JP7342058B2 - トンネル防水工法 - Google Patents

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Description

本発明は、トンネル防水工法に関し、特に、長尺防水シートの繰り出し工法において、高い施工性をもって複合防水層を構築可能な、トンネル防水工法に関する。
山岳トンネル工事において、トンネルの防水性を確保するため、トンネルの吹付けコンクリート面に防水シートを張付ける、シート防水工が採用されている。
近年、シート防水工では、施工性の向上を目的として、幅10m程度の長尺防水シートが開発され活用されている。この長尺防水シートは、展開したまま取り扱うことができないため、幅方向に複数回折り返して長手方向に長い帯状に折り畳み、トンネル周方向に沿ってシート台車上に配置する。
張付け時には、防水シート背面の固定片(「ヒレ」等と呼ばれる)を、トンネル周方向に沿って所定間隔で吹付けコンクリート面へ釘留めし、続いて、シート台車を切羽側に移動して折り畳んだ防水シートを繰り出し、これらの工程を繰り返して、防水シートを全長にわたって吹付けコンクリート面に張付ける。
特許文献1には、長尺防水シートの繰り出し工法において、シート台車の受台にトンネル周方向に沿ってチューブ状の膨張体を配置し、防水シートを膨らませた膨張体で吹付けコンクリート面に押し付けながら張付ける、トンネル防水工法が開示されている。
特開2019-199688号公報
従来技術には以下のような課題があった。
<1>施工効率の課題
長尺防水シートの繰り出し施工の場合、作業員が折り畳んだ防水シートの切羽側に立ち、防水シート背面の固定片を掴み上げて吹付けコンクリート面に押し付け、トンネル周方向に沿って所定の間隔で釘留めする。
ここで、固定片のシート幅方向における間隔は1m前後であり、折り畳んだ防水シート越しに2列目の固定片へ手を伸ばすことができないため、固定片を一度に2列以上釘留めすることができない。
よって、防水シートを1列釘留めするごとに、シート台車を1m程度移動させて次の固定片まで防水シートを繰り出し、これらの作業を防水シートの全幅にわたって繰り返す必要がある。
従って、例えばシート幅10mの長尺防水シートの場合、シート台車の移動による展張と釘留めを、交互に10回行う必要があり、施工効率において改善の余地がある。
<2>作業員の肉体的負担
作業員が、防水シートの幅方向1列ごとにシート台車上を天井部から地上部にわたって昇降しながら釘留めを繰り返さなければならない。
このため、作業員の肉体的負担が大きい。
<3>複合積層構造への適用に伴う課題
近年、施工品質の向上を目的として、防水シートと不織布等の裏面緩衝材が一体になった複合積層構造の防水シートが多用されている。
しかし、長尺防水シートを複合積層構造とする場合、裏面緩衝材に厚みがあり嵩張るため、工場における折り畳み、現場への輸送、シート台車上への配置、シート台車上における繰り出し、吹付けコンクリート面への釘留め、の各工程において防水シートの取り扱いが難しく、施工性が悪い。
また、吹付けコンクリート面への釘留めでは、重みのある積層構造の防水シートを、固定片で掴み上げて吹付けコンクリート面へ押し付けるため、作業員の肉体的負担が非常に大きい。
