JP2013512435A - 可変侵入深度のバイオセンサ及び方法 - Google Patents

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Abstract

高屈折率プリズム、センサチップ、広い波長範囲の複数の波長を有する光源、光学的レンズ、光検出器、データ取得ユニット、及び本明細書に記載されたものを含む表面プラズモン共鳴センサシステムである。当該センサチップは、例えば、透明な基板の1の表面上にシリコン及び金の薄い層、並びに当該透明な基板の反対の表面に隣接した当該プリズムを含むことができる。この構成は、サンプルの屈折率変化を検知するための最大約1.5マイクロメートルの可変侵入深度を提供し、これは従来のSPRセンサの数倍の大きさである。本開示は細胞アッセイ又は化学的アッセイに関する用途に当該表面プラズモン共鳴センサシステムを使用する方法を提供する。

Description

先行する米国出願の利益の主張
本願は、2009年11月30日に出願された米国出願第12/627,515号及び2009年11月30日に出願された米国出願第12/627,463号の利益を主張するものである。
本開示は、概ね、バイオセンサ、バイオセンサ装置、及びバイオセンサを使用する方法に関する。
本開示は、可変侵入深度の分解能を有する表面プラズモン共鳴(SPR)センサシステムに使用されるセンサチップを提供する。さらに、本開示は、当該センサチップを含む表面プラズモン共鳴センサシステムを提供する。さらに、本開示は、当該表面プラズモン共鳴センサチップ及びセンサシステムを化学的及び生物学的アッセイに関する用途に使用する方法も提供する。
本開示の実施例において、
図1はかかるセンサチップを使用した多波長SPR検知システムの例示的全体図である。
図2は開示された当該検知システムの波長に対する試料の侵入深度の関係を示す図である。
図3はガラス基板上に薄い金属コーティングが構成されておりかつ当該基板のコーティングされていない表面がカップリングプリズムに接触している先行技術のSPRチップ(300)の構造を比較用に示した図である。
図4は開示されたシリコンオングラス(SiOG)ベースのSPRセンサチップの全体構造を示す図である。
図5は従来のチップを用いた場合のSPR反応を入射角(AoI)に対する反射率として示した図である。
図6はSiOGチップを用いた場合のSPR反応を入射角(AoI)に対する反射率として示した図である。
図7は開示されたSiOGベースのSPRシステムの例示的な測定反応を示す図である。
図8は従来技術のSPR装置を用いて測定された相対的マルチレイヤ反応を示す図である。
図9はPAH/PSS層厚さに対する開示されたSiOGベースのSPRセンサシステムの反応の線形性を示す図である。
図10は基板の屈折率に対する2つのビーム間のSPR反応の角度差を示す図である。
図11は種々の基板上において異なる波長でモデル化された屈折率に対するSPR反応の角度の半角幅をプロットした図である。
図12はラベル独立検出型共鳴導波路装置及び開示されたSPRセンサシステムを用いて測定されたアデノシン三リン酸塩(ATP)プロセスに対する細胞反応の検出能力の例を示す図である。
図13はラベル独立検出型共鳴導波路装置と開示されたSPRセンサシステムとによる測定による、エピネフリンにさらされた細胞の比較を示す図である。
図14はグラム陽性(G)バクテリアのB.subtilis(Bs)及びグラム陰性(G)バクテリアのE.coli(Ec)の開示されたセンサシステムを用いて測定されたペニシリンに対するバクテリア反応の結果を示す図である。
図15はアンピシリンに対する深度分解型バクテリアアッセイ反応のセンサシステム結果を示す図である。
図16は効果的な細胞−核アッセイを提供するために深度分解型細胞アッセイ(DRCA)手法を用いて測定されたモジュレータによる核内受容体の細胞アッセイ結果を示す図である。
図17は細胞−核アッセイにおいてDRCAを用いて核受容体の特異性を実証する図である。
本開示の様々な実施例は、図があれば、図を参照して詳細に説明される。様々な実施例の説明は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、本明細書に記載されている例は限定的なものではなく、単に本発明の多くの実施例のうちのいくつかを記載するものにすぎない。
定義
「エフェクタ(Effector)」又はこれと同様の用語は分子であって、小分子のスペクトル、調節分子、又はプロテインを含み、かつプロテインに結合して当該プロテインの活動を変更するもの、又は、他の細胞と相互作用する生物学的細胞をいう。
「モジュレータ(Modulator)」又はこれと同様の用語は、アロステリック調節中に調節部位に結合してプロテインの形状をアロステリックに調節する分子をいい、より一般的には別の分子反応を引き起こす分子をいう。
「含む(include(s))」又はこれと同様の用語は、包含するが限定されないという意味であり、包括的であるが排他的でないことを意味する。
「約(About)」によって修飾することは、例えば、本開示の実施例を説明するのに用いられている組成物内の成分の数、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流速、圧力、及びこれらと同様の値、並びにその範囲が変化することをいう。当該変化は、例えば、合成物、組成物、混合物、濃縮物、又は使用する製剤を作製するのに使用される典型的な測定手順及び取扱手順によって、これら手順における故意でない間違いによって、製品、ソース、又は出発物質若しくは前記方法を実施するのに使用される要素の純度の差異によって、及びこれらと同様の検討事項によって、発生する。さらに、当該用語「約」は、特定の初期濃度又は混合物で組成物又は製剤を老化させることによって変化する量と、特定の初期濃度又は混合物で組成物又は製剤を混合又は処理することによって変化する量と、を含む。特許請求の範囲はこれら「約」の数量の均等なものを含む。
実施例において「基本的に構成されている(Consisting essentially of)」とは、例えば、本開示の可変深度のセンサ及びセンサシステム、並びに可変深度のセンサ及びセンサシステムを作製又は使用する方法、並びに物質、デバイス、又は他の装置について、これらが特許請求の範囲に記載されたコンポーネント又はステップに加えて、例えば、特定の添加物又は成分、特定の作用物質、特定の表面改質剤若しくは表面条件、又は可変選択された同様の構造、材料、又はプロセスなどのような、本開示の物質、装置、又は作製及び使用方法の基本的かつ新規な特徴に著しい影響を与えない他のコンポーネントまたはステップを含むことができることをいう。本開示のコンポーネント若しくはステップの基本的な特徴に著しく影響を与え得るもの、又は本開示の態様に望ましくない特徴を与え得るものは、例えば、意図的でないプロテインの変質又は化学的若しくは物理的手段によるプロテインの分子構造若しくはプロテインの特徴の当該変質に類似する機能的崩壊若しくは変化であって、アッセイの細胞又は核の特徴を破壊し得るものを含む。
本明細書で使用されている不定冠詞「a」又は「an」とこれに対応する定冠詞「the」は、特定されない限り、少なくとも1つ、又は1つ以上という意味である。
当業者に周知の略語が使用されることがある(例えば、時間に対して「h」又は「hr」、グラムに対して「g」又は「gm」、ミリリットルに対して「mL」、室温に対して「rt」、ナノメートルに対して「nm」など)。
コンポーネント、成分、添加物、反応物質、試薬、ポリマ、オリゴマ、モノマ、時間、温度、及びこれらと同様の態様、並びにその範囲において開示されている特定かつ好ましい値は説明のためだけのものであり、これらは他の所定の値又は他の所定の範囲内の値に対して排他的なものではない。本開示の組成物又は方法は、他の値、当該値の組合せ、詳細な値、より詳細な値、及びここに開示された好ましい値を有する組成物又は方法を含む。
本開示の実施例において、光学的バイオセンサシステム及び同様の他のエバネセント場センサの限られた侵入深度の問題は、例えば、本明細書に開示されているような、異なる侵入エネルギを有しかつ異なる波長を有する光源を含む可変侵入深度のSPRセンサシステムによって解決されることができる。
実施例において、本開示は、例えば、高屈折率プリズム、センサチップ、広い波長領域の複数の波長を有する光源、光学的レンズ、光検出器、及びデータ取得ユニットを含む表面プラズモン共鳴センサシステムを提供する。当該センサチップは、例えば、透明な基板の一方の表面上には薄いシリコン及び金の層を含み、当該透明な基板の反対の表面に隣接する高屈折率プリズムを含むことができる。このような構成は、試料における屈折率変化を検知するダイナミックレンジの最大1.5マイクロメートルの可変侵入深度を提供することができ、これは従来のSPRセンサよりも数倍大きい。
実施例において、本開示は表面プラズモン共鳴(SPR)センサシステムであって、
少なくとも2つの波長を有して入射ビームを提供する光源と、
当該入射ビームを成形かつ集束する第1光学系と、
透明な基板を含むセンサチップと、
反射ビームを集光する第2光学系と、
反射ビーム又は放出ビームを受光してSPRシグナルを検出する光検出器と、
データ取得ユニットと、を含む表面プラズモン共鳴(SPR)センサシステムを提供する。当該透明な基板は、当該基板の第1表面上に入射かつ集束されたビームを受光する高屈折率プリズムを有し、かつ当該基板の第2表面上に約100nmから約5マイクロメートルまでのシリコン層及び当該シリコン層上に約30nmから約80nmまでの金属層を有している。
さらに、上記システムは金属層の表面上に検体を含むことが可能であり、当該検体は、例えば、生物学的試料、生物化学的試料、細胞、細胞コンポーネント、細胞コンストラクト、表面コーティング、及びこれらと同様のもの、又はこれらの組合せを含む。
上記センサシステムは少なくとも約0.4マイクロメートルの検体侵入深度を有することが可能である。
上記光源は、例えば、約400nmから約1,700nmまでの異なる複数の波長を有する複数の光学的ビームであり得る。上記データ取得ユニットは、例えば、SPR最小の角度位置を見つけることによってSPR角度反応を提供することができる。上記センサチップは約2.5から約4.0までの屈折率の高屈折率層を有することができ、上記プリズムの屈折率は約2.5から約4.0までである。上記基板上の上記シリコン層は、約3.5の屈折率の光学的材料として働く。上記基板は、例えば、ガラス、クリスタル、半導体物質、約10から約100マイクロメートルまでの厚さを有するフィルムコーティング、及びこれらと同様のもの、又はこれらの組合せであることができる。当該基板は、例えば、透明であり、約2.4よりも大きい屈折率を有することができ、かつ当該基板は対象の波長範囲において低い光学的損失を有することができる。さらに、当該システムは、例えば、照射光源、照射波長、又はその組合せを切替える手段を含むことができる。
上記切替手段は、人間のオペレータの手動切替、自動又はロボットのスイッチを含み、サーボモータ、マイクロプロセッサ、マイクロスイッチ、若しくはこれらと同様のコンポーネントなどの原動力及び制御機能を有する電気機械的デバイス、並びにこれらと同様の切替方法若しくは切替装置、又はこれらの組合せを含み得る。
