相互作用するように1つまたは複数の光信号を導くことを伴う。たとえば、いくつかの実施形態では、方法は、感知面をテストサンプル(たとえば、生体サンプル)と接触させることと、第1の入射角で感知面と相互作用するように1つまたは複数の光信号を導くことと、感知面を第2の媒体(たとえば、基準媒体)と接触させることと、第2の入射角で感知面と相互作用するように1つまたは複数の光信号を導くこととを伴う。いくつかの実施形態では、方法は、最初に、センサを較正して、センサの1つまたは複数の品質パラメータを検証するように、または、基準媒体から1つまたは複数の基準値を取得するように、感知面を基準媒体(たとえば、空気)と接触させることと、次いで、感知面をテストサンプル(たとえば、生体サンプル、たとえば、涙液)と接触させることと、テストサンプルの浸透圧を決定することを伴う。
[00241]特定の実施形態では、本方法は、感知面と相互作用するように異なる波長の光信号を導くことを伴う。上記で検討したように、主題のシステムは、約300nm~約1500nmの範囲の任意の波長を有する光信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、方法は、約855nmの波長を有する第1の光信号を生成することと、約950nmの波長を有する第2の光信号を生成することとを伴う。いくつかの実施形態では、複数の光信号が、感知面と同時に相互作用するように導かれ得る。たとえば、いくつかの実施形態では、異なる波長を有する2つ以上の光信号が、感知面と同時に相互作用するように導かれる。いくつかの実施形態では、複数の光信号が、感知面とゲーテッド方式で相互作用するように導かれ得る。
[00242]本方法の態様は、テストサンプル(たとえば、生体サンプル)が感知面と接触している間、時間の関数として感知面から反射される1つまたは複数の光信号の強度における変化を測定する。理論にとらわれることなく、サンプルの構成要素(たとえば、生体サンプル内のタンパク質)が感知面と相互作用する(たとえば、感知面上で吸収する)と、感知面に近接する屈折率は変化し、最小反射光強度の角度またはSPR角度を変更すると発明者は決定している。SPR角度における変化、および/または、SPR角度の変化率は、サンプルの構成要素の濃度と分子量に比例している。したがって、最小反射光強度の位置、または、SPR信号の最小値は、時間の関数として測定されることができ、結果データは、較正データセットのとの比較によって、サンプルの分子のような、サンプルの1つまたは複数の特性を決定するために分析されることができる。
[00243]本方法の態様は、感知面から受信された1つまたは複数の信号(たとえば、1つまたは複数のSPR信号および/または臨界角信号)の信号処理を伴う。いくつかの実施形態では、システムは、分析の前に信号を処理するように構成された信号処理能力を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、本方法は、分析する前にノイズを低減するために信号を処理することを伴う。いくつかの実施形態では、方法は、信号内のノイズの量を低減するために信号にガウスぼかしアルゴリズムを適用することを伴う。いくつかの実施形態では、方法は、信号内のノイズの量を低減するために信号にローパスフィルタリングを適用することを伴う。
[00244]本方法の態様は、検出構成要素を使用して信号を検出することを伴う。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、感知面から受信された信号に基づく1つまたは複数の画像を生成するように構成され
る。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、撮像構成要素によって受信された1つまたは複数の信号から複数の画像を生成するように構成される。たとえば、いくつかの実施形態では、検出構成要素は、サンプル(たとえば、基準媒体またはテスト媒体)がセンサの感知面と接触して配置された後、毎秒複数の画像を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、毎秒10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100以上の画像などの、毎秒複数の画像を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、センサから受信された1つまたは複数の光信号のビデオを生成するように構成される。いくつかの実施形態では、検出構成要素は、ビデオの1つまたは複数の画像フレームをキャプチャし、以下でさらに説明するように、1つまたは複数の画像フレームにさらなる処理を施すように構成される。
[00245]いくつかの実施形態では、検出構成要素は、視野を有し、画像は、視野内の関心領域(ROI)から生成され得る。特定の実施形態では、本方法は、単一の画像フレーム内の感知面からの複数の信号からデータをキャプチャすることを伴う。単一画像フレーム内の複数の信号からデータをキャプチャすることは、サンプルの分析において使用され得る内部基準を提供する。
[00246]本方法の態様は、検出構成要素から生成された画像のデータ処理を伴う。いくつかの実施形態では、データ処理は、画像に座標系(たとえば、x、y座標系)を適用することを伴う。いくつかの実施形態では、生成された画像内の各ピクセル、またはその一部は、特定のx、y座標値を割り当てられ得る。いくつかの実施形態では、画像内の各ピクセルは、ピクセルにおける光の強度または色に関連する数値を割り当てられ得る。たとえば、いくつかの実施形態では、画像内の各ピクセルは、グレースケール値を割り当てられる。いくつかの実施形態では、画像内の各ピクセルは、カラー値を割り当てられる。いくつかの実施形態では、データ処理は、複数のピクセルに対して数学的演算を実行することを伴う。たとえば、いくつかの実施形態では、データ処理は、複数のピクセルの平均グレースケール値を計算することを伴う。いくつかの実施形態では、データ処理は、画像上の特定のx座標におけるピクセルの列の平均グレースケール値を計算することを伴う。
[00247]本方法の態様は、検出構成要素を使用して画像内でキャプチャされたデータに基づいて数学的関数を生成することを伴う。たとえば、いくつかの実施形態では、画像からのデータは、処理され、標準的な技法を使用して数学的に分析および操作され得る関数に変換され得る。いくつかの実施形態では、画像は、各x座標におけるピクセルの列の平均グレースケール値を決定することによって分析され、結果として生じるデータは、データが得られた信号を数学的に表す関数または曲線に変換される。一旦生成されると、関数は、その特性を決定するために数学的に分析または操作され得る。いくつかの実施形態では、たとえば、SPR信号の最小値における変化を時間の関数として表す時間ベースの関数を生成するように、複数のピクセル位置が時間の関数として描かれる。
[00248]いくつかの実施形態では、関数は、標準的な技法を使用して最小値または最大値を決定するために分析され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、関数の第1のおよび/または第2の導関数は、関数の相対的最小値または相対的最大値を計算するために決定および使用され得る。いくつかの実施形態では、関数は、標準的な技法を使用して平滑化され得、それによってデータ内のノイズを低減または減少させる。
[00249]本方法の態様は、関数の最小値に対応するピクセル位置を識別するために、SPR信号から導出される関数を解析することを伴う。関数の最小値は、SPR信号の反射率の最小値に対応し、サンプルを解析する(たとえば、サンプルの浸透圧を決定する)際に使用され得る。
[00250]本方法の態様は、関数の最大値に対応するピクセル位置を識別するために、臨界角信号から導出された関数を分析することを伴う。関数の最大値に対応するピクセル位置は、センサの臨界角を決定するために使用され得る。
[00251]いくつかの実施形態では、本方法の態様は、基準特徴から得られたデータを分析することを伴う。いくつかの実施形態では、基準特徴は、光機械基準(OMR)特徴であり、OMRから得られたデータは、OMRによって生成された基準信号からの1つまたは複数のピクセル位置である。たとえば、いくつかの実施形態では、OMRは、サンプルの1つまたは複数のパラメータを決定するために分析され得る基準信号を作成する。特定の実施形態では、OMRによって作成された基準信号は、センサの感知面がサンプルに接触されたとき、または複数の異なるサンプル(たとえば、空気サンプルおよび水サンプル、空気サンプルおよび涙液サンプルなど)に接触されたとき、SPR最小値における変化(たとえば、SPR最小値が移動またはシフトされるピクセル数)がそれに対して測定され得る固定基準信号として使用され得る。特定の実施形態では、OMRによって作成される基準信号は、異なるサンプルタイプ(たとえば、空気および水、空気および涙液膜、水および涙液など)にわたって比較され得る固定基準信号として使用され得る。いくつかの実施形態では、基準特徴は、1つまたは複数のSPR信号、または、1つまたは複数の臨界角信号から得られる。たとえば、いくつかの実施形態では、センサの感知面は、基準媒体と接触し、1つまたは複数のSPR信号が生成される。1つまたは複数のSPR信号の最小値に対応するピクセル位置、または、このような最小値の比較は、基準特徴として使用されることができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の臨界角信号は、センサから生成され、1つまたは複数の臨界角信号の最大値に対応するピクセル位置、または、このような最大値の比較は、基準特徴として使用されることができる。
[00252]本方法の態様は、上記で説明した数学的関数の様々な特徴に対応するピクセル位置を比較することを伴う。たとえば、いくつかの実施形態では、方法は、SPRデルタピクセル値を決定するために、第1のSPR信号から導出された関数の最小値のピクセル位置を、第2のSPR信号から導出された関数の最小値のピクセル位置と比較することを伴う。SPRデルタピクセル値は、第1および第2のSPR信号の最小値間の距離を表す。いくつかの実施形態では、方法は、臨界角デルタピクセル値を決定するために、第1の臨界角信号から導出された関数の最大値のピクセル位置を、第2の臨界角信号から導出された関数の最大値のピクセル位置と比較することを伴う。臨界角デルタピクセル値は、第1および第2の臨界角信号の最大値間の距離を表す。