本発明のトンネル防水工法は、裏面緩衝材を、吹付けコンクリート面上に展張して固定する、裏面緩衝材固定工程と、複数の電磁誘導発熱体を、裏面緩衝材を介して吹付けコンクリート面上に所定の間隔で固定する、発熱体固定工程と、幅方向に複数回折り返して長手方向に長い帯状に折り畳んだ防水シートを、トンネル周方向に沿ってシート台車上に配置する、防水シート配置工程と、防水シートにおける幅方向の開始端部を、トンネル周方向における所定間隔で裏面緩衝材上に固定する、開始端部固定工程と、シート台車を切羽方向に移動させることで、シート台車上から防水シートを繰り出す、繰り出し工程と、防水シートの固定片を、トンネル周方向の所定間隔で裏面緩衝材上に釘留めする、釘留め工程と、隣り合う2列の固定片の間において、防水シートの表面に、電磁誘導装置を近接させ、防水シート越しに裏面緩衝材上の電磁誘導発熱体を電磁誘導作用によって加熱し、防水シートを電磁誘導発熱体に溶着して吹付けコンクリート面に固定する、電磁溶着工程と、を備え、繰り出し工程、釘留め工程、及び電磁溶着工程を所定回数繰り返して、防水シートを全幅にわたって裏面緩衝材上に張付けることを特徴とする。
本発明のトンネル防水工法は、防水シートが、長手方向中央の一部にのみ固定片を備え、釘留め工程において、固定片を裏面緩衝材の天端側の一部にのみ釘留めしてもよい。
本発明のトンネル防水工法は、裏面緩衝材固定工程において、1枚の防水シートの幅方向の長さに対応する複数枚の裏面緩衝材を、トンネル軸方向に沿って吹付けコンクリート面上に並べて固定してもよい。
本発明のトンネル防水工法は、吹付けコンクリート面上に固定した裏面緩衝材の表面に、トンネル軸方向に平行な基準ラインが記入されていてもよい。
本発明のトンネル防水工法は、防水シートが透光性を有していてもよい。
本発明のトンネル防水工法は、次の効果のうち少なくとも一つを備える。
<1>施工効率が高い
防水シートの幅方向における固定片の釘留め間隔を広くとり、隣り合う固定片の間をシート表面側から電磁誘導作用によって溶着することで、シート台車の1回の移動について、防水シートを複数列(釘留め1列+溶着複数列)固定することができる。
このため、従来技術に比較して極めて施工効率が高い。
例えば本例の場合、シート幅10mの長尺防水シートを、シート台車を4回移動させるだけで、全幅固定することができる。
<2>作業員の肉体的負担が小さい
作業員がシート台車上の同じ高さのステージ上で、トンネル軸方向に移動して複数列まとめて溶着できるため、シート台車上の昇降回数を格段に低減できる。
このため、従来技術に比較して作業員の肉体的負担が小さい。
<3>複合積層構造への適合
裏面緩衝材と防水シートを別工程で張付けるため、防水シートが嵩張らず取り廻しや繰り出しが容易である。
このため、複合積層構造の防水層を効率よく構築することができる。
本発明に係るトンネル防水工法の説明図。 複合防水層の説明図。 裏面緩衝材固定工程の説明図。 発熱体固定工程の説明図。 防水シート配置工程の説明図。 開始端部固定工程の説明図。 繰り出し工程の説明図。 釘留め工程の説明図。 電磁溶着工程の説明図。 実施例3の説明図。
以下、図面を参照しながら本発明のトンネル防水工法について詳細に説明する。
なお、本明細書において、防水シート及び裏面緩衝材の「幅方向(幅)」とは、施工完了時においてトンネル軸方向と平行する方向(の幅)であり、「長手方向(長さ)」とは、防水シート上において幅方向と直交する方向(の長さ)である。
また、防水シート及び裏面緩衝材の「背面」とは、張付け時に吹付けコンクリート面に対面する側の面を意味し、「表面」とは、背面の反対面を意味する。
裏面緩衝材の「展張」とは、裏面緩衝材を吹付けコンクリート面上に広げて押し付けることを意味する。
図面上の各構成要素の寸法や比率は、説明の目的のため適宜変更して表示しており、実際の寸法や比率を表すものではない。また、図面上、トンネル、防水シート、及び裏面緩衝材はトンネル軸方向に沿った断面で表示している。
[トンネル防水工法]
<1>全体の構成(図1)。
本発明のトンネル防水工法は、山岳トンネル工事において、吹付けコンクリート面A上に、複合防水層10を構築する工法である。