実施例において、本開示は、センサチップであって、
第1表面上に約100から約2,000nmのシリコン層及び当該シリコン層上に金層を有する透明な基板と、
当該透明な基板の第2表面上に高屈折率プリズムを有するセンサチップを提供する。当該センサチップは約100から約1,000nmの厚さを有するシリコンを含むことも可能である。
実施例において、本開示は拡大された侵入深度を有する表面プラズモン共鳴方法を提供し、当該方法は、
検体及び同様のシステム、又は均等なシステムを含む上記したセンサシステムを提供するステップと、
上記光源を当該検体に照射するステップと、
上記光検出器を用いてSPRシグナルを検出するステップと、
データ取得ユニットを用いて当該検出されたSPRシグナルを分析するステップと、
当該検出されたSPRシグナルと検体事象(event)との相関を取るステップと、を含む。
基板は、例えば、高屈折率を有してSPR反応差を緩和する材料であることができる。SPRシグナル検出は、例えば、多波長のSPR光検出器を用いて実現されることができ、複雑な光学系はない。当該基板の屈折率は例えば少なくとも2.4であり、プリズムの屈折率は例えば少なくとも2.4であり得る。実施例において、当該光源は約0.4マイクロメートルから約1.7マイクロメートルまでの少なくとも2つ以上の波長において投光する。当該拡張された侵入深度は例えば約400nmから約1,500nmであり得る。当該光源は例えば当該検体を照射してSPRを励起する集束ビームであり得る。
実施例において、本開示は生物学上の存在(biological entity)の深度分解型検知を行う方法を提供し、当該方法は例えば、
表面プラズモン共鳴(SPR)センサシステムを提供するステップと、
各々が異なる侵入深度を有する少なくとも2つの異なる波長を用いて当該センサを照射するステップと、
当該異なる波長の屈折率の変化を監視するステップと、
当該屈折率の変化と当該生物学上の存在の変化との相関を取るステップと、を含み、
当該表面プラズモン共鳴(SPR)センサシステムは、
少なくとも2つの波長を有して入射ビームを提供する光源と、
入射ビームを成形してビームを集束する第1光学系と、
透明な基板を含むセンサチップと、
反射ビーム又は放出ビームが集光されたものである反射ビーム又は放出ビームの集光を提供する第2光学系と、
当該集光ビームを受光してSPRシグナルを検出する光検出器と、
データ取得ユニットと、
当該センサチップの表面の貴金属外側表面層上の生物学上の存在又はこれと同様の検体と、を含み、
当該透明な基板は、当該基板の第1表面上に入射かつ集束されたビームを受光する高屈折率プリズムを有し、かつ当該基板の第2表面上に約100nmから約5マイクロメートルまでのシリコン層及び当該シリコン層上に約30nmから約80nmまでの貴金属層を有している。
さらに、上記方法は、上記2つ以上の異なる波長の内の少なくとも1つを用いて上記センサを照射するステップの前、途中、又は後において、例えば、上記生物学上の存在を、化学的合成物、生物学的合成物、又はその組合せを含む第2の存在に接触させるステップを含むことができる。
実施例において、上記生物学上の存在は、例えば、細胞膜受容体、細胞内受容体、細胞核受容体、サブ細胞コンポーネント、及びこれらと同様の物質、又はこれらの組合せであることができる。実施例において、当該生物学上の存在は、例えば、細胞、細胞培養物、細胞コンポーネント、細胞コンストラクト、ウィルス、プリオン、及びこれらと同様の存在、又はこれらの組合せであることができる。
上記細胞培養物は、例えば約70から約100%までの細胞密度を有することができ、当該細胞培養物の集密度は、例えば約70から約100%までであることができ、アッセイバッファは例えばHBSSであることができる。さらに、実施例において、上記方法は、センサチップの表面上に生物学上の存在を配置する前に、センサチップの貴金属(例えば、金、プラチナ、クロム、ニッケル)外側表面層に、有機ポリマ(例えば、ポリリシン、ポリエチレングリコール、フィブロネクチン、コラーゲン、ラミニン、マトリゲル、及びこれらと同様の物質)、又は無機物(例えば、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、及びこれらと同様の無機物、又はこれらの組合せ)を設けることを含むことができる。
実施例において、上記生物学上の存在は、例えば、真核細胞の受容体、原核細胞の受容体、合成細胞コンストラクト、又は合成細胞コンストラクトのコンポーネント、又はこれらの組合せであることができる。
実施例において、上記少なくとも2つの異なる波長は、例えば、3から20個の異なる波長などの複数の異なる波長であることができる。実施例において、上記第2の存在は、例えば、モジュレータ、エフェクタ、又はこれらの組合せであることができる。
表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく光学的センサは、当該表面の数百ナノメートルの範囲にあるラベルフリー検出(例えば、細胞、薬品、化学合成物)における最も精密かつ正確な技術である。従来のSPRセンサ測定において、選択された波長の光ビームは高屈折率の媒質を通過して分析中のサンプルを含む別の媒質へ導かれる。クレッチマン(Kretschmann)配置においては、非常に薄い金属フィルム(典型的な場合約40から約60nmまでの金)が上記2つの媒質の間に設けられる。共鳴は真空又は正の誘電率の物質と負の誘電率の物質(通常は金属又はドープされた誘電体)との境界に発生する。入射ビームの角度及び偏光が適切に調整されると、当該金属フィルム内の電子ガス表面波モードと共鳴させることができる。共鳴カップリング条件は、当該金属フィルム及び周囲の誘電材料によって定められている当該電子ガスの分散関係によって決定される。これにより当該金属表面へ非常に堅く結合された非放射状の表面電磁波が生じ、当該ビームの入射面内でありかつ当該金属フィルムの面に平行な方向に伝搬する。表面プラズモン波のエネルギは当該金属フィルムの(低い)抵抗率によって吸収される。不適切な角度又は偏光の入射光は表面プラズモンに結合せず、非常に高い効率で当該フィルムから鏡面反射される。反射光の強度が最小となる角度はSPR共鳴吸収に起因する。当該反射光の強度が最小となる角度は、薄い金フィルムに隣接する材料における屈折率変化に非常に敏感である。従って、SPR吸収における入射角度は光検出器アレイによって監視されることができる。反射光の最小強度の位置変化を追跡することによって、例えば、生物学又は生物化学に関する結合及び物質移動(mass transport)事象が金属フィルムの表面の近傍において監視されることができる。当該手法は、例えば、細胞ベースの受容体/リガンドの相互作用、非侵襲性の細胞増殖、並びに抗体及び小分子の親和性の分析を含む多くの用途に使用されることができる。例えば米国特許第6,045,756号、第5,898,503号、第5,912,456号、第5,946,083号、第6,798,521号、及び第7,407,817号に記載されている様々なSPRセンサは、例えば化学的処理及び化学的分析、プロセス制御、並びに汚染検出を含む多くの製造用途及び分析用途に開発されてきた。しかし、これらセンサは、約200から約300nmの固定の侵入深度を有しており、異なる層又は異なる深度すなわち例えば約300nmを超える侵入深度などの異なる侵入深度を有する化学的及び生物学的事象を検出することができない。
SPR共鳴吸収はSPR共鳴に関するエバネセント場の領域における物質変化及び結合変化に敏感である。これは、結合及び物質移動領域が、センサの表面において、例えば数ナノメートルから最大約10ナノメートルの厚さの有効なデルタ関数などのような薄い層に限られることが知られている場合、ほとんど問題にならない。その場合、SPR共鳴のエバネセント場は当該結合又は物質移動領域の厚さの何倍にも広がり、調査するエバネセント場における厚さ及び材料の摂動の影響は第1近似に対して無視することができる。他の構成においては3次元の「スキャフォールド(scaffold)」が使用される(例えば、ビアコア(Biacore)、マトリゲル)が、結合及び物質移動はSPR共鳴のエバネセント場における材料の通常の光学的特性に小さな影響を与える。この例において、調査する電磁場上の結合及び物質移動の影響は第1近似に対しては無視することができる。
細胞などのサンプルはSPR検出(及び他のエバネセント場)手法において特有の問題を呈しており、なぜなら細胞は典型的な場合、約250nmの典型的なSPR共鳴場のエバネセントテイル(tail)に比べて、例えば約1マイクロメートル以上、十分に厚いからである。従って、エバネセント場の全領域は細胞の全深度のごく一部しか調査できない。これは厄介であり、なぜならSPRエバネセント場は核などの細胞内の対象となる構造の一部を調査できないからである。さらに、細胞膜及び細胞核における物質の移動などの細胞内移動プロセスは、当該膜の近傍においては考察することしかできない。これに関して、SPRシグナルの変化が膜によってすなわち細胞の内部若しくは外部における膜を通過した膜若しくは膜から離れた膜への物質移動によって生じた(例えば陥入及び他の形態学的変化)場合、シグナルが直接測定されることができないためにシグナルには多くの曖昧さが存在し得る。同様に、サンプル領域における結合事象の位置の直接の測定結果がない。細胞の生理学的反応の従来の知識に頼ったいくつかの推測が行われることができる。しかし、SPR反応(又は他のエバネセント場センサの反応)のシグナルの正確な意味の解釈は全てにおいて明白ではない。このため、エバネセント場の侵入深度を容易に、素早く、かつ選択的に調節し、これによって2つ以上の侵入深度が一斉に(すなわち同時に)、連続的に、又はその両方の態様にてサンプリングされることが可能となることは極めて有益である。このようにして、異なる侵入深度において取得されたシグナルを比較又は対比し、そのプロセスがセンサ表面から特定の距離の範囲内で発生していることを推測しようとすることができる。従って、細胞サンプル内の物質分布、結合、及び移動変化の深度プロファイルの完全な解析はできないかもしれないが、上記装置及び方法は細胞ベースの及び他の動的な物質再分布のアッセイにおけるSPR反応の位置特定及び解釈を改良することができる。
表面プラズモンの侵入深度は、光源の波長、センサの材料特性、及びサンプリング領域によって決定される。所定のサンプル及び検知システム構成において、侵入深度は大きく変化せず、おおよそ決まっている。侵入深度は大きく調整されることができないため、従来のSPR測定システムにおいて細胞の侵入深度に関する変化しない寸法情報(すなわち約1マイクロメートル以上)はまとめられることができる。例えば、一般に使用される760nmの波長における市販のSPRデバイスにおいて、その侵入深度は約250から約300nmである。この侵入深度は化学的分析及び結合事象には十分であるが、細胞アッセイに関する用途におけるより広範囲の調査には適していない。SPRセンサがより広い侵入深度を有して表面プラズモン共鳴に関するエバネセント場がほとんどの細胞へ侵入(そしてさらに調査)することが望ましい。これによって、現在のSPR機器の制限である細胞の表面の考察しかできないのとは対照的に、細胞の内部のSPR考察が可能となる。さらに、細胞における生物学的事象に関する詳細な情報を得るために、異なる侵入深度におけるシグナルを有し、かつ各侵入深度の事象をリアルタイムで監視するのが望ましい。