[00253]いくつかの実施形態では、本方法は、主題のセンサの動作に影響を与え得る1つまたは複数の外部条件を考慮するために、デルタピクセル値を数学的に操作することを伴う。たとえば、いくつかの実施形態では、本方法は、外部条件を考慮するために、デルタピクセル値に補正係数を乗算または除算することを伴う。上記で検討したように、いくつかの実施形態では、主題のシステムは、センサが動作している環境の1つまたは複数の特性を測定するために使用され得る環境分析構成要素を含むことができる。
[00254]いくつかの実施形態では、本方法は、センサの品質パラメータを検証することを伴う。たとえば、いくつかの実施形態では、センサによって生成される信号の1つまたは複数の特性が、センサが使用のために十分な品質であるかどうかを決定するために評価される。いくつかの実施形態では、SPR信号の1つまたは複数の特性が、センサが、使用のために十分な品質であるかどうかを決定するために評価される。特定の実施形態では、SPR信号(またはそこから導出されるデータセットもしくは関数)のコントラスト値、形状、または寸法(たとえば、高さ、幅、または深さ)が、センサが使用のために十分な品質であるかどうかを決定するために評価される。いくつかの実施形態では、臨界角信号の1つまたは複数の特性が、センサが使用のために十分な品質であるかどうかを決定するために評価される。特定の実施形態では、臨界角信号(またはそこから導出されるデータセットもしくは関数)のコントラスト値、形状、または寸法(たとえば、高さ、幅、または深さ)が、センサが使用のために十分な品質であるかどうかを決定するために評価される。いくつかの実施形態では、方法は、センサが、たとえば、感知面上の十分な厚さの半透明膜および/もしくは接着層、または半透明膜および/もしくは接着層内の十分な純度の材料を有するかどうかを検証するために使用され得る。
[00255]本方法の態様は、サンプルの特性(たとえば、サンプルの浸透圧)を決定するために、1つまたは複数のデータ値(たとえば、1つまたは複数のデルタピクセル値、1つまたは複数の補正デルタピクセル値)を較正データセットと比較することを伴う。いくつかの実施形態では、システムは、異なる目的のために使用され得る複数の較正データセットを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは、デルタピクセル値の関数として浸透圧値を含む較正データセットを含み、本方法は、サンプルの浸透圧を決定するために、デルタピクセル値を較正データセットと比較することを伴う。いくつかの実施形態では、システムは、品質のパラメータ値を含む較正データセットを含み、方法は、センサが使用のために十分な品質であるかどうかを決定するために、センサによって生成される信号の1つまたは複数の特性を較正データセットと比較することを伴う。いくつかの実施形態では、システムは、様々な外部環境パラメータに関する補正係数を含む較正データセットを含み、本方法は、適切な補正係数を決定するために、測定された外部環境パラメータを較正データセットと比較することと、次いで、補正係数を適用するために、デルタピクセル値を数学的に操作することとを伴う。
[00256]いくつかの実施形態では、本方法は、センサを光学シャーシに動作可能に接続することを伴う。特定の実施形態では、本方法は、センサを光学シャーシに取り外し可能に結合することと、本明細書で説明する分析方法を実行することと、次いで、センサを光学シャーシから取り外すこととを伴う。いくつかの実施形態では、本方法は、センサを光学シャーシに無菌的に結合することを伴う。いくつかの実施形態では、本方法は、センサを光学シャーシから無菌的に結合解除することを伴う。
[00257]本方法の態様は、任意の適切なサンプルの分析を伴う。いくつかの実施形態では、サンプルは、気体または液体の媒体である。特定の実施形態では、媒体は、既知の浸透圧値を有する較正媒体であり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、方法は、センサを既知の浸透圧を有する媒体と接触させることと、感知面と相互作用するように1つまたは複数の光信号を導くことと、そこから結果として生じる1つまたは複数の信号を検出すること(たとえば、SPR信号または臨界角信号を検出すること)とを伴う。いくつかの実施形態では、サンプルは、基準媒体(たとえば、テスト媒体またはサンプルが比較されることになる媒体)であり得る。いくつかの実施形態では、基準媒体は、空気(たとえば、センサが使用される室内の空気)であり得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、液体媒体、たとえば、水であり得る。いくつかの実施形態では、サンプルは、上記で説明したように、生体サンプルであり得る。いくつかの実施形態では、方法は、センサの感知面をサンプルと接触させることと、方法ステップの少なくともいくつかが実行されている間、サンプルと感知面との間の接触を維持することとを伴う。
[00258]好ましい実施形態では、本方法は、センサの感知面を被験者からの涙液と接触させることを伴う。約855nmの波長を有する第1の光信号が、第1の時間間隔にわたって第1のSPR信号を生成するために、約64度の入射角で感知面と相互作用するように導かれる。第1のSPR信号は、検出構成要素を用いて第1の時間間隔にわたって検出される。複数の信号の画像は、第1の時間間隔にわたって記録され、SPR信号の最小値に対応するピクセル位置は、第1の時間ベースのSPR関数を生成するための時間の関数として描かれる。
[00259]次に、約950nmの波長を有する第2の光信号が、第2の時間間隔にわたって第2のSPR信号を生成するために、約64度の同じ入射角で感知面と相互作用するように導かれる。第2のSPR信号は、第2の時間間隔にわたって検出構成要素を用いて検出される。複数の信号の画像は、第2の時間間隔にわたって記録され、第2のSPR信号の最小値に対応するピクセル位置は、第2の時間ベースのSPR関数を生成するための時間の関数として描かれる。
[00260]次に、第1および第2の時間ベースのSPR関数は、第1および第2の基準訂正SPR関数を生成するために、少なくとも1つの基準特徴と比較される。第1および第2の基準訂正SPR関数のうちの1つまたは複数の特性は、その後、涙液の浸透圧を決定するように分析される。いくつかの実施形態では、基準特徴は、1つまたは複数のOMR特徴のピクセル位置を備える。
[00261]1つの好ましい実施形態では、方法は、センサの感知面を基準媒体としての空気と接触させ、第3のSPR信号を生成するために約42度の入射角で感知面と相互作用するように約855nmの波長を有する第1の光信号を導くことをさらに備えている。第3のSPR信号は、信号から画像を生成する検出構成要素を用いて検出される。信号の画像は、第3のSPR信号を表す数学的関数を生成するために処理され、これは、実質的に時間に関して変化しない。関数の最小値に対応するピクセル位置が決定される。
[00262]次に、約950nmの波長を有する第2の光信号が、第4のSPR信号を生成するために約42度の同じ入射角で感知面と相互作用するように導かれる。第4のSPR信号は、信号から画像を生成する検出構成要素を用いて検出される。信号の画像は、第4のSPR信号を表す数学的関数を生成するために処理され、これは、実質的に時間に関して変化しない。関数の最小値に対応するピクセル位置が決定される。
[00263]第3および第4のSPR信号の最小値に対応するピクセル位置は、次いで、SPRデルタピクセル値を決定するために比較される。いくつかの実施形態では、第3または第4のSPR信号の最小値と対応するピクセル位置は、第1および第2の基準訂正SPR関数が比較される基準特徴として使用される。いくつかの実施形態では、SPRデルタピクセル値は、第1および第2の基準訂正SPR関数が比較される基準特徴として使用される。いくつかの実施形態では、第3および/または第4のSPR信号の最小値、ならびに/あるいは、SPRデルタピクセル値のピクセル位置の組合せは、第1および第2の基準訂正SPR関数が比較される基準特徴として使用される。
[00264]1つの好ましい実施形態では、方法は、センサの感知面を基準媒体としての空気と接触させ、第1の臨界角信号を生成するために約42度の入射角で感知面と相互作用するように約855nmの波長を有する第1の光信号を導くことをさらに備えている。第1の臨界角信号は、信号から画像を生成する検出構成要素を用いて検出される。信号の画像は、第1の臨界角信号を表す数学的関数を生成するために処理され、これは、実質的に時間に関して変化しない。関数の最大値に対応するピクセル位置が決定される。
[00265]次に、約950nmの波長を有する第2の光信号が、第2の臨界角信号を生成するために約42度の同じ入射角で感知面と相互作用するように導かれる。第2の臨界角信号は、信号から画像を生成する検出構成要素を用いて検出される。信号の画像は、第2の臨界角信号を表す数学的関数を生成するために処理され、これは、実質的に時間に関して変化しない。関数の最大値に対応するピクセル位置が決定される。
[00266]第1および第2の臨界角信号の最大値に対応するピクセル位置は、次いで、臨界角デルタピクセル値を決定するために比較される。いくつかの実施形態では、第1または第2の臨界角の最大値に対応するピクセル位置は、第1および第2の基準訂正SPR関数が比較される基準特徴として使用される。いくつかの実施形態では、臨界角デルタピクセル値は、第1および第2の基準訂正SPR関数が比較される基準特徴として使用される。いくつかの実施形態では、第1および/または第2の臨界角信号の最大値、ならびに/あるいは、臨界角デルタピクセル値のピクセル位置の組合せは、第1および第2の基準訂正SPR関数が比較される基準特徴として使用される。
[00267]ここで図52を参照すると、パネルAは、センサの感知面と接触する基準媒体として空気を用いて取得したSPR信号の画像である。パネルBは、パネルA中で示す光信号に対するピクセル位置の関数としてのグレー値のグラフである。パネルCは、2つの異なる時間、t=0およびt=600秒において取得したSPR信号の2つの画像を提供している。パネルDは、感知面が生体サンプル(たとえば、涙液)と接触した後、時間の関数としてパネルC中で示すSPR信号の最小値のピクセル位置を示すグラフである。パネルEは、60秒の時間間隔にわたってパネルD中で示され、855nmの波長を有する光信号を使用して取得され、各示された時点で測定されたSPR信号の最小値のピクセル位置からt=0秒におけるピクセル位置を減算することによって訂正された、SPR信号の最小値のピクセル位置の拡大図を示すグラフである。