トンネル防水工法は、裏面緩衝材固定工程S1と、発熱体固定工程S2と、防水シート配置工程S3と、開始端部固定工程S4と、繰り出し工程S5と、釘留め工程S6と、電磁溶着工程S7と、を少なくとも備え、繰り出し工程S5、釘留め工程S6、及び電磁溶着工程S7を所定回数繰り返して、吹付けコンクリート面A上に複合防水層10を設ける。
なお、以下では、前施工サイクルによって吹付けコンクリート面A上に設けた複合防水層10の切羽側に、新たに複合防水層10を設ける1施工サイクルについて説明する。
<2>複合防水層(図2)。
複合防水層10は、吹付けコンクリート面A上に固定した裏面緩衝材12と、裏面緩衝材12の表面に張付けた防水シート11からなる、複合構造の防水層である。
本発明のトンネル防水工法では、複合防水層10を一体構造のシート体のまま張付けるのではなく、吹付けコンクリート面Aに固定した裏面緩衝材12の表面に防水シート11を張付けることで、吹付けコンクリート面A上に複合防水層10を構成する。
<2.1>防水シート。
防水シート11は、遮水機能を備えたシート体である。
本発明で用いる防水シート11は、シート台車B上に折り畳んだ状態から繰り出して張付ける、長尺防水シートである。
防水シート11の幅は施工スパンに応じて任意に選択する。防水シート11の長さは、吹付けコンクリート面Aの周長に対応させる。
防水シート11の背面には、帯状の複数の固定片11aを設ける。
本例では防水シート11として、5枚のシート単体11’を幅方向に連結してなる、幅10.6m×長さ21.0m、厚さ0.8mmのエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)製シートを採用する。
ただし防水シート11はこれに限られず、所定の強度と遮水性能を備えていれば、公知の他の素材を選択することができる。
また、防水シート11として、透光性素材(透明又は半透明)のシート材を採用すれば、後述する電磁溶着工程S7において、防水シート11の背面側にある電磁誘導発熱体20の位置を防水シート11の表面側から視認することができるので、施工効率がさらに高くなる。
<2.1.1>固定片。
固定片11aは、防水シート11を吹付けコンクリート面Aへ釘留めするための帯状の構造(通称「ヒレ」と呼ばれる構造)である。
固定片11aは、防水シート11の背面において、防水シート11の長手方向に沿って延在し、防水シート11の幅方向に並列する。
本例では、防水シート11の背面に、防水シート11と同じ長さのEVA製の5本の固定片11aを防水シート11の幅方向2.65m間隔で付設する。
なお、固定片11aはEVA製に限らず、例えば不織布製であってもよい。
また、固定片11aは防水シート11から独立した部材に限らず、例えば本例のように防水シート11が複数のシート単体11’を幅方向に接続してなる場合、シート単体11’の重ね代を防水シート11の背面側に延出させて、これを固定片11aとすることもできる。
<2.2>裏面緩衝材。
裏面緩衝材12は、衝撃に対する緩衝機能と排水機能を備えたシート体である。
本例では裏面緩衝材12として、幅2.3m×長さ21.0mの長繊維不織布シートを採用する。
すなわち、本例では、1枚の防水シート11(有効長10.6m)に対して、5枚の裏面緩衝材12(合計有効長11.0m)を組み合わせて使用する。
また、裏面緩衝材12の背面側に、排水機能を向上させるための立体網状体を設置してもよい。
<3>裏面緩衝材固定工程(図3)。
裏面緩衝材固定工程S1は、例えば以下の手順で行う。
長手方向両側から中央に向けてロール巻きにした裏面緩衝材12を、シート台車B上に運び、シート台車Bの中央から裏面緩衝材12の2つのロール部を両側に転がし下ろして、裏面緩衝材12をシート台車B上に展開する。