本開示は、異なる深度におけるサンプルの屈折率変化を誘導する生物学的及び生物化学的事象を検出及び監視する装置、センサチップ、及び方法を提供する。この装置及び方法は、例えば、当該センサの金属(例えば金)の薄いフィルム表面の接触面の近傍に設けられたサンプルの生物学的、生物化学的、又は化学的変化の発生を測定する及びその位置を特定するのに有益である。開示された装置は、シリコンオングラス(SiOG)チップの特有の特性を使用し、この例では薄い(約40から約50nmの)純金のさらなる層でコーティングされている。
角度インタロゲーション方法において、SPR反応は当該センサによる反射光の最小値の角度位置を測定することによって検出されることができる。光検出器アレイを用いて強度プロファイルを記録することによって正確な角度位置が検出されることができる。
図面を参照すると、図1は開示されたSPRセンサシステムの概略図を示しており、当該システムは、1つ以上の光源、ビームを成形する数個の光学系、高屈折率のカップリングプリズム、検出チップ、1つ以上の光検出器アレイ、及びデータ取得ユニットを有する測定装置を含む。実施例において、当該SPRセンサシステムは、例えば、光源(10)と、当該光源からのビーム(20)と、ビーム成形光学系(30)と、検知用の集束ビーム(40)と、少なくとも1つのシリコンオングラス(SiOG)チップ(50)又はこれと同様のチップと、細胞、細胞コンポーネント、細胞コンストラクト、及びこれらと同様の生物学的実体物などのユーザによって提供された検体又は試料(60)と、プリズム(70)と、ビーム成形光学系(80)と、反射ビーム又は放出ビーム(90)と、光検出器アレイ(100)と、SPRの測定された角度反応のグラフィック描写機などの適切なディスプレイ(110)と、を含むことができる。
単一の光源及び単一の光検出器アレイを有する典型的なシステムが図示されている。しかし、他の構成では、例えば、複数の光源、複数の検出器測定、又はその両方の特徴を当該装置に設けるために、ファイバカプラ若しくはフリースペースカプラ、ファイバアレイ、アレイ化された光学系、ビームスプリッタ、又はこれらの組合せを組み込むことができる。理論に制限されることはないが、センサ表面上の入射光の波数の投射されたものが表面プラズモンを発生させるのに必要なものに一致すると、入射光は表面プラズモンを励起する。表面プラズモン波の励起及びその後の金属フィルム上における散逸は、金属層からの反射光の角度分布に対する最小強度の発生を導く。角度反射の最小値は、表面プラズモンのエバネセント場によって調査されたサンプル媒質の領域における誘電率に極めて敏感である。
図1の光源は、例えば、可視波長から赤外線に近い波長の範囲(例えば約400nmから約1,700nmまで)の異なる波長において作動する1つ以上の光放出デバイスを含むことができる。さらに、当該光源は広い範囲(例えば400から1,700nmまで)に亘る波長を有することができる。図2は開示された検知システム(210)における試料の侵入深度の関係を示している。SPRに関するエバネセント場の当該侵入深度は波長の関数である。波長が長くなるほど表面プラズモンは深く侵入する。図2において、1,500nmの光源が使用された場合に当該侵入深度が1.5ミクロンに増加されていることがわかる。約760nmで作動する光源を使用する従来技術のSPRデバイスによる310nmの侵入深度に比べて、開示された検知システムの侵入深度は約5倍に改善されている。図3は、ガラス基板(330)上に薄い金属コーティング(340)が設けられた従来技術のSPRチップ(300)の構造を示している。当該基板のコーティングされていない表面はカップリングプリズム(320)に接触されている。図4はここに開示されたSiOGベースのSPRセンサチップ(400)の概略構造を示している。ガラス基板(420)は、例えばクリスタルシリコン(430)の薄い層に結合されている。当該シリコン層上には検出用の金属コーティング(440)が堆積されている。当該基板のコーティングされていない表面は、例えばシリコンプリズム(410)に接触している。金属コーティング(440)上又はその近傍には、生物学的試料、コーティング組成物、化学的合成物、若しくはこれらと同様の材料又はマトリクスなどの検体(450)が適切に設けられることができる。
従来のSPRでは侵入深度が固定されており検出層の領域は常に同じである。一方、開示されたシステムは、250nmの短いものから1,500nmを超えるものまでの侵入深度を実現する。選択された光源における特定の最適波長は、サンプル吸収及び散乱損失が比較的低いスペクトル領域の範囲内にあるように選択されることができる。強い蛍光発光を有する例においては、検出波長は、蛍光吸収ピークが当該波長の屈折率感度への影響を最小化しないようにするべきである。一方、例えば表面蛍光又は量子ドットなどの特別な励起に表面プラズモンが使用されるシステムにおいてはその逆であり、当該波長は、当該蛍光又は量子ドットの励起帯の範囲内にあるように選択されるべきである。
実施例において、複数の波長の使用により可変の検出深度(すなわち侵入深度)が提供され、これによって異なる深度のサンプル屈折率が監視されることができる。この情報は生物学的事象又は生物化学的事象の分析に役立つ。可変の侵入検出深度は、ある第1波長におけるSPR反応を測定し、次に好ましくは素早くかつ自動的な手段にて照射源を別の第2波長へ切替えることによって実現されることができる。異なる波長におけるSPR反応が経時的に得られる場合、これら反応はまとめられることができ、これによってサンプルを通過する異なる侵入深度におけるサンプルの統合された反応差を明らかにすることができる。異なる波長におけるSPR反応差を対比することはサンプルの異なる深度における反応差を監視することを可能にする。
様々なスペクトルバンド幅を備えた多くの異なる光源が選択されることができ、当該光源は、例えば、レーザ、レーザダイオード、発光ダイオード(LED)、スーパールミネセントダイオード(SLD)、白色光源、スーパーコンティニューム光源、又はこれらの組合せである。光ビームは、例えば、光学的ミラー及びレンズが使用されているフリースペース光学系などのビーム成形部に伝達されることができる。さらに、当該光ビームは、例えば 光ファイバ又はファイババンドル(bundle)を用いて伝達されることができる。当該ファイバは、シングルモード、マルチモード、又はこれらの組合せであることができる。当該ファイバは、光源が直線偏光された出力を発生させる場合は偏光保持ファイバであることができる。複数の波長は例えば波長多重技術を用いて実現され、これによって全ての光源が1つのファイバ又は1つのビームへ結合されて光学的設定を簡略化することができる。この構成において、測定は各波長において行われる。この検出デバイスは任意の時点及び任意の波長において1つのデータ点(SPR反応)のみを取得する。以下の測定においては、波長は異なる侵入深度における異なる波長へ変更されることができ、これにはフリッピングミラー、ガルバノメータ、及び光ファイバスイッチなどの光学的切替手段が用いられる。光源が波長多重技術によって結合される場合、当該波長の選択は、例えば光学的スイッチを使用して光源を作動させることによって実現されることができる。理論的には結合されないが、有効な波長のスパンにおける切替は、標準の生物学的又は生物化学的事象が発生する速度よりも速い速度で行われるべきであると考えられている。
ビーム成形光学系は光源又は光ファイバによる光出力を所望のビーム形状へ変形してサンプル領域における制御された照射を提供する。当該ビーム成形光学系は、例えば、複数の光学レンズ、偏光子、及びビーム変調要素を含むことができる。当該光学レンズはビームを所望のスポットサイズ、所望の形状、及び適切な開口数へ成形する。検知領域の形状は、点、線、又は幅のあるスポットへ集束されることができる。偏光子は適切な光源偏光(「P偏光」であり、これは入射ビームの金フィルムへの入射面に平行な偏光である)を保証するのに使用されることができる。例えば、ファイバ結合された光源を用いてライン照射でサンプルを照射するために、断面が円形のビームは断面が長方形又は楕円形のビームへ再成形される必要がある。この変形は、例えば、円筒形レンズと、球面レンズ、非球面レンズ、回折光学素子成形部材、ミラー、プリズム、又はこれらの組合せなどの他の一般に使用されるレンズとを組合せを用いて実現されることができる。p偏光成分のみがSPR共鳴に結合することができるため、s偏光成分は必要なく、かつs偏光成分は反射光のSPR最小部の検出能力を弱めることがある。従って、偏光子は入射ビームにおいて残存するs偏光成分をブロックしてp偏光された光のみが試料を通過することを許容することが必要となり得る。当該ビーム変調要素は、光源のスペクトル幅が小さすぎるために(例えば約0.01nm未満であり)既知のスペックルによって均一な分布を生成できない場合に必要である。この例において、当該変調部材はp偏光のビーム位置をわずかに(例えば約3度未満)変更してスペックルを最小化し、これによってシグナル対ノイズの比率を改善する。
実施例において、センサチップは、例えば、ガラス基板、薄い(例えば10から100nm)シリコン層、及び当該シリコン層上の薄い金属層を含むことができる。実施例において、当該センサチップは、例えば、水素又は他のイオンが注入された第1の単一のクリスタルシリコンウェハ又はタイルから作製されることができる。次に、ガラス基板は当該注入されたシリコン表面に接触させられる。当該基板は、例えば、熱及び電圧を付加することによってアノード接着されることができる。さらに、当該基板を加熱することは、水素注入層において当該薄いシリコン層を剥離させ、その結果、当該第1の単一のクリスタルシリコン層の領域が当該ガラス基板に固定される。当該ガラス基板は様々なガラスであることができ、ガラス組成物におけるアルカリ性土壌酸化物(例えば、MgO、CaO、SrO、BaO、又はこれらの組合せ)を含み得る。実施例において、シリコンに対してガラスの熱膨張が一致することが望ましく、例えばコーニングのガラス組成物第1737番(Glass Composition No. 1737)又はEAGLE2000(登録済み)などのLCDディスプレイガラスは非常に優れた選択である。
シリコンフィルムの厚さはイオンの注入深度によって決定されることができ、当該イオン注入深度は、例えば約200から約1,500nmまで及び約400から約500nmまでであり、その中間の値及び範囲を含む。当該シリコン層の表面は粗く、外側シリコン表面の直下は不要な水素を含みかつ当該クリスタル構造に高い損傷を有する領域である。これらの両方はシリコンフィルムを含むデバイスの性能に悪影響を及ぼすことがあるため、実際には表面を研磨して損傷された層を除去し、表面粗さを小さくする。研磨後は残存する水素を除去するのに炉アニールが使用されることができる。このステップにおいて、大面積研磨(例えば化学機械研磨(CMP))又は小面積確定的研磨(例えばZeeko)が使用されることができる。研磨後の典型的なフィルム厚さは例えば約200から約500nmであり、かつ良好な表面品質(2nm未満のrms粗さ)である。