[00268]図53は、空気から、および、300mOsm/Lの浸透圧を有する涙液のサンプルからの、複数のデータを示している。パネルAの上部は、感知面と接触する基準媒体として空気を用いて取得したSPR信号の画像を示す。パネルAの下部は、17秒感知面と接触した涙液を用いて取得したSPR信号の画像を示す。SPR信号の最小値を表す垂直の黒い線の右へのシフトが見られる。パネルBは、感知面の涙液との接触に続く、時間の関数としてのサンプルに対するデルタピクセル値における変化を示すグラフである。感知面の涙液との接触に続き、デルタピクセル値は、急激に変化する。パネルCは、空気SPR信号に対するピクセル位置の関数としてグレー値を示すグラフである。SPR信号の最小値に対応するピクセル位置は、丸で囲まれている。パネルDは、涙液が感知面と接触した17秒後の涙液SPR信号に対するピクセル位置の関数として、グレー値を示すグラフである。パネルC中の円の位置とパネルD中の円の位置との間のデルタピクセル値における変化は、おおよそ571ピクセルである。ピクセル位置におけるこの変化は、涙液の浸透圧を決定するための較正データセット中のデータ点として使用されることができる。
[00269]図54は、300mOsm/Lの浸透圧を有する涙液のサンプルから取得した、2つの異なるSPR信号に対する時間の関数として、デルタピクセル値を示すグラフである。第1の光信号は850nmの波長を有しており、第2の光信号は、950nmの波長を有している。結果は、2つの異なる光信号から取得したデルタピクセル値における著しい差を実証している。
[00270]図55は、855nmの波長を有する光信号を使用して、水から、および、正常な涙の80%のタンパク質含有量であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルから、取得したデータを示す、画像およびグラフの集合の図である。パネルAの上部は、時間ゼロにおいて水から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルAの下部は、パネルAの上部において示した画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置869において生じている。
[00271]パネルBの上部は、涙液が感知面と接触した15秒後に涙液から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルBの下部は、パネルBの上部で示す画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置1041において生じている。
[00272]パネルCの上部は、涙液が感知面と接触した10分後に涙液から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルCの下部は、パネルCの上部で示す画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置1043において生じている。
[00273]パネルの下に、15秒後の水と涙液との間の172ピクセルのピクセル位置における変化が示されており、10分後の水と涙液との間の174ピクセルのピクセル位置における変化が示されている。涙液からのSPR信号は、プラトー値に達し、SPR信号の最小値に対応するピクセル位置は、15秒と10分との間で実質的に変化しなかった。
[00274]図56は、950nmの波長を有する光信号を使用して、水から、および、正常な涙の80%のタンパク質含有量であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルから、取得したデータを示す、画像およびグラフの集合の図である。パネルAの上部は、時間ゼロにおいて水から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルAの下部は、パネルAの上部において示した画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置1273において生じている。
[00275]パネルBの上部は、涙液が感知面と接触した25秒後に涙液から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルBの下部は、パネルBの上部で示す画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置1509において生じている。
[00276]パネルCの上部は、涙液が感知面と接触した10分後に涙液から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルCの下部は、パネルCの上部で示す画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置1509において生じている。
[00277]パネルの下に、25秒後と10分後の水と涙液との間の236ピクセルのピクセル位置における変化が示されている。涙液からのSPR信号は、プラトー値に達し、SPR信号の最小値に対応するピクセル位置は、25秒と10分との間で実質的に変化しなかった。
[00278]図57は、855nmの波長を有する光信号を使用して、水から、および、正常な涙の120%のタンパク質含有量であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルから、取得したデータを示す、画像およびグラフの集合の図である。パネルAの上部は、時間ゼロにおいて水から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルAの下部は、パネルAの上部において示した画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置994において生じている。
[00279]パネルBの上部は、涙液が感知面と接触した15秒後に涙液から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルBの下部は、パネルBの上部で示す画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置1132において生じている。
[00280]パネルCの上部は、涙液が感知面と接触した10分後に涙液から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルCの下部は、パネルCの上部で示す画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置1166において生じている。
[00281]パネルの下に、15秒後の水と涙液との間の138ピクセルのピクセル位置における変化が示されており、10分後の水と涙液との間の172ピクセルのピクセル位置における変化が示されている。
[00282]図58は、950nmの波長を有する光信号を使用して、水から、および、正常な涙の120%のタンパク質含有量であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルから、取得したデータを示す、画像およびグラフの集合の図である。パネルAの上部は、時間ゼロにおいて水から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルAの下部は、パネルAの上部において示した画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置1324において生じている。
[00283]パネルBの上部は、涙液が感知面と接触した26秒後に涙液から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルBの下部は、パネルBの上部で示す画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置1533において生じている。
[00284]パネルCの上部は、涙液が感知面と接触した10分後に涙液から取得したSPR信号の画像を示している。SPR最小値を表す垂直の黒い線が見える。パネルCの下部は、パネルCの上部で示す画像に対するピクセル位置の関数としてグレー値のグラフを示している。SPR最小はピクセル位置1562において生じている。
[00285]パネルの下に、26秒後の水と涙液との間の209ピクセルのピクセル位置における変化が示されており、10分後の水と涙液との間の238ピクセルのピクセル位置における変化が示されている。
[00286]図59は、正常な涙の80%のタンパク質含有量であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルと、正常な涙の120%のタンパク質含有量であるタンパク質含有量を有する涙液のサンプルの比較分析である。パネルAは、正常な涙の80%のタンパク質含有量有するサンプルを示しており、これは、波長A(855nm)と波長B(950nm)を有する光信号を使用して分析される。パネルA中の棒グラフは、15秒と600秒との間の第1の波長と、25秒と600秒との間の第2の波長とにおける80%のタンパク質サンプルに対するデルタピクセル値における変化を示している。データは、80%のタンパク質の涙液に関しては、いずれの波長に対する時間の関数として、デルタピクセル値における変化はほとんどないと示し、第1の波長と比較して、第2の波長は、デルタピクセル値においてより大きな応答を生成したと示している。
[00287]パネルBは、正常な涙の120%のタンパク質含有量を有するサンプルを示しており、これは、波長A(855nm)と波長B(950nm)を有する光信号を使用して分析された。パネルB中の棒グラフは、15秒と600秒との間の第1の波長と、25秒と600秒との間の第2の波長とにおける120%のタンパク質サンプルに対するデルタピクセル値における変化を示している。データは、120%のタンパク質の涙液に関しては、両方の波長に対する時間の関数として、デルタピクセル値におけるより大きな変化があったと示し、第1の波長と比較して、第2の波長は、デルタピクセル値においてより大きな応答を生成したと示している。