裏面緩衝材12を、吹付けコンクリート面Aにおける前施工サイクルの複合防水層10の切羽側に展張する。
裏面緩衝材12の長手方向の中央を吹付けコンクリート面Aの周方向の中央に合わせ、コンクリート釘で釘留めする。続いて、裏面緩衝材12の中央から両側へ向けて、所定の間隔で全周にわたって吹付けコンクリート面Aに釘留めする。
裏面緩衝材12を1枚固定したら、シート台車Bを移動させて、固定した裏面緩衝材12の切羽側に次の裏面緩衝材12を展張する。本例では、隣接する2枚の裏面緩衝材12の間に10cmの重ね代を設ける。
以上の手順を繰り返して、防水シート11の全周に対応する5枚の裏面緩衝材12を吹付けコンクリート面A上に固定する。
<3.1>裏面緩衝材を分割したことによる効果。
本例では、1枚の防水シート11に対して、裏面緩衝材12を複数枚に分割して施工する。
このように裏面緩衝材12の分割単位を、作業員1人で取り扱い可能な重量及び幅の範囲内とすることで、長尺で継ぎ目のない防水シート11の施工でありながら、裏面緩衝材12を作業員1人で持ち上げたり移動させることができる。このため施工性が高く、作業員の肉体的負担も少ない。
また、裏面緩衝材12は丈夫で水密性を求められないため、僅かな傷であっても確実に修繕が必要な複合一体型防水シートのような慎重な取り扱いを必要としない。このため、取り扱いが容易で、効率よく施工することができる。
なお、分割施工は本発明の一実施例に過ぎず、1枚の防水シート11に対して、1枚ものの裏面緩衝材12を固定してもよい。
<4>発熱体固定工程(図4)。
発熱体固定工程S2は、例えば以下の手順で行う。
吹付けコンクリート面A上に固定した裏面緩衝材12を介して、複数の電磁誘導発熱体20を吹付けコンクリート面A上に固定する。
詳細には、裏面緩衝材12上に電磁誘導発熱体20を添え、電磁誘導発熱体20の中央孔にコンクリート釘を挿通して裏面緩衝材12を貫通し、裏面緩衝材12背面のコンクリート面Aに釘留めする。
電磁誘導発熱体20は、トンネル周方向に所定の間隔を空けて全周釘留めして1列とし、これをトンネル軸方向に所定の間隔を空けて複数列固定する。
必要に応じてシート台車Bを移動しつつ、電磁誘導発熱体20を裏面緩衝材12の全面に固定する。
<4.1>電磁誘導発熱体。
電磁誘導発熱体20は、電磁誘導装置30(ディスクウェルダー)が発する高周波電流による電磁誘導作用によって、防水シート11を溶着する部材である。
本例では電磁誘導発熱体20として、樹脂製の固定板21と、固定板21の一面に設けた溶着層22の組合せからなる、円形ディスク体を採用する。
溶着層22は、例えば、アルミニウム等の磁性材料からなるフィルム体の一面を熱溶着性樹脂で被覆して構成することができる。
ただし電磁誘導発熱体20の構成はこれに限らず、要は電磁誘導装置30の電磁誘導作用によって、防水シート11に溶着可能な構造であればよい。
電磁誘導発熱体20と電磁誘導装置30の構成は公知なので、ここでは詳述しない。
<4.2>電磁誘導発熱体の設置間隔。
電磁誘導発熱体20は、吹付けコンクリート面Aへ防水シート11を張付けた状態において、隣り合う固定片11aに挟まれる領域に設置する。
本例では、固定片11aの釘留め間隔(2.65m)毎に、トンネル軸方向2列の電磁誘導発熱体20を固定する。
ただし電磁誘導発熱体20の配列はこれに限らず、トンネル軸方向1列又は3列以上としてもよい。
<5>防水シート配置工程(図5)。
防水シート配置工程S3は、例えば以下の手順で行う。
幅方向に内外相互に複数回折り返して、長手方向に長い帯状に折り畳んだ防水シート11をロール状に巻いて、シート台車Bの側方の地上に仮に配置しておく。