金属コーティング層は金、銀、又はこれらと同様の金属などの導電性材料を含む。当該層の厚さは約20nmから約80nmであり、その中間の値及び範囲を含み、用途及び材料選択によって異なる。当該金属は、例えば、スパッタリング及び熱蒸発を含む既知の真空技術によってシリコンフィルム上に堆積されることができる。実施例において、約40nmの薄い金層がその優れた化学的抵抗の故に採用されている。金とシリコンとの間にフィルム接着を改善するための薄い(5nm未満)の金属層が追加されることができる。この金属間の層用にはクロム又はチタンが特に有効である。
開示されたSPRシステムの重要なコンポーネントがSiOGセンサチップであり、これは広いダイナミックレンジ及び複数の侵入深度を可能にする。当該チップの特に有効な特徴は、例えば、図6に示されているように、約720nmから約1,500nmまでの2倍の光源波長の変化がSPRシグナルにおいて0.5度未満の角度シフトしか与えないということである。この小さな角度シフトは、入射ビームの開口数が数度に亘る場合には無視することができる。低開口数のビームの伝搬軸における場の深度(すなわち焦点深度)は高開口数のビームの深度に比べて非常に大きいため、低開口数のシステムの焦点におけるサンプルの配置許容度は高開口数のシステムの許容度よりも大きい。さらに、色及び他の収差に対する低開口数の波面の感度は高開口数のビームの感度に比べて低い。従って、光源波長が変更されるすなわち異なる侵入深度となるように切り替えられる場合において、さらなる再アライメントは不要である。従って、全ての光源は同じビーム成形光学系を用いてサンプル表面へ投光されることができる。この構成及びSiOGセンサチップの能力は、可変侵入深度の正確かつ単純な実施を可能にする。さらに、小さな入射角度(720から1,550nmに対して22.75から23.25度)は検出ユニットを非常にコンパクトなものにし、なぜなら、波長変化による角度シフトを補うコンポーネントを追加する必要がないからである。図3に示されている従来のSPRデバイスが同様の能力を発揮するために同様の構成を使用するのは不可能である。図5において、従来のシステムのSPR反応は、波長が720nm(点線)から1,500nm(実線)まで変化する際に、およそ5度シフトする。図6は開示されたSiOGチップを用いたSPR反応を示しており、照射波長が720nm(点線)から1,500nm(実線)まで変化する際の入射角度(AoI)に対する反射率の関数を示している。
従って、レーザ源には、例えば波長変化に伴う大きな角度シフトを補うためのビームアライメント、検出ユニット、又はその両方などの多くのさらなる光学的、機械的、又はこれらと同様のコンポーネントが追加されることが必要である。従来のSPR検知方式は、アクティブアライメント及び補正光学システムがないことによる十倍大きな角度シフトの故に、各波長における大きな再アライメントを行って各波長におけるチップ上のサンプルの検出領域を同じにすることが必要である。測定中の当該再アライメントは時間のかかるものであり、化学的、生物学的、又は生物化学的アッセイにおいては非常に望ましくない。
光ビームは高屈折率のプリズムを備えたSiOGチップへ結合されることができる。当該プリズムは投光部材として作動してSPRセンサのプラズモンモードに対する適切な波数の一致を保証する。当該プリズムは平坦な表面又は平坦な表面と屈曲した平面との組合せを有することができ、これによって光ビームをサンプリング点に衝突する前に再成形する。表面反射を低減するために、当該表面は反射防止コーティングされることができる。実施例において、屈折率はシリコンと同じであるのが望ましい。透明なシリコンは、波長が約1.2ミクロンよりも長い場合、プリズムを構成する好ましい材料の1つである。侵入深度の広い範囲において、可視波長(すなわち500nmを超える波長)及び赤外線に近い波長(すなわち最大1,700nmの波長)の両方において透明であるため、GaP、TiO、LiNbOなどの高屈折率を有する他の材料が使用されることができる。当該カップリングプリズムの底角は材料の屈折率によって決定されることができる。例えば、GaPからなるプリズムは例えば約20から約25度の底角を有している。
SiOGチップはシリコンウェハベースのセンサチップを超える利点を提供する。チップ上の薄い(約500nm未満)シリコン層によって、可視波長における光学的損失はシリコンウェハベースのセンサ(換言すれば、約0.5mmの厚さを有するシリコンウェハは可視波長において不透明である)に比べて非常に低い。薄いシリコン層の低い吸収の結果により、SiOGチップを使用するSPRセンサデバイスは高感度屈折率測定において可視光源を使用することが可能となる。可視光の使用は選択され得る有効な侵入深度の範囲を増加させ、これによってセンサ近傍のサンプルの非常に薄い層と非常に厚い層の両方において当該システム及びセンサは屈折率変化を検出することが可能となる。例えば、約500nmの光源を使用すると侵入深度が約77nmに低減されることができる。
高いスループットのために、複数の反応領域は複数の光検出器アレイを用いて検出されるか、又は、例えばビーム縮小又は拡大システムを用いて複数の反応をCCDカメラへ光学的にマッピングすることによって検出されることができる。感度を改善して環境変化を除去するために、センサ上の1つのサンプル領域が2つに分割されることができる場合は、「インウェル(in−well)」参照スキームが使用されることができる。領域の半分は特定の表面化学でマスクされると、他方の半分の領域が生物学的又は生物化学的事象を検出するのに使用されている場合にSPR反応が特定の事象には敏感でなくなる。当該マスクされた領域のSPR反応は環境に関する(例えば温度変化による)ドリフトを取得し、これは基準として使用されることができる。基準のシグナルを差し引くことによって、レーザ、測定システム、及び熱環境における相関のあるノイズは軽減されることができる。従来のチップとSiOGチップの両方における角度検出に基づくSPR反応が図5及び図6に示されている。従来のSPRに比べてSiOGチップによるSPRの最小値は限られているため、より高精度でくぼみ位置を測定し、その結果、検出感度を改善することができる。他の特定の有益な態様は、アポトーシス(細胞死)及び分離などの大きな細胞反応を特徴付けることができる広いダイナミックレンジ(例えば従来のSPRよりも約5倍から約50倍広いもの)である。この広いダイナミックレンジでSiOGチップを使用することによって、例えば、比較的高い屈折率の変化を伴うポリマフィルムの成長のSPRの考察が可能となり得る。
ここに開示されたSiOGチップの改善された侵入深度は実験で実証されている。開示されたSiOGベースのセンサチップ及びSPR測定システムと市販のSPR測定システム及びセンサデバイスとを用いて比較実験が実施された。その実験結果が図7及び図8に示されている。図7は、塩酸ポリアリルアミン(PAH)及びポリ4−スチレンスルホン酸ナトリウム(PSS)の二重層を交互に層状にした試料における開示されたSiOGベースのSPRシステムによる例示的な測定反応を示している。18個を超える二重層が検出され、符号710は第5の二重層、符号720は第10の二重層、そして符号730は第18の二重層である。経時的な反応曲線の明らかな非直線的特徴は流体系の手動切替によるアーチファクトであり、換言すれば、切替周期は一定ではない。当該システムは(範囲外(750)において)角度のダイナミックレンジを外れたが、センサの検知領域(侵入深度によって決定されるもの)が構築されたこれら層を超えなかったことの証拠である。第18の二重層以降に観測された振幅変化は最初の二重層とほぼ同じであり、これは、当該エバネセント場の侵入深度が推定の深度すなわち約90nmの全ての厚さを表現する18個の二重層の深度よりも十分に大きいということを示している。当該結果は正確な侵入深度を与えなかったが、当該侵入深度は多くのアッセイが必要とする十分な深度であった。符号(740)における歪曲はポンプ補充間隔を示している。
SiOGベースのシステムはPAHとPSSが交互に変化する層の屈折率変化を検出することができる。このSiOGベースのセンサ及び開示された測定システムを用いて、ダイナミックレンジの制限に到達するまでに最大18個の二重層の検出が可能であった。さらに、第1の二重層から最後(第18)の二重層までに小さな高さの変化があるため、当該エバネセント場のポテンシャル侵入深度が二重層の増加に伴って離れていったことも推察できた。
図8は従来技術のSPR機器(ビアコアMUA)を用いて測定された比較用の複数層反応を示している。当該SPR機器における最大ダイナミックレンジは、図7における開示されたSiOGベースのSPRとは対照的に、5つの二重層に限られた。従来技術のSPRセンサは飽和し始めてさらなる層に対して感度が低くなっており、これは追加された層の数が増加すると観測された振幅変化(ステップ高)が減小していることによっても明らかである。
市販のSPR測定システム及びセンサチップデバイスは5つの二重層しか検出できず、層の厚さが増加する際に発生する反応の振幅が減少することは、層の追加がセンサの表面から離れた屈折率を測定するシステムの能力を飽和状態にしていることを示している。SiOGベースのSPRセンサシステムの使用によって、SPRの調査する電磁場の侵入深度が3倍よりも大きく増加された。図9は、PAH/PSS層の全数に対するSiOGベースのSPRセンサシステムの反応(RU:反応単位ピコメートル)の線形性を示しており、y=5.7918x−25.31であり、R2=0.9818である。SiOGチップに基づくSPR反応の線形性は18個の二重層におけるものである(910)。開示されたシステムの線形補正(910)は市販のSPRデバイスの補正(920)に類似する。シリコンオングラス(SiOG)のコンセプトは、例えば本願出願人が共同出願して付与された米国特許第7,176,528号、第7,192,844号、及び第7,399,681号に開示されている。
深度分解型(Depth Resolved)細胞アッセイ(DRCA)
ここに開示されたセンサシステムはモデル化されており、そのモデル化された詳細が示されている。さらに、当該開示されたSPRセンサシステムを用いて実施された細胞アッセイの実験結果が示されている。
例えばSPRセンサシステムにおける金属シリコン処理された基板(SiOG)などの開示されたセンサチップの重要な利点は、異なる波長におけるSPR反応の角度シフトを大きく低減する能力である。従って、BK7基板を使用する従来のSPRシステムでは問題であった特徴の大きな角度シフトを補正する複雑な光学系を必要とすることなく、異なる波長の複数のビームが同じサンプル領域を検出することができる。SiOG基板は、約600nmから約1,600nmの検出光において約3.5の屈折率を提供する光学的材料としてSiの薄い層を使用する。センサチップ上のSi層の高い屈折率は様々な波長におけるSPR反応の角度シフトを大きく低減することができる。
どの程度屈折率が角度シフトに影響を与えるか評価するために、800nmと1,600nm(0.8マイクロメートルと1.6マイクロメートル)の2つの特定の波長においてSPR反応がモデル化された。図10は当該2つのビーム間のSPR反応の角度差を基板の屈折率の関数として示している。図10は、屈折率の増加が当該2つのビーム間の角度差を大きく低減することができることを示している。角度シフトを1度未満に低減するために、基板は約2.4よりも大きい屈折率を有するべきである。より好ましくは、基板の屈折率はおよそ3.0であり、これによって2つのビームは完全に重なることとなる。図11は、SPR反応の角度の半角幅を2つの波長(上部曲線は0.8ミクロン、下部曲線は1.6ミクロン)においてモデル化された屈折率の関数としてプロットしたものを示している。