[00288]図60は、より短いおよびより長い時間間隔にわたって、2つの異なる波長(855nmと950nm)で分析された、正常な涙の100%のタンパク質含有量を有する涙液(すなわち、正常な涙液サンプル)の分析である。パネルAは、20秒に対して波長A(855nm)を、17秒に対して波長B(950nm)を使用して分析したとき、同じサンプルに対するデルタピクセル値を示す棒グラフである。これらのより短い時間間隔では、波長AおよびBは、異なるデルタピクセル値を提供し、これは、互いに明確に区別される。パネルBは、20秒に対して波長A(855nm)を、600秒に対して波長A(855nm)を使用して分析したとき、同じサンプルに対するデルタピクセル値を示す棒グラフである。同じ波長における時間の関数として、デルタピクセル値における変化が明確に見ることができる。
[00289]図61は、浸透圧の関数として食塩水のデルタピクセル値を示すグラフである。下の連続(ダイヤ)は、波長A(855nm)を使用して取得され、上の連続(四角)は、波長B(950nm)を使用して取得されている。320mOsm/Lに対応するx軸位置において、2つの連続のy値における差は、示しているように、20ピクセルである。340mOsm/Lに対応するx軸位置において、2つの連続のy値における差は、示しているように、18ピクセルである。このデータは、分析を行うために使用される波長の関数として異なる浸透圧を有するサンプルに対して、デルタピクセル値における異なる変化が観測されることを示している。
[00290]以下の例は、本発明の理解を助けるために提供され、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている。本発明の範囲から逸脱することなく、記載された手順において変更が行われ得ることが理解される。
例
例1:点光源LEDを使用するセンサにおける光学ノイズの低減
[00291]光学ノイズの低減は、光信号生成構成要素として点光源LEDを使用することによってシステムおいて達成された。図3は、それらの対応するSPR画像の右側のチャートの各々においてグラフで示されているように、638nmレーザダイオードが、赤色LED(632nm公称波長)よりも実質的に高い光学ノイズを有することを明確に示している。レーザダイオードの代わりに点光源LEDを使用することは、したがって、システムにおける光学ノイズを低減した。
例2:SPR信号測定の分解能を最適化する
[00292]図4に示すように、より長い波長の光信号は、より狭いSPR線幅を生成する。図5は、光学テーブル上の単純なSPRセットアップを使用して実験的に検証されるように、増加する波長を有するSPR線の狭窄を示す。増加する波長に伴うSPR線幅の減少は、肉眼には容易に明らかである。
[00293]SPR最小値の角度シフトは、より長い波長で減少するので、より長い波長におけるより狭いSPR線幅が主題のシステムにおいてより高いSPR分解能を提供するかどうかは、不明であった。したがって、0.001屈折率単位(「RIU」)による屈折率の変化およびSPR線の半値全幅(「FWHM」)に対するSPR最小値の角度シフトΔθの計算は、カリフォルニア大学アーバイン校化学科のRobert M.Corn教授の研究グループによって提供されるオンラインSPR計算器(http://unicorn.ps.uci.edu/calculations/fresnel/fcform.html)を使用して実行された。これらの2つの量の比(すなわち、Δθ/FWHM)が、SPR分解能として定義された。計算の結果は、635nmと比較して950nmの波長における分解の改善が4~5倍の範囲内であったというものであった。これらの計算また、高屈折率ガラス(SF10、n~1.72)または低屈折率ガラス(BK7、n~1.52)(図6参照)のいずれかを使用して得られた分解能において無視できる差があったことも示した。
[00294]これらの計算の前、一般的な科学的民間伝承は、高屈折率プリズムが低屈折率プリズムよりも実質的に優れたSPR性能を提供したというものであった。結果として、光学プラスチックは、一般に、比較的低い屈折率を有するので、この確立された科学的民間伝承は、使い捨てSPRプリズムとして射出成形光学プラスチックを使用することを阻害していた。したがって、上記の計算に基づいて、射出成形光学プラスチックは、主題のセンサおよびシステムにおいて使い捨てSPRプリズムとして使用され得、それによって商品のコストを低減する。
例3:微分信号処理
[00295]1.0mOsm/Lまでの涙浸透圧の測定は、約10-5分の1RIUまでの涙液の屈折率の決定に対応する。一般的な工学的経験則は、測定の精度が目標精度を約10倍超えるべきであるということである。したがって、涙浸透圧測定デバイスでは、約10-6分の1RIUの最終屈折率精度を有することが望ましい。
[00296]SPR線最小値の位置を決定するための様々な技法は、当該技術分野で周知である。1つの技法は、SPR線の立ち下がりエッジおよび立ち上がりエッジに直線をフィットさせることであり、図7に示されている。技法の簡単な説明は、米国特許第7395103号に見出され、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。セントロイド法として説明される別の技法も、米国特許第7395103号に開示されている。
[00297]関数の導関数がゼロである点が関数の極大値または極小値のいずれかを表すことはよく知られている。任意の現実世界のデータは、ノイズを含むので、科学的民間伝承は、現実世界のデータの最大値または最小値のいずれかを見つけるための導関数の使用を却下する。一般的に持たれている説は、ノイズの多いデータの導関数をとることは、導関数データ内に許容できないノイズが生じることになり、したがって、微分ゼロ交差の正確な位置決定を不可能にするということである。
[00298]実際には、SPR曲線の最小値の正確な位置を見つけるための微分信号処理のノイズの影響を打ち消すことができる3つの効果が存在する。第1は、きわめて低ノイズのSPR線画像で開始することである。ここで、これは、注意深い光学設計と、光源のためにレーザではなくLEDを使用することとによって達成された。第2の、可視光源から近赤外光源への移動は、SPR最小値近くの強度の変化率が急速であるかなり狭いSPR線をもたらし、信号内のいかなるノイズに対しても大きい微分信号をもたらす。最後に、SPR線の画像内の任意の残留ノイズが、適切なローパスフィルタリングによって最小化され得る。ここで、ガウスぼかしアルゴリズムが、任意の残留ノイズを許容可能なレベルまで減少させるために使用された。
[00299]図8は、光源として855nm点光源LEDを使用して得られた典型的なSPR線画像を示す。画像は、640×480ビデオイメージャを使用して取得された。画像は、米国国立衛生研究所で開発されたアプリケーションImageJ画像処理ソフトウェアにインポートされた。次に、25ピクセルのガウスぼかしが画像に適用され、図8内の矩形によって示されているように、適切な関心領域が画像に対して定義された。この関心領域(「ROI」)内で、X方向に沿った画像内の垂直列ピクセル強度の平均に対応してプロットプロファイルが生成された。これらの操作の結果は、関心領域のImageJプロットプロファイルである図9に示されている。最後に、プロットプロファイル曲線からのデータは、(図10に示すように)SPR線の最小値の位置を正確に定義する導関数の正方向のゼロ交差を見つけるために、周知の数学的技法を使用して数値的に区別され得る。図10に示す微分曲線は、図8中のSPR画像から導出された実際のデータであることに留意されたい。微分曲線は、非常に滑らかであり、明らかなノイズアーティファクトを示さない。
[00300]実際には、微分データ内の低レベルのノイズのため、SPR線の導関数のゼロ交差は、補間技法を使用してピクセルの数分の1内に位置づけられ得る。図11は、図8中のSPR画像の導関数の相対値を示す。導関数にはほとんどノイズがなく、220ピクセル~230ピクセルの限定された範囲にわたって、導関数は、ほぼ線形であることに留意されたい。導関数のゼロ交差は、ピクセル224における(224,-0.2943)の座標およびピクセル225における(225,0.1922)の座標で、ピクセル224とピクセル225との間に生じる。これらの値から、ゼロ交差の正確な座標は、図12に示す幾何学的形状において示すように、線形補間によって決定され得る。この例では、ゼロ交差は、座標(244.6049,0.0)において正確に生じる。
[00301]図13は、約1.0秒間隔で連続的に取得された10のSPR画像に関するSPR最小値の位置を示す。SPR最小値の位置における変動が、主に、各々の取得された画像に存在するランダムな光学的および電子的ノイズによるものであるように、時間以外に各画像取得間でSPRセットアップまたは他のテスト条件に変化はなかった。これらのデータによって表される画像は、2592水平×1944垂直2.2μm正方形ピクセルからなるAptina MT9P031 5メガピクセルグレースケール画像センサを使用して取得された。図14に示す別個の較正ステップは、約910ピクセルの分離に対応するエタノールおよび脱イオン水に関するSPR線最小値ピクセル位置を測定することを必要とした。これらの2つの液体間の屈折率の差は、Δn=1.35713(エタノール)-1.3288(脱イオン水)=0.02833である。1ピクセルあたりのΔnが3.113×10-5RIUであるという結果(図14)。この較正において使用されたエタノールおよび脱イオン水のSPR線に関する生のSPR画像は、それぞれ図15および図16に示されている。
[00302]図13に戻ると、10サンプルにわたるゼロ交差点の全体の範囲は、平均ピクセル値に対して0.2662ピクセルまたは±0.1331ピクセルの全範囲である。これは、±4.143×10-6Rの屈折率の全体的な不確実性に対応する。
[00303]図17は、上記で説明した微分信号処理を使用して取得され分析されたSPR浸透圧データを示す。一連の5つの精密に較正された生理食塩水が、金被覆高屈折率ガラスSPRプリズム、855nm点光源LED、およびAptina MT9P031 5メガピクセル画像センサからなるミニチュア光学ブレッドボードSPR機器を用いて測定された。このブレッドボードを用いてキャプチャされ、微分信号処理技法を使用して処理されたデータは、295mOsm/L~348.5mOsm/Lの浸透圧範囲にわたって±1.0mOsm/Lの精度を実証した。生理食塩水は、±1.0mOsm/Lの定められた精度も有する凝固点降下浸透圧測定技法を使用して独立して較正された。明らかに、凝固点降下法とSPR技法との間の一致は、実験誤差の限界内である。