シート台車Bの、防水シート11配置側と反対側の側部に電動ウインチ(不図示)を固定しておき、電動ウインチに連結したワイヤを、シート台車B上のシート受台を通過させてシート台車Bの反対側へ架け渡す。
ロール状の防水シート11の一端を治具で挟み、治具をワイヤの先端に接続する。
電動ウインチでワイヤを巻き取ると、防水シート11が長手方向に展開しながらシート台車Bのシート受台上を周方向に牽引されて、シート台車Bの外周に掛け渡される。
掛け渡し後、防水シート11から治具を取り外す。
なお、防水シート11をシート台車B上に配置する方法は上記に限らず、他の方法で配置してもよい。
<5.1>防水シートを裏面緩衝材と別張りにしたことによる効果。
従来技術の裏面緩衝材一体型の防水シートは、厚みと重量があるため、折り畳んだりロール巻きするのが難しく、また嵩張るため、保管時に空間を広く占有していた。また、裏面緩衝材一体型の防水シートは重量が重いため、電動ウインチによる牽引時に治具で挟持した部分に応力が集中して、防水シート面を損傷するおそれがあった。
これに対し、本発明のトンネル防水工法は、防水シート配置工程S3において、単層の防水シート11のみを取り扱うため、折り畳み、ロール巻き、展開等の各種作業が容易である。
また防水シート11が軽量であるため、電動ウインチによる牽引時に損傷しにくい。
<6>開始端部固定工程(図6)。
開始端部固定工程S4は、例えば以下の手順で行う。
シート台車B上に配置した防水シート11の開始端部を引き上げて、裏面緩衝材12上に固定する。
詳細には、防水シート11の開始端部側の固定片11aを掴み上げて、裏面緩衝材12の坑口側の開始端部付近に押し付け、コンクリート釘で裏面緩衝材12上に釘留めする。同様に、トンネル周方向に所定の間隔を空けて全周釘留めする。
防水シート11の開始端部は下方に垂らしておいて、後に前施工サイクルの防水シート11の切羽側の後端部と拝み合わせて、電熱器で一体に溶着する。
<7>繰り出し工程(図7)。
繰り出し工程S5は、例えば以下の手順で行う。
シート台車Bを切羽方向に移動させる。
シート台車B上の防水シート11は、坑口側の開始端部が裏面緩衝材12上に釘留めされているため、シート台車Bの移動によって、シート台車B上に折り畳んだ防水シート11が幅方向に展開して繰り出される。
以上の手順で、吹付けコンクリート面Aへ釘留めした固定片11a(初回であれば開始端部の固定片11a)の次の固定片11aの位置まで防水シート11を繰り出す。
防水シート11の1回あたりの繰り出し幅は、シート台車の1回あたりの移動量に対応する。本例では、防水シート11の繰り出し幅は、約3m/回である。
<8>釘留め工程(図8)。
釘留め工程S6は、例えば以下の手順で行う。
シート台車B上から繰り出した防水シート11の背面側から、吹付けコンクリート面Aへ固定片11aを釘留めする。
詳細には、シート台車B上において、防水シート11の裏面側から、作業員が固定片11aの長手方向中央部を掴み上げて、吹付けコンクリート面Aの周方向の中央に押し付け、固定片11aにコンクリート釘を打ち込んで固定する。
同様の手順で、吹付けコンクリート面Aの周方向の中央から両側へ向けて、固定片11aを所定の間隔で釘留めしてゆく。
本発明のトンネル防水工法は、防水シート11と裏面緩衝材12とを別張りとしたことで、釘留め工程S6において、比較的軽量で柔軟な防水シート11のみを固定片11aで掴み上げればよいため、裏面緩衝材一体式シートを扱う従来技術に比べて、作業が容易で、作業員の肉体的負担が小さい。
<9>電磁溶着工程(図9)。
電磁溶着工程S7は、例えば以下の手順で行う。
シート台車B上から繰り出した防水シート11の表面側から、防水シート11越しに電磁誘導装置30を電磁誘導発熱体20に押し当て、電磁誘導装置30から電磁誘導発熱体20へ電磁場を作用させる。