上記モデル化の結果によれば、SiOGが多くの適切な材料の組合せの1つであることは明らかである。一般に、2.4よりも大きい屈折率の材料は、その材料又は材料の組合せが透明でありかつ対象の波長範囲において低い散乱損失を有しているならば、基板として使用されることができる。基板の材料は、例えば、ガラス、クリスタル、半導体物質、薄いフィルムコーティング、及びこれらと同様の材料、又はこれらの組合せであることができる。
高屈折率基板を使用する別の利点はシステムの能力を改善することである。異なる基板において異なる波長におけるSPR反応の角度の半角幅が屈折率の関数としてモデル化された。その結果は図11に示されている。基板として高屈折率材料を使用することによってSPR反応の角度幅を低減することもでき、これによって位置センサにおける反応位置を精密に測定することができる。その結果、非常に小さな角度シフトが検出されてデバイスの感度が改善される。
実施例において、開示されたSiOGベースのSPRセンサ及びSPRセンサシステムは、感度を落とすことなく可変侵入深度を提供することができる。例えば、SiOGの基板を使用することによってデバイスを非常に小さなパッケージに統合することが可能となる。以下は、開示されたセンサ、装置、及び方法の従来のSPRシステム及び同様のシステムと比較した詳細かつ特有の特徴のいくつかである。
5倍よりも大きく増加された侵入深度
従来のSPRのエバネセント場は約300nmの侵入深度を有している。ここに開示されたSPRセンサシステムは最大約1,500nmの侵入深度を有するエバネセント場を実現することができる。長い波長(760nmに対して1,550nm)の光源を使用することにより侵入深度を大きく改善する。
広いダイナミックレンジ
SiOGチップの使用により非常に狭いSPR反応を生成し、これによって広い角度変化範囲を追跡することが可能となる。従って、入射ビームの所定の角度範囲において、広い屈折率変化(例えば生物学的又は生物化学的事象によるもの)が検出されることができる。
広い範囲の可変侵入深度
高屈折率プリズムを用いて複数の波長の光源から結合された光をセンサ表面へ結合することによって、各波長変化におけるさらなるアライメントを必要とすることなく侵入深度を変化させることが可能となる。
高い感度
ここに開示されたSPRチップは高い表面品質及び低い散乱損失を有するように作製及び仕上げられる。さらに、SiOGベースのSPRセンサは狭いSPRシグナル反応を生成し、これにより従来のSPRよりも正確に検出されることができる。これは、高感度測定を行う能力を改善するハイコントラストなSPRシグナルを提供する。
小さなサイズ
入射ビームが約60度から約70度のSPR角度で金属フィルムに衝突する従来のSPRとは異なり、開示されたチップ及び装置はSPR角度を25度未満に低減する。その結果、デバイスはよりコンパクトでありポータブルシステムに適している。さらに、より小さなサイズは不要な環境コントローラを取り除いてシステムコストをさらに低減することが可能である。
高い汎用性
シリコンベースのセンサチップは、レーザダイオード、ナノワイヤ、及び光検出器などの受動的及び能動的デバイスにSiOGのSPRセンサシステムを統合するプラットフォームであることができ、当該チップは高度な半導体製造技術を用いて良品質で大量に生産されることができる。その結果、複数のより高機能でありかつより高感度な検出手段がデバイスに付加されて多機能な特徴が実現されることができる。表1は従来のSPRと開示されたSiOGベースのSPRとの比較表を示している。
深度分解型バクテリアアッセイ
実施例において、本開示は光学的センサを用いて光学的検知を行う装置及び方法を提供し、当該光学的センサは、特に、バクテリア細胞のモジュレータ作用を監視するための表面プラズモン共鳴(SPR)センサ、角度インタロゲーションシステム、又は波長インタロゲーションシステムである。特に、本開示は、ここに開示されたSPR光学的センサを用いてバクテリア細胞反応を測定する条件を提供する。
バクテリアは真核生物に比べて特有の細胞構造を有しており、例えば細胞壁を有している。バクテリアの細胞壁にはグラム陽性(G)とグラム陰性(G)との2つの種類が存在する。GバクテリアとGバクテリアは例えば抗生物質などの所定の合成物に異なる反応をする。抗生物質は天然物質又は人工物質であり、バクテリア又はこれと同様の生物の成長を選択的に抑制することができる。抗生物質耐性は公の大きな健康問題であり、ヘルスケアシステム及び社会の両方に膨大な経済的負担を与え、これは病気の長期化及び病院での長期的治療に起因する直接的コスト、生産性の損失に起因する間接的コスト、並びに疾病率及び死亡率に起因する社会的コストによる。抗生物質耐性は死を招く抗生物質から生き延びる能力を強化された生物の選択に基づく進化の過程である。抗生物質自体は集団内の耐性バクテリアの成長を許容して影響を受けやすいバクテリアを抑制する選択圧として作用する。抗生物質耐性を導く基本的な分子メカニズムは変化することができる。内在する耐性はバクテリアの遺伝子構造によって自然に発生する。さらに、抗生物質耐性はプラスミド伝達によってバクテリア間に拡散し、その結果、複数の抗生物質に対する共耐性を生じ得る。本開示は、ラベルフリー光学的センサを用いてバクテリア細胞における抗生物質作用を測定する方法を提供する。
バクテリア細胞の厚さは、例えば約500nmから約10マイクロメートルまでである。従って、細胞の所定の深度においては特定の細胞事象のみが検出され得る。
バクテリア細胞の生物学的及び化学的作用のより広範囲の描写を取得するために、以下の実施例5のように、様々な深度における屈折率変化を監視及び測定することによって有益な情報を提供することができる。しかし、従来のラベルフリー光学的センサを用いて異なる深度を同時に監視することは非常に困難である。
深度分解型核アッセイ
実施例において、本開示は、特定の侵入深度においてここに開示されたSPR光学的センサを用いて細胞全体の核事象を測定する方法を提供する。
実施例において、本開示は、複数の侵入深度のSPRシステムを用いて、深度分解型細胞アッセイのモジュレータ合成物などのエフェクタに対する細胞−核反応を、監視して特徴付ける方法を提供する。
核は生細胞の制御中枢であり、DNA複製及びRNA転写が行われる。核受容体(NRs)は核機能の調節において重要な役割を果たす。共調節プロテインと核受容体との間の相互作用の複雑かつ成長し続けるネットワークを理解することは、ヒト細胞生物学のみならず多くの疾病の新しい薬物治療の開発において大きな関わりを有する。多くの現在の研究は細胞破壊及び複数の蛍光ラベリングに関する。典型的な場合、核は細胞の細胞膜から離れており、監視には深い光学的侵入深度を必要とする。
核受容体スーパーファミリは、核受容体(NR)及びオーファン核受容体を含む広い範囲の転写因子を含む。細胞表面受容体におけるホルモンとは異なり、新油性ホルモンは細胞内の細胞膜を通過することができ、核受容体はグルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、性ステロイド(エストロゲン、プロゲステロン、及びアンドロゲン)、ビタミンD3、又は甲状腺ホルモンからのシグナルを変換する。
哺乳類細胞の高さは典型的な場合約1から約3ミクロンである。当該細胞は有機体の構造的かつ機能的ユニットである。細胞内には、プロテイン及び代謝体を含む細胞質、並びに核、ミトコンドリア、ゴルジ、及び小胞体などの多くのオルガネラが存在し、これら全ては細胞機能において重要な役割を果たす。従って、細胞の所定の深度においては特定の細胞事象しか検出されないことがある。細胞内で行われている実態のより完全な像を取得するために、様々な深度にあるオルガネラの活動を監視することは有益な情報を提供することができる。しかし、従来のラベルフリー光学的センサを用いて核事象などのオルガネラ事象を監視することは非常に困難である。従来のSPR光学的システムを用いると、入射ビームの波長が変化する際にSPRシグナルの入射角度が大きく変化してしまう。約760nmから約1,550nmにおいて、SPR角度はおよそ4度変化する。従って、SPR測定における静的な光学的システムは広い開口数(すなわち角度のダイナミックレンジ)に亘って働くように構成されなければならない。この場合においては4度を超えるレンジが必要である。アクティブに構成されたシステムが開発されているが、当該システムは、インタロゲーション波長が変化する毎に入射角度を正確に変更して光学的に再アライメントされなければならない。当該アクティブ配置システムはその遅い動作スピードの故に好ましくなく、アッセイを妨害し、多波長のデータ取得スピードを遅くし、かつノイズ及び再現性エラーを生じさせてしまう。ここに開示されたシリコンオングラスのSPRバイオセンサシステムを使用すれば、照射光の波長が約760nmから約1,550nmまで倍増してもSPRの角度シフトは約0.4度であり、これは従来の角度シフトの約10分の1である。さらに、ここに開示されたシリコンオングラスのSPRバイオセンサシステムは、約330nmから約1,500nmまで5倍近く侵入深度を増加させることができる。実施例において、SiOGベースのSPRセンサは静的システムとして構成されているが、広い範囲の侵入深度におけるほぼ同時の複数波長検出を可能にする。当該SiOGベースのSPRセンサは(大きな開口数の)大きな光学的レイアウト又は配置システムを必要とすることがない。
実施例において、本開示は、例えば経路モジュレータ及びヒトの細胞株を用いて、異なる深度において核事象を同時に評価する方法及び光学的センサ機器の設定を提供する。以下に、ここに開示された核アッセイ方法及び核アッセイ装置の詳細かつ典型的な特徴の一部を従来のSPRシステム及びこれと同様のシステムと比較して記載する。
ラベルフリー検出
異なる深度における核特有の細胞反応に起因する統合されたシグナルが光学的センサによって検出及び測定されることができる。当該測定されたシグナルは屈折率変化、インタロゲーション角度変化、又はその組合せの変化を含む。
リアルタイム生細胞アッセイ
生細胞における経路モジュレータの作用は接触後約30秒未満の速さで検出されることができる。さらに、当該細胞反応の連続的な作用/時間の経過が複数の波長を備えた単一の実験において監視されることができる。
生理学的に適切なアッセイ条件
ここに開示された方法及び装置は細胞培地における生細胞全体のアッセイを実現する。
単純なアッセイプロセス
細胞が金処理されたセンサチャンバの底部で成長した後にエフェクタ、モジュレータ、又はその両方が付加される。これにより、DRCA機器などの光学的センサを使用して動的な相互作用又はエンドポイントのリードアウトを測定することができる。ここに開示された方法は必要に応じて容易に自動化されることができる。
以下の実施例は上記開示内容を使用する態様をより完全に説明し、さらに本開示の様々な態様を実施するのに検討されたベストモードを説明する働きをする。これら実施例は本開示の範囲を制限するものではなく、例示のために示されている。さらに、実施例はここに開示された物及び方法をどのように作製及び使用するかを説明する。