[00304]微分信号処理におけるノイズ低減のためのローパスフィルタリング(たとえば、ガウスぼかし)を使用する代替的な手法は、SPR画像内のノイズを平均化するためにSPR最小値の領域内の曲線フィッティングを使用することである。図18は微分信号処理に対するこの手法を実証するために使用されるSPR線である。図18におけるSPR線プロファイルは、明らかに非対称であり、SPR最小値の左側の勾配は、最小値の右側の勾配よりも実質的に小さい(および、符号が反対である)ことに留意すべきである。SPR線最小値の最小値を放物線にフィッティングすることを考えることは魅力的であるが、実際には、これは、不十分なフィットと低いR2値とをもたらす。結果は、このようにして見つけられたゼロ交差の位置が、SPR最小値の実際の位置からずれているということである。より正確な手法は、図19に示すように、その最小値の近くでSPR線に立方体をフィットさせることである。一般に、これは、1に近いR2値をもたらす。図20でさらに説明するように、結果として生じる3次方程式は、次いで、微分され、ゼロに設定され、SPR最小値の位置を見つけるために2次方程式を使用して解かれ得る。
例4:自己較正センサ理論
[00305]SPRベースの分析は、SPRプリズムの外部金表面と接触する媒体(たとえば、気体または液体)の屈折率の変化のきわめて正確な測定を提供することができる。適切に注意して、10-6分の1RIUの範囲内の屈折率の変化が、慎重に制御された研究室条件下で得られ得る(図13参照)。涙浸透圧測定にSPRを使用することの前提は、涙浸透圧および涙屈折率が線形に関連付けられることである。±5.0mOsm/L~±1mOsm/Lの範囲内にあり、±4 10-6RIUの範囲内の測定精度であるように示されている線形性で、生理食塩水の浸透圧は、SPR線の角度移動に対して全く線形である。いくつかの正確な生理食塩水に関する±1.0mOsm/Lの線形性を示すデータが図17に示されている。
[00306]一連の正確に較正された生理食塩水に直線を正確にフィッティングすることは、未知の生理食塩水の塩分(すなわち、屈折率)を正確で精密に決定する問題よりもはるかに容易な問題であることに留意すべきである。第1のケースは、単に較正曲線の勾配の決定を必要とする。第2のケースは、勾配とyインターセプトポイントの両方を決定することを必要とする。外部参照溶液の助けがなければ、この第2のケースは、達成するのがきわめて困難である。SPR機器の金感知面の汚染が非常に起こりやすいので、外部参照溶液は、実用的ではない。
[00307]図13は、1ピクセルあたりのRIUが計算され得るデータを提供し、-Δn=1.35713-1.3288=0.02853RIUは、910ピクセルに対応し、またはΔn/ピクセル=3.113×10-6RIU/ピクセルである。図17における浸透圧対ピクセルカウントのチャートの勾配は、0.7257ピクセル/mOsm/Lである。これらの2つの係数を互いに乗算することは、1.0mOsm/L=2.25×10-5RIUの較正定数をもたらす。典型的には、工業的経験則は、任意の測定の較正精度は、単一の測定内で要求される所望の精度よりも約10倍よくなければならないということである。したがって、±1.0mOsm/Lの涙浸透圧を正確に測定するために必要とされる絶対較正精度は、SPRデバイスの較正精度が±2.25×10-6RIUであることを必要とする。これは、制御された研究室条件下で得られるような図13における再現性のあるデータによって実証されているものよりも高い較正精度であることに留意されたい。これは、±1.0mOsm/Lの精度での信頼できる涙浸透圧測定が日常的な実施で得ることが困難である可能性があることを意味する。
[00308]図21は、いくつかの一般的な光学プラスチックに関する温度に対する屈折率の相対的な変化(すなわち、Δn/Δt)を示す。近赤外線において1.523の屈折率を有するZeon Corporation(日本)によって製造される低複屈折光学プラスチックであるZEONEX(登録商標)E48R(「E48R」)が、光学SPRプリズムを成形するのに適した光学ポリマであることに留意されたい。E48Rが、約1.269×10-4RIU/℃である、図21に示す他の光学プラスチックのものと同様のΔn/Δtを有することに留意されたい。結果として、1摂氏度あたりのZEONEX(登録商標)E48Rの屈折率の変化は、±1.0mOsm/Lまで浸透圧を正確に再現可能に測定するために必要とされる分解能よりも約28倍大きい(すなわち、1.269×10-4÷4.50×10-6)。実際には、これは、E48R SPRプリズムの温度が約0.036℃の精度内に維持されるか、または測定されなければならないことを意味する。これらの条件のどちらも、通常の臨床オフィス環境において達成するのは実行不可能である。したがって、涙浸透圧測定の所望の精度を達成するために、きわめて正確な温度較正手段が必要とされる。
例5:自己較正センサの概念1
[00309]基本的な自己較正SPRセンサの概念は、図22および図23の図から進化した。図22は、光学グレードプラスチックに形成された一体射出成形センサを示す。この一体センサの概念は、各々のすべてのセンサがシステムの光学シャーシに正確で繰返し可能に整列されていることを保証するために、6自由度に制約するために運動学的取り付け機能を使用することを意図していた。図23に示すように、この概念は、光学シャーシへの精密な運動学的機械的インターフェースを提供するベース部分、涙浸透圧を測定するための金(または保護された銀)被覆SPR感知面を有するSPRプリズム部分、および、最後に、SPRプリズム部分とベース部分との間の移行を提供するための「スカート」部分の、3つのセグメントからなるセンサを想定している。プリズム部分は、好ましくは約850nmおよび950nmの2つの別々の波長における、光学臨界角遷移と空気SPR線の両方、ならびにSPRプリズムの金被覆センサ表面が涙液によって濡らされたときに現れることになっていた別の別個のSPR線を得るための方法を実施することによって自己較正を提供する。
[00310]図24は、LED光源からの光を感知面上に結像させるために楕円表面を使用するSPRセンサの概念を示す。図25に示すように、空気のSPR線と涙(または水)のSPR線の両方を生成することを可能にするために、空気のSPR線を生成する約42.0°および涙のSPR線を生成する約64.4°で感知面に入射する光がなければならない。これは、透明楕円形反射体の感知面(たとえば、金被覆感知面)上にLEDの画像を中継するために楕円表面を使用して点光源LEDからの光を結像させることによって達成される。内部楕円形表面上のLED光の入射角は、全内部反射がLED光に対して生じるようなものである。金被覆SPR感知面によって反射された光は、次いで、左手の楕円形内部表面によって点光源LEDに向かって反射され、戻り光をSPR線の位置を検出する画像センサに反射するビームスプリッタによって遮断される。回転対称楕円センサの場合について、SPR線は、実際には、楕円表面の回転軸を中心とするSPR円である。
[00311]楕円センサの分析に続いて、ZEMAX(登録商標)光学設計ソフトウェアを使用して、一連のプリズム状キャップ構成が開発され、分析された。これらの様々な構成は、図26および図27に示されている。一般に、これらの概念の各々は、キャップのプリズム部分の内側に沿って光を全内部反射するのに役立つキャップの内側の2つの内部透過ファセットと3つまたは5つの外部ファセットとを利用する。これらのセンサ概念は、空気とE48R(約1.5305の屈折率を有するZEONEX(登録商標)E48R材料)との間の臨界角、空気SPR線、および涙SPR線の画像を提供することができた。1つのセンサ概念では、臨界角および空気SPR線は、両方とも1つの画像フレーム内にキャプチャされ、涙SPR線は、後続の画像フレーム内にキャプチャされる。別のセンサ概念では、3つの線すべてが単一の画像フレーム内にキャプチャされる。
例6:自己較正センサの分析
[00312]図28は、ZEMAX(登録商標)光学設計ソフトウェアからの出力に基づくセンサ用のレイアウトスケッチのセットを含む。図28のパネルCは、センサの内部表面上に配置された2つの屈折ファセット(丸で囲まれている赤い数字1および7によって示されている)と、被覆されておらず全内部反射によって光を反射する4つの外部ファセット(表面2、3、5、および6として示されている)と、SPR表面である金ストライプで部分的に被覆された第5の表面(表面5または感知面として示されている)とからなるようなセンサチップの拡大図を示す。表面5の金被覆部分は、空気測定と涙浸透圧SPR測定の両方に関するSPR線を提供し、表面5の非被覆部分は、空気の臨界角遷移を提供する。空気の臨界角遷移と空気のSPR線の両方は、表面5が涙液によって濡れる前に得られなければならない。
[00313]図28の左上のスケッチは、センサおよびシステムの光学レイアウト全体を示す。4つのLEDは、光源として機能し、2つは、公称855nmで動作可能であり、2つは、公称950nmで動作可能である。LEDの両方のセットは、855nm LEDおよび950nm LEDからなり、その各々は、独立して作動され得る。855nmおよび950nmのLEDの第1のセットからの2つのビームは、LEDの第1のセットから始まる上部光線束によって示されるように共通ビーム経路に沿って伝搬するように、小さい2色性ビームスプリッタ(図示せず)を介して単一のビームに結合される。最初に第1のセット内の855nm LEDが作動される場合を考慮すると、上部光束として示されたビームは、窓および円柱レンズを通って、次いで、屈折ファセット7を通ってファセット6に向かって導かれる。ファセット6において、光ビームは、全内部反射によって、ファセット4、センサ表面に向かって反射される。円柱レンズの設計は、光ビームがファセット4上の線に名目上集束されるようなものである。センサ面上に入射する光の円錐角の中点は、公称42度であり、これは、単一の画像フレームにおける空気の臨界角遷移と空気のSPR最小値の両方の取得を可能にする。センサ表面において、上部(明るい灰色)光線束によって描かれている光ビームは、855nmの波長に対する空気のSPR線と空気の臨界角遷移とを形成するように、金および金と接触する空気と相互作用する。