すると、電磁誘導発熱体20の溶着層22が電磁誘導作用によって発熱し、溶着層22の熱溶着性樹脂が溶融して防水シート11の背面に付着する。
ここで、電磁誘導装置30を防水シート11に押し当てつつ、電磁場を遮断すると、溶着層22の発熱が止まり、溶融した熱溶着性樹脂が冷えて硬化することで、電磁誘導発熱体20が防水シート11の背面に溶着し、防水シート11が電磁誘導発熱体20を介して裏面緩衝材12背面のコンクリート面Aに固定される。
同様の作業を、裏面緩衝材12上に展開した防水シート11におけるすべての電磁誘導発熱体20に対して行い、電磁誘導発熱体20を介して防水シート11をコンクリート面A上に張付ける。
本発明のトンネル防水工法は、予め防水シート11を吹付けコンクリート面Aに釘留めした後、2列の釘留め部の間を電磁溶着する方法であるため、電磁溶着による溶着部が硬化して強度発現するまでの間、釘留めによって防水シート11を確実に支持することができる。このため、溶着箇所の施工品質が高い。
<10>釘留めと溶着のハイブリッド施工による効果。
従来技術では、防水シートをトンネル軸方向の1列釘留めするごとに、シート台車を移動させて次の固定片の位置まで防水シートを繰り出す必要があった。
従って、例えば固定片の間隔が1mの場合、作業員がシート台車上を昇降しつつ固定片を釘留めし、シート台車を移動する、一連の作業を、防水シートの幅1mごとに繰り返す必要があった。
このため、施工に時間がかかると共に、昇降による作業員の肉体的負担が大きかった。
これに対し、本発明のトンネル防水工法は、固定片11aの釘留め間隔を広くとり、隣り合う固定片11aの間を防水シート11の前面側から電磁溶着することによって、シート台車Bの移動1回について、防水シート11を複数列固定することができる。
このため、従来技術のように1m間隔ではなく、シート台車Bを一度に3m以上移動させて、防水シート11を一度に広い範囲張付けることができる。
また、電磁溶着工程S7では、作業員がシート台車B上の同じ高さのステージから、トンネル軸方向の複数列にわたってまとめて溶着できるため、作業員の昇降とシート台車Bの移動に係る時間及び労力を、各段に低減することができる。
<11>工程の繰り返し。
繰り出し工程S5、釘留め工程S6、及び電磁溶着工程S7を所定回数繰り返して、1枚の防水シート11全体を繰り出すと共に、防水シート11を全幅にわたって裏面緩衝材12上に張付ける。
以上によって1施工サイクルが完了し、吹付けコンクリート面A上に、防水シート11と裏面緩衝材12からなる複合防水層10が構築される(図2)。
[固定片を天端側の一部のみ釘留めする例]
本例では、防水シート11より長さの短い固定片11aを、防水シート11長手方向中央の一部のみに付設し、釘留め工程S6において、固定片11aを裏面緩衝材12の天端側の一部にのみ釘留めする。
詳細には、例えば固定片11aの長さを、吹付けコンクリート面Aのスプリングライン(SL)より上部の周長に対応する長さとし、釘留め工程S6ではSLより上部のみ釘留めし、SLより下部は電磁溶着工程S7において電磁溶着で固定する。
本例では、釘留め工程S6において、シート台車B上の昇降が必要ないか又は昇降量を少なくすることができるため、作業員の肉体的負担を軽減できる。
また、固定片11aより下部は、電磁溶着工程S7において、シート台車Bの同じ高さのステージ上で、他の列の電磁誘導発熱体20とまとめて溶着できるため、施工効率を向上させることができる。
[裏面緩衝材に基準ラインが記入されている例]
本例では、裏面緩衝材固定工程S1において、吹付けコンクリート面Aに固定した裏面緩衝材12の表面に、トンネル軸方向に平行な基準ライン12aを記入する(図10)。基準ライン12aは、少なくともトンネルの天端中央部に記入することが望ましい。