センサチップ及びSPRセンサシステムを作製する方法
センサチップはシリコンオングラス(SiOG)基板から作製された。まず、SiOGチップは米国特許第7,176,528号、第7,192,844号、及び第7,399,681号に開示されているプロセスを用いて作製された。次にその表面が光学的表面を提供するために研磨された。次に、この基板は熱堆積、スパッタリング堆積、及び電子ビーム堆積などの従来の金属コーティング技術を用いて金の層にコーティングされた。当該金層の厚さは例えば約40nmである。接着を改善するために、金コーティングの堆積前に約5nmの厚さの薄いTiの層がコーティングされた。次にセンサチップがハニカム構造の底部に結合されてマイクロプレートを形成した。金層が上方に面しており、生物学的又は生物学的サンプルに直接的又は間接的に接触する。
SPRセンサシステムを用いたSPR検知方法
センサシステムは光源、ビーム成形部、プリズム、CCDカメラ、及びデータ取得ユニットを含む。設定に使用される当該光源は650nm、800nm、980nm、及び1,500nmにおいて発光する4つのレーザダイオードを含む。これら光源からの光ビームはシングルモードファイバを用いて伝達される。当該ビームはビーム成形部を通過し、GaPプリズムを通過してセンサチップを狙う。当該センサチップは当該ガラス基板と同じ屈折率を有する屈折率整合油を介して当該プリズムに物理的に接触している。次に、反射されたビームはCCDカメラによって集光されてデータ取得ユニットに分析される。測定中は、当該CCDカメラが対応する像を記録する間において、連続的に当該光ビームのスイッチの入り切りが行われる。当該CCDカメラは1回に1つの光源の像のみを取得する。取得された像はデータ取得ユニットによって分析される。
深度分解型細胞アッセイ(DRCA)
ここに開示されたSPRセンサシステムを用いて細胞アッセイが実行され、優れた結果が得られた。ここに開示されたSPRセンサシステムは、Corning(登録済み)Epic(登録済み)ラベルフリー検出システムすなわち従来のSPRシステムに比べて約3倍から約4倍の大きさの試料侵入深度を有している。ここに開示されたSPRセンサシステムはより重要な生物学的事象を検出することが可能である。実際の結果及び比較結果は図12及び図13にそれぞれ示されている。図12はATP(アデノシン三リン酸塩)に対する細胞反応の検出能力の例を示しており、ATPはラベル独立検出型共鳴導波路Epic(登録済み)機器(1210)及びここに開示されたSPRセンサシステムDRCA(1220)を用いて測定されるように処理されている。両方のアッセイは時間毎に同様の反応傾向を見せた。しかし、ここに開示されたSPRセンサシステムはより詳細で強い反応を見せた。図13はエピネフリンに暴露された細胞の例を示しており、Epic(登録済み)システム(1310)及びここに開示されたSPRセンサシステム(1320)を用いて測定された。ここに開示されたSPRセンサシステムは連続的なプロセスであるため、生物学的事象を例えば0.1秒間隔で検出することができるが、一方Epic(登録済み)システムは当該事象を約10秒間隔の非常に長い間隔で検出する。さらに、この結果は、長い侵入深度がいかに重要か、及び細胞アッセイにおける複数の侵入深度の特徴がいかに有益かを実証している。
深度分解型バクテリアアッセイ
ここに開示されたSPRセンサシステムのバクテリア細胞アッセイへの実用性を実証するために、ペニシリンなどのモジュレータを使用する細胞アッセイプラットフォームが開発された。ペニシリンはベータラクタム系抗生物質であり、グラム陽性のバクテリアによって生ずる感染症の治療に使用されることができる。ベータラクタム系抗生物質はバクテリア細胞壁においてペプチドグリカンのクロスリンクを形成し、浸透圧の影響下で弱体化した又は不完全な細胞壁を有するグラム陽性のバクテリアの細胞崩壊又は細胞死を起こさせることができる。さらに、ペプチドグリカン前駆体の形成は、バクテリア細胞壁ヒドラーゼ及びオートリシンの活性化の引き金となり、さらにバクテリアに存在するペプチドグリカンを消化する。バクテリア細胞におけるモジュレータ効果を検出する能力は、ここに開示されたSPRセンサシステムを使用して既知のモジュレータによって生じたバクテリア反応を測定することによって実証された。ここに開示された深度分解型細胞アッセイシステムはバクテリアアッセイにおいて有益な手段である。
例示されているように、ここに開示されたSiOGベースの表面プラズモン共鳴(SPR)センサを含む光学的センサはバクテリアにおける抗生物質の作用を監視するのに使用されることができる。バクテリア細胞はセンサの処理された金表面上に薄い層として培養及び堆積されることができる。次に、培養されたバクテリア細胞はモジュレータを用いて処理されることができる。バクテリア反応は、ここに開示されたCorning(登録済み)深度分解型細胞アッセイ(DRCA)機器などの開示された複数波長のSPRプラットフォームを使用して同時に監視されることができる。
同一又は同様の設定及びアッセイプロトコルは可変侵入深度を使用して他のバクテリアのタイプに適用されることができる。例えば、いくつかの懸濁されたバクテリアにおいて、大きな侵入深度を誘導する長い波長の光源は、センサ上に特別な表面化学を必要とすることなく懸濁バクテリアの反応を検出するのに使用されることができる。通常、懸濁バクテリアの反応を検出することは困難又は不可能である。さらに、ここに開示されたセンサシステムの複数深度又は可変深度の能力は、表面の相互作用によって決定される表面化学に対するバクテリアの付着又は分離を調査するのにも適用されることができる。この例において、複数の侵入深度が実装されてその反応が同時に監視されることができる。この手法によって、いつ及びどのようにバクテリアが表面に付着及び表面から分離されたかが検出されることができる。
バクテリア反応の検出
バクテリア細胞壁構造
グラム陽性の有機体は高度なペプチドグリカン細胞壁含有物を有しており、当該細胞壁には典型的な場合グラム陰性のバクテリアに見られる外膜がない。グラム陰性のバクテリアは薄いペプチドグリカン層とリポ多糖体を含む外膜とを有している。グラム陰性のバクテリアの発病機能は大抵は外膜に関する。
経路モジュレータ
経路モジュレータは細胞生物学に大きな影響を有しており、創薬に有益なものである。
図14はここに開示されたセンサシステムによる測定結果を示しており、ペニシリンがグラム陽性(G+)のバクテリアのB.subtilis(Bs)(1410)に大きな影響を与え、グラム陰性(G)バクテリアのE.coli(Ec)(1420)及び組み換え型pUC19プラスミドを有するE.coli(1430)にはほぼ影響を与えないことを示している。トレースとしてバッファコントロール測定が示されている(1440)。
アンピシリンはペニシリン構造に付着されたアミノ基の側鎖を有するベータラクタム系抗生物質である。アンピシリンはグラム陽性及びいくつかのグラム陰性のバクテリアに侵入することができる。これはペニシリンのみとは異なり、アミノ基の存在に起因する。当該アミノ基はグラム陰性のバクテリアの外膜への薬剤の侵入を補助する。アンピシリンは、バクテリア細胞膜の内部表面においてトランスペプチターゼを不活性化することによってバクテリア細胞壁の合成(ペプチドグリカンのクロスリンク)を抑制する。アンピシリンは、Bacillus Subtilis及びE.coliを抑制することはできるが、組み換え型pUC19プラスミドを有するE.coliを抑制することはできない。わずかな量の細胞、例えば、0.05ODのBacillus Subtilis、E.coli、及びE.coli pUCが別々に例えば100microg/mLのアンピシリン(Ap)を加えた成長培地へ植菌された。DRCAを用いて細胞性超が連続的に監視された。図15はアンピシリンに対するバクテリア反応のセンサシステム結果を示しており、特に、アンピシリンを有する培地において生き延びて成長したpUC19付きE.coli(1510)及び(1520)を示している(増大している上部の2つの曲線)。Bs、Ec、及びバッファコントロールはベースライン曲線(1530)で示されている。pUC19付きE.coliは典型的なバクテリアの成長曲線を見せた。このデータは、DRCAが、センサ表面上又はセンサ表面に到来した懸濁液中のバクテリアにおける細胞の成長、物質増加、又はその両方を検出することができるということを示唆した。
ここに開示されたバクテリアアッセイはどのようにDRCAがバクテリアアッセイに使用され得るかを例示する多くのものの内の1つである。同様の設定及びアッセイプロトコルは可変侵入深度を使用して他のバクテリアのタイプに適用されることもできる。これは、検出表面にわずかに付着している特定のバクテリア株のアッセイに特に有効である。このような場合において、大きな侵入深度を誘導する長い波長の光源が、特別な表面化学を必要とすることなく懸濁バクテリアの反応を検出するのに使用されることができる。DRCAの複数の深度の能力は、生物学的反応による様々な表面化学に対するバクテリアの付着又は分離を調査するのにも適用されることができる。この場合において、複数の侵入深度が選択されてその反応が同時に監視される。DRCAの侵入深度は、例えば約50nmから約2,600nmまで、及び約100nmから約1,600nmまでであり、その中間の値及び範囲を含む。この手法によって、いつ及びどのようにバクテリアが表面に付着及び表面から分離されたかが検出されることができる。当該実施例はバクテリア細胞における合成物効果の同時検出をDRCAシステムによって実証している。ここに開示されたバクテリア細胞アッセイ方法は、例えば微生物学、疫学、及び創薬、並びにこれらと同様の用途を含む多くの用途に使用されることができる。
試薬、培地、及びバクテリア
アンピシリン及びペニシリンはSigma(セントルイス、MO)から購入された。Luria−Bertani(LB)培地及びNutrient broth(NB)はInvitrogen(カールスバッド、CA)から購入された。Bacillus subtilis及びE.coliはATCC(マナッサス、VA)から購入された。
細胞培養
多くの実験がEscherichia coli及びBacillus subtilisを用いて行われた。E.coli及びB.subtilisは、Luria−Bertani寒天プレート又はnutrition broth寒天プレートにおいて別々に培養され、4度に保たれた。次に、当該寒天プレートからE.coli又はB.subtilisが集められ、37度のLB又は30度のnutrient brothへそれぞれ播種され、8時間経過した。次に、当該E.coli又はB.subtilis培養物はその培地を用いて希釈されて600nmにおいて0.05の光学的密度(OD)となり、さらに、約1.8から約2.5までのODとなるまで37度で2時間培養された。連続希釈実験から、600nmにおける1ODは約4x10cells/mLに対応することがわかっている。
DRCAシステムとバクテリア細胞アッセイ
バクテリア細胞アッセイにはDRCAシステムが使用された。バクテリア細胞アッセイにおいて、明記しない限り、バクテリア細胞は上記した適切な培地の底部表面の約90%から約100%を覆った。当該細胞及び合成物のプレートは当該機器内において22度に達するまでおよそ60分間培養された。全ての細胞アッセイの調査は22度において行われた。