[00314]光ビームが感知面で相互作用した後、明るい灰色の光線束光ビームは、ファセット4からファセット2に向かって全内部反射され、ファセット2において、屈折ファセット1に向かって反射され、屈折ファセット1を通り、2D CMOS撮像アレイに衝突するように進む。図示の実施形態では、撮像アレイは、2592×1944のアクティブピクセルからなるAPTINA(登録商標)MT9P031 1/2.5インチ5Mp CMOSデジタル画像センサのグレースケールバージョンである。イメージャは、入射光を、撮像アレイ内の2592×1944アクティブピクセルの各々における光の強度を表すデジタルデータからなるデジタル電子信号に変換する。これらのデータは、次いで、空気の臨界角遷移および空気のSPR最小角の正確な位置を見つけるために、上記で説明した微分信号処理技法を使用して処理され得る。
[00315]空気の臨界角遷移および空気のSPR最小角が撮像アレイ上で検出されると、855nmのLEDが停止され、950nmのLEDが起動され、950nm波長における空気の臨界角遷移および空気のSPR最小角のセットを取得するために、同様のプロセスが続けられる。これらのデータの組合せは、システムがその「スリープ」モードから出されるたびに発生する自動空気較正シーケンスを備える。
[00316]同様の方法で、855nmおよび950nmのLEDの第2のセットからの光は、組み合わされ、図28に示す暗い灰色の光線の束によって示された経路に沿ってシステムを通って伝搬される。LEDの第1のセットと第2のセットとの間の主な違いは、LEDの第2のセットからの光がセンサファセットに衝突する途中でファセット5によって全内部反射され、イメージャへの途中でファセット3によって全内部反射されることである。この違いの影響は、LEDの第2のセットからの光の円錐の中点が、約64.4°の公称角度でセンサ表面に入射することである。この公称入射角は、水および涙液などの液体のSPRデータの生成を可能にする。LEDの第1のセットの場合のように、855nmおよび950nmのLEDの作動を単純に交互に切り替えることによって、855nmおよび950nmにおけるSPRデータを得ることが可能である。
[00317]図29のパネルAは、LEDの第1のセットからの1つのLEDを使用する、表面5が水(または涙液)で濡れる前の、空気のSPR線および臨界角遷移のZEMAX(登録商標)シミュレーションを示す。図29のパネルBは、表面5が水(または涙液)で濡れているという条件下で、第2のセットからのLEDの1つを使用して得られたSPR線を示す。
例7:スネルの法則および臨界角遷移
[00318]正確で精密な臨界角データの取得は、主題のセンサおよびシステムの較正の重要な側面である。図30は、スネルの法則(屈折の法則)および臨界角の幾何学である。図30は、スネルの法則の単純な場合と、単一の界面に関する臨界角とを示す。より複雑な光学薄膜分析は、入射媒体がn1の屈折率であり、出射媒体がn2の屈折率を有する限り、入射媒体と出射媒体との間の平面平行層の数と無関係に、臨界角は、常にθC=Sin-1(n2/n1)によって与えられることを示す。したがって、臨界角は、入射媒体と出射媒体との間の材料に対して不変であり、n1およびn2の値にのみ依存する。結果として、臨界角の位置の測定は、SPR測定のための重要な較正係数を提供する。
[00319]図31は、1.51の屈折率を有する入射媒体上の金層に関する臨界角の位置を示す。出射媒体は、1.00027477の屈折率を有する空気である。金の厚さは、ゼロの厚さから75nmの厚さまで変化される。入射角に対する反射率のチャートに示されるように、臨界角は、この金の厚さの範囲全体にわたって、41.4757°で静止したままである。空気は、波長および温度に関して弱い分散性でしかない(そして、その指数は、波長と温度の両方に対して十分に特徴付けられる)ので、臨界角のシフトに対する主な寄与は、入射媒体の屈折率であり、主題のシステムの場合、これは、センサの屈折率、および光学シャーシへのセンサの任意の機械的取り付け公差である。その結果、855nmおよび950nmにおいて臨界角測定を行うことによって、そしてZEONEX(登録商標)E48Rセンサ材料の既知で十分に特徴付けられた波長および温度の分散が与えられると、測定時のセンサの取り付け角度とE48Rの屈折率とを特徴付けるために、2つの式と2つの未知数とを設定することが可能である。
例8:自己較正センサの概念2
[00320]図32は、センサ概念2の光学的レイアウトを示す。この概念は、センサ概念1よりもかなり単純であり、ビームスプリッタ(図示せず)と、単一のコリメートレンズと、光学シャーシのための窓を兼ねる単一の円柱レンズと、2つの内部ファセットおよび3つの外部ファセットからなるセンサと、画像検出器とを使用して単一ビームに結合された、1つが855nmで第2のものが950nmの2つのLEDを利用する。855nm LEDまたは950nm LEDからの光は、本質的に同じ光路をたどる。動作中、アクティブな855nm LEDからの光は、コリメートレンズによってコリメートされ、次いで、円柱レンズによってセンサファセット3上の線に集束される。円柱レンズを通過した後、ビームは、センサの中心軸を横切ってファセット5によって屈折され、非被覆ファセット2によって反射される。ファセット2上のビームの入射角は、空気の臨界角遷移がこの表面上で生じるように、約42.0°である。ファセット2からの反射ビームは、集束された光の円錐の中心角の近くに水または涙液に関するSPR最小値を生成するように、約64.4°の入射角で金被覆センサファセット3上に入射する。ファセット3および4上の金の厚さは、約45~50nmである。センサ表面3からの反射の後、ビームは、第4のファセットからの反射時に空気のSPR最小値を生成するように、金被覆ファセット4上に約42°の入射角で入射する。最後に、ビームは、ファセット1を通って反射によってセンサを出て、円柱レンズを通過することによってシステムの光軸と平行に再配列され、その後、先に説明した2593×1944ピクセルAPTINA(登録商標)イメージャ上に入射する。
[00321]同様の方法で、SPRおよび臨界角データは、855nm LEDを停止させ、950nm LEDを作動させることによって、950nmの波長で収集され得る。950nmの光によってとられる経路は、この場合、事実上同じである。
[00322]図33は、単一の画像において空気の臨界角遷移と、涙のSPR線と、空気のSPR線とを生成するその可能性を示す、センサ概念2の性能のZEMAX(登録商標)シミュレーションを示す。原理的には、センサ概念2は、図33に示すように、単一のキャプチャされたフレーム内の、空気の臨界角遷移、涙のSPR最小値、および空気のSPR最小値データの全セットを生成することができる。
例9:自己較正センサ概念1の分析
[00323]図34は、センサ概念1のさらなる展開図を示す。図34は、XIMEA(登録商標)による支持チップを用いて回路基板上に取り付けられて提供されるようにLEDとイメージャの両方の物理的サイズを示す。図28における光学的レイアウトと比較して、図34におけるレイアウトは、浸透圧測定を行う医師が眼の涙液膜上にセンサの感知面をより容易に置くことができるように、システムの上部を越えてセンサの先端に、より直接的な視線を提供する目的のために、上下を反転されていることに留意すべきである。
[00324]依然として図34を参照すると、センサの一般的な方向において放射されるLEDからの光は、コリメートレンズによってコリメートされ、円柱レンズによって集束され、センサの内部空洞部分に入る。センサの内部で、円柱レンズによって集束された光は、センサの上部内部ファセットによって反射され、その後、センサの5つの外部ファセットのうちの3つによって内部反射される。3つのファセットのうちの第2のファセットは、円筒状に集束された光が集束するようになり、感知面の金被覆および金の外部表面と接触する媒体と相互作用する感知面である。センサ表面に続く表面による内部反射、およびその後の下部内部ファセットによる屈折は、主に、センサを出る光を画像センサの一般的な方向に導く働きをする。省略されてもよい光学くさびは、その垂直プロファイルをより低くするように、出射ビームの軸をシステムの物理軸のより近くに導く働きをする。
[00325]図35は、LED、光学構成要素、およびイメージャを、SPR線および臨界角遷移を作成し撮像するためのそれらの適切な位置に支持する機械加工されたアルミニウム光学シャーシ上にセンサを取り付けるための構造をより詳細に示す。図36は、光学シャーシの長さ寸法を示し、図37および図38は、シャーシの垂直方向の寸法を示し、また、センサを光学シャーシに結合する取り付け構成要素に関する構成要素のコールアウトとより詳細とを提供する。
[00326]図39は、表面実装型LEDが使用されるときの光学シャーシの構成を示す。このレイアウトはまた、汚染物質が光学シャーシ内に収容された一連の光学構成要素に入ることを防止するために窓として働く光学ガラスの平面平行ディスクに接着された円柱レンズを示す。円柱レンズを窓に接着することは、シャーシ内の他の光学構成要素に対するその整列を恒久的に設定するのに役立つ。図39はまた、偏光子およびそのバレルの位置を示す。偏光子は、画像センサ上にSPR画像と臨界角遷移画像とを形成するために使用される。最後に、システム内の様々なLEDからの光を結合するビームスプリッタの位置が示されている。図40は、斜視図におけるシャーシの同様の図である。
[00327]図41は、その外装ハウジング内に取り付けられた光学およびセンサシャーシを示し、また、スイッチ閉鎖を検出し、光学シャーシ内のLEDを適切な順序で作動させるために使用される制御ボードの位置を示す。
[00328]図42~図47は、センサのより詳細な図を提供する。図42および図43は、120°離れて配置され、その上に、光学シャーシのバヨネット取り付け機構の第1の内面に係合するように働く3つの小さい突起がある3つの保持構成要素を示す。これらの可撓部および突起は、図44に示す3つの運動学的取り付け点がバヨネット取り付け機構の第2の内面と運動学的に接触させられるようにセンサを付勢する。図45は、本発明の実施形態によるセンサの外側端面図を示す。この図では、保持構成要素は、射出成形プロセス中にタブを完全に充填することを困難にすると(金型フロー分析ソフトウェアアプリケーションを使用して)見出されたスロットをもはや持たない。図46は、光学シャーシのその嵌合バヨネット機構におけるセンサの外側端面図を示す。図47は、ZEONEX(登録商標)E48R光学ポリマで成形されたときに現れるセンサの外観のシミュレーションである。感知面および複数のファセットが識別される。