本例では、開始端部固定工程S4や釘留め工程S6において、裏面緩衝材12の基準ライン12aを目印にして防水シート11のセンター位置等を位置合わせすることで、施工精度を高め、施工を容易にすることができる。
基準ライン12aは、裏面緩衝材12の固定前に予め記入しておいてもよいし、裏面緩衝材12を吹付けコンクリート面Aに固定した後に、トンネル内測量に基づいて記入してもよい。
S1 裏面緩衝材固定工程
S2 発熱体固定工程
S3 防水シート配置工程
S4 開始端部固定工程
S5 繰り出し工程
S6 釘留め工程
S7 電磁溶着工程
10 複合防水層
11 防水シート
11’ シート単体
11a 固定片
12 裏面緩衝材
12a 基準ライン
20 電磁誘導発熱体
21 固定板
22 溶着層
30 電磁誘導装置
A 吹付けコンクリート面
B シート台車

Claims (5)

  1. 山岳トンネル工事において、吹付けコンクリート面上に、裏面緩衝材及び防水シートを含む複合防水層を設ける、トンネル防水工法であって、
    前記防水シートの背面には、帯状の複数の固定片を備え、前記複数の固定片は、前記防水シートの長手方向に沿って延在し、前記防水シートの幅方向に並列し、
    前記裏面緩衝材を、吹付けコンクリート面上に展張して固定する、裏面緩衝材固定工程と、
    複数の電磁誘導発熱体を、前記裏面緩衝材を介して吹付けコンクリート面上に所定の間隔で固定する、発熱体固定工程と、
    幅方向に複数回折り返して長手方向に長い帯状に折り畳んだ前記防水シートを、トンネル周方向に沿ってシート台車上に配置する、防水シート配置工程と、
    前記防水シートにおける幅方向の開始端部を、トンネル周方向における所定間隔で前記裏面緩衝材上に固定する、開始端部固定工程と、
    前記シート台車を切羽方向に移動させることで、前記シート台車上から前記防水シートを繰り出す、繰り出し工程と、
    前記防水シートの前記固定片を、トンネル周方向の所定間隔で前記裏面緩衝材上に釘留めする、釘留め工程と、
    隣り合う2列の前記固定片の間において、前記防水シートの表面に、電磁誘導装置を近接させ、前記防水シート越しに前記裏面緩衝材上の前記電磁誘導発熱体を電磁誘導作用によって加熱し、前記防水シートを前記電磁誘導発熱体に溶着して吹付けコンクリート面に固定する、電磁溶着工程と、を備え、
    前記繰り出し工程、前記釘留め工程、及び前記電磁溶着工程を所定回数繰り返して、前記防水シートを全幅にわたって前記裏面緩衝材上に張付けることを特徴とする、
    トンネル防水工法。
  2. 前記防水シートが、長手方向中央の一部にのみ前記固定片を備え、前記釘留め工程において、前記固定片を前記裏面緩衝材の天端側の一部にのみ釘留めすることを特徴とする、請求項1に記載のトンネル防水工法。
  3. 前記裏面緩衝材固定工程において、1枚の前記防水シートの幅方向の長さに対応する複数枚の裏面緩衝材を、トンネル軸方向に沿って前記吹付けコンクリート面上に並べて固定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のトンネル防水工法。
  4. 前記吹付けコンクリート面上に固定した前記裏面緩衝材の表面に、トンネル軸方向に平行な基準ラインが記入されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトンネル防水工法。
  5. 前記防水シートが透光性を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトンネル防水工法。
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