深度分解型核アッセイ(DRNA)
ここに開示されたSiOGベースのSPRシステムの長い侵入深度において発生する細胞核事象を検出する実用性を実証するために、化学的又は生物学的な経路モジュレータを使用する細胞アッセイプラットフォームが開発された。当該経路モジュレータは、例えば、プロピオン酸フルチカゾン(FP)である(フルチカゾン由来の合成コルチコステロイドは例えばぜんそく及びアレルギー性鼻炎の治療に使用され、フルチカゾンを含む他の商品はフロベント(Flovent)、フリクソタイド(Flixotide)、フロナーゼ(Flonase)、フリクソナーゼ(Flixonase)、アドベア(Advair)、及びセレタイド(Seretide)である。)。プロピオン酸フルチカゾンは高親和性かつ選択的なグルココルチコイド受容体(GR)アゴニストである。
治療において、グルココルチコイド受容体は2つの理由から非常に興味深いものである。第1に、グルココルチコイド受容体の変異体はクッシング症候群(過剰なコルチゾール、コルチコステロイドによって生ずる内分泌疾患)、自己免疫疾患、及びいくつかの癌に影響を及ぼす。第2に、グルココルチコイド受容体リガンドは、既にぜんそく、関節リウマチ、及び白血病などの様々な疾患の治療に使用されている。しかし、これらリガンドの治療使用は、骨粗しょう症、成長遅延、視床下部−下垂体−副腎系の抑制などのマイナスの副作用の故に制限されている。グルココルチコイド受容体及びその制限のよりよい理解はグルココルチコイド受容体リガンドの調査に役立つものであり、場合によっては、障害を引き起こす副作用のない抗炎症性の効果を与える治療を行えるかもしれない。ここに開示されたSPRシステムを使用して既知の経路モジュレータによって引き起こされる細胞反応を測定することによって、核事象の検出能力が実証された。このような能力は、Epic(登録済み)システム(コーニング社)すなわち従来のSPRプラットフォーム(例えばビアコア)などの従来技術の光学的センサシステムでは、侵入深度が限られている(例えば約150から約200nm未満)ことから、実施することができなかった。ここに開示された深度分解型細胞アッセイ(DRCA)システムは約30nmから約1,500nmまでの広範囲の侵入深度を提供することができる。ここに開示されたDRCAシステムは小さい侵入深度のプラットフォームよりも多くの情報を提供することができる。
本開示は、光学的センサを用いて細胞の核事象を測定及び特徴付ける方法及びプラットフォームを提供する。例示として、表面プラズモン共鳴(SPR)センサを含む光学システムが経路モジュレータなどのエフェクタの核事象を監視するのに使用されることができる。実施例において、細胞は金処理された表面上で培養されることができる。当該処理部は、例えば、細胞付着、細胞成長、又はその両方のための層を形成する有機的、無機的、又は生物学的材料であることができる。次に、細胞は経路モジュレータを用いて処理された。核反応は、ここに開示された複数波長のSPRプラットフォーム、この場合はCorning(登録済み)深度分解型細胞アッセイ(Depth Resolved Cell Assay)(DRCA)機器を用いて同時に監視された。深度分解型細胞アッセイは明らかに核反応を実証した。
特定のモジュレータが核受容体を誘発するのに使用される一方、異なる侵入深度における複数の光学的シグナルがDRCA機器を用いて検出される。細胞膜受容体反応に比べてより深い侵入深度、例えば200nmよりも大きい侵入深度において核受容体反応が発生して検出されることができる。
実施例において、少なくとも2つの異なる光源は、例えば約300nmから約1,700nmまでの様々な波長で作動する放射線源であることができる。SPRシグナルは光検出器のアレイなどの光検出器によって検出されることができる。このような構成は例えば約1,500nmを超える可変侵入深度を提供し、これは従来のSPRセンサよりも数倍大きなダイナミックレンジである。
上記したように、図2はここに開示されたSiOGベースのSPRセンサチップにおける照射波長に対する計算された侵入深度(210)を示している。ここでは808nmと980nmの2つの波長が使用された。356nm及び572nmにそれぞれ対応する侵入深度が丸で示されている。例えば572nmの所定の深度において、DRCAシグナル出力は0から572nmまでの範囲の深度における細胞の底部からのシグナルの統合されたものであった。
ここに開示されたDRCA細胞アッセイシステムはセンサチップSPRシステムを使用して様々な侵入深度におけるモジュレータ誘導された動的細胞事象をリアルタイムで監視して特徴付ける。ウェルの金コーティングされた表面の底部を覆うために集密細胞が選択される。その後、合成物を用いて細胞反応が変調された。細胞反応の変調は薬剤学的に興味深い値を生成する。例えば、プロピオン酸フルチカゾンはぜんそく及びアレルギー性鼻炎の治療に使用される選択的に高い親和性のグルココルチコイド受容体(GR)アゴニストである。現在、グラクソスミスクライン社は、FPをぜんそくに対するフロベント(Flovent)(米国及びカナダ)及びフリクソタイド(Flixotide)(欧州)として、並びにアレルギー性鼻炎に対するフロナーゼ(Flonase)(米国及びカナダ)及びフリクソナーゼ(Flixonase)(欧州及びブラジル)として販売しており、フルチカゾンとサルメテロールの組合せをアドベア(Advair)(米国及びカナダ)又はセレタイド(Seretide)(欧州)として販売している。生細胞全体の研究はFP薬剤の分子作用メカニズムを解析するのに有益である。特定の深度範囲の統合された反応シグナルが当該細胞を介して得られ、DRCA光学機器によって記録された。
細胞事象の検出における光学的センサの使用
真核細胞構造
生細胞は構造的及び機能的には製造工場に似ている。細胞内には、多くのプロテイン及び代謝体が分配された細胞質が存在する。さらに、細胞内には、核、ミトコンドリア、ゴルジ、及び小胞体などの多くのオルガネラが分配されており、そのボディは細胞機能の重要な役割を果たす。細胞の異なる深度はそこで行われている特有の細胞事象を有することができる。
経路モジュレータ
経路モジュレータは細胞生物学の研究に大きな影響を有しており、創薬において有益な手段である。プロピオン酸フルチカゾン(FP)はぜんそく及びアレルギー性鼻炎の利用に使用されるフルチカゾン由来の合成コルチコステロイドである。FPは高親和性かつ選択的なグルココルチコイド受容体(GR)アゴニストである。GRは、炎症、グルコース恒常性、骨細胞回転、細胞分化、及び肺成熟に関与するステロイドホルモンに活性化された転写因子である。GRは核受容体の多数のスーパーファミリに属し、ミネラルコルチコイド、エストロゲン、プロゲスチン、アンドロゲン、ペルオキシゾーム増殖因子、ビタミンD、及び甲状腺ホルモン受容体を含む。分子的には、GRは、N末端の活性化機能1ドメイン(AF−1)、セントラルDNA結合ドメイン(DBD)、及びC末端のリガンド結合ドメイン(LBD)を含む。GRリガンドはデキサメタゾン及びプレドニゾロンを含むコルチコステロイド類似体である。リガンドに結合されない場合、hsp90及びp23などのシャペロンプロテインは細胞質においてGRを保持する。一旦ホルモンが結合すると、受容体全体の核転座に従って当該シャペロンプロテインが分離して二量化が起こる。一旦核が内部に入ると、GRは特定のDNAプロモータ要素すなわち特定の転写因子を有する「クロストーク」に結合して遺伝子の活性化を抑制する。当該GRはヒトの体内におけるほぼ全ての細胞において発現され、成長、代謝、及び免疫反応を制御する遺伝子を調節する。受容体遺伝子はいくつかの形態で発現されるため、体の異なる部位において多くの異なる(多面的な)効果を有している。GRはグルココルチコイドに結合した場合、その一次的な作用機序は遺伝子転写の調節である。直接の作用機序は、受容体のホモ二量体化、能動輸送による核への転座、及び遺伝子転写を活性化する特定のDNA反応要素への結合を含む。この作用機序はトランス活性化と呼ばれる。当然、生物学的反応は細胞のタイプに依存する。
核受容体アッセイ
細胞内の様々な侵入深度の変化は様々な反応を示した。図16はDRCA手法を用いて測定されたモジュレータによる核受容体における細胞アッセイの結果を示しており、ここで、FPはプロピオン酸フルチカゾンであり、WV1は808nmの波長(深度356nm)であり、WV2は980nmの波長(深度572nm)であり、secは秒であり、符号(1610)はWV2−ATPであり、符号(1620)はWV1−ATPであり、符号(1630)はWV1−FPであり、符号(1640)はWV2−FPであり、符号(1650)はWV1−バッファであり、符号(1660)はWV2−バッファである。
シグナル変換経路において、ATPは、サイクリックAMPを生成するためにATPを使用するアデニル酸シクラーゼによる基板、並びにプロテイン及び脂質をリン酸化するキナーゼによる基板として使用されることができる。ATPはほぼ全てのヒトの組織に存在するP2Y受容体(GPCR)に結合し、そこでGプロテイン結合に基づいて様々な生物学的機能を提供する。さらに、ATPは生物学的エネルギ変換における多機能性ヌクレオチドである。図16のシグナル曲線は、短い侵入深度のシグナルが長い侵入深度のシグナルよりも大きいことから、最初の数分間において、細胞膜近傍に大きな細胞事象が存在することを示唆している。1つの仮定は、ATPがP2Y受容体に結合することが急激かつ大きな変化として示されている大きな細胞事象の引き金となっており、当該変化が構造変化、細胞膜近傍における質量変化又はその両方の可能性があるということである。その場合、異なる細胞深度から差異を見つけることは可能である。波長1(WV1)の平均的な反応はWV2よりも大きいはずである。時間が経過するとシグナルは大きく低下した。しかし、上記2つの深度の間に大きな差異がなかったことから、ATPによって引き起こされた細胞事象が細胞全体にではないが2つの深度におよそ一様に分散したことを示している。
他の重要な所見は核事象が両方の侵入深度におけるFPによって引き起こされたことである。この結果は、356nmと572nmとの両方の波長及びそれに対応する侵入深度がA431細胞の核の周辺であることを示唆している。60分以降の停滞している反応シグナルは、核受容体反応に関するいくつかの後期細胞プロセスを反映している可能性がある。シグナルは6時間(21,600秒)後も停滞していた。ブランクとしてのバッファは大きな反応の引き金とはならなかった。
さらに、反応を引き起こしたFPの特異性が評価された。細胞はおよそ1から2時間アッセイバッファ又はミフェプリストンを用いて前処理され、細胞にFPが投与された。ミフェプリストンは体外及び体内のプロゲステロン(PR)及びグルココルチコイド(GR)受容体における選択的アンタゴニストとして使用される合成ステロイド化合物である。GRにおいて、ミフェプリストンはデキサメタゾンよりも高い親和性を有している。PRにおいて、ミフェプリストンは無症状のアンタゴニストでもあり、プロゲステロンよりも高い親和性を有している。図17に示されているように、細胞がアンタゴニストミフェプリストン(Mife)によって前処理された場合、ミフェプリストンはGR上のFP効果を著しくブロックし、一方アッセイバッファによって前処理された細胞はFP効果をブロックしなかった。図17はDRCAを用いて測定された核受容体の特異性を示しており、符号(1710)はMifeとFP、符号(1720)はバッファとFP、符号(1700)はアッセイバッファのみであり、FPはプロピオン酸フルチカゾン、Mifeはミフェプリストンであり、secは秒である。この結果は、FP効果による大きな要因がグルココルチコイド受容体に由来していることを示した。当該アッセイは核受容体の1例であるグルココルチコイド受容体に特有のものであった。