例10:ベンチトップセンサシステム
[00329]図48は、デスクトップシステムまたはベンチトップシステムの図である。図48に示すように、ベンチトップシステムは、2つのLEDコリメータを備え、この例では、一方は、855nmの公称波長で動作し、他方は、950nmの公称波長で動作する。LEDコリメータは、円形シート偏光子と、次いで適切なコリメートレンズとが後に続く点光源LEDから構成される。図示された構成要素は、真鍮ハウジング内に収容される。コリメータの波長は、855nmおよび950nmである必要はないが、センサおよび分析されるテスト媒体に適した波長の任意の対であり得ることに留意されたい。
[00330]図48に示すように、855nm LEDコリメータからの光は、90°プリズムの反射斜辺に入射し、ビームスプリッタの方に反射される。ビームスプリッタでは、855nmビームの一部がビームスプリッタを通り、その後、円柱レンズを通ってSPR半円筒形状センサに送られ、最終的に、半円筒に一致したインデックスであった金被覆顕微鏡スライドの金被覆外部感知面上に集束される。金の表面上のこの855nmビームの入射角は、855nmの空気の臨界角遷移および空気のSPR線が生成され得るように、855nmの臨界角の範囲内にある。同様の方法で、950nm LEDコリメータからのビームの一部は、ビームスプリッタによって反射され、円柱レンズによって集束され、半円筒に入り、950nmの空気の臨界角遷移および空気のSPR線が生成され得るように、950nmの臨界角の範囲内の角度で金被覆感知面に衝突し得る。
[00331]同様の方法で、ビームスプリッタによって反射された855nmビーム、およびビームスプリッタを透過した950nmビームは、結合され、90°プリズムの第2の反射斜辺から反射され、第2の円柱レンズを通過し、半円筒に入り、SPR最小値の範囲内の角度で金被覆顕微鏡スライドに入射し、したがって、水溶液、涙液などの液体に関する855nmおよび950nmのSPR線を生成する。
[00332]金被覆顕微鏡スライドから反射された光は、半円筒を通過し、画像検出器に向かう一般的な方向において半円筒を出て、一般に上記で説明した信号処理技法を使用して、デスクトップコンピュータまたはラップトップコンピュータによって分析される。
[00333]図49は、構成要素のラベルなしのベンチトップシステムの斜視図であり、図50は、構成要素のラベル付きの斜視図である。図示のベンチトップシステムの光学シャーシは、アルミニウムの固体ビレットからその内部および外部の特徴をコンピュータ数値制御(CNC)機械加工することによって形成されることに留意すべきである。これは、きわめて安定した精密な光学シャーシを提供し、精密な整列を必要とするすべての重要な構成要素は、シャーシに機械加工された運動学的取り付け機構を介して取り付けられる。その結果、光学系を整列させるために調整可能な光学マウントまたは他の同様の調整は必要ない。図51は、一体型光学シャーシ、およびその一体型のCNC機械加工されたカバーの写真である。
例11:涙液の浸透圧の決定
[00334]金膜を有する感知面を備えるセンサは、涙液の浸透圧を決定するために使用された。センサは、システムに結合され、感知面は、基準媒体としての空気と接触した。855nmの波長を有する光信号はおおよそ42度の入射角で感知面と相互作用するように導かれた。感知面からのSPR信号は、検出構成要素を使用して検出され(図52、パネルA)、空気中のSPR信号の最小値に対応するピクセル位置が決定された(図52、パネルB)。
[00335]次に、涙液のサンプルは、Ursa BioScience(Abingdon,MD)から取得され、少量のサンプルは、センサの感知面と接触して配置された。855nmの波長を有する光信号はおおよそ64度の入射角で感知面に導かれた。涙液が感知面と接触して配置されたとき、SPR信号の最小値に対応するピクセル位置における即座の変化が、空気中のSPR信号の最小値に対応するピクセル位置に対して検出された(図52、パネルD)。涙液は、600秒の間感知面と接触したままにされ、この時間間隔にわたって、データが収集された。SPR信号の最小値に対応するピクセル位置は、経時的に変化し、最終的には、プラトー値に達した。図52、パネルEは、855nmの波長を有する光信号を使用して、涙液と感知面の接触に続く60秒の時間間隔にわたって測定された、SPRデルタピクセル値のグラフを示す。図52、パネルE中のグラフはピクセルのy軸ユニットと秒のx軸ユニットとを有している。描かれたグラフ中の各データ点は、各後続する時間点におけるSPR信号の最小値に対応するピクセル位置から、t=0におけるSPR信号の最小値に対応するピクセル位置を減算することによって取得された。図52、パネルE中に示す、描かれたデータ点から数学的関数が生成され、次いで、較正データセットとの比較により、涙液の浸透圧を決定するように関数が分析された。
[00336]前述の発明は、理解を明確にする目的のために、例示および例によってある程度詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲の要旨または範囲から逸脱することなく、特定の変更および修正が行われ得ることは、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかである。
[00337]したがって、前述は、単に本発明の原理を例示するだけである。当業者が、本明細書に明示的に説明または図示されていないが、本発明の原理を具体化し、その要旨および範囲内に含まれる様々な構成を考案できることは理解されよう。さらに、本明細書に列挙されているすべての例および条件付き言語は、主として、本発明の原理と、本発明者らによって本技術を進歩させるために寄与される概念とを理解する上で読者を助けることが意図されており、そのように具体的に列挙された例および条件に限定されるものではないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理および態様ならびにそれらの特定の例を列挙する本明細書におけるすべての記述は、その構造的均等物と機能的均等物の両方を包含することが意図されている。加えて、そのような均等物は、現在知られている均等物と、将来に開発される均等物、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を実行する任意の開発された要素の両方を含む。本発明の範囲は、したがって、本明細書に示され説明された例示的な態様に限定されることを意図されない。むしろ、本発明の範囲および要旨は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 被覆領域を備える感知面を備えるセンサと光学シャーシとを備えたシステムであって、
前記センサが、
第1の入射角で前記感知面と相互作用するように第1の光信号を導き、
第2の入射角で前記感知面と相互作用するように第2の光信号を導くように構成されるものであり、
前記光学シャーシが、
光信号生成構成要素と、
検出構成要素と、
プロセッサと、
コントローラと、
複数の命令を備えるコンピュータ可読媒体と、を備え、
前記コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記コントローラに、
第1の表面プラズモン共鳴(SPR)信号を生成するために前記第1の入射角で前記感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導かせ、
前記検出構成要素を使用して、第1の時間間隔にわたる、前記第1のSPR信号の一連の画像を生成させ、
前記第1の時間間隔にわたる前記第1のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置を決定させ、
第2のSPR信号を生成するために前記第1の入射角で前記感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導かせ、
前記検出構成要素を使用して、第2の時間間隔にわたる、前記第2のSPR信号の一連の画像を生成させ、
前記第2の時間間隔にわたる、前記第2のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置を決定させ、
第1の基準訂正SPR関数を生成するために、前記第1の時間間隔にわたる前記第1のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置と少なくとも1つの基準特徴のピクセル位置とを比較させ、
第2の基準訂正SPR関数を生成するために、前記第2の時間間隔にわたる前記第2のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置と少なくとも1つの基準特徴のピクセル位置とを比較させ、
基準訂正SPRデルタピクセル値を決定するために、前記第1の基準訂正SPR関数と前記第2の基準訂正SPR関数の1つまたは複数の特徴を比較させる、
命令を備えるものである、システム。
[2] 前記第1の入射角が、約40度から約70度の範囲である、[1]に記載のシステム。
[3] 前記第1の入射角が、約62度から約67度の範囲である、[1]に記載のシステム。
[4] 前記第1の入射角が約64度である、[1]に記載のシステム。
[5] 前記コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記コントローラに、前記基準訂正SPRデルタピクセル値と較正データセットとを比較させる命令をさらに備える、[1]に記載のシステム。
[6] 前記コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記コントローラに、
第3の表面プラズモン共鳴(SPR)信号を生成するために前記第2の入射角で前記感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導かせ、
前記検出構成要素を使用して前記第3のSPR信号の画像を生成させ、
前記生成された画像上の前記第3のSPR信号の最小値のピクセル位置を決定させ、
第4のSPR信号を生成するために前記第2の入射角で前記感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導かせ、
前記検出構成要素を使用して前記第4のSPR信号の画像を生成させ、