上記結果はここに開示されたDRCAシステムを用いて2つ以上の波長による異なる侵入深度において細胞−核事象を同時に検出する方法を実証している。例えば約50nmから約3,000nmまで侵入深度を変化させることによって、細胞膜の周辺でない細胞事象を観測することができる。短い侵入深度と長い侵入深度とを複数組み合わせることによって、ここに開示されたDRCAシステムは細胞事象の場所を識別することができる。ここに開示されたシステムは生細胞全体のアッセイにより深度分解された細胞事象情報を提供することができる。ここに開示されたシステムは、例えば細胞生物学の調査及び創薬手法に重要な値を提供することができる。
試薬
ATP、プロピオン酸フルチカゾン、及びミフェプリストンはTocris社(セントルイス、MO)から購入された。
細胞培養
A431細胞は米国培養細胞系統保存機関(マナッサス、VA)から購入された。A431細胞は10%のウシ胎児血清(FBS)及び抗生物質を付加したDMEM培地で培養された。A431細胞の数はベックマンコールタのパーティクルカウンタ(ベックマンコールタ社、フラートン、CA)を用いて数えられた。40マイクロリットルの培地において約1−2x10個のA431細胞がDRCA80ウェルチャンバの各ウェル内で播種された。当該ウェルは細胞の導入に先立ってコラーゲン又はフィブロネクチンの薄い層にコーティングされた。播種後、当該細胞は37度の細胞培養器において24時間培養された。
DRCAシステムと細胞アッセイ
この実験には開示されたDRCAシステムが使用された。細胞アッセイにおいて、明記しない限り細胞の集密度は上記した適切な培地の約90%から約100%であった。当該細胞及び合成物のプレートは22度に達するまでおよそ60分間機器内で培養された。全ての調査は22度で行われた。
本開示は様々な特定の実施例及び手法に関連して記載されている。しかし、本開示の精神及び範囲内であれば多くの変更及び変形が可能であることを理解されるべきである。

Claims (28)

  1. 表面プラズモン共鳴(SPR)センサシステムであって、
    少なくとも2つの波長を有して入射ビームを提供する光源と、
    前記入射ビームを成形かつ集束する第1光学系と、
    透明な基板を含むセンサチップと、
    反射ビーム及び放出ビームを集光する第2光学系と、
    前記反射ビームを受光してSPRシグナルを検出する光検出器と、
    データ取得ユニットと、を含み
    前記透明な基板は、前記基板の第1表面上に入射かつ集束されたビームを受光する高屈折率プリズムを有し、前記基板の第2表面上に約100nmから約5マイクロメートルまでのシリコン層を有し、かつ前記シリコン層上に約30nmから約80nmまでの金属層を有していることを特徴とするシステム。
  2. 請求項1に記載のシステムであって、
    前記金属層の表面上に、生物学的試料、生物化学的試料、細胞、細胞コンポーネント、細胞コンストラクト、表面コーティング、又はこれらの組合せを含む検体をさらに含むことを特徴とするシステム。
  3. 請求項2に記載のシステムであって、前記センサシステムは少なくとも約0.4マイクロメートルの検体侵入深度を有していることを特徴とするシステム。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載のシステムであって、前記光源は約400nmから約1,700nmまでの複数の異なる波長を有している複数の光学的ビームを含むことを特徴とするシステム。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載のシステムであって、前記データ取得ユニットはSPR最小の角度位置を見つけることによってSPR角度反応を提供することを特徴とするシステム。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載のシステムであって、
    前記センサチップは約2.5から約4.0までの屈折率を有する屈折率層を含み、前記プリズムの屈折率は約2.5から約4.0までであることを特徴とするシステム。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1つに記載のシステムであって、
    前記基板上の前記シリコン層は約3.5の屈折率を有する光学的材料を提供し、前記基板はガラス、クリスタル、半導体物質、約10から約100マイクロメートルまでの厚さを有するフィルムコーティング、又はこれらの組合せを含み、前記基板は透明であり、前記基板は約2.4よりも大きい屈折率を有し、前記基板は対象の波長範囲において低い光学的損失を有していることを特徴とするシステム。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1つに記載のシステムであって、照射光源、照射波長、又はこれらの組合せの切替手段をさらに含むことを特徴とするシステム。
  9. 請求項8に記載のシステムであって、前記切替手段は人間のオペレータの手動切替、自動のロボットスイッチ、又はこれらの組合せを含むことを特徴とするシステム。
  10. センサチップであって、
    第1表面上に約100から約2,000nmのシリコン層を有し、かつ前記シリコン層上に金層を有する透明な基板と、
    前記透明な基板の第2表面上に高屈折率プリズムと、を有していることを特徴とするセンサチップ。
  11. 請求項10に記載のセンサチップであって、前記センサチップは約100から約1,000nmの厚さを有するシリコンを含むことを特徴とするセンサチップ。
  12. 拡大された侵入深度を有する表面プラズモン共鳴方法であって、
    請求項2に記載のセンサシステムを提供するステップと、
    前記光源を前記検体に照射するステップと、
    前記光検出器を用いてSPRシグナルを検出するステップと、
    前記データ取得ユニットを用いて当該検出されたSPRシグナルを分析するステップと、
    当該検出されたSPRシグナルと検体事象との相関を取るステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、前記基板は高屈折率を有してSPR反応差を緩和する材料であることを特徴とする方法。
  14. 請求項12又は13に記載の方法であって、前記検出するステップは複数の波長のSPR光検出器を含み、かつ複雑な光学系がないことを特徴とする方法。
  15. 請求項12乃至14のいずれか1つに記載の方法であって、前記基板の屈折率は少なくとも2.4であり、前記プリズムの屈折率は少なくとも2.4であることを特徴とする方法。
  16. 請求項12乃至15のいずれか1つに記載の方法であって、前記光源は約0.4マイクロメートルから約1.7マイクロメートルまでの少なくとも2つ以上の波長において投光することを特徴とする方法。
  17. 請求項12乃至16のいずれか1つに記載の方法であって、前記多くの侵入深度は約400nmから約1,500nmまでであることを特徴とする方法。
  18. 請求項12乃至17のいずれか1つに記載の方法であって、前記光源は前記検体を照射してSPRを励起する集束ビームであることを特徴とする方法。
  19. 生物学上の存在の深度分解型検知を行う方法であって、
    表面プラズモン共鳴(SPR)センサシステムを提供するステップと、
    各々が異なる侵入深度を有する少なくとも2つの異なる波長を用いて前記センサを照射するステップと、
    前記異なる波長の各々の屈折率変化を監視するステップと、
    前記屈折率変化と前記生物学上の存在の変化との相関を取るステップと、を含み、
    前記表面プラズモン共鳴(SPR)センサシステムは、
    少なくとも2つの波長を有して入射ビームを提供する光源と、
    前記入射ビームを成形かつ集束する第1光学系と、
    透明な基板を含むセンサチップと、
    反射ビーム又は放出ビームを集光する第2光学系と、
    当該集光ビームを受光してSPRシグナルを検出する光検出器と、
    データ取得ユニットと、
    前記センサチップの表面の貴金属外側表面層上の生物学上の存在と、を含み、
    前記透明な基板は、前記基板の第1表面上に入射かつ集束されたビームを受光する高屈折率プリズムを有し、前記基板の第2表面上に約100nmから約5マイクロメートルまでのシリコン層を有し、前記シリコン層上に約30nmから約80nmまでの金属層を有し、前記シリコン層上に貴金属層を有していることを特徴とする方法。
  20. 請求項19に記載の方法であって、
    前記2つの異なる波長の内の少なくとも1つを用いて前記センサを照射するステップの前、途中、又は後において、前記生物学上の存在を、化学的合成物、生物学的合成物、又はその組合せを含む第2の存在に接触させるステップを含むことを特徴とする方法。
  21. 請求項19又は20に記載の方法であって、
    前記生物学上の存在は、細胞膜受容体、細胞内受容体、細胞核受容体、サブ細胞コンポーネント、又はこれらの組合せを含むことを特徴とする方法。
  22. 請求項19乃至21のいずれか1つに記載の方法であって、
    前記生物学上の存在は、細胞、細胞培養物、細胞コンポーネント、細胞コンストラクト、ウィルス、プリオン、又はこれらの組合せを含むことを特徴とする方法。
  23. 請求項22に記載の方法であって、
    前記細胞培養物は約70から約100%までの細胞密度を有し、前記細胞培養物の集密度は約70から約100%までであり、アッセイバッファはHBSSであることを特徴とする方法。
  24. 請求項19乃至23のいずれか1つに記載の方法であって、
    前記センサチップの表面上に生物学上の存在を配置する前に、センサチップの貴金属外側表面層に有機ポリマ、無機ポリマ、又はこれらの組合せを設けること含むことを特徴とする方法。
  25. 請求項19乃至24のいずれか1つに記載の方法であって、
    前記生物学上の存在は、真核細胞の受容体、原核細胞の受容体、合成細胞コンストラクト、合成細胞コンストラクトのコンポーネント、又はこれらの組合せを含むことを特徴とする方法。
  26. 請求項19乃至25のいずれか1つに記載の方法であって、前記少なくとも2つの異なる波長は複数の異なる波長であることを特徴とする方法。
  27. 請求項19乃至26のいずれか1つに記載の方法であって、前記少なくとも2つの異なる波長は3から20個の異なる波長であることを特徴とする方法。
  28. 請求項19乃至27のいずれか1つに記載の方法であって、前記第2の存在はモジュレータ、エフェクタ、又はこれらの組合せであることを特徴とする方法。
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