前記生成された画像上の前記第4のSPR信号の最小値のピクセル位置を決定させ、
SPRデルタピクセル値を決定するために前記第3のSPR信号の最小値のピクセル位置と前記第4のSPR信号の最小値のピクセル位置とを比較させる命令をさらに備える、[1]から[5]のうちのいずれか1項に記載のシステム。
[7] 前記第2の入射角が、約40度から約70度の範囲である、[6]に記載のシステム。
[8] 前記第2の入射角が、約40度から約45度の範囲である、[6]に記載のシステム。
[9] 前記第2の入射角が約42度である、[6]に記載のシステム。
[10] 前記コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサによって実行されたとき、前記コントローラに、前記SPRデルタピクセル値と較正データセットとを比較させる命令をさらに備える、[6]に記載のシステム。
[11] 前記コンピュータ可読媒体が、前記プロセッサによって実行されたとき、前記コントローラに、
第1の臨界角信号を生成するために前記第2の入射角で前記感知面と相互作用するように前記第1の波長を有する前記光信号を導かせ、
前記検出構成要素を使用して前記第1の臨界角信号の画像を生成させ、
前記生成された画像上の前記第1の臨界角信号の最大値のピクセル位置を決定させ、 第2の臨界角信号を生成するために前記第1の入射角で前記感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導かせ、
前記検出構成要素を使用して前記第2の臨界角信号の画像を生成させ、
前記生成された画像上の前記第2の臨界角信号の最大値のピクセル位置を決定させ、 臨界角デルタピクセル値を決定するために前記第1および第2の臨界角信号の最大値のピクセル位置を比較させる命令をさらに備える、[1]から[10]のうちのいずれか1項に記載のシステム。
[12] 前記感知面が、被覆領域と非被覆領域とを備え、前記第1および第2の臨界角信号が、前記非被覆領域から生成される、[11]に記載のシステム。
[13] 前記基準特徴は、1つまたは複数の光機械基準特徴のピクセル位置を備える、[1]から[12]のうちのいずれか1項に記載のシステム。
[14] 前記基準特徴は、第3のSPR信号の最小値のピクセル位置、第4のSPR信号の最小値のピクセル位置、SPRデルタピクセル値、または、これらの組合せを備える、[6]から[12]のうちのいずれか1項に記載のシステム。
[15] 前記基準特徴は、前記第1の臨界角信号の最大値のピクセル位置、前記第2の臨界角信号の最大値のピクセル位置、前記臨界角デルタピクセル値、または、これらの組合せを備える、[11]又は[12]に記載のシステム。
[16] 前記第1および第2の基準訂正SPR関数の特性は、前記第1および第2の基準訂正SPR関数の導関数を備える、[1]から[15]のうちのいずれか1項に記載のシステム。
[17] 前記第1および第2の基準訂正SPR関数の特性は、前記第1および第2の基準訂正SPR関数のプラトー値を備える、[1]から[15]のうちのいずれか1項に記載のシステム。
[18] 前記センサが、前記光学シャーシに取り外し可能に結合されるように構成された、[1]から[17]のいずれか1項に記載のシステム。
[19] 前記システムがベンチトップシステムである、[1]から[18]のいずれか1項に記載のシステム。
[20] 前記システムがハンドヘルドシステムである、[1]から[18]のいずれか1項に記載のシステム。
[21] サンプルの浸透圧を決定するための方法であって、前記方法が、
[1]から[20]のいずれか1項に記載のシステムの感知面をサンプルと接触させることと、
第1の表面プラズモン共鳴(SPR)信号を生成するために前記第1の入射角で前記感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導くことと、
前記検出構成要素を使用して、第1の時間間隔にわたって、第1のSPR信号の一連の画像を生成することと、
前記第1の時間間隔にわたって、前記第1のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置を決定することと、
第2のSPR信号を生成するために前記第1の入射角で前記感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導くことと、
前記検出構成要素を使用して、第2の時間間隔にわたって、前記第2のSPR信号の一連の画像を生成することと、
前記第2の時間間隔にわたって、前記第2のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置とを決定することと、
第1の基準訂正SPR関数を生成するために、前記第1の時間間隔にわたる前記第1のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置と、前記少なくとも1つの基準特徴のピクセル位置とを比較することと、
第2の基準訂正SPR関数を生成するために、前記第2の時間間隔にわたる前記第2のSPR信号の最小値に対応する一連のピクセル位置と、前記少なくとも1つの基準特徴のピクセル位置とを比較することと、
基準訂正SPRデルタピクセル値を決定するために、前記第1の基準訂正SPR関数と前記第2の基準訂正SPR関数とのうちの1つまたは複数の特性を比較することと、
前記サンプルの前記浸透圧を決定するために、前記基準訂正SPRデルタピクセル値と較正データセットとを比較することと
を備える方法。
[22] 前記感知面を基準媒体と接触させることと、
第3の表面プラズモン共鳴(SPR)信号を生成するために前記第2の入射角で前記感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導くことと、
前記検出構成要素を使用して前記第3のSPR信号の画像を生成することと、
前記生成された画像上の前記第3のSPR信号の最小値のピクセル位置を決定することと、
第4のSPR信号を生成するために前記第2の入射角で前記感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導くことと、
前記検出構成要素を使用して前記第4のSPR信号の画像を生成することと、
前記生成された画像上の前記第4のSPR信号の最小値のピクセル位置を決定することと、
SPRデルタピクセル値を決定するために、前記第3のSPR信号の最小値のピクセル位置と第4のSPR信号の最小値のピクセル位置とを比較することと
をさらに備える、[21]に記載の方法。
[23] 前記SPRデルタピクセル値を前記基準訂正SPRデルタピクセル値と比較することをさらに備える、[22]に記載の方法。
[24] 前記SPRデルタピクセル値を較正データセットと比較することをさらに備える、[22]に記載の方法。
[25] 第1の臨界角信号を生成するために前記第2の入射角で前記感知面と相互作用するように第1の波長を有する光信号を導くことと、
前記検出構成要素を使用して前記第1の臨界角信号の画像を生成することと、
前記生成された画像上の前記第1の臨界角信号の最大値のピクセル位置を決定することと、
第2の臨界角信号を生成するために前記第2の入射角で前記感知面と相互作用するように第2の波長を有する光信号を導くことと、
前記検出構成要素を使用して第2の臨界角信号の画像を生成することと、
前記生成された画像上の前記第2の臨界角信号の最大値のピクセル位置を決定することと、
臨界角デルタピクセル値を決定するために前記第1および第2の臨界角信号の最大値のピクセル位置を比較することと、をさらに備える、[21]から[24]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[26] 前記臨界角デルタピクセル値を前記基準訂正SPRデルタピクセル値と比較することをさらに備える、[25]に記載の方法。
[27] 前記臨界角デルタピクセル値をSPRデルタピクセル値と比較することをさらに備える、[25]に記載の方法。
[28] 前記臨界角デルタピクセル値を較正データセットと比較することをさらに備える、[25]に記載の方法。
[29] SPR信号の画像は、単一の画像フレーム内にキャプチャされる、[21]から[28]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[30] 前記SPR信号の画像と、臨界角信号の画像は、単一の画像フレーム内にキャプチャされる、[29]に記載の方法。
[31] 外部環境補正デルタピクセル値を生成するために、前記基準訂正SPRデルタピクセル値、SPRデルタピクセル値、または、臨界角デルタピクセル値を、外部環境パラメータと比較することと、
前記外部環境補正デルタピクセル値を較正データセットと比較することと
をさらに備える、[21]から[30]のいずれか1項に記載の方法。
[32] 前記外部環境パラメータが、温度と、圧力と、湿度と、光と、環境構成要素と、または、これらに任意の組合せを備えるグループから選択される、[31]に記載の方法。
[33] 前記第1のおよび第2の波長を有する光信号が、同時に前記感知面と相互作用するように導かれる、[21]から[32]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[34] 前記第1のおよび第2の波長を有する光信号が、ゲーテッド方式で前記感知面と相互作用するように導かれる、[21]から[32]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[35] 前記較正データセットが、前記システムのプロセッサの読出し専用メモリ内に記憶される、[21]から[34]のいずれか1項に記載の方法。
[36] 前記サンプルは、生体サンプルである、[21]から[35]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[37] 前記生体サンプルは、涙液である、[36]に記載の方法。
[38] 前記基準媒体は、空気である、[22]から[37]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[39] 前記第1の時間間隔は約0.001秒から約90秒までの範囲である、[21]から[38]のうちのいずれか1項に記載の方法。
[40] 前記第2の時間間隔は約0.001秒から約90秒までの範囲である、[21]から[38]のいずれか1項に記載の方